出力装置及びその制御方法及び記憶媒体
【課題】 出力データと、当該出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報とを対応付けて記憶しておき、記憶された出力データが、複数の受取人によって受け取られたことに従って、出力データを無効化する。
【解決手段】 出力データを入力する入力工程と、入力工程にて入力された出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報を受付ける受付工程と、入力工程にて入力された出力データと、受付工程にて受付けた受取人識別情報とを対応付けて記憶部に記憶する記憶工程と、記憶部に記憶された出力データが、当該出力データに対応付けて記憶された受取人識別情報で示される複数の受取人によって出力されたことに従って、記憶部に記憶された出力データを無効化する無効化工程とを備えることを特徴とする。
【解決手段】 出力データを入力する入力工程と、入力工程にて入力された出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報を受付ける受付工程と、入力工程にて入力された出力データと、受付工程にて受付けた受取人識別情報とを対応付けて記憶部に記憶する記憶工程と、記憶部に記憶された出力データが、当該出力データに対応付けて記憶された受取人識別情報で示される複数の受取人によって出力されたことに従って、記憶部に記憶された出力データを無効化する無効化工程とを備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は出力装置及びその制御方法及び記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータを相互に接続したローカルエリアネットワーク(LAN)が普及しており、このようなローカルエリアネットワークは、ビルのフロアまたはビル全体、ビル群(構内)、地域、あるいはさらに大きいエリアにわたって構築することができる。このようなネットワークは更に相互に接続され、世界的規模のネットワーク、いわゆる“インターネット”を形成している。
【0003】
そして、LANもしくはインターネットには、コンピュータの他に、プリンタやファクシミリといったコンピュータ周辺機器も接続されていることが多く、コンピュータからネットワーク経由で利用可能になっている。
【0004】
このようにネットワークに接続されたコンピュータ周辺機器は、一般に、コンピュータの台数もしくはコンピュータを利用するユーザ数よりも少なく、複数のコンピュータもしくはユーザにより共有されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ネットワークの或るコンピュータ上で作成した文書を、他人に渡す場合、一般に次の2通りのいずれかで行っていた。
・自身が印刷して、その印刷物を手渡す、もしくは郵送する。
・作成した文書の電子ファイル(文書ファイル)を、受取人に転送、もしくは媒体に記憶して渡し、出力してもらう。
【0006】
しかしながら、前者については即時性に欠ける、出力結果を送る場合には一般的にコストが高くなる、という問題がある。
【0007】
一方、後者については、その文書ファイルを作成するときに用いたアプリケーションが、相手先の装置にインストールされていなければならない、という問題がある。
【0008】
上記問題を解決するために、受取人の近くにあるプリンタやFAXへデータを送信、出力し、受取人に対して、電話等でその旨を知らせるという手段も考えられるが、この場合に以下の問題が残る。
【0009】
・受取人の都合によらず、当該コンピュータ周辺機器からデータが出力されてしまうため、出力結果が受取人以外の人に見られる可能性があり、機密性が欠ける。
【0010】
・同じく受取人の都合によらず、当該コンピュータ周辺機器からデータが出力されてしまうため、当該コンピュータ周辺機器の出力トレイにたくさんの出力用紙が溜まってしまう。
【0011】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、出力データと、当該出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報とを対応付けて記憶しておき、記憶された出力データが、複数の受取人によって受け取られたことに従って、出力データを無効化する出力装置及びその制御方法及び記憶媒体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題を解決するため、例えば本発明の出力装置は以下の構成を備える。すなわち、
出力データを入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報を受付ける受付手段と、
前記入力手段によって入力された出力データと、前記受付手段によって受付けた受取人識別情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶された出力データが、当該出力データに対応付けて記憶された受取人識別情報で示される複数の受取人によって出力されたことに従って、前記記憶手段に記憶された出力データを無効化する無効化手段とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、出力データと、当該出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報とを対応付けて記憶しておき、記憶された出力データが、複数の受取人によって受け取られたことに従って、出力データを無効化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態におけるジョブ生成ソフトウェアおよびその周辺動作環境の概念図である。
【図2】実施形態が適用するネットワーク構成例を示す図である。
【図3】実施形態におけるパーソナルコンピュータのブロック構成図である。
【図4】第1の実施形態におけるジョブ生成ソフトウェアの動作関係を示す概要図である。
【図5】本実施形態におけるジョブ発行手段の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図6】第1の本実施形態における「ジョブ発行通知」送信手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第1の本実施形態における「ジョブ発行通知」受信手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第1の本実施形態におけるジョブ実行指示手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第2の本実施形態における「ジョブ発行通知」送信手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第2の本実施形態における「ジョブ発行通知」受信手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第2の本実施形態におけるジョブ実行指示手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第1、第2の本実施形態のジョブデータおよびジョブ実行指示コマンドデータで使用されるオペレーションを示す図である。
【図13】各オペレーションの詳細なデータ構造図である。
【図14】各オペレーションの詳細なデータ構造図である。
【図15】各オペレーションの詳細なデータ構造図である。
【図16】各オペレーションの詳細なデータ構造図である。
【図17】各オペレーションの詳細なデータ構造図である。
【図18】ジョブデータおよびジョブ実行指示コマンドデータで使用されるジョブ属性を示す図である。
【図19】ジョブ発行時のジョブデータの送信シーケンス図である。
【図20】ジョブ実行指示時のコマンドデータの送信シーケンス図である。
【図21】第1の実施形態におけるプリンタのブロック構成図である。
【図22】図21におけるジョブ管理テーブルの内容の一例を示す図である。
【図23】第3の実施形態におけるジョブ生成ソフトウェアおよびその周辺動作環境の概念図である。
【図24】第3の実施形態におけるジョブ生成ソフトウェアの動作関係を示す概要図である。
【図25】第3の本実施形態におけるジョブ発行手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図26】第3の本実施形態における「ジョブ発行通知」受信手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図27】第3の実施形態におけるジョブ実行指示手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図28】第3の実施形態におけるジョブ転送手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図29】第3の本実施形態のジョブデータおよびジョブ実行指示コマンドデータで使用されるオペレーションを示す図である。
【図30】第3の実施形態で追加されたジョブ修正コマンドデータの構造図である。
【図31】第3の実施形態におけるジョブデータおよびジョブ実行指示コマンドデータで使用されるジョブ属性を示す図である。
【図32】第3の実施形態におけるジョブ属性修正時のコマンドデータの送信シーケンスを示す図である。
【図33】第3の実施形態におけるプリンタの動作処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に従って本発明にかかる実施形態を詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
まず本発明の実施形態が利用するネットワークについて説明する。なお、以下ではパーソナルコンピュータ(ワークステーションでも良い)をPCと表記することにする。
【0017】
図2は、実施形態が適用するネットワークシステムの例を示している。
【0018】
図示において、102は開放型アーキテクチャを持つプリンタであり、ネットワークに接続するためのネットワークボード(NB)101を装着している。NB101はローカルエリアネットワーク(LAN)100へ、例えば、同軸コネクタをもつEthernet(登録商標)インターフェース10Base−2や、RJ−45を持つ10Base−T等のLANインターフェースを介してつながれている。
【0019】
PC103やPC104等の複数のパーソナルコンピュータ(PC)もまた、ネットワーク100に接続されており、ネットワークオペレーティングシステムの制御の下、これらのPCはNB101と通信することができる。なお、プリンタには、プリンタ101のように直接ネットワークに接続されているもの、プリンタ105のようにPCに接続されているものがある。
【0020】
通常、LAN100などのLANは、一つの建物内の一つの階又は連続した複数の階でのユーザグループ等の、幾分ローカルなユーザグループにサービスを提供する。例えば、ユーザが他の建物や他県に居るなど、あるユーザが他のユーザから離れるに従って、ワイドエリアネットワーク(WAN)を作ってもよい。WANは、基本的には、いくつかのLANを高速度サービス総合デジタルネットワーク(ISDN)電話線等の高速度デジタルラインで接続して形成された集合体である。
【0021】
従って、図2に示すように、LAN100と、LAN110と、LAN120とは変調/復調(MODEM)/トランスポンダー130及びバックボーン140を介して接続されWANを形成する。これらの接続は、数本のバスによる単純な電気的接続である。それぞれのLANは専用のPCを含み、また、必ずしも必要なわけではないが、通常はファイルサーバー及びプリントサーバーを含む。
