説明

分子プローブとしてのオリゴチオフェン誘導体

本発明は、神経幹細胞および神経癌幹細胞に特異的に結合するオリゴチオフェン誘導体に関する。より詳細には、本発明は、前記オリゴチオフェン誘導体を用いて、生体試料中の神経幹細胞または神経癌幹細胞を検出するための方法ならびに使用およびそれに関連するキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオリゴチオフェン誘導体および分子プローブとしてのそれらの使用に関する。特に、神経幹細胞を検出し、同定し、分離しおよび単離するための分子プローブとしてのオリゴチオフェン誘導体の使用が包含される。
【背景技術】
【0002】
神経異常は、人間集団の大きな階層を冒す。老年に入る人の割合(%)がここ数十年間で増加すると予想されるのに伴って、神経異常に苦しむ人の割合(%)も疑いなく増加すると予想される。
【0003】
最もよく見られる神経異常の一つは、世界中で身体障害の主要な原因である、卒中である。卒中後のリハビリテーション療法を過ぎて、卒中からの回復が平坦域に達して、神経障害が固定されると、神経障害を改善するための許容できる治療はまったく存在しない。
【0004】
神経幹細胞などの幹細胞は、通常は、個別の生体分子標的を標的とする、抗体などの免疫組織学的方法によって、同定され、特徴付けられ、他の細胞から分離される。しかし、これらの方法は限界を伴う、すなわち、今日現在の大部分のマーカーは、複雑な生体系において神経幹細胞を検出し、同定するために十分特異的かつ選択的ではない。さらに、大部分の既存のマーカーは、検出のための二次的な方法を必要とし、これは、多大の時間を要する。例えば、GFPなどの蛍光タンパク質によって、選択された細胞を遺伝的にマーキングすることも可能であるが、このようなマーキングは、遺伝子技術または侵襲的技術を、したがって、細胞の調節および最もありそうなこととしてその選択を必要とする。
【0005】
したがって、特定の細胞、例えば、神経幹細胞は、数種のマーカーで同定される。通常は、特異的抗体によって検出可能な適切な一連のマーカーが用いられるが、そのいくつかは、分析される特定の細胞型について他のものより選択的である。しかし、細胞型、例えば、神経幹細胞を検出し、同定するのは、数種のマーカーの併用である。したがって、それぞれの細胞型、例えば、神経幹細胞は、自らを他の細胞型と識別できるマーカーの特定の組合せを表面上に有している。
【0006】
しかし、神経幹細胞などの特定の細胞型を検出し、同定するために、特異性のより低い一連のマーカーを使用することは、多大な時間を要し、非効率であり、正確性にも劣る。神経細胞の特異的な選択および単離のために一連の抗体を使用すること、または代替として、工程ごとに1つのマーカーを用いるいくつかの逐次的単離工程に基づく精製方法を使用することも困難である。後者はさらに、単離プロセスを長引かせ、単離細胞の生存率および質の低下を生じさせ得る。
したがって、神経幹細胞に対して高度に特異的な単一の標的分子を選択的かつ特異的に同定するための分子の開発が必要とされている。
【0007】
2個以上のチオフェン環が一緒に連結した分子は、オリゴチオフェンと名付けられる。このような化合物は、興味深い光学的および電子的特性を有する。例としては、適正に刺激した場合の蛍光性、半導性および光放射性がある。オリゴチオフェンの最も卓越した特性の一つは、蛍光性である。その構造を変化させることによって、全可視光(full visible specrtum)における放射を得ることが可能である。
【0008】
Aslundらは、病原性タンパク質凝集体を検出するための化学的に定義されたオリゴチオフェン誘導体の新規なクラスについて報告している(Aslundら、ACS Chem.Biol.2009年、4、673〜684頁)。
【0009】
したがって、幹細胞、特に神経幹細胞のためのより選択的かつ特異的なマーカーを見出すことによって、前記細胞を検出および同定し、ならびに単一の標的分子を数多くの分子の代わりに用いて、前記細胞の選択的かつ特異的な単離を可能にして、単離細胞の生存率および質を改善する緊急の必要性がある。したがって、本発明は、神経幹細胞のこのような選択的かつ特異的な検出と、同定と、単離とを可能とする手段と方法とを提供しようとするものである。
【発明の概要】
【0010】
本発明の1つの態様は、式(I)に記載のオリゴチオフェン誘導体を提供し、
【化1】

【0011】
式中、
3は、
【化2】

【0012】
から選択されてよく、ここで、
nは、0から3まで変化し、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素、4−メチルベンゼンスルホネートまたは任意の他の生理学的に可能なアニオンであってよく、
Xは、O(n≧1、例えば、1、2、3など)またはCH2(n=0〜3)から選択することができ、
1およびR2はそれぞれ、5−クロロチオフェン−2−イル(1)、5−ブロモチオフェン−2−イル(2)、5−ヨードチオフェン−2−イル(3)、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)、メチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)から独立して選択される。さらに、5−フルオロチオフェン−2−イル(10)は、18Fまたは19Fの豊富な同位体を有してもよい。5について、5位のプロトンは、トリチウム(11)で置換されていてもよく(11)、4について、メチル基は、11Cなどの同位体的に豊富な炭素からなってもよい(12)(以下に示される)。
【化3】

【0013】
別の実施形態において、R1は、
【化4】

【0014】
であってよく、
式中、
nは、0から3まで変化し、
-は、式(i)において上記のとおりに、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n≧0)から選択することができ、
4は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、18Fまたは19Fの豊富な同位体を有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)から選択される。5から開始して、5位のプロトンは、トリチウム(11)で置換されていてもよく、4について、メチル基は、11Cなどの同位体的に豊富な炭素からなってもよい(12)。
【化5】

【0015】
さらなる実施形態は、R1が式(iii)に記載のものであり、このとき、R2は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)から選択されてよい。
【化6】

【0016】
さらなる実施形態は、式
【化7】

【0017】
に記載ものであり、R3は、式(i)の通りであり、ここで、nは1であり、XはCH2であり、Y-は4−メチルベンゼンスルホネートであり、R1およびR2は、5である。
【0018】
さらなる実施形態は、式
【化8】

