説明

分光特性取得装置及び分光特性取得方法、画像評価装置、並びに画像形成装置

【課題】測定対象に応じた適切な空間分解能で複数位置の分光特性を取得可能な分光特性取得装置を提供する。
【解決手段】光照射手段11から前記画像担持媒体90に照射された光の反射光を複数の開口部を有する開口部列により複数の領域に分割し、分光手段15により複数の開口部に対応する複数の回折像を形成された複数の回折像を受光手段16の複数の画素で受光して電気信号に変換し、演算手段17により画像担持媒体の複数の位置における反射光の光量の割合を示す分光特性を演算し、演算手段は隣接するa個(aは2以上の自然数)の回折像の電気信号に対応する分光特性を算出するための変換行列を記憶する変換行列記憶手段17aと、隣接するa個の前記回折像の電気信号とそれに対応する変換行列とから隣接するa個の回折像の開口部に対応する画像担持媒体の位置における分光特性を算出する分光特性算出手段17bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の分光特性を取得する分光特性取得装置及び分光特性取得方法、前記分光特性取得装置を有する画像評価装置、並びに前記画像評価装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロダクションプリンティング分野においても枚葉機、連帳機ともにデジタル化が進み、電子写真方式、インクジェット方式等の製品が多く市場投入され、それらの装置による印刷画像の高画質、色再現安定性への要求が高まっている。
【0003】
印刷画像の色再現安定性を向上させるために、分光計を用いて印刷物を精度良く測色して、装置のキャリブレーションを行ったり、色情報をフィードバックして印刷条件を制御したりする方法がある。従来の分光計は注視する領域の一点で計測されるため、任意の色票を印刷し、その色票について測色を行っていた。これらの技術は、ページ間、ページ内での画像変動に対応するため、画像全域で実行されることが望ましい。単一の分光計を移動させて複数個所を計測する製品もあるが、プロダクションプリンティング等で使用される高速機でのインラインでの計測に対応することは困難である。
【0004】
画像の全幅でのインライン色計測技術としては、例えば、異なる波長帯を有する光源を用いて画像の全幅を連続的に照射し、その反射光を取得して全幅の分光特性を取得する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1に開示された技術では、複数色の照明を時分割で切り替えて反射光を受光するため、同一点における反射光の信号を得ることが難しく、正確な色を測定できない。
【0005】
又、測定対象物からの反射光をピンホールアレイ等の開口部列で空間的に限定し、その後分光して複数の回折像として1次元アレイセンサに結像し、1次元アレイセンサを構成する複数の画素で各回折像の波長帯毎の光強度信号を取得する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に開示された技術では、分光特性の異なる複数の信号を一度に取得することができ、各開口部に対応した各位置における正確な分光特性を取得できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、印刷画像中の測定対象が例えばユーザ画像の場合は、狭い範囲の色も評価可能なように高い空間分解能で測定されることが望ましい。一方、印刷画像中の測定対象が例えば色票である場合は、色サンプルの範囲内の平均色を高い精度で測定することが望ましいが、高い空間分解能は必要ない。
【0007】
従来の技術において、測定対象に応じた適切な空間分解能で測定を行うためには、例えば、特許文献2の技術において、ピンホールアレイ等の開口部列を測定対象に応じてその都度交換する必要がある。
【0008】
しかしながら、例えば開口部の間隔が異なる複数種類の開口部列を用意しなければならず、手間を要する。又、開口部列を交換することにより、開口部列を構成する各開口部に対応する回折像と1次元アレイセンサとの相対的位置関係が変わる虞がある。相対的位置関係が変わると、各信号の分光特性が変わるため、開口部列を交換するたびに校正が必要となり、測定が煩雑化する問題がある。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、測定対象に応じた適切な空間分解能で複数の位置の分光特性を取得可能な分光特性取得装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本分光特性取得装置は、画像担持媒体へ光を照射する光照射手段と、前記光照射手段から前記画像担持媒体に照射された前記光の反射光を、複数の開口部を有する開口部列により複数の領域に分割する領域分割手段と、前記領域分割手段により複数の領域に分割された前記反射光を波長に応じて異なる方向に伝播し、前記複数の開口部に対応する複数の回折像を形成する分光手段と、前記分光手段により形成された前記複数の回折像を複数の画素で受光して電気信号に変換する受光手段と、前記電気信号に基づいて、前記画像担持媒体の複数の位置における反射光の光量の割合を示す分光特性を演算する演算手段と、を備え、前記演算手段は、隣接するa個(aは2以上の自然数)の前記回折像の前記電気信号に対応する前記分光特性を算出するための変換行列を記憶する変換行列記憶手段と、前記隣接するa個の前記回折像の前記電気信号と、それに対応する前記変換行列とから、前記隣接するa個の前記回折像の前記開口部に対応する前記画像担持媒体の位置における分光特性を算出する分光特性算出手段と、を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、測定対象に応じた適切な空間分解能で複数の位置の分光特性を取得可能な分光特性取得装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る分光特性取得装置を模式的に例示する図である。
