説明

出血関連性炎症を治療するための補体系活性化の調節

本発明は、とりわけ、それを必要とする被験者において、滑膜炎及び/又は出血関連性炎症を治療し、その発生を低下させ、重症度を低下させ、又は発症もしくは進行を遅延化する方法及び組成物を提供するものである。本組成物は、補体経路の活性化を抑止し又は低下させるのに有効な量の薬剤と、場合によっては凝固因子、他の止血因子、及び/又は第2の抗炎症剤を含む他の治療剤を含有し、また方法はそれらを使用する。

【発明の詳細な説明】
【関連する特許出願の参照】
【0001】
この特許出願は、その全体を出典明示によりここに援用する、それぞれ2007年3月6日及び2007年3月7日出願の米国仮出願第60/905178号及び第60/905356号に対して優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
血友病Aの推定発生率は10000人に一人、血友病Bは25000人に一人である。血友病の主な合併症は、関節における関節内出血である。若年齢で予防として凝固因子を補充する場合を除き、重度の血友病を患っている90%以上の患者には関節出血がある。重度の血友病患者は、毎年平均して17の関節出血を被っている。関節出血を繰り返していると、血友病性滑膜炎に至る。
現在の治療には、第VIII因子を用いた予防が含まれるが、滑膜炎の発症を予防するためには、若年から補充療法を開始しなければならない。補充が不足するか又は被験者にこのような補充に対する耐性ができると、オンデマンド療法が利用される。このような療法には、鎮痛剤、例えばCOX-2インヒビター又はアイスパックの投与、続いて滑膜切除と、究極的には全関節交換が含まれる。上述の療法のいずれも、出血に関連した炎症による損傷を軽減するものではなく、COX-2インヒビター媒介性心血管リスクを伴う懸念により、COX-2インヒビターが市場撤退する結果となっている。関節の炎症に関連した出血を治療するための代替の及び/又は改善されたアプローチは、これら及び他の患者にとっても顕著に有益なことである。
【発明の概要】
【0003】
ここに記載の発明は、出血関連性炎症、例えば滑膜炎の治療のためのいくつかの新規の方法、このような治療に有用な組成物、及び関連する方法及び組成物を提供するものであろ。第一の例示的態様では、この発明は、それを必要とする哺乳動物被験者において、滑膜炎の罹患率を低減し、重症度を低下させ、又は発症を遅延化させる方法を提供するものであり、該方法は、被験者における補体経路の活性化を抑止し又は低下させるのに有効な量の薬剤(すなわち、「CPAMA」とも称される「補体経路活性化調節剤」、又はCPAM剤;「該薬剤」なる用語がここで使用される場合、他の意味で記載されず、本明細書において明らかに矛盾していない限り、一般にCPAMAのことである)を、該被験者に投与することを含む。関連した意味では、本発明は、滑膜炎又は他の出血関連性炎症の治療におけるかかる薬剤の使用を提供するものであり、このような病状を治療するための医薬の調製におけるかかる薬剤の使用を提供する。他の意味では、本発明は、滑膜炎(例えば血友病性滑膜炎)又は出血関連性炎症(滑膜炎を含んでも含まなくてもよい)を治療するためのCPAMAを含む製品(例えば製薬的に許容可能な組成物)を提供する。
【0004】
一実施態様では、上述した使用/方法で治療された被験者は、血友病(血友病A又は血友病B又は双方)を患っている。他の態様では、患者は、さらに又は代替的に他の出血性疾患を患っている。他の態様では、患者は、血友病性滑膜炎又は滑膜炎(一般的なもの)を含んでも含まなくてもよい、出血関連性炎症を患っているおそれがある。
【0005】
特定の一実施態様では、CPAM剤は生物製剤(又は生体分子−例えば生物体において自然に精製されるタンパク質、糖タンパク質、グリカン、核酸、脂質等、又はこのような分子の変異体又は誘導体)であり、一実施態様では抗体である。さらに特定の実施態様では、CPAM剤はC5aレセプター(C5aR)の細胞外ループと特異的に相互作用する抗体である。一実施態様では、CPAM抗体は、さらに又は代替的に、その同族レセプターに結合するC5aを特異的に阻害し又は抑止する。特定の例示的な実施態様では、CPAM抗体は、ECACC受入番号00110609、02090226、又は02090227、又はATCC受入番号HB11382、HB11384、又はHB−11625を有するハイブリドーマにより生産される。従って、本発明は、このような病状の治療における、及びこのような病状を治療するための医薬の調製における、このような薬剤の使用を提供するものである。また本発明は、滑膜炎又は出血関連性炎症(滑膜炎を含んでも含まなくてもよい)を治療するための、任意のこのような薬剤を含有する製品を提供するものである。
他の実施態様では、薬剤は、典型的には非抗体ペプチドであるオリゴペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質(又はその誘導体)である。
【0006】
一実施態様では、薬剤は小分子化合物である。典型的には、この発明の小分子化合物(又は、ここに記載された本発明の方法の実施に有用な化合物を同定するのに使用される方法に関連した候補薬剤)は、約100以上で約2500上述したダルトン以下の分子量を有する、非ペプチド小有機化合物である。このような小分子化合物/小分子候補薬剤は、典型的にはタンパク質(例えば、C5a及び/又はC5aR)と、例えば水素結合を介して構造的に相互作用するのに必要な官能基を有し、典型的には少なくとも一のアミン、カルボニル、ヒドロキシル、及び/又はカルボキシル基、通常はこれらの官能基の少なくとも2を含む。また、このような小分子化合物は、典型的には、上述した一又は複数の官能基で置換される、環状の炭素又は複素環構造体及び/又は芳香族もしくは多環芳香族構造をさらに含む。小分子は、さらに又は代替的に、糖類、脂肪酸、ステロイド類、プリン類、ピリミジン類、及びその誘導体、構造的類似体、又は任意の組合せから特に選択されてよい。適切な小分子化合物は、典型的には有機分子、好ましくは、少なくとも一のアミン、カルボニル、ヒドロキシル及び/又はカルボキシル基を有し、さらに環状の炭素又は複素環構造体を含む、100以上で約2500ダルトン以下の分子量を有する小有機化合物である。特定の例示的な実施態様では、CPAM小分子剤は、N-((4-ジメチルアミノフェニル)メチル)-N-(4-イソ-プロピルフェニル)-7-メトキシ-1,2,3,4-テトラ-ヒドロナフタレン-1-カルボキシアミドヒドロクロリド、R(-)-2-[4'-イソブチルフェニル)-プロピオニルアミノ]-1,1-ジメチルピペリジウムヨージド、([R]-2-(4-イソブチル-フェニル)-N-(3-ピリジン-1-イル-プロピル)-プロピオンアミド、及び3-アリール-5,6-二置換ピリダジン、又はその任意の組合せ(該語句は、明細書全体を通じて、その全ての組合せを含むと理解されなければならない)から選択される。他の態様では、CPAM小分子化合物は、例えば国際公開第2006128670号に記載されているような、C5aRのフェニルアミノ化合物アンタゴニストである。
【0007】
一実施態様では、本方法は、止血剤、例えば被験者に凝固因子を投与することをさらに含み、それは、いくつかの実施態様では、第XIII因子、第IX因子、第VII因子、第VIII因子、フィブリノーゲン、又はその生物学的に活性な断片、その何れかの機能的変異体、又はその何れかの誘導体、又はその何れかの組合せである。例示的な一実施態様では、本方法は、前記被験者に、凝固因子又は他の止血剤の生成を促進又は高める薬剤を投与することをさらに含み、一実施態様では、前記凝固因子をコードする核酸であり、他の実施態様では、第XIII因子、第IX因子、第VII因子、第VIII因子、フィブリノーゲン、トロンビン、又はタンパク質抗線維素溶解剤(例えばアプロチニン)又はその誘導体又は変異体、又はその何れかの組合せをコードするものである。
【0008】
CPAM剤は、任意の適切な補体経路(群)の活性化を任意の適切な方法で抑止し又は低下させることができる。一実施態様では、CPAM剤は、C5aの発現、同族レセプターへのC5a結合性、C5aレセプターシグナル伝達、又はその任意の組合せを抑止し又は低下させる。
【0009】
一実施態様では、CPAM剤は、薬学的組成物の一部として投与され、一実施態様では、それは経口、関節(局所)、静脈内、皮下、又は局所投与用に製剤化される。よって、例示的な一実施態様では、本発明は、このような薬学的組成物を提供するものであり、ここで本組成物は注射用製剤として製剤化される。
【0010】
本発明の方法は、一般的に任意の種類の滑膜炎を治療するのに使用することができる。一実施態様では、滑膜炎は急性であり、又は他の実施態様では、滑膜炎は慢性である。さらなる他の実施態様では、滑膜炎は甚急性である。このような薬剤を含有する組成物は、これらの適応症の一又は複数に使用されることが示されており、本方法は、このような目的のためのこのような組成物の使用に関し、教育を受けた患者、医療提供者等によるかかる薬剤を含有する組成物の販売及び使用の促進をもたらす。
【0011】
他の態様では、この発明は、それを必要とする被験者において、出血関連性炎症(滑膜炎を含んでも含まなくてもよく、特に一般的には血友病、又はある種の血友病(例えば血友病A)に関連した滑膜炎を除いてよい)を治療、その発生を低下、重症度を低下、又は発症(又は進行)を遅延化する方法を提供するものであり、本方法は、該被験者における補体経路の活性化を抑止し又は低下させるのに有効な量の薬剤(すなわち、CPAMA)を、該被験者に投与することを含む。
【0012】
他の態様では、本発明は、例えば任意の上述した疾患/病状の治療に使用され得る、新規な薬学的組成物を提供するものである。例示的な一実施態様では、この発明は、補体経路の活性化を抑止し又は低下させるのに有効な量の薬剤、例えば上述した抗体(例えば、ここの他の箇所で記載されている抗C5a抗体の一つ)、及び凝固因子又は他の止血剤(例えば、デスモプレシン(DDAVP)又は抗線維素溶解剤、例えばトラネキサム酸及びアミノカプロン酸)の一つを含有する薬学的組成物を提供するものである。
【0013】
他の態様では、本発明は、滑膜炎の治療のための、C5aレセプター(C5aR)の活性化を阻害し又は低下させる薬剤の使用を提供するものである。滑膜炎には、急性、慢性、又は亜急性である(また、一又は複数の種類の血友病を伴っていてもよい)。異なる態様では、本発明は、滑膜炎を治療する医薬の調製におけるかかる薬剤の使用を提供するものである。他の特定の態様では、薬剤はC5aRに特異的な抗体である。他の態様では、薬剤は、さらに又は代替的に、血友病患者における滑膜炎の治療のための医薬として使用される。特定の態様では、薬剤は、ECACC受入番号00110609、02090226、又は02090227、又はATCC受入番号HB11382、HB11384、又はHB−11625を有するハイブリドーマにより発現する抗体である、又は発現する抗体の機能的部分を含む。また本発明は、このような病状を治療するために、このような薬剤を含有する製品(例えば製薬的に許容可能な組成物)を提供するものである。
【0014】
他の側面では、本発明は、(a)C5aRの活性化を抑止し又は低下させる薬剤、(b)滑膜炎の治療のための凝固因子又は止血因子を組合せた使用を提供するものである。また本発明は、このような要素の組合せを含有する組成物を提供するものである。特定の態様では、凝固因子又は止血因子は、第XIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第VII因子、第VIII因子、フィブリノーゲン、トロンビン、その何れかの変異体、その何れかの誘導体、及びその何れかの組合せからなる群から選択される。
【0015】
また、本発明は、出血関連性炎症を治療するための、滑膜炎の治療のための、C5aRの活性化を阻害し又は低下させる薬剤の使用を提供するものである。他の側面では、薬剤はC5aRに特異的な抗体である。他の側面では、薬剤は、さらに又は代替的に、C5aRの細胞外ループに特異的に結合している。例示的な態様では、薬剤は、ECACC受入番号00110609、02090226、又は02090227、又はATCC受入番号HB11382、又はHB11384、又はHB−11625を有するハイブリドーマにより発現する抗体である(又は発現する抗体の等価物)、又は発現する抗体の機能的部分(例えばCDR)を含む、又は本質的にそれらからなる。また本発明は、出血関連性炎症、特に(又は代替的に)滑膜炎、例えば血友病性滑膜炎の治療における、このような抗体の使用(このような病状用の医薬の調製におけるこのような薬剤の使用)を提供するものである。
【0016】
一実施態様では、この発明は、凝固因子をコードする核酸又は他の止血剤と、補体経路の活性化を抑止し又は低下させるのに有効な量のCPAM剤を含有する薬学的組成物を提供するものである。
一実施態様では、薬学的組成物中のCPAM剤は生物製剤(又は生体分子)であり、一実施態様においては抗体であり、また他の実施態様ではオリゴペプチドである。他の実施態様では、凝固因子は第VIII因子、第IX因子、第VII因子、第X因子、第XI因子、その何れかの活性断片、その何れかの変異体、又はその何れかの誘導体である。
他の実施態様では、薬学的組成物中のCPAM剤は、C5aの発現、同族レセプターへのC5aの結合、C5aレセプターシグナル伝達、又は任意もしくは全てのその組合せを抑止し又は低下させる。
【0017】
さらなる他の実施態様では、薬学的組成物は経口、静脈内、皮下、又は局所投与用に製剤化され、また他の実施態様では、薬学的組成物は注射用製剤として製剤化される。
これらの態様及び実施態様はさらに記載され、本発明の付加的な態様、実施態様、特徴、及び利点(例えば、ここに記載の薬剤の特徴を有する試験候補剤を使用する、上述した治療用プロトコルにおいて有用な薬剤又は薬剤の組合せを同定する方法)は、この文献において提供される本発明の記載から明らかになるであろう。
【0018】
[発明の例示的態様と特徴]
ここに記載の本発明をさらに例証するために、本発明の例示的態様及び特徴の非限定的列挙をここに提供する:
1.それを必要とする被験者において、滑膜炎を治療し、その発生を低下し、重症度を低下させ、又は発症を遅延化させ、又は進行を遅延化する方法であって、該被験者における補体経路の活性化を抑止し又は低下させるのに有効な量の薬剤を該被験者に投与することを含む方法。
2.前記被験者が血友病を患っている、態様1の方法。
3.前記薬剤が抗体である、態様1又は態様2の方法。
4.前記抗体が、C5aレセプター(C5aR)の細胞外ループと特異的に相互作用する、態様3の方法。
5.前記抗体が、その同族レセプターへのC5aの結合を特異的に阻害する又は抑止する、態様3又は態様4の方法。
6.前記抗体が、ECACC受入番号00110609、02090226又は02090227、もしくはATCC受入番号HB11382、又はHB11384、又はHB−11625を有するハイブリドーマにより生産される、態様4の方法。
【0019】
7.前記被験者に、有効量の凝固因子又は他の止血因子を投与することをさらに含む、態様1-6の何れか一の方法。
8.前記因子が、第XIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第VII因子、第VIII因子、フィブリノーゲン、トロンビン、その何れかの変異体、又はその何れかの誘導体、又はその何れかの組合せである、態様7の方法。
9.前記薬剤が、C5aの発現、同族レセプターへのC5aの結合、C5aレセプターシグナル伝達、又はその組合せを抑止し又は低下させる、態様1−8の何れか一の方法。
10.前記薬剤が薬学的組成物の一部として投与される、態様1−9の何れか一の方法。
11.前記薬学的組成物が、静脈内、皮下、又は関節(局所)投与用に製剤化されている、態様10の方法。
12.前記薬学的組成物が、注射用製剤として製剤化されている、態様10の方法。
【0020】
13.前記滑膜炎が急性又は亜急性である、態様1−12の何れか一の方法。
14.それを必要とする被験者において、出血関連性炎症を治療し、その発生を低下させ、重症度を低下させ、又は発症を遅延化し、又は進行を遅延化する方法であって、該被験者における補体経路の活性化を抑止し又は低下させるのに有効な量の薬剤を該被験者に投与することを含む方法。
15.前記薬剤が抗体である、態様14の方法。
16.前記抗体が、C5aレセプター(C5aR)の細胞外ループと特異的に相互作用する、態様15の方法。
17.前記抗体が、その同族レセプターへのC5aの結合を特異的に阻害する又は抑止する、態様15又は態様16の方法。
18.前記抗体が、ECACC受入番号00110609、02090226又は02090227、もしくはATCC受入番号HB11382、又はHB11384、又はHB−11625を有するハイブリドーマにより生産される、態様16の方法。
【0021】
19.前記被験者に、有効量の凝固因子又は他の止血因子を投与することをさらに含む、態様14−18の何れか一の方法。
20.前記凝固因子が、第XIII因子、第IX因子、第VII因子、第X因子、第XI因子、第VIII因子、フィブリノーゲン、トロンビン、その何れかの変異体、又はその何れかの誘導体、又はその何れかの組合せである、態様19の方法。
21.前記薬剤が、C5aの発現、同族レセプターへのC5aの結合、C5aレセプターシグナル伝達、又はその組合せを抑止し又は低下させる、態様14−19の何れか一の方法。
22.前記薬剤が薬学的組成物の一部として投与される、態様14−21の何れか一の方法。
【0022】
23.(a)補体経路の活性化を抑止し又は低下させる薬剤、及び(b)凝固因子又は他の止血因子の組合せを有効量含有する、出血関連性炎症の治療に使用される薬学的組成物。
24.前記薬剤がモノクローナル抗体又は活性化抗体断片である、態様23の薬学的組成物。
25.前記抗体が、C5aレセプター(C5aR)の細胞外ループと特異的に相互作用する、態様24の薬学的組成物。
26.前記抗体が、その同族レセプターへのC5aの結合を特異的に阻害する又は抑止する、態様24又は態様25の薬学的組成物。
27.前記抗体が、ECACC受入番号00110609、02090226又は02090227、もしくはATCC受入番号HB11382、又はHB11384、又はHB−11625を有するハイブリドーマにより生産される、態様25の薬学的組成物。
【0023】
28.前記凝固因子が、第XIII因子、第IX因子、第VII因子、第VIII因子、フィブリノーゲン、又はその何れかの変異体、又はその何れかの誘導体、又はその何れかの組合せである、態様23−27の何れか一の薬学的組成物。
29.前記薬剤が、C5aの発現、同族レセプターへのC5aの結合、C5aレセプターシグナル伝達、又はその組合せを抑止し又は低下させる、態様23−28の何れか一の薬学的組成物。
30.前記薬学的組成物が、皮下、静脈内、又は関節(局所)投与用に製剤化されている、態様23−29の何れか一の薬学的組成物。
31.前記薬学的組成物が、注射用製剤として製剤化されている、態様23−30の何れか一の薬学的組成物。
【0024】
これらの態様をさらに詳細に記載し、本発明の付加的な態様、特徴及び利点は、ここに提供される本発明の記載により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
発明とみなされる主題事項は、明細書の結論部分に特に指摘され、明確に請求される。しかしながら、本発明は、その目的、特徴及び利点と共に、構成と作用方法の双方について、次の詳細な説明を参照し添付の図面と共に読んだ場合に、最も良く理解されるであろう:
【図1】図1は、ヒトの正常な滑膜組織におけるC5aR発現の顕微鏡写真を表す。W17/1(B)対IgGコントロール(A)でプローブされたヒト滑膜の免疫組織化学を示す。
【図2】図2は、免疫アッセイにおける抗ヒトC5aR1抗体によるヒト変形性関節症滑膜の染色を示す顕微鏡写真を表す。
【図3】図3は、免疫アッセイにおける抗ヒトC5aR1抗体によるヒト血友病性滑膜炎組織の染色を示す顕微鏡写真を表す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明において、多くの特定の詳細を、本発明の完全な理解をもたらすために記載する。しかしながら、当業者であれば、これらの特定の詳細がなくても、本発明を実施できることが理解されるであろう。他の例では、よく知られている方法、手順、及び成分は、本発明を曖昧にしないようにするために詳細には記載しない。
【0027】
いくつかの実施態様では、本発明は、それを必要とする被験者において、可動(滑膜)関節、又は出血関連性炎症、又は双方に対する損傷を治療及び/又は防止するための組成物及び/又は方法(また、このような病状の治療における、又はこのような病状を治療する医薬の調製における、このような組成物の使用)に関する。
【0028】
いくつかの実施態様では、滑膜炎には、任意の原因での、関節の関節軟骨又は滑膜の任意の炎症を含むと理解される。いくつかの実施態様では、滑膜炎又は関節症は、自己免疫が原因となるもの、炎症、外傷、又は本発明の実施態様に表された任意の他のものによるものであってよい。いくつかの実施態様では、滑膜炎は外傷性滑膜炎、滑膜の炎症、又は関節の関節軟骨に対する損傷である。いくつかの実施態様では、滑膜炎は血友病性滑膜炎である。
【0029】
いくつかの実施態様では、本発明はこのような治療用の組成物を提供するものであり、関節内及び/又は非経口用に、例えば滑膜炎及び/又は関節軟膏に対する損傷の治療及び/又は防止、特に術後の関節洗浄、又は炎症性関節炎、変形性関節症(OA)、及び/又は変形性関節疾患(DJD)の治療及び/又は防止用に、特に製剤化された組成物を含み得る。このような組成物を使用するこのような特定の方法は、本発明の付加的な態様である。
【0030】
一実施態様では、この発明は、それを必要とする被験者において、滑膜炎を治療、その発生を低下、重症度を低下、又は発症もしくは進行を遅延化する方法であって、該方法は、該被験者における補体経路の活性化を抑止し又は低下させるのに有効な量の薬剤を該被験者に投与することを含む。
【0031】
一態様では、本発明は、出血関連性炎症に関連した一又は複数の病気、疾患、又は病状を治療する方法に関する。一実施態様では、「治療する」又は「治療」なる用語は、予防、並びに疾患緩和治療を含む。いくつかの実施態様では、「治療する」又は「治療」なる用語は、病気、疾患、及び/又は病状、又はそれに関連する兆候の「低減」、「抑制」及び「阻害」を含む。いくつかの実施態様では、「低減」、「抑制」及び「阻害」なる用語は、一般的に減少又は低下、また他の実施態様においては遅延化、また他の実施態様においては、病気、疾患、又は病状の兆候、重症度又は発病の低減を意味すると理解されている。一実施態様では、治療なる用語は、進行の遅延化、鎮静状態の延長、罹患率の低下、及び/又は病気、疾患、又は病状に関連した兆候の改善を称する。一実施態様では、「治療する」、「低減」、「抑制」又は「阻害」なる用語は、示した病気、疾患、又は病状に関連した疾病率、死亡率、又はその組合せの低減を称する。これらの用語、及び本発明の治療方法に関する同様の概念は、個々の用語において、またより一般的には関連する状態を有する個々の集団、例えば、臨床試験により決定されるような病状を患っている多くの患者に関して評価できる。一実施態様では、病気又は病状に関して「進行」なる用語は、範囲又は重症度の増加、進展、成長又は悪化を称する。一態様では、本発明の方法は、病状、例えば滑膜炎(例えば、血友病患者における滑膜炎)の進行を低減又は停止(又は可能性の低減)を意味する。他の実施態様では、「再発」なる用語は、一時的回復又は潜伏状態後の病気に戻ることを意味する。一態様では、ここに記載されている本発明の方法に従いCPAM剤を投与することにより、患者において、滑膜炎等の病状が再発する可能性を低減させることができる。他の実施態様では、本発明の治療方法により、病気の重症度が低下する。他の実施態様では、ここに記載の本発明の方法を提供することにより、さらに又は代替的に、病気に関連する兆候を低減することができる。さらなる他の実施態様では、本発明の治療方法は、さらに又は代替的に、個々に病気の間に通常発現するバイオマーカーの数を低減させることができる。一般的に、本発明の任意の方法は、場合によっては、患者又は他の被験者の状態(例えば健康)が、病状の重症度、生活の質等、このような問題を評価するための当該分野で既知の関連テストにより変化している(典型的には改善している)かどうかを検出する工程を含めることができる。
