説明

分子シャペロン結合分子を標的とした血中タンパク質の高効率同定システム

【課題】試料中の微量タンパク質を精製するための方法を提供する。
【解決手段】試料中の微量タンパク質を精製するための方法であって、該微量タンパク質は該試料中において分子シャペロンと複合体を形成しており、該方法が、(i)該分子シャペロンに対する一または複数種の抗体を用いたアフィニティー精製によって、該試料より分子シャペロン−微量タンパク質複合体を精製する工程;および(ii)工程(i)にて精製された複合体に由来する微量タンパク質を質量分析によって同定する工程、を含む、上記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の微量タンパク質を精製および同定する方法ならびに当該方法に用いられるアフィニティー精製用担体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、疾患の早期発見や正確な診断に貢献するとして、バイオマーカーの研究および開発が盛んに行われている。なかでも血液(特に、血清や血漿)に含まれるバイオマーカーは、病態診断に有効であるとして、その研究および開発が世界中で試みられている。しかし、血中には、様々なタンパク質が大量に混在しており、病態診断に有効なバイオマーカーのように血中に極微にしか存在しないタンパク質を同定することは非常に困難である。実際、血液はその99%をアルブミンやIgG、補体などの主要タンパク質が占め、バイオマーカーの候補となり得るタンパク質は1%以下の分画にしかない非常に微量なタンパク質である。したがって、血液を試料としてバイオマーカーを探索する場合、アルブミンやIgGなどの主要タンパク質を効率よく除去したうえで、バイオマーカーの候補となり得る微量タンパクを同定し、疾患(患者)特異的なタンパク質(バイオマーカー)を見出す必要がある。当該分野においては、これらの要件を解決し、効率的にバイオマーカーを探索できる新たな手法が切望されていた。
【0003】
試料中の微量タンパク質を検出する方法としては、試料中に高濃度で存在するキャリアタンパク質(例えば、アルブミンやイムノグロブリンなど)を利用する方法が報告されている(特許文献1)。当該方法においては、当該キャリアタンパク質と相互作用する微量タンパク質を、当該キャリアタンパク質を分離、分解することによって検出する。しかしながら、当該キャリアタンパク質に結合する微量タンパク質の特異性は低く、そのため疾患特異性の高い微量タンパク質を検出できる新たな手法が依然として切望されていた。
【0004】
分子シャペロンは、タンパク質の折りたたみ(フォールディング)に関与し、その高次構造の形成を補助する機能を有する。このような分子シャペロンの代表例としては、ヒートショックプロテイン(以下、「HSP」と記載する)(ストレスタンパク質)が挙げられる。HSPは分子量に基づいて5つのファミリーに分類されており、HSP100、HSP90、HSP70、HSP60およびsmall HSP(sHSP)などがある。
【0005】
近年、癌細胞からHSP70が分泌/漏えいしているという報告が蓄積している(非特許文献1−3)。HSP70は細胞外に放出される際、腫瘍で異常に産生されたタンパク質やペプチド(すなわち、癌抗原タンパク質やペプチド)と非共有結合して複合体を形成し、その複合体が当該抗原タンパク質やペプチドに特異的な免疫を誘発できることが示されている(非特許文献4、5)。これまでに分子シャペロンを利用して、試料中の微量タンパク質を検出する方法は報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-128834号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Calderwood SK, Mambula SS, Gray PJ Jr, Theriault JR.Extracellular heat shock proteins in cell signaling. FEBS Lett. 2007;581:3689-3694
【非特許文献2】Asea A.Hsp72 release: mechanisms and methodologies. Methods. 2007;43:194-198
【非特許文献3】Schmitt E, Gehrmann M, Brunet M, Multhoff G, Garrido C. Intracellular and extracellular functions of heat shock proteins: repercussions in cancer therapy. J Leukoc Biol. 2007;81:15-27
【非特許文献4】Calderwood SK, Mambula SS, Gray PJ Jr. Extracellular heat shock proteins in cell signaling and immunity.Ann N Y Acad Sci. 2007;1113:28-39
【非特許文献5】Didelot C, Lanneau D, Brunet M, Joly AL, De Thonel A, Chiosis G, Garrido C.Anti-cancer therapeutic approaches based on intracellular and extracellular heat shock proteins. Curr Med Chem. 2007;14:2839-2847
