説明

出庫処理システム、タクシーメータ及び車両管理装置

【課題】出庫不可能であると判断された乗務員による営業を開始させることなく、出庫処理の確実性を向上させることができる出庫処理システムを提供する。
【解決手段】車両管理装置3には、アルコールチェッカ11および免許証読取機13が設けられている。出庫前チェック時、タクシー乗務員は、アルコールチェッカ11でアルコール濃度の測定を行い、免許証読取機13に免許証を挿入し、免許証の内容を読み取らせる。車両管理装置3は、これらのチェック項目の内容をチェックし、タクシー乗務員の出庫の可否を判定する。出庫が可能である場合、車両データベース15に登録された車両の中から、当日の乗務予定の車両を割り当てる。タクシー乗務員は、タクシー車両6に乗車してタクシーメータ5に乗務員証カードを挿入する。タクシーメータ5は、車両管理装置3から通知される出庫確認データをもとに、出庫不可である場合、画面に警告表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー車両に乗車する乗務員の出庫処理を行う出庫処理システム、タクシーメータ及び車両管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出庫に際し、タクシー乗務員は、事務所において、各種の出庫前チェックおよび点検を実施し、出庫の可否を判断する。出庫前チェックとして、アルコールチェックや免許証の確認などが行われる。さらに、タクシー乗務員は、当日乗車する車両の指示を受けることで、初めて営業を開始することができる。
【0003】
この種の先行技術として、認可された運転者が認証装置によって認証されていない限り、モード表示デバイスの作動及び作動停止を制約するシステム制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、車両の運転席に着座したユーザの呼気に含まれるアルコール濃度を測定する際、ユーザの顔画像を撮影する車両用制御装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009−526707号公報
【特許文献2】特開2011−173445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の出庫処理システムでは、つぎのような問題があった。すなわち、出庫の際、事務所で実施された各種の出庫前チェックで、タクシー乗務員に対し、出庫不可能であると判断された場合でも、車両自体は稼動可能な状態にあるので、このタクシー乗務員が強引に営業を開始することは可能であった。
【0007】
また、各種の出庫前チェックで出庫可能であると判断された場合でも、タクシー乗務員が、当日の乗車車両を間違え、他の車両に乗車して出庫してしまうことがあった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、出庫不可能であると判断された乗務員による営業を開始させることなく、出庫処理の確実性を向上させることができる出庫処理システム、タクシーメータ及び車両管理装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明は、乗務員が間違って他の車両に乗車して出庫してしまう誤出庫を防止することができる出庫処理システム、タクシーメータ及び車両管理装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係る出庫処理システムは、下記(1)〜(8)を特徴としている。
(1) 複数のタクシー車両にそれぞれ搭載され、画面に前記タクシー車両の走行状態を表示するタクシーメータと、前記タクシー車両を管理する車両管理装置とを備え、前記タクシー車両に乗車する乗務員の出庫処理を行う出庫処理システムであって、
前記車両管理装置は、
前記乗務員に対する出庫前チェックを実施する検査手段と、
前記検査手段によって実施された出庫前チェックの結果を含む出庫確認データを保持する保持手段と、
前記保持手段によって保持された出庫確認データを前記タクシーメータに送信する送信手段と、を備え、
前記タクシーメータは、
前記乗務員の識別情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた乗務員の識別情報に対応する前記出庫確認データを、前記車両管理装置から受信する受信手段と、
前記出庫確認データをもとに、出庫の可否を判定する出庫判定手段と、
前記出庫判定手段によって前記出庫が不可能である場合、前記タクシーメータの前記画面に警告を表示する表示手段と、
を備えること。
(2) 上記(1)の構成の出庫処理システムであって、
前記出庫判定手段によって出庫が不可能であると判定された場合、前記タクシーメータを操作不可能な状態にする操作制限手段を備えること。
