説明

出動車両を考慮した入電通知指令

【課題】
消防などの緊急指令システムに適用され、本指令を送信する前に予告指令を送信する緊急指令システムにおいて、予告指令を受信したにも関わらず、本指令で出動する必要が無くなり出動準備が無駄になる問題があった。また、災害地点付近を走行中の管轄外の車両に対して予告指令を送信できない問題もあった。
【解決手段】
本発明では、上記の課題を解決する為に、災害地点付近を走行中の車両を検索し、災害地点付近を走行中の車両とその車両が所属する署所に対して予告指令を送信するシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防などの緊急指令システムに適用され、出動準備する時間を確保する為に、通報を受けた後、災害地点情報及び災害地点地図及び出動車両などを通知する出動指令である本指令前に、通報があったことを伝える予告指令を送信する技術である。
【背景技術】
【0002】
火災などの緊急通報を受付けた場合、緊急指令システムではまず初めに、通報者からの通報を受付ける。通報を受け付けた後、通報の内容が“火災”であるか“救急”であるかを緊急指令システムは受信する。それと同時に、緊急指令システムは通信事業者から通報者の位置情報、例えば携帯電話などに使われているGPSを利用して得られる位置情報を受信する。次に、緊急指令システムは通報があったことを伝える予告指令を、通報者の位置を管轄する署所に対して送信する。この予告指令は出動指令である本指令と比較して、送信される情報には詳細な位置情報や災害状況などが含まれないため、情報量が少なく、通報後比較的短時間に緊急指令システムが受信できる災害種別に関する情報などを送信している。そのため、予告指令は本指令と比較して情報量が少ない代わりに、送信されるまで時間の掛かる本指令と違い、通報があった後比較的短時間に送信することが出来る。緊急指令システムは予告指令送信後に通報者との会話を基に入力された緊急通報の詳細な内容(どこの建物が燃えているか、けが人は何人かなど)や、正確な出動地点から、管理している全車両の出動地点までの距離や時間を計算し、出動する部隊と車両の編成を行う。出動隊の編成が終わると、出動指令である本指令を出動する車両とその車両が所属する署所に対して送信する。
【0003】
上記のような緊急指令システムとしては、例えば特開平11−27397号公報に開示されているようなものがある。これは、予告指令を送信する際に送信先を指定せずに署所に対して予告指令を一斉送信するものである。また、特開2003―256963号公報、特開2002―245580号公報に開示されているようなものもある。これは、通報を受け付けた後、災害地点を管轄する署所に対して予告指令を送信するものである。
【0004】
特開平11−27397号公報に記載されている緊急指令システムについて、図5を用いて説明する。図5のフロー図のように緊急指令システムが通報を受付け(ステップS51)、通信事業者から通報者の位置情報を緊急指令システムが受信する(ステップS52)。緊急指令システムは通報者の通報を基に入力された災害種別(ステップS53)と、受信した位置情報を基に予告指令を作成し、全署所に対して予告指令を一斉送信する(ステップS54)。予告指令を受信した署所は出動が出来るように出動準備を開始する。予告指令を送信した数分後に、通報者との会話から災害地点の詳細な情報を緊急指令システムが受信する(ステップS55)。緊急指令システムは詳細な災害地点の情報を基に災害地点付近にいる車両を選択し(ステップS56)、選択された車両を用いて出動する車両の隊編成を行う(ステップS57)。最後に、緊急指令システムは出動する車両とその車両が所属する署所に対して出動指令である本指令を送信する(ステップS58)。
【0005】
また、特開2003―256963号公報と特開2002―245580号公報に記載されている緊急指令システムについては、ステップS54の予告指令の送信先は通報者の位置情報から得られた通報地点を管轄する署所に対して送信している。
【特許文献1】特開平11−27397号公報
【特許文献2】特開2003―256963号公報
【特許文献3】特開2002―245580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5のように、特開平11−27397号公報に記載されている緊急指令システムでは、送信先を指定せずに署所に対して予告指令を一斉送信している為、予告指令を受信した署所が出動準備をしたにも関わらず、本指令で出動する必要が無くなり出動準備が無駄になる恐れがある。
