刀剣玩具
【課題】 気体を入れる刀剣玩具でありながら、二刀流で簡易に刀剣の抜き差しの感覚を味わえる衛生的な刀剣玩具を提供すること。
【解決手段】刀部及び柄部を備えた刀剣を少なくとも一対有する。第一の刀剣3は、第二の刀剣5を保持する保持部42を備える。この保持部42には第二の刀剣5を貫通させる貫通孔43を形成してある。この保持部42は第二の刀剣5の刀部全長に比較して短い範囲でこの刀部の一部において弾性的に接触して第二の刀剣5を保持する。第一刀剣3の全長は、第二刀剣5より長く構成されている。
【解決手段】刀部及び柄部を備えた刀剣を少なくとも一対有する。第一の刀剣3は、第二の刀剣5を保持する保持部42を備える。この保持部42には第二の刀剣5を貫通させる貫通孔43を形成してある。この保持部42は第二の刀剣5の刀部全長に比較して短い範囲でこの刀部の一部において弾性的に接触して第二の刀剣5を保持する。第一刀剣3の全長は、第二刀剣5より長く構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刀剣玩具に関する。さらに詳しくは、刀部及び柄部を備えた刀剣を少なくとも一対有する刀剣玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
刀剣玩具においては、例えば特許文献1のように、硬質のプラスチック製で刀部を納める鞘部が分離して形成されているものがある。しかし、鞘部が分離するため、整理や持ち運びが煩雑であった。
一方、内部に気体を入れる軟質の刀剣玩具においては、刀部を鞘部に収納することが摩擦のため困難であり、例えば特許文献2及び特許文献3では鞘部は設けられていない。そして、鞘部を仮に設けると、鞘部と刀部が閉鎖的な接触関係にあり、遊技により液滴が付着した場合は、非衛生的となる場合もありえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−224432号公報
【特許文献2】実用新案3146442号公報
【特許文献3】実開昭63−146693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、気体を入れる刀剣玩具でありながら、二刀流で簡易に刀剣の抜き差しの感覚を味わえる衛生的な刀剣玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る刀剣玩具の特徴は、刀部及び柄部を備えた刀剣を少なくとも一対有する刀剣玩具であって、第一の前記刀剣は、第二の前記刀剣を保持する保持部を備え、この保持部には前記第二刀剣を貫通させる貫通孔を形成してあり、この保持部は前記第二刀剣の刀部全長に比較して短い範囲でこの刀部の一部において弾性的に接触して前記第二刀剣を保持することにある。
【0006】
上記特徴によれば、第一刀剣における保持部が、実質的に第二刀剣の鞘となる。よって、鞘がないにもかかわらず、第二刀剣を抜き差しすることができるので、刀剣の鞘に対する抜き差しの感覚を味わうことができる。また、第一刀剣を把持しながら第二刀剣を抜き差しするので、鞘が無くても鞘を把持している感覚を第一刀剣から擬似的に体感することができる。さらに、収納時には、両刀剣を組み合わせて分離を防ぐので、整理がしやすい。しかも、保持部は第二刀剣の刀部の一部分のみで接触し、刀部の残りの大半は露出していることとなる。よって、閉鎖的ではなく、遊技により液滴が付着しても乾燥状態が保たれ、衛生的である。また、刀部の一部分のみで接触するので、剣との接触面積が小さくなり、粘着・摩擦の問題を防げる上、適当な抵抗感で抜き差しすることができる。
【0007】
前記第一刀剣の全長は、前記第二刀剣より長く構成してもよい。これにより、第一刀剣における刀部も、実質的に第二刀剣の鞘となる。よって、前記第一刀剣の全長が長いため、把持する場所に困らない。さらに、把持しやすく安定するため、子供の力でも容易に第二刀剣を抜き差しできるようになる。
【0008】
また、前記第一刀剣は鍔部をさらに備え、前記保持部を前記鍔部に形成するようにしても構わない。これにより、第一刀剣と他の刀とは略平行に保持されることとなり、鍔部付近で抜き差しできるため、刀剣の鞘に対する抜き差しの擬似感が更に高まる。
【0009】
前記保持部は、前記第一刀剣の前記柄部の基端に形成してもよい。これにより、第一刀剣と他の刀とは直交する形で保持されることとなり、全く違う角度にて抜き差しを味わうことができる。また、刀剣を抜き差しする体の動きができない幼い子供や、体の小さい子供でも、体を開く、閉じる等の自然な手の動きで第二刀剣を抜き差しすることができる。
