分子抗原アレイ

【課題】バクテリオファージAP205ウイルス様粒子(VLP)および抗原を含む組成物、また該VLPに結合した抗原または抗原決定基を産生する方法を提供する。
【解決手段】バクテリオファージAP205のコートタンパク質の会合したVLP、および該タンパク質、さらにVLPコア粒子に有機分子の結合した組成物。該組成物は、感染症、アレルギー、癌等の疾患、障害、または病態の予防または治療に有用な免疫反応の誘導、および効率的な自己特異的免疫反応、特に抗体反応を誘導するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医学、免疫学、ウイルス学、および分子生物学の分野である。
【背景技術】
【0002】
関連技術
ワクチン接種は感染症と闘う最も効果的な方法の1つを提供し、前世紀には公衆衛生に最も大きな恩恵をもたらした。初期のワクチン接種戦略では、免疫原として生、弱毒化、または不活化病原体を使用した。国民および当局内での安全上の懸念から、より明確でありかつより安全なワクチンの探索が促進された。
【0003】
この探索により研究の新たな方向が活性化され、個々の抗原が単離されまたは組換えで発現され、免疫原として注射に用いられた。これらの例には、サブユニットワクチンの開発および使用が含まれる。しかし、単離したタンパク質は典型的に防御免疫反応を起こすには十分な免疫原性がないため、そのようなワクチンは抗原に対する十分な免疫反応を起こすためにアジュバントの添加を必要とする場合が多い。完全フロイントアジュバント等のいくつかの強力なアジュバントが知られているが、これらは一般に毒性があり、ヒトに用いることはできない。したがって、新たなアジュバントの探索に多大な努力が払われている。
【0004】
最近、免疫系による自己と異物の識別の原理に関する研究から、ウイルス表面における抗原の組織化および反復の程度が、異物として認識されるための抗原の非常に強力なシグナルであることが明らかになった(BachmannおよびZinkernagel、Immunol. Today 17:553-558 (1996)(非特許文献1))。ウイルス構造のこの特性がウイルス様粒子(VLP)に基づく新たなワクチンの設計に利用され、新たなワクチンではウイルス構造の免疫原性と複製不能ワクチンの安全特性の改良点を組み合わせた。そのようなワクチンでは、抗原をウイルス様粒子に融合するか、または共有結合もしくは非共有結合により化学的に結びつける。このようにして、抗原をウイルス様粒子に連結することにより、ウイルス構造の免疫原性特性が抗原に移行する。
【0005】
抗原の付着には、様々なVLPが用いられてきた。例えば、国際公開公報第00/32227号(特許文献1)では、ある種のワクチンの生産におけるB型肝炎コア抗原の使用について記載している。
【0006】
その全体が本明細書に参照として組み入れられる国際公開公報第03/056905号(特許文献2)では、新たな種類の高発現かつ高免疫原性VLPについて開示している。このVLPは、RNAバクテリオファージのコートタンパク質から構成される。コートタンパク質は組換えにより細菌で発現させるため、VLPはファージRNAを含まず、したがって複製することができない。
【0007】
最近になって、新規RNAバクテリオファージ、AP205が同定された(Klovins, J.ら、J. Gen. Virol. 83: 1523-33 (2002)(非特許文献2))。AP205 RNAファージ(分類(Taxonomy)ID:154784)は一本鎖プラス鎖RNA(DNA段階はない)ウイルスであり、レビウイルス科(Leviviridae)、レビウイルス(Levivirus)属、未分類レビウイルス亜群に属する。この亜群の他のメンバーは、RNAファージBO1、fr1、TW19、およびPP7である。記載される2つのレビウイルス亜群には以下のRNAファージが含まれる:fr、JP501、f2、M12、MS2、およびR17(亜群I)、ならびにBZ13、JP34、TH1、GA、およびKU1(亜群II)。AP205ゲノムは、4267ヌクレオチド(nt)長である。全長ゲノム配列:アクセッションAF334111、NC_002700。AP205ファージの天然宿主は、アシネトバクター(Acinetobacter)種である(Klovins, J.ら、J. Gen. Virol. 83: 1523-33 (2002)(非特許文献2))。AP205ファージのゲノムは、成熟タンパク質、コートタンパク質、およびレプリカーゼタンパク質をコードする3つの大きなオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。さらに、5'末端には、成熟遺伝子に先行する2つのさらなる小さなORFが存在する。これらのORFによってコードされるタンパク質の機能は未知である。これらのORFのうちの1つは、溶解タンパク質をコードすると仮定されている(Klovins, J.ら、J. Gen. Virol. 83: 1523-33 (2002)(非特許文献2))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開公報第00/32227号
【特許文献2】国際公開公報第03/056905号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】BachmannおよびZinkernagel、Immunol. Today 17:553-558 (1996)
【非特許文献2】Klovins, J.ら、J. Gen. Virol. 83: 1523-33 (2002)
【発明の概要】
【0010】
発明の概要
本発明のベクターを用いて、AP205コートタンパク質を組換えにより細菌で発現できることを発見した。また、AP205ウイルス様粒子を精製する方法を開発した。さらに、電子顕微鏡観察(EM)および免疫拡散法から明らかなように、本発明により産生したAP205コートタンパク質は自発的にキャプシドを形成し、したがって大腸菌(E. coli)内でのキャプシドの会合にはRNAとコートタンパク質のみで十分である。これにより、未知機能の2つのORFにコードされるタンパク質の任意の役割が否定される。本発明の驚くべき特徴は、AP205コートタンパク質と構造が明らかになっている他のRNAファージのコートタンパク質との配列間に配列相同性がない点、さらにAP205コートタンパク質によって形成されるキャプシドの構造特性とそのようなRNAファージのコートタンパク質によって形成されるキャプシドの構造特性が、EMで観察した場合ほとんど識別不能である点である。本発明者らは、AP205 VLPに高い免疫原性があり、有機分子と連結して、有機分子を反復様式で配向して提示するワクチン構築物を作製できることを発見した。提示された有機分子に対して高力価が誘発されることから、結合している有機分子は抗体分子との相互作用に利用でき、免疫原性があることが示される。
【0011】
本発明は、組換えにより大腸菌で発現したバクテリオファージAP205の少なくとも1つのコートタンパク質から自発的に会合した、組換えにより発現したウイルス様粒子(VLP)を提供する。関連する局面において、本発明は、アミノ酸5位のプロリンをスレオニンに置換したAP205コートタンパク質(配列番号:3)を含む、会合能力を有するAP205 VLP変異型を提供する。これらのVLP、天然起源に由来するAP205 VLP(配列番号:1)、またはAP205ウイルス粒子を少なくとも1つの有機分子に結合し、有機分子の規則正しい反復性アレイを産生することができる。本発明の有機分子には、抗原および抗原決定基、アレルゲン、自己抗原、ハプテン、癌抗原、および感染症抗原、ならびにニコチンのような乱用薬物およびその誘導体等の小有機分子が含まれる。抗原-AP205 VLP複合体または本発明の提供するような複合体を含む組成物を用いて動物を免疫することにより、提示した抗原に対する強力な免疫反応が誘導される。このように、本発明のVLPは、分子、詳細には抗原の結合および提示に有用である。したがって、本発明の複合体、組成物、および方法は、提示した様々な抗原に対して免疫反応を促進するのに、ひいては動物での使用に有用である。
【0012】
第1の局面において、本発明は、(a) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質;(b) 配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質;および(c) (a)または(b)のタンパク質の突然変異タンパク質からなる群より選択される少なくとも1つのタンパク質を含む、代替的にもしくは好ましくは本質的にそのような少なくとも1つのタンパク質からなる、または代替的にもしくは好ましくはそのような少なくとも1つのタンパク質からなるウイルス様粒子を提供する。そのようなタンパク質は組換え体であることが好ましい。したがって本発明は、(a) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質;(b) 配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質;および(c) (a)または(b)のタンパク質の突然変異タンパク質からなる群より選択される少なくとも1つのタンパク質によって形成されるキャプシドを提供する。好ましい態様において、そのような突然変異タンパク質は、配列番号:1または配列番号:3の少なくとも1つのアミノ酸残基、好ましくは3つのアミノ酸残基、より好ましくは2つのアミノ酸残基、さらにより好ましくは1つのアミノ酸残基が付加、除去、または置換され、好ましくはそのような少なくとも1つの置換が保存的置換である、配列番号:1または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有する。さらなる好ましい態様において、そのような突然変異タンパク質は、配列番号:1または配列番号:3の少なくとも1つのシステイン残基、好ましくは2つのシステイン残基が除去または置換され、好ましくはそのような少なくとも1つ好ましくは2つの置換が保存的置換である、配列番号:1または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有する。さらなる好ましい態様において、そのような突然変異タンパク質は、配列番号:1または配列番号:3の少なくとも1つのリジン残基、好ましくは3つのリジン残基、より好ましくは2つのリジン残基、さらにより好ましくは1つのリジン残基が付加、除去、または置換され、好ましくはそのような少なくとも1つの置換が保存的置換である、配列番号:1または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有する。
【0013】
第2の局面において、本発明は、配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有する突然変異タンパク質を提供する。または、本発明は、配列番号:1または配列番号:3の少なくとも1つのアミノ酸残基、好ましくは3つのアミノ酸残基、より好ましくは2つのアミノ酸残基、さらにより好ましくは1つのアミノ酸残基が付加、除去、または置換され、好ましくはそのような少なくとも1つの置換が保存的置換である、配列番号:1または配列番号:3の組換えタンパク質の突然変異タンパク質を提供する。
【0014】
さらなる局面において、本発明は、配列番号:1または配列番号:3の少なくとも1つのシステイン残基、好ましくは2つのシステイン残基が除去または置換され、好ましくはそのような少なくとも1つ好ましくは2つの置換が保存的置換である、配列番号:1または配列番号:3の組換えタンパク質の突然変異タンパク質を提供する。または、本発明は、配列番号:1または配列番号:3の少なくとも1つのリジン残基、好ましくは3つのリジン残基、より好ましくは2つのリジン残基、さらにより好ましくは1つのリジン残基が付加、除去、または置換され、好ましくはそのような少なくとも1つの置換が保存的置換である、配列番号:1または配列番号:3の組換えタンパク質の突然変異タンパク質を提供する。
