説明

分割された固体をチャンバーに装填する装置および方法

本発明は、チャンバーに分割された固体を充填するための装置であって、分割された固体を供給するホッパー(1)、該ホッパーに固定された、または供給導管(3)により接続された排気筒(2)、実質的に該排気筒の方向に配置されたシャフト(5)を回転駆動するためのモーター装置(4)、および該排気筒の吐出オリフィス(6、7)の下流に取り付けられた、少なくとも一個のデフレクタ部材(8)を含んでなり、該デフレクタは、該シャフト(5)が回転する時の遠心力により、該シャフトからある角度で移動するように、該シャフト(5)を中心にして回転できる。シャフト(5)は、中空で、機能的装置(9)を通すのに十分な内径を有するチューブの形態にある。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、分割された固体をチャンバーに装填するための、特に化学反応器に触媒を装填するための、特に回転シャフトの中空構造により、装填の際にチャンバー中に機能的装置を導入する、および/または取り出すのに役立つ、装置および方法に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、化学的または電気化学的、石油または石油化学的固定床反応器に、分割された状態にある、ビーズ、顆粒、円筒、ペレット、棒の形態、または他のいずれかの形状を有するが、比較的小さな寸法を有する固体粒子を装填することに関する。これらの粒子は、特に、一般的に押し出された、不規則な形状で、または単一もしくは複数の溝を有する棒の形態で調製された、寸法が、個々の場合に応じて、数十分の1ミリメートルから数センチメートルである、分子篩または固体の触媒顆粒でよい。
【0003】
本明細書の残りの部分では、特にこの用途に関して説明するが、本発明の装置および方法は、チャンバーに他のあらゆる種類の固体粒子を装填することに適用される。
【背景技術】
【0004】
化学的反応器における触媒粒子の固定床の密度を増加するための多くの方法および装置が公知である。これらの方法に共通する特徴は、装填すべき粒子を反応器の最上部から導入し、落下する際に個々の粒子が、固定または可動の機械的デフレクタと衝突し、粒子の不規則偏位(deviation)を引き起こすことである。理想的には、このようにして垂直落下経路から偏った粒子が、シャワー効果により個別に、自由に、充填最前部全体に落下し、そこで緻密で一様な堆積物を形成する。
【0005】
本出願者は、これらの反応器装填機構を最適化するための努力の一環として、改良された供給装置を開発したが、これによって、たわみ性デフレクタを回転シャフトにヒンジで取り付けた特殊な分散機構により、デフレクタ機構の立体障害を著しく低減させ、反応器中に容易に設置することに成功した。この基本的な機構は、ヨーロッパ特許出願第0007854号に記載されており、この充填装置の改良は、例えばヨーロッパ特許出願第0116246号および第0769462号に開示されている。
【0006】
効率的なデフレクタ機構の使用にも関わらず、反応器に充填する際の、触媒粒子の実際の挙動は、上記の理想的な挙動とは異なる場合がある。「装填プロファイル」とも呼ばれる「充填最前部」、すなわち触媒床と、反応器のまだ充填されていない部分との間の界面が水平からかなり大きく偏る場合がある。その場合、触媒粒子は、特にそれらの粒子が異方性形状を有する場合、優先方向にある位置をとり、それによって、触媒床を通る液体原料および試薬ガスに優先経路を造り出し、反応器の操作が、操作員にとって好ましくないものになる。
【0007】
現在、本出願人は、充填最前部の傾斜が10%を超えないことを顧客に保証しているが、緻密に装填する装置で充填している反応器の最適な操作を確保するために、この値をさらに下げる試みを行っている。
【0008】
従って、装填中の充填最前部の水平性を連続的に、または一定間隔で検査し、必要であれば、装填装置の操作パラメータを変え、この充填最前部の傾斜変動を補正することが重要である。
【0009】
現在、一つの解決策は、装填を中断し、充填最前部の水平性を適当な手段で、装填を引き受けている会社および操作員の品質基準に関して、検査することである。この確認は、充填装置の操作パラメータ、特に粒子分散機構の回転速度、を補正するのに役立つが、それが引き起こす装填操作の中断により、反応器の休止時間が増加するので、操作員にとって不利である。その上、この解決策は、適切な測定装置を設置するために充填装置を取り外す必要があるので、比較的複雑である。
【0010】