【0022】
従って図2に示すように、LAN110は、PC111と、PC112と、ファイルサーバー113と、ネットワークディスク114と、プリントサーバー115と、プリンタ116及びプリンタ117とを含む。対照的に、LAN120はPC121とPC122のみを含む。LAN100と、LAN110と、LAN120とに接続されている機器は、WAN接続を介して、他のLANの機器の機能にアクセスすることができる。
【0023】
上記ネットワーク環境において、ネットワーク上のPCが、ネットワーク上の他のデバイスに対してジョブを生成する例を説明する。より具体的には、ネットワーク110上のPC111から、ネットワーク100の或るユーザ向けに、そのネットワーク100上のプリンタ101で印刷出力する場合である。
【0024】
図3は、ジョブ生成ソフトウェアが稼動可能なPCの構成を示すブロック図であり、全PCは全て同様の構成をしているものであるが、便宜的にここではPC111として説明する。
【0025】
PC111は、ROM502もしくはハードディスク(HD)511に記憶された、あるいはフロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FD)512より供給されるジョブ生成ソフトウェアを実行するCPU501を備え、システムバス504に接続される各デバイスを総括的に制御する。503はRAMで、CPU501の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0026】
505はキーボードコントローラ(KBC)で、キーボード(KB)509や不図示のポインティングデバイス等からの指示入力を制御する。506はCRTコントローラ(CRTC)で、CRTディスプレイ(CRT)510の表示を制御する。507はディスクコントローラ(DKC)で、ブートプログラム、種々のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイルそしてネットワーク管理プログラム等を記憶するハードディスク(HD)511およびフロッピー(登録商標)ディスクコントローラ(FD)512とのアクセスを制御する。508はネットワークインタフェースカード(NIC)で、LAN100を介して、エージェントあるいはネットワーク機器と双方向にデータをやりとりする。
【0027】
先に説明したように、上記構成はPC111だけのものではなく、他のPCも同様の構成を成す。
【0028】
<<ジョブ生成ソフトウェアの構成>>
次に、本実施形態におけるジョブ生成ソフトウェアの構成について説明する。
【0029】
本発明のジョブ生成装置は、図3に示したようなジョブ生成ソフトウェアを実行可能なPC上に実現される。ハードディスク(HD)511には、後述のすべての説明で動作主体となる本願に係るジョブ生成ソフトウェアのプログラムが格納される。後述のすべての説明において、特に断りのない限り、実行の主体はハード上はCPU501である。一方、ソフトウェア上の制御の主体は、ハードディスク(HD)511に格納されたジョブ生成ソフトウェアである。
【0030】
なお本願に係るジョブ生成ソフトウェアプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROMなどの記憶媒体に格納された形で供給されても良く、その場合には図3に示すフロッピー(登録商標)ディスクコントローラ(FD)512または不図示のCD−ROMドライブなどによって記憶媒体からプログラムが読み取られ、ハードディスク(HD)511にインストールされる。
【0031】
図1は、上記構成のPC111を、ジョブ生成ソフトウェアおよびその周辺機能部として見た場合の概念構成図である。なお、他のPCも同様の構成であることを付言しておく。
【0032】
図中、2は、ジョブデータの発行やジョブデータの出力実行指示を行うジョブ生成ソフトウェアであり、図3におけるハードディスク511に格納され、CPU501によって実行される。またジョブ生成ソフトウェア2内部のジョブ認識用メモリ14やジョブ実行情報用メモリ15はRAM503が使用され、RAM503はCPU501がジョブ生成ソフトウェアを実行するためのワークエリアとしても使用される。
【0033】
3は、ユーザの入力をジョブ生成ソフトウェア2へ伝達する入力部であり、図3におけるキーボードコントローラ505で実現される。4は、ジョブ生成ソフトウェア2がネットワークとの通信を行う場合のネットワークプロトコルおよびネットワークボードの制御を行う、ネットワーク制御部であり、CPU501およびNIC508により実現される。
【0034】
以上のような構成において、本実施形態では、PC111及びPC103上で上記ジョブに関するソフトウェアを起動して、PC111からPC103が接続されたネットワーク上のプリンタ102においてジョブの印刷(出力)を行う。この場合の動作手順について以下にその詳細を説明する。
【0035】
なお、以下の処理を行う前の前提条件として、プリンタ102では本ジョブ生成ソフトウェアに対応するジョブ出力機能を実装しているものとする(詳細は後述)。
【0036】
まず、図1および図4を用いて、本実施形態の動作概要を説明する。本ジョブ生成ソフトウェアは、図1に示すように、
・ジョブ発行手段10
・「ジョブ発行通知」送信手段11
・「ジョブ発行通知」受信手段12
・ジョブ実行指示手段13
・ジョブ認証情報用メモリ14
・ジョブ実行情報用メモリ15
によって構成される。
【0037】
本実施形態では、図4に示すように、PC111において、ジョブ発行手段(10)と「ジョブ発行通知」送信手段(11)が順次実行され、PC103において、「ジョブ発行通知」受信手段(12)とジョブ実行指示手段(13)が順次実行される。そして、PC111においては、ユーザAがジョブ発行人として、ユーザBへのジョブの発行を実行し、PC103においては、ユーザBがジョブ受取人として、ジョブの印刷実行を指示する。
【0038】
では、以下各手段の詳細を説明する。
【0039】
図5のフローチャートは、ジョブ発行手段における処理手順を示している。
【0040】
このジョブ発行手段は、例えばプリンタドライバに組み込まれていると考えれば分かり易い。すなわち、アプリケーション上で印刷指示したとき、それがトリガになって動作を開始する。
【0041】
先ず、ステップS101において、ユーザA=ジョブ発行人によるジョブ発行指示(使用中のアプリケーション上で)がKBC505から入力される。以下ユーザAからの入力はKBC505から実行される。
【0042】
ステップS102において、ユーザAはジョブデータの送信先(印刷先)のデバイス(この場合はプリンタ102)を識別する情報が入力され、その印刷先デバイス識別情報をジョブ認証情報用メモリ14へ記録する。印刷先デバイス識別情報としては、印刷先のデバイスのIPアドレスやネットワーク上の名前(DNSがある場合)を使用する。
【0043】
次いで、ステップS103において、ユーザAはジョブの受取人の指定およびジョブ受取人の識別情報を入力し、そのジョブ受取人識別情報を、ジョブ認証情報用メモリ14に記録する。ジョブ受取人を指定する場合、電子メールのアドレス帳情報や、サーバやユーザグループ等に登録されているネットワークログイン名のリストを使用する。そして、ジョブ受取人識別情報としては、電子メールアドレスやログイン名などを使用する。なおジョブ受取人は複数指定することが可能である。
【0044】
ステップS104では、ユーザAからジョブ実行のための任意のパスワードが入力され、そのパスワードをジョブ認証情報用メモリ14に記録する。ステップS105において、発行中の該ジョブを識別するためのジョブIDを生成し、そのジョブIDをジョブ認証情報用メモリ14に記録する。
【0045】
ステップS106において、印刷するためのデータ本体と、ジョブ認証情報用メモリ14に記録された上記の各情報、およびその他のジョブ付属属性(ジョブ発行人識別情報やジョブ生成日時など)を基にして、ジョブデータ(プリンタ101が解釈できるプリンタ言語に変換した印刷データを含む)を発行し、ステップS107において、該ジョブデータを、該印刷先デバイスへ送信する。そして、送信された該ジョブデータはプリンタ102内に蓄積される(ステップ106で発行されるジョブデータのデータ構造に関しては図12〜図18、およびステップS107で実行される送信シーケンスに関しては、図19に示す)。
【0046】
次に、図6のフローチャートにおいて、「ジョブ発行通知」送信手段について説明する。本手段は、前記ジョブ発行手段によって、ジョブが発行されたことを、PC111からPC103へ通知するための「ジョブ発行通知」を送信するための手順である。
【0047】
先ず、ステップS201において、ジョブ認証情報用メモリ14から印刷先デバイス識別情報、ジョブID、ジョブ受取人識別情報、およびパスワードを取得する。
【0048】
ステップS202において、変数Nにジョブ受取人の数を代入する。ステップS203において、変数N≠0ならばステップS204を実行し、変数N=0ならば本手段を終了する。
【0049】
ステップS204において、ジョブ受取人に対して、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、およびパスワードを「ジョブ発行通知」として、ネットワーク経由で送信する。「ジョブ発行通知」をネットワーク経由で送信する具体的な方法に関しては、電子メールもしくはサーバやユーザグループのメッセージングサービスを利用することで実現する。
【0050】
ステップS205において、変数Nを1減らして、ステップS203へ進む。
【0051】
次に、図7のフローチャートにおいて、「ジョブ発行通知」受信手段(PC103側として考えると分かり易い)について説明する。
【0052】
ステップS301において、該「ジョブ発行通知」を受信した旨を、ユーザBに対して表示する。
【0053】
ステップS302において、受信した該「ジョブ発行通知」から、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、およびパスワードを取得する。
【0054】
ステップS303において、上記取得した各情報を、ジョブ実行情報用メモリ15へ記録する。
【0055】
次に、図8のフローチャートにおいて、ジョブ実行指示手段(PC103側)について説明する。
【0056】
ステップS401において、ジョブ実行情報用メモリ15から、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、およびパスワードを取得する。
【0057】
ステップS402において、上記取得した各情報およびジョブ受取人=ユーザBの識別情報など基に、ジョブ実行指示コマンドデータを生成する。
【0058】
ステップS403において、印刷先デバイス(プリンタ102)に対し、上記ジョブ実行指示コマンドデータを送信する。なお、上記ジョブ実行指示コマンドデータのデータ構造に関しては図12、図17、図18、およびその送信シーケンスに関しては、図20に示す。
【0059】
一方、プリンタ102は、例えば図21に示すような構造を成している。
【0060】
図中、200は装置全体の制御を司るCPUであり、202は実施形態における印刷処理手順であるプログラム及びジョブ管理プログラムの他、フォントデータを格納しているROMである。202はCPU200のワークエリアとして使用されるRAMであり、ここには図示の如くジョブ管理テーブル202aが確保されている。203は印刷データをファイルとして格納するためのハードディスクである。101は先に説明したNB、204は各種設定を行うためのスイッチ及びメッセージ等を表示する表示操作パネルを有する操作パネルである。205は印刷出力する際のビットマップイメージを展開する画像メモリ、206はプリンタエンジンインターフェース、207はプリンタエンジンである。
