説明

分子を分離するための組成物

本発明は、修飾固形支持体の使用により、金属、または、ポリペプチド、核酸、もしくはエンドトキシンなどの生体分子を分離するための組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連する出願の参照
この出願は、2002年10月18日出願の、米国仮出願60/419,614号の利益を要求する。
発明の背景
本発明は、概して、金属イオン、または、(限定をするものではなく)ポリペプチド、核酸、およびエンドトキシンなどの他の標的物質の、非標的物質からの分離に有効な組成物に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
発明の要約
1つの態様によれば、本発明は、以下を含有する組成物を提供し、
【化1】

ここで、式中、R1は、

であり;
X は、置換(substituted)もしくは非置換(unsubstituted)アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、および水素原子から選択され;
Mは金属イオンであり;そして、
nは1以上の整数である。
本明細書において参照するすべての刊行物、特許、および特許出願は、その全体が本明細書に含まれるものとする。本明細書における開示と、援用する文献が抵触する場合は、本明細書における開示が優先する。本明細書に示す数値範囲には下の値から上の値までのすべての値が含まれ、また、その範囲における開示は、その範囲に含まれるすべての数値および範囲の具体的な開示であることの理解を要する。
本発明の、これらおよびその他の態様は、以下の図面および詳細な説明の参照によってさらに理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
発明の詳細な説明
本発明の組成物は、修飾固形支持体(modified solid supports)を含む。便宜上、本発明の組成物は、標的物質を非標的物質から分離するために使用するキットとして提供され得る。
本発明の組成物は、ニトリロ三酢酸(NTA)修飾固形支持体および金属修飾固形支持体を含む。本発明の修飾固形支持体の作製に適した固形支持体として、ゲルまたは硬質の支持体物質、アガロース、ポリアクリルアミド、セルロース、プラスチック、ポリサッカライド、ナイロン、ポリスチレン、ラテックスメタクリラート、シリカ、酸化アルミニウム、電極、メンブレン、およびこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
適切なシリカ固形支持体として、酸化ケイ素、磁性シリカ粒子、ガラスもしくは珪藻土などの固体シリカ、またはシリカ物質の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Kurt-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, Vol. 21, 4th ed., Mary Howe-Grant, ed., John Wiley & Sons, pub., 1997, p.1021 のシリカの調製に関する記載を参照のこと)。後述の実施例において説明するように、適切なシリカゲルは、Silicycle (カナダ、ケベック市)、J.T. Baker(ニュージャージ州フィリップスバーグ)、およびSigma-Aldrich(ミズーリ州セントルイス)などの供給業者から商業的に入手可能である。本発明の組成物および方法に適したシリカゲルについては、後述の実施例においてさらに詳しく説明する。他の適切なシリカ支持体として、結晶またはガラス(vitreous)シリカ、例えば、石英、石英ガラス(vitreous silica)、多孔質ガラス粒子、およびガラス繊維などが挙げられる。
【0004】
シリカゲルは、細孔径、粒径、または比表面積によって特徴づけられる。適切なシリカゲルは、細孔径が約30から約1000オングストローム、粒径が約2から約300μm、および比表面積が約50m2/gから約1000m2/gである。適切なシリカゲルとしては、例えば、細孔径が約40オングストローム、約60オングストローム、および約150オングストロームであるもの;粒径が約2から約25μm、約5から約25μm、約15μm、約63から約200μm、および約75から約200μmであるもの;並びに、比表面積が約300m2/g、約500m2/g、約550m2/g、約675m2/g、および約750m2/gであるものが挙げられる。
便宜上、本発明の固形支持体は磁性シリカ粒子を含み得る。磁性シリカ粒子は、含水の酸化ケイ素吸着性の表面(即ち、シラノール(Si-OH)基を有する表面)でコートされた超常磁性の核を有する。適切な、商業的に入手可能な磁性シリカ粒子として、Promega Corporation(ウィスコンシン州マディソン)から入手可能なMagneSil(登録商標)粒子が挙げられる。本発明における支持体としての使用に適した磁性シリカ粒子の調製については、米国特許第6,296,937号に説明されている。
適切なセルロース支持体として、ニトロセルロースおよび酢酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。
適切なメンブレンとして、シリカを含浸させたガラス繊維膜が挙げられるが、これに限定されない。
適切な酸化アルミニウム固形支持体として、約150メッシュおよび58オングストロームのBrockmann酸化アルミニウムが挙げられるが、これに限定されない。
【0005】
本明細書において説明するように、固形支持体は少なくとも1つの遊離ヒドロキシル基を含み、そのため、固形支持体にアミノシラン化合物が接触すると、少なくとも1つのシラノール結合によってアミノシラン化合物のケイ素原子が固形支持体に共有結合し、アミン修飾固形支持体を形成する。
アミノシラン化合物はUnited Chemical Technologies, Inc.(ペンシルバニア州ブリストル)などの供給業者から商業的に入手可能である。適切なアミノシラン化合物は以下の一般式を持ち、

