説明

出入口装置および出入口装置の制御方法

【課題】引戸が戸開方向に移動するときにシートと縦柱との間に異物が進入することを抑制することができる出入口装置を得る。
【解決手段】乗場出入口1を開閉する第1の引戸31と、乗場出入口1の側面を構成する縦枠21と、第1の引戸31に設けられ、第1の引戸31の移動方向に互いに離れた一対のローラ4と、一対のローラ4を回転させるローラ駆動装置5と、両方のローラ4に渡って設けられ、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆い、ローラ4が回転することにより、第1の引戸31の表面を覆う部分が第1の引戸31の移動方向に第1の引戸31の表面をスライドするシート6とを備え、ローラ駆動装置5は、第1の引戸31が戸開方向に移動するときに、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆うシート6の部分が縦枠21に対して戸閉方向に移動するようにローラ4を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、引戸が出入口を開閉する出入口装置および出入口装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かご出入口を開閉する引戸と、かご出入口の側面を構成する出入口柱と、出入口柱に対向する引戸の表面を覆うように引戸に設けられ、引戸の表面に対して引戸の移動方向にスライドするシートと、引戸と出入口柱との間に位置するシートの部分を出入口柱に対して固定する固定装置とをさらに備えたかご出入口装置が知られている。引戸が戸開方向に移動するときに、引戸の表面を覆うシートの部分は、出入口柱に対して移動しない。これにより、引戸が戸開方向に移動するときに、シートと出入口柱との間に異物が引き込まれることが防止される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−168952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引戸の表面を覆うシートの部分は、引戸が戸開方向に移動するときに出入口柱に対して移動しないので、引戸が戸開方向に移動するときにシートと出入口柱との間に異物が進入することを抑制することができないという問題点があった。
【0005】
この発明は、引戸が戸開方向に移動するときにシートと縦柱との間に異物が進入することを抑制することができる出入口装置および出入口装置の制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る出入口装置は、出入口を開閉する第1の引戸と、前記出入口の側面を構成する縦柱とを備えた出入口装置であって、前記第1の引戸に設けられ、前記第1の引戸の移動方向に互いに離れた一対のローラと、一対の前記ローラのうちの少なくとも一方を回転させるローラ駆動装置と、両方の前記ローラに渡って設けられ、前記縦柱に対向する前記第1の引戸の表面を覆い、前記ローラが回転することにより前記表面を覆う部分が前記第1の引戸の移動方向に前記表面をスライドするシートとをさらに備え、前記ローラ駆動装置は、前記第1の引戸が戸開方向に移動するときに、前記表面を覆う前記シートの部分が前記縦柱に対して戸閉方向に移動するように前記ローラを回転させる。
【0007】
この発明に係る出入口装置の制御方法は、出入口を開閉する第1の引戸と、前記出入口の側面を構成する縦柱と、前記第1の引戸に設けられ、前記第1の引戸の移動方向に互いに離れて設けられた一対のローラと、一対の前記ローラのうちの少なくとも一方を回転させるローラ駆動装置と、両方の前記ローラに渡って設けられ、前記縦柱に対向する前記第1の引戸の表面を覆い、前記ローラが回転することにより前記表面を覆う部分が前記第1の引戸の移動方向に前記表面をスライドするシートとを備え、前記ローラ駆動装置は、電流が供給されることにより回転力を発生し、前記回転力により前記ローラを回転させるモータを有した出入口装置の制御方法であって、前記第1の引戸が戸開方向に移動するときに、前記表面を覆う前記シートの部分が前記縦柱に対して戸閉方向に移動するように前記モータに電流が供給される戸開時シート戸閉方向移動工程を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る出入口装置によれば、第1の引戸に設けられ、第1の引戸の移動方向に互いに離れた一対のローラと、一対のローラのうちの少なくとも一方を回転させるローラ駆動装置と、両方のローラに渡って設けられ、縦柱に対向する第1の引戸の表面を覆い、ローラが回転することにより、縦柱に対向する第1に引戸の表面を覆う部分が第1の引戸の移動方向に、縦柱に対向する第1の引戸の表面をスライドするシートとを備え、ローラ駆動装置は、第1の引戸が戸開方向に移動するときに、縦柱に対向する第1の引戸の表面を覆うシートの部分が縦柱に対して戸閉方向に移動するようにローラを回転させるので、第1の引戸が戸開方向に移動するときに、縦柱に対向する第1の引戸の表面を覆うシートの部分が縦柱に対して戸閉方向に移動する。これにより、第1に引戸が戸開方向に移動するときにシートと縦柱との間に進入しようとする異物は、シートに接触することにより戸閉方向への押圧力を受ける。その結果、第1の引戸が戸開方向に移動するときにシートと縦柱との間に異物が進入することを抑制することができる。