【0061】
図22は、ジョブ管理テーブルの内容を示している。図示の如く、ジョブ管理テーブルは、1つのジョブについて1行が対応しており、ジョブID、受取時間、発行人(上記実施形態ではユーザA)、ユーザAが設定したパスワード、受取人(複数の存在を許容する)、及び、HD203にファイルとして格納された印刷データファイル名で構成される。
【0062】
本プリンタ102は、1つのジョブに対し、複数の受取人が設定可能であるので、受取人の欄には、複数の受取人を特定する情報が格納されると共に、各受取人から印刷指示を受けたときに、その受取人に対して印刷が完了したか否かを示すフラグを設けた。図示の場合、受取人としてAAA,BBB,CCCの3人が存在し、そのいずれからも印刷指示がない状態を示すため“0”をセットするようにした。そして、例えば、AAAというユーザから印刷指示があった場合には、印刷処理を行うと共に、その印刷が正常に完了したときに、そのユーザAAAに対するフラグを“1”にセットする。そして、全てのユーザのフラグが“1”になった段階で、該当するジョブをジョブ管理テーブル202aから抹消すると共に、HD203に格納されていたファイル(印刷データ)を削除する。
【0063】
上記構成において、本プリンタ102は、ネットワーク上から印刷ジョブを受信情報すると、その中に含まれる情報に基づいてジョブ管理テーブル202aにそのジョブを追加すると共に、実体である印刷データをハードディスク203にファイルとして格納する。
【0064】
そして、ネットワーク上から、ジョブ実行指示(ヘッダを調べることで判定できる)があった場合には、その中に含まれるジョブIDやパスワード、及び要求元情報が記憶されている管理テーブルに存在するか否かを認証処理を行い、この認証処理をパスしたジョブについての印刷を行う。
【0065】
以上の結果、本実施形態によれば、ネットワークを介して、ユーザAからユーザBに対して文書を渡すとき、プリンタより出力される形式のデータを直接プリンタに送信し、ユーザBは単にそのプリンタに対して印刷を行うような作業をするだけで良くなる。従って、受取人であるユーザBが使用するPC上には、ユーザAが使用したアプリケーションがインストールされている必要もなくなり、尚且つ、印刷された書類ではなく電子データ形式で送信するので、低コストで文書のやりとりが可能になる。
【0066】
<第2の実施形態2>
上記第1の実施形態においては、ジョブIDやパスワードなどのジョブ認証およびジョブ実行指示に必要な情報を「ジョブ発行通知」として、ジョブ発行人側=PC111からジョブ受取人側=PC103に送信し、ジョブ受取人側にてジョブ実行指示コマンドデータを生成していた。
【0067】
本第2の実施形態においては、ジョブ実行指示コマンドデータそのものをジョブ発行人側=PC111にて生成する実施形態について記述する。つまり、ジョブ受取人側の処理で、ジョブ実行指示コマンドを生成する処理をなくし、発行人側から送られてきたジョブ実行指示コマンドを単純にプリンタに出力する例である。
【0068】
実行環境にかかるジョブ生成ソフトウェアの構成については、第1の実施形態と同様である。
【0069】
以下、本実施形態における各手段の詳細について説明する。
【0070】
ジョブ発行手段については、第1の実施形態と同様である(図5のフローチャートおよび第1の実施形態を参照)。そこで、先ず、「ジョブ発行通知」送信手段について、図9のフローチャートに従って説明する。
【0071】
ステップS501において、ジョブ認証情報用メモリ14から印刷先デバイス識別情報、ジョブID、ジョブ受取人識別情報、およびパスワードを取得する。
【0072】
ステップS502において、変数Nにジョブ受取人の数を代入する。ステップS503において、変数N≠0ならばステップS504を実行し、変数N=0ならば本手段を終了する。ステップS504において、ジョブ受取人に対して、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、およびパスワードを基に、ジョブ実行指示コマンドデータを生成する(ジョブ指示実行コマンドデータのデータ構造の詳細は図12、図17、図18に示す。)
ステップS505において、上記ジョブ実行指示コマンドデータを「ジョブ発行通知」として、ネットワーク経由で送信する。「ジョブ発行通知」をネットワーク経由で送信する具体的な方法に関しては、電子メールもしくはサーバやユーザグループのメッセージングサービスを利用することで実現する。
【0073】
ステップS506において、変数Nを1減らして、ステップS503へ進む。
【0074】
次に、図10のフローチャートにおいて、「ジョブ発行通知」受信手段について説明する。
【0075】
ステップS601において、該「ジョブ発行通知」を受信した旨を、ユーザBに対して表示する。ステップS602において、受信した該「ジョブ発行通知」から、ジョブ実行指示コマンドデータを取得する。ステップS603において、上記取得したジョブ実行指示コマンドデータを、ジョブ実行情報用メモリ15へ記録する。
【0076】
次に、図11のフローチャートにおいて、ジョブ実行指示手段について説明する。
【0077】
ステップS701において、ジョブ実行情報用メモリ15から、ジョブ実行指示コマンドデータを取得する。ステップS702において、印刷先デバイスに対し、上記ジョブ実行指示コマンドデータを送信する。ジョブ実行指示コマンドデータの送信シーケンスに関しては、図20に示す通りである。
【0078】
以上説明したように本第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏し、しかも受取人側での処理が簡略化されるようになる。
【0079】
<第3の実施形態>
上記第1、第2の実施形態では、最終的に印刷出力するのは受取人が印刷指示を行う場合であった。つまり、発行人が一旦、印刷ジョブを発行してしまった後のそのジョブの管理は受取人側次第ということになり、発行人側での介在ができなくなってしまう。また、場合によっては、プリンタ側にジョブが溜まってしまうという問題もある。
【0080】
そこで、本第3の実施形態では、これを解決する例を説明する。
【0081】
説明を簡単にするため、ネットワークの構成は、図2と同じとし、ジョブ発行する側もPC111、受取人側のPCも103、実際に印刷処理するプリンタも102として説明する。
【0082】
<<ジョブ生成ソフトウェアの構成>>
本第3の実施形態におけるジョブ生成ソフトウェアの構成について説明する。
【0083】
図23は、PC111を、ジョブ生成ソフトウェアおよびその周辺機能部として見た場合の、第3の実施形態における概念構成図である。第1の実施形態(図1)と異なる点は、「ジョブ発行通知」の転送手段16を追加した点にある。すなわち、PC111が実装するソフトウェアは、
・ジョブ発行手段10
・「ジョブ発行通知」送信手段11
・「ジョブ発行通知」受信手段12
・ジョブ実行指示手段13
・ジョブ認証情報用メモリ14
・ジョブ実行情報用メモリ15
・「ジョブ発行通知」転送手段16
によって構成される。
【0084】
本第3の実施形態では、図4に示すように、PC111において、ジョブ発行手段10と「ジョブ発行通知」送信手段11が順次実行され、PC103において、「ジョブ発行通知」受信手段12が実行された後、ユーザの任意によりジョブ実行指示手段13もしくは「ジョブ発行通知」転送手段16が実行される。そして、PC111においては、ユーザAがジョブ発行人として、ユーザBへのジョブの発行を実行し、PC103においては、ユーザBがジョブ受取人として、ジョブの印刷実行、もしくは、「ジョブ発行通知」の転送を指示する。
【0085】
以下、上記各手段の動作処理内容について詳細を説明する。
【0086】
図5のフローチャートは、ジョブ発行手段における処理手順を示している。
【0087】
先ず、ステップS1101において、ユーザA=ジョブ発行人によるジョブ発行指示(使用中のアプリケーション上)がKBC505から入力される。以下ユーザAからの入力はKBC505から実行される。
【0088】
ステップS1102において、ユーザAはジョブデータの送信先(印刷先)のデバイス(この場合はプリンタ102)を識別する情報が入力され、その印刷先デバイス識別情報をジョブ認証情報用メモリ14へ記録する。印刷先デバイス識別情報としては、印刷先のデバイスのIPアドレスやネットワーク上の名前(DNSがある場合)を使用する。
【0089】
次いで、ステップS1103において、ユーザAはジョブの受取人の指定およびジョブ受取人の識別情報を入力し、そのジョブ受取人識別情報を、ジョブ認証情報用メモリ14に記録する。ジョブ受取人を指定する場合、電子メールのアドレス帳情報や、サーバやユーザグループ等に登録されているネットワークログイン名のリストを使用する。そして、ジョブ受取人識別情報としては、電子メールアドレスやログイン名などを使用する。なおジョブ受取人は複数指定することが可能である。
【0090】
ステップS1104において、前記入力されたジョブ受取人の数を基に、ジョブの実行許可数として算出し、ジョブ認証情報用メモリ14に記録する。そして、ステップS1105において、ユーザAからジョブの有効期限が入力され、そのジョブ有効期限をジョブ認証情報用メモリ14に記録する。ステップS1106では、ユーザAからジョブ実行のための任意のパスワードが入力され、そのパスワードをジョブ認証情報用メモリ14に記録する。
【0091】
ステップS1107において、発行中の該ジョブを識別するためのジョブIDを生成し、そのジョブIDをジョブ認証情報用メモリ14に記録する。
【0092】
ステップS1108において、印刷するためのデータ本体と、ジョブ認証情報用メモリ14に記録された上記の各情報、およびその他のジョブ付属属性(ジョブ発行人識別情報やジョブ生成日時など)を基にして、ジョブデータを発行し、ステップS1109において、該ジョブデータを、該印刷先デバイス(プリンタ102)へ送信する。なお、ステップS1108で発行されるジョブデータのデータ構造に関しては、図29、図13〜図17、図30、およびステップS1109で実行される送信シーケンスに関しては、図19に示す通りである。
【0093】
そして、送信された該ジョブデータはプリンタ102内に蓄積され、入力されたジョブの有効期限が満了するか、もしくはジョブの実行許可数が0になると、プリンタ102から排除(消去)される。
【0094】
本第3の実施形態における「ジョブ発行通知」送信手段であるが、これは第1の実施形態を同様であるので、その詳細は第1の実施形態を参照されたい。
【0095】
次に、図26のフローチャートを用いて、第3の実施形態における「ジョブ発行通知」受信手段(PC103側の処理)について説明する。
【0096】
先ず、ステップS1301において、「ジョブ発行通知」を受信した旨を、ユーザBに対して表示する。次いで、ステップS1302において、受信した該「ジョブ発行通知」から、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、ジョブ有効期限およびパスワードを取得する。
【0097】
ステップS1303では、上記取得した各情報を、ジョブ実行情報用メモリ15へ記録する。
【0098】
次に、図27のフローチャートに従ってジョブ実行指示手段(PC103側)について説明する。
【0099】
