説明

分光特性取得装置及び分光特性取得方法、画像評価装置、並びに画像形成装置

【課題】1次元に並んだ複数の領域の分光情報と位置情報を一度に精度良く取得することが可能な分光特性取得装置を提供すること。
【解決手段】本分光特性取得装置は、画像担持媒体へ光を照射する光照射手段と、前記光照射手段から前記画像担持媒体に照射された前記光の反射光を、複数の開口部を有する開口部列により複数の領域に分割する領域分割手段と、前記領域分割手段により複数の領域に分割された前記反射光を波長に応じて異なる方向に伝播し、前記複数の開口部に対応する複数の回折像を形成する分光手段と、前記分光手段により形成された前記複数の回折像を2次元に配列された複数の画素で受光する受光手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の分光特性を取得する分光特性取得装置及び分光特性取得方法、前記分光特性取得装置を有する画像評価装置、並びに前記画像評価装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロダクションプリンティング分野においても枚葉機、連帳機ともにデジタル化が進み、電子写真方式、インクジェット方式等の製品が多く市場投入され、それらの装置による印刷画像の高画質、色再現安定性への要求が高まっている。
【0003】
印刷画像の色再現安定性を向上させるために、分光計を用いて印刷物を精度良く測色して、装置のキャリブレーションを行ったり、色情報をフィードバックして印刷条件を制御したりする方法がある。従来の分光計は注視する領域の一点で計測されるため、任意の色パッチを印刷し、その色パッチについて測色を行っていた。これらの技術は、ページ間、ページ内での画像変動に対応するため、画像全域で実行されることが望ましい。単一の分光計を移動させて複数個所を計測する製品もあるが、プロダクションプリンティング等で使用される高速機に対応することは困難である。
【0004】
画像の全幅計測においては様々な評価技術が開示されているが、一例として、オフセットやグラビア印刷機等で走行する多色刷り印刷シ−トの表面に自然光に近い光を照射し、その反射光をスペクトル分解してこのスペクトルの強度分布から多色画像の濃度を検出する技術を挙げることができる。
【0005】
この技術は、反射光を通過させて平行光束に調整するスリットと、このスリット装置を通過した平行光束を波長の関数として与えられるスペクトルに分解するスペクトル分解装置と、この波長と印刷シ−トの幅方向の単位エリアの個々の部位との関数としてスペクトル強度を記憶させる記憶装置とを備えていることが特徴である(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、例えば白色光源等により照射されたライン状領域からの反射光を領域分割することなく光軸に垂直な方向に分光してCCDカメラ等の受光手段により2次元で取得する。そのため、取得した色情報には隣接する領域の色情報が混入する問題があった。
【0007】
具体的に説明すると、白色光等の光が照射された印刷画像中の1次元ラインの測定領域からの反射光は、複数のレンズや光を分光するための回折素子等の光学素子を通過し、2次元に配列した画素上に回折像として結像する。印刷画像を測色する場合、特に定着後のトナー等は、その表面形状に依存して反射光が3次元的に拡散する。
【0008】
従って、連続した領域を測定する場合、隣接する領域からの反射光が回折素子等の光学素子を通過後、分光されて所定の測定点に対応する画素に回りこみ、フレアとして混入する。その結果、見かけの測光量が増加して測光誤差を招くため、画像に基づいて分光反射率を正確に求めることがでず、取得した分光情報の精度が低いという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、1次元に並んだ複数の領域の分光情報と位置情報を一度に精度良く取得することが可能な分光特性取得装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本分光特性取得装置は、画像担持媒体へ光を照射する光照射手段と、前記光照射手段から前記画像担持媒体に照射された前記光の反射光を、複数の開口部を有する開口部列により複数の領域に分割する領域分割手段と、前記領域分割手段により複数の領域に分割された前記反射光を波長に応じて異なる方向に伝播し、前記複数の開口部に対応する複数の回折像を形成する分光手段と、前記分光手段により形成された前記複数の回折像を2次元に配列された複数の画素で受光する受光手段と、を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、1次元に並んだ複数の領域の分光情報と位置情報を一度に精度良く取得することが可能な分光特性取得装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る分光特性取得装置を模式的に例示する正面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る分光特性取得装置を模式的に例示する側面図である。
【図3】第1の実施の形態に係るホールアレイを例示する平面図である。
【図4】ホールアレイを用いずに分光情報を取得した場合のエリアセンサ上に結像した回折像について説明する図である。
【図5】ホールアレイを用いた場合のエリアセンサ上に結像した回折像について説明する図である。
【図6】第1の実施の形態に係る分光特性取得装置で取得した分光情報について説明する図である。
【図7】第2の実施の形態に係る分光特性取得装置を模式的に例示する側面図である。