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、試料中の微量タンパク質を精製するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を行なっていたところ、試料より、分子シャペロン−微量タンパク質複合体を当該分子シャペロンに対する抗体を用いたアフィニティー精製により、当該複合体のまま精製することによって、担持される微量タンパク質の検出および同定を効率的に行えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1] 試料中の微量タンパク質を精製するための方法であって、該微量タンパク質は該試料中において分子シャペロンと複合体を形成しており、該方法が、
(i)該分子シャペロンに対する一または複数種の抗体を用いたアフィニティー精製によって、該試料より分子シャペロン−微量タンパク質複合体を精製する工程;および
(ii)工程(i)にて精製された複合体に由来する微量タンパク質を質量分析によって同定する工程、
を含む、上記方法。
[2] 疾患特異的なタンパク質を検出するための方法であって、以下の工程:
(1)患者由来の試料より、分子シャペロン−タンパク質複合体を精製する工程であって、該精製が該分子シャペロンに対する一または複数種の抗体を用いたアフィニティー精製によって実施される、上記工程;および
(2)工程(1)にて精製された複合体に由来する該タンパク質の発現プロファイルを、健常人由来の試料より、該分子シャペロンに対する一または複数種の抗体を用いたアフィニティー精製によって精製された複合体に由来する該タンパク質の発現プロファイルと比較する工程、
を含む、上記方法。
[3] さらに、
(3)健常人由来の試料と比較して、患者由来の試料において特異的または過剰発現される前記タンパク質を質量分析によって同定する工程、を含む、[2]の方法。
[4] 疾患が癌である、[2]または[3]の方法。
[5] 分子シャペロンがヒートショックプロテインまたはグルコース調節タンパク質である、[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6] 分子シャペロンが、HSP27、HSP40、HSP60、HSP70、HSC70、HSP90、HSP100、HSP110、small HSP(sHSP)、GRP78、GRP94、GRP170からなる群より選択される、[5]の方法。
[7] 分子シャペロンがHSP70またはHSC70である、[6]の方法。
[8] 抗体がモノクローナル抗体である、[1]〜[7]のいずれかの方法。
[9] 抗体が固相支持体に固定されている、[1]〜[8]のいずれかの方法。
[10] 複数種の抗体が固相支持体に固定されている、[1]〜[9]のいずれかの方法。
[11] 試料が体液である、[1]〜[10]のいずれかの方法。
[12] 体液が血清である、[11]の方法。
[13] 固相支持体に固定されている、分子シャペロンに対する一または複数種の抗体を含む、該分子シャペロンを含む分子シャペロン−タンパク質複合体を精製するための、アフィニティー精製用担体。
[14] 分子シャペロンが、ヒートショックプロテインまたはグルコース調節タンパク質である、[13]のアフィニティー精製用担体。
[15] 分子シャペロンが、HSP27、HSP40、HSP60、HSP70、HSC70、HSP90、HSP100、HSP110、small HSP(sHSP)、GRP78、GRP94、GRP170からなる群より選択される、[14]のアフィニティー精製用担体。
[16] 分子シャペロンがHSP70またはHSC70である、[15]のアフィニティー精製用担体。
[17] 抗体がモノクローナル抗体である、[13]〜[16]のいずれかのアフィニティー精製用担体。
[18] 複数種の抗体が固相支持体に固定されている、[13]〜[17]のいずれかのアフィニティー精製用担体。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、試料(特に、血液)中に含まれる微量タンパク質を効率的かつ選択的に単離・精製し、さらに同定することが可能であり、疾患特異的なバイオマーカーを検出および同定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、HSP70に結合する疾患特異的なタンパク質の同定方法を示す模式図である。
【図2】図2は、血清に対するHSP70抗体ビーズ(NHq)を用いたアフィニティー精製の結果を示す。(A)銀染色の結果、(B)HSP70抗体を用いたウェスタンブロットの結果。コントロールレーン(−)およびNHqを使用して精製したサンプルのレーン(+)。
【図3】図3は、NHqを使用した血中タンパク質の単離および同定の工程を示す。
【図4】図4は、健常人および多発性骨髄腫患者に由来する血清を用いたNHqによる血中タンパク質の精製結果(高分子領域)を示す。分子量マーカーのレーン(M)の左には、健常人(健1)、多発性骨髄腫患者(患1)の血清1μLを未処置のまま電気泳動した。
