刀剣、古美術品等のネットオークションシステム
【課題】 刀剣や古美術品といった相場のわかり難い商品を適正な価格を誘導するようにして公正で信頼性の高いネットオークションシステムを提供する。
【解決手段】 ネットワークに接続されるオークション管理運営サイトと、売り手側端末と、買い手側端末とからなるネットオークションシステムであり、管理運営サイトは、売り手側端末から提供された商品情報及び商品現物を評価し、そのサーバにおいて、当該商品情報並びにエスティメート下限価格及び上限価格並びに入札期限とを表示する一方、これに基づいて買い手側端末からの入札を受け付けてその価格を表示し、入札期限到来の時点で、エスティメート上下限価格内でのみ入札があった場合は、その最高価格で入札した買い手側端末を落札者として表示するとともに、エスティメート上限価格を超えた価格で入札があった場合、当該入札を取り止めて管理運営サイトが定める最終落札者交渉に移行する旨を表示することを特徴とするネットオークションシステム。
【解決手段】 ネットワークに接続されるオークション管理運営サイトと、売り手側端末と、買い手側端末とからなるネットオークションシステムであり、管理運営サイトは、売り手側端末から提供された商品情報及び商品現物を評価し、そのサーバにおいて、当該商品情報並びにエスティメート下限価格及び上限価格並びに入札期限とを表示する一方、これに基づいて買い手側端末からの入札を受け付けてその価格を表示し、入札期限到来の時点で、エスティメート上下限価格内でのみ入札があった場合は、その最高価格で入札した買い手側端末を落札者として表示するとともに、エスティメート上限価格を超えた価格で入札があった場合、当該入札を取り止めて管理運営サイトが定める最終落札者交渉に移行する旨を表示することを特徴とするネットオークションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相場のわかり難い刀剣、古美術品といった商品のネットオークションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネット等のネットワークを利用したネットオークションは、買い手がオークション会場に居なくても、入札、落札できるため、現在では、盛んに行なわれている。ネットオークションに関する先行文献としては、例えば、特許文献1及び2がある。特許文献1は、中古車を取引するオークションであり、特許文献2は、電子部品を取引するオークションであり、それぞれ商品の特性に応じた仕組みを構築している。一般に、オークションでは、入札価格が問題となり、最高価格を入札した者が落札するのが原則である。
【0003】
ところが、商品によっては、この原則によるのが適当でないことがある。例えば、刀剣、古美術品、骨董品といった商品は、非常に相場がわかり難い商品であり、同種の商品でも、その価格に格段の相違があること、通常ではその真偽や価値(価格)がよくわからないといったことから、最高入札者を即落札者とするのは適切とはいえない。確かな鑑定と価格知識を有する専門家が専門知識による主観的・普遍的な評価(鑑定)してこそ、その適性な価格が決定される。
【特許文献1】特開2003−085408公報
【特許文献2】特開2002−189926公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、上記した商品、中でも美術的価値が高くて数が限られている日本刀剣のオークションに適し、これに関して最も正当な専門知識と価値判断を有するオークション管理運営者(本出願人)が出品される商品について自らの査定に基づき普遍的に評価するとともに、その評価に基づいて適性な入札価格範囲を決定することで、一部の好事家、一般の愛好家を問わず、公正で信頼性の高いネットオークションシステムを構築しようとするものである。同時に、それに伴って日本文化の基礎を築いてきた美術日本刀剣を厳格に指導、教授し、普及と啓蒙を図るためのものである。
【0005】
すなわち、世界に類を見ない日本の歴史と文化を創造してきた美術日本刀剣を公正、かつ適正な価格の下で、顧客に対して安全な売買を保証し、また、同時に美術日本刀剣の価格を維持するとともに、美術日本刀剣を厳格に指導、教授し、普及と啓蒙を図ることを基本理念としたものである。本発明に係るオークションシステムでは、厳重な規約を作成し、この規約に同意したもののみが参加することができる完全会員制として、美術日本刀剣に対して真剣に取り組む会員のみを対象としている。そして、オークションに参加するには規約に同意し、遵守することを絶対条件としている。また、オークションの円滑な運営のため、不正行為を監視し、排除することとし、警告に応じられない場合は厳正に対処する。たとえ、会員として認められていたとしても、管理運営者が不適当と判断した場合には、即座に参加資格を取り消し、会員資格を抹消するようにしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上の課題の下、請求項1に記載した、ネットワークに接続されるオークション管理運営サイトと、売り手側端末と、買い手側端末とからなるネットオークションシステムであり、管理運営サイトは、売り手側端末から提供された商品情報及び商品現物を評価し、そのサーバにおいて、当該商品情報並びにエスティメート下限価格及び上限価格並びに入札期限とを表示する一方、これに基づいて買い手側端末からの入札を受け付けてその価格を表示し、入札期限到来の時点で、エスティメート上下限価格内でのみ入札があった場合は、その最高価格で入札した買い手側端末を落札者として表示するとともに、エスティメート上限価格を超えた価格で入札があった場合、当該入札を取り止めて管理運営サイトが定める最終落札者交渉に移行する旨を表示することを特徴とする刀剣、古美術品等のネットオークションシステムを提供したものである。
【0007】