先ず、ステップS1401において、ジョブ実行情報用メモリ15から、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、およびパスワードを取得する。次いで、ステップS1402において、上記取得した各情報およびジョブ受取人=ユーザBの識別情報など基に、ジョブ実行指示コマンドデータを生成する。そして、ステップS1403において、印刷先デバイスに対し、上記ジョブ実行指示コマンドデータを送信する。次いで、ステップS1404において、該ジョブの実行許可数のカウントを1減らすため、ジョブ修正属性コマンドデータを生成する。最後に、ステップS1405において、印刷先デバイスに対し、上記ジョブ属性修正コマンドデータを送信する。
【0100】
なお、上記ジョブ実行指示コマンドデータおよびジョブ属性修正コマンドデータのデータ構造に関しては図29、図13〜図17、及び図30に示す通りである。また、その送信シーケンスに関しては、図20、図32に示す通りである。
【0101】
次に、図28のフローチャートにおいて、「ジョブ発行通知」転送手段について説明する。本手段は、上記「ジョブ発行通知」受信手段によって、「ジョブ発行通知」が受信された場合に、さらに他のユーザCへ「ジョブ発行通知」を転送するための手順である。
【0102】
先ず、ステップS1501において、ジョブ実行情報用メモリ15から印刷先デバイス識別情報、ジョブID、ジョブの有効期限、およびパスワードを取得する。次いで、ステップS1502において、ユーザBによってジョブ転送先が入力される。
【0103】
ステップS1503では、該ジョブのジョブ受取人を変更するためのジョブ属性修正コマンドデータを生成する。
【0104】
ステップS1504において、該印刷先デバイスに対し、該ジョブ属性修正コマンドデータを送信する。
【0105】
ステップS1505において、ジョブ転送先に対して、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、およびパスワードを「ジョブ発行通知」として、ネットワーク経由で送信する。「ジョブ発行通知」をネットワーク経由で送信する具体的な方法に関しては、電子メールもしくはサーバやユーザグループのメッセージングサービスを利用することで実現する。
【0106】
なお、上記ジョブ発行通知の転送を行えるのは、ジョブ発行通知を受けた者のみとなるのは上記処理から理解できよう。
【0107】
また、上記ジョブ属性修正コマンドデータのデータ構造に関しては、図29、図30、図31に示し、その送信シーケンスに関しては、図32に示す通りである。
【0108】
一方、プリンタ102は、図21の構成に加えて、内部にタイマを備え計時する機構を備えることになる。そして、ジョブ管理テーブル202aには、ジョブの有効期限、ジョブ実行回数を計数するカウンタ変数の欄が追加されることになる。
【0109】
そして、現在の日時をタイマより得、各ジョブの有効期限とを比較し、有効期限を過ぎているジョブについてはメモリより抹消する。また、ジョブ実行コマンドを受信した場合には、そのコマンドに含まれるデータに合致するジョブを読み込み実行する(該当する印刷データに基づく印刷処理を行う)。
【0110】
また、ジョブ属性の修正コマンドがあった場合には、そのコマンドに含まれる修正箇所に対応するテーブル内の該当するレコードを修正する。例えば、ジョブ実行回数を減らす指示の場合には該当するジョブのカウンタ変数を“1”だけ減らし、それが“0”になったらそのジョブを削除する。また、ジョブの受取人の変更を示すコマンドの場合、ジョブ管理テーブル中の受取人のレコード中、その変更を指示してきた受取人を抹消すると共に、変更指示を受けた新たな受取人を登録する処理を行うことになる。
【0111】
具体的な処理例を示せば、図33のようになる。
【0112】
先ず、ステップS2001でネットワークより情報が受信されたか否かを判断する。否の場合には、ステップS2002に進み、タイマの時刻と管理テーブル202aに登録された各ジョブの有効期限とを比較し、有効期限を過ぎたジョブがあるかどうかを判断する。有効期限切れのジョブがあった場合には、ステップS2003でそのジョブを管理テーブル202aより削除すると共に、印刷データファイルをHD203より削除する。
【0113】
また、ステップS2001で何らかの情報を受信したと判断した場合には、ステップS2004に進み、その情報はジョブ発行データであると判断した場合には、ステップS2005においてそのジョブを受信すると共に印刷データの部分をファイルとしてHD203に格納する。次いで、ステップS2006においてジョブ管理テーブル202aに登録する。
【0114】
また、ジョブ発行データではないと判断した場合には、ステップS2007に進んで、ジョブ実行コマンドか否かを判断する。ジョブ実行コマンドであると判断した場合には、そのコマンドで指定されたジョブIDで示されるジョブの受取人の欄に、そのジョブ実行コマンドの送信元(上記実施形態ではPC103)が含まれ、尚且つ、パスワードも合致するか否かを判断することで、認証処理を行う。この認証処理がパスすると、ステップS2009において、該当するジョブを印刷キューに登録する。
【0115】
説明が前後するが、実施形態におけるプリンタ102は、ジョブが印刷キューに登録されると、その登録順にそのジョブに対する印刷処理を行う処理プログラムが別途動作しているものとしている。
【0116】
さて、ジョブ実行コマンドでもないと判断された場合、処理はステップS2007からステップS2010に進み、ジョブ修正コマンドかどうかを判断する。ジョブ修正コマンドには、先に説明したように、カウンタをディクリメントする、受取人を修正する等の処理が含まれる。修正コマンド以外であると判断した場合には、ステップS2011に進み、対応する処理を行うが、修正コマンドであると判断した場合には、ステップS2012で修正対象のジョブに対して、修正コマンドを発行元のユーザがその権利を有するか否かを、ステップS2008と同様にして判断する。次いで、ステップS2014に進み、ジョブ管理テーブル202aを調べ、その中にカウンタが“0”になったジョブがあるか否かを判断し、もし有れば、ステップS2015でそのジョブを消去する。
【0117】
以上の結果、本第3の実施形態によれば、上記第1の実施形態に加えて、ジョブの発行元側で、ジョブに対する有効期限が設定できるので、プリンタ内にジョブが無制限に溜まっていくことがなくなり、機密保持に有効に作用することになる。
【0118】
また、受取人は、第3者に対してジョブ実行コマンドの発生権利を与えることもできるようにもなる。
【0119】
なお、上記第1乃至第3の実施形態で説明したプリンタ102は、上記の処理を実現するための処理プログラムを内臓するものとして説明したが、例えば、図2におけるプリンタ105が一般的なプリンタであり、それが接続されているPC104がプリントサーバとして機能し、そのプリントサーバのプログラムがプリンタ102と同様の処理を行うようにしても構わない。
【0120】
また、上記第1乃至第3の実施形態では、出力対象デバイスとしてプリンタを用いたが、ネットワーク上に接続されたFAXが有するプリンタ部や複写機が有するプリンタ部等でも良いのは勿論である。
【0121】
また、上記実施形態は、ネットワーク、ネットワークへの接続するためのカードもしくはボード等のハードウェアを必要とするものの、パーソナルコンピュータをはじめとする汎用情報処理装置に、組み込むソフトウェアによって実現できる。
【0122】
従って、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0123】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0124】
以上説明したように、本実施形態によれば、ジョブデータを発行する場合に、ジョブの実行許可に必要なジョブ属性(特に「ジョブ受取人」の識別情報やパスワード)をジョブデータに付加して該ジョブデータを発行してプリンタなどのデバイスへ送信し、該ジョブの実行許可に必要なジョブ属性を、「ジョブ発行通知」として「ジョブ発行人」から「ジョブ受取人」に転送し、「ジョブ受取人」がジョブ実行指示する場合には、該ジョブの実行許可に必要なジョブ属性を付加した、ジョブ実行指示コマンドデータを該デバイスへ送信して実行を指示することにより、「ジョブ受取人」だけが任意のタイミングでジョブの実行結果(印刷出力結果など)を得ることが可能となり、目的となる出力結果を「ジョブ受取人」だけに効率よく転送可能なシステムを提供できるという効果がある。
【0125】
また、ジョブデータを発行する場合に、「ジョブの実行許可に必要なジョブ属性(特に「ジョブ受取人」の識別情報やパスワード)」および「ジョブのライフタイムを管理するジョブ属性(ジョブの有効期限など)」をジョブデータに付加して該ジョブデータを発光してプリンタなどのデバイスへ送信し、該「ジョブの実行許可に必要なジョブ属性」および「ジョブのライフタイムを管理するジョブ属性」を、「ジョブ発行通知」として「ジョブ発行人」から「ジョブ受取人」に転送し、「ジョブ受取人」がジョブ実行指示する場合には、該「ジョブの実行許可に必要なジョブ属性」を付加した、ジョブ実行指示コマンドデータを該デバイスへ送信してジョブ実行を指示することにより、「ジョブ受取人」だけが任意のタイミングでジョブの実行結果(印刷出力結果など)を得ることが可能で、かつ、発行されたジョブのライフタイムにジョブ発行人の意志を反映させることが可能となるため、気密性が高く、また該デバイス内におけるジョブの生存期間が明確なシステムを提供できるという効果がある。
【0126】
また、「ジョブ受取人」がさらに第三者に「ジョブ発行通知」を転送することにより、発行されたジョブの可搬性を向上させることが可能となるため、二者間あるいは三者間におけるジョブの伝達効率を向上させるという効果がある。
【技術分野】
【0001】
本発明は出力装置及びその制御方法及び記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータを相互に接続したローカルエリアネットワーク(LAN)が普及しており、このようなローカルエリアネットワークは、ビルのフロアまたはビル全体、ビル群(構内)、地域、あるいはさらに大きいエリアにわたって構築することができる。このようなネットワークは更に相互に接続され、世界的規模のネットワーク、いわゆる“インターネット”を形成している。
【0003】
そして、LANもしくはインターネットには、コンピュータの他に、プリンタやファクシミリといったコンピュータ周辺機器も接続されていることが多く、コンピュータからネットワーク経由で利用可能になっている。
【0004】
このようにネットワークに接続されたコンピュータ周辺機器は、一般に、コンピュータの台数もしくはコンピュータを利用するユーザ数よりも少なく、複数のコンピュータもしくはユーザにより共有されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ネットワークの或るコンピュータ上で作成した文書を、他人に渡す場合、一般に次の2通りのいずれかで行っていた。
・自身が印刷して、その印刷物を手渡す、もしくは郵送する。
・作成した文書の電子ファイル(文書ファイル)を、受取人に転送、もしくは媒体に記憶して渡し、出力してもらう。
【0006】
しかしながら、前者については即時性に欠ける、出力結果を送る場合には一般的にコストが高くなる、という問題がある。
【0007】
一方、後者については、その文書ファイルを作成するときに用いたアプリケーションが、相手先の装置にインストールされていなければならない、という問題がある。
【0008】
上記問題を解決するために、受取人の近くにあるプリンタやFAXへデータを送信、出力し、受取人に対して、電話等でその旨を知らせるという手段も考えられるが、この場合に以下の問題が残る。
【0009】