【0015】
別の局面において、本発明は、配列が配列番号:2または配列番号:4の配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは99%同一であるAP205ウイルス様粒子を産生するためのベクターを提供する。または、本発明は、(a) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質;(b) 配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質;および(c) (a)または(b)のペプチドの突然変異タンパク質からなる群より選択されるタンパク質に融合したポリペプチドを含む、組換えタンパク質を産生するためのベクターを提供する。
【0016】
さらなる局面において、本発明は、(a) 配列番号:2または配列番号:4のヌクレオチド配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは100%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸を提供する段階、または配列番号:2または配列番号:4のヌクレオチド配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは99%同一であるヌクレオチド配列を含むベクターを提供する段階;(b) そのような核酸またはそのようなベクターを宿主細胞に導入する段階;(c) 宿主細胞において核酸またはベクターの配列を発現させてAP205ウイルス様粒子を形成し得るタンパク質または突然変異タンパク質を得る段階からなる、AP205ウイルス様粒子を産生する方法を提供する。そのような宿主細胞は大腸菌であることが好ましい。
【0017】
さらなる局面において、本発明は、(a) (i) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質;(ii) 配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質;および(iii) (i)または(ii)のタンパク質の突然変異タンパク質からなる群より選択される少なくとも1つのタンパク質をコードする核酸またはベクターを提供する段階;(b) そのような核酸またはそのようなベクターを宿主細胞に導入する段階;(c)宿主細胞において核酸またはベクターの配列を発現させてAP205ウイルス様粒子を形成し得るタンパク質または突然変異タンパク質を得る段階からなる、AP205ウイルス様粒子を産生する方法を提供する。(i)および(ii)で示したタンパク質および突然変異タンパク質の好ましい態様は、すでに前述してある。
【0018】
第1の態様において、本発明は、RNAバクテリオファージAP205の1つもしくは複数の組換えVLPまたはその突然変異体を含む組成物を提供する。さらなる態様において、本発明は、1つまたは複数のAP205 VLP、およびAP205 VLPに付着、連結、共役、または融合している、すなわち結合している1つまたは複数の有機分子を含む組成物を提供する。別の態様において、有機分子は抗原である。
【0019】
特定の他の態様において、有機分子は、(a) 癌細胞に対する免疫反応を誘導するのに適した有機分子;(b) 感染症に対する免疫反応を誘導するのに適した有機分子;(c) アレルゲンに対する免疫反応を誘導するのに適した有機分子;(d) 自己抗原に対する改善された反応を誘導するのに適した有機分子;(e) 家畜またはペットにおいて免疫反応を誘導するのに適した有機分子;(f) 薬剤、ホルモン、または毒性化合物に対する反応を誘導するのに適した有機分子;および(g) (a)〜(f)に記載の分子のいずれかの断片(例えば、エピトープまたは抗原性ドメイン)からなる群より選択される。
【0020】
別の態様において、有機分子は1つまたは複数の抗原である。1つのそのような態様では、抗原は組換えポリペプチドである。別の態様において、抗原は、花粉、ミツバチ、病原体、または腫瘍等の天然起源から抽出される。さらに別の態様において、抗原は、(a) 癌細胞に対する免疫反応を誘導するのに適したポリペプチド;(b) 感染症に対する免疫反応を誘導するのに適したポリペプチド;(c) アレルゲンに対する免疫反応を誘導するのに適したポリペプチド;(d) 自己抗原に対する免疫反応を誘導するのに適したポリペプチド;および(e) 家畜またはペットにおいて免疫反応を誘導するのに適したポリペプチドからなる群より選択される。
【0021】
特定の態様において、抗原は、細胞障害性T細胞またはヘルパーT細胞のエピトープを含む。関連する態様において、抗原はB細胞エピトープを含む。
【0022】
関連する局面において、本発明は、有機分子をAP205 VLPに結びつける、すなわち結合する方法を提供する。特定の態様では、有機分子は配向した様式でAP205 VLPに結合している。
【0023】
本発明の別の態様においては、皮下、筋肉内、鼻腔内、皮内、静脈内に、経皮的、経粘膜的、経口的に、複合体または組成物を動物に導入することにより動物を免疫する方法において、複合体または組成物を用いる。別の別の態様では、ワクチン接種を望む腫瘍または部分的なウイルス蓄積場所の近傍に局所的に適用する。
【0024】
本発明はまた、薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤を伴う、免疫学的に有効な量の本発明の組成物を含むワクチンに関する。さらなる態様では、ワクチンは、ミョウバンまたは不完全フロイントアジュバント等の少なくとも1つのアジュバントを含む。本発明はまた、免疫学的に有効な量の本発明の複合体、組成物、またはワクチンを動物に投与する段階を含む、動物を免疫および/または治療する方法を提供する。
【0025】
AP205 VLP複合体または組成物を用いて、例えば、腫瘍、ウイルス性疾患、自己分子、または非ペプチド性小分子に対してワクチン接種することができる。ワクチン接種は予防目的であっても治療目的であっても、またはその両方であってもよい。アレルギーの治療または予防に適した免疫偏移および/またはアレルゲンに対する抗体反応を誘導するために、AP205 VLP複合体または組成物を用いて、アレルギーに対してワクチン接種することができる。
【0026】
本発明は、有機分子に結合しているAP205 VLPを含む、または本質的に有機分子に結合しているAP205 VLPからなる組成物を投与することによる、個体または個体の集団の疾患、身体障害、または病態を治療または予防する方法を提供する。関連する局面では、そのような組成物に対して産生した抗体等の免疫分子および抗体をそれぞれ、疾患、病態、または障害の治療、予防、または診断に用いることができる。
【0027】
本発明の別の局面では、有機分子に結合しているAP205 VLPを含む組成物をキットの形態で提供する。本発明の別の局面では、有機分子に結合しているAP205 VLPを使用して単離した免疫分子および抗体を個々に含む組成物も、キットの形態で提供する。そのようなキットは、VLP上に提示された有機分子に反応する免疫分子および抗体それぞれの検出、有機分子の検出、免疫分子および抗体それぞれのスクリーニング、および/または免疫分子および抗体それぞれの有無によって特徴づけられる病態の診断を含むがこれらに限定されない様々な目的に有用である。特定の関連する態様では、本発明のキットは、緩衝液、担体、賦形剤、アジュバント、検出試薬等の1つまたは複数のさらなる成分を含んでよい。
【0028】
別の局面では、本発明はまた、ウイルス様粒子を形成するRNAバクテリオファージAP205のコートタンパク質を発現するためのベクターおよび宿主細胞を提供する。宿主細胞には、大腸菌を含む原核生物;および酵母、動物、細胞株等を含む真核生物が含まれる。
【0029】
別の態様では、本発明は、RNAバクテリオファージAP205のコートタンパク質およびそのウイルス様粒子を発現する方法を提供する。別の局面では、本発明は、バクテリオファージAP205のウイルス様粒子を精製および単離する方法を提供する。
【0030】
本発明の他の態様は、当技術分野で周知の技術、以下の本発明の図および説明、ならびに特許請求の範囲を考慮することにより当業者に明らかになると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1A〜Bは、AP205ファージ粒子と大腸菌で発現させ精製した組換えタンパク質から自発的に会合したAP205ウイルス様粒子を比較した電子顕微鏡写真を示す。図1AはAP205ファージ粒子の電子顕微鏡写真を示し、組換えAP205 VLPの自己会合した粒子の電子顕微鏡写真を図1Bに示す。
【図2】AP205 VLPおよびQB VLPのDerp1.2ペプチドへのカップリング反応のSDS-PAGE解析を示す。試料は、16%トリス-グリシンゲルで還元条件下で泳動した。レーン1はタンパク質マーカーであり、ゲルの左側に対応する分子量を示す;レーン2、誘導体化したQBキャプシドタンパク質;レーン3、QBキャプシドタンパク質のDerp1.2ペプチドへのカップリング反応の上清;レーン4、QBキャプシドタンパク質のDerp1.2ペプチドへのカップリング反応のペレット;レーン5、誘導体化したAP205 VLP;レーン6、AP205 VLPのDerp1.2ペプチドへのカップリング反応の上清;レーン7、AP205 VLPのDerp1.2ペプチドへのカップリング反応のペレット。単量体当たり1個、2個、3個、4個、および5個のペプチドそれぞれがカップリングしたカップリング生成物を、図中に矢印で示す。QBキャプシドタンパク質と比較して、AP205 VLPに対してより多くのエピトープがカップリングし得た。
【図3】AP205 VLPまたはQBキャプシドタンパク質それぞれにカップリングしたDerp1.2に対して免疫したマウスの血清中の、「Derp 1.2」に特異的なIgG抗体のELISA解析を示す。全IgG力価およびIgGサブタイプ力価を測定した。各IgGサブタイプについて解析した免疫前血清のいずれにおいても、Derp1.2に特異的な抗体は検出されなかった。図から、IgG1力価よりもIgG2a力価が非常に高いように、AP205およびQBのどちらに対してもTh1免疫反応に典型的なサブタイプが誘導されることが示される。どちらのVLPにカップリングしたペプチドによっても、強力な特異的抗ペプチド免疫反応が得られた。担体に特異的な抗体もELISAにより測定したが、どちらの担体についても同程度であった。
【図4】用いた様々な真核生物発現ベクターの部分的配列を示す。改変した配列のみを示す。図4A:pCep-Xa-Fc*:Bam HI部位から前方の配列を示し、翻訳した配列の上に様々な特徴を示す(配列番号:103および配列番号:104)。矢印は、ファクターXaプロテアーゼの切断部位を示す。図4B:pCep-EK-Fc*:Bam HI部位から前方の配列を示し、翻訳した配列の上に様々な特徴を示す(配列番号:105および配列番号:106)。矢印は、エンテロキナーゼの切断部位を示す。Hind III部位の下流の配列は、図4Aに示した配列と同一である。図4C:pCep-SP-EK-Fc*:シグナルペプチドの先頭からの配列を示し、翻訳した配列の上に様々な特徴を示す(配列番号:107および配列番号:108)。シグナルペプチダーゼによって切断されるシグナルペプチド配列を、太字で示す。矢印は、エンテロキナーゼの切断部位を示す。Hind III部位の下流の配列は、図4Aに示した配列と同一である。