【0009】
この発明に係る出入口装置の制御方法によれば、第1の引戸が戸開方向に移動するときに、縦柱に対向する第1の引戸の表面を覆うシートの部分が縦柱に対して戸閉方向に移動するようにモータに電流が供給される戸開時シート戸閉方向移動工程を備えているので、第1の引戸が戸開方向に移動するときに、縦柱に対向する第1の引戸の表面を覆うシートの部分が縦柱に対して戸閉方向に移動する。これにより、第1に引戸が戸開方向に移動するときにシートと縦柱との間に進入しようとする異物は、シートに接触することにより戸閉方向への押圧力を受ける。その結果、第1の引戸が戸開方向に移動するときにシートと縦柱との間に異物が進入することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗場出入口装置を示す正面図である。
【図2】図1のエレベータ乗場出入口装置の要部を示す平面図である。
【図3】図2のローラ駆動装置を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係るエレベータ乗場出入口装置を示す平面図である。
【図5】図4のエレベータ乗場出入口装置を示す正面図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係るエレベータ乗場出入口装置の要部を示す平面図である。
【図7】この発明の実施の形態4に係るエレベータ乗場出入口装置の要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当の部材、部位については、同一符号を付して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ乗場出入口装置を示す正面図である。図において、エレベータ乗場には、乗場出入口(出入口)1が形成された乗場三方枠2が設けられている。また、エレベータ乗場には、乗場出入口1を開閉する引戸装置3が設けられている。乗場三方枠2は、乗場出入口1の縦方向に延びた一対の縦枠(縦柱)21と、縦枠21の上部に設けられた上枠22とを有している。縦枠21は、乗場出入口1の幅方向に離れて配置されている。上枠22は、一対の縦枠21に渡って設けられている。縦枠21は、乗場出入口1の側面を構成している。上枠22は、乗場出入口1の上面を構成している。
【0013】
引戸装置3は、乗場出入口1の幅方向に移動する第1の引戸31と、第1の引戸31の移動方向に対して反対方向に移動する第2の引戸32とを有している。第1の引戸31および第2の引戸32は、互いに共同して、乗場出入口1を開閉する。つまり、この例では、エレベータ乗場出入口装置は、いわゆるセンターオープン型のエレベータ乗場出入口装置となっている。第1の引戸31および第2の引戸32は、乗場出入口1が開く開位置と、乗場出入口1が閉じられる閉位置との間で変位する。この例では、第1の引戸31の戸開方向とは、第1の引戸31が閉位置から開位置に変位する方向である。また、第1の引戸31の戸閉方向とは、戸開方向とは反対方向であり、第1の引戸31が開位置から閉位置に変位する方向である。
【0014】
図2は図1のエレベータ乗場出入口装置の要部を示す平面図である。図において、第1の引戸31には、第1の引戸31の移動方向に互いに離れた一対のローラ4が設けられている。ローラ4は、第1の引戸31の幅方向両端部に配置されている。各ローラ4は、軸線方向が乗場出入口1の縦方向となるように配置されている。
【0015】
また、第1の引戸31には、両方のローラ4を駆動させるローラ駆動装置5が設けられている。図3は図2のローラ駆動装置5を示すブロック図である。図において、ローラ駆動装置5は、電源装置51と、電源装置51から電流が入力される制御装置52と、制御装置52から電流が供給されることにより回転力が発生するモータ53とを有している。
【0016】
