説明

分光光学計及びその校正方法

【課題】機体ごとの器差の解消を図った分光光学計及びその校正方法を提供する。
【解決手段】サンプルガスに光を射出する光源2と、前記サンプルガスを透過した光を検出する光検出器51、52と、前記光源と前記光検出器との間に配置された光学フィルタ4と、前記光検出器51、52により得られた検出信号値に基づいて前記サンプルガス中の測定対象とする実ガスの濃度を算出する演算装置6と、を備えた分光光学計1であって、基準となる一の機体である基準機において得られた、代替ガス濃度と実ガス濃度とを関係付ける関数αと、前記基準機における前記実ガスと前記代替ガスとの光吸収率の関係と、校正対象となる一の機体である校正機における前記実ガスと前記代替ガスとの光吸収率の関係とを関係付ける関数βと、前記校正機における前記代替ガスの濃度と前記検出信号値との関係をあらわす関数と、に基づいて前記実ガスの濃度を算出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分光光学計及びその校正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
測定対象である試料に含まれる物質の吸収スペクトルを得ることで試料を定性分析及び定量分析する分光光度計として、種々のものが知られているが、赤外分光光度計としては、分散型赤外分光光度計(分散型IR)、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、非分散型赤外分光光度計(NDIR)等がある。このうち、非分散型赤外分光光度計(NDIR)は、試料の赤外吸収波長の選択性を多層膜のバンドパスフィルタを用いて行っている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
NDIRでは、出荷前に初期濃度校正、すなわちガスの濃度と赤外光吸収率との関連付けが行われている。具体的には、まず、同一仕様のNDIRのなかから基準となるある機体(以下、基準機という。)を選び出し、当該基準機において、測定対象である実ガスを用いて、実ガスの濃度C実ガスと光検出器から得られた光検出信号値xとの関係をあらわす式(C実ガス=g基準機(x))が求められる。更に、実ガスを代替ガスに代えて、同様に代替ガスの濃度C代替ガスと光検出器から得られた光検出信号値xとの関係をあらわす式(C代替ガス=f基準機(x))が求められる。そしてこれらの式から、代替ガス濃度C代替ガスを実ガス濃度C実ガスに変換するための変換係数αが求められる。
【0004】
次いで、校正対象である任意の機体(以下、校正機という。)において、代替ガスを用いて、代替ガスの濃度C代替ガスと光検出器から得られた光検出信号値xとの関係をあらわす式(C代替ガス=f校正機(x))が求められる。
【0005】
そして、いずれの機体でも実ガスと代替ガスとの赤外光吸収率の比(abs.実ガス/abs.代替ガス)は一定であるという前提のもと、基準機で求められた変換係数αと、校正機において求められた代替ガスの濃度C代替ガスと光検出信号値xとの関係をあらわす式(C代替ガス=f校正機(x)とから、校正機において実ガス濃度C実ガスを算出するための式(C実ガス=α・f校正機(x))が求められる。上述のとおり、基準機においては、C=g(x)が実ガス濃度を算出するための関数であり、C=f(x)が代替ガス濃度を算出するための関数であるが、校正機において実ガス濃度を算出するにあたっては、C=α・f(x)を用い、そのxとして校正機に実ガスを導入した場合の光検出信号値を代入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−241346号公報
【特許文献2】特開2005−257358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のようにして初期濃度校正が行われた機体間では、測定結果にバラツキがあることが判明した。仮に、全ての校正機に実ガスを導入して個別に変換係数α校正機を算出すれば、このようなバラツキの問題を解消することは可能であるものの、実際に測定対象とする実ガスには毒性がある等の理由から取り扱いが難しいものも多く、校正の際には実ガスに代えて無害な代替ガスを使わざるを得ない。
【0008】