【0019】
に記載のものであり、R3は、式(i)の通りであり、ここで、nは1であり、XはCH2であり、Y-は4−メチルベンゼンスルホネートであり、R1はiiiであり、R2は水素である。
【0020】
さらなる実施形態は、本発明によるオリゴチオフェン誘導体が発光性であるものである。
本発明のさらなる態様は、本発明によるオリゴチオフェン誘導体のいずれかを含む神経幹細胞および神経癌幹細胞を検出するための組成物を提供する。
【0021】
本発明のさらなる態様は、インビトロまたはインビボで生体試料における神経幹細胞を検出する方法であって、
a.前記試料を、本発明によるオリゴチオフェン誘導体もしくは本発明による少なくとも1つのオリゴチオフェン誘導体を含む組成物、または本発明による組成物と、少なくとも1つの神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を形成するのに十分な時間、接触させるステップと、
b.前記神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を検出するステップと
を含む方法を提供する。
【0022】
さらなる実施形態は、検出された神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体の量が、正および/または負の対照と比較され、それにより神経幹細胞を検出するものである。
さらなる実施形態は、神経幹細胞が、神経癌幹細胞であるものである。
【0023】
さらなる実施形態は、正の対照が、神経幹細胞もしくは神経癌幹細胞、またはこれらの部分を含むものである。
さらなる実施形態は、負の対照が、神経幹細胞も神経癌幹細胞も含まないものである。
さらなる実施形態において、本方法は、神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体、または神経癌幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体の量を任意にスコアリングするステップをさらに含む。
【0024】
さらなる実施形態において、本発明による方法は、自動染色装置で行われる方法である。
【0025】
なおさらなる実施形態において、本方法は手作業で行われる。
なおさらなる実施形態において、検出は手作業で行われる。
さらなる実施形態は、検出が画像解析によって行われるものである。
【0026】
さらに、本発明のさらなる態様は、神経幹細胞または神経癌幹細胞を、生体試料中の他の生体物質から分離する方法であって、
a.前記試料を、本発明によるオリゴチオフェン誘導体または本発明による組成物と、少なくとも1つの神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体、または神経癌幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を形成するのに十分な時間接触させるステップと、
b.前記神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体、または神経癌幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を検出するステップと
c.前記検出された複合体を分離し、それにより、神経幹細胞または神経癌幹細胞を分離するステップと
を含む方法を提供する。
【0027】
さらなる実施形態は、方法が、前記神経幹細胞または神経癌幹細胞を単離するステップをさらに含むものである。
さらなる実施形態は、単離が、例えば、ビーズ、カラム、パニング(panning)などを用いて、機械的手段で行われるものである。
さらなる実施形態は、単離が、例えば、FACSなどのフローサイトメトリー手段で行われるものである。
【0028】
さらなる態様および実施形態のすべてにおいて、神経癌幹細胞は、神経幹細胞と同様に含まれる。生体試料が両方の型の細胞を含む場合に一緒であるか、または生体試料が、非癌性神経幹細胞もしくは神経癌幹細胞のみをそれぞれ含む場合に別々であるかのいずれかである。
【0029】
本発明のさらなる態様は、インビトロまたはインビボで神経幹細胞を検出するための、本発明によるオリゴチオフェン誘導体、または本発明による組成物の使用である。
さらなる態様は、
a.本発明によるオリゴチオフェン誘導体または本発明による組成物、および
b.任意に、該オリゴチオフェン誘導体または該組成物を使用するための説明書
を含むキットを提供する。
【0030】
本発明のさらなる態様は、インビトロまたはインビボで神経幹細胞を検出するためのキットであって、
a.本発明によるオリゴチオフェン誘導体または本発明による組成物、および
b.任意に、該オリゴチオフェン誘導体または該組成物を使用するための説明書
を含むキットを提供する。
【0031】
本発明のさらなる態様は、神経幹細胞を分離するためのキットであって、
a.本発明によるオリゴチオフェン誘導体または本発明による組成物、および
b.任意に、該オリゴチオフェン誘導体を使用するための説明書
を含むキットを提供する。
さらなる実施形態は、本発明によるキットが、前記神経幹細胞を単離するための手段をさらに含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、それぞれ、A)P1(p−HTMI)およびB)P2(h−HTMI)における本発明の2つの実施形態を示す。
【図2】図2は、神経幹細胞のFACS染色および選別由来のヒストグラムを示す。図2Aは、対照を示し、図2Bは、化合物1(神経幹細胞または神経癌幹細胞に結合しない)を用いた染色を示し、図2Cは、化合物2(p−HTMI)の神経幹細胞への結合を示す。図2Dは、化合物1および化合物2の混合物の神経幹細胞への染色を示し、前記細胞への化合物2の強い結合(右側のピーク)を示す。図2Eは、対照および化合物1(太字の右側ピーク)のオーバーレイヒストグラムを示し、図2Fは、化合物2(太字の右側ピーク)および対照のオーバーレイヒストグラムを示す。
【発明の詳細な説明】
【0033】
定義
本明細書で使用する場合の「対象」は、哺乳動物、例えば、齧歯動物、ネコ、イヌ、および霊長類を意味する。好ましくは、本発明による対象はヒトである。
本明細書で使用する場合の「少なくとも1つ」は、1つ以上、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10などを意味する。
【0034】
本明細書で使用する場合の「検出」、「検出する」、「検出している」は、対照への関連の有無にかかわらず、定性的および/または定量的検出(レベルの測定)を含み、さらに、所与の標的、具体的には、本発明のオリゴチオフェン誘導体の標的の存在、不存在、または量の確認を指す。
【0035】
本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの抗体(an antibody)」への言及は、複数のこのような抗体を含む。
【0036】
本明細書で使用する場合の「診断」は、疾患の性質の識別を包含する。
本明細書で使用する場合の「予後」は、疾患の推定転帰に関しての予測、疾患の性質および症状により示されるとおりの疾患からの回復に関する見込みを包含する。
【0037】
種々のアッセイまたは方法で神経幹細胞を検出するその利用性の文脈において本明細書で使用する場合、「感度」は、そのようなものとして正確に同定される生体試料のすべてのその比率を意味する。
本明細書で使用する場合、アッセイまたは方法の「特異性」は、そのようなものとして正確に同定される生体試料のすべてのその比率を意味する。
【0038】
本明細書で使用する場合、「神経幹細胞」は、新しい神経細胞(ニューロンと呼ばれる)および神経細胞を支援する他の細胞(グリアと呼ばれる)を作ることができる、脳に存在する幹細胞の1つの型を指す。成人では、神経幹細胞は、脳の非常に特定のおよび非常に小さい領域で見出すことができ、そこでは神経細胞の置換が見られる。
本明細書で使用する場合、「神経癌幹細胞」(神経CSC)または「神経癌幹細胞様細胞」は、自己再生への能力を有し、前記細胞の制御されない異常な増殖を特徴とする腫瘍における神経幹細胞の1つの型を意味する。
【0039】
本明細書で使用する場合、「生体試料」または単に「試料」は、任意の対象から得られる様々な試料タイプを包含する。開示された方法で有用な例示的な生体試料は、限定されるものではないが、本明細書で開示される生体試料、例えば、生検標本またはそれに由来する組織培養物もしくは細胞およびそれらの後代などの固体組織試料などを含む。例えば、生体試料は、個人から収集された組織試料から得られる細胞を含む。したがって、生体試料は、臨床試料、培養中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、および組織試料、例えば、成人脳などの脳由来の組織試料、脳由来の腫瘍試料などを包含する。
【0040】
試料は、新鮮であっても、収集後に処理されてもよい(例えば、アーカイビング目的のために)。一部の例では、処理された試料は、固定されてもよく(例えば、ホルマリン固定)および/またはろう(例えば、パラフィン)包埋されてもよい。据え付けられた細胞および組織調製物用の固定液は、当技術分野で周知であり、例としては、限定されるものではないが、95%アルコール性ブアン固定液;95%アルコール固定液;B5固定液、ブアン固定液、ホルマリン固定液、カルノフスキー固定液(グルタルアルデヒド)、ハートマン固定液、ホランド固定液、オルト溶液(重クロム酸塩固定液)、およびツェンカー固定液が含まれる(例えば、Carson、Histotechnology:A Self−instructional Text、Chicago:ASCP Press、1997年参照)。いくつかの例では、試料(またはその画分)は、固体支持体上に存在する。
【0041】
開示される方法で有用な固体支持体は、生体試料を保持しさえすればよいが、任意に、有利には、試料中の対象細胞の便利な検出を可能とするものである。例示的な支持体には、顕微鏡スライド(例えば、ガラス製顕微鏡スライドまたはプラスチック製顕微鏡スライド)、カバースリップ(例えば、ガラス製カバースリップまたはプラスチック製カバースリップ)、組織培養皿、多ウェルプレート、膜(例えば、ニトロセルロースまたはポリフッ化ビニリデン(PVDF))、ビーズまたはBIACORE(登録商標);チップが含まれる。
【0042】
