分割柱のトラックへの積載、搬送、降ろし方法、及びこれらに使用する車両搭載架台
【課題】住宅地等の狭隘な道路等において、大型柱を積載した車両であっても、搬送等が容易に出来る、分割柱のトラックへの積載、搬送、降ろし方法、及びこれらに使用する車両搭載架台を提供する。
【解決手段】大型電柱を分割して柱上部A、柱中部B、柱下部Cの分割柱を設け、トラックFの荷台に近い柱上部Aを荷台の奥部に積載し、柱中部Bを荷台の中央部に積載し、柱下部Cを荷台の手前に積載し、柱中部Bの前部24を柱中部Bの後部25より高い位置とし、柱上部A及び柱下部Cの各後部23、27を柱上部A及び柱下部Cの各前部22、26より高い位置とし、柱中部Bの前部24を柱上部A及び柱下部Cの各前部22、26より高い位置としてこれらを荷台の前端、後端に配置した前部架台D、後部架台Eに夫々係止して搬送する。
【解決手段】大型電柱を分割して柱上部A、柱中部B、柱下部Cの分割柱を設け、トラックFの荷台に近い柱上部Aを荷台の奥部に積載し、柱中部Bを荷台の中央部に積載し、柱下部Cを荷台の手前に積載し、柱中部Bの前部24を柱中部Bの後部25より高い位置とし、柱上部A及び柱下部Cの各後部23、27を柱上部A及び柱下部Cの各前部22、26より高い位置とし、柱中部Bの前部24を柱上部A及び柱下部Cの各前部22、26より高い位置としてこれらを荷台の前端、後端に配置した前部架台D、後部架台Eに夫々係止して搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、路上等に設置されている送電のための電柱のトラックへの積載等に関するもので、特に、16mクラスの大型電柱を三分割した、いわゆる分割柱(以下、単に『分割柱』と言う。)のトラックへの積載、搬送、降ろし方法、及びこれらに使用する車両搭載架台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
世田谷、杉並等の都心部の住宅地においては、各住宅が夫々接近して建てられていることが多く、これらの住宅地に設けられている道路は、道幅が狭いうえ、大型車が通行できない状況となっていることが多い。一方、住宅地において、住宅が増加すると、家電製品の増加等により電力需要も増大し、高圧線も数回線が必要となる。この様な電力の供給に際しては、電柱が大きな役割を担っている。
【0003】
電柱に設けられた高圧の電力線は、回線毎に隔離が必要であり、また、電力線の他に通信線が架けられている場合があり、通信線は、10数本程度にまで増加している。通信線については、電話線の他、CATVやその他光ケーブルなどが設けられており、これらの各ケーブルも設置される際には、夫々隔離が必要となっている。
【0004】
しかし、前記のような住宅が接近して混み合ったところでは、電力需要に対応するための高圧線の増設や、通信線の増設に対して、電柱を今までの背の低いものから、背の高い大型の電柱に立て替えたり、また、新設する必要があるが、特許文献1のように、前記大型柱をそのまま積載した大型車では、進入及び走行が困難な場合がある。また、進入及び走行が出来ても、積み降しが困難であったり、効率よく出来ない場合がある。この様な状況では、電柱の建設作業に支障を来たし、延いては、電力供給に支障を来たすことになる。
【特許文献1】特開平8−216772号公報
【0005】
また、この様な住宅が接近して混み合ったところでは、住宅から迫出している樹木が邪魔になって、大型柱をそのまま設置することが困難であることが多い。これまで、商店街などにおいて、電柱を二分割し、これを現場で接続して建柱することも行われていたが、これは、道路幅が広く、真っ直ぐな道路であるがアーケード等の障害物が有る場合にこれを回避するためのものであって、狭隘な道路を有する住宅街の電力需要への対応ではなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、この様な状況に鑑みて為されたもので、住宅地等の狭隘な道路等において、大型柱を積載した車両であっても、進入及び搬送が容易に出来、また、積み降ろしが円滑に出来るようにするため、分割柱を使用すること、また、分割柱のトラックへの積載、搬送、降ろし方法、及びこれらに使用する車両搭載架台を提供して前記課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、大型電柱を分割して三本の分割柱を設け、これらの分割柱をトラックの荷台側面の積載口に近いものから、軽量な柱上部、やや軽量な柱中部、重い柱下部の順に夫々略平行に並べて地上又は床上に置き、これらの分割柱を前記トラックの荷台に積載する際、当該トラックの荷台側面の積載口に近い前記柱上部を当該トラックの荷台の長手方向に沿って当該荷台の奥部に積載し、同様に、前記柱中部を荷台の中央部に積載し、前記柱下部を荷台の手前に積載する。
【0008】
さらに、これらの分割柱を前記荷台の前端、後端に配置した前部架台、後部架台に夫々係止し、各分割柱の前後の係止箇所と隣接する分割柱の係止箇所とを異なる高さに配置する分割柱のトラックへの積載、搬送方法とした。
【0009】
請求項2の発明は、前記請求項1に記載のトラックの荷台に積載された分割柱を狭隘な道路に降ろす際、当該荷台に積載されている、柱下部、柱中部、及び柱上部の順番で降ろし、道路の側端縁に沿って、柱下部、柱中部、及び柱上部の順番で略直線状に並べて前記道路上に置く分割柱のトラックからの降ろし方法とした。
【0010】
請求項3の発明は、トラックの荷台に、大型電柱を柱上部、柱中部、柱下部の三つに分割した各分割柱を積載する際に用いる架台において、正面略山型形状の架台を設け、当該架台の頂部に前記柱中部の前部を係止する中央凹部を設け、当該架台の中央凹部の両脇下方に前記柱上部及び柱下部の各前部を係止する左凹部及び右凹部を夫々設けて前部架台を形成し、前記前部架台より高さが低い、正面略山型形状の架台を設け、当該架台の頂部に前記柱中部の後部を係止する中央凹部を設け、当該架台の中央凹部の両脇のやや下方に前記柱上部及び柱下部の各後部を係止する左凹部及び右凹部を夫々設けて後部架台を形成し、この後部架台の中央凹部は前記前部架台の中央凹部より低く、後部架台の左凹部及び右凹部は、前記前部架台の左凹部及び右凹部より高く設ける。
【0011】
前記前部架台を前記トラックの荷台の前部に、前記後部架台を前記トラックの荷台の後部に、これらの前部架台と後部架台を相対向させて設け、前記柱上部の前部を前記前部架台の左右どちらかの凹部に係止し、前記柱上部の後部を前記後部架台の左右どちらかの凹部に係止し、前記柱中部の前部を前記前部架台の中央凹部に係止し、当該柱中部の後部を前記後部架台の中央凹部に係止し、前記柱下部の前部を前記前部架台の左右どちらかの残った凹部に係止し、前記柱下部の後部を前記後部架台の左右どちらかの残った凹部に係止する構成とした分割柱の積載、搬送に使用する車両搭載架台とした。