【0007】
また、特開2003―256963号公報と特開2002―245580号公報に記載されている緊急指令システムについては、災害地点を管轄する署所に対して予告指令を送信している為、災害地点付近を災害地点以外の地域を管轄する署所の車両(以下、“管轄外の車両”と記載)が走行していた場合、災害地点に近いにも関わらずその管轄外の車両とその車両が所属する署所に対しては予告指令を送信しない。予告指令送信後、緊急指令システムは通報者の会話を基に入力された災害地点の詳細な位置情報から災害地点付近にいる車両を検索し、出動隊を編成する。上記に記載したように、災害地点付近を管轄外の車両が走行している場合は、その管轄外の車両が出動車両に選択されることがある。この選択された管轄外の車両に対して、緊急指令システムは本指令を送信するが、その前に予告指令を送信していない。そのため、災害地点付近にいる管轄外の車両は出動準備が出来ておらず早急に出動が出来ない恐れがある。
【0008】
しかし、近年、発信地表示システムや携帯電話の位置情報を受信できるシステムなどが普及し、通報後比較的短時間で、通報位置が特定できるようになってきている。そこで、本発明は上記の課題を解決する為に、緊急指令システムが通報を受けた後、通報者の位置情報を受信し、その位置情報から通報者の位置付近にいる車両を検索し、通報者の位置付近にいる車両とその車両が所属する署所に対して、予告指令の目的である通報があったことを通知する目的と共通する目的を持つ入電通知指令を送信するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の緊急指令システムは請求項1に記載しているように、入力手段と、車両選択手段と、送受信手段214と、各手段を制御する制御手段とを少なくとも備えることを特徴とする。また、本発明の別の構成として、請求項2に記載しているように、入力手段と、入電通知指令を受信する車両を検索する車両検索手段と、車両と前記車両の現在位置を少なくとも含むデータ集合を記憶する車両管理手段と送受信手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明での上記課題を解決する手順について図3を用いて以下に示す。図3のフロー図のように緊急指令システムが通報を受付け(ステップS31)、通信事業者から通報者の位置情報を受信し(ステップS32)、通報者から得た災害種別を緊急指令システムが受信する(ステップS33)。そして、通報者の位置情報を基に通報者の近くにいる車両を検索し(ステップS34)、その検索で選択された車両とその車両が所属する署所に対して入電通知指令を送信する(ステップS35)。入電通知指令を送信した数分後に、通報者との会話で得られた災害地点の詳細な情報を緊急指令システムが受信する(ステップS36)。緊急指令システムは災害地点近くにいる車両を選択し(ステップS37)、選択された車両を用いて出動隊編成を行う(ステップS38)。最後に、出動隊編成に含まれた車両とその車両が所属する署所に対して出動指令である本指令を送信する(ステップS39)。上記の手順により、入電通知指令を受信した車両はその場で待機をするなどの作業をすることができる。また、その車両を管理する署所はその車両が出動予定であることを知ることが出来る。
【発明の効果】
【0011】
このような本発明に係る緊急指令システムによれば、入電通知指令を送信する前に通報位置付近にいる車両を検索する(ステップS34)ことにより、本指令で出動車両を選択する際に、通報者の位置付近にいる車両を選択するため、本指令を受信する出動車両が、入電通知指令を受信した車両と一致する確率が高くなる。よって、従来の一斉送信する際にあった、入電通知指令を受信したにも関わらず、本指令では出動する車両編成に入らずに、出動準備が無駄になってしまう問題を減らすことが可能である。
【0012】