・受取人の都合によらず、当該コンピュータ周辺機器からデータが出力されてしまうため、出力結果が受取人以外の人に見られる可能性があり、機密性が欠ける。
【0010】
・同じく受取人の都合によらず、当該コンピュータ周辺機器からデータが出力されてしまうため、当該コンピュータ周辺機器の出力トレイにたくさんの出力用紙が溜まってしまう。
【0011】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、出力データと、当該出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報とを対応付けて記憶しておき、記憶された出力データが、複数の受取人によって受け取られたことに従って、出力データを無効化する出力装置及びその制御方法及び記憶媒体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題を解決するため、例えば本発明の出力装置は以下の構成を備える。すなわち、
出力データを入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報を受付ける受付手段と、
前記入力手段によって入力された出力データと、前記受付手段によって受付けた受取人識別情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶された出力データが、当該出力データに対応付けて記憶された受取人識別情報で示される複数の受取人によって出力されたことに従って、前記記憶手段に記憶された出力データを無効化する無効化手段とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、出力データと、当該出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報とを対応付けて記憶しておき、記憶された出力データが、複数の受取人によって受け取られたことに従って、出力データを無効化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態におけるジョブ生成ソフトウェアおよびその周辺動作環境の概念図である。
【図2】実施形態が適用するネットワーク構成例を示す図である。
【図3】実施形態におけるパーソナルコンピュータのブロック構成図である。
【図4】第1の実施形態におけるジョブ生成ソフトウェアの動作関係を示す概要図である。
【図5】本実施形態におけるジョブ発行手段の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図6】第1の本実施形態における「ジョブ発行通知」送信手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第1の本実施形態における「ジョブ発行通知」受信手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第1の本実施形態におけるジョブ実行指示手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第2の本実施形態における「ジョブ発行通知」送信手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第2の本実施形態における「ジョブ発行通知」受信手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第2の本実施形態におけるジョブ実行指示手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第1、第2の本実施形態のジョブデータおよびジョブ実行指示コマンドデータで使用されるオペレーションを示す図である。
【図13】各オペレーションの詳細なデータ構造図である。
【図14】各オペレーションの詳細なデータ構造図である。
【図15】各オペレーションの詳細なデータ構造図である。
【図16】各オペレーションの詳細なデータ構造図である。
【図17】各オペレーションの詳細なデータ構造図である。
【図18】ジョブデータおよびジョブ実行指示コマンドデータで使用されるジョブ属性を示す図である。
【図19】ジョブ発行時のジョブデータの送信シーケンス図である。
【図20】ジョブ実行指示時のコマンドデータの送信シーケンス図である。
【図21】第1の実施形態におけるプリンタのブロック構成図である。
【図22】図21におけるジョブ管理テーブルの内容の一例を示す図である。
【図23】第3の実施形態におけるジョブ生成ソフトウェアおよびその周辺動作環境の概念図である。
【図24】第3の実施形態におけるジョブ生成ソフトウェアの動作関係を示す概要図である。
【図25】第3の本実施形態におけるジョブ発行手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図26】第3の本実施形態における「ジョブ発行通知」受信手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図27】第3の実施形態におけるジョブ実行指示手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図28】第3の実施形態におけるジョブ転送手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図29】第3の本実施形態のジョブデータおよびジョブ実行指示コマンドデータで使用されるオペレーションを示す図である。
【図30】第3の実施形態で追加されたジョブ修正コマンドデータの構造図である。
【図31】第3の実施形態におけるジョブデータおよびジョブ実行指示コマンドデータで使用されるジョブ属性を示す図である。
【図32】第3の実施形態におけるジョブ属性修正時のコマンドデータの送信シーケンスを示す図である。
【図33】第3の実施形態におけるプリンタの動作処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に従って本発明にかかる実施形態を詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
まず本発明の実施形態が利用するネットワークについて説明する。なお、以下ではパーソナルコンピュータ(ワークステーションでも良い)をPCと表記することにする。
【0017】
図2は、実施形態が適用するネットワークシステムの例を示している。
【0018】
図示において、102は開放型アーキテクチャを持つプリンタであり、ネットワークに接続するためのネットワークボード(NB)101を装着している。NB101はローカルエリアネットワーク(LAN)100へ、例えば、同軸コネクタをもつEthernet(登録商標)インターフェース10Base−2や、RJ−45を持つ10Base−T等のLANインターフェースを介してつながれている。
【0019】
PC103やPC104等の複数のパーソナルコンピュータ(PC)もまた、ネットワーク100に接続されており、ネットワークオペレーティングシステムの制御の下、これらのPCはNB101と通信することができる。なお、プリンタには、プリンタ101のように直接ネットワークに接続されているもの、プリンタ105のようにPCに接続されているものがある。
【0020】
通常、LAN100などのLANは、一つの建物内の一つの階又は連続した複数の階でのユーザグループ等の、幾分ローカルなユーザグループにサービスを提供する。例えば、ユーザが他の建物や他県に居るなど、あるユーザが他のユーザから離れるに従って、ワイドエリアネットワーク(WAN)を作ってもよい。WANは、基本的には、いくつかのLANを高速度サービス総合デジタルネットワーク(ISDN)電話線等の高速度デジタルラインで接続して形成された集合体である。
【0021】
従って、図2に示すように、LAN100と、LAN110と、LAN120とは変調/復調(MODEM)/トランスポンダー130及びバックボーン140を介して接続されWANを形成する。これらの接続は、数本のバスによる単純な電気的接続である。それぞれのLANは専用のPCを含み、また、必ずしも必要なわけではないが、通常はファイルサーバー及びプリントサーバーを含む。
【0022】
従って図2に示すように、LAN110は、PC111と、PC112と、ファイルサーバー113と、ネットワークディスク114と、プリントサーバー115と、プリンタ116及びプリンタ117とを含む。対照的に、LAN120はPC121とPC122のみを含む。LAN100と、LAN110と、LAN120とに接続されている機器は、WAN接続を介して、他のLANの機器の機能にアクセスすることができる。
【0023】
上記ネットワーク環境において、ネットワーク上のPCが、ネットワーク上の他のデバイスに対してジョブを生成する例を説明する。より具体的には、ネットワーク110上のPC111から、ネットワーク100の或るユーザ向けに、そのネットワーク100上のプリンタ101で印刷出力する場合である。
【0024】
図3は、ジョブ生成ソフトウェアが稼動可能なPCの構成を示すブロック図であり、全PCは全て同様の構成をしているものであるが、便宜的にここではPC111として説明する。
【0025】
PC111は、ROM502もしくはハードディスク(HD)511に記憶された、あるいはフロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FD)512より供給されるジョブ生成ソフトウェアを実行するCPU501を備え、システムバス504に接続される各デバイスを総括的に制御する。503はRAMで、CPU501の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0026】
505はキーボードコントローラ(KBC)で、キーボード(KB)509や不図示のポインティングデバイス等からの指示入力を制御する。506はCRTコントローラ(CRTC)で、CRTディスプレイ(CRT)510の表示を制御する。507はディスクコントローラ(DKC)で、ブートプログラム、種々のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイルそしてネットワーク管理プログラム等を記憶するハードディスク(HD)511およびフロッピー(登録商標)ディスクコントローラ(FD)512とのアクセスを制御する。508はネットワークインタフェースカード(NIC)で、LAN100を介して、エージェントあるいはネットワーク機器と双方向にデータをやりとりする。
【0027】
先に説明したように、上記構成はPC111だけのものではなく、他のPCも同様の構成を成す。
【0028】
<<ジョブ生成ソフトウェアの構成>>
次に、本実施形態におけるジョブ生成ソフトウェアの構成について説明する。
【0029】
本発明のジョブ生成装置は、図3に示したようなジョブ生成ソフトウェアを実行可能なPC上に実現される。ハードディスク(HD)511には、後述のすべての説明で動作主体となる本願に係るジョブ生成ソフトウェアのプログラムが格納される。後述のすべての説明において、特に断りのない限り、実行の主体はハード上はCPU501である。一方、ソフトウェア上の制御の主体は、ハードディスク(HD)511に格納されたジョブ生成ソフトウェアである。
【0030】
なお本願に係るジョブ生成ソフトウェアプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROMなどの記憶媒体に格納された形で供給されても良く、その場合には図3に示すフロッピー(登録商標)ディスクコントローラ(FD)512または不図示のCD−ROMドライブなどによって記憶媒体からプログラムが読み取られ、ハードディスク(HD)511にインストールされる。
