説明

分割式広角度撮像カメラ装置

【目的】 1台の撮像カメラで複数の光景に分割表示させることができるカメラ装置の開発。
【構成】 複数個の鏡とレンズとの組合せにより複数方向のそれぞれの光景を1台の撮像カメラ本体に入射させ、それら光景をモニター29によって分割表示させる。
【効果】 広範囲視野映像に歪みを生ぜしめることなく、視認性に優れた映像表示ができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1台の撮像カメラで、多数方向の光景を分割状態で撮像して、広範囲の視野を監視することができる分割式広角度撮像カメラ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】広範囲の視野を撮像することができる従来の撮像カメラとしては、焦点距離を短く設計した例えば魚眼レンズ等の広角レンズを装着した撮像カメラを使用することにより、目的とする広範囲視野を目視することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、かかる広角レンズ使用による映像は、図1で示すように、そのモニター1に映し出される像2の中央部と外周部との倍率が変化し、これが原因で湾曲状に歪んでしまうために、遠近感(距離感)の分りにくい映像となり、さらには遠方物体が極端に小さくなる光景となり、これらによって、モニター1に映し出される物体の有無、大きさの相対関係、距離感等を判断することが困難な映像となるといった不具合があった。なお3は広角レンズ4を装着した撮像カメラを示す。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる従来の不具合に着目してなされたもので、映すべき広範囲の光景を上下又は/及び左右方向に分割して1台の撮像カメラに入射することができる鏡筐体を撮像カメラのレンズ前方に組付けて、一つの画面上に、上記分割映像同時に表示させることにより、各分割映像の歪みを小さくし、これによって映像の大きさ、距離等を容易かつ正確に確認することができる分割式広角度撮像カメラ装置を提供することにある。
【0005】
【実施例】以下に本発明を図面に示す実施例に基いて詳細に説明する。
【0006】図2乃至図6において、11は、撮像レンズ12、CCD受像部13、自動アイリス機構14及び映像制御部15を有する撮像カメラ本体であって、この撮像カメラ本体11の前部には鏡筐体16が取付けねじ17によって固定されている。
【0007】鏡筐体16の構造は、撮像カメラ本体11の前方へ開口する前方窓18及び撮像カメラ本体11の左右両側方へそれぞれ開口する左側窓19及び右側窓20を形成した筐体21と、上記左側窓19から入射される光を、前記の撮像レンズ12へ入射せしめるための左側凸面鏡22及び左側凹面鏡23と、右側窓20から入射される光を前記の撮像レンズ12へ入射せしめるための右側凸面鏡24及び右側凹面鏡25を有している。また前方窓18から入射される光は前方反射ミラー32,33を介して撮像レンズ12へ入射されるものである(図7においては、前方反射ミラー32,33を省略して表示した)。なお上記前方窓18、左右両側の窓19,20のそれぞれには、保護用のカバーガラス(レンズであってもよい)26,27,28が被着されている。
【0008】なお図2において29はモニターであって、前記映像制御部15からの信号線30及び電源からの電源線31を介して、撮像カメラ本体からの映像信号で映像が表示されるものである。
【0009】以上が本実施例の構成であるが、次にその作用について述べると、筐体21に設けられている前方窓18から入射される前方光景は、前方反射ミラー32,33を介して撮像レンズ12に入射され、その前方映像は、モニター29の下半部で表示される。また左側窓19から入射される左方光景は、左側凸面鏡22に次いで左側凹面鏡23に反射されて撮像レンズ12に入射され、その左方映像は、モニター29の上半左側部で表示できる。同様にして右側窓20から入射される右方光景は、右側凸面鏡24に次いで右側凹面鏡25に反射されて撮像レンズ12に入射し、その右方映像は、モニター29の上半右側部で表示されるものである。
【0010】従って、本実施例によれば、1台の撮像カメラ本体11によって、前方及び左右両側方の3方向の光景を、撮像し、この映像を1台のモニター29の下半部及び上半部の左右のそれぞれに映し出させることができる。
【0011】かくしてモニター29に映し出された映像は、広角レンズを用いることなく、広範囲の光景が分割表示されたものであるから、各分割映像は、歪みのない視認性に優れた表示となり、それら分割映像を総合監視することで、広範囲視野を見ることができる。
【0012】例えば図6において前方窓18を透して見る視野角度が60度であり、また左右両側窓19,20を透して見る視野角度がそれぞれ30度であるとすると、総合的に前方120度の広角視野角度の映像を得ることができる。
【0013】この場合左右真横の光景を見ることはできないが、例えば図7に示すように、左側凸面鏡22、凹面鏡23及び右側凸面鏡24、凹面鏡25の向き角度を変えることにより、左右真横までの光景を見ることができる。この図7に示す実施例の場合は、前方映像と左右両側映像との間に死角34が生じるが左右真横の光景を見ることができるという特長がある。
【0014】なお上記いずれの実施例も、撮像カメラ本体にCCD受像部13を具備せしめたテレビカメラとして説明したが、これに限られるものではなく、その撮像カメラ本体を写真カメラとして使用して、例えばフィルム、テープ、印画紙等の記録媒体上に表示させるようにしてもよい。
【0015】
【発明の効果】以上のように本発明は、複数個の鏡とレンズとの組合せにより複数方向のそれぞれの光景を1台の撮像カメラ本体に入射させると共にモニターによって、上記それぞれの入射光景を分割表示させる分割式広角度撮像カメラ装置であるから、これによれば、広角レンズを用いることなく広範囲視野を映像することができ、従って分割表示される各視野方向の各映像に歪みを生じることなく、視認性に優れた映像表示が可能となるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例のカメラ装置を示した説明斜視図。
【図2】本発明実施例のカメラ装置を示した説明斜視図。
【図3】本発明実施例のカメラ装置を示した要部斜視図。
【図4】本発明実施例のカメラ装置を示した要部分解斜視図。
【図5】本発明実施例のカメラ装置の内部構造を示す側断面図。
【図6】本発明実施例のカメラ装置の内部構造を示す平断面図。
【図7】本発明の他の実施例のカメラ装置の内部構造を示す平断面図。
【符号の説明】
11…撮像カメラ本体 12…撮像レンズ
13…CCD受像部 14…自動アイリス機構
15…映像制御部 16…鏡筐体
17…取付ねじ 18…前方窓
19…左側窓 20…右側窓
21…筐体 22…左側凸面鏡
23…左側凹面鏡 24…右側凸面鏡
25…右側凹面鏡 26…カバーガラス(レンズ)
27…カバーガラス(レンズ) 28…カバーガラス(レンズ)
29…モニター 30…信号線
31…電源線 32…前方反射ミラー
33…前方反射ミラー 34…死角

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数個の鏡とレンズとの組合せにより複数方向のそれぞれの光景を1台の撮像カメラ本体に入射させると共にモニターによって、上記それぞれの入射光景を分割表示させることを特徴とする分割式広角度撮像カメラ装置。
【請求項2】 複数個の鏡とレンズとの組合せにより複数方向のそれぞれの光景を1台の撮像カメラ本体に入射させると共に1枚のフィルム、テープ等の記録媒体上に上記それぞれの光景を分割表示させることを特徴とする分割式広角度撮像カメラ装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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