【0012】
請求項4の発明は、前記後部架台の中央凹部の両側部に挟まれた中央部の上面に一定長の溝を穿ち、前記トラックの荷台の架台への前記柱中部の積載にあたり、前記後部架台の中央凹部に前記柱中部の後部を係止し、当該後部架台の中央凹部の溝内に当該柱中部のフランジ部を嵌め入れて係止する前記請求項3に記載の分割柱の積載、搬送に使用する車両搭載架台とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び3の各発明によれば、大型電柱であっても、これらを三分割して極めてバランスよく、同時にトラックに積載し、搬送するので、安全かつ安心である。しかも、各分割柱が平行して重ならないので、各分割柱の下方にロープを入れ易く、各分割柱の荷締め作業が容易となる。よって、住宅地等の道路が狭隘な箇所であっても、円滑かつ安全に進入及び走行が出来るので作業の効率化が図れる。
【0014】
また、この発明によれば、住宅から迫出している樹木が邪魔になって、大型柱をそのまま設置することが困難であっても、電柱を三分割しているため、まず、樹木の邪魔にならない部分にあたる柱下部と柱中部のみを道路上で接続組立て、これを道路に立てて固定した後、クレーンにより柱上部を吊り上げて、樹木を避けながら柱中部を接続することも出来るので、樹木を伐採することもなく、環境に優しい対応をすることができる。
【0015】
さらに、請求項1の発明によれば、当該分割柱を地面等に並べる場合、軽量な柱上部、やや軽量な柱中部、重い柱下部の順に夫々略平行に並べて置き、前記柱上部の直近に、トラックの荷台側面の積載口が位置するようにし、この直近に位置する柱上部を当該トラックの荷台の奥部に積載し、順に柱中部、柱下部と積載するので効率よく作業が出来、作業時間の短縮に貢献するものである。
【0016】
また、請求項2の発明によれば、トラックからの降ろし作業を極めて円滑に行うことが出来、また、その後の分割柱の建設作業をスムーズに行うことが出来、加えて、不必要に道路を占有することも無く、周辺環境への影響も少ない。
【0017】
請求項4の発明によれば、前記後部架台の中央凹部の両側部に挟まれた中央部の上面に一定長の溝を穿ち、前記トラックの荷台の架台への前記柱中部の積載に際し、前記後部架台の中央凹部に前記柱中部の後部を係止し、当該後部架台の中央凹部の溝内に当該柱中部のフランジ部を嵌め入れて係止することとしたので、柱中部をトラックの荷台に前部を高く、後部を低くして積載しても、極めて安定して確実に後部架台に係止することが出来、電柱を係止する架台として信頼性の高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
大型電柱を分割して三本の分割柱を設け、これらの分割柱をトラックの荷台側面の積載口に近いものから、軽量な柱上部、やや軽量な柱中部、重い柱下部の順に夫々略平行に並べて地上又は床上に置き、これらの分割柱を前記トラックの荷台に積載する際、当該トラックの荷台側面の積載口に近い前記柱上部を当該トラックの荷台の長手方向に沿って当該荷台の奥部に積載し、同様に、前記柱中部を荷台の中央部に積載し、前記柱下部を荷台の手前に積載する。
【0019】
さらに、これらの分割柱を前記荷台の前端、後端に配置した前部架台、後部架台に夫々係止し、各分割柱の前後の係止箇所と隣接する分割柱の係止箇所とを異なる高さに配置する分割柱のトラックへの積載、搬送方法とした。
【0020】
これにより、大型電柱であっても、これらを三分割して極めてバランスよく、同時にトラックに積載し、搬送するので、住宅地等の道路が狭隘な箇所であっても、安全かつ安心、さらに、円滑に進入及び走行が出来るので作業の効率化が図れる。
【実施例1】
【0021】
以下、この発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1は、この発明の実施例の方法によって、分割柱をトラックの荷台に積載している状態の平面図である。図2は、この発明の実施例の方法によって分割柱をトラックに積載し、搬送している状態を示す側面図である。
【0022】
まず、この実施例において使用する大型電柱を説明する。
この大型電柱は、高圧線用のもので最大荷重柱であり、長さが16m、設計荷重が1,500kgf、自重が約2.5tのテーパー状のコンクリート柱である。このコンクリート柱を、前記図1に示すように、ほぼ等分の長さに三分割し、柱上部A、柱中部B、及び柱下部Cから成る分割柱を設ける。
【0023】
柱上部Aは、他の柱中部Bや柱下部Cと比べて外径が小さく、3つの中で最も軽量であり、柱中部Bは、柱下部Cと比べて外径が小さく、前記柱上部Aに次いで軽量であり、柱下部Cは外径が大きく、最も重量を有するものとなっている。これらの柱上部A、柱中部B、及び柱下部Cの各突合せ部の外周には、これらの分割柱の組み立て時に突き合わせてボルトナットを介して接続するフランジ部21を夫々設けている。
【0024】
続いて、トラックFの荷台に、前記分割柱を積載する様子を説明する。前記図1及び2に示すように、トラックFの荷台の前部及び後部には、予め、後述する前部架台Dと後部架台Eを相対向させて設けている。これらの前部架台Dと後部架台Eには、前記各分割柱を係止する3個の凹部を夫々設けている。また、トラックFに積載する前の分割柱を、トラックFの荷台側面の積載口に近いほうから、最も軽量な柱上部A、次に軽量な柱中部B、重い柱下部Cの順に夫々平行に並べて地上に置いている(図1参照)。
【0025】
最初に、別車両から成るクレーンGにより、前記柱上部Aを吊り上げ、この柱上部Aの前部22を前記トラックFの荷台の長手方向に沿って荷台の奥部に位置している前部架台Dの凹部に係止し、同様に、この柱上部Aの後部23を後部架台Eの凹部に係止する。これらの前部架台Dの凹部は後部架台Eの凹部より低くなっており、これにより、柱上部Aの前部22はトラックFの荷台の底面近くに位置しているが、この柱上部Aの後部23は後部架台Eの凹部を通って、荷台の後端の上方へ突出し、当該柱上部Aは前後に傾斜している。
【0026】
また、前記図1及び2に示すように、前記柱中部Bを前記トラックFの荷台の長手方向に沿った中央部、前記柱上部Aの手前の位置に積載する。前記クレーンGによって、前記柱中部Bを吊り上げ、当該柱中部Bの前部24を前記前部架台Dの凹部に係止して当該柱中部Bの前部24を当該トラックFの運転席の上方へ突出させる。さらに、この柱中部Bの後部25を後部架台Eの凹部に係止する。これにより、柱中部Bは、前部が高く、後部が低く、傾斜している。
