説明

分光測定装置

【課題】現在、蛍光体などを評価する分光測定装置は、被測定試料毎に温度条件の設定が必要となり、多量の被測定試料の測定には、時間がかかり、操作作業者の負担も大きい。また、被測定試料の温度測定は、被測定試料の温度を直接測定しておらず、正確な被測定試料の温度とは言い難い問題があった。
【解決手段】本件発明では、被測定試料を載置するコンテナを複数円形に配置した回転台と、回転台を回転送りする回転台駆動部と、回転台をシールドするシールド部と、シールド部に設けられた窓からコンテナの試料に対して照射光を浴びせる照射光発射部と、窓から照射光に応じた反射光を受光する受光部と、受光した光のスペクトル分析を行う分析部と、を有する分光測定装置を提供する。これにより複数の被測定試料を全自動で、尚かつ正確に分光測定を行うことが可能となり、操作作業者の負担が大幅に軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、紫外線などの光を被測定試料に照射し、その反射光を受光し分光分析を行う分光測定装置であって、1回の測定で多数の被測定試料を分析可能なことを特徴とする分光測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から用いられている分光測定装置、特にLEDなどの蛍光体を評価する蛍光体評価装置などでは、特許文献1に示した評価装置のように、一つ一つの被測定試料を、1回1回測定装置内に載置し、測定を行う毎に温度などの測定条件を操作作業者が手作業で設定して測定を行うことが一般的であった。
【特許文献1】特開平5−267718
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に示した評価装置のような測定では、被測定試料毎に温度条件の設定が必要となり、多量の被測定試料の測定を行うには、時間がかかり、操作作業者の負担も大きいものであった。
【0004】
また、従来の装置において被測定試料の温度測定は、被測定試料が載置されたコンテナの温度を熱電対などで測定し、被測定試料の温度としているため、被測定試料の温度を直接測定しておらず、正確な被測定試料の温度とは言い難い問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本件発明では上記課題に鑑み次の分光測定装置を提供する。すなわち第一の発明としては、被測定試料を載置するコンテナを複数個分円形に配置した回転台と、回転台を複数コンテナ分回転送りする回転台駆動部と、回転台をシールドするシールド部と、シールド部に設けられた窓からコンテナひとつ分の試料に対して照射光を浴びせる照射光発射部と、シールド部に設けられた窓から前記照射光に応じた反射光を受光する受光部と、受光部にて受光した光のスペクトル分析を行う分析部と、を有する分光測定装置を提供する。
【0006】
第二の発明としては、回転台に配置されるコンテナは、偶数Nであり、回転台駆動部のコンテナの送り数は、Nの約数でない1を除く奇数である第一の発明に記載の分光測定装置を提供する。
【0007】
第三の発明としては、シールド部に設けられ、前記回転台駆動部の送り数分、前記照射光発射部を設けた窓よりも前に配置される窓に配置されたコンテナに載置された被測定試料の温度を非接触で測定する温度測定部を有する第一の発明又は第二の発明に記載の分光測定装置を提供する。
【0008】
第四の発明としては、照射光発射部と、受光部とはシールド部の外部に配置される第一の発明から第三の発明のいずれか一に記載の分光測定装置を提供する。
【0009】
第五の発明としては、温度測定部は、シールド部の外部に配置される第一の発明から第四の発明のいずれか一に記載の分光測定装置を提供する。
【0010】
第六の発明としては、シールド部の内部を加熱するための加熱部を有する第一の発明から第五の発明のいずれか一に記載の分光測定装置を提供する。
【0011】
第七の発明としては、コンテナの個数は20個であり、回転駆動部の送りが3コンテナ分である第一の発明から第六の発明のいずれか一に記載の分光測定装置を提供する。
【0012】
第八の発明としては、照射光発射部から照射される光は紫外線であり、回転台に配置されるコンテナは、被測定試料として蛍光体を載置する蛍光体コンテナである第一の発明から第七の発明のいずれか一に記載の分光測定装置を提供する。
