説明

分割マスク及びこれを利用したマスクフレーム組立体の組立方法

【課題】分割マスク及びこれを利用したマスクフレーム組立体の組立方法を提供する。
【解決手段】パターンが形成された本体部と、本体部の一側から延びた少なくとも一つ以上のサイドクランピング部と、前記少なくとも一つのサイドクランピング部の最外郭のサイドクランピング部に隣接して配される斜めクランピング部と、を備え、斜めクランピング部とサイドクランピング部とがなす角度(θ)は、0°より大きく90°より小さい(0°<θ<90°)分割マスク及びこれを利用したマスクフレーム組立体の組立方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、分割マスク及びこれを利用したマスクフレーム組立体の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ディスプレイ装置のうち有機発光表示装置は、視野角が広くてコントラストが優れているだけでなく、応答速度が速いという長所を持っている。
【0003】
有機発光表示装置は、アノードとカソードとに注入される正孔と電子とを発光層で再結合して発光する原理により色相を具現できるものであって、アノードとカソードとの間に発光層を挿入した積層型構造である。しかし、前記構造では高効率発光を得難いため、それぞれの電極と発光層との間に電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、及び正孔注入層などの中間層を選択的に追加挿入して利用している。
【0004】
一方、有機発光表示装置の電極と、発光層を含む中間層は色々な方法によって形成される。このうちの一つの方法が蒸着法である。蒸着方法を利用して有機発光表示装置を製造するためには、基板上に形成される薄膜などのパターンと同じパターンを持つファインメタルマスク(FMM:Fine Metal Mask)を整列し、薄膜の原素材を蒸着して所望のパターンの薄膜を形成する。
【0005】
このようなFMMが大面積化すれば、パターン形成のためのエッチング誤差も大きくなり、自重による中央部の反り現象も激しくなるため、最近ではマスクを複数のスティック状にした後、フレームに付けて使用する分割マスクタイプのマスクフレーム組立体が好まれている。
【0006】
この分割マスクを使用すれば、全体マスクフレーム組立体のうち、一部の分割マスクに問題が生じる場合、その当該分割マスクだけ入れ替えればよいという長所もある。
【0007】
一方、このような分割マスクをフレームに付着する時には、分割マスクを分割マスクの長手方向に引っ張る過程を経る。もし、分割マスクが引っ張られていない状態でフレームに結合されれば、分割マスクのボディーに凸凹なウェーブが発生し、これは、以後の蒸着工程でマスクと基板との間の密着性を低下させて、精密な蒸着を阻害する要因として作用する。したがって、分割マスクをフレームに付着する時には、分割マスクを分割マスクの長手方向に引っ張った後にフレームに付着する。
【0008】
最近の大型ディスプレイ装置の需要に対応するために分割マスクは、その長さが約1,840mmレベルに大型化しており、各分割マスク毎に長手方向にウェーブが生じる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一実施形態は、分割マスクのウェーブの発生を抑制できるように改善された分割マスクと、それを利用したマスクフレーム組立体の組立方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による分割マスクは、蒸着用パターンが形成されたスティック本体部と、前記本体部の長手方向の両側端部からそれぞれの外側に延びた複数のクランピング部を備え、前記クランピング部は、前記スティック本体部の長手方向に沿って延びた少なくとも一つ以上のサイドクランピング部と、前記少なくも一つ以上のサイドクランピング部の最外郭のサイドクランピング部の近傍に前記スティック本体の長手方向と幅方向との間の斜め方向に沿って延びて配される斜めクランピング部と備え、前記斜めクランピング部と前記最外郭のサイドクランピング部とがなす角度(θ)は、0°より大きく90°より小さい(0°<θ<90°)。
【0011】
前記サイドクランピング部は、前記本体部から長手方向に沿って外側に延びる。前記サイドクランピング部は、前記本体部の一側から延びた第1サイドクランピング部と、前記一側に対向する前記本体部の他側から延びた第2サイドクランピング部と、で形成される。
【0012】
