説明

分光光度計

【課題】1マイクロリットル程度の極微量試料のための試料容器であって、容易に洗浄可能な構造を有する試料容器を備えた分光光度計を実現する。
【解決手段】試料容器3は試料注入口、試料槽、試料排出口が形成され、試料排出口は試料の表面張力により液体試料が試料槽内に保持されるように狭小な開口面積となっている。試料測定が終わると、ポンプ28が起動されバルブ23、21がオンになり、試料槽内の試料が廃液タンク30に排出された後、試料槽に洗浄液タンク27より洗浄液が流入し、バルブ23の切換えによりアルコールタンク25よりアルコールが流入し洗浄される。その後、バルブ21をオフ、バルブ32をオンとし水吸入口17にタンク34より精製水を流入させ、アルコールを洗い流させ、バルブ21を切換え空気を流入させ試料槽に空気を流し、試料槽を乾燥させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微量試料を測定する試料容器を備えた分光光度計に関する。
【背景技術】
【0002】
溶液中の化学物質(以下これを試料と呼ぶ)の濃度あるいは量を測るのに、分光光度計を用いて光学的に計測することがしばしば行われている。これは、試料がある特定の波長の光を吸収する特性を持つとき、その光の吸収量は試料の濃度と光の透過する光路の長さに比例するという原理(Bouguer−Lambert−Beerの法則として知られている)に基づいている。
【0003】
そのため、通常、試料はある一定の長さの光路を持つ透明な試料容器(これをセルあるいはキュベットと呼ぶ)に入れて測定に供される。試料容器内の光路の長さは10mmのものを標準とし、JISに規定されている。
【0004】
しかし、通常、試料の濃度は、濃度既知の試料との吸光度の比から相対的に求めるので、光路の長さは、一定であることが保たれる限り、10mmに限られるものではなく、任意であってかまわない。測定に提供できる試料の量が少ない場合には、光路の長さを短くし、試料容器の容量を小さくして対応することが行われている。
【0005】
この傾向は核酸や蛋白質を計測するバイオの分野において特に顕著である。もともと、バイオの分野では試料は生体からの抽出によって得られるので、微量にしか得られない場合が多い。加えて、例えば、DNA純度検定と呼ばれる測定は、質量分析などを主目的とする測定の前に、試料の調製を確認するために行われる予備的な測定であるが、それに提供する試料は、本来の測定目的ではないので、できるだけ少ないことが望まれている。
【0006】
試料をセルに入れて測定すると汚染(コンタミネーション)が懸念されるので、その試料は、回収せずに捨てることが多いからである。そのような場合、試料容器の断面積を小さくすると同時に、光路の長さを短くして試料容器の容量を極限まで小さくすることが行われる。
【0007】
特許文献1は、そのような極限まで容量を小さくした試料容器について記載されており、試料容器の試料注入口を漏斗状にすることにより、試料注入/容器洗浄が容易な1〜50マイクロリットルの微量試料容器としている。
【0008】
【特許文献1】特開2000−180352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の試料容器は、通常、石英ガラスを使った高価なものなので、使い捨てにはできず、使用後には洗浄して再利用するが、1マイクロリットル程度の試料液用に試料容器の形状を小さくすると、この測定後の洗浄が困難であり、測定作業の効率を悪化させている。
【0010】
1マイクロリットル程度の試料のための容器の内寸法は、例えば、1mm×1mm×1mmであり、超小型である。このため、従来技術においては、極微量試料の測定後、残留試料が無く、光透過窓の汚れが無いように、超小型容器内部を洗浄することは、非常に困難であった。
【0011】
例えば、バイオの分野において、試料が微量でも残ると、次の測定時に新たに注入した試料を汚染し、正確な測定を阻害することになる。
【0012】
したがって、本発明の目的は、1マイクロリットル程度の極微量試料のための試料容器であって、容易に洗浄可能な構造を有する試料容器を備えた分光光度計を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の分光光度計の試料容器は、集光手段と分光手段との間に配置され、液体試料を収容し、収容した液体試料に集光手段からの光束を通過させる試料槽と、この試料槽の底部側に配置された試料排出流路と、この試料排出流路に連通する水吸入口とを有し、液体試料による表面張力を発生させ、液体試料を試料槽内に保持する試料排出口が上記試料槽の底部に形成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、1マイクロリットル程度の極微量試料のための試料容器であって、容易に洗浄可能な構造を有する試料容器を備えた分光光度計及び分光光度計に用いる試料容器を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明が適用される分光光度計の概略構成図である。図1において、光源1で放射された光は集光ミラー2で集光され、細いビームとなって試料容器3の中にある試料4を照射する。試料4を透過した光は、試料容器3の近傍に設けられたスリット5に入射する。スリット5、凹面回折格子6および光検知器7は分光器を構成しており、スリット5に入射した光を凹面回折格子6により波長に応じて分散させて光検知器7の上に結像させる。
