説明

分光分析用の電子ビーム源としての誘導結合プラズマ源

【課題】FIB動作用のイオン・モードまたはSEM動作用の電子モードで動作するユーザが選択可能な構成を有する単一カラム誘導結合プラズマ源を提供すること。
【解決手段】X線検出器が装着されていれば、エネルギー分散型のX線分光分析が可能である。ユーザは、イオン・モードまたはFIBモードで試料を調製するようにICPを選択的に構成し、次いで電子モードまたはSEMモードを選択するスイッチを実際に動かし、EDSまたは他のタイプの分析を使用して試料を分析することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷電粒子ビーム・システムに関し、具体的には、試料を処理し分析するための電子またはイオンを、誘導結合プラズマ源を使用して供給することに関する。
【背景技術】
【0002】
イオン・ビーム・システム、電子ビーム・システムなどの集束荷電粒子ビーム・システムは、マイクロスコピックまたはナノスコピック規模で試料を画像化し、分析し、改変するのに使用されている。例えば、電子ビームを走査電子顕微鏡(SEM)内で使用して、2次電子を検出することにより試料の画像を形成し、X線スペクトルを測定することにより元素を分析することができる。例えば、集束イオン・ビーム(FIB)システムを、ナノテクノロジ分野および集積回路製造分野のさまざまな用途で使用して、マイクロスコピック構造およびナノスコピック構造を形成し、改変することができる。例えば、FIBシステムを使用して、高い精度で画像化、ミリング、付着および分析を実行することができる。ミリングまたはマイクロ機械加工は、試料の表面または試料の表面近くのバルク材料の除去を含む。ミリングは、スパッタリングと呼ばれるプロセスではエッチング支援ガスを使用せずに、または化学的支援(chemically−assisted)イオン・ビーム・エッチングと呼ばれるプロセスではエッチング支援ガスを使用して、実行することができる。本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,188,705号は、化学的支援イオン・ビーム・エッチング法を記載している。化学的支援イオン・ビーム・エッチングでは、イオン・ビームの存在下でエッチング強化ガスが反応して表面材料と結合し、揮発性の化合物を形成する。FIB付着では、イオン・ビームの存在下で有機金属化合物などの前駆体ガスが分解して、ターゲット表面に材料を付着させる。
【0003】
荷電粒子はさまざまな源から生み出すことができる。より多くの荷電粒子を生み出し、より小さなスポットに集めることができるため、「明るい(bright)」源が望ましい。荷電粒子ビーム源の「明るさ」は、面積あたりの放出される荷電粒子の数および粒子が放出される立体角に関係する。粒子が放出されているように見えるエリアは「仮想源」と呼ばれる。明るさの強い源は一般に小さな仮想源サイズを有し、より小さなスポットに集束させることができ、より小さなスポットはより高い分解能の処理を提供する。
【0004】
液体金属イオン源(LMIS)は非常に明るく、高分解能の処理を提供することができるが、高分解能ではビーム電流が低く制限される。ガリウムLMISを使用する一般的なシステムは、5から7ナノメートルの横方向分解能(lateral resolution)を提供することができる。そのようなシステムは、マイクロスコピックないしナノスコピック規模での材料の特性評価および処理で広く使用されている。ガリウムLMISは、ガリウムの層で覆われた先の尖った針を備える。源からイオンを引き出すためには液体ガリウムに電場を与える。高分解能処理用の非常に細いビームを生み出すためには、LMISからのビーム中の電流を比較的に低く保たなければならず、このことは、低いエッチング速度およびより長い処理時間を意味する。ビーム電流がある点を超えて増大すると分解能は急速に低下する。
【0005】
プラズマ・イオン源は、プラズマ室内のガスをイオン化し、イオンを引き出して、加工物に集束させるビームを形成する。プラズマ・イオン源はLMISよりも大きな仮想源サイズを有し、明るさははるかに弱い。したがって、プラズマ源からのイオン・ビームを、LMISからのビームと同様の小さなスポットに集束させることはできないが、プラズマ源はかなりより多くの電流を生み出すことができる。CoathおよびLong、「A High−Brightness Duoplasmatron Ion Source Microprobe Secondary Ion Mass Spectroscopy」、Rev.Sci.Instruments 66(2)、1018ページ(1995)に記載されているデュオプラズマトロン(duoplasmatron)源などのプラズマ源は、イオン・ビーム・システム用のイオン源として、特に質量分析用途およびイオン注入用途に使用されている。より最近には、荷電粒子の集束ビーム、すなわちイオンまたは電子の集束ビームを形成する目的に、誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma)(ICP)源が集束カラムとともに使用されている。
【0006】
