説明

分光蛍光光度計

【課題】高濃度試料分析に適したアナログ法と低濃度試料分析に適したフォトン・カウンティング法があるので、試料濃度に応じて両法を適切に選択する。
【解決手段】
試料の分光器部109からの信号は、低濃度と高濃度に対応する低濃度用、高濃度用電気系制御部107、108を通り、操作・制御部106で夫々フォトン・カウンティング法、アナログ法の測定処理が行われる。まず、既知濃度の標準試料を用いて得られた測定データより、アナログ法からフォトン・カウンティング法に変換する変換式と、両法のデータから連結した検量線と、フォトン・カウンティング法の測定限界値を求める。次に未知試料の場合、分光器部109からの信号と前述の測定限界値から適正な電気系制御部が操作・制御部106で判別され、低濃度の場合は低濃度用電気系制御部107が、高濃度の場合は高濃度用電気系制御部108に信号が入力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い濃度範囲の試料測定を行う分野で利用される分光蛍光光度計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基底エネルギー状態にある物質が光を吸収すると、高いエネルギー状態である励起状態へ遷移する。励起状態に遷移した物質はエネルギーの一部を振動あるいは熱エネルギーとして失った後、光の輻射を伴い元の基底状態へ戻るが、このときの発光は発光の寿命時間の相違により蛍光あるいはりん光と呼ばれる。これらエネルギーの遷移過程で生じる蛍光あるいはりん光は分光蛍光光度計と呼ばれる分析装置によって測定される。
【0003】
この分析装置に搭載される検出器としては光電子増倍管、シリコンフォトダイオードあるいは自己増幅系を持つアバランシュフォトダイオードなどが用いられるが、使用する検出器の選択については、測定に必要充分な検出感度を有し、もしくは必要な測定波長範囲に感度を有することが主な要因として決定される。ただし汎用的な分光蛍光光度計においては紫外域あるいは可視域において高い測定感度を有する光電子増倍管が用いられることが一般的である。
【0004】
光電子増倍管の光電面に入射された蛍光あるいはりん光は、管内にレイアウトされた複数のダイノードにより二次電子放出を繰り返し徐々に増倍された後、陽極から電荷パルスとして出力され、これらが信号処理されることによって蛍光強度として記録される。
【0005】
電荷パルスの扱いにおいては、個々のパルスが密に重畳した集合体としてアナログ電流信号的に扱うアナログ法と、電荷パルスをあくまで一つ一つの離散パルスとして扱うフォトン・カウンティング法がある。
【0006】
アナログ法は光電子増倍管からの出力を電流−電圧変換の後さらにデジタル変換して処理する方法であり、陽極からの電荷パルスは図3に示すとおりある程度の大きさのパルス信号が幾つも重畳することによって得られる揺らぎのあるアナログ的な電流信号を扱う。
【0007】
一方、フォトン・カウンティング法は陽極から出力されるパルス数を波形整形した後カウンタ回路によって計数処理され、特定時間に得られるカウント数によって信号レベルが出力される。
【0008】
フォトン・カウンティング法は極めて微弱な光を精度よく測定できる点で優位である一方、検出器へ入る光が大きくなると離散した電荷パルスが互いに重畳するため入射光を全て離散パルス化されなくなり、正確な測定は不可能となる。
【0009】
たとえば、図4は検出器に入射する光が弱い状態を示しているが、この状況では入射光は全て離散パルス化されるので、極めて微弱な光まで精度よく測定することが可能である。但し、図5に示すとおり非常に大きな光が入射される状況では、出現するパルス間隔が次第に密接し始め、遂には重なってしまうと個々の電荷パルスを正確にカウントされず、精度よく測定を行うことが不可能になる。
【0010】
さらに入射光が増えていくと信号が完全に飽和状態となり、パルス信号がゼロ(0)とカウントされる状況も発生する。
【0011】
通常フォトン・カウンティング法においては検出器から出力される電荷パルスはアンプで増幅された後、電気的なノイズ成分あるいは宇宙線などの蛍光あるいはりん光ではない信号を分別するための弁別回路を通して処理されるので、蛍光あるいはりん光の信号成分のみを抽出することによりS/Nの良い測定が可能になる。従ってフォトン・カウンティング法はより微弱な光の測定においてはアナログ法に比べて有効で、アナログ法は個々のパルスが重畳する強い蛍光強度の場合に有効である。