【0013】
第九の発明としては、照射光発射部は、装置筐体の操作作業者の立ち位置から反対側に配置されている第一の発明から第八の発明のいずれか一に記載の分光測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本件発明により、円形に被測定試料を載置するコンテナを配置した回転台を、回転させることで、一つ一つの被測定試料を測定させることが可能となる。さらに本実施形態の分光測定装置では、回転台に複数の被測定試料が載置可能で、回転台上に載置された被測定試料をすべて同条件で測定することも、それぞれの被測定試料を、予め設定した測定条件で測定することも可能となる。また、シールド部外部から非接触で被測定試料の温度を測定することで、被測定試料の温度を正確に測定することや、被測定試料の温度を正確にコントロールすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0016】
実施形態1は、主に請求項1、請求項3、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8などに関する。実施形態2は、主に請求項2、請求項4などに関する。
<<実施形態1>>
<実施形態1 概要>
【0017】
本実施形態は、円形に被測定試料を載置するコンテナを配置した回転台を、回転させることで、一つ一つの被測定試料を測定させることが可能な分光測定装置である。本実施形態の分光測定装置では、回転台に複数の被測定試料が載置可能で、回転台上に載置された被測定試料をすべて同条件で測定することも、それぞれの被測定試料を、予め設定した測定条件で測定することも可能である。
<実施形態1 構成>
【0018】
図1に本実施形態の分光測定装置の概念図を示した。図1の(a)は装置全体の概念図であり、(b)は回転台部分の拡大図である。本実施形態の分光測定装置は、被測定試料を載置するコンテナ(0101、0102)を複数円形に配置した回転台(0103、0104)と、回転台を回転送りする回転台駆動部(0105)と、回転台をシールドするシールド部(0106)と、シールド部に設けられた窓からコンテナひとつ分の試料に対して照射光を浴びせる照射光発射部(0107)と、シールド部に設けられた窓から前記照射光に応じた反射光を受光する受光部(0108)と、受光部にて受光した光のスペクトル分析を行う分析部(0109)と、を有する。
【0019】
「回転台」は、被測定試料を載置するコンテナが複数円形に配置されている。図2に回転台を上部から見たときの平面図を示した。図2の(a)では、説明の為、上部のシールド部材を取り外した状態である。また、図中下方は、操作作業者の立ち位置である。回転台(0201)には、被測定試料(0202)を載置するコンテナ(0203)が配置されている。このコンテナは、回転台から取り外し可能に構成し、被測定試料の形状に合わせたコンテナに取り替えが可能に構成するとよい。
【0020】
被測定試料の分光測定は、回転台上の一カ所にて行われる。例えば、図2では、「1」の被測定試料が分光測定を行う位置に配置されている。「1」の被測定試料の測定が完了した場合には、次に説明する回転駆動部により、回転台を回転させ、他の被測定試料が分光測定を行う位置に配置される。
【0021】
回転台のコンテナへの被測定試料の載置は、被測定試料載置用の扉から行う。本実施形態の分光測定装置では、後述するように回転台はシールド部の内部に配置される。シールド部は、密閉空間であるため、その大半は図2の(b)に示したように断熱材などを含むシールド(0204)によって覆われている。このため被測定試料の載置は、(b)に示したように、分光測定が行われる位置からもっとも離れた位置の扉(0205)から載置を行う。
【0022】
「回転駆動部」は、回転台を回転させることで被測定試料を、分光測定が行われる位置に回転送りする。被測定試料を「1」から2つや3つのように複数回転送りするように構成してもよい。また逆方向に回転送りするように構成してもよい。
【0023】