【図8】第2の実施の形態に係るホールアレイを例示する平面図である。
【図9】シミュレーションに用いたトナー画像の分光分布を例示する図である。
【図10】シミュレーション結果を例示する図である。
【図11】第4の実施の形態に係る画像評価装置を例示する図である。
【図12】第5の実施の形態に係る画像形成装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0014】
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係る分光特性取得装置を模式的に例示する正面図である。図2は、第1の実施の形態に係る分光特性取得装置を模式的に例示する側面図である。なお、以後の記載においては、X方向、Y方向、Z方向という表現をするが、これらは図中に描かれている軸方向を表すものである。又、本願において、分光特性とは、拡散反射光の光量を波長の関数として表したものを指し、分光特性には分光反射率を含むものとする。なお、分光反射率とは、基準板(白色板等)からの拡散反射光の光量に対する、測定対象物からの拡散反射光の光量の割合を波長の関数として表したものである。
【0015】
図1及び図2を参照するに、分光特性取得装置10は、大略すると、ライン照明光源11と、コリメートレンズ12と、結像光学系13と、ホールアレイ14と、分光器15と、エリアセンサ16とを有する。90は、画像担持媒体(紙等)を示している。画像担持媒体90上の所定の領域には画像が形成されている。
【0016】
なお、以降の説明において、正反射光とは、ライン照明光源11から画像担持媒体90に照射される照射光の入射角と同じ角度で、入射方向とは反対側に反射する反射光(つまり入射角をθとすると、反射角がπ−θとなる反射光)を指し、拡散反射光とは、正反射光以外の反射光を指す。
【0017】
ライン照明光源11は、画像担持媒体90の図2の奥行き方向(X方向)のライン状に広がった領域に光を照射する機能を有する。ライン照明光源11としては、例えば可視光のほぼ全域において強度を有する白色のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)アレイを用いることができる。ライン照明光源11として、冷陰極管等の蛍光灯やランプ光源等を用いても構わない。但し、ライン照明光源11は、分光に必要な波長領域の光を発するものであって、かつ観測領域全体(画像担持媒体90上の1ライン)にわたって均質に照明可能なものであることが好ましい。
【0018】
コリメートレンズ12は、ライン照明光源11から出射された光を画像担持媒体90にコリメートして(略平行光として)若しくは集光してライン状に照射する機能を有する。なお、ライン照明光源11及びコリメートレンズ12は、本発明に係る光照射手段の代表的な一例である。但し、コリメートレンズ12は、省略することも可能である。
【0019】
結像光学系13は、例えば複数枚のレンズから構成され、画像担持媒体90に照射された光の法線方向(Z方向)の拡散反射光を、ホールアレイ14の開口部14bに結像する機能を有する。
【0020】
但し、必ずしも正確にホールアレイ14の開口部列上に拡散反射光が結像している必要はなく、デフォーカスした状態や無限系であってもよい。複数枚のレンズから構成された結像光学系13に代えて、セルフォックレンズアレイのような屈折率分布型レンズアレイやマイクロレンズアレイ又はミラーからなる結像光学系を用いることも可能である。なお、結像光学系13は、本発明に係る第1の結像手段の代表的な一例である。
【0021】
図3に示すように、ホールアレイ14は、遮光部材14aに複数の開口部14bが一列に並んだ開口部列が形成された構造を有し、結像光学系13を介して入射した拡散反射光を複数の領域に分割する。以降、『複数の領域に分割する』ことを、単に『領域分割』と称する場合がある。ホールアレイ14において、実質的に同一形状の開口部14bが、実質的に同一間隔でX方向に一列に並んで、開口部列を構成している。1つの開口部14bからの光線が図1及び図2中に示した点線の光路を取り、エリアセンサ16の複数の画素へ入射する。
【0022】
ホールアレイ14としては、ガラス等の透明部材に金属膜や黒色樹脂による遮光部14aが形成され、その一部に開口部列が形成された部材や、金属薄板からなる遮光部14aにスリット形状の開口部列が形成された部材等を用いることができる。なお、図3では、ホールアレイ14の各開口部14bの形状を矩形としたが、これに限定されることはなく、各開口部14bの形状は楕円形や円形或いは他のより複雑な形状としてもよい。
【0023】
各開口部14bの高さHは後述する分光センサの波長分解能とは関係せず、分光センサへの入射光量のみに影響を及ぼす。よって、受光光量のむらのみを補正したいときには、開口部14bが配列する方向と直交する方向(Y方向)に開口部14bを長くすれば、各分光センサの波長分解能に影響を及ぼさずに受光光量のむらのみを補正できる。なお、ホールアレイ14は、本発明に係る領域分割手段の代表的な一例である。
【0024】
ホールアレイ14上の領域分割された像は、分光器15よって光軸と垂直方向(Y軸方向)に分光されて波長分解される。分光器15は、例えば、2枚のレンズ15a及び15cと、分光手段15bとを有し、開口部14bを通過した拡散反射光の1ラインの1次元位置情報を保持しながら同時に分光して分光スペクトルを得ることができるように構成されている。
【0025】
レンズ15aは、ホールアレイ14の開口部列を通過した拡散反射光を集光して分光手段15bに結像させる機能を有する。なお、レンズ15aは、本発明に係る第2の結像手段の代表的な一例である。