【0017】
このようにして、試料4を透過した光のスペクトルが光検知器7の上に得られる。光検知器7はダイオードアレーになっており、スペクトルもしくは単一波長の光情報と取り出す。ここで、光検知器7として単一の光検知器を使用する場合には凹面回折格子6を回転させることでスペクトル情報を得るものであってもかまわない。
【0018】
試料容器3には、洗浄液供給機構8が接続されており、測定終了後に洗浄液を洗浄液供給機構8から試料容器3に供給し、試料容器3の中にある試料4を廃液槽9に排出して、試料容器3内の洗浄を行なう。
【0019】
続いて、洗浄液供給機構8から試料容器3にアルコールを供給し、さらに、試料容器3に空気を供給する事で、試料容器3の内部をアルコールの気化作用により乾燥させ、乾燥時間を短縮することができる。
【0020】
図2は、試料容器3の構造を示す図であり、図2の[A]のX−X'線に沿った断面を図2の[B]に示し、図2の[A]のY−Y'線に沿った断面を図2の[C]に示す。
【0021】
図2において、試料容器3は透明ガラス板で構成され、試料注入口10、試料槽11、および試料排出口12が形成されている。試料注入口10は漏斗形状とし、試料の注入が容易な形状となっている。そして、試料排出口12は、試料の表面張力により、液体試料が試料槽11内に保持されるように、狭小な開口面積となっており、例えば、縦1mm、横0.3mmの長方形状となっている。
【0022】
試料槽11は、測定時に注入された試料が、上述したように試料排出口12における表面張力で保持され、測定の間、試料を留め置き、光を透過させて測定を行う空間である。つまり、試料槽11は、集光ミラー2からの光束が透過する2つの互いに対向する透明な側面を有し、これら側面に挟まれた空間中に液体試料を収容する。この試料槽11が保持し得る試料の容量は、例えば、1マイクロリットル程度であるが、1マイクロリットルに限るものではない。
【0023】
試料排出口12は、測定の後、試料を試料槽11から排出するものであり、水平な平面である底面13に形成されている。上記のごとく、試料容器3は試料注入および測定時には固定セルとして機能し、洗浄および乾燥時にはフローセルとして機能するものである。
【0024】
図3は、試料容器3を保持する試料ホルダ14の説明図であり、図3の[A]は縦断面を示し、図3の[B]は横断面を示す。この試料容器ホルダ14によって試料容器3は、分光光度計内に保持され、洗浄液供給機構8に接続される。
【0025】
試料容器ホルダ14は試料容器3を密着して保持するために、Oリング15を備えるが、Oリングに限るものではなく、他の接合方法、例えば接着によるものであってもかまわない。試料ホルダ14には、試料容器3の試料排出口12に連通する排出路16が形成されるとともに、この排出路16に連通する吸入口17と排出路18とが形成されている。
【0026】
図3[B]に示すように、試料排出口12は、排出路16の中央部付近となるように位置関係が調整されている。
【0027】
上述したように、試料排出口12において試料の表面張力が有効に作用するためには、試料排出口12の周囲には水平な平面が必要であり、そのため、試料排出口12と試料ホルダ14の上面とは接してはならず、好ましくは1mm以上の距離をもつように、排出路16の形状寸法を決定することが望ましい。
【0028】
なお、試料容器ホルダ14は分光光度計側に付いていても良いし、試料容器3と一体となっていても良い。試料容器ホルダ14が試料容器3と一体となっていれば、試料容器3の分光光度計からの着脱が容易になるメリットがある。
【0029】
試料容器3の洗浄過程で、試料容器3にアルコールを流すが、アルコールを流す流路内に僅かでもアルコールが残留すると、試料槽11に収容された場合、残留アルコールの気化により、アルコール流路と繋がる試料槽11内の試料4に気泡を発生させる。
【0030】
試料槽11内の試料4に気泡が発生することを抑えるには、試料容器3にアルコールを流した後に、試料容器3に繋がる試料容器ホルダ14に水を水吸入口17より流し込み、試料槽11以下の流路内残留アルコールを洗い流す。
