説明

出版物分割装置、出版物分割方法、制御プログラム、および、記録媒体

【課題】出版物の出版形態による分割作業を容易に実現する。
【解決手段】本発明の出版物分割装置1は、出版物を複数の要素からなる構造化データとして表す出版物情報を記憶する出版物情報記憶部30と、上記出版物の出版形態を要素ごとに決定する分割処理部21とを備え、上記出版物情報において、上記出版物の内容を電子化した1または複数の素材ファイル3が要素ごとに対応付けられており、分割処理部21は、上記要素に対応付けられている素材ファイル3に基づいて出版形態を決定することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出版物の電子データを処理する出版物分割装置、出版物分割方法、制御プログラム、および、記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、新聞、雑誌、書籍、冊子などの出版物は、印刷という形態で出版され、広く流通してきた。しかし、近年パーソナルコンピュータ(以下、パソコン)など、個人レベルで使用できる情報処理装置の普及に伴って、これらの出版物が、CDやDVDなどの各種記録媒体に記録され、電子化データの形態で出版されるようになってきた。
【0003】
近年、出版物の内容を、すべて電子データで扱うことが可能になっている(例えば、特許文献1など)。よって、出版形態の自由度が高まり、出版物の出版方法が多様化してきている。例えば、付録と称して書籍の内容の一部を記録したCDやDVDなどが付属された書籍は多くあるし、また、分厚い辞書が、1枚の薄いCDに収められて販売されていることもある。
【0004】
このように、出版物を出版する際、その内容が、紙媒体に印刷される部分と、CD・DVDなどに記録され電子化される部分とに分かれる場合がある。このように、出版物の内容を出版形態で分割する作業は、従来、著者や編集者などの人が、内容面、コスト面などを考慮して行ってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−290973号公報(2001年10月19日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような出版物の分割作業は、出版物販売の経験則および出版物の内容に対する深い理解、知識などが要求される複雑な作業であった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、出版物の出版形態による分割作業を容易に実現する出版物分割装置、出版物分割方法、制御プログラム、および、記録媒体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の出版物分割装置は、上記課題を解決するために、出版物を複数の要素からなる構造化データとして表す出版物情報を記憶する出版物情報記憶部と、上記出版物の出版形態を要素ごとに決定する出版形態決定手段とを備え、上記出版物情報において、上記出版物の内容を電子化した1または複数の素材ファイルが要素ごとに対応付けられており、上記出版形態決定手段は、上記要素に対応付けられている素材ファイルに基づいて出版形態を決定することを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、出版形態決定手段は、出版物の電子データを、いくつかの要素に区分した上で、その要素に対応する素材ファイルを評価して、要素ごとに出版形態を決定する。
【0010】
これにより、出版物の中身である素材ファイルに基づいて、1つの出版物を出版形態によって自動で分割することができる。結果として、出版物の分割作業を、経験や知識を必要とせずに容易に実施することが可能になるという効果を奏する。
【0011】
例えば、上記出版形態決定手段は、上記素材ファイルのプロパティおよび内容の少なくとも一方に基づいて、対応する要素の出版形態を、印刷または電子化と決定する。
【0012】
上記構成によれば、出版形態決定手段は、素材ファイルのプロパティ(データ形式、更新履歴など)や内容(テキストデータであれば文字列、画像データであれば画像そのもの)に基づいて、1つの出版物を、印刷して出版する部分と電子化して出版する部分とに自動で分割する。
【0013】
上記出版形態決定手段は、上記素材ファイルの内容の変更の可能性、および、該内容を電子化した場合の利便性の少なくともいずれか一方の属性を評価して、対応する要素の出版形態を決定してもよい。
【0014】
これにより、内容にどの程度変更があるのか、電子化すればどの程度便利なのかを要素ごとに評価して、要素ごとに最適な出版形態を決定することが可能となる。
【0015】
上記素材ファイルは、テキストデータを含み、上記出版形態決定手段は、上記テキストデータが、内容の変更の可能性を示唆する所定の単語(発展性ワード)を所定以上多く含む場合に、対応する要素の出版形態を電子化と決定してもよい。
【0016】
上記構成によれば、上記出版形態決定手段は、内容の変更の可能性を示唆する所定の単語を所定以上多く含む素材ファイルについて、内容が頻繁に変更されそうな素材ファイル(要素)であると判断する。
【0017】
これにより、内容が頻繁に変更されそうな要素については、出版形態を電子化と決定することができる。内容の変更が度々起こっても、電子化して出版すれば、変更の度に改訂版を印刷する場合と比べてコスト面で有利となる。
【0018】
上記素材ファイルは、テキストデータを含み、上記出版形態決定手段は、上記テキストデータが、電子化の利便性を示唆する所定の単語(利便性ワード)を所定以上多く含む場合に、対応する要素の出版形態を電子化と決定してもよい。
【0019】
