説明

出力画像データを作成し出力するためのコンピュータプログラム及び情報処理装置

【課題】データ記憶に関する負担を軽減しつつ、同一の出力画像データを容易に繰り返して作成し出力することができるコンピュータプログラム及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】入力画像データから作成され、且つプリンタに出力されて記録媒体に記録される画像を示す出力画像データを作成し、プリンタに出力するに際し、入力画像データが取得される(S100)。また、以前、この取得された入力画像データから出力画像データを作成するための演算処理に用いられた計算条件データが選択され、選択された計算条件データが取得され、それぞれ取得された入力画像データと計算条件データとを用いて演算処理を実行し、以前と同一の出力画像データが作成される(S116,S118)。作成された出力画像データは、プリンタに出力され、消去される(S122)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタによって記録される画像を示す出力画像データを作成し出力するためのコンピュータプログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の記録媒体に対し、プリンタを用いた画像の記録が広く行われている。プリンタによる画像の記録によれば、記録に関する所定の条件に基づき好適な品質の画像を繰り返して記録(印刷)することができる。プリンタによる画像の記録について各種の提案がなされている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1には、過去にプリントしたプリント物を再度出力するリピートプリントに利用するために保存しておくデータを容易な操作で指定可能とし、リピートプリントの操作性を向上させるための画像形成システム等が提案されている。画像形成システムには、プリントデータをグループ化する手段が備えられている。画像形成システムでは、プリントデータの選択の指示を受け付けたとき、選択されたプリントデータと同じグループにおける選択されていないプリントデータは、記憶手段から消去される。
【0003】
特許文献2には、印刷設定データの再利用化と、設定可能な印刷態様の多様化を両立させるための印刷サーバ等が提案されている。印刷サーバでは、クライアントがある印刷データの印刷を行う場合に、その印刷データに対応づけて保存されている複数の印刷設定データの情報が取得され、印刷設定データリストとしてクライアントに提示される。印刷サーバは、クライアントが選択した印刷設定データを用いて、プリンタに対し印刷データの印刷を指示する。特許文献2によれば、新たな印刷データと新たな印刷設定データとが入力されて印刷要求が行われた場合には、印刷データの保存、印刷設定データの保存、及び管理テーブルへの登録が行われた後に、印刷指示が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−58996号公報
【特許文献2】特開2008−40638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
所定の記録媒体の表面に画像を記録して模様付けされた製品を生産する加工生産の現場では、所定の期間を隔てて、以前記録された画像と同じ画像が記録された製品をリピート加工生産しなければならないことがある。従って、加工生産の現場では、以前の生産と同一のものを繰り返し生産できることが生産システムに要求される。この要求を満たすためには、まず、例えば、プリンタ、記録媒体、画像形成剤等のハードウェア側の出力環境条件が以前と同一であることが求められる。なお、プリンタがインクジェット記録装置である場合の画像形成剤はインクである。また、プリンタでの画像の記録に用いられる出力画像データが以前と同一であることが、ソフトウェア側に求められる。ところで、加工生産では、多種多様な記録媒体及び/又は画像が取り扱われる。個々に好適な画質を得るために、様々な記録に関する条件を設定して、記録される画像を示す画像データをラスタライズし出力画像データが作成される。従って、加工数量に比例して数多くの出力画像データの作成方法が存在する。つまり、リピート加工生産では、以前の生産から所定の期間が経過した後も、以前と同一の出力画像データが、毎回正確に作成されることが重要である。
【0006】
ここで、毎回、同一の出力画像データを作成するために、加工生産において記録された出力画像データを記憶し、管理するといった方法が考えられる。しかし、このような方法によれば、プリンタでの記録に用いられた出力画像データを全て記憶しておかなければならない。出力画像データは、そのデータ容量が大きい。従って、多種多様な画像を取り扱う場合において、その全てを記憶しておくには、記憶容量が極めて大きな記憶装置が必要となる。また、別の方法として、オペレーターが、出力画像データを作成するためのコンピュータプログラム(ソフトウェアプログラム/アプリケーションプログラム)の操作画面上で、以前と同じ条件を入力し、以前と同一の出力画像データを作成する方法が考えられる。しかし、プリンタでの記録に関する条件は、多岐にわたる。そのため、この条件を毎回間違わずに同一の条件を入力することは困難である。また、色校正の出力作業中は、わずかな条件変更を繰り返して校正出力することが多く、作業中の全ての条件を管理することは容易ではない。さらに、操作画面が変更した場合は、以前と同じ条件を入力し設定することがより難しくなると考えられる。
【0007】
本発明は、データ記憶に関する負担を軽減しつつ、同一の出力画像データを容易に繰り返して作成し出力することができるコンピュータプログラム及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題に鑑みなされた本発明の一側面は、入力画像データから作成され、且つプリンタに出力されて記録媒体に記録される画像を示す出力画像データを作成し、前記プリンタに出力するためのコンピュータが読み取り可能なコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、前記入力画像データを取得する入力画像データ取得手段と、第一時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記第一時点における前記入力画像データから前記出力画像データを作成するための演算処理に用いられた、前記プリンタでの記録に関する条件を含む計算条件データを、前記第一時点から所定期間経過した第二時点において、前記計算条件データが管理された管理手段から選択する選択手段と、前記第二時点において前記選択手段で選択された前記計算条件データを取得する計算条件データ取得手段と、前記第一時点における前記入力画像データと同一で且つ前記第二時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記第二時点における前記入力画像データと、前記第二時点において前記計算条件データ取得手段で取得された前記計算条件データと、を用いて演算処理を実行し、前記第一時点における前記出力画像データと同一の前記出力画像データを作成する出力画像データ作成手段と、前記出力画像データ作成手段で作成された前記出力画像データを、前記プリンタに出力する出力手段と、前記出力手段で前記プリンタに出力された前記出力画像データを消去する消去手段と、して機能させるためのコンピュータプログラムである。これによれば、第一時点と同一の出力画像データを、第一時点後の第二時点において、容易に作成することが可能となり、画像の記録に際し作成された出力画像データを消去することができる。つまり、画像の記録に際し作成された出力画像データを記憶し保存しておかなくても、記録の度に第一時点と同一の出力画像データを容易に作成することができる。上述したリピート加工生産を例として説明すれば、第一時点に対応する例えば初回生産時の出力画像データと同一の出力画像データを、第二時点に対応する初回生産時から所定期間経過したリピート加工生産時に、容易に作成することができる。
【0009】
このコンピュータプログラムは、他の構成をさらに含むコンピュータプログラムとすることもできる。すなわち、このコンピュータプログラムは、前記コンピュータを、さらに、前記第一時点における前記入力画像データと、前記第二時点における前記入力画像データと、の同一性について判定する判定手段として機能させ、前記出力画像データ作成手段は、さらに、前記判定手段で同一性があると判定された場合、前記出力画像データを作成し、前記判定手段で同一性がないと判定された場合、前記出力画像データを作成しない機能を含む、ようにしてもよい。これによれば、第一時点と異なる入力画像データに基づき、第一時点と異なる出力画像データが作成され、これがプリンタに出力されることを防止することができる。
【0010】