また、本発明の緊急指令システムによれば、入電通知指令を送信する前に通報位置付近にいる車両を検索しているため(ステップS34)、災害地点付近を管轄外の車両が走行していても、緊急指令システムがその管轄外の車両を選択し、その管轄外の車両に入電通知指令を送信することができる。さらに、その管轄外の車両が所属している署所に対しては、その管轄外の車両が出動予定であることを知らせる為に、その管轄外の車両が所属している署所に対して入電通知指令を送信することができる。よって、従来の災害地点を管轄する署所に対して予告指令を送信していた際にあった、緊急指令システムが災害地点付近にいる管轄外の車両に予告指令を送信できないことによる、管轄外の車両が出動準備出来ない恐れを無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、無駄になる出動準備を減らすこと及び、通報位置付近にいる管轄外の車両に対して入電通知指令を送信することを目的として、入電通知指令を送信する前に通報位置付近にいる車両を選択し、選択された車両とその車両が所属する署所に対して入電通知指令を送信することで実現した。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施の形態における緊急指令システムの構成に関して、図2にもとづいて説明する。
【0015】
本実施形態に係わる緊急指令システムは請求項2及び図2に記載されているように、入力手段210と、入電通知指令を受信する車両を検索する車両検索手段212と、車両と前記車両の現在位置を少なくとも含むデータ集合を記憶する車両管理手段213と、各手段を制御する制御手段211によって構成される。また、本発明の別の構成要件である請求項1に記載されているように、入力手段210と、車両選択手段215と、送受信手段214と、各手段を制御する制御手段211によって構成される。以下、各構成について詳述する。
【0016】
入力手段210は通信受付部21及び位置情報受信部22及び入力部23から構成されている。その中の、通信受付部21は外部の通信機器と緊急指令システム間の情報を送受信する為のもので、本発明においては通報者からの通報を緊急指令システムが受付けるためのものであり、例えば、電話などの通信機器から構成されるものである。位置情報受信部22は通報者の位置情報を受信する為のものであり、例えば、通報者が通報する際に使用している携帯電話などの通信機器を管理する通信事業者から通報者の携帯電話などに使われているGPSを利用して位置情報を受信するものである。入力部23は操作員が緊急指令システムに情報を入力する為のもので、本発明においては、通報の種類、“火災”や“救急”などを緊急指令システムに入力する為のものである。よって、入力部23は例えば、マウスやキーボードなどの入力装置によって構成される。
【0017】
車両管理手段213は車両動態管理部25で構成されている。車両動態管理部25は図4に示すように、緊急車両の識別番号と、前記緊急車両の識別番号に対応付けられた前記緊急車両の現在位置の座標(現在位置X41、現在位置Y42)と前記緊急車両が出動可能であるかを示す動態情報43と、緊急車両に指令を送信するための送信先のアドレスである特定コード44と、緊急車両を管理している署所を示す管理署所番号45とを少なくとも含むデータ集合表を記憶するものである。このデータ集合表は緊急車両から送信される車両の現在位置や動態などについての情報に基づいて定期的に更新される。
【0018】
車両検索手段212は、車両検索部26及び地図データ管理部27で構成されている。地図データ管理部27は地図データを記録したHDDなどの記録媒体または記録手段である。この地図データは、道路の接続状態を示す道路データ、その道路データとともに表示される施設や表示文字等からなる目印データから構成されている。車両検索部26は管理する車両から目的地付近にいる車両を検索し、選択するものであり、前記地図データ管理部27から受信した地図データと前記車両動態管理部25が記憶していたデータ集合表を基に、消防本部が管理する緊急車両全てから通報者の位置までの道順に沿った経路の距離を求め、その距離を基に所定の範囲内で出動可能な車両を検索するためのものである。なお、検索対象の緊急車両は、通報者の地点を管轄する署所に所属する車両だけでなく全ての署所に所属する緊急車両である。
【0019】
送受信手段214は、指令送信部28及び指令作成部29で構成されている。指令送信部28は緊急指令システムが情報を外部の機器に送信する為のものである。本発明においては、指令送信部28は緊急指令システムが入電通知指令、本指令などの指令を車両検索部26が選択した車両とその車両が所属する署所に送信するためのものである。指令作成部29は車両検索部26が選択した車両とその車両が所属する署所に送信する入電通知指令、本指令などの指令書を作成するためのものである。
【0020】
制御手段211である制御部24は、本発明による緊急指令システムの所定の機能を総合的に制御するためのソフトウェアを記録したHDDやメモリなどの記録媒体や、そのソフトウェアを処理するためのCPUやマイコンなどの処理装置を備え、これと接続した各部の制御を行っている。