【図5】図5は、健常人および多発性骨髄腫患者に由来する血清を用いたNHqによる血中タンパク質の精製結果(低分子領域)を示す。分子量マーカーのレーン(M)の左には、健常人(健1)、多発性骨髄腫患者(患1)の血清1μLを未処置のまま電気泳動した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明は、試料中の微量タンパク質を精製するための方法に関する。
本発明の方法は、以下の工程を含む:
(i)試料より分子シャペロン−微量タンパク質複合体を精製する工程;および
(ii)工程(i)にて精製された複合体に由来する微量タンパク質を質量分析によって同定する工程。
【0015】
「試料」としては、器官または組織の破砕液、あるいは体液が含まれる。体液としては、血液、血漿、血清、唾液、尿、髄液、骨髄液、胸水、腹水、リンパ液などが挙げられる。好ましくは体液である。体液を用いることによって、低侵襲的に試料を得ることができ、試料を提供する被験体の負担を低減することができる。さらに好ましくは血清である。試料として血清を用いる場合、その必要量は50〜200μL、好ましくは100μLとわずかであり、試料を提供する被験体の負担を低減することができる。
【0016】
「微量タンパク質」とは、上記「試料」中、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、またはそれ以下の割合で存在するタンパク質を意味し、例えば、下記に詳述する「疾患特異的なタンパク質」が含まれる。本発明において、当該微量タンパク質は試料中において分子シャペロンと複合体を形成している。なお、ここで「タンパク質」には、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドが含まれ、これらの用語は相互互換的に用いることができる。
【0017】
本発明において「分子シャペロン」としては、生体内において上記微量タンパク質と共有結合または非共有結合して複合体を形成するものが挙げられる。このような分子シャペロンとしては、ヒートショックプロテイン(以下、「HSP」と記載する)、グルコース調節タンパク質(以下、「GRP」と記載する)などが挙げられる。本発明において利用可能なHSPとしては、HSP27、HSP40、HSP60、HSP70、HSC70、HSP90、HSP100、HSP110およびsmall HSP(sHSP)などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、HSP70またはHSC70である。また、本発明において利用可能なGRPとしては、GRP78、GRP94、GRP170などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
試料からの、分子シャペロン−微量タンパク質複合体の精製は、当該分子シャペロンに結合する抗体を用いたアフィニティー精製によって行う。当該アフィニティー精製を利用することによって、試料中より分子シャペロン−微量タンパク質複合体を選択的かつ効率的に単離・精製することができるとともに、分子シャペロン−微量タンパク質複合体を複合体のまま単離することができるために、上記微量タンパク質の検出および同定を容易にする。
【0019】
「分子シャペロンに結合する抗体」とは、上記分子シャペロンのいずれかを認識して結合することができる抗体であり、当該抗体は、上記分子シャペロンと特異的に結合する。ここで、「特異的」とは、当該抗体が上記分子シャペロンのいずれかと免疫学的反応により結合するが、当該分子シャペロンと80%以上、90%以上、95%以上の配列同一性をもつタンパク質以外のタンパク質とは実質的に結合しないことを意味する。当該抗体は、上記分子シャペロンのいずれかと結合する、好ましくは特異的に結合する限り、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体のいずれであってもよいが、好ましくはモノクローナル抗体である。
上記抗体は、当業者に周知である一般的な手法によって作製することが可能である。
【0020】
すなわち、上記抗体は分子シャペロンの全長アミノ酸配列または部分ペプチドを抗原として用いて動物を免疫することで生起することができる。
【0021】
上記分子シャペロンのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、公知のデータベースに登録されており、これらの配列情報を利用することができる。
【0022】
例えばHSP70のヌクレオチド配列はGenBankにアクセッション番号NM_005345で、アミノ酸配列はアクセッション番号NP_005336で登録されており、また、HSC70のヌクレオチド配列はGenBankにアクセッション番号NM_006597またはNM_153201で、アミノ酸配列はアクセッション番号NP_006588またはNP_694881で登録されている。これらタンパク質を抗原とする場合、配列番号1に示されるヒトHSP70または配列番号2または配列番号3に示されるヒトHSC70のアミノ酸配列の全長および/または配列番号1に示されるヒトHSP70のアミノ酸配列における8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個またはそれ以上の連続するアミノ酸からなる部分ペプチドを使用することができる。ここで、抗原として使用するタンパク質は、HSP70あるいはHSC70に対する抗体を生起するための抗原性を有する限り、配列番号1あるいは配列番号2または配列番号3に示されるアミノ酸配列に1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドまたはその部分ペプチドであってもよい。ここで「数個」とは、1〜5個、好ましくは1〜3個を示す。抗原として使用するタンパク質には、HSP70あるいはHSC70に対する抗体を生起するための抗原性を有する限り、配列番号1あるいは配列番号2または配列番号3に示されるアミノ酸配列に対し、少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるペプチドまたはその部分ペプチドも含まれる。