そして、本発明は、これにおいて、請求項2に記載した、エスティメート上限価格を超えた価格で入札があった場合、管理運営サイトが定める最終入札価格までは入札を続行してこの範囲の価格で入札したすべての買い手側端末に管理運営サイトが仲介する最終落札者交渉で落札者を決定する旨を告知するとともに、最終入札価格を超えた価格で入札があった場合、当該入札を受け付けず、かつ、当該買い手側端末に落札者最終交渉で落札者を決定する旨を告知する刀剣、古美術品等のネットオークションシステムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によると、管理運営者は、売り手側から提供された商品情報のみならず、現物までも適性に評価し、それに基づいて公正な価格のエスティメート下限価格と上限価格とを決定して表示するものであるから、公平性と信頼性を確保できる。一方、入札価格がエスティメート上限価格を超えると、ネットによる入札を実質的に打ち切るものであるから、一般の愛好家の資産を保全する。この場合の管理運営者は、長期の経験と実務に基づく、商品に対して確かな鑑定と価格知識を有していることによる。
【0009】
本システムは、エスティメート上下限内で落札されるのが一般的である。しかし入札価格がエスティメート上限価格を超えた場合でも利用できるようにしている。具体的には、請求項2の発明によるのであるが、管理運営者が定めた最終入札価格までは入札を受け付けるのである。そして、そのすべての買い手側に別の方法による最終落札者交渉によって落札者を決定する旨を告げる。この最終入札価格は、エスティメート上限価格の15〜20%増し程度で、あくまで入札者が安全に、落札後においても後悔なく納得できる価格設定を促し、公平性と信頼性を確保するものである。さらに、最終入札価格を超えた入札は受け付けないことで、投機的、作為的、計画的な買い付けを避けて値段のつり上げを防護する。したがって、正確な情報・品質管理がなされたオークションシステムの構築となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、美術日本刀剣を例にとって図面を参照して説明するが、商品はこれらに限定されるものではない。図1は本発明の一例を示すネットオークションシステムの構成図であるが、インターネット等のネットワーク1にオークション管理運営サイト(以下、管理運営サイトである出願人の名称をとってAJAS(Ando Japanese Art Sword ) と称する)サイト2、売り手側(Seller)端末3及び買い手側(Buyer)端末4が接続している。この場合のSeller端末3とBuyer端末4とは、フレキシブルなものであり、Seller端末3とBuyer端末4とが全く逆の立場になることもある。
【0011】
図2はネットオークションの運用図であるが、AJASサイト2は、Seller端末3側の情報として、商品に関しての詳細情報や画像といった商品管理に関するデータベース5と、Buyer端末4側の情報として、購入履歴やその購入価格といった個人管理に関するデータベース6を有している。また、これらの情報から得た商品の詳細情報、画像、エスティメート下限価格、エスティメート上限価格、入札期限といったオークション情報に関するデータベース7も有している。さらに、AJASサイト2のハードディスク8には、顧客登録、入札商品照会、入札申込み、商品検索といった情報を格納している。
【0012】
ところで、AJASサイト2のホストコンピュータは、一般的なそれと同様に入力装置、記憶装置、演算装置、表示装置、出力装置といったものを有しており、各種情報を入力してそれぞれの装置で記憶、演算、表示、出力を行ない、かつSeller端末3やBuyer端末4と情報をやりとりするが、これにおける各種の情報処理は、格段新しいものではない。すなわら、コンピュータに求められる所定の処理や操作は、従来の手法に則って行われれば十分である。
【0013】
このネットオークションに参加するには、Buyer端末4には会員登録をして貰う。この会員登録には、氏名、住所、生年月日、性別、職業、クレジット番号、電話番号、FAX番号、メールアドレス等を申告して貰う。この申告は、書面や電話でもよいが、原則としてAJASサイト2のホームページに申し込んで貰う。AJASサイト2は、これを審査して会員と認めるか否かを判断する。会員と認めた場合には、この情報をデータベース5に記憶し、そのBuyer端末4にログインIDとパスワードを付与する。
【0014】
Seller端末3は、自己が保有する商品をAJASサイト2のホームページに出品するのであるが、これに先立ってAJASサイト2は商品を鑑定、評価する。この鑑定は、原則として無料であり、AJASサイト2に鑑定の依頼を申し込む。この申込みも、書面や電話でもよいが、原則としてAJASサイト2のホームページに申し込む。この際、名前や住所といった個人情報から評価を依頼する商品の種類、保存状況、登録証の内容、鑑定書、認定書の内容といった商品情報を申告して貰う。
【0015】
AJASサイト2は、これらの申込みを審査し、自己のホームページのオークション会場への出品を了承すると、Seller端末3に商品の現物をAJASサイト2まで持ち込んで貰い、AJASサイト2は、現物による評価を行なって上記した情報の正誤を確認し、商品の画像や附属情報を補足したりする。AJASサイト2は、当該商品のエスティメート下限価格及び上限価格並びに入札期限等をSeller端末3と交渉後に決定し、そのハードディスク8に格納するとともに、オークション会場に展示する。なお、出品が決まった商品については、その現物をAJASサイト2が管理するのが通常である。
【0016】
このようにしてAJASサイト2のオークション会場には多数の商品が出品されるから、Buyer端末4は、商品を閲覧して所望の商品について入札する。図3はAJASサイト2のホームページのトップページの画面図であるが、AJASサイト2のホームページのトップには、オークション会場入場(ログイン)、会員登録の他にオークション規約、出品手順、入札手順、オークション開催日程といった多数のメニューが揃えてある。
【0017】
このうち、会員登録について説明すると、会員申込みのボタンをクリックすると、図4の画面図に示す登録前画面が表われ、これには、オークション規約が掲載されており、各条項すべてに「同意する」のボタンが押されると、始めて会員登録画面が表われるようになっている。このようにするのは、Buyer端末4にオークションの規約や注意事項を厳守して貰って不正行為等を排除するためであり、そのために当該規約等を読んだ後の末尾等に「閉じる」等のボタンを設置し、これをクリックして貰うようにしている。なお、この規約には、このオークションシステムの基本的事項を記してある。
【0018】