【0010】
さらには、前記第一刀剣の刀部と柄部には、ストラップを取付可能であっても構わない。これにより、手で支えなくとも携行可能となるため、より自由に遊ぶことができる。また、例えば腰周りに第一刀剣の刀部を位置させることができるため、刀剣を把持しやすく抜き差し時の安定感が高まる。
【0011】
前記第一刀剣は、前記第一刀剣の前記刀部の峰側に前記ストラップを取り付ける取付部を有し、前記貫通孔は、前記鍔部のうち前記刀部の刃側に形成してもよい。これにより、携行時には第一刀剣が第二刀剣の上側に位置することになり、第一刀剣の柄部を把持し易くなるため、鞘を把持する擬似感を更に高めることができる。
【0012】
また、前記第二刀剣は、前記貫通孔の口径より大きい拡大部を有しても構わない。これにより、拡大部が実質的に第二刀剣の鍔となり、拡大部で第二刀剣が必要以上に貫通しないため、刀を差しきった際に生じる固定感を味わうことができる。
【0013】
少なくとも前記刀部は内部に気体を入れる軟質の袋状体によって形成してもよい。軽く、弾性があるため、人体に接触しても傷つかず、子供が怪我することを気にせず自由に遊ぶことができる。また、空気を抜くとコンパクトになるため、子供はどこでも持ち運んで遊ぶことができ、管理する大人にとっては整理する場所を選ばない。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明に係る刀剣玩具の特徴によれば、二刀流と保持部を利用した抜き差しの感覚とを巧みに組み合わせることにより、簡素且つ衛生的な構成で、児童に創造性が広がる遊技を行わせることが可能となった。
【0015】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明に係る刀剣玩具の使用状態を示す斜視図、(b)は刀剣玩具の第二の刀剣を引き抜いた使用状態を示す斜視図である。
【図2】刀剣玩具を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図3】刀剣玩具を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図4】刀剣玩具を示す図であり、(a)は右側面図、(b)は左側面図である。
【図5】刀剣玩具の第一刀剣を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図6】刀剣玩具の第一刀剣を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図7】刀剣玩具の第一刀剣を示す図であり、(a)は右側面図、(b)は左側面図である。
【図8】刀剣玩具の第二刀剣を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図9】刀剣玩具の第二刀剣を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図10】刀剣玩具の第二刀剣を示す図であり、(a)は右側面図、(b)は左側面図である。
【図11】貫通孔における第一刀剣と第二刀剣との接触状態を説明する説明図であり、(a)は図2a相当図、(b)は(a)のA−A線拡大断面図、(c)は(a)のB−B線拡大断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は背面図である。
【図13】本発明の他の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
図2〜4に示すように、本発明に係る刀剣玩具1は、大略、第一の刀剣3及び第二の刀剣5からなる。第一刀剣3は第二刀剣5を保持する保持部42を有し、保持部42には貫通孔43が設けられている。第二刀剣5は、前記貫通孔43に貫通されることで保持される。
【0018】
図5〜7に示すように、第一刀剣3は、刀部31と柄部32と鍔部41からなる。刀部31は峰31aと刃31bと刃先(先端部)31cを有し、柄部32は基端部32aを有する。刀部31及び柄部32は、空気を入れた(充満/封入させた)状態で略円柱形であり、先端部31cにおいて細く、基端部32aにおいて拡大する形状となっている。鍔部41には保持部42が形成されており、保持部42には第二刀剣5を保持するための貫通孔43が設けられている。鍔部41は、空気を入れた状態で略直方体の形状をなし、貫通孔43は略楕円形の孔となっている。貫通孔43は、第一刀剣3の刃31b側に位置するように設けられ、刀部31及び柄部32の長手方向と平行する方向に貫通している。