【0031】
図4は、試料容器3の洗浄部の概略構成図である。図4において、試料容器3の試料注入口10にはノズル19が密着している。ノズル19には管20を介してV2バルブ21が接続されている。このV2バルブ21は三方弁で、Commonは、管20を介してノズル19に接続されており、Normal Closeには管22を介してV1バルブ23が接続されている。V2バルブ21のNormal Openは大気に開放されている。
【0032】
V1バルブ23は三方弁で、Commonは管22を介してV2バルブ21に接続されており、Normal Closeには管24を介してアルコールタンク25に繋がっている。V1バルブ23のNormal Openは管26を介して洗浄液タンク27に繋がっている。
【0033】
また、試料容器ホルダ14の排出路18は、管を介してポンプ28に接続されており、さらにポンプ28は管29を介して廃液タンク30に繋がっている。また、試料容器ホルダ14の水吸入口17は、管31を介してV3バルブ32に接続されている。
【0034】
このV3バルブ32は二方弁であり、Outは管31を介して試料容器ホルダ14の水吸入口17に接続されている。V3バルブ32のInは管33を介して精製水タンク34に繋がっている。試料容器3内の試料やアルコールは、ポンプ28より吸引され、廃液タンク30に排出される。
【0035】
図5は、試料容器3の洗浄動作を示すタイムチャートである。
【0036】
図5において、チャート36、37、38はそれぞれV1バルブ23、V2バルブ21、V3バルブ32の状態を示しており、チャート39はポンプ28の状態を示している。また、試料容器と記したチャート40は試料槽11内の試料あるいは洗浄液の量を示している。
【0037】
試料容器3の試料槽11の洗浄/乾燥の動作は次のように行われる。なお、以下の説明文の冒頭に記した(1)〜(5)は図5に記したフェーズの番号(丸内の数字)に対応している。また、バルブ21、23、32、ポンプ28の動作制御は、コントローラ(図示せず)により行われる。
【0038】
(1)試料測定が終わって、洗浄開始の合図がなされると、ポンプ28が起動され、同時にV1バルブ23、V2バルブ21がオンになる。すると、ポンプ28の作用により、まず、試料槽11内の試料が、試料排出口12において形成されていた表面張力に打ち勝って、吸引されて廃液タンク30に排出される。
【0039】
(2)続いて、試料槽11には洗浄液タンク27より洗浄液が流入し洗浄される。
【0040】
(3)さらに、コントローラによるV1バルブ23の切換えにより、試料槽11にアルコールタンク25よりアルコールが流入し洗浄される。
【0041】
(4)その後、コントローラは、V2バルブ21をオフ、V3バルブ32をオンとし、水吸入口17に精製水タンク34より精製水を流入させ、アルコールを洗い流させる。
【0042】
(5)続いて、ポンプ28を駆動させ、V2バルブ21を切換え空気を流入させ試料槽11に空気を流し、試料槽11を乾燥させる。一定時間の後、ポンプ21は停止され、洗浄動作が終了する。
【0043】
なお、この第1の実施形態においては、洗浄開始の合図は、例えば操作者が押しボタンを押すことによって与えられる。その後は、装置のコントローラにより自動的に試料の排出、試料容器の洗浄やアルコール特有の揮発性による乾燥を促し実行するので、操作者の手間や時間をかけずに、また、試料容器のサイズによらずに、適切に試料容器を洗浄することができる。
【0044】
また、V2バルブ21及びV1バルブ23とポンプ28をオンにしている時間は固定で構わないが、調整可能であることが望ましい。一実施形態においては、(1)、(2)の動作は、約15秒、(3)〜(5)の動作は25〜30秒程度である。
【0045】
次に、図6を参照して、試料容器3への液体試料の注入方法を説明する。
図6において、ノズル19は試料容器3から外せる構造になっており、試料注入時にはノズル19を試料容器3から外して試料槽11をオープンにし、操作者はピペット35で試料を、直接、試料槽11に注入することができる。
【0046】
図7は、試料容器3の洗浄・乾燥の動作フローチャートである。
【0047】
図7において、ステップ41でポンプ28を起動させ、ステップ42でV1バルブ23、V2バルブ21を開きの状態にし、ステップ43により試料容器3を洗浄・乾燥する。ステップ43は、上述した動作(3)〜(5)に対応する。
【0048】
以上述べたように、本発明の第1の実施形態は、自動的に試料容器3内の液体試料を排除し、試料容器3の洗浄/乾燥をするので、操作者の手を煩わすことなく、試料容器3の大きさにはかかわり無く適切な洗浄を行うことができる。これにより、試料の汚染のない正確な測定が容易に連続で得られる分光光度計を提供することができる。特に、1マイクロリットル程度の微量試料を扱う分光光度計に適用した場合に、自動的に洗浄することが可能である。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、説明する。