【0012】
分光蛍光光度計を利用する蛍光測定分野においては、測定する試料または測定の目的は多種多様であり、結果として広範囲に渡る濃度の試料を測定するためのダイナミックレンジの広い装置が望まれている。例えば、特許文献1に紹介する特許は、蛍光画像やDNA検査方法において高速、高感度で且つ広いダイナミックレンジを実現するための技術に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−55050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
例えば蛍光性が非常に弱い溶液試料の蛍光測定の場合、フォトン・カウンティング法を使った分光蛍光光度計であれば精度良い測定が可能である。ただしフィルム状または薄型の固体試料あるいは粉末状の試料に対して、機能評価として試料の量子効率を求める測定を考えた場合、図6に示すとおり光励起に用いた励起波長光自体の変化量と得られる蛍光、あるいはりん光の蛍光強度を波長を変えながら測定する必要がある。
【0015】
しかし、固体または粉末試料の場合には試料表面での励起光の散乱性が大きくなる傾向がある。この場合、フォトン・カウンティング法による測定においては励起光の光量を全て離散パルス化して測定が不可能で、目的の測定が正確に行えない場合が生じる。
【0016】
従ってフォトン・カウンティング法のみでは蛍光測定分野におけるあらゆる測定目的を補うことは困難である。あるいはフォトン・カウンティング法によって測定を行う場合、上記離散パルス化できない状況をオペレータが気づかないまま測定を行う可能性も考えられる。従ってこれらの問題を解決するためには、検出する光の大きさに合わせてアナログ法あるいはフォトン・カウンティング法を選択して処理する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は前記課題を解決するために、低濃度に適したフォトン・カウンティング法と、高濃度に適したアナログ法を組み合わせた構成からなる分光蛍光光度計と、前記両法で得られたデータから、下記に示す第一工程から第六工程により作成された検量線を用いるものである。
【0018】
すなわち、分光器からの信号を高濃度に適したアナログ法と低濃度に適したフォトン・カウンティング法の二種類の電気系制御部とを備え、分光器からの出力信号に応じて前記二種類の電気系制御部のいずれかに信号を送る信号切替機構を備え、検量線を用いることでダイナミックレンジの広い分光蛍光光度計を実現するものである。以下、本発明による検量線の作成方法を第一から第六の工程にて説明する。
【0019】
第一の工程では、標準試料を用いてフォトン・カウンティング法とアナログ法の両法による検量線を求める。次に第二の工程は、両法での検量線が共に寄与率0.999以上の直線性を満たし、且つ両法の測定データの中から共通する濃度範囲のデータを二組抽出できることを操作者が確認し判断する。すなわち、前記二つの条件が満たされる場合は継続を、満たされない場合は中断する。
【0020】
第三の工程は、前記第二の工程での操作者からの継続の判断を受け、操作者が選択した共通する濃度範囲を超えるフォトン・カウンティング法の測定値と濃度値、以下測定限界値、を記憶する。第四の工程は、前記第二の工程で選択した二組のデータから一次式の連立方程式を解き、アナログ法で得られた測定値をフォトン・カウンティング法の値に変換する係数を求める。
【0021】
第五の工程は、前記第三の工程で得られたフォトン・カウンティング法の測定限界値の濃度値以上のアナログ法で得られた測定値を第四の工程で得られた係数を用いて変換する。第六の工程は、前記第三の工程で得られた測定限界値以下の濃度に関してはフォトン・カウンティング法による測定値を、測定限界値を超える濃度に関しては前記第五の工程で変換された値を用いて検量線を作成する。
【0022】
試料測定時は、前記第三の工程で得られた測定限界値を越えたことを判断し、越えない場合は分光器からの信号がフォトン・カウンティング法による電気系制御部に送られ、超えた場合は前記切替機構によりアナログ法による電気系制御部に送られる。前記電気系制御部で測定されたデータは以下に詳述する第二〜第六の工程で作成された検量線により処理することで、フォトン・カウンティング法だけでは測定不能な高濃度まで測定できるダイナミックレンジの広い分光蛍光光度計が実現できる。
