説明

分光光度計

【課題】1マイクロリットル程度の極微量試料のための試料容器であって、容易の洗浄可能な構造を有する試料容器を実現する。
【解決手段】試料容器3は透明ガラス板10と12とを黒色ガラス板11を間にして貼り合わせて構成される。黒色ガラス板11をくりぬいた部分と透明ガラス板10、12とで試料槽13を構成する。試料槽13の下には試料槽底部14を設け、試料槽底部14には穴17が形成される。穴17の下には隙間15があり、穴17を通して試料槽13に連通している。透明ガラス板10には隙間15に対応する位置に穴16が形成され、穴17、隙間15、穴16により排出口が形成される。試料槽13に収容された試料液は表面張力によって試料槽13から穴17に浸入することはない。試料槽13に収容された試料液を排出する場合は試料槽13に流体を表面張力に打ち勝つ程度の圧力により試料槽13供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光光度計に係わり、特に1マイクロリットル程度の超微量試料を測定するに最適な試料容器を備えた分光光度計に関する。
【背景技術】
【0002】
溶液中の化学物質(試料)の濃度あるいは量を測るのに、分光光度計を用いて光学的に計測することがしばしば行われている。これは、試料がある特定の波長の光を吸収する特性を持つとき、その吸収量は試料の濃度と光の透過する光路の長さに比例するという原理に基づいている。
【0003】
ここで、核酸や蛋白質を計測するバイオの分野においては、試料は生体からの抽出によって得られるので、微量にしか得られない場合が多い。また、例えば、DNA純度検定と呼ばれる測定は、例えば質量分析などを主目的とする測定の前に、試料の調製を確認するために行われる予備的な測定であるが、それに提供する試料は、本来の測定目的ではないので、できるだけ少ないことが望まれている。
【0004】
そのような場合、試料容器の断面積を小さくすると同時に、光路の長さを短くして試料容器の容量を極限まで小さくすることが行われる。
【0005】
特許文献1には、そのような極限まで容量を小さくした試料容器について記載され、試料容器の試料注入口を漏斗状にすることにより、試料注入/容器洗浄が容易な1〜50マイクロリットルの微量試料容器を提供している。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の試料容器は、通常、石英ガラスを使った高価なものなので、使い捨てにはできず、使用後には洗浄して再利用する。しかしながら、1マイクロリットル程度の試料液用に試料容器の形状が小さくすると、この測定後の洗浄が困難であり、測定作業の効率を悪化させている。
【0007】
そこで、特許文献2は、試料容器を使わないで上記のような極微量試料を測定する技術が記載されている。つまり、光源及び検知器に接続された2つの光ファイバーの上下測定面の間に試料液体を挟み込み、表面張力によって試料を柱状に保ったものに光を通して分光計測を行うものである。
【0008】
【特許文献1】特開2000−180352号公報
【特許文献2】米国特許第6,628,382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2記載の技術にあっては、試料容器を使わないので洗浄の手間は省ける反面、表面張力のみに頼るため、試料形状に不安定さがあり、測定の再現性に欠ける可能性がある。また、試料容器を使用しないため、貴重な試料が蒸発したり、溶媒が蒸発する可能性もある。さらに、試料が接触するファイバーの測定面に測定者が接触する可能性があり、測定精度に影響を及ぼすことも考えられる。
【0010】
このため、1マイクロリットル程度の極微量試料を安定して、再現性良く測定するためには、特許文献2に記載のような方法ではなく、試料を試料容器に入れて測定することが望ましい。
【0011】
しかしながら、1マイクロリットル程度の試料のための容器の内寸法は、例えば、1mm×1mm×1mmであり、超小型である。このため、従来においては、極微量試料の測定後、残留試料が無く、光透過窓の汚れが無いように、超小型容器内部を洗浄することは、非常に困難であった。
【0012】
例えば、バイオの分野において、試料が微量でも残ると、次の測定時に新たに注入した試料を汚染し、正確な測定を阻害することになる。
【0013】
したがって、本発明の目的は、1マイクロリットル程度の極微量試料のための試料容器であって、容易の洗浄可能な構造を有する試料容器及びそれを備えた分光光度計に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の分光光度計は、光源と、光源から放射された光を集光し光束を作る集光手段と、照射された光束を波長に応じて分散させる分光手段と、光を検知する光検知手段とを有する。
【0015】