別の解決策が、先行技術、例えばチャンバー(反応器)の顆粒状触媒充填を監視するための方法および装置を開示する日本国特許出願第JP7−242337号、で提案されている。この出願に記載されている装置は、チャンバーの上側中央部分に配置された、触媒顆粒のシャワーを散布する充填手段、および充填最前部の表面を掃くレーザ光線を放射する装置、および放射装置により放射され、装填最前部の表面により反射されたレーザ光線を検出する手段を含んでなる。放射および検出装置は、充填手段のレベルでチャンバー壁に固定されている。この出願に記載されている装置には、充填すべきチャンバー上に設置するのがかなり困難で、時間がかかり、従って、反応器の休止時間を過度に長くする、という欠点がある。さらに、この、充填手段の高さに遠隔測定手段を含んでなる装置は、充填最前部と遠隔測定装置との間で回転しているデフレクタがレーザ遠隔測定を妨害する可能性があるので、ヨーロッパ特許第0769462号に記載されている緻密装填装置と共に操作することができない。
【発明の開示】
【0011】
本出願者は、最近、実質的にヨーロッパ特許第0769462号に記載されている緻密装填装置(Densicat(登録商標))と同じ原理により、同じ設置および操作の容易さで操作するが、他の可能性の中で特に、充填の進行および品質、特に充填最前部の傾斜、を測定するための装置を導入するのに役立つ機構を開発した。本発明により、測定計器の導入は、先行技術の非中空回転シャフトを、適切な内側寸法、すなわち装填装置を反応器上に取り付けた後に、該計器を吊り下げるための手段を通すか、または該計器自体を通すことができる、あるいは装填すべき区域における正確な操作を行うことができる、もしくはそれらの組合せを行うことができる寸法、を有する中空シャフトで置き換えることにより、達成できる。
【0012】
従って、本発明の課題は、チャンバー中に固体粒子を均等に装填するため装置であって、装置の上側部分に粒子供給手段を、装置の装填されるべき該チャンバー中に位置する基部に、実質的に垂直な軸を中心にして駆動手段により回転する中央シャフトと一体的な分散機構を、そして、該中央シャフトを少なくとも部分的に取り囲む供給ラインを備えてなる装置であって、該中央シャフトがチューブであり、該チューブが、装填されるべき区域で、このチューブを経由して、装填期間中に、該装填操作に対して補助的または補足的な、多くの操作を行うのに十分な内側寸法を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の別の課題は、そのような装置を使用し、チャンバーに、上から下に向かって、該チャンバーの断面全体にわたって固体粒子を装填する方法である。
【0014】
本発明の最後の目的は、そのような装置の、石油、化学または石油化学反応器に装填するための使用である。
【0015】
本発明の装填装置では、供給手段から出る触媒粒子が、重力により、供給ラインの中に、該供給ラインの内壁と回転する中央シャフトの外壁との間で落下する。供給ラインは、その基部で、分散機構の上に位置する、少なくとも一個の排出開口部を含んでなり、そこを通して粒子は、中央シャフトにより回転する分散機構の上に落下する。
【0016】
本発明の装置の管状の中央シャフトを回転させるモーターは、好ましくは該シャフトに対して中心がずれており、いずれかの圧縮されたガス、例えば空気または窒素、を供給することができる。回転運動は、好適ないずれかの手段、例えばベルト、チェーンまたは一式の歯車、またはそれらの組合せ、により、駆動手段から管状シャフトに伝達することができる。
【0017】
上に述べたように、中央シャフトの内側寸法は、装填すべき区域で、装填期間中に、該装填操作に対して補助的な、または補足的な、多くの操作を行うのに十分でなければならない。
【0018】
そのような操作は、機能的装置を通すことを含んでも、含まなくてもよい。行うべき操作にとって、機能的装置を通す必要ない場合、すなわち、例えば回転しているチューブを通して粉塵を単に吸引するか、または回転機構の始動前に、機能的装置が、該チューブの開口部を通る吊り下げ手段から吊り下げられている場合、このチューブの直径は比較的小さくてもよい。反対に、中空シャフトにより限定される開口部を通して機能的装置を導入する、および/または取り出すには、その内径は、一般的に大きく、いずれの場合も、該機能的装置を通過させるのに十分でなければならない。
【0019】
具体的には、本発明の装置の中央シャフトを形成するチューブは、好ましくは内径が2cmを超え、特に10cmを超える。
【0020】
装填中に中央シャフトの開口部を通して機能的装置を導入する際、この機能的装置は、回転しているチューブと衝突し、損傷を受け易い。さらに、シャフトの垂直通路を通して機能的装置を案内する操作員は、回転しているチューブに接触し、怪我をする危険性を冒している。この二重の欠点を除くために、追加の固定チューブを設け、回転しているチューブを機能的装置および操作員から分離する。その結果、本発明の装填装置は、回転しているチューブの内径より小さな外径を有する固定保護チューブをさらに含んでなるのが好ましい。この固定保護チューブは、回転しているチューブの開口部の内側に、2つのチューブが実質的に同軸になるように配置する。この固定チューブは、供給ラインと一体的である。固定チューブは、供給ラインに、例えばそれらの上側末端で接合することができる。