誘導結合プラズマ源は、狭いエネルギー範囲内の荷電粒子を供給することができ、このことは、デュオプラズマトロン源からのイオンよりも小さなスポットに粒子を集束させることを可能にする。本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,241,361号に記載されているICP源などのICP源は、一般にセラミック製のプラズマ室の周囲に巻き付けられた高周波(RF)アンテナを含む。このRFアンテナは、プラズマ室の内部でガスをイオン化された状態に維持するためのエネルギーを供給する。プラズマ源の仮想源サイズはLMISの仮想源サイズよりもはるかに大きいため、明るさはプラズマ源の方がはるかに弱い。
【0007】
電子ビームは、加工物の画像を形成するために、走査電子顕微鏡(SEM)内で使用されている。電子は一般に、六ホウ化タングステンもしくは六ホウ化ランタン熱イオン放出器、またはショットキー放出器、冷陰極放出器などの電界放出銃によって供給される。このような放出器は小さな仮想源を提供し、非常に小さなスポットに集束させることができる。SEM内で使用されている一般的な電子放出器は、約2×107A/m2・sr・Vから8.2×107A/m2・sr・Vの間の弱い明るさを有することがある。電子は、イオンよりも小さなスポットに集束させることができ、イオンよりも試料を傷つけない。
【0008】
電子ビーム集束カラムはイオン・ビーム集束カラムとはかなり異なる。例えば、電子ビーム・カラムは一般に、収差が小さいことから磁気集束レンズを使用し、イオン・ビーム・カラムは一般に、磁気レンズを使用して重いイオンを集束させると極端に大きな電流が必要となることから静電集束レンズを使用する。
【0009】
SEMは、加工物の画像を形成する目的に使用することができるだけでなく、処理されたエリアの化学組成または元素組成を分析する目的にも使用することができる。エネルギー分散型分光(energy dispersive spectroscopy)(EDS)システムはSEM上で一般的に見られ、試料の限局された化学分析を実行するのに有用である。EDSシステムは、SEM画像化動作の集束電子ビーム中の高エネルギー電子が衝突した材料によって放出されたX線スペクトルを利用する。電子が試料に衝突すると、電子はさまざまな機構によってエネルギーを失う。1つのエネルギー損失機構は、内殻電子への電子エネルギーの移動を含み、その結果として、内殻電子が原子から放出されることがある。次いで、外殻電子が内殻へ落下し、固有X線を放出することがある。固有X線のエネルギーは、内殻と外殻の間のエネルギー差によって決まる。殻のエネルギーはその元素の特性であるため、X線のエネルギーもそのX線を放出した材料の特性である。異なるエネルギーを有するX線の数をグラフ上にプロットすると、図1に示す黄鉄鉱のスペクトルなどの特性スペクトルが得られる。ピークの名称は、X線を放出した電子の対応する最初の殻および最終的な殻の名称から名づけられ、図1には、硫黄のKαピーク、鉄のKαピークおよび鉄のKβピークが示されている。
【0010】
FIBを使用して試料を調製し、次いでSEMを使用して画像化またはEDS分析を実行することはしばしば有用である。2つの別個の機器を使用する場合、ユーザは、FIBシステムから試料を取り出し、次いでEDSが可能なシステム内に試料をセットする、30分以上かかることがある長時間の工程に直面する。これは、調製された試料を分析することができる多くの用途にとって容認しがたい長い時間である。
【0011】
この、本来の目的以外に必要な処理のためにかかる負荷を短縮するための周知の解決策は、同じプラットホーム上のFIBカラムおよびSEMカラムからなるデュアル・ビーム・システムである。それぞれのカラムは、そのカラムが生み出す粒子ビームのタイプに対して最適化されている。2つの別個の集束カラムがあるため、デュアル・カラム・システムは高価である。本発明の譲受人であるFEI CompanyのQuanta 3Dシステムなどのデュアル・ビーム・システムのSEMは一般に、5ナノメートルよりも小さい画像化分解能を有する。
【0012】
プラズマ室は、イオン源としてだけではなく電子源としても使用することができることは知られているが、大きな仮想源サイズが分解能を他の源に比べて劣ったものにするため、プラズマ源は一般にSEMに対しては使用されない。さらに、プラズマ源から電子を引き出すときには陰イオンも引き出される。最後に、電子を集束させる光学カラムとイオンを集束させる光学カラムの構成上の相違のため、イオンと電子の両方に対して同じカラムを使用すると、イオンもしくは電子またはその両方に対して最適より劣る分解能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,188,705号
【特許文献2】米国特許第7,241,361号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】CoathおよびLong、「A High−Brightness Duoplasmatron Ion Source Microprobe Secondary Ion Mass Spectroscopy」、Rev.Sci.Instruments 66(2)、1018ページ(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、誘導結合プラズマ源を有する単一の光学カラムを使用して、FIBで調製した試料の電子分散型X線分光分析を実施する方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