そして、本発明の分光光度計は、集光手段と分光手段との間又は上記分光手段と光検知手段との間に、配置される試料容器と、この試料容器の洗浄手段を備え、この試料容器は、その下部に排出口が形成されていると共に、上記試料槽は試料槽上部と試料槽底部とを有し、この試料槽底部には、上記排出口と連通し、上記試料槽の上部開口断面積より小さい開口断面積を有する連通孔が形成されている。
【0016】
洗浄手段は、試料容器に、洗浄液又は気体を通流することにより試料槽内の試料を試料容器外部に排出し、試料槽を洗浄する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、1マイクロリットル程度の極微量試料のための試料容器であって、容易の洗浄可能な構造を有する試料容器を備えた分光光度計を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
本発明の分光光度計の概念構造を図1に示す。図1において、光源1で放射された光は集光ミラー2で集光され、細いビーム(光速)となって試料容器3の中にある試料4を照射する。試料4を透過した光は、試料容器3の近傍に設けられたスリット5に入射する。
【0020】
スリット5、凹面回折格子6および光検知器7は分光器を構成しており、スリット5に入射した光を波長に応じて分散させて光検知器7の上に結像させる。このようにして、試料4を透過した光のスペクトルが光検知器7の上に得られる。
【0021】
光検知器7は、ダイオードアレーになっており、試料4に関するスペクトルもしくは単一波長の光情報を取り出す。ここで、光検知器7として単一の光検知器を使用する場合には凹面回折格子6を回転させることでスペクトル情報を得るものであってもかまわない。
【0022】
試料容器3には洗浄液供給機構8が接続されており、測定終了後に洗浄液を洗浄液供給機構8から試料容器3に供給し、試料容器3の中にある試料4を廃液槽9に排出し、この試料容器3内の洗浄を行なう。続いて、洗浄液供給機構8から空気を試料容器3に流す事で試料容器3内を乾燥させる。
【0023】
試料容器3の構造を図2に示す。図2の[A]に試料容器3の外観を示し、図2の[B]にその構成について分解して示している。
【0024】
図2から明らかなように、試料容器3は透明ガラス板10と12とを黒色ガラス板(有色ガラス板)11を間にして、互いに貼り合わせて(又は接合して)構成されている。それぞれのガラス板10〜12の厚みは1mmを例とすることができるが、それに限るものではない。
【0025】
透明ガラス板10と12とは、光の入射、出射窓を構成している。そして、黒色ガラス板11をくりぬいた部分と、透明ガラス板10、12とで試料槽13を構成している。ガラス板11のくりぬき部分の幅は1mm、深さも1mmに構成しているので、黒色ガラス板11の厚みは1mmであるので、試料槽13の容量は1マイクロリットルである。
【0026】
図2の[A]に示したX−X'、およびY−Y'線に沿った断面を図2の[C]及び図2の[D]に示す。図2の[B]〜[D]に示すように、試料槽13は試料槽上部と試料槽底部とを有し、試料槽底部14には穴(連通孔)17が形成されている。
【0027】
また、穴17の下には隙間(排出口)15があり、穴17を通して試料槽13に連通している。透明ガラス板10には隙間15に対応する位置に穴16(排出口用開口)が形成され、穴17、隙間15、穴16により排出口が形成されている。また、試料槽上部18は漏斗形形状とし、試料を注入し易くしている。
【0028】
そして、穴17は、試料槽上部18の開口断面積より小さい開口断面積を有する。つまり、穴17は、直径0.3mm程度の微細な穴である。試料槽13に収容された試料液は、その表面張力によって試料槽13から穴17に浸入することはない。ただし、このような微細な穴17では毛細管現象で試料が流出することが考えられるが、試料槽底部14に疎水性の材料(例えばテフロン(登録商標))を採用することにより、試料槽13内の試料が毛細管現象で穴17から流出することを防いでいる。
【0029】
また、試料槽13に収容された試料液を、この試料槽13から排出する場合は、試料槽に流体を、表面張力に打ち勝つ程度の圧力により試料槽13供給することにより(または、穴16から吸引することにより)、穴17、隙間15、穴16を介して排出することができる。
【0030】
試料洗浄部8の構成を図3に示す。図3において、試料容器3には試料容器蓋19が密着しており、試料容器蓋19には管20を介してバルブ21(V1)とバルブ22(V2)とが接続されている。そして、バルブ21には洗浄液タンク23が接続されており、バルブ22には空気タンク24が接続されている。洗浄液タンク23と空気タンク24とはそれぞれポンプ25に接続されている。また、試料容器3の試料排出口である穴16は管26を介して廃液びん27に連絡している。タンク24に収容される気体は空気以外の気体とすることもできる。
【0031】
図4は、洗浄の動作を示すタイムチャートである。図4において、V1、V2と記したチャート28と29は、それぞれ、バルブ21(V1)とバルブ22(V2)の開閉状態を示しており、試料容器と記したチャート30は試料槽13内の試料あるいは洗浄液の量を示している。