上記構成によれば、上記出版形態決定手段は、電子化の利便性を示唆する所定の単語を所定以上多く含む素材ファイルについて、電子化した方が便利な(メリットが大きい)素材ファイル(要素)であると判断する。
【0020】
これにより、電子化した方が便利な要素については、出版形態を電子化と決定することができる。例えば、サンプルや雛型、あるいは、問題と模範解答などのように、その内容が電子データで利用できれば読者の利便性が向上するというケースでは上記構成は有用である。
【0021】
上記出版形態決定手段は、上記素材ファイルの更新頻度が所定以上の場合に、対応する要素の出版形態を電子化と決定してもよい。
【0022】
上記構成によれば、上記出版形態決定手段は、更新が頻繁に行われている素材ファイルについて、内容が頻繁に変更されそうな素材ファイル(要素)であると判断する。
【0023】
これにより、内容が頻繁に変更されそうな要素については、出版形態を電子化と決定することができる。内容の変更が度々起こっても、電子化して出版すれば、変更の度に改訂版を印刷する場合と比べてコスト面で有利となる。
【0024】
上記出版形態決定手段は、上記素材ファイルが印刷不可能なデータ形式である場合、対応する要素の出版形態を電子化と決定することが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、上記出版形態決定手段は、印刷できない(印刷しても意味がない)素材ファイルをデータ形式によって判断し、そのような素材ファイル(要素)について、電子化して出版することを決定する。上記の素材ファイルの例としては、音楽ファイル、動画ファイル、プログラム実行ファイルなどが挙げられる。
【0026】
さらに、上記出版形態決定手段によって決定された出版形態を、要素ごとに表示する表示制御手段を備えていてもよい。
【0027】
これにより、上記出版形態決定手段が自動で行った出版物の分割作業の結果をユーザが視認することができる。
【0028】
さらに、上記表示制御手段によって表示された出版形態に対する、ユーザの編集操作を受け付けて、上記出版形態決定手段によって決定された出版形態を編集する出版形態編集手段を備えていてもよい。
【0029】
これにより、上記出版形態決定手段が自動で行った出版物の分割作業の結果をユーザが視認した結果、一部の要素について出版形態を変更したいと望む場合に、その編集操作を容易に行うユーザインターフェースを実現することが可能となる。
【0030】
本発明の出版物分割方法は、上記課題を解決するために、出版物を複数の要素からなる構造化データとして表す出版物情報を用いて、出版物の出版形態を決定する出版物分割方法であって、上記出版物情報において要素ごとに対応付けられている、上記出版物の内容を電子化した1または複数の素材ファイルを取得する素材ファイル取得ステップと、上記素材ファイル取得ステップにて取得された、要素ごとの素材ファイルに基づいて、上記出版物の出版形態を要素ごとに決定する出版形態決定ステップとを含むことを特徴としている。
【0031】
なお、上記出版物分割装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記出版物分割装置をコンピュータにて実現させる出版物分割装置の制御プログラム、および、それを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0032】
本発明の出版物分割装置は、以上のとおり、出版物を複数の要素からなる構造化データとして表す出版物情報を記憶する出版物情報記憶部と、上記出版物の出版形態を要素ごとに決定する出版形態決定手段とを備え、上記出版物情報において、上記出版物の内容を電子化した1または複数の素材ファイルが要素ごとに対応付けられており、上記出版形態決定手段は、上記要素に対応付けられている素材ファイルに基づいて出版形態を決定することを特徴としている。
【0033】
本発明の出版物分割方法は、以上のとおり、上記出版物情報において要素ごとに対応付けられている、上記出版物の内容を電子化した1または複数の素材ファイルを取得する素材ファイル取得ステップと、上記素材ファイル取得ステップにて取得された、要素ごとの素材ファイルに基づいて、上記出版物の出版形態を要素ごとに決定する出版形態決定ステップとを含むことを特徴としている。
【0034】
これにより、出版物の出版形態による分割作業を容易に実現することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態における出版物分割装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】(a)および(b)は、出版物分割装置の分割処理部が行う出版物分割処理の概念を説明する図である。
【図3】出版物分割装置の出版物情報記憶部に記憶されている出版物情報の具体例を示す図である。
【図4】出版物分割装置の分割結果情報記憶部に記憶されている属性情報および分割結果情報の具体例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態における出版物分割装置が実行する出版物分割処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】出版物分割装置の分割処理部が生成した分割結果情報を表示部に表示した場合の表示画面の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
≪実施形態1≫