【図2】第1の実施の形態に係るホールアレイを例示する平面図である。
【図3】ラインセンサへ入射する各回折像を入射面側から見た状態を示す図(その1)である。
【図4】分光ユニットの例を示す図(その1)である。
【図5】校正工程のフローチャートの一例である。
【図6】測定工程のフローチャートの一例である。
【図7】分光ユニットの例を示す図(その2)である。
【図8】分光ユニットの例を示す図(その3)である。
【図9】第1の実施の形態の変形例2に係る分光特性取得装置を模式的に例示する図である。
【図10】ラインセンサへ入射する回折像を入射面側から見た状態を示す図(その2)である。
【図11】第2の実施の形態に係る画像評価装置を例示する図である。
【図12】第3の実施の形態に係る画像形成装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0014】
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係る分光特性取得装置を模式的に例示する図である。なお、以後の記載においては、X方向、Y方向、Z方向という表現をするが、これらは図中に描かれている軸方向を表すものである。又、本願において、分光特性とは、拡散反射光の光量を波長の関数として表したものを指し、分光特性には分光反射率を含むものとする。なお、分光反射率とは、基準板(白色板等)からの拡散反射光の光量に対する、測定対象物からの拡散反射光の光量の割合を波長の関数として表したものである。
【0015】
図1を参照するに、分光特性取得装置10は、大略すると、ライン照明光源11と、結像光学系12と、ホールアレイ13と、結像光学系14と、分光手段15と、ラインセンサ16と、演算手段17とを有する。90は、測定対象物である画像担持媒体を示している。画像担持媒体90上の所定の領域には画像が形成されている。画像担持媒体90は、例えばシート状の印刷物等であり、図1の矢印M方向(Y方向)に一定の速度で搬送され得る。
【0016】
なお、以降の説明において、正反射光とは、ライン照明光源11から画像担持媒体90に照射される照射光の入射角と同じ角度で、入射方向とは反対側に反射する反射光(つまり入射角をθとすると、反射角がπ−θとなる反射光)を指し、拡散反射光とは、正反射光以外の反射光を指す。
【0017】
ライン照明光源11は、画像担持媒体90の奥行き方向(X方向)のライン状に広がった領域に光を照射する機能を有する。ライン照明光源11としては、例えば可視光のほぼ全域において強度を有する白色のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)アレイを用いることができる。ライン照明光源11として、冷陰極管等の蛍光灯やランプ光源等を用いても構わない。但し、ライン照明光源11は、分光に必要な波長領域の光を発するものであって、かつ観測領域全体(画像担持媒体90上のX方向の1ライン)にわたって均質に照明可能なものであることが好ましい。なお、ライン照明光源11は、本発明に係る光照射手段の代表的な一例である。
【0018】
ライン照明光源11から画像担持媒体90までの光路上に、ライン照明光源11から出射された光を画像担持媒体90にコリメートして(略平行光として)若しくは集光してライン状に照射する機能を有するコリメートレンズを配置しても構わない。
【0019】
結像光学系12は、画像担持媒体90に照射された光の法線方向(Z方向)の拡散反射光を、ホールアレイ13の開口部13bに結像する機能を有する。結像光学系12としては、例えば、X方向に複数のレンズが配列された集光レンズアレイ等を用いることができる。
【0020】
但し、必ずしも正確にホールアレイ13の開口部列上に拡散反射光が結像している必要はなく、デフォーカスした状態や無限系であってもよい。結像光学系12として、セルフォックレンズアレイのような屈折率分布型レンズアレイやマイクロレンズアレイ又はミラーからなる結像光学系を用いることも可能である。なお、結像光学系12は、本発明に係る第1の結像手段の代表的な一例である。
【0021】
図2に示すように、ホールアレイ13は、遮光部材13aに複数の開口部13bが一列に並んだ開口部列が形成された構造を有し、結像光学系12を介して入射した拡散反射光を複数の領域に分割する。以降、『複数の領域に分割する』ことを、単に『領域分割』と称する場合がある。ホールアレイ13において、実質的に同一形状の開口部13bが、実質的に同一間隔でX方向に一列に並んで、開口部列を構成している。
【0022】
ホールアレイ13としては、ガラス等の透明部材に金属膜や黒色樹脂による遮光部13aが形成され、その一部に開口部列が形成された部材や、金属薄板からなる遮光部13aにスリット形状の開口部列が形成された部材等を用いることができる。なお、図2では、ホールアレイ13の各開口部13bの形状を矩形としたが、これに限定されることはなく、各開口部13bの形状は楕円形や円形或いは他のより複雑な形状としてもよい。
【0023】
ホールアレイ13を用いることにより、測定対象物からの拡散反射光をホールアレイ13の開口部列により領域分割し、不要な部分の光を遮蔽できる。これにより、開口部列を構成する各開口部13bを通過した焦点面の光のみを検出し、隣接する領域からの反射光の混入を抑制できる。なお、ホールアレイ13は、本発明に係る領域分割手段の代表的な一例である。
【0024】
ホールアレイ13上の領域分割された像は、結像光学系14により集光されて分光手段15に入射する。つまり、結像光学系14は、開口部列を通過した拡散反射光を集光して分光手段15に結像させる。なお、結像光学系14は、本発明に係る第2の結像手段の代表的な一例である。
【0025】