【0026】
分光手段15bは、ホールアレイ14の開口部列により領域分割されレンズ15aを介して入射する拡散反射光を分光して波長に応じて異なる方向に伝播し、開口部列の各開口部14bに対応する回折像を形成する機能を有する。分光手段15bとしては、例えば、プリズムや透過型回折格子或いはそれらを組み合わせたもの等を用いることができる。
【0027】
レンズ15cは、分光手段15bにより波長に応じて異なる方向に伝播された拡散反射光をエリアセンサ16の複数の画素に結像する機能を有する。レンズ15cは、本発明に係る第3の結像手段の代表的な一例である。
【0028】
なお、分光器15として、非特許文献である守屋進:光アライアンス v o l . 1 0 N o . 1 1(1 9 9 9 . 1 1) p .4 〜 9 、日本工業出版発行に記載されているものや、フィンランドのSpectal Imaging Ltd社の「ImSpector」(分光範囲:380 〜780nm、波長分解能:2nm)等を用いてもよい。
【0029】
但し、分光器15は上記の構成に限ったものではなく、例えば、透過型回折格子と複数の結像レンズ群から構成したり、反射型回折格子と複数のミラーやレンズ群から構成したりしてもよい。
【0030】
エリアセンサ16は、例えば、複数の画素が2次元に配列された受光領域を有するセンサである。エリアセンサ16としては、例えば、MOS(Metal Oxide Semiconductor Device)、CMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor Device)、CCD(Charge Coupled Device)、PDA(Photo Diode Array)等のカメラを用いることができる。
【0031】
分光器15によって分光された分光スペクトルの1次元位置情報と波長情報は、回折像としてエリアセンサ16の画素上に結像され1フレームに取り込まれるように構成されている。エリアセンサ16は、画像担持媒体90の1次元ラインの位置情報をX軸に、分光スペクトルの波長情報をY軸に取得するように構成されている。なお、エリアセンサ16は、本発明に係る受光手段の代表的な一例である。
【0032】
エリアセンサ16で受光された各波長帯の拡散反射光は、受光した光量に応じて光電変換され、デジタル変換された後、信号処理部(図示せず)に転送される。1次元ラインの分光情報が1フレームの2次元画像情報として信号処理部(図示せず)に転送された後、測定対象物である画像担持媒体90が分光特性取得装置10に対して図2の矢印A方向に相対的に移動し、次の1次元ラインの位置情報と波長情報をエリアセンサ16で取り込み、1フレームの2次元画像情報として信号処理部(図示せず)に転送される。このような動作を繰り返すことにより、画像全幅の測色が可能となる。
【0033】
信号処理部(図示せず)は、例えばCPU、ROM、メインメモリ等を含み、信号処理部(図示せず)の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現される。但し、信号処理部(図示せず)の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、信号処理部(図示せず)は、物理的に複数の装置により構成されてもよい。又、信号処理部(図示せず)は、分光特性取得装置10の内部に設けてもよいし、分光特性取得装置10の外部に設けてもよい。
【0034】
なお、図1及び図2に例示する光学系は、ライン照明光源11から出射される照明光が画像担持媒体90に対して略斜め45度より入射し、エリアセンサ16が画像担持媒体90から垂直方向に拡散反射する光を受光する所謂45/0光学系である。しかしながら、光学系の構成は図1及び図2に例示するものに限定されず、例えば、ライン照明光源11から出射される照明光が画像担持媒体90に対して垂直に入射し、エリアセンサ16が画像担持媒体90から45度方向に拡散反射する光を受光する所謂0/45光学系等としても構わない。
【0035】
ここで、ホールアレイ14の有する特有の効果について説明する。図4は、ホールアレイを用いずに分光情報を取得した場合のエリアセンサ上に結像した回折像について説明する図である。図4を参照するに、ホールアレイ14を用いない場合は、注視する領域が連続し、正確な位置情報を取得することが困難である。又、隣接する領域のフレアが重畳するので、エリアセンサ16の各画素からの出力値に基づいて分光情報を正確に取得できない。
【0036】
一方、図5は、ホールアレイを用いた場合のエリアセンサ上に結像した回折像について説明する図である。図5は、エリアセンサ16の複数の画素が2次元に配列された受光領域をZ方向から視た様子を模式的に示している。前述のように、エリアセンサ16は、測定対象領域の1次元ラインの位置情報をX軸に、分光スペクトルの波長情報をY軸に取得するように構成されている。
【0037】
図5に示すように、ホールアレイ14を設置することで、ホールアレイ14の1つの開口部14bからの光束を分光させた後、エリアセンサ16のY方向に隣接するN個の画素へ異なる波長帯の光を入射させることができる。つまり、エリアセンサ16のY方向に隣接するN個の画素上に、ホールアレイ14の各開口部14bを通過した光の各回折像16xを取得することができる。図5の例では、7個の回折像16xを取得している。
【0038】
なお、分光器15によって分光された分光スペクトルは、非回折光(0次光)、+1次光、−1次光、+2次光、−2次光等を含んでいる。エリアセンサ16には、+1次光のみが照射されるように光学系が配置されており、+1次光により回折像16xが形成される。