具体的には、AJASサイト2が定めるエスティメート下限価格と上限価格とがあり、この価格範囲内では、最高価格を入札した者が落札することが原則である。しかし、エスティメート上限価格を超えて最終入札価格が設定してあり、この最終入札価格内の価格を入札したすべての者に対しては、AJASサイト2が定める二次交渉である最終落札者交渉によって落札者が決定する。さらに、最終入札価格を超えた価格での入札は受け付けず、当該入札者には、同様に最終落札者交渉に参加して貰うこと、といったような本システムの重要な規則が記載されている。以上の会員登録画面に所要の事項を記入すると、会員情報確認画面が表われるから、これを確認すると、会員登録後画面が表われるといった仕組みになっている。
【0019】
さらに、ログインについて説明すれば、ログインボタンを押すと、図5の画面図に示す「ご利用上の注意」として、「会員はオークション規約を遵守する義務がある。」旨の警告及び「オークション規約」がログインごとに表示される。これを読んで同意してはじめて、図6の画面図に示すログインID、パスワードを入力できる画面が表われるようになっている。なお、非会員についても、非会員専用の入口が設けられている。したがって、これを経て初めて図7に示す商品一覧画面が表示されることになる。この理由は、上記と同様であり、このオークションシステムの規約を十分に遵守して貰うためである。ところで、この商品一覧画面は、会員、非会員を問わないで閲覧できるが、これより先の情報の入手は、会員と非会員とで分かれる。
【0020】
具体的には、図7の商品一覧画面のより詳細な情報を記してある図8の画面図に示す商品詳細画面、前回オークションの情報を記してある前回オークション速報画面とそれに続く商品詳細画面、商品の履歴を記してある商品履歴検索画面といった情報は、非会員であっても閲覧できるようになっている。しかし、入札の状況を掲載している入札画面とそれに続く入札確認画面、会員情報の修正がある場合にそれを記してある会員情報修正画面とそれに続く会員情報確認画面、出展申込画面とそれに続く出展確認画面、各種の情報を掲示する掲示板といったものは会員限定となっている。これらは、情報の性格上、会員に限定されるものであるからである。
【0021】
このネットオークションにおいて、商品を落札しようとするBuyer端末4は、商品一覧画面からキー探索等して落札しようとする商品の欄を選ぶ。この欄には、商品の画像付きの詳細な商品情報、エスティメート下限価格及び上限価格並びに入札期限等が掲載されているから、図9の画面図に示すように、当該商品について自己が購入しようとする金額を入札する。さらに、このネットオークションにおいて、一定期間入札がまったくない商品に関しては、商品一覧から掲載を取り下げる措置がなされる。これは、偶然、入札者の嗜好、意向にそぐわずに入札がなかった場合、後々にその現物商品の価値や価格を下げないように守るための措置である。
【0022】
一般に、オークションで商品を落札しようとする場合には、既に入札されている価格を超えた価格を入札しない限り、落札されることはない。そこで、Buyer端末4は、入札経歴の欄等を閲覧して現在の入札価格を知り、それ以上の金額で入札することになる。この入札価格は、特定金額単位(例えば、1万円或いは5千円)の積み上げ式にするのが効率的である。入札期限が到来すると、AJASサイト2は、エスティメート上下限価格内で最高価格を入札したBuyer端末4が存在したこと(オークションが成立したこと)を落札速報等で表示する。
【0023】
この点で、本発明では、落札価格は、エスティメート下限価格と上限価格との範囲に収まるように奨励しているといえる。エスティメート下限価格と上限価格とは、確かな鑑定と価格知識を持った現在日本一の売り上げ本数を誇っている出願人であるAJASサイト2が自信を持って定めたものであり、本来、この価格内に納まるのが正常な姿であるからである。これは、ひとえに、一般の愛好家にも(初心者でも)、安心と信頼をもって参加して貰い、オークション自体の評価を高め、その結果、商品市場の拡大を期したものである。落札の通知は、AJASサイト2が落札したBuyer端末4にメール、Eメール、電話或いはFAXで知らせることになる。
【0024】
落札の連絡を受けたBuyer端末4は、AJASサイト2に商品の代金を支払うことになる。この支払いは、通常は、現金払いや銀行振込で行なわれるが、電子決済によってもよい。このとき、代金の支払い期限を定め、期限までに支払いがなければ、落札が無効である旨を当該Buyer端末4に告げる。また、会員資格を抹消することも告げる。なお、この場合は、二番目の価格で入札したBuyer端末4に売却したりすることもあるし、再度、本システムによるオークションを開催することもある。代金を受け取ったAJASサイト2は、落札したBuyer端末4に商品を引き渡す。
【0025】
落札したBuyer端末4からその商品の代金を受け取ったAJASサイト2は、その代金から成約手数料や出品手数料を差し引いた残りの額をSeller端末3に支払う。この支払いも、現金払いや銀行振込或いは電子決済によって行なう。このようなオークションによって成約があった場合は、その実績としてAJASサイト2のデータベース5に蓄積される。
【0026】
一方、商品によっては、図10の画面図に示すように、AJASサイト2が定めたエスティメート上限価格を超えた価格で入札されることがある。本発明は、この場合を全面的に排除するのではなく、本システムに含まれる別の方法の最終落札者交渉で落札者を決定するようにしている。この段階に入ると、作為的、計画的に値段をつり上げる面(通称、サクラ行為)が発生し、その結果、愛好家の正常な相場帯を損なうことになるから、それを阻止したものである。一般に、オークションといえば、このような場合でも、最高価格で入札した者を落札者とするのであるが、本発明では、未然に事故を防止するシステムを採用し、一般愛好家の資産を保全している。なお、最終落札者交渉に移行したことは、AJASサイト2の入札経歴や商品一覧画面の欄で表示する。
【0027】
この場合には、AJASサイト2は、引き続いて入札を受け付ける旨を表示するとともに、Buyer端末4からの入札を受け付ける。このとき、AJASサイト2は、最終入札価格を定め(この価格は表示しない)、この最終入札価格より高値更新は受け付けないようにしている。そして、エスティメート上限価格から最終入札価格までの範囲で入札したすべてのBuyer端末4を同列とみなし、各Buyer端末4に最終落札者交渉でAJASサイト2が仲介の下で交渉することを告げ、それに参加する意思があるかないかを問う。この最終入札価格は、AJASサイト2が独自の判断で決めるが、その額は、エスティメート上限価格の15〜20%増し程度に設定し、あくまで入札者が安全に、落札後においても後悔なく納得できる価格設定を図っている。図11はこの入札の流れを記した説明図である。