【0050】
上述した第1の実施形態は、DNA試料のような微量試料を測定する場合の例であり、試料容器3はフローセルとしては使用できない場合の例であるが、微量試料用としてのみなならず、フローセルとしても使用可能な例が第2の実施形態である。
【0051】
図8は、本発明の第2の実施形態の説明図であり、試料容器3をフローセルとして使用する場合の説明図である。この図8の例と、図4に示した例との相違点は、バルブ21とバル23との間の配管22に、バルブ44が配置され、このバルブ44に管45を介して試料容器46が繋げられている点である。図8の他の構成は、図4の例と同様となっている。
【0052】
試料容器3をフローセルとして使用する場合、つまり、DNA試料以外の生体試料(尿等)を測定する場合、ノズル19は、試料容器3の試料注入口10に密着される。また、試料は、試料容器46に収容される。そして、バルブ44により、管22と45とを連通させ、バルブ21により管22と20とを連通させる。そして、バルブ32は管32と31とを連通させない設定とされる。
【0053】
そして、ポンプ28を起動し、試料容器46内の試料が、管45、バルブ22、管22、バルブ21、管20、ノズル19、使用容器3、使用ホルダ14、ポンプ28、管29を介して、廃液タンク30に流される。
【0054】
測定が終了すると、バルブ44は、管22と管45との連通を停止し、管22と23とを連通させる。そして、第1の実施形態と同様にして、試料容器3の洗浄を行う。
【0055】
次に、DNA試料等の微小試料の測定に試料容器3を使用する場合について、図9を参照して説明する。
この場合、ノズル19は、試料容器3の使用供給口10から離間されており、試料はピペット35により、試料容器3の試料槽11に供給される。
【0056】
試料の測定が終了すれば、第1の実施形態と同様にして、試料容器3の洗浄が行われる。
【0057】
ただし、バルブ44は、管22と管45との連通を停止し、管22と23とを連通させる状態となっている。
【0058】
以上のように、本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態と同様な効果が得られる他、試料容器3をフローセルとして使用することも可能という効果を得ることができる。
【0059】
なお、上述した例においては、アルコールを用いて洗浄したが、アルコールに限らず、揮発性溶液であれば、例えば、アセトン等を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明が適用される分光光度計の概略構成説明図である。
【図2】本発明における試料容器の構造説明図である。
【図3】本発明における試料容器ホルダの構造説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における洗浄系の構成説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における洗浄・乾燥を説明する動作タイムチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態における試料注入説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における試料容器の洗浄・乾燥の動作フローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態において、試料容器をフローセルとして使用する場合の説明図である。
【図9】本発明の第2の実施形態において、微小試料を測定する場合の説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1・・・光源、 2・・・集光ミラー、 3・・・試料容器、 4・・・試料、5・・・スリット、 6・・・凹面回折格子、 7・・・光検知器、 8・・・洗浄液供給機構、 9・・・廃液槽、 10・・・試料注入口、 11・・・試料槽、 12・・・試料排出口、 13・・・試料容器底面、 14・・・試料容器ホルダ、 15・・・Oリング、 16・・・排出路、 17・・・水吸入口、 18・・・排出路開口部、 19・・・ノズル、 20・・・管、 21・・・V2バルブ、 22・・・管、 23・・・V1バルブ、 24・・・管、 25・・・アルコールタンク、 26・・・管、 27・・・洗浄液タンク、 28・・・ポンプ、 29・・・‥管、 30・・・廃液タンク、 31・・・管、 32・・・V3バルブ、 33・・・管、 34・・・精製水タンク、 35・・・ピペット、44・・・バルブ、 45・・・管、 46・・・試料槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、この光源から放射された光を集光し光束を作る集光手段と、この集光手段から照射された光束を波長に応じて分散させる分光手段と、この分光手段により分光された光を検知する光検知手段とを有する分光光度計において、