前記第1サイドクランピング部と前記第2サイドクランピング部とは、同数で形成される。前記第1サイドクランピング部は、等間隔で形成される。前記第2サイドクランピング部は、等間隔で形成される。前記第1サイドクランピング部間の間隔と前記第2サイドクランピング部間の間隔とは、互いに同一である。前記第1サイドクランピング部と前記第2サイドクランピング部とは、互いに対応するように形成される。前記第1サイドクランピング部と第2サイドクランピング部とは、同数で形成される。
【0013】
前記サイドクランピング部は、同一長に形成される。前記サイドクランピング部は、同一幅に形成される。
【0014】
前記斜めクランピング部は、前記本体部の角領域から延びる。前記斜めクランピング部は、前記本体部の4つの角領域から延びるように形成される。前記斜めクランピング部それぞれと前記斜めクランピング部それぞれとに隣接した前記最外郭のサイドクランピング部間の角度は、いずれも同一である。前記斜めクランピング部は、同一長に形成される。前記斜めクランピング部は、同一幅に形成される。
【0015】
前記本体部と前記サイドクランピング部との間と、前記本体部と前記斜めクランピング部との間が、マスクフレーム組立体のフレームに溶接される。前記サイドクランピング部と前記斜めクランピング部とは、前記フレームに溶接された後で除去される。
【0016】
本発明の一実施形態によるマスクフレーム組立体の組立方法は、蒸着用パターンが形成されたスティック本体部、前記本体部の両側端部からそれぞれの外側に延びた複数のクランピング部を備え、前記クランピング部は、前記スティック本体部の長手方向に沿って延びた少なくとも一つ以上のサイドクランピング部、及び前記少なくとも一つのサイドクランピング部の最外郭のサイドクランピング部の近傍に前記スティック本体部の長手方向と幅方向との間の斜め方向に沿って延びて配される斜めクランピング部がそれぞれ備えられた複数の分割マスクと、前記複数の分割マスクが接合されるフレームと、を用意する段階と、前記各分割マスクの前記サイドクランピング部と前記斜めクランピング部とを把持し、引張力を加えつつ前記本体部を前記フレームに溶接する段階と、を含む。
【0017】
前記溶接が完了した後、前記サイドクランピング部と前記斜めクランピング部とを切断する段階をさらに含む。
【0018】
前記本体部と前記フレームとの溶接時、前記本体部と前記サイドクランピング部との間、及び前記本体部と前記斜めクランピング部との間を前記フレームに溶接する。
【0019】
前記斜めクランピング部と前記最外郭のサイドクランピング部とがなす角度(θ)は、0°<θ<90°である。前記サイドクランピング部は、前記本体部から長手方向に沿って外側に延びる。
【0020】
前記サイドクランピング部は、前記本体部の一側から延びた第1サイドクランピング部と、前記一側に対向する前記本体部の他側から延びた第2サイドクランピング部と、で形成される。前記第1サイドクランピング部と前記第2サイドクランピング部とは、同数で形成される。
【0021】
前記第1サイドクランピング部は、等間隔で形成される。前記第2サイドクランピング部は、等間隔で形成される。前記第1サイドクランピング部間の間隔と前記第2サイドクランピング部間の間隔とは、互いに同一である。
【0022】
前記第1サイドクランピング部と前記第2サイドクランピング部とは、互いに対応するように形成される。前記第1サイドクランピング部と第2サイドクランピング部とは、同数で形成される。前記サイドクランピング部は、同一長に形成される。前記サイドクランピング部は、同一幅に形成される。
【0023】
前記斜めクランピング部は、前記本体部の角から延びる。前記斜めクランピング部は、前記本体部の4つの角から延びるように形成される。前記斜めクランピング部それぞれと前記斜めクランピング部それぞれとに隣接した前記最外郭のサイドクランピング部間の角度は、いずれも同一である。前記斜めクランピング部は、同一長に形成される。前記斜めクランピング部は、同一幅に形成される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施形態によれば、分割マスクを引っ張った状態でフレームに結合させることができるのでウェーブを低減させることができ、したがって、これを蒸着作業に利用すれば、さらに安定的で精密なパターニングが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態による分割マスクの平面図である。
【図2】本発明の一実施形態による分割マスクの平面図である。
【図3】本発明の他の実施形態による分割マスクの平面図である。
【図4】図1に示した分割マスクとフレームとが結合されたマスクフレーム組立体を示す平面図である。
【図5A】図4に示したマスクフレーム組立体の組立過程を順次に示す図面である。