また、このコンピュータプログラムは、前記コンピュータを、さらに、前記第一時点における前記出力画像データと、前記第二時点における前記出力画像データとの同一性について判定する判定手段として機能させ、前記出力画像データ作成手段は、さらに、前記第一時点における前記入力画像データと異なり且つ前記第二時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記入力画像データと、前記第二時点において前記計算条件データ取得手段で取得された前記計算条件データと、を用いて演算処理を実行し、前記第一時点における前記出力画像データとは異なる前記出力画像データを作成する機能を含み、前記出力手段は、さらに、前記判定手段で同一性があると判定された場合、前記第二時点における前記出力画像データを前記プリンタに出力し、前記判定手段で同一性がないと判定された場合、前記第二時点における前記出力画像データを前記プリンタに出力しない機能を含む、ようにしてもよい。これによれば、第一時点と異なる出力画像データがプリンタに出力されることを防止することができる。
【0011】
また、このコンピュータプログラムは、前記コンピュータを、さらに、前記計算条件データを新規に作成する計算条件データ作成手段として機能させ、前記出力画像データ作成手段は、さらに、前記第一時点における前記入力画像データとは異なり且つ前記第二時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記入力画像データと、前記第二時点において前記計算条件データ作成手段で新規に作成された前記計算条件データと、を用いて演算処理を実行し、前記第一時点における前記出力画像データとは異なる第一種の前記出力画像データを作成し、前記第一時点における前記入力画像データとは異なり且つ前記第二時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記入力画像データと、前記第二時点において前記計算条件データ取得手段で取得された前記計算条件データと、を用いて演算処理を実行し、前記第一時点における前記出力画像データとは異なる第二種の前記出力画像データを作成する機能を含む、ようにしてもよい。これによれば、種々の方法で、好適な出力画像データを作成することができる。ところで、第一時点の入力・出力画像データと、第一時点後の第二時点の入力・出力画像データとは、異なるものの、その相違は、例えば、サイズ及び/又は柄位置が異なる程度であり、両者は同等又は類似の画像をそれぞれ示すものであるような場合もある。このような場合、このコンピュータプログラムによれば、第一時点に出力画像データを作成した際の計算条件データを用いて、第一時点の出力画像データと例えば同様の色表現が実現された同様の画質の出力画像データ(第二種の出力画像データ)を、第二時点において容易に作成することができる。また、このコンピュータプログラムによれば、新規に作成された計算条件データを用いて、第一時点の出力画像データと例えば異なる色表現が実現された異なる画質の出力画像データ(第一種の出力画像データ)を、第二時点において好適に作成することができる。
【0012】
本発明の他の側面は、入力画像データから作成され、且つプリンタに出力されて記録媒体に記録される画像を示す出力画像データを作成し、前記プリンタに出力する情報処理装置であって、前記入力画像データを取得する入力画像データ取得手段と、第一時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記第一時点における前記入力画像データから前記出力画像データを作成するための演算処理に用いられた、前記プリンタでの記録に関する条件を含む計算条件データを、前記第一時点から所定期間経過した第二時点において、前記計算条件データが管理された管理手段から選択する選択手段と、前記第二時点において前記選択手段で選択された前記計算条件データを取得する計算条件データ取得手段と、前記第一時点における前記入力画像データと同一で且つ前記第二時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記第二時点における前記入力画像データと、前記第二時点において前記計算条件データ取得手段で取得された前記計算条件データと、を用いて演算処理を実行し、前記第一時点における前記出力画像データと同一の前記出力画像データを作成する出力画像データ作成手段と、前記出力画像データ作成手段で作成された前記出力画像データを、前記プリンタに出力する出力手段と、前記出力手段で前記プリンタに出力された前記出力画像データを消去する消去手段と、を備える情報処理装置である。これによれば、本発明の一側面に係るコンピュータプログラムによって得られる上記機能を発揮可能な情報処理装置とすることができる。なお、この情報処理装置は、上述した他の構成を含むコンピュータプログラムによって実現される各手段を含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、データ記憶に関する負担を軽減しつつ、同一の出力画像データを容易に繰り返して作成し出力することができるコンピュータプログラム及び情報処理装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像記録システムを含むシステム及び情報処理装置の概略を示す図である。
【図2】操作画面の一例を示す図である。
【図3】作成履歴データベースの一例を示す図である。
【図4】計算条件データのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】実施例1のリピート加工生産に係る処理のフローチャートである。
【図6】カラーパレットデータの一例を示す図である。
【図7】実施例2のリピート加工生産に係る処理のフローチャートである。
【図8】コーディネート加工生産に係る処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0016】
<画像記録システム>
画像記録システム1は、図1に示すように、少なくとも、情報処理装置10とインクジェットプリンタ50とを含む。情報処理装置10とインクジェットプリンタ50とは、LAN(Local Area Network)等によるネットワーク80に接続されている。つまり、両装置は、ネットワーク80を介してデータ通信可能に接続されている。なお、情報処理装置10とインクジェットプリンタ50との接続形態は、ネットワーク80によるものの他、例えば、USB(Universal Serial Bus)接続等によるローカル接続とすることもできる。なお、ネットワーク80には、情報処理装置10及びインクジェットプリンタ50の他、例えば記憶装置70が接続されている。記憶装置70は、各種のデータ等を記憶する。情報処理装置10は、ネットワーク80を介して記憶装置70にアクセスできる。
【0017】
情報処理装置10は、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等によって構成される。情報処理装置10については後述する。インクジェットプリンタ50は、後述する各処理によって情報処理装置10で作成された出力画像データを、ネットワーク80を介して受信し、出力画像データによって示される画像を記録する。インクジェットプリンタ50は、例えば搬送部と記録部とインクタンクと接続インターフェース(以下、「接続I/F」という。)を備える。なお、図1では、インクジェットプリンタ50が備えるこれら各部は、図示を省略している。インクジェットプリンタ50は、ライン型のインクジェットプリンタ又はシリアル型のインクジェットプリンタの何れであってもよい。搬送部は、画像が記録される記録媒体を搬送する。記録媒体としては、産業資材が例示される。産業資材には、例えば、紙、布帛、フィルム、金属、木材、又は窯業板(建築板)等が含まれる。記録媒体の形態としては、幅寸法及び長さ寸法がそれぞれ所定の寸法とされたものの他、所定の幅寸法でロール状に巻き取られたものもある。記録部は、記録ヘッドを含む。例えばフルカラーの画像を記録する場合、記録部は、イエローインクを吐出するイエロー用記録ヘッドと、マゼンタインクを吐出するマゼンタ用記録ヘッドと、シアンインクを吐出するシアン用記録ヘッドと、ブラックインクを吐出するブラック用記録ヘッドとを含む。これらとは異なるインク色用の記録ヘッドを含むようにしてもよい。
【0018】