制御装置52は、第1の引戸31の移動を制御する引戸移動制御装置(図示せず)と電気的に接続されている。制御装置52には、第1の引戸31を戸開方向に移動させることを示す戸開信号および第1の引戸31を戸閉方向に移動させることを示す戸閉信号が引戸移動制御装置から入力される。制御装置52は、戸開信号および戸閉信号に基づいて、モータ53へ電流を供給する。ローラ4(図2)は、モータ53に回転力が発生することにより回転する。ローラ4の回転速度は、制御装置52からモータ53に供給される電流値によって変化する。ローラ4の回転方向は、制御装置52モータ53に供給される電流の方向によって変化する。
【0017】
また、第1の引戸31には、図2に示すように、無端形状のシート6が設けられている。シート6は、両方のローラ4に渡って設けられている。また、シート6は、両方のローラ4に巻き掛けられている。また、シート6は、シート6の縦枠21側の部分が縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆い、シート6の反縦枠21側の部分が第1の引戸31の内部を通るように配置されている。また、シート6は、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を、第1の引戸31の移動方向にスライドするようになっている。シート6の外周面には、宣伝広告が表示されている。また、シート6は、第1の引戸31の縦方向の中間部に配置されている。なお、シート6は、第1の引戸31の縦方向の全領域に配置してもよい。
【0018】
図示していないが、第2の引戸32(図1)にも、第1の引戸31と同様にして、ローラ4、ローラ駆動装置5およびシート6が設けられている。
【0019】
エレベータ乗場出入口装置は、乗場三方枠2、引戸装置3、ローラ4、ローラ駆動装置5およびシート6から構成されている。
【0020】
次に、エレベータ乗場出入口装置の動作について説明する。この例では、第1の引戸31に設けられたシート6の移動について説明するが、第2の引戸32に設けられたシート6の移動についても場合も同様である。まず、第1の引戸31が戸開方向に移動すると、制御装置52は、モータ53に電流を供給する。これにより、モータ53には、回転力が発生し、この回転力によりローラ4が回転する。ローラ4が回転することにより、シート6が、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を、第1の引戸31の戸閉方向にスライドする。このとき、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆うシート6の部分は、縦枠21に対して第1の引戸31の戸閉方向に移動する(戸開時シート戸閉方向移動工程)。第1の引戸31の閉位置から開位置への変位が終了すると、制御装置52は、モータ53への電流の供給を停止する。これにより、第1の引戸31に対するシート6のスライドが停止する。
【0021】
第1の引戸31の位置が開位置である状態が所定の時間だけ続いた後、第1の引戸31が戸閉方向に移動する。このとき、制御装置52は、戸開時とは逆方向の回転力が発生するようにモータ53に電流を供給する。これにより、戸開時とは逆方向にローラ4が回転し、シート6が、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面に対して、第1の引戸31の戸開方向にスライドする。第1の引戸31の開位置から閉位置への変位が終了すると、制御装置52は、モータ53への電流の供給を停止する。これにより、第1の引戸31に対するシート6のスライドが停止する。
【0022】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗場出入口装置によれば、第1の引戸31に設けられ、第1の引戸31の移動方向に互いに離れた一対のローラ4と、両方のローラ4を回転させるローラ駆動装置5と、両方のローラ4に渡って設けられ、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆い、ローラ4が回転することにより、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆う部分が第1の引戸31の移動方向に、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面をスライドするシート6とを備え、ローラ駆動装置5は、第1の引戸31が戸開方向に移動するときに、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆うシート6の部分が縦枠21に対して戸閉方向に移動するようにローラ4を回転させるので、第1の引戸31が戸開方向に移動するときに、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆うシート6の部分が縦枠21に対して戸閉方向に移動する。これにより、第1に引戸31が戸開方向に移動するときにシート6と縦枠21との間に進入しようとする異物は、シート6に接触することにより戸閉方向への押圧力を受ける。その結果、第1の引戸31が戸開方向に移動するときにシート6と縦枠21との間に異物が進入することを抑制することができる。
