説明

分子ポンプ装置

【課題】分子ポンプとその制御装置とからなる分子ポンプ装置において、これら分子ポンプと制御装置を共に冷却できるような簡単な構造の冷却装置を持った分子ポンプ装置を提供する。
【解決手段】分子ポンプ2と制御装置3とを外側面に具備する接続装置5において互いに接続させると共に、冷却水を循環させて冷却したベース体4の上面にこれら分子ポンプ2と制御装置3とを並設し、前記ベース体4との熱交換によってこれら分子ポンプ2及び制御装置3の冷却を行なうように形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体の製造設備等に使用される分子ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のターボ分子ポンプ装置として、ロータの回転軸の軸受等の発生熱を冷却して長時間の回転を可能とするために、図5に示す如く上方のターボ分子ポンプ部aとその下方のねじ溝ポンプ部bとからなる複合分子ポンプにおいて、ロータcの回転軸dの軸受eを支持固定する内部ハウジングfのベース部gに冷却水管hを埋設したものが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−36665号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記分子ポンプ装置によれば、前記冷却水管hの冷却水によりベース部gと内部ハウジングfを介して前記軸受e等を冷却するようにしているが、分子ポンプと該分子ポンプを制御する制御装置とからなる分子ポンプ装置においては、前記分子ポンプと共に制御装置についても電気機器部からの発熱があるので、該制御装置も冷却する必要があり、このため分子ポンプと制御装置にそれぞれ別個に冷却手段を設けると構造が複雑となる問題点があった。
【0005】
本発明はこのような問題点を解消し、分子ポンプと該分子ポンプの制御装置とを共通のベース体上に並べて設置して共に冷却されるように構造を簡単にした分子ポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の目的を達成すべく、上面を冷却する冷却手段を具備するベース体の該上面に、分子ポンプと該分子ポンプを制御する制御装置を並設し、これら分子ポンプと制御装置をそれぞれ下面より冷却するように形成した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構造の冷却システムを有していて、特にクリーンルームでの使用に適した分子ポンプ装置を提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1の分子ポンプ装置の側面図である。
【図2】同上分子ポンプ装置の平面図である。
【図3】同上分子ポンプ装置の一部、ベース体の平面図である。
【図4】同上分子ポンプ装置の一部、接続装置の接続状態を示す説明図である。
【図5】従来の複合分子ポンプの一例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0010】
本発明の分子ポンプ装置の実施例1を図1乃至図4により説明する。
【0011】
図1は本実施例の分子ポンプ装置1の側面図を示し、図2に前記分子ポンプ装置1の平面図を示す。
【0012】
2は分子ポンプ、3は該分子ポンプ2をコントロールする制御装置、4は共通のベース体を示す。
【0013】
該ベース体4は大小の方形を連設した形状の平板に形成され、その上面に前記分子ポンプ2と前記制御装置3とを後述する接続装置5で接続して載置固定している。
【0014】
尚、4aはこれら分子ポンプ2と制御装置3をベース体4に固定するためのスタッドボルトとナットを示す。
【0015】
図3はベース体4の平面図を示し、該ベース体4は熱伝達性の良い金属、例えばアルミ合金鋳物等からなり、該ベース体4にステンレス製等の冷却液配管4bを鋳込んで形成しており、該冷却液配管4bに冷却水を流すことにより前記ベース体4の上面を常に低温に保持するようにした。
【0016】
尚、4cは冷却水の供給口、4dは該冷却水の排出口、4eは前記スタッドボルト4aを挿通する透孔を示す。
【0017】
図4は前記接続装置5の接続状態を示す。
【0018】
図4に示すように、前記分子ポンプ2と前記制御装置3との接続装置5は、分子ポンプ2の側部から突出する係止突部2aと、該係止突部2aに係合する制御装置3側の受け部3aとからなり、これら係止突部2aと受け部3aとは係脱可能に形成され、更にこれら係止突部2a及び受け部3a内に電気系統のコネクタ(図示せず)を内蔵させていて、前記係止突部2aと前記受け部3aとが接続したときに該コネクタも接続をして、制御装置3から分子ポンプ2を駆動する電力と該分子ポンプ2を制御する制御信号とが供給されるようになっている。
【0019】
次に本発明の分子ポンプ装置1の作動及びその効果について説明する。
【0020】
分子ポンプ装置1は分子ポンプ2とその制御装置3とが共通のベース体4の上に設置されているので、その据え付けや運転が簡単である。
【0021】
分子ポンプ装置1の運転中は、別に設けた冷却水供給装置より冷却水をベース体4の供給口4cへ供給して排出口4dより回収する循環により、該ベース体4を冷却する。
【0022】
そして、冷却されるベース体4の上面に底面を接して載置固定されている分子ポンプ2及び制御装置3は、該ベース体4の熱交換によって冷却され、これら分子ポンプ2と制御装置3のオーバーヒートが防止される。
【0023】
このように、制御装置3を空冷ではなく、ベース体4との熱交換により冷却するようにしたので、分子ポンプ装置1は無塵の環境が必要なクリーンルームで無塵の空気の供給量が少なくて済み、クリーンルームでの真空排気作業に最適となる効果を有している。
【0024】
尚、本実施例では、円筒状の分子ポンプ2と四角形の制御装置3とが1か所の当接部を有してそこに接続装置5を設置した例を示したが、これは分子ポンプ及び制御装置の形状を変えて、両者が複数か所で当接するようにしてもよい。
【0025】
又本実施例では、冷却液配管4bをベース体4に鋳込んだ例を示したが、該ベース体4に溝を形成して、該溝にステンレス製の冷却液配管4bを嵌め込んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は小型の分子ポンプを使用した真空排気装置、特にクリーンルーム内で使用される分子ポンプ装置に利用される。
【符号の説明】
【0027】
1 分子ポンプ装置
2 分子ポンプ
3 制御装置
4 ベース体
5 接続装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を冷却する冷却手段を具備するベース体の該上面に、分子ポンプと該分子ポンプを制御する制御装置を並設し、これら分子ポンプと制御装置をそれぞれ下面より冷却するように形成した分子ポンプ装置。
【請求項2】
前記分子ポンプと制御装置とが外側面において当接している請求項1に記載の分子ポンプ装置。
【請求項3】
前記分子ポンプと前記制御装置との当接部に係脱可能に係合する接続装置を具備しており、該接続装置は一方に設けた係止突部と、他方に設けた受け部とからなる請求項2に記載の分子ポンプ装置。
【請求項4】
前記係止突部と受け部とからなる接続装置に電気系統のコネクタを内蔵させて、前記係止突部と受け部とを互いに係合させたときに該コネクタも電気的に接続して、前記制御装置から前記分子ポンプを制御可能となるように形成した請求項3に記載の分子ポンプ装置。
【請求項5】
前記ベース体は、前記冷却手段のステンレス製の冷却液配管を内部に鋳込んで形成したアルミ合金鋳物からなる請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載の分子ポンプ装置。
【請求項6】
前記ベース体を熱伝達性の良い金属により形成し、該ベース体に溝を形成して、該溝に前記冷却手段の冷却液配管を嵌め込んで形成した請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載の分子ポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−27031(P2011−27031A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173912(P2009−173912)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000149170)株式会社大阪真空機器製作所 (38)
【Fターム(参考)】