インクタンクは、画像の記録に用いられる色のインクを貯留する。画像の記録に上述のような各色のインクが用いられる場合、イエローインクを貯留するイエロー用インクタンクからイエロー用記録ヘッドに、所定の送液機構を介してイエローインクが供給される。供給されたイエローインクは、イエロー用記録ヘッドに形成されたノズルから、搬送部によって搬送されてきた記録媒体に向けて吐出される。マゼンタ、シアン及びブラックの各色のインクについても同様である。つまり、各色用のインクタンクから各色用の記録ヘッドに、それぞれの送液機構を介して各色のインクが供給され、各色用の記録ヘッドのノズルから、搬送されてきた記録媒体に向けて各色インクが吐出される。これによって、フルカラーの画像が記録媒体に記録される。なお、画像の記録に、紫外線硬化型インク又は電子線硬化型インク等の活性エネルギー硬化型インクが用いられる場合、インクジェットプリンタ50は、紫外線又は電子線等の活性エネルギーを照射可能な活性エネルギー照射部を備える。活性エネルギー照射部は、記録部に対し記録媒体の搬送方向下流側の所定の位置に設けられ、記録部を通過して搬送されてきた記録媒体に活性エネルギーを照射する。これによって、記録媒体の記録面に着弾した活性エネルギー硬化型インクによるインクドットが硬化する。接続I/Fは、インクジェットプリンタ50がネットワーク80を介して情報処理装置10とデータ通信するためのインターフェースである。接続I/Fは、インクジェットプリンタ50をネットワーク80に接続し、情報処理装置10とネットワーク80を介したデータ通信を実行する。
【0019】
<情報処理装置>
情報処理装置10は、図1に示すように、CPU12と、ROM14と、RAM16と、記憶部18と、操作部20と、表示部22と、接続I/F24とを備える。CPU12は、各種の演算処理を実行し、情報処理装置10を制御する。ROM14は、所定のプログラムを記憶する。RAM16は、CPU12が演算処理を実行する際の作業領域として機能する。記憶部18は、ハードディスク等のストレージデバイスによって構成される。記憶部18には、各種のプログラム、各種データ等が記憶される。記憶部18には、例えば後述する各処理を実行するためのコンピュータプログラムが記憶される。記憶部18は、ハードウェア的に複数のデバイスによって構成されていてもよい。例えば、各種のプログラムを記憶するハードディスクと、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性メモリーカード及び/又はROM等の何れかとによって構成されていてもよい。操作部20は、情報処理装置10に所定の指令を入力するためのものであって、キーボード、マウス等によって構成される。表示部22は、各種情報を表示する。接続I/F24は、情報処理装置10をネットワーク80に接続する。接続I/F24は、ネットワーク80に接続されたインクジェットプリンタ50及び記憶装置70等と、ネットワーク80を介したデータ通信を実行する。
【0020】
<情報処理装置で実行される処理>
情報処理装置10で実行される処理について、3つの処理形態を説明する。以下に説明する、実施例1のリピート加工生産に係る処理と、実施例2のリピート加工生産に係る処理と、コーディネート加工生産に係る処理とは、CPU12が各処理のためのコンピュータプログラムを記憶部18から読み出し、RAM16を用いて実行することによって行われる。また、これら各処理は、ユーザが操作部20を介してこれら各処理の実行を指示したときに開始される。なお、情報処理装置10で実行される各処理を説明する前に、まず、これら各処理で用いられる操作画面30及び作成履歴データベース40を説明する。
【0021】
<操作画面>
操作画面30は、図2に示すように、入力画像名設定302と、条件データナンバー設定304とを含む。また、操作画面30は、出力条件としての、出力メディア設定306と、プロファイル設定308と、記録速度設定310と、インク吐出量設定312と、搭載インク設定314と、色調補正量設定316とを含む。操作画面30は、OKボタン318及びキャンセルボタン320を含む。
【0022】
入力画像名設定302は、インクジェットプリンタ50で記録媒体に記録される入力画像を設定するためのものである。ユーザは、操作部20を操作し、この入力画像を示す入力画像データを入力画像名設定ボックス内に入力する。入力画像の設定は、特定の入力画像を示す特定の入力画像データを入力画像名設定ボックス内に直接入力して行われる。この他、入力画像の設定は、リストを参照し、特定の入力画像データを選択して行うこともできる。条件データナンバー設定304は、以前の画像の記録をともなう加工生産で用いられた計算条件データを含む作成履歴情報を識別するための条件データナンバー(図3参照。詳細は後述する。)を設定するためのものである。例えば、以前に記録した画像と同じ画像を以前と同一の条件で記録するリピート加工生産の場合、ユーザは、操作部20を操作し、入力画像名設定302に入力された画像が以前に記録された際の計算条件データを含む作成履歴情報を識別するための条件データナンバーを、条件データナンバー設定ボックス内に入力する。条件データナンバーの入力は、条件データナンバーを条件データナンバーボックス内に直接入力して行われる。なお、条件データナンバー一覧を参照し、この中から特定の条件データナンバーを選択して行うことができるようにしてもよい。この場合、条件データナンバーの一覧は、例えば、プルダウン形式によって表示されるようにしてもよい。この他、図3に図示された態様で、条件データナンバー等を含む一覧を表示部22に表示し、ユーザが操作部20を操作し、この表示された一覧から特定の条件データナンバーを選択するようにしてもよい。
【0023】
出力メディア設定306は、出力条件の設定値として、記録媒体の種類を設定するためのものである。ユーザは、操作部20を操作し、出力メディア設定ボックスのプルダウンリストに含まれる記録媒体から特定の記録媒体を選択する。記録媒体が窯業板である場合、ユーザは、プルダウンリストに含まれる紙、布帛、フィルム、金属、木材及び窯業板の中から窯業板を選択する。これによって、出力メディア設定ボックス内に窯業板が入力される。プロファイル設定308は、出力条件の設定値として、ICCプロファイル等の画像色調補正用のプロファイル種類を設定するためのものである。ユーザは、操作部20を操作し、プロファイル設定ボックスのプルダウンリストに含まれるプロファイルから特定のプロファイルを選択する。これによって、プロファイル設定ボックス内に特定のプロファイルが入力される。
【0024】
記録速度設定310は、出力条件の設定値として、インクジェットプリンタ50において画像を記録する際の記録速度を設定するためのものである。記録速度設定310は、設定値として「高速」、「中速」及び「低速」を含む。例えば記録速度を「高速」に設定する場合、ユーザは、操作部20を操作し、「高速」のラジオボタンを押下する。これによって、図2に示すように「高速」のラジオボタンの内部に黒丸が表示され、記録速度設定310として「高速」が設定される。インク吐出量設定312は、出力条件の設定値として、インクジェットプリンタ50において画像を記録する際に記録ヘッドのノズルから吐出されるインク液適量を設定するためのものである。インク吐出量設定312は、設定値として「多い」、「標準」及び「少ない」を含む。例えばインク吐出量を「標準」に設定する場合、ユーザは、操作部20を操作し、「標準」のラジオボタンを押下する。これによって、図2に示すように「標準」のラジオボタンの内部に黒丸がされ、インク吐出量設定312として「標準」が設定される。
【0025】
搭載インク設定314は、出力条件の設定値として、インクジェットプリンタ50に搭載されるインク本数、インク種類及び/又はインク濃度を設定するためのものである。ユーザは、操作部20を操作し、搭載インク設定ボックスのプルダウンリストに含まれる搭載インクに関する情報から特定の搭載インクに関する情報を選択する。これによって、搭載インク設定ボックス内に特定の搭載インクに関する情報が入力される。色調補正量設定316は、出力条件の設定値として、出力画像の色調を変更する補正量を設定するためのものである。色調としては、図2に示すように、色相、彩度、明度等が例示される。画像の色調を変更する場合、ユーザは、操作部20を操作し、変更する色調について、色相ボックス、彩度ボックス及び/又は明度ボックスに補正量を入力する。
【0026】
上記した出力条件としての各設定値を組み合わせて得られた出力条件データによって、様々な出力画像データの作成が可能となる。入力画像データが同一の場合においても出力条件の設定値により、作成される出力画像データの画質、色調、記録品位、生産性等がそれぞれ細かく異なることになる。なお、上記した各設定306〜316は例示であって、その一部を省略し、また他の設定を追加し、さらに他の設定に置換してもよい。また、各設定306〜316を構成する各要素についても同じである。つまり、インクジェットプリンタ50の機能及び/又はコンピュータプログラムの仕様に応じて、所定の設定が出力条件として採用される。OKボタン318は、入力された上記各設定を確定する場合に押下されるボタンである。キャンセルボタン320は、上記各設定の入力をキャンセルする場合に押下されるボタンである。なお、ユーザが操作部20を介してキャンセルボタン320を押下した場合、開始された処理は終了する。
【0027】
<作成履歴データベース>