本発明の実施形態について、図面に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態では、一例として、本発明の出版物分割装置を、1台のパソコンにて実現した場合について説明する。しかしながら、本発明の構成はこれに限定されない。例えば、出版物分割装置が有する機能を、複数台のパソコンに分けて実現した出版物分割システムも本発明の範疇に入る。
【0037】
〔出版物分割装置の構成〕
図1は、本発明の実施形態における出版物分割装置1の要部構成を示すブロック図である。図1に示すとおり、本実施形態における出版物分割装置1は、主制御部10および記憶部11を少なくとも備えている構成であり、さらに、表示部12、通信部13および操作部14を備えていてもよい。
【0038】
表示部12は、出版物分割装置1が取り込んだ、出版物を構成する電子化ファイル(以下、素材ファイル3と称する)を表示したり、ユーザが出版物分割装置1を操作するための操作画面をGUI(Graphical User Interface)画面として表示したりするものである。具体的には、表示部12は、出版物分割装置1が行った出版物の分割結果を表示したり、またその分割結果をユーザが手動で変更するための操作画面を表示したりする。表示部12は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)などの表示装置で構成される。
【0039】
通信部13は、通信網を介して外部の装置と通信を行うものである。通信部13は、例えば、図示しないLAN(Local Area Network)を介して、構内の他のパソコン2に分割結果を送信してもよい。このようにすれば、出版物分割装置1とLANを介して接続するパソコン2においても、出版物の分割結果を確認することができる。通信部13は、ゲートウェイおよびインターネットを介して、図示しない外部の装置と通信しデータの送受信を行ってもよい。
【0040】
操作部14は、ユーザが出版物分割装置1に対して指示信号を入力するためのものである。操作部14は、十字キー、決定キー、文字入力キーなどを設けたキーボード、マウス、タッチパネル、または、音声入力部および音声認識部など、適宜の入力装置で構成される。
【0041】
記憶部11は、主制御部10が実行する制御プログラムおよびOSプログラム、ならびに、主制御部10が、出版物分割装置1が有する各種機能を実行するときに読み出す各種データを記憶するものである。特に、記憶部11は、出版物分割装置1が実行する出版物分割処理を実行するために必要な各種プログラム、データを記憶する。具体的には、記憶部11は、出版物情報記憶部30および分割結果情報記憶部31を少なくとも含んでいる。出版物情報記憶部30および分割結果情報記憶部31は、内容の書き換えが可能な不揮発性メモリである、EPROM(Erasable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、フラッシュメモリなどで実現される。なお、記憶部11は、内容の書き換えが不要な情報を記憶する場合は、読出し専用の半導体メモリであるROM(Read Only Memory)などで実現されてもよい。
【0042】
また、出版物分割装置1は、図示しない一時記憶部を備えている。この一時記憶部は、出版物分割装置1が実行する各種処理の過程で、演算に使用するデータおよび演算結果等を一時的に記憶するいわゆるワーキングメモリであり、RAMなどで構成される。
【0043】
主制御部10は、出版物分割装置1が備える各部を統括制御するものであり、機能ブロックとして、少なくとも、出版物情報生成部20および分割処理部21を備えている。出版物分割装置1の主制御部10は、さらに、機能ブロックとして、分割結果出力部22および分割結果編集部23を備えていてもよい。
【0044】
上述した主制御部10の各機能ブロックは、CPU(central processing unit)が、ROM(read only memory)等で実現された記憶装置に記憶されているプログラムを不図示のRAM(random access memory)等に読み出して実行することで実現できる。
【0045】
出版物情報生成部20は、出版物分割装置1に取り込まれた出版物の素材ファイル3を取得して、出版物情報を生成するものである。出版物情報は、出版物に関する情報とその出版物の構成とを示す構造化データである。出版物分割装置1の各部は、出版物情報を用いることにより、出版物ごとに出版物の内容を識別することができ、各出版物が内容に基づいていくつかの要素からなっていることを認識することができる。
【0046】
なお、出版物分割装置1が出版物の素材ファイル3をどのように取り込むかについては特に限定されない。例えば、ユーザが、表示部12に表示されたGUI画面上の所定領域に、1冊の出版物のタイトルを入力するとともに、該出版物の全素材ファイル3を、ドラッグアンドドロップすることによって取り込むという方法が考えられる。素材ファイル3は、予め自装置に保存されているものであってもよいし、図示しない外部記録媒体(USB(Universal Serial Bus)メモリなど)に記憶されたものであってもよいし、通信部13を介して外部装置から供給されたものであってもよい。
【0047】
素材ファイル3としては、文章・テキストなどが含まれる文書ファイル3a、表・図形・グラフなどが含まれる表計算ファイル3b、写真・画像・イラストなどが含まれる画像ファイル3c、図と文字とを合わせて表示できる複合ファイル3d(例えば、html文書、XML文書、PDF文書など)、音声ファイル3e、動画ファイル3f、プログラム実行ファイル3gなどが挙げられる。しかし、これに限らず、出版物の内容を含む他のあらゆるデータ形式のファイルが出版物分割装置1に取り込まれてもよい。
【0048】