本明細書で使用する場合の「アルゴリズム」という用語は、2つ以上の量の間の関係を与える数式を指す。このような式は、線形、または非線形でもよく、コンピュータメモリにおける様々な数値重み付け係数として存在し得る。
【0043】
本明細書で使用する場合の「〜と特異的に反応する」によって、「〜に選択的に結合することができる」または「〜に特異的に結合する」と等しいことが意図される。本明細書で使用する場合、その表現は、本発明によるオリゴチオフェン誘導体が、神経幹細胞に結合することができ、およびさらに、神経幹細胞に別の細胞よりも少なくとも10倍より強く、例えば、少なくとも50倍より強くまたは少なくとも100倍より強く結合することを意味することが意図される。オリゴチオフェン誘導体は、生理条件下で、例えば、インビボでタンパク質に選択的に結合することができる。相対的結合強度を測定する適切な方法は、競合アッセイまたはBIACORE(登録商標)分析(Bioacore International AB、スウェーデン国)を用いることを含む。
【0044】
神経幹細胞が本発明のオリゴチオフェン誘導体によって検出および同定される開示された方法および使用において、神経幹細胞のスコアリングが任意に使用され得る。スコアリングは半定量的であってもよく;例えば、複合体を形成する神経幹細胞へのオリゴチオフェン誘導体の結合は、0、1、2、3または4(一部の場合では、それぞれのレベルでプラス(またはマイナス)値、例えば、1+、2+、3+、4+を含む)とスコアリングされ、0は、検出できる複合体が実質的になく、3(または4+)は、最も高い検出された複合体形成である。このような方法では、対応する複合体形成の増加または減少は、適用される対照(例えば、標準値または対照試料)と比べてスコアにおける差として測定され;すなわち、対照について0のスコアと比べて試験試料における4+のスコアは、試験試料における複合体形成の増加を表し、対照について4+のスコアと比べて試験試料における0のスコアは、試験試料における複合体形成の減少を表す。
【0045】
神経幹細胞の選択的かつ特異的同定のための分子の開発は、分子生物学、医学およびバイオテクノロジーの分野内の広範な用途のための分析ツールとして使用されるそれらの大きな可能性のためにますます注目されるようになってきている。したがって、上に検討されたように、神経幹細胞を同定するためのより簡単でかつより感度がよい特異的標識が必要とされている。
【0046】
本発明は、このようなものとして有利である合成小分子色素を用いるが、その理由は、この色素が、より簡単で、さらに非常に感度がよくかつ特異的な手段および方法によって幹細胞を選択的に同定するように、化学的に目的に合わせて作ることができるからである。本明細書に示すとおりの化合物の明確な光学的シグナルによる神経幹細胞の特異的同定のためにこのような色素を用いる発光オリゴチオフェン誘導体および方法は、高く評価される。
上に明らかにされたように、本発明は、神経幹細胞および神経癌幹細胞の感度がよくかつ選択的な検出、同定、分離および単離のための手段および方法を提供する。
【0047】
神経癌幹細胞は、神経癌組織で見られる。神経癌の例は、グリア細胞腫である。グリア細胞腫は、脳または脊椎で発生する腫瘍の1つの型である。それはグリア細胞から生じるので、グリア細胞腫と呼ばれる。最も一般的なグリア細胞腫の部位は、脳である。
【0048】
グリア細胞腫は、最もよく似ている細胞の特定の型によって名付けられている。グリア細胞腫の主な型は以下である:
・上衣腫−上衣細胞
・星状細胞腫−星状膠細胞−多形性グリア芽細胞腫は、最も一般的な星状細胞腫である。
【0049】
・希突起グリア細胞腫−希突起グリア細胞
・混合グリア細胞腫(例えば、乏突起グリア細胞腫)は、種々のタイプのグリア由来の細胞を含む。
【0050】
グリア細胞腫は、治ることが困難である。良性である希突起グリア細胞腫およびグレードI星状細胞腫には、手術が利用できる。高グレードのグリア細胞腫の患者に対する予後は、一般に不良であり、特に高齢の患者にはそうである。悪性グリア細胞腫に関して年を追って診断された10,000人のアメリカ人の中で、診断1年後に約半分が生存しており、2年後は25%である。未分化星状細胞腫の患者は、約3年生き残る。多形性グリア芽細胞腫は、より悪い予後であり、診断後12カ月未満の生存である。
【0051】
脳グリア細胞腫に対する治療は、部位、細胞型および悪性度に依存する。しばしば、治療は、組み合わせた手法であり、手術、放射線療法、および化学療法を用いる。放射線療法は、外照射、または放射線手術を用いる定位固定手法の形態である。脊髄腫瘍は、手術および放射線で治療され得る。テモゾロミドは、血液脳関門を有効に横切ることができる化学療法薬であり、治療で用いられている。
【0052】
より具体的には、本発明は、神経幹細胞に特異的に結合するオリゴチオフェン誘導体を提供する。前記オリゴチオフェン誘導体は、少なくとも1個の神経幹細胞を含む試料に曝され、それにより、オリゴチオフェン誘導体と神経幹細胞とは相互作用し、複合体を形成し、前記複合体は、神経幹細胞上の結合に応じてオリゴチオフェン誘導体の発光の変化として検出できる。次いで、検出された発光の変化は、神経幹細胞を検出し、同定し、分離しまたは単離するために、そのさらなる用途で使用される。
【0053】
したがって、本発明は、神経幹細胞による選択的(特異的)取り込みを可能にする分子の化学的特性に基づき、ここで、該分子は、神経幹細胞内のタンパク質との相互作用で化学的および構造的特性に基づいて発光性になる。
【0054】
本発明は、神経幹細胞による選択的(特異的)取り込みを可能にする分子の化学的特性に基づき、ここで、該分子は、神経幹細胞内のタンパク質との相互作用における化学的および構造的特性に基づいて発光性になる。
【0055】
この相互作用は、共有結合なしに起こり、神経幹細胞上のオリゴチオフェン誘導体と分子モチーフとの間の、水素結合、静電的および非極性相互作用(以降、非共有結合と称される)に基づき、これは、本性は共有結合ではない任意の種類の結合をさらに含む。
【0056】
本発明は、オリゴチオフェン誘導体と神経幹細胞の特異的分子モチーフとの間の相互作用を利用し、これは、オリゴチオフェン誘導体の立体配置的な制限を誘導する。さらに、これらの立体配置的な制限は、オリゴチオフェン誘導体の光学特性を変化させ、オリゴチオフェン誘導体からの放射増強をもたらす。したがって、神経幹細胞は、オリゴチオフェン誘導体からの明確な増強された蛍光のために、容易に同定される。さらに、神経幹細胞内であって、他の細胞型内ではない分子標的(複数可)(神経幹細胞の特異的分子標的)に選択的に結合したオリゴチオフェン誘導体由来の前記放射スペクトルは、前記幹細胞の検出、同定、分離または単離に用いることができる。
【0057】
上に検討した特性を示すオリゴチオフェン誘導体の例は、p−HTMIおよびh−HTMI(図1a、式P1、およびb、式P2参照)であり、神経幹細胞の選択的同定に有用であることがわかったのに対して、同様の従来報告された接合されたポリチオフェンおよび接合された高分子電解質はこの特性を欠いている(例えば、Aslundら、ACS Chem.Biol.2009年、4、673〜684頁参照)。したがって、p−HTMIおよびh−HTMIの明確な側鎖官能基付与は、神経幹細胞に存在する分子標的との選択的相互作用に必要である。以下に続く本発明の詳細な説明は、オリゴチオフェン誘導体、幹細胞、および幹細胞の検出、同定、分離または単離のための方法を別個に扱う。本発明は、その有用性を実証するいくつかの実験によって最終的に例証される。
【0058】
オリゴチオフェン誘導体
本発明は、チオフェンまたはチオフェン誘導体由来のモノマー単位からなる、5〜10のモノマー単位の範囲の、明確な数のモノマーを有する、種々のオリゴチオフェン誘導体に関する。
オリゴチオフェン誘導体は、単分散であり、明確な鎖長を有するチオフェン鎖からなる。
【0059】
したがって、本発明による前記オリゴチオフェン誘導体は、1つ以上のチオフェン三量体単位からなる。三量体単位は、置換基を有するチオフェン、続いて非置換のチオフェン、および最後に、これらに続く、置換基を有する別のチオフェンからなる。
三量体構成単位(building block)は、他のチオフェン誘導体とも一緒に、様々な組合せで用いられ得る。
【0060】
さらに、オリゴチオフェン誘導体が、側鎖に接合されている場合、アニオン性、カチオン性または両性イオン性の側鎖官能基を有するモノマーが、さらなる実施形態において含まれる。側鎖官能基は、限定されるものではないが、アミノ酸、アミノ酸誘導体、神経伝達物質、単糖、核酸、またはこれらの組合せおよび化学的修飾された誘導体由来でもよい。
【0061】
さらなる実施形態において、上述のオリゴチオフェンは、磁気共鳴画像法(MRI)、放射ポジトロン共鳴画像法(EPRI)、ポジトロン放射断層撮影法(PET)または多光画像法を含む、多様な画像法装備に対して官能基化される。
【0062】
PET走査に用いられる放射性核種は、典型的には炭素−11(約20分)、窒素−13(約10分)、酸素−15(約2分)、およびフッ素−18(約110分)などの短い半減期を有する同位体である。これらの放射性核種は、神経幹細胞または神経癌幹細胞に結合する、本発明によるオリゴチオフェン誘導体に組み込まれる。このような標識化合物は、放射性トレーサーとして知られている。大部分の放射性同位体の短い半減期のために、放射性トレーサーは、PET画像法施設に近接しているサイクロトロンおよび放射化学実験室を使用して作製されなければならない。フッ素−18の半減期は、フッ素−18標識放射性トレーサーが、現場から離れた場所で商業的に製造することができるように十分長い。
【0063】
したがって、さらなる実施形態は、側鎖官能基が、例えば、アミノ酸、アミノ酸誘導体、神経伝達物質、単糖、核酸、またはこれらの組合せおよび化学修飾された誘導体であるものである。
本発明の接合されたオリゴチオフェン誘導体は、単一の側鎖官能基を含んでもよく、または2種以上の異なる側鎖官能基を含んでもよい。
【0064】
したがって、さらなる実施形態は、本発明のオリゴチオフェン誘導体が、側鎖に接合しており、ここで、該側鎖は、単一の側鎖官能基を含むか、または2個以上の異なる側鎖官能基を含むものである。
しかし、オリゴチオフェン誘導体および接合体、官能基などに関する当業者に明らかな他の例に限定することなく、例を本明細書に示す。
【0065】
したがって、本発明の1つの態様は、式(I)に記載のオリゴチオフェン誘導体を提供する:
【化9】