式中、X は、20個までの炭素原子を持つ、飽和、不飽和、分岐鎖、直鎖、もしくは環状アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ノニレン)、20個までの炭素原子を持つアラルキレン基(アルキル部分は飽和、不飽和、分岐鎖、直鎖、もしくは環状であり得る)、または、20個までの炭素原子を持つアリーレン基であり、また、X は置換されていなくても、後述の炭化水素基に関する定義のように置換されていてもよく;
R1は炭化水素基、または置換炭化水素基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、他のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基、または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;そして、
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子である。
【0006】
本明細書で使用する”炭化水素基(hydrocarbon moiety)”という言葉は、20個までの炭素原子を持つ、飽和、不飽和、分岐鎖、直鎖、もしくは環状アルキル基(即ちアルカン、アルケン、またはアルキン);20個までの炭素原子を持つアラルキル基(アルキル部分は飽和、不飽和、分岐鎖、直鎖、もしくは環状であり得る);または、20個までの炭素原子を持つアリール基を意味する。好ましくは、炭化水素基は、2個から15個、または5個から10個の炭素原子を含む。”置換炭化水素基(substituted hydrocarbon moiety)”という言葉は、本明細書において定義した炭化水素基であって、少なくとも1つの炭素原子が、酸素、硫黄、または窒素原子と置換されているものを意味する。置換基は、例えば、オキソ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、エステル基、チオエーテル基、アミノ基、アルキルアミン基、またはカルバモイル基であり得る。
本発明の実施に有用な適切なアミノシラン化合物の例として、アミノプロピルシラン、プロピルエチレンジアミンシラン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、および N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0007】
本明細書において説明するNTA修飾固形支持体は、遊離NH2基を持つ固形支持体を接触させて、ニトリロ三酢酸と支持体のアミン基の間にアミド結合を形成させることにより生産し得る。ニトリロ三酢酸は、多価金属イオンと安定な複合体を形成する能力を持つキレート剤として作用する。
修飾が可能であるアミン基を有するか、または、修飾可能なアミン基を含むようにできるのであれば、どのような固形支持体を使用してもよい。NTA修飾固形支持体の生産の使用に適した固形支持体は、複数の遊離NH2基をもつ。当業者は、固形支持体の表面を化学的に修飾することによって固形支持体に遊離アミン官能性を付与することができる。例えば、Greg T. Hermason, A. Krishna Mallia, Paul K. Smith, Immobilized Affinity Legand Techniques, Academic Press (1992)を参照のこと。加えて、NTAに結合して本発明のNTA修飾固形支持体を形成することが可能な、遊離NH2基を持つ適切な固形支持体は、商業的に入手可能である。これらの例として、Sigma-Aldrich Inc.(ミズーリ州セントルイス)より販売のアガロースベース支持体;International Dynamics Corporation(フロリダ州ロングウッド)より販売のラテックスベース支持体;Bangs Laboratories Inc.(インディアナ州フィッシャーズ)、Spherotech(イリノイ州リバティービル); およびDynal Biotech(ニューヨーク州レイクサクセス)より販売のポリスチレンベース支持体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0008】
別の態様によれば、本発明は金属修飾固形支持体を提供する。本明細書において説明する金属修飾固形支持体は、上述のNTA修飾固形支持体を金属イオン溶液と接触させて金属修飾固形支持体を形成させることにより生産し得る。金属イオン溶液は、金属イオン塩(塩は、クロリド、スルファート、ホスファート、アセタート、カルボナート、シトラート、アセチルアセトナート、ブロミド、フルオリド、ヨージド、ニトラート、およびオキサラートの塩が挙げられるが、これらに限定されない)を含有し得る。金属濃度は、約10-6M未満から約1Mであり得る。典型的には、溶液の金属イオン濃度は約0.1Mから約1Mの範囲内にあり得る。金属イオン溶液は、ただ1つの金属イオン、または様々な金属の混合物から構成され得ると考えられる。好ましくは、金属イオンとNTA修飾固形支持体の間に四座配位錯体が形成され得る。例えば、Inorganic Chemistry (1974), 13(3), 550-9 の New multidentate ligands. XV. Chelating tendencies of diglycine-N,N-diacetic acid, triglycine-N,N-diacetic acid, and tetraglycine-N,N-diacetic acid を参照のこと。