(3) 上記(1)または(2)の構成の出庫処理システムであって、
前記出庫判定手段は、前記出庫確認データに含まれる出庫前チェックの結果、少なくとも1つのチェックが不適である場合、出庫が不可能であると判定すること。
(4) 上記(1)または(2)の構成の出庫処理システムであって、
前記車両管理装置は、前記乗務員が乗車するタクシー車両を割り当てる車両割当手段を備え、
前記保持手段は、前記車両割当手段によって割り当てられたタクシー車両の識別情報を含む前記出庫確認データを保持し、
前記出庫判定手段は、前記出庫確認データに含まれるタクシー車両の識別情報と、前記受付手段によって前記乗務員の識別情報が受け付けられたタクシーメータを搭載したタクシー車両の識別情報とが異なる場合、出庫が不可能であると判定すること。
(5) 上記(1)または(2)の構成の出庫処理システムであって、
前記出庫判定手段は、前記出庫確認データに含まれる出庫前チェックの結果、全ての出庫前チェックが完了していない場合、出庫が不可能であると判定すること。
(6) 上記(1)から(5)のいずれか1つの構成の出庫処理システムであって、
前記表示手段は、前記警告のメッセージに、前記出庫が不可能である理由を含めること。
(7) 上記(1)の構成の出庫処理システムであって、
前記タクシーメータは、前記受付手段によって乗務員の識別情報が受け付けられた場合、前記出庫確認データを前記車両管理装置に要求する要求手段を備え、
前記送信手段は、前記要求手段による前記出庫確認データの要求に応じて、前記保持手段によって保持された出庫確認データを前記タクシーメータに送信すること。
(8) 上記(1)の構成の出庫処理システムであって、
前記車両管理装置と通信可能に接続される携帯情報端末を備え、
前記送信手段は、前記保持手段によって保持された出庫確認データを前記携帯情報端末に送信し、
前記携帯情報端末は、前記出庫確認データを、前記車両管理装置から受信し、前記出庫確認データをもとに、出庫の可否を判定し、前記出庫が不可能である場合、警告を行うこと。
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係るタクシーメータは、下記(9)を特徴としている。
(9) タクシー車両に搭載され、画面に前記タクシー車両の走行状態を表示するタクシーメータであって、
乗務員に対する出庫前チェックを実施し、前記出庫前チェックの結果を含む出庫確認データを保持する車両管理装置と通信可能に接続され、
前記乗務員の識別情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた乗務員の識別情報に対応する出庫確認データを、前記車両管理装置から受信する受信手段と、
前記出庫確認データをもとに、出庫の可否を判定する出庫判定手段と、
前記出庫判定手段によって前記出庫が不可能である場合、前記画面に警告を表示する表示手段と、を備えること。
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両管理装置は、下記(10)を特徴としている。
(10) 複数のタクシー車両にそれぞれ搭載され、画面に前記タクシー車両の走行状態を表示するタクシーメータと通信可能に接続され、前記タクシー車両を管理する車両管理装置であって、
前記乗務員に対する出庫前チェックを実施する検査手段と、
前記検査手段によって実施された出庫前チェックの結果を含む出庫確認データを保持する保持手段と、
前記保持手段によって保持された出庫確認データを前記タクシーメータに送信する送信手段と、を備え、
前記タクシーメータによって、前記出庫確認データをもとに、出庫が不可能であると判定された場合、前記タクシーメータの画面に警告が表示されること。
【0013】
上記(1)から(8)の構成の出庫処理システム、上記(9)の構成のタクシーメータ、及び上記(10)の構成の車両管理装置によれば、出庫確認データをもとに、出庫の可否を判定し、出庫が不可能である場合、タクシーメータの画面に警告を表示する。このように、タクシーメータの画面に警告が表示されることで、乗務員は実質的に営業を開始することができなくなる。これにより、出庫不可能であると判断された乗務員による営業を開始させることなく、出庫処理の確実性を向上させることができる。また、乗務員が間違って他の車両に乗車して出庫してしまう誤出庫を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、出庫確認データをもとに、出庫の可否を判定し、出庫が不可能である場合、タクシーメータの画面に警告を表示する。このように、タクシーメータの画面に警告が表示されることで、乗務員は実質的に営業を開始することができなくなる。これにより、出庫不可能であると判断された乗務員による営業を開始させることなく、出庫処理の確実性を向上させることができる。また、乗務員が間違って他の車両に乗車して出庫してしまう誤出庫を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施の形態における出庫処理システムの概要を示す図である。