【0066】
式中、
3は、
【化10】

【0067】
から選択されてよく、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n=0〜3)から選択されてよく、
1およびR2は、それぞれ独立に、以下に示される5−クロロチオフェン−2−イル(1)、5−ブロモチオフェン−2−イル(2)、5−ヨードチオフェン−2−イル(3)、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群より選択される。
【化11】

【0068】
別の実施形態において、R1は、
【化12】

【0069】
であってよく、R1が、(iii)である場合、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n≧0)から選択されてよく、
4は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、以下に示される5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)から選択される。
【化13】

【0070】
さらなる実施形態において、R1が式(iii)である場合、R2は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、以下の式に示される5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)から選択されてよい。
【化14】

【0071】
さらなる実施形態は、式
【化15】

【0072】
を与えるものであり、R3は式(i)の通りであり、ここで、nは1であり、XはCH2であり、Y-は4−メチルベンゼンスルホネートであり、R1およびR2は、式5の通りである。
【0073】
なおさらなる実施形態は、式
【化16】

【0074】
に記載のものであり、R3は(i)であり、nは1であり、XはCH2であり、Y-は4−メチルベンゼンスルホネートであり、R1は(iii)であり、R2は水素である。
【0075】
本発明のオリゴチオフェン誘導体の薬学的に許容される塩もすべて、当然に、包含される。
【0076】
本発明によるオリゴチオフェン誘導体は、発光性であってもよい。したがって、さらなる実施形態は、本発明によるオリゴチオフェン誘導体が発光性であるものである。
【0077】
オリゴチオフェン誘導体は、前記オリゴチオフェン誘導体に、ある種の官能基を与えるために接合していてもよい。したがって、さらなる実施形態は、オリゴチオフェン誘導体が、オリゴチオフェン誘導体に、ある種の官能基を与え得る側鎖に接合しているものである。
【0078】
例としては、例えば、ポリエチレングリコールまたは他の適当なポリマーの共有結合による修飾、およびそれの使用である。
【0079】
共有結合による修飾のさらなる例は、通常は直径で<100nmの大きさのナノ粒子の本発明のオリゴチオフェン誘導体への結合である。
【0080】
本発明によるオリゴチオフェン誘導体は、検出可能部分によって直接または間接に標識され得ることが本明細書でさらに示される。直接に標識されるということによって、検出可能部分が、オリゴチオフェン誘導体に結合していることが意味される。間接に標識されるということによって、検出可能部分が、リンカー、例えば、二次または三次抗体などに結合していることが意味される。検出可能部分は、当業者に知られた、または本明細書で記載されるとおりの任意の部分またはマーカーであることができ、そのものとして、このような部分は、それが結合している分子の直接または間接の定量的または相対的測定を可能にするシグナルを発生させることができる。
【0081】
多種多様な検出可能部分、または標識、および接合(コンジュゲーション)技法が知られており、科学および特許文献の両方で広く報告されている。好適な標識には、放射性核種、酵素、基質、コファクター、阻害物質、蛍光剤、化学発光剤、磁性粒子などが含まれる。
【0082】
検出可能部分は、直接または間接に検出可能種の生成に関与する単一の原子または分子でもよい。任意に、検出可能部分は、例えば、以下に本明細書でさらに記載されるとおりの蛍光部分、酵素連結部分、ビオチン化部分および放射性標識化部分からなる群から選択される。「標識」によって、「検出可能部分」は、直接に(例えば、オリゴチオフェン誘導体中に一体化された蛍光分子)または間接に(例えば、二次、三次またはさらなる試薬、例えば、一体化された蛍光分子を有する抗体によって一次オリゴチオフェン誘導体に結合することによって)対象分子に結合させ得る任意の検出可能なタグが意味される。したがって、標識、マーカーまたは検出可能部分は、例えば、画像法によって可視化され得る任意のタグである。
【0083】
「検出可能部分」によって、本発明者らは、本発明のオリゴチオフェン誘導体または本発明の組成物を生体試料、例えば、組織試料、例えば、ヒト脳組織試料に与えた後に標的モチーフにある場合に、該部分は、インビトロまたはインビボで検出され得るものであるという意味をさらに含む。それは、検出可能部分が、シグナル生成性であり、およびそれはさらに都合よく、したがって、検出可能部分が検出され得、該部分の相対量および/または位置(例えば、組織試料上の位置)が決定され得る場合、さらなる実施形態に含まれることを含む。検出可能部分は、当技術分野で周知である。
【0084】
したがって、本発明のオリゴチオフェン誘導体または組成物は、例えば、生体試料のインビトロまたはインビボでの神経幹細胞の検出のための方法および使用によって、本明細書でさらに例証される方法において有用である。さらなる実施形態において、画像システムは、本明細書でさらに例示されるとおりに用いられる。
【0085】
好適な検出可能部分は、当技術分野で周知であり、これらの部分のオリゴチオフェン誘導体への結合または連結は、当技術分野でさらに周知である。検出可能部分のさらなる例は、酵素;酵素基質;酵素阻害剤;補酵素;酵素前駆体;アポ酵素;蛍光物質;顔料;化学発光化合物;発光物質;着色物質;磁性物質;または金属粒子、例えば、金コロイド;放射性物質、例えば、125I、131I、32P、3H、35S、18F、11Cまたは14C;リン酸化フェノール誘導体、例えば、リン酸ニトロフェニル、ルシフェリン誘導体、またはジオキセタン誘導体;などである。酵素は、脱水素酵素;酸化還元酵素、例えば、還元酵素または酸化酵素;官能基、例えば、アミノ;カルボキシル、メチル、アシル、もしくはリン酸基の転移を触媒する転移酵素;エステル、グリコシド、エーテル、またはペプチド結合などの結合を加水分解し得る加水分解酵素;脱離酵素;イソメラーゼ;またはリガーゼでもよい。酵素は、別の酵素に接合していてもよい。酵素は、酵素サイクリングによって検出され得る。例えば、検出可能標識が、アルカリホスファターゼである場合、測定は、適当な基質、例えば、ウンベリフェロン誘導体から生じた蛍光または発光を観測することによって行うことができる。ウンベリフェロン誘導体は、4−メチル−ウンベリフェリルホスフェートを含み得る。蛍光または化学発光標識は、フルオレセンイソチオシアネート;ローダミン誘導体、例えば、ローダミンBイソチオシアネートもしくはテトラメチルローダミンイソチオシアネート;ダンシルクロリド(5−(ジメチルアミノ)−1−ナフタレンスルホニルクロリド);ダンシルフルオリド;フルオレサミン(4−フェニルスピロフラン−2(3H)ly−(3yH)−イソベンゾフラン3,3y−ジオン);フィコビリタンパク質、例えば、フィコシアニンもしくはフィコエリトリン;アクリジニウム塩;ルミノール化合物、例えば、ルミフェリン、ルシフェラーゼ、もしくはイクオリン;イミダゾール類;シュウ酸エステル;希土類元素、例えば、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)もしくはサマリウム(Sm)のキレート化合物;またはクマリン誘導体、例えば、7−アミノ−4−メチルクマリンでもよい。標識は、ハプテン、例えば、アダマンティン、フルオレセンイソチオシアネート、またはカルバゾールであってもよい。ハプテンは、多価抗体または(ストレプ)アビジン含有部分と接触する場合、凝集体の形成を可能にさせ得る。検出可能部分のさらなる例には、限定されるものではないが、以下のもの:放射性同位体、例えば、3H、14C、35S、123I、125I、131I、99Tc、111In、90Y、188Re;放射性核種、例えば、11C、3H、18F、64Cu;蛍光標識、例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体、カルボシアニン;酵素標識;例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ;二次結合物質により認識される化学発光ビオチニル基および既定ポリペプチドエピトープ;例えば、ロイシンジッパー対配列;二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープまたはタンパク質タグ、炭水化物が含まれる。一部の実施形態では、標識は、潜在的な立体障害を低減させる様々な長さのスペーサーアームによって結合される。
【0086】
間接標識化では、さらなる分子または部分が、オリゴチオフェン誘導体−神経幹細胞、またはオリゴチオフェン誘導体−神経幹細胞複合体と接触させられる、またはそれらの場所で生成される。例えば、酵素などの検出可能部分は、本明細書で例証されるとおりの検出性オリゴチオフェン誘導体に結合することができるか、またはそれと会合し得る。次いで、シグナル生成分子は、複合体の場所で検出可能なシグナルを生成させ得る。例えば、適当な基質が供給される場合、酵素は、複合体の位置で目に見えるまたは検出可能な生成物を生成させ得る。
【0087】
間接標識化の別の例として、さらなる分子(これは、結合剤と呼ぶことができる)は、対象とする標的モチーフまたは対象とするオリゴチオフェン誘導体のいずれかに結合でき、複合体と接触することができる。さらなる分子は、シグナル生成性分子または検出可能部分を有し得る。さらなる分子は、互いに結合し得る分子または部分(例えば、ビオチン/アバジン分子)の対の一方でもよく、またはそれを含むこともでき、その場合には、検出抗体または検出分子は、その対の他方のメンバーを含むべきである。
【0088】
この系は、シグナル増幅を与える手段をさらに含み得る。シグナル増幅のための手段を有する結合剤の例は、本発明によるオリゴチオフェン誘導体、例えば、ビオチン化オリゴチオフェン誘導体(例えば、アビジン/ストレプトアビジンと接合した)またはブドウ球菌プロテインA(IgGに結合する)、プロテインG、デキストラン、アプタマー、プロテイン、ペプチド、小有機分子、天然化合物(例えば、ステロイド)、非ペプチドポリマー、または検出可能部分に接合した、もしくはしていない他の分子に特異的かつ効率的に結合する任意の他の分子である。
【0089】
本明細書で記載されるオリゴチオフェン誘導体は、貯蔵用に凍結乾燥され、および使用前に適当なキャリヤー中で再構成され得る。任意の適切な凍結乾燥法(例えば、スプレー乾燥、ケーク乾燥)および/または再構成手法を用いることができる。凍結乾燥および再構成は、様々な程度の活性消失をもたらし得ること、および使用レベルは、補償するために上方に調整されなければならないことがあり得ることは、当業者によって認識されよう。1つの実施形態において、凍結乾燥組成物は、再び水和される場合、その活性(凍結乾燥前)のわずか約20%、またはわずか約25%、またはわずか約30%、またはわずか約35%、またはわずか約40%、またはわずか約45%、またはわずか約50%を消失する。
【0090】
したがって、本明細書で明らかにされるとおりに、本発明の前記組成物は、本明細書で開示される任意のオリゴチオフェン誘導体、および本発明によるオリゴチオフェン誘導体のすべてについての、その薬学的に許容される塩であり、例えば、
a)式(I)に記載のオリゴチオフェン誘導体;
【化17】