【0021】
非中空シャフトを、比較的大きな内径を有する中空シャフトで置き換えると、シャフトの、または固定チューブの開口部の直下に位置する、装填最前部の中央区域に中央の陰部分を造り出し、粒子の供給が不十分になるために、充填最前部上が中空になり易い。この粒子の不足を補い、チャンバーの中央区域における中空部分の形成を避けるために、本出願者は、装填最前部の中央に粒子を向ける装置を開発した。この装置は、固定チューブまたは回転チューブの下端に固定された、分散機構より下に位置する中央デフレクタである。この装置は、回転チューブの開口部の直下に位置する区域の中に調整された量の粒子を配分するように設計されている。
【0022】
原則的に、粒子をチャンバーの中央に向けてそらせることができる、あらゆる種類のデフレクタを使用することができる。本発明の装置の好ましい実施態様では、このデフレクタは、漏斗、好ましくは、透かし細工を施した(openwork)漏斗の形状を有する、すなわち装填すべき粒子を通過させるのに十分に大きな、多数の開口部を含んでなる漏斗である。これらの開口部は、特に反応器の外側から遠隔操作できる、開口部の大きさを調節する機構、例えば調節可能なフラップ、を備えることができる。これによって、装填最前部の中央区域でデフレクタにより集められる粒子の配分を非常に細かく調節することができる。
【0023】
本発明の装置の特に好ましい実施態様では、固定チューブの下端と一体的な中央デフレクタを形成する漏斗は、以下に「中央デフレクタ供給漏斗」と呼ぶ第二漏斗により与えられる。
【0024】
この中央デフレクタ供給漏斗は、供給ラインの基部から固体粒子の限られた流れを取り、この粒子の流れを、分散機構を短絡させることにより、中央デフレクタに直接送る。中央デフレクタ供給漏斗は、回転チューブと一体的である。中央デフレクタ供給漏斗は、粒子分散機構を横切り、末端が中央デフレクタの上にある。無論、該供給漏斗の底部は、中央デフレクタに向かって固体粒子を自由に流動させるために十分な直径を有していなければならない。
【0025】
中央デフレクタ供給漏斗は、供給ラインの基部に設けられた少なくとも一個のオリフィスから粒子を受け取る。こ(れら)のオリフィスは、供給ラインの、回転チューブと一体的な上端により形成される円形曲線の上に位置する。供給ラインの基部は、好ましくは中央デフレクタ供給漏斗の極線の上で相互に等間隔で配置された幾つかのオリフィスを含んでなる。
【0026】
序論で述べたように、本発明の装置は、好ましくは回転チューブ、固定チューブまたは中央デフレクタの下端の下に吊り下げられた機能的装置を含んでなる。この機能的装置は、回転チューブまたは固定チューブの開口部を通る吊り下げ手段、例えばワイヤ、棒、チューブ、ケーブルまたはチェーン、により保持される。機能的装置は、外部の制御手段により制御することができ、装填操作に対する補助的または補足的な操作を行うのに役立つ。
【0027】
本発明に導いた問題は、充填品質を監視するために、充填すべきチャンバー中に計器を導入することが困難なことであったが、中空シャフトにより限定される通路は、無論、非常に異なった目的に使用する広範囲な機能的装置を通すことにも役立つ。
【0028】
本発明の好ましい実施態様では、中空シャフトの開口部を経由して導入する機能的装置は、機械的波動(例えばソナーまたは超音波テレメーター)で、または電磁波で(例えばレーザテレメーター)で操作する遠隔測定装置である。そのような遠隔測定装置で集められたデータは、好ましくは、直ちに伝送し、記録し、適切なデータ処理装置により処理し、必要であれば、本発明の緻密装填装置の操作パラメータを修正し、装填最前部の不十分な水平性を補正する。
【0029】
そのような遠隔測定装置は、装填品質を視覚的に評価するための、好ましくはデジタル式のカメラまたは写真装置で置き換えることもできる。写真装置またはカメラの使用は、照明源の導入を意味し、その照明源は、写真装置またはカメラに固定するのが好ましいが、別に導入してもよい。
【0030】
チャンバーを装填する際、装填最前部の水平性の他に、物理的または物理化学的パラメータ、例えば温度、相対湿度、空気中に浮遊する微粉の量、チャンバー中の酸素または塩素含有量、等を監視するのも有利である。これらのパラメータを測定するための適切なセンサは、この分野で公知であり、当業者は、本発明の装置を使用するための特別な条件に合わせて選択し、適用することができる。
【0031】
本発明の装置の一態様では、中空シャフトの開口部を経由して導入される機能的装置は、チャンバー中の物理化学的パラメータの測定ではなく、材料を導入し、取り出すのに役立つ。例えば、一つの可能性は、堆積物の上にある空気中に浮遊している分割された固体または粉塵の試料を採取するための試料採取装置、またはこの微粉塵を連続的に吸引するための吸引装置である。最後に、本発明の装置の中空シャフトは、第二の分割された固体、および該第二の分割された固体を均等に配分する、または分散させるための装置を導入するのに使用できる。そのような導入および分散装置は、以下に、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