【0023】
前記構成によって、固体あるいは粉体試料についてその量子効率を求める測定に適用した場合、図7に示すとおり蛍光あるいはりん光領域はフォトン・カウンティング法にて測定し、励起波長領域はアナログ法で測定したデータをフォトン・カウンティング法による計数値スケールに変換するので、励起光部分と蛍光あるいはりん光部分の面積計算を同一スケール上で扱うことが可能である。
【発明の効果】
【0024】
広い測定ダイナミックレンジを有する分光蛍光光度計が実現でき、幅広い濃度範囲の測定を正確に行うことが可能となり、量子効率の測定も正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例による分光蛍光光度計の概略構成図である。
【図2】本発明の実施例による分光蛍光光度計の分析作業フローの概略である。
【図3】従来の分光蛍光光度計の入射光の大きい出力状態図である。
【図4】従来の分光蛍光光度計の微弱な入射光による出力パルス図である。
【図5】従来の分光蛍光光度計の大きい入射光による出力パルス図である。
【図6】従来の分光蛍光光度計の量子効率の測定イメージ図である。
【図7】本発明の量子効率測定イメージ図である。
【図8】従来の分光蛍光光度計の標準試料による測定結果例である。
【図9】図8のフォトン・カウンティング法の検量線である。
【図10】図8のアナログ法の検量線である。
【図11】図8のフォトン・カウンティング法とアナログ法の連結した検量線である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態について図1、2、8〜11を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態である分光蛍光光度計の概略構成図である。図2は、本発明の実施形態による分析作業の概略を示す図である。
【0027】
本発明の分光蛍光光度計は、図1に示すとおり、試料室部103と試料に光を照射する光源部101と励起分光器部102、励起された光を電気信号に変換する蛍光分光器部104から構成される分光器部109と、低濃度用電気系制御部107、高濃度用電気系制御部108、蛍光分光器部104からの電気信号を操作・制御部106からの信号に応じて、低濃度用電気系制御部107もしくは高濃度用電気系制御部108に電気信号を送る切替器105から構成されている。
【0028】
図8は、標準試料として10-6〜10-11mol/Lの濃度のフルオレセインナトリウム水溶液を10mmキュベットセルに封入し、励起波長を470nm、蛍光波長を510nm、励起、蛍光側共に波長換算で5nmのスリットで測定したアナログ法とフォトン・カウンティング法でデータ収集した計測値を示す。
【0029】
ここで、アナログ法により測定した値をIanalog、フォトン・カウンティング法により測定した値をIphotonとする。
【0030】
フォトン・カウンティング法およびアナログ法による測定結果をプロットし、両検量線が共に良好な直線性(相関係数の二乗(寄与率)が0.999以上)を示す場合、変換係数をK1、K2として、Iphoton=K1×Ianalog+K2の式が成立する。もし、両法による検量線の両方もしくは片方の直線性が良好でない(相関係数の二乗(寄与率)が0.999未満)場合、前記の式は成り立たず本発明は適用できないと判断する。
【0031】
図9、図10は、図8のデータを元に作成したフォトン・カウンティング法とアナログ法の近似式として直線を当てはめたグラフと寄与率であるが、夫々の寄与率は0.9998、1であり、検量線の直線性の条件は満足されている。したがって、前記の式に図8に示す測定データを用いてK1、K2を求めれば、アナログ法によって得られた蛍光強度をフォトン・カウンティング法による計数値スケールへ変換できる。上記から明らかなとおり、両法で得られた検量線を結合した測定範囲の延長が可能となる。
【0032】