分光手段15は、ホールアレイ13の開口部列により領域分割された後に結像光学系14により集光された拡散反射光を分光して波長に応じて異なる方向に伝播し、開口部列の各開口部13bに対応する回折像を形成する機能を有する。分光手段15としては、例えば、プリズムや透過型回折格子或いはそれらを組み合わせたもの等を用いることができる。
【0026】
ラインセンサ16は、分光手段15により形成された各回折像を複数の画素で受光して所定の波長帯毎の光量を取得し、取得した光量を電気信号に変換する機能を有する。ラインセンサ16としては、例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor Device)、CMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor Device)、CCD(Charge Coupled Device)、CIS(Contact Image Sensor)等を用いることができる。なお、ラインセンサ16は、本発明に係る受光手段の代表的な一例である。
【0027】
図3は、ラインセンサへ入射する各回折像を入射面側から見た状態を示す図(その1)である。図3を参照するに、ラインセンサ16は、Y方向に長い受光領域を持つ複数の画素がX方向に一列に配列した画素構造を有する。ラインセンサ16は、X方向に隣接するN個の画素を一群とする分光センサ16a、16b、16c、16d、・・・がX方向に複数個配列された分光センサアレイを構成している。
【0028】
分光センサ16a、16b、16c、16d等は、X方向に隣接する互いに分光特性の異なる光を受光するN個の画素を有する。図3の例では、N=8としている(8個の内に無効な画素が含まれている場合もある)。
【0029】
ラインセンサ16には、ホールアレイ13の各開口部13bの1次回折像Bのみが結像される。不要な非回折像A(0次回折像)、−1次回折像C、+2次回折像D、−2次回折像E等は、ラインセンサ16の画素から離れた位置に結像される。ホールアレイ13の各開口部13bが、ラインセンサ16上の各1次回折像B(各分光センサ)に対応しており、1つの開口部13bと各分光センサのN個の画素とは結像関係にある。従って、測定対象物である画像担持媒体90の測定位置を正確に取得することが可能となる。
【0030】
分光手段15の回折軸方向、回折格子のピッチ、分光手段15とラインセンサ16との距離等を適切に設定することで、図3のように斜め方向に回折した+1次回折像Bのみをラインセンサ16の隣接する複数の画素上に配置し、非回折像A(0次回折像)やその他所望の次数以外の回折像を、ラインセンサ16の画素から離れた位置に配置することができる。これにより、各1次回折像Bについて分光特性の異なる複数の光強度信号を得ることができる。なお、以降、+1次回折像Bを単に回折像と称する場合がある。
【0031】
ラインセンサ16で受光された各波長帯の拡散反射光は、受光した光量に応じて光電変換され、例えばデジタル変換された後、演算手段17に転送される。1次元ラインの分光情報が演算手段17に転送された後、測定対象物である画像担持媒体90が分光特性取得装置10に対して図1の矢印M方向に相対的に移動し、次の1次元ラインの分光情報がラインセンサ16で取り込まれ演算手段17に転送される。このような動作を繰り返すことにより、画像全幅の測色が可能となる。
【0032】
なお、図1に例示する光学系は、ライン照明光源11から出射される照明光が画像担持媒体90に対して略斜め45度より入射し、ラインセンサ16が画像担持媒体90から垂直方向に拡散反射する光を受光する所謂45/0光学系である。しかしながら、光学系の構成は図1に例示するものに限定されず、例えば、ライン照明光源11から出射される照明光が画像担持媒体90に対して垂直に入射し、ラインセンサ16が画像担持媒体90から45度方向に拡散反射する光を受光する所謂0/45光学系等としても構わない。
【0033】
ここで、演算手段17により分光特性(分光反射率)を算出する方法について説明する。演算手段17は、分光センサ16a、16b、16c、16d等から出力された電気信号に基づいて、画像担持媒体90の複数位置での分光特性を演算する機能を有する。演算手段17は、隣接するa個(aは2以上の自然数、以降同様)の分光センサを1つの分光ユニットと見なして動作する。換言すれば、演算手段17は、ラインセンサ16上で隣接するa個の回折像を1つの回折像群と見なして動作する。
【0034】
演算手段17は、変換行列記憶手段17aと、分光特性算出手段17bとを有する。変換行列記憶手段17aは、隣接するa個の回折像からなる回折像群毎に用意された、各回折像群に対応する電気信号からそれぞれ分光特性を算出するための変換行列を記憶する機能を有する。分光特性算出手段17bは、各回折像群に対応する電気信号とそれに対応する変換行列から、開口部列の隣接するa個の開口部13bに対応する画像担持媒体90の位置の分光特性を算出する機能を有する。
【0035】
演算手段17は、例えばCPU、ROM、メインメモリ等を含み、演算手段17の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現できる。但し、演算手段17の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、演算手段17は、物理的に複数の装置により構成されてもよい。
【0036】
図4は、分光ユニットの例を示す図(その1)である。図4では、隣接する2つの分光センサ16a及び16bを1つの分光ユニット26aとしている。又、隣接する2つの分光センサ16c及び16dを1つの分光ユニット26bとしている。換言すれば、ラインセンサ16上で隣接する2つの回折像を1つの回折像群と見なしている。なお、図4では、便宜上、1次回折像Bのみを図示している。