出版物情報生成部20は、上述のようにして取り込まれた素材ファイル3に基づいて、出版物をいくつかの要素に分解し、出版物情報を生成する。出版物情報生成部20は、生成した出版物情報を出版物情報記憶部30に記憶する。本実施形態では、出版物情報生成部20は、最も単純な構成として、1素材ファイルを1要素として認識することとする。ただし、この構成に限らず、出版物情報生成部20は、ユーザの指示に応じて、複数の素材ファイルを1つの要素として認識してもよいし、1つの素材ファイルを複数の要素に分けて認識してもよい。また、本実施形態では、出版物情報生成部20は、1の素材ファイルから、出版物の表紙(裏表紙)を1つの要素として認識する。出版物情報生成部20は、素材ファイルのファイル名から当該素材ファイルが、要素「表紙(裏表紙)」であることを自動で認識してもよいし、ユーザからの「表紙(裏表紙)」の指定とともに素材ファイルを受け付けることにより当該素材ファイルを表紙(裏表紙)と認識してもよい。
【0049】
出版物情報生成部20が生成する出版物情報については、図3を参照して後に詳述する。
【0050】
分割処理部21は、出版物情報生成部20が生成した出版物情報に基づいて、当該出版物を出版形態で分割するものである。詳細には、分割処理部21は、出版物の要素ごとに、対応付けられている素材ファイル3の内容を評価して、印刷して出版すべきか、電子化して出版すべきかを決定する。例えば、分割処理部21は、素材ファイル3を、印刷の要否、印刷の可否、コスト面、および、電子化の利便性の観点から評価して、要素ごとに評価値を算出して属性情報を得る。そして、その評価値または属性情報に基づいて、出版形態を決定する。
【0051】
図2の(a)および(b)は、分割処理部21が行う出版物分割処理の概念を説明する図である。
【0052】
書籍タイトルが「外国特許ガイド」である1冊の出版物40は、出版物情報生成部20が出版物情報を生成したことにより、例えば、図2の(a)に示すとおり、8個の要素41を有する構造化データとして取り扱われるようになる。
【0053】
ここで、分割処理部21は、各要素41に対応付けられている素材ファイル3を評価して、各要素41について、印刷の要否、印刷の可否、印刷と電子化のいずれがコスト面で有利か、電子化した場合にどのくらい便利かなどに関して属性情報を作成する。そして、属性情報に基づいて、要素41ごとに、「印刷」、「電子化」のいずれかの出版形態を決定する。その結果、図2の(b)に示すとおり、出版物40の8個の要素は、「印刷」フラグが付与された要素41aか、「電子化」フラグが付与された要素41bかのいずれかに分割される。
【0054】
こうして、出版物40を、出版形態の違いによって分割することを自動化することができる。分割処理部21は、この分割結果を示す分割結果情報を生成して、分割結果情報記憶部31に記憶する。分割結果情報は、出版物の各要素について、当該要素の出版形態を示す情報である。分割結果情報は、例えば、図2の(b)に示すとおり、各要素に「印刷」フラグまたは「電子化」フラグが付与されたものであり、この分割結果情報を用いれば、出版物を扱うすべての機器において、出版形態を機械的に判別することが可能となる。
【0055】
分割処理部21が生成する属性情報および分割結果情報については、図4を参照して後に詳述する。
【0056】
分割結果出力部22は、上述のように分割処理部21が行った出版物分割処理の結果をユーザに提示するものである。分割結果出力部22は、分割結果情報を分割処理部21から取得し、それをユーザが認識できるように加工して表示部12または通信部13に出力する。分割結果出力部22は、例えば、表示制御部であって、上記分割結果情報を映像信号に加工して表示部12に出力することが考えられる。あるいは、分割結果出力部22は、通信制御部であって、上記分割結果情報に必要なヘッダ/フッタを付加したり、パケット化したりして通信データに成形し、通信部13に出力することが考えられる。
【0057】
ユーザは、出力された分割結果情報を用いて、容易に出版物の出版形態を定めることが可能となる。
【0058】
分割結果編集部23は、上述のように分割処理部21が行った出版物分割処理の結果を、ユーザの指示に基づき編集するものである。例えば、図2の(b)に示す出版物40(「外国特許ガイド」)の分割結果情報がユーザに対して提示されたとし、ユーザが、要素「目次」についても印刷で出版したいと望んだとする。ユーザが、要素「目次」の出版形態を電子化から印刷へ変更する指示を、操作部14を介して入力したとする。
【0059】
分割結果編集部23は、上記指示を受け付けて、分割結果情報記憶部31に記憶されている分割結果情報を変更する。すなわち、出版物「外国特許ガイド」の要素「目次」の出版形態のフラグを、「電子化」から「印刷」に変更する。
【0060】
上記構成によれば、自動的に出力された分割結果情報が、実際にはユーザの意図に沿わない結果になったとしても、分割結果情報の編集をユーザ自身が容易に行えるので、ユーザは、容易に出版物の出版形態を定めることが可能となる。
【0061】
〔出版物情報について〕
図3は、出版物情報記憶部30に記憶されている出版物情報の具体例を示す図である。
【0062】
図3に示すとおり、出版物情報は、出版物1冊につき、出版物を一意に識別するための「出版物ID」と出版物の「タイトル」とが付与され、次に、当該出版物を構成する要素ごとに、個々の要素を識別するための「要素ID」と、要素の内容や要素名などを示す「要素」と、当該要素に対応する、取り込まれた素材ファイルのファイル名を示す「素材ファイル」とが関連付けられているデータ構造となっている。
【0063】