抗原は、上記公知のデータベースに登録された分子シャペロンのアミノ酸配列に基づいて化学合成しても良いし、あるいはそれをコードする核酸を用いて宿主を形質転換し、該宿主において発現されるペプチドを回収することにより生成することができる。化学合成の場合には、公知のペプチド合成手法に従って、例えば市販のペプチド合成機や市販のペプチド合成用キットを用いて、抗原用のペプチドを合成することができる。また、遺伝子組換え手法を用いる場合には、抗原をコードする核酸を、当技術分野で公知の方法に従って調製し、発現ベクターに連結し、目的の抗原ペプチドが発現し得るように宿主細胞中に導入して形質転換体を作製し、当該形質転換体を培養することによって、抗原ペプチドを調製することができる。
【0023】
使用する抗原ペプチドには、必要に応じてGSTやHisなどのタグタンパク質が融合されていても良く、また、抗原性を高めるため、キャリアタンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン(OVA)など)を結合してもよい。
【0024】
上述のように得られた抗原ペプチドを適当な緩衝液に溶解して免疫原を調製する。必要に応じて、免疫を効果的に行うためにアジュバント(例えば、完全フロイントアジュバント(FCA)、不完全フロイントアジュバント(FIA)等)を添加しても良い。
【0025】
調製した免疫原を、静脈内、皮下、腹腔内、または足蹠に注入することにより動物に投与して免疫を行う。動物は、当技術分野で慣用的に用いられているもの、ウサギ、マウス、ラットなどを使用することができる。免疫の間隔は特に限定されず、数日から数週間間隔で、1〜5回の免疫を行う。
【0026】
モノクローナル抗体を作製する場合は、最終の免疫日から20〜90日後に抗体産生細胞を採集する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞等が挙げられる。当技術分野で慣用の方法を用いて、抗体産生細胞を骨髄腫細胞に融合させ、それによりハイブリドーマ細胞を生成する。次に、増殖してきたハイブリドーマの培養上清を、標的とする分子シャペロンに反応する抗体が存在するか否かについてスクリーニングする。ハイブリドーマのスクリーニングは、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、または放射性免疫アッセイ(RIA)等によって行うことができる。融合細胞のクローニングは、限界希釈法等により行い、目的のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを樹立する。樹立したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法として、通常の細胞培養法または腹水形成法等を採用することができる。上記抗体の採取方法において抗体の精製が必要とされる場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィーなどの公知の方法を適宜選択して、またはこれらを組み合わせることにより精製することができる。
【0027】
ポリクローナル抗体を作製する場合は、最終の免疫日から20〜90日後に、血清を採取し、免疫アッセイ、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、放射性免疫アッセイ(RIA)等で抗体価を測定し、最大の抗体価を示した日に採取する。その後は、血清中に存在する、標的とする分子シャペロンに特異的なポリクローナル抗体の反応性を上記の免疫アッセイなどで測定する。抗血清を直接免疫学的測定方法に用いることもできるが、標的とする分子シャペロンタンパク質を用いるアフィニティークロマトグラフィー、プロテインAまたはプロテインGアフィニティークロマトグラフィーなどを行って、抗血清中の抗体を精製して使用しても良い。
【0028】
また本発明においては、上記抗体の抗原結合断片も使用しうる。慣用的技術によって産生可能な抗原結合断片の例には、FabおよびF(ab’)、Fv、scFv、dsFvなどの断片が含まれるが、これらに限定されない。遺伝子工学技術によって産生可能な抗体断片および誘導体もまた含まれる。そのような抗体には、例えば合成抗体、組換え抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、単鎖抗体などが含まれる。
【0029】
上記抗体は、固相支持体上に付着または結合させることができる。