【0031】
図1は、上記構成のPC111を、ジョブ生成ソフトウェアおよびその周辺機能部として見た場合の概念構成図である。なお、他のPCも同様の構成であることを付言しておく。
【0032】
図中、2は、ジョブデータの発行やジョブデータの出力実行指示を行うジョブ生成ソフトウェアであり、図3におけるハードディスク511に格納され、CPU501によって実行される。またジョブ生成ソフトウェア2内部のジョブ認識用メモリ14やジョブ実行情報用メモリ15はRAM503が使用され、RAM503はCPU501がジョブ生成ソフトウェアを実行するためのワークエリアとしても使用される。
【0033】
3は、ユーザの入力をジョブ生成ソフトウェア2へ伝達する入力部であり、図3におけるキーボードコントローラ505で実現される。4は、ジョブ生成ソフトウェア2がネットワークとの通信を行う場合のネットワークプロトコルおよびネットワークボードの制御を行う、ネットワーク制御部であり、CPU501およびNIC508により実現される。
【0034】
以上のような構成において、本実施形態では、PC111及びPC103上で上記ジョブに関するソフトウェアを起動して、PC111からPC103が接続されたネットワーク上のプリンタ102においてジョブの印刷(出力)を行う。この場合の動作手順について以下にその詳細を説明する。
【0035】
なお、以下の処理を行う前の前提条件として、プリンタ102では本ジョブ生成ソフトウェアに対応するジョブ出力機能を実装しているものとする(詳細は後述)。
【0036】
まず、図1および図4を用いて、本実施形態の動作概要を説明する。本ジョブ生成ソフトウェアは、図1に示すように、
・ジョブ発行手段10
・「ジョブ発行通知」送信手段11
・「ジョブ発行通知」受信手段12
・ジョブ実行指示手段13
・ジョブ認証情報用メモリ14
・ジョブ実行情報用メモリ15
によって構成される。
【0037】
本実施形態では、図4に示すように、PC111において、ジョブ発行手段(10)と「ジョブ発行通知」送信手段(11)が順次実行され、PC103において、「ジョブ発行通知」受信手段(12)とジョブ実行指示手段(13)が順次実行される。そして、PC111においては、ユーザAがジョブ発行人として、ユーザBへのジョブの発行を実行し、PC103においては、ユーザBがジョブ受取人として、ジョブの印刷実行を指示する。
【0038】
では、以下各手段の詳細を説明する。
【0039】
図5のフローチャートは、ジョブ発行手段における処理手順を示している。
【0040】
このジョブ発行手段は、例えばプリンタドライバに組み込まれていると考えれば分かり易い。すなわち、アプリケーション上で印刷指示したとき、それがトリガになって動作を開始する。
【0041】
先ず、ステップS101において、ユーザA=ジョブ発行人によるジョブ発行指示(使用中のアプリケーション上で)がKBC505から入力される。以下ユーザAからの入力はKBC505から実行される。
【0042】
ステップS102において、ユーザAはジョブデータの送信先(印刷先)のデバイス(この場合はプリンタ102)を識別する情報が入力され、その印刷先デバイス識別情報をジョブ認証情報用メモリ14へ記録する。印刷先デバイス識別情報としては、印刷先のデバイスのIPアドレスやネットワーク上の名前(DNSがある場合)を使用する。
【0043】
次いで、ステップS103において、ユーザAはジョブの受取人の指定およびジョブ受取人の識別情報を入力し、そのジョブ受取人識別情報を、ジョブ認証情報用メモリ14に記録する。ジョブ受取人を指定する場合、電子メールのアドレス帳情報や、サーバやユーザグループ等に登録されているネットワークログイン名のリストを使用する。そして、ジョブ受取人識別情報としては、電子メールアドレスやログイン名などを使用する。なおジョブ受取人は複数指定することが可能である。
【0044】
ステップS104では、ユーザAからジョブ実行のための任意のパスワードが入力され、そのパスワードをジョブ認証情報用メモリ14に記録する。ステップS105において、発行中の該ジョブを識別するためのジョブIDを生成し、そのジョブIDをジョブ認証情報用メモリ14に記録する。
【0045】
ステップS106において、印刷するためのデータ本体と、ジョブ認証情報用メモリ14に記録された上記の各情報、およびその他のジョブ付属属性(ジョブ発行人識別情報やジョブ生成日時など)を基にして、ジョブデータ(プリンタ101が解釈できるプリンタ言語に変換した印刷データを含む)を発行し、ステップS107において、該ジョブデータを、該印刷先デバイスへ送信する。そして、送信された該ジョブデータはプリンタ102内に蓄積される(ステップ106で発行されるジョブデータのデータ構造に関しては図12〜図18、およびステップS107で実行される送信シーケンスに関しては、図19に示す)。
【0046】
次に、図6のフローチャートにおいて、「ジョブ発行通知」送信手段について説明する。本手段は、前記ジョブ発行手段によって、ジョブが発行されたことを、PC111からPC103へ通知するための「ジョブ発行通知」を送信するための手順である。
【0047】
先ず、ステップS201において、ジョブ認証情報用メモリ14から印刷先デバイス識別情報、ジョブID、ジョブ受取人識別情報、およびパスワードを取得する。
【0048】
ステップS202において、変数Nにジョブ受取人の数を代入する。ステップS203において、変数N≠0ならばステップS204を実行し、変数N=0ならば本手段を終了する。
【0049】
ステップS204において、ジョブ受取人に対して、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、およびパスワードを「ジョブ発行通知」として、ネットワーク経由で送信する。「ジョブ発行通知」をネットワーク経由で送信する具体的な方法に関しては、電子メールもしくはサーバやユーザグループのメッセージングサービスを利用することで実現する。
【0050】
ステップS205において、変数Nを1減らして、ステップS203へ進む。
【0051】
次に、図7のフローチャートにおいて、「ジョブ発行通知」受信手段(PC103側として考えると分かり易い)について説明する。
【0052】
ステップS301において、該「ジョブ発行通知」を受信した旨を、ユーザBに対して表示する。
【0053】
ステップS302において、受信した該「ジョブ発行通知」から、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、およびパスワードを取得する。
【0054】
ステップS303において、上記取得した各情報を、ジョブ実行情報用メモリ15へ記録する。
【0055】
次に、図8のフローチャートにおいて、ジョブ実行指示手段(PC103側)について説明する。
【0056】
ステップS401において、ジョブ実行情報用メモリ15から、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、およびパスワードを取得する。
【0057】
ステップS402において、上記取得した各情報およびジョブ受取人=ユーザBの識別情報など基に、ジョブ実行指示コマンドデータを生成する。
【0058】
ステップS403において、印刷先デバイス(プリンタ102)に対し、上記ジョブ実行指示コマンドデータを送信する。なお、上記ジョブ実行指示コマンドデータのデータ構造に関しては図12、図17、図18、およびその送信シーケンスに関しては、図20に示す。
【0059】
一方、プリンタ102は、例えば図21に示すような構造を成している。
【0060】
図中、200は装置全体の制御を司るCPUであり、202は実施形態における印刷処理手順であるプログラム及びジョブ管理プログラムの他、フォントデータを格納しているROMである。202はCPU200のワークエリアとして使用されるRAMであり、ここには図示の如くジョブ管理テーブル202aが確保されている。203は印刷データをファイルとして格納するためのハードディスクである。101は先に説明したNB、204は各種設定を行うためのスイッチ及びメッセージ等を表示する表示操作パネルを有する操作パネルである。205は印刷出力する際のビットマップイメージを展開する画像メモリ、206はプリンタエンジンインターフェース、207はプリンタエンジンである。
【0061】
図22は、ジョブ管理テーブルの内容を示している。図示の如く、ジョブ管理テーブルは、1つのジョブについて1行が対応しており、ジョブID、受取時間、発行人(上記実施形態ではユーザA)、ユーザAが設定したパスワード、受取人(複数の存在を許容する)、及び、HD203にファイルとして格納された印刷データファイル名で構成される。
【0062】
本プリンタ102は、1つのジョブに対し、複数の受取人が設定可能であるので、受取人の欄には、複数の受取人を特定する情報が格納されると共に、各受取人から印刷指示を受けたときに、その受取人に対して印刷が完了したか否かを示すフラグを設けた。図示の場合、受取人としてAAA,BBB,CCCの3人が存在し、そのいずれからも印刷指示がない状態を示すため“0”をセットするようにした。そして、例えば、AAAというユーザから印刷指示があった場合には、印刷処理を行うと共に、その印刷が正常に完了したときに、そのユーザAAAに対するフラグを“1”にセットする。そして、全てのユーザのフラグが“1”になった段階で、該当するジョブをジョブ管理テーブル202aから抹消すると共に、HD203に格納されていたファイル(印刷データ)を削除する。
【0063】
上記構成において、本プリンタ102は、ネットワーク上から印刷ジョブを受信情報すると、その中に含まれる情報に基づいてジョブ管理テーブル202aにそのジョブを追加すると共に、実体である印刷データをハードディスク203にファイルとして格納する。
【0064】
そして、ネットワーク上から、ジョブ実行指示(ヘッダを調べることで判定できる)があった場合には、その中に含まれるジョブIDやパスワード、及び要求元情報が記憶されている管理テーブルに存在するか否かを認証処理を行い、この認証処理をパスしたジョブについての印刷を行う。
【0065】
以上の結果、本実施形態によれば、ネットワークを介して、ユーザAからユーザBに対して文書を渡すとき、プリンタより出力される形式のデータを直接プリンタに送信し、ユーザBは単にそのプリンタに対して印刷を行うような作業をするだけで良くなる。従って、受取人であるユーザBが使用するPC上には、ユーザAが使用したアプリケーションがインストールされている必要もなくなり、尚且つ、印刷された書類ではなく電子データ形式で送信するので、低コストで文書のやりとりが可能になる。
【0066】
<第2の実施形態2>
上記第1の実施形態においては、ジョブIDやパスワードなどのジョブ認証およびジョブ実行指示に必要な情報を「ジョブ発行通知」として、ジョブ発行人側=PC111からジョブ受取人側=PC103に送信し、ジョブ受取人側にてジョブ実行指示コマンドデータを生成していた。
【0067】
本第2の実施形態においては、ジョブ実行指示コマンドデータそのものをジョブ発行人側=PC111にて生成する実施形態について記述する。つまり、ジョブ受取人側の処理で、ジョブ実行指示コマンドを生成する処理をなくし、発行人側から送られてきたジョブ実行指示コマンドを単純にプリンタに出力する例である。
【0068】
実行環境にかかるジョブ生成ソフトウェアの構成については、第1の実施形態と同様である。
【0069】
以下、本実施形態における各手段の詳細について説明する。
【0070】
ジョブ発行手段については、第1の実施形態と同様である(図5のフローチャートおよび第1の実施形態を参照)。そこで、先ず、「ジョブ発行通知」送信手段について、図9のフローチャートに従って説明する。