【0091】
式中、
3は、
【化18】

【0092】
から選択されてよく、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n=0〜3)から選択されてよく、
1およびR2は、それぞれ独立に、以下の式に記載の5−クロロチオフェン−2−イル(1)、5−ブロモチオフェン−2−イル(2)、5−ヨードチオフェン−2−イル(3)、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択される:
【化19】

【0093】
b)式(I)に記載のオリゴチオフェン誘導体;
【化20】

【0094】
式中、R1は、
【化21】

【0095】
であり、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n≧0)から選択されてよく、
R2は、以下の式に記載の5−クロロチオフェン−2−イル(1)、5−ブロモチオフェン−2−イル(2)、5−ヨードチオフェン−2−イル(3)、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択される:
【化22】

【0096】
R3は、
【化23】

【0097】
から選択され、
4は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、以下の式に記載の5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択される:
【化24】

【0098】
ならびに
c)式(I)に記載のもの;
【化25】

【0099】
式中、R1は、式(iii)であり、
【化26】

【0100】
2は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、以下の式に記載の5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択され、
【化27】

【0101】
R3は、
【化28】

【0102】
から選択され、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n=0〜3)から選択されてよく、
R4は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、以下の式に記載の5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択される。
【化29】

【0103】
さらなる実施形態は、前記オリゴチオフェン誘導体が、式(I)に記載のオリゴチオフェン誘導体およびオリゴチオフェン誘導体のすべてについての、その薬学的に許容される塩である場合であり、
【化30】

【0104】
式中、
3は、
【化31】

【0105】
から選択されてよく、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n=0〜3)から選択されてよく、
1およびR2は、それぞれ独立に、以下の式に記載の5−クロロチオフェン−2−イル(1)、5−ブロモチオフェン−2−イル(2)、5−ヨードチオフェン−2−イル(3)、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択される。
【化32】

【0106】
さらなる実施形態は、前記オリゴチオフェン誘導体が、式(I)に記載のオリゴチオフェン誘導体およびオリゴチオフェン誘導体のすべてについての、その薬学的に許容される塩である場合であり、
【化33】

【0107】
式中、R1は、
【化34】

【0108】
であり、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n≧0)から選択されてよく、
R2は、以下の式に記載の5−クロロチオフェン−2−イル(1)、5−ブロモチオフェン−2−イル(2)、5−ヨードチオフェン−2−イル(3)、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択され、
【化35】

【0109】
R3は、
【化36】

【0110】
から選択され、
4は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、以下の式に記載の5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択される。
【化37】

【0111】
さらなる実施形態は、前記オリゴチオフェン誘導体が、式(I)に記載のものおよびオリゴチオフェン誘導体のすべてについての、その薬学的に許容される塩である場合であり、
【化38】

【0112】
式中、R1は、式(iii)であり、
【化39】

【0113】
ここで、R2は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、以下の式に記載の5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択され、
【化40】

【0114】
R3は、
【化41】

【0115】
から選択され、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n=0〜3)から選択されてよく、
4は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、以下の式に記載の5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択される。
【化42】