【0037】
演算手段17は、校正工程と測定工程を経て、各分光ユニット(ここでは、一例として分光ユニット26a及び26b)の分光特性を取得する。図5は、校正工程のフローチャートの一例である。図6は、測定工程のフローチャートの一例である。
【0038】
まず、図5に示すステップS100〜S130の校正工程を実行する。ステップS100では、画像担持媒体90として分光反射率が既知の複数の色票(色票1から色票n、nは2以上の自然数)を準備する。そして、色票1を各分光ユニット(ここでは、一例として分光ユニット26a及び26b)で測定して、各分光ユニットから出力される電気信号を分光特性算出手段17bに転送する。
【0039】
なお、色票とは、色の表示を目的とする標準試料のことであり、カラーチャートとも称される。色票としては、例えば、JIS−Z−8721準拠の標準色票等を用いることができる。各色票は、例えば、予め基準となる分光計等で測定され、分光反射率が既知となっている。
【0040】
ステップS110では、分光特性算出手段17bは、各分光ユニットから出力される各電気信号に基づいて、分光ユニット毎に、既知の分光反射率を目的変数、電気信号を説明変数とした重回帰分析を行うことで、電気信号から分光反射率への変換行列を算出する。ステップS120では、ステップS110で算出した分光ユニット毎の変換行列を変換行列記憶手段17aに記憶する。
【0041】
ここで、変換行列について更に詳しく説明をする。1つの分光センサを構成しているN個の画素から出力される電気信号vi(i= 1〜N)を格納した行ベクトルvと、変換行列Gから、各波長帯の分光反射率(例えば400〜700nmで10nm間隔の31個)を格納した行ベクトルrは式(数1)で表される。
r=Gv ・・・ (数1)
変換行列Gは、式(数2)〜式(数4)に示すように、予め分光分布が既知なn個の色票に対して分光分布を格納した行列Rと、同様のn個の色票を分光特性取得装置10で測定したときのvを格納した行列Vから、最小二乗法を用いて誤差の二乗ノルム‖・‖2を最小化することによって求まる。
R = [r1, r2, ・・・, rn] ・・・ (数2)
V = [v1, v2, ・・・, vn] ・・・ (数3)
e=‖R−GV‖2→min ・・・ (数4)
Vを説明変数、Rを目的変数としたVからRへの回帰式の回帰係数行列である変換行列Gは、行列Vの二乗最小ノルム解を与えるMoore-Penroseの一般化逆行列を用いて式(数5)のように計算される。
G = RV(VV)−1 ・・・ (数5)
ここで、上付きTは行列の転置を、上付き−1は逆行列を表す。これで求まった変換行列Gを変換行列記憶手段17aに記憶させておくことで、実際の測定時には変換行列Gと電気信号viの積を取ることにより、任意の測定対象物の分光分布rが推定できる。変換行列Gは、分光センサ毎に求めることもできるし、隣接する複数の分光センサを含む分光ユニット毎に求めることもできる。
【0042】
ステップS130では、全色票(色票1から色票nまで)の測定が終了したか否かを判定し、終了していない場合(Noの場合)には、ステップS100〜S120の処理を繰り返す。全色票(色票1から色票nまで)の測定が終了した場合(Yesの場合)には、校正工程は終了する。このようにして、複数の色票について、既知の分光反射率と分光特性取得装置10で測定した分光反射率とに基づいて、各分光ユニット(ここでは、一例として分光ユニット26a及び26b)毎に変換行列を算出できる。なお、校正工程は、1回だけ実行すればよい。
【0043】
次に、図6に示すステップS140及びS150の測定工程を実行する。ステップS140では、測定対象物である画像担持媒体90を準備する。そして、測定対象物である画像担持媒体90を各分光ユニットで測定して、各分光ユニットから出力される各電気信号を分光特性算出手段17bに転送する。ステップS150では、分光特性算出手段17bは、各分光ユニットから出力される各電気信号と変換行列記憶手段17aで記憶してある各分光ユニットに対応する変換行列との積を算出して、各分光ユニットの分光反射率を算出する。このようにして、各分光ユニットの分光反射率を取得できる。
【0044】
このように、第1の実施の形態では、隣接する2つの分光センサを1つの分光ユニットと見なし、各分光ユニットに対応する変換行列を校正工程で予め算出しておく。そして、測定工程において、各分光ユニットから出力される各電気信号に校正工程で予め算出した各分光ユニットに対応する変換行列を乗算することにより、各分光ユニットの分光反射率を取得する。これにより、取得した分光反射率分布は、図1のホールアレイ13の隣接する2つの開口部を通過した光束の分光反射率分布の平均値となる。
【0045】
例えば、測定対象物が印刷画像中の色票の部分である場合、色票の部分では分光反射率がほぼ同じである。このような場合に、第1の実施の形態に係る分光特性取得方法を適用することにより、広い範囲の平均的な分光反射率を高い安定性で取得することができる。
【0046】
又、隣接する複数の分光センサを1つの分光ユニットと見なして測定することにより、分光反射率を算出するための信号の数が増えるので、例えばラインセンサの出力信号を光電変換する部分で発生するランダムノイズの影響が小さくなり、より安定性の高い分光反射率分布を得ることができる。
【0047】
なお、隣接する3つ以上の分光センサを1つの分光ユニットと見なしてもよい。
【0048】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、分光ユニットとして、同一の分光センサを重複して使用する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部分についての説明は省略する。
【0049】