【0032】
一実施態様では、「治療する」なる用語及びその含有する態様は、示した病気、疾患、又は病状を患っている被験者、いくつかの実施態様においては、示した病気、疾患、又は病状に罹患しやすい被験者(又は、病気、疾患又は病状が発症する危険性、典型的には切迫した危険性があると同定された被験者)への投与を称する。「罹患しやすい」なる用語は、とりわけ、示した病気の罹患率、重症度等に統計的増加又は傾向と関係している、遺伝子分析又は家族関係を参照するものと考えられる。いくつかの実施態様では、「罹患しやすい」なる用語は、とりわけ、示した病気の危険性が増加することに関係した生活様式を参照するものと考えられる。いくつかの実施態様では、「罹患しやすい」なる用語は、とりわけ、示した病気に関係する、バイオマーカーの存在を参照するものと考えられる。また、炎症に関係する又は関係すると思われる病状、又は損傷に関係する出血状態等、素因に関連していない(又は関連していることが公知の)病状であるために、危険性が存在する場合もあり得る。
【0033】
他の実施態様では、本発明の方法の実施により、標的とする病気、病状、又は疾患の病因を低減することができる。いくつかの実施態様では、「病因を低減」なる用語は、特定の病気、疾患、又は病状に関係した組織損傷又は器官損傷を低減させることを含むと理解される。他の実施態様では、「病因を低減」なる用語は、当該問題を伴う、関連した病気、疾患、又は棒状の罹患率又は重症度を低減させることを含むと理解される。他の実施態様では、「病因を低減」なる用語は、関連した病気、疾患、又は病状、もしくはそれに関連した兆候の数を低減させることを含むと理解される。
【0034】
「投与する」なる用語、又はその文法形式は、本発明の化合物と被験者を接触させることを称する。投与は、インビトロ、すなわちテスト用チューブにおいて、又はインビボ、すなわち生存している生物体、例えばヒトの細胞又は組織(又はエキソビボ)で実施することができる。一実施態様では、本発明は、哺乳動物の被験者、例えばヒト患者に、本発明の化合物を投与することを含む。
【0035】
いくつかの実施態様では、「有効な量の薬剤」なる用語は、被験者、例えばヒト患者における補体経路の活性化を検出的に抑止し又は低下させる量のものを称する(例えば、量は、一般的に、「生理学的に有効な量」として称されてもよい)。一態様では、本発明は、そこに生理学的効果を誘発する、促進させる、及び/又は高めるために、例えば出血関連性炎症を低減させる、一又は複数の補体経路を阻害する(例えば、C5a/C5aR相互作用を阻害する)ために、被験者に生理学的に有効な量のCPAM剤を投与する方法に関する。
【0036】
いくつかの実施態様では、「有効な量」なる用語は、ここに記載の「治療」の任意の実施態様を含む、示した病気、疾患、又は病状を治療する結果となる量のことである。いくつかの実施態様では、「有効な量の薬剤」なる用語は、さらに又は代替的に、化合物の治療的効果、又は緩和効果をもたらす量を称する。このような薬剤の量(いずれか、又は双方のケースにおいて)は、「治療的に有効な量」と称されてもよい。発病の予防又は低減、発病の可能性の低減に有効な薬剤の量は、「予防的に有効な量」とも称することができる。一実施態様では、治療的に有効な量のCPAM剤が、治療効果(例えば血友病性滑膜炎の治療)を促進、誘発、又は高めるために、被験者に提供される。他の実施態様では、治療的に有効な量のCPAM剤が、治療効果(他、血友病性滑膜炎の治療)を促進、誘発、又は高めるために、被験者に提供される。他の実施態様では、予防的に有効な量のCPAM剤が、被験者において、病状が発症する危険性を低減させる、病状が発病するまでの時間を長くする、切迫した病状を起こり得る重症度を低下させる等のために、被験者に提供される。
【0037】
「薬剤」と「化合物」という用語は同義語であり、他に記載されず、本明細書において明確に矛盾しない限りは、ここでは交換可能に使用される。「化合物」なる用語は、他に記載されず、本明細書において明確に矛盾しない限りは、CPAM剤を称する。
いくつかの実施態様では、「薬剤」なる用語は、化学化合物、化学化合物の混合物、生体高分子(例えば、核酸、抗体、タンパク質、又はその一部、例えばペプチド)、又は生物物質、例えば細菌、植物、真菌、又は動物(特に哺乳動物)の細胞又は組織から作製された抽出物を示す。このような薬剤の活性により、治療的に有益な生理学的効果を生じさせるように、被験者に局所的又は全身的に作用する、生物学的、生理学的、又は薬理学的に活性な物質(又は物質類)である「治療剤」として適したものになり得る。
【0038】
本発明の方法は、任意の適切な哺乳動物に適用することができる。いくつかの実施態様では、「被験者」又は「宿主」とは、ヒト又は非ヒト哺乳動物のいずれをも称する。一実施態様では、哺乳動物は霊長類である。一実施態様では、哺乳動物は齧歯動物である。一実施態様では、哺乳動物は家畜及び/又は家庭用ペットである。一実施態様では、哺乳動物はヒト患者である。
【0039】
一態様では、この発明は、それを必要とする被験者、例えばこのような病状を患っていると診断されたヒト患者における、滑膜炎、関節症、及び/又は出血関連性炎症の、ここで記載したような治療用の方法及び/又は組成物を提供するものである。
一実施態様では、被験者は血友病を患っている。一実施態様では、被験者は血友病Aを患っている。他の実施態様では、被験者は血友病Bを患っている。他の態様では、被験者は非血友病性滑膜炎(例えば、職業又はスポーツによる損傷に関連していてもよいもの)を患っている。
一実施態様では、CPAM剤は、補体経路、一実施態様においては古典的経路、他の実施態様においては代替経路の活性化を抑止し又は低下させるものであり、又は他の実施態様では、薬剤は双方の経路を抑止し又は低下させる。
【0040】
一実施態様では、薬剤は、(a)C1の活性化;(b)成分C4とC2の双方の部分の切断;(c)活性化複合体C4b2aの形成;(d)C3の切断;(e)C3bの生成;(f)C4b2a3bの形成;(g)C5の切断;(h)膜侵襲単位の形成;又は(i)任意のそれらの組合せを抑止し又は低下させる。
【0041】
一実施態様では、薬剤は、例えば(a)C3のC3a及びC3bへの切断;(b)C3bBbの形成、C5のC5a及びC5bへの切断、及び/又は膜侵襲単位の開始;(c)C5bをC6及びC7と組合せてのC5bC6C7の形成;(d)C5bC6C7とC8との組合せ;(e)複数のC9を組合せての細胞表面で細胞溶解を生じさせる、さらなる末端膜侵襲複合体の形成;又は(f)その何れかの組合せを抑止する、又は低下させることにより、C3b生成を抑止し又は低下させる。一態様では、薬剤は、C3(C3及び/又はC3レセプターの機能を調節することによる)、C1、及び/又はC5を抑止し又は低下させる。
【0042】
CPAM剤は、一般的に、出血関連性炎症を低減する方式において、補体の活性化を低減する任意の適切な薬剤とすることができる。適性は、所望の生理学的又は治療的効果等の促進における有効性、毒性に関し、熟練した科学者/実施者により決定することができる。このような薬剤には、抗体、ペプチド、インヒビター、アンタゴニスト、又は当該分野で既知の他のもの、例えばMakrides, S. C. Pharmacological Reviews 50:59-78 (1998);米国特許第5135916号に記載されているもの:3,3'-ウレイレンビス[6-(2-アミノ-8-ヒドロキシ-6-スルフp-1-ナフチルアゾ)ベンゼンスルホン酸、四ナトリウム塩、スラミンナトリウム、トラネキサム酸、ヘパリン、ヒドロキサム酸誘導体(例えば、サリチルヒドロキサム酸(SHA)、又はアセトヒドロキサム酸(AHA));置換アミド ;ヒドロキシルアミン;アルドキシム(例えば、サリチルアルドキシム);ヒドロキシフェニル化合物(例えば、カテキン又はヒドロカフェ酸(hydrocaffic acid));テルペン;オレアノール酸;及びマオウが含まれる。補体インヒビターは、現在、例えば Parke-Davis, Ann Arbor, Mich., USA、及びBehringer AG, Morburg, Germanyから商業的に入手可能であり;米国特許出願第20060105980号に記載されているようなアプタマー、及び当業者に知られている他のものである。
【0043】
他の実施態様では、CPAM剤は生物製剤であり、一実施態様においては、C5aの発現、同族レセプターへのC5aの結合、C5aレセプターシグナル伝達、又はその組合せを、特異的に抑止し又は低下させる薬剤である。いくつかの実施態様では、このような薬剤は抗体であり、いくつかの実施態様では、C5aレセプター(C5aR)の細胞外ループと特異的に相互作用し、いくつかの実施態様では、その同族レセプターへのC5aの結合を特異的に阻害する又は抑止する。特定の実施態様では、CPAM剤は、C5aRのN末端又はその近傍に位置しない、C5aRの細胞外ループに特異的に結合する抗体(抗体断片、抗体誘導体等であってよい)又は他の分子(例えば、抗体模倣物)である。さらなる特定の実施態様では、CPAM剤は、C5aRの第2のループに結合する抗体又はテトラの分子である。このような抗体の例は、例えば国際公開第03/062278号及び米国特許第200524406号に記載されている。有用なCPAM剤である他の分子、及び関連した又は他の関連性のある方式、方法等は、例えばValentinoら, 以下, Leeら, 以下, Schnathaumら, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 16 (2006) 5088-5092, Scolaら, JBC Papers in Press (Manuscript M609178200 - 2006年12月11日にオンラインで公開, http://www.jbc.org/cgi/doi/10.1074/jbc.M609178200); 及びRinderら, Ann. Thorac. Surg. 2007; 83:146-52に記載されている。本発明の方法の実施に関連性のある方式は、例えばDunnら, Curr. Opin. Hematol. 12:390-394 (2005);Roosendaalら, Seminars in Thrombosis and Hemostasis, 29(1):37-42; Arumugamら, Clinica Chmimica Acta 374 (2006) 33-45;及びTsoukasら, Blood, 107(5):1786-1790 (2006)にも記載されている。
【0044】
特定の例示的な実施態様では、抗体は、ECACC受入番号00110609、02090226、又は02090227、又はATCC受入番号HB11382、又はHB11384、又はHB−11625を有するハイブリドーマにより生成される。
【0045】
いくつかの実施態様では、抗体は、米国特許出願公開第20030175267号に記載されているようなものであり、他の実施態様においては、抗体は米国特許出願公開第20050244406号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、抗体は米国特許第5480974号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、抗体は米国特許第5177190号に記載されているようなもの、又は日本国特許第08109200A号に記載されているようなもの、又は世界知的所有権機関公開番号WO9516033号に記載されているようなもの、Thomas, TCら, Mol Immunol 1996; 33: 1389-1401に記載されているようなものである。いくつかの実施態様では、この発明の方法/組成物は、このような抗体の組合せ、又はこのような抗体とここに記載の他の薬剤との組合せ、この発明の一部と考えられる任意の組合せに使用される。
【0046】
補体レセプター又はそのリガンドに対する抗体は、そのいくつかのみをここに例証する、当該分野でよく知られている標準的な方法を使用し、生産し同定することができる。いくつか実施態様では、抗体は、当該分野で既知の抗体を調製及び特徴付けるための常套的な方法により調製することができる(例えば、ANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988を参照)。
【0047】
いくつかの実施態様では、モノクローナル抗体(MAbs)を生産する方法は、用いられる抗原組成物及びプロトコルに応じて、免疫耐性化する前又はそうではなく(例えば、正常な細胞集団を耐性化させ、ついで腫瘍細胞集団を用いて免疫化させる)、本発明の免疫原性組成物を用い、動物を免疫化することにより開始し、免疫化した動物から抗血清を収集するものである。いくつかの実施態様では、抗体はポリクローナル抗体である。
【0048】
広範囲の動物種を、抗血清の生産に使用することができる。典型的には、抗血清の生産に使用される動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、又はヤギである。ウサギは比較的血液量が多いため、ポリクローナル抗体の生産には、ウサギが専らではないが、しばしば使用される。
【0049】
当該分野でよく知られているように、与えられた組成物は、その免疫原性が変化する可能性がある。よって、多くの場合、担体にペプチド又はポリペプチドをカップリングさせることにより達成され得るように、宿主免疫系を追加免疫する必要がある。例示的で好ましい担体は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)及びウシ血清アルブミン(BSA)である。他のアルブミン、例えばオボアルブミン、マウス血清アルブミン、又はウサギ血清アルブミンを、担体として使用することもできる。担体タンパク質にポリペプチドをコンジュゲートさせる手段は、当該分野でよく知られており、グルタルアルデヒド、m-マレイミドベンコイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、カルボジイミド、及びビス-ジアゾ化(biazotized)ベンジジンが含まれる。
【0050】
さらに、当該分野でよく知られているように、特定の免疫原組成物の免疫原性は、アジュバントとして知られている免疫応答の非特異的刺激剤を使用することにより高めることができる。例示的で好ましいアジュバントには、完全フロイントアジュバント(殺した結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を含む免疫応答の非特異的刺激剤)、不完全フロイントアジュバント、及び水酸化アルミニウムアジュバントが含まれる。
【0051】
ポリクローナル抗体の生成に使用される免疫原組成物の量は、免疫原の種類、並びに免疫化に使用される動物に応じて変化する。免疫原を投与するために、多くの経路(皮下、筋肉内、皮内、静脈内、及び腹腔内)を使用することができる。ポリクローナル抗体の生成は、免疫化後の種々の時点で、免疫化された動物の血液をサンプリングすることによりモニターされ得る。追加免疫及び滴定のプロセスは、適切な力価が得られるまで繰り返される。所望の力価レベルが得られた時に、免疫化された動物を出血させ、血清を単離し、保存し、及び/又は動物をMAbsを生じさせるために使用することができる。
【0052】
MAbsは、出典明示によりここに援用される米国特許第4196265号に例証されるような、よく知られた技術を使用することにより、容易に調製することができる。典型的には、この技術は、選択された免疫原組成物、例えば精製された又は部分的に精製された腫瘍細胞、又は血管内皮細胞のタンパク質、ペプチド、又は無傷細胞組成物を用いて、適切な動物を免疫化させることを含む。免疫化組成物は、抗体生成細胞を刺激するのに有効な方式で投与される。齧歯動物、例えばマウス及びラットは好ましい動物ではあるが、ウサギ、ヒツジ、カエルの細胞を使用することも可能である。ラットを使用することには、ある種の利点があるが、マウスも好ましく、最も常套的に使用する場合は、BALB/cマウスが最も好ましく、一般的に高い割合の安定した融合体をもたらす。
【0053】
免疫化後、抗体を生成する可能性のある体細胞、特にBリンパ球(B細胞)が、MAb生成プロトコルに使用するために選択される。これらの細胞は、生検を行った脾臓、扁桃腺、又はリンパ節、又は末梢血液サンプルから得ることができる。脾臓細胞及び末梢血液細胞が好ましく、形質芽細胞分割段階に存在する抗体生成細胞の豊富な供給源であるためであり、後者は末梢血液が容易に入手できるからである。多くの場合、動物のパネルが免疫化され、最も高い抗体価を有する動物の脾臓が取り出され、シリンジを用い、脾臓がホモジナイズされて、脾臓リンパ球が得られる。典型的には、免疫化されたマウスからの脾臓は、5×10〜2×10のリンパ球を含んでいる。
【0054】
ついで、免疫化された動物からの抗体生産Bリンパ球を、不死の骨髄腫細胞の細胞、一般的には免疫化された動物と同じ種のものと融合させる。好ましくは、ハイブリドーマ生産融合手順での使用に適したメラノーマ細胞株は、抗体非生産性で、高度な融合効率を有し、所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支援するある種の選択培地において増殖不可能にする酵素欠乏である。
【0055】
当業者に知られているように、多くの骨髄腫細胞の任意の一つを使用しうる。例えば、免疫化した動物がマウスである場合、一つには、P3−X63/Ag8、X63−Ag8.653、NS1/1.Ag4I、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−1I、MPC11−X45−GTG1.7、及びS194/5XX0 Bulが使用され得;ラットについては、一つには、R210.RCY3、Y3−Ag1.2.3、IR983F、4B210、又は上に列挙したマウス細胞株が使用され得;U−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2及びUC729−6は全てヒト細胞融合体に関して有用である。
【0056】
抗体を生産する脾臓又はリンパ節の細胞及び骨髄腫細胞のハイブリッドを作製する方法は、通常、体細胞と骨髄腫細胞を4:1の割合で混合することを含み、細胞膜の融合を促進させる薬剤又は薬剤類(化学的又は電気的)の存在下では、それぞれ約20:1〜約1:1の間で変化してもよい。センダイウイルス(Sendai virus)を使用する融合方法は、Kohler及びMilstein (Nature, 256:495-497, 1975; Eur. J. Immunol., 6:511-519, 1976)により記載されており、ポリエチレングリコール(PEG)、例えば37%(v/v)のPEGを使用するものは、Gefterら(Somatic Cell Genet., 3:231-236, 1977)による。電気的に誘発される融合方法を使用することも適切である(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 第2版, Academic Press, Orlando, Fla., pp. 71-74, 1986)。
【0057】
融合手順により、約1×10−6〜1×10−8の低頻度で、生存しているハイブリッドが生成される可能性がある。しかしながら、生存している融合ハイブリッドは、選択培地で培養することにより、親の未融合の細胞とは差異が出てくるであろう。選択培地は、組織培養培地におけるヌクレオチドのデノボ合成をブロックする薬剤を含んでいてもよい。いくつかの実施態様では、このような薬剤には、アミノプテリン、メトトレキサート、アザセリン、又は他のものが含まれる。
いくつかの実施態様では、選択培地はHATである。
【0058】
いくつかの実施態様では、ハイブリドーマの集団が提供され、そこから特定のハイブリドーマが選択される。いくつかの実施態様では、ハイブリドーマの選択は、マイクロタイタープレートにおける単一クローン希釈により細胞を培養し、ついで、所望の反応性について(約2〜3週間後)個々のクローン上清を試験することにより実施される。いくつかの実施態様では、アッセイには、ラジオイムノアッセイ、酵素免疫アッセイ、細胞毒性アッセイ、プラークアッセイ、ドット免疫結合アッセイ等が含まれうる。
【0059】
いくつかの実施態様では、選択されたハイブリドーマが連続希釈され、個々の抗体生産細胞株においてクローニングされ、ついで、該クローンは無制限に繁殖させてMAbsを得ることができる。いくつかの実施態様では、細胞系はMAb生産のために次のようにして利用されうる:ハイブリドーマのサンプルは、原型融合用の体細胞又は骨髄腫細胞を提供するために使用される種類の組織適合動物(多くの場合は腹腔)に注入することができる。注入された動物では、融合細胞ハイブリッドにより生成される特定のモノクローナル抗体を分泌する腫瘍が成長する。ついで、動物の体液、例えば血清又は腹水が取り出されて、高濃度のMAbsが提供される。いくつかの実施態様では、個々の細胞系はインビトロで培養され、培養培地にMAbsが自然と分泌され、そこから、それらを高濃度で容易に得ることができる。いくつかの実施態様では、いずれかの手段により生成されたMAbsは、所望するならば、濾過、遠心分離、及び種々のクロマトグラフィー法、例えばHPLC又はアフィニティークロマトグラフィーを使用して、さらに精製される。
【0060】
いくつかの実施態様では、分子クローニングアプローチを使用した、モノクローナル抗体の生成が達成され得る。このため、組合せ免疫グロブリンファージミドライブラリーが、免疫化された動物の脾臓から単離されたRNAから調製され、適切な抗体を発現するファージミドは、抗原を発現する細胞、及び対照細胞、例えば正常対腫瘍細胞を使用し、パニングすることにより選択される。
【0061】
いくつかの実施態様では、本発明で使用されるMAbsは、ヒト、マウス、サル、ラット、ハムスター、ニワトリ又はウサギ由来のものである。本発明は、ヒト抗体、ヒト定常及び/又は可変領域ドメインを担持する、マウス、ラト、又は他の種類の「ヒト化」又はキメラ抗体、他の組換え抗体及びその断片の使用を考慮するものである。
【0062】