ここで、前述の例では、被測定試料に対して行う測定を分光測定の一つとして考えていたが、例えば複数の測定を行う場合、図3の(a)ように、「1」の試料が配置された位置(0301)で分光測定を行い、「18」の被測定試料が配置された位置(0302)で温度測定を行うことも可能である。この場合、分光測定と温度測定は、出来るだけ時間差を伴わずに測定した方が、測定誤差のばらつきを小さくすることができる。このため、例えば、「18」の試料は、図3の(a)の状態の位置で温度測定を行った直後に、回転駆動部が回転台を3コンテナ分矢印の方向(0303)に回転させ、図3の(b)のように、被測定試料「18」を分光測定を行う位置(0304)に配置し、分光測定を行っても良い。
【0024】
この際、回転台に配置されるコンテナの数を偶数Nとし、回転台駆動部のコンテナの送り数はNの約数ではない1を除く奇数とすると良い。例えば、コンテナの数を20として、コンテナ送り数を20の約数ではない1を除く奇数である3とする。回転台に配置されるコンテナの数を20個、回転駆動部の送りを3コンテナ分とすることで、同一方向に、3コンテナ分ずつ回転させることで、すべての被測定試料を効率よく温度測定と分光測定を行うことが可能となる。
【0025】
また、測定を行う項目は1つや2つに限らずいくつであっても良い。測定項目が増えた場合には、回転台の他の場所を測定位置として測定装置を追加すればよい。この際、測定項目が増えることで、回転駆動部の回転が複雑になるが、コンテナの数や、測定位置などを工夫することで、スムーズな測定も可能となる。
【0026】
「シールド部」は、回転部をシールドし、被測定試料が分光測定の際に、温度や雰囲気などが同一条件になるように構成している。シールド部は、断熱材などによって密閉された空間であり、シールド部の内部は、窒素雰囲気など特定の気体によって満たされた空間であって、空間内の温度や圧力をコントロールすることが可能となっている。
【0027】
またシールド部には、被測定試料を加熱するための加熱部を有していても良い。被測定試料の測定に、被測定試料を加熱する必要がある場合には、被測定試料を載置するコンテナを配置した回転台の下部に加熱部を配置すると良い。加熱部によって加熱される温度は、測定項目などによっても変化するが、例えば略50℃から略220℃の範囲内などである。
【0028】
シールド部の内部は、測定条件によっては、高温に昇温される可能性もある。従ってシールド部の内部は、耐熱塗料で塗装するなど、高温対策を施すことが好ましい。
【0029】
「照射光発射部」は、シールド部に設けられた窓からコンテナ一つ分の被測定試料に対して照射光を浴びせる。照射光発射部から被測定試料に対して浴びせる光は、測定項目に応じて、紫外線や赤外線、可視光、マイクロ波などである。また、シールド部に設けられた窓は、照射光に応じて材質を変更させることが好ましい。例えば、照射光が紫外線である場合には、窓を構成する材質は、紫外線の透過を阻害したり、紫外線を吸収しない材料である石英ガラスなどで構成することが望ましい。また照射光発射部から被測定試料に対して浴びせられた光の反射光は、次に説明する受光部にて受光する。
【0030】
「受光部」は、シールド部に設けられた窓から照射光に応じた反射光を受光する。図4に照射光発射部(0401)および受光部(0402)を有する分光測定装置の断面概念図を示した。図4は説明のため、被測定試料(0403)がシールド部(0404)に対して大きくなるように記載しているが、実際の大きさは、回転台(0405)に載置される試料の数や、被測定試料の大きさによって変化するものである。まず、照射光発射部から照射される光は、シールド部の窓(0406)から所定の角度(0407)で被測定試料に浴びせられ、所定角度に対する反射角で反射される。被測定試料によって反射された光は、シールド部の窓を透過し、受光部が受ける。受光部にて受光した光の情報は後述する分析部(0408)にて分析される。
【0031】
照射光発射部および受光部は、温度や雰囲気によって照射出力や受光感度が変化する可能性がある。従って、照射光発射部および受光部は、シールド部とは別に、シールド部外部に配置し、一定温度、一定雰囲気下になるように制御された空間に配置されることが望ましい。例えば、照射光発射部および受光部を、窒素雰囲気下に配置し、照射光発射部は発熱することが予想されるので、内部は一定温度に保てるよう、窒素を常に流通させるなどすることが望ましい。
【0032】