本実施形態では、「出版物ID」は、出版物分割装置1が出版物を一意に識別可能なように、出版物情報生成部20が付与したシリアルナンバーである。「タイトル」は、ユーザが、出版物分割装置1に素材ファイル3を入力するときに、タイトルとして入力した文字列を出版物情報生成部20が取得したものである。「要素ID」は、出版物情報生成部20が、入力された素材ファイル3に基づいて認識した各要素について、1出版物の中でそれらを一意に識別可能なように出版物情報生成部20が付与したシリアルナンバーである。「要素」の文字列は、出版物情報生成部20が各素材ファイルの中からキーワードを抽出して作成したものであってもよいし、ユーザが素材ファイルの内容にちなんで予め入力した文字列であってもよいし、素材ファイルのファイル名から抽出して作成したものであってもよい。いずれにしても「要素」に格納される文字列は、ユーザが一目見てその要素の中身を連想できるようなものであることが好ましい。
【0064】
「素材ファイル」は、出版物分割装置1に入力された素材ファイルのファイル名が出版物情報生成部20によって取得されたものである。本実施形態では、図3に示すとおり、素材1ファイルと1要素とは1対1の関係であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0065】
図3に示す例では、書籍「外国特許ガイド」について、以下の8個の素材ファイル(hyousi.jpg、mokuji.pdf、tokkyokaisetu.doc、tokkyokaisetu-2.doc、sample.pdf、table.xls、kougi.dvf、tyosyasyoukai.pdf)が出版物分割装置1に入力されたものとする。したがって、ここでは、出版物情報生成部20は、書籍「外国特許ガイド」の要素を8個と認識し、上記書籍に、出版物ID「001」を付与するとともに、上記書籍の各要素に「1」〜「8」の要素IDを付与する。
【0066】
このようにして出版物情報生成部20が生成した出版物情報を読み出すことにより、分割処理部21は、出版物を要素ごとに認識することができるとともに、要素に対応する素材ファイルを取得して、素材ファイルの内容に基づいて、要素ごとに評価を行うことが可能となる。
【0067】
〔属性情報および分割結果情報について〕
図4は、分割結果情報記憶部31に記憶されている属性情報および分割結果情報の具体例を示す図である。
【0068】
図4に示すとおり、属性情報は、1出版物の要素ごとに付与されるものであり、属性情報には、各要素の出版形態を判断するために必要な情報が含まれている。本実施形態では、一例として、属性情報は、3種類のフラグ情報から成り立っている。
【0069】
属性情報「印刷」のフィールドには、その要素について印刷が必要であることを示す「要」フラグ、その要素について印刷が不可能であることを示す「不可」フラグの何れかが格納される。
【0070】
本実施形態では、分割処理部21は、要素「表紙、裏表紙」については印刷が必ず必要であると判断し、「要」フラグを格納する。また、分割処理部21は、音声ファイル、動画ファイル、プログラムファイルなど、印刷できない、または、印刷しても意味を成さない素材ファイルが対応付けられている要素については、印刷すべきでないと判断し、「不可」フラグを格納する。分割処理部21は、上記のいずれにも該当しない、すなわち、印刷可能であるが、印刷してもしなくてもよい要素については値を格納しない。すなわち、このフィールドがNULL値(図4では「−」で表記)となる。
【0071】
属性情報「発展性」のフィールドには、その要素について、内容の改訂が(頻繁に)起こり得るか否かを示す「あり」/「なし」フラグが格納される。
【0072】
例えば、その要素が、その出版物において、不変の定理、原理を説明する部分であり、内容がその後変更される可能性が極めて少ないという場合には、分割処理部21は、当該要素について、発展性の評価値を下げ、結果として、発展性「なし」フラグを立てる。例えば、分割処理部21は、その要素の素材ファイルの中に、原理、定理、定義、法則、基本などのキーワード(以下、非発展性ワード)が含まれている場合に、当該要素について発展性の評価値を下げることが考えられる。
【0073】
反対に、その要素の素材ファイルが、今後、発展し、改訂されていく可能性が高いという場合には、分割処理部21は、当該要素について、発展性の評価値を上げ、結果として、発展性「あり」フラグを立てる。例えば、分割処理部21は、素材ファイルの中に、頻繁に改訂されていることを示すキーワード(例えば、改訂、修正、変更、版、Ver.、バージョンなど。以下、発展性ワード)が含まれている場合に、当該要素について発展性の評価値を上げることが考えられる。
【0074】
あるいは、分割処理部21は、素材ファイルの作成日時、更新日時、更新履歴、版の管理情報などを取得して、ファイルが作成されてからほとんど内容の更新が行われていない場合には、該当する要素の発展性の評価値を下げ、逆に、最近に、ファイルの更新が行われている場合には、該当する要素の発展性の評価値を上げることが考えられる。
【0075】
上述のように、頻繁に内容の改訂が起こりうる要素については、印刷で出版するよりも電子化して出版する方がコスト面で有利となる。したがって、分割処理部21は、発展性の高い要素について出版形態を電子化とする、と判断することができる。
【0076】
属性情報「(電子化の)利便性」のフィールドには、その要素について、電子化することの利便性やメリットがあるか否かを示す利便性「あり」/「なし」フラグが格納される。
【0077】
例えば、その要素の素材ファイルサイズは比較的小さいが、印刷した場合ページ数が膨大になるという場合には、印刷よりも電子化した方がコスト面で有利となる。このような場合、分割処理部21は、当該要素について、利便性の評価値を上げ、結果として、利便性「あり」フラグを立てる。逆の場合には、利便性「なし」フラグを立てる。