いくつかの実施態様では、この発明の組成物及び/又は方法に使用されるMAbsは、モノクローナル抗体の機能的断片の使用を称する。一般的に、ここに記載の本発明の方法の実施において、任意の適切な種類の抗体断片を使用することができる。いくつかの実施態様においては、Fab断片が使用される。いくつかの実施態様では、Fab断片は、非特異的チオールプロテアーゼ、パパインにより、免疫グロブリン全体をタンパク質分解することにより得られる。いくつかの実施態様では、パパインは、システイン、2-メルカプトエタノール又はジチオスレイトールを用いて、活性部位におけるスルフヒドリル(sulphydryl)基を還元することにより活性化される。最大酵素活性を確実にするために、保存酵素中の重金属を、EDTA(2mM)を用いたキレート化により除去してもよい。酵素と基質は、重量で1:100の比率で混合されてよい。インキュベート後、ヨードアセトアミドを用いたチオール基の不可逆的アルキル化により、又は単純に透析により、反応を停止させることができる。消化の完全性をSDS-PAGEによりモニターしてもよく、種々のフラクションをプロテインA-セファロース又はイオン交換クロマトグラフィーにより分離させる。
【0063】
いくつかの実施態様では、機能的断片はF(ab)断片である。いくつかの実施態様では、F(ab)断片は、酵素ペプシンによる制限タンパク質分解を介して、ウサギ及びヒト由来のIgGから調製される。条件は、免疫グロブリンサブクラスの関数として変化し得る。
いくつかの実施態様では、機能的断片はFc断片、又は短鎖Fv断片であり、その調製は当該分野でよく知られている。
【0064】
いくつかの実施態様では、補体経路を阻害する薬剤は、任意の長さのペプチド、又はタンパク質である。ペプチド又はポリペプチドは、典型的には、単一のアミノ酸ポリマー鎖をベースにした化合物であり、これに対し、タンパク質は、複数の会合したポリペプチド鎖及び/又は複数のタンパク質単位を含有するものである(例えば、タンパク質は二量体又は高次マルチマーであってもよい)。いくつかの実施態様では、薬剤はオリゴペプチドである。いくつかの実施態様では、「オリゴペプチド」なる用語は、タンパク質又はその機能的断片等、機能性物質を含む、任意の長さのペプチドを意味する。
【0065】
他の実施態様では、ペプチドは、任意の動物種(ヒトを含む)からの天然ポリペプチドの断片、天然(ヒト及び非ヒト)ポリペプチドの誘導体及びそれらの断片、及び天然ポリペプチドの変異体を含んでよい。一実施態様では、「断片」は、成熟した天然ポリペプチドの配列内の領域を含み、他の実施態様では、「誘導体」は、アミノ酸配列及びグリコシル化変異体、及び天然ポリペプチドの共有結合修飾を含む。他の実施態様では、「変異体」はアミノ酸配列及び天然ポリペプチドのグリコシル化変異体を意味する。
【0066】
いくつかの実施態様では、CPAM剤は、環状ペプチドC5aRアンタゴニスト、例えばAcF-[OP(D-Cha)WR]、H67KDMQLGR74、YSFKPMPLaR、NMeFKP、NMePHe-Lys-Pro-D-Cha-X-D-Arg、NMe-FKP、NMeFKPdChaWr、ヒドロシンナマート-[OP(D-Cha)WR]、(F-[OP(D-Cha)WR])、CHIPSペプチド、又はその類似体、jun/fos-A8(jun/fos-C5a-(1-68)-Arg69Ser70Leu71Leu72 Arg73、A8Delta71-73(C5a-(1-68)-Arg69Ser70)、又はその何れかの組合せである。いくつかの実施態様では、薬剤はコルプスタチン(corpstatin)、又は他のC3インヒビターである。これらの薬剤は当該分野で既知であり、特に、例えば国際公開第03033528A1号、米国特許第20060160726A1号、米国特許第20060217530A1号、及び国際公開第04040000号に記載されてる。
【0067】
いくつかの実施態様では、CPAM剤は、N-((4-ジメチルアミノフェニル)メチル)-N-(4-イソ-プロピルフェニル)-7-メトキシ-1,2,3,4-テトラ-ヒドロナフタレン-1-カルボキシアミドヒドロクロリド, R(-)-2-[4'-イソブチルフェニル)-プロピオニルアミノ]-1,1-ジメチルピペリジウムヨージド、([R]-2-(4-イソブチル-フェニル)-N-(3-ピリジン-1-イル-プロピル)-プロピオンアミド、3-アリール-5,6-二置換ピリダジン、6-アミジノ-2-ナフチル-4-グアニドベンゾアート、又はその何れかの組合せであり、またいくつかの実施態様においては、このような薬剤とここに記載の任意の他の薬剤との組合せである。
【0068】
いくつかの実施態様では、CPAM剤は米国特許第号6355245号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は米国特許第5853722号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は米国特許第6074642号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は米国特許第6723743号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は米国特許出願公開第2005/0004031号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は米国特許出願公開第2003/0175267号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は米国特許出願公開第2005/0226870号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2005/092366号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2006/004589号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2003/082826号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2004/043925号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2003/061765号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2003/009803号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2005/074607号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2004/022096号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2003/084524号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2003/082829号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2003/082828号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2002/49993号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2004/018460号に記載されているようなものであり、又は他の実施態様では、薬剤は世界知的所有権機関公開番号第WO2005/007087号に記載されているようなものであり、又はMakrides SC, Pharmacol Rev 1998; 50:59-87に記載されているようなものであり、又はMorikis, Dら, Protein Sci 1998; 7: 619-627に記載されているようなものであり、又はPellas TCら J. Immunol 1998; 160: 5616-5621に記載されているようなものであり、又はRiley RDら, J Thorac Cardiopvasc Surg 2000; 120: 350-358に記載されているようなものであり、それぞれは出典明示によりここに援用される。他の実施態様では、薬剤は、それらの組合せ、又はこれらと、ここに記載の任意の他の薬剤又は薬剤類との組合せである。
【0069】
いくつかの実施態様では、CPAM剤は、補体経路に関連した遺伝子の発現を阻害する。いくつかの実施態様では、薬剤は核酸であろう。
【0070】
一実施態様では、「核酸」分子なる用語は、単鎖又は二本鎖であってよいDNA又はRNAを意味する。核酸は、事実上、原核生物又は真核生物mRNAである配列を含む。DNAは、真核生物又は原核生物mRNAからのcRNA、真核生物又は原核生物DNAからのゲノムDNA配列、又は他の実施態様では、合成DNA配列を含み得る。また本用語は、DNA及びRNAの既知の塩基アナログの任意のものを含む配列を意味する。この発明の組成物内の核酸配列は、ネイキッド核酸であってよく、又は他の実施態様では、ベクター内に包含されていてもよい。
【0071】
本発明のこの態様、及び一実施態様では、関心ある配列をコードするポリヌクレオチドセグメントを、哺乳動物細胞の形質導入/形質転換、及び形質導入細胞内における組換え生成物の発現の指向に適した、商業的に入手可能な発現ベクター系にライゲーション可能である。このような商業的に入手可能なベクター系は、現存するプロモーター又はエンハンサー配列を置き換える、複製する、又は変異させるために、及び/又は任意の付加的なポリヌクレオチド配列、例えば、付加的な選択マーカーをコードする配列、又はレポーターポリペプチドをコードする配列を導入するために、通常使用される組換え技術を介して容易に修飾可能である(さらなる詳細として、例えば「Methods in Enzymology」 Vol. 1-317, Academic Press, Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel F.M.ら(編) Greene Publishing Associates, (1989)、及びMolecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, Sambrookら. Cold Spring Harbor Laboratory Press, (1989), 又は他の標準的な実験用マニュアル)。
【0072】
一実施態様では、この発明の核酸/ベクターは、とりわけ、コード化配列に特異的なリボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はmiRNA剤を含む。
一実施態様では、「miRNA剤」なる用語は、RNA干渉メカニズムによる、標的遺伝子の発現を調節する薬剤を意味する。
この発明の方法に使用されるmiRNAは、一般的に任意の適切な構造を有することができる。一実施態様では、miRNA剤は、ヘアピン構造を形成可能な、二重鎖RNAを含有する。他の実施態様では、使用されるmiRNA剤は二本鎖構造に存在する、小さなリボ核酸分子、又はオリゴリボヌクレオチド、例えば一実施態様では、互いにハイブリッド形成した2つの異なるオリゴリボヌクレオチド、又は他の実施態様では、ヘアピン構造が二本鎖構造を生成すると仮定される単一のリボオリゴヌクレオチドである。
【0073】
一実施態様では、核酸/オリゴヌクレオチドは、製造者により提供される仕様書に従い、Applied Bio Systemsオリゴヌクレオチド合成機において合成されてもよい。他の実施態様では、核酸/オリゴヌクレオチド、又は修飾されたオリゴヌクレオチドは、当該分野で一般的に既知の任意の数の手段により合成されうる。
【0074】
一実施態様では、「コード化配列」なる用語は、特定のポリペプチド又はペプチドを「コードする」核酸配列を意味する。一実施態様では、コード化配列は、適切な調節配列のコントロール下に配された場合、インビトロ又はインビボでポリペプチドに転写(DNAのケース)及び翻訳(mRNAの場合)される核酸配列である。コード化配列の境界は、5'(アミノ)末端の出発コドン、及び3'(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンにより決定される。限定されるものではないが、コード化配列には、原核生物又は真核生物mRNAからのcDNA、原核生物又は真核生物DNAからのゲノムDNA配列、及び合成DNA配列が含まれる。転写終結配列は、通常、コード化配列に対して3'に位置しているであろう。
【0075】
一実施態様では、「コード化配列」なる用語には、ポリペプチドをコードするDNA配列、並びに阻害アンチセンス分子に転写されるDNA配列が含まれる。
一実施態様では、この発明の組成物及び/又は方法におけるベクター、核酸、及びそれらの使用に対して称される場合、「減少発現(reducing expression)」なる用語は、記載した薬剤の不在下でのレベルを比較した場合に、遺伝子の発現レベルが減少していることを意味する。
一実施態様では、減少発現は、転写又は翻訳レベル、又はその組合せに影響されうる。
【0076】
本発明のこの態様によれば、この発明の組成物及び/又は方法に使用される減少発現は、特異的である。一実施態様では、発現の減少は、細胞の他の遺伝子における影響が明らかでない、標的遺伝子を阻害する能力を介している。他の実施態様では、阻害の結果は、細胞又は生物体の外側の特徴を調査することにより、又は生化学的技術、例えばRNA溶液ハイブリダイゼーション、ヌクレアーゼ保護、ノーザンハイブリダイゼーション、マイクロアレイを用いた遺伝子発現モニタリング、抗体結合、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ウエスタンブロット法、ラジオイムノアッセイ(RIA)、他のイムノアッセイ、及び蛍光活性化細胞分析(FACS)により、確認することができる。
【0077】
細胞内への核酸の取込は、当該分野で常套的に使用されている標準的なアプローチにより評価することができる。例えば、フィルターハイブリダイゼーション技術(例えば、ノーザン又はサザンブロット法)は、この発明の組成物が投与された個人から単離されたサンプルから、又はこれと接触した細胞又は組織において実施されてよく、又は他の実施態様では、RNアーゼ保護又は逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)は、プラスミド又はDNAの取込を検出する、及びその発現を測定するために実施されてもよい。遺伝子産物は適切なアッセイ、例えば特定の抗体等を用いた、生成タンパク質の免疫学的検出により、又は遺伝子産物の機能的活性を検出する機能的アッセイ、例えば酵素的アッセイにより検出することができる。細胞により発現した関心ある遺伝子産物が、容易にアッセイできないものであるならば、最初に、使用される調節エレメント及びベクターに結合したレセプター遺伝子を使用して最適化することもできる。レセプター遺伝子は容易に検出可能な遺伝子産物をコードし、よって系の有効性を評価するのに使用することができる。当該技術において使用される標準的なレセプター遺伝子は、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ、及びヒト成長ホルモン、又はここに列挙されたマーカータンパク質の任意のものをコードする遺伝子を含む。
【0078】
いくつかの実施態様では、その発現が低下又は無効である遺伝子は、補体成分をコードする配列、例えばNCBIのGenBankデータベース、受入番号AAA72968、AAH22312、NP_001726、CAH70782、NP_000195、NP_001728、AAH43484、1006226A、CAA60121、AAH63851、BAD02321、AAA85332、AAB59537、Q07021、CAI17449、CAM24859、CAI41720、CAM25395、CAA69849、AAA59651、CAA50994、AAA51925、AAA51856、AAA51855、AAH63289、CAI41856、AAM10002、AAD15289、AAA99717、AAA51889、CAB66087、ABD48959、AAR89906、AAA51890、AAA35617、CAA72407、AAA35722、BAB63292、P01024、P0C0L4、P0C0L5、P01031、P00736、 P00751、P06681、P09871、P02748、P07358、P07357に列挙されているものを含み、又はDQ895516、DQ894720、DQ894514、DQ894443、DQ894054、DQ891410、DQ891257、NM_000064に説明されている配列、又は補体レセプターをコードする配列、例えばNCBIのGenBankデータベース、受入番号DQ894940、DQ895197、CAI16725、CAI16724、CAI16723、CAI16044、CAI16043、CAI16042、AAB60694、A34924、CAA48779、AAA99005、AAA99004、AAA37478、AAA37477、AAA37447、AAD15289、AAB60695、AAB60694、NP_004045、NP_004045、NP_001002029、NP_001727、AAD14919、CAA40530、CAA68674に列挙されているもの、又は当該分野で既知の他のもの、又はその配列相同体、又はその組合せを抑制又は抑止するものを含む。
【0079】
一実施態様では、本発明の組成物/方法は、それを必要とする被験者に投与される、凝固因子又は出血を低下させる及び/又は止血を促進する他の薬剤/因子(「「止血因子」又は「止血剤」」)をさらに含む/使用するものである。いくつかの実施態様では、凝固又は止血因子は、第XIII因子、第IX因子、第VII因子、第VIII因子、第X因子、フィブリノーゲン、トロンビン、抗プラスミン(α2抗-プラスミン、TAFI)、又は抗線維素溶解剤(例えば、アプロチニン)、又はその誘導体又は変異体、又はその組合せである。いくつかの実施態様では、このような因子は、自然に生じる又は組換え形態のもの、又はその誘導体又は変異体を含みうる。
【0080】
いくつかの実施態様では、本発明の組成物又は方法は、CPAM剤に加えて、第VIII因子タンパク質又はポリペプチドを含有する。第VIII因子タンパク質(又は「第VIII因子」又は「FVIII」)は、自然に生じる又は組換え形態の第VIII因子、例えば米国特許第5563045号、米国特許第5451521号、米国特許第5422260号、米国特許第5004803号、米国特許第4757006号、米国特許第5661008号、米国特許第5789203号、米国特許第5681746号、米国特許第5595886号、米国特許第5045455号、米国特許第5668108号、米国特許第5633150号、米国特許第5693499号、米国特許第5587310号、米国特許第5171844号、米国特許第5149637号、米国特許第5112950号、米国特許第4886876号、国際公開第94/11503号、国際公開第87/07144号、国際公開第92/16557号、国際公開第91/09122号、国際公開第97/03195号、国際公開第96/21035号、国際公開第91/07490号、欧州特許第0672138号、欧州特許第0270618号、欧州特許第0182448号、欧州特許第0162067号、欧州特許第0786474号、欧州特許第0533862号、欧州特許第0506757号、欧州特許第0874057号、欧州特許第0795021号、欧州特許第0670332号、欧州特許第0500734号、欧州特許第0232112号、欧州特許第0160457号、Sanbergら, XXth Int. Congress of the World Fed. Of Hemophilia (1992)、及びLindら, Eur. J. Biochem., 232:19 (1995)で、その全体が出典明示によりここに援用されるものに開示されているものを含んでよい。一態様では、本発明の方法又は組成物にてCPAM剤と組合せられる凝固因子は、「第VIII因子ポリペプチド」である。限定されるものではないが、「第VIII因子ポリペプチド」なる用語は、第VII因子、並びに第VIII因子-関連ポリペプチドを含む。限定されるものではないが、一般的に「第VIII因子」なる用語は、Tooleら; Nature 1984; 312: 342-347 (野生型ヒト第VIII因子)に記載されているようなアミノ酸配列を有するポリペプチド、及びその対立遺伝子変異体を含むことを意図している。限定されるものではないが、「第VIII因子-関連ポリペプチド」(FVIIIの代替として使用されてもよい)は、ヒト第VIII因子に対して化学的に修飾された、及び/又はヒト第VIII因子に対して一又は複数のアミノ酸配列変化(すなわち、第VIII因子変異体)を含む、及び/又はヒト第VIII因子に対して切断されたアミノ酸配列(すなわち第VII因子断片)を含む、第VIII因子ポリペプチドを含むことができる。典型的には、ここに記載の方法/組成物に使用される、他の凝固因子の変異体と同様、第VIII因子変異体は、関連する/対応するヒトタンパク質に対し、アミノ酸配列組成に関して高レベルの同一性(例えば、ヒト第VIII因子のケースでは、少なくとも約80%、85%、90%、92%、93%、95%、97%、又は99%同一性)を有し、ヒトタンパク質に対して、少なくとも実質的に同様の活性を保持している(例えば、出血の調節に関して、又は関連アッセイ(例えば、第VIII因子活性アッセイは米国特許第20030199444号に記載されている)でテストした場合)。「第VIII因子-関連ポリペプチド」なる用語は、それらの未切断(チモーゲン)形態にあるこのようなポリペプチド、並びに「第VIIIa因子-関連ポリペプチド」又は「活性化第VIII因子-関連ポリペプチド」と命名される、タンパク質分解的にプロセシングされて、それぞれの生物活性形態を生じるものを含むことを意図している。限定されるものではないが、「第VIII因子-関連ポリペプチド」なる表現は、野生型ヒト第VIII因子に対して、実質的に同じ又は改善された生物活性の、少なくとも有意な割合を示すポリペプチドを含む。第VIII因子ポリペプチドの非限定的例には、例えばFulcherら; Proc. Acad. Nat. Sci. USA 1982; 79:1648-1652、及びRotblatら; Biochemistry 1985; 24:4294-4300に記載されているような、血漿誘導性ヒト第VIII因子、及びFassら; Blood 1982; 59: 594-600及びKnutsonら; Blood 1982; 59: 615-624に記載されているような血漿誘導性ブタFVIIIが含まれる。第VII因子配列変異体の非限定的例は、例えばLollarら; Blood 2000; 95(2): 564-568 (ハイブリッドブタ/ヒトFVIIIポリペプチド)、及びLollarら; Blood 2001; 97(1): 169-174に記載されている。商業的に入手可能なFVIII生成物(いわゆる、代替生成物)は、典型的には、正常なプールされた血漿、又は遺伝子操作された哺乳動物細胞系から誘導される。多くの場合、代替生成物は、比活性度(タンパク質mg当たりの凝固因子活性の国際単位、IU/mg)と定められる最終純度に応じて分類される。中間生成物は、外部血漿タンパク質、例えばフィブリノーゲン、フィブロネクチン、及び他の非凝固タンパク質をさらに含有するため、比較的低い比活性度(<50IU/mg)を有する。高純度(>50IU/mg)及び超高純度(>3000IU/mg)は、安定剤として付加されるアルブミン以外の、他の血漿タンパク質をほとんど又は実質的に含有しない。本発明で使用され得る、商業的に入手可能な第VIII因子生成物(濃縮物及び調製物)の非限定的例は、限定されるものではないが、AHP/Genetics InstituteのReFacto(B-ドメイン欠失rFVIII)、AlphaのAlphanate(FVIII)、AventisのBioclate(rFVIII)、AventisのMonoclate-P(第VIII:C因子)、AventisのHelixate(rFVIII)、BaxterのRecombinate(rFVIII)、BaxterのHemofil M(FVIII)、BayerのKogenate(rFVIII)、HemaSureのNordiate(FVIII)、Laboratoire Francais du Fractionnement et des Biotechnologies(LFB)のFACTEUR VIII-LFB(ヒト血漿ベースのFVIII)、SpeywoodのHyate:C(ブタFVIII)、及びBayerのKogenate SF(スクロース処方されたrFVIII)である。高及び超高活性生成物の非限定的例は、AlphanateTM(Alpha)(低); ReFactoTM(AHP/Genetics Institute)、KogenateTM SF (Bayer)、KogenateTM (Bayer)、HelixateTM (Aventis)、RecombinateTM (Baxter)、Monoclate-PTM (Aventis)、HemofilTM M (Baxter)(全て超高)である。