ここで、照射光発射部が被測定試料に対して照射する照射光が波長254nmの紫外線で、被測定試料が蛍光体であった場合を一例に説明する。前述のように、照射光発射部および受光部は、一定温度、一定雰囲気下にすることが望ましい。そこで、図4では、照射光発射部および受光部は、窒素雰囲気下、50℃近辺に保った空間内に配置する。照射光の被測定試料への照射角度は45度であり、受光部が受光する反射光も、照射角度に対する角度である45度の反射光を受光する。シールド部に設けられ、照射光および反射光が透過する窓は、石英ガラスで構成されている。また被測定試料は、窒素雰囲気下の所定温度条件下に配置されている。さらに照射光発射部および受光部の上部には、照射光が照射されている被測定試料を目視で確認するための窓(0409)を設けても良い。この被測定試料を目視で確認するための窓は、紫外線が透過しない材料で構成することが望ましい。
【0033】
「分析部」は、受光部にて受光した光のスペクトル分析を行う。分析部にて行うスペクトル分析としては、例えば、照射光を紫外線とした場合、被測定試料の発光強度、ピーク波長、分光スペクトル、三刺激値、色度座標、相関色温度などである。本実施形態の分光測定装置では、分析部のみを交換することで、様々な分析をすることが可能となる。
【0034】
また本実施形態の分光測定装置は、測定を行う照射光発射部が、装置筐体の操作作業者の立ち位置から反対側に配置されていることが望ましい。前述の被測定試料を載置するための扉は、操作作業者の立ち位置に近い位置であることが望ましい。これは操作上、操作作業者に近い方が、操作作業者の負担が軽減できるためである。一方で、照射光発射部や受光部は、前述のように温度などの諸条件により、照射出力や受光感度に影響を及ぼす可能性がある。従って、操作作業者が発する体温の影響を受けにくい、操作作業者の立ち位置の反対側に照射光発射部や受光部を設けることが望ましい。
<実施形態1 効果>
【0035】
本実施形態の分光測定装置のように、円形に被測定試料を載置するコンテナを配置した回転台を、回転させることで、一つ一つの被測定試料を測定させることが可能となる。さらに本実施形態の分光測定装置では、回転台に複数の被測定試料が載置可能で、回転台上に載置された被測定試料をすべて同条件で測定することも、それぞれの被測定試料を、予め設定した測定条件で測定することも可能となる。従って、本実施形態の分光測定装置は、被測定試料をコンテナに載置し、測定条件などの設定を行えば、複数の被測定試料を全自動で分光測定を行うことが可能となり、操作作業者の負担が大幅に軽減される。
<<実施形態2>>
<実施携帯2 概要>
【0036】
本実施形態は、シールド部外部から非接触で被測定試料の温度を測定することを特徴とした分光測定装置である。被測定試料の温度を非接触で直接測定することで、被測定試料の温度を正確に測定することが可能となる。さらに、被測定試料の温度を正確にコントロールすることが可能となる。
<実施形態2 構成>
【0037】
図5に本実施形態の温度測定部を有する分光測定装置の断面概念図(a)と従来型の温度測定方法を説明するための断面概念図(b)を示した。図5は説明のため、温度測定部付近を拡大した断面図である。また、被測定試料がシールド部に対して大きくなるように記載しているが、実際の大きさは、回転台に載置される試料の数や、被測定試料の大きさによって変化するものである。
【0038】
まず、(b)の従来の分光測定装置では、被測定試料(0501)を加熱するためのヒータ(0502)上部の回転台(0503)に熱電対(0504)などを設置して温度を計測していた。この場合、温度を測定しているのは、被測定試料が設置されている、回転台の温度であって必ずしも被測定試料の温度とは限らない。従って、従来の分光測定装置では、被測定試料の温度を精度良く正確にコントロールすることは困難であった。一方、(a)の本件発明では、温度測定部(0505)として非接触型の温度計を用いて、シールド部の外部から、被測定試料の温度を直接測定する。このように非接触型の温度計を用いて、直接被測定試料の温度を測定することで、正確に精度良く被測定試料の温度をコントロールすることが可能となる。例えば、1℃や5℃などの細かいステップで被測定試料の温度をコントロールすることが可能となる。また、正確に温度を測定するために、温度測定部は、シールドの外部に配置されている。シールド内部は、前述のように、測定条件に合わせて、50℃から220℃程度の間を変化させるように構成されている。このような高温の条件では、温度測定部が正確に温度を測定することが不可能となる。そこで、本実施形態では、温度計測部をシールドの外部に配置することで温度の計測が正確に行われるように構成されている。