図7は、分光ユニットの例を示す図(その2)である。図7では、隣接する2つの分光センサ16a及び16bを1つの分光ユニット36aとしている。又、隣接する2つの分光センサ16b及び16cを1つの分光ユニット36bとしている。又、隣接する2つの分光センサ16c及び16dを1つの分光ユニット36cとしている。つまり、隣接する2つの分光センサを1つの分光ユニットとしつつ、同一の分光センサを重複して使用している。
【0050】
換言すれば、異なる回折像群が、共通する回折像を含むように選定されている。例えば、分光ユニット36aの回折像群(2つの回折像)と、分光ユニット36bの回折像群(2つの回折像)は、共通する分光センサ16bの回折像を含んでいる。なお、図7では、便宜上、1次回折像Bのみを図示している。
【0051】
図7に示すように、隣接する2つの分光センサ(隣接する2つの回折像)を1つの分光ユニットとしつつ、各分光センサ(各回折像)に対応する信号を重複して使用することにより、1つの分光センサ(1つの回折像)を1つの分光ユニットとした場合と同数の分光反射率データを得ることができる。
【0052】
もちろん、隣接する3つ以上の分光センサ(隣接する3つ以上の回折像)を1つの分光ユニットとしつつ、各分光センサ(各回折像)に対応する信号を重複して使用してもよい。図8に一例を示す。
【0053】
図8は、分光ユニットの例を示す図(その3)である。図8では、隣接する4つの分光センサ16a〜16dを1つの分光ユニット36pとしている。又、隣接する4つの分光センサ16b〜16eを1つの分光ユニット36qとしている。又、隣接する4つの分光センサ16c〜16fを1つの分光ユニット36rとしている。又、隣接する4つの分光センサ16d〜16gを1つの分光ユニット36sとしている。つまり、隣接する4個の分光センサ(隣接する4つの回折像)を1つの分光ユニットとしつつ、同一の分光センサを重複して使用している。なお、図8では、便宜上、1次回折像Bのみを図示している。
【0054】
例えば、図1のホールアレイ13の開口部13bの間隔を1mmとし、図8に例示する分光ユニット36p〜36sを用いて色票内の4mm角の領域(以降、対象領域とする)を測定することを考える。この場合、対象領域の平均的分光反射率が、1mmピッチで得られる。
【0055】
色票の位置がずれても対象領域を正確に測定するためには、色票の幅を対象領域の幅+測定ピッチにする必要がある。この場合には、対象領域の幅=4mm、測定ピッチ=1mmであるから、4mm角のデータを正確に取得するためには、色票の幅を5mmとすればよい。
【0056】
一方、図1のホールアレイ13の開口部の間隔を4mmとし、各分光センサを用いて(分光ユニットを用いずに)色票内の4mm角の領域を測定することを考える。この場合、対象領域の分光反射率が、4mmピッチで得られる。対象領域の幅=4mm、測定ピッチ=4mmであるから、4mm角のデータを正確に取得するためには、色票の幅を8mmとする必要がある。
【0057】
つまり、隣接する分光センサ(隣接する回折像)を1つの分光ユニットとしつつ、同一の分光センサを重複して使用することにより、色票の幅を狭くできるため、同一の領域に、より多くの色票を配置できる。
【0058】
このように、第1の実施の形態の変形例1では、分光ユニットとして、同一の分光センサを重複して使用する。これにより、第1の実施の形態と同一の光学系を用いて、測定ピッチ(ホールアレイの開口部のピッチ)よりも広い範囲の平均的分光反射率を取得することが可能となり、色票等を評価する場合に好適である。
【0059】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、演算手段が複数の変換行列記憶手段と複数の分光特性算出手段を有する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部分についての説明は省略する。
【0060】
図9は、第1の実施の形態の変形例2に係る分光特性取得装置を模式的に例示する図である。図9を参照するに、分光特性取得装置40は、演算手段17が演算手段47に置換された点が分光特性取得装置10(図1参照)と相違する。
【0061】
分光特性取得装置40において、ラインセンサ16で受光された各波長帯の拡散反射光は、受光した光量に応じて光電変換され、例えばデジタル変換された後、演算手段47に転送される。1次元ラインの分光情報が演算手段47に転送された後、測定対象物である画像担持媒体90が分光特性取得装置40に対して図9の矢印M方向に相対的に移動し、次の1次元ラインの分光情報がラインセンサ16で取り込まれ演算手段47に転送される。このような動作を繰り返すことにより、画像全幅の測色が可能となる。
【0062】
演算手段47は、分光センサ16a、16b、16c、16d等から出力された電気信号に基づいて、画像担持媒体90の複数位置での分光特性を演算する機能を有する。演算手段47は、第1の変換行列記憶手段47aと、第1の分光特性算出手段47bと、第2の変換行列記憶手段47cと、第2の分光特性算出手段47dとを有する。演算手段47は、演算手段17と同様に、例えばCPU等を含んで構成することができる。
【0063】
例えば、第1の分光特性算出手段47bは、1つの分光センサを1つの分光ユニットと見なした場合の各分光ユニットから出力された各電気信号に基づいて、分光ユニット毎に(=分光センサ毎に)、既知の分光反射率を目的変数、電気信号を説明変数とした重回帰分析を行うことで、電気信号から分光反射率への変換行列を算出する。第1の変換行列記憶手段47aは、第1の分光特性算出手段47bが算出した変換行列を記憶している。又、第1の分光特性算出手段47bは、各分光ユニットから出力された各電気信号と第1の変換行列記憶手段47aで記憶してある各分光ユニットに対応する変換行列との積を算出して、各分光ユニット(=分光センサ)の分光反射率を算出する。
【0064】