【0081】
上述したように、他の実施態様では、本発明の組成物又は方法は、第IX因子ポリペプチドとCPAM剤の組合せを含む。第IX因子タンパク質は、ヒト組換え第IX因子(rhFIX)とすることができる。第IX因子タンパク質は、特にBeneFixTM (AHP/Genetics Institute)、MononineTM (Aventis)、ProplexTM (Baxter)、Bebulin VH (Baxter)、FACTEUR IX-LFB (Laboratoire Francais du Fractionnement et des Biotechnologies (LFB))、Immunine (Baxter/Immuno)、Octanyne (Octapharma)、Octanine F (Octapharma)、Mono FIX-VF (CSL)、又はNovact M (Kaketsuken)から選択することができる。一般的に、「第IX因子ポリペプチド」なる表現は、限定されるものではないが、第IX因子、並びに第IX因子-関連ポリペプチド(そのいずれかは、本発明の方法又は組成物に使用/導入されてよい)を含む。「第IX因子」なる用語は、限定されるものではないが、Jayeら, Nucleic Acids Res. 1983 (野生型ヒト第IX因子)に記載されているようなアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び一個人から他者に存在する又は生じる可能性のある、ヒト第IX因子の天然の対立遺伝子変異体を含む。また、グリコシル化又は他の翻訳後修飾の程度及び位置は、選択された宿主細胞、及び宿主細胞環境の種類に応じて変化し得る。また、「第IX因子」なる用語は、それらの未切断(チモーゲン)形態にある第IX因子ポリペプチド、並びに第IXa因子(ここに記載の他の凝固因子の場合)と命名される、タンパク質分解的にプロセシングされて、それぞれの生物活性形態を生じるものを含むことを意図している。本発明の方法及び組成物に導入可能な「第IX因子-関連ポリペプチド」には、限定されるものではないが、ヒト第IX因子に対して化学的に修飾された、及び/又はヒト第IX因子に対して一又は複数のアミノ酸配列変化(すなわち、第IX因子変異体)を含む、及び/又はヒト第IX因子に対して切断されたアミノ酸配列(すなわち第IX因子断片)を含む、第IX因子ポリペプチドが含まれる。典型的には、ここに記載の方法/組成物に使用される、他の凝固因子の変異体と同様、第IX因子変異体は、関連するヒトタンパク質に対し、高レベルの同一性(例えば、少なくとも約80%、85%、90%、92%、93%、95%、97%、又は99%同一性)を有し、ヒトタンパク質に対して、少なくとも実質的に同様の活性を保持している(例えば、出血の調節に関して、又は関連アッセイ(例えば、第IX因子アッセイは米国特許第20030203845号に記載されている)で試験した場合)。第IX因子ポリペプチドの非限定的例には、例えばChandraら, Biochem. Biophys. Acta 1973, 328:456; Anderssonら, Thromb.Res. 1975, 7:451; Suomelaら, Eur. J. Biochem. 1976, 71:145に記載されているような、血漿誘導性ヒト第IX因子が含まれる。いくつかの実施態様では、第IX因子は、第IX因子-関連ポリペプチドであり、ここで該第IX因子ポリペプチドの活性と、天然ヒト第IX因子(野生型第IX因子)の活性の間の比率は、「発色アッセイ」(米国特許第20030203845号を参照)で試験した場合に、少なくとも約1.25であり;他の実施態様では、比率は少なくとも約2.0であり;さらなる実施態様で、比率は少なくとも4.0である。商業的に入手可能なFIX生成物(いわゆる、代替生成物)は、典型的には、正常なプールされた血漿、又は遺伝子操作された哺乳動物細胞系から誘導される。多くの場合、代替生成物は、比活性度(タンパク質mg当たりの凝固因子活性の国際単位、IU/mg)と定められる最終純度に応じて分類される。中間生成物は、外部血漿タンパク質、例えばフィブリノーゲン、フィブロネクチン、及び他の非凝固タンパク質をさらに含有するため、比較的低い比活性度(<50IU/mg)を有する。高純度(>50IU/mg)及び超高純度(>160IU/mg)は、安定剤として付加されるアルブミン以外の、他の血漿タンパク質をほとんど又は実質的に含有しない。本発明で使用され得る、商業的に入手可能な第IX因子生成物(濃縮物及び調製物)の非限定的例は、例えば限定されるものではないが、AHP/Genetics InstituteのBeneFix(rFIX)、AventisのMononine(FIX)、BaxterのProplex(FIX複合体)、BaxterのBebulin VH(FIX複合体)、Laboratoire Francais du Fractionnement et des Biotechnologies (LFB)のFACTEUR IX-LFB (ヒト血漿ベースのFIX)、Immunine (Baxter/Immuno)、Octanyne (Octapharma)、Octanine F (Octapharma)、Mono FIX-VF (CSL)、Novact M (Kaketsuken)である。また、第IX因子及び第X因子の変異体及び誘導体を含む、第IX因子及び第X因子タンパク質も、当該分野で既知である(例えば国際公開第2006127896号;欧州特許第1728798−A1号; 及びSchuettrumpfら, Blood, 105(6): 2316-2323 (2005)を参照)。
【0082】
一実施態様では、凝固因子又は止血因子とCPAM剤との組合せは、組成物及び方法の唯一の活性剤である(又は、CPAM剤と凝固因子/止血因子、及び/又は第2の抗炎症剤の組合せは、組成物/方法の唯一の活性剤である)。一般的に、ここに記載の方法又は組成物に含まれる任意のこれらの薬剤は、少なくとも実質的に単離又は精製されていると特徴付けることができる。
【0083】
一実施態様では、組成物は、凝固因子をコードする配列を有する核酸、例えばNCBIのGenBank受入番号CAH72549、AAA88042、AAT85802、P08709、P00740、P12259、P00748、P03951、KFHU5、P00488、AAB31518、AAB31517、AAB31516、NP_000121、NP_000124、P00742、NP_000123、NP_000495、NP_001984、1205236A、AAB59401、NP_036283、CAI43241、AAH98389、AAH22513、AAB28588、AAI22864、AAI19015、AAH64380、AAI11970、AAI11968、AAC50211、AAA52420、AAB5949、AAA70225、AAA58466、AAV85964、AAB59490、AAA52421、AAA51986、CAI95417、CAI95416、CAI42103、CAI41386、CAI41385、CAI41382、CAI41381、AAI30469、AAH27963、EAX09185、EAX09184、EAX09183、EAX09182、EAX04621、EAX04620、ABJ51930、ABJ51929、ABJ51928、ABJ51927、ABJ51926、ABJ51925、ABJ51924、ABJ51923、ABJ51922、ABJ51921、ABJ51931、ABI26644、BAA20295、ABF69029、ABF69028、ABF69027、ABF69026、ABF69025、ABF69024、ABF69023、ABF69022、ABF69021、ABF69020、ABF69019、ABF69018、ABF69017、ABF69016、ABF69015、ABF69013、ABF69012、ABF69011、ABF69010、ABF69009、ABF69007、ABF69006、ABF69005、CAA48315、CAA48314、ABK19831、ABK19830、ABK19829、ABK19827、ABJ55913、ABJ55912、ABJ55910、ABJ55909のもの、又は当該分野で既知の他のもの、又はぞの類似体又は変異体、又はその組合せをさらに含み、及び/又は本方法は上述したものを使用してなされる。
【0084】
一実施態様では、本方法は、被験者に、凝固因子又は他の止血剤の生成を促進する又は高める薬剤を投与することをさらに含み、一実施態様では、該凝固因子をコードする核酸であり、他の実施態様では、第VIII因子をコードする。
【0085】
一実施態様では、第VIII因子をコードする核酸は、例えば米国特許出願公開第20050276787号に記載の、第VIII因子重鎖の最初の57塩基対を含有するベクターである。一実施態様では、ベクターは、米国特許第4757006号、又はTooleら, Nature 312: 312-317, 1984; Woodら, Nature 312: 330-337, 1984; Veharら; Nature 312: 337-342, 1984、国際公開第87/04187号、国際公開第88/08035号及び国際公開第88/03558号、米国特許第4868112号;欧州特許第0786474号;国際公開第86/06101号;国際公開第87/07144号に記載されているような、完全長ヒト第VIII因子、及び当該分野で既知の他のものを含む。
【0086】
いくつかの実施態様では、ベクター及びコンストラクトは、当業者に知られている標準的な方法(例えば形質移入)を使用して、細胞に導入することができる。多くの形質移入技術が、一般的に当該分野で既知である(例えば、Grahamら, Virol., 52:456 [1973]、Sambrookら. 上掲, Davisら, 上掲, 及びChuら, Gene 13:197 [1981]を参照)。特に適した形質移入方法には、リン酸カルシウム共沈(Grahamら, Virol., 52:456-467 [1973])、培養細胞への直接マイクロ注入法(Capecchi, Cell 22:479-488 [1980])、エレクトロポレーション(Shigekawaら, BioTechn., 6:742-751 [1988])、脂質媒介性遺伝子導入(Manninoら, BioTechn., 6:682-690 [1988])、脂質媒介性形質導入(Feignerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-7417 [1987])、及び高速マイクロプロジェクタイルを使用する核酸送達(Kleinら, Nature 327:70-73 [1987])が含まれる。
【0087】
いくつかの実施態様では、第VIII因子の発現及び活性は、任意の手段、例えばウエスタンブロット分析、ノーザンブロット分析、サザンブロット分析、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(例えば、SDS-PAGE)、逆転写結合ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、及び蛍光免疫測定法(IFA)によって、アッセイすることができる。
【0088】
他の態様では、凝固因子は第VII因子又はその変異体又は誘導体である。いくつかの実施態様では、第VIIa因子(第VII因子及び第VIIa因子なる用語は、ここではほぼ交換可能に使用され、任意の適切な形態の凝固因子が、本発明の方法/組成物に使用/導入可能であり、典型的には、活性形態で使用/導入されると認識されている)は、配列番号:1として、例えば米国特許第4784950号に開示されているもののような(野生型第VII因子)、ヒト第VIIa因子である。既に記しているように、「第VII因子」なる用語は、それらの未切断(チモーゲン)形態にある第VII因子ポリペプチド、並びに第VIIa因子と命名される、タンパク質分解的にプロセシングされて、それぞれの生物活性形態を生じるものを含むことを意図している。典型的には、ヒト第VII因子は、残基152と153の間で切断されて、第VIIa因子が生じる。
【0089】
一実施態様では、CPAM剤は第VII因子類似体又は変異体と組合せられる(類似体、類似物、及び変異体なる用語は、ここでは交換可能に使用される)。FVII変異体は、一又は複数の挿入、欠失、付加等により、野生型FVIIとはことなる任意の変異体であってよい(典型的には、変異体は、野生型ヒトFVIIアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、又はそれ以上の同一性を有し、ヒトFVIIとある程度類似した酵素活性を実質的に保持している)。第VII因子/第VIIa因子(FVIIa)変異体の非限定的例には、S52A;S60A;米国特許第5580560号に開示されているような、増加したタンパク質分解安定性を示すFVIIa変異体;PCT/DK02/00189に開示されているような第VII因子変異体;国際公開第02/38162号に開示されているような、増加したタンパク質分解安定性を示す第VII因子変異体;国際公開第99/20767に開示されているような、高められた膜結合性を示し、修飾されたGla-ドメインを有する第VII因子変異体;及び国際公開第01/58935号;国際公開第01/83725号;国際公開第02/22776号;国際公開第02/077218号;PCT/DK02/00635号;デンマーク特許出願第PA200201423号;デンマーク特許出願第PA200101627号;国際公開第02/38162号に開示されているような第VII因子変異体;日本国特許第2001061479号に開示されているような高められた活性を有するFVIIa変異体;及びGlaドメインを欠く第VIIa因子(Nicolaisenら, FEBS Letts. 317:245-249, 1993)が含まれる。付加的な修飾のさらなる非限定的例には、R152E;S344A;L305V;L305V/M306D/D309S;L305I、L305T、F374P、V158T/M298Q、V158D/E296V/M298Q、K337A、M298Q、V158D/M298Q、L305V/K337A、V158D/E296V/M298Q/L305V、V158D/E296V/M298Q/K337A、V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A、K157A、E296V、E296V/M298Q、V158D/E296V、V158D/M298K、及びS336G、L305V/K337A、L305V/V158D、L305V/E296V、L305V/M298Q、L305V/V158T、L305V/K337A/V158T、L305V/K337A/M298Q、L305V/K337A/E296V、L305V/K337A/V158D、L305V/V158D/M298Q、L305V/V158D/E296V、L305V/V158T/M298Q、L305V/V158T/E296V、L305V/E296V/M298Q、L305V/V158D/E296V/M298Q、L305V/V158T/E296V/M298Q、L305V/V158T/K337A/M298Q、L305V/V158T/E296V/K337A、L305V/V158D/K337A/M298Q、L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A、L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A、S314E/K316H、S314E/K316Q、S314E/L305V、S314E/K337A、S314E/V158D、S314E/E296V、S314E/M298Q、S314E/V158T、K316H/L305V、K316H/K337A、K316H/V158D、K316H/E296V、K316H/M298Q、K316H/V158T、K316Q/L305V、K316Q/K337A、K316Q/V158D、K316Q/E296V、K316Q/M298Q、K316Q/V158T、S314E/L305V/K337A、S314E/L305V/V158D、S314E/L305V/E296V、S314E/L305V/M298Q、S314E/L305V/V158T、S314E/L305V/K337A/V158T、S314E/L305V/K337A/M298Q、S314E/L305V/K337A/E296V、S314E/L305V/K337A/V158D、S314E/L305V/V158D/M298Q、S314E/L305V/V158D/E296V、S314E/L305V/V158T/M298Q、S314E/L305V/V158T/E296V、S314E/L305V/E296V/M298Q、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q、S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q、S314E/L305V/V158T/E296V/K337A、S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q、S314E/L305V/V158D/E296V/K337A、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A、K316H/L305V/K337A、K316H/L305V/V158D、K316H/L305V/E296V、K316H/L305V/M298Q、K316H/L305V/V158T、K316H/L305V/K337A/V158T、K316H/L305V/K337A/M298Q、K316H/L305V/K337A/E296V、K316H/L305V/K337A/V158D、K316H/L305V/V158D/M298Q、K316H/L305V/V158D/E296V、K316H/L305V/V158T/M298Q、K316H/L305V/V158T/E296V、K316H/L305V/E296V/M298Q、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q、K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q、K316H/L305V/V158T/E296V/K337A、K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q、K316H/L305V/V158D/E296V/K337A、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A、K316Q/L305V/K337A、K316Q/L305V/V158D、K316Q/L305V/E296V、K316Q/L305V/M298Q、K316Q/L305V/V158T、K316Q/L305V/K337A/V158T、K316Q/L305V/K337A/M298Q、K316Q/L305V/K337A/E296V、K316Q/L305V/K337A/V158D、K316Q/L305V/V158D/M298Q、K316Q/L305V/V158D/E296V、K316Q/L305V/V158T/M298Q、K316Q/L305V/V158T/E296V、K316Q/L305V/E296V/M298Q、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q、K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q、K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A、K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q、K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A、F374Y/K337A、F374Y/V158D、F374Y/E296V、F374Y/M298Q、F374Y/V158T、F374Y/S314E、F374Y/L305V、F374Y/L305V/K337A、F374Y/L305V/V158D、F374Y/L305V/E296V、F374Y/L305V/M298Q、F374Y/L305V/V158T、F374Y/L305V/S314E、F374Y/K337A/S314E、F374Y/K337A/V158T、F374Y/K337A/M298Q、F374Y/K337A/E296V、F374Y/K337A/V158D、F374Y/V158D/S314E、F374Y/V158D/M298Q、F374Y/V158D/E296V、F374Y/V158T/S314E、F374Y/V158T/M298Q、F374Y/V158T/E296V、F374Y/E296V/S314E、F374Y/S314E/M298Q、F374Y/E296V/M298Q、F374Y/L305V/K337A/V158D、F374Y/L305V/K337A/E296V、F374Y/L305V/K337A/M298Q、F374Y/L305V/K337A/V158T、F374Y/L305V/K337A/S314E、F374Y/L305V/V158D/E296V、F374Y/L305V/V158D/M298Q、F374Y/L305V/V158D/S314E、F374Y/L305V/E296V/M298Q、F374Y/L305V/E296V/V158T、F374Y/L305V/E296V/S314E、F374Y/L305V/M298Q/V158T、F374Y/L305V/M298Q/S314E、F374Y/L305V/V158T/S314E、F374Y/K337A/S314E/V158T、F374Y/K337A/S314E/M298Q、F374Y/K337A/S314E/E296V、F374Y/K337A/S314E/V158D、F374Y/K337A/V158T/M298Q、F374Y/K337A/V158T/E296V、F374Y/K337A/M298Q/E296V、F374Y/K337A/M298Q/V158D、F374Y/K337A/E296V/V158D、F374Y/V158D/S314E/M298Q、F374Y/V158D/S314E/E296V、F374Y/V158D/M298Q/E296V、F374Y/V158T/S314E/E296V、F374Y/V158T/S314E/M298Q、F374Y/V158T/M298Q/E296V、F374Y/E296V/S314E/M298Q、F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E、F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E、F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A、F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A、F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E、F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E、F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E、F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A、F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E、F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E、F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A、F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E、F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E、F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E、F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E、F374Y