好ましい一実施形態では、単一カラム誘導結合プラズマ源システムが、ユーザが選択可能な少なくとも2つのモード、すなわちFIB処理用のイオン・モードおよびSEM分析用の電子モードで動作することができる電源および構成体系を備える。試料の物理特性を決定するのに必要な情報を集めるため、取り付けられたX線検出器、分光計または他のスペクトル分析システムを使用する。
【0017】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなり広く概説した。以下では、本発明の追加の特徴および利点を説明する。開示される着想および特定の実施形態を、本発明の同じ目的を達成するために他の構造を変更しまたは設計するベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【0018】
次に、本発明および本発明の利点のより完全な理解のため、添付図面に関して書かれた以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】鉄と硫黄を含む黄鉄鉱の例示的なX線スペクトルを示す図である。
【図2】EDS能力を有する誘導結合プラズマ源の一部を含む、本発明の一実施形態の略断面図である。
【図3】FIBモードで試料を調製し、次いでSEMモードでEDSを用いて試料を分析する、本発明の一実施形態の方法を示す図である。
【図4】図2のシステムのようなシステムを使用する1つの用途の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
プラズマ電子源からの電子ビームの分解能が、熱イオン放出源または電界放出源からの電子ビームの分解能よりも劣っていることは知られているが、EDSなどの多くの用途でビーム分解能は制限因子ではないことを本出願の出願人は確認した。走査電子顕微鏡法では、画像を形成するために使用する2次電子が、1次ビームの衝突点の周囲の比較的に小さな相互作用体積(interaction volume)から放出される。ビームの電子は試料表面の下に入り込むため、ビームの電子はビームの衝突点からランダムに散乱する。上面付近で生み出された2次電子だけが試料から脱出し、そのような2次電子だけを検出することができ、それらの2次電子は一般に1次ビームの衝突点の近くから放出される。他方、X線は、はるかに深い位置からも脱出することができ、そのため、電子が下方へ移動し、側方へ散乱するときも、検出可能なX線は発生し続ける。したがって、「相互作用体積」、すなわちそこからの信号が検出される領域は、X線では一般に約1立方ミクロンであり、2次電子よりもはるかに大きい。X線では、ビーム・スポット・サイズではなく、この相互作用体積が、分解能における重要な因子となる。したがって、明るさが比較的に弱いプラズマ電子源の使用は、EDSに対して、特に数百ナノメートル程度にわたって試料が比較的に均一である天然資源などの用途のEDSに対して十分な分解能を提供することができることを本出願の出願人は見出した。
【0021】
本発明の好ましい一実施形態は、動作モードを選択することができ、それぞれのモードについてイオンまたは電子のビームの生成を可能にする適当な電圧を供給することができる高電圧バイポーラ電源を備えるICP源を使用する。本明細書で使用する用語「バイポーラ電源」は、供給電圧の極性を切り換えまたは逆転させることができる電源を指す。本明細書で使用するとき、用語「電源」は、1つまたは複数の電圧または電流を供給する任意の源を意味し、特定のタイプ、形態または構成に限定されない。イオン・モードでは、電源が、グランドに対して正の高電位で動作し、引出し電極が、電源電圧に対して負の高電圧で動作する。電子モードでは、電源が、グランドに対して負の高電位で動作し、引出し電極が、電源電圧に対して正の高電圧で動作する。イオンと電子では特性が異なること、および電子がイオンよりも数桁軽いことにより、プラズマ源の動作パラメータおよび集束カラム内の光学要素の動作パラメータは異なるものにならざるを得ないことが理解される。この設定は、イオンのタイプおよび用途によって変化する。本明細書に記載されたガイダンスに基づけば、シミュレーションおよびルーチンの実験によって、特定の用途に対する最適なカラム設定を容易に決定することができる。試料の物理特性を決定するのに必要な情報を集めるため、取り付けられたX線検出器、分光計または他のスペクトル分析器を使用する。
【0022】
図2は、本発明の荷電粒子ビーム・システム200の略図である。RF電源222が、その内部でプラズマを発生させる源管(source tube)254を取り囲むアンテナ204に接続されたマッチ・ボックス(match box)220にRF電力を供給する。容量結合を低減させ、それによって引き出される荷電粒子のエネルギー幅を低減させ、色収差を低減させ、粒子をより小さなスポットに集束させることを可能にするため、アンテナ204とプラズマ管254の内部の間に、分割ファラデー・シールド(図示せず)を配置することが好ましい。RF電源222はさらに、米国特許第7,241,361号に記載されているような「平衡した(balanced)」形でアンテナに電力を供給して、引き出されるビーム中の粒子のエネルギー幅をさらに低減させることができる。イオン化するフィード・ガスは、供給システム202を通して源管254内へ供給される。バイアス電源230が源バイアス電極206に接続されている。電子ビームまたは陰イオンのビームを生成させるときには源バイアス電極を負の高電圧にバイアスすることができ、または陽イオンのビームを生成させるときには源バイアス電極を正の高電圧にバイアスすることができる。例えば、イオン・ビーム・ミリング用のイオンを引き出すときには一般にプラズマを約+30kVにバイアスし、EDS分析用の電子を引き出すときには一般にプラズマを約−20kVから−30kVの間の電圧にバイアスし、走査電子ビーム画像を形成するための電子を引き出すときにはプラズマを一般に約−1kVから−10kVの間の電圧にバイアスする。分割ファラデー・シールドおよび平衡アンテナを備えるICPの使用は、大きなスポット・サイズが適切ではないと考えられる一部の用途に適したより高分解能のビームの生成を容易にする。