【0032】
洗浄を始める前の試料槽13には、通常では、直前で測定された試料で満たされており、バルブ21(V1)とバルブ22(V2)は共に閉じられている。そして、管20の内部には前回の洗浄動作により空気が残留している。
【0033】
試料槽13の洗浄/乾燥の動作は次のように行なわれる。
【0034】
測定が終わって、洗浄開始の指令がなされると、時点t1にて、バルブ21(V1)が開く。すると、ポンプ25が加える圧力の作用により、まず、管20の内部にある空気が試料槽13内の試料を押し出して、穴17、隙間15、穴16を介して廃液びん27に排出する。
【0035】
続いて、時点t2にて、試料槽13には洗浄液タンク23より洗浄液が流入する。時点t3となっても、バルブ21(V1)を開けておくことにより、洗浄液が試料槽13を満たし、さらには廃液びん27に流出することで試料槽13が洗浄される。
【0036】
時点t3から一定時間の後の時点t4となると、バルブ21(V1)は閉じられ、代わってバルブ22(V2)が開けられる。すると、バルブ22(V2)を通して試料槽13には空気が入り込み、中の洗浄液を、穴17、隙間15、穴16を介して廃液びん27に排出する。
【0037】
時点t5となっても、バルブ22(V2)を開けておくことにより、試料槽13を空気が流れ、試料槽13を乾燥させる。
【0038】
一定時間の後の時点t6となると、バルブ22(V2)は閉じられ、洗浄動作が終了する。
【0039】
なお、この実施例においては、洗浄開始の合図は、例えば操作者が押しボタンを押すことによって与えられる。その後は、装置の動作制御部が自動的に試料の排出、試料容器の洗浄/乾燥を実行するので、操作者の手間をかけずに、また、試料容器のサイズによらずに、適切に試料容器3を洗浄することができる。
【0040】
また、バルブ21(V1)とバルブ22(V2)を開いている時間は固定で構わないが、調製可能であることが望ましい。
【0041】
図5は、試料の試料槽13への注入法を示す図である。図5において、試料容器蓋19は試料容器3から外せる構造になっており、試料注入時には試料容器蓋19を外して試料槽13をオープンにし、操作者はピペット31で試料を直接試料槽13に注入することができる。
【0042】
以上のように、本発明の第1の実施形態においては、試料容器3を、試料槽13と、この試料槽13の底部に連通する細孔である穴17と、この穴17に連通し、穴17より開口面積が大の隙間15と、この隙間15に連通する排出用の穴16とを形成している。そして、穴17は、一定以上の圧力が加わらない状態であれば、試料槽13に収容された試料液が流出しないように、表面張力が作用する開口面積となっている。
【0043】
したがって、複雑な試料排出、洗浄液吸入排出機構を必要とすることなく、簡単な構造で、試料の収納、排出、洗浄が可能となり、1マイクロリットル程度の極微量試料のための試料容器であって、容易の洗浄可能な構造を有する試料容器及びこの試料容器を備えた分光光度計を実現することができる。
【0044】
また、図3に示すように、ポンプ25、バルブ21、22、配管20、蓋19を備えるように構成すれば、試料容器3の洗浄、乾燥を自動的に実行することが可能となる。
【0045】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態の説明図である。
【0046】
この第2の実施形態においては、試料容器3の構造は第1の実施形態と同等であり、試料容器3には試料容器蓋19が密着していること、試料容器蓋19には管20を介してバルブ21(V1)とバルブ22(V2)が接続されていること、バルブ21には洗浄液タンク23が接続されていること、試料容器3の試料排出口である穴16は管26を介して廃液びん27に連絡されていること等も、第1の実施形態と同じである。
【0047】
この第2の実施形態においては、洗浄液が揮発性の場合、揮発ガスの大気への流出を防止するために、チェック弁33を設けている。第1の実施形態と、第2の実施形態との相違点は、ポンプ32が穴16の排出側の管26に接続されていることである。これにより、試料の排出および洗浄液の供給はポンプ32による吸引で行われる。
【0048】
バルブ21(V1)とバルブ22(V2)の制御による洗浄動作は図4に示したタイムチャートと全く同じである。また、試料注入時に試料容器蓋19は試料容器3から外せる構造になっており、試料注入時には試料容器蓋19が外れて、操作者はピペット31で試料を直接試料槽13に注入することができることも図5の場合と同じである。
【0049】
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が得られる他、試料の排出及び洗浄液の供給はポンプ32による吸引で行われるから、試料槽13及びその周辺の配管系は負圧になり、大気圧は試料容器蓋19と試料容器3とを密着させる働きをするので、機構系を簡略化できる効果がある。
【0050】
(第3の実施形態)
