説明

出入管理システム

【課題】通行者がゲートを通って管理区域に入る際に必要なデータの照合時間を短くして、通行者がよりスムーズにゲートを出入することができるようにする。
【解決手段】出入管理システムは、第1管理区域201に出入する通行者を監視する第1ゲート200と、第1管理区域201内に設けられた第2管理区域301に出入する通行者を監視するために第1管理区域201内に配置された第2ゲート300と、を備えている。第1ゲート200は、第1ゲート200を通って第1管理区域201に入る通行者を特定する第1出入管理情報を発信する手段を有し、第2ゲート300は、第1出入管理情報に基づいて、第2管理区域301に入ろうとする通行者を特定する第2ゲート通行者特定手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設や企業等の内部のセキュリティーを確保するために人の出入を管理する出入管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所等の原子力施設、あるいは、企業などの施設、建物においては、近年テロ組織や犯罪組織による破壊行為の危険性が増してきており、セキュリティー性向上や異常発生に対する監視がますます重要になってきている。
【0003】
セキュリティー性向上では生体認証の導入があり、検索や照合に要する時間が長くなっている。一方 偽造防止の観点からIDカードレスでの出入管理のニーズも広がりつつある。
【0004】
従来の方法では、管理区域に出入するたびに膨大な情報から個人を特定し照合しているため、照合に時間を要している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−197734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の出入監視システムにおいては、照合の都度マスター登録されたデータベースと照合しており照合に長時間を要していた。
【0007】
本発明は、通行者がゲートを通って管理区域に入る際に必要なデータの照合時間を短くして、通行者がよりスムーズにゲートを出入することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る出入管理システムは、第1の管理区域に出入する通行者を監視する第1のゲートと、前記第1の管理区域内に設けられた第2の管理区域に出入する通行者を監視するために前記第1の管理区域内に配置された第2のゲートと、を備えた出入管理システムであって、前記第1のゲートは、当該第1のゲートを通って前記第1の管理区域に入る通行者を特定する第1出入管理情報を発信する手段を有し、前記第2のゲートは、前記第1出入管理情報に基づいて、前記第2の管理区域に入ろうとする通行者を特定する第2ゲート通行者特定手段を有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通行者がゲートを通って管理区域に入る際に必要なデータの照合時間が短くなり、通行者がよりスムーズにゲートを出入することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る出入管理システムの第1の実施形態を示す模式的ブロック構成図である。
【図2】本発明に係る出入管理システムの第2の実施形態を示す模式的ブロック構成図である。
【図3】本発明に係る出入管理システムの第3の実施形態を示す模式的ブロック構成図である。
【図4】本発明に係る出入管理システムの第3の実施形態における作業申請情報の作業予定区域を示す表の例を示す図である。
【図5】本発明に係る出入管理システムの第3の実施形態における作業申請情報の作業予定時間を示す表の例を示す図である。
【図6】本発明に係る出入管理システムの第4の実施形態を示す模式的ブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る出入管理システムの実施形態について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る出入管理システムの第1の実施形態を示す模式的ブロック構成図である。
【0013】
第1管理区域201が設定され、第1管理区域201に人が出入するための第1ゲート200が設けられている。第1管理区域201内に第2管理区域301が設定され、第2管理区域301に人が出入するための第2ゲート300が設けられている。さらに、第2管理区域301内に第n管理区域401が設定され、第n管理区域401に人が出入するための第nゲート400が設けられている。
【0014】
第1管理区域201、第2管理区域301、第n管理区域401は、それぞれ、たとえば壁や塀などで囲まれ、それぞれのゲート以外からは出入できない構造になっている。第1ゲート200、第2ゲート300、第nゲート400は、それぞれ、人が通過する際のチェックポイントであり、同じ管理区域の境界に設けられた複数のゲートをグループ化したものでもよい。また、必ずしも門扉の形状をしていなくてもよい。
【0015】