一方、例えば、第2の分光特性算出手段47dは、隣接する2つの分光センサを1つの分光ユニットと見なした場合の分光ユニットから出力された各電気信号に基づいて、分光ユニット毎に、既知の分光反射率を目的変数、電気信号を説明変数とした重回帰分析を行うことで、各電気信号から分光反射率への変換行列を算出する。第2の変換行列記憶手段47cは、第2の分光特性算出手段47dが算出した変換行列を記憶している。又、第2の分光特性算出手段47dは、各分光ユニットから出力された各電気信号と第2の変換行列記憶手段47cで記憶してある各分光ユニットに対応する変換行列との積を算出して、各分光ユニットの分光反射率を算出する。
【0065】
このように、第1の実施の形態の変形例2では、演算手段が複数の変換行列記憶手段と複数の分光特性算出手段を有する。これにより、1つの分光センサを1つの分光ユニットと見なした場合の各分光ユニットに対応する変換行列や、隣接する2つの分光センサを1つの分光ユニットと見なした場合の各分光ユニットに対応する変換行列等を校正工程で予め算出しておくことにより、開口部列を交換することなく、同一の光学系を用いて複数の異なる空間分解能で測定対象物上の画像各部の分光反射率を取得可能となる。つまり、測定目的や測定対象物に合わせて適切な空間分解能を選択するための部品交換が不要となり、同一のハードウェアで測定目的や測定対象物に合った分光特性を取得可能となる。
【0066】
又、演算手段は、例えば1台のコンピュータ内の複数のプログラムとして実現できるので、使用するプログラムを選択することにより、複数種類の空間分解能の分光反射率データを同一の光学系で取得可能となる。
【0067】
なお、第1の分光特性算出手段47b及び第2の分光特性算出手段47dのそれぞれにおいて、1つの分光ユニットと見なす分光センサの数は適宜決定できる。例えば、第1の分光特性算出手段47bでは、隣接するa個(aは2以上の自然数)の分光センサ(回折像)を1つの分光ユニットと見なし、第2の分光特性算出手段47dでは隣接するb個(bはaとは異なる2以上の自然数)の分光センサ(回折像)を1つの分光ユニットと見なしてもよい。又、演算手段が3種類以上の変換行列記憶手段及び分光特性算出手段を有してもよい。
【0068】
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、隣接する分光センサに結像する回折像の間隔を、ラインセンサの画素間隔の整数倍からずらす例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部分についての説明は省略する。
【0069】
図10は、ラインセンサへ入射する回折像を入射面側から見た状態を示す図(その2)である。図10を参照するに、分光センサ16a〜16dの各画素数は8であり、分光センサ16aの1次回折像Bと分光センサ16bの1次回折像Bとの間隔はラインセンサ16の画素幅の約8.5倍に設定されている。つまり、ラインセンサ16上の各回折像の間隔は、ラインセンサ16の画素間隔の整数倍と一致していない。なお、図10では、便宜上、1次回折像Bのみを図示している。
【0070】
図1等に示すホールアレイ13、結像光学系14、及びラインセンサ16の位置関係で決まる結像倍率を調整することで、分光センサ16aの1次回折像Bと分光センサ16bの1次回折像Bとの間隔をラインセンサ16の画素幅の整数倍からずらすことができる。
【0071】
図10の例では、隣接する2つの分光センサ16a及び16b(隣接する2つの回折像)を1つの分光ユニット26aとしており、分光ユニット26a内の2つの1次回折像Bは、画素との相対的位置関係が約0.5画素分ずれている。そのため、分光ユニット26a内の分光センサ16aと分光センサ16bから異なる分光特性が得られる。その結果、高精度に分光反射率を取得することが可能となる。
【0072】
なお、例えば隣接する3つの分光センサを1つの分光ユニットとする場合には、分光センサ16a〜16dの各画素数が8であれば、各分光センサの1次回折像Bの間隔をラインセンサ16の画素幅の約8.33倍に調整することにより、同様の効果が得られる。このように、分光反射率の推定に用いる信号は、できるだけ独立した信号である方が、推定精度が高くなり好適である。
【0073】
このように、第1の実施の形態の変形例3では、隣接する分光センサに結像する回折像の間隔を、ラインセンサの画素間隔の整数倍からずらしている。これにより、隣接する分光センサを1つの分光ユニットとする場合に、分光ユニット内の各分光センサから異なる分光特性が得られるため、高精度に分光反射率を取得することが可能となる。特に、空間分解能を下げて分光特性を取得する際の、測定精度を向上できる点で好適である。
【0074】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、分光特性取得装置を用いて画像評価装置を構成する例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部分についての説明は省略する。
【0075】
図11は、第2の実施の形態に係る画像評価装置を例示する図である。図11を参照するに、画像評価装置50は、例えば電子写真方式の画像形成装置等によって画像担持媒体90上に作製された画像を全幅に渡って測定する装置であり、図1に示す分光特性取得装置10と、画像評価手段51と、搬送手段52とを有する。なお、複数の分光特性取得装置10をX方向に並設して、より大きなサイズの測定対象物を測定可能に構成してもよい。
【0076】
画像評価手段51は、搬送手段52を制御して、測定対象物である画像担持媒体90を矢印M方向に所定の速度で搬送する機能を有する。又、画像評価手段51は、搬送手段52による画像担持媒体90の搬送に同期して分光特性取得装置10により画像担持媒体90の分光特性を取得し、分光特性取得装置10が取得した分光特性に基づいて、画像担持媒体90上に複数色で形成された画像の色を評価する機能を有する。画像評価手段51は、例えば反射物の色を示すCIELAB値等を算出できる。