【図2】図2は、出庫処理システム1の構成を示す図である。
【図3】図3は、タクシーメータ5およびスマートフォン8の筐体前面を示す図である。
【図4】図4は、タクシーメータ5の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、スマートフォン8の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、車両管理装置3の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態における出庫処理システム、タクシーメータ及び車両管理装置について図面を用いて説明する。
【0017】
図1は実施の形態における出庫処理システムの概要を示す図である。この出庫処理システム1は、事務所に設置された車両管理装置3、複数のタクシー車両6にそれぞれ搭載され、画面に車両の走行状態を表示する複数のタクシーメータ5、および各乗務員が所持するスマートフォン8から構成される。
【0018】
車両管理装置3には、アルコール濃度を測定するアルコールチェッカ11および免許証の内容を読み取る免許証読取機13が設けられる。なお、血圧計などの健康測定器具が接続自在に設けられてもよい。
【0019】
出庫前チェック時、タクシー乗務員は、アルコールチェッカ11で呼気中に含まれるアルコール濃度の測定を行う。この測定データは、車両管理装置3に記録される。また、タクシー乗務員は、免許証読取機13の挿入口に免許証を挿入し、免許証の内容を読み取らせる。また、タクシー乗務員は、車両管理装置3の画面に表示される問いに答える形式で健康診断を行う。また、タクシー乗務員は、タクシー車両(単に車両ともいう)6の点検結果を車両管理装置3に入力する。
【0020】
一方、車両管理装置3は、これらのチェック項目の内容をチェックし(検査手段)、このタクシー乗務員の出庫の可否を判定する。そして、このタクシー乗務員の出庫が可能である場合、車両データベース15(図2参照)に登録された車両の中から、当日乗務予定の車両を割り当て、タクシーメータ5に通知する。
【0021】
この後、タクシー乗務員は、タクシー車両6に乗車してタクシーメータ5に乗務員証カードを挿入する。タクシーメータ5は、車両管理装置3から通知される出庫確認データをもとに、出庫不可であると判断した場合、画面に警告表示を行う。ここでは、後述するように、「出庫処理が完了していません!」、「チェックの結果、出庫できません!」、「乗務車両が違います!」といった警告メッセージが表示される。なお、警告メッセージには、より詳細な内容が含まれてもよい。
【0022】
図2は出庫処理システム1の構成を示す図である。車両管理装置3は、前述したように、事務所に設置され、ディスプレイ、コンピュータ本体、キーボードやマウス等の入力デバイス等からなる汎用のコンピュータ装置(PC)3Aを有する。また、車両管理装置3には、PC3Aに接続される、前述した免許証読取機13およびアルコールチェッカ11の他、各種の印刷を行うプリンタ12や、タクシー乗務員の乗務員証カードが入力可能なカードリーダライタ(R/W)14が設けられている。さらに、PC3Aには、当日の乗務員が乗車するタクシー車両等が登録された車両データベース15(保持手段)、およびタクシーメータ5やスマートフォン8と通信を行う通信モジュール16が接続される。
【0023】
一方、タクシーメータ5は、タクシー車両6に搭載され、CPU21、ROM22、RAM23、非接触R/Wインタフェース24、表示器(LCD)25、時計IC(RTC)26、操作部33および各種インタフェース27、28、29、30を有する。
【0024】
非接触R/Wインタフェース(I/F)24には、乗務員証カード41が読み取りのために挿入される。操作部33は、表示部25の画面に設けられ、この画面に表示された各種ボタンの押下を検知するタッチパネルからなる。
【0025】
インタフェース(I/F)27には、外部機器であるプリンタ42が接続される。インタフェース28には、車両の現在位置を検出するGPS受信器43が接続される。インタフェース29には、ETC車載器44が接続される。インタフェース30には、前述したスマートフォン8の他、通信モジュール45が接続される。
【0026】