【0039】
エリアセンサ16上の各回折像16xが形成されたY方向の画素列が、それぞれ分光センサとして機能する。図5の例では、7個の分光センサとして機能している。1つの開口部14bが1つの分光センサに対応しており、1つの開口部14bとN個の画素は結像関係にある。従って、各開口部14bの回折像16xと対応させることにより、測定対象物である画像担持媒体90の測定位置を正確に取得することが可能となる。
【0040】
エリアセンサ16の1方向(Y方向)の各画素に異なる波長帯の光が入射するので、回折像16xのY方向の幅は各分光センサにおける波長分解能を規定している。波長分解能をどの程度に設定するかは分光特性取得装置10の使用目的によって定められるため、それに応じて開口部14bの幅や結像光学系の結像性能等を設計することができる。
【0041】
なお、回折像16xが受光領域においてX方向に複数画素幅にわたって結像する場合は、X方向の画素値を積算して、Y方向にN分割された波長帯の出力値とすることができる。
【0042】
図6は、分光特性取得装置10で取得した分光情報について説明する図である。図6の実線は、図5で示すように1つの開口部14bからの光束の回折像16xを10個の画素を用いてエリアセンサ16により取得した場合の各画素の出力強度を示している。又、図6の破線は、図4に示すようにホールアレイ14等を用いて領域分割を行わない場合の各画素の出力強度を示している。
【0043】
図6に示すように、ホールアレイ14等を用いて領域分割を行わない場合(破線の場合)は、隣接する領域からのフレアの影響により、ホールアレイ14等を用いて領域分割を行った場合(実線の場合)と比較して、出力強度が増加していることがわかる。このように、ホールアレイ14等を用いて領域分割を行わない場合(破線の場合)は、画素出力値に基づいて、対応する画像担持媒体90の測定位置の正確な色情報を取得することはできない。
【0044】
ホールアレイ14を用いることにより、測定対象物からの拡散反射光をホールアレイ14の開口部列により領域分割し、不要な部分の光を遮蔽できる。これにより、開口部列を構成する各開口部14bを通過した焦点面の光のみを検出し、隣接する領域からの反射光の混入を抑制できる。
【0045】
このように、第1の実施の形態に係る分光特性取得装置10は、画像担持媒体90の1次元ライン状領域からの拡散反射光をホールアレイ14等の領域分割手段で領域分割してから分光器15で分光する。そして、分光器15により波長に応じて異なる方向に伝播された拡散反射光をエリアセンサ16の2次元に配列された複数の画素により受光する。この際、ホールアレイ14等の領域分割手段は、遮光部材に複数の開口部が一列に並んだ開口部列を有するため、測定対象物である画像担持媒体90からの拡散反射光は開口部列により領域分割され、不要な部分の光が遮蔽される。これにより、開口部列の各開口部を通過した焦点面の光のみを検出し、隣接する領域からの反射光の混入を抑制することができる。その結果、画像担持媒体90内の位置情報と色情報をともに精度良く取得できる。
【0046】
仮に開口部列を設けなかったとすれば、分光特性取得装置の光学系等に起因するフレア光によりエリアセンサ16の見かけの受光量が増加し、測定誤差を招くため、分光特性を正確に求めることができない。分光特性取得装置10は、このような問題を解決するものである。
【0047】
なお、例えば、エリアセンサ16に代えてラインセンサを用い、ラインセンサに斜めに回折像を取得させる構成も考えられる。この場合も、ライン状の測定対象領域からの拡散反射光を開口部列により領域分割し回折格子等により分光させた後、ラインセンサにより分光情報を取得することで、非常に高精度かつ高速に画像全幅の測定領域の分光情報が取得可能である。
【0048】
しかしながら、画像領域の測定間隔はラインセンサの画素数と、分光情報を取得するバンド数により制約を受けるという問題がある。つまり、エリアセンサ16を用いた場合には、図5のY方向に画素を追加することで容易にバンド数を増加できるが、ラインセンサでは全体の画素数が予め決まっており、それを各分光センサで分割して使用するため、容易にバンド数を増加できない。
【0049】
例えば、プリンター等のキャリブレーション時等のように、より高分解能に分光情報を測定したいような場合は、エリアセンサ16を用いることで測定間隔を狭めたり、分光情報を取得するバンド数を増やしたりすることが容易であるが、ラインセンサを用いた場合には困難である。このように、分光特性取得装置10にエリアセンサ16を用いることにより、ラインセンサを用いると問題となる上記制約を回避できる。
【0050】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、測定目的や測定条件に応じてホールアレイの開口部の面積や開口部の間隔を可変可能とする例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部分についての説明は省略する。
【0051】
図7は、第2の実施の形態に係る分光特性取得装置を模式的に例示する側面図である。図8は、第2の実施の形態に係るホールアレイを例示する平面図である。
【0052】
図7を参照するに、分光特性取得装置20は、ホールアレイ14がホールアレイ24に置換された点が分光特性取得装置10(図2等参照)と相違している。
【0053】