【0028】
最終落札者交渉に参加する意思があるBuyer端末4は、その旨をAJASサイト2に告げ、AJASサイト2は、最終落札者交渉のやり方や日時を表示するとともに、当該最終落札者交渉によって落札者を決定する旨も表示する。AJASサイト2は、最終落札者交渉に移行された旨を告げるとともに、最終落札者交渉に参加する意思があるBuyer端末4に最終落札者交渉に参加して貰う。なお、現物を見ながらの従来通りの対面式のオークションシステムによることもある。
【0029】
この最終落札者交渉とは、AJASサイト2の仲介の下で複数人からなる落札希望者から最終落札者を選定する作業のことである。その基本理念は、たとえ、オークションというスタイルであっても、市場適性価格から逸脱した不適当な相場帯へ入らないように落札指導を促すものである。このために最高入札者を自動的に落札者としないのであり、前述したAJASサイト2の理念を害したり、後述するAJASサイト2の買い戻し制度の悪用を排除するためでもある。
【0030】
ところで、以上は、このネットオークションシステムの基本的な仕組みであるが、本発明では、この他に付加的な仕組みが組み込まれることがある。その一つに、AJASサイト2は、落札したBuyer端末4に対し、その商品をAJASが買い取る旨を表示するシステムである。一般に、入札した商品をオークション主催者が買い戻すといったことはあり得ないが、本発明では、これを行うことで一般の入札者にも安心してオークションに参加して貰うのである。なお、買い取り価格については、商品の評価に応じたものであり(その評価はAJASサイト2に表記してある)、エスティメート上下限価格内での落札品目の90%とする。
【0031】
また、エスティメート上下限価格の範囲内で特定の価格によって入札があった場合、その後、この価格を上回る価格での入札がない状態が一定期間続くと、期限を待たずしてその入札者を落札者とする。図12は落札者決定までの流れを記した説明図である。迅速な処理を図って落札者に判断の正当性を図るシステムである。同時にさくら行為の排斥も期待している。一般に、ネットオークションというと、入札期限間際に入札が殺到し、それまでは、わずかな入札があった程度で静観状態が続くといわれている。入札の始めには、入札を意図している者或いは入札を妨害しようとする者が様子見を兼ねてわずかに値を付けるためで、これは一種のさくら行為であるが、上記のようなシステムをとることで、これを排斥することができる。
【0032】
さらに、このネットオークションには、従来の伝統的なセリと入札である対面式のオークションを組み入れることを予定している。具体的には、対面式のオークションにおける各種の入札情報を取り込んで表示することであるが、その最たるものに、対面式のオークションをライブ中継することが考えられる。これによると、対面式のオークションの欠点である、遠隔地であるから参加できない、当日都合が悪くて出席できないといった理由を回避できる上に、オークションの賑わい状態や商品の実況をリアルタイムで見ることができるといった長所を有している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本システムの構成図である。
【図2】本システムの運用図である。
【図3】本システムの実行過程における画面図である。
【図4】本システムの実行過程における画面図である。
【図5】本システムの実行過程における画面図である。
【図6】本システムの実行過程における画面図である。
【図7】本システムの実行過程における画面図である。
【図8】本システムの実行過程における画面図である。
【図9】本システムの実行過程における画面図である。
【図10】本システムの実行過程における画面図である。
【図11】本システムの実行過程における運用図である。
【図12】本システムの実行過程における運用図である
【符号の説明】
【0034】
1 ネットワーク
2 オークション管理運営サイトのサーバ
3 売り手側端末
4 買い手側端末
5 データベース
6 データベース
7 データベース
8 ハードディスク
【技術分野】
【0001】
本発明は、相場のわかり難い刀剣、古美術品といった商品のネットオークションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネット等のネットワークを利用したネットオークションは、買い手がオークション会場に居なくても、入札、落札できるため、現在では、盛んに行なわれている。ネットオークションに関する先行文献としては、例えば、特許文献1及び2がある。特許文献1は、中古車を取引するオークションであり、特許文献2は、電子部品を取引するオークションであり、それぞれ商品の特性に応じた仕組みを構築している。一般に、オークションでは、入札価格が問題となり、最高価格を入札した者が落札するのが原則である。
【0003】
ところが、商品によっては、この原則によるのが適当でないことがある。例えば、刀剣、古美術品、骨董品といった商品は、非常に相場がわかり難い商品であり、同種の商品でも、その価格に格段の相違があること、通常ではその真偽や価値(価格)がよくわからないといったことから、最高入札者を即落札者とするのは適切とはいえない。確かな鑑定と価格知識を有する専門家が専門知識による主観的・普遍的な評価(鑑定)してこそ、その適性な価格が決定される。
【特許文献1】特開2003−085408公報
【特許文献2】特開2002−189926公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、上記した商品、中でも美術的価値が高くて数が限られている日本刀剣のオークションに適し、これに関して最も正当な専門知識と価値判断を有するオークション管理運営者(本出願人)が出品される商品について自らの査定に基づき普遍的に評価するとともに、その評価に基づいて適性な入札価格範囲を決定することで、一部の好事家、一般の愛好家を問わず、公正で信頼性の高いネットオークションシステムを構築しようとするものである。同時に、それに伴って日本文化の基礎を築いてきた美術日本刀剣を厳格に指導、教授し、普及と啓蒙を図るためのものである。
【0005】