【0019】
刀部31と柄部32には一対の取付部34a,34bが、刀部31の峰31a側に設けられている。取付部34a,34bにはストラップ35の両端を取り付け可能となっており、これにより刀剣玩具1を肩よりぶら下げて、携行することができる。ストラップ35には紐状、ベルト状、その他ストラップに適した形状が適宜選択される。これにより、刀剣玩具1を手で支えなくとも携行可能となるため、より自由に遊ぶことができる。また、例えば腰周りに第一刀剣3の刀部31を位置させることができるため、刀剣を把持しやすく抜き差し時の安定感が高まる。
【0020】
柄部32の基端部32a周辺には、内部空間と外部空間を連通及び遮断するための空気栓36が設けられている。係る空気栓36としては、外部から開閉操作可能な蓋部に加えて、内部に気体の排出阻止する逆止弁が設けられた構造のものが採用される。
【0021】
刀部31、柄部32及び鍔部41は、例えば、軟質の2枚の合成樹脂製のシートの周縁部を互いに溶着することにより形成される。その後、刀部31と鍔部41は溶着部33aによって溶着され、鍔部41と柄部32は溶着部33bによって溶着される。各部は内部において連通し、全体として中空となっているため、空気の出し入れにより、膨張させ、縮小させることができる。
【0022】
図8〜10に示すように、第二刀剣5は、刀部51と柄部52と拡大部53からなる。第二刀剣5の全長は、第一刀剣3より短くなっている。刀部51は刃先(先端部)51aを有し、柄部52は基端部52aを有する。刀部51及び柄部52は、空気を入れた状態で略円柱形であり、先端部51aにおいて細く、基端部52aにおいて拡大する形状となっている。
【0023】
拡大部53は突出部53a,53bにより形成されている。この突出部53a,53bは、刀部51の長手方向に直交する面において相対する二方向に突出している。これにより、拡大部53が実質的に第二刀剣5の鍔部となり、刀を差しきった際に固定感を生じさせることができる。なお、拡大部53は、貫通孔43の口径より大きければよく、例えば円形や、長方形、又は菱形等であってもよい。
【0024】
柄部52の基端部52a周辺には、第一刀剣3と同様に空気栓54が設けられている。刀部51、柄部52及び拡大部53は、軟質の2枚の合成樹脂製のシートの全外周縁部を互いに溶着することによって、一体的に形成される。第二刀剣5の内部は、全体として中空となっているため、空気の出し入れにより、膨張させたり、縮小させることができる。
【0025】
本発明に係る第一刀剣3の鍔部41、保持部42及び貫通孔43並びに第二刀剣5の拡大部53は、同様の効果を奏する限りにおいては、適宜形状を変更しても構わない。例えば、鍔部41は略円柱形であってもよいし、貫通孔43は略円形であってもよい。
【0026】
ここで、第二刀剣5の着脱(抜き差し)を行うための構造を説明する。
図11に示すように、第二刀剣5が保持されている状態で、第二刀剣5の刀部51は貫通孔43に対して接触面44a,44bにおいて接触する。その際に、貫通孔43の全面に密着しているわけではなく、貫通孔43の一部の接触面44a,44bにおいて接触しているため、空隙45を生じている。この状態から第二刀剣5を引き抜いた場合、上記構造より、第二刀剣5の刀部51と貫通孔43とは常に一部の接触面44a,44bで接触し続けることとなり、継続的な接触状態が生じる。また、空隙45が常に存在することより、粘着・摩擦が抑えられ、第二刀剣5が途中で止まることを防げる。これにより、第二刀剣5を適当な抵抗感で抜き差しすることが可能となり、鞘部が存在するかのような擬似感を生じる。
【0027】
次に本発明に係る刀剣玩具1の遊び方について説明する。
刀剣玩具1は、第一刀剣3の刀部31を把持し、第二刀剣5を抜き差しすることで、鞘部を擬似的に体感しながら遊ぶことが可能である。
【0028】
図1に示すように、ストラップ35により携行して遊ぶことも可能である。その際には、第一刀剣3が、第二刀剣5よりも上側に位置する。したがって、第一刀剣3の刀部31を把持しやくなり、あたかも第二刀剣5の鞘を把持しているような感覚を擬似的に体感しながら、より容易に抜き差しの動作を行うことができる。また、第一刀剣3がストラップ35により体にぶら下がるため、第一刀剣3の移動を最小限に抑えることができ、走り回って遊ぶことになっても、安定して抜き差しすることができる。