図8を参照するに、ホールアレイ24は、遮光部材24aに複数の開口部24bが一列に並んだ第1の開口部列、遮光部材24aに複数の開口部24cが一列に並んだ第2の開口部列、遮光部材24aに複数の開口部24dが一列に並んだ第3の開口部列、遮光部材24aに複数の開口部24eが一列に並んだ第4の開口部列が形成された構造を有し、結像光学系13を介して入射した拡散反射光を領域分割する。なお、ホールアレイ24は、本発明に係る領域分割手段の代表的な一例である。
【0054】
第1〜第4の開口部列において、それぞれ実質的に同一形状の開口部が、実質的に同一間隔でX方向に一列に並んで、各開口部列を構成している。1つの開口部からの光線が図7中に示した点線の光路を取り、エリアセンサ16の複数の画素へ入射する。但し、分光特性を取得する際には、第1〜第4の開口部列のうちの何れか1つの開口部列が選択される。
【0055】
第1〜第4の開口部列は、Y方向に複数段に並んでおり、それぞれの有する開口部の面積及び開口部の間隔の何れか一方又は双方が異なっている。例えば、第1の開口部列の開口部24bと第2の開口部列の開口部24cとを比較すると、開口部の面積が異なっており(開口部24cの方が大面積)、開口部の間隔は同一である。
【0056】
又、第1の開口部列の開口部24bと第3の開口部列の開口部24dとを比較すると、開口部の面積が異なっており(開口部24dの方が大面積)、開口部の間隔も異なっている(開口部24dの方が広間隔)。又、第1の開口部列の開口部24bと第4の開口部列の開口部24eとを比較すると、開口部の面積は同一であり、開口部の間隔が異なっている(開口部24eの方が狭間隔)。
【0057】
ホールアレイ24は、例えば移動ステージ(図示せず)に固定されており、移動ステージ(図示せず)と共に図7の矢印B方向に移動することにより、第1〜第4の開口部列が切り替え可能に構成されている。第1〜第4の開口部列のうちの何れか1つが選択されて拡散反射光の光路上に配置される。
【0058】
つまり、ホールアレイ24には第1〜第4の開口部列が複数段に形成されており、測定目的や測定条件(例えば、画像担持媒体90の搬送速度等)に応じて第1〜第4の開口部列を切り替えて選択的に使用することにより、開口部の面積及び開口部の間隔の何れか一方又は双方を可変することができる。なお、移動ステージ(図示せず)は、本発明に係る移動手段の代表的な一例である。
【0059】
ホールアレイ24の矢印B方向の移動は、手動で行ってもよいし、モータやギヤ等を用いて電動で行ってもよい。
【0060】
第1〜第4の開口部列が複数段に形成されたホールアレイ24を図7の矢印B方向に移動可能に構成することにより、以下のような効果を奏する。例えば、図7の矢印A方向に高速で搬送される画像担持媒体90の画像を測色する場合には、エリアセンサ16の露光時間が光量に対して十分確保できない虞がある。取得する光量が少ない場合は、SN比が低下するので、測定精度が著しく劣化する。
【0061】
例えば、第1の開口部列(開口部24b)を用いると十分な光量を取得できない場合には、開口部24bよりも開口部の面積の大きな開口部を有する開口部列を用いることにより、高速測定に足る十分な光量を得ることが可能となる。その際に、測定間隔を一定としたい場合は、フレア等のノイズ要因を抑制するために、開口部24bよりも開口部配列方向(X方向)及びその垂直方向(Y方向)に開口幅を広げた開口部24cを有する第2の開口部列を用いることが望ましい。
【0062】
又、第1の開口部列(開口部24b)を用いた場合よりも測定密度を減じてよい場合は、開口部24bよりも開口部の間隔が広く、開口部の配列方向(X方向)に開口幅を広げた開口部24dを有する第3の開口部列を用いることで、よりSNを向上させることができる。なお、開口部の面積に比例して受光量が増加するので、開口部の面積が2倍になれば撮像速度も2倍まで対応可能となる。従って、測定精度と撮像速度に適した必要光量から開口部の面積を算出し形状を適宜決定すればよい。
【0063】
又、第1の開口部列(開口部24b)を用いた場合よりも高密度に測色を行いたい場合は、開口部24bよりも開口部の間隔が狭い開口部24eを有する第4の開口部列を用いることで、高分解能な測定が可能となる。
【0064】
プリンタや印刷機械のような画像製品において、起動時のキャリブレーションには精度を要求され、実稼動時には高速性を要求される場合がある。このような場合に、ホールアレイ24を矢印B方向に移動させて最適な開口部列に切り替えることで、各状態の効率化が図れる。
【0065】
又、例えば一連の印刷プロセス過程において、通常は高速対応の開口部列を用いてリアルタイム計測により測定結果をフィードバックし画像の色安定化を図る。そして、数〜数百枚毎にキャリブレーションが必要になった場合でも、印刷プロセスを中断することなく、高精度・高密度測定用の開口部列に切り替えることにより、印刷速度を落として、高精度の測定を行うことが可能となり更なる効率化が図れる。
【0066】
この際、ホールアレイ24の矢印B方向の移動を電動で行う場合には、例えば、順次搬送される画像担持媒体90の枚数をセンサ等で計測し、所定の枚数に達したときに開口部列を自動的に高精度・高密度測定用の開口部列に切り替えてキャリブレーションを行い、キャリブレーション終了後に元の高速対応の開口部列に戻すことが可能である。この時、キャリブレーション時の画像担持媒体90の搬送速度を通常時に比べて遅くすることにより、キャリブレーション精度を向上させることも可能である。
【0067】
又、画像担持媒体90の搬送速度が変動するような場合に、画像担持媒体90の搬送速度を検出する速度センサ(エンコーダーセンサ等)を設け、速度センサの検出した速度に応じて適切な開口部列に自動的に切り替えることも可能である。この際、速度とそれに対応する開口部列との関係をテーブルにしておき、テーブルを参照して切り替えることができる。ホールアレイ24の矢印B方向の自動切り替え等は、信号処理部(図示せず)の一機能として実現可能である。