【図5B】図4に示したマスクフレーム組立体の組立過程を順次に示す図面である。
【図5C】図4に示したマスクフレーム組立体の組立過程を順次に示す図面である。
【図5D】図4に示したマスクフレーム組立体の組立過程を順次に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明すれば、次の通りである。
【0027】
最近の大型ディスプレイ装置の需要に対応するために分割マスクは、その長さが約1,840mmレベルに大型化しており、各分割マスク毎に長手方向にウェーブが生じる問題があった。すなわち、各分割マスクの長さが長くなるにつれて、長手方向に引っ張っている状態を維持できずに屈曲が生じるウェーブ形成問題が発生する。このようになれば、これらの分割マスクを利用して精密なパターンを蒸着せねばならない蒸着工程でも問題が生じる。
【0028】
したがって、これらの分割マスクのウェーブ発生問題を抑制させうる方案が要求されている。
【0029】
図1及び図2は、本発明の一実施形態による分割マスクを示す平面図であり、図4は、図1に示した分割マスクとフレームとが結合されたマスクフレーム組立体を示す平面図である。
【0030】
図1及び図2を参照すれば、本発明の一実施形態による分割マスク100は、フレーム(図4の300)に複数個が溶接されてマスクフレーム組立体(図4の400)を形成し、分割マスク100は、ニッケル、ニッケル合金、ニッケル−コバルト合金などで形成できる。
【0031】
本発明の一実施形態による分割マスク100は、本体部110、サイドクランピング部120、及び斜めクランピング部131a、131b、131c、131dを備える。
【0032】
本体部110は、その内部にパターン111が形成されている。パターン111を通じて、蒸着物質は被蒸着体に蒸着される。本体部110は、フレーム(図4の300)に溶接されて蒸着作業に使われるフレーム組立体400を形成する部位であり、サイドクランピング部120及び斜めクランピング部131a、131b、131c、131dは、本体部110をフレーム300に溶接する時に引っ張り張力を付与するために形成された部位であって、組立過程中に除去される。接合部(図4の115)は、本体部110と、サイドクランピング部120及び斜めクランピング部131a、131b、131c、131dとの間の境界領域であって、フレーム300に溶接される領域である。
【0033】
複数の分割マスク100をフレーム300に結合させれば、図4に示したようなマスクフレーム組立体400が形成される。それぞれの分割マスク100は、フレーム300の開口301にパターン111が位置するように配された状態で、接合部115が溶接されることで固定され、サイドクランピング部120及び斜めクランピング部131a、131b、131c、131dは、点線で示したように溶接後に除去される。
【0034】
一方、サイドクランピング部120及び斜めクランピング部131a、131b、131c、131dは、本体部110から外側に延びて形成される。さらに詳細には、サイドクランピング部120は、本体部110の一側から延びて形成される。すなわち、サイドクランピング部120は、本体部110の一側から本体部110の長手方向(X軸方向)に沿って外側に延びて形成される。サイドクランピング部120は、第1及び2サイドクランピング部121a、121b、122a、122bで形成される。第1サイドクランピング部121a、121bは、本体部110の一側から外側方向(−X軸方向)に延びて形成され、第2サイドクランピング部122a、122bは、前記一側に対向する本体部110の他側から外側方向(X軸方向)に延びて形成される。
【0035】
第1及び第2サイドクランピング部121a、121b、122a、122bは、同数で形成される。図1及び図2に示したように、第1サイドクランピング部121a、121bが2つ形成された場合には、第2サイドクランピング部122a、122bも2つ形成され、図3に示したように、第1サイドクランピング部221a、221b、221cが3つ形成された場合には、第2サイドクランピング部222a、222b、222cも3つ形成される。
【0036】
第1サイドクランピング部121a、121b間の間隔t1と、第2サイドクランピング部122a、122b間の間隔t2とは、同一でありうる。第1サイドクランピング部121a、121bそれぞれの長さは同一であり、第2サイドクランピング部122a、122bそれぞれの長さも同一に形成される。また、第1サイドクランピング部121a、121bそれぞれの長さと、第2サイドクランピング部122a、122bそれぞれの長さとは、同一でありうる。第1サイドクランピング部121a、121bの幅w1、w2は同一であり、第2サイドクランピング部122a、122bの幅w3、w4は同一であり、第1サイドクランピング部121a、121bの幅w1、w2と、第2サイドクランピング部122a、122bの幅w3、w4とはいずれも同一でありうる。