”金属イオン”とは、酸化状態が+1から+6であるあらゆる金属を意味する。好ましくは、金属は、ニッケル、銅、コバルト、鉄、亜鉛、またはガリウムであり得る。加えて、以下の金属イオン:鉄(III)、銅(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、亜鉛(II)、セリウム(III)、マグネシウム(II)、カルシウム(II)、ガリウム(III)、クロム(III)、インジウム(III)、ランタン(III)、ルテチウム(III)、スカンジウム(III)、タリウム(III)、イッテルビウム(III)、トリウム(IV)、ウラナート(II)、銀(I)、金(I)、および銅(I)、が本発明に適していると考えられる。当業者は、分離しようとする物質に応じて、適切な金属を選択し得る。さらに、結合した金属イオンを、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤を使用して金属修飾支持体から引き離し、NTA固形支持体を再生させることができると考えられる。
【0009】
当業者に理解されるように、NTA修飾固形支持体および金属修飾固形支持体は、本明細書において説明するように様々な用途に使用し得る。
NTA修飾固形支持体は、米国特許第6,428,807号に説明されるように、金属キレーティングアプローチの使用によってキレート形成免疫刺激複合体の調製に使用し得る。
さらに、NTA修飾支持体は、飲料水、環境、または、金属暴露によって引き起こされた病気をもつ個人の血液、から有毒金属を除去するのに使用し得ると考えられる。例えば、NTA修飾固形体は、アルミニウム、ヒ素、ビスマス、アンチモン、過剰なカルシウム、過剰な鉄、金、亜鉛、マグネシウム、水銀、カドミウム、鉛、銅、および銀などの、有害または有毒であり得る金属を、工業廃水および生活用水から除去および/または回収するのに使用し得る。
さらに、本発明のNTA修飾固形支持体は、液体からの金属の抽出、不活性化、または除去が望まれる数々の他の用途、例えば、血漿からカルシウムを取り除いて、血漿を血清に変換させる、または研究施設において、こぼれた放射性金属イオンを拭き取るなどにも有用であり得る。NTA修飾支持体は、鉛または水銀中毒の個人から毒素金属を除去するにも使用し得る。
特定の金属イオンの不足または枯渇が、健康状態に影響を及ぼすとの報告がある。従って、本発明のNTA修飾固形支持体は、病態または疾病素因を示す金属と関係する分子の検出、抽出の診断手段として使用し得る。
【0010】
金属修飾固形支持体を使用して、はじめの溶液の非標的物質から標的物質(例えば、ポリペプチドまたは核酸)を分離し得ると考えられる。金属修飾固形支持体は単独で使用してもよいし、アミン修飾固形支持体などを使用した他の精製方法と併せて使用してもよい。
金属修飾固形支持体は、はじめの溶液の非標的物質から、ヒスチジンタグを付したポリペプチドを分離するのに利用し得る。また、金属修飾固形支持体ははじめの溶液からエンドトキシンを除去するのに使用し得る。好ましくは、エンドトキシンという言葉は、大腸菌、サルモネラ菌、シゲラ、緑膿菌、ナイセリア、ヘモフィルス、または、エンドトキシンを生成する他のあらゆる病原菌などのグラム陰性菌の外膜に存在するリポ多糖複合体を意味する。
金属修飾固形支持体は、量の少ないタンパク質の同定、すなわち膜タンパク質およびリン酸化タンパク質の同定にも使用できる。金属修飾固形支持体は、ポリペプチド-ポリペプチド間相互作用の同定および定量においても使用し得、その適切な検出可能な分子部位(moiety)または標識物質の一般的なクラスとして、検出または定量する標的物質のどこかに一般的に結合し得る、または標的物質の端(即ち、ペプチドのN末端、C末端、またはその両方)に特異的に結合し得る色素、蛍光色素、ナノ粒子などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
また、金属修飾固形支持体は、ポリペプチド-ポリペプチド複合体の単離;ポリペプチド機能のスクリーニング;抗体、抗原、および抗体-抗原複合体の単離;アフィニティータグ付きポリペプチドの定量;疾患の診断スクリーニング;抗体のスクリーニング;薬剤の作用薬または拮抗薬のスクリーニング;レポーター遺伝子アッセイ;ポリペプチド発現ライブラリーの作製;細胞からのポリペプチドライブラリーの作製;ポリペプチドマイクロアレイの作製;遺伝子組換え酵素のスクリーニング;または相互作用分子(即ち補助因子)の単離(co-isolating)にも使用し得る。
本発明の金属修飾固形支持体は、ポリペプチド-ポリペプチド間相互作用の研究に有用となる。金属修飾固形支持体は、溶液のエンドトキシン濃度の低減に使用し得る。金属修飾固形支持体は、はじめの溶液からリン酸化タンパク質を分離するのに使用し得る。