以下にアナログ法とフォトン・カウンティング法の検量線の連結方法を説明する。先ず、操作者はアナログ法とフォトン・カウンティング法の両法の測定データが存在する二組のデータを選択する。図8のデータの場合、10-8mol/Lと10-9mol/Lとする。この二組の測定結果から、上述の変換係数K1とK2を求めると、次式K1=11675.66、K2=-103.951が求められる。
【0033】
このK1とK2を用いて、10-7mol/Lと10-6mol/Lのアナログ法の測定値をフォトン・カウンティング法のデータ値に変換することができる。即ち、10-7mol/Lでの変換後の値は、99.084×11675.66-103.951=1156767となり、10-6mol/Lでの変換後の値は、965.987×11675.66-103.951=11278432となる。
【0034】
図11は、変換後のデータを連結したグラフと直線近似グラフを示す。寄与率1の良好な直線の検量線が得られている。
【0035】
なお本例の場合、濃度値10-8mol/L以上の濃度に関してはアナログ法からの変換データを使用しているので、フォトン・カウンティング法の測定限界値は10-8mol/L、119303cpsである。
【0036】
一般的に、アナログ法で適用できる試料濃度は10-12〜10-5mol/Lで、およそ7桁の測定ダイナミックレンジがある。また、フォトン・カウンティング法では10-13mol/Lまで試料濃度を扱うことができる。つまり、両法で共に良好な直線性の検量線が得られる。および両法に共通な濃度での測定データが少なくとも二組あることを前提に、およそ8桁のダイナミックレンジを有する分光蛍光光度計を構成することができる。
【0037】
上述の検量線のグラフ表示、寄与率、K1、K2の算出は、操作・制御部106によって操作者との対話形式で行われる。
【0038】
試料測定時、操作・制御部106は測定値を監視し、測定限界値以内であれば分光器部109の信号が低濃度用電気系制御部107に送られるよう切替器105を設定し、測定限界値を越えるのであれば、分光器部109の信号が高濃度用電気系制御部108に送られるよう切替器105を設定する。また、分光器部109からの信号が高濃度用電気系制御部108を介してデータが得られている場合は、データをK1、K2を用いて変換した後、前記検量線を用いてデータ処理を行う。
【0039】
次に本発明の動作を図1、2に従って説明する。
(1)ステップ201、操作者は低濃度の標準試料を準備する。
(2)ステップ202、操作者は操作・制御部106を操作し、分光器部109からの電気信号が低濃度用電気系制御部107に送られるよう切替器105を設定する。
(3)ステップ203、フォトン・カウンティング法による標準試料測定を行い、測定データを操作・制御部106に送り、直線近似により検量線グラフを求める。
(4)ステップ204、操作者は高濃度の標準試料を準備する。
(5)ステップ205、操作者は操作・制御部106を操作し、分光器部109からの電気信号が高濃度用電気系制御部108に送信すべく切替器105を設定する。
(6)ステップ206、アナログ法による標準試料測定を行い、測定データを操作・制御部106に送り、直線近似により検量線グラフを求める。
(7)ステップ207、(3)(6)で得られた検量線が共に所定の寄与率以上の良好な直線性を持ち、同一濃度のデータが二組以上存在していることを操作・制御部106を操作して確認する。
もし、検量線が共に良好な直線性を示さないか、もしくは二組以上の共通濃度のデータが存在しない場合は、ステップ208に進み分析作業を中断する。
検量線が共に良好な直線性を示し、共通濃度の二組以上のデータが存在する場合は、次のステップを実行する。
(8)ステップ209、両法で得られたデータより変換式を求める。
(9)ステップ210、フォトン・カウンティング法の測定限界を求める。
(10)ステップ211、測定用の試料を用意する。
(11)ステップ212、試料の測定を行う。
(12)ステップ213、測定値がフォトン・カウンティング法の測定限界値を越えているかいないかを判定し、測定限界値を越えていない場合は(13)、(14)を実行し、測定限界値を越えた場合は(15)〜(17)を実行する。
(13)ステップ217、切替器105を低濃度用電気系制御部107へ切り替える。
(14)ステップ218、低濃度用電気系制御部による測定を行う。
(15)ステップ214、切替器105を高濃度用電気系制御部108へ切り替える。
(16)ステップ215、高濃度用電気系制御部による測定を行う。