【0027】
続いて、前記図1及び2に示すように、前記柱下部Cを前記トラックFの荷台の長手方向に沿った手前、前記柱中部Bの手前の位置に積載する。前記クレーンGにより、前記柱下部Cを吊り上げ、この柱下部Cの前部26を前記トラックFの荷台の長手方向に沿って荷台の手前に位置している前部架台Dの凹部に係止し、同様に、この柱下部Cの後部27を後部架台Eの凹部に係止する。
【0028】
この時、柱下部Cの前部26はトラックFの荷台の底面近くに位置しているが、この柱下部Cの後部27は後部架台Eの凹部を通って、荷台の後端の上方へ突出し、当該柱下部Cは前後に傾斜している。
この状態で、各分割柱の前部、後部と、これらの直ぐ下の前部架台Dと後部架台Eにロープを掛けて荷締めする。そして、前記図2に示すように、トラックFを運転し、住宅地等の狭隘な道路であっても、進入、走行し、大型電柱を分割した各分割柱を搬送することが出来る。
【0029】
次に、トラックFに積載された各分割柱を降ろす様子を説明する。図3は、この発明の実施例の方法によってトラックから分割柱を降ろしている状態の平面図である。
【0030】
この図3に示すように、現場に着いた前記トラックFの荷台に積載された各分割柱を降ろすには、クレーンGにより、当該荷台に積載されている、手前から、柱下部C、柱中部B、及び柱上部Aの順番で降ろす。そして、道路の側端縁に沿って、柱下部C、柱中部B、及び柱上部Aの順番で略直線状に並べて道路上に載置する。これにより、これらの各分割柱の接続組み立ての作業をスムーズに行うことが出来、作業時間の短縮になり、また、不必要に道路を占有することも無い
【0031】
なお、分割柱の接続組立ては、道路上に並べた柱下部C、柱中部B、柱上部Aを順番に接続して大型電柱を形成し、これを通常の方法で設置するが、住宅から迫出している樹木が邪魔になって、大型柱をそのまま設置することが困難な場合には、樹木が邪魔にならない部分にあたる柱下部Cと柱中部Bのみを道路上で接続組立て、これを道路に立てて固定した後、クレーンGにより柱上部Aを吊り上げて、樹木を避けながら柱中部Bに接続することも出来るので、樹木を伐採することなく、環境に優しい対応をすることが出来る。
【0032】
続いて、車両搭載用の架台を説明する。架台は、前述のように、前部架台Dと後部架台Eから成る。図4は、この発明の実施例の前部架台をトラックの荷台に設け、その前部架台を当該トラックの後方から見た場合の図である。図5は、同平面図である。図6は、同左側面図である。
【0033】
前部架台Dは、前記図4、5及び6に示すように、チャネル鋼材とアングル鋼材から成り、これらの鋼材によって、基枠1となる平面横長の長方形状の枠体を設け、この基枠1を長手方向に対して直角方向に略三等分し、この略三等分した中央部の、荷台の前側の位置に2本の鋼材を間をあけて立設し、その立設した2本の鋼材の頂部の間に1本の鋼材を水平に設けて中央凹部3を形成する。さらに、これら2本の鋼材を左右の側面から別の鋼材で夫々支持して正面略山型形状の枠体2を設け、前記中央凹部3の両脇下方であって、前記基枠1の、荷台の後側の長辺の位置に、前記中央凹部3とほぼ同じ構成の左凹部4及び右凹部5を夫々設けて前部架台Dを形成している。なお、前記中央凹部3、左凹部4及び右凹部5は、図10のものと、溝10aを除いてほぼ同じ構成である。
【0034】
この様に前部架台Dの左凹部4及び右凹部5の位置は、中央凹部3の位置より、荷台の後側にしているのは、各分割柱を積載した後、当該各分割柱の荷締め作業を行うスペースを確保するためである。また、各凹部3、4、5の近くには、荷締め作業の際に使用するフック6を夫々設けている。これらにより、各分割柱の荷締め作業が、確実かつ容易に行うことが出来る。
【0035】
また、前記中央凹部3、左凹部4及び右凹部5の夫々の下部の両角部には、各分割柱をこれらの凹部3、4、5に係止した際、係止した各分割柱が安定して保持されるように三角形状の補強板7を設けている。
【0036】
図7は、この発明の実施例の後架台をトラックの荷台に設け、その後部架台を当該トラックの後方から見た場合の図である。図8は、同平面図である。図9は、同右側面図である。図10は、この発明の実施例の後部架台の中央凹部の斜視図である。図11は、この発明の実施例の後部架台の中央凹部の溝内に柱中部のフランジ部を係止している状態の概略図である。
【0037】
前記図7、8及び9に示すように、後部架台Eは、前記前部架台Dと同様に、チャネル鋼材とアングル鋼材から成り、これらの鋼材によって、基枠8を、平面横長の長方形状の、荷台の前側の長辺に台形状を設けて形成し、この基枠8を長手方向に対して直角方向に略三頭分し、この略三等分した中央部の、荷台の後側の位置に2本の鋼材を間をあけて立設し、その立設した2本の鋼材の頂部の間に1本の鋼材を水平に設けて中央凹部10を形成する。さらに、これら2本の鋼材を左右の側面から別の鋼材で夫々支持して前記前部架台Dより高さが低い正面略山型形状の枠体9を立設している。また、図10に示すように、前記中央凹部10の両側部に挟まれた中央部の上面に一定長の溝10aを穿っている。
【0038】
また、この中央凹部10の両脇のやや下方であって、前記基枠8の長方形状の後側の長辺の位置に左凹部11及び右凹部12を前記中央凹部10とほぼ同じ要領で夫々設けて後部架台Eを形成している。この様に、中央凹部10、左凹部11及び右凹部12間において、上下の高低差を設けているのは、各分割柱を積載した後、当該各分割柱の荷締め作業を行うスペースを確保するためである。
【0039】
また、各中央凹部10、左凹部11及び右凹部12の近くには、荷締め作業の際に使用するフック6を夫々設けているので、分割柱の荷締め作業が確実かつ容易に行うことが出来る。さらに、この後部架台Eの中央凹部10、左凹部11及び右凹部12の夫々の下部の両角部にも、前記前部架台Dと同様に三角形状の補強板7を設けている。
【0040】
以上の様な前部架台DをトラックFの荷台の前部に、また、後部架台EをトラックFの荷台の後部に夫々相対向させて取り付ける。
【0041】
続いて、前記前部架台D及び後部架台Eに前記分割柱を係止する。
前記柱上部Aの前部22を前部架台Dの左凹部4に、当該柱上部Aの後部23を後部架台Eの左凹部11に夫々係止する。後部架台Eの左凹部11は前部架台Dの左凹部4より高い位置にあるので、柱上部Aは、当該柱上部Aの後部23がトラックFの荷台の後方で持ち上がった状態で積載される。
【0042】