【0029】
最後に本発明のさらに別の実施形態の可能性を列挙する。なお、上記実施形態と同様の部材には、同一の符号を付してある。
上記実施形態において、保持部42は第一刀剣3の鍔部41に形成した。しかし、例えば図12に示すように、保持部42’を第一刀剣3の柄部32の基端部32aに設けても構わない。その場合は基端部32aに貫通孔43’が設けられ、第一刀剣3と第二刀剣5とが直交するように保持される。したがって、上記実施形態とは全く違う角度にて抜き差しを味わうことができる。また、刀剣を抜き差しする体の動きができない幼い子供や、体の小さい子供でも、体を開く、閉じる等の自然な手の動きで第二刀剣5を抜き差しすることができる。
【0030】
上記実施形態において、保持部42を有する第一刀剣3と保持部42を有さない第二刀剣5にて一対の刀剣玩具1を構成した。しかし、例えば図13に示すように、保持部42を有する第一刀剣3、3同士で一対の刀剣玩具1を構成しても構わない。その場合は、上記実施形態とは違う保持感を味わうことができる。
【0031】
保持部42は鍔部41及び柄部32の基端部32aの一方に限らず、両方に設けても構わない。また、保持部42の貫通孔43は1つに限らず、複数の孔を形成してもよい。その場合は、三刀流、四刀流等の複数の刀を使用する擬似感を体感でき、よりバリエーションにとんだ遊びを行うことができる。
【0032】
上記実施形態における鍔部は、刀部及び柄部と同様の合成樹脂素材を使用しているが、鍔部においては、EVA発砲素材の別素材を用いても構わない。また、柄の部分は硬質の例えばプラスチック等で形成してもよい。しかし、そのような場合は収納容積が増え、持ち運びや収納等が煩雑となるため、持ち運びや収納の点で上記実施形態の方が優れている。
【0033】
なお、本願における「二刀流」の語は、少なくとも二本以上の刀を有する状態を指し、三刀流以上も本願に含まれる趣旨で用いられるものとし、本願における刀部とは、一般的に刀身と呼ばれる部分から柄部に収まっている部分を除いた部分を示し、両刃の剣等他の形態の刀剣においても同様の部分を示すものとする。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、特に模造刀剣を用いた遊戯等において、刀剣玩具として利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1:刀剣玩具、3:第一の刀剣、5:第二の刀剣、31:刀部、31a:峰、31b:刃、31c:刃先(先端部)、32:柄部、32a:基端部、33a,b:溶着部、34a,b:取付部、35:ストラップ、36:空気栓、41:鍔部、42,42’:保持部、43,43’:貫通孔、44a,b:接触面、45:空隙、51:刀部、51a:刃先(先端部)、52:柄部、52a:基端部、53:拡大部(鍔部)、53a,b:突出部、54:空気栓
【技術分野】
【0001】
本発明は、刀剣玩具に関する。さらに詳しくは、刀部及び柄部を備えた刀剣を少なくとも一対有する刀剣玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
刀剣玩具においては、例えば特許文献1のように、硬質のプラスチック製で刀部を納める鞘部が分離して形成されているものがある。しかし、鞘部が分離するため、整理や持ち運びが煩雑であった。
一方、内部に気体を入れる軟質の刀剣玩具においては、刀部を鞘部に収納することが摩擦のため困難であり、例えば特許文献2及び特許文献3では鞘部は設けられていない。そして、鞘部を仮に設けると、鞘部と刀部が閉鎖的な接触関係にあり、遊技により液滴が付着した場合は、非衛生的となる場合もありえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−224432号公報
【特許文献2】実用新案3146442号公報