【0068】
このように、第2の実施の形態に係る分光特性取得装置20は、複数種類の開口部列が複数段に形成されたホールアレイ24を移動可能に構成し、複数種類の開口部列のうちの1つを選択的に使用する。これにより、第1の実施の形態に係る分光特性取得装置の奏する効果に加えて、更に、以下の効果を奏する。すなわち、ホールアレイ24を所定の位置に移動させて複数種類の開口部列のうちの1つを選択的に使用することにより、測定対象物の移動速度や測定目的に応じて、開口部の面積や開口部の間隔が最適な開口部列を選択することが可能となる。
【0069】
なお、複数種類の開口部列は、必ずしもY方向に複数段に並んでいなくてもよく、切換が可能であれば、どのような方向に並んでいても構わない。
【0070】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、各分光センサを構成する画素数Nの数を最小に抑えてウィナー推定等の推定手段によって分光分布の推定を行う分光特性推定手段を有する分光特性取得装置の例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部分についての説明は省略する。
【0071】
本発明に係る分光特性取得装置においては、各分光センサを構成する画素数Nが多いほど、詳細な分光分布を取得ることが可能となる点で好ましい。しかしながら、Nの数が増えることにより、1つの画素に入射する光量が減少してSNが低下するので、高速に回折像を取得するためには光源の光量を増加させるか、又はバンド数を減少させて取得する光量を確保する必要がある。
【0072】
少ないバンド数で分光分布が取得できれば、光量増強に伴う光源のコスト増を抑制することができる。よって、特に測色を目的とする分光特性取得装置においては、Nの数を最小に抑えてウィナー推定等の推定手段によって分光分布の推定を行う処理を有していることが好ましい。
【0073】
分光推定処理に関しては多くの手法が提案されており、例えば非特許文献である『ディジタルカラー画像の解析・評価:東京大学出版会:p154〜p157』に詳細が述べられている。
【0074】
以下に、1つの分光センサからの出力viから分光分布を推定する手法の一例を示す。1つの分光センサを構成しているN個の画素からの信号出力vi(i= 1〜N)を格納した行ベクトルvと、変換行列Gから、各波長帯の分光反射率(例えば400〜700nmで10nm間隔の31個)を格納した行ベクトルrは式(数1)で表される。
r=Gv ・・・ (数1)
変換行列Gは、式(数2)〜式(数4)に示すように、予め分光分布が既知な多数(n個)のサンプルに対して分光分布を格納した行列Rと、同様のサンプルを本分光特性取得装置で測定したときのvを格納した行列Vから、最小二乗法を用いて誤差の二乗ノルム‖・‖2を最小化することによって求まる。
R = [r1, r2, ・・・, rn] ・・・ (数2)
V = [v1, v2, ・・・, vn] ・・・ (数3)
e=‖R−GV‖2→min ・・・ (数4)
Vを説明変数、Rを目的変数としたVからRへの回帰式の回帰係数行列である変換行列Gは、行列Vの二乗最小ノルム解を与えるMoore-Penroseの一般化逆行列を用いて式(数5)のように計算される。
G = RV(VV)−1 ・・・ (数5)
ここで、上付きTは行列の転置を、上付き−1は逆行列を表す。これで求まった変換行列Gを記憶させておくことで、実際の測定時には変換行列Gと信号出力vの積を取ることにより、任意の測定対象物の分光分布rが推定される。
【0075】
一例として、電子写真方式の画像形成装置によって出力したトナー画像を、本実施の形態に係る分光センサアレイで読み取って分光分布を推定し、推定した分光分布から推定誤差である色差を算出するシミュレーションを行った。シミュレーションでは、Nの値を変えたときの測色結果と、より詳細な分光装置から得られる測色結果との色差(ΔE)を求めている。
【0076】
図9は、シミュレーションに用いたトナー画像の分光分布を例示する図である。図10は、シミュレーション結果を例示する図である。図10を参照するに、Nが6以上では推定値の誤差に大きな違いが無いことがわかる。この結果は、測定対象物や、エリアセンサが受光する信号の分光分布等に大きく依存するため全ての場合で当てはまるとは言えないが、トナー等の画像形成装置の出力結果を測色するには、Nの数が6以上のとき分光推定値の誤差が十分小さく、本発明に係る分光特性取得装置として好適である。
【0077】
このように、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するが、更に以下の効果を奏する。すなわち、第3の実施の形態に係る分光特性取得装置は、N個の画素から得られる信号に対して推定演算を適用し、より波長分解能が高く高密度な分光特性を算出する分光特性推定手段を有する。その結果、Nの数が例えば可視光波長域で6個程度であっても、略連続的な分光分布を推定できる。
【0078】
特に、画像形成装置によって形成された画像を測定する際には、Nの値として6以上の値をとるとき略連続的な分光分布の推定を効率良く行うことが可能であり、精度の高い分光特性取得装置を実現できる。
【0079】
又、1つの画素に入射する光量が減少してSNが低下することを防止できるため、分光特性の測定速度を向上できる。
【0080】
なお、分光特性推定手段は、信号処理部(図示せず)の一機能として実現可能である。