次に、洗浄の制御方法が上記の第1、第2の実施形態と異なる、本発明の第3の実施形態を説明する。試料容器の構造や装置構成は、第1の実施形態または第2の実施形態と同等である。
【0051】
第3の実施形態は、洗浄の制御、すなわちバルブ21(V1)の開閉を、実際に試料濃度を吸光度によってモニターし、濃度が十分にゼロに達したことを確認して洗浄を停止することにより行うものである。
【0052】
その場合、洗浄の目的は試料槽13に残る試料を洗い流すことにあるので、洗浄の完了は試料濃度がゼロになることで判断できるが、それだけでは不十分である。
【0053】
つまり、図4のタイムチャートの時点t1に示す状態にように、試料排出時に試料槽13が空になり得ることがあるからであり、その時点で試料濃度ゼロと判断される場合が考えられるからである。
【0054】
そのため、洗浄の完了は試料濃度がゼロになると共に、洗浄液が試料槽13内にあることで判断している。
【0055】
図7は、洗浄動作フローチャートである。
【0056】
図7において、バルブV1を開き、光検知器7で波長λ1の吸光度A1を読む。そして、吸光度A1から試料濃度N1を求める。そして、ステップ34で、求めた試料濃度がゼロになっているか否かを判断し、ゼロとなっていなければ、光検知器7のモニターに戻る。
【0057】
ステップ34で、試料濃度はゼロと判断すると、次に、波長λ2の吸光度A2を読み、洗浄液濃度N2を求める。そして、ステップ35で、洗浄液濃度N2が洗浄液の存在を判定する基準値dN2より大か否かを判断する。
【0058】
洗浄液濃度N2が基準値dN2より大でなければ、光検知器7のモニターに戻る。ステップ35で、洗浄液濃度N2が基準値dN2より大であれば、洗浄液が存在し、かつ、試料濃度がゼロであると判断でき、ステップ36で洗浄を終了し乾燥作業に移る。そして、ステップ37で乾燥時間の経過を確認して洗浄作業を終了する。
【0059】
本発明の第3の実施形態によれば、第1又は第2の実施形態と同様な効果が得られる他、洗浄は実際に試料濃度がゼロになるまで実行するので、洗浄時間と洗浄液の消費を必要最小限におさえつつ、確実に試料槽13を洗浄することができるという効果がある。
【0060】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態を示す図である。
【0061】
本発明の第4の実施形態においては、図3に示した試料洗浄部の構成に加え、空気タンク24にヒーター36を設け、乾燥に用いる空気を加熱できるようにしている。他の構成は、第1の実施形態と同等となっている。
【0062】
本発明の第4の実施形態によれば、加熱した高温空気で試料容器3を乾燥させることができるので、乾燥時間を短縮できる効果がある。
【0063】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態は、第1〜第4の実施形態における試料容器3、洗浄機構8を備えるが、試料容器3は、分光器6と光検知器7との間に配置されている。この第5の実施形態においても、第1〜第4の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0064】
なお、図示は省略したが、光検知器7からの出力信号に従った、試料濃度の算出、洗浄機構8の動作制御は、分光光度計に備えられた制御手段により実行される。
【0065】
以上述べたように、本発明は、複雑な排出機構を形成することなく、自動的に試料容器内の液体試料を排除し、試料容器の洗浄/乾燥をすることができ、操作者の手をわずらわすことなく、試料容器の大きさにはかかわり無く適切な洗浄がおこなわれ、試料の汚染のない正確な測定が容易に得られる分光光度計を提供するので、広く分光光度計に利用できる。
【0066】
特に、1マイクロリットル程度の微量試料を扱う分光光度計に効果的に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明が適用される分光光度計全体の概略構成図である。
【図2】本発明の試料容器の構造を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における洗浄系の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における洗浄・乾燥を実施するタイムチャートである。
【図5】本発明における試料注入を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における洗浄系の構成を示す説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における洗浄・乾燥の動作フローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態における洗浄系の構成を示す説明図である。
【図9】本発明の第5の実施形態における分光光度計の概略構成図である。
【符号の説明】
【0068】
1 光源
2 集光ミラー