【0023】
また、ローラ駆動装置5は、電流が供給されることにより回転力を発生し、この回転力によりローラ4を回転させるモータ53を有しているので、モータ53への電流値を変化させることにより、シート6の移動速度を容易に変化させることができる。
【0024】
また、ローラ4が第1の引戸31の戸閉方向端部に配置されているので、第1の引戸31と第2の引戸32との間に異物がある状態で第1の引戸31が戸閉方向に移動すると、異物がシート6に接触する。異物がシート6に接触することにより、異物は乗場出入口1の奥行方向への押圧力を受ける。これにより、異物を第1の引戸31と第2の引戸32との間から排除することができる。その結果、第1の引戸31と第2の引戸32との間に異物が挟まれてしまうことを抑制することができる。
【0025】
また、この発明の実施の形態1に係るエレベータ乗場出入口装置の制御方法によれば、第1の引戸31が戸開方向に移動するときに、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆うシート6の部分が縦枠21に対して戸閉方向に移動するようにモータ53に電流が供給される戸開時シート戸閉方向移動工程を備えているので、第1の引戸31が戸開方向に移動するときに、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆うシート6の部分が縦枠21に対して戸閉方向に移動する。これにより、第1に引戸31が戸開方向に移動するときにシート6と縦枠21との間に進入しようとする異物は、シート6に接触することにより戸閉方向への押圧力を受ける。その結果、第1の引戸31が戸開方向に移動するときにシート6と縦枠21との間に異物が進入することを抑制することができる。
【0026】
なお、上記実施の形態1では、第1の引戸31が戸開方向に移動するときに、制御装置52からモータ53に電流が供給されて、シート6が移動する構成について説明したが、第1の引戸31が戸開方向に移動する前に、制御装置52からモータ53に電流が供給されて、シート6が移動する構成であってもよい(戸開前シート戸閉方向移動工程)。これにより、第1の引戸31が戸開方向に移動する前に、シート6に接触している異物に対して戸閉方向への押圧力を加えて、乗客に対して注意を喚起することができる。
【0027】
また、上記実施の形態1では、電源装置51、制御装置52およびモータ53を有したローラ駆動装置5について説明したが、モータ53の回転速度を検出する角度検出装置をさらに有したローラ駆動装置5であってもよい。制御装置52は、角度検出装置の検出結果を用いて、モータ53に加えられている負荷の量を検出し、モータ53に加えられている負荷量が所定の値を超えた場合に、シート6に異物が接触していることを検出するようにしてもよい。さらには、シート6に異物が接触していることが検出された場合には、第1の引戸31および第2の引戸32の移動を停止するようにしてもよい。
【0028】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2に係るエレベータ乗場出入口装置を示す平面図、図5は図4のエレベータ乗場出入口装置を示す正面図である。図において、ローラ駆動装置5は、第2の引戸32に対して固定されたラックレール54と、ラックレール54に歯合するように第1の引戸31に設けられたピニオン55とを有している。ラックレール54は、第1の引戸31の移動方向に延びて配置されている。ピニオン55は、第1の引戸31および第2の引戸32が移動することにより回転するようになっている。
【0029】
第1の引戸31に設けられた一対のローラ4のうちの一方は、ピニオン55と同軸上に設けられている。ピニオン55に発生する回転力は、ピニオン55と同軸上に設けられたローラ4に伝達されるようになっている。ピニオン55と同軸上に設けられたローラ4は、ピニオン55の回転力により回転する。ローラ4の直径は、ピニオン55の直径と同一となっている。
【0030】
また、ローラ駆動装置5は、第1の引戸31に対して固定されたラックレール56と、ラックレール56に歯合するように第2の引戸32に設けられたピニオン57とを有している。なお、エレベータ乗場出入口装置を分かりやすく示すために、図4には、ラックレール56およびピニオン57を記載していない。ラックレール56は、第2の引戸32の移動方向に延びて配置されている。ピニオン57は、第1の引戸31および第2の引戸32が移動することにより回転するようになっている。
【0031】