【0078】
あるいは、その要素の素材ファイルが、テンプレート、雛型、サンプルなどのファイルである場合には、電子化すれば読者がそれらをすぐに活用できるので電子化のメリットがある。このような場合には、分割処理部21は、当該要素について、利便性の評価値を上げ、結果として、利便性「あり」フラグを立てる。
【0079】
あるいは、その要素の素材ファイルが、画像ファイルであって、印刷時に想定される以上の高解像度を有している場合には、印刷するとその画像ファイルの高精細な部分が再現されないというデメリットがある。このような場合にも、分割処理部21は、当該要素について、電子化の利便性の評価値を上げ、結果として、利便性「あり」フラグを立てる。
【0080】
あるいは、その要素の内容が問題集やクイズなどであり、素材ファイルが問題と答えとで構成されている場合、答えが読者にタイミングよく提供されるためには、当該要素は電子化して出版した方が有利であり、読者にとって使い勝手がよい。このような場合、分割処理部21は、当該要素について、利便性の評価値を上げ、結果として、利便性「あり」フラグを立てる。例えば、分割処理部21は、その要素の素材ファイルの中に、問題、質問、回答、こたえ、解答などのキーワード(以下、利便性ワード)が含まれている場合に、当該要素について利便性の評価値を上げることが考えられる。
【0081】
なお、本実施形態では、印刷「要」または印刷「不可」のフラグが付与された要素については、その時点で、出版形態が確定するので、発展性および電子化利便性についての評価は行われなくてもよい。評価が行われなかったフィールドはNULL値(図4では、「−」と表記)となる。
【0082】
分割処理部21は、以上のようにして要素を評価して求めた属性情報を用いて、要素ごとの出版形態を決定する。出版形態は、一例として以下のようにして決定される。
【0083】
図4に示す例では、分割結果情報は、「出版形態」のフィールドに格納されるフラグによって実現されている。そして、分割処理部21は、属性情報を参照し、(A)「印刷:要」、または、(B)「発展性:なし」かつ「利便性:なし」の要素の出版形態を「印刷」と決定して、「印刷」フラグを当該要素に付与する。そして、(A)「印刷:不可」、もしくは、(B)「発展性:あり」または「利便性:あり」の要素の出版形態を「電子化」と決定して、「電子化」フラグを当該要素に付与する。このようにして、出版物を、出版形態で分割することが可能なる。
【0084】
〔出版物分割処理の流れ〕
次に、出版物分割装置1が実行する出版物分割処理の流れについて説明する。以下の説明では、図3に示す、出版物ID「001」の「外国特許ガイド」の出版物を分割する例を具体例として用いる。
【0085】
図5は、本発明の実施形態における出版物分割装置1が実行する出版物分割処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
まず、分割処理部21は、出版物情報記憶部30に記憶されている上記出版物の8個の要素(図3を参照のこと)のうち、処理対象となる要素を1つ取得し、その要素に対応付けられている素材ファイルを取得する(S101)。そして、取得した素材ファイルのデータ形式に基づいて、印刷の可否を判断する(S102)。例えば、取得した要素が、要素ID「7」である場合、その素材ファイル(kougi.dvf)は、講義内容を録音した音声データである。この場合、分割処理部21は、要素ID「7」の素材ファイルは、印刷不可であると判断し(S102においてNO)、属性情報「印刷」について、「不可」フラグを立てる(S103)。
【0087】
一方、分割処理部21は、印刷可と判断した場合は(S102においてYES)、当該要素が、「表紙・裏表紙」であるか否かを判断する(S104)。この判断の方法は特に限定されないが、予め入力されている要素名または素材ファイルのファイル名に表紙を連想させる文字列(表紙ワード)が含まれているか否かで判断してもよい。例えば、取得した要素が、要素ID「1」である場合、要素名とファイル名に、表紙を表す文字列が含まれている。この場合、分割処理部21は、要素ID「1」の要素は、表紙または裏表紙であるので印刷要と判断し(S104においてYES)、属性情報「印刷」について、「要」フラグを立てる(S105)。なお、S102、S103の一連の処理と、S104、S105の一連の処理とは、前後してもかまわない。
【0088】
次に、印刷「不可」、「要」のいずれのケースにも該当しない要素については(S102においてYESかつS104においてNO)、分割処理部21は、発展性と利便性を評価する。S106〜S109の一連の処理と、S110〜S113の一連の処理とは前後してもかまわない。
【0089】
ここでは、まず、分割処理部21は、S101で取得した要素について、発展性の評価値を算出する(S106)。分割処理部21は、発展性ワードが多く含まれていたり、ファイルが頻繁に更新されていたり、作成(更新)されてから日が浅かったりして、内容が今後変更される可能性が高いほど、評価値を高く算出する。
【0090】
次に、分割処理部21は、算出された評価値と、発展性評価値用に予め保持している閾値とを比較する。そして、算出された評価値が閾値以上であれば(S107においてYES)、発展性(改訂の可能性)が十分に高いとして、属性情報「発展性」について、「あり」フラグを立てる(S108)。反対に、算出された評価値が閾値未満であれば(S107においてNO)、発展性はほぼないとして、属性情報「発展性」について、「なし」フラグを立てる(S109)。
【0091】