無論、様々な機能的装置を同時にまたは順次導入することも、一つの装置が幾つかの機能を組み合わせることもできる。
【0033】
本発明の装填装置の別の実施態様では、機能的装置を、中空シャフトの開口部を通る吊り下げ手段を経由してではなく、回転チューブを越えて突き出した固定チューブに、その末端で直接固定することができる。
【0034】
本発明の装填装置の中空シャフトは、装填前に分散機構の下に設置した大型の機能的装置を制御するための手段を通すこともできる。
【0035】
上記のように、本発明の緻密装填装置の中空シャフトは、分割された固体の堆積物の上にある空気中に浮遊する粉塵または微粉を連続的に、または規則的な間隔を置いて吸引するための吸引装置を通すことができる。反応器に触媒を充填する状況下では、触媒中にこれらの微粉が存在すること、またはチャンバー充填操作中の摩擦によりこれらの微粉が形成されることにより、反応器の下流に位置する、流出物の処理および分離装置が汚れる問題が生じる。従って、反応器の始動前にこれらの微粉を除去することが推奨される。上記の、中空シャフトの通路を経由し、回転しているデフレクタの下に位置する区域の中に吸引装置を導入する解決策は、この場合、この区域における空気流を妨害し、触媒粒子の落下曲線を変化させる結果、堆積物が不均質になるので、理想的ではない。
【0036】
本出願者は、回転シャフトおよび固定チューブの中空特徴を利用することにより、デフレクタの下にある区域で空気流を必ずしも攪乱せずに、触媒微粉を効果的に吸引する手段を見出した。この吸引は、回転しているチューブまたは固定チューブを経由して粉塵を吸引する機構により、得られる。回転しているチューブおよび所望により存在する固定チューブの壁は、この目的のための一個以上の、好ましくは供給ラインのオリフィスから出る固体粒子の自由落下が始まる区域、および/または回転しているデフレクタの表面に対する衝撃のために粉塵が形成される区域、つまり分散機構の区域、に位置する吸引開口部を含んでなる。
【0037】
本発明の填装置は、供給ラインの基部にある排出開口部から出る固体粒子を完全に不規則な様式で偏らせ、粒子のシャワーで個別に落下させるように設計された、あらゆる種類の分散機構(「シャワー」分散機構)と共に操作することができる。
【0038】
好ましい実施態様では、分散機構は、中央シャフトと一体的なそらせ要素を含んでなる。これらのデフレクタは、一般的に半剛性材料、好ましくはゴム、から製造され、中央シャフトが回転する時に遠心力の作用により中央シャフトからある角度で発散させることができる。そのような一式のデフレクタは、例えばヨーロッパ特許出願第0769462号に記載されている。これらのデフレクタは、好ましくは幾つかのレベルで配置され、各レベルで同じ数の、実質的に等しい形状を有するデフレクタ要素が、垂直に重なって配置されている。
【0039】
分散機構は、一連の実質的に水平な、互いに平行で同軸の、重なって配置されたプレートからなり、回転する際に掃かれる面積が最上部のプレートから最下部のプレートに向かって減少し、最下部のプレートを除く各プレートが、その中央で、固体粒子の少なくとも一部を、重力により、直下に位置するプレートに向けて流動させるための、実質的に円形の開口部を含んでなる、分散ヘッドでもよい。そのような分散機構は、仏国特許出願第2721900号に詳細に記載されており、PetrovalによりCATAPACの商品名で使用されている。
【0040】
本発明の装填装置で操作できる分散機構に関する、もう一つの有用な実施態様は、国際特許出願第WO00/43304号に記載されているされている。この分散機構は、2つのラインを含んでなり、それぞれが粒子流動開口部を有し、互いに対向しており、該分散機構の回転軸に対して直角の同じ軸を中心にして湾曲しているので、それらの流動開口部が、実質的に同じ直径平面で、それぞれ該分散機構の回転軸の片側に位置する。これらのラインのそれぞれは、その長さの全部または大部分にわたって伸びる少なくとも一個の縦方向仕切を含んでなり、この仕切は、粒子の流れを分割し、その流れを遠心力に対抗して、流動開口部の全部または大部分にわたって発散させることができる。
【0041】
本発明により、上記の装置を使用してチャンバーに触媒を装填する方法は、一般的には、装填すべきチャンバーの直径に応じて中央シャフトの回転速度を調節すること、該装置の供給ラインの中に固体粒子を、供給手段を経由して連続的に導入すること、および回転しているチューブまたは固定チューブの開口部を通して、装填操作に対する補足的または補助的な操作を行うことを含んでなる。
【0042】