作成履歴データベース40は、記憶部18又は記憶装置70に記憶されている。作成履歴データベース40は、図3に示すように、テーブルの形式を有する。作成履歴データベース40には登録項目として、条件データナンバーと、作成日と、入力画像データ名と、計算条件データ名と、出力画像データ名とが含まれる。作成履歴データベース40には、これら各登録項目に係る情報が関連付けられた状態で、作成履歴情報として登録されている。また、作成履歴情報は、後述する情報処理装置10で実行される各処理が実行される毎に、作成履歴データベース40に新たな作製履歴レコードとして順次登録(追加登録)される(図5のS120,図7のS222,図8のS324参照)。登録項目としての条件データナンバーには、各登録項目に係る情報が関連付けられた状態で登録された作成履歴情報を識別するための識別情報としてのナンバーが登録される。同じく作成日には、作成履歴情報を登録する日付に関し「年月日」が登録される。同じく、入力画像データ名、計算条件データ名及び出力画像データ名には、入力画像データ、計算条件データ及び出力画像データそれぞれのデータ名が登録される。このような作成履歴データベース40を用いる画像記録システム1によれば、リピート加工生産時に、以前の加工生産時の出力画像データと同一の出力画像データを容易に且つ低コストで作成することができる。また、コーディネート加工生産時に、以前の加工生産時の出力画像データと同様の画質が確保された出力画像を示す出力画像データを容易に且つ低コストで作成することができる。
【0028】
<計算条件データ>
計算条件データは、図4に示すように、出力条件データ部と、カラーパレットデータ部と、画像チェック用データ部とを含む。出力条件データ部は、出力条件としての各設定値を含む出力条件データを格納する。ここで、出力条件は、上述した通りである。カラーパレットデータ部は、カラーパレットデータを格納する。画像チェック用データ部は、入力画像チェック用データ(実施例1のリピート加工生産に係る処理の場合)又は出力画像チェック用データ(実施例2のリピート加工生産に係る処理の場合)を格納する。なお、カラーパレットデータ、入力画像チェック用データ及び出力画像チェック用データについては後述する。
【0029】
<リピート加工生産>
以下、実施例1のリピート加工生産に係る処理と、実施例2のリピート加工生産に係る処理とを説明する。リピート加工生産は、以前に加工生産した出力画像データと同一の出力画像データを作成し、この同一の出力画像データによって示される画像の記録をともなう加工生産である。リピート加工生産によれば、以前と同一の画像が記録された製品が加工生産される。なお、実施例2のリピート加工生産に係る処理において、実施例1のリピート加工生産に係る処理と同一の処理については、対応するステップ番号を記載することとし、詳細な説明は省略する。
【0030】
(実施例1)
図5に示す実施例1のリピート加工生産に係る処理を開始したCPU12は、図2に示す操作画面30を表示部22に表示する。操作画面30の表示に対応し、ユーザは、操作部20を操作し、操作画面30に各設定値を入力する。CPU12は、操作画面30の入力画像名設定302で設定された入力画像を示す入力画像データにアクセスし、この入力画像データを読み出してRAM16上の入力画像データ記憶領域に取得(記憶)する(S100)。取得された入力画像データは、今回の記録の対象となる。入力画像データは、例えば記憶部18又は記憶装置70に記憶されている。入力画像データは、カラー画像又はモノクロ画像の何れであってもよい。また、入力画像データは、RGB形式又はインデックス形式等、何れの形式であってもよい。つまり、入力画像データは、この処理のためのコンピュータプログラムで解析可能な画像データであればよく、特定のデータ形式に限定されるものではない。
【0031】
S100に続けて、CPU12は、画像の記録がリピート加工生産であるかについて判断する(S102)。CPU12は、入力画像名設定302として設定された設定値に基づき、S102の判断を行う。S100で、例えば、作成履歴データベース40に登録されていない入力画像データが入力画像名設定302として入力画像名ボックスに入力された場合、CPU12は、S102の判断を否定する(S102:No)。この場合の画像の記録は、新規の加工生産となる。一方、S100で、作成履歴データベース40に登録されている入力画像データが入力画像名設定302として入力画像名ボックスに入力され、且つ作成履歴データベース40でこの入力画像データに関連付けられた条件データナンバーが条件データナンバー設定304として条件データナンバー設定ボックスに入力された場合、CPU12は、S102の判断を肯定する(S102:Yes)。この場合の画像の記録は、リピート加工生産となる。S102の判断が否定された場合(S102:No)、CPU12は処理をS104に移行する。S102の判断が肯定された場合(S102:Yes)、CPU12は処理をS108に移行する。
【0032】
なお、次に示す条件1〜条件3のような状態が全て満たされるような場合、CPU12は、S104又はS108の何れか一方に処理を移行させる。例えば、設定306〜316に対する入力を優先させる場合、CPU12は、処理をS104に移行させる。一方、条件データナンバー設定304に対する入力を優先させる場合、CPU12は、処理をS108に移行させる。何れを優先させるかは、種々の点を考慮し決定するとよい。
(条件1)作成履歴データベース40に登録されている入力画像データが入力画像名設定302として入力画像名ボックスに入力されている。
(条件2)作成履歴データベース40で条件1の入力画像データに関連付けられた条件データナンバーが条件データナンバー設定304として条件データナンバー設定ボックスに入力されている。
(条件3)設定306,308,314,316の各ボックスと、設定310,312の各ラジオボタンとの少なくとも何れかに入力されている。
【0033】
S104でCPU12は、OKボタン318が押下された時点で、設定306,308,314,316の各ボックスと、設定310,312の各ラジオボタンとに入力されている各設定値を含む出力条件データをRAM16上の出力条件記憶領域に取得(記憶)する。続けてCPU12は、所定の演算処理を実行し、カラーパレットデータを作成する(S106)。カラーパレットデータは、入力画像データのカラー情報と出力画像データのインク処方との色変換関係を定義したデータである。カラーパレットデータは、出力画像データのラスターイメージを演算処理する際に用いられる。インク処方とは、記録媒体上にインク液滴で任意の色を構成するための単位面積当たりの使用インク種、及びインク毎の吐出量を示すものである。例えば、出力条件としてインクジェットプリンタ50に搭載するインク(搭載インク設定314)が異なればインク処方も異なる。そのため、カラーパレットデータも異なる。
【0034】
カラーパレットデータは、図6に示すように、例えば入力カラー情報(RGB値)と出力プリンタ処方(YMCK値)との関係を示したデータテーブルによって構成される。入力画像データがRGB形式の場合には、カラーパレットデータは、RGB値毎に画像の記録で使用するインクとインクの打ち込み量とが規定されたデータ形式である。RGB値の各値(R値、G値及びB値)がそれぞれ255である場合(白色)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)それぞれのインクの打ち込み量は、全て0となる(図6の「No.0」レコード参照)。カラーパレットデータは、入力画像データが、インデックス形式の場合には、インデックス毎の使用インクとインクの打ち込み量が規定されたデータ形式となる。CPU12は、S104で取得された、出力メディア設定306、インク吐出量設定312及び搭載インク設定314等の各出力条件を基に演算処理を実行し、カラーパレットデータを作成する。CPU12は、OKボタン318の押下された場合、入力画像データのカラー形式に応じた使用インクとインクの打ち込み量との計算を自動的に行い、カラーパレットデータを作成する。CPU12は、作成したカラーパレットデータを、RAM16上のカラーパレット記憶領域に記憶する。
【0035】
S108でCPU12は、記憶部18又は記憶装置70に記憶されている作成履歴データベース40にアクセスする。その後、CPU12は、OKボタン318が押下された時点で、条件データナンバー設定304として条件データナンバー設定ボックスに入力された条件データナンバーから、作成履歴データベース40でこの条件データナンバーに一致する条件データナンバーに関連付けられた計算条件データを選択する。S106又はS108を実行した後、CPU12は、今回の記録の対象である入力画像データから入力画像チェック用データを導出する(S110)。CPU12は、導出した入力画像チェック用データを、RAM16上の画像チェック用データ記憶領域に記憶する。入力画像チェック用データは、例えば、データサイズ、ピクセル総数、インクドット総数、ラスターデータ部の統計情報等、入力画像データ固有の情報であって、入力画像データを一意に識別することができるデータである。入力画像チェック用データは、複数の入力画像データが同一であるかについて判定可能な情報であれば、どのような形式のデータであってもよい。なお、入力画像チェック用データとしては、上記の他、特定の関数に従い入力画像データから導出されるハッシュ値を採用することもできる。これによっても、入力画像データを一意に識別することができるデータである。