【0023】
光学カラム内の引出し電極208は、バイアス電源230の出力電圧を基準電圧とする電源234によってバイアスされる。引出し電極に正バイアスまたは負バイアスを供給することができるように、電源234はバイポーラ電源であることが好ましい。電子または陰イオンを引き出しているときには、源バイアス電子に対して正の電圧を使用し、陽イオンを引き出しているときには、源バイアス電子に対して負の電圧を使用する。したがって、源バイアス電子208は、正電圧または負電圧を印加することができるバイポーラ電源であることが好ましい。カラム内のコンデンサ電極(condenser electrode)210は、やはりバイアス電源230の出力電圧を基準電圧とする電源232によってバイアスされる。コンデンサ電極電源232はバイポーラ電源であることが好ましく、コンデンサ電極電源232は、プラズマ源から引き出される粒子の電荷に応じてコンデンサ電極210を正または負のバイアスにバイアスすることができる。
【0024】
イオンまたは電子は、源バイアス電極206上の電圧に対する引出し電極208上のバイアス電圧によって源管254の下端に誘起される高い電場によって、源管254の内部に含まれるプラズマから引き出される。源管254から引き出されたイオンまたは電子は、源バイアス電極206の開口を通して源バイアス電極206の下に現れて、光学カラムに入る荷電粒子ビームを形成する。同時に引き出される陰イオンから電子を分離するため、一般にビーム経路またはシケイン(chicane)上に偏向を含む質量フィルタ(mass filter)290が使用される。質量フィルタ290は、質量フィルタ・アクチュエータ292によって制御される。これらの粒子は例えば2重極、4重極などの磁気偏向要素によって、またはE×B質量フィルタによって偏向させることができる。
【0025】
したがって、源管254の下端のプラズマは、荷電粒子ビーム・カラムに対するイオンまたは電子の「仮想源」として機能する。一般に、光学カラムに沿って進んでいる荷電粒子ビームの大きな部分が、絞り216、256または214などのカラム内の1つまたは複数の絞りに衝突する。それらの絞りは、イオン・ビームによる腐食に対して抵抗性の材料からなることが好ましい。図2のFIBカラムには3つの絞り、すなわち1)源バイアス電極206の絞り216、2)ビーム・アクセプタンス絞り(beam acceptance aperture)(BAA)256、および3)ビーム画定絞り(beam defining aperture)(BDA)214が示されている。
【0026】
ビーム・アクセプタンス絞り256の位置は、ビーム・アクセプタンス絞りアクチュエータ236によって制御される。ビーム画定絞り214の位置および選択は、ビーム画定絞りアクチュエータ238によって制御される。真空エンクロージャ246内の試料ステージ244によって支持され移動する試料240の表面に集束ビーム260を形成する2つのレンズ212および242が示されており、それらのレンズは静電アインツェル・レンズ(einzel lens)であることが好ましい。正に帯電した荷電粒子または負に帯電した荷電粒子に対して加速レンズまたは減速レンズとして機能することができるように、レンズ212および242はバイポーラ・レンズであることが好ましい。レンズ212は電源250を有し、レンズ242は電源252を有する。
【0027】
一対の偏向器270が、加工物の表面にわたってビームを位置決めし、ビームを移動させる。偏向器270は偏向器制御器258によって制御される。固体シリコン・ドリフト検出器、Si(Li)検出器などの一対のX線検出器280が、X線を集めて加工物のスペクトルを形成する。2次電子検出器282は、走査電子顕微鏡法または走査イオン・ビーム画像化によって画像を形成するための2次電子を集める。システム200は任意選択で、荷電粒子ビーム支援エッチングおよび荷電粒子ビーム支援付着用のガス注入器など他の構成要素を含む。コントローラ284は、システム200の動作を制御し、源バイアス電極上の電圧、引出し電極上の電圧、および任意選択でシステム内の他の構成要素上の電圧を切り換えて、加工物に向かって電子ビームを導くのか、または加工物に向かってイオン・ビームを導くのかを切り換えることができる。
【0028】