【0021】
請求項1に記載されている構成要件で、上記と異なる構成要件は、車両選択手段215である。この車両選択手段215は上記に記載した車両管理手段213と車両管理手段213から構成されており、車両動態管理部25及び車両検索部26及び地図データ管理部27で構成されている。
【0022】
次に、本発明の実施の形態における動作について説明する。
【0023】
図1は、各々の署所が管轄しているエリアを円で示した、災害発生地点を具体的な例として示したイメージ図である。図1のように、署所Aの管轄エリアで火災が発生している場合を、図3のフロー図に沿って説明する。署所Aの管轄エリアで火事が発生しているのに気づいた通報者が消防本部に通報を行い、その通報を緊急指令システムの通信受付部21が受付ける(ステップS31)。その直ぐ後に、緊急指令システムは通報者が使用している通信機器を管理する通信事業者からGPSなどを利用して得られる通報者の位置情報を位置情報受信部22が受信する(ステップS32)。その後、通報者との会話を基に緊急指令システムの入力部23に入力された“火災”であるか、“救急”であるかの災害種別(ステップS33)と、位置情報受信部22が受信した通報者の位置情報を制御部24が記憶する。
【0024】
ここからは、図2に示したシステム構成図を基に説明していく。制御部24は受信した通報者の位置情報を車両検索部26に出力する。通報者の位置情報を受信した車両検索部26は受信した通報者の位置情報を地図データ管理部27に出力する。地図データ管理部27は受信した通報者の位置情報を含む緊急車両がいると予想される範囲の地図データを車両検索部26に出力する。次に、車両検索部26は車両動態管理部25に記憶されているデータ集合表を受信し、その受信したデータ集合表からデータ集合表内の動態情報43が“出動可能”となっている車両の識別番号とその車両の識別番号に対応付けられたその車両の現在位置X41、現在位置Y42、動態情報43、特定コード44、管理署所番号45を含むデータ集合列を選択する。先ほど受信した地図データと、通報者の位置情報と、選択したデータ集合列とを基に、車両検索部26は通報者の位置付近にいる車両を検索(直近車両検索)し(ステップS34)、通報者の位置付近にいる車両を入電通知指令送信先として選択する。この車両の検索方法としては、選択したデータ集合列内の現在位置X41、現在位置Y42と受信した地図データと通報者の位置情報を基に、車両検索部26が通報者の位置と車両間の道路に沿った経路の距離を計算し、その経路の距離があらかじめ定められた距離、例えば緊急車両が早急に到達できる距離10kmよりも短く、出動可能な車両を入電通知指令の送信先として選択する。図1のように、通報者の位置付近を署所Eの車両E1がいる場合、車両検索部26が署所Eの車両E1と通報者の位置までの経路の距離を計算し、その経路の距離があらかじめ定められた距離よりも短いと判断する。これにより、署所Eの車両E1を入電通知指令の送信先として車両検索部26が選択する。それに対し、署所Aの車両A1は通報者の位置から離れた署所Dの管轄エリアにいる。そのため、車両検索部26が署所Aの車両A1と通報者の位置までの経路の距離を計算し、その経路の距離があらかじめ定められた距離よりも長いと判断する。これにより、火事現場が署所Aの管轄エリアであるにも関わらず、車両検索部26は署所Aの車両A1を入電通知指令の送信先には選択しない。
【0025】
車両検索が終わると、車両検索部26は制御部24に選択した車両つまり署所Eの車両E1についての特定コード44と管理署所番号45とを少なくとも含む情報を、図4に示すように署所Eの車両E1についての特定コード44である“0501”と、車両E1を管理する管理署所番号45である“05”と、災害種別である“火災”についての情報を出力する。制御部24は、受信した車両の特定コード44と管理署所番号45とを少なくとも含む情報を指令送信部28に出力する。指令送信部28は災害種別“火災”について指令作成部29に出力し、災害種別である“火災”についての入電通知指令書を作成させる。そして、指令送信部28は指令作成部29が作成し終わった入電通知指令書を取得する。入電通知指令書を取得すると、指令送信部28は受信した特定コード44である“0501”を用いて、署所Eの車両E1に対して入電通知指令を送信する(ステップS35)。また同時に、指令送信部28は受信した管理署所番号45である“05”を用いて、署所Eに対して入電通知指令を送信する(ステップS35)。