すなわち、世界に類を見ない日本の歴史と文化を創造してきた美術日本刀剣を公正、かつ適正な価格の下で、顧客に対して安全な売買を保証し、また、同時に美術日本刀剣の価格を維持するとともに、美術日本刀剣を厳格に指導、教授し、普及と啓蒙を図ることを基本理念としたものである。本発明に係るオークションシステムでは、厳重な規約を作成し、この規約に同意したもののみが参加することができる完全会員制として、美術日本刀剣に対して真剣に取り組む会員のみを対象としている。そして、オークションに参加するには規約に同意し、遵守することを絶対条件としている。また、オークションの円滑な運営のため、不正行為を監視し、排除することとし、警告に応じられない場合は厳正に対処する。たとえ、会員として認められていたとしても、管理運営者が不適当と判断した場合には、即座に参加資格を取り消し、会員資格を抹消するようにしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上の課題の下、請求項1に記載した、ネットワークに接続されるオークション管理運営サイトと、売り手側端末と、買い手側端末とからなるネットオークションシステムであり、管理運営サイトは、売り手側端末から提供された商品情報及び商品現物を評価し、そのサーバにおいて、当該商品情報並びにエスティメート下限価格及び上限価格並びに入札期限とを表示する一方、これに基づいて買い手側端末からの入札を受け付けてその価格を表示し、入札期限到来の時点で、エスティメート上下限価格内でのみ入札があった場合は、その最高価格で入札した買い手側端末を落札者として表示するとともに、エスティメート上限価格を超えた価格で入札があった場合、当該入札を取り止めて管理運営サイトが定める最終落札者交渉に移行する旨を表示することを特徴とする刀剣、古美術品等のネットオークションシステムを提供したものである。
【0007】
そして、本発明は、これにおいて、請求項2に記載した、エスティメート上限価格を超えた価格で入札があった場合、管理運営サイトが定める最終入札価格までは入札を続行してこの範囲の価格で入札したすべての買い手側端末に管理運営サイトが仲介する最終落札者交渉で落札者を決定する旨を告知するとともに、最終入札価格を超えた価格で入札があった場合、当該入札を受け付けず、かつ、当該買い手側端末に落札者最終交渉で落札者を決定する旨を告知する刀剣、古美術品等のネットオークションシステムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によると、管理運営者は、売り手側から提供された商品情報のみならず、現物までも適性に評価し、それに基づいて公正な価格のエスティメート下限価格と上限価格とを決定して表示するものであるから、公平性と信頼性を確保できる。一方、入札価格がエスティメート上限価格を超えると、ネットによる入札を実質的に打ち切るものであるから、一般の愛好家の資産を保全する。この場合の管理運営者は、長期の経験と実務に基づく、商品に対して確かな鑑定と価格知識を有していることによる。
【0009】
本システムは、エスティメート上下限内で落札されるのが一般的である。しかし入札価格がエスティメート上限価格を超えた場合でも利用できるようにしている。具体的には、請求項2の発明によるのであるが、管理運営者が定めた最終入札価格までは入札を受け付けるのである。そして、そのすべての買い手側に別の方法による最終落札者交渉によって落札者を決定する旨を告げる。この最終入札価格は、エスティメート上限価格の15〜20%増し程度で、あくまで入札者が安全に、落札後においても後悔なく納得できる価格設定を促し、公平性と信頼性を確保するものである。さらに、最終入札価格を超えた入札は受け付けないことで、投機的、作為的、計画的な買い付けを避けて値段のつり上げを防護する。したがって、正確な情報・品質管理がなされたオークションシステムの構築となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、美術日本刀剣を例にとって図面を参照して説明するが、商品はこれらに限定されるものではない。図1は本発明の一例を示すネットオークションシステムの構成図であるが、インターネット等のネットワーク1にオークション管理運営サイト(以下、管理運営サイトである出願人の名称をとってAJAS(Ando Japanese Art Sword ) と称する)サイト2、売り手側(Seller)端末3及び買い手側(Buyer)端末4が接続している。この場合のSeller端末3とBuyer端末4とは、フレキシブルなものであり、Seller端末3とBuyer端末4とが全く逆の立場になることもある。
【0011】
図2はネットオークションの運用図であるが、AJASサイト2は、Seller端末3側の情報として、商品に関しての詳細情報や画像といった商品管理に関するデータベース5と、Buyer端末4側の情報として、購入履歴やその購入価格といった個人管理に関するデータベース6を有している。また、これらの情報から得た商品の詳細情報、画像、エスティメート下限価格、エスティメート上限価格、入札期限といったオークション情報に関するデータベース7も有している。さらに、AJASサイト2のハードディスク8には、顧客登録、入札商品照会、入札申込み、商品検索といった情報を格納している。
【0012】
ところで、AJASサイト2のホストコンピュータは、一般的なそれと同様に入力装置、記憶装置、演算装置、表示装置、出力装置といったものを有しており、各種情報を入力してそれぞれの装置で記憶、演算、表示、出力を行ない、かつSeller端末3やBuyer端末4と情報をやりとりするが、これにおける各種の情報処理は、格段新しいものではない。すなわら、コンピュータに求められる所定の処理や操作は、従来の手法に則って行われれば十分である。
【0013】
このネットオークションに参加するには、Buyer端末4には会員登録をして貰う。この会員登録には、氏名、住所、生年月日、性別、職業、クレジット番号、電話番号、FAX番号、メールアドレス等を申告して貰う。この申告は、書面や電話でもよいが、原則としてAJASサイト2のホームページに申し込んで貰う。AJASサイト2は、これを審査して会員と認めるか否かを判断する。会員と認めた場合には、この情報をデータベース5に記憶し、そのBuyer端末4にログインIDとパスワードを付与する。
【0014】