また、前記柱中部Bの前部24を前部架台Dの中央凹部3に、当該柱中部Bの後部25を後部架台Eの中央凹部10に夫々係止する。前部架台Dの中央凹部3は、後部架台Eの中央凹部10より高い位置にあるので、柱中部Bは、当該柱中部Bの前部24がトラックFの荷台の前方で持ち上がった状態で積載される。この時、前述の通り、柱中部B自身は傾斜した状態であり、当該柱中部Bの後部25は前記後部架台Eの中央凹部10に係止され、前記図11に示すように、当該後部架台Eの中央凹部10の溝10a内に当該柱中部Bの後端縁のフランジ部21を嵌め入れて係止している。
【0043】
また、前記柱下部Cの前部26を前部架台Dの右凹部5に、当該柱下部Cの後部27を後部架台Eの右凹部12に夫々係止する。後部架台Eの右凹部12は、前部架台Dの右凹部5より高い位置に有るので、柱下部Cは、当該柱下部Cの後部27がトラックFの荷台の後方で持ち上がった状態で積載される。以上により、前記図1及び2の状態となる。
【0044】
これらの後、前記フック6等を使用して、各架台D及びEに夫々、柱上部A、柱中部B、及び柱下部Cの荷締め作業を行う。以上の様に、トラックFへの積載に際して、略山型形状で3個の凹部を備えた前部架台Dと後部架台Eを使用するので、大型電柱であっても、これらを三分割して同時に、トラックに、バランスよく積載し、搬送することが出来、安心かつ安全である。これにより、住宅地等の道路が狭隘な箇所であっても、円滑かつ安全に搬送出来るので作業の効率化が図れる。
【0045】
加えて、後部架台の中央凹部の溝内に当該柱中部の後端縁のフランジ部を嵌め入れて係止するので、大型電柱の分割柱の柱中部であっても、確実に安定して後部架台に係止することが出来、電柱を係止する架台として信頼性の高いものである。
【0046】
前記実施例では、大型柱として、高圧線用の最大荷重柱、長さが16m、設計荷重が1,500kgf、自重が約2.5tのコンクリート柱を使用しているが、大型柱としては、これに限るものではなく、他のものでももちろん良い。
【0047】
また、前部架台D及び後部架台Eにフック6や補強板7を設けているが、これらは必ずしも必要ではなく、無くても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の実施例の方法によって、分割柱をトラックの荷台に積載している状態の平面図である。
【図2】この発明の実施例の方法によって、分割柱をトラックに積載し、搬送している状態を示す側面図である。
【図3】この発明の実施例の方法によって、トラックから分割柱を降ろしている状態の平面図である。
【図4】この発明の実施例の前部架台をトラックの荷台の前部に設け、その前部架台を当該トラックの後方から見た場合の正面図である。
【図5】この発明の実施例の前部架台をトラックの荷台の前部に設け、その前部架台を当該トラックの後方から見た場合の平面図である。
【図6】この発明の実施例の前部架台をトラックの荷台の前部に設け、その前部架台を当該トラックの後方から見た場合の左側面図である。
【図7】この発明の実施例の後部架台をトラックの荷台の後部に設け、その後部架台を当該トラックの後方から見た場合の正面図である。
【図8】この発明の実施例の後部架台をトラックの荷台の後部に設け、その後部架台を当該トラックの後方から見た場合の平面図である。
【図9】この発明の実施例の後部架台をトラックの荷台の後部に設け、その後部架台を当該トラックの後方から見た場合の右側面図である。
【図10】この発明の実施例の後部架台の中央凹部の斜視図である。
【図11】この発明の実施例の後部架台の中央凹部の溝内に柱中部のフランジ部を係止している状態の概略図である。
【符号の説明】
【0049】
A 柱上部 B 柱中部
C 柱下部 D 前部架台
E 後部架台 F トラック
G クレーン
1 基枠 2 枠体
3 中央凹部 4 左凹部
5 右凹部 6 フック
7 補強板 8 基枠
9 枠体 10 中央凹部
10a 溝 11 左凹部
12 右凹部
21 フランジ部 22 柱上部の前部
23 柱上部の後部 24 柱中部の前部
25 柱中部の後部 26 柱下部の前部
27 柱下部の後部
【技術分野】
【0001】
この発明は、路上等に設置されている送電のための電柱のトラックへの積載等に関するもので、特に、16mクラスの大型電柱を三分割した、いわゆる分割柱(以下、単に『分割柱』と言う。)のトラックへの積載、搬送、降ろし方法、及びこれらに使用する車両搭載架台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
世田谷、杉並等の都心部の住宅地においては、各住宅が夫々接近して建てられていることが多く、これらの住宅地に設けられている道路は、道幅が狭いうえ、大型車が通行できない状況となっていることが多い。一方、住宅地において、住宅が増加すると、家電製品の増加等により電力需要も増大し、高圧線も数回線が必要となる。この様な電力の供給に際しては、電柱が大きな役割を担っている。
【0003】
電柱に設けられた高圧の電力線は、回線毎に隔離が必要であり、また、電力線の他に通信線が架けられている場合があり、通信線は、10数本程度にまで増加している。通信線については、電話線の他、CATVやその他光ケーブルなどが設けられており、これらの各ケーブルも設置される際には、夫々隔離が必要となっている。
【0004】
しかし、前記のような住宅が接近して混み合ったところでは、電力需要に対応するための高圧線の増設や、通信線の増設に対して、電柱を今までの背の低いものから、背の高い大型の電柱に立て替えたり、また、新設する必要があるが、特許文献1のように、前記大型柱をそのまま積載した大型車では、進入及び走行が困難な場合がある。また、進入及び走行が出来ても、積み降しが困難であったり、効率よく出来ない場合がある。この様な状況では、電柱の建設作業に支障を来たし、延いては、電力供給に支障を来たすことになる。
【特許文献1】特開平8−216772号公報
【0005】
また、この様な住宅が接近して混み合ったところでは、住宅から迫出している樹木が邪魔になって、大型柱をそのまま設置することが困難であることが多い。これまで、商店街などにおいて、電柱を二分割し、これを現場で接続して建柱することも行われていたが、これは、道路幅が広く、真っ直ぐな道路であるがアーケード等の障害物が有る場合にこれを回避するためのものであって、狭隘な道路を有する住宅街の電力需要への対応ではなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、この様な状況に鑑みて為されたもので、住宅地等の狭隘な道路等において、大型柱を積載した車両であっても、進入及び搬送が容易に出来、また、積み降ろしが円滑に出来るようにするため、分割柱を使用すること、また、分割柱のトラックへの積載、搬送、降ろし方法、及びこれらに使用する車両搭載架台を提供して前記課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、大型電柱を分割して三本の分割柱を設け、これらの分割柱をトラックの荷台側面の積載口に近いものから、軽量な柱上部、やや軽量な柱中部、重い柱下部の順に夫々略平行に並べて地上又は床上に置き、これらの分割柱を前記トラックの荷台に積載する際、当該トラックの荷台側面の積載口に近い前記柱上部を当該トラックの荷台の長手方向に沿って当該荷台の奥部に積載し、同様に、前記柱中部を荷台の中央部に積載し、前記柱下部を荷台の手前に積載する。