/L305V/V158T/E296V/M298Q、F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A、F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A、F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E、F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E、F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E、F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T、F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E、F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E;R152E、S344A;P11Q/K33E、T106N、V253N、R290N/A292T、G291N、R315N/V317T、K143N/R315N/V317T;T233からN240までのアミノ酸配列に置換、付加又は欠失を有するFVII;及びR304からC329までのアミノ酸配列に置換、付加又は欠失を有するFVIIが含まれる。
【0090】
第VIIa因子誘導体の非限定的例には、野生型又は類似した第VIIaポリペプチドで、そこにポリエチレングリコール(PEG)ポリマー、アシル基、ホスファート又はスルファート化合物等が結合しているものが含まれる。また第VIIa因子誘導体は、化学的又は酵素的に修飾されたN結合又はO結合したオリゴ糖類を含有する第VII因子ポリペプチド、又はタンパク質分解的切断を受けた第VIIa因子(野生型又は類似体)ポリペプチドをさらに含んでもよい。第VII因子誘導体の非限定的例には、国際公開第03/31464号及び米国特許出願第20040043446号、米国特許第20040063911号、米国特許第20040142856号、米国特許第20040137557号、及び米国特許第20040132640号(Neose Technologies, Inc.)に開示されているようなグリコペグ化されたFVII誘導体;国際公開第02/077218号、米国特許第20030044908号(Novo Nordisk A/S; 国際公開第01/04287号、米国特許出願第20030165996号、国際公開第01/58935号、国際公開第03/93465号(Maxygen ApS)及び国際公開第02/02764号、米国特許出願第20030211094号(ミネソタ大学)に開示されているようなFVIIコンジュゲートが含まれる。
【0091】
一実施態様では、CPAM剤は、C5aの発現、同族レセプターへのC5a結合性、C5aレセプターシグナル伝達、又はその組合せを抑止し又は低下させる。
一実施態様では、この発明は、補体経路及び凝固因子又は他の止血因子の活性化を抑止し又は低下させる薬剤を含有する薬学的組成物を提供するものである。
一実施態様では、この発明は、補体経路の活性化を抑止し又は低下させる薬剤、及び凝固因子をコードする核酸又は他の止血剤を含有する薬学的組成物を提供するものである。
【0092】
一実施態様では、CPAM剤は生物製剤であり、一実施態様においては抗体であり、また他の実施態様ではオリゴペプチドである。他の実施態様では、凝固因子は第VIII因子である。
他の実施態様では、CPAM剤は、C5aの発現、同族レセプターへのC5aの結合、C5aレセプターシグナル伝達、又はその組合せを抑止し又は低下させる。
一実施態様では、薬学的組成物は、経口、静脈内、皮下、関節(局所)、又は局所投与用に調製され、他の実施態様では、薬学的組成物は注射用製剤として製剤化される。
【0093】
いくつかの実施態様では、この発明の組成物及びその使用方法を提供するものであり、ここで、該組成物及び方法は、一又は複数の第2の抗炎症治療剤(類)又は手順をさらに含み、その具体例には、限定されるものではないが、合成又は非合成のコルチコステロイド剤、非ステロイド性の抗炎症剤、抗リウマチ剤、免疫調節剤、免疫抑制剤、関節機能増強剤、インターロイキン生成インヒビター、又はそれらの組合せが含まれる。コルチコステロイド剤の特定の例には、限定されるものではないが、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、トリアムシロノン、ベータメタゾン、プレドニソロン(predonisolone)、メチルプレドニソロン、ハロプレドン(halopredone)、ベクロメタゾン等が含まれる。このような薬剤の付加的な例は、例えばRomasら, Rheum Dis Clin North Am. 2006 Nov;32(4):759-73; Zhonghuaら, 2006 Nov 21;86(43):3055-8; 及びKatzら, Curr Opin Rheumatol. 2007 Mar;19(2):106-110に記載されている。
【0094】
非ステロイド性抗炎症剤のさらなる特定の実施例には、限定されるものではないが、ジクロフェナク、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アスピリン、ジフルニサル、フルフェナミン酸(fulfenamic acid)、フロクタフェニン、トルフェナム酸、スリンダク、フェンブフェン、サリチル酸、アセメタシン、プログルメタシン、ナブメトン、プロチジン酸、チアプロフェン(thiaprofen)、オキサプロジン、ロキソプロフェン、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェン等が含まれる。当業者であれば、患者の健康状態、年齢、CPAM剤と抗炎症剤との任意の組合せを考慮する場合は、これらの化合物に関連する公知の健康上のリスクを考慮するであろう。
【0095】
一実施態様では、本発明の組成物は、少なくとも一のピラゾリルベンゼンスルホンアミド化合物、例えば米国特許第5756529号及び米国特許第5466823号に説明されているものをさらに含有することができる。いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、炎症及び/又は痛みの治療に有用なジアリール置換ピラゾールをさらに含有することができる。いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、治療量の任意のクラスのジアリール置換されたピラゾール、それらの異性体、類似体、及び/又は代謝産物をさらに含有することができる。いくつかの実施態様では、これらの化合物は、主としてシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の阻害を介して、炎症及び/又は痛みを低減する。
【0096】
いくつかの実施態様では、組成物は、炎症及び/又は痛みを低減する非ステロイド剤、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ等をさらに含有する。
いくつかの実施態様では、組成物は、アクセティル(axetil)、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、メロキシカム、D-ペニシラミン、ブシラミン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、ロベンザリット、サラゾスルファピリジン、メトトレキサート、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミゾリピン、シクロスポリン等をさらに含有する。
【0097】
一実施態様では、組成物は、特にオピオイド類、及び麻薬性鎮痛剤を含む他の鎮痛剤、Muレセプターアンタゴニスト、カッパレセプターアンタゴニスト、非麻酔性(すなわち非常習性の)鎮痛剤、モノアミン取込インヒビター、アデノシン調節剤、カンナビノイド誘導体、サブスタンスPアンタゴニスト、ニューロキニン-1レセプターアンタゴニスト、及びナトリウムチャンネル遮断剤をさらに含有する。いくつかの実施態様では、組成物は、アセクロフェナク、アセメタシン、e-アセトアミドカプリン酸、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール(acetaminosalol)、アセトアニリド、アセチルサリチル酸(アスピリン)、S-アデノシルメチオニン、アルクロフェナク、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルミノプロフェン、アロキシプリン、アルファプロジン、ビス(アセチルサリチル酸)アルミニウム、アンフェナク、アミノクロルゼンオキサジン(aminochlorthenoxazin)、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、2-アミノ-4-ピコリン、アミノプロピロン、アミノピリン、アミキセトリン(amixetrine)、サリチル酸アンモニウム、アンピロキシカム、アムトールメチングアシル(amtolmetin guacil)、アニレリジン、アンチピリン、サリチル酸アンチピリン、アントラフェニン(antrafenine)、アパゾン、ベンダザック、ベノリラート(benorylate)、ベノキサプロフェン、ベンズピペリロン(benzpiperylon)、ベンジダミン、ベンジルモルフィン、ベルモプロフェン(bermoprofen)、ベジトラルニド(bezitrarnid)、アルファ-ビサボロール、ブロムフェナク、ロー-ブロモアセトアニリド、5-ブロモサリチル酸アセタート、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、ブセチン、ブクロキシ酸(bucloxic acid)、ブコローム、ブフェキサマク、ブマジゾン、ブプレノルフィン、ブタセチン(butacetin)、ブチブフェン(butibufen)、ブトファノール(butophanol)、アセチルサリチル酸カルシウム、カルバマゼピン、カルビフェン(carbiphene)、カプロフェン、カルサラム(carsalam)、クロロブタノール、クロルゼンオキサジン、サリチル酸コリン、シンコフェン、シンメタシン(cinmetacin)、クリダナク、クロメタシン(clometacin)、クロニキシン、クローブ、コデイン、コデイン臭化メチル、リン酸コデイン、硫酸コデイン、クロプロパミド(cropropamide)、クロテスアミド(crotethamide)、デソモルヒネ(desomorphine)、デキソキサドロール(dexoxadrol)、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド(diampromide)、ジクロフェナクナトリウム、ジフェナミゾール(difenamizole)、ジフェンピラミド、ジフルニサル、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノンエノールアセタート(dihydrocodeinone enol acetate)、ジヒドロモルヒネ、アセチルサリチル酸ジヒドロキシアルミニウム、ジメンオキサドール(dimenoxadol)、ジメフェプタノール(dimepheptanol)、ジメチルチアンブテン(dimethylthiambutene)、酪酸ジオキサフェチル(dioxaphetyl butyrate)、ジピパノン(dipipanone)、ジプロセチル、ジピロン、ジタゾール、ドロキシカム、エモルファゾン、エンフェナム酸(enfenamic acid)、エピリゾール、エプタゾシン、エテルサラート(etersalate)、エテンザミド、エトヘプタジン、エトキサゼン(ethoxazene)、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトドラク、エトフェナメート、エトニタゼン(etonitazene)、オイゲノール、フェンブフェン、フェンクロズ酸(fenclozic acid)、フェンドサル(fendosal)、フェノプロフェン、フェンタニル、フェンチアザク、フェプラジノール(fepradinol)、フェプラゾン、フロクタフェニン、フルフェタミン酸(flufenamic acid)、フルノキサプロフェン、フルオレソン(fluoresone)、フルピルチン、フルプロクアゾン(fluproquazone)、フルルビプロフェン、フォスフォサル(fosfosal)、ゲンチジン酸、グラフェニン、グルカメタシン、サリチル酸グリコール、グアイアズレン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イブフェナク、イブプロフェン、イブプロキサム、サリチル酸イミダゾール、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラック(isofezolac)、イソラドール(isoladol)、イソメタドン、ソニキシン(isonixin)、イソキセパック(isoxepac)、イソキシカム(isoxicam)、ケトベミドン、ケトプロフェン、ケトロラク、p-ラクトフェネチド(p-lactophenetide)、レフェタミン、レボルファノール、ロフェンタニル(lofentanil)、ロナゾラク、ロモキシカム(lomoxicam)、ロキソプロフェン、アセチルサリチル酸リジン、アセチルサリチル酸マグネシウム、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メペリジン、メプタジノール、メサラミン、メタゾシン、塩酸メサドン、メトトリメプラジン、メチアジン酸、メトフォリン(metofoline)、メトポン(metopon)、モフェブタゾン、モフェゾラク、モラゾン、モルヒネ、塩酸モルヒネ、硫酸モルヒネ、サリチル酸モルホリン、ミロフィン、ナブメトン、ナルブフィン、1-ナフチルサリチラート、ナプロキセン、ナルセイン、ネホパム、ニコモルフィン、ニフェナゾン、ニフルルミン酸(niflurmic acid)、ニメスリド、5'-ニトロ-2'-プロポキシアセトアニリド、ノルレボルファノール(norlevorphanol)、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オルサラジン、アヘン、オキサセプロール、オキサメタシン、オキサプロジン、オキシコドン、オキシモルフォン、オキシフェンブタゾン、パパベレタム、パラニリン(paranyline)、パルサルミド(parsalmide)、ペンタゾシン、ペリソキサール、フェナセチン、フェナドキソン(phenadoxone)、フェナゾシン、塩酸フェナゾピリジン、フェノコール(phenocoll)、フェノピリジン、フェノピラゾン、アセチルサリチル酸フェニル、フェニルブタゾン、サリチル酸フェニル、フェニラミドール、ピケトプロフェン(piketoprofen)、ピミノジン(piminodine)、ピペブゾン(pipebuzone)、ピペリロン(piperylone)、ピプロフェン、ピラゾラク(pirazolac)、ピリトラミド、ピロキシカム、プラノプロフェン、プログルメタシン、プロヘプタジン、プロメドール、プロパセタモール、プロピラム(propiram)、プロポキシフェン、プロピフェナゾン、プロカゾン、プロチジン酸、ラミフェナゾン(ramifenazone)、レミフェンタニル、メチル硫酸メチルリマゾリウム(rimazolium metilsulfate)、サラセタミド(salacetamide)、サリシン、サリチルアミド、サリチルアミド-o-酢酸、サリチル硫酸、サルサルテ(salsalte)、サルベリン(salverine)、シメトリド、サリチル酸ナトリウム、スフェンタニル、スルファサラジン、スリンダク、スーパーオキシドジスムターゼ、スプロフェン、スキシブゾン、タルニフルマート(talniflumate)、テニダップ、テノキシカム、テロフェナマート(terofenamate)、テトランドリン(tetrandrine)、チアゾリノブタゾン、チアプロフェン酸、チアラミド、チリジン、チノリジン、トルフェナム酸、トルメチン、トラマドール、トロペシン(tropesin)、ビミノール、キセンブシン(xenbucin)、キシモプロフェン(ximoprofen)、ザルトプロフェン、及びゾメピラックをさらに含む(The Merck Index, 第12版, Therapeutic Category and Biological Activity Index, S. Budavari編 (1996), pp. Ther-2〜Ther-3及びTher-12 (鎮痛剤(歯科)、鎮痛剤(麻酔)、鎮痛剤(非麻酔)、抗炎症(非ステロイド性)を参照)。
【0098】
本発明の化合物及び薬学的組成物は、例えば抗炎症剤、抗コリン作用剤(特に、M1、M2、M1/M2又はM3レセプターアンタゴニスト)、β2-アドレナリンレセプターアゴニスト、抗感染剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤)、抗ヒスタミンで、ここに記載されているようなもの、又はそれらの任意の組合せから選択される、一又は複数の他の治療剤を含む、又は組合せて使用してもよい。いくつかの実施態様では、この発明は、一又は複数の他の治療的活性剤、例えば凝固因子、及び/又は場合によっては抗炎症剤(例えばコルチコステロイド又はNSAID)、抗コリン作用剤、β2-アドレナリンレセプターアゴニスト、抗感染剤(例えば、抗生物質又は抗ウイルス剤)、又は抗ヒスタミン、又はコルチコステロイド、又は抗コリン作用剤、又はPDE-4インヒビター、又はその何れかの組合せと共に、補体経路を阻害する又は干渉する薬剤の組合せを提供するものである。
【0099】
適切には、治療用成分(類)は、治療用成分の活性及び/又は安定性及び/又は物理的特徴(例えば、溶解度)を最適にするために、塩の形態(例えば、アルカリ金属又はアミンの塩、又は酸付加塩)、又はプロドラッグ、又はエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、又は溶媒和物(例えば、水和物)として使用されてよいことは、当業者には明らかであろう。適切には、治療用成分は光学的に純粋な形態で使用され得ることは明らかであろう。
【0100】
β2-アドレナリンレセプターアゴニストの例には、サルメテロール(ラセミ化合物又は単一のエナンチオマー、例えばR-エナンチオマーであってよい)、サルブタモール、フォルモテロール、サルメファモール、フェノテロール、又はテルブタリン、及びその塩、例えばサルモテロールのキシナホ塩、硫酸塩、又はサルブタモールの遊離塩基、又はフォルモテロールのフマル酸塩が含まれる。長時間作用するβ2-アドレナリンレセプターアゴニスト、特に24時間以上の治療効果を有するもの、例えばサルメテロール又はフォルモテロールが好ましい。
【0101】
いくつかの実施態様では、β2-アドレナリンレセプターアゴニストには、国際公開第02/66422A号、国際公開第02/270490号、国際公開第02/076933号、国際公開第03/024439号、国際公開第03/072539号、国際公開第03/091204号、国際公開第04/016578号、国際公開第04/022547号、国際公開第04/037807号、国際公開第04/037773号、国際公開第04/037768号、国際公開第04/039762号、国際公開第04/039766号、国際公開第01/42193号、及び国際公開第03/042160号で、その開示が出典明示によりここに援用されるものに記載されているものが含まれる。
【0102】
いくつかの実施態様では、β2-アドレナリンレセプターアゴニストは:3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}-アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド; 4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール; N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド(foramide)、N-2{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン、又はその組合せである。