そこで本発明は、機体ごとの器差の解消を図った分光光学計及びその校正方法を提供すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が鋭意検討した結果、NDIRにおいて、実ガスと代替ガスとの赤外光吸収率の比(abs.実ガス/abs.代替ガス)は機体ごとに異なることを見出し、更に、この器差はバンドパスフィルタの光学特性の相違(図5参照)に起因することを明らかにした。本願発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
【0010】
すなわち本発明に係る分光光学計は、サンプルガスに光を射出する光源と、前記サンプルガスを透過した光を検出する光検出器と、前記光源と前記光検出器との間に配置された光学フィルタと、前記光検出器により得られた検出信号値に基づいて前記サンプルガス中の測定対象とする実ガスの濃度を算出する演算装置と、を備えた分光光学計であって、基準となる一の機体である基準機において得られた、代替ガス濃度と実ガス濃度とを関係付ける関数αと、前記基準機における前記実ガスと前記代替ガスとの光吸収率の関係と、校正対象となる一の機体である校正機における前記実ガスと前記代替ガスとの光吸収率の関係とを関係付ける関数βと、前記校正機における前記代替ガスの濃度と前記検出信号値との関係をあらわす関数と、に基づいて前記実ガスの濃度を算出することを特徴とする。なお、後述する実施形態では、前記光学フィルタは、サンプルガスを透過した光を通過させる位置(サンプルガスと光検出器との間)に設けられているが、前記光学フィルタは、サンプルガスを透過する前の光を通過させる位置(光源とサンプルガスとの間)に設けられていてもよい。また、本発明において、関数αと関数βとには、定数も含まれる。
【0011】
このような分光光学計としては、具体的には、非分散型赤外分光光度計(NDIR)が挙げられる。
【0012】
本発明に係る分光光学計で用いられた校正方法もまた、本発明の1つである。すなわち本発明に係る校正方法は、サンプルガスに光を射出する光源と、前記サンプルガスを透過した光を通過させる光学フィルタと、前記光学フィルタを通過した光を検出する光検出器と、前記光検出器により得られた検出信号値に基づいて前記サンプルガス中の測定対象とする実ガスの濃度を算出する演算装置と、を備えた分光光学計の校正方法であって、基準となる一の機体である基準機において、代替ガス濃度と実ガス濃度とを関係付ける関数αを求める工程と、前記基準機における前記実ガスと前記代替ガスとの光吸収率と、校正対象となる一の機体である校正機における前記実ガスと前記代替ガスとの光吸収率とを関係付ける関数βを求める工程と、前記校正機における前記代替ガスの濃度と前記検出信号値との関係をあらわす関数を求める工程と、これらの関数に基づいて実ガスの濃度を算出する工程と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、光学フィルタの光学特性の差に起因する、実ガスと代替ガスの光吸収率の比(abs.実ガス/abs.代替ガス)の器差を解消することができるので、安定して精度の高い分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るNDIRの機器構成図。
【図2】同実施形態におけるNDIRの校正手順を示すフローチャート。
【図3】同実施形態における第1バンドパスフィルタの透過スペクトルを示すグラフ。
【図4】実ガス濃度と代替ガス濃度との関係を示すグラフ。
【図5】バンドパスフィルタの透過スペクトルの器差を示すグラフ。
【図6】他の実施形態における実ガス濃度の算出手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る非分散型赤外分光光度計(NDIR)1は、図1に示すように、光源2、測定セル3、光学フィルタ4及び一対の光検出器51、52及び演算装置6を備えている。
【0017】
以下に各部を説明する。
光源2は、例えばフィラメントを熱して発光させる白熱タイプのものである。光源2は単一であり、実ガスに照射されると吸収されて減衰する測定光L1及び実ガスに照射されても実質的に減衰しないリファレンス光L2を含むブロードな帯域の光Lを照射する。
【0018】