金属修飾固形支持体は、組織プロファイリングおよび細胞プロファイリングなどの多くの用途に活用できるが、これらに限定されない。
以下に続く実施例は、本発明の実施方法を説明する。本発明の技術分野の当業者は、本発明の詳細な説明は例示を意図するものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでないと理解する。
【実施例】
【0012】
実施例1
金属修飾 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]-アミノ]プロピルシリカ磁性粒子の調製
a) 3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子の調製
3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子は以下のように調製した。3-アミノプロピルトリメトキシシラン50mlを、撹拌されたメタノール溶液(900mL)に加え、次いで水(50mL)を加えた。混合物を、100gの磁性シリカ粒子(MP-50, W.R. Grace、メリーランド州コロンビア)に加えた。粒子は断続的に撹拌しながら、室温で4時間、懸濁状態においた。メタノール/シラン/水の残留液を取り除き、支持体粒子を1.2Lの水で3回洗い、そして1Lのメタノールに再懸濁した。3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子をろ過により集め、真空乾燥した。元素分析の結果、3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子の組成は、C:0.75、H:0.64、N:0.30であった。
b) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子の調製
3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子は、上述の通りに調製した3-アミノプロピル修飾磁性シリカ粒子(100g)を、まずN,N−ジメチルアセトアミド(600mL)に懸濁し、トリエチルアミン(31mL、210mmol)を加え、そして十分に混合することにより作製した。200mmolの 2,6-ジケト-N-カルボキシメチル-モルホリン(米国特許第3,621,018号に従って調製)を含有する400mlのN,N−ジメチルアセトアミドを加え、得られた混合物を室温で4時間、懸濁状態においた。未反応のN,N−ジメチルアセトアミド/無水物/トリエチルアミンの溶液を取り除き、粒子を1.2Lの水で3回洗った。元素分析の結果、3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピル修飾磁性シリカ粒子の組成は、C:1.06、H:0.61、N:0.17であった。
c)ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子の調製
ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子は、上述の通りに調製した 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子(100g)を、250mMの塩化ニッケル(II)溶液(1 L)に室温で4時間、懸濁することにより調製した。余分のニッケル溶液を取り除き、得られた固形支持体を水で5回洗った。
【0013】
上の実施例1(a)-(c)で説明したものと類似する修飾粒子を、W.R. Graceの磁性シリカ粒子とは別の、出発材料の粒子を使用して調製した。工程(a)-(c)で使用した別のシリカゲルは:Sigma-Aldrich Corp(ミズーリ州セントルイス)(23,681-0、23,682-9、および23,684-5);Silicyle Inc.(カナダ、ケベック)(S10030M、10040M、100300T、S10040T、およびR10030M);またはJ.T. Baker(ニュージャージー州フィリップスバーグ)(7314-02および7315-20)より提供された。市販のシリカゲルは、約5から約500μmの範囲の粒径、および、約40から約1000オングストロームの範囲の細孔径を持つ粒子を含んでいた。
d)コバルト(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子の調製
コバルト(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子は、上述のとおりに調製した 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子100mgを、250mMの塩化コバルト(II)溶液に、室温で2分間懸濁させることにより調製した。余分のコバルト溶液を取り除き、得られた磁性シリカ粒子を水で5回洗った。
e)銅(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子の調製