【0103】
いくつかの実施態様では、コルチコステロイド類は、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-メチルシロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボン酸 シアノメチルエステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17-プロピオナートエステル、又は17,21-ジプロピオナートエステル)、ブデソニド、フルニソリド(flunisolide)、モメタゾン(mometasone)エステル(例えば、フロ酸エステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド(rofleponide)、シスレソニド(ciclesonide)、(16α,17-[[(R)-シクロヘキシルメチレン]ビス(オキシ)]-11β,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン)、プロピオン酸ブチキソコート(butixocort)、RPR-106541、及びST−126を含んでよい。好ましいコルチコステロイド類には、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル、及び6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル、より好ましくは、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステルが含まれる。
【0104】
いくつかの実施態様では、組成物/方法は、トランス活性化以上にトランス抑制に対する選択性を有していてもよい、グルココルチコイドアゴニズムを有する非ステロイド性化合物、例えば国際公開第03/082827号、国際公開第01/10143号、国際公開第98/54159号、国際公開第04/005229号、国際公開第04/009016号、国際公開第04/009017号、国際公開第04/018429号、国際公開第03/104195号、国際公開第03/082787号、国際公開第03/082280号、国際公開第03/059899号、国際公開第03/101932号、国際公開第02/02565号、国際公開第01/16128号、国際公開第00/66590号、国際公開第03/086294号、国際公開第04/026248号、国際公開第03/061651号、国際公開第03/08277号で、全てここに出典明示により援用されるものに開示されている化合物を含有する/使用する。
【0105】
いくつかの実施態様では、組成物/方法は、非ステロイド性の抗炎症剤(NSAID's)、例えばクロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)インヒビター(例えば、テオフィリン、PDE4インヒビター、又は混合PDE3/PDE4インヒビター)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成のインヒビター(例えば、モンテルカスト)、iNOSインヒビター、トリプターゼ及びエラスターゼインヒビター、ベータ-2インテグリンアンタゴニスト、及びアデノシンレセプターアゴニスト又はアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、ケモカインアンタゴニスト、例えばCCR3アンタゴニスト)、又はサイトカイン合成のインヒビター、又は5-リポキシゲナーゼインヒビターを含有する/使用する。適切な他のβ2-アドレナリンレセプターアゴニストには、サルメテロール(例えば、キシナホアート)、サルブタモール(例えば、スルファート又は遊離塩基)、フォルモテロール(例えば、フマラート)、フェノテロール、又はテルブタリン、及びその塩が含まれる。iNOS(誘導型一酸化窒素合成酵素インヒビター)が経口投与には好ましい。適切なiNOSインヒビターには、国際公開第O93/13055号、国際公開第98/30537号、国際公開第02/50021号、国際公開第95/34534号及び国際公開第99/62875号に開示されているものが含まれる。適切なCCR3インヒビターには、国際公開第02/26722号に開示されているものが含まれる。
【0106】
いくつかの実施態様では、組成物/方法は、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)インヒビター又は混合PDE3/PDE4インヒビター、例えばcis 4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オン、及びcis-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]を含有する/使用する。
【0107】
いくつかの実施態様では、組成物/方法は、米国特許第5552438号に説明されている化合物;Hofgen, Nら 15th EFMC Int. Symp. Med. Chem. (September 6-10, Edinburgh) 1998, Abst. P. 98; CAS参照番号247584020-9)のもの;NCS-613 (INSERM)と指定される9-ベンジルアデニン誘導体;Schering-Plough及びChiroscienceのD-4418;Pfizerに属し、C1-1018 (PD-168787)として同定されているベンゾジアゼピンPDE4インヒビター;国際公開第99/16766号においてKyowa Hakkoにより開示されているベンゾジオキソール誘導体;Kyowa HakkoのK-34;NappのV-11294A(Landells, L. Jら. Eur Resp J [Annu Cong Eur Resp Soc (September 19-23, Geneva) 1998] 1998, 12 (Suppl. 28): Abst P2393);ロフルミラスト(CAS参照番号162401-32-3);Byk-Guldenのプタラジノン(pthalazinone)(国際公開第99/47505号、その開示がここに参照として導入);Byk-Gulden、現在はAltanaから調製され、公開されている、混合PDE3/PDE4インヒビターである、プマフェントリン(Pumafentrine)、(−)-p-[(4aR,10bS)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a, 10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2 メチルベンゾ[c][1,6] ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド;Almirall-Prodesfarmaから開発されているアロフィリン(arofylline);VernalisのVM554/UM565;又はT-440 (Tanabe Seiyaku; Fuji, Kら. J Pharmacol Exp Ther, 1998, 284(1): 162)、及びT2585を含有する/使用する。他の可能なPDE-4及び混合PDE3/PDE4インヒビターには、その開示が出典明示によりここに援用される、国際公開第01/13953号に列挙されているものが含まれる。いくつかの実施態様では、組成物/方法は、ここに記載されたような薬剤の任意の組合せを含有する/使用する。
【0108】
いくつかの実施態様では、組成物/方法は、抗コリン作用剤、例えばアトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ヒヨスチアミン等に例証されるような、ベラドンナ植物のアルカロイド類を含有する/使用し;これらの化合物は、通常、第3級アミン等、塩として投与される。これらの薬剤、特に塩の形態は、多くの商業的供給源から容易に入手可能であるか、又は例えば:アトロピン-CAS-51-55-8又はCAS-51-49-1 (無水形態)、硫酸アトロピン-CAS-5908-99-6; 酸化アトロピン-CAS-4438-22-6、又はそのHCl塩-CAS-4574-60-1、及び硝酸メチルアトロピン-CAS-52-88-0;ホマトロピン-CAS-87-00-3、臭化水素酸塩-CAS-51-56-9、臭化水素酸メチル-CAS-80-49-9; ヒヨスチアミン(d,l)-CAS-101-31-5、臭化水素酸塩-CAS-306-03-6、及び硫酸塩-CAS-6835-16-1;及びスコポラミン-CAS-51-34-3、臭化水素酸塩-CAS-6533-68-2、臭化水素酸メチル-CAS-155-41-9の文献から調製することができる。
【0109】
いくつかの実施態様では、組成物/方法は、抗コリン作用剤、例えば限定されるものではないが、Atroventの名称で販売されているイプラトロピウム(例えば、臭化物として)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として)及びチオトロピウム(例えば、臭化物として)(CAS-139404-48-1)を含有する/使用する。また関心あるものは:メタンテリン(CAS-53-46-3)、臭化プロパンテリン(CAS-50-34-9)、臭化メチルアニソトロピン又はバルピン50(CAS-80-50-2)、臭化クリジニウム(Quarzan, CAS-3485-62-9)、コピロラート(copyrrolate)(Robinul)、ヨウ化イソプロパミド(CAS-71-81-8)、臭化メペンゾラート(米国特許第2,918,408号)、塩化トリジヘキセチル(Pathilone, CAS-4310-35-4)、及びメチル硫酸ヘキソシクリウム(Tral, CAS-115-63-9)を含有する/使用する。また、塩酸シクロペントレート(CAS-5870-29-1)、トロピカミド(CAS-1508-75-4)、塩酸トリヘキシフェニジル(CAS-144-11-6)、ピレンゼピン(CAS-29868-97-1)、テレンゼピン(CAS-80880-90-9)、AF-DX 116、又はメトクトラミン、及びその開示が出典明示によりここに援用される国際公開第01/04118号に開示されている化合物が参照される。
【0110】
一実施態様では、組成物/方法は、H1-レセプターを阻害することで公知の、任意の一又は複数の数のアンタゴニストを含んでいてよく、ヒトへの使用において安全な抗ヒスタミン類(H1-レセプターアンタゴニストとも称される)を含有する/使用する。いくつかの実施態様では、このような化合物には、エタノールアミン類、エチレンジアミン類、及びアルキルアミン類、例えば限定するものではないが、マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェニルヒドラミン、及びジメンヒドリナート、マレイン酸ピリラミン、塩酸トリペレナミン、及びクエン酸トリペレナミン、クロロフェニラミン(chloropheniramine)、及びその塩、例えばマレイン酸塩、アクリバスチン、塩酸ヒドロキシジン、パモ酸ヒドロキシジン、塩酸シクリジン、乳酸シクリジン、塩酸メクリジン、及び塩酸セチリジン、アステミゾール、塩酸レボカバスチン、ロラタジン、又はそのデスカルボエトキシ類似体、及びテルフェナジン、及び塩酸フェキソフェナジン、又は他の製薬的に許容可能な塩、塩酸アゼラスチン、又はここに記載した薬剤の任意の組合せが含まれる。
上述した組合せは、簡便には、製薬用製剤の形態で使用されるように提供され得、よって生理学的に許容可能な希釈液又は担体と共に、上述した組合せを含有する製薬用製剤が、本発明のさらなる態様を表す。
【0111】
本発明の化合物及び/又は任意の第2の薬剤(例えば、止血及び/又は凝固因子)は、任意の数の適切な担体、希釈剤、賦形剤等(例えば、Powellら. 「Compendium of excipients for parenteral formulations」 PDA J Pharm Sci Technol. 52:238-311 (1998)を参照 -「ビヒクル」及び「担体」なる用語は、本発明の記載において、このような色々な種類の薬剤に関して全てを、集合的に又はそれぞれ独立して称するために使用することができる)、及び/又は機能的エンハンサー(例えば、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、乳化剤、防腐剤、フィラー、塩(類)、溶解剤、洗浄剤、抗凝集剤(例えば、抗凝集アミノ酸製剤)分散媒、等張剤、組織固定剤、キレート剤、バッファー、抗菌剤、酸化防止剤、着色剤、香料、吸収遅延化剤、制御放出剤)と共に、投与の指示経路に適するように処方することができる。このような付加的な成分は、本発明の製薬用製剤の全体的な安定性に悪影響がないように選択される。適切な担体、希釈剤、アジュバント、並びに機能的エンハンサー、及びこのような組成物の投与/処方方式は、製薬の分野でよく知られている。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995を参照。また、例えばBergeら, J. Pharm. Sci., 6661), 1-19 (1977); Wang及びHanson, J. Parenteral. Sci. Tech: 42, S4-S6 (1988), 米国特許第6165779号及び同6225289号を参照。さらに関連する原則、方法、及び薬剤は、例えばUrquhartら, Lancet, 16, 367 (1980), Liebermanら, PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS-DISPERSE SYSTEMS (第2版, vol. 3,1998); Anselら, PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS & DRUG DELIVERY SYSTEMS (第7版. 2000); Martindale, THE EXTRA PHARMACOPEIA (第31版), Remington's PHARMACEUTICAL SCIENCES (第16th-第20版); The Pharmacological Basis Of Therapeutics, Goodman及びGilman編. (第9版-1996); Wilson及びGisvolds' TEXTBOOK OF ORGANIC MEDICINAL AND PHARMACEUTICAL CHEMISTRY, Delgado及びRemers編. (第10版-1998), 及び米国特許第5708025号及び同5994106号に記載されている。さらに、製薬的に許容可能な組成物を処方する原則は、例えばPlatt, Clin. Lab Med., 7:289-99 (1987), Aulton, PHARMACEUTICS: THE SCIENCE OF DOSAGE FORM DESIGN, Churchill Livingstone (New York) (1988), EXTEMPORANEOUS ORAL LIQUID DOSAGE PREPARATIONS, CSHP (1998), 及び「Drug Dosage」 J. Kans. Med. Soc., 70 (I), 30-32 (1969)に記載されている。
【0112】
本発明の組成物は、任意の適切な形態、例えば液状、半固体状、及び固体状の投与形態、例えば液状溶液(例えば、注射用及び注入用溶液)、分散液又は懸濁液に処方することができる。任意の組成物の最適な形態は、意図する投与方式、組成物又は組合せの性質、及び治療用途又は他の意図する使用に依存する。本発明の組成物を送達させるための典型的な方式は、非経口投与(例えば静脈内投与)である。一態様では、本発明の組成物は、静脈への注入又は注射により、ヒト患者に投与される。注射は、例えば二重バレルシリンジ又は任意の適切な装置を使用して達成される。可能性のある適切な送達装置の例は、例えば米国特許第5104375号、同4359049号、同4631055号、及び同4874368号に記載されている。他の適切な送達装置にはピペットが含まれる。
【0113】
製薬的に許容可能な組成物は、典型的には、滅菌されており、本発明の化合物(及び任意の第2の薬剤)が十分量溶解しており、製造及び保存条件下で安定しており、提案される用途において被験者に有害ではない(又は、例えば臨床試験により測定された場合に、同様の被験者の数的に、通常は実質的にほとんど(少なくとも約70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%等)に少なくとも有害ではない)ものである。本発明で提供される(及び/又はここに記載の種々の方法に使用される)ような組成物は、従来からの製薬的操作、例えば滅菌、(その活性成分が単離された、又は少なくとも実質的に単離されたとみなされるように)精製等にかけることができる。
【0114】
本発明の一実施態様では、製薬用製剤は水溶液、すなわち水分を含有する製剤である。このような製剤は、典型的には溶液又は懸濁液である。本発明のさらなる実施態様では、製薬用製剤は水溶液である。「水性製剤」なる用語は、少なくとも50%(重量/重量)の水分を含有する製剤と定義される。同様に「水溶液」なる用語も、少なくとも50%(重量/重量)の水分を含有する溶液と定義され、「水性懸濁液」なる用語は、少なくとも50%(重量/重量)の水分を含有する懸濁液と定義される。
他の実施態様では、製薬用製剤は凍結乾燥された製剤であり、医師又は患者は、使用前に溶媒及び/又は希釈液を添加する。
【0115】
注射用の製薬用生成物は、典型的には、滅菌されており、実質的にピロゲンフリーで、医学的に許容できない影響を有さないならば、「治療的用途に許容可能である」とみなされる。例えば、生成物は、ヒト被験者に注射した場合に、医学的に許容できない免疫反応を生じさせるものではない。医学的に許容できない影響は、医薬の分野における当業者により決定することができる。組成物の成分を精製することにより、ここに記載の、また当該分野で公知の原則に従い、このような成分を処方し、通常のテスト手順を使用することで、これら及び/又はここに記載の他の特徴を満たす組成物が、過度の実験及び試みをすることなく得ることができる。
【0116】
この発明で提供される併用治療の個々の化合物は、別々の又は組合せた製薬用製剤において、連続して、又は同時に投与されてよい。公知の治療剤の適切な用量は、当業者が常套的な実験を行うことにより、容易に理解又は決定されるであろう。
【0117】
一実施態様では、薬剤は薬学的組成物一部として投与され、一実施態様では、経口、静脈内、又は局所投与用に製剤化され、又は他の実施態様においては、注射用製剤として製剤化される。任意の投与経路、この発明の組成物の特定の投与経路のための製剤、関連する方法が考慮されており、この発明に含まれる。
【0118】
いくつかの実施態様では、この発明の組成物及びそれらの使用は、賦形剤の導入か可能であり、いくつかの実施態様では、それらは固体状又は液状又は双方である。賦形剤を含有する本発明の組成物は、記載した薬剤と賦形剤とを混合することを含む、任意の調剤技術により調製することができる。
【0119】
頬及び舌下投与に適した組成物には、風味付けされた基体、例えばスクロース及びアカシア又はトラガカントに、選択された記載の薬剤を含有せしめた薬用キャンディー、及び不活性基体、例えばゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアに、薬剤を含有せしめたトローチが含まれる。
【0120】
経口投与される液状の投与形態には、水等の、当該技術で通常使用される不活性希釈液を含有する、製薬的に許容可能な懸濁液、シロップ及びエリキシルが含まれる。またこのような組成物は、例えば湿潤剤、乳化剤、及び懸濁剤、甘味料、フレーバー、及び香料をさらに含有していてもよい。
経口投与される固体状単位の投与形態は、賦形剤と共に、ナノ粒子形態を含み、記載の薬剤を含有しており、多くの場合は便宜的に、錠剤又はカプセルに製剤化されている。本発明の薬学的組成物の調製に使用可能な賦形剤の非限定的例は以下の通りである。
【0121】
本発明の組成物は、賦形剤として、一又は複数の製薬的に許容可能な希釈剤を含有していてもよい。適切な希釈剤には、例として、個々に又は組合せて、無水ラクトース又はラクトース一水和物を含むラクトース;直接圧縮可能なデンプン及び加水分解デンプン(例えば、CelutabTM及びEmdexTM)を含むデンプン; マンニトール;ソルビトール;キシリトール;デキストロース(例えば、CereloseTM 2000)及びデキストロース一水和物;二塩基性リン酸カルシウム二水和物;スクロースベースの希釈剤;粉砂糖;一塩基性硫酸カルシウム一水和物;硫酸カルシウム二水和物;顆粒状の乳酸カルシウム三水和物;デキストラート類;イノシトール;加水分解した穀物の固形物;アミロース;マイクロクリスタリンセルロース、食品等級源のアルファ及びアモルファスセルロース(例えば、RexcelTM)及びパウダー状セルロースを含むセルロース;炭酸カルシウム;グリシン;ベントナイト;ポリビニルピロリドン等が含まれる。このような希釈剤は、存在するならば、全体で、組成物の全重量の約5%〜約99%、好ましくは約10%〜約85%、より好ましくは約20%〜約80%を構成する。選択される希釈剤又は希釈剤類は、好ましくは適切な流動性、錠剤が所望されている場合は圧縮性を示す。
【0122】
ラクトース及びマイクロクリスタリンセルロースは、個々に又は組合せて、好ましくは希釈剤である。双方の希釈剤は、セレコキシブと、化学的に融和性がある。非常に良好な粒状のマイクロクリスタリンセルロース(乾燥工程の後、湿った粒状組成物に添加されたマイクロクリスタリンセルロースである)を使用すると、(錠剤用の)硬度及び/又は崩壊時間を改善することができる。ラクトース、特にラクトース一水和物が特に好ましい。典型的には、ラクトースにより、セレコキシブの適切な放出速度、安定性、予圧流動性、及び/又は比較的低コストでの乾燥性を有する組成物が提供される。造粒(湿式造粒法を使用した場合)中の緻密化を補助し、混合物の流動性を改善する、高密度基質が提供される。
【0123】
本発明の組成物は、場合によっては、特に錠剤製剤用に、賦形剤として、一又は複数の製薬的に許容可能な崩壊剤を含有していてもよい。適切な崩壊剤には、個々に又は組合せて、グリコール酸ナトリウムデンプン(例えば、PenWestのExplotabTM)及びプレゼラチン化されたデンプン(例えば、NationalTM 1551、NationalTM 1550、及びColocornTM 1500)を含むデンプン、クレー類(例えば、VeegumTM HV)、セルロース類、例えば精製されたセルロース、マイクロクリスタリンセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びナトリウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロース(croscarmellose)ナトリウム(例えば、FMCのAc-Di-SolTM)、アルギナート類、クロスポビドン、及びガム類、例えば寒天、グアール、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、及びトラガカントガムが含まれる。