【0026】
入電通知指令を送信した後は図3のフロー図のように、入電通知指令を送信してからまもなく、例えば2分後に、緊急指令システムは通報者との会話を基に火事現場についてより詳細な情報を入力されたところで、災害地点情報及び災害地点地図及び出動車両などを含む出動指令である本指令の送信準備を始める。まず、より詳細な火事現場などの現場の情報、本実施例では燃えている建物などの情報を緊急指令システムは受信する(ステップS36)。より詳細な火事現場の情報を受信した緊急指令システムは、火事現場付近にいる車両を検索(直近車両検索)し(ステップS37)、出動可能な車両の中から、火事現場に出動する車両を編成する(ステップS38)。図1の場合では、緊急指令システムが署所Eの車両E1は火事現場までの距離が所定の範囲内にいると判断するため、緊急指令システムは署所Eの車両E1を出動車両に選択する。一方、署所Aの車両A1は入電通知指令のとき同様に、緊急指令システムが署所Aの車両A1は火事現場までの距離が所定の範囲に含まれないと判断し、緊急指令システムは署所Aの車両A1を出動車両に選択しない。緊急指令システムは出動する車両の検索及び選択が終了すると、選択した車両を基に出動部隊と車両の隊編成を行う。出動部隊と車両の隊編成が終了すると、緊急指令システムは出動する車両つまり署所Eの車両E1及び出動車両が所属する署所Eに対して本指令を送信する(ステップ39)。本指令を受け取った署所Eの車両E1は、直に火事現場に向けて出動する。また、署所Eは管理している車両が火事現場に出動したことを知ることが出来る。
【0027】
なお、本実施例における車両検索部26の検索方法(ステップS34)では、通報者の位置と車両間の経路の距離を計算していたが、本発明はこれに限定するものではなく、通報者の位置と車両間の直線距離を計算しても良い。さらに、車両を選択する際に用いる基準として、本実施例のようにあらかじめ定められた距離の範囲以内の車両を選択するだけでなく、火事現場と車両の間の距離が最短である車両から順にあらかじめ定められた台数までの車両を選択しても良い。
【0028】
また、本実施例の様に火事現場と車両の間の距離を基準とする以外に、車両が火事現場までに到達する時間を基準に車両を選択する方法がある。その方法は、火事現場と車両の間の距離を車両の移動速度で割ることで火事現場までの到達時間を求めることが出来る。この到達時間の短い順にあらかじめ定められた台数までの車両を選択しても良いし、この到達時間があらかじめ定められた時間以内の車両を選択しても良い。なお、到達時間の求め方は上記の方法に限定したものではない。また、火事現場と車両の間の距離は火事現場と車両の間の経路の距離でも良いし、直線距離でも良い。
【0029】
さらに、本実施例では入電通知指令を所定の範囲内の車両に送信する際に、所定の範囲内にいる車両の特定コード44を用いて送信しているが、本発明はこの方法に限定するものではなく、車両に割り振られたIPアドレスを用いて入電通知指令を送信する方法などを用いても良い。また、指令作成部29が作成する入電通知指令書には災害種別に関する情報以外にも、入電通知指令書作成時点で受信している情報を一緒に入電通知指令書内に含ませることができる。車両に入電通知指令を送信すること同様に、署所に対して入電通知指令を送信する際にも、本実施例では管理署所番号45を用いて送信しているが、本発明はこれに限定するものではない。
【0030】
なお、本実施例で、火災の場合について記載したが、本発明の緊急指令システムではこれに限定したものではなく、救急車などの救急の場合や、地震などの火災以外の災害が発生した場合などでも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】災害発生地点を具体的な例として示したイメージ図である。
【図2】本発明のシステム構成図である。
【図3】本発明の緊急指令システムの運用例を示したフロー図である。
【図4】本発明の車両動態管理部での記憶例である。
【図5】従来の緊急指令システムの運用例を示したフロー図である。
【符号の説明】
【0032】
21 通信受付部
22 位置情報受信部
23 入力部
24 制御部
25 車両動態管理部
26 車両検索部
27 地図データ管理部
28 指令送信部
29 指令作成部
210 入力手段
211 制御手段
212 車両検索手段
213 車両管理手段
214 送受信手段
215 車両選択手段
41 現在位置X
42 現在位置Y
43 動態情報
44 特定コード