【図5】rMIF構築物およびAP205 VLPにカップリングするためのrMIF構築物の発現および精製を示すSDS-PAGEを示す。図5Aは、システイン残基を含むアミノ酸リンカーが付加されたMIF構築物の略図を示す。図5Bは、還元条件下で泳動しクマシーブリリアントブルーで染色した、精製MIF構築物のSDS-PAGE解析を示す。ゲルに供したのは、図5Aに示した精製ラット構築物rMIF-C1(配列番号:114)、rMIF-C2(配列番号:115)、およびrMIF-C3(配列番号:117)である。
【図6】rMIF-C1のAP205 VLPへのカップリング反応の結果を示す。レーン1:分子マーカー。レーン2:AP205 VLP。レーン3:誘導体化AP205 VLP。レーン4:透析した誘導体化AP205 VLP。レーン5:透析した誘導体化AP205 VLP。レーン6:rMIF-C1のAP205 VLPへのカップリング反応。カップリング生成物を、図中矢印で示す。マーカータンパク質の分子量はゲルの左側に示す。
【図7】AP205 VLPにカップリングしたrMIF-C1で免疫したマウスの血清中の、rMIF-C1に特異的なIgG反応のELISAによる解析を示す。
【図8】AP205 VLPにカップリングしたアンジオ Iペプチドに対して0日目および14日目に免疫したマウス3匹(1〜3)の血清中の、アンジオ Iペプチドに特異的なIgG抗体のELISA解析を示す。全IgG力価を21日目の血清で測定した。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の詳細な説明
定義
以下の定義は当業者に一般に理解される概念の要約であり、以下の開示を理解する目的で提供するものであって、開示の限定を意図するものではない。
【0033】
アミノ酸リンカー:
本明細書で用いる「アミノ酸リンカー」または本明細書内で単に「リンカー」と称するものは、抗原または抗原決定基を第2付着部位と結合させるか、またはより好ましくは、必ずしもその必要はないが典型的に1つのアミノ酸残基、好ましくはシステイン残基のような第2付着部位を既に含むもしくは含有する。しかし、たとえアミノ酸残基からなるアミノ酸リンカーが本発明の好ましい態様であるとしても、本明細書で用いる「アミノ酸リンカー」という用語は、そのようなアミノ酸リンカーがアミノ酸残基のみからなることを意味することを意図しない。アミノ酸リンカーのアミノ酸残基は、すべてLもしくはすべてDまたはその混合物である、当技術分野で周知の天然アミノ酸または非天然アミノ酸から構成されることが好ましい。しかし、スルフヒドリル基またはシステイン残基を有する分子を含むアミノ酸リンカーもまた、本発明に包含される。そのような分子は、C1〜C6アルキル、シクロアルキル(C5、C6)、アリール、またはヘテロアリール部分を含むことが好ましい。しかし、アミノ酸リンカーに加えて、好ましくはC1〜C6アルキル、シクロアルキル(C5、C6)、アリール、またはヘテロアリール部分を含みかつアミノ酸を欠くリンカーもまた、本発明の範囲内に包含されるものとする。抗原もしくは抗原決定基または任意で第2付着部位とアミノ酸リンカーとの結合は、少なくとも1つの共有結合、より好ましくは少なくとも1つのペプチド結合によることが好ましい。
【0034】
動物:
本明細書で用いる「動物」という用語には、例えば、ヒト、ヒツジ、ヘラジカ、シカ、ミュールジカ、ミンク、哺乳動物、サル、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、鳥類、ニワトリ、爬虫類、魚類、昆虫、およびクモが含まれることを意図する。
【0035】
抗体:
本明細書で用いる「抗体」という用語は、エピトープまたは抗原決定基に結合し得る分子を指す。この用語には、全抗体、および一本鎖抗体を含むその抗原結合断片が含まれることを意図する。そのような抗体にはヒト抗原結合抗体断片が含まれ、Fab、Fab'およびF(ab')2、Fd、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、ならびにVLまたはVHドメインを含む断片が含まれるがこれらに限定されない。抗体は、鳥類、哺乳動物を含む任意の動物起源に由来し得る。抗体は、例えばヒト、マウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ等の哺乳動物のもの、または例えばニワトリといった他の適切な動物のものが好ましい。本明細書で用いる「ヒト」抗体には、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が含まれ、ヒト免疫グロブリンライブラリーからまたは例えばその開示の全体が参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,939,598号に記載されている、1つもしくは複数のヒト免疫グロブリンを遺伝子導入しかつ内因性免疫グロブリンを発現しない動物から単離された抗体が含まれる。
【0036】
抗原:
本明細書で用いる「抗原」という用語は、抗体またはMHC分子に提示された場合にはT細胞受容体(TCR)によって結合され得る分子を指す。本明細書で用いる「抗原」という用語には、T細胞エピトープもまた包含される。T細胞エピトープは、赤血球以外の体の全細胞上に存在するMHCクラスI、または免疫細胞、詳細には抗原提示細胞上に存在するクラスIIとの関連で、T細胞受容体によって認識される。この認識事象により、T細胞の活性化、続くT細胞の増殖、サイトカイン分泌、パーフォリン分泌等のエフェクター機構が起こる。抗原はさらに、免疫系に認識され得る、および/またはBリンパ球および/またはTリンパ球の活性化をもたらす体液性免疫反応および/または細胞性免疫反応を誘導し得る。しかし、少なくともある場合においては、これには抗原がTH細胞エピトープを含むかまたはTH細胞エピトープに結合していること、およびアジュバント中で供されることが必要な場合がある。抗原は、1つまたは複数のエピトープ(BおよびTエピトープ)を有し得る。上記の特異的反応は、抗原が典型的には高度に選択的な様式で対応する抗体またはTCRと好ましくは反応し、他の抗原によって誘起され得る多くの他の抗体またはTCRとは好ましくは反応しないことを示すことを意味する。本明細書で用いる抗原は、いくつかの個々の抗原の混合物であってもよい。本明細書で用いる抗原には、アレルゲン、自己抗原、ハプテン、癌抗原、および感染症抗原、同様に乱用薬物(ニコチンのような)ならびにその断片および誘導体等の小有機分子が含まれるが、これらに限定されない。さらに、本発明で用いる抗原は、ペプチド、タンパク質、ドメイン、炭水化物、アルカロイド、脂質、または例えばステロイドホルモンならびにその断片および誘導体等の小分子であってよい。
【0037】
抗原決定基:
本明細書で用いる「抗原決定基」という用語は、Bリンパ球またはTリンパ球によって特異的に認識される抗原の一部を指すことを意図する。Bリンパ球は抗体産生を介して外来の抗原決定基と反応するのに対して、Tリンパ球は細胞性免疫の媒介物である。したがって、抗原決定基またはエピトープは、抗体、またはMHCとの関連においてT細胞受容体によって認識される抗原の一部である。抗原決定基は、1つまたは複数のエピトープを含む。アレルゲンもまた、脊椎動物において抗原となる。
【0038】
アレルゲン:
本明細書で用いる「アレルゲン」という用語は、アレルギーと関連する抗原を指す。アレルギー反応は、個体に病的炎症をもたらす炎症性因子、詳細にはヒスタミンの放出を特徴とする。アレルギーは典型的に、アレルゲンに対して作製されたIgE抗体とも関連がある。本明細書で用いる「アレルゲン」という用語には、「アレルゲン抽出物」および「アレルゲンエピトープ」も包含される。アレルゲンの例には、花粉(例えば、イネ科植物、ブタクサ、カバノキ、および山スギ(mountain cedar));ハウスダストおよびチリダニ;哺乳動物表皮アレルゲンおよび動物の鱗屑;カビおよび菌類;昆虫体および昆虫毒液;羽毛;食物;ならびに薬剤(例えばペニシリン)等が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
AP205ウイルス様粒子またはAP205 VLP:
本明細書で用いる「AP205ウイルス様粒子」または「AP205 VLP」という用語は、バクテリオファージAP205の少なくとも1つのタンパク質およびコートタンパク質のそれぞれ、またはその断片もしくは突然変異タンパク質を含む、または代替的に本質的にそれらからなる、または代替的にかつ好ましくはそれらからなる組成物およびウイルス様粒子をそれぞれ指し、少なくとも1つのコートタンパク質またはその断片もしくは突然変異タンパク質は、典型的にかつ好ましくは会合してウイルス様粒子を形成し得る。代替的でありかつ好ましい態様において、本明細書で用いる「AP205ウイルス様粒子」または「AP205 VLP」という用語は、バクテリオファージAP205の少なくとも1つのタンパク質およびコートタンパク質のそれぞれ、またはその突然変異タンパク質を含む、または代替的に本質的にそれらからなる、または代替的にかつ好ましくはそれらからなる組成物およびウイルス様粒子をそれぞれ指し、バクテリオファージAP205の少なくとも1つのコートタンパク質またはその突然変異タンパク質は、会合してウイルス様粒子を形成し得る。本発明の非常に好ましい態様では、「AP205ウイルス様粒子」または「AP205 VLP」という用語は、典型的にかつ好ましくは会合してウイルス様粒子およびキャプシドをそれぞれ形成し得る、配列番号:1に記載のアミノ酸配列を有するバクテリオファージAP205の少なくとも1つのコートタンパク質を含む、または代替的に本質的にそのような少なくとも1つのコートタンパク質からなる、または代替的にかつ好ましくはそのような少なくとも1つのコートタンパク質からなる組成物およびウイルス様粒子をそれぞれ指す。本発明のさらに別の非常に好ましい態様では、「AP205ウイルス様粒子」または「AP205 VLP」という用語は、会合してウイルス様粒子を形成し得る、配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有するバクテリオファージAP205のコートタンパク質の少なくとも1つの突然変異タンパク質を含む、または代替的に本質的にそのような少なくとも1つの突然変異タンパク質からなる、または代替的にかつ好ましくはそのような少なくとも1つの突然変異タンパク質からなる組成物を指す。本発明のさらに別の非常に好ましい態様では、「AP205ウイルス様粒子」または「AP205 VLP」という用語は、会合してウイルス様粒子を形成し得る、配列番号:1または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有するバクテリオファージAP205のコートタンパク質の少なくとも1つの突然変異タンパク質を含む、または代替的に本質的にそのような少なくとも1つの突然変異タンパク質からなる、または代替的にかつ好ましくはそのような少なくとも1つの突然変異タンパク質からなる組成物およびウイルス様粒子をそれぞれ指す。本発明のさらに別の非常に好ましい態様では、「AP205ウイルス様粒子」または「AP205 VLP」という用語は、少なくとも1つのアミノ酸残基、好ましくは3つのアミノ酸残基、より好ましくは2つのアミノ酸残基、さらにより好ましくは1つのアミノ酸残基が付加、除去、または置換され、好ましくはそのような少なくとも1つの置換が保存的置換である、配列番号:1または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの突然変異タンパク質を含む、または代替的に本質的にそのような少なくとも1つの突然変異タンパク質からなる、または代替的にかつ好ましくはそのような少なくとも1つの突然変異タンパク質からなる組成物およびウイルス様粒子をそれぞれ指す。