説明

分割ガード部材を備えたロータリーカッターナイフ

【課題】突出位置と退避位置との間で移動可能なガード部材を備えたロータリカッターナイフの安全性をさらに高める。
【解決手段】ガード部材30a、30bを2つに分割して、互いに独立して移動可能とする。各ガード部材30a、30bは、外端縁31aがロータリーブレード20の外周エッジ21を超えて突出する突出位置と、外端縁31aが後退してロータリーブレード20の外周エッジ21を露出させる退避位置との間を移動する。切断作業に供されることのない領域ではロータリーブレードのエッジ21が外部に露出することがなく、切断に必要な限られた領域においてのみエッジ21が露出するため、安全性が非常に高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形ブレードを使用するロータリーカッターナイフに関する。さらに詳しくは、円形ブレードのエッジを超えて突出することで安全性を高めるガード部材を備えたロータリーカッターナイフに関する。
【背景技術】
【0002】
円形ブレードを使用して布地等を切断するロータリーカッターナイフにおいて、非使用時の安全性を高めるためのガード部材を備えたものが
【特許文献1】に開示されている。このロータリーカッターナイフを図1に示した。
【0003】
図1(a)では、ガード部材80は、カッターナイフ本体60側に退避していて、ロータリーブレード70のエッジ71が露出している。この状態で、使用者は、グリップ(カッターナイフ本体)60を握って、布地等を切断する。
図1(b)は、カッターナイフの非使用状態を示している。すなわち、ガード部材80は、ロータリーブレード70のエッジ71を超えて突出し、切断不可能な状態とすることで安全性を高めている。
【0004】
【特許文献2】意匠登録第1090663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記のようなガード部材を備えたカッターナイフにおいて、その安全性をさらに高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカッターナイフは、「カッターナイフ本体に支持されたロータリーブレード」と「カッターナイフ本体に支持されていて、外端縁がロータリーブレードの外周エッジを超えて突出する突出位置と、外端縁が後退してロータリーブレードの外周エッジを露出させる退避位置と、の間で移動可能なガード部材」とを備える。
ガード部材は、2つに分割されていて、互いに独立して、突出位置と退避位置との間で移動可能である。
【発明の効果】
【0007】
上記構成を備えた本発明のカッターナイフにおいては、いずれか一方のみのガード部材を退避させ、他方のガード部材は突出させることにより、切断作業に供されることのない領域ではロータリーブレードのエッジが外部に露出することがなく、切断に必要な限られた領域においてのみエッジが露出するため、安全性が非常に高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るカッターナイフ10を示す正面図である。
カッターナイフ10は、全体がグリップ部を構成する細長いカッターナイフ本体11の一端にロータリーブレード20を保持している。ロータリーブレード20は、支柱部材25を中心として回動可能に保持されている。
【0009】
カッターナイフ10は、互いに独立して操作可能な2つのガード部材30a、30bを備える。2つのガード部材30a、30bは、図1に示した従来のカッターナイフにおけるガード部材80を縦方向に2つに分割するように構成している。
【0010】
両ガード部材30a、30bは、分割された別個の部材であって、それぞれ、スライドノブ32a、32bを操作することで、突出位置と退避位置との間を移動する。スライドノブ32a、32bは、それぞれ、カッターナイフ本体11に設けた開口15、16を通して外部に露出している。
【0011】
≪上方のガード部材のみを突出させる場合≫
図3は、上方のガード部材30aのみを突出させた状態を示している。この突出位置においては、ガード部材30aの外端縁31aがロータリーブレードの外周エッジ21を超えて突出している。つまり、図3中下方側に露出するエッジ部分のみが切断機能を果たせる状態となっている。
一方、下側のガード部材30bは、カッターナイフ本体11内に退避している。この退避位置では、ガード部材30bの外端縁31b(図4参照)が後退して、ロータリーブレード20の外周エッジ21を露出させている。
【0012】
このとき、ユーザーは、図5に示したように、右手でカッターナイフ10を持って切断作業を行う。図5から分かるように、実際に切断対象(布地等)に接する限られた領域においてのみエッジ21が外部に露出しており、切断作業に供されることのない上方領域においては、エッジがガードされている。
これに対して、図1に示した従来例では、この上方領域においてもエッジが外部に露出する。本発明では、上記のように、切断作業に供されることのない領域においては、エッジが外部に露出しないよう構成することで、安全性をさらに高めている。
【0013】
≪下方のガード部材のみを突出させる場合≫
図4は、図3とは逆に、下側のガード部材30bが突出位置にあり、上側のガード部材30aが退避位置にある状態を示している。すなわち、下側のガード部材30bの外端縁31bがロータリーブレードの外周エッジ21を超えて突出し、上側のガード部材30aの外端縁31a(図3参照)が後退して、ロータリーブレード20の外周エッジ21を露出させている。
このとき、ユーザーは、図6に示したように、左手でカッターナイフ10を持って切断作業を行う。この場合も、上記と同様に、切断作業に供されることのない領域ではエッジが外部に露出しないので、高い安全性を確保できる。
【0014】
≪不使用時≫
カッターナイフを使用しない場合には、図2に示したように、両方のガード部材30a、30bは、ともに突出位置に保持しておく。各ガード部材30a、30bは、弾性変形を利用する等、従来から知られている適宜の保持機構により、突出位置および退避位置に係止できるよう構成することが好ましい。
【0015】
図示した実施形態においては、2つのガード部材30a、30bは、図2中の分割線Aに沿って分割している。この分割線Aは、ロータリーブレード20の中心を通り、かつ突出位置と退避位置とを結ぶ方向に延在している。
ただし、ガード部材を2つに分割する分割ラインは、図示のものに限られず、適宜設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のカッターナイフを説明する図。
【図2】本発明の一実施形態に係るカッターナイフを説明する正面図。
【図3】図1のカッターナイフにおいて、上方側のガード部材のみを突出させた状態を示す正面図。
【図4】図1のカッターナイフにおいて、下方側のガード部材のみを突出させた状態を示す正面図。
【図5】図3の状態にあるカッターナイフの使用状態を示す図。
【図6】図4の状態にあるカッターナイフの使用状態を示す図。
【符号の説明】
【0017】
10 カッターナイフ
11 カッターナイフ本体
15、16 開口
20 ロータリーブレード
21 エッジ
25 支柱部材
30a、30b ガード部材
31a、31b ガード部材の外周縁
32a、32b スライドノブ
A 分割線
60 カッターナイフ本体
70 ロータリーブレード
71 エッジ
80 ガード部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッターナイフ本体(11)に支持されたロータリーブレード(20)と、
カッターナイフ本体(11)に支持されていて、外端縁(31a、31b)がロータリーブレード(20)の外周エッジ(21)を超えて突出する突出位置と、外端縁(31a、31b)が後退してロータリーブレード(20)の外周エッジ(21)を露出させる退避位置と、の間で移動可能なガード部材(30a、30b)と、を備えたカッターナイフであって、
上記ガード部材(30a、30b)は、2つに分割されていて、互いに独立して、突出位置と退避位置との間で移動可能であることを特徴とする、カッターナイフ。
【請求項2】
上記ガード部材は、ロータリーブレード(20)の中心を通り、かつ突出位置と退避位置とを結ぶ方向に延在する線(A)に沿って、2つに分割されていることを特徴とする、請求項1記載のカッターナイフ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−200409(P2008−200409A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42393(P2007−42393)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(390024132)オルファ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】