【0008】
さらに、これらの分割柱を前記荷台の前端、後端に配置した前部架台、後部架台に夫々係止し、各分割柱の前後の係止箇所と隣接する分割柱の係止箇所とを異なる高さに配置する分割柱のトラックへの積載、搬送方法とした。
【0009】
請求項2の発明は、前記請求項1に記載のトラックの荷台に積載された分割柱を狭隘な道路に降ろす際、当該荷台に積載されている、柱下部、柱中部、及び柱上部の順番で降ろし、道路の側端縁に沿って、柱下部、柱中部、及び柱上部の順番で略直線状に並べて前記道路上に置く分割柱のトラックからの降ろし方法とした。
【0010】
請求項3の発明は、トラックの荷台に、大型電柱を柱上部、柱中部、柱下部の三つに分割した各分割柱を積載する際に用いる架台において、正面略山型形状の架台を設け、当該架台の頂部に前記柱中部の前部を係止する中央凹部を設け、当該架台の中央凹部の両脇下方に前記柱上部及び柱下部の各前部を係止する左凹部及び右凹部を夫々設けて前部架台を形成し、前記前部架台より高さが低い、正面略山型形状の架台を設け、当該架台の頂部に前記柱中部の後部を係止する中央凹部を設け、当該架台の中央凹部の両脇のやや下方に前記柱上部及び柱下部の各後部を係止する左凹部及び右凹部を夫々設けて後部架台を形成し、この後部架台の中央凹部は前記前部架台の中央凹部より低く、後部架台の左凹部及び右凹部は、前記前部架台の左凹部及び右凹部より高く設ける。
【0011】
前記前部架台を前記トラックの荷台の前部に、前記後部架台を前記トラックの荷台の後部に、これらの前部架台と後部架台を相対向させて設け、前記柱上部の前部を前記前部架台の左右どちらかの凹部に係止し、前記柱上部の後部を前記後部架台の左右どちらかの凹部に係止し、前記柱中部の前部を前記前部架台の中央凹部に係止し、当該柱中部の後部を前記後部架台の中央凹部に係止し、前記柱下部の前部を前記前部架台の左右どちらかの残った凹部に係止し、前記柱下部の後部を前記後部架台の左右どちらかの残った凹部に係止する構成とした分割柱の積載、搬送に使用する車両搭載架台とした。
【0012】
請求項4の発明は、前記後部架台の中央凹部の両側部に挟まれた中央部の上面に一定長の溝を穿ち、前記トラックの荷台の架台への前記柱中部の積載にあたり、前記後部架台の中央凹部に前記柱中部の後部を係止し、当該後部架台の中央凹部の溝内に当該柱中部のフランジ部を嵌め入れて係止する前記請求項3に記載の分割柱の積載、搬送に使用する車両搭載架台とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び3の各発明によれば、大型電柱であっても、これらを三分割して極めてバランスよく、同時にトラックに積載し、搬送するので、安全かつ安心である。しかも、各分割柱が平行して重ならないので、各分割柱の下方にロープを入れ易く、各分割柱の荷締め作業が容易となる。よって、住宅地等の道路が狭隘な箇所であっても、円滑かつ安全に進入及び走行が出来るので作業の効率化が図れる。
【0014】
また、この発明によれば、住宅から迫出している樹木が邪魔になって、大型柱をそのまま設置することが困難であっても、電柱を三分割しているため、まず、樹木の邪魔にならない部分にあたる柱下部と柱中部のみを道路上で接続組立て、これを道路に立てて固定した後、クレーンにより柱上部を吊り上げて、樹木を避けながら柱中部を接続することも出来るので、樹木を伐採することもなく、環境に優しい対応をすることができる。
【0015】
さらに、請求項1の発明によれば、当該分割柱を地面等に並べる場合、軽量な柱上部、やや軽量な柱中部、重い柱下部の順に夫々略平行に並べて置き、前記柱上部の直近に、トラックの荷台側面の積載口が位置するようにし、この直近に位置する柱上部を当該トラックの荷台の奥部に積載し、順に柱中部、柱下部と積載するので効率よく作業が出来、作業時間の短縮に貢献するものである。
【0016】
また、請求項2の発明によれば、トラックからの降ろし作業を極めて円滑に行うことが出来、また、その後の分割柱の建設作業をスムーズに行うことが出来、加えて、不必要に道路を占有することも無く、周辺環境への影響も少ない。
【0017】
請求項4の発明によれば、前記後部架台の中央凹部の両側部に挟まれた中央部の上面に一定長の溝を穿ち、前記トラックの荷台の架台への前記柱中部の積載に際し、前記後部架台の中央凹部に前記柱中部の後部を係止し、当該後部架台の中央凹部の溝内に当該柱中部のフランジ部を嵌め入れて係止することとしたので、柱中部をトラックの荷台に前部を高く、後部を低くして積載しても、極めて安定して確実に後部架台に係止することが出来、電柱を係止する架台として信頼性の高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
大型電柱を分割して三本の分割柱を設け、これらの分割柱をトラックの荷台側面の積載口に近いものから、軽量な柱上部、やや軽量な柱中部、重い柱下部の順に夫々略平行に並べて地上又は床上に置き、これらの分割柱を前記トラックの荷台に積載する際、当該トラックの荷台側面の積載口に近い前記柱上部を当該トラックの荷台の長手方向に沿って当該荷台の奥部に積載し、同様に、前記柱中部を荷台の中央部に積載し、前記柱下部を荷台の手前に積載する。
【0019】
さらに、これらの分割柱を前記荷台の前端、後端に配置した前部架台、後部架台に夫々係止し、各分割柱の前後の係止箇所と隣接する分割柱の係止箇所とを異なる高さに配置する分割柱のトラックへの積載、搬送方法とした。
【0020】
これにより、大型電柱であっても、これらを三分割して極めてバランスよく、同時にトラックに積載し、搬送するので、住宅地等の道路が狭隘な箇所であっても、安全かつ安心、さらに、円滑に進入及び走行が出来るので作業の効率化が図れる。
【実施例1】
【0021】
以下、この発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1は、この発明の実施例の方法によって、分割柱をトラックの荷台に積載している状態の平面図である。図2は、この発明の実施例の方法によって分割柱をトラックに積載し、搬送している状態を示す側面図である。