本発明の実施形態は、EDS用途に特に適した、高電流および中程度の分解能を有する電子ビームを提供する。ただし、適した用途はEDSに限定されるわけではない。プラズマ源および集束カラムの動作パラメータは一般に、プラズマ源から引き出す粒子のタイプに応じて最適化されることを当業者は理解するであろう。表Iは、キセノン・イオン、酸素陽イオンおよび電子を用いた動作に対する一般的な動作パラメータを示す。レンズ上の電圧に応じてアインツェル・レンズを「加速レンズ」または「減速レンズ」として動作させることができることを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、低エネルギーの荷電粒子を集束させるときには第1および第2のレンズを加速レンズとして動作させ、高エネルギーの荷電粒子を集束させるときには第1および第2のレンズを減速レンズとして動作させることが好ましい。
【0029】
【表1】

レンズの位置および設計などのカラムの固定された設計パラメータは一般にイオン・ビームに対して最適化されるが、カラムの設計を電子ビームに対して最適化することもでき、またはイオンに対する最適化と電子に対する最適化との間の折衷とすることもできる。電子ビームのスポット・サイズは、ビーム電流50pAで80nm未満、ビーム電流約1nAで200nm未満、ビーム電流100nAで1μm未満、ビーム電流1μAで2.3μm未満であると概算される。低ビーム電流でのスポット・サイズは従来の電子源に比べて小さくはないが、X線が発生する相互作用体積が1平方マイクロメートルであることを考えると、有用なEDS分析に対して、特に結晶粒などの試料領域を分析するEDS分析に対してこのスポット・サイズは十分に小さい。結晶粒のサイズは一般にこれらのスポット・サイズよりも大きい。
【0030】
電子源としてのICPの明るさは一般に約6×104A/m2・sr・Vである。
【0031】
図3は、FIBモードで試料を調製し、次いでSEMモードでEDSを用いて試料を分析する、本発明の一実施形態の方法を示す流れ図である。ステップ302で、ユーザが、ICPシステムの所望の動作モード、すなわちイオン・モードまたは電子モードを選択する。例えばイオン・モードを選択した場合にはステップ304へ進むことになる。ステップ304で、グランドに対して正の高電圧を源電極に印加し、ビーム電圧に対して負の高電圧を引出し電極に印加するようにビーム電圧源が構成されるFIB動作用に、適当な電源、ガスおよびシステム・パラメータを設定する。イオン源ガスを供給し、プラズマに点火すると、イオン・ビームが生み出される。集束レンズに電圧を印加してイオンを集束させる。ステップ306で、処理のためにイオン・ビームを試料へ導く。ステップ308で、FIB動作によって試料を処理する。この処理には例えば、高精度での画像化、ミリング、付着および分析が含まれる。
【0032】
試料をFIB処理しまたは調製した後に、SEM画像化およびEDS分析を用いた追跡調査(follow−up)をユーザが望むことがある。そのような場合には、ステップ302で、ユーザが単純に、ICP動作モードを電子モードに切り換える。次いで、ステップ310で、グランドに対して負の高電圧を源電極に印加し、ビーム電圧に対して正の高電圧を引出し電極に印加するようにビーム電圧源が構成されるSEM動作用に、適当な電源、ガスおよびシステム・パラメータを設定する。電子源ガスを供給し、プラズマに点火すると、電子ビームが生み出される。ステップ312で、電子ビームを試料へ導く。ステップ314で、試料に電子が衝突したことの応答として表面からX線が放出され、エネルギー分散型X線検出器によってそのX線を検出し、エネルギーを測定する。ステップ316で、試料内の全ての点の走査がまだ終わっていないと判定された場合には、ステップ318で、電子ビームを次のドウェル点(dwell point)へ移動させ、その点で追加のX線を集める。試料表面の所望の部分の走査が完了するまで走査を続け、それぞれの点でX線を集める。走査が完了した後、ステップ320で、ビームがそれぞれの走査点にある間に集めたX線を分析し、存在する材料を決定する。
【0033】
図4は、図2のシステムのようなシステムの1つの用途を示す。ステップ402で、エポキシ・マトリックス(epoxy matrix)から、周知の方法によって鉱物試料を調製する。このような試料の直径は一般に30mmである。ステップ404で、その試料ブロックを、ICP荷電粒子源を有する荷電粒子ビーム・システムの試料室内に配置する。ステップ406で、試料室の排気を実施する。ステップ408で、キセノン・イオンのビームなどのイオン・ビーム用に、プラズマ源および集束カラムの動作パラメータを設定する。ステップ410で、プラズマ源からキセノン・イオンを引き出し、ビームとして試料へ向かって導いて、試料の空隙率、自然に生じた酸化物/窒化物の厚さおよび研削方法に応じた例えば約0.1から5μmの間の少量の材料を上面から除去する。キセノン・イオンは比較的に重いため、より軽いイオンよりも迅速に材料を除去することができ、試料中に入り込みにくく、試料中に留まりにくい。試料の上面を除去した後、ステップ412で、電子ビーム用にシステムの動作パラメータを調整する。ステップ414で、電子ビームで試料を走査し、試料上の複数の点においてX線を集める。ステップ416で、集めたスペクトルを分析して、試料上の異なる点の組成のマップを作成する。イオン・ビームを用いた表面層などの材料の除去とそれに続く露出した材料の分析は同じ真空室内で実行し、加工物を外気にさらさないことが好ましい。そうすることによって、分析する表面が清浄になり、分析を変化させうる酸化物、窒化物または他の化合物の形成が防止される。
【0034】