集中管理装置11は、通行者50のマスター情報10を保存していて、第1ゲート200に対してこのマスター情報10を提供する。
【0016】
通行者50が第1ゲート200を通過して第1管理区域201に入ろうとするとき、第1ゲート200は、その通行者50を識別するデータとマスター情報10と照合し、その通行者50が第1ゲート200を通過することを許可するかどうかを判定する。その通行者50が第1ゲート200を通過して第1管理区域201に入る場合は、マスター情報10に基づいて第1出入管理情報20が生成される。
【0017】
通行者50がさらに第2ゲート300を通過して第2管理区域301に入ろうとするとき、第2ゲート300は、第1出入管理情報20と照合し、その通行者50が第2ゲート300を通過することを許可するかどうかを判定する。その通行者50が第2ゲート300を通過して第2管理区域301に入る場合は、第1出入管理情報20に基づいて第2出入管理情報30が生成される。
【0018】
同様に、通行者50がさらに第nゲート400を通過して第n管理区域401に入ろうとするとき、第nゲート400は、第n出入管理情報40と照合し、その通行者50が第nゲート400を通過することを許可するかどうかを判定する。その通行者50が第nゲート400を通過して第n管理区域401に入る場合は、第2出入管理情報30に基づいて第n出入管理情報40が生成される。
【0019】
通行者50が第2ゲート300を第2管理区域301から出て第1管理区域201へ通行すると、第n出入管理情報40に生成された通行者50の情報は、消去される。
【0020】
同様に、通行者50が第1ゲート200を通過して第1管理区域201から出て行くと、第2出入管理情報30に生成された通行者50の情報は、消去される。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、照合するための出入管理情報が次区域へ引き継がれ、照合するための情報が減少していく。このため、各ゲートでの出入管理情報の照合に当たり、出入管理情報として集中管理装置からマスター情報を得ていた従来のシステムに比べて、照合するための出入管理情報の量が少なくなり、照合時間を短くすることが可能となる。
【0022】
[第2の実施形態]
図2は、本発明に係る出入管理システムの第2の実施形態を示す模式的ブロック構成図である。この実施形態では、第1ゲート200、第2ゲート300、第nゲート400が、それぞれ、第1出入管理実績情報21、第2出入管理実績情報31、第n出入管理実績情報41を記憶する記憶部を備えている。第1出入管理実績情報21、第2出入管理実績情報31、第n出入管理実績情報41は、それぞれのゲートを過去に通過した通行者の情報を含んでいる。これらの情報は、それぞれ、第1出入管理情報20、第2出入管理情報30および第n出入管理情報40に付加される。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0023】
この実施形態によれば、過去の通行実績情報に基づいて予め出入ルートを予測することができる。これにより、この通行者50がつぎに通過しようとするゲートを予測することができ、ゲートでの照合時間をさらに短くすることが可能となる。
【0024】
[第3の実施形態]
図3は、本発明に係る出入管理システムの第3の実施形態を示す模式的ブロック構成図である。図4は第3の実施形態における作業申請情報の作業予定区域を示す表の例を示す図である。図5は第3の実施形態における作業申請情報の作業予定時間を示す表の例を示す図である。
【0025】
この実施形態は第2の実施形態の変形であって、第1管理区域地図情報22、第2管理区域地図情報32、第n管理区域地図情報42を記憶する記憶部を備えている。第1管理区域地図情報22、第2管理区域地図情報32、第n管理区域地図情報42はそれぞれ、第1管理区域201、第2管理区域301、第n管理区域401の内部の地図情報である。第1管理区域地図情報22は第1出入管理情報20に付加される。第2管理区域地図情報32は第2出入管理情報30および第n出入管理情報40に付加される。第n管理区域地図情報42は第n出入管理情報40に付加される。
【0026】
さらに実施形態では、作業申請情報100が、入力されて、第1出入管理情報20、第2出入管理情報30および第n出入管理情報40に付加される。作業申請情報100は、図4および図5に示すように、通行者の作業予定区域および作業予定時間に関する情報を含む。
【0027】
その他の構成・作用は第2の実施形態と同様である。
【0028】
本実施形態によれば、作業申請情報により通行者50がどの区域で作業する予定であるかを予め把握することができ、その情報から通過者50の次行動を予測することにより、照合時間を短くすることが可能となる。
【0029】
[第4の実施形態]
図6は、本発明に係る出入管理システムの第4の実施形態を示す模式的ブロック構成図である。
【0030】