図3はタクシーメータ5およびスマートフォン8の筐体前面を示す図である。図3(A)に示すように、タクシーメータ5の筐体前面には、表示部25が設けられている。表示部25の画面には、実車ボタン51、迎車ボタン52、MENUボタン53、現在、空車の状態であることを表す文字表示部54、および出庫に際しての警告メッセージ56が表示されている。ここでは、警告メッセージ56として、「チェックの結果、出庫できません!」が実線で表示されている。なお、警告メッセージとして、点線で示すように、「出庫処理が完了していません!」や「乗務車両が違います!」も表示可能である。
【0027】
一方、スマートフォン8の筐体前面には、表示部8aが設けられている。表示部8aの画面には、各種のアイコン8bの他、タクシーメータ5と同様、警告メッセージ8cが表示される。また、スマートフォン8の筐体前面の上部には、スピーカー8dが設けられている。
【0028】
上記構成を有する出庫処理システムの動作を示す。図4はタクシーメータ5の動作手順を示すフローチャートである。この動作プログラムは、タクシーメータ5内のROM22に格納されており、CPU21によって実行される。
【0029】
まず、CPU21は、非接触カードR/Wインタフェース24に乗務員証カード41が挿入され、データが入力されるまで待つ(ステップS1)。このステップS1の処理は受付手段に相当する。データが入力されると、CPU21は、乗務員コードを取得し、メモリであるRAM23に格納する(ステップS2)。
【0030】
CPU21は、通信モジュール45を通じて、入力されたデータを車両管理装置3に送信するとともに、乗務員コードに対応する出庫確認データを要求する(ステップS3)。CPU21は、車両管理装置3から出庫確認データを受信するまで待つ(ステップS4)。
【0031】
出庫確認データを受信すると、CPU21は、この乗務員における各種チェック結果および当日の乗車車両No(車両の識別情報)を取得し、RAM23に格納する(ステップS5)。
【0032】
CPU21は、この乗車車両Noが当日の乗車車両Noと等しいか否かを判別する(ステップS6)。等しい場合、CPU21は、事務所における各種チェック項目が全て完了しているか否かを判別する(ステップS7)。各種チェック項目が全て完了している場合、CPU21は、全てのチェック項目の結果がOK(適正)であるか否かを判別する(ステップS8)。
【0033】
全てのチェック項目の結果がOKである場合、CPU21は、車両管理装置3にその旨のデータを送信し、出庫完了を通知する(ステップS9)。そして、CPU21は、タクシーメータ5を操作可能な状態にする(ステップS10)。この後、CPU21は本動作を終了する。
【0034】
一方、ステップS8で、少なくとも1つのチェック項目の結果がNG(不適正)である場合、CPU21は、表示部25の画面に、「警告! チェックの結果、出庫できません」という警告メッセージ56を表示する(ステップS11)。そして、CPU21は、タクシーメータ5を操作不可能な状態(ロック状態)にする(ステップS12)。このステップS12の処理は操作制限手段に相当する。この後、CPU21は本動作を終了する。
【0035】
また、ステップS7で、各種チェック項目のうち、完了していないチェック項目が存在する場合、CPU21は、表示部25の画面に、「警告! 出庫処理が完了していません」という警告メッセージ56を表示する(ステップS13)。そして、CPU21は、ステップS12の処理に進む。
【0036】
また、ステップS6で、乗車車両Noが当日の乗車車両Noと異なる場合、CPU21は、表示部25の画面に、「警告! 乗車車両が異なります 乗車車両Noは×××」という警告メッセージ56を表示する(ステップS14)。そして、ステップS12の処理に進む。なお、ステップS6、S7、S8の処理は出庫判定手段に相当する。
【0037】
図5はスマートフォン8の動作手順を示すフローチャートである。この動作プログラムはスマートフォン8内のROMに格納されており、スマートフォン8内のCPUによって周期的に実行される。
【0038】
まず、スマートフォン8は、車両管理装置3から出庫確認データを受信したか否かを判別する(ステップS21)。受信していない場合、スマートフォン8はそのまま本動作を終了する。
【0039】
一方、ステップS21で、出庫確認データを受信すると、スマートフォン8は、この乗務員における各種チェック結果および当日の乗車車両Noを取得し、メモリに格納する(ステップS22)。
【0040】
スマートフォン8は、この乗車車両Noが当日の乗車車両Noと等しいか否かを判別する(ステップS23)。ここで、乗車車両Noについては、乗務員が、車両を見てキー入力してもよいし、スマートフォン8の読み取り機能を使って車両に貼られたラベル等から読み取るようにしてもよい。ステップS23で等しい場合、スマートフォン8は、事務所における各種チェック項目が全て完了しているか否かを判別する(ステップS24)。各種チェック項目が全て完了している場合、スマートフォン8は、全てのチェック項目の結果がOKであるか否かを判別する(ステップS25)。