【0124】
組成物の調製中の任意の適切な段階、特に造粒前、又は圧縮前の潤滑工程中に、崩壊剤を添加してもよい。このような崩壊剤は、存在するならば、全体で、組成物の全重量の約0.2%〜約30%、好ましくは約0.2%〜約10%、より好ましくは約0.2%〜約5%を構成する。
クロスカルメロースナトリウムは、錠剤又はカプセル崩壊の好ましい崩壊剤であり、存在するならば、組成物の全重量の好ましくは約0.2%〜約10%、より好ましくは約0.2%〜約7%、さらに好ましくは約0.2%〜約5%を構成する。クロスカルメロースナトリウムにより、本発明の粒状組成物に、優れた粒内崩壊性が付与される。
【0125】
本発明の組成物は、場合によっては、特に錠剤製剤用に、賦形剤として、一又は複数の製薬的に許容可能な結合剤を含有していてもよい。このような結合剤及び付着剤により、パウダーを錠剤化するのに十分な付着性が付与され、サイジング、潤滑、圧縮及び包装等の通常のプロセシング操作が可能となり、錠剤の崩壊、及び組成物の摂取時での吸収が可能となる。適切な結合剤及び付着剤には、個々に又は組合せて、アカシア;トラガカント;スクロース;ゼラチン:グルコース;デンプン、例えば限定されるものではないが、プレゼラチン化されたデンプン(例えば、NationalTM 1511及びNationalTM 1500); セルロース、例えば限定されるものではないが、メチルセルロース及びカルメロースナトリウム(例えば、TyloseTM); アルギン酸及びアルギン酸塩;ケイ酸アルミニウムマグネシウム:PEG;グアールガム;多糖酸;ベントナイト類;ポビドン、例えばポビドンK-15、K-30及びK-29/32;ポリメタクリラート類;HPMC;ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel); 及びエチルセルロース(例えば、EthocelTM)が含まれる。このような結合剤及び/又は付着剤は、存在するならば、全体で、組成物の全重量の約0.5%〜約25%、好ましくは約0.75%〜約15%、より好ましくは約1%〜10%を構成する。
【0126】
本発明の組成物は、場合によっては、賦形剤として、一又は複数の製薬的に許容可能な湿潤剤を含有していてもよい。このような湿潤剤は、水、組成物の生物学的利用能を改善すると考えられている条件と密接に関連している、記載の薬剤を保持するために、好ましくは選択される。
【0127】
本発明の組成物において、湿潤剤として使用可能な界面活性剤の非限定的例には、第4級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及び塩化セチルピリジニウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、例えばノノキシノール9、ノノキシノール10、及びオクトキシノール9、ポロキサマー(ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び油、例えばポリオキシエチレン(8)カプリル/カプリンモノ-及びジグリセリド(例えば、GattefosseのLabrasolTM)、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油、及びポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレン アルキルエーテル、例えばポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えばポリオキシエチレン(40)ステアラート、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えばポリソルバート20及びポリソルバート80(例えば、ICIのTweenTM 80)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、例えばプロピレングリコールラウラート(例えば、GattefosseeのLauroglycolTM)、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸及びその塩、例えばオレイン酸、オレイン酸ナトリウム、及びトリエタノールアミンオレアート、グリセリル脂肪酸エステル、例えばモノステアリン酸グリセリル、ソルビタンエステル、例えばモノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、及びモノステアリン酸ソルビタン、チロキサポール、及びそれらの混合物が含まれる。このような湿潤剤は、存在するならば、全体で、組成物の全重量の約0.25%〜約15%、好ましくは約0.4%〜約10%、より好ましくは約0.5%〜約5%を構成する。
【0128】
いくつかの実施態様では、湿潤剤は、アニオン性界面活性剤が利用される。ラウリル硫酸ナトリウムが、一実施態様の湿潤剤である。ラウリル硫酸ナトリウムは、存在するならば、組成物の全重量の約0.25%〜約7%、又はいくつかの実施態様においては約0.4%〜約4%、又はいくつかの実施態様においては約0.5%〜約2%を構成する。
【0129】
本発明の組成物は、賦形剤として、一又は複数の製薬的に許容可能な潤滑剤(抗付着剤及び/又は流動促進剤を含む)を含有していてもよい。適切な潤滑剤には、個々に又は組合せて、グリセリルベハパート(例えば、CompritolTM 888); ステアリン酸、及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸ナトリウムを含むその塩;水素化植物性油(例えば、SterotexTM); コロイド状シリカ;タルク;ロウ;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;塩化ナトリウム;DL-ロイシン;PEG(例えば、CarbowaxTM 4000及びCarbowaxTM 6000); オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;及びラウリル硫酸マグネシウムが含まれる。いくつかの実施態様では、このような潤滑剤は、存在するならば、全体で、組成物の全重量の約0.1%〜約10%、又はいくつかの実施態様においては0.2%〜約8%、又は他の実施態様においては0.25%〜約5%を構成する。
【0130】
例えば、錠剤製剤の圧縮中の装置と粒状混合物との間の摩擦を低下させるために使用される好ましい潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。
適切な抗付着剤には、タルク、コーンスターチ、DL-ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、及びステアリン酸金属塩が含まれる。例えば、装置表面に対する製剤の粘着性を低下させ、混合物中の静電気を低減するために使用される好ましい抗付着剤又は流動促進剤はタルクである。タルクは、存在するならば、いくつかの実施態様においては、組成物の全重量の約0.1%〜約10%、又はいくつかの実施態様においては0.25%〜約5%、又はいくつかの実施態様においては約0.5%〜約2%を構成する。
【0131】
他の割形剤、例えば着色料、フレーバー及び甘味料が、製薬分野で公知であり、本発明の組成物に使用可能である。錠剤は、例えば腸溶コーティング等、コーティングされていているか、又はコーティングされていなくてもよい。さらに本発明の組成物は、例えば緩衝剤を含有していてもよい。
場合によっては、一又は複数の発泡剤は、崩壊剤として使用することができ、及び/又は本発明の組成物の感覚刺激性を高めることができる。投与形態の崩壊を促進させるために本発明の組成物に存在する場合、一又は複数の発泡剤は、いくつかの実施態様においては、全体で、組成物の全重量に対して約30%〜約75%、又はいくつかの実施態様においては45%〜約70%、例えば約60%で存在する。
【0132】
本発明の一実施態様では、組成物は単位用量カプセル又は錠剤の形態をしており、部分的又は全体的に、一又は複数の賦形剤、例えば製薬的に許容可能な希釈剤、崩壊剤、結合剤、湿潤剤及び潤滑剤と共に、所望量のここに記載したようなナノ粒化剤を含有する。いくつかの実施態様では、組成物は、ラクトース(最も好ましくはラクトース一水和物)、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム及びマイクロクリスタリンセルロースから選択される、一又は複数の賦形剤を含有する。いくつかの実施態様では、本発明の組成物は、ラクトース一水和物及びクロスカルメロースナトリウムを含有する。いくつかの実施態様では、このような組成物は、一又は複数の担体物質、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及びマイクロクリスタリンセルロースをさらに含有する。
【0133】
本発明のカプセル及び錠剤組成物の賦形剤は、標準的な崩壊アッセイにて、いくつかの実施態様においては約30分未満、又はいくつかの実施態様においては約25分以下、又はいくつかの実施態様においては約20分以下、又はいくつかの実施態様においては約15分以下の崩壊時間が得られるように選択される。
【0134】
錠剤処方の例として、錠剤の均質なバッチを作製するのに十分な量の成分を完全に混合するのに、正常な圧縮圧で、従来からの製造規模の錠剤成形機における錠剤化にかけられる(例えば、典型的な錠剤化ダイにおいては、約1kN〜約50kNの力で適用される)。操作性、製造性、保存及び摂取に関して便利な錠剤硬度を得ることができる。100mgの錠剤について、硬度は、いくつかの実施態様においては少なくとも4kPであり、又はいくつかの実施態様においては約5kP、又はいくつかの実施態様においては少なくとも約6kPである。200mgの錠剤について、硬度は、いくつかの実施態様においては少なくとも7kPであり、又はいくつかの実施態様においては少なくとも約9kP、又はいくつかの実施態様においては約11kPである。しかしながら、混合物は、胃液にさらされた場合に、水和が困難な程度までは圧縮されない。
錠剤の脆性は、標準的なテストで、いくつかの実施態様においては約1.0%未満、又はいくつかの実施態様においては0.8%未満、又はいくつかの実施態様においては約0.5%未満である。
湿式造粒法、乾式造粒法又は直接圧縮、又はカプセル化法を使用し、本発明の錠剤又はカプセル組成物を調製することができる。
【0135】
いくつかの実施態様では、組成物は粉砕又はマイクロ化剤を含有する。いくつかの実施態様では、薬剤を粉砕、例えばピン粉砕するための従来からのミル又はグラインダーにより、他の種類の粉砕と比較して、最終組成物への混合均質性が改善される。粉砕した物質を、例えば液体窒素を用いて冷却することで、粉砕中、所望しない温度まで、薬剤を加熱することが回避される。
いくつかの実施態様では、粉砕又はマイクロ化剤は、存在するならば、所望の量の組成物の他の成分と混合されてもよい。いくつかの実施態様では、薬剤は、この工程で、一又は複数の希釈剤(類)、崩壊剤(類)及び/又は結合剤(類)、場合によっては、一又は複数の湿潤剤(類)と混合される。いくつかの実施態様では、錠剤製剤について、顆粒の圧縮率及び顆粒から調製される錠剤の硬度を改善するために、マイクロクリスタリンセルロースを添加し、続いて乾燥させるのが望ましい。
【0136】
いくつかの実施態様においては、水、例えば精製水を、乾燥したパウダー混合物に添加し、さらなる所定期間、混合物を混ぜ、湿った顆粒状混合物を形成させる。いくつかの実施態様においては湿潤剤が使用され、いくつかの実施態様では、まず水に添加され、少なくとも15分、いくつかの実施態様では少なくとも20分、乾燥パウダー混合物に水を添加する前に混合する。いくつかの実施態様においては、水は、一度で、所定期間をかけて徐々に、又は所定時間をかけて、数回に分けて添加される。いくつかの実施態様では、水は所定時間をかけて徐々に添加される。いくつかの実施態様では、湿潤剤が乾燥パウダー混合物に添加され、水は得られた混合物に添加することができる。いくつかの実施態様では、水を添加した後の付加的な混合期間は、混合物中の水分の分散が確実に均一になるまでである。
【0137】
いくつかの実施態様では、湿った造粒混合物は、ついで、例えばスクリーニングミルを用いて湿式粉砕にかけられ、湿式造粒操作の副産物として形成される物質の大きな塊が除去される。
いくつかの実施態様では、湿った造粒又は湿った粉砕混合物は、ついで、例えばオーブン又は流動層ドライヤー、例えば流動層乾燥機で乾燥され、乾燥した顆粒が形成される。いくつかの実施態様では、湿った造粒混合物は、乾燥前に、押出又は球形化される。
いくつかの実施態様では、乾燥した顆粒は、ついで、圧縮又はカプセル化への調製で、サイズが小さくされる。従来からの、粒子サイズを小さくする装置、例えばオシレーター又は衝撃式製粉機を使用することができる。
【0138】
顆粒サイズの非常に小さな減少が、少量の水分量を含有する混合物で、混合時間を長くすると観察される。水分含有量があまりに少ないと、使用される結合剤が十分に活性化されず、顆粒内の主要粒子間の凝集力が、混合羽根により生じる剪断力の存続には不十分で、成長が生じるよりも、むしろ粒子径が低減すると仮説される。逆に、結合剤が十分に活性化する程、水分量を増加させると、主要粒子間の凝集力によって、混合羽根により生じる剪断力が存続し、混合時間及び/又は水分添加率を増加に伴い、低減よりもむしろ顆粒は成長する。湿式粉砕のふるいサイズの変動は、供給量及び/又は粉砕速度の変動よりも、顆粒径における衝撃の方が大きい傾向がある。
【0139】
いくつかの実施態様では、乾燥した顆粒は、ついで適切なブレンダー、例えばツインシェルブレンダーに配され、場合によっては潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)及び任意の付加的な担体物質(例えば、ある種の錠剤製剤においては、優れて粒状のマイクロクリスタリンセルロース及び/又は優れて粒状のクロスカルメロースナトリウム)が添加されて、最終的なブレンド混合物が形成される。いくつかの実施態様では、希釈剤がマイクロクリスタリンセルロースを含有する場合、この工程中、マイクロクリスタリンセルロースの一部を添加することで、顆粒の圧縮率及び錠剤の硬度がかなり増加することが見出された。
【0140】
いくつかの実施態様では、最終的なブレンド混合物はカプセル化される(又は、錠剤が調製される場合は、適切なサイズツール(sized tooling)を使用し、所望の重量及び硬度の錠剤に圧縮される)。当該分野で既知の、従来からの圧縮及びカプセル化技術を使用することができる。いくつかの実施態様においては、約20mm〜60mmの範囲の層高、約0〜約5mmの範囲の圧縮設定、及び1時間当たり約60000カプセル〜1時間当たり役130000カプセルの速度を使用し、カプセルについて、所望の結果が得られる。コーティングされたカプセルを所望する場合、当該分野で既知の従来からのコーティング技術を使用することができる。
【0141】
いくつかの実施態様では、単位用量レベルでの薬剤含有量が均一であり、容易に崩壊し、カプセルへの充填又は錠剤化中、重量変動を確実にコントロールできるよう、十分容易に流れ、バッチが特定のカプセル又は錠剤化ダイに固定された、ここの用量及び選択された装置においてプロセシング可能であるように、バルクにおいて十分な密度であるような顆粒が、操作のこの組合せにより作製される。
【0142】
いくつかの実施態様では、この発明の任意の組成物は、ここで記載の任意の形態又は実施態様において記載されたような薬剤を含有するであろう。いくつかの実施態様では、この発明の任意の組成物は、ここに記載の任意の形態又は実施態様において記載されたような薬剤からなるであろう。いくつかの実施態様では、この発明の組成物は、ここで記載の任意の形態又は実施態様において記載されたような薬剤から本質的になるであろう。いくつかの実施態様では、「含有する」なる用語は、示した薬剤の包含、並びに他の薬剤、及び製薬的に許容可能な担体、賦形剤、エモリエント、安定剤等、製薬工業で公知のものの包含を意味する。いくつかの実施態様では、「本質的になる」という用語は、その唯一の活性成分が示された活性成分であるが、安定化、防腐等のためである、示した活性成分の治療効果に直接関与しない他の成分を含有し得る組成物を意味する。いくつかの実施態様では、「本質的になる」という用語は、活性成分の放出を促進する成分を称してもよい。いくつかの実施態様では、「からなる」という用語は、活性成分と、製薬的に許容可能な担体又は賦形剤を含む組成物を意味する。
【0143】
一実施態様では、本発明は組合せ調製物を提供するものである。一実施態様では、「組合せ調製物」なる用語は、上述した組合せパートナーが、独立して、又は異なる量の組合せパートナーとの異なる固定化された組合せを使用することにより、すなわち同時に、一斉に、別々に、又は逐次投与可能であるという意味において、特に「キットのパーツ」と定義される。いくつかの実施態様においては、キットのパーツの任意の部分について、異なる時点及び同じ又は異なる時間感覚で時間的にずらして、又は同時に、キットのパーツの一部を投与することができる。いくつかの実施態様では、組合せ調製物中、組合せパートナーの全量の比率が投与可能である。一実施態様では、例えば、一人の患者の必要性に対する、処理された患者母集団の必要性に対処するために、組合せ調製物を変化させることは可能であり、異なる必要性とは、特定の病気、病気の重症度、年齢、性別又は体重によるもので、当業者により容易になされ得るものである。キットのパーツは、CPAM剤及び凝固因子/止血因子、及び/又は第2の抗炎症剤の組合せ組成物を形成するための物質を含有可能であり、又は別々に投与するために、別々の単位投与容器(又は、例えば凍結乾燥形態等、薬剤の形態の再懸濁又は処方により、別々の単位用量を調製する手段)にこれらの薬剤の組合せを含めることもできる。
【0144】
ここに記載の薬剤(例えば、CPAM剤)は、典型的には、少なくとも実質的に単離している及び/又は精製されている(任意の適切な従来からの手段)、又は匹敵する製薬用剤に対し、一般的に許容可能なレベル内に単離していると理解されるであろう。
【0145】
この発明は、当業者には理解されるように、適切ならば、任意の病気、疾患又は病状について、ここに記載の組成物及び併用治療に関している。この発明の実施態様を表す、特定の病気、疾患及び病状に対する、このような組成物及び併用治療のある種の適用が上述されており、併用治療単独で又は一部として、又はこの発明の組成物を使用する、ここに記載の補体経路の活性化を抑止し又は低下させる薬剤を投与することによる、被験者におけるこのような病気、疾患及び病状を治療する方法は、この発明の付加的な実施態様を表す。
【0146】
上述したように、一態様では、本発明は、滑膜炎を治療する、例えば血友病等、出血性疾患を患っている患者における、及び/又は出血状態にある滑膜炎を治療する方法に関する。一実施態様では、滑膜炎は急性又はプレ急性であり、又は他の実施態様においては、滑膜炎は慢性である。
いくつかの実施態様では、滑膜炎及び/又は治療効果は、限定されるものではないが、病気になった関節部の超音波検査及び/又は磁気共鳴画像法、並びにリッチー指標の評価、腫れた関節の計測及びスコアリング、手及び手首の腫れた関節の計測、朝のこわばりの評価、痛みの強度、疾患活動性スコア(DAS)、赤血球沈降速度、及びC反応性タンパクを含む、当該分野で既知の任意の手段によりモニターすることができる。いくつかの実施態様では、治療計画は、臨床的介入に対する反応性の関数として調整されてよく、例えば用量、投与経路、及び/又はタイミングは変更してよく、また併用治療は、被験者における治療が最適になるように変更又は調節される。
【0147】
一実施態様では、この発明は、被験者における出血関連性炎症を治療、その発生を低下、重症度を低下、又は発症を遅延化(及び/又はその進行を遅延化)する方法を提供するものであり、本方法は、該被験者における補体経路の活性化を抑止し又は低下させる薬剤を、該被験者に投与することを含む。
【0148】
いくつかの実施態様では、この発明は、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、糸球体腎炎、筋炎、神経痛、滑膜炎、痛風、強直性脊椎炎、滑液包炎、又は当業者に理解されているであろう他のものを含む、出血(又はその有意及び/又は切迫した危険性)又は血液及び炎症に関連した多様な病状を治療する組成物、及び治療する方法を提供するものである。一実施態様では、このような疾患は、特定の出血状態(例えば、傷、手術、外傷等)及び/又は出血関連性の病気、疾患又は病状、例えば炎症性疾患に加えて血友病患者で治療される。
【0149】
いくつかの実施態様では、化合物の発明は、血液M、出血又はその危険性に関連した炎症関連性疾患、例えば異常な創傷治癒、目の組織の急性損傷、血管新生関連疾患、血管形成炎症、強直性脊椎炎、細菌誘発性炎症、脳虚血、クラミジア誘発性炎症、凝固、冠動脈バイパス手術による炎症、冠動脈疾患、冠動脈プラーク炎症、クローン病、動脈内膜切除による炎症、胃腸出血、歯肉炎、痛風、痛風性関節炎、頭部の損傷、血友病、遺伝性血管浮腫、低プロトロンピン血症、IBD関連関節炎、特発性多発性筋炎、炎症関連性循環器疾患、炎症性大腸炎、過敏性腸症候群、人工関節移植の弛緩、心筋虚血、筋炎、腎炎、骨関節炎、回帰性リウマチ、消化性潰瘍、術後炎症、肺炎症、再発性の胃腸病変、限局性腸炎、網膜炎、網膜症、血管再建術による炎症、関節リウマチ、サルコイドーシス、強膜炎、強皮症、ステント留置術による炎症、虚血性脳梗塞、損傷後に生じる腫れ、滑膜炎、全身性エリテマトーデス、全身性リウマチ性血管炎、全身性硬化症、腱炎、甲状腺炎、組織潰瘍、潰瘍性大腸炎、脈管炎、及びその他のものを治療するための組成物、該疾患の治療方法を提供するものである。また本発明は、このような病気を治療するための、単独で、又止血因子/凝固因子及び/又は第2の抗炎症剤と組み合わせて、CPAM剤の販売を促進させる方法(例えば、直販広告、科学通信を介した販売促進、インフルエンサーを標的とした宣伝)を提供するものである。
【0150】
この発明の組成物/方法は、上述した列挙を含む、多くの病気の特徴的な兆候及び/又は病因である出血関連性炎症を抑制する、阻害する、治療するために、ここに記載されているような薬剤を含有する/使用する。いくつかの実施態様では、この発明の組成物/方法は、病気の重症度を増す、悪化させる又はこれに寄与し得る、血管形成を抑制する薬剤を含有する/使用する。いくつかの実施態様では、このような薬剤には、抗侵襲因子、レチノイン酸及びその誘導体、パクリタキセル、スラミン、メタロプロテイナーゼ-1の組織インヒビター、メタロプロテイナーゼ-2の組織インヒビター、プラズミノーゲン・アクチベーター・インヒビター-1、プラズミノーゲン・アクチベーター・インヒビター-2、より軽い「d族」の遷移金属の種々の形態が含まれる。これら及び他の抗血管形成因子を、以下においてさらに詳細に論議するであろう。
【0151】