【0071】
ステップS501において、ジョブ認証情報用メモリ14から印刷先デバイス識別情報、ジョブID、ジョブ受取人識別情報、およびパスワードを取得する。
【0072】
ステップS502において、変数Nにジョブ受取人の数を代入する。ステップS503において、変数N≠0ならばステップS504を実行し、変数N=0ならば本手段を終了する。ステップS504において、ジョブ受取人に対して、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、およびパスワードを基に、ジョブ実行指示コマンドデータを生成する(ジョブ指示実行コマンドデータのデータ構造の詳細は図12、図17、図18に示す。)
ステップS505において、上記ジョブ実行指示コマンドデータを「ジョブ発行通知」として、ネットワーク経由で送信する。「ジョブ発行通知」をネットワーク経由で送信する具体的な方法に関しては、電子メールもしくはサーバやユーザグループのメッセージングサービスを利用することで実現する。
【0073】
ステップS506において、変数Nを1減らして、ステップS503へ進む。
【0074】
次に、図10のフローチャートにおいて、「ジョブ発行通知」受信手段について説明する。
【0075】
ステップS601において、該「ジョブ発行通知」を受信した旨を、ユーザBに対して表示する。ステップS602において、受信した該「ジョブ発行通知」から、ジョブ実行指示コマンドデータを取得する。ステップS603において、上記取得したジョブ実行指示コマンドデータを、ジョブ実行情報用メモリ15へ記録する。
【0076】
次に、図11のフローチャートにおいて、ジョブ実行指示手段について説明する。
【0077】
ステップS701において、ジョブ実行情報用メモリ15から、ジョブ実行指示コマンドデータを取得する。ステップS702において、印刷先デバイスに対し、上記ジョブ実行指示コマンドデータを送信する。ジョブ実行指示コマンドデータの送信シーケンスに関しては、図20に示す通りである。
【0078】
以上説明したように本第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏し、しかも受取人側での処理が簡略化されるようになる。
【0079】
<第3の実施形態>
上記第1、第2の実施形態では、最終的に印刷出力するのは受取人が印刷指示を行う場合であった。つまり、発行人が一旦、印刷ジョブを発行してしまった後のそのジョブの管理は受取人側次第ということになり、発行人側での介在ができなくなってしまう。また、場合によっては、プリンタ側にジョブが溜まってしまうという問題もある。
【0080】
そこで、本第3の実施形態では、これを解決する例を説明する。
【0081】
説明を簡単にするため、ネットワークの構成は、図2と同じとし、ジョブ発行する側もPC111、受取人側のPCも103、実際に印刷処理するプリンタも102として説明する。
【0082】
<<ジョブ生成ソフトウェアの構成>>
本第3の実施形態におけるジョブ生成ソフトウェアの構成について説明する。
【0083】
図23は、PC111を、ジョブ生成ソフトウェアおよびその周辺機能部として見た場合の、第3の実施形態における概念構成図である。第1の実施形態(図1)と異なる点は、「ジョブ発行通知」の転送手段16を追加した点にある。すなわち、PC111が実装するソフトウェアは、
・ジョブ発行手段10
・「ジョブ発行通知」送信手段11
・「ジョブ発行通知」受信手段12
・ジョブ実行指示手段13
・ジョブ認証情報用メモリ14
・ジョブ実行情報用メモリ15
・「ジョブ発行通知」転送手段16
によって構成される。
【0084】
本第3の実施形態では、図4に示すように、PC111において、ジョブ発行手段10と「ジョブ発行通知」送信手段11が順次実行され、PC103において、「ジョブ発行通知」受信手段12が実行された後、ユーザの任意によりジョブ実行指示手段13もしくは「ジョブ発行通知」転送手段16が実行される。そして、PC111においては、ユーザAがジョブ発行人として、ユーザBへのジョブの発行を実行し、PC103においては、ユーザBがジョブ受取人として、ジョブの印刷実行、もしくは、「ジョブ発行通知」の転送を指示する。
【0085】
以下、上記各手段の動作処理内容について詳細を説明する。
【0086】
図5のフローチャートは、ジョブ発行手段における処理手順を示している。
【0087】
先ず、ステップS1101において、ユーザA=ジョブ発行人によるジョブ発行指示(使用中のアプリケーション上)がKBC505から入力される。以下ユーザAからの入力はKBC505から実行される。
【0088】
ステップS1102において、ユーザAはジョブデータの送信先(印刷先)のデバイス(この場合はプリンタ102)を識別する情報が入力され、その印刷先デバイス識別情報をジョブ認証情報用メモリ14へ記録する。印刷先デバイス識別情報としては、印刷先のデバイスのIPアドレスやネットワーク上の名前(DNSがある場合)を使用する。
【0089】
次いで、ステップS1103において、ユーザAはジョブの受取人の指定およびジョブ受取人の識別情報を入力し、そのジョブ受取人識別情報を、ジョブ認証情報用メモリ14に記録する。ジョブ受取人を指定する場合、電子メールのアドレス帳情報や、サーバやユーザグループ等に登録されているネットワークログイン名のリストを使用する。そして、ジョブ受取人識別情報としては、電子メールアドレスやログイン名などを使用する。なおジョブ受取人は複数指定することが可能である。
【0090】
ステップS1104において、前記入力されたジョブ受取人の数を基に、ジョブの実行許可数として算出し、ジョブ認証情報用メモリ14に記録する。そして、ステップS1105において、ユーザAからジョブの有効期限が入力され、そのジョブ有効期限をジョブ認証情報用メモリ14に記録する。ステップS1106では、ユーザAからジョブ実行のための任意のパスワードが入力され、そのパスワードをジョブ認証情報用メモリ14に記録する。
【0091】
ステップS1107において、発行中の該ジョブを識別するためのジョブIDを生成し、そのジョブIDをジョブ認証情報用メモリ14に記録する。
【0092】
ステップS1108において、印刷するためのデータ本体と、ジョブ認証情報用メモリ14に記録された上記の各情報、およびその他のジョブ付属属性(ジョブ発行人識別情報やジョブ生成日時など)を基にして、ジョブデータを発行し、ステップS1109において、該ジョブデータを、該印刷先デバイス(プリンタ102)へ送信する。なお、ステップS1108で発行されるジョブデータのデータ構造に関しては、図29、図13〜図17、図30、およびステップS1109で実行される送信シーケンスに関しては、図19に示す通りである。
【0093】
そして、送信された該ジョブデータはプリンタ102内に蓄積され、入力されたジョブの有効期限が満了するか、もしくはジョブの実行許可数が0になると、プリンタ102から排除(消去)される。
【0094】
本第3の実施形態における「ジョブ発行通知」送信手段であるが、これは第1の実施形態を同様であるので、その詳細は第1の実施形態を参照されたい。
【0095】
次に、図26のフローチャートを用いて、第3の実施形態における「ジョブ発行通知」受信手段(PC103側の処理)について説明する。
【0096】
先ず、ステップS1301において、「ジョブ発行通知」を受信した旨を、ユーザBに対して表示する。次いで、ステップS1302において、受信した該「ジョブ発行通知」から、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、ジョブ有効期限およびパスワードを取得する。
【0097】
ステップS1303では、上記取得した各情報を、ジョブ実行情報用メモリ15へ記録する。
【0098】
次に、図27のフローチャートに従ってジョブ実行指示手段(PC103側)について説明する。
【0099】
先ず、ステップS1401において、ジョブ実行情報用メモリ15から、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、およびパスワードを取得する。次いで、ステップS1402において、上記取得した各情報およびジョブ受取人=ユーザBの識別情報など基に、ジョブ実行指示コマンドデータを生成する。そして、ステップS1403において、印刷先デバイスに対し、上記ジョブ実行指示コマンドデータを送信する。次いで、ステップS1404において、該ジョブの実行許可数のカウントを1減らすため、ジョブ修正属性コマンドデータを生成する。最後に、ステップS1405において、印刷先デバイスに対し、上記ジョブ属性修正コマンドデータを送信する。
【0100】
なお、上記ジョブ実行指示コマンドデータおよびジョブ属性修正コマンドデータのデータ構造に関しては図29、図13〜図17、及び図30に示す通りである。また、その送信シーケンスに関しては、図20、図32に示す通りである。
【0101】
次に、図28のフローチャートにおいて、「ジョブ発行通知」転送手段について説明する。本手段は、上記「ジョブ発行通知」受信手段によって、「ジョブ発行通知」が受信された場合に、さらに他のユーザCへ「ジョブ発行通知」を転送するための手順である。
【0102】
先ず、ステップS1501において、ジョブ実行情報用メモリ15から印刷先デバイス識別情報、ジョブID、ジョブの有効期限、およびパスワードを取得する。次いで、ステップS1502において、ユーザBによってジョブ転送先が入力される。
【0103】
ステップS1503では、該ジョブのジョブ受取人を変更するためのジョブ属性修正コマンドデータを生成する。
【0104】
ステップS1504において、該印刷先デバイスに対し、該ジョブ属性修正コマンドデータを送信する。
【0105】
ステップS1505において、ジョブ転送先に対して、印刷先デバイス識別情報、ジョブID、およびパスワードを「ジョブ発行通知」として、ネットワーク経由で送信する。「ジョブ発行通知」をネットワーク経由で送信する具体的な方法に関しては、電子メールもしくはサーバやユーザグループのメッセージングサービスを利用することで実現する。
【0106】
なお、上記ジョブ発行通知の転送を行えるのは、ジョブ発行通知を受けた者のみとなるのは上記処理から理解できよう。
【0107】
また、上記ジョブ属性修正コマンドデータのデータ構造に関しては、図29、図30、図31に示し、その送信シーケンスに関しては、図32に示す通りである。
【0108】
一方、プリンタ102は、図21の構成に加えて、内部にタイマを備え計時する機構を備えることになる。そして、ジョブ管理テーブル202aには、ジョブの有効期限、ジョブ実行回数を計数するカウンタ変数の欄が追加されることになる。
【0109】
そして、現在の日時をタイマより得、各ジョブの有効期限とを比較し、有効期限を過ぎているジョブについてはメモリより抹消する。また、ジョブ実行コマンドを受信した場合には、そのコマンドに含まれるデータに合致するジョブを読み込み実行する(該当する印刷データに基づく印刷処理を行う)。
【0110】
また、ジョブ属性の修正コマンドがあった場合には、そのコマンドに含まれる修正箇所に対応するテーブル内の該当するレコードを修正する。例えば、ジョブ実行回数を減らす指示の場合には該当するジョブのカウンタ変数を“1”だけ減らし、それが“0”になったらそのジョブを削除する。また、ジョブの受取人の変更を示すコマンドの場合、ジョブ管理テーブル中の受取人のレコード中、その変更を指示してきた受取人を抹消すると共に、変更指示を受けた新たな受取人を登録する処理を行うことになる。
【0111】
具体的な処理例を示せば、図33のようになる。
【0112】