プラズマ源からのイオン・ビームはLMISからのイオン・ビームよりもはるかに大きなビーム電流を有するため、集積回路の分析では、プラズマ源からのイオン・ビームを使用してLMISよりも迅速に材料を除去することができる。このことは、多量の材料を除去する必要がある、イオン・ビームによって裏面から回路を露出させるパッケージ化された「フリップ・チップ」集積回路の故障解析において特に有用である。次いで電子ビームを使用して画像を取得し、露出させた欠陥の分光学的検査を実行することができる。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態は、単一のプラズマ源からの電子ビームの生成とイオン・ビームの生成とを切り換えることができる単一の荷電粒子ビーム・カラムを提供する。本発明のいくつかの実施形態は、さまざまな動作および分析技法に対する電子源としてプラズマ源を使用する。記載した実施形態は、この電子ビームを使用してEDS分析を実行するが、本発明は、この電子ビームの特定の使用に限定されない。例えば、適当な前駆体ガスを用いた電子ビーム誘起付着または電子ビーム誘起エッチングにこの電子ビームを使用することもできる。この電子ビームは、オージェ電子分光法、X線光電子分光法、または波長分散型X線分光法に使用することができる。上に記載した実施形態はICP電子源を使用するが、本発明は特定のタイプのプラズマ電子源に限定されず、いくつかの実施形態では、デュオプラズマトロン・プラズマ源などの他のタイプのプラズマ源を使用することができる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、荷電粒子ビーム・システムは、プラズマを維持するプラズマ室と、プラズマを動作電圧にバイアスするバイアス電極と、バイアス電極に正または負の電圧を印加することができる電源であり、プラズマ室から正または負に帯電した粒子を選択的に引き出すために極性を切り換えることができる電源と、プラズマ源から荷電粒子を引き出す引出し電極と、引出し電極に正または負の電圧を印加することができる引出し電極電源と、プラズマ源から引き出された荷電粒子を加工物上に集束させる集束カラムであり、正または負に帯電した粒子を加工物上に集束させる集束カラムとを備える。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、この荷電粒子ビーム・システムが、プラズマ室から引き出され、集束カラムによって加工物上に集束した電子の衝突によって発生したX線を検出するX線検出器をさらに備える。本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、プラズマ室が、誘導結合プラズマ源の部分である。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、試料を処理し、試料の特性を決定する装置は、第1のモードではイオン源として、第2のモードでは電子源として選択的に動作する誘導結合プラズマ源と、第1のモードに対応し集束イオン・ビーム動作を可能にする第1の電圧構成と、少なくとも1つの第2のモードに対応しSEM動作を可能にする少なくとも1つの第2の電圧構成とを選択的に提供するように構成された電源と、試料の特性を決定するのに必要な情報を集めるX線検出器とを備える。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、前記検出器がエネルギー分散型X線検出器である。本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、エネルギー分散型X線検出器がシリコン・ドリフト検出器型の検出器である。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、試料の前記特性が、試料の化学組成または元素組成を含む。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、第1の電圧構成が、源電極に印加されるグランドに対して正の高電圧と、引出し電極に印加される源電極電圧に対して負の高電圧とからなり、第2の電圧構成が、源電極に印加されるグランドに対して負の高電圧と、引出し電極に印加される源電極電圧に対して正の高電圧とからなる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、試料を処理する方法は、第1のモードではイオン・ビームが生み出され、少なくとも1つの第2のモードでは電子ビームが生み出されるような形でユーザが選択可能な動作モードを有する単一カラム誘導結合プラズマ源を用意するステップと、誘導結合プラズマ源の動作モードを選択するステップと、生み出されたビームを試料に向かって導くステップと、生み出されたビームで試料を処理するステップとを含む。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、生み出されたビームを試料に向かって導くステップが、200nm未満のスポット・サイズを有するビームを試料に向かって導くステップを含む。本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、生み出されたビームを試料に向かって導くステップが、第1のモードではイオン・ビームを試料に向かって導き、第2のモードでは電子ビームを試料に向かって導くステップを含む。