【0081】
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、複数の分光特性取得装置を用いて画像評価装置を構成する例を示す。なお、第4の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部分についての説明は省略する。
【0082】
図11は、第4の実施の形態に係る画像評価装置を例示する図である。図11を参照するに、画像評価装置30は、例えば電子写真方式の画像形成装置等によって画像担持媒体90上に作製された画像を全幅に渡って測定する画像評価装置であり、図1に示す分光特性取得装置10がX方向に複数個並設された構成を有する。画像評価装置30をこのように構成にすることにより、より広い範囲の分光特性を取得することができる。但し、測定範囲が狭い場合には、必ずしも分光特性取得装置10を複数個並設せずに、1つの分光特性取得装置10のみを用いてもよい。
【0083】
なお、図11において照明光学系(ライン照明光源11とコリメートレンズ12)は図示されていないが、照明光学系は、図2で説明したものと全く同じである紙面奥行き方向(Y方向)より斜め45度で照射する照明光学系が分光特性取得装置10と同じ個数だけX方向に複数個並設された構成としてもよいし、分光特性取得装置10よりも少ない個数だけX方向に複数個並設された構成としてもよいし、1つのみとしてもよい。
【0084】
画像評価装置30は、更に画像評価手段31と、搬送手段(図示せず)とを有する。画像評価手段31は、搬送手段(図示せず)を制御して、測定対象物である画像担持媒体90を所定の速度でY方向に搬送する機能を有する。又、画像評価手段31は、搬送手段(図示せず)による画像担持媒体90の搬送に同期して分光特性取得装置10により画像担持媒体90の分光特性を取得し、分光特性取得装置10が取得した分光特性に基づいて、画像担持媒体90上に複数色で形成された画像の色を評価する機能を有する。画像評価手段31は、例えば複数の分光特性取得装置10からの出力を合成してXYZやL*a*b*等の測色データを算出し、画像担持媒体90上に複数色で形成された画像の色を評価する。
【0085】
画像評価手段31は、例えばCPU、ROM、メインメモリ等を含み、画像評価手段31の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現される。但し、画像評価手段31の一部又は全部は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。又、画像評価手段31は、物理的に複数の装置により構成されてもよい。
【0086】
搬送手段(図示せず)は、Y方向に画像担持媒体90を搬送する機能を有する。又、画像評価装置30は、既知の若しくは搬送手段(図示せず)に装着されるエンコーダーセンサ等からの速度情報を元に、画像担持媒体90上の画像形成部全面にわたる分光画像データ、及び測色データを算出することができる。
【0087】
なお、画像評価装置30において、分光特性取得装置10に代えて、分光特性取得装置20を用いても構わない。
【0088】
このように、第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態に係る分光特性取得装置を用いて画像評価装置を構成することにより、高速でかつ位置ずれによる影響の無い画像評価装置を実現することができる。
【0089】
〈第5の実施の形態〉
第5の実施の形態では、第4の実施の形態に係る画像評価装置を有する画像形成装置の例を示す。なお、第5の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部分についての説明は省略する。
【0090】
図12は、第5の実施の形態に係る画像形成装置を例示する図である。図12を参照するに、画像形成装置80は、第4の実施の形態に係る画像評価装置30と、給紙カセット81aと、給紙カセット81bと、給紙ローラ82と、コントローラ83と、走査光学系84と、感光体85と、中間転写体86と、定着ローラ87と、排紙ローラ88とを有する。90は、画像担持媒体(紙等)を示している。
【0091】
画像形成装置80において、給紙カセット81a及び81bから図示しないガイド、給紙ローラ82により搬送された画像担持媒体90が、走査光学系84により感光体85に露光され、色材が付与されて現像される。現像された画像が中間転写体86上に、次いで、中間転写体86から画像担持媒体90上に転写される。画像担持媒体90上に転写された画像は定着ローラ87により定着され、画像形成された画像担持媒体90は排紙ローラ88により排紙される。画像評価装置30は、定着ローラ87の後段に設置されている。
【0092】
このように、第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態に係る画像評価装置を画像形成装置の所定の位置に装備することにより、色の自動キャリブレーションが可能となり、安定的に画像形成装置を稼動させることができる。又、画像全域に渡って色変動のない高品質な画像を提供することができる。又、画像全域での画像情報を取得できることから、検品や印刷データの保存等を可能とし、信頼性の高い画像形成装置を提供することができる。
【0093】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0094】
10、20 分光特性取得装置
11 ライン照明光源
12 コリメートレンズ
13 結像光学系
14、24 ホールアレイ
14a、24a 遮光部