以下に詳細に説明する装置を使用する本発明の装填方法は、下記の工程、すなわち
−チャンバーに装填する際に、回転しているチューブまたは固定チューブの開口部を経由して導入した機能的測定装置を使用し、触媒床の装填最前部のプロファイルを少なくとも一つ記録すること、
−理想的な、実質的に水平なプロファイルからの、装填プロファイルの偏位を、該記録の数学的処理により、定量的に決定すること、および
−こうして得られた結果により、電気的信号を送り、装填装置の特定の機能的パラメータの調節を指示すること
を含んでなる。
【0043】
記録された充填プロファイルに従って調節できる、装填装置の機能的パラメータは、例えば中央シャフトの回転速度、供給ラインの基部に配置された排出開口部の開口、およびチャンバーの垂直軸に対する分散機構の向きである。
【0044】
中央シャフトの回転速度は、公知の装置に一般的に使用されている範囲内に含まれ、好ましくは毎分25〜250回転、特に毎分40〜150回転である。
【0045】
ここで、添付の、制限しない図面を参照しながら本発明を説明する。
【0046】
図1における充填装置は、分割された固体を含むホッパー1を含んでなる。このホッパー1は、装置の供給ライン2に固定されている。充填工程中、ホッパー1および供給ライン7は、分割された固体で充填され、その固体は、供給ライン2から、この供給ラインの側壁および/または基部5に設けられた開口部7を経由して出る。これらの開口部7は、調節可能な閉鎖手段(図には示していない)、例えば可変開口部ダイアフラムを使用して調節でき、チャンバーに入る分割された固体の流れを調節するのが好ましい。
【0047】
供給ライン2の全長に沿って中空シャフト3が軸方向に通っており、少なくとも2個の軸受けにより堅く保持され、供給ライン側部に配置された駆動手段4、好ましくは圧縮空気モーター、により回転する。モーター4と駆動シャフト3との間の動力伝達は、好適な手段、例えばベルト、により行われる。充填装置全体は、反応器のマンホール中に、支持チューブ16により堅く保持され、固定されている。排出ライン2の最下端の下にある区域には、ゴム製デフレクタ8が、デフレクタ保持素子17により、中空シャフトの外壁に固定されている
【0048】
図1に示す装置を使用して反応器に充填する際、ホッパー1の中に導入された分割された固体は、供給ライン2を経由して、調節可能な開口部7に落下し、そこから回転しているヒンジ付きデフレクタ8の上に落下する。
【0049】
本発明により、充填装置を設置した後、充填工程の前、最中または後に、中空シャフト中の開口部を経由して通過するのに十分に小さな寸法を有する機能的装置9をチャンバー中に導入することができる。機能的装置は、例えばワイヤ、棒、チューブ、ケーブルまたはチェーンでよい適切な吊り下げ手段20から吊り下げられている。
【0050】
図1に本発明の装填装置の好ましい実施態様を示すが、そこでは固定チューブ6が、中空シャフト3の内側で、その全長に沿って二重に伸びており、粒子をホッパー1の中に装填しているか、または中央シャフト中の開口部を通して機能的装置9を導入している操作員を完全に隔離している。この固定チューブは、供給ライン2と一体的であり、その上側末端で供給ラインに固定されている。図1に示す実施態様では、固定チューブ6は、回転しているチューブ3より長く、それを越えて短く突き出ている。固定チューブ6の末端には、分散機構8の下に、漏斗のような形状を有する中央デフレクタ11が固定されている。この漏斗11は、装填すべき粒子を通すのに十分に大きな、一連の開口部11aを含んでなる。中央デフレクタは、一方で、分散機構により分散した粒子の特定画分を集め、他方、分散機構8により分散されずに、供給ラインから漏斗10を経由して直接出る粒子を集める。これによって、漏斗10は、該分散機構を短絡させるのに役立つ。中央デフレクタ11の供給漏斗10は、中空シャフト3に固定されており、分散デフレクタ8と共に回転する。漏斗10は、供給ラインの基部5に設けられた少なくとも一個の開口部19から出る固体粒子を集める。この図1で、漏斗10に供給する開口部(19)は、分散機構8により分散される粒子が出る開口部7とは異なっている。2種類の開口部7および19は、実際、2つの同心円を形成する。しかし、単一の開口部列だけを使用し、供給ラインの基部5で、装填装置の中央軸を中心とする単一の円を形成することもできる。
【0051】
図2は、3列のデフレクタ8を中空シャフト3の外壁に固定する区域の拡大図を示す。中空シャフト3中の開口部を経由して導入された、吊り下げ手段20から吊り下げられた機能的装置9は、中空シャフト3の底部末端より下の区域にある。分かり易くするために、図の平面内に位置するデフレクタだけを示しているが、無論、各列のデフレクタ8は、中空シャフトを取り囲む水平線に沿って固定された複数のデフレクタからなる。これらの各水平固定線のすぐ上に、一連の吸引開口部13が設けてある。これらの吸引開口部13は、中空シャフト中またはその上側末端に配置された吸引手段(図には示していない)により、中空シャフトのこの区域のすぐ近くにある空気中に浮遊する微粉塵を吸引するのに使用できる。これらの吸引開口部13の位置は、これらのオリフィスが、分割された固体が開口部7から落下する区域の近くに、およびデフレクタ8との衝撃により微粉塵が形成される区域の近くに位置するように、選択されている。