【0116】
組成物
本発明のさらなる態様は、組成物を提供する。前記組成物は、神経幹細胞または神経癌幹細胞の検出、同定、分離および単離のために使用され得る。
【0117】
さらなる実施形態において、神経幹細胞は、成人ヒト神経幹細胞などの成人神経幹細胞である。
【0118】
さらなる実施形態において、神経幹細胞は、胚神経幹細胞、例えば、ラット胚神経幹細胞または任意の他の齧歯動物の胚神経幹細胞である。なおさらなる実施形態において、胚神経幹細胞は、非ヒト胚神経幹細胞である。なおさらなる実施形態において、胚神経幹細胞は、ヒト胚神経幹細胞である。
【0119】
なおさらなる実施形態において、神経癌幹細胞は、成人神経癌幹細胞である。
【0120】
該組成物は、本発明によるオリゴチオフェン誘導体のいずれかを含む。
【0121】
本明細書に示す組成物は、緩衝剤をさらに含む。緩衝剤の例は、Tris−HClなどのTris−緩衝剤およびPBS−緩衝剤である。好適な緩衝剤が、入手可能でありおよび当技術分野で知られており、例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるCurrent Protocols in Immunology、およびCurrent Protocols in Molecular Biology、両方ともJohn Wiley and Sons,Inc.,N.Y.)に示される。
【0122】
緩衝剤へのさらなる添加物は、例えば、Tween(登録商標)20、BSA、アジ化ナトリウム、グリセロール、および水、ならびに約5.5から7.5、例えば、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、または7.5のpHでもよい。
【0123】
オリゴチオフェン誘導体およびその対応する組成物は、液体形態で提供される場合、「すぐ使える」形態で、または使用時に任意の適当な緩衝系に、使用前に、例えば、少なくとも1×10、1×20、1×30、1×40、1×50、1×60、1×70、1×80、1×90、1×100、1×150、1×200、1×250、1×300、1×350、1×400、1×450、1×500、1×550、1×600、1×650、1×700、1×750、1×800、1×900、1×1000、1×1200、1×1500、1×2000、1×3000、1×4000、1×5000、1×6000、1×7000、1×8000、1×9000、1×10000、および例えば、ここに示すもしくは当業者に明らかでもよい緩衝系などの間の範囲および値のすべてに希釈され得る濃縮形態で提供され得る。
【0124】
本発明によるオリゴチオフェン誘導体およびその対応する組成物は、単独でまたは神経幹細胞もしくは神経癌幹細胞を検出する他の手段と組み合わせて使用されてもよい。前記細胞は、哺乳類起源、例えば、齧歯動物(例えば、マウス、ラット、リス、ヤマアラシ、ビーバー、テンジクネズミ、およびハタネズミなど)、または非齧歯動物(例えば、ヤギ、ブタ、ネコ、ウシ、イヌ、またはヒトの細胞、例えば、成人ヒト神経幹細胞もしくは成人ヒト神経癌幹細胞)のものでもよい。本発明のオリゴチオフェン誘導体と組み合わせて神経幹細胞または神経癌幹細胞を検出する他の手段としては、例えば、神経幹細胞上の抗原に特異的に結合する抗体が挙げられる。このような抗体に基づく免疫法の一般プロトコルは、当技術分野で公知である(抗体:A Laboratory Manual、Harlow and Lane、Cold Spring Harbor Laboratory press、Cold Spring Harbor、NY 1988年、Current Protocols in Immunology、Unit21.4、2003年、およびCurrent Protocols in Molecular Biology、Unit 14.6、2001年、両方ともJohn Wiley and Sons,Inc.、N.Y.)。
【0125】
方法
本発明のさらなる態様は、生体試料中の神経幹細胞または神経癌幹細胞をインビトロまたはインビボで検出する方法であって、
a.前記試料を、本発明によるオリゴチオフェン誘導体もしくは本発明による少なくとも1つのオリゴチオフェン誘導体を含む組成物、または本発明による組成物と、少なくとも1つの神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を形成するのに十分な時間接触させるステップと、
b.前記神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を検出するステップと
を含む方法を提供する。
【0126】
該方法のさらなるステップは、検出された神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体の量を、正および/負の対照と比較し、それにより、該神経幹細胞を検出するステップを包含し得る。これは、通常は特定の実施例または実験構成における汚染のバックグラウンドレベルを設定し、負から正の汚染をスコアリングすることができ、該方法が、予想通りに行われたこと、および正の汚染が、前記神経幹細胞の真の検出であることを評価するために行われる。
【0127】
さらに、前記神経幹細胞は、神経癌幹細胞であってもよい。
さらに、神経幹細胞または神経癌幹細胞の数または量の変化が検出され得る。数または量の変化は、神経幹細胞もしくは神経癌幹細胞の増加、または神経幹細胞もしくは神経癌幹細胞の減少でもよい。
【0128】
さらに、正の対照は、神経幹細胞、神経癌幹細胞またはこれらの部分を含み得る。これらの部分は、細胞断片、溶解細胞などでもよく、ここでこれらの部分は、本発明のオリゴチオフェン誘導体または組成物がやはり結合するモチーフをさらに含む。
さらに、負の対照は、本発明のオリゴチオフェン誘導体または組成物がやはり結合する、神経幹細胞、神経癌幹細胞、またはこれらの部分を含み得ない。
【0129】
前記方法は、神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体、または神経癌幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体の量を任意にスコアリングするステップをさらに含み得る。スコアリングは、当技術分野で公知のまたは本明細書で記載される標準スコアリングシステムによって、検出された神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体、または神経癌幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体について行われ得る。
【0130】
神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体の検出は、細胞検出および本明細書でさらに記載される臨床画像法などの画像法の、当技術分野で周知の方法、ならびに当技術分野における、例えば、従来の蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、二光子励起顕微鏡、STEDなどを用いて達成され得る。必要とされる具体的な方法は、オリゴチオフェン誘導体の特有の発光性および/または本発明のオリゴチオフェン誘導体に結合した検出可能な標識/結合体の種類に依存する。
【0131】
手術による脳腫瘍の除去後、本発明によるオリゴチオフェン誘導体は、残存する神経癌幹細胞を検出するために使用され得る。腫瘍除去後に現れる空洞に本発明によるオリゴチオフェン誘導体を適用することにより、脳腫瘍が除去された空間と接触させることによって、これは行われ得る。腫瘍があった脳における空洞に本発明によるオリゴチオフェン誘導体をブラシ掛けまたは同様に適用することによって、オリゴチオフェン誘導体は加えることができる。したがって、適用されたオリゴチオフェン誘導体は、脳における腫瘍の除去後に残された空洞中の−もしあれば−残存神経癌幹細胞を検出する。
【0132】
インビボでの組織または細胞の非侵襲的測定および検出のためにいくつかの手法が開発されてきた。これらの手法は概して、様々な組織または個別の細胞の画像を生成させる核医学の技術を用いてきた。このような非侵襲的画像法は、ポジトロン放射断層撮影法(PET)および単光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)を含む。多種多様な放射性医薬品が、PETおよびSPECT画像法研究で成功裏に用いられてきた。
【0133】
したがって、例えば、グリア細胞腫などの脳腫瘍を除去する手術の有効性を迅速かつ非侵襲的に評価する、または治療を受けている各患者における化学療法剤の1つまたは組合せに対するインビボでの脳腫瘍の有効性および応答を検出することができることは、臨床業務において非常に価値がある。化学療法の開始後の腫瘍応答の定量的測定に基づいて治療の転帰を予測することができることも非常に価値がある。療法の開始後の早期のおよび頻繁なモニタリングによって与えられる迅速なフィードバックは、癌専門医が、選択した治療計画の有効性を確認すること、およびその疾患が適切に応答していない場合にそれを修正することを可能にさせる。組織応答の非侵襲的評価を用いると、特定の治療計画の有効性を決定するのに必要な時間もはっきりと減少させ、癌がその間に増殖または転移してしまう危険性を低下させることができる。
【0134】
したがって、さらなる実施形態は、PETが、腫瘍の除去後に前記空洞における残存神経癌幹細胞を検出するために使用され得るものである。
したがって、さらなる実施形態は、神経癌幹細胞の検出が、齧歯動物、例えば、ラットもしくはマウス、またはヒトなどの対象の専用PETスキャナーを用いて、PETによって行われるものである。PETスキャニングは非侵襲的であるが、それは、電離放射線への曝露をやはり伴うものである。放射線の総線量は、わずかではなく、通常約11mSvである。
【0135】
PETへの代替としてさらなる実施形態において有用なスキャニングの代替的方法には、X線コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)および機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、超音波および単光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)が含まれる。
【0136】
ここに示す方法は、手作業で、または好ましくは自動装置で行われ得る。
したがって、1つの実施形態において、本方法は、手作業で行われる。
さらなる実施形態において、本方法は、自動装置で行われる。
【0137】
一般に、色素は、小さいプラスチック製チューブに保存され、例えば、細胞培養物もしくは細胞試料、溶液中の細胞である生体試料におよび/または組織に、ピペットで直接適用される。5〜60分間(通常は約10分間)のインキュベーション後、神経幹細胞または神経癌幹細胞は、様々な従来の顕微鏡でおよび細胞選別の応用、例えば、蛍光補助細胞選別(例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)など)で容易に検出可能である。調節はまったく要らず、手順のすべては、通常の実験室において室温で行うことができる。
【0138】
ここに示す方法は、組織マイクロアレイで使用され得る。組織マイクロアレイも、当技術分野で公知であり、かつ記載されている。典型的には、組織マイクロアレイは、単一のスライド上に50から500の組織を典型的に含み得る。
【0139】
本発明によって、組織試料および組織片、例えば、外植片を選別するのに有用な自動染色装置の例は、限定されるものではないが、Dako Autostainer(DakoCytomation)、BioGenex 16000(商標)(Biogenex)、Nemesis(商標)(BIOCARE)、およびNexES,Benchmark,Capilary gp染色装置(Ventana systems)が含まれるべきものである。次いで、試料は、視覚化、検出、場合によるスコアリングおよびさらなる解析に備える。
【0140】
本発明による方法は、自動染色装置上で行われる方法でもよい。
なおさらなる実施形態に置いて、本方法は、手作業で行われる。
染色されるべき組織切片は、約5〜100μm、例えば、10〜40μmであることが多く、すなわち、組織切片は、免疫組織化学などの組織学分析に通常用いられる。
しかし、組織切片は、組織片または外植片のように、より厚く、約100μmを超えるまたはそれ以上であってもよい。
【0141】
検出は、スコアリングによって神経幹細胞または神経癌幹細胞を手作業で見て、検出するために、例えば、病理学者または医師もしくは同等に訓練されたスタッフの誰でもによって手作業で行われ得る。
したがって、さらなる実施形態は、検出が、例えば、顕微鏡において、例えば、スコアリングすることによって手作業で行われるものである。
検出はさらに、画像解析によって行われ得る。本発明によって有用な好適な画像解析装置は、当技術分野で公知であり、および本明細書で例示もされる。
したがって、さらなる検出は、インビボ、インサイチュまたはインビトロで画像解析によって行われ得る。
【0142】
なお、本発明のさらなる態様は、神経幹細胞を生体試料中の他の生体物質から分離する方法であって、
a.前記試料を、本発明によるオリゴチオフェン誘導体または本発明による組成物と、少なくとも1つの神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を形成するのに十分な時間接触させるステップと、
b.前記神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を検出するステップと、
c.前記検出された神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を分離し、それにより神経幹細胞を分離するステップと
を含む方法を提供する。
【0143】
さらに、前記神経幹細胞は、神経癌幹細胞であってもよい。
神経幹細胞または神経癌幹細胞はさらに、成人神経幹細胞または成人神経癌幹細胞であってもよい。
【0144】
該方法は、前記神経幹細胞または神経癌幹細胞、例えば、成人神経幹細胞または成人神経癌幹細胞などを単離するステップをさらに含み得る。
神経幹細胞の分離は、同定された神経幹細胞または神経癌細胞を分離するための単離ステップが続き得る選択ステップでもよい。当業者に知られた様々な技術を用いて、神経幹細胞以外の系統に捧げられた細胞を最初に除去することによって細胞を分離することができる。しばしば、このような方法は、密度遠心分離、および系統特異的抗体を用いる種々の免疫法に基づく。
【0145】
したがって、分離に関して、本発明によるオリゴチオフェン誘導体は、固体支持体に結合して、前記神経幹細胞または神経癌幹細胞、例えば、成人神経幹細胞または成人神経癌幹細胞などの高度に特異的な分離を可能にさせ得る。用いられる分離のための特定の操作、例えば、遠心分離、機械的分離(例えば、カラム、膜)または磁気的分離は、収集される画分の生存率を最大にすべきである。異なる効力の様々な技術を用いることができ、かつそれらは当業者に周知である。用いられる特定の技術は、分離の効率性、方法論の細胞毒性、動作の容易さおよび速度、ならびに精巧な装置の必要性および/またはその技術を用いるスタッフの技術的熟練に依存する。
【0146】
本発明によるオリゴチオフェン誘導体を用いる細胞懸濁液からの神経幹細胞または神経癌幹細胞の分離の操作には、例えば、オリゴチオフェン誘導体でコーティングされた磁気ビーズを用いる磁気的分離、本発明によるオリゴチオフェン誘導体に基づくアフィニティークロマトグラフィー、および固体マトリックス、例えば、プレートに結合したそのオリゴチオフェン誘導体の「パンニング」、または他の便利な技術が含まれ得る。磁気的細胞選別は、当業者に周知であり、かつ例えば、HaukanesおよびKvam(1993年)Biothechnology11(1):60〜63頁、ならびにQuiriciら(2002年)Exp.Hematol 30:783〜791頁に記載されている。
【0147】
したがって、正の選択において用いられる本発明によるオリゴチオフェン誘導体は、固相に連結される。用いられるべき固相の例は、タンパク質Aまたはタンパク質G、活性化ビーズ、例えば、アガロースビーズ、架橋アガロースビーズ、ポリアクリルアミドビーズ、ポリアクリルアミドとアガロースビーズまたはポリアクリル酸ビーズとのコポリマーである。
【0148】
固相は、ビーズであってもよい。ビーズは、例えば、例えば、カルボニルジイマダゾール、シアノゲンブロミドによって、ならびに当業者に周知なおよび参照により本明細書に含まれるHarlowおよびLane、1988年によってさらに例証された他の同様な方法によって活性化される。
さらに、固相は、磁気ビーズであってもよい。次いで、細胞は、磁気的細胞選別、例えば、MACS(登録商標)システムを用いて選別され得る。
【0149】
正確な分離を与える技術は、当業者に公知の、様々な精巧さの程度、例えば、複数のカラーチャネル、光散乱検出チャネル、インピーダンスチャネルなどを有し得る、本発明によるオリゴチオフェン誘導体を用いた蛍光活性化細胞選別機を含む。
単離は、機械的手段、例えば、パンニング、ビーズまたはアフィニティーカラムなどによってさらに行われ得る。
単離は、FACSなどのフローサイトメトリー手段でさらに行われ得る。
【0150】
段階的な単離および分離が行われ得る。例えば、細胞集団などの、神経幹細胞または神経癌幹細胞の第1の豊富化ステップが行われる。この最初の選択は、神経幹細胞の負の選択であってもよく、すなわち、他の系統に関係した細胞は、細胞の当初の集団から削除され、または除去される。
前記第1の豊富化は、神経幹細胞の所望の純度が得られるまで反復され得る、神経幹細胞または神経癌幹細胞の正の選択でもよい。
【0151】
神経幹細胞または神経癌幹細胞は、脳組織試料、例えば、成体哺乳動物の脳、例えば、齧歯動物の脳(マウスまたはラット)またはヒトの脳から単離され得る。代替として、神経幹細胞は、哺乳動物、例えば、齧歯動物またはヒトからの胚幹(ES)細胞または人工多能性(iPS)細胞由来でもよい。
【0152】
本方法は、オリゴチオフェン誘導体に結合している細胞を回収し、それにより、他の系統の汚染細胞を実質的に含まない、例えば、他の系統の汚染細胞を90%、95%、99%またはさらに100%含まない、神経幹細胞または神経癌幹細胞の集団を作ることを任意にさらに含み得る。
【0153】
本発明のさらなる態様は、本発明によるオリゴチオフェン誘導体を合成する方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、神経幹細胞をインビトロ、インサイチュまたはインビボで検出し、同定し、選択しおよび単離するための、本発明によるオリゴチオフェン誘導体または本発明による組成物の使用である。
【0154】
本発明のオリゴチオフェン誘導体または組成物を用いて神経幹細胞の存在または不存在を解析するデータ解析は、オリゴチオフェン誘導体、またはオリゴチオフェン誘導体に直接または間接に接合した任意の他の手段からの発光のシグナル強度(例えば、ピークの強度)を決定するステップ、および「異常値」(所定の統計的分布から外れているデータ)を除去するステップを含み得る。例としては、ある基準に対する各ピークの強度が計算されるプロセスである、ピークの規格化がある。例えば、基準は、目盛りでゼロと設定される、装置および/または化学物質(例えば、エネルギー吸収性分子)によって生じたバックグラウンドノイズでもよい。次いで、それぞれの神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体または神経癌幹細胞−オリゴチオフェン誘導体について検出されたシグナル強度は、所望の目盛り(例えば、100)における相対強度の形式で表示され得る。ある実施形態において、所与のピークについて観察されたシグナルは、比の範囲を課すために、そのピークの強度の、特定の物質におけるピークおよびバックグラウンドノイズの両方についての全体の実測シグナルの合計に対する比として表し得る。ある実施形態において、標準は、標準からのピークが、検出された各タンパク質について実測されたシグナルの相対強度を計算する基準として用いることができるように、試料によって受け入れることができる。
【0155】
得られたデータは、典型的にはコンピュータアルゴリズムを用いて、表示するために様々なフォーマットに変換され得る。上記表示フォーマットのいずれかを用いて、前記神経幹細胞または神経癌幹細胞が試料中で検出されるかまたはされないかどうかを、シグナル表示から容易に決定することができる。
【0156】
キット
さらなる態様は、
a.本発明によるオリゴチオフェン誘導体または本発明による組成物、および
b.任意に、該オリゴチオフェン誘導体または該組成物を使用するための説明書
を含むキットを提供する。
【0157】
本発明のさらなる態様は、神経幹細胞または神経癌幹細胞をインビトロ、インサイチュまたはインビボで検出するキットであって、
a.本発明によるオリゴチオフェン誘導体または本発明による組成物、および
b.任意に、該オリゴチオフェン誘導体または該組成物を使用するための説明書
を含むキットを提供する。
【0158】
本発明のさらなる態様は、神経幹細胞または神経癌幹細胞を分離するキットであって、
a.本発明によるオリゴチオフェン誘導体または本発明による組成物、および
b.任意に、該オリゴチオフェン誘導体を使用するための説明書
を含むキットを提供する。
【0159】
したがって、本明細書で明らかにされるように、本発明の前記組成物は、本明細書で開示されるいずれかのオリゴチオフェン誘導体であり、例えば、以下からなる群および本発明によるオリゴチオフェン誘導体のすべてについての、その薬学的に許容される塩からなる群より選択されるものである:
a)式(I)に記載のオリゴチオフェン誘導体;
【化43】