【0039】
非接触型の温度計は、一般的に測定対象に対して赤外線などをシールドに設けられた窓(0506)を介して照射し、その反射光を測定することで温度を計測している。従って、シールドに設けられた窓は、赤外線などの透過を阻害しない材料で構成されることが望ましい。赤外線を照射する非接触型の温度計の場合、窓はセレン化亜鉛などを用いることが望ましい。
【0040】
また、本実施形態の分光測定装置では、温度測定部はシールド部に設けられ、前記回転台駆動部の送り数分前記照射光発射部を設けた窓よりも前に配置される窓に配置することが望ましい。例えば、図6のように、回転台(0601)上のコンテナ(0602)の数を20とし、回転送り数を3とし、回転台の回転方向を右回りとし、照射光発射部を設けた窓を「1」の試料が配置されている位置(0603)とすると、温度測定部が配置される位置は、「18」の試料が配置された位置(0604)となる。回転送り数が3であるため、「1」の試料への照射光の照射が完了すると、次に照射光が照射される試料は「18」となる。つまり、温度測定部が温度を測定した直後に照射光の照射を受けて分光測定が行われる。従って、分光測定の際の温度は、最新の温度情報を反映することになる。また逆に、分光測定の直前に温度の測定が行われることで、分光測定の直前に被測定試料の温度コントロールを行うことも可能である。例えば、「18」の試料の温度が所定の温度に比べて低い場合には、昇温を行い、所定温度に到達した段階で、回転台を回転させ、所定温度を保った状態で分光測定を行うこといった具合である。また、「18」が分光測定を行う位置に移動するに伴い、温度測定が行われる位置(0605)に「15」が配置される。このように温度測定が分光測定が連続的に行われる。
【0041】
また、本実施形態の分光測定装置では、前述の温度測定部以外に、シールド部内部に熱電対などの温度測定装置を設けることが望ましい。なぜならシールド内部はヒータが設置されているため高温になるからである。仮に温度計測部の非接触型温度計にトラブルが生じた場合に、昇温を止めるためである。シールド内部で測定した熱電対のデータによって、所定温度以上に加熱された場合には、ヒータの電源をカットし、所定温度以上ならないように制御する。
<実施形態2 効果>
【0042】
本実施形態の分光測定装置のように、シールド部外部から非接触で被測定試料の温度を測定することで、被測定試料の温度を正確に測定することや、被測定試料の温度を正確にコントロールすることが可能となる。これにより、分光測定を細かい条件設定下で行うことや、正確なデータを得ることが可能となる。また、実施形態1の分光測定装置と合わせることで、複数の被測定試料を全自動で、尚かつ正確に分光測定を行うことが可能となり、操作作業者の負担が大幅に軽減される。
<<具体例>>
【0043】
図7に本件発明の分光測定装置の具体例を説明するための3面図を示した。(a)は分光測定装置を操作作業者の立ち位置から見たときの正面図で、(b)は左側面図、(c)は上面からみた平面図である。(d)は、シールド部内部に配置されている回転台である。シールド部(0701)の上面には、ディスプレイ(0702)と、照射光発射部、受光部が納められたケース(0703)と、試料の温度を測定するための温度測定部(0704)と、被測定試料を回転台に載置するための扉(0705)が設けられている。その他に図示はされていないが、シールド部の下部には、温度制御や回転台駆動部を制御するための制御用のパソコンや制御装置などが納められている。また受光部から得られた光をスペクトル分析する分析部は、図示していないが、シールド部の上部に配置しても良いし、制御装置などと同じくシールド部の下部に収納しても良い。シールド部の上部に配置されているディスプレイは、被測定試料を測定する際の測定条件の入力や、測定方法、測定項目などの設定を確認するためのディスプレイである。測定条件の入力などは、正面図に記載されたキーボード(0706)などの入力装置を用いて行われる。