銅(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子は、上述の通りに調製した 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子100mgを、250mMのCuCl2溶液に、室温で2分間懸濁させることにより調製した。銅溶液を取り除き、得られた磁性シリカ粒子を水で3回洗った。
f)亜鉛(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子の調製
亜鉛(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]プロピル磁性シリカ粒子は、上述の通りに調製した 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-アセチル]アミノ]-プロピル磁性シリカ粒子100mgを、250mMのZnCl2溶液に、室温で2分間懸濁させることにより調製した。亜鉛溶液を取り除き、得られた磁性シリカ粒子を水で3回洗った。
【0014】
実施例2
金属修飾 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]-アミノ]プロピルシリカゲルの調製
(a) 3-アミノプロピル修飾シリカゲルの調製
3-アミノプロピルトリメトキシシラン(125ml)を、撹拌されたメタノール溶液(2000mL)に加え、次いで水(125mL)を加えた。この混合物を、250gのシリカゲル(S10040T, 1000オングストローム, Silicycle, Inc、カナダ、ケベック)に加え、得られた混合物を、室温で4時間、懸濁状態においた。レジンを沈ませたあと、メタノール/シラン/水の残留液をデカントし、粒子を2.5Lの水で3回洗い、2Lのメタノールに再懸濁した。アミノシラン修飾固形支持体をろ過により集め、真空乾燥した。元素分析の結果、アミノプロピル修飾固形支持体の組成は、C:0.46、H:0.30、N:0.19であった。
(b) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]-プロピルシリカゲルの調製
上述の通りに調製した 3-アミノプロピル修飾固形支持体(100g)をN,N−ジメチルアセトアミド(100mL)に懸濁し、トリエチルアミン(31mL、210mmol)を混合物に加えた。この懸濁液を十分に混合し、次いで200mmolの2,6-ジケト-N-カルボキシメチルモルホリン(米国特許第3,621,018号に従って調製、この文献のすべてを本明細書に援用する)を含有する400mlのN,N−ジメチルアセトアミドを加え、得られた混合物を、室温で4時間、懸濁状態においた。未反応のN,N−ジメチルアセトアミド/無水物/トリエチルアミンの溶液を取り除き、固形支持体を1.2Lの水で4回洗った。元素分析の結果、3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]プロピル固形支持体の組成は、C:0.94、H:0.32、N:0.28であった。
(c)ニッケル(II) 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]-アミノ]プロピルシリカゲルの調製
上述の通りに調製した 3-[[[ビス(カルボキシメチル)アミノ]アセチル]アミノ]プロピル固形支持体の一部を、250mMの塩化ニッケル(II)溶液に、室温で4時間懸濁させた。余分のニッケル溶液を取り除き、得られた固形支持体を水で5回洗った。
【0015】
実施例3
プロピルエチレンジアミン修飾磁性シリカ粒子の調製
N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン(2 mL)を、撹拌された、磁性シリカ粒子(2g)を含有する95%メタノール(8mL)に加えた。得られた混合物を、室温で4時間、懸濁状態においた。余分のメタノール/シリカの溶液を取り除き、粒子を40mLのメタノールで5回洗い、真空乾燥した。元素分析の結果、アミノプロピルエチレンジアミン修飾シリカ磁性固形支持体の組成は、C:0.97、H:0.70、N:0.45であった。
実施例4
プロピルエチレンジアミン修飾シリカゲルの調製
N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン(2 mL)を、撹拌された、シリカ粒子(1.0 gのDavisilグレード644シリカゲル、100-200メッシュ、細孔径150オングストローム)を含有する95%メタノール(8mL)に加えた。得られた混合物を、室温で4時間、懸濁状態においた。余分のメタノール/シリカの溶液を取り除き、粒子を40mLのメタノールで5回洗い、真空乾燥した。元素分析の結果、アミノプロピルエチレンジアミン修飾シリカ固形支持体の組成は、C:5.82、H:1.49、N:2.44であった。
上記の本発明の説明は、例示および説明のための規範例である。本発明の精神および範囲から外れることなく、変更、修飾を加えることが可能であることは当業者の理解するところである。そのようなすべての変更および修飾は、特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