【0160】
式中、R3は、
【化44】

【0161】
から選択されてよく、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n=0〜3)から選択されてよく、
1およびR2はそれぞれ、独立に、式
【化45】

【0162】
に記載の、5−クロロチオフェン−2−イル(1)、5−ブロモチオフェン−2−イル(2)、5−ヨードチオフェン−2−イル(3)、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)から選択されてよい;、
b)式(I)に記載のオリゴチオフェン誘導体;
【化46】

【0163】
式中、R1は、
【化47】

【0164】
であり、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n≧0)から選択されてよく、
2は、式
【化48】

【0165】
に記載の、5−クロロチオフェン−2−イル(1)、5−ブロモチオフェン−2−イル(2)、5−ヨードチオフェン−2−イル(3)、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)から選択され、
R3は、
【化49】

【0166】
から選択され、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n=0〜3)から選択されてよく、
4は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、式
【化50】

【0167】
に記載の、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択される:
c)式(I)に記載のもの;
【化51】

【0168】
式中、R1は、式(iii)であり、
【化52】

【0169】
ここで、R2は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、式
【化53】

【0170】
に記載の、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択され、
R3は、
【化54】

【0171】
から選択され、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n=0〜3)から選択されてよく、
R4は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、式
【化55】

【0172】
に記載の、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択される。
【0173】
本発明によるキットは、前記神経幹細胞または神経癌幹細胞を単離するための手段をさらに含み得る。
さらに、前記キットは、正または負の対照試料、例えば、神経幹細胞または神経癌幹細胞を発現させるためまたは発現させないための公知の細胞系または組織を含み得る。対照試料の例には、限定されるものではないが、脳(ヒト脳など)由来の正常細胞または組織、神経幹細胞由来または神経癌幹細胞由来の細胞系が含まれる。さらなる実施形態において、脳細胞または細胞系は、成体由来のものである。
【0174】
一部の実施形態では、キットは、例えば、本発明によるオリゴチオフェン誘導体または本発明による組成物の使用の手段、検出手段、または特定の試薬のための使用の手段を開示する説明資料を含む。説明資料は、電子形態(例えば、コンピュータディスケットまたはコンパクトディスク)で書かれていてもよく、または視覚的(例えば、ビデオファイル)であってもよい。キットは、キットが設計されている特定の利用を促進する追加の要素も含み得る。したがって、例えば、キットは、特定の開示された方法の実施に日常的に用いられる緩衝剤および他の試薬を含み得る。このようなキットおよび適切な内容物は、当業者に周知である。
キットは、少なくとも1回のアッセイに十分な量で、本発明によるオリゴチオフェン誘導体または本発明による組成物を別個に包装した試薬としてさらに含み得る。
【0175】
包装試薬の使用のための説明書も典型的には含まれる。このような説明書には典型的には、試薬濃度を記載する具体的は表現および/または少なくとも1回のアッセイ法のパラメータ、例えば、混合される試薬および試料の相対量、試薬/試料混合物のための維持期間、温度、緩衝条件などが含まれる。
ある種のキットの実施形態は、運搬手段、例えば、箱、袋、小型かばん、プラスチック製カートン(成形プラスチックまたは他の透明包装など)、ラッパー(密封されたまたは密封可能なプラスチック、紙、または金属製ラッパー)、またはその他の容器が含まれ得る。
【0176】
いくつかの例において、キット製品は、単一の包装単位、例えば、箱またはその他の容器に入れられ、この包装単位は、キットの1つ以上の要素をその中に入れることができる区画を有し得る。他の実施例において、キットは、1つ以上の容器、例えば、試験される1つ以上の生体試料を保持し得る、例えば、バイアル、チューブなどを含む。
【0177】
他のキットの実施形態には、例えば、生体試料を取り扱い、収集しおよび/または処理するのに有用でもよい注射器、綿棒、またはゴム手袋を含む。キットは、例えば、ドロッパー、注射器などを含む、生体試料を1つの場所から別に移動させるのに有用な器具も任意に含み得る。さらに他のキットの実施形態は、使用されたまたはもはや必要とされない品目(例えば、被検試料など)を廃棄するための廃棄手段を含み得る。このよう廃棄手段には、限定されるものではないが、廃棄物質からの漏洩を封じ込めることができる容器、例えば、プラスチック製、金属製またはその他の不透過性の袋、箱または容器が含まれ得る。
【0178】
次に、本発明の特定の態様を具体化する非限定的な例を説明する。
【実施例】
【0179】
例1
未分化未熟神経幹細胞ならびに分化およびより成熟した神経細胞の染色
細胞培養およびプレート準備
NSCを、時間調節した妊娠Sprague−DawleyラットのE15.5胎児の大脳皮質から解離および単離した。制度上および国のガイドライン[倫理許可第N310/05号(Ethical permit no.N310/05)]に従って動物を処置した。
組織培養プレートを、最初に15μg/mlのポリ−1−オルニチン(Sigma−Aldrich)で1時間コーティングし、次いで、PBSで3回すすぎ洗いした。
次に、そのプレートを、1μg/mlのフィブロネクチン(Sigma−Aldrich)で1時間コーティングし、次いで、PBS中で1回すすぎ洗いした。
【0180】
ラット神経幹細胞(NSC)の染色
6−ウェルプレートに、補給剤を有する血清を含まないDMEM:F12(Invitron)および10ng/mlのFGF2(R&D systems)中、神経幹細胞を、さらなる刺激24時間前にプレーティングした(40000個細胞/ウェル)。
次いで、細胞を、10ng/mlのFGF2、10ng/mlのCNTF(R&D systems)、10%FBS(Invitrogen)、1mMのVPA(Sigma)で、または追加因子(N2媒体)なしで3日間刺激した。
可溶性因子の添加を24時間ごとに行い、媒体を48時間ごとに変えた。P−HTMIを、各ウェルに直接、1:500の希釈で与え、検出を蛍光顕微鏡で10分後に行った。
p−HTMIは、緑色の蛍光タンパク質に共通の波長で化学発光を生じた。
【0181】
結果
強い緑色のシグナルが、細胞の細胞質において蓄積されて、未分化未熟幹細胞で得られたのに対して、分化したおよびより成熟した細胞は、かなり低いシグナルを示したか、またはシグナルをまったく示さなかった。
【0182】
BMP4およびWnt3で処理したNSC
神経幹細胞をまた、10ng/mlのBMP4および10ng/mlのWnt3a(R&D Systems)で14日間処理し、次いで、P−HTMIで染色した。成熟ニューロンは、非常に弱い染色性を示した。
【0183】
結果
P−HTMIは、緑色の蛍光タンパク質に共通の波長で化学発光を生じた。
強い緑色のシグナルが、細胞の細胞質で蓄積されて、未分化未熟幹細胞で得られたのに対して、分化したおよびより成熟した細胞は、かなり低いシグナルを示したか、または検出可能なシグナルをまったく示さなかった。
神経幹細胞をまた、細胞外増殖因子BMP4およびWnt3aで14日間処理して、成熟および機能的ニューロンへの分化を誘導し、次いで、上記のとおりにp−HTMIで染色した。成熟ニューロンは、非常に弱い染色性を示した。
NSC(FGF): 5+
星状細胞(CNTF): 2
ニューロン(VPA): 2+
ニューロン(BMP4/Wnt3a): 2
平滑筋細胞(FBS): 1
例2
マウス胚幹(ES)細胞由来のNSCの染色
胚幹(ES)細胞系を標準的プロトコルに従って増殖させた。ES細胞由来のNSCは、変性N2ならびにEGFおよびFGG−2の両方とも10ng/mlで補給したNS−A媒体(NSC拡張媒体)中コーティングされていないプラスチック上に接着性神経分化培養物(典型的にはT75フラスコ中に2〜3×106個の細胞)を7日目に再プレーティングすることによって生じさせた。3〜5日間にわたって、細胞は、収穫し、および破片を除去するための沈降後、新鮮なプラスチックにその後に付着し、NSCよりも大きくなった凝集体を形成した。分化する接着性培養物への0.5μg/mlのピューロマイシンの7日目における添加後、46C−NS細胞が生じた。ピューロマイシン不存在下でEGFおよびFGF−2の両方とも10ng/mlを有するN2B27媒体中、コーティングされていないT75フラスコ中に、3日後に細胞を再プレーティングした。クローン系を誘導するために、単細胞を限界希釈法によって96−ウェルのマイクロウェル中にプレーティングし、ウェル当たり1個の細胞の存在を、プレーティング1時間後にスコアリングした。
【0184】
結果
強い緑色のシグナルが、細胞の細胞質で蓄積されて、未分化の未成熟神経幹細胞で得られたのに対して、未分化ES細胞は、かなり低いシグナルを示したか、またはシグナルをまったく示さなかった。
【0185】
例3
ラットC6グリア細胞腫の染色
C6グリア細胞腫は、グリア細胞腫細胞のモデルシステムとして用いられたラット細胞系である。この細胞を、10%FBSで補給したDMEM媒体(Invitrogen)中で増殖させた。
維持のために、C6グリア細胞腫細胞を75cm2フラスコ中で増殖させた。
実験前に、細胞を分割し、6−ウェルプレートにプレーティングした(40000個細胞/ウェル)。P−HTMI(1:500)で染色した場合、細胞の1〜2%が明らかに染色されたのに対して、98〜99%は、染色されないままであった。細胞の1〜2%は、グリア細胞腫培養物中のいわゆる癌幹細胞の推定比率である。
【0186】
例4
神経幹細胞として培養されたラットC6グリア細胞腫の染色
C6グリア細胞腫細胞を、ポリ−1−オルニチンおよびフィブロネクチンで予めコーティングされたプレート上で、NSCについてと同じプロトコルで培養し、次いで、補給剤を有するN2媒体中で増殖させた。
細胞を、6−ウェルプレートに、補給剤および10ng/mlのFGF2(R&D systems)を有する、血清を含まないDMEM:F12(Invitrogen)中さらなる刺激の24時間前にプレーティングした(40000個細胞/ウェル)。次いで、細胞を、10ng/mlのFGF2、10ng/mlのCNTF(R&D systems)、10%FBS(Invitron)、1mMのVPA(Sigma)で、または追加因子(N2媒体)なしで3日間刺激した。
可溶性因子の添加を24時間ごとに行い、媒体を48時間ごとに変えた。P−HTMIを、各ウェルに直接、1:500の希釈で与え、検出を蛍光顕微鏡で10分後に行った。
【0187】
結果
P−HTMIは、緑色の蛍光タンパク質に共通の波長で化学発光を生じた。強い緑色のシグナルが、細胞の細胞質で蓄積されて、未分化未熟幹細胞で得られたのに対して、分化したおよびより成熟した細胞は、かなり低いシグナルを示したか、またはシグナルをまったく示さなかった。FGF2中で増殖させた細胞はすべて、分化媒体中の細胞と比べて、強い染色性を示した。
【0188】
例5
ヒトグリア細胞腫細胞の染色
患者(ヒト)由来のヒトグリア細胞腫細胞を、グリア細胞腫をインビトロで研究するために用いる。細胞を、10%FBSで補給したDMEM媒体(Invitrogen)中で増殖させた。維持のために、C6グリア細胞腫細胞を75cm2フラスコ中で増殖させた。実験前に、細胞を分割し、6−ウェルプレートにプレーティングした(40000個細胞/ウェル)。
【0189】
結果
P−HTMI(1:500)で染色した場合、細胞の1〜2%が明らかに染色されたのに対して、98〜99%は染色されないままであった。細胞の1〜2%は、グリア細胞腫培養物中いわゆる癌幹細胞の推定割合である。
【0190】
例6
NSCとして培養したヒトグリア細胞腫細胞の染色
患者由来のヒトグリア細胞腫細胞を、ポリ−L−オルニチンおよびフィブロネクチンで予めコーティングされたプレート上で、NSCについてと同じプロトコルで培養し、次いで、補給剤を有するN2媒体中で増殖させた。
細胞を、6−ウェルプレートに、補給剤および10ng/mlのFGF2(R&D systems)を有する、血清を含まないDMEM:F12(Invitrogen)中さらなる刺激の24時間前にプレーティングした(40000個細胞/ウェル)。
次いで、細胞を、10ng/mlのFGF2、10ng/mlのCNTF(R&D systems)、10%FBS(Invitron)、1mMのVPA(Sigma)で、または追加因子(N2媒体)なしで3日間刺激した。
可溶性因子の添加を24時間ごとに行い、媒体を48時間ごとに変えた。P−HTMIを、各ウェルに直接、1:500の希釈で与え、検出を蛍光顕微鏡で10分後に行った。
P−HTMIは、緑色の蛍光タンパク質に共通の波長で化学発光を生じた。
【0191】
結果
強い緑色のシグナルが、細胞の細胞質で蓄積されて、未分化で未成熟の幹細胞で得られたのに対して、分化し、より成熟した細胞は、かなり低いシグナルを示したか、またはシグナルをまったく示さなかった。
FGF2で増殖させた細胞はすべて、分化媒体中の細胞に比べて、強い染色性を示した。
【0192】
例7
p−HTMIで染色された神経幹細胞の二光子励起顕微鏡検査
P−HTMIの放射および透過の波長を、二光子励起顕微鏡検査において特徴付けした。
NSCを35mmプレート中で増殖させ(40000個細胞/プレート)、10ng/mlのFGF2で48時間処理した。細胞を染色する前に、バックグラウンドシグナルをなくすために、媒体を、フェノールレッドを含まないDMEM:F12媒体(Invitrogen)に変えた。
生存細胞を見つけるために、P−HTMI(1:500)と一緒にCellTracker(Invitrogen)を与え、赤色(CellTracker)および緑色(P−HTMI)の2重の染色をもたらした。これは、P−HTMI染色が、他の種類のバイオマーカーの同時検出と組み合わせ得ることを実証する。
【0193】
例8
p−HTMIで染色した神経幹細胞のFACS−選別
ラット胚(15:5)NSCを35mmプレート中で増殖させ(40000個細胞/プレート)、10ng/mlのFGF2で48時間処理した。
細胞を染色する前に、バックグラウンドシグナルをなくすために、媒体を、フェノールレッドを含まないDMEM:F12媒体(Invitrogen)に変えた。プレートをP−HTMIとともに10分間、次いで、HANKSで5分間インキュベートした。次いで、細胞をこすり取り、FACS機を通して流した。解析は、CellQuestソフトウェアを備えたFACSCaliburフローサイトメーター上で行った(Becton Dickinson)。
【0194】
結果
結果を図2に示す。
【0195】
図2は、神経幹細胞のFACS染色および選別のヒストグラムを示す。図2Aは、化合物が添加されていない対照を示す。
図2Bは、化合物1(神経幹細胞または神経癌幹細胞に結合しない、Stalker 2)を用いた染色を示す。
図2Cは、化合物2(p−HTMI、Stalker 1)の神経幹細胞への結合を示す。
図2Dは、化合物1および化合物2の混合物の神経幹細胞への染色を示し、最も右側のピークとして化合物2の前記細胞への強い結合を示す。
図2Eは、対照および化合物1(神経幹細胞に結合しない)のオーバーレイヒストグラムを示し、図2Fは、化合物2(神経幹細胞に結合する、右側ピーク)および左側ピークの対照のオーバーレイヒストグラムを示す。
【0196】
例9
オリゴチオフェン誘導体p−HTMIの合成
以下に、合成反応、P1(p−HTMI)を生成するステップ1〜5の概略を示す。
【化56】