【0041】
全てのチェック項目の結果がOKである場合、スマートフォン8は、そのまま本動作を終了する。
【0042】
一方、ステップS25で、少なくとも1つのチェック項目の結果がNGである場合、スマートフォン8は、表示部8aの画面に、「警告! チェックの結果、出庫できません」という警告メッセージ8cを表示する(ステップS26)。そして、スマートフォン8は、スピーカー8dより音声警告し(ステップS29)、本動作を終了する。
【0043】
また、ステップS24で、各種チェック項目のうち、完了していないチェック項目が存在する場合、スマートフォン8は、表示部8aの画面に、「警告! 出庫処理が完了していません」という警告メッセージ8cを表示する(ステップS27)。そして、スマートフォン8は、ステップS29の処理に進む。
【0044】
また、ステップS23で、乗車車両Noが当日の乗車車両Noと異なる場合、スマートフォン8は、表示部8aの画面に、「警告! 乗車車両が異なります 乗車車両Noは×××」という警告メッセージ8cを表示する(ステップS28)。そして、ステップS29の処理に進む。
【0045】
図6(A)及び図6(B)は車両管理装置3の動作手順を示すフローチャートである。この動作プログラムはPC3A内のROMに格納されており、PC3A内のCPUによって周期的に実行される。図6(A)はチェック項目の実施手順を示す。PC3Aは、チェック項目の実施を受け付けたか否かを判別する(ステップS31)。受け付けていない場合、PC3Aは本動作を終了する。
【0046】
一方、チェック項目の実施を受け付けた場合、PC3Aは、出庫前チェックを実施する(ステップS32)。本実施形態では、PC3Aは、前述したように、アルコールチェッカ11および免許証読取機13を用いて、出庫前チェックを行う。
【0047】
この後、PC3Aは、このタクシー乗務員に対し、当日の乗車車両Noを割り当てる(ステップS33)。このステップS33の処理は車両割当手段に相当する。そして、PC3Aは、出庫前チェックの実施の結果および当日の乗車車両Noを、出庫確認データの一部として、PC3A内のメモリに登録する(ステップS34)。この後、PC3Aは本動作を終了する。
【0048】
図6(B)は出庫確認データの送信手順を示す。PC3Aは、タクシーメータ5から出庫確認データの要求を受信したか否かを判別する(ステップS41)。受信していない場合、PC3Aは本動作を終了する。一方、出庫確認テータの要求を受信した場合、PC3Aは、タクシーメータ5およびスマートフォン8に出庫確認データを送信する(ステップS42)。この後、PC3Aは本動作を終了する。
【0049】
このように、本実施形態の出庫処理システムによれば、このように、タクシーメータの画面に警告が表示されることで、タクシー乗務員は実質的に営業を開始することができなくなる。これにより、出庫不可能であると判断されたタクシー乗務員による営業を開始させることなく、出庫処理の確実性を向上させることができる。
【0050】
また、タクシーメータを操作不能な状態にすることで、確実に営業の開始を制限することができる。
【0051】
また、割り当てられた乗車車両Noと乗車した乗車車両Noとが違っても警告が発せられるので、タクシー乗務員が間違って他の車両に乗車して出庫してしまう誤出庫を防止することができる。
【0052】
また、出庫前チェックが全て完了していない場合も、警告が出されるので、出庫処理の確実性が担保される。また、警告のメッセージには、出庫が不可能である理由が含まれているので、乗務員はその原因を即座に把握することができる。
【0053】
また、タクシーメータからの要求に応じて、車両管理装置が出庫確認データを送信するので、常時送信することなく、処理の負荷を軽減することができる。また、スマートフォンでも、警告が表示されるので、乗務員は、確実かつ速やかに警告に気付くことができる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、本実施形態の構成が持つ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では、アルコールチェッカおよび免許証読取機を用いて、出庫前チェックが行われたが、その他、乗務員によって記録された健康診断や車両点検結果を読み込むことで、出庫前チェックが行われてもよい。また、チェック項目は任意に増減可能である。
【0056】
また、上記実施形態では、スマートフォンはPCと通信可能に接続され、PCからスマートフォンに出庫確認データが送信され、スマートフォン内部で出庫の可否が判定されたが、このような処理に限られない。例えば、スマートフォンは、PCから出庫確認データが送信されることなく、タクシーメータと通信可能に接続され、タクシーメータから送信される警告を表示するだけでもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、携帯情報端末として、スマートフォンが用いられたが、タブレット端末、モバイルPCなどでもよいことは勿論である。