を含む組成物(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
Mは金属イオンであり;そして
nは1以上の整数である)。
【請求項2】
金属イオンの酸化状態が+1から+6である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
金属イオンが、ニッケル、銅、コバルト、鉄、亜鉛、またはガリウムである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
X が、飽和アルキレン基または置換飽和アルキレン基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
X が、10個までの炭素原子を持つ飽和アルキレン基または10個までの炭素原子を持つ置換飽和アルキレン基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
X が -(CH2)3- である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
固形支持体が、シリカゲル、酸化ケイ素、固体シリカ、磁性シリカ粒子、結晶シリカ、ガラスシリカ、酸化アルミニウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
【化2】

を含む組成物(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;そして、
nは1以上の整数を含む)。
【請求項9】
X が、飽和アルキレン基または置換飽和アルキレン基である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
X が、10個までの炭素原子を持つ飽和アルキレン基または10個までの炭素原子を持つ置換飽和アルキレン基である、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
Xが -(CH2)3- である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
固形支持体が、シリカゲル、酸化ケイ素、固体シリカ、磁性シリカ粒子、結晶シリカ、ガラスシリカ、酸化アルミニウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
【化3】

を含む修飾固形支持体(式中、R1は、

であり;
X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択され;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;そして、
nは1以上の整数を含む)を作製する方法であって、
(a)固形支持体をアミノシラン化合物と接触させることにより、固形支持体とアミノシラン化合物の間にシラノール結合を持つ第1複合体を形成する工程、および、
(b)第1複合体をニトリロ三酢酸と接触させることにより、ニトリロ三酢酸と第1複合体の間にアミド結合を持つ修飾固形支持体を形成する工程を含む、方法。
【請求項14】
方法が、さらに、前記修飾固形支持体を金属イオン溶液に接触させて、金属修飾固形支持体を形成する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
アミノシラン化合物が、飽和アルキレン鎖または置換飽和アルキレン鎖を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
アミノシラン化合物がアミノプロピルシランである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
アミノシラン化合物が、アミノプロピルシラン、プロピルエチレンジアミノシラン、およびアミノプロピルトリメトキシシランの各化合物からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
固形支持体が、シリカゲル、酸化ケイ素、固体シリカ、磁性シリカ粒子、結晶シリカ、ガラスシリカ、酸化アルミニウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
金属イオンの酸化状態が+1から+6である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
金属イオンが、ニッケル、銅、コバルト、鉄、亜鉛、またはガリウムである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
【化4】

を含む組成物(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
M+は金属イオンであり;
nは1以上の整数であり;そして、
mは0または1である)。
【請求項22】
金属イオンの酸化状態が+1から+6である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
金属イオンが、ニッケル、銅、コバルト、鉄、亜鉛、またはガリウムである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
固形支持体が、アガロース、ポリアクリルアミド、セルロース、プラスチック、ポリサッカライド、ナイロン、ニトロセルロース、ポリスチレン、ラテックスメタクリラート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
【化5】

を含む組成物(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素基、置換炭化水素基、または水素原子であり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である)。
【請求項26】
固形支持体が、アガロース、ポリアクリルアミド、セルロース、プラスチック、ポリサッカライド、ナイロン、ニトロセルロース、ポリスチレン、ラテックス、メタクリラート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
【化6】

を含む修飾固形支持体(式中、X は、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換アラルキレン基、または、置換もしくは非置換アリーレン基であり;
R4は、炭化水素、置換炭化水素基、または水素原子であり;
nは1以上の整数であり;そして
mは0または1である)を作製する方法であって、
(a)遊離-NR4H基を含む固形支持体をニトリロ三酢酸と接触させることにより、ニトリロ三酢酸と-NR4H基の間にアミド結合を形成する工程を含む、方法。
【請求項28】
方法が、さらに、前記修飾固形支持体を金属イオン溶液に接触させて、金属修飾固形支持体を形成する工程を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
固形支持体が、アガロース、ポリアクリルアミド、セルロース、プラスチック、ポリサッカライド、ナイロン、ニトロセルロース、ポリスチレン、ラテックスメタクリラート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
金属イオンの酸化状態が+1から+6である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
金属イオンが、ニッケル、銅、コバルト、鉄、亜鉛、またはガリウムである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
【化7】

を含む組成物(式中、R2およびR3は、R1、炭化水素基、置換炭化水素基、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ、チオール、アミン、固形支持体へのシラノール結合、別のシランリガンドへの結合、またはO−Si−Y1Y2Y3(Y1、Y2、およびY3は、炭化水素基または置換炭化水素基から独立に選択される)から独立に選択される)。
【請求項33】
請求項13または請求項14の方法により調製される組成物。
【請求項34】
請求項27または請求項28の方法により調製される組成物。

【公表番号】特表2006−502856(P2006−502856A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545564(P2004−545564)
【出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/033220
【国際公開番号】WO2004/035170
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(593089149)プロメガ コーポレイション (57)
【氏名又は名称原語表記】Promega Corporation
【Fターム(参考)】