【0037】
斜めクランピング部131a、131b、131c、131dは、サイドクランピング部120の両外郭に配される。すなわち、斜めクランピング部131a、131bそれぞれは、第1サイドクランピング部121aと第1サイドクランピング部121bの外郭に配され、斜めクランピング部131c、131dそれぞれは、第2サイドクランピング部122aと第2サイドクランピング部122bの外郭に配される。
【0038】
斜めクランピング部131a、131b、131c、131dそれぞれは、本体部110の4つの角領域110a、110b、110c、110dから延びるように形成される。
【0039】
また、斜めクランピング部131a、131b、131c、131dは、サイドクランピング部120の最外郭のサイドクランピング部と所定の角度(θ)を持つように形成される。斜めクランピング部131a、131b、131c、131dとサイドクランピング部120の最外郭のサイドクランピング部との角度(θ)は、0°より大きく90°より小さい(0°<θ<90°)。すなわち、第1サイドクランピング部121aと斜めクランピング部131aとは角度θ1を持ち、第1サイドクランピング部121bと斜めクランピング部131bとは角度θ2を持ち、第2サイドクランピング部122aと斜めクランピング部131cとは角度θ3を持ち、第2サイドクランピング部122bと斜めクランピング部131dとは角度θ4を持つ。角度θ1、θ2、θ3、θ4それぞれは、いずれも同一に形成される。
【0040】
すなわち、斜めクランピング部131aは、第1サイドクランピング部121aと角度θ1を持つように、角領域110aから延びて形成される。斜めクランピング部131bは、第1サイドクランピング部121bと角度θ2を持つように角領域110bから延びて形成される。斜めクランピング部131cは、第2サイドクランピング部122aと角度θ3を持つように角領域110cから延びて形成される。斜めクランピング部131dは、第2サイドクランピング部122bと角度θ4を持つように角領域110dから延びて形成される。
【0041】
斜めクランピング部131a、131b、131c、131dそれぞれは、同じ長さに形成され、同一幅に形成される。
【0042】
前記のように、第1サイドクランピング部121a、121b及び斜めクランピング部131a、131bは、第2サイドクランピング部122a、122b及び斜めクランピング部131c、131dと、本体部110を中心に互いに対称的に形成される。このように本体部110を中心としてクランピング部が互いに対称的に形成されることで、本体部110に引張力が均等に作用される。
【0043】
分割マスク100をフレーム300に溶接する時には、引張器(図示せず)で分割マスク100のサイドクランピング部120及び斜めクランピング部131a、131b、131c、131dを把持して引き寄せた状態で、前記接合部115をフレーム300に溶接するが、斜めクランピング部131a、131b、131c、131dは、サイドクランピング部121a、121b、122a、122bと所定の角度θ1、θ2、θ3、θ4を持つように形成されるところ、本体部110の長手方向(X軸方向)だけでなく、本体部110の幅方向(Y軸方向)にも引張力が印加される。したがって、本体部110の中央領域で本体部110が片寄ることを回避できる。本体部110が扁平に維持されるので、被蒸着体(図示せず)と分割マスク100との密着性を向上させて蒸着時に発生しうるシャドー不良を低減させる。
【0044】
図3は、本発明の他の実施形態による分割マスクの平面図である。図1及び図2では、第1サイドクランピング部121a、121bと第2サイドクランピング部122a、122bとがそれぞれ2つずつ形成されているが、図3に示した分割マスク200は、第1サイドクランピング部221a、221b、221cと第2サイドクランピング部222a、222b、222cとがそれぞれ3つずつ形成されている。本発明はこれに限定されず、他の実施形態として、4つ以上の第1及び第2サイドクランピング部が形成される。
【0045】
図3に示した分割マスク200は、3個の第1サイドクランピング部221a、221b、221cは互いに離隔して形成され、これらの間隔はいずれも同一である。3つの第2サイドクランピング部222a、222b、222cは互いに離隔して形成され、これらの間隔はいずれも同一である。また、第1サイドクランピング部221a、221b、221c間の間隔と、第2サイドクランピング部222a、222b、222c間の間隔とは同一である。第1サイドクランピング部221a、221b、221cと第2サイドクランピング部222a、222b、222cそれぞれの幅がいずれも同一に形成され、それらそれぞれの長さも同一に形成される。