3 試料容器
4 試料
5 スリット
6 凹面回折格子
7 光検知器
8 洗浄液供給機構
9 廃液びん
10、12 透明ガラス板
11 黒色ガラス板
13 試料槽
14 試料槽底部
15 隙間
16、17 穴
18 試料槽上部
19 試料容器蓋
20、26 管
21、22 バルブ
23 洗浄液タンク
24 空気タンク
25 ポンプ
27 廃液びん
31 ピペット
32 ポンプ
33 チェック弁
38 ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、この光源から放射された光を集光し光束を作る集光手段と、照射された光束を波長に応じて分散させる分光手段と、光を検知する光検知手段とを有する分光光度計において、
上記集光手段と分光手段との間又は上記分光手段と光検知手段との間に配置され、液体試料を収容し、収容した液体試料に照射された光束を通過させる試料槽を有する試料容器と、
上記試料容器に、洗浄液又は気体を通流することにより試料槽内の試料を試料容器外部に排出し、試料槽を洗浄する洗浄手段と、
を備え、上記試料容器は、その下部に排出口が形成されていると共に、上記試料槽は試料槽上部と試料槽底部とを有し、この試料槽底部には、上記排出口と連通し、上記試料槽の上部開口断面積より小さい開口断面積を有する連通孔が形成されていることを特徴とする分光光度計。
【請求項2】
請求項1記載の分光光度計において、上記試料容器は、試料槽を覆う試料容器蓋を有し、この試料容器蓋には排出用気体又は洗浄液を注入する注入口が形成されていることを特徴とする分光光度計。
【請求項3】
請求項1記載の分光光度計において、上記洗浄手段は、気体を試料容器に注入する事により、試料容器中の試料を排出し、続いて洗浄液を試料容器に注入して試料容器内部を洗浄した後、乾燥用の気体を試料容器に注入して試料容器内を乾燥させることを特徴とする分光光度計。
【請求項4】
請求項2記載の分光光度計において、上記洗浄手段は、上記試料容器の排出口から試料、気体又は洗浄液を吸引する手段を備え、上記試料容器に洗浄液を供給しながら上記吸引手段により液体試料及び洗浄液を吸引することにより液体試料の排除と試料容器の洗浄を行った後、洗浄液の試料容器への供給を停止して気体を上記吸引手段により吸引することで試料容器の乾燥を行うことを特徴とする分光光度計。
【請求項5】
請求項2記載の分光光度計において、上記試料容器蓋は開閉可能であることを特徴とする分光光度計。
【請求項6】
請求項1記載の分光光度計において、上記試料容器の試料槽底部の材質は、毛細管現象による液体試料の流出を防止する疎水性の材質であることを特徴とする分光光度計。
【請求項7】
請求項1記載の分光光度計において、上記洗浄手段は、光検知手段により検知された光から上記試料槽内の液体の吸光度を求めて、試料残留濃度を算出する手段を備え、試料容器への洗浄液の通流を、上記残留濃度がほぼゼロとなったときに停止することを特徴とする分光光度計。
【請求項8】
請求項3記載の分光光度計において、上記洗浄手段は、気体の加熱手段を有し、乾燥用の気体を加熱した後に、試料容器に注入して試料容器内を乾燥させることを特徴とする分光光度計。
【請求項9】
分光光度計に用いられ、液体試料を収容し、収容した液体試料に照射された光束を通過させる試料槽を有する液体試料容器において、
上記液体試料容器は、その下部に排出口が形成されていると共に、上記試料槽は試料槽上部と試料槽底部とを有し、この試料槽底部には、上記排出口と連通し、上記試料槽の上部開口断面積より小さい開口断面積を有する連通孔が形成されていることを特徴とする液体試料容器。
【請求項10】
請求項9記載の液体試料容器において、上記試料槽底部の材質は、毛細管現象による液体試料の流出を防止する疎水性の材質であることを特徴とする液体試料容器。
【請求項11】
請求項9記載の液体試料容器において、上記試料槽を覆う試料容器蓋を備えることを特徴とする液体試料容器。
【請求項12】
請求項9記載の液体試料容器において、この液体試料容器は、
上記試料槽上部を形成する試料槽用開口と、上記試料槽底部の連通孔を形成する連通孔用開口と、上記排出口を形成する排出口用開口とが形成された有色ガラス板と、
第1の透明ガラス板と、
上記有色ガラス板に形成された排出口用開口に対応する位置に、排出口用開口は形成された第2の透明ガラスと、
を備え、上記有色ガラス板を間にして、上記第1の透明ガラス板及び第2の透明ガラス板とが接合されていることを特徴とする液体試料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−3335(P2007−3335A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183467(P2005−183467)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(505099772)株式会社日立ハイテクマニファクチャ&サービス (11)
【Fターム(参考)】