【特許文献3】実開昭63−146693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、気体を入れる刀剣玩具でありながら、二刀流で簡易に刀剣の抜き差しの感覚を味わえる衛生的な刀剣玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る刀剣玩具の特徴は、刀部及び柄部を備えた刀剣を少なくとも一対有する刀剣玩具であって、第一の前記刀剣は、第二の前記刀剣を保持する保持部を備え、この保持部には前記第二刀剣を貫通させる貫通孔を形成してあり、この保持部は前記第二刀剣の刀部全長に比較して短い範囲でこの刀部の一部において弾性的に接触して前記第二刀剣を保持することにある。
【0006】
上記特徴によれば、第一刀剣における保持部が、実質的に第二刀剣の鞘となる。よって、鞘がないにもかかわらず、第二刀剣を抜き差しすることができるので、刀剣の鞘に対する抜き差しの感覚を味わうことができる。また、第一刀剣を把持しながら第二刀剣を抜き差しするので、鞘が無くても鞘を把持している感覚を第一刀剣から擬似的に体感することができる。さらに、収納時には、両刀剣を組み合わせて分離を防ぐので、整理がしやすい。しかも、保持部は第二刀剣の刀部の一部分のみで接触し、刀部の残りの大半は露出していることとなる。よって、閉鎖的ではなく、遊技により液滴が付着しても乾燥状態が保たれ、衛生的である。また、刀部の一部分のみで接触するので、剣との接触面積が小さくなり、粘着・摩擦の問題を防げる上、適当な抵抗感で抜き差しすることができる。
【0007】
前記第一刀剣の全長は、前記第二刀剣より長く構成してもよい。これにより、第一刀剣における刀部も、実質的に第二刀剣の鞘となる。よって、前記第一刀剣の全長が長いため、把持する場所に困らない。さらに、把持しやすく安定するため、子供の力でも容易に第二刀剣を抜き差しできるようになる。
【0008】
また、前記第一刀剣は鍔部をさらに備え、前記保持部を前記鍔部に形成するようにしても構わない。これにより、第一刀剣と他の刀とは略平行に保持されることとなり、鍔部付近で抜き差しできるため、刀剣の鞘に対する抜き差しの擬似感が更に高まる。
【0009】
前記保持部は、前記第一刀剣の前記柄部の基端に形成してもよい。これにより、第一刀剣と他の刀とは直交する形で保持されることとなり、全く違う角度にて抜き差しを味わうことができる。また、刀剣を抜き差しする体の動きができない幼い子供や、体の小さい子供でも、体を開く、閉じる等の自然な手の動きで第二刀剣を抜き差しすることができる。
【0010】
さらには、前記第一刀剣の刀部と柄部には、ストラップを取付可能であっても構わない。これにより、手で支えなくとも携行可能となるため、より自由に遊ぶことができる。また、例えば腰周りに第一刀剣の刀部を位置させることができるため、刀剣を把持しやすく抜き差し時の安定感が高まる。
【0011】
前記第一刀剣は、前記第一刀剣の前記刀部の峰側に前記ストラップを取り付ける取付部を有し、前記貫通孔は、前記鍔部のうち前記刀部の刃側に形成してもよい。これにより、携行時には第一刀剣が第二刀剣の上側に位置することになり、第一刀剣の柄部を把持し易くなるため、鞘を把持する擬似感を更に高めることができる。
【0012】
また、前記第二刀剣は、前記貫通孔の口径より大きい拡大部を有しても構わない。これにより、拡大部が実質的に第二刀剣の鍔となり、拡大部で第二刀剣が必要以上に貫通しないため、刀を差しきった際に生じる固定感を味わうことができる。
【0013】
少なくとも前記刀部は内部に気体を入れる軟質の袋状体によって形成してもよい。軽く、弾性があるため、人体に接触しても傷つかず、子供が怪我することを気にせず自由に遊ぶことができる。また、空気を抜くとコンパクトになるため、子供はどこでも持ち運んで遊ぶことができ、管理する大人にとっては整理する場所を選ばない。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明に係る刀剣玩具の特徴によれば、二刀流と保持部を利用した抜き差しの感覚とを巧みに組み合わせることにより、簡素且つ衛生的な構成で、児童に創造性が広がる遊技を行わせることが可能となった。
【0015】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明に係る刀剣玩具の使用状態を示す斜視図、(b)は刀剣玩具の第二の刀剣を引き抜いた使用状態を示す斜視図である。
【図2】刀剣玩具を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図3】刀剣玩具を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図4】刀剣玩具を示す図であり、(a)は右側面図、(b)は左側面図である。