【0022】
まず、この実施例において使用する大型電柱を説明する。
この大型電柱は、高圧線用のもので最大荷重柱であり、長さが16m、設計荷重が1,500kgf、自重が約2.5tのテーパー状のコンクリート柱である。このコンクリート柱を、前記図1に示すように、ほぼ等分の長さに三分割し、柱上部A、柱中部B、及び柱下部Cから成る分割柱を設ける。
【0023】
柱上部Aは、他の柱中部Bや柱下部Cと比べて外径が小さく、3つの中で最も軽量であり、柱中部Bは、柱下部Cと比べて外径が小さく、前記柱上部Aに次いで軽量であり、柱下部Cは外径が大きく、最も重量を有するものとなっている。これらの柱上部A、柱中部B、及び柱下部Cの各突合せ部の外周には、これらの分割柱の組み立て時に突き合わせてボルトナットを介して接続するフランジ部21を夫々設けている。
【0024】
続いて、トラックFの荷台に、前記分割柱を積載する様子を説明する。前記図1及び2に示すように、トラックFの荷台の前部及び後部には、予め、後述する前部架台Dと後部架台Eを相対向させて設けている。これらの前部架台Dと後部架台Eには、前記各分割柱を係止する3個の凹部を夫々設けている。また、トラックFに積載する前の分割柱を、トラックFの荷台側面の積載口に近いほうから、最も軽量な柱上部A、次に軽量な柱中部B、重い柱下部Cの順に夫々平行に並べて地上に置いている(図1参照)。
【0025】
最初に、別車両から成るクレーンGにより、前記柱上部Aを吊り上げ、この柱上部Aの前部22を前記トラックFの荷台の長手方向に沿って荷台の奥部に位置している前部架台Dの凹部に係止し、同様に、この柱上部Aの後部23を後部架台Eの凹部に係止する。これらの前部架台Dの凹部は後部架台Eの凹部より低くなっており、これにより、柱上部Aの前部22はトラックFの荷台の底面近くに位置しているが、この柱上部Aの後部23は後部架台Eの凹部を通って、荷台の後端の上方へ突出し、当該柱上部Aは前後に傾斜している。
【0026】
また、前記図1及び2に示すように、前記柱中部Bを前記トラックFの荷台の長手方向に沿った中央部、前記柱上部Aの手前の位置に積載する。前記クレーンGによって、前記柱中部Bを吊り上げ、当該柱中部Bの前部24を前記前部架台Dの凹部に係止して当該柱中部Bの前部24を当該トラックFの運転席の上方へ突出させる。さらに、この柱中部Bの後部25を後部架台Eの凹部に係止する。これにより、柱中部Bは、前部が高く、後部が低く、傾斜している。
【0027】
続いて、前記図1及び2に示すように、前記柱下部Cを前記トラックFの荷台の長手方向に沿った手前、前記柱中部Bの手前の位置に積載する。前記クレーンGにより、前記柱下部Cを吊り上げ、この柱下部Cの前部26を前記トラックFの荷台の長手方向に沿って荷台の手前に位置している前部架台Dの凹部に係止し、同様に、この柱下部Cの後部27を後部架台Eの凹部に係止する。
【0028】
この時、柱下部Cの前部26はトラックFの荷台の底面近くに位置しているが、この柱下部Cの後部27は後部架台Eの凹部を通って、荷台の後端の上方へ突出し、当該柱下部Cは前後に傾斜している。
この状態で、各分割柱の前部、後部と、これらの直ぐ下の前部架台Dと後部架台Eにロープを掛けて荷締めする。そして、前記図2に示すように、トラックFを運転し、住宅地等の狭隘な道路であっても、進入、走行し、大型電柱を分割した各分割柱を搬送することが出来る。
【0029】
次に、トラックFに積載された各分割柱を降ろす様子を説明する。図3は、この発明の実施例の方法によってトラックから分割柱を降ろしている状態の平面図である。
【0030】
この図3に示すように、現場に着いた前記トラックFの荷台に積載された各分割柱を降ろすには、クレーンGにより、当該荷台に積載されている、手前から、柱下部C、柱中部B、及び柱上部Aの順番で降ろす。そして、道路の側端縁に沿って、柱下部C、柱中部B、及び柱上部Aの順番で略直線状に並べて道路上に載置する。これにより、これらの各分割柱の接続組み立ての作業をスムーズに行うことが出来、作業時間の短縮になり、また、不必要に道路を占有することも無い
【0031】
なお、分割柱の接続組立ては、道路上に並べた柱下部C、柱中部B、柱上部Aを順番に接続して大型電柱を形成し、これを通常の方法で設置するが、住宅から迫出している樹木が邪魔になって、大型柱をそのまま設置することが困難な場合には、樹木が邪魔にならない部分にあたる柱下部Cと柱中部Bのみを道路上で接続組立て、これを道路に立てて固定した後、クレーンGにより柱上部Aを吊り上げて、樹木を避けながら柱中部Bに接続することも出来るので、樹木を伐採することなく、環境に優しい対応をすることが出来る。
【0032】
続いて、車両搭載用の架台を説明する。架台は、前述のように、前部架台Dと後部架台Eから成る。図4は、この発明の実施例の前部架台をトラックの荷台に設け、その前部架台を当該トラックの後方から見た場合の図である。図5は、同平面図である。図6は、同左側面図である。
【0033】
前部架台Dは、前記図4、5及び6に示すように、チャネル鋼材とアングル鋼材から成り、これらの鋼材によって、基枠1となる平面横長の長方形状の枠体を設け、この基枠1を長手方向に対して直角方向に略三等分し、この略三等分した中央部の、荷台の前側の位置に2本の鋼材を間をあけて立設し、その立設した2本の鋼材の頂部の間に1本の鋼材を水平に設けて中央凹部3を形成する。さらに、これら2本の鋼材を左右の側面から別の鋼材で夫々支持して正面略山型形状の枠体2を設け、前記中央凹部3の両脇下方であって、前記基枠1の、荷台の後側の長辺の位置に、前記中央凹部3とほぼ同じ構成の左凹部4及び右凹部5を夫々設けて前部架台Dを形成している。なお、前記中央凹部3、左凹部4及び右凹部5は、図10のものと、溝10aを除いてほぼ同じ構成である。
【0034】
この様に前部架台Dの左凹部4及び右凹部5の位置は、中央凹部3の位置より、荷台の後側にしているのは、各分割柱を積載した後、当該各分割柱の荷締め作業を行うスペースを確保するためである。また、各凹部3、4、5の近くには、荷締め作業の際に使用するフック6を夫々設けている。これらにより、各分割柱の荷締め作業が、確実かつ容易に行うことが出来る。
【0035】
また、前記中央凹部3、左凹部4及び右凹部5の夫々の下部の両角部には、各分割柱をこれらの凹部3、4、5に係止した際、係止した各分割柱が安定して保持されるように三角形状の補強板7を設けている。
【0036】