45 管理署所番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段と、
車両選択手段と、
送受信手段と、
各手段を制御する制御手段とを少なくとも備え、
車両の出動を指示する出動指令を送信する前に、車両に対して前記入力手段に入力された災害種別に関する情報を少なくとも含む入電通知指令を送信する緊急指令システムであって、
前記制御手段は前記入力手段に入力された災害発生地に関する情報を前記車両選択手段に出力し、
前記車両選択手段は入力された災害発生地に関する情報を基に災害発生地から所定の範囲にいる車両を選択し、
前記車両選択手段が選択した車両に対して、前記送受信手段が前記入電通知指令を送信することを特徴とする緊急指令システム。
【請求項2】
入力手段と、
入電通知指令の送信先になる車両を検索する車両検索手段と、
緊急車両及び前記緊急車両に対応付けられた前記緊急車両の現在位置を少なくとも含むデータ集合表を記憶する車両管理手段と、
送受信手段と、
各手段を制御する制御手段とを少なくとも備える緊急指令システムであって、
前記制御手段は前記入力手段に入力された災害発生地に関する情報を前記車両検索手段に出力し、
前記制御手段は前記入力手段に入力された災害種別に関する情報を前記送受信手段に出力し、
前記車両管理手段が記憶しているデータ集合表を前記車両検索手段が取得し、
前記車両検索手段は前記災害発生地に関する情報を基に前記災害発生地と前記データ集合表内にある緊急車両の現在位置との間の距離を計算し、計算で求めた距離を基にあらかじめ定められた所定の範囲にいる車両を選択し、
前記車両検索手段が選択した車両に関する情報を前記送受信手段に出力し、
前記送受信手段は受信した車両に関する情報を基に前記車両検索手段が選択した車両に対して前記制御手段から受信した災害種別に関する情報を少なくとも含む入電通知指令を送信することを特徴とする緊急指令システム。
【請求項3】
入力手段と、
入電通知指令の送信先になる車両を検索する車両検索手段と、
緊急車両及び前記緊急車両に対応付けられた前記緊急車両の現在位置を少なくとも含むデータ集合表を記憶する車両管理手段と、
送受信手段と、
各手段を制御する制御手段とを少なくとも備える緊急指令方法であって、
前記制御手段は前記入力手段に入力された災害発生地に関する情報を前記車両検索手段に出力する第一のステップと、
前記制御手段は前記入力手段に入力された災害種別に関する情報を前記送受信手段に出力する第二のステップと、
前記車両管理手段が記憶しているデータ集合表を前記車両検索手段が取得する第三のステップと、
前記車両検索手段は前記災害発生地に関する情報を基に前記災害発生地と前記データ集合表内にある緊急車両の現在位置との間の距離を計算し、計算で求めた距離を基にあらかじめ定められた所定の範囲にいる車両を選択する第四のステップと、
前記車両検索手段が選択した車両に関する情報を前記送受信手段に出力する第五のステップと、
前記送受信手段は受信した車両に関する情報を基に前記車両検索手段が選択した車両に対して前記制御手段から受信した災害種別に関する情報を少なくとも含む入電通知指令を送信する第六のステップを有することを特徴とする緊急指令方法。
【請求項4】
前記第四のステップは、
前記車両検索手段が計算で求めた前記災害発生地と前記データ集合内にある車両の位置との間の距離から、あらかじめ定められた距離の範囲内にいる車両を選択することを特徴とする請求項3に記載の緊急指令方法。
【請求項5】
前記第四のステップは、
前記車両検索手段が計算で求めた前記災害発生地と前記データ集合内にある車両の位置との間の距離が最短の車両から順にあらかじめ定められた台数の車両を選択することを特徴とする請求項3に記載の緊急指令方法。
【請求項6】
前記第四のステップは、
前記車両検索手段が計算で求めた前記災害発生地と前記データ集合内にある車両の位置との間の距離を車両の移動速度で割ることで到達時間を計算し、その到達時間があらかじめ定められた所定の範囲にいる車両を選択することを特徴とする請求項3に記載の緊急指令方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−140221(P2010−140221A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315317(P2008−315317)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】