【0052】
図3は、図1のA−Aに沿った断面図を示す。この図で、最も内側にある円は固定チューブ6を表し、第二の円は回転しているチューブ3に、最も外側にある円は、供給ライン2の外壁に対応する。供給ラインの基部5で、2種類の開口部、すなわち回転しているチューブ3に非常に近い円を形成する第一列の、4個の開口部7、および供給ライン2の外壁に近い中間円を形成する第二列の、3個の開口部19、が配置されている。開口部7から出る粒子は、分散機構8により分散される。開口部19から出る粒子は、中央デフレクタ11の供給漏斗10がこれらの開口部19の下を通過する時に、その供給漏斗により集められるか、または漏斗10がこれらの開口部19の下に位置していない時は、分散機構により分散される。
【0053】
図4は、中央デフレクタ11の下から見た透視図を示す。このデフレクタは、垂直部分および逆円錐形状部分を備えた漏斗形状を有する。この逆円錐形状部分に、開口部11aが配置されているが、この図では、その中の4個だけを示している。これらの開口部11aの少なくとも一部は、軸22を中心にした回転により調節可能なフラップを備えている。
【0054】
図5は、機能的装置9が、測定装置、例えば超音波またはレーザ型遠隔測定装置プローブ、ではなく、第二の分割された固体を分散させるための装置である、本発明の充填装置の実施態様を示す。3列のデフレクタ8を備えた中空シャフト3の最下部は、図1に示すものと等しい。機能的装置9は、中空シャフト5の軸に実質的に沿って配置された第二シャフト14、少なくとも一個のデフレクタ素子12からなり、該デフレクタ素子12は、該シャフトがモーター(図には示していない)により回転した時に、中空シャフト3を駆動するモーター4から独立して、遠心力のためにある角度で偏位するように、該第二シャフト14にヒンジで取り付けられている。当業者には明らかなように、この図に示す機能的装置は、先行技術による、ヨーロッパ特許出願第0007854号に初めて開示された、分割された固体を分散させるための装置と実質的に対応するが、中空シャフトにより形成される通路を通ることができる寸法を有する必要があることが異なっている。そのような分割された固体を分散させる装置を機能的装置として使用することにより、供給ライン2の開口部7を経由して分散される分割された固体とは異なった第二の分割された固体を導入し、均等に分散させるのに役立つ。この第二の分割された固体は、中空シャフト3の通路を経由して導入され、中空シャフト3は、末端に出口オリフィス15を有し、その流量を、中空シャフト3の下端にある可変開口部ダイアフラム15aにより調節することができる。
【例】
【0055】
中央デフレクタの効果の立証
直径約3メートルのチャンバーに、分散機構として、回転チューブの末端で、異なった高さで3列に配置されたゴム製の細片を含んでなる、本発明の装置を使用して装填した。回転チューブは、中空であり、内径が14cmであった。この回転チューブを、内径13cmの固定チューブで二重構造にした。この固定チューブは、回転チューブを越えて約5cm突き出ている。固定チューブの末端に、VEGAから市販のPuls68モデルソナー検出器を固定したが、その検出ヘッドは、角度360°で回転でき、充填最前部全体を測定することができる。ソナー検出器は、ケーブルを通して、データ処理装置により遠隔制御した。この装置は、充填操作のどの時点においても、約30秒間の非常に短い時間で、装填最前部のプロファイルを記録することができる。
【0056】
第一の装填操作は、先ずそのような装置で、毎分約70回転の速度で、中央デフレクタ無しに行った。図6aは、これによって得られた充填最前部のプロファイルを示す。この図は、チャンバーの中央における、中央の陰部分の下で、中空シャフトの延長部分で、粒子の供給が不十分であるために中空部が形成されることを明らかに示している。
【0057】
図4に示すような開口部を設けた円錐台形デフレクタを固定チューブの末端に取り付けた以外は、同じ条件下で装填操作を繰り返した。装填最前部の実際のプロファイルが、理想的なプロファイルと実質的に等しく、平らで、水平(基準レベル)になることが分かった(図6b)。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の中空シャフト充填装置の軸方向断面図を示す。
【図2】中空シャフトの一実施態様における底部区域の軸方向断面図を示す。
【図3】図1のA−Aに沿った断面図を示す。
【図4】中央デフレクタの拡大透視図を示す。