【0036】
S110を実行した後、CPU12は、今回の画像の記録がリピート加工生産であるかについて判断する(S112)。S112でCPU12は、S102の判断が否定され(S102:No)、S104及びS106が実行されていた場合、今回の画像の記録はリピート加工生産でないと判断し(S112:No)、処理をS116に移行する。一方、CPU12は、S102の判断が肯定され(S102:Yes)、S108が実行されていた場合、今回の画像の記録はリピート加工生産であると判断し(S112:Yes)、処理をS114に移行する。S114でCPU12は、今回の記録の対象である入力画像データについて判定する。ここで、入力画像データは、所定の画像データ編集用のソフトウェア等によって編集された後、同一のデータ名で上書き保存されることもある。このような場合、今回の加工生産時の入力画像データは、実質的には、以前の加工生産の際の入力画像データとは異なるデータである。従って、上書き保存された入力画像データの記録は、以前と同一の画像を記録しようとするリピート加工生産には該当しない。つまり、今回の画像の記録では、S108で選択された計算条件データに従っても、以前と同一の画像を記録することはできない。S114の判定は、このように一致しない画像の記録を防止し、画像が記録された記録媒体が加工生産工程に流出することを防止できる点において有効である。
【0037】
具体的にCPU12は、S114の判定を次のように実行する。すなわち、CPU12は、S110で今回の記録の対象である入力画像データから導出した入力画像チェック用データと、S108で選択した計算条件データの画像チェック用データ部に格納されている入力画像チェック用データとを比較する。この際、CPU12は、S108で選択した計算条件データの画像チェック用データ部に格納されている入力画像チェック用データを特定するために、記憶部18又は記憶装置70にアクセスし、この計算条件データをRAM16上の所定の記憶領域に記憶する。CPU12は、判定の結果、両者が一致し同一性を有する場合、判定結果を「OK」とし(S114:OK)、処理をS116に移行する。一方、CPU12は、両者が一致せず同一性を有さない場合、判定結果を「NG」とし(S114:NG)、この処理を終了する。なお、S114の判定が否定され(S114:NG)、処理を終了する場合、その旨のメッセージを含むダイアログが表示部22に表示されるようにしてもよい。これによれば、ユーザは、処理が終了した原因を認識することができる。また、CPU12は、前述のダイアログを表示し、処理をS104に移行させるようにしてもよい。これによれば、ユーザは、再度この処理を開始させるための操作を行う必要がなく、この処理をスムーズに再実行させることができる。
【0038】
S116でCPU12は、今回の記録のための計算条件データを新たに作成する。つまり、CPU12は、毎回、計算条件データを作成する。これによって、CPU12は、新たな計算条件データを取得する。具体的にS116でCPU12は、S104及びS106が実行されていた場合、S104で取得した出力条件データを出力条件データ部に書き込み、S106で作成したカラーパレットデータをカラーパレットデータ部に書き込み、S110で導出した入力画像チェック用データを画像チェック用データ部に書き込み、これらがそれぞれ格納された計算条件データを新たに作成し、取得する。ここで、出力条件データは、上述した通り、RAM16上の出力条件記憶領域に記憶され、カラーパレットデータは、RAM16上のカラーパレット記憶領域に記憶されている。また、入力画像チェック用データは、RAM16上の画像チェック用データ記憶領域に記憶されている。
【0039】
これに対し、S116でCPU12は、S108が実行されていた場合、S108で選択した計算条件データの出力条件データを出力条件データ部に書き込み、同じくS108で選択した計算条件データのカラーパレットデータをカラーパレットデータ部に書き込み、S110で導出した入力画像チェック用データを画像チェック用データ部に書き込み、これらがそれぞれ格納された計算条件データを新たに作成し取得する。この場合、新たに作成され取得される計算条件データは、S108で選択された計算条件データと同じ計算条件データである。ここで、S108で選択された計算条件データは、RAM16上の所定の記憶領域に記憶され、入力画像チェック用データは、RAM16上の画像チェック用データ記憶領域に記憶されている。また、S116でCPU12は、作成した計算条件データに所定のデータ名を付与して記憶部18又は記憶装置70に記憶する。付与されるデータ名は、以前に実行されたS116で既に記憶部18又は記憶装置70に記憶されている他の計算条件データを示すデータ名と同一とならないようにされる。これによれば、S116で順次記憶される計算条件データの上書きが防止され、この処理が実行される毎、つまり画像の記録をともなう加工生産が行われる毎に計算条件データを記憶することができる。なお、付与されたデータ名は、例えばRAM16上の所定の記憶領域に記憶される。
【0040】
S116を実行したCPU12は、所定の演算処理を実行し、出力画像データを作成する(S118)。CPU12は、作成した出力画像データを、RAM16上の出力画像データ記憶領域に記憶する。ここで、出力画像データの作成は、S116で作成し取得された計算条件データの出力条件データ及びカラーパレットデータを用いて、入力画像データの入力画像ラスターイメージの多値カラーデータから出力画像ラスターイメージの2値データへ量子化演算処理するものである。なお、入力画像ラスターイメージとは、入力画像データのヘッダ部分とともに入力画像データを構成するものであって、入力画像データからヘッダ部分を除いた画像部分を構成するデータである。2値化処理の方法には、ディザ法又は誤差拡散法等のハーフトーン処理が用いられる。マルチドロップ方式等のインクジェットプリンタ等、出力階調が多値になる出力デバイスの場合等は、それぞれの出力階調数に応じて量子化演算処理を行えばよい。S118でCPU12は、S116でRAM16上の所定の記憶領域に記憶したデータ名に基づき、S116で記憶部18又は記憶装置70に記憶した計算条件データにアクセスし、この計算条件データをRAM16上に記憶(取得)する。具体的にCPU12は、この計算条件データの出力条件データをRAM16上の出力条件データ記憶領域に記憶(取得)する。また、CPU12は、この計算条件データのカラーパレットデータをRAM16上のカラーパレット記憶領域に記憶(取得)する。
【0041】
このような処理方法によれば、以前の画像の記録をともなう加工生産の際に用いた入力画像データ、出力条件データ及びカラーパレットデータと同一の入力画像データ、出力条件データ及びカラーパレットデータを用いた出力画像データの作成を実現することができる。従って、以前の画像の記録をともなう加工生産において作成された出力画像データと同一の出力画像データを、以前の画像の記録から所定の期間経過した後であっても、作成することができる。続けてCPU12は、今回の上記処理で作成された各データ等に基づいた作成履歴情報を作成履歴データベース40に登録(追加登録)する。登録に際し、作成履歴データベース40に既に登録されている条件データナンバーとは異なる条件データナンバーが付与される。また、S120が実行された「年月日」が、作成日とされる。つまり、CPU12は、新たな条件データナンバーと、作成日と、入力画像名設定302とされた入力画像データを示すデータ名と、S116で作成された計算条件データを示すデータ名と、S118で作成された出力画像データを示すデータ名とが関連付けられた状態の作成履歴情報を、新たな作製履歴レコードとして登録する。このような登録形態を採用することで、作成履歴データベース40から、一意の作成履歴情報を選択することができる。
【0042】
S120を実行したCPU12は、S118で作成した出力画像データを、接続I/F24からインクジェットプリンタ50に出力し、出力が完了した後、RAM16上の出力画像データ記憶領域に記憶されている出力画像データを消去する(S122)。これによって、インクジェットプリンタ50で出力画像データが受信され、出力画像データによって示される画像が記録される。ここで、出力画像データは、ラスターイメージデータ等を含むため、そのデータ容量が大きい。例えば記憶部18又は記憶装置70に出力画像データを記憶すると、これらの記憶容量を圧迫する要因となる。この出力画像データによる画像の記録をともなうリピート加工生産を行う場合には、上述した各処理を実行し、再度、同一の出力画像データを作成すればよい。そのため、本実施形態では、何れにも記憶することなく出力画像データを消去することとしている。S122が完了した時点で、CPU12は、この処理を終了する。