Seller端末3は、自己が保有する商品をAJASサイト2のホームページに出品するのであるが、これに先立ってAJASサイト2は商品を鑑定、評価する。この鑑定は、原則として無料であり、AJASサイト2に鑑定の依頼を申し込む。この申込みも、書面や電話でもよいが、原則としてAJASサイト2のホームページに申し込む。この際、名前や住所といった個人情報から評価を依頼する商品の種類、保存状況、登録証の内容、鑑定書、認定書の内容といった商品情報を申告して貰う。
【0015】
AJASサイト2は、これらの申込みを審査し、自己のホームページのオークション会場への出品を了承すると、Seller端末3に商品の現物をAJASサイト2まで持ち込んで貰い、AJASサイト2は、現物による評価を行なって上記した情報の正誤を確認し、商品の画像や附属情報を補足したりする。AJASサイト2は、当該商品のエスティメート下限価格及び上限価格並びに入札期限等をSeller端末3と交渉後に決定し、そのハードディスク8に格納するとともに、オークション会場に展示する。なお、出品が決まった商品については、その現物をAJASサイト2が管理するのが通常である。
【0016】
このようにしてAJASサイト2のオークション会場には多数の商品が出品されるから、Buyer端末4は、商品を閲覧して所望の商品について入札する。図3はAJASサイト2のホームページのトップページの画面図であるが、AJASサイト2のホームページのトップには、オークション会場入場(ログイン)、会員登録の他にオークション規約、出品手順、入札手順、オークション開催日程といった多数のメニューが揃えてある。
【0017】
このうち、会員登録について説明すると、会員申込みのボタンをクリックすると、図4の画面図に示す登録前画面が表われ、これには、オークション規約が掲載されており、各条項すべてに「同意する」のボタンが押されると、始めて会員登録画面が表われるようになっている。このようにするのは、Buyer端末4にオークションの規約や注意事項を厳守して貰って不正行為等を排除するためであり、そのために当該規約等を読んだ後の末尾等に「閉じる」等のボタンを設置し、これをクリックして貰うようにしている。なお、この規約には、このオークションシステムの基本的事項を記してある。
【0018】
具体的には、AJASサイト2が定めるエスティメート下限価格と上限価格とがあり、この価格範囲内では、最高価格を入札した者が落札することが原則である。しかし、エスティメート上限価格を超えて最終入札価格が設定してあり、この最終入札価格内の価格を入札したすべての者に対しては、AJASサイト2が定める二次交渉である最終落札者交渉によって落札者が決定する。さらに、最終入札価格を超えた価格での入札は受け付けず、当該入札者には、同様に最終落札者交渉に参加して貰うこと、といったような本システムの重要な規則が記載されている。以上の会員登録画面に所要の事項を記入すると、会員情報確認画面が表われるから、これを確認すると、会員登録後画面が表われるといった仕組みになっている。
【0019】
さらに、ログインについて説明すれば、ログインボタンを押すと、図5の画面図に示す「ご利用上の注意」として、「会員はオークション規約を遵守する義務がある。」旨の警告及び「オークション規約」がログインごとに表示される。これを読んで同意してはじめて、図6の画面図に示すログインID、パスワードを入力できる画面が表われるようになっている。なお、非会員についても、非会員専用の入口が設けられている。したがって、これを経て初めて図7に示す商品一覧画面が表示されることになる。この理由は、上記と同様であり、このオークションシステムの規約を十分に遵守して貰うためである。ところで、この商品一覧画面は、会員、非会員を問わないで閲覧できるが、これより先の情報の入手は、会員と非会員とで分かれる。
【0020】
具体的には、図7の商品一覧画面のより詳細な情報を記してある図8の画面図に示す商品詳細画面、前回オークションの情報を記してある前回オークション速報画面とそれに続く商品詳細画面、商品の履歴を記してある商品履歴検索画面といった情報は、非会員であっても閲覧できるようになっている。しかし、入札の状況を掲載している入札画面とそれに続く入札確認画面、会員情報の修正がある場合にそれを記してある会員情報修正画面とそれに続く会員情報確認画面、出展申込画面とそれに続く出展確認画面、各種の情報を掲示する掲示板といったものは会員限定となっている。これらは、情報の性格上、会員に限定されるものであるからである。
【0021】
このネットオークションにおいて、商品を落札しようとするBuyer端末4は、商品一覧画面からキー探索等して落札しようとする商品の欄を選ぶ。この欄には、商品の画像付きの詳細な商品情報、エスティメート下限価格及び上限価格並びに入札期限等が掲載されているから、図9の画面図に示すように、当該商品について自己が購入しようとする金額を入札する。さらに、このネットオークションにおいて、一定期間入札がまったくない商品に関しては、商品一覧から掲載を取り下げる措置がなされる。これは、偶然、入札者の嗜好、意向にそぐわずに入札がなかった場合、後々にその現物商品の価値や価格を下げないように守るための措置である。
【0022】
一般に、オークションで商品を落札しようとする場合には、既に入札されている価格を超えた価格を入札しない限り、落札されることはない。そこで、Buyer端末4は、入札経歴の欄等を閲覧して現在の入札価格を知り、それ以上の金額で入札することになる。この入札価格は、特定金額単位(例えば、1万円或いは5千円)の積み上げ式にするのが効率的である。入札期限が到来すると、AJASサイト2は、エスティメート上下限価格内で最高価格を入札したBuyer端末4が存在したこと(オークションが成立したこと)を落札速報等で表示する。
【0023】
この点で、本発明では、落札価格は、エスティメート下限価格と上限価格との範囲に収まるように奨励しているといえる。エスティメート下限価格と上限価格とは、確かな鑑定と価格知識を持った現在日本一の売り上げ本数を誇っている出願人であるAJASサイト2が自信を持って定めたものであり、本来、この価格内に納まるのが正常な姿であるからである。これは、ひとえに、一般の愛好家にも(初心者でも)、安心と信頼をもって参加して貰い、オークション自体の評価を高め、その結果、商品市場の拡大を期したものである。落札の通知は、AJASサイト2が落札したBuyer端末4にメール、Eメール、電話或いはFAXで知らせることになる。
【0024】