本発明のさらに別の非常に好ましい態様では、「AP205ウイルス様粒子」または「AP205 VLP」という用語は、少なくとも1つのシステイン残基、好ましくは3つのシステイン残基、より好ましくは2つのシステイン残基、さらにより好ましくは1つのシステイン残基が除去または置換され、好ましくはそのような少なくとも1つの置換が保存的置換である、配列番号:1または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの突然変異タンパク質を含む、または代替的に本質的にそのような少なくとも1つの突然変異タンパク質からなる、または代替的にかつ好ましくはそのような少なくとも1つの突然変異タンパク質からなる組成物およびウイルス様粒子をそれぞれ指す。本発明のさらに別の非常に好ましい態様では、「AP205ウイルス様粒子」または「AP205 VLP」という用語は、少なくとも1つのリジン残基、好ましくは3つのリジン残基、より好ましくは2つのリジン残基、さらにより好ましくは1つのリジン残基が付加、除去、または置換され、好ましくはそのような少なくとも1つの置換が保存的置換である、配列番号:1または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの突然変異タンパク質を含む、または代替的に本質的にそのような少なくとも1つの突然変異タンパク質からなる、または代替的にかつ好ましくはそのような少なくとも1つの突然変異タンパク質からなる組成物およびウイルス様粒子をそれぞれ指す。AP205 VLPのさらに好ましい態様は、本明細書を進行していくにつれて明らかになる。AP205 VLPを構成するAP205サブユニットはすべて、ジスルフィド結合により粒子内の他のサブユニットと結合していてもよいし、または代替的にAP205 VLPサブユニットの大部分がジスルフィド結合により粒子内の他のAP205 VLPサブユニットと結合していてもよい。いくつかの態様では、AP205 VLPサブユニットの少数がジスルフィド結合により粒子内の他のAP205 VLPサブユニットと結合しているか、またはどのAP205 VLPサブユニットも結合していない。
【0040】
結合:
本明細書では、第1および第2付着部位に適用する場合の「結合」という用語は、好ましくは少なくとも1つの非ペプチド結合による第1付着部位と第2付着部位の結合を指す。結合の性質は、共有結合性、イオン性、疎水性、極性またはそれらの任意の組み合わせであってよく、好ましくは結合の性質は共有結合性である。
【0041】
第1付着部位:
本明細書で用いる「第1付着部位」という語句は、抗原または抗原決定基上に位置する第2付着部位が結合し得る非天然または天然起源のエレメントを指す。第1付着部位は、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、ペプチド、糖、ポリヌクレオチド、天然もしくは合成ポリマー、二次代謝産物もしくは化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフッ化物)、またはそれらの組み合わせ、またはそれらの化学的反応基であってよい。典型的にかつ好ましくは、第1付着部位は、好ましくはウイルス様粒子等のコア粒子の表面上に位置する。複数の第1付着部位が、典型的に反復した形態で、コアおよびウイルス様粒子の表面上にそれぞれ存在する。
【0042】
第2付着部位:
本明細書で用いる「第2付着部位」という語句は、コア粒子およびウイルス様粒子の表面上にそれぞれ位置する第1付着部位が結合し得る、抗原または抗原決定基と付随しているエレメントを指す。抗原または抗原決定基の第2付着部位は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、糖、ポリヌクレオチド、天然もしくは合成ポリマー、二次代謝産物もしくは化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフッ化物)、またはそれらの組み合わせ、またはそれらの化学的反応基であってよい。少なくとも1つの第2付着部位が、抗原または抗原決定基上に存在する。したがって、「少なくとも1つの第2付着部位を有する抗原または抗原決定基」とは、少なくとも抗原または抗原決定基および第2付着部位を含む抗原または抗原構築物を指す。しかし詳細には、非天然起源の第2付着部位、すなわち抗原または抗原決定基内に天然に存在しない第2付着部位に関しては、これらの抗原または抗原構築物が「アミノ酸リンカー」を含む。
【0043】
結合:
本明細書で用いる「結合」という用語は、例えば化学的共役による共有結合、または例えばイオン性相互作用、疎水性相互作用、水素結合等による非共有結合であってよい結合または付着を指す。共有結合は、例えば、エステル、エーテル、ホスホエステル、アミド、ペプチド、イミド、炭素-硫黄結合、炭素-リン結合等であってよい。「結合」という用語は、「共役」、「融合」、および「付着」等の用語よりも幅広く、かつそれらの用語を含む。
【0044】
コートタンパク質(群):
本明細書で用いる「コートタンパク質(群)」という用語は、バクテリオファージまたはRNAファージのキャプシド会合に取り込まれ得るバクテリオファージまたはRNAファージのタンパク質(群)を指す。コートタンパク質は、CPとも称される。本発明では、この用語は通常、RNAファージAP205のコートタンパク質(群)を指す。
【0045】
コア粒子:
本明細書で用いる「コア粒子」という用語は、固有の反復性組織を有する強固な構造を指す。本明細書で用いるコア粒子は、合成過程の産物または生物学的過程の産物であってよい。
【0046】
疾患、障害、病態:本明細書で用いる「疾患」または「障害」という用語は、腫瘍、癌、アレルギー、依存症、自己免疫、中毒、または最良の精神的もしくは身体的機能の障害を含む個体の任意の有害な状態を指す。本明細書で用いる「病態」には疾患および障害が含まれるが、これはまた生理的状態も指す。例えば、受胎能力は生理的状態であるが、疾患でも障害でもない。したがって、受胎能力を減じることにより避妊するのに適した本発明の組成物は、障害または疾患の治療ではなく病態(受胎能力)の治療と称されることになる。他の病体は、当業者には明らかである。
【0047】
エピトープ:
本明細書で用いる「エピトープ」という用語は、個々の抗体またはT細胞受容体によって認識される基本的なエレメントまたは最小単位、ひいては抗体またはT細胞受容体が結合する特定のドメイン、領域、または分子構造を指す。抗原は多くのエピトープからなる場合があるのに対して、ハプテンは典型的にわずかなエピトープしかもたない。
【0048】
免疫反応:
本明細書で用いる「免疫反応」という用語は、抗原等の分子または化合物に対する、個体の免疫系による任意の作用を指す。哺乳動物では、免疫反応には、細胞の活性ならびにサイトカインおよび抗体等の可溶性分子の産生の両方が含まれる。したがってこの用語には、Bリンパ球および/またはTリンパ球の活性化または増殖をもたらす体液性免疫反応および/または細胞性免疫反応が含まれる。しかし場合によっては、免疫反応の強度は低く、本発明による少なくとも1つの物質を用いた場合にのみ検出可能となる可能性がある。「免疫原性」とは、免疫系の1つまたは複数の機能が亢進しかつ免疫原に対して向けられるように、生物の免疫を促進するために用いる因子を指す。「免疫原性ポリペプチド」とは、アジュバントの存在または非存在下において単独であろうと担体に結合していようと、細胞性および/または体液性免疫反応を誘発するポリペプチドである。
【0049】
免疫偏移:
本明細書で用いる免疫偏移という用語は、既存の免疫反応と異なる性質の免疫反応の促進を指す。例えば、アレルゲンへの曝露時にIgE抗体が産生されるような、アレルゲンに対するTH2免疫反応を有する個体を、本発明の態様により、アレルゲンに対してTH1免疫反応を生じるように誘導することができる。そのようなTH1免疫反応はTH2免疫反応を誘導するアレルギーと対抗し、その結果アレルギー疾患を軽減することになる。
【0050】
免疫療法:
本明細書で用いる「免疫療法」という用語は、疾患、障害、または病態を治療するための組成物を指す。より詳細には、この用語は、ワクチン接種により有益な免疫反応が生じる治療法を指すために用いる。
【0051】
免疫学的に有効な量:
本明細書で用いる「免疫学的に有効な量」という用語は、個体に導入した際に個体において免疫反応を誘導するのに十分な組成物の量を指す。免疫学的に有効であるために必要な組成物の量は、組成物、組成物中の他の成分の存在(例えばアジュバント)、抗原、免疫経路、個体、以前の免疫または生理的状態等を含む多くの因子によって変化する。
【0052】
個体:
本明細書で用いる「個体」という用語は多細胞生物を指し、これには植物および動物が含まれる。好ましい多細胞生物は、動物、より好ましくは脊椎動物、さらにより好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。
【0053】
低または検出不可能:
本明細書で用いる「低または検出不可能」という語句は、遺伝子発現レベルに関連して用いる場合、遺伝子が最大限に誘導される場合に認められる発現レベルと比較して有意に低いか(例えば、少なくとも5倍低い)、または本明細書の実施例で用いる方法によって容易に検出できない発現レベルを指す。
【0054】
ミモトープ:
本明細書で用いる「ミモトープ」という用語は、抗原または抗原決定基に対する免疫反応を誘導する物質である。一般に、ミモトープという用語は、特定の抗原に関して用いられる。例えば、ホスホリパーゼA2(PLA2)に対する抗体の産生を誘発するペプチドは、抗体が結合する抗原決定基のミモトープである。ミモトープは、それが免疫反応を誘導する抗原または抗原決定基と実質的な構造類似性を有するまたは構造特性を共有する場合とそうでない場合がある。特定の抗原または抗原決定基に対して免疫反応を誘導するミモトープを作製および同定する方法は、当技術分野で周知であり、本明細書の他所に記載する。
【0055】
突然変異タンパク質:
本明細書で用いる「突然変異タンパク質」という用語は、少なくとも1つのアミノ酸の付加、置換、もしくは欠失、またはこれらの組み合わせによって起こる、所与の参照(例えば、天然、野生型等)ポリペプチドと1つまたは複数のアミノ酸が異なるタンパク質またはポリペプチドを指す。好ましい態様は、少なくとも1つのアミノ酸の置換、好ましくは少なくとも1つのアミノ酸の保存的置換に由来する変異を含む。保存的置換には、アミノ酸の電荷、極性、芳香族、脂肪族、または疎水性の性質が維持される等電子構造の置換が含まれる。例えば、システイン残基のセリン残基による置換は保存的置換である。本発明の好ましい態様において、「突然変異タンパク質」という用語は、付加、置換、もしくは欠失、またはこれらの組み合わせに由来する、所与の参照(例えば、天然、野生型等)ポリペプチドと3つ、好ましくは2つ、最も好ましくは1つのアミノ酸のアミノ酸が異なるタンパク質またはポリペプチドを指す。本発明のさらに好ましい態様では、「突然変異タンパク質」という用語は、3つ、好ましくは2つ、最も好ましくは1つのアミノ酸の置換に由来し、好ましくは、3つ、好ましくは2つ、最も好ましくは1つのアミノ酸の保存的置換に由来する、所与の参照(例えば、天然、野生型等)ポリペプチドと3つ、好ましくは2つ、最も好ましくは1つのアミノ酸が異なるタンパク質またはポリペプチドを指す。
【0056】
天然起源:
本明細書で用いる「天然起源」という用語は、その全体または一部が合成によるものではなく、天然に存在するまたは天然で生じること意味する。好ましくは、本明細書で用いる「天然起源」という用語は、その全体が合成によるものではなく、天然に存在するまたは天然で生じること意味する。
【0057】
非天然:
本明細書で用いるこの用語は、一般に天然に由来しないことを意味し、より具体的には、この用語は人の手によることを意味する。