【0043】
以上、実施例1のリピート加工生産に係る処理によれば、以前の加工生産を再現したリピート加工生産を容易に実現することができる。S120で作成された出力画像データは、インクジェットプリンタ50に出力された後、消去され、例えば記憶部18又は記憶装置70に記憶されることがないため、これらの記憶容量が圧迫されることもない。なお、実施例1のリピート加工生産に係る処理は、新規の加工生産に係る処理も含んでいるため、新規の加工生産を好適に実現することができる。
【0044】
(実施例2)
図7に示す実施例2のリピート加工生産に係る処理を開始したCPU12は、図5のS100と同じく、図2に示す操作画面30を表示部22に表示する。操作画面30の表示に対応し、ユーザは、操作部20を操作し、操作画面30に各設定値を入力する。そして、CPU12は、S200を実行し、続けてS202〜S208の各処理を実行する。ここで、S200〜S208の各処理は、図5のS100〜S108に対応し、これら各処理と同様の処理である。従って、S200〜S208の説明は省略する。S206又はS208を実行した後、CPU12は、処理をS210に移行する。S210でCPU12は、今回の記録のための計算条件データを新たに作成する。つまり、CPU12は、毎回、計算条件データを作成する。これによって、CPU12は、新たな計算条件データを取得する。具体的にS210でCPU12は、S204及びS206が実行されていた場合、S204で取得した出力条件データを出力条件データ部に書き込み、S206で作成したカラーパレットデータをカラーパレットデータ部に書き込む。CPU12は、出力画像チェック用データを画像チェック用データ部に書き込まず、未格納とする。つまり、CPU12は、出力画像チェック用データを含まず、出力条件データ及びカラーパレットデータがそれぞれ格納された計算条件データを新たに作成し取得する。ここで、出力条件データは、図5のS116の場合と同じく、RAM16上の出力条件記憶領域に記憶され、カラーパレットデータは、RAM16上のカラーパレット記憶領域に記憶されている。
【0045】
これに対し、S210でCPU12は、S208が実行されていた場合、S208で選択した計算条件データの出力条件データを出力条件データ部に書き込み、同じくS208で選択した計算条件データのカラーパレットデータをカラーパレットデータ部に書き込む。CPU12は、S204及びS206が実行されていた場合と同じく、出力画像チェック用データを画像チェック用データ部に書き込まず、未格納とする。つまり、CPU12は、出力画像チェック用データを含まず、出力条件データ及びカラーパレットデータがそれぞれ格納された計算条件データを新たに作成し取得する。ここで、S208で選択された計算条件データは、図5のS116の場合と同じく、RAM16上の所定の記憶領域に記憶されている。
【0046】
S210でCPU12は、作成した計算条件データに所定のデータ名を付与して記憶部18又は記憶装置70に記憶する。付与されるデータ名は、図5のS116の場合と同様であり、これと同様の効果を得ることができる。なお、付与されたデータ名は、例えば、RAM16上の所定の記憶領域に記憶される。S210を実行したCPU12は、S212を実行し、続けてS214を実行する。ここで、S212は、図5のS118に対応し、この処理と同様の処理である。従って、S212の説明は省略する。なお、S212でCPU12は、S210でRAM16上の所定の記憶領域に記憶したデータ名に基づき、S210で記憶部18又は記憶装置70に記憶した計算条件データにアクセスし、この計算条件データをRAM16上に記憶(取得)する。具体的にCPU12は、この計算条件データの出力条件データをRAM16上の出力条件データ記憶領域に記憶する。また、CPU12は、この計算条件データのカラーパレットデータをRAM16上のカラーパレット記憶領域に記憶する。S214でCPU12は、S212で作成した出力画像データから出力画像チェック用データを導出する。CPU12は、導出した出力画像チェック用データを、RAM16上の画像チェック用データ記憶領域に記憶する。出力画像チェック用データは、実施例1の入力画像チェック用データと同様、例えばデータサイズ、ピクセル総数、インクドット総数、ラスターデータ部の統計情報等、出力画像データ固有の情報であって、出力画像データを一意に識別することができるデータである。出力画像チェック用データは、実施例1の入力画像チェック用データと同様、複数の出力画像データが同一であるかについて判定可能な情報であれば、どのような形式のデータであってもよい。
【0047】
続けてCPU12は、今回の画像の記録がリピート加工生産であるかについて判断する(S216)。S216でCPU12は、S202の判断が否定され(S202:No)、S204及びS206が実行されていた場合、今回の画像の記録はリピート加工生産でないと判断し(S216:No)、処理をS220に移行する。一方、CPU12は、S202の判断が肯定され(S202:Yes)、S208が実行されていた場合、今回の画像の記録はリピート加工生産であると判断し(S216:Yes)、処理をS218に移行する。S218でCPU12は、S212で作成した出力画像データについて判定する。S218の判定は、図5のS114の場合と、同様の理由による。理由の説明は省略する。なお、実質的に異なる各入力画像データから各出力画像データが作成された場合、作成された出力画像データそれぞれも相違することとなる。つまり、一の入力画像データから作成された一の出力画像データと、一の入力画像データとは実質的に異なる他の各入力画像データから作成された他の出力画像データとは、異なる画像データとなる。従って、互いに異なる一の出力画像データから導出された一の出力画像チェック用データと、他の出力画像データから導出された他の出力画像チェック用データとも、異なるデータとなる。
【0048】
具体的にCPU12は、S218の判定を次のように実行する。すなわち、CPU12は、S214で作成した出力画像データから導出した出力画像チェック用データと、S208で選択した計算条件データの画像チェック用データ部に格納(後述するS220参照)されている出力画像チェック用データとを比較する。この際、CPU12は、S208で選択した計算条件データの画像チェック用データ部に格納されている出力画像チェック用データを特定するために、記憶部18又は記憶装置70にアクセスし、この計算条件データをRAM16上の所定の記憶領域に記憶する。CPU12は、判定の結果、両者が一致し同一性を有する場合、判定結果を「OK」とし(S218:OK)、処理をS220に移行する。一方、CPU12は、両者が一致せず同一性を有さない場合、判定結果を「NG」とし(S218:NG)、この処理を終了する。なお、判定結果が「NG」となる場合の態様については、図5のS114の判定結果が「NG」となる場合と同様にすることもできる。また、CPU12は、S212で作成した出力画像データを消去する。
【0049】
S220でCPU12は、S210でRAM16上の所定の記憶領域に記憶したデータ名に基づき、S210で記憶部18又は記憶装置70に記憶した計算条件データにアクセスし、この計算条件データをRAM16上の所定の記憶領域に記憶する。続けてS220でCPU12は、S214で導出し、RAM16上の画像チェック用データ記憶領域に記憶されている出力画像チェック用データを、計算条件データの画像チェック用データ部に書き込む(保存する)。そして、CPU12は、出力条件データ、カラーパレットデータ及び出力画像チェック用データがそれぞれ格納された計算条件データを、記憶部18又は記憶装置70に記憶する。この際、計算条件データのデータ名は、S210で付与されたデータ名から変更されないため、記憶部18又は記憶装置70において、計算条件データは上書きされる。S220を実行したCPU12は、S222及びS224を順次実行する。ここで、S222及びS224は、図5の120及びS122と同様の処理である。従って、S222及びS224の説明は省略する。
【0050】
以上、実施例2のリピート加工生産に係る処理によっても、実施例1のリピート加工生産に係る処理と同様の機能を発揮することが可能である。従って、実施例2のリピート加工生産に係る処理によっても、実施例1のリピート加工生産に係る処理と同様、以前の加工生産を再現したリピート加工生産を容易に実現することができる。また、説明は省略したが、実施例2のリピート加工生産に係る処理においても、実施例1のリピート加工生産に係る処理と同様、S212で作成された出力画像データは、S224で、インクジェットプリンタ50に出力された後、消去される。そのため、出力画像データが例えば記憶部18又は記憶装置70に記憶されることはなく、これらの記憶容量が圧迫されることもない。なお、実施例2のリピート加工生産に係る処理によっても、新規の加工生産を好適に実現することができる。