【0077】
又、画像評価手段51は、基準となる測定対象物の各部の分光反射率を記憶する機能や、基準となる測定対象物と検査する測定対象物(画像担持媒体90)の分光反射率を比較して、差が大きい部分を表示する機能等を備えており、操作者の指示に従って測定対象物(画像担持媒体90)の画像を検査することができる。
【0078】
画像評価手段51は、例えばCPU、ROM、メインメモリ等を含み、画像評価手段51の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現される。但し、画像評価手段51の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、画像評価手段51は、物理的に複数の装置により構成されてもよい。
【0079】
なお、画像評価装置50において、分光特性取得装置10に代えて、分光特性取得装置40を用いても構わない。
【0080】
このように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態に係る分光特性取得装置を用いて画像評価装置を構成することにより、同一の光学系により測定対象物上の画像各部の分光特性を異なる空間分解能で測定できるため、測定対象物上の評価対象の特徴により適切な分光特性の評価が可能となる。例えば、高い空間分解能で狭い部分の分光反射率を評価することや、色票等のある程度の面積の広い部分の分光反射率を高精度で評価することが可能となる。
【0081】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、第2の実施の形態に係る画像評価装置を有する画像形成装置の例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部分についての説明は省略する。
【0082】
図12は、第3の実施の形態に係る画像形成装置を例示する図である。図12を参照するに、画像形成装置80は、第2の実施の形態に係る画像評価装置50と、給紙カセット81aと、給紙カセット81bと、給紙ローラ82と、コントローラ83と、走査光学系84と、感光体85と、中間転写体86と、定着ローラ87と、排紙ローラ88とを有する。90は、画像担持媒体(紙等)を示している。
【0083】
画像形成装置80において、給紙カセット81a及び81bから図示しないガイド、給紙ローラ82により搬送された画像担持媒体90が、走査光学系84により感光体85に露光され、色材が付与されて現像される。現像された画像が中間転写体86上に、次いで、中間転写体86から画像担持媒体90上に転写される。画像担持媒体90上に転写された画像は定着ローラ87により定着され、画像形成された画像担持媒体90は排紙ローラ88により排紙される。画像評価装置50は、定着ローラ87の後段に設置されている。
【0084】
このように、第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態に係る画像評価装置を画像形成装置の所定の位置に装備することにより、画像担持媒体の搬送に同期して、画像担持媒体の面内の色情報を2次元で取得できる。そして、画像形成装置80が例えば電子写真方式による画像製品である場合には、取得した2次元の色情報に基づいて、書込み走査光学系の光源出力の一走査内制御や印刷前のガンマ補正等の画像処理を行うことにより、画像担持媒体の面内の色むらを低減することが可能となる。
【0085】
又、画像形成装置80が例えばインクジェット方式による画像製品である場合には、ヘッド位置によりインクの吐出量を直接制御することにより、画像担持媒体の面内の色むらを低減することが可能となる。
【0086】
又、第2の実施の形態に係る画像評価装置により、空間分解能の異なる分光特性を2次元で画像全面で取得することが可能なため、色票がある場合は色票に適した分光特性の評価が、色票がない場合には、ユーザの任意の画像の任意の位置に適した分光特性の評価ができる。そして、それぞれの評価に基づいてプロセスの調整を行うことで、より色安定性、色再現性の高い画像形成装置を実現できる。
【0087】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0088】
10、40 分光特性取得装置
11 ライン照明光源
12、14 結像光学系
13 ホールアレイ
13a 遮光部材
13b 開口部
15 分光手段
16 ラインセンサ
16a、16b、16c、16d 分光センサ
17、47 演算手段
17a 変換行列記憶手段
17b 分光特性算出手段
26a、26b、36a、36b、36c、36p、36q、36r、36s 分光ユニット
47a 第1の変換行列記憶手段
47b 第1の分光特性算出手段
47c 第2の変換行列記憶手段
47d 第2の分光特性算出手段
50 画像評価装置
51 画像評価手段
52 搬送手段
80 画像形成装置
81a 給紙カセット
81b 給紙カセット
82 給紙ローラ
83 コントローラ
84 走査光学系
85 感光体
86 中間転写体
87 定着ローラ
88 排紙ローラ
90 画像担持媒体
A 非回折像A(0次回折像)
B 1次回折像
C −1次回折像
D +2次回折像
E −2次回折像
M 矢印
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】
【特許文献1】特開2005−315883号公報
【特許文献2】特開2010−256324号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像担持媒体へ光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段から前記画像担持媒体に照射された前記光の反射光を、複数の開口部を有する開口部列により複数の領域に分割する領域分割手段と、