第2の引戸32に設けられた一対のローラ4のうちの一方は、ピニオン57と同軸上に設けられている。ピニオン57に発生する回転力は、ピニオン57と同軸上に設けられたローラ4に伝達されるようになっている。ピニオン57と同軸上に設けられたローラ4は、ピニオン57の回転力により回転する。ローラ4の直径は、ピニオン57の直径と同一となっている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0032】
次に、エレベータ乗場出入口装置の動作について説明する。この例では、第1の引戸31に設けられたシート6の移動について説明するが、第2の引戸32に設けられたシート6の移動についても場合も同様である。まず、第1の引戸31および第2の引戸32がそれぞれの戸開方向に移動すると、ピニオン55は第1の引戸31とともに第1の引戸31の戸開方向に移動する。また、同時に、ラックレール54は、第2の引戸32とともに第2の引戸32の戸開方向、つまり、第1の引戸31の戸閉方向に移動する。これにより、ピニオン55には回転力が発生し、第1の引戸31に設けられたローラ4が回転する。このときのローラ4の回転速度は、ラックレール54が乗場出入口1に対して固定され、そのラックレール54上をピニオン55が転動する場合と比較して、2倍の回転速度となる。
【0033】
第1の引戸31に設けられたローラ4が回転することにより、第1の引戸31に設けられたシート6は、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を、第1の引戸31の戸閉方向にスライドする。このとき、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆うシート6の部分は、縦枠21に対して第1の引戸31の戸閉方向に移動する。第1の引戸31および第2の引戸32の閉位置から開位置への変位が終了すると、第1の引戸31および第2の引戸32の移動が停止し、第1の引戸31に対するシート6のスライドが停止する。
【0034】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るエレベータ乗場出入口装置によれば、第1の引戸31と反対方向に移動し、第1の引戸31とともに乗場出入口1を開閉する第2の引戸32を備え、ローラ駆動装置5は、第2の引戸32に対して固定され第1の引戸31の移動方向に延びたラックレール54と、ラックレール54に歯合するように第1の引戸31に設けられ、第1の引戸31および第2の引戸32が移動することにより回転するピニオン55とを有し、ピニオン55の回転力によりローラ4を回転させるので、簡単な構成で、第1の引戸31の移動にともなってローラ4を回転させることができる。
【0035】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3に係るエレベータ乗場出入口装置の要部を示す平面図である。図において、ローラ駆動装置5は、乗場出入口1に対して固定されたラックレール54と、ラックレール54に歯合するように第1の引戸31に設けられたピニオン55とを有している。ラックレール54は、第1の引戸31の移動方向に延びて配置されている。また、ラックレール54は、乗場三方枠2の上枠22(図1)に固定されている。ピニオン55は、第1の引戸31が移動することにより回転するようになっている。
【0036】
一対のローラ4のうちの一方は、ピニオン55と同軸上に設けられている。ピニオン55に発生する回転力は、ピニオン55と同軸上に設けられたローラ4に伝達されるようになっている。ピニオン55と同軸上に設けられたローラ4は、ピニオン55の回転力により回転する。ローラ4の直径は、ピニオン55の直径よりも大きくなっている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0037】
次に、エレベータ乗場出入口装置の動作について説明する。第1の引戸31が戸開方向に移動すると、ピニオン55は、第1の引戸31とともに戸開方向に移動する。これにより、ピニオン55には回転力が発生し、ピニオン55と同軸上に設けられたローラ4が回転する。
【0038】
ピニオン55と同軸上にローラ4が回転することにより、シート6は、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を、第1の引戸31の戸閉方向にスライドする。このとき、ローラ4の直径がピニオン55の直径よりも大きいので、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆うシート6の部分は、縦枠21に対して第1の引戸31の戸閉方向に移動する。第1の引戸31の閉位置から開位置への変位が終了すると、第1の引戸31の移動が停止し、第1の引戸31に対するシート6のスライドが停止する。