次に、分割処理部21は、S101で取得した要素について、電子化の利便性の評価値を算出する(S110)。分割処理部21は、素材ファイルに利便性ワードが多く含まれていたり、ファイルサイズは小さいがページ数にするとかさむ素材ファイルであったり、素材ファイルがテンプレートであったり、素材ファイルが高解像度の画像データであったりして、電子化した方がメリットが大きい要素ほど、評価値を高く算出する。
【0092】
次に、分割処理部21は、算出された評価値と、利便性評価値用に予め保持している閾値とを比較する。そして、算出された評価値が閾値以上であれば(S111においてYES)、電子化のメリットが大きいとして、属性情報「利便性」について、「あり」フラグを立てる(S112)。反対に、算出された評価値が閾値未満であれば(S111においてNO)、電子化のメリットはほぼないとして、属性情報「利便性」について、「なし」フラグを立てる(S113)。
【0093】
以上のように、S101で取得した1つの要素について、「印刷」、もしくは、「発展性」および「利便性」についての評価が確定した後は、分割処理部21は、当該出版物の要素について未処理の要素があれば(S114においてYES)、S101に戻り、未処理の要素を取得して、上述したのと同じ処理を繰り返す。そして、当該出版物のすべての要素について評価(図4に示す属性情報)が確定したら(S114においてNO)、次に、分割処理部21は、その属性情報に基づいて、要素ごとに出版形態を決定して、出版物「001:外国特許ガイド」を分割する(S115)。
【0094】
本実施形態では、分割処理部21は、(A)「印刷:要」、もしくは、(B)「発展性:なし」かつ「利便性:なし」の要素の出版形態を「印刷」と決定し、(A)「印刷:不可」、もしくは、(B)「発展性:あり」または「利便性:あり」の要素の出版形態を「電子化」と決定する。したがって、図3に示すとおり、上記出版物は、印刷される要素ID「1」、「3」、「6」、「8」の部分と、電子化される要素ID「2」、「4」、「5」、「7」の部分とに分割される。
【0095】
上記方法によれば、出版物の内容(素材ファイルの内容)に基づいて、コスト、利便性の観点から有利なように、出版形態を自動で決定することが可能となる。
【0096】
〔分割結果情報の表示例〕
分割処理部21が行った出版物分割処理の結果を示す分割結果情報は、ユーザに提示され、ユーザが、上記分割結果情報を編集できるようにしてもよい。
【0097】
図6は、分割処理部21が生成した分割結果情報を表示部12に表示した場合の表示画面の具体例を示す図である。
【0098】
表示部12には、まず、分割結果情報60が表示される。分割結果情報60は、どのような形式で表示されてもよいが、図6に示すように、出版物のどの部分が「印刷」部分で、どの部分が「電子化」部分になるのか、その全容が一目見て分かるような状態で表示されることが好ましい。
【0099】
また、「印刷」部分の要素を製本したときのイメージをプレビューできる印刷イメージ領域61と、「電子化」部分の要素を記録媒体に記録したときの媒体の空き容量などを把握できる空き容量可視化領域62とが表示されてもよい。
【0100】
さらに、本実施形態では、分割結果情報60は、ユーザが出版形態を自由に編集するためのGUI領域でもある。具体的には、ユーザは、操作部14(マウスなど)を操作して、マウスポインタを、出版形態を変更したい要素の領域にのせてクリックする。例えば、マウスポインタが要素「目次」の領域にある状態でマウスがクリックされたとする。
【0101】
分割結果編集部23は、上記入力信号にしたがって、分割結果情報記憶部31に記憶されている分割結果情報を変更し、変更後の分割結果情報を一時記憶部に一時的に格納する。具体的には、選択された要素「目次」の出版形態のフラグを、「電子化」フラグから「印刷」フラグに変更する。
【0102】
分割結果出力部22は、分割結果情報が変更されると、その変更が分割結果情報60、印刷イメージ領域61および空き容量可視化領域62に反映されるよう、新たな映像信号を出力する。
【0103】
ユーザは、これにより、出版物の印刷イメージおよび記録媒体の空き容量などを確認しながら、分割結果の最終調整を容易に行うことが可能となる。ユーザは、希望通りの分割結果になった時点で、OKボタン63を選択すればよい。この操作にしたがって、分割結果編集部23は、一時記憶部に格納していた変更後の分割結果情報を分割結果情報記憶部31に反映して、最終的に変更が確定する。
【0104】
〔変形例〕
例えば、記録媒体の容量の制約など、電子化できるデータサイズに上限がある場合であって、分割処理部21が「出版形態:電子化」と判断した要素をすべて電子化した場合に上記上限を上回るケースも想定される。このように、分割処理部21は、電子化データサイズのオーバーフローを検知した場合には、図5のS115に戻り、S106およびS110で求めた評価値に基づいて、発展性および利便性の評価値が低い要素から順に、出版形態を、「電子化」から「印刷」に変更する処理を行ってもよい。発展性および利便性の評価値が最も低い要素は、出版形態を印刷に変更しても悪影響を最小限に抑えられる要素である。
【0105】
上述の実施形態では、属性情報はフラグで実現されており、分割処理部21は、2値の組み合わせによって、「印刷」/「電子化」を判断していたが、本発明の出版物分割装置1の構成をこれに限定する意図はない。分割処理部21がS106およびS110でそれぞれ求めた発展性および利便性の評価値(数値)をそのまま属性情報として用いることも可能である。例えば、「印刷」と判断する場合の各評価値の閾値、および、「電子化」と判断する場合の各評価値の閾値を予め定めておけば、分割処理部21は、閾値と評価値との比較によって出版形態を決定することができる。