図7は、この発明の実施例の後架台をトラックの荷台に設け、その後部架台を当該トラックの後方から見た場合の図である。図8は、同平面図である。図9は、同右側面図である。図10は、この発明の実施例の後部架台の中央凹部の斜視図である。図11は、この発明の実施例の後部架台の中央凹部の溝内に柱中部のフランジ部を係止している状態の概略図である。
【0037】
前記図7、8及び9に示すように、後部架台Eは、前記前部架台Dと同様に、チャネル鋼材とアングル鋼材から成り、これらの鋼材によって、基枠8を、平面横長の長方形状の、荷台の前側の長辺に台形状を設けて形成し、この基枠8を長手方向に対して直角方向に略三頭分し、この略三等分した中央部の、荷台の後側の位置に2本の鋼材を間をあけて立設し、その立設した2本の鋼材の頂部の間に1本の鋼材を水平に設けて中央凹部10を形成する。さらに、これら2本の鋼材を左右の側面から別の鋼材で夫々支持して前記前部架台Dより高さが低い正面略山型形状の枠体9を立設している。また、図10に示すように、前記中央凹部10の両側部に挟まれた中央部の上面に一定長の溝10aを穿っている。
【0038】
また、この中央凹部10の両脇のやや下方であって、前記基枠8の長方形状の後側の長辺の位置に左凹部11及び右凹部12を前記中央凹部10とほぼ同じ要領で夫々設けて後部架台Eを形成している。この様に、中央凹部10、左凹部11及び右凹部12間において、上下の高低差を設けているのは、各分割柱を積載した後、当該各分割柱の荷締め作業を行うスペースを確保するためである。
【0039】
また、各中央凹部10、左凹部11及び右凹部12の近くには、荷締め作業の際に使用するフック6を夫々設けているので、分割柱の荷締め作業が確実かつ容易に行うことが出来る。さらに、この後部架台Eの中央凹部10、左凹部11及び右凹部12の夫々の下部の両角部にも、前記前部架台Dと同様に三角形状の補強板7を設けている。
【0040】
以上の様な前部架台DをトラックFの荷台の前部に、また、後部架台EをトラックFの荷台の後部に夫々相対向させて取り付ける。
【0041】
続いて、前記前部架台D及び後部架台Eに前記分割柱を係止する。
前記柱上部Aの前部22を前部架台Dの左凹部4に、当該柱上部Aの後部23を後部架台Eの左凹部11に夫々係止する。後部架台Eの左凹部11は前部架台Dの左凹部4より高い位置にあるので、柱上部Aは、当該柱上部Aの後部23がトラックFの荷台の後方で持ち上がった状態で積載される。
【0042】
また、前記柱中部Bの前部24を前部架台Dの中央凹部3に、当該柱中部Bの後部25を後部架台Eの中央凹部10に夫々係止する。前部架台Dの中央凹部3は、後部架台Eの中央凹部10より高い位置にあるので、柱中部Bは、当該柱中部Bの前部24がトラックFの荷台の前方で持ち上がった状態で積載される。この時、前述の通り、柱中部B自身は傾斜した状態であり、当該柱中部Bの後部25は前記後部架台Eの中央凹部10に係止され、前記図11に示すように、当該後部架台Eの中央凹部10の溝10a内に当該柱中部Bの後端縁のフランジ部21を嵌め入れて係止している。
【0043】
また、前記柱下部Cの前部26を前部架台Dの右凹部5に、当該柱下部Cの後部27を後部架台Eの右凹部12に夫々係止する。後部架台Eの右凹部12は、前部架台Dの右凹部5より高い位置に有るので、柱下部Cは、当該柱下部Cの後部27がトラックFの荷台の後方で持ち上がった状態で積載される。以上により、前記図1及び2の状態となる。
【0044】
これらの後、前記フック6等を使用して、各架台D及びEに夫々、柱上部A、柱中部B、及び柱下部Cの荷締め作業を行う。以上の様に、トラックFへの積載に際して、略山型形状で3個の凹部を備えた前部架台Dと後部架台Eを使用するので、大型電柱であっても、これらを三分割して同時に、トラックに、バランスよく積載し、搬送することが出来、安心かつ安全である。これにより、住宅地等の道路が狭隘な箇所であっても、円滑かつ安全に搬送出来るので作業の効率化が図れる。
【0045】
加えて、後部架台の中央凹部の溝内に当該柱中部の後端縁のフランジ部を嵌め入れて係止するので、大型電柱の分割柱の柱中部であっても、確実に安定して後部架台に係止することが出来、電柱を係止する架台として信頼性の高いものである。
【0046】
前記実施例では、大型柱として、高圧線用の最大荷重柱、長さが16m、設計荷重が1,500kgf、自重が約2.5tのコンクリート柱を使用しているが、大型柱としては、これに限るものではなく、他のものでももちろん良い。
【0047】
また、前部架台D及び後部架台Eにフック6や補強板7を設けているが、これらは必ずしも必要ではなく、無くても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の実施例の方法によって、分割柱をトラックの荷台に積載している状態の平面図である。
【図2】この発明の実施例の方法によって、分割柱をトラックに積載し、搬送している状態を示す側面図である。
【図3】この発明の実施例の方法によって、トラックから分割柱を降ろしている状態の平面図である。
【図4】この発明の実施例の前部架台をトラックの荷台の前部に設け、その前部架台を当該トラックの後方から見た場合の正面図である。
【図5】この発明の実施例の前部架台をトラックの荷台の前部に設け、その前部架台を当該トラックの後方から見た場合の平面図である。
【図6】この発明の実施例の前部架台をトラックの荷台の前部に設け、その前部架台を当該トラックの後方から見た場合の左側面図である。
【図7】この発明の実施例の後部架台をトラックの荷台の後部に設け、その後部架台を当該トラックの後方から見た場合の正面図である。
【図8】この発明の実施例の後部架台をトラックの荷台の後部に設け、その後部架台を当該トラックの後方から見た場合の平面図である。
【図9】この発明の実施例の後部架台をトラックの荷台の後部に設け、その後部架台を当該トラックの後方から見た場合の右側面図である。
【図10】この発明の実施例の後部架台の中央凹部の斜視図である。
【図11】この発明の実施例の後部架台の中央凹部の溝内に柱中部のフランジ部を係止している状態の概略図である。
【符号の説明】
【0049】
A 柱上部 B 柱中部
C 柱下部 D 前部架台
E 後部架台 F トラック
G クレーン
1 基枠 2 枠体
3 中央凹部 4 左凹部
5 右凹部 6 フック
7 補強板 8 基枠
9 枠体 10 中央凹部
10a 溝 11 左凹部
12 右凹部
21 フランジ部 22 柱上部の前部
23 柱上部の後部 24 柱中部の前部
25 柱中部の後部 26 柱下部の前部
27 柱下部の後部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型電柱を分割して三本の分割柱を設け、