測定セル3は、両端を開口させた円筒状をなすフロータイプのものであり、測定対象である実ガスを含んだサンプルガスSGを一端開口部から導入し、他端開口部から導出して、サンプルガスSGがこの測定セル3内を軸方向に流れていくように構成してある。また、壁体の対向する部位には、サファイア等の赤外透過光学結晶等で封止した光導入窓31及び光導出窓32がそれぞれ設けてあり、これら窓31、32を介して軸方向(ガスの流れ方向)と直交する方向に、セル外部から光Lを透過させ得るように構成してある。
【0019】
光学フィルタ4は、薄板状をなすもので、その半分の領域を占め測定光L1のみを通過させる第1バンドパスフィルタ41と、残りの領域を占めリファレンス光L2のみを透過させる第2バンドパスフィルタ42とからなる。
【0020】
一対の光検出器51、52には、熱型赤外線センサである焦電効果を利用したパイロセンサを用いている。一方の光検出器51は第1バンドパスフィルタ41に、また他方の光検出器52は第2バンドパスフィルタ42に臨んで設けられており、各バンドパスフィルタ41、42を通過した測定光L1及びリファレンス光L2を、各光検出器51、52がそれぞれ受光して、その受光光量に応じた値の電気信号(光検出信号)を演算装置6に出力する。
【0021】
演算装置6は、光検出器51、52から得られた光検出信号を取得して、その値に基づいて、サンプルガスSG中の実ガスの濃度等を算出するものである。なお、光検出信号値としては、例えば、光検出器51、52で生じた電圧値や電流値、光検出器51、52で検出された吸光度や透過率等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらの値に所定の補正や演算処理等が施された派生値であってもよい。
【0022】
当該演算装置6は、具体的には、CPUやメモリ、A/D変換器、D/A変換器等を有したデジタル乃至アナログ電気回路で構成されたもので、専用のものであってもよいし、一部又は全部にパソコン等の汎用コンピュータを利用するようにしたものであってもよい。また、CPUを用いず、アナログ回路のみで前記各部としての機能を果たすように構成してもよいし、物理的に一体である必要はなく、有線乃至無線によって互いに接続された複数の機器からなるものであってもよい。
【0023】
そして前記メモリに所定のプログラムを格納し、そのプログラムにしたがってCPUやその周辺機器を協働動作させることによって、この演算装置6が、光検出器51、52で検出された光検出信号を受け付ける受付部61、前記光検出信号値を変数xとする実ガス濃度C実ガスの算出式(C実ガス=α・f校正機(β・x))を格納する格納部62、受付部61から前記光検出信号値を取得するとともに格納部62から前記算出式を取得して、サンプルガスSG中の実ガスの濃度C実ガスを算出する計算部63等としての機能を発揮するように構成している。
【0024】
当該実ガス濃度C実ガスの算出式(C実ガス=α・f校正機(β・x))は、本NDIR1に初期濃度校正が行われた際に演算装置6に格納されたものである。
【0025】
当該実ガス濃度C実ガスの算出式(C実ガス=α・f校正機(β・x))は、図2に示す手順に基づき、作成されたものである。すなわち、まず、同一仕様のNDIRのなかから基準となる一の機体である基準機を選び出し、当該基準機の測定セル3に測定対象である実ガスを流して、実ガスの濃度C実ガスと光検出器51、52から得られた光検出信号値xとの関係をあらわす式(C実ガス=g基準機(x))を求める。更に、実ガスを代替ガスに代えて、同様に代替ガスの濃度C代替ガスと光検出器51、52から得られた光検出信号値xとの関係をあらわす式(C代替ガス=f基準機(x))を求める。そしてこれらの式から、代替ガス濃度C代替ガスを実ガス濃度C実ガスに変換するための変換係数αを求める(ステップS1)。
【0026】
なお、基準機に実ガスと代替ガスとをそれぞれ導入し、光検出器51、52から得られた光検出信号値xが一致した代替ガスの濃度C代替ガスと実ガスの濃度C実ガスとを対にして、複数の光検出信号値について得られた(代替ガスの濃度C代替ガス、実ガスの濃度C実ガス)をxy座標上にプロットすることにより、変換係数αを求めることも可能である。
【0027】