【図5】中空シャフトの開口部を経由して導入された機能的装置の一実施態様を例示する、中空シャフトの底部区域の軸方向断面図を示す。
【図6】図6aおよび6bはそれぞれ中央デフレクタ無しに、および図4に示す中央デフレクタを備えた本発明の装置により得た、ソナー型遠隔測定装置により記録した装填最前部のプロファイルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー中に固体粒子を均等に装填するための装置であって、装置の上側部分に、粒子供給手段(1)を、装填されるべき前記チャンバー中に位置する装置の基部に、実質的に垂直な軸を中心にして駆動手段(4)により回転する中央シャフト(3)と一体的な分散機構(8)を、そして、前記中央シャフトを少なくとも部分的に取り囲む供給ライン(2)を備えてなる装置であって、前記中央シャフト(3)がチューブであり、前記チューブが、装填されるべき区域で、前記チューブを経由して、装填期間中に、前記装填操作に対して補助的または補足的な、多くの操作を行うのに十分な内側寸法を有し、前記供給ライン(2)と一体的な固定チューブ(6)が、前記回転チューブ(3)の内側に配置され、前記固定チューブ(6)および回転チューブ(3)が実質的に同軸である、装置。
【請求項2】
前記供給手段(1)から出る粒子が、前記供給ラインの中で、前記供給ライン(2)の内壁と回転チューブ(3)の外壁との間で下方に流れ、前記供給ラインが、前記供給ラインの基部(5)に、前記分散機構(8)の上に位置する、少なくとも一個の排出開口部(7)を備えてなる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記駆動手段(4)が、前記回転している中央シャフト(3)と中心がずれている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記駆動手段(4)に、圧縮されたガス、好ましくは空気または窒素、が供給される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記中央シャフト(3)を形成するチューブの内径が2cmを超え、好ましくは10cmを超える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記固定チューブ(6)の下端に固定された、前記分散機構(8)より下に位置する少なくとも一個の中央デフレクタ(11)をさらに備えてなり、前記中央デフレクタ(11)が、前記回転チューブ(3)の開口部の直下に位置する区域の中に調整された量の粒子を配分するように設計されてなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記中央デフレクタ(11)が、漏斗の形状、好ましくは、透かし細工を施した漏斗の形状を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記中央デフレクタ(11)に供給するための漏斗(10)をさらに備えてなり、前記漏斗(10)が、前記回転チューブ(3)と一体的であり、前記分散機構(8)を通過して前記中央デフレクタ(11)の上で終結しており、前記供給漏斗(10)の下側部分が、前記中央デフレクタ(11)に向かって固体粒子を自由に流動させるための十分な直径を有する、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記回転チューブ(3)および/または前記固定チューブ(6)を経由して粉塵を吸引するための装置をさらに備えてなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記回転チューブ(3)および前記固定チューブ(6)の壁が、この目的のための一個以上の、好ましくは分散機構(8)の区域に位置する吸引開口部(13)を備えてなる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記回転チューブ(3)、前記固定チューブ(6)または前記中央デフレクタ(11)の下端の下に吊り下げられた機能的装置(9)をさらに含んでなり、前記機能的装置(9)が、前記回転チューブ(3)または前記固定チューブ(6)の開口部を通る吊り下げ手段(20)により吊り下げられ、外部の制御手段により制御され、装填操作に対する補助的または補足的な操作を行うのに役立つ、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記機能的装置が、遠隔測定装置、特にレーザ、超音波またはソナー装置、照明装置、写真撮影装置またはカメラ、特にデジタル式カメラ、センサ、分析または監視装置、試料採取装置、吸引装置、制御された量の別の分割された固体を導入する装置、分割された固体を配分する装置、またはそれらの組合せ、である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記吊り下げ手段(20