これらの分割柱をトラックの荷台側面の積載口に近いものから、軽量な柱上部、やや軽量な柱中部、重い柱下部の順に夫々略平行に並べて地上又は床上に置き、
これらの分割柱を前記トラックの荷台に積載する際、当該トラックの荷台側面の積載口に近い前記柱上部を当該トラックの荷台の長手方向に沿って当該荷台の奥部に積載し、同様に、前記柱中部を荷台の中央部に積載し、前記柱下部を荷台の手前に積載し、
さらに、これらの分割柱を前記荷台の前端、後端に配置した前部架台、後部架台に夫々係止し、各分割柱の前後の係止箇所と隣接する分割柱の係止箇所とを異なる高さに配置することを特徴とした、分割柱のトラックへの積載、搬送方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載のトラックの荷台に積載された分割柱を狭隘な道路に降ろす際、当該荷台に積載されている、柱下部、柱中部、及び柱上部の順番で降ろし、道路の側端縁に沿って、柱下部、柱中部、及び柱上部の順番で略直線状に並べて前記道路上に置くことを特徴とする、分割柱のトラックからの降ろし方法。
【請求項3】
トラックの荷台に、大型電柱を柱上部、柱中部、柱下部の三つに分割した各分割柱を積載する際に用いる架台において、
正面略山型形状の架台を設け、当該架台の頂部に前記柱中部の前部を係止する中央凹部を設け、当該架台の中央凹部の両脇下方に前記柱上部及び柱下部の各前部を係止する左凹部及び右凹部を夫々設けて前部架台を形成し、
前記前部架台より高さが低い、正面略山型形状の架台を設け、当該架台の頂部に前記柱中部の後部を係止する中央凹部を設け、当該架台の中央凹部の両脇のやや下方に前記柱上部及び柱下部の各後部を係止する左凹部及び右凹部を夫々設けて後部架台を形成し、この後部架台の中央凹部は前記前部架台の中央凹部より低く、後部架台の左凹部及び右凹部は、前記前部架台の左凹部及び右凹部より高く設け、
前記前部架台を前記トラックの荷台の前部に、前記後部架台を前記トラックの荷台の後部に、これらの前部架台と後部架台を相対向させて設け、
前記柱上部の前部を前記前部架台の左右どちらかの凹部に係止し、前記柱上部の後部を前記後部架台の左右どちらかの凹部に係止し、前記柱中部の前部を前記前部架台の中央凹部に係止し、当該柱中部の後部を前記後部架台の中央凹部に係止し、前記柱下部の前部を前記前部架台の左右どちらかの残った凹部に係止し、前記柱下部の後部を前記後部架台の左右どちらかの残った凹部に係止する構成としたことを特徴とした、分割柱の積載、搬送に使用する車両搭載架台。
【請求項4】
前記後部架台の中央凹部の両側部に挟まれた中央部の上面に一定長の溝を穿ち、
前記トラックの荷台の架台への前記柱中部の積載にあたり、前記後部架台の中央凹部に前記柱中部の後部を係止し、当該後部架台の中央凹部の溝内に当該柱中部のフランジ部を嵌め入れて係止することを特徴とした、前記請求項3に記載の分割柱の積載、搬送に使用する車両搭載架台。
【請求項1】
大型電柱を分割して三本の分割柱を設け、
これらの分割柱をトラックの荷台側面の積載口に近いものから、軽量な柱上部、やや軽量な柱中部、重い柱下部の順に夫々略平行に並べて地上又は床上に置き、
これらの分割柱を前記トラックの荷台に積載する際、当該トラックの荷台側面の積載口に近い前記柱上部を当該トラックの荷台の長手方向に沿って当該荷台の奥部に積載し、同様に、前記柱中部を荷台の中央部に積載し、前記柱下部を荷台の手前に積載し、
さらに、これらの分割柱を前記荷台の前端、後端に配置した前部架台、後部架台に夫々係止し、各分割柱の前後の係止箇所と隣接する分割柱の係止箇所とを異なる高さに配置することを特徴とした、分割柱のトラックへの積載、搬送方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載のトラックの荷台に積載された分割柱を狭隘な道路に降ろす際、当該荷台に積載されている、柱下部、柱中部、及び柱上部の順番で降ろし、道路の側端縁に沿って、柱下部、柱中部、及び柱上部の順番で略直線状に並べて前記道路上に置くことを特徴とする、分割柱のトラックからの降ろし方法。
【請求項3】
トラックの荷台に、大型電柱を柱上部、柱中部、柱下部の三つに分割した各分割柱を積載する際に用いる架台において、
正面略山型形状の架台を設け、当該架台の頂部に前記柱中部の前部を係止する中央凹部を設け、当該架台の中央凹部の両脇下方に前記柱上部及び柱下部の各前部を係止する左凹部及び右凹部を夫々設けて前部架台を形成し、
前記前部架台より高さが低い、正面略山型形状の架台を設け、当該架台の頂部に前記柱中部の後部を係止する中央凹部を設け、当該架台の中央凹部の両脇のやや下方に前記柱上部及び柱下部の各後部を係止する左凹部及び右凹部を夫々設けて後部架台を形成し、この後部架台の中央凹部は前記前部架台の中央凹部より低く、後部架台の左凹部及び右凹部は、前記前部架台の左凹部及び右凹部より高く設け、
前記前部架台を前記トラックの荷台の前部に、前記後部架台を前記トラックの荷台の後部に、これらの前部架台と後部架台を相対向させて設け、
前記柱上部の前部を前記前部架台の左右どちらかの凹部に係止し、前記柱上部の後部を前記後部架台の左右どちらかの凹部に係止し、前記柱中部の前部を前記前部架台の中央凹部に係止し、当該柱中部の後部を前記後部架台の中央凹部に係止し、前記柱下部の前部を前記前部架台の左右どちらかの残った凹部に係止し、前記柱下部の後部を前記後部架台の左右どちらかの残った凹部に係止する構成としたことを特徴とした、分割柱の積載、搬送に使用する車両搭載架台。
【請求項4】
前記後部架台の中央凹部の両側部に挟まれた中央部の上面に一定長の溝を穿ち、
前記トラックの荷台の架台への前記柱中部の積載にあたり、前記後部架台の中央凹部に前記柱中部の後部を係止し、当該後部架台の中央凹部の溝内に当該柱中部のフランジ部を嵌め入れて係止することを特徴とした、前記請求項3に記載の分割柱の積載、搬送に使用する車両搭載架台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−132175(P2009−132175A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307679(P2007−307679)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(000139702)株式会社安田製作所 (16)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(000139702)株式会社安田製作所 (16)
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