【0051】
<コーディネート加工生産>
以下に示すコーディネート加工生産に係る処理は、図5に示す実施例1のリピート加工生産に係る処理を含む。従って、実施例1のリピート加工生産に係る処理と同一の処理については、対応するステップ番号を記載することとし、詳細な説明は省略する。なお、コーディネート加工生産に係る処理は、図7に示す実施例2のリピート加工生産に係る処理を含むようにすることもできる。この場合のコーディネート加工生産に係る処理は、以下に記載の図8のS314〜S326の各処理が、図7のS210〜S224とされる。この他、コーディネート加工生産に係る処理は、リピート加工生産に係る処理とは独立した単独の処理として特定することもできる。この場合、図8のS302及びS312の処理が省略される。また、独立したコーディネート加工生産に係る処理において、図8のS314〜S326の各処理は、図7のS210〜S224とすることもできる。
【0052】
ところで、コーディネート加工生産は、新たな画像の記録をともなう新規の加工生産の一形態である。本実施形態におけるコーディネート加工生産は、以前の加工生産における画像とサイズ及び/又は柄(例えば、モチーフ,デザイン,各種マーク等を含む。)位置等が異なるといった入出力画像データによる画像の記録をともなう加工生産である。そしてその際に、上述したリピート加工生産と同様以前の計算条件データを用いて、新たな出力画像データを作成し、作成された出力画像データを出力し記録するものである。例えば、出力画像データが、それぞれ異なる衣服、具体的には、サイズの異なる大人用のシャツ及び子供用のシャツに、それぞれ記録されることがある。このような場合、大人用及び子供用の各シャツのサイズに応じて、大きさの異なる同様の柄が、各シャツの所定の部分に記録される。例えば、「AAA」というマーク(ロゴマーク等)が、大人用のシャツでは、いわゆるワンポイントの柄としてシャツの胸部に記録される一方、子供用のシャツでは、シャツ前面及び/又は背面の全体(例えば、前面では胸及び腹部、背面では背中及び腰部)若しくは中央部(例えば、前面では腹部、背面では背中)及び/又は裾部に記録される。以下に説明するコーディネート加工生産によれば、大人用及び子供用の各シャツにおいて、それぞれの「AAA」というマークに対する条件を合わせることができ、両シャツにおける「AAA」の画質合わせを容易に行うことができる。つまり、コーディネート加工生産によれば、以前に大人用のシャツのワンポイントとして胸部に記録するために作成された「AAA」を示す出力画像データと、同様の色表現が実現された同様の画質であって、子供用のシャツの前面全体に対応したサイズの「AAA」を示す出力画像データを、今回、容易に作成することができる。なお、新規の加工生産によれば、以前と今回とで作成される各出力画像データを、異なる色表現が実現された異なる画質とすることができる(図5に示す実施例1及び図7に示す実施例2の両リピート加工生産に係る処理について同じ。)。前述の例に基づけば、大人用及び子供用の各シャツにおいて、それぞれの「AAA」というマークに対する条件を異ならすことができ、両シャツにおける「AAA」の画質を異ならすことができる。つまり、この新規の加工生産によれば、以前に大人用のシャツのワンポイントとして胸部に記録するために作成された「AAA」を示す出力画像データと、異なる色表現が実現された異なる画質であって、子供用のシャツの前面及び/又は背面の全体若しくは中央部及び/又は裾部に対応したサイズの「AAA」を示す出力画像データを、好適に作成することができる。
【0053】
図8に示すコーディネート加工生産に係る処理を開始したCPU12は、図5のS100と同じく、図2に示す操作画面30を表示部22に表示する。操作画面30の表示に対応し、ユーザは、操作部20を操作し、操作画面30に各設定値を入力する。S300は、図5のS100に対応し、この処理と同様の処理である。従って、S300の説明は省略する。S300に続けて、CPU12は、画像の記録がリピート加工生産であるかについて判断する(S302)。S302は、図5のS102に対応し、CPU12は、このS102の場合と同様に判断する。従って、S302においてS102と同様の点については、説明を省略する。S302においてCPU12は、さらに、次に示す条件4が否定され、且つ条件5が肯定されるような状態の場合、判断を否定する(S302:No)。CPU12は、S302の判断を否定した場合(S302:No)、処理をS304に移行する一方、S302の判断を肯定した場合(S302:Yes)、画像の記録は、リピート加工生産であるとして、処理をS312に移行する。なお、条件4は、実施例1のリピート加工生産に係る図5のS102の説明において示した条件1と同様の条件である。
(条件4)作成履歴データベース40に登録されている入力画像データが入力画像名設定302として入力画像名ボックスに入力されている。
(条件5)作成履歴データベース40に登録されている条件データナンバーが条件データナンバー設定304として条件データナンバー設定ボックスに入力されている。
【0054】
S304でCPU12は、画像の記録がコーディネート加工生産であるかについて判断する。CPU12は、入力画像名設定302として設定された設定値に基づき、S304の判断を行う。例えば、上記の条件4及び条件5が共に否定されるような状態である場合、CPU12は、S304の判断を否定する(S304:No)。一方、条件4が否定され、且つ条件5が肯定されるような状態である場合、CPU12は、S304の判断を肯定する(S304:Yes)。なお、上記の条件4が否定され、条件5が肯定され、且つ実施例1のリピート加工生産に係る図5のS102の説明において示した条件3が肯定されるような状態である場合、CPU12は、S306又はS310の何れか一方に処理を移行させる。例えば、設定306〜316に対する入力を優先させる場合、CPU12は、処理をS306に移行させる。一方、条件データナンバー設定304に対する入力を優先させる場合、CPU12は、処理をS310に移行させる。何れを優先させるかは、種々の点を考慮し決定するとよい。S304が否定された場合(S304:No)、CPU12は、処理をS306に移行し、S306及びS308の各処理を実行する。ここで、S306及びS308は新規の加工生産に関連する処理であって、図5のS104及びS106に対応し、これら各処理と同様の処理である。従って、S306及びS308の説明は省略する。これに対して、S304が肯定された場合(S304:Yes)、CPU12は、処理をS310に移行する。S310でCPU12は、記憶部18又は記憶装置70に記憶されている作成履歴データベース40にアクセスする。その後、CPU12は、OKボタン318が押下された時点で、条件データナンバー設定304として条件データナンバー設定ボックスに入力された条件データナンバーから、作成履歴データベース40でこの条件データナンバーに一致する条件データナンバーに関連付けられた計算条件データを選択する。ここで、S310で選択された計算条件データは、コーディネート加工生産において、コーディネート加工元の計算条件データとなる。
【0055】
画像の記録がリピート加工生産であるとしてS302の判断が肯定された場合(S302:Yes)、CPU12は、S312を実行する。ここで、S312は、図5のS108と同様の処理である。従って、S312の説明は省略する。S308、S310又はS312の何れかを実行したCPU12は、処理をS314に移行し、S314〜S326の各処理を順次実行する。ここで、S314〜S326は、図5のS110〜S122と同様の処理である。従って、S314〜S326の説明は、S310が実行された場合において特に実行される次の点を除き、省略する。すなわち、画像の記録がコーディネート加工生産であるとしてS310が実行されていた場合、S314、S316及びS320は、別途、次のような意義を有し、次のように実行される。まず、S314で導出される入力画像チェック用データは、次回以降の画像の記録が、今回のコーディネート加工生産で記録された画像のリピート加工生産である場合において、S318の判定の条件として用いられる。
【0056】