【図5】刀剣玩具の第一刀剣を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図6】刀剣玩具の第一刀剣を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図7】刀剣玩具の第一刀剣を示す図であり、(a)は右側面図、(b)は左側面図である。
【図8】刀剣玩具の第二刀剣を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図9】刀剣玩具の第二刀剣を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図10】刀剣玩具の第二刀剣を示す図であり、(a)は右側面図、(b)は左側面図である。
【図11】貫通孔における第一刀剣と第二刀剣との接触状態を説明する説明図であり、(a)は図2a相当図、(b)は(a)のA−A線拡大断面図、(c)は(a)のB−B線拡大断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は背面図である。
【図13】本発明の他の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
図2〜4に示すように、本発明に係る刀剣玩具1は、大略、第一の刀剣3及び第二の刀剣5からなる。第一刀剣3は第二刀剣5を保持する保持部42を有し、保持部42には貫通孔43が設けられている。第二刀剣5は、前記貫通孔43に貫通されることで保持される。
【0018】
図5〜7に示すように、第一刀剣3は、刀部31と柄部32と鍔部41からなる。刀部31は峰31aと刃31bと刃先(先端部)31cを有し、柄部32は基端部32aを有する。刀部31及び柄部32は、空気を入れた(充満/封入させた)状態で略円柱形であり、先端部31cにおいて細く、基端部32aにおいて拡大する形状となっている。鍔部41には保持部42が形成されており、保持部42には第二刀剣5を保持するための貫通孔43が設けられている。鍔部41は、空気を入れた状態で略直方体の形状をなし、貫通孔43は略楕円形の孔となっている。貫通孔43は、第一刀剣3の刃31b側に位置するように設けられ、刀部31及び柄部32の長手方向と平行する方向に貫通している。
【0019】
刀部31と柄部32には一対の取付部34a,34bが、刀部31の峰31a側に設けられている。取付部34a,34bにはストラップ35の両端を取り付け可能となっており、これにより刀剣玩具1を肩よりぶら下げて、携行することができる。ストラップ35には紐状、ベルト状、その他ストラップに適した形状が適宜選択される。これにより、刀剣玩具1を手で支えなくとも携行可能となるため、より自由に遊ぶことができる。また、例えば腰周りに第一刀剣3の刀部31を位置させることができるため、刀剣を把持しやすく抜き差し時の安定感が高まる。
【0020】
柄部32の基端部32a周辺には、内部空間と外部空間を連通及び遮断するための空気栓36が設けられている。係る空気栓36としては、外部から開閉操作可能な蓋部に加えて、内部に気体の排出阻止する逆止弁が設けられた構造のものが採用される。
【0021】
刀部31、柄部32及び鍔部41は、例えば、軟質の2枚の合成樹脂製のシートの周縁部を互いに溶着することにより形成される。その後、刀部31と鍔部41は溶着部33aによって溶着され、鍔部41と柄部32は溶着部33bによって溶着される。各部は内部において連通し、全体として中空となっているため、空気の出し入れにより、膨張させ、縮小させることができる。
【0022】
図8〜10に示すように、第二刀剣5は、刀部51と柄部52と拡大部53からなる。第二刀剣5の全長は、第一刀剣3より短くなっている。刀部51は刃先(先端部)51aを有し、柄部52は基端部52aを有する。刀部51及び柄部52は、空気を入れた状態で略円柱形であり、先端部51aにおいて細く、基端部52aにおいて拡大する形状となっている。
【0023】
拡大部53は突出部53a,53bにより形成されている。この突出部53a,53bは、刀部51の長手方向に直交する面において相対する二方向に突出している。これにより、拡大部53が実質的に第二刀剣5の鍔部となり、刀を差しきった際に固定感を生じさせることができる。なお、拡大部53は、貫通孔43の口径より大きければよく、例えば円形や、長方形、又は菱形等であってもよい。