前記領域分割手段により複数の領域に分割された前記反射光を波長に応じて異なる方向に伝播し、前記複数の開口部に対応する複数の回折像を形成する分光手段と、
前記分光手段により形成された前記複数の回折像を複数の画素で受光して電気信号に変換する受光手段と、
前記電気信号に基づいて、前記画像担持媒体の複数の位置における反射光の光量の割合を示す分光特性を演算する演算手段と、を備え、
前記演算手段は、隣接するa個(aは2以上の自然数)の前記回折像の前記電気信号に対応する前記分光特性を算出するための変換行列を記憶する変換行列記憶手段と、
前記隣接するa個の前記回折像の前記電気信号と、それに対応する前記変換行列とから、前記隣接するa個の前記回折像の前記開口部に対応する前記画像担持媒体の位置における分光特性を算出する分光特性算出手段と、を有する分光特性取得装置。
【請求項2】
前記隣接するa個の前記回折像と、それとは異なる隣接するa個の前記回折像とが、共通する前記回折像を含むように選定されている請求項1記載の分光特性取得装置。
【請求項3】
前記受光手段上の前記各回折像の間隔は、前記受光手段の画素間隔の整数倍と一致していない請求項1又は2記載の分光特性取得装置。
【請求項4】
前記演算手段は、隣接するb個(bはaとは異なる2以上の自然数)の前記回折像の前記電気信号に対応する前記分光特性を算出するための第2の変換行列を記憶する第2の変換行列記憶手段と、
前記隣接するb個の前記回折像の前記電気信号と、それに対応する前記第2の変換行列とから、前記隣接するb個の前記回折像の前記開口部に対応する前記画像担持媒体の位置における分光特性を算出する第2の分光特性算出手段と、を更に有する請求項1乃至3の何れか一項記載の分光特性取得装置。
【請求項5】
前記演算手段は、前記各回折像の前記電気信号に対応する前記分光特性を算出するための第3の変換行列を記憶する第3の変換行列記憶手段と、
前記各回折像の前記電気信号と、それに対応する前記第3の変換行列とから、前記回折像の前記開口部に対応する前記画像担持媒体の位置における分光特性を算出する第3の分光特性算出手段と、を更に有する請求項1乃至4の何れか一項記載の分光特性取得装置。
【請求項6】
前記画像担持媒体に照射された前記光の反射光を集光して前記開口部列に結像させる第1の結像手段と、
前記開口部列を通過した前記反射光を集光して前記分光手段に結像させる第2の結像手段と、を有する請求項1乃至5の何れか一項記載の分光特性取得装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項記載の分光特性取得装置と、
前記画像担持媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による前記画像担持媒体の搬送に同期して前記分光特性取得装置により前記画像担持媒体の分光特性を取得し、前記分光特性取得装置が取得した前記分光特性に基づいて、前記画像担持媒体上に複数色で形成された画像の色を評価する画像評価手段と、を有する画像評価装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像評価装置を搭載した画像形成装置。
【請求項9】
画像担持媒体へ光を照射する光照射工程と、
前記光照射工程で前記画像担持媒体に照射された前記光の反射光を、複数の開口部を有する開口部列により複数の領域に分割する領域分割工程と、
前記領域分割工程で複数の領域に分割された前記反射光を波長に応じて異なる方向に伝播し、前記複数の開口部に対応する複数の回折像を形成する分光工程と、
前記分光工程で形成された前記複数の回折像を複数の画素で受光して電気信号に変換する受光工程と、
前記電気信号に基づいて、前記画像担持媒体の複数の位置における反射光の光量の割合を示す分光特性を演算する演算工程と、を備え、
前記演算工程は、隣接するa個(aは2以上の自然数)の前記回折像の前記電気信号と、前記隣接するa個の前記回折像の前記電気信号に対応する前記分光特性を算出するための変換行列とから、前記隣接するa個の前記回折像の前記開口部に対応する前記画像担持媒体の位置における分光特性を算出する工程を有する分光特性取得方法。
【請求項10】
前記演算工程は、隣接するb個(bはaとは異なる2以上の自然数)の前記回折像の前記電気信号と、前記隣接するb個の前記回折像の前記電気信号に対応する前記分光特性を算出するための第2の変換行列とから、前記隣接するb個の前記回折像の前記開口部に対応する前記画像担持媒体の位置における分光特性を算出する工程を更に有する請求項9記載の分光特性取得方法。
【請求項11】
前記演算工程は、前記各回折像の前記電気信号と、前記各回折像の前記電気信号に対応する前記分光特性を算出するための第3の変換行列とから、前記回折像の前記開口部に対応する前記画像担持媒体の位置における分光特性を算出する工程を更に有する請求項9又は10記載の分光特性取得方法。
【請求項12】
前記光照射工程と前記領域分割工程との間で、前記画像担持媒体に照射された前記光の反射光を集光して前記開口部列に結像させる第1の結像工程と、
前記領域分割工程と前記分光工程との間で、前記開口部列を通過した前記反射光を集光して前記分光手段に結像させる第2の結像工程と、を有する請求項9乃至11の何れか一項記載の分光特性取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−61174(P2013−61174A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198374(P2011−198374)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】