【0058】
非天然起源:
本明細書で用いる「非天然起源」という用語は、一般に合成によるまたは天然に由来しないことを意味し;より具体的には、この用語は人の手によることを意味する。
【0059】
規則正しくかつ反復性の抗原または抗原決定基アレイ:
本明細書で用いる「規則正しくかつ反復性の抗原または抗原決定基アレイ」という用語は、一般に、典型的にかつ好ましくはコア粒子およびウイルス様粒子それぞれに関する抗原または抗原決定基の均一な空間的配列を特徴とする、抗原または抗原決定基の繰り返しパターンを指す。本発明の1つの態様では、繰り返しパターンは幾何学的パターンであってよい。適切な規則正しくかつ反復性の抗原または抗原決定基アレイの典型的でありかつ好ましい例は、好ましくは、1〜30ナノメートル、好ましくは5〜15ナノメートルの間隔を有する、抗原または抗原決定基の厳密に反復性の準結晶整列を有するものである。
【0060】
有機分子:
本明細書では、本発明に関する「有機分子」または「有機分子群」という用語には、好ましくは抗原および抗原決定基、アレルゲン、自己抗原、ハプテン、癌抗原、および感染症抗原、同様に乱用薬物(ニコチンのような)ならびにその断片および誘導体等の小有機分子が含まれる。
【0061】
ポリペプチド:
本明細書で用いる「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合を介して互いに結合しているアミノ酸残基、一般には天然アミノ酸残基から構成される重合体を指す。ポリペプチドは必ずしも大きさで限定され得ず、ポリペプチドにはタンパク質およびペプチドの両方が含まれる。ペプチドは、典型的な大きさが約5〜約50アミノ酸、またはこの一般的な範囲内の任意の数のアミノ酸のポリペプチドである。しかし、ペプチドは、例えば最長で120〜150アミノ酸までといったようにより長くてもよい。
【0062】
タンパク質:
本明細書で用いるタンパク質という用語は、一般に約5またはそれ以上、10またはそれ以上、20またはそれ以上、25またはそれ以上、50またはそれ以上、75またはそれ以上、100またはそれ以上、200またはそれ以上、500またはそれ以上、1000またはそれ以上、2000またはそれ以上のアミノ酸の大きさのポリペプチドを指す。明確な三次元構造をもたない場合が多く、むしろ多くの異なる様々な高次構造をとることができ、折りたたまれていないと称されるペプチドおよびポリペプチドとは対照的に、タンパク質は一般に、必ずしもその必要はないものの明確な三次元構造を有し、折りたたまれていると称される場合が多い。しかし、ペプチドもまた明確な三次元構造を有する場合もある。
【0063】
精製された:
本明細書では、「精製された」という用語を分子に関して用いる場合、天然環境、またはこの分子が産生、発見、もしくは合成された環境において付随していた分子と比較して、精製する分子の濃度が増加したことを意味する。天然に付随する分子には、タンパク質、核酸、脂質、および糖が含まれるが、一般に、精製する分子の完全性を維持するかまたはその精製を促進するために添加した水、緩衝液、および試薬は含まれない。例えば、オリゴdTカラムクロマトグラフィーの過程でmRNAを水性溶媒で希釈したとしても、天然に会合する核酸および他の生体分子がカラムに結合せず対象のmRNA分子と分離されるならば、mRNA分子はこのクロマトグラフィーにより精製される。この定義によると、その混入物と比較して考えた場合、物質は5%もしくはそれ以上、10%もしくはそれ以上、20%もしくはそれ以上、30%もしくはそれ以上、40%もしくはそれ以上、50%もしくはそれ以上、60%もしくはそれ以上、70%もしくはそれ以上、80%もしくはそれ以上、90%もしくはそれ以上、95%もしくはそれ以上、98%もしくはそれ以上、99%もしくはそれ以上、または100%純粋である可能性がある。
【0064】
受容体:
本明細書で用いる「受容体」という用語は、リガンドと呼ばれる別の分子と相互作用し得るタンパク質もしくは糖タンパク質またはそれらの断片を指す。リガンドは、生化学的または化学的化合物の任意のクラスに属し得る。受容体は、必ずしも膜結合タンパク質である必要はない。例えばマルトース結合タンパク質またはレチノール結合タンパク質のような可溶化タンパク質も、同様に受容体である。
【0065】
残基:
本明細書で用いる「残基」という用語は、ポリペプチド骨格または側鎖における特定のアミノ酸を意味することを意図する。
【0066】
組み換え宿主細胞:
本明細書で用いる「組み換え宿主細胞」という用語は、本発明の1つまたは複数の核酸分子を導入した宿主細胞を指す。宿主細胞には、例えば哺乳動物、昆虫、植物、鳥類、酵母を含む真核生物;および例えば大腸菌、枯草菌(B. Subtilis)等の原核生物が含まれる。
【0067】
RNAファージ:
本明細書で用いる「RNAファージ」という用語は、細菌に感染するRNAウイルス、より詳細には細菌に感染する一本鎖プラスセンスRNAウイルスを指す。
【0068】
自己抗原:
本明細書で用いる「自己抗原」という用語は、宿主DNAによってコードされ得る分子または化合物を指す。これには、ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸、脂質、および他の生体分子が含まれる。より典型的にかつ好ましくは、「自己抗原」という用語は、宿主DNAによってコードされるポリペプチドまたはタンパク質を指す。宿主DNAによってコードされるタンパク質またはRNAによって生じる産物もまた、自己と定義する。翻訳後修飾およびタンパク質分解プロセシング、または自己遺伝子産物の選択的スプライシングによって修飾されたタンパク質もまた、自己と定義する。宿主DNAによってコードされるタンパク質またはRNAによって生じる産物もまた、自己と定義する。さらに、2つまたはいくつかの自己分子の組み合わせによって生じた、または自己分子の画分を示すタンパク質、および上記の自己分子と高い相同性を有するタンパク質(>95%、好ましくは>97%、より好ましくは>99%)もまた、自己と見なされ得る。
【0069】
ベクター:
本明細書で用いる「ベクター」という用語は、遺伝物質を宿主細胞に伝達するのに用いる媒介物(例えば、プラスミドまたはウイルス)を指す。ベクターは、DNAから構成されてもまたはRNAから構成されてもよい。
【0070】
ウイルス様粒子(VLP):
本明細書で用いる「ウイルス様粒子」という用語は、ウイルス粒子に類似している構造を指す。さらに、本発明によるウイルス様粒子は、ウイルスゲノムのすべてまたは一部、詳細にはウイルスゲノムの複製および感染成分を欠くため、複製不能でありかつ非感染性である。本発明によるウイルス様粒子は、ゲノムとは異なる核酸を含んでもよい。本発明によるウイルス様粒子の典型的でありかつ好ましい態様は、ウイルス、バクテリオファージ、またはRNAファージに対応するウイルスキャプシド等のウイルスキャプシドである。本明細書で互換的に用いる「ウイルスキャプシド」または「キャプシド」という用語は、ウイルスタンパク質サブユニットから構成される巨大分子の会合を指す。典型的にかつ好ましくは、ウイルスタンパク質サブユニットは会合して、固有の反復性組織を有する、典型的に球状または管状の構造を有するウイルスキャプシドおよびキャプシドをそれぞれ形成する。例えば、RNAファージのキャプシドは正二十面体対称の球状形態を有する。本明細書で用いる「キャプシド様構造」という用語は、先に定義した意味でキャプシド形態に類似しているが、十分な程度の規則性および反復性を維持しつつ典型的な対称的会合から逸脱した、ウイルスタンパク質サブユニットから構成される巨大分子の会合を指す。
【0071】
バクテリオファージのウイルス様粒子:
本明細書で用いる「バクテリオファージのウイルス様粒子」という用語は、複製不能かつ非感染性であり、少なくともバクテリオファージの複製機構をコードする遺伝子または遺伝子群を欠き、さらに典型的に宿主へのウイルスの付着または侵入を担うタンパク質またはタンパク質群をコードする遺伝子または遺伝子群をも欠く、バクテリオファージの構造に類似するウイルス様粒子を指す。しかしこの定義は、上記の遺伝子または遺伝子群がまだ存在するが不活性であり、したがって同様にバクテリオファージの複製不能でありかつ非感染性であるウイルス様粒子を生じる、バクテリオファージのウイルス様粒子も包含するべきである。
【0072】
ウイルス粒子:
本明細書で用いる「ウイルス粒子」という用語は、ウイルスの形態学的な形を指す。あるウイルス種ではウイルス粒子はタンパク質キャプシドによって囲まれたゲノムを含み;他のウイルス粒子は付加的な構造(例えば、エンベロープ、尾部等)を有する。
【0073】
1つの(one、a、またはan):
「1つの(one、a、またはan)」という用語をこの開示で用いる場合、特記しない限り、これは「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。
【0074】
本明細書では、任意の数値を参照する場合、「約」という用語は規定値の±10%の値を意味する(例えば、「約50℃」は45℃〜55℃の温度の範囲を包含し;同様に「約100 mM」は90 mM〜110 mMの濃度の範囲を包含する)。
【0075】
概要
本発明のベクターを用いて、組換えAP205コートタンパク質を細菌で発現できること、および精製した形で得られることを発見した。組換えAP205コートタンパク質は、本明細書によって細菌内で自発的に自己会合してAP205ウイルス様粒子を形成する。本発明は、AP205 VLPの発現に適した宿主細胞およびベクター、ならびに会合能力を有するAP205コートタンパク質の変種型を提供する。これらの発現したVLP、天然起源に由来するAP205 VLP、またはAP205ウイルス粒子を有機分子に結合し、有機分子の規則正しい反復性アレイを産生することができる。本発明の有機分子には、抗原、アレルゲン、自己抗原、ハプテン、癌抗原、および感染症抗原が含まれる。1つの態様において、有機分子はポリペプチドまたはタンパク質である。
【0076】
本発明の複合体の形成、すなわち有機分子のVLPへの結合は、共有結合および非共有結合を含む付着、連結、融合、または他の結合によって達成する。1つの態様では、VLPは第1付着部位を含み、有機分子は第2付着部位を含む。有機分子との結合は、第1付着部位と第2付着部位を直接連結することにより、または第3の分子を介して、典型的にかつ好ましくは架橋剤を介して起こる。付着部位は、天然起源であってもまたは導入してもよい。好ましい態様において、結合は少なくとも1つの共有結合を含み、好ましくはペプチド結合を含み、または代替的にかつ好ましくは非ペプチド結合を含む。
【0077】
AP205 VLP複合体または本発明の提供するような複合体を含む組成物を用いて動物を免疫することにより、提示した有機分子に対する強力な免疫反応が誘導される。このように、本発明の複合体および組成物は、提示した様々な抗原に対して免疫反応を促進するのに、ひいては動物での使用に有用である。本発明はまた、薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤を伴う、免疫学的に有効な量の本発明の1つまたは複数の複合体の組成物を含むワクチンに関する。AP205 VLPを用いて、例えば、ハプテン、アレルゲン、腫瘍、ウイルス疾患、または自己分子もしくは非ペプチド性小分子に対してワクチン接種することができる。ワクチン接種は予防目的であっても治療目的であっても、またはその両方であってもよい。関連する局面では、そのような組成物に対して産生された抗体等の免疫分子および抗体をそれぞれ、疾患、病態、または障害の治療、予防、または診断に用いることができる。本発明のそのような抗体および組成物はまた、キットとしても有用である。
【0078】
AP205バクテリオファージコートタンパク質のクローニング