ここで「固相支持体」には、固相支持体として利用し得ることが公知である様々な材料、例えば、セルロース、セルロース誘導体、セファロース、アガロース、金属、ガラス、セラミック、樹脂など(これらに限定されない)を用いることができる。好ましくは、セファロースである。固相支持体は市販のものを用いることが可能であり、例えば、NHS−Sepharose(GEヘルスケア・ジャパン)を利用することができる。
【0030】
固相支持体は、平板、ビーズ、粒子、球体など(これらに限定されない)任意の形状を有することが可能である。固相支持体の大きさは、特に限定されることなく適宜決定することができる。好ましくは、固相支持体は、粒径75〜300μmのビーズの形状を有する。抗体と固相支持体との付着または結合は、共有結合または非共有結合を利用して行うことができる。抗体と固相支持体との付着または結合は、特に限定するものではないが、公知の手法を利用して行うことができる。固相支持体に付着または結合された抗体は、分子シャペロン−微量タンパク質複合体を精製するための各種クロマトグラフィー用カラム、特にアフィニティーロマトグラフィー用カラム、の充填剤として利用することができる。
【0031】
分子シャペロン−微量タンパク質複合体の精製は、上記抗体と上記試料を接触させ、試料中の分子シャペロン−微量タンパク質複合体を上記抗体に結合させる。試料は直接用いても良いし、適当な緩衝液(例えば、リン酸緩衝液(リン酸カリウム緩衝液、リン酸ナトリウム緩衝液等)、Tris緩衝液)に懸濁して用いても良い。両者の結合反応は、バッチ式で行っても良いし、連続式で行っても良い。両者の接触は、4℃〜40℃、好ましくは室温において、1分間〜4時間振とうまたは転倒混和しながら行う。バッチ式で行う場合には好ましくはおよそ5〜60分間振とうまたは転倒混和しながら行う。あるいは、両者の結合反応は、カラム法によって行っても良い。
【0032】
当該精製により、試料中に含まれる分子シャペロン−微量タンパク質複合体を特異的かつ効率的に分取および精製することができる。なお、当該精製に際しては、異なるハイブリドーマ細胞株より産生されたモノクローナル抗体を複数種用いて行うことが好ましい。ここで「複数」とは、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上を意味する。特定の分子シャペロンに対して、複数種のモノクローナル抗体を使用することによって、より多数の分子シャペロン−微量タンパク質複合体を分取および精製することができる。本発明においては、下記実施例にて詳述される抗ヒトHSP70モノクローナル抗体である、3G7、1F8B4、3A11D9、3B9C8、3H6F8、4G2G11、8A10G9、8H4C2、8H4D8からなる群から選択される一または複数種(好ましくは9種全て)を用いることができる。
【0033】
次いで、上記抗体に結合した分子シャペロン−微量タンパク質複合体を溶出する。溶出に際して、分子シャペロンより微量タンパク質が解離されても良い。上記抗体から分子シャペロン−微量タンパク質複合体を溶出する際の溶出液としては、塩化ナトリウム溶液、塩化カリウム溶液等の塩溶液、リン酸、酢酸、クエン酸、トリス等の緩衝液、グアニジン、グリシン等の変性剤およびこれらの混合溶液等を利用することができる。溶出は当業者に公知の一般的な手法を用いて行うことができ、例えば、溶出液の塩濃度を徐々に増やして溶出する方法、上記分子シャペロン−微量タンパク質複合体が上記抗体と結合するpHから反撥するpHへ徐々に溶出液のpHを変化させる方法またはそれらの組合せを用いて行うことができる。上記分子シャペロン−微量タンパク質複合体の結合した上記抗体を遠心分離して回収した後、溶出液を添加して、4℃〜40℃、好ましくは室温〜37℃において、およそ1〜30分間振とうした後、遠心分離して上記抗体を沈降させ、上清に含まれる分子シャペロン−微量タンパク質複合体、あるいは分子シャペロンおよび分子シャペロンに結合していた微量タンパク質を回収する。
【0034】
回収された微量タンパク質は、当業者に公知の一般的な手法に従って質量分析を用いて同定することができる。
【0035】
本発明方法により、試料中微量タンパクの効率的かつ選択的な濃縮を可能とし、当該微量タンパクの質量分析による同定精度に大きく向上させることができる。これらの微量タンパク質の中には疾患特異的なタンパク質が含まれている可能性が高く、したがって、本発明方法は疾患特異的なタンパク質を検出するために利用することができる。
【0036】
以下、本発明の方法を利用した疾患特異的なタンパク質を検出するための方法について述べる。
【0037】
ここで「疾患」とは、感染性疾患(細菌、ウイルス、寄生虫および真菌などによって引き起こされる疾患であって、例えば細菌性気管支炎、細菌性腸炎、ウイルス性腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎等が挙げられるがこれらに限定されない)、神経変性疾患、自己免疫疾患、関節性リウマチ、動脈硬化、心筋梗塞、髄膜炎、ギランバレー症候群や癌などが挙げられる。癌としては、固形癌(例えば、肺癌、乳癌、大腸癌、前立腺癌、胃癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌、子宮体部・頚部癌、卵巣癌、膀胱癌、脳腫瘍、甲状腺癌、リンパ腫、精巣癌、骨肉腫、皮膚癌、黒色腫などが含まれるが、これらに限定されない)や血液の癌(例えば、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などが含まれるが、これらに限定されない)が含まれ、これらの癌は原発性であっても転移性であっても良い。