【0106】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0107】
最後に、出版物分割装置1の各ブロック、特に、出版物情報生成部20および分割処理部21は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0108】
すなわち、出版物分割装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである出版物分割装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記出版物分割装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0109】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0110】
また、出版物分割装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の出版物分割装置は、出版物の内容に応じて出版形態を自動で決定するのに好適に用いることができる。本発明の出版物分割装置は、1台のコンピュータで実現されてもよいし、複数台のコンピュータで、出版物分割システムとして実現されてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 出版物分割装置
2 パソコン
3 素材ファイル
10 主制御部
11 記憶部
12 表示部
13 通信部
14 操作部
20 出版物情報生成部(出版物情報生成手段)
21 分割処理部(出版形態決定手段)
22 分割結果出力部(表示制御手段)
23 分割結果編集部(出版形態編集手段)
30 出版物情報記憶部
31 分割結果情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出版物を複数の要素からなる構造化データとして表す出版物情報を記憶する出版物情報記憶部と、
上記出版物の出版形態を要素ごとに決定する出版形態決定手段とを備え、
上記出版物情報において、上記出版物の内容を電子化した1または複数の素材ファイルが要素ごとに対応付けられており、
上記出版形態決定手段は、
上記要素に対応付けられている素材ファイルに基づいて出版形態を決定することを特徴とする出版物分割装置。
【請求項2】
上記出版形態決定手段は、
上記素材ファイルのプロパティおよび内容の少なくとも一方に基づいて、対応する要素の出版形態を、印刷または電子化と決定することを特徴とする請求項1に記載の出版物分割装置。
【請求項3】
上記出版形態決定手段は、
上記素材ファイルの内容の変更の可能性、および、該内容を電子化した場合の利便性の少なくともいずれか一方の属性を評価して、対応する要素の出版形態を決定することを特徴とする請求項2に記載の出版物分割装置。
【請求項4】
上記素材ファイルは、テキストデータを含み、
上記出版形態決定手段は、
上記テキストデータが、内容の変更の可能性を示唆する所定の単語を所定以上多く含む場合に、対応する要素の出版形態を電子化と決定することを特徴とする請求項3に記載の出版物分割装置。
【請求項5】
上記素材ファイルは、テキストデータを含み、
上記出版形態決定手段は、
上記テキストデータが、電子化の利便性を示唆する所定の単語を所定以上多く含む場合に、対応する要素の出版形態を電子化と決定することを特徴とする請求項3または4に記載の出版物分割装置。
【請求項6】
上記出版形態決定手段は、
上記素材ファイルの更新頻度が所定以上の場合に、対応する要素の出版形態を電子化と決定することを特徴とする請求項3から5までのいずれか1項に記載の出版物分割装置。
【請求項7】
上記出版形態決定手段は、
上記素材ファイルが印刷不可能なデータ形式である場合、対応する要素の出版形態を電子化と決定することを特徴とする請求項2に記載の出版物分割装置。
【請求項8】
上記出版形態決定手段によって決定された出版形態を、要素ごとに表示する表示制御手段を備えていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の出版物分割装置。
【請求項9】
上記表示制御手段によって表示された出版形態に対する、ユーザの編集操作を受け付けて、上記出版形態決定手段によって決定された出版形態を編集する出版形態編集手段を備えていることを特徴とする請求項8に記載の出版物分割装置。
【請求項10】
出版物を複数の要素からなる構造化データとして表す出版物情報を用いて、出版物の出版形態を決定する出版物分割方法であって、
上記出版物情報において要素ごとに対応付けられている、上記出版物の内容を電子化した1または複数の素材ファイルを取得する素材ファイル取得ステップと、
上記素材ファイル取得ステップにて取得された、要素ごとの素材ファイルに基づいて、上記出版物の出版形態を要素ごとに決定する出版形態決定ステップとを含むことを特徴とする出版物分割方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1から9までのいずれか1項に記載の出版物分割装置の各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−186736(P2011−186736A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50700(P2010−50700)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(593220306)
【出願人】(510063797)
【出願人】(510063801)
【出願人】(510063812)