AP205ゲノムは、成熟タンパク質、コートタンパク質、レプリカーゼ、および関連するファージには存在しない2つのオープンリーディングフレーム;溶解遺伝子および成熟遺伝子の翻訳において役割を担うオープンリーディングフレーム(Klovins, J.ら、J. Gen. Virol. 83: 1523-33 (2002))からなる。本発明の1つの局面では、当技術分野で周知の方法を用いて、AP205バクテリオファージRNAを逆転写しその後PCRすることにより、コートタンパク質cDNAを単離した。コートタンパク質遺伝子の上流にリボソーム結合部位を含むコートタンパク質のcDNAを、ベクターpQb10にクローニングした(Kozlovska, T. M.ら、Gene 137:133-37 (1993))。別のアプローチでは、AP205コートタンパク質のcDNAをベクターpQb185に、バクテリオファージQBコートタンパク質遺伝子を置換し、したがってベクタに存在するリボソーム結合部位の下流にクローニングすることができる。どちらのアプローチによってもタンパク質が発現し、キャプシドが形成される。したがって本発明では、pQb185ベクターのようなAP205リボソーム結合部位ではないリボソーム結合部位を含むベクターから、コートタンパク質を発現することができる。
【0079】
ベクターpQb10およびpQb185はpGEMベクターに由来するベクターであり、これらのベクターにクローニングした遺伝子の発現はtrpプロモーターによって調節される(Kozlovska, T. M.ら、Gene 137:133-37 (1993))。pAP283-58(配列番号:2)は、以下の配列において推定上のAP205リボソーム結合部位を含み、それはXbaI部位の下流かつAP205コートタンパク質のATG開始コドンのすぐ上流である:

ベクターpQb185は、XbaI部位の下流かつ開始コドンの上流にシャイン・ダルガルノ配列を含み

下線はシャイン・ダルガルノ配列)、これはベクターpAP281-32(配列番号:4)にも存在する。当業者に周知の他のベクターには、例えばpKK 223.3、PETベクターファミリー、pBR322(Sutcliffe, J.G. Cold Spring Harb. Symp. Quant. Biol. 43 Pt 1: 77-90 (1979))、pUC18、pUC19が含まれ、これらはすべて、適切なプロモーターおよびリボソーム結合部位が存在しない、または当業者が認知してコートタンパク質の発現および続くウイルス様粒子の形成に適切でない場合には、適切なプロモーターおよびリボソーム結合部位を含むように改変する。上記のベクターに由来する他のベクター、および大腸菌または当業者に周知の他の宿主におけるタンパク質発現に適した他のベクター、および一般に大腸菌または他の宿主におけるタンパク質の発現に適切である任意のベクターが、コートタンパク質の発現および続くウイルス様粒子の形成を可能にするのであれば、本発明を実施するために適している。本発明の1つの局面では、AP205コートタンパク質の遺伝子を発現するためのベクターを大腸菌にトランスフェクションする。適切な大腸菌株には、大腸菌K802、JM 109、RR1が含まれるが、これらに限定されない。他の大腸菌株も当業者に周知であり、SDS-PAGEによりコートタンパク質の発現を試験することによって、および任意でまずゲル濾過によりキャプシドを精製し、次に免疫核酸アッセイ法(オクタロニー試験)または電子顕微鏡観察によって試験することによりキャプシド形成および会合を試験することによって、ベクターと株との適切な組み合わせを同定することができる(Kozlovska, T. M.ら、Gene 137:133-37 (1993))。
【0080】
ベクターpAP283-58およびpAP281-32から発現したAP205コートタンパク質は、大腸菌の細胞質でのプロセシングにより、最初のメチオニンアミノ酸を欠いている可能性がある。本発明に従ってAP205 VLPを生じるメチオニン切断ポリペプチド、本明細書で詳細には配列番号:1および配列番号:3のメチオニン切断ポリペプチド、ならびにAP205ポリペプチドの非切断型、または本発明に従ってAP205 VLPを生じるこれらの混合物は態様であり、本発明の範囲内である。
【0081】
AP205ウイルス様粒子
1つの態様において、本発明はキャプシドを形成するAP205コートタンパク質を提供する。そのようなタンパク質は、組換えにより発現させるかまたは天然起源から調製する。会合してVLPを形成し得る組換えAP205コートタンパク質断片は、本発明のさらなる態様である。これらの断片は、コートタンパク質の内部または末端での欠失によって作製することができる。VLPへの会合に適合するコートタンパク質配列への挿入またはコートタンパク質配列への融合は、本発明のさらなる態様である。コートタンパク質への挿入、コートタンパク質の欠失、およびコートタンパク質への融合の結果、ならびにそれがVLPへの会合に適合するかどうかは、電子顕微鏡観察により判断することができる。
【0082】
本発明は、組換えAP205コートタンパク質を精製する方法を提供する。沈殿による分画段階とゲル濾過による精製段階の組み合わせにより、AP205コートタンパク質によって形成される粒子を純粋な形で単離することができる。ウイルス様粒子を単離する他の方法は当技術分野において周知であり、これを用いてバクテリオファージAP205のウイルス様粒子(VLP)を単離することができる。例えば、その全体が本明細書に参照として組み入れられる米国特許第4,918,166号には、酵母レトロトランスポゾンTyのVLPを単離するための超遠心の使用が記載されている。ゲル濾過に加えて、イオン交換、疎水性相互作用、またはアフィニティークロマトグラフィー等の他のクロマトグラフィー段階を用いることができる。
【0083】
組換えAP205コートタンパク質の発現により、これが会合し、顕微鏡観察により解析した場合にファージ粒子と同一の外見および大きさを有するウイルス様粒子が形成される。VLPを精製できることは本発明の発見である。したがって本発明は、純粋な形で多量に得られる新たなVLPを提供する。
【0084】
大腸菌において自己会合したAP205 VLPは、AP205ファージ粒子と同一の外見および大きさを有する。他のVLP(ポリオーマVP1 VLPおよびパピローマL1 VLP、Chackerian B.ら、PNAS 96: 2373-2378 (1999))について示されているように、実験条件の操作またはエピトープのVLPへの融合によって、会合が異なった状態のVLPが生じる。例えば、野生型または主要な粒子よりも三角分割数が少ない粒子が得られる可能性がある。したがって、AP205ファージ粒子よりも小さいAP205 VLP、または同じ大きさのAP205 VLPとAP205ファージ粒子よりも小さいAP205 VLPとの混合物もまた、本発明の態様である。
【0085】
非還元PAGEで解析した場合、AP205 VLPサブユニットは還元PAGEで解析した場合よりも大きく見える分子量で移動し、このことからサブユニットは国際公開公報第03/024481号の実施例17に記載されるようにジスルフィド結合により結合していることが示される。
【0086】
さらなる局面では、本発明は、AP205ウイルス様粒子を産生するために適したオープンリーディングフレームを含み、付加的な核酸をさらに含むベクターを提供し、その結果生じたベクターはそのような付加的な核酸によってコードされるアミノ酸を含む組換えAP205ウイルス様粒子を産生し得る。
【0087】
別の局面では、本発明は、AP205ウイルス様粒子を産生するために適したオープンリーディングフレームを含み、付加的な核酸の導入に適した制限酵素部位をさらに含むベクターを提供し、その結果生じたベクターはそのような付加的な核酸によってコードされるアミノ酸を含む組換えウイルス様粒子を産生し得る。
【0088】
有機分子、ハプテン、および抗原
本方法で用いる有機分子、本発明の複合体および組成物には、任意の抗原、ハプテン、有機分子、またはそれらの断片が含まれる。本発明の分子には、それ自体では(すなわち、AP205ウイルスまたはウイルス様粒子に結合せずには)動物において免疫反応を誘導し得ないハプテン、有機分子、および抗原断片が含まれる。有機分子には、例えば、(a) 癌細胞に対する免疫反応を誘導するのに適した有機分子;(b) 感染症に対する免疫反応を誘導するのに適した有機分子;(c) アレルゲンに対する免疫反応を誘導するのに適した有機分子;(d) 自己抗原に対する改善された反応を誘導するのに適した有機分子;(e) 薬剤、ホルモン、または毒素、詳細には乱用薬物に対する免疫反応を誘導するのに適した抗原またはハプテン;および(f) (a)〜(e)に記載の有機分子、抗原、またはハプテンのいずれかの断片(例えばドメイン)が含まれる。
【0089】
感染症
本発明の1つの特定の態様において、有機分子、抗原、または抗原決定基は、感染症の予防に有用なものである。そのような治療は、例えば、ヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、他の哺乳動物種、および非哺乳動物種といった広範な宿主に影響を及ぼす多種多様な感染症を治療するのに有用であると考えられる。そのようなワクチンは、個体または集団における感染を防ぐために予防的に、または現在進行中の感染症を軽減するために治療的に用いることができる。ワクチンが知られているまたは望まれている感染症は当業者に周知であり、その例には、HIV、インフルエンザ、ヘルペス(Herpes)、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘等のウイルス性病因の感染;肺炎、結核、梅毒、ライム病、コレラ、サルモネラ症、髄膜炎、敗血症等の細菌性病因の感染;または、マラリア、トリパノソーマ症、レーシュマニア症、トリコモナス症、アメーバ症等の寄生虫病因の感染が含まれる。本発明の複合体、組成物、および方法に用いられる抗原または抗原決定基は、当業者に周知である。抗原または抗原決定基の例には以下のものが含まれる:HIV抗原gp140およびgp160;インフルエンザ抗原赤血球凝集、M2タンパク質、およびノイラミニダーゼ、B型肝炎表面抗原、ならびにマラリアのスポロゾイト周囲タンパク質が含まれる。
【0090】
本発明の1つのそのような態様では、抗原または抗原決定基は、(a) HIVの組換えタンパク質、(b) インフルエンザウイルスの組換えタンパク質(例えば、インフルエンザウイルスM2タンパク質またはその断片)、(c) C型肝炎ウイルスの組換えタンパク質、(d) トキソプラズマ(Toxoplasma)の組換えタンパク質、(e) 熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の組換えタンパク質、(f) 三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)の組換えタンパク質、(g) 卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)の組換えタンパク質、(h) 四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)の組換えタンパク質、(i) クラミジア(Chlamydia)の組換えタンパク質、および(j) (a)〜(i)に記載のタンパク質のいずれかの断片からなる群より選択される。
【0091】