【0038】
「疾患特異的なタンパク質」とは、健常人と比較した場合に、当該疾患を罹患する患者に由来する組織において、特異的または過剰に(すなわち、統計学的有意差をもって)発現されるタンパク質を意味する。このようなタンパク質は、バイオマーカーまたは病態診断マーカーとして利用することが可能であり、疾患の検出や、疾患状態の変化、治療の有効性、予後の判定などに利用することができる。なお、ここで「タンパク質」には、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドが含まれ、これらの用語は相互互換的に用いることができる。
【0039】
本発明の方法は、以下の工程を含む:
(1)患者由来の試料より、分子シャペロン−タンパク質複合体を精製する工程;および
(2)工程(1)にて精製された複合体に由来する該タンパク質の発現プロファイルを、健常人由来の試料より、該分子シャペロンに対する一または複数種の抗体を用いたアフィニティー精製によって精製された複合体に由来する該タンパク質の発現プロファイルと比較する工程。
【0040】
図1に、疾患特異的なタンパク質の同定方法を示す模式図を示す。
【0041】
「試料」としては、上記のものを利用することができ、好ましくは血清である。上記のとおり、本発明の方法において必要とされる血清の量はわずかであり、患者の負担を低減することができる。
【0042】
本発明において「分子シャペロン」としては、患者生体内において上記疾患特異的なタンパク質と共有結合または非共有結合して複合体を形成するものが挙げられる。このような分子シャペロンとしては、上記のものを利用することができ、好ましくは、HSP70である。上記「背景技術」の欄に記載したように、HSP70は癌細胞より細胞外に放出される際にキャリアーとして機能し、腫瘍において異常に産生されたタンパク質を結合する。したがって、HSP70−タンパク質複合体に含まれるタンパク質は、上記疾患特異的なタンパク質に該当する可能性が高い。
【0043】
患者由来の試料からの、分子シャペロン−タンパク質複合体の精製は、上記「分子シャペロン−微量タンパク質複合体」の精製と同様に行うことができる。
【0044】
分子シャペロンに結合していたタンパク質の発現プロファイルの作製は、タンパク質の網羅的発現解析に一般的に用いられる手法、すなわち、SDS−PAGE、等電点電気泳動、またはそれらの組み合わせを用いて行うことができる。患者由来の試料より得られた分子シャペロンに結合していたタンパク質の発現プロファイルを、同様の手法によって得られた健常人由来の試料より得られた、分子シャペロンに結合していたタンパク質の発現プロファイルを比較することによって、疾患特異的なタンパク質を検出することができる。
【0045】
検出された疾患特異的なタンパク質は、当業者に公知の一般的な手法に従って質量分析を用いて同定することができる。すなわち、上記電気泳動によって得られたタンパク質をトリプシンなどのタンパク質消化酵素で処理した後、質量分析に付すことができる。
【0046】
同定された疾患特異的なタンパク質は、バイオマーカーまたは病態診断マーカーとして利用することが可能であり、当該タンパク質の発現量または当該タンパク質をコードする核酸の発現量を指標として、疾患の検出や、疾患状態の変化、治療の有効性、予後の判定などに利用することができる。
【0047】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0048】
実施例1:HSP70モノクローナル抗体結合ビーズの作製
抗HSP70ラットモノクローナル抗体はラット腸骨リンパ節法(Sado Y. et al, Histochem Cell Biol. 1995;104:267-275; Kishiro Y. et al, Cell Struct Funct. 1995;20:151-156.)にて作製した。ヒトHSP70の全長アミノ酸配列(配列番号1)とGSTからなる融合タンパク質(GST−HSP70)を作製し、それを抗原として使用した。10週齢のメスlzmラット(日本SLC)後脚の足蹠に1mgの上記抗原(GST−hHSP70)と完全フロイントアジュバント500μlを注射した。
【0049】
2週間後、免疫したラットの腸骨リンパ節より細胞を調製し、マウスミエローマSp2/0−Ag14細胞と50%ポリエチレングリコール溶液(Merk)の中で5:1の比率で細胞融合した。細胞融合したハイブリドーマは96穴プレートに播種し、HAT選択培地[Hybridoma SFM培地(Invitrogen),10%FBS,10%BM−condimed H1(Roche),100μM hypoxanthine,0.4μM aminopterin,1.6μM thymidine]にて培養した。
【0050】
細胞融合から7日後、ハイブリドーマの培養上清をGST−HSP70に対してELISA法にてスクリーニングした。陽性クローンを再度ELISAとイムノブロッティングにて選抜した。次に、これらの陽性クローンの培養上清を用いて免疫沈降を行い、免疫沈降可能な抗体を選抜した。さらに免疫沈降後のサンプルをSDS−PAGEで展開し、銀染色することで染色パターンの異なる(HSP70を認識したうえで、結合分子の異なる)クローンを選択した。その結果、3G7、1F8B4、3A11D9、3B9C8、3H6F8、4G2G11、8A10G9、8H4C2、8H4D8の9つのクローンを選抜した。