落札の連絡を受けたBuyer端末4は、AJASサイト2に商品の代金を支払うことになる。この支払いは、通常は、現金払いや銀行振込で行なわれるが、電子決済によってもよい。このとき、代金の支払い期限を定め、期限までに支払いがなければ、落札が無効である旨を当該Buyer端末4に告げる。また、会員資格を抹消することも告げる。なお、この場合は、二番目の価格で入札したBuyer端末4に売却したりすることもあるし、再度、本システムによるオークションを開催することもある。代金を受け取ったAJASサイト2は、落札したBuyer端末4に商品を引き渡す。
【0025】
落札したBuyer端末4からその商品の代金を受け取ったAJASサイト2は、その代金から成約手数料や出品手数料を差し引いた残りの額をSeller端末3に支払う。この支払いも、現金払いや銀行振込或いは電子決済によって行なう。このようなオークションによって成約があった場合は、その実績としてAJASサイト2のデータベース5に蓄積される。
【0026】
一方、商品によっては、図10の画面図に示すように、AJASサイト2が定めたエスティメート上限価格を超えた価格で入札されることがある。本発明は、この場合を全面的に排除するのではなく、本システムに含まれる別の方法の最終落札者交渉で落札者を決定するようにしている。この段階に入ると、作為的、計画的に値段をつり上げる面(通称、サクラ行為)が発生し、その結果、愛好家の正常な相場帯を損なうことになるから、それを阻止したものである。一般に、オークションといえば、このような場合でも、最高価格で入札した者を落札者とするのであるが、本発明では、未然に事故を防止するシステムを採用し、一般愛好家の資産を保全している。なお、最終落札者交渉に移行したことは、AJASサイト2の入札経歴や商品一覧画面の欄で表示する。
【0027】
この場合には、AJASサイト2は、引き続いて入札を受け付ける旨を表示するとともに、Buyer端末4からの入札を受け付ける。このとき、AJASサイト2は、最終入札価格を定め(この価格は表示しない)、この最終入札価格より高値更新は受け付けないようにしている。そして、エスティメート上限価格から最終入札価格までの範囲で入札したすべてのBuyer端末4を同列とみなし、各Buyer端末4に最終落札者交渉でAJASサイト2が仲介の下で交渉することを告げ、それに参加する意思があるかないかを問う。この最終入札価格は、AJASサイト2が独自の判断で決めるが、その額は、エスティメート上限価格の15〜20%増し程度に設定し、あくまで入札者が安全に、落札後においても後悔なく納得できる価格設定を図っている。図11はこの入札の流れを記した説明図である。
【0028】
最終落札者交渉に参加する意思があるBuyer端末4は、その旨をAJASサイト2に告げ、AJASサイト2は、最終落札者交渉のやり方や日時を表示するとともに、当該最終落札者交渉によって落札者を決定する旨も表示する。AJASサイト2は、最終落札者交渉に移行された旨を告げるとともに、最終落札者交渉に参加する意思があるBuyer端末4に最終落札者交渉に参加して貰う。なお、現物を見ながらの従来通りの対面式のオークションシステムによることもある。
【0029】
この最終落札者交渉とは、AJASサイト2の仲介の下で複数人からなる落札希望者から最終落札者を選定する作業のことである。その基本理念は、たとえ、オークションというスタイルであっても、市場適性価格から逸脱した不適当な相場帯へ入らないように落札指導を促すものである。このために最高入札者を自動的に落札者としないのであり、前述したAJASサイト2の理念を害したり、後述するAJASサイト2の買い戻し制度の悪用を排除するためでもある。
【0030】
ところで、以上は、このネットオークションシステムの基本的な仕組みであるが、本発明では、この他に付加的な仕組みが組み込まれることがある。その一つに、AJASサイト2は、落札したBuyer端末4に対し、その商品をAJASが買い取る旨を表示するシステムである。一般に、入札した商品をオークション主催者が買い戻すといったことはあり得ないが、本発明では、これを行うことで一般の入札者にも安心してオークションに参加して貰うのである。なお、買い取り価格については、商品の評価に応じたものであり(その評価はAJASサイト2に表記してある)、エスティメート上下限価格内での落札品目の90%とする。
【0031】
また、エスティメート上下限価格の範囲内で特定の価格によって入札があった場合、その後、この価格を上回る価格での入札がない状態が一定期間続くと、期限を待たずしてその入札者を落札者とする。図12は落札者決定までの流れを記した説明図である。迅速な処理を図って落札者に判断の正当性を図るシステムである。同時にさくら行為の排斥も期待している。一般に、ネットオークションというと、入札期限間際に入札が殺到し、それまでは、わずかな入札があった程度で静観状態が続くといわれている。入札の始めには、入札を意図している者或いは入札を妨害しようとする者が様子見を兼ねてわずかに値を付けるためで、これは一種のさくら行為であるが、上記のようなシステムをとることで、これを排斥することができる。
【0032】
さらに、このネットオークションには、従来の伝統的なセリと入札である対面式のオークションを組み入れることを予定している。具体的には、対面式のオークションにおける各種の入札情報を取り込んで表示することであるが、その最たるものに、対面式のオークションをライブ中継することが考えられる。これによると、対面式のオークションの欠点である、遠隔地であるから参加できない、当日都合が悪くて出席できないといった理由を回避できる上に、オークションの賑わい状態や商品の実況をリアルタイムで見ることができるといった長所を有している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本システムの構成図である。
【図2】本システムの運用図である。
【図3】本システムの実行過程における画面図である。
【図4】本システムの実行過程における画面図である。
【図5】本システムの実行過程における画面図である。
【図6】本システムの実行過程における画面図である。
【図7】本システムの実行過程における画面図である。
【図8】本システムの実行過程における画面図である。
【図9】本システムの実行過程における画面図である。
【図10】本システムの実行過程における画面図である。
【図11】本システムの実行過程における運用図である。