【0039】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係るエレベータ乗場出入口装置によれば、ローラ駆動装置5は、乗場出入口1に対して固定され第1の引戸31の移動方向に延びたラックレール54と、ラックレール54に歯合するように第1の引戸31に設けられ、第1の引戸31が移動することにより回転するピニオン55とを有し、ピニオン55の回転力によりローラ4を回転させるので、簡単な構成で、第1の引戸31の移動にともなってローラ4を回転させることができる。
【0040】
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4に係るエレベータ乗場出入口装置の要部を示す平面図である。図において、ローラ駆動装置5は、乗場出入口1に対して固定されたラックレール54と、ラックレール54に歯合するように第1の引戸31に設けられたラックレールピニオン58と、ラックレールピニオン58と歯合するように第1の引戸31に設けられた倍速用ピニオン59と、倍速用ピニオン59と歯合するように第1の引戸31に設けられたピニオン55とを有している。
【0041】
ラックレール54は、第1の引戸31の移動方向に延びて配置されている。また、ラックレール54は、乗場三方枠2の上枠22(図1)に固定されている。ラックレールピニオン58は、第1の引戸31が移動することにより回転するようになっている。倍速用ピニオン59は、ラックレールピニオン58の回転力により回転するようになっている。倍速用ピニオン59の直径は、ラックレールピニオン58の直径よりも小さくなっている。したがって、倍速用ピニオン59は、ラックレールピニオン58よりも速い回転速度で回転する。
【0042】
ピニオン55は、倍速用ピニオン59の回転力により回転するようになっている。ピニオン55の直径は、倍速用ピニオン59の直径と同一となっている。したがって、ピニオン55は、倍速用ピニオン59と同一の回転速度で回転する。
【0043】
一対のローラ4のうちの一方は、ピニオン55と同軸上に設けられている。ピニオン55に発生する回転力は、ピニオン55と同軸上に設けられたローラ4に伝達されるようになっている。ピニオン55と同軸上に設けられたローラ4は、ピニオン55の回転力により回転する。ローラ4の直径は、ピニオン55の直径よりも大きくなっている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0044】
次に、エレベータ乗場出入口装置の動作について説明する。第1の引戸31が戸開方向に移動すると、ラックレールピニオン58は、第1の引戸31とともに戸開方向に移動する。これにより、ラックレールピニオン58には回転力が発生し、ラックレールピニオン58に発生した回転力が倍速用ピニオン59およびピニオン55を介して、ピニオン55と同軸上に設けられたローラ4に伝達される。これにより、ローラ4が回転する。
【0045】
ローラ4が回転することにより、シート6は、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を、第1の引戸31の戸閉方向にスライドする。このとき、ローラ4の直径がピニオン55の直径よりも大きいので、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆うシート6の部分は、縦枠21に対して第1の引戸31の戸閉方向に移動する。第1の引戸31の閉位置から開位置への変位が終了すると、第1の引戸31の移動が停止し、第1の引戸31に対するシート6のスライドが停止する。
【0046】
以上説明したように、この発明の実施の形態4に係るエレベータ乗場出入口装置によれば、ローラ駆動装置5は、乗場出入口1に対して固定され第1の引戸31の移動方向に延びたラックレール54と、ラックレール54に歯合するように第1の引戸31に設けられたラックレールピニオン58と、ラックレールピニオン58と歯合するように第1の引戸31に設けられた倍速用ピニオン59と、倍速用ピニオン59と歯合するように第1の引戸31に設けられたピニオン55とを有し、ラックレールピニオン58の回転力が倍速用ピニオン59およびピニオン55を介してローラ4に伝達されて、ローラ4が回転するので、簡単な構成で、第1の引戸31の移動にともなってローラ4を回転させることができる。
【0047】
なお、各上記実施の形態では、出入口装置として、エレベータ乗場出入口装置を例に説明したが、エレベータかごに設けられるエレベータかご出入口装置であってもよく、また、エレベータに用いられる出入口装置に限らず、例えば、ホーム出入口装置など、その他の出入口装置であってもよい。
【0048】