【0044】
ここで、簡単に本件発明の分光測定装置を使用する流れを説明する。まず、シールド部上部の被測定試料を回転台に載置するための扉を開け、回転台に被測定試料を載置する。回転台に被測定試料を載置した後、測定条件や測定項目の設定を行う。この際、複数の被測定試料をそれぞれ別々の測定条件や測定項目に設定することも可能であるし、すべての被測定試料を同じ条件で、測定することも可能である。また測定条件を変更した内容で連続して測定を行うことも可能である。この際特に温度条件を変更して測定を行う場合には、低い温度から順に昇温しながら測定を行うと効率よく測定を行うことが可能となる。
【0045】
すべての測定条件や測定項目の設定が完了すると、測定を開始する。測定開始後、本件発明の分光測定装置は、測定条件や測定項目を自身で設定を行い、すべて自動で測定が行われ、その間、操作作業者は分光測定装置に対して行う操作は一切ない。分光測定中は、測定結果や測定条件等を逐次分光測定装置内の記憶装置に保存を行う。また、すべての測定が完了すると、保存された測定結果などを元に、測定結果の一覧表を自動的に作成し、出力するように構成してもよい。さらに、分光測定装置は測定終了後、自動的に終了するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施形態1を説明するための概念図
【図2】実施形態1を説明するための概念図
【図3】実施形態1を説明するための概念図
【図4】実施形態1を説明するための概念図
【図5】実施形態2を説明するための概念図
【図6】実施形態2を説明するための概念図
【図7】本件発明の具体例
【符号の説明】
【0047】
0101、0102 コンテナ
0103、0104 回転台
0105 回転台駆動部
0106 シールド部
0107 照射光発射部
0108 受光部
0109 分析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定試料を載置するコンテナを複数個分円形に配置した回転台と、
回転台を複数コンテナ分回転送りする回転台駆動部と、
回転台をシールドするシールド部と、
シールド部に設けられた窓からコンテナひとつ分の試料に対して照射光を浴びせる照射光発射部と、
シールド部に設けられた窓から前記照射光に応じた反射光を受光する受光部と、
受光部にて受光した光のスペクトル分析を行う分析部と、
を有する分光測定装置。
【請求項2】
回転台に配置されるコンテナは、偶数Nであり、回転台駆動部のコンテナの送り数は、Nの約数でない1を除く奇数である請求項1に記載の分光測定装置。
【請求項3】
シールド部に設けられ、前記回転台駆動部の送り数分、前記照射光発射部を設けた窓よりも前に配置される窓に配置されたコンテナに載置された被測定試料の温度を非接触で測定する温度測定部を有する請求項1または2に記載の分光測定装置。
【請求項4】
照射光発射部と、受光部とはシールド部の外部に配置される請求項1から3のいずれか一に記載の分光測定装置。
【請求項5】
温度測定部は、シールド部の外部に配置される請求項1から4のいずれか一に記載の分光測定装置。
【請求項6】
シールド部の内部を加熱するための加熱部を有する請求項1から5のいずれか一に記載の分光測定装置。
【請求項7】
コンテナの個数は20個であり、回転駆動部の送りが3コンテナ分である請求項1から6のいずれか一に記載の分光測定装置。
【請求項8】
照射光発射部から照射される光は紫外線であり、回転台に配置されるコンテナは、被測定試料として蛍光体を載置する蛍光体コンテナである請求項1から7のいずれか一に記載の分光測定装置。
【請求項9】
照射光発射部は、装置筐体の操作作業者の立ち位置から反対側に配置されている請求項1から8のいずれか一に記載の分光測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−107321(P2010−107321A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278936(P2008−278936)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(301009885)株式会社金山精機製作所 (9)
【Fターム(参考)】