【図12】本システムの実行過程における運用図である
【符号の説明】
【0034】
1 ネットワーク
2 オークション管理運営サイトのサーバ
3 売り手側端末
4 買い手側端末
5 データベース
6 データベース
7 データベース
8 ハードディスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されるオークション管理運営サイトと、売り手側端末と、買い手側端末とからなるネットオークションシステムであり、管理運営サイトは、売り手側端末から提供された商品情報及び商品現物を評価し、そのサーバにおいて、当該商品情報並びにエスティメート下限価格及び上限価格並びに入札期限とを表示する一方、これに基づいて買い手側端末からの入札を受け付けてその価格を表示し、入札期限到来の時点で、エスティメート上下限価格内でのみ入札があった場合は、その最高価格で入札した買い手側端末を落札者として表示するとともに、エスティメート上限価格を超えた価格で入札があった場合、当該入札を取り止めて管理運営サイトが定める最終落札者交渉に移行する旨を表示することを特徴とする刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項2】
エスティメート上限価格を超えた価格で入札があった場合、管理運営サイトが定める最終入札価格までは入札を続行してこの範囲の価格で入札したすべての買い手側端末に管理運営サイトが仲介する最終落札者交渉で落札者を決定する旨を告知するとともに、最終入札価格を超えた価格で入札があった場合、当該入札を受け付けず、かつ、当該買い手側端末に落札者最終交渉で落札者を決定する旨を告知する請求項1の刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項3】
買い手側端末からの入札価格が特定金額単位の積み上げ方式である請求項1又は2の刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項4】
管理運営サイトは、商品の落札者に対し、その商品の評価に応じた価格で自己が買い取る旨を表示する請求項1〜3いずれか1項の刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項5】
エスティメート上下限価格内での価格で入札があった後、一定期間これを超えた価格での入札がない場合、管理運営サイトは、当該入札者を落札者と認める請求項1〜4いずれか1項の刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項6】
対面式のオークションにおける入札情報を取り込んで表示する請求項1〜5いずれか1項の刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項7】
商品が刀剣、古美術品、骨董品である請求項1〜6いずれか1項の刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項1】
ネットワークに接続されるオークション管理運営サイトと、売り手側端末と、買い手側端末とからなるネットオークションシステムであり、管理運営サイトは、売り手側端末から提供された商品情報及び商品現物を評価し、そのサーバにおいて、当該商品情報並びにエスティメート下限価格及び上限価格並びに入札期限とを表示する一方、これに基づいて買い手側端末からの入札を受け付けてその価格を表示し、入札期限到来の時点で、エスティメート上下限価格内でのみ入札があった場合は、その最高価格で入札した買い手側端末を落札者として表示するとともに、エスティメート上限価格を超えた価格で入札があった場合、当該入札を取り止めて管理運営サイトが定める最終落札者交渉に移行する旨を表示することを特徴とする刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項2】
エスティメート上限価格を超えた価格で入札があった場合、管理運営サイトが定める最終入札価格までは入札を続行してこの範囲の価格で入札したすべての買い手側端末に管理運営サイトが仲介する最終落札者交渉で落札者を決定する旨を告知するとともに、最終入札価格を超えた価格で入札があった場合、当該入札を受け付けず、かつ、当該買い手側端末に落札者最終交渉で落札者を決定する旨を告知する請求項1の刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項3】
買い手側端末からの入札価格が特定金額単位の積み上げ方式である請求項1又は2の刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項4】
管理運営サイトは、商品の落札者に対し、その商品の評価に応じた価格で自己が買い取る旨を表示する請求項1〜3いずれか1項の刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項5】
エスティメート上下限価格内での価格で入札があった後、一定期間これを超えた価格での入札がない場合、管理運営サイトは、当該入札者を落札者と認める請求項1〜4いずれか1項の刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項6】
対面式のオークションにおける入札情報を取り込んで表示する請求項1〜5いずれか1項の刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【請求項7】
商品が刀剣、古美術品、骨董品である請求項1〜6いずれか1項の刀剣、古美術品等のネットオークションシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−193746(P2007−193746A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13758(P2006−13758)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(300078039)株式会社安東貿易 (1)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(300078039)株式会社安東貿易 (1)
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