また、S316でCPU12は、S302の判断が否定され(S302:No)、S306及びS308が実行されていた場合の他、S310が実行されていた場合も、今回の画像の記録はリピート加工生産でないと判断し(S316:No)、処理をS320に移行する。S320でCPU12は、S310で選択した計算条件データの出力条件データ及びカラーパレットデータを特定するために、記憶部18又は記憶装置70にアクセスし、この計算条件データをRAM16上の所定の記憶領域に記憶する。そして、CPU12は、S310で選択した計算条件データの出力条件データを出力条件データ部に書き込み、同じくS310で選択した計算条件データのカラーパレットデータをカラーパレットデータ部に書き込み、S314で導出した入力画像チェック用データを画像チェック用データ部に書き込み、これらがそれぞれ格納された計算条件データを新たに作成し取得する。この場合、S320で新たに作成され取得される計算条件データは、S310で選択された計算条件データの出力条件データ及びカラーパレットデータと同じ出力条件データ及びカラーパレットデータが格納された計算条件データである。作成された計算条件データは、S306及びS308、S312が実行された場合と同様に、所定のデータ名が付与され記憶部18又は記憶装置70に記憶されるとともに、付与されたデータ名は、例えばRAM16上の所定の記憶領域に記憶される。
【0057】
以上、コーディネート加工生産に係る処理によれば、以前と同様の画質が確保された画像の記録に係るコーディネート加工生産を容易に実現することができる。なお、リピート加工生産に係る処理と、新規の加工生産に係る処理とを含むコーディネート加工生産によれば、上述した実施例1又は実施例2のリピート加工生産に係る処理と、新規の加工生産に係る処理とによって得られる機能・効果を得ることができる。
【0058】
上述した本実施形態は、次のようにすることもできる。例えば、上記では操作画面30を図2に示すようにした。この他、操作画面30が、さらに、画像の記録をともなう加工生産の形態として、リピート加工生産、コーディネート加工生産又は新規の加工生産の何れであるかを選択するための加工生産設定を含むようにしてもよい。加工生産設定は、例えば、記録速度設定310及びインク吐出量設定312のようにラジオボタンを用いた構成とすることができる。加工生産設定を採用した場合、CPU12は、図5のS102、図7のS202、又は図8のS302、S304を、この加工生産設定として選択された加工生産の形態に従って判断するようにしてもよい。そして、加工生産設定として選択された加工生産の形態に対応した設定302〜316のみが入力可能なようにしてもよい。つまり、設定302〜316のうち、選択された加工生産とは関係しない設定は、例えば表示態様をグレーアウトとし、入力できないようにしてもよい。このような加工生産設定によれば、図5のS102、図7のS202、又は図8のS302、S304の判断を単純化しシンプルに行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
10 情報処理装置、 12 CPU、 14 ROM、 16 RAM
18 記憶部、 20 操作部、 22 表示部、 24 接続I/F
50 インクジェットプリンタ、 70 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データから作成され、且つプリンタに出力されて記録媒体に記録される画像を示す出力画像データを作成し、前記プリンタに出力するためのコンピュータが読み取り可能なコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記入力画像データを取得する入力画像データ取得手段と、
第一時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記第一時点における前記入力画像データから前記出力画像データを作成するための演算処理に用いられた、前記プリンタでの記録に関する条件を含む計算条件データを、前記第一時点から所定期間経過した第二時点において、前記計算条件データが管理された管理手段から選択する選択手段と、
前記第二時点において前記選択手段で選択された前記計算条件データを取得する計算条件データ取得手段と、
前記第一時点における前記入力画像データと同一で且つ前記第二時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記第二時点における前記入力画像データと、前記第二時点において前記計算条件データ取得手段で取得された前記計算条件データと、を用いて演算処理を実行し、前記第一時点における前記出力画像データと同一の前記出力画像データを作成する出力画像データ作成手段と、
前記出力画像データ作成手段で作成された前記出力画像データを、前記プリンタに出力する出力手段と、
前記出力手段で前記プリンタに出力された前記出力画像データを消去する消去手段と、して機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、さらに、前記第一時点における前記入力画像データと、前記第二時点における前記入力画像データと、の同一性について判定する判定手段として機能させ、
前記出力画像データ作成手段は、さらに、前記判定手段で同一性があると判定された場合、前記出力画像データを作成し、前記判定手段で同一性がないと判定された場合、前記出力画像データを作成しない機能を含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、さらに、前記第一時点における前記出力画像データと、前記第二時点における前記出力画像データとの同一性について判定する判定手段として機能させ、
前記出力画像データ作成手段は、さらに、前記第一時点における前記入力画像データと異なり且つ前記第二時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記入力画像データと、前記第二時点において前記計算条件データ取得手段で取得された前記計算条件データと、を用いて演算処理を実行し、前記第一時点における前記出力画像データとは異なる前記出力画像データを作成する機能を含み、
前記出力手段は、さらに、前記判定手段で同一性があると判定された場合、前記第二時点における前記出力画像データを前記プリンタに出力し、前記判定手段で同一性がないと判定された場合、前記第二時点における前記出力画像データを前記プリンタに出力しない機能を含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを、さらに、前記計算条件データを新規に作成する計算条件データ作成手段として機能させ、
前記出力画像データ作成手段は、さらに、
前記第一時点における前記入力画像データとは異なり且つ前記第二時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記入力画像データと、前記第二時点において前記計算条件データ作成手段で新規に作成された前記計算条件データと、を用いて演算処理を実行し、前記第一時点における前記出力画像データとは異なる第一種の前記出力画像データを作成し、
前記第一時点における前記入力画像データとは異なり且つ前記第二時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記入力画像データと、前記第二時点において前記計算条件データ取得手段で取得された前記計算条件データと、を用いて演算処理を実行し、前記第一時点における前記出力画像データとは異なる第二種の前記出力画像データを作成する機能を含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
入力画像データから作成され、且つプリンタに出力されて記録媒体に記録される画像を示す出力画像データを作成し、前記プリンタに出力する情報処理装置であって、
前記入力画像データを取得する入力画像データ取得手段と、
第一時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記第一時点における前記入力画像データから前記出力画像データを作成するための演算処理に用いられた、前記プリンタでの記録に関する条件を含む計算条件データを、前記第一時点から所定期間経過した第二時点において、前記計算条件データが管理された管理手段から選択する選択手段と、
前記第二時点において前記選択手段で選択された前記計算条件データを取得する計算条件データ取得手段と、
前記第一時点における前記入力画像データと同一で且つ前記第二時点において前記入力画像データ取得手段で取得された前記第二時点における前記入力画像データと、前記第二時点において前記計算条件データ取得手段で取得された前記計算条件データと、を用いて演算処理を実行し、前記第一時点における前記出力画像データと同一の前記出力画像データを作成する出力画像データ作成手段と、
前記出力画像データ作成手段で作成された前記出力画像データを、前記プリンタに出力する出力手段と、
前記出力手段で前記プリンタに出力された前記出力画像データを消去する消去手段と、を備える情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−53851(P2012−53851A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198112(P2010−198112)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)