なお、基準機とは、仕様が同じ(光源2、測定セル3、光学フィルタ4、光検出器51、52等の規格が同じ、つまりほぼ同じ構造であるが、機械的な誤差等により個々に異なる)NDIRを代表するNDIR又は平均的なNDIRとして任意に選ばれた一のNDIRを意味するが、より具体的には、実ガスを導入して、実ガスの濃度C実ガスと光検出器から得られた光検出信号値xとの関係をあらわす式(C実ガス=g基準機(x))を求めるために使用された機体のことであり、校正機とは別の機体であってC実ガス=g基準機(x)を求めるために使用できるものであれば、いずれの機体を基準機としてもよい。
【0028】
また、本実施形態においては、図4に示すように、代替ガス濃度C代替ガスと実ガス濃度C実ガスとは傾きαの一次式で表される関係にあるが、変換係数αは代替ガスと実ガスの種類によって異なり、一次式の傾きに限定されるものではない。
【0029】
次に、基準機において、実ガスと代替ガスとの赤外光吸収率の比β1(β1=(abs.実ガス/abs.代替ガス基準機)を算出する(ステップS2)。
【0030】
なお、基準機における実ガスの赤外光吸収率(abs.実ガス)と代替ガスの赤外光吸収率(abs.代替ガス)は、基準機の測定セル3に実ガス又は代替ガスを流してそれぞれの光強度Iを測定し、いずれのガスも流していない時の光強度Iとの比較から、abs.=(I−I)/Iの式に従い算出されるものである。
【0031】
更に、校正対象となる一の機体である校正機(本NDIR1)において、実ガスと代替ガスとの赤外光吸収率の比β2(β2=(abs.実ガス/abs.代替ガス校正機)を算出する(ステップS3)。ここで、校正機における実ガスの赤外光吸収率(abs.実ガス)と代替ガスの赤外光吸収率(abs.代替ガス)は、予めFTIR等の分光光学計を用いて測定された第1バンドパスフィルタ41の透過スペクトルと、予め基準機で測定された実ガス又は代替ガスの透過スペクトルや文献に掲載されている実ガス又は代替ガスの透過スペクトル等から、図3(a)、(b)に示すように、領域Aと領域Bの面積を求め、1−(B/A)から算出することができる。具体的には、第1バンドパスフィルタ41の透過率Trフィルタと実ガス(又は代替ガス)の透過率Tr実ガス(or代替ガス)とから、abs.実ガス(or代替ガス)=1−{(∫(Trフィルタ×Tr実ガス(or代替ガス))/∫(Trフィルタ)}の関係式に基づき、実ガスと代替ガスの赤外光吸収率を求めることができる。
【0032】
なお、校正機での代替ガスの赤外光吸収率(abs.代替ガス)は、校正機の測定セル3に代替ガスを流してその光強度Iを測定し、いずれのガスも流していない時の光強度Iとの比較から、abs.=(I−I)/Iの式に従い算出されたものであってもよい。
【0033】
続いて、β1(β1=(abs.実ガス/abs.代替ガス基準機)とβ2(β2=(abs.実ガス/abs.代替ガス校正機)との比β(β=(abs.実ガス/abs.代替ガス基準機/(abs.実ガス/abs.代替ガス校正機)を算出する(ステップS4)。
【0034】
更に、校正機において、濃度既知の代替ガスを測定セル3に流して、光検出器51、52から得られた光検出信号値と、代替ガスの濃度との関係を調べて、当該光検出信号値を変数xとする代替ガス濃度C代替ガスの関数(代替ガス濃度C代替ガスの算出式;C代替ガス=f校正機(x))を作成する(ステップS5)。
【0035】
最後に、前記αを代替ガスから実ガスへの変換係数とし、前記βを校正機から基準機への変換係数とし、これらの変換係数を用いて、代替ガス濃度C代替ガスの算出式(C代替ガス=f校正機(x))から、校正機で使用される実ガス濃度C実ガスの算出式(C実ガス=α・f校正機(β・x))を作成する(ステップS6)。
【0036】
演算装置6で算出された実ガス濃度値は、図示しない表示器や記録装置等に出力される。
【0037】
したがって、このように構成した本実施形態に係るNDIR1によれば、バンドパスフィルタの光学特性の相違に起因する、実ガスと代替ガスとの赤外光吸収率の比(abs.実ガス/abs.代替ガス)の器差を解消することができ、校正機において実ガス濃度を測定しても、基準機において測定した場合と同じ結果を得ることができるので、安定して精度の高い分析を行うことができる。なお、前記実施形態においては、赤外光吸収率に基づいて校正及びβの決定が行われたが、赤外光吸収率に代えて、例えば、光検出器51、52で生じた電圧値や電流値、光検出器51、52で検出された吸光度や透過率等が用いられてもよい。