この第4の実施形態は第3の実施形態の変形である。この第4の実施形態では、通行者50が個人識別子51を携帯する。この出入管理システムは、通行者50が携帯する個人識別子51を読み取る個人識別読み取り装置70と、個人識別読み取り装置70からの情報に基づいて通行者50の現在地を特定する現在地監視制御装置60を備えている。
【0031】
たとえば、個人識別子51は通行者50の帽子や衣服に取り付けられたバーコードであり、個人識別読み取り装置70はこのバーコードを読み取ることのできるバーコード読み取り装置や監視カメラである。他の例としては、個人識別子51はICタグであり、個人識別読み取り装置70はICタグからの信号を受信できる受信装置である。
【0032】
その他の構成は第3の実施形態と同様である。
【0033】
本実施形態によれば、通行者の個人識別と地図情報により、通行者の現在地を随時把握することができ、その情報から通行者の次行動を予測することにより、ゲートでの照合時間を短くすることが可能となる。
【0034】
[他の実施形態]
以上説明した実施形態では集中管理装置11を第1管理区域201の外側に配置するものとしたが、これを第1管理区域201などの内側に配置してもよい。
【0035】
以上説明した実施形態では、第1管理区域201の内側に第2管理区域301が設定され、さらにその内側に第n管理区域401が設定されているものとしたが、複数の管理区域が、「囲む・囲まれる」の関係で設定されていれば、管理区域の数は2または4以上でもよい。
【0036】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
10…マスター情報
11…集中管理装置
20…第1出入管理情報
21…第1出入管理実績情報
22…第1管理区域地図情報
30…第2出入管理情報
31…第2出入管理実績情報
32…第2管理区域地図情報
40…第n出入管理情報
41…第n出入管理実績情報
42…第n管理区域地図情報
50…通行者
51…個人識別子
60…現在地監視制御装置
70…個人識別読み取り装置
100…作業申請情報
200…第1ゲート
201…第1管理区域
300…第2ゲート
301…第2管理区域
400…第nゲート
401…第n管理区域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管理区域に出入する通行者を監視する第1のゲートと、
前記第1の管理区域内に設けられた第2の管理区域に出入する通行者を監視するために前記第1の管理区域内に配置された第2のゲートと、
を備えた出入管理システムであって、
前記第1のゲートは、当該第1のゲートを通って前記第1の管理区域に入る通行者を特定する第1出入管理情報を発信する手段を有し、
前記第2のゲートは、前記第1出入管理情報に基づいて、前記第2の管理区域に入ろうとする通行者を特定する第2ゲート通行者特定手段を有すること、
を特徴とする出入管理システム。
【請求項2】
前記第1の管理区域または第2の管理区域に出入することが許容された者を特定するマスター情報を記憶して管理する集中管理装置をさらに有し、
前記第1のゲートは、前記集中管理装置から送られた前記マスター情報に基づいて、当該第1のゲートを通って前記第1の管理区域に入る通行者の通行を許可し、
前記第2ゲート通行者特定手段は、前記集中管理装置から送られた前記マスター情報のうちの前記第1出入管理情報に基づいて、前記第2のゲートを入ろうとする通行者を特定すること、
を特徴とする請求項1に記載の出入管理システム。
【請求項3】
前記第2のゲートは、当該第2のゲートを過去に通過した通行者の実績データを記憶する実績記憶部を備え、
前記第2ゲート通行者特定手段は、前記実績データに基づいて、第2のゲート通行者の予測を行ない、その予測結果に基づいて第2のゲート通行者を特定すること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の出入管理システム。
【請求項4】
前記第1のゲートは、当該第1のゲートを通って前記第1の管理区域に入る通行者が前記第1の管理区域内で入る予定の予定区域を特定する予定区域情報を入力する予定区域入力部をさらに有し、
前記第2ゲート通行者特定手段は、前記予定区域情報に基づいて、前記第2の管理区域に入ろうとする通行者の予測を行ない、その予測結果に基づいて第2のゲート通行者を特定すること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の出入管理システム。
【請求項5】
前記第1の管理区域内に、前記通行者によって携帯されて当該通行者個人を識別する個人識別子を読み取る個人識別読み取り装置が配置されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の出入管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−29988(P2013−29988A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165573(P2011−165573)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】