【0046】
斜めクランピング部131aは、最外郭の第1サイドクランピング部221aと所定の角度をなすように形成され、斜めクランピング部131bは、最外郭の第1サイドクランピング部221cと所定の角度をなすように形成され、斜めクランピング部131cは、最外郭の第1サイドクランピング部222aと所定の角度をなすように形成され、斜めクランピング部131dは、最外郭の第1サイドクランピング部222cと所定の角度をなすように形成される。斜めクランピング部131a、131b、131c、131dそれぞれとサイドクランピング部220間の所定の角度は、いずれも同一であり、前記所定の角度は0°より大きく90°より小さい。
【0047】
斜めクランピング部131a、131b、131c、131dそれぞれの幅はいずれも同一に形成され、また斜めクランピング部131a、131b、131c、131dそれぞれの長さもいずれも同一に形成される。
【0048】
分割マスク100を利用したマスクフレーム組立体400の組立過程は、図5Aないし図5Dに示したような順序で進められる。
【0049】
まず、分割マスク100とフレーム300とを用意する。前記フレーム300は組立体の外郭枠組を形成するものであって、中央に開口部301が形成された方形をなしている。このフレーム300の互いに対向する一対の辺に、前記分割マスク100の接合部115が溶接で固定される。
【0050】
前記分割マスク100は、細長いスティック状の部材であって、前記開口部301中に位置するパターン111が形成されており、本体部110とクランピング部120、131a、131b、131c、131dとの間の接合部115が、前述したようにフレーム300に溶接される。
【0051】
図5Aは、最初の分割マスク100をフレーム300に結合させる過程を示したものであって、まず該当分割マスク100の両端にあるサイドクランピング部120及び斜めクランピング部131a、131b、131c、131dを引張器(図示せず)で把持して、外側にぴんと引っ張る。これにより、分割マスク100には引張力Tが加えられるが、前述したように、斜めクランピング部131a、131b、131c、131dは、サイドクランピング部121a、121b、122a、122bと所定の角度を成して形成されるため、本体部110の長手方向(X軸方向)だけでなく幅方向(Y軸方向)に引張力が加えられる。これにより、分割マスク100の本体部110にはウェーブが著しく低減して、平坦度の非常に向上した状態になる。この状態で、前記接合部115をフレーム300に溶接して該分割マスク100を固定させる。
【0052】
そして、このように溶接が完了した後には、図5Bに示したように、接合部115外側のサイドクランピング部120及び斜めクランピング部131a、131b、131c、131dを切断して除去する。斜めクランピング部131a、131b、131c、131dは、サイドクランピング部121a、121b、122a、122bと所定の角度を成して形成されるので、そのまま置く場合、隣接した他の分割マスク100の斜めクランピング部131a、131b、131c、131dと互いに干渉する恐れがある。したがって、次の分割マスク100を溶接する前に、サイドクランピング部120及び斜めクランピング部131a、131b、131c、131dは切断して除去する。
【0053】
このように最初の分割マスク100が溶接完了した後には、図5Cに示したように、2番目の分割マスク100の溶接を同じ過程で進める。すなわち、引張器で該分割マスク100のサイドクランピング部120及び斜めクランピング部131a、131b、131c、131dを把持して引張力Tを加え、その状態で接合部115をフレーム300に溶接させる。斜めクランピング部131a、131b、131c、131dによって本体部110の長手方向と幅方向とに引張力Tが加えられ、したがって、ウェーブが著しく低減した状態で溶接が行われる。
【0054】
そして、同様に溶接が完了した後には、図5Dに示したように、接合部115外側のサイドクランピング部120及び斜めクランピング部131a、131b、131c、131dを切断して除去する。
【0055】
このような方式で、分割マスク100を一つずつフレーム300に溶接すれば、最終的に、図4に示したようなマスクフレーム組立体400の組立てが完了する。
【0056】