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、生み出されたビームで試料を処理するステップが、イオン・ビームで試料を処理して集束イオン・ビーム動作を実行するステップと、電子ビームで試料を走査し、その間に放出されたX線を集めて試料の特性を決定するステップとを含む。本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、イオン・ビームで試料を処理して集束イオン・ビーム動作を実行するステップが、電子ビームによって分析対象の材料を露出させるステップを含む。本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、電子ビームによって分析対象の材料を露出させるステップが、試料表面から材料の層を除去するステップを含む。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、試料を処理する方法は、アンテナからの高周波エネルギーを分割ファラデー・シールドを通してプラズマ室内へ誘導結合して、プラズマ室内にプラズマを発生させるステップと、プラズマ室内のプラズマから電子を引き出すステップと、電子を成形して集束ビームとし、そのビームを試料に向かって導くステップとを含む。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、集束電子ビームの試料の位置におけるスポット・サイズが200nm未満、電子電流が1nA以上である。本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、集束電子ビームの試料の位置におけるスポット・サイズが2.3μm未満、電子電流が1μA以上である。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、この方法が、走査中に電子が衝突した点からの放出物を検出するステップと、集められた放出物から試料の特性を決定するステップとをさらに含む。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、この放出物がX線である。本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、この放出物が、2次電子または後方散乱電子である。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、この方法が、プラズマ室からイオンを引き出すステップと、イオンを成形して集束ビームとし、そのビームを試料に向かって導くステップとをさらに含む。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、イオンを成形して集束ビームとし、そのビームを試料に向かって導くステップが、試料表面から材料を除去してその下の材料を露出させるステップを含み、電子を成形して集束ビームとし、そのビームを試料に向かって導くステップが、試料を真空室から取り出すことなしに、露出させたその下の材料に向かってビームを導くステップを含む。本発明のいくつかの実施形態の他の態様によれば、プラズマ室からイオンを引き出すステップが、アルゴン・イオン、キセノン・イオンまたは酸素イオンを引き出すステップを含む。
【0051】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0052】
200 荷電粒子ビーム・システム
204 アンテナ
206 源バイアス電極
208 引出し電極
210 コンデンサ電極
212 レンズ
222 RF電源
240 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを維持するプラズマ室と、
前記プラズマを動作電圧にバイアスするバイアス電極と、
前記バイアス電極に正または負の電圧を印加することができる電源であり、前記プラズマ室から正または負に帯電した粒子を選択的に引き出すために極性を切り換えることができる電源と、
前記プラズマ源から荷電粒子を引き出す引出し電極と、
前記引出し電極に正または負の電圧を印加することができる引出し電極電源と、
前記プラズマ源から引き出された前記荷電粒子を加工物上に集束させる集束カラムであり、前記正または負に帯電した粒子を前記加工物上に集束させる集束カラムと
を備える荷電粒子ビーム・システム。
【請求項2】
前記プラズマ室から引き出され、前記集束カラムによって前記加工物上に集束した電子の衝突によって発生したX線を検出するX線検出器をさらに備える、請求項1に記載の荷電粒子ビーム・システム。
【請求項3】
前記プラズマ室が、誘導結合プラズマ源の部分である、請求項1または請求項2に記載の荷電粒子ビーム・システム。
【請求項4】
試料を処理し、試料の特性を決定する装置であって、
第1のモードではイオン源として、第2のモードでは電子源として選択的に動作する誘導結合プラズマ源と、
前記第1のモードに対応し集束イオン・ビーム動作を可能にする第1の電圧構成と、少なくとも1つの第2のモードに対応しSEM動作を可能にする少なくとも1つの第2の電圧構成とを選択的に提供するように構成された電源と、
試料の特性を決定するのに必要な情報を集めるX線検出器と
を備える装置。
【請求項5】
前記検出器がエネルギー分散型X線検出器である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記エネルギー分散型X線検出器がシリコン・ドリフト検出器型の検出器である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