(17)ステップ216、ステップ209で得られた変換式にしたがって変換を行う。
(18)ステップ219、結合された検量線を用いて測定値を出力する。
【0040】
本発明の構成と作動は以上のとおりであり、幅広い濃度範囲の測定を正確に行う分光蛍光光度計を実現できる。
【0041】
本発明の変形実施例としては、フォトン・カウンティング法による測定中に測定限界点を超えた場合には、測定中もしくは測定完了後に測定限界点を越えた旨を告知する告知手段たとえばブザー、ランプ点滅手段などを併設することができる。もしくは測定データに測定限界点を超えた旨記録できる記録機構を備えた分光蛍光光度計を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明は、量子効率を求めるがごとき広いダイナミックレンジを必要とする、分光蛍光光度計として利用できる。
【符号の説明】
【0043】
101 光源部
102 励起分光器部
103 試料室部
104 蛍光分光器部
105 切替器
106 操作・制御部
107 低濃度用電気系制御部
108 高濃度用電気系制御部
109 分光器部
201 低濃度標準試料の準備
202 分光器部109からの電気信号が低濃度用電気系制御部107に送られるべく切替器105を設定
203 フォトン・カウンティング法による標準試料測定
204 高濃度標準試料の準備
205 分光器部109からの電気信号が高濃度用電気系制御部108に送られるよう切替器105を設定
206 アナログ法による標準試料測定
207 アナログ法とフォトン・カウンティング法の検量線の直線性と共通濃度データが存在するかチェック
208 測定中止
209 変換式の作成
210 連結された検量線の作成とフォトン・カウンティング法測定限界値の設定
211 測定試料を準備
212 試料測定
213 測定限界を超えたか?
214 切替器105を高濃度用電気系制御部108へ切替
215 高濃度用電気系制御部による測定
216 測定値の変換
217 切替器105を低濃度用電気系制御部107へ切替
218 低濃度用電気系制御部による測定
219 連結された検量線を用いて測定値を出力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光器からの信号を処理する二種類の電気系制御部と、分光器からの出力信号を前記二種類の電気系制御部の内のいずれかに送信する信号切替機構と、前記各電気系制御部からのデータを処理する操作・制御部を備え、前記操作・制御部からの信号で前記信号切替機構を制御する機構を備えたことを特徴とする分光蛍光光度計。
【請求項2】
操作・制御部は、標準試料を用いてフォトン・カウンティング法とアナログ法による検量線を求める工程と、前記両法で得られた検量線が共に寄与率0.999以上の直線性を満たし、且つ前記両法の測定データの中から共通する濃度範囲のデータを二組抽出する工程と、前記抽出した二組のデータから一次式の連立方程式を解く工程と、アナログ法で得られた測定値をフォトン・カウンティング法の値に変換する係数を求める工程と、前記二組の濃度値の内、高い濃度値と該当する測定値を記憶する工程と、前記濃度値以上のアナログ法で得られた測定値を、前記係数を用いて変換する工程と、前記記憶された濃度値以下の濃度においてはフォトン・カウンティング法による測定値を、前記記憶された濃度値を超える濃度においては前記変換された値を用いて検量線を作成する工程と、分光器からの試料測定値が前記記憶された濃度値を越えたか越えないかを監視する工程と、越えない場合は分光器からの信号が低濃度用電気系制御部に、越えた場合は分光器からの信号が高濃度用電気系制御部に送信する工程と、前記検量線によりデータ処理する工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載の分光蛍光光度計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−72727(P2013−72727A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211474(P2011−211474)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】