【0051】
続いて、これら9つのクローンのモノクローナル抗体を混合し、NHS−Sepharose(GEヘルスケア・ジャパン)に共有結合して抗体ビーズを作製した。当該抗体ビーズを「NHq」と命名した。得られた「NHq」は75%懸濁液になるようにPBS(−)に懸濁した。9つの抗体を混合することで、より多くのHSP70の捕捉を可能にした。
【0052】
実施例2:NHqを使用した血中タンパク質の精製
試料として健常人血清100μLを使用してNHqの特異性を評価した。
【0053】
血清100μLにNHq 100μL、プロテアーゼ阻害剤(ナカライテスク株式会社)を加え、PBSで400μLにした。これを0.22μmの孔径のタンパク質低極低吸着のデュラポア膜の精密ろ過チューブ(日本ミリポア社)に入れ、室温で30分間、転倒混和した。非結合タンパク質を除去するために遠心を行い、さらにPBSによる洗浄を3回繰り返した。濾過膜上に残ったNHqに対して0.1Mグリシン(pH2.7)を50μL加え、37℃で15分反応させた後、遠心することで溶出した。この溶出液中にはHSP70とそれに結合する分子群が含まれる。溶出後のサンプルを5−20%のグラジェントゲルを用いてSDS−PAGEし、銀染色した。コントロールとして、何も化学結合させていないNHS−Sepharoseを用いて精製した血清サンプルを用いた。さらに、上記溶出後のNHqに対してLeammliサンプルバッファーで結合分子を再溶出し、7.5%ゲルにてSDS−PAGEし、HSP70抗体(Santa Cruz Biotechnology, Inc.)にてウェスタンブロットを行った。
【0054】
結果を図2に示す。
図2(A)は銀染色の結果を示す。コントロールレーン(−)およびNHqを使用して精製したサンプルのレーン(+)にて、アルブミン、血清由来のIgG重鎖、軽鎖と考えられるバンドが同様に観察される一方で、当該サンプルのレーン(+)に特異的なバンドが複数確認できた。
【0055】
図2(B)はウェスタンブロットの結果を示す。NHqを使用して精製したサンプルのレーン(+)でのみHSP70のバンドを検出していることから、NHqはHSP70を精製していることが確認できた。
【0056】
実施例3:NHqを使用した疾患特異的な血中タンパク質の単離および同定
NHqを使用した疾患特異的な血中タンパク質の単離および同定の工程の流れを図3に示す。
【0057】
健常人2人と多発性骨髄腫患者6人の血清をそれぞれ(100μL)用いて、上記実施例2と同様に、NHqでアフィニティー精製したサンプルをSDS−PAGEで展開し、銀染色した。
【0058】
結果を図4および図5に示す。図4では精製サンプルを7.5%ゲルで展開することで高分子領域を展開し、図5では精製サンプルを15%ゲルで展開することで低分子領域を展開した。高分子領域(図4)および低分子領域(図5)のいずれにおいても、健常人2人のバンドパターンはほぼ一致していた。一方、多発性骨髄腫患者のバンドパターンは変化に富んでいることが確認でき、健常人のバンドパターンと比較して、特異的に発現しているもの、および過剰発現しているものが確認できた。これら多発性骨髄腫患者において特異的に発現しているバンド、および過剰発現しているバンドに示されるタンパク質を、トリプシン処理して質量分析に付すことにより、多発性骨髄腫のバイオマーカーを同定することができる。
【0059】
また、図4および図5において、分子量マーカーのレーンの左には健常人および多発性骨髄腫患者由来の血清1μLを未処理のままSDS−PAGEで展開した。血清を100倍量使用しているにも関わらず、NHqで精製した健常人および多発性骨髄腫患者の血清サンプルのレーンでは、アルブミンやイムノグロブリンが除去できていることが確認できた。
【0060】
以上の結果より明らかなように、NHqを使用することによって、血清中に含有されるアルブミンや免疫グロブリンといった豊富に存在するタンパク質の除去と疾病特異的な微量タンパク質の単離をワンステップで同時に行うことができる。
【0061】
既存の腫瘍マーカーの探索の多くは原発巣の組織で腫瘍特異的に発現しているタンパク質を同定したうえで、それらのタンパク質が血中に放出されているかを検証することで腫瘍マーカーとしての妥当性を評価するという二つの段階を経ていた。一方で、NHqを使用することによって、どのような疾患であれ、原因組織における遺伝子またはタンパク質発現の解析を行うことなく、最初から血中のタンパク質を評価することができる。これによってバイオマーカー探索の時間の短縮でき、また血中情報から患部の診断へと結びつけることを可能とする。
【0062】
さらに、NHqを使用することによって、HSP70複合体の精製を極めて短時間に簡便に行うことができるために、多検体を扱うことが可能であり、より多くの患者の血中タンパク質の発現プロファイルを明らかにすることができる。これにより、短時間により精度の高いバイオマーカーを選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明方法により、試料(特に、血液)中に含まれる微量タンパク質を効率的かつ選択的に単離・精製し、さらに同定することができる。患者由来の試料においては当該微量タンパク質には、疾患特異的なタンパク質も含まれており、同定したタンパク質はバイオマーカーや創薬のターゲットとして利用することが可能である。したがって、本発明は臨床応用の分野において大いに貢献することが期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の微量タンパク質を精製するための方法であって、該微量タンパク質は該試料中において分子シャペロンと複合体を形成しており、該方法が、