【0058】
本発明は、タクシー車両に乗車する乗務員の出庫処理を行う際、出庫不可能であると判断された乗務員による営業を開始させることなく、出庫処理の確実性を向上させることができ、有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 出庫処理システム
3 車両管理装置
3A PC
5 タクシーメータ
8 スマートフォン
8a 表示部
8b アイコン
8c 警告メッセージ
8d スピーカー
11 アルコールチェッカ
12 プリンタ
13 免許証読取機
14 カードリーダライタ(R/W)
15 車両データベース
16、45 通信モジュール
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 非接触カードR/Wインタフェース
25 表示器(LCD)
26 時計IC(RTC)
27、28、29、30 インタフェース
33 操作部
41 乗務員証カード
42 外部機器(プリンタ)
43 GPS受信器
44 ETC車載器
51 実車ボタン
52 迎車ボタン
53 MENUボタン
54 文字表示部
56 警告メッセージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタクシー車両にそれぞれ搭載され、画面に前記タクシー車両の走行状態を表示するタクシーメータと、前記タクシー車両を管理する車両管理装置とを備え、前記タクシー車両に乗車する乗務員の出庫処理を行う出庫処理システムであって、
前記車両管理装置は、
前記乗務員に対する出庫前チェックを実施する検査手段と、
前記検査手段によって実施された出庫前チェックの結果を含む出庫確認データを保持する保持手段と、
前記保持手段によって保持された出庫確認データを前記タクシーメータに送信する送信手段と、を備え、
前記タクシーメータは、
前記乗務員の識別情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた乗務員の識別情報に対応する前記出庫確認データを、前記車両管理装置から受信する受信手段と、
前記出庫確認データをもとに、出庫の可否を判定する出庫判定手段と、
前記出庫判定手段によって前記出庫が不可能である場合、前記タクシーメータの前記画面に警告を表示する表示手段と、
を備え、
前記出庫判定手段によって出庫が不可能であると判定された場合、前記タクシーメータを操作不可能な状態にする操作制限手段を備えることを特徴とする出庫処理システム。
【請求項2】
前記車両管理装置は、前記乗務員が乗車するタクシー車両を割り当てる車両割当手段を備え、
前記保持手段は、前記車両割当手段によって割り当てられたタクシー車両の識別情報を含む前記出庫確認データを保持し、
前記出庫判定手段は、前記出庫確認データに含まれるタクシー車両の識別情報と、前記受付手段によって前記乗務員の識別情報が受け付けられたタクシーメータを搭載したタクシー車両の識別情報とが異なる場合、出庫が不可能であると判定することを特徴とする請求項1記載の出庫処理システム。
【請求項3】
前記出庫判定手段は、前記出庫確認データに含まれる出庫前チェックの結果、全ての出庫前チェックが完了していない場合、出庫が不可能であると判定することを特徴とする請求項1記載の出庫処理システム。
【請求項4】
タクシー車両に搭載され、画面に前記タクシー車両の走行状態を表示するタクシーメータであって、
乗務員に対する出庫前チェックを実施し、前記出庫前チェックの結果を含む出庫確認データを保持する車両管理装置と通信可能に接続され、
前記乗務員の識別情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた乗務員の識別情報に対応する出庫確認データを、前記車両管理装置から受信する受信手段と、
前記出庫確認データをもとに、出庫の可否を判定する出庫判定手段と、
前記出庫判定手段によって前記出庫が不可能である場合、前記画面に警告を表示する表示手段と、を備えることを特徴とするタクシーメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−88934(P2013−88934A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227290(P2011−227290)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(501418498)矢崎エナジーシステム株式会社 (79)
【Fターム(参考)】