【0038】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0039】
例えば、本発明に係る分光光学計はNDIRに限られず、光学フィルタを備えたものであればいずれのものであってもよく、例えば、本発明を非分散型紫外分光光度計(NDUV)に適用することも可能である。
【0040】
また、前記実施形態では、格納部62に、前記光検出信号値を変数xとする実ガス濃度C実ガスの算出式(C実ガス=α・f校正機(β・x))が格納されており、計算部63においては、当該算出式に基づいてサンプルガスSG中の実ガスの濃度C実ガスが算出されるように構成されているが、サンプルガスSG中の実ガスの濃度C実ガスの算出方法はこれに限られず、例えば、格納部62には、式C代替ガス=f校正機(x)、変換係数α及びβが格納されており、計算部63においては、式C実ガス=f校正機(x)、変換係数α及びβに基づいて、図6に示すように、所定の順番で演算処理が施されてもよい。その他、サンプルガスSG中の実ガスの濃度C実ガスの算出方法には多様な形態が考えられ、例えば、変換係数αとβとの合成関数や、α又はβとf校正機(x)との合成関数等を用いて、サンプルガスSG中の実ガスの濃度C実ガスを算出することも可能である。また、図6に示す各ステップの順番は適宜変更されてもよく、更に、図6に例示されるような計算部63における演算処理ステップにおいても、変換係数αとβとの合成関数や、α又はβとf校正機(x)との合成関数等が用いられてもよい。
【0041】
その他、本発明は前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてもよく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1・・・NDIR
2・・・光源
4・・・光学フィルタ
51、52・・・光検出器
6・・・演算装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルガスに光を射出する光源と、前記サンプルガスを透過した光を検出する光検出器と、前記光源と前記光検出器との間に配置された光学フィルタと、前記光検出器により得られた検出信号値に基づいて前記サンプルガス中の測定対象とする実ガスの濃度を算出する演算装置と、を備えた分光光学計であって、
基準となる一の機体である基準機において得られた、代替ガス濃度と実ガス濃度とを関係付ける関数αと、
前記基準機における前記実ガスと前記代替ガスとの光吸収率の関係と、校正対象となる一の機体である校正機における前記実ガスと前記代替ガスとの光吸収率の関係とを関係付ける関数βと、
前記校正機における前記代替ガスの濃度と前記検出信号値との関係をあらわす関数と、に基づいて前記実ガスの濃度を算出することを特徴とする分光光学計。
【請求項2】
非分散型赤外分光光度計である請求項1記載の分光光学計。
【請求項3】
サンプルガスに光を射出する光源と、前記サンプルガスを透過した光を検出する光検出器と、前記光源と前記光検出器との間に配置された光学フィルタと、前記光検出器により得られた検出信号値に基づいて前記サンプルガス中の測定対象とする実ガスの濃度を算出する演算装置と、を備えた分光光学計の校正方法であって、
基準となる一の機体である基準機において、代替ガス濃度と実ガス濃度とを関係付ける関数αを求める工程と、
前記基準機における前記実ガスと前記代替ガスとの光吸収率の関係と、校正対象となる一の機体である校正機における前記実ガスと前記代替ガスとの光吸収率の関係とを関係付ける関数βを求める工程と、
前記校正機における前記代替ガスの濃度と前記検出信号値との関係をあらわす関数を求める工程と、
これらの関数に基づいて実ガスの濃度を算出する工程と、を備えていることを特徴とする校正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−202918(P2012−202918A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69808(P2011−69808)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000127961)株式会社堀場エステック (88)
【Fターム(参考)】