【0197】
一般法
溶媒および試薬は、化学薬品供給業者(Sigma Aldrich Co、Merck Sharp & Dohme CoまたはFrontier Scientific Co)から供給されたまま使用した。有機抽出物は、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、真空中40℃で濃縮した。3−チオフェン酢酸、2−チオフェンボロン酸およびPEPPSI(商標)−IPr([1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロリド)は、Sigma−Aldrich Coから市販されている。5−(ジヒドロキシボリル)−2−チオフェンカルボン酸は、Maybridge(登録商標)から入手した。マイクロ波反応は、SmithCreator 482マイクロ波反応器で行った。NMR−スペクトルは、Varian 300MHz装置で記録した。化学シフトは、Gottliebらに従って基準として溶媒残留ピークによって帰属させた。TLCは、UV−照射(l=254nmおよび366nm)を用い、および視覚化のためにエタノール/硫酸/pアニスアルデヒド/酢酸90:3:2:1で焦がすMerckプレコート60F254プレートで行った。フラッシュカラムクロマトグラフィー(FC)は、シリカゲル60(0.040〜0.063mm、Merck)を用いて行った。勾配HPLC−MSは、移動相として0.1%ギ酸を含むアセトニトリルおよび0.1%ギ酸を含む脱イオン水を用いて、Gilsonシステム(カラム:Phenomenex C−18 250×15mmおよびPhenomenex C−18 150×4.6mm(それぞれ、分取および分析運転のため);ポンプ:Gilson gradient pump 322;UV/VIS−検出器:Gilson 155;MS検出器:Thermo Finnigan Surveyor MSQ;Gilson Fraction Collector FC204)で行った。MALDI−TOF MSは、マトリックスとしてa−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸マトリックス(CHCA)または2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB)を用いて線形ポジティブモードで記録した。
【0198】
1の合成
2−(3−チエニル)エタノール(4.00g、31.20mmol)をCHCl3/AcOH(1:1、90ml)に溶解させ、0℃に冷却した。
この混合物に、N−ヨードスクシンイミン(7.37g、32.76mmol)を添加し、2時間後にさらにN−ヨードスクシンイミン(1.4g、6.22mmol)を添加した。
1時間後、この混合物を水(250ml)で希釈し、有機相を10%−硫酸ナトリウム(2×70ml)および水(2×70ml)で洗浄した。
フラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン/DCM)により、生成物2(2.08g、8.19mmol)を得た。TLC(トルエン/酢酸エチル 4:1)Rf=0.37。
【0199】
1H NMR(CDCl3δ:1.45(t,2H)、3.80(t,2H)、6.78(d,1H J=6Hz)、7.46(d,1H,J=6Hz)
13C NMR(CDCl3)δ:35.5、62.5、75.6、128.5、131.0、143.3。
【0200】
2の合成
上記ステップ由来の1(0.050g、0.197mmol)、2’−(2,5−チオフェン)ビス[4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン](0.034g、0.101mmol)およびK2CO3(0.024g、0.172mmol)を、アルゴン雰囲気下で溶媒(2ml)に溶解させた。
10分後、この混合物にpeppsi(0.004g、0.001mmol)を添加し、この溶液をアルゴン中5分間通気した。
この混合物を80℃で10分間マイクロ波照射した。
生成物を、ろ過し、蒸発させ、メタノールに溶解させ、その後、フラッシュカラム(トルエン/酢酸エチル 1:1)で精製し、生成物2(0.165g、0.491mmol)を得た。
TLC(トルエン/酢酸エチル 2:1)Rf=0.17。
【0201】
3の合成
生成物2(0.816g、2.42mmol)を、CHCl3/酢酸(30mL、1/1)に溶解させ、0℃に冷却した。
N−ブロモスクシンイミド(0.906g、5.10mmol)を添加した。
1日後、反応物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル 18:1から4:1)およびHPLC(アセトニトリル/H2O 10分間かけて7:1から8:1)により精製して、生成物3を得た(0.448g、37%)。
【0202】
4の合成
生成物3(0.052g、0.105mmol)、2−チオフェンボロン酸ピナコールエステル(0.066g、0.314mmol)、K2CO3(0.087g、0.630mmol)およびPEPPSI−IPr(0.001g、0.0014mmol)を脱気トルエン/メタノール(1:1、1mL)に添加し、80℃で10分間マイクロ波照射した。
溶液をろ過し、酢酸エチルで希釈し、その後、HCl(1M、ag.)、ブライン、およびH2Oで洗浄した。
フラッシュクロマトグラフィーにより、生成物を93%収率で得た(0.049g)。
【0203】
5の合成
生成物4(0.049g、0.0979mmol)を、CHCl3(0.8mL)およびピリジン(0.2mL)に添加した。
p−トルエンスルホニルクロリド(0.056g、0.294mmol)。
4時間後、溶液をトルエンで希釈し、HCl(1M、水性)およびH2Oで洗浄した。
フラッシュカラムクロマトグラフィー(トルエン)により、生成物5を84%収率で得た(0.066g)。
【0204】
P1の合成
生成物5(0.010g、0.0124mmol)およびメチルイミダゾール(0.030mL、0.376mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解させた。
1日後、混合物を濃縮して、P1(3mg)を39%収率で得た。
LC−MS C323045:[M]2+についての計算値:315.05;実測値315.10。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に記載のオリゴチオフェン誘導体:
【化1】

式中、
3は、
【化2】

から選択されてよく、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n=0〜3)から選択されてよく、
1およびR2は、それぞれ独立に、式
【化3】

に記載の、5−クロロチオフェン−2−イル(1)、5−ブロモチオフェン−2−イル(2)、5−ヨードチオフェン−2−イル(3)、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択される。
【請求項2】
請求項1のオリゴチオフェン誘導体であって、R1は、
【化4】

であり、ここで、
nは、0から3まで変化してよく、
-は、アニオン性対イオンであり、限定されるものではないが、臭素、塩素、ヨウ素または4−メチルベンゼンスルホネートであってよく、
Xは、O(n≧1)またはCH2(n≧0)から選択されてよく、
4は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、式
【化5】

に記載の、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択されるオリゴチオフェン誘導体。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載のオリゴチオフェン誘導体であって、R1は、式(iii)であり、R2は、臭素、塩素、水素、ヨウ素、メチル、式
【化6】

に記載の、5−メチルチオフェン−2−イル(4)、チオフェン−2−イル(5)、5−チオフェンカルボン酸−2−イル(6)、5−ホルミルチオフェン−2−イル(7)、5−アセチルチオフェン−2−イル(8)およびメチル2−イル−チオフェン−5−カルボキシレート(9)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(10)、トリチウムを有する5−フルオロチオフェン−2−イル(11)および11Cを有する5−メチルチオフェン−2−イル(12)からなる群から選択されるオリゴチオフェン誘導体。
【請求項4】
請求項1に記載のオリゴチオフェン誘導体であって、
3は、式(i)の通りであり、
ここで、
nは1であり、
XはCH2であり、
-は4−メチルベンゼンスルホネートであり、
1およびR2は、請求項1の式5の通りであり、

【化7】

を与えるオリゴチオフェン誘導体。
【請求項5】
請求項1のオリゴチオフェン誘導体であって、
3は(i)であり、
nは1であり、
XはCH2であり、
-は、4−メチルベンゼンスルホネートであり、
1は(iii)であり、
2は水素であり、

【化8】

を与えるオリゴチオフェン誘導体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のオリゴチオフェン誘導体であって、発光性であるオリゴチオフェン誘導体。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のオリゴチオフェン誘導体であって、検出可能部分に接合したオリゴチオフェン誘導体。
【請求項8】
請求項1〜5に記載のオリゴチオフェン誘導体であって、前記検出可能部分は、放射性同位体、放射性核種、蛍光標識、酵素標識、化学発光標識、二次結合物質により認識されるビオチニル基および既定ポリペプチドエピトープ;例えば、ロイシンジッパー対配列;二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープ、タンパク質タグ、または炭水化物であるオリゴチオフェン誘導体。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載のオリゴチオフェン誘導体であって、前記放射性同位体または放射性核種は、3H、14C、35S、123I、125I、131I、99Tc、111In、90Y、188Re、11C、3H、18F、および64Cuからなる群から選択されるオリゴチオフェン誘導体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のオリゴチオフェン誘導体と緩衝剤とを含む、神経幹細胞を検出するための組成物。
【請求項11】
生体試料中の神経幹細胞または神経癌幹細胞をインビトロ、インサイチュまたはインビボで検出する方法であって、該方法は、
a.前記試料を、請求項1〜9のいずれかに記載の少なくとも1つのオリゴチオフェン誘導体を含む組成物または請求項10に記載の組成物と、少なくとも1つの神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を形成する、または少なくとも1つの神経癌幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を形成するのに十分な時間接触させるステップと、
b.前記神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体または神経癌幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を検出するステップと
を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、正の対照は、神経幹細胞または神経癌幹細胞を含む方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、負の対照は、神経幹細胞または神経癌幹細胞を含まない方法。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれかに記載の方法であって、神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体または神経癌幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体の量を任意にスコアリングするステップをさらに含む方法。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれかに記載の方法であって、自動染色装置で行われる方法。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれかに記載の方法であって、前記検出は手作業で行われる方法。
【請求項17】
請求項11〜16のいずれかに記載の方法であって、前記検出は画像解析によって行われる方法。
【請求項18】
神経幹細胞または神経癌幹細胞を生体試料中の他の生体物質と分離する方法であって、
a.前記試料を、請求項1〜9のいずれかに記載の少なくとも1つのオリゴチオフェン誘導体を含む組成物または請求項10に記載の組成物と、少なくとも1つの神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体または少なくとも1つの神経癌幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を形成するのに十分な時間接触させるステップと、
b.前記神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体または神経癌幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を検出するステップと、
c.前記検出された神経幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体または神経癌幹細胞−オリゴチオフェン誘導体複合体を分離し、それにより、神経幹細胞または神経癌幹細胞を分離するステップと
を含む方法。
【請求項19】
請求項18の方法であって、前記神経幹細胞または神経癌幹細胞を単離するステップをさらに含む方法。
【請求項20】
請求項19の方法であって、前記単離は機械的手段で行われる方法。
【請求項21】
請求項19の方法であって、前記単離はフローサイトメトリー手段で行われる方法。
【請求項22】
神経幹細胞または神経癌幹細胞をインビトロ、インサイチュまたはインビボで検出するための、請求項1〜9のいずれかに記載のオリゴチオフェン誘導体または請求項10に記載の組成物の使用。
【請求項23】
神経幹細胞または神経癌幹細胞をインビトロで分離するための、請求項1〜9のいずれかに記載のオリゴチオフェン誘導体または請求項10に記載の組成物の使用。
【請求項24】
a.請求項1〜9のいずれかに記載のオリゴチオフェン誘導体または請求項10に記載の組成物と、
b.任意に、前記オリゴチオフェン誘導体または前記組成物を使用するための説明書と
を含むキット。
【請求項25】
神経幹細胞をインビトロ、インサイチュまたはインビボで検出するためのキットであって、該キットは、
a.請求項1〜9のいずれかに記載のオリゴチオフェン誘導体または請求項10に記載の組成物と、
b.任意に、前記オリゴチオフェン誘導体または前記組成物を使用するための説明書と
を含むキット。
【請求項26】
神経幹細胞を分離するためのキットであって、該キットは、
a.請求項1〜9のいずれかに記載のオリゴチオフェン誘導体または請求項10に記載の組成物と、
b.任意に、前記オリゴチオフェン誘導体を使用するための説明書と
を含むキット。
【請求項27】
前記神経幹細胞または神経癌幹細胞を単離するための手段をさらに含む、請求項26に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−519668(P2013−519668A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552839(P2012−552839)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国際出願番号】PCT/SE2011/050164
【国際公開番号】WO2011/102789
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512211981)セルミノバ・エービー (1)
【氏名又は名称原語表記】Celluminova AB
【住所又は居所原語表記】Laxholmstorget 3, 602 21 Norrkoeping, Sweden
【Fターム(参考)】