別の態様では、本発明は、インフルエンザウイルス核酸によってコードされる少なくとも1つの抗原または抗原決定基を含むワクチン組成物、および免疫反応を誘発するためのそのようなワクチン組成物の使用を対象とする。特定のそのような態様では、インフルエンザ抗原または抗原決定基は、M2タンパク質(例えば、GenBankアクセッション番号P06821、PIRアクセッション番号MFIV62に示されるアミノ酸を有するM2タンパク質、またはその断片(例えば、約2位〜24位のアミノ酸))である。M2タンパク質、および免疫反応が求められる、本発明による使用に適した他のタンパク質の一部には、任意の数のアミノ酸長のペプチドが含まれるが、これは一般に少なくとも6アミノ酸長である(例えば、6、7、8、9、10、12、15、18、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または97アミノ酸長のペプチド)。
【0092】
ホルモン、毒素、および薬物、特に乱用薬物
さらなる局面では、本発明は、ハプテンに対する免疫反応を刺激するのに適切な組成物を提供する。これらのハプテンには、ホルモン、薬剤、および毒性化合物が含まれるが、これらに限定されない。そのような化合物に曝露される危険性のある個体を予防するため、そのような化合物に曝露された個体の治療として、またはそのような化合物への中毒を予防もしくは治療するために、様々な薬物、ホルモン、および毒性化合物に対する免疫反応を利用する。
【0093】
代表的な毒性化合物には、有毒植物、有毒動物、および有毒微生物の天然産物が含まれるが、これらに限定されない。そのような産物には、アフラトキシン、シガテラ毒、およびテトロドトキシンが含まれる。人工的に、または代謝の結果として産生される他の代表的な毒性化合物には、抗生物質(例えばバンコマイシン)、抗癌化合物(例えばビンブラスチン)、および化学兵器(例えば、サリン、マスタードガス、VX)が含まれる。本発明の1つの局面は、一般に用いられる医薬品の毒性代謝産物に対する抗体の産生を含み、これにより個体は毒性代謝産物に関連する副作用を受けずに医薬品の有益な効果を受け続けられる。したがって、好ましい態様において、毒素は、個体の体内で産生される医薬品の代謝産物である。さらなる好ましい態様において、毒素は化学兵器である。
【0094】
薬物嗜癖、特に娯楽的な薬物嗜癖を治療する複合体、組成物、および方法での使用に適した有機分子、抗原、または抗原決定基は、当業者に周知であると考えられる。有機分子、抗原、または抗原決定基の代表的な例には、例えば、コデイン、フェンタニル、ヘロイン、モルヒネ、およびアヘン等のオピオイドおよびモルヒネ誘導体;アンフェタミン、コカイン、MDMA(メチレンジオキシメタンフェタミン)、メタンフェタミン、メチルフェニデート、およびニコチン等の刺激薬;LSD、メスカリン、およびシロシビン等の幻覚薬;大麻およびマリファナ等のカンナビノイド、他の中毒性薬物または化合物;ならびにそのような化合物の誘導体、副産物、変種、および複合体が含まれる。
【0095】
アレルギーおよび癌
関連する態様において、本発明は、アレルギーまたは癌を治療または予防するために使用し得る、免疫療法としての使用に適した組成物を提供する。
【0096】
アレルギーを治療または予防する複合体、組成物、および方法での使用に適した抗原または抗原決定基は、当業者に周知であると考えられる。そのような抗原または抗原決定基の代表的な例には以下のものが含まれる:ハチ毒ホスホリパーゼA2、Bet v I(カバノキ花粉アレルゲン)、5 Dol m V(クロスズメバチ(white-faced hornet)毒アレルゲン)、メリチンおよびDer p I(イエダニアレルゲン)、グルテン、グリアジン、甲殻類アレルゲン、ゴキブリアレルゲン、ピーナッツおよび他のナッツアレルゲン、ブタクサおよび他の花粉アレルゲン、グレビレアアレルゲン、ならびに免疫反応を誘発するために使用できるそれぞれの断片。本発明の特定の態様において、アレルゲンは、(a) ハチ刺されアレルギーの組換えタンパク質、(b) ナッツアレルギーの組換えタンパク質、(c) 食物アレルギーの組換えタンパク質、(d) 喘息の組換えタンパク質、(e) クラミジアの組換えタンパク質、および(f) (a)〜(e)のアレルゲンのいずれかの断片からなる群より選択される。
【0097】
上記したように、本発明の複合体、組成物、または方法での使用に適した抗原または抗原決定基は、Der p Iである。Der p Iはイエダニの糞便中に見出される25kDプロテアーゼであり、イエダニの主要アレルゲンである。したがって、80%のダニアレルギー患者は抗Der p I IgE抗体を有する。特に、とりわけDer pIペプチドp52-72およびp117-133(配列番号:64)は、天然、Der p Iに特異的な抗体によって認識されるエピトープを含むことが知られている。全抗原に対するポリクローナル反応で産生されるIgE抗体は、ペプチド領域59〜94に高い親和性で結合する(L. Pierson-Mullanyら、(2000) Molecular Immunology)。他の領域もまた、高い親和性でIgEに結合する。ペプチドp117-133は、そのN末端に、本発明による第2付着部位を表すシステインを含む。3Dモデリングにより、ペプチドp52-72およびp117-133は全タンパク質の表面に割り当てられる(Jeannin, P.ら、Molecular Immunology 30:1511-1518 (1993))。しかし、Der p Iタンパク質の他の断片が、本発明に適切なB細胞エピトープを含む可能性もある。
【0098】
本発明の組成物の好ましい態様において、抗原または抗原決定基は、

からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、第2付着部位を伴うDer p Iペプチドである。
【0099】
さらなる態様では、本発明は、アナフィラキシーを引き起こすアレルギー反応等のアレルギー反応を予防するおよび/または減弱する方法における使用に適したワクチン組成物を提供する。本明細書の他所に開示するように、アレルギー反応は、IgE抗体の存在を生じる、抗原に対するTH2反応によって特徴づけることができる。TH1免疫反応の促進およびIgG抗体の産生が、アレルギー疾患を軽減する可能性がある。したがって、本発明のワクチン組成物には、アレルギー反応を予防するおよび/または減弱する抗体の産生をもたらす組成物が含まれる。よって、特定の態様において、本発明のワクチン組成物には、アレルゲンに対する免疫反応を誘発する組成物が含まれる。そのようなアレルゲンの例には、セイヨウミツバチ(Apis mellifera)(GenBankアクセッション番号443189、GenBankアクセッション番号229378)、オオミツバチ(Apis dorsata)(GenBankアクセッション番号B59055)、日本ミツバチ(Apis cerana)(GenBankアクセッション番号A59055)、ボンバス・ペンシルバニカス(Bombus pennsylvanicus)(GenBankアクセッション番号B56338)、およびアメリカドクドカゲ(Heloderma suspectum)(GenBankアクセッション番号P80003;GenBankアクセッション番号S14764;GenBankアクセッション番号226711)のホスホリパーゼA2(PLA2)タンパク質等のホスホリパーゼが含まれる。
【0100】
例としてセイヨウミツバチのPLA2タンパク質のアミノ酸配列(GenBankアクセッション番号443189、GenBankアクセッション番号229378)を用いるが、全PLA2配列の任意の部分を表す少なくとも60アミノ酸長のペプチドを、アレルギー反応を予防するおよび/または減弱するための組成物に用いることも可能である。そのようなペプチドの例には、アミノ酸1〜60、アミノ酸1〜70、アミノ酸10〜70、アミノ酸20〜80、アミノ酸30〜90、アミノ酸40〜100、アミノ酸47〜99、アミノ酸50〜110、アミノ酸60〜120、アミノ酸70〜130、またはアミノ酸90〜134、ならびに他のPLA2タンパク質(例えば上記のPLA2タンパク質)の対応する部分を含むペプチドが含まれる。そのようなペプチドのさらなる例には、アミノ酸1〜10、アミノ酸5〜15、アミノ酸10〜20、アミノ酸20〜30、アミノ酸30〜40、アミノ酸50〜60、アミノ酸60〜70、アミノ酸70〜80、アミノ酸80〜90、アミノ酸90〜100、アミノ酸100〜110、アミノ酸110〜120、アミノ酸120〜130、ならびに他のPLA2タンパク質(例えば上記のPLA2タンパク質)の対応する部分を含むペプチドが含まれる。
【0101】
PLA2の一部、および免疫反応が求められる、本発明による使用に適した他のタンパク質の一部は、一般に少なくとも6アミノ酸長のペプチドを含む、またはそのようなペプチドからなる可能性がある(例えば、6、7、8、9、10、12、15、18、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100アミノ酸長のペプチド)。
【0102】
PLA2ペプチド(例えば、上記の全長PLA2タンパク質およびそれぞれの部分)を、規則正しくかつ反復性のアレイの形成を可能にする任意の物質(例えば、AP205キャプシドタンパク質またはその断片)に結合させることもできる。
【0103】
癌を治療する組成物および方法に関する抗原または抗原決定基の選択は、当業者に周知であると考えられる。本発明の特定の態様において、抗原または抗原決定基は、(a) 乳癌細胞の組換えタンパク質;(b) 腎臓癌細胞の組換えタンパク質;(c) 前立腺癌細胞の組換えタンパク質;(d) 皮膚癌細胞の組換えタンパク質;(e) 脳腫瘍細胞の組換えタンパク質;(f) 白血病細胞の組換えタンパク質;(g) 組換えプロファイリング(a recombinant profiling);および(h) (a)〜(g)に記載のタンパク質のいずれかの断片からなる群より選択される。
【0104】
そのような種類の抗原または抗原決定基の代表的な例には、以下のものが含まれる:Her2(乳癌)、GD2(神経芽細胞腫)、EGF-R(悪性グリア芽細胞腫)、CEA(甲状腺髄様癌)、およびCD52(白血病)、ヒトメラノーマタンパク質gp100、ヒトメラノーマタンパク質メラン-A/MART-1、チロシナーゼ、NA17-A ntタンパク質、MAGE-3タンパク質、p53タンパク質、およびHPV16E7タンパク質、ならびに免疫反応を誘発するために使用できるそれぞれの断片。癌を治療する組成物および方法に有用なさらなる抗原決定基は、血管新生に関与する分子および抗原決定基である。血管新生、新たな血管の形成は、創傷治癒および固形癌の増殖等の、それぞれ生理学的および病態生理学的過程において重要な役割を担う(Folkman, J. (1995) Nat. Medicine 1, 27-31;Folkman, J.およびKlagsburn, M. (1987) Science 235, 442-446;Martiny-Bacon, G.およびMarme, D. (1995) Curr. Opin. Biotechnol. 6, 675-680;Risau, W. (1997) Nature 386, 671-674)。迅速に増殖する腫瘍は、必要とする血液供給を提供するために、血管の形成を開始しこれに依存する。したがって、抗血管新生薬は抗癌治療として効果的であると考えられる。
【0105】
これまでに同定されたいくつかの推定血管新生因子のうち、血管内皮増殖因子(VEGF)は強力な内皮細胞特異的マイトジェンであり、多くの固形腫瘍の血管新生の主要な刺激剤である。したがって、VEGF作用の妨害は、腫瘍と闘う戦略として腫瘍ではなく内皮を阻止する手段として、腫瘍誘発性血管新生における処置の標的である(Millauer, B.ら、(1994) Nature 367, 576-579;Kim, Jら、(1993) Nature 362, 841-844)。
【0106】