軟骨の抽出物から調製される抗侵襲性因子、又は「AIF」は、新規の血管の成長を阻害する原因となる成分を含有する。これらの成分は、多様なプロテアーゼに対する阻害効果を有する多様なタンパク質(Eisenteinら, Am. J. Pathol. 81:337-346, 1975; Langerら, Science 193:70-72, 1976; 及びHortonら, Science 199:1342-1345, 1978)を含む、7つの低分子量タンパク質(<50000ダルトン)のファミリーを含む(Kuettner及びPauli, 「Inhibition of neovascularization by a cartilage factor」 Development of the Vascular System, Pitman Books (CIBA Foundation Symposium 100), pp. 163-173, 1983)。本発明での使用に適したAIFは、当該分野で既知の有用な技術により、容易に調製され得る(例えば、Eisenteinら, 上掲; Kuettner及びPauli, 上掲; 及びLangerら, 上掲)。AIFの精製された成分、例えば軟骨誘導性インヒビター(「CDI」)(Mosesら, Science 248:1408-1410, 1990を参照)も、本発明で容易に調製され、利用することができる。
【0152】
レチノイン酸は細胞外マトリックス成分の代謝を変化させ、結果として血管形成を阻害する。プロリン類似体、血管新生抑制ステロイドヘパリンの添加は、トランスレチノイン酸の抗血管形成効果を相乗的に増加させるために利用してもよい。本発明で利用可能なレチノイン酸、並びのその誘導体は、例えばSigma Chemical Co.(#R2625)を含む商業的供給源から容易に得ることができる。
【0153】
パクリタキセルは、高度に誘導体化されたジテルペノイドであり(Waniら, J. Am. Chem. Soc. 93:2325, 1971)、セイヨウイチイ(タイヘイヨウイチイ)、及びタイヘイヨウイチイのTaxomyces Andreanae及びEndophytic Fungusの樹皮を収穫し、乾燥させることで得ることができる(Stierleら, Science 60:214-216, 1993)。一般的に、パクリタキセルは、チューブリンに結合することにより、微小管構造を安定化させるように働き、異常な有糸分裂紡錘体が形成される。「パクリタキセル」(ここでは、類似体及び誘導体、例えば、TAXOL(登録商標)、TAXOTERE(登録商標)、パクリタキセルの10-デスアセチル類似体、及びパクリタキセルの3' N-デスベンゾイル-3' N-t-ブトキシカルボニル類似体を含むと理解すべきである)は、当業者に公知の技術を利用して、容易に調製することができ(国際公開第94/07882号、国際公開第94/07881号、国際公開第94/07880号、国際公開第94/07876号、国際公開第93/23555号、国際公開第93/10076、米国特許第5294637号、同5283253号、同5279949号、同5274137号、同5202448号、同5200534号、同5229529号、及び欧州特許第590267号を参照)、又は例えばSigma Chemical Co., St. Louis, Mo. (Taxus brevifoliaからのT7402)を含む、多様な商業的供給源から得ることもできる。
【0154】
スラミンは、抗トリパノソーマ剤として典型的に使用される、ポリスルホン化ナフチル尿素化合物である。簡単には、スラミンは、種々の増殖因子、例えば血小板誘導性増殖因子(「PDGF」)、表皮増殖因子(「EGF」)、形質転換増殖因子(「TGF-β」)、インスリン様増殖因子(「IGF-1」)、及び線維芽細胞増殖因子(「βFGF」)の、特定の細胞表面への結合をブロックする。スラミンは公知の技術により調製され得、又は、例えばMobay Chemical Co., New Yorkを含む多様な商業的供給源から容易に得ることができる(Gagliardiら, Cancer Res. 52:5073-5075, 1992;及びCoffey, Jrら, J. of Cell. Phys. 132:143-148, 1987を参照)。
【0155】
メタロプロテイナーゼ-1(「TIMP」)は、MTPアーゼも分泌する、内皮細胞から分泌される。TIMPはグリコシル化されており、28.5kDaの分子量を有する。TIMP-1は活性化したメタロプロテイナーゼに結合することにより、血管形成を調節し、よって、細胞外マトリックスへの血管の侵襲を抑制する。またメタロプロテイナーゼ-2(「TIMP-2」)の組織インヒビターは、血管形成を阻害するために利用されてよい。簡単には、TIMP-2は、活性及び潜在的なプロ酵素形態の双方において、メタロプロテイナーゼに結合する、21kDaの非グリコシル化タンパク質である。TIMP-1及びTIMP-2の双方とも、Synergen, Boulder, Colo等の商業的供給源から得ることができる。
【0156】
プラスミノーゲン・アクチベーター・インヒビター-1(PA)は、血小板に存在する50kDaの糖タンパク質であり、内皮細胞及び筋肉細胞で合成可能である。PAI-1は内皮の基底外側部位で、ウロキナーゼ・プラスミノーゲン・アクチベーター及びt-PAを阻害し、さらに線維素溶解プロセスを調節する。プラスミノーゲン・アクチベーター・インヒビター−2(PAI-2)は、妊娠等及び所定の環境下、及び腫瘍の存在下で、一般的には血液のみに見出される。簡単には、PAI-2は、単球及びマクロファージにより分泌される56kDaのタンパク質である。線維素溶解活性を調節し、特にウロキナーゼ・プラスミノーゲン・アクチベータ及び組織プラスミノーゲン・アクチベータを阻害し、よって線維素溶解を防止すると考えられている。
【0157】
多様な他の抗血管形成因子を、本発明の組成物/方法において利用してもよい。代表例には、血小板因子4(Sigma Chemical Co., #F1385); 硫酸プロタミン(クルペイン) (Sigma Chemical Co., #P4505); 硫酸化キチン誘導体(ミドリガニの貝から調製)、(Sigma Chemical Co., #C3641; Murataら, Cancer Res. 51:22-26, 1991); 硫酸化多糖類ペプチドグリカン複合体(SP-PG) (この化合物の機能は、エラストゲン、及びクエン酸タモキシフェン等、ステロイドの存在下で高められる); スタウロプポリン(Sigma Chemical Co., #S4400); プロリン類似体{[(L-アゼチジン-2-カルボン酸(LACA)(Sigma Chemical Co., #A0760))、シスヒドロキシプロリン、d,L-3,4-デヒドロプロリン(Sigma Chemical Co., #D0265)、チアプロリン(Sigma Chemical Co., #T063.1)]、α,α-ジピリジル(Sigma Chemical Co., #D7505)、β-アミノプロピオニトリルフマラート(Sigma Chemical Co., #A3134)]}を含むマトリックス代謝のモジュレーター;MDL 27032 (4-プロピル-5-(4-ピリジニル)-2(3H)-オキサゾロン; Merion Merrel Dow Research Institute); メトトレキサート(Sigma Chemical Co., #A6770; Hirataら, Arthritis and Rheumatism 32:1065-1073, 1989); ミトキサントロン(Polyerini及びNovak, Biochem. Biophys. Res. Comm. 140:901-907); ヘパリン(Folkman, Bio. Phar. 34:905-909, 1985; Sigma Chemical Co., #P8754); インターフェロン類 (例えば、Sigma Chemical Co., #13265);2 マクログロブリン-血清(Sigma Chemical Co., #M7151); ChIMP-3 (Pavloffら, J. Bio. Chem. 267:17321-17326, 1992); キモスタチン(Sigma Chemical Co., #C7268; Tomkinsonら, Biochem J. 286:475-480, 1992); β-シクロデキストリンテトラデカスルファート(Sigma Chemical Co., #C4767); エポネマイシン; カンプトテシン;フマギリン(Sigma Chemical Co., #F6771; カナダ国特許第2024306号; Ingberら, Nature 348:555-557, 1990); 金チオリンゴ酸ナトリウム(「GST」; Sigma:G4022; Matsubara及びZiff, J. Clin. Invest. 79:1440-1446, 1987); (D-ペニシラミン (「CDPT」; Sigma Chemical Co., #P4875 又は P5000(HCl)); β-1-抗コラゲナーゼ-血清; α2-抗プラスミン (Sigma Chem. Co.:A0914; Holmesら, J. Biol. Chem. 262(4):1659-1664, 1987); ビサントレン(Bisantrene)(National Cancer Institute); ロベンザリット二ナトリウム (N-(2)-カルボキシフェニル-4-クロロアントロニル酸二ナトリウム、又は「CCA」; Takeuchiら, Agents Actions 36:312-316, 1992); サリドマイド; 血管新生抑制ステロイド; AGM-1470; カルボキシナミノールミダゾール(carboxynaminolmidazole);メタロプロテイナーゼインヒビター、例えばBB94及びペプチドCDPGYIGSR-NH2 (配列番号:1) (Iwaki Glass, Tokyo, Japan)が含まれる。
【実施例】
【0158】
次の実施例は、本発明のいくつかの実施例をさらに十分に例証するために提供される。しかしながら、それらはいずれの方法でも、本発明の範囲を限定するものではないと解釈されるべきである。
【0159】
実施例1
患部関節におけるC5aRの発現
正常及び疾患状態にあるC5aRのヒト関節発現の分析がなされる。急性、亜急性及び慢性の滑膜炎を含む滑膜炎の様々な段階で集められた組織と共に、滑膜切除又は全関節交換を受ける成人から関節組織を収集する。被験者から同意書を得る。
【0160】
関節サンプルの収集
滑膜組織(直径1〜2cm、数組のサンプル)を、手術を受けた膝から得る。組織切片を、免疫組織化学的研究のために、4%リン酸緩衝ホルマリンに固定する。固定後、組織をプロセシングし、パラフィンに包埋し、薄切りにし、スライド上に載せる。また、切片を液体窒素中で素早く凍結させ、免疫組織化学的研究のために保存する。標準的な組織学的プロセシングと、H&E染色を含む染色を実施する。
【0161】
免疫組織化学的分析:
スライドを脱パラフィンし、再水和させ、標準的なプロトコルにより、内在性ペルオキシダーゼをクエンチする。遮断剤としてヤギ血清を使用し、ヒトC5aR(W17/1)に対して得たマウスモノクローナル抗体を用い、スライドを探索する。コントロール抗体として、マウスIgG1を使用する。ビオチン化したラット抗マウス免疫グロブリンが、使用される二次抗体であり、スライドを加湿チャンバー内でインキュベートする。AEC基質のようにして西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を添加し、水を添加することで反応を終結させる。
スライドは、メイヤーのヘマトキシリンで対比染色され、観察し、記録される。正常な関節組織を購入し、プロセシングし、同様に探索する。正常な組織染色の例を図1に示す(これは実施例4でさらに検討する)。
【0162】
RNA分析:
凍結組織サンプルを、トリゾール試薬でホモジナイズし、ついでクロロホルム/トリゾールで抽出する。水性相に、RNA沈殿のために、1:2のイソプロパノール/トリゾール抽出を施す。RNAペレットを、エタノール/トリゾールカクテルで洗浄し、乾燥させ、DEPC水に再溶解させる。
また、標準的な方法により、RNAをホルマリン固定組織から抽出してもよい。
よって、C5aRの発現は、RT-PCRにより定量的に、患部組織対健康組織で測定される。
C5aRの発現が滑膜組織において検出され、正常コントロールと比較して、滑膜炎の患者からの滑膜組織でアップレギュレーションしていることが予想され、これはレセプターが病因において調節されていることを示している。
【0163】
実施例2
C5aRの除去及び滑膜炎の発症
C5aR発現のために遺伝子的に破壊されたC5ar1tm1Cgeマウスを、第VIII因子の発現のために遺伝子的に破壊されたF8tm1Kazマウスと交配させ、何れのタンパク質の発現も欠如したマウスを生じせしめる。遺伝子型の確認は、サザンブロット法又はRT-PCRによって行う。血友病性滑膜炎の誘発を、Hakobyan Nら, Haemophilia. 2005 May; 11(3): 227-32、及び/又はValentino LAら, Haemophilia. 2004 May;10(3):280-7に記載されているようにして、これらのマウスにおいて実施する。滑膜炎発症に対するC5aR不在の影響を評価し、第VIII因子ノックアウトマウスと比較した場合に、二重ノックアウトマウスが、関節出血誘導を受けやすいかどうかを評価する。二重ノックアウトマウスは、C5a/C5aR相互作用がないために、関節出血にかかりやすくはないことが予想される。
【0164】
実施例3
C5aRを抑制する薬剤の開発
C5aRに特異的に結合し、これをブロックするモノクローナル抗体を、標準的な方法より開発する。いくつかの場合、C57BL/6マウスを、酪酸で24時間活性化されマイトマイシンCで処理されたL1.2ヒト/C5aR発現細胞を用いて14日毎に6回腹膜内(IP)で免疫化させ、続いて最後のIP注射から4-5日後に1回静脈内(IV)注射を行う。ついで、マウスを犠牲にし、それらの脾臓細胞をSp2/0骨髄腫細胞と融合させ、得られたハイブリドーマをFACSによりスクリーニングし、C5aRに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定し単離する。
他の実施態様では、ヒトC5aRと特異的に相互作用するモノクローナル抗体を、Lee Hら, 2006 Nature Biotechnology 24: 1279-1284に概要が記載されている方法に従い生産するか、又はそこで生成された抗体を利用してもよい。
【0165】
候補となるモノクローナル抗体が生産されたところで、それらのリガンド結合性/好中球走化性をブロックする能力をまた評価する。リード抗体を同定し、例えば実施例2に記載されているようにして、滑膜炎のマウスモデルで試験する。
血友病性滑膜炎を患っている成人被験者においてヒト臨床試験をまた開始してもよい。ここに記載の抗体のいわゆる「ヒト化」型を含む、C5aR媒介性シグナル伝達を阻害するモノクローナル抗体を被験者に投与することができる。抗体の治療効果を実証する。このような薬剤は、ここに記載の生理学的、予防的及び/又は治療効果に有用であることが予期される。
【0166】
実施例4
滑膜炎組織と抗C5aR抗体を用いた免疫組織化学染色
正常な滑膜をAsterand plc (Detroit, MI, USA; Royston, Herts, UK)から購入した。それは82歳の病気の白人男性から摘出された。滑膜組織をホルマリン固定パラフィン包埋切片(5-10ミクロン厚)にAsterandによりプロセシングされている。
染色のために、マウス抗ヒトC5aR1 W17/1モノクローナル抗体(Abcam - Cambridge, MA, USA)を10μg/mlの濃度で一次抗体として使用した。ビオチン化されたラット抗マウスIgGI(BD Pharmingen)を二次抗体として使用した。ストレプトアビジン結合HRP(BD Pharmingen)及びAEC基質(BD Pharmingen)を発色のために使用した。スライドをメイヤーのヘマトキシリン(Sigma)で対比染色し、観察用に取り付けた。結果を図1に示す。図1に示されるように、正常な滑膜組織は最小レベルのC5aRを発現するようである。
【0167】
さらに、切除時、右膝の変形性関節症が進行していた65歳の病気の女性から取り出された滑膜組織を、Asterand, Inc. (Detroit, MI, USA)から購入した。図1に関して上述したものと同じ条件下で同じ抗体(W17/1)を使用し、組織を染色した。結果を図2に示す(図2は、元来はカラーの顕微鏡写真を白黒に複写したものであり、染色差のある領域は分かり難い;指示線は、C5aRが検出された領域を示すために図に加えられたものである)。この実験の結果には、正常な滑膜と比較して、ヒト変形性関節症の滑膜が中程度のレベルのC5aRを発現することが分かる。
【0168】
さらなる実験を以下のようにして実施した。患者の関節サンプルをラッシュ大学(Chicago, IL, USA)から得た。サンプルは、滑膜切除を受けた血友病性滑膜炎患者からの関節サンプルであると記載されていた。免疫組織化学を、パラフィン包埋されたヒト滑膜組織で実施した。連続した5μmの切片をガラススライド上に載せた。スライドを56−60℃のオーブンに1時間配することによりロウを取り除いた後、キシレン浴に移した。ついで、スライドを再水和させ、ついで熱誘発性エピトープ回復(HIER)を実施した。スライドをPBSで洗浄した後、内在性ペルオキシダーゼを3%過酸化水素でブロックした。スライドを一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートし、PBS/0.1%のトゥイーンで3回洗浄し、室温で30分、抗マウスHRPポリマー(DAKO, 未希釈)と共にインキュベートした。PBSで洗浄した後、スライドを脱イオン水ですすぎ、製造者の指示書に従い、永続的AEC色素原(BioCare Medical)で可視化させた。スライドをメイヤーのヘマトキシリン(Sigma)で対比染色し、アルコールを介して脱水し、キシレンで洗浄し、Permount (Fisher)を用いてカバーガラスをした。試験した一次抗体は、1:100に希釈したマウス抗ヒトC5aR、W17/1(Abcam, 0.1mg/mL)であった。ネガティブコントロールとして、未希釈のマウスIgGを使用した(Dako, 6.1mg/mL)。この研究の結果を図3に与える。図3から分かるように、抗C5aRを用いた明瞭な染色が患部組織に見られた。
【0169】
ここに引用された刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が、出典明示により個々にかつ特に援用され、その全内容がここに記載されているかの如く、特定の文献の任意の別個になされる援用が本明細書の他の箇所でなされているか否かにかかわらず、その全体が出典明示によりここに援用される(法律により許容される最大範囲)。
本発明で記載されて使用されている「a」及び「an」及び「the」及び類似指示対象なる用語は、ここで示され、文脈においてはっきりと矛盾していない限りは、単数形及び複数形の双方をカバーすると解釈される。
【0170】
特に示さない限り、ここで提供される全ての正確な値は、対応する近似値の代表例である(例えば、特定の要因又は測定値に関して提供される全ての正確な例示的値は、適切な場合は、「約」により修飾される、対応する近似測定値を提供するとみなすことができる)。
特に明記せず、文脈においてはっきりと矛盾していない限りは、成分又は成分類に関して、「含有する」、「有する」、「含む」又は「含める」等の用語を使用する、本発明の任意の側面又は実施態様のここでの記載は、特定の成分又は成分類「からなる」、「本質的になる」、又は「実施的に含有する」といった本発明の類似した側面又は実施態様を支持することを意図したものである(例えば、特定の成分を含有するここに記載の組成物は、特に明記しない又は文脈においてはっきりと矛盾していない限りは、その成分からなる組成物を記載するものと理解すべきである)。
【0171】
ここに提供される任意かつ全ての実施例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に請求項に記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も請求項に記載していない要素が本発明の実施に必須であることを示しているものと解すべきではない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。 この発明は、適用される法律に容認される場合、ここに含められる請求項及び/又は態様に記載された主題事項の全ての修正点及び均等物を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑膜炎の治療のための、C5aレセプター(C5aR)の活性化を阻害し又は低下させる薬剤の使用。
【請求項2】
薬剤がC5aRに特異的な抗体である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
薬剤が、血友病患者における滑膜炎の治療のための医薬として使用される請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
薬剤が、C5aRの細胞外ループと特異的に結合する請求項1から3の何れか一項に記載の使用。
【請求項5】
抗体が、ECACC受入番号00110609、02090226又は02090227、もしくはATCC受入番号HB11382、又はHB11384、又はHB−11625を有するハイブリドーマによって発現されるか、又は発現された抗体の機能的部分を含む請求項2から4の何れか一項に記載の使用。
【請求項6】
滑膜炎が、急性又は亜急性又は慢性である請求項1から5の何れか一項に記載の使用。
【請求項7】
(a)C5aRの活性化を抑止し又は低下させる薬剤と、(b)凝固因子又は止血因子との組合せの、滑膜炎の治療のための使用。
【請求項8】
凝固因子又は止血因子が、第XIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第VII因子、第VIII因子、フィブリノーゲン、トロンビン、その何れかの変異体、その何れかの誘導体、及びその何れかの組合せからなる群から選択される請求項7に記載の使用。
【請求項9】
C5aRの活性化を阻害し又は低下させる薬剤の、出血関連性炎症の治療のための使用。
【請求項10】
薬剤がC5aRに特異的な抗体である請求項9に記載の使用。
【請求項11】
薬剤が、C5aRの細胞外ループと特異的に結合する請求項9又は10に記載の使用。
【請求項12】
抗体が、ECACC受入番号00110609、02090226又は02090227、もしくはATCC受入番号HB11382、又はHB11384、又はHB−11625を有するハイブリドーマによって発現されるか、又は発現された抗体の機能的部分を含む請求項9から11の何れか一項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−520309(P2010−520309A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552889(P2009−552889)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/056037
【国際公開番号】WO2008/109742
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】