上記集光手段と分光手段との間に配置され、液体試料を収容し、収容した液体試料に、上記集光手段からの光束を通過させる試料槽と、この試料槽の底部側に配置された試料排出流路と、この試料排出流路に連通する水吸入口とを有し、上記試料排出路と連通し、液体試料による表面張力を発生させ、液体試料を上記試料槽内に保持する試料排出口が上記試料槽の底部に形成される試料容器と、
上記試料容器の試料槽に洗浄液及び揮発性液体を供給する洗浄液供給手段と、
上記試料容器の上記水吸入口に水を供給する水供給手段と、
を備えることを特徴とする分光光度計。
【請求項2】
光源と、この光源から放射された光を集光し光束を作る集光手段と、この集光手段から照射された光束を波長に応じて分散させる分光手段と、この分光手段により分光された光を検知する光検知手段とを有する分光光度計において、
上記集光手段と分光手段との間に配置され、液体試料を収容し、収容した液体試料に、上記集光手段からの光束を通過させる試料槽と、この試料槽の底部側に配置された試料排出流路と、この試料排出流路に連通する水吸入口とを有し、上記試料排出路と連通し、液体試料による表面張力を発生させ、液体試料を上記試料槽内に保持する試料排出口が上記試料槽の底部に形成される試料容器と、
上記試料容器の試料槽に試料液を連続的に供給可能な試料連続供給手段と、
上記試料容器の試料槽に洗浄液及び揮発性液体を供給する洗浄液供給手段と、
上記試料容器の上記水吸入口に水を供給する水供給手段と、
を備えることを特徴とする分光光度計。
【請求項3】
請求項1又は2記載の分光光度計において、上記試料容器の試料槽は、上記光束が透過する2つの互いに対向する透明な側面を有し、これら側面に挟まれた空間中に液体試料を収容することを特徴とする分光光度計。
【請求項4】
請求項1又は2記載の分光光度計において、上記洗浄液供給手段は、上記試料容器の試料槽開口部に密着及び離間するノズルを有し、このノズルは上記試料容器への試料注入時には試料槽開口部から離間し、上記資料容器の洗浄時には試料槽開口部に密着することを特徴とする分光光度計。
【請求項5】
請求項1又は2記載の分光光度計において、上記試料容器の試料槽は、漏斗形状の試料注入部を有することを特徴とする分光光度計。
【請求項6】
請求項1又は2記載の分光光度計において、上記洗浄液供給手段は、上記試料容器に洗浄液を供給して洗浄した後に、揮発性液体を上記試料容器に供給し、その後、上記水吸入口から水を試料排出流路に供給した後に、上記試料容器内に空気を流すことを特徴とする分光光度計。
【請求項7】
請求項1又は2記載の分光光度計において、上記試料容器は、上記試料槽と分離可能であり、上記試料排出路及び水吸入口が形成された試料容器ホルダからなることを特徴とする分光光度計。
【請求項8】
分光光度計に用いられ、液体試料を収容し、収容した液体試料に照射された光束を通過させる試料槽を有する液体試料容器において、
上記試料槽の底部側に配置された試料排出流路と、この試料排出流路に連通する水吸入口とを有し、上記試料排出路と連通し、液体試料による表面張力を発生させ、液体試料を上記試料槽内に保持する試料排出口が上記試料槽の底部に形成されていることを特徴とする液体試料容器。
【請求項9】
請求項8記載の液体試料容器において、上記試料槽は、上記光束が透過する2つの互いに対向する透明な側面を有し、これら側面に挟まれた空間中に液体試料を収容することを特徴とする液体試料容器。
【請求項10】
請求項8記載の液体試料容器において、上記試料槽は、漏斗形状の試料注入部を有することを特徴とする液体試料容器。
【請求項11】
請求項8記載の液体試料容器において、上記試料槽と分離可能であり、上記試料排出路及び水吸入口が形成された試料容器ホルダを備えることを特徴とする液体試料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−116417(P2008−116417A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302404(P2006−302404)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(505099772)株式会社日立ハイテクマニファクチャ&サービス (11)
【Fターム(参考)】