また、各上記実施の形態では、無端形状のシート6を備えたエレベータ乗場出入口装置の構成について説明したが、無端形状に限らず、両端が巻取り装置により、巻取りまたは送り出しが行われるシート6であってもよい。この場合、一方の巻取り装置がシート6を巻き取る場合に、他方の巻取り装置がシート6を送り出す。これにより、縦枠21に対向する第1の引戸31の表面を覆うシート6の部分が縦枠21に対して第1の引戸31の戸閉方向に移動するようにシート6がスライドする。この場合、シート6の表面積を増大することができるので、宣伝広告をより多く表示することができる。
【0049】
また、各上記実施の形態では、互いに反対方向に移動する第1の引戸31および第2の引戸32を備えたいわゆるセンターオープン型のエレベータ乗場出入口装置について説明したが、上記実施の形態1、3および4では、いわゆる片側オープン型のエレベータ乗場出入口装置であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 乗場出入口(出入口)、2 乗場三方枠、3 引戸装置、4 ローラ、5 ローラ駆動装置、6 シート、21 縦枠(縦柱)、22 上枠、31 第1の引戸、32 第2の引戸、51 電源装置、52 制御装置、53 モータ、54 ラックレール、55 ピニオン、56 ラックレール、57 ピニオン、58 ラックレールピニオン、59 倍速用ピニオン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口を開閉する第1の引戸と、
前記出入口の側面を構成する縦柱とを備えた出入口装置であって、
前記第1の引戸に設けられ、前記第1の引戸の移動方向に互いに離れた一対のローラと、
一対の前記ローラのうちの少なくとも一方を回転させるローラ駆動装置と、
両方の前記ローラに渡って設けられ、前記縦柱に対向する前記第1の引戸の表面を覆い、前記ローラが回転することにより前記表面を覆う部分が前記第1の引戸の移動方向に前記表面をスライドするシートとをさらに備え、
前記ローラ駆動装置は、前記第1の引戸が戸開方向に移動するときに、前記表面を覆う前記シートの部分が前記縦柱に対して戸閉方向に移動するように前記ローラを回転させることを特徴とする出入口装置。
【請求項2】
前記ローラ駆動装置は、電流が供給されることにより回転力を発生し、前記回転力により前記ローラを回転させるモータを有していることを特徴とする請求項1に記載の出入口装置。
【請求項3】
前記ローラ駆動装置は、前記出入口に対して固定され前記第1の引戸の移動方向に延びたラックレールと、前記ラックレールに歯合するように前記第1の引戸に設けられ、前記第1の引戸が移動することにより回転するピニオンとを有し、前記ピニオンの回転力により前記ローラを回転させることを特徴とする請求項1に記載の出入口装置。
【請求項4】
前記第1の引戸と反対方向に移動し、前記第1の引戸とともに前記出入口を開閉する第2の引戸をさらに備え、
前記ローラ駆動装置は、前記第2の引戸に対して固定され前記第1の引戸の移動方向に延びたラックレールと、前記ラックレールに歯合するように前記第1の引戸に設けられ、前記第1の引戸および前記第2の引戸が移動することにより回転するピニオンとを有し、前記ピニオンの回転力により前記ローラを回転させることを特徴とする請求項1に記載の出入口装置。
【請求項5】
出入口を開閉する第1の引戸と、前記出入口の側面を構成する縦柱と、前記第1の引戸に設けられ、前記第1の引戸の移動方向に互いに離れて設けられた一対のローラと、一対の前記ローラのうちの少なくとも一方を回転させるローラ駆動装置と、両方の前記ローラに渡って設けられ、前記縦柱に対向する前記第1の引戸の表面を覆い、前記ローラが回転することにより前記表面を覆う部分が前記第1の引戸の移動方向に前記表面をスライドするシートとを備え、前記ローラ駆動装置は、電流が供給されることにより回転力を発生し、前記回転力により前記ローラを回転させるモータを有した出入口装置の制御方法であって、
前記第1の引戸が戸開方向に移動するときに、前記表面を覆う前記シートの部分が前記縦柱に対して戸閉方向に移動するように前記モータに電流が供給される戸開時シート戸閉方向移動工程を備えたことを特徴とする出入口装置の制御方法。
【請求項6】
前記第1の引戸が戸開方向に移動する前に、前記表面を覆う前記シートの部分が前記縦柱に対して戸閉方向に移動するように前記モータに電流が供給される戸開前シート戸閉方向移動工程をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の出入口装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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