したがって、かかる構成の分割マスク100を利用すれば、マスクフレーム組立体400の組立て時に分割マスク100に非常に強い引張力を与えつつフレーム300に結合させることができるため、ウェーブ形成を抑制してさらに精密なマスクフレーム組立体400を作ることができる。
【0057】
前記マスクフレーム組立体400は、有機発光膜のパターニング工程を含む各種薄膜蒸着用に使われる。
【0058】
本発明は、図面に示した一実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想により定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、マスクフレーム組立体関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0060】
100、200 分割マスク
110 本体部
111 パターン
115 接合部
120 サイドクランピング部
131a、131b、131c、131d 斜めクランピング部
300 フレーム
400 マスクフレーム組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成された本体部と、
前記本体部の一側から延びた少なくとも一つ以上のサイドクランピング部と、
前記少なくとも一つ以上のサイドクランピング部の最外郭のサイドクランピング部に隣接して配される斜めクランピング部と、を備え、
前記斜めクランピング部と前記最外郭のサイドクランピング部とがなす角度(θ)は、0°より大きく90°より小さい(0°<θ<90°)ことを特徴とする分割マスク。
【請求項2】
前記サイドクランピング部は、前記本体部から長手方向に沿って外側に延びることを特徴とする請求項1に記載の分割マスク。
【請求項3】
前記サイドクランピング部は、
前記本体部の一側から延びた第1サイドクランピング部と、
前記一側に対向する前記本体部の他側から延びた第2サイドクランピング部と、で形成されることを特徴とする請求項2に記載の分割マスク。
【請求項4】
前記第1サイドクランピング部と前記第2サイドクランピング部とは、同数で形成されることを特徴とする請求項3に記載の分割マスク。
【請求項5】
前記第1サイドクランピング部は、等間隔で形成されることを特徴とする請求項3に記載の分割マスク。
【請求項6】
前記第2サイドクランピング部は、等間隔で形成されることを特徴とする請求項3に記載の分割マスク。
【請求項7】
前記第1サイドクランピング部間の間隔と前記第2サイドクランピング部間の間隔とは、互いに同一であることを特徴とする請求項3に記載の分割マスク。
【請求項8】
前記第1サイドクランピング部と前記第2サイドクランピング部とは、互いに対応するように形成されることを特徴とする請求項3に記載の分割マスク。
【請求項9】
前記第1サイドクランピング部と第2サイドクランピング部とは、同数で形成されることを特徴とする請求項3に記載の分割マスク。
【請求項10】
前記サイドクランピング部は、同一長に形成されることを特徴とする請求項1に記載の分割マスク。
【請求項11】
前記サイドクランピング部は、同一幅に形成されることを特徴とする請求項1に記載の分割マスク。
【請求項12】
前記斜めクランピング部は、前記本体部の角領域から延びることを特徴とする請求項1に記載の分割マスク。
【請求項13】
前記斜めクランピング部は、前記本体部の4つの角領域から延びるように形成されることを特徴とする請求項12に記載の分割マスク。
【請求項14】
前記斜めクランピング部それぞれと前記斜めクランピング部それぞれとに隣接した前記最外郭のサイドクランピング部間の角度は、いずれも同一であることを特徴とする請求項13に記載の分割マスク。
【請求項15】
前記斜めクランピング部は、同一長に形成されることを特徴とする請求項13に記載の分割マスク。
【請求項16】
前記斜めクランピング部は、同一幅に形成されることを特徴とする請求項13に記載の分割マスク。
【請求項17】
前記本体部と前記サイドクランピング部との間と、前記本体部と前記斜めクランピング部との間が、マスクフレーム組立体のフレームに溶接されることを特徴とする請求項1に記載の分割マスク。
【請求項18】
前記サイドクランピング部と前記斜めクランピング部とは、前記フレームに溶接された後で除去されることを特徴とする請求項17に記載の分割マスク。
【請求項19】
パターンが形成された本体部、前記本体部の一側から延びた少なくとも一つ以上のサイドクランピング部、及び前記少なくとも一つ以上のサイドクランピング部の最外郭のサイドクランピング部に隣接して配される斜めクランピング部がそれぞれ備えられた複数の分割マスクと、前記複数の分割マスクが接合されるフレームと、を用意する段階と、