【0024】
柄部52の基端部52a周辺には、第一刀剣3と同様に空気栓54が設けられている。刀部51、柄部52及び拡大部53は、軟質の2枚の合成樹脂製のシートの全外周縁部を互いに溶着することによって、一体的に形成される。第二刀剣5の内部は、全体として中空となっているため、空気の出し入れにより、膨張させたり、縮小させることができる。
【0025】
本発明に係る第一刀剣3の鍔部41、保持部42及び貫通孔43並びに第二刀剣5の拡大部53は、同様の効果を奏する限りにおいては、適宜形状を変更しても構わない。例えば、鍔部41は略円柱形であってもよいし、貫通孔43は略円形であってもよい。
【0026】
ここで、第二刀剣5の着脱(抜き差し)を行うための構造を説明する。
図11に示すように、第二刀剣5が保持されている状態で、第二刀剣5の刀部51は貫通孔43に対して接触面44a,44bにおいて接触する。その際に、貫通孔43の全面に密着しているわけではなく、貫通孔43の一部の接触面44a,44bにおいて接触しているため、空隙45を生じている。この状態から第二刀剣5を引き抜いた場合、上記構造より、第二刀剣5の刀部51と貫通孔43とは常に一部の接触面44a,44bで接触し続けることとなり、継続的な接触状態が生じる。また、空隙45が常に存在することより、粘着・摩擦が抑えられ、第二刀剣5が途中で止まることを防げる。これにより、第二刀剣5を適当な抵抗感で抜き差しすることが可能となり、鞘部が存在するかのような擬似感を生じる。
【0027】
次に本発明に係る刀剣玩具1の遊び方について説明する。
刀剣玩具1は、第一刀剣3の刀部31を把持し、第二刀剣5を抜き差しすることで、鞘部を擬似的に体感しながら遊ぶことが可能である。
【0028】
図1に示すように、ストラップ35により携行して遊ぶことも可能である。その際には、第一刀剣3が、第二刀剣5よりも上側に位置する。したがって、第一刀剣3の刀部31を把持しやくなり、あたかも第二刀剣5の鞘を把持しているような感覚を擬似的に体感しながら、より容易に抜き差しの動作を行うことができる。また、第一刀剣3がストラップ35により体にぶら下がるため、第一刀剣3の移動を最小限に抑えることができ、走り回って遊ぶことになっても、安定して抜き差しすることができる。
【0029】
最後に本発明のさらに別の実施形態の可能性を列挙する。なお、上記実施形態と同様の部材には、同一の符号を付してある。
上記実施形態において、保持部42は第一刀剣3の鍔部41に形成した。しかし、例えば図12に示すように、保持部42’を第一刀剣3の柄部32の基端部32aに設けても構わない。その場合は基端部32aに貫通孔43’が設けられ、第一刀剣3と第二刀剣5とが直交するように保持される。したがって、上記実施形態とは全く違う角度にて抜き差しを味わうことができる。また、刀剣を抜き差しする体の動きができない幼い子供や、体の小さい子供でも、体を開く、閉じる等の自然な手の動きで第二刀剣5を抜き差しすることができる。
【0030】
上記実施形態において、保持部42を有する第一刀剣3と保持部42を有さない第二刀剣5にて一対の刀剣玩具1を構成した。しかし、例えば図13に示すように、保持部42を有する第一刀剣3、3同士で一対の刀剣玩具1を構成しても構わない。その場合は、上記実施形態とは違う保持感を味わうことができる。
【0031】
保持部42は鍔部41及び柄部32の基端部32aの一方に限らず、両方に設けても構わない。また、保持部42の貫通孔43は1つに限らず、複数の孔を形成してもよい。その場合は、三刀流、四刀流等の複数の刀を使用する擬似感を体感でき、よりバリエーションにとんだ遊びを行うことができる。
【0032】
上記実施形態における鍔部は、刀部及び柄部と同様の合成樹脂素材を使用しているが、鍔部においては、EVA発砲素材の別素材を用いても構わない。また、柄の部分は硬質の例えばプラスチック等で形成してもよい。しかし、そのような場合は収納容積が増え、持ち運びや収納等が煩雑となるため、持ち運びや収納の点で上記実施形態の方が優れている。
【0033】