(i)該分子シャペロンに対する一または複数種の抗体を用いたアフィニティー精製によって、該試料より分子シャペロン−微量タンパク質複合体を精製する工程;および
(ii)工程(i)にて精製された複合体に由来する微量タンパク質を質量分析によって同定する工程、
を含む、上記方法。
【請求項2】
疾患特異的なタンパク質を検出するための方法であって、以下の工程:
(1)患者由来の試料より、分子シャペロン−タンパク質複合体を精製する工程であって、該精製が該分子シャペロンに対する一または複数種の抗体を用いたアフィニティー精製によって実施される、上記工程;および
(2)工程(1)にて精製された複合体に由来する該タンパク質の発現プロファイルを、健常人由来の試料より、該分子シャペロンに対する一または複数種の抗体を用いたアフィニティー精製によって精製された複合体に由来する該タンパク質の発現プロファイルと比較する工程、
を含む、上記方法。
【請求項3】
さらに、
(3)健常人由来の試料と比較して、患者由来の試料において特異的または過剰発現される前記タンパク質を質量分析によって同定する工程、を含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
疾患が癌である、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
分子シャペロンがヒートショックプロテインまたはグルコース調節タンパク質である、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
分子シャペロンが、HSP27、HSP40、HSP60、HSP70、HSC70、HSP90、HSP100、HSP110、small HSP(sHSP)、GRP78、GRP94、GRP170からなる群より選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
分子シャペロンがHSP70またはHSC70である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
抗体が固相支持体に固定されている、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
複数種の抗体が固相支持体に固定されている、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
試料が体液である、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
体液が血清である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
固相支持体に固定されている、分子シャペロンに対する一または複数種の抗体を含む、該分子シャペロンを含む分子シャペロン−タンパク質複合体を精製するための、アフィニティー精製用担体。
【請求項14】
分子シャペロンが、ヒートショックプロテインまたはグルコース調節タンパク質である、請求項14記載のアフィニティー精製用担体。
【請求項15】
分子シャペロンが、HSP27、HSP40、HSP60、HSP70、HSC70、HSP90、HSP100、HSP110、small HSP(sHSP)、GRP78、GRP94、GRP170からなる群より選択される、請求項14記載のアフィニティー精製用担体。
【請求項16】
分子シャペロンがHSP70またはHSC70である、請求項15記載のアフィニティー精製用担体。
【請求項17】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項13〜16のいずれか1項記載のアフィニティー精製用担体。
【請求項18】
複数種の抗体が固相支持体に固定されている、請求項13〜17のいずれか1項記載のアフィニティー精製用担体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−32990(P2013−32990A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169552(P2011−169552)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物名:Journal of Pharmacological Sciences Volume115 Supplement 1 発行日 :平成23年2月15日 発行所 :The Japanese Pharmacological Society(社団法人 日本薬理学会) 該当頁 :127頁 公開者 :塩田 正之、田中 昌子、文 沙耶、中尾 隆文、泉 康雄、三浦 克之、岩尾 洋 タイトル: 「A proteomics strategy to elucidate stress−damaged proteins」
【出願人】(506122327)公立大学法人大阪市立大学 (122)
【Fターム(参考)】