前記各分割マスクの前記サイドクランピング部と前記斜めクランピング部とを把持し、引張力を加えつつ前記本体部を前記フレームに溶接する段階と、を含むマスクフレーム組立体の組立方法。
【請求項20】
前記溶接が完了した後、前記サイドクランピング部と前記斜めクランピング部とを切断する段階をさらに含む請求項19に記載のマスクフレーム組立体の組立方法。
【請求項21】
前記本体部と前記フレームとの溶接時、前記本体部と前記サイドクランピング部との間、及び前記本体部と前記斜めクランピング部との間を前記フレームに溶接する請求項19に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項22】
前記斜めクランピング部と前記サイドクランピング部とがなす角度(θ)は、0°<θ<90°である請求項19に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項23】
前記サイドクランピング部は、前記本体部から長手方向に沿って外側に延びた請求項19に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項24】
前記サイドクランピング部は、
前記本体部の一側から延びた第1サイドクランピング部と、
前記一側に対向する前記本体部の他側から延びた第2サイドクランピング部と、で形成された請求項23に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項25】
前記第1サイドクランピング部と前記第2サイドクランピング部とは、同数で形成された請求項24に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項26】
前記第1サイドクランピング部は、等間隔で形成された請求項24に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項27】
前記第2サイドクランピング部は、等間隔で形成された請求項24に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項28】
前記第1サイドクランピング部間の間隔と前記第2サイドクランピング部間の間隔とは、互いに同一である請求項24に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項29】
前記第1サイドクランピング部と前記第2サイドクランピング部とは、互いに対応するように形成された請求項24に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項30】
前記第1サイドクランピング部と第2サイドクランピング部とは、同数で形成された請求項24に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項31】
前記サイドクランピング部は、同一長に形成される請求項19に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項32】
前記サイドクランピング部は、同一幅に形成される請求項19に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項33】
前記斜めクランピング部は、前記本体部の角から延びる請求項19に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項34】
前記斜めクランピング部は、前記本体部の4つの角から延びるように形成される請求項33に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項35】
前記斜めクランピング部それぞれと前記斜めクランピング部それぞれとに隣接した前記サイドクランピング部間の角度は、いずれも同一である請求項34に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項36】
前記斜めクランピング部は、同一長に形成された請求項34に記載のマスク組立体の組立方法。
【請求項37】
前記斜めクランピング部は、同一幅に形成された請求項34に記載のマスク組立体の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【公開番号】特開2012−233253(P2012−233253A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−91975(P2012−91975)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】