先ず、ステップS2001でネットワークより情報が受信されたか否かを判断する。否の場合には、ステップS2002に進み、タイマの時刻と管理テーブル202aに登録された各ジョブの有効期限とを比較し、有効期限を過ぎたジョブがあるかどうかを判断する。有効期限切れのジョブがあった場合には、ステップS2003でそのジョブを管理テーブル202aより削除すると共に、印刷データファイルをHD203より削除する。
【0113】
また、ステップS2001で何らかの情報を受信したと判断した場合には、ステップS2004に進み、その情報はジョブ発行データであると判断した場合には、ステップS2005においてそのジョブを受信すると共に印刷データの部分をファイルとしてHD203に格納する。次いで、ステップS2006においてジョブ管理テーブル202aに登録する。
【0114】
また、ジョブ発行データではないと判断した場合には、ステップS2007に進んで、ジョブ実行コマンドか否かを判断する。ジョブ実行コマンドであると判断した場合には、そのコマンドで指定されたジョブIDで示されるジョブの受取人の欄に、そのジョブ実行コマンドの送信元(上記実施形態ではPC103)が含まれ、尚且つ、パスワードも合致するか否かを判断することで、認証処理を行う。この認証処理がパスすると、ステップS2009において、該当するジョブを印刷キューに登録する。
【0115】
説明が前後するが、実施形態におけるプリンタ102は、ジョブが印刷キューに登録されると、その登録順にそのジョブに対する印刷処理を行う処理プログラムが別途動作しているものとしている。
【0116】
さて、ジョブ実行コマンドでもないと判断された場合、処理はステップS2007からステップS2010に進み、ジョブ修正コマンドかどうかを判断する。ジョブ修正コマンドには、先に説明したように、カウンタをディクリメントする、受取人を修正する等の処理が含まれる。修正コマンド以外であると判断した場合には、ステップS2011に進み、対応する処理を行うが、修正コマンドであると判断した場合には、ステップS2012で修正対象のジョブに対して、修正コマンドを発行元のユーザがその権利を有するか否かを、ステップS2008と同様にして判断する。次いで、ステップS2014に進み、ジョブ管理テーブル202aを調べ、その中にカウンタが“0”になったジョブがあるか否かを判断し、もし有れば、ステップS2015でそのジョブを消去する。
【0117】
以上の結果、本第3の実施形態によれば、上記第1の実施形態に加えて、ジョブの発行元側で、ジョブに対する有効期限が設定できるので、プリンタ内にジョブが無制限に溜まっていくことがなくなり、機密保持に有効に作用することになる。
【0118】
また、受取人は、第3者に対してジョブ実行コマンドの発生権利を与えることもできるようにもなる。
【0119】
なお、上記第1乃至第3の実施形態で説明したプリンタ102は、上記の処理を実現するための処理プログラムを内臓するものとして説明したが、例えば、図2におけるプリンタ105が一般的なプリンタであり、それが接続されているPC104がプリントサーバとして機能し、そのプリントサーバのプログラムがプリンタ102と同様の処理を行うようにしても構わない。
【0120】
また、上記第1乃至第3の実施形態では、出力対象デバイスとしてプリンタを用いたが、ネットワーク上に接続されたFAXが有するプリンタ部や複写機が有するプリンタ部等でも良いのは勿論である。
【0121】
また、上記実施形態は、ネットワーク、ネットワークへの接続するためのカードもしくはボード等のハードウェアを必要とするものの、パーソナルコンピュータをはじめとする汎用情報処理装置に、組み込むソフトウェアによって実現できる。
【0122】
従って、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0123】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0124】
以上説明したように、本実施形態によれば、ジョブデータを発行する場合に、ジョブの実行許可に必要なジョブ属性(特に「ジョブ受取人」の識別情報やパスワード)をジョブデータに付加して該ジョブデータを発行してプリンタなどのデバイスへ送信し、該ジョブの実行許可に必要なジョブ属性を、「ジョブ発行通知」として「ジョブ発行人」から「ジョブ受取人」に転送し、「ジョブ受取人」がジョブ実行指示する場合には、該ジョブの実行許可に必要なジョブ属性を付加した、ジョブ実行指示コマンドデータを該デバイスへ送信して実行を指示することにより、「ジョブ受取人」だけが任意のタイミングでジョブの実行結果(印刷出力結果など)を得ることが可能となり、目的となる出力結果を「ジョブ受取人」だけに効率よく転送可能なシステムを提供できるという効果がある。
【0125】
また、ジョブデータを発行する場合に、「ジョブの実行許可に必要なジョブ属性(特に「ジョブ受取人」の識別情報やパスワード)」および「ジョブのライフタイムを管理するジョブ属性(ジョブの有効期限など)」をジョブデータに付加して該ジョブデータを発光してプリンタなどのデバイスへ送信し、該「ジョブの実行許可に必要なジョブ属性」および「ジョブのライフタイムを管理するジョブ属性」を、「ジョブ発行通知」として「ジョブ発行人」から「ジョブ受取人」に転送し、「ジョブ受取人」がジョブ実行指示する場合には、該「ジョブの実行許可に必要なジョブ属性」を付加した、ジョブ実行指示コマンドデータを該デバイスへ送信してジョブ実行を指示することにより、「ジョブ受取人」だけが任意のタイミングでジョブの実行結果(印刷出力結果など)を得ることが可能で、かつ、発行されたジョブのライフタイムにジョブ発行人の意志を反映させることが可能となるため、気密性が高く、また該デバイス内におけるジョブの生存期間が明確なシステムを提供できるという効果がある。
【0126】
また、「ジョブ受取人」がさらに第三者に「ジョブ発行通知」を転送することにより、発行されたジョブの可搬性を向上させることが可能となるため、二者間あるいは三者間におけるジョブの伝達効率を向上させるという効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力データを入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報を受付ける受付手段と、
前記入力手段によって入力された出力データと、前記受付手段によって受付けた受取人識別情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶された出力データが、当該出力データに対応付けて記憶された受取人識別情報で示される複数の受取人によって出力されたことに従って、前記記憶手段に記憶された出力データを無効化する無効化手段とを備えることを特徴とする出力装置。
【請求項2】
前記出力データの出力回数をカウントするカウント手段と、
前記カウント手段によってカウントされた出力回数が、所定の回数を超えた場合に、前記出力データを無効化する第2の無効化手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項3】
前記出力データの有効期限を管理する管理手段と、
前記出力データが、前記管理手段によって管理された有効期限を過ぎた場合に、前記出力データを無効化する第3の無効化手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項4】
前記出力データは印刷データであり、前記出力装置は印刷装置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の出力装置。
【請求項5】
出力データを入力する入力工程と、
前記入力工程にて入力された出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報を受付ける受付工程と、
前記入力工程にて入力された出力データと、前記受付工程にて受付けた受取人識別情報とを対応付けて記憶部に記憶する記憶工程と、
前記記憶部に記憶された出力データが、当該出力データに対応付けて記憶された受取人識別情報で示される複数の受取人によって出力されたことに従って、前記記憶部に記憶された出力データを無効化する無効化工程とを備えることを特徴とする出力装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の出力装置の制御方法の各工程を、出力装置内のプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項1】
出力データを入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報を受付ける受付手段と、
前記入力手段によって入力された出力データと、前記受付手段によって受付けた受取人識別情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶された出力データが、当該出力データに対応付けて記憶された受取人識別情報で示される複数の受取人によって出力されたことに従って、前記記憶手段に記憶された出力データを無効化する無効化手段とを備えることを特徴とする出力装置。
【請求項2】
前記出力データの出力回数をカウントするカウント手段と、
前記カウント手段によってカウントされた出力回数が、所定の回数を超えた場合に、前記出力データを無効化する第2の無効化手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項3】
前記出力データの有効期限を管理する管理手段と、
前記出力データが、前記管理手段によって管理された有効期限を過ぎた場合に、前記出力データを無効化する第3の無効化手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の出力装置。
【請求項4】
前記出力データは印刷データであり、前記出力装置は印刷装置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の出力装置。
【請求項5】
出力データを入力する入力工程と、
前記入力工程にて入力された出力データを受け取る複数の受取人を示す受取人識別情報を受付ける受付工程と、
前記入力工程にて入力された出力データと、前記受付工程にて受付けた受取人識別情報とを対応付けて記憶部に記憶する記憶工程と、
前記記憶部に記憶された出力データが、当該出力データに対応付けて記憶された受取人識別情報で示される複数の受取人によって出力されたことに従って、前記記憶部に記憶された出力データを無効化する無効化工程とを備えることを特徴とする出力装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の出力装置の制御方法の各工程を、出力装置内のプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2010−198622(P2010−198622A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67016(P2010−67016)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【分割の表示】特願2000−107126(P2000−107126)の分割
【原出願日】平成12年4月7日(2000.4.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【分割の表示】特願2000−107126(P2000−107126)の分割
【原出願日】平成12年4月7日(2000.4.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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