14b、24b、24c、24d、24e 開口部
15 分光器
15a、15c レンズ
15b 分光手段
16 エリアセンサ
16x 回折像
30 画像評価装置
31 画像評価手段
80 画像形成装置
81a 給紙カセット
81b 給紙カセット
82 給紙ローラ
83 コントローラ
84 走査光学系
85 感光体
86 中間転写体
87 定着ローラ
88 排紙ローラ
90 画像担持媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2003−139702号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像担持媒体へ光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段から前記画像担持媒体に照射された前記光の反射光を、複数の開口部を有する開口部列により複数の領域に分割する領域分割手段と、
前記領域分割手段により複数の領域に分割された前記反射光を波長に応じて異なる方向に伝播し、前記複数の開口部に対応する複数の回折像を形成する分光手段と、
前記分光手段により形成された前記複数の回折像を2次元に配列された複数の画素で受光する受光手段と、を有する分光特性取得装置。
【請求項2】
前記領域分割手段は、各開口部列を構成する開口部の面積が異なる複数の開口部列を有し、
前記複数の開口部列のうちの何れか1つを選択的に前記反射光の光路上に配置する請求項1記載の分光特性取得装置。
【請求項3】
前記領域分割手段は、各開口部列を構成する開口部の間隔が異なる複数の開口部列を有し、
前記複数の開口部列のうちの何れか1つを選択的に前記反射光の光路上に配置する請求項1又は2記載の分光特性取得装置。
【請求項4】
前記複数の開口部列を自動的に移動させて、前記複数の開口部列のうちの何れか1つを前記反射光の光路上に配置する移動手段を有する請求項2又は3記載の分光特性取得装置。
【請求項5】
前記画像担持媒体に照射された前記光の反射光を集光して前記開口部列に結像させる第1の結像手段と、
前記開口部列を通過した前記反射光を集光して前記分光手段に結像させる第2の結像手段と、
前記分光手段により波長に応じて異なる方向に伝播された前記反射光を前記画素に結像する第3の結像手段と、を有する請求項1乃至4の何れか一項記載の分光特性取得装置。
【請求項6】
前記受光手段から得られる信号に対して推定演算を適用して分光特性を算出する分光特性推定手段を有する請求項1乃至5の何れか一項記載の分光特性取得装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項記載の分光特性取得装置と、
前記画像担持媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による前記画像担持媒体の搬送に同期して前記分光特性取得装置により前記画像担持媒体の分光特性を取得し、前記分光特性取得装置が取得した前記分光特性に基づいて、前記画像担持媒体上に複数色で形成された画像の色を評価する画像評価手段と、を有する画像評価装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像評価装置を搭載した画像形成装置。
【請求項9】
画像担持媒体へ光を照射する光照射工程と、
前記光照射工程で前記画像担持媒体に照射された前記光の反射光を、複数の開口部を有する開口部列により複数の領域に分割する領域分割工程と、
前記領域分割工程で複数の領域に分割された前記反射光を波長に応じて異なる方向に伝播し、前記複数の開口部に対応する複数の回折像を形成する分光工程と
前記分光工程で形成された前記複数の回折像を2次元に配列された複数の画素で受光する受光工程と、を有する分光特性取得方法。
【請求項10】
前記領域分割工程よりも前に、各開口部列を構成する開口部の面積が異なる複数の開口部列のうちの何れか1つを選択的に前記反射光の光路上に配置する開口部列選択工程を有する請求項9記載の分光特性取得方法。
【請求項11】
前記領域分割工程よりも前に、各開口部列を構成する開口部の間隔が異なる複数の開口部列のうちの何れか1つを選択的に前記反射光の光路上に配置する開口部列選択工程を有する請求項9又は10記載の分光特性取得方法。
【請求項12】
前記開口部列選択工程では、前記複数の開口部列を自動的に移動させて、前記複数の開口部列のうちの何れか1つを前記反射光の光路上に配置する請求項10又は11記載の分光特性取得方法。
【請求項13】
前記光照射工程と前記領域分割工程との間で、前記画像担持媒体に照射された前記光の反射光を集光して前記開口部列に結像させる第1の結像工程と、
前記領域分割工程と前記分光工程との間で、前記開口部列を通過した前記反射光を集光して分光手段に結像させる第2の結像工程と、
前記分光工程と前記受光工程との間で、前記分光工程により波長に応じて異なる方向に伝播された前記反射光を前記画素に結像する第3の結像工程と、を有する請求項9乃至12の何れか一項記載の分光特性取得方法。
【請求項14】
前記受光工程で得られる信号に対して推定演算を適用して分光特性を算出する分光特性推定工程を有する請求項9乃至13の何れか一項記載の分光特性取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−61175(P2013−61175A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198375(P2011−198375)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】