なお、本願における「二刀流」の語は、少なくとも二本以上の刀を有する状態を指し、三刀流以上も本願に含まれる趣旨で用いられるものとし、本願における刀部とは、一般的に刀身と呼ばれる部分から柄部に収まっている部分を除いた部分を示し、両刃の剣等他の形態の刀剣においても同様の部分を示すものとする。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、特に模造刀剣を用いた遊戯等において、刀剣玩具として利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1:刀剣玩具、3:第一の刀剣、5:第二の刀剣、31:刀部、31a:峰、31b:刃、31c:刃先(先端部)、32:柄部、32a:基端部、33a,b:溶着部、34a,b:取付部、35:ストラップ、36:空気栓、41:鍔部、42,42’:保持部、43,43’:貫通孔、44a,b:接触面、45:空隙、51:刀部、51a:刃先(先端部)、52:柄部、52a:基端部、53:拡大部(鍔部)、53a,b:突出部、54:空気栓
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刀部及び柄部を備えた刀剣を少なくとも一対有する刀剣玩具であって、
第一の前記刀剣は、第二の前記刀剣を保持する保持部を備え、この保持部には前記第二刀剣を貫通させる貫通孔を形成してあり、この保持部は前記第二刀剣の刀部全長に比較して短い範囲でこの刀部の一部において弾性的に接触して前記第二刀剣を保持する刀剣玩具。
【請求項2】
前記第一刀剣の全長は、前記第二刀剣より長く構成されている請求項1記載の刀剣玩具。
【請求項3】
前記第一刀剣は鍔部をさらに備え、前記保持部は前記鍔部に形成されている請求項1又は2記載の刀剣玩具。
【請求項4】
前記保持部は、前記第一刀剣の前記柄部の基端に形成されている請求項1又は2記載の刀剣玩具。
【請求項5】
前記第一刀剣の刀部と柄部には、ストラップを取付可能である請求項1〜4のいずれかに記載の刀剣玩具。
【請求項6】
前記第一刀剣は、前記第一刀剣の前記刀部の峰側に前記ストラップを取り付ける取付部を有し、前記貫通孔は、前記鍔部のうち前記刀部の刃側に形成されている請求項5記載の刀剣玩具。
【請求項7】
前記第二刀剣は、前記貫通孔の口径より大きい拡大部を有する請求項1〜6のいずれかに記載の刀剣玩具。
【請求項8】
少なくとも前記刀部は内部に気体を入れる軟質の袋状体によって形成されている請求項1〜7のいずれかに記載の刀剣玩具。
【請求項1】
刀部及び柄部を備えた刀剣を少なくとも一対有する刀剣玩具であって、
第一の前記刀剣は、第二の前記刀剣を保持する保持部を備え、この保持部には前記第二刀剣を貫通させる貫通孔を形成してあり、この保持部は前記第二刀剣の刀部全長に比較して短い範囲でこの刀部の一部において弾性的に接触して前記第二刀剣を保持する刀剣玩具。
【請求項2】
前記第一刀剣の全長は、前記第二刀剣より長く構成されている請求項1記載の刀剣玩具。
【請求項3】
前記第一刀剣は鍔部をさらに備え、前記保持部は前記鍔部に形成されている請求項1又は2記載の刀剣玩具。
【請求項4】
前記保持部は、前記第一刀剣の前記柄部の基端に形成されている請求項1又は2記載の刀剣玩具。
【請求項5】
前記第一刀剣の刀部と柄部には、ストラップを取付可能である請求項1〜4のいずれかに記載の刀剣玩具。
【請求項6】
前記第一刀剣は、前記第一刀剣の前記刀部の峰側に前記ストラップを取り付ける取付部を有し、前記貫通孔は、前記鍔部のうち前記刀部の刃側に形成されている請求項5記載の刀剣玩具。
【請求項7】
前記第二刀剣は、前記貫通孔の口径より大きい拡大部を有する請求項1〜6のいずれかに記載の刀剣玩具。
【請求項8】
少なくとも前記刀部は内部に気体を入れる軟質の袋状体によって形成されている請求項1〜7のいずれかに記載の刀剣玩具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−273822(P2010−273822A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128546(P2009−128546)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(506352544)株式会社ワンダーランド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(506352544)株式会社ワンダーランド (2)
【Fターム(参考)】
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