試料の前記特性が、前記試料の化学組成または元素組成を含む、請求項4〜6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の電圧構成が、源電極に印加されるグランドに対して正の高電圧と、引出し電極に印加される源電極電圧に対して負の高電圧とからなり、前記第2の電圧構成が、前記源電極に印加されるグランドに対して負の高電圧と、前記引出し電極に印加される前記源電極電圧に対して正の高電圧とからなる、請求項4〜7に記載の装置。
【請求項9】
試料を処理する方法であって、
第1のモードではイオン・ビームが生み出され、少なくとも1つの第2のモードでは電子ビームが生み出されるような形でユーザが選択可能な動作モードを有する単一カラム誘導結合プラズマ源を用意するステップと、
前記誘導結合プラズマ源の動作モードを選択するステップと、
生み出された前記ビームを試料に向かって導くステップと、
生み出された前記ビームで前記試料を処理するステップと
を含む方法。
【請求項10】
生み出された前記ビームを試料に向かって導くステップが、200nm未満のスポット・サイズを有するビームを前記試料に向かって導くステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
生み出された前記ビームを試料に向かって導くステップが、前記第1のモードでは前記イオン・ビームを前記試料に向かって導き、前記第2のモードでは前記電子ビームを前記試料に向かって導くステップを含む、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
生み出された前記ビームで前記試料を処理するステップが、前記イオン・ビームで前記試料を処理して集束イオン・ビーム動作を実行するステップと、前記電子ビームで前記試料を走査し、その間に放出されたX線を集めて前記試料の特性を決定するステップとを含む、請求項9〜11に記載の方法。
【請求項13】
前記イオン・ビームで前記試料を処理して集束イオン・ビーム動作を実行するステップが、前記電子ビームによって分析対象の材料を露出させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電子ビームによって分析対象の材料を露出させるステップが、前記試料表面から材料の層を除去するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
試料を処理する方法であって、
アンテナからの高周波エネルギーを分割ファラデー・シールドを通してプラズマ室内へ誘導結合して、前記プラズマ室内にプラズマを発生させるステップと、
前記プラズマ室内の前記プラズマから電子を引き出すステップと、
前記電子を成形して集束ビームとし、前記ビームを前記試料に向かって導くステップと
を含む方法。
【請求項16】
前記集束電子ビームの前記試料の位置におけるスポット・サイズが200nm未満、電子電流が1nA以上である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記集束電子ビームの前記試料の位置におけるスポット・サイズが2.3μm未満、電子電流が1μA以上である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
走査中に電子が衝突した点からの放出物を検出するステップと、
集められた前記放出物から前記試料の特性を決定するステップと
をさらに含む、請求項15〜17に記載の方法。
【請求項19】
前記放出物がX線である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記放出物が、2次電子または後方散乱電子である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記プラズマ室からイオンを引き出すステップと、
前記イオンを成形して集束ビームとし、前記ビームを前記試料に向かって導くステップと
をさらに含む、請求項15〜17に記載の方法。
【請求項22】
前記イオンを成形して集束ビームとし、前記ビームを前記試料に向かって導くステップが、試料表面から材料を除去してその下の材料を露出させるステップを含み、
前記電子を成形して集束ビームとし、前記ビームを前記試料に向かって導くステップが、前記試料を真空室から取り出すことなしに、露出させた前記その下の材料に向かって前記ビームを導くステップを含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記プラズマ室からイオンを引き出す前記ステップが、アルゴン・イオン、キセノン・イオンまたは酸素イオンを引き出すステップを含む、請求項21または請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−115047(P2013−115047A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−256983(P2012−256983)
【出願日】平成24年11月24日(2012.11.24)
【出願人】(501419107)エフ・イ−・アイ・カンパニー (78)
【Fターム(参考)】