)が、ワイヤ、棒、チューブ、ケーブルまたはチェーンである、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記分散機構(8)が、排出開口部(7)から出る固体粒子を不規則に偏らせ、粒子のシャワーで個別に落下させるように設計されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記分散機構(8)が、前記中央シャフト(3)と一体的なそらせ要素を含んでなり、前記そらせ要素が、半剛性材料、好ましくはゴム、から製造され、前記中央シャフト(3)が回転する時に遠心力の作用により、前記中央シャフトからある角度で広がることができる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記分散機構(8)が、2つのラインを含んでなり、前記ラインがそれぞれ粒子流動開口部を有し、互いに対向しており、前記分散機構の回転軸に対して直角の同じ軸を中心にして湾曲して、それにより前記ラインの流動開口部が、実質的に同じ直径平面で、それぞれ前記分散機構の回転軸の片側に位置し、前記ラインのそれぞれが、その長さの全部または大部分にわたって伸びる少なくとも一個の縦方向仕切を含んでなり、前記仕切が、粒子の流れを分割し、その流れを遠心力に対抗して、前記流動開口部の全部または大部分にわたって発散させることができる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記分散機構(8)が、一連の実質的に水平な、互いに平行で同軸の、重なって配置されたプレートを含んでなり、回転する際に掃かれる面積が最上部のプレートから最下部のプレートに向かって減少し、最下部のプレートを除く各プレートが、その中央で、前記固体粒子の少なくとも一部を、重力により、直下に位置するプレートに向けて流動させるための、実質的に円形の開口部を含んでなる、固体粒子分散ヘッドである、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
チャンバーに、上から下に向かって、前記チャンバーの断面全体にわたって固体粒子を装填する方法であって、請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置を使用する方法。
【請求項19】
−装填されるべき前記チャンバーの直径に応じて前記中央シャフト(3)の回転速度を調節すること、
−前記固体粒子を前記装置の前記供給ライン(2)の中に、前記供給手段(1)を経由して連続的に導入すること、および
−前記回転チューブ(3)または前記固定チューブ(6)の前記開口部を通して、前記装填操作に対する補足的または補助的な操作を行うことを含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
−前記チャンバーに装填する際に、前記回転チューブ(3)または前記固定チューブ(6)の前記開口部を経由して導入した機能的測定装置(9)を使用し、触媒床の装填最前部のプロファイルを少なくとも一つ記録すること、
−理想的な、実質的に水平なプロファイルからの、前記装填プロファイルの偏位を、前記記録の数学的処理により、定量的に決定すること、および
−こうして得られた結果に応じて、電気的信号を送り、前記装填装置の特定の機能的パラメータの調節を指示すること
を含んでなる、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記装填装置の前記機能的パラメータが、前記中央シャフト(3)の回転速度、前記供給ライン(2)の基部に配置された排出開口部(7)の開口、および前記チャンバーの垂直軸に対する前記分散機構(8)の向きである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記中央シャフト(3)の回転速度が、毎分25〜250回転、好ましくは毎分40〜150回転である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の装置の、石油、化学または石油化学反応器に装填するための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−504195(P2008−504195A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518634(P2007−518634)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001486
【国際公開番号】WO2006/013240
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(505036674)トータル・フランス (39)
【氏名又は名称原語表記】TOTAL FRANCE
【Fターム(参考)】