抗VEGFR-II抗体(IMC-1C119)および抗VEGF抗体が開示されている(Lu, D.ら、(2000) J. Biol. Chem. 275, 14321-14330;Presta, L.G.ら、(1997) Cancer Res. 47, 4593-4599)。前者の中和モノクローナル抗VEGFR-2抗体は、推定上のVEGF/VEGFR-II結合部位として同定されたエピトープを認識する(Piossek, C.ら、(1999) J Biol Chem. 274, 5612-5619)。
【0107】
したがって、本発明の1つの態様では、本発明の複合体、組成物、または方法に用いる抗原または抗原決定基は、VEGFR-II接合部位に由来するペプチドである。これにより、癌の治療に有用な抗血管新生特性を有する可能性のある、本発明による組成物およびワクチン組成物が提供される。VEGFR-2に特異的な血清を用いた、マウスの腫瘍増殖の阻害が実証された(Wei, YQら、(2000) Nature Medicine 6, 1160-1165)。したがって、本発明による独創的な組成物および抗血管新生ワクチン組成物に適したさらなる抗原決定基には、アミノ酸配列

を有するヒトVEGFR-II由来ペプチド、および/またはアミノ酸配列

を有するマウスVEGFR-II由来ペプチド、および/またはVEGFR-IIの関連する細胞外球状ドメイン1〜3が含まれる。
【0108】
自己抗原
特定の態様において、本発明は、「自己」遺伝子産物(例えば腫瘍壊死因子)によって起こるまたは悪化する疾患または病態を予防するおよび/または減弱する方法での使用に適したワクチン組成物を提供する。従来のワクチンによって自己分子に対する抗体反応を誘導することは、不可能ではないしても通常は困難である。本発明は、抗原をAP205 VLPに結合することを介して免疫に使用する抗原の反復性の程度を増加させることによる、ワクチン接種の効率を改良する1つの方法を提供する。
【0109】
単離タンパク質とは異なり、ウイルスは、T細胞の支援があってもなくてもアジュバントの非存在下で迅速かつ効率的な免疫反応を誘導する(BachmannおよびZinkernagel、Ann. Rev. Immunol: 15:235-270 (1997))。ウイルスはわずかなタンパク質からなる場合が多いが、単離成分よりも非常に強力な免疫反応を誘発し得る。B細胞応答では、ウイルスの免疫原性の1つの決定的な要素は、表面エピトープの反復性および規則性であることが知られている。多くのウイルスが、B細胞上のエピトープ特異的免疫グロブリンを効率よく架橋する、エピトープの規則的なアレイを示す準結晶表面を示す(BachmannおよびZinkernagel、Immunol. Today 17:553-558 (1996))。このB細胞上の表面免疫グロブリンの架橋は、細胞周期の進行およびIgM抗体の産生を直接誘導する強力な活性化シグナルである。さらに、そのような誘発されたB細胞はTヘルパー細胞を活性化することができ、今度はこれが、B細胞におけるIgM抗体産生からIgG抗体産生への転換、および長期B細胞記憶の生成 - ワクチン接種の目標を誘導する(BachmannおよびZinkernagel、Ann. Rev. Immunol: 15:235-270 (1997))。ウイルス構造は、自己免疫疾患においておよび病原体に対する自然な反応の一部として、抗抗体の作製にも関係がある(Fehr, T.ら、J Exp. Med. 185:1785-1792 (1997)を参照のこと)。したがって、高度に組織化されたウイルス表面によって提示された抗体は、強力な抗抗体反応を誘導することができる。
【0110】
免疫系は通常、自己由来構造に対する抗体を産生することができない。低濃度で存在する可溶性抗原では、これはTh細胞レベルでの寛容に起因する。この条件下では、Tヘルパーを送達し得る担体に自己抗原を結合することにより寛容が破壊され得る。高濃度で存在する可溶性抗原および低濃度の膜結合タンパク質では、B細胞およびTH細胞が寛容性であると考えられる。しかし、B細胞寛容は可逆的であり(アネルギー)、外来担体に結合した高度に組織化された抗原の投与によって破壊され得る(BachmannおよびZinkernagel、Ann. Rev. Immunol. 15:235-270 (1997))。
【0111】
したがって、本発明のワクチン組成物には、「自己」遺伝子産物によって起こるまたは悪化する疾患または病態を予防するおよび/または減弱する抗体の産生をもたらす複合体、組成物、および方法が含まれる。そのような疾患または病態の例には、移植片対宿主病、IgEを介したアレルギー反応、アナフィラキシー、成人呼吸窮迫症候群、クローン病、アレルギー性喘息、急性リンパ性白血病(ALL)、糖尿病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、グレーブス病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性自己免疫疾患、重症筋無力症、免疫増殖性疾患リンパ節症(IPL)、血管免疫増殖性リンパ節症(AIL)、免疫芽球性リンパ節症(IBL)、関節リウマチ、糖尿病、多発性硬化症、アルツハイマー病、骨粗鬆症、およびリウマチ熱、猩紅熱、ライム病、および感染性多発性関節炎を含むある種の感染に関連する自己免疫病態が含まれる。
【0112】
自己抗原に関連する他の疾患または病態を治療する複合体、組成物、および方法のための抗原または抗原決定基の選択も、やはり当業者に周知であると考えられる。そのような抗原または抗原決定基の代表的な例は、例えば、リンホトキシン(例えば、リンホトキシンα(LTα)およびリンホトキシンβ(LTβ))、およびリンホトキシン受容体、核因子kB活性化受容体リガンド(RANKL)、血管内皮増殖因子(VEGF)、血管内皮増殖因子受容体(VEGF-R)、インターロイキン5、インターロイキン17、インターロイキン13、CCL21、CXCL12、SDF-1、MCP-1、エンドグリン、レジスチン、GHRH、LHRH、TRH、MIF、エオタキシン、ブラジキニン、BLC、腫瘍壊死因子α、およびアミロイドβペプチド(Aβ1-42)、ならびに免疫反応を誘発するために使用できるそれぞれの断片である。
【0113】
1つの態様において、抗原決定基はアミロイドβペプチド(Aβ1-42)

またはその断片である。Aβペプチドは、アルツハイマー病の神経病理において中心的役割を担う。Aβペプチドの部位特異的細胞外蓄積は、小膠細胞症、細胞骨格の変化、ジストロフィー性神経炎、およびシナプス喪失を伴う。これらの病理学的変化は、この疾患を特徴づける認知低下と関連があると考えられている。
【0114】
アルツハイマー病のマウスモデルにおいて、Aβ1-42を産生するように操作したトランスジェニック動物(PDAPPマウス)は、脳内にプラークおよび脳障害を発症する。最近の研究から、Aβ1-42を用いて若いPDAPPマウスを免疫することにより、プラーク形成および関連するジストロフィー性神経炎が阻害されることが示された(Schenk, D.ら、Nature 400:173-77 (1999))。
【0115】
さらに、すでにAD様神経病理を発症した老齢PDAPPマウスを免疫したところ、神経病理の範囲および進行が減少した。別の実験では、Aβ1-42に対して産生された抗体を末梢に投与することにより、すでに存在したアミロイドの排除が誘導され得た(Bard, F.ら、Nature Medicine 6:916-19 (2000))。この実験では、Aβ1-42に対して産生されたポリクローナル抗体、またはAβの異なる領域に由来する合成断片に対して産生されたモノクローナル抗体が用いられた。したがって、本発明の複合体、組成物、および方法を用いたAβに対する抗体の誘導は、アルツハイマー病の有望な治療的処置であると考えられ得る。
【0116】
精製タンパク質のみの投与は、通常は強力な免疫反応を誘発するには十分ではないこと;単離した抗原は、一般にアジュバントと称される補助物質と共に投与しなければならないことは確証されている。このアジュバント内では、投与した抗原は速やかな分解から保護され、アジュバントによって抗原の低レベルでの持続放出が提供される。本発明では、AP205 VLPへの結合を介してAβペプチドまたはその断片を免疫原性にするため、これらは必ずしもアジュバントを必要としない。
【0117】
記載したように、アルツハイマー病(AD)における重要な事象の1つは、大脳血管壁の周りに細胞外老人斑および沈着物を生じる、不溶性線維性塊としてのアミロイドの沈着(アミロイド形成)である(総説に関しては、Selkoe, D.J. (1999) Nature. 399, A23-31を参照のこと)。これらの沈着物はグリコサミノグリカンおよびアポリポタンパク質等の他のタンパク質も含むが、老人斑およびコンゴ好染血管障害の主要な構成物はアミロイドβ(Aβ)である。Aβはアミロイド前駆体タンパク質(APP)として知られるより大きな糖タンパク質からタンパク質分解によって切断され、APPは単一の疎水性膜貫通領域有する695〜770アミノ酸のアイソフォームを含む。Aβは、かなりのアミノ末端およびカルボキシル末端不均一性(切断)ならびに修飾を示す、最大で43アミノ酸長の一群のペプチドを形成する(Rocher, A. E.ら、(1988) J. Cell Biol. 107, 2703-2716、Rocher, A. E.ら、(1993) J. Neurochem. 61, 1916-1926)。顕著なアイソフォームは、Aβ1-40およびAβ1-42である。これは繊維に凝集するβシートを形成する高い傾向を有し、最終的にアミロイドを生じる。最近の研究から、ワクチン接種により誘導された脳のアミロイド沈着の減少により、認知が改善されることが実証された(Schenk, D.ら、(1999) Nature. 400. 173-177)。したがって、本発明のワクチンを作製するのに適したAβ断片には、Aβ1-15、Aβ1-27、およびAβ33-42が含まれるが、これらに限定されない。本明細書の他所に記載するように、AP205 VLPへの結合を可能にするため、AβまたはAβ断片のアミノ酸配列にアミノ酸リンカーを融合する。AβまたはAβ断片のN末端への融合に適したアミノ酸リンカーには配列CGGおよびCGHGNKSが含まれるが、これらに限定されない。AβまたはAβ断片のC末端への融合に適したリンカーには配列GGCが含まれるが、これに限定されない。1つの態様において、リンカーをAβまたはAβ断片のC末端に融合する場合、C末端のシステインをアミド化する。Aβ断片1-15をアミノ酸リンカーに融合する場合、これは配列:

を有し、ここでC末端のシステインはアミド化してあり、これはC末端の「NH2」で示してある。Aβ断片1-27をアミノ酸リンカーに融合する場合、これは配列:

を有する。Aβ断片33-42をアミノ酸リンカーに融合する場合、これは配列:

を有する。
【0118】
本発明の1つの態様では、抗原または抗原決定基はアンジオテンシンペプチドもしくはその断片を含む、または好ましくはアンジオテンシンもしくはその断片である。本明細書で用いる「 アンジオテンシンペプチド」という用語は、アンジオテンシノーゲン、アンジオテンシンI、またはアンジオテンシンIIの配列を含む任意のペプチドまたはその任意の断片を包含する。アンジオテンシンは高血圧症と関連がある(Gardinerら、Br. J. Pharm. 129: 1178 (2000))。したがって、アンジオテンシンのレベルを減少させるのに適した本発明の複合体、組成物、および方法は、高血圧症の治療に適している。1つの態様において、複合体または組成物は、少なくとも1つのアンジオテンシンペプチドを含む。いくつかの態様におけるペプチドのアミノ酸配列は以下の通りである:アンジオテンシノーゲン:

;アンジオテンシンI:

;アンジオテンシンII:

。典型的に、アンジオテンシンペプチド配列のC末端および/またはN末端に、1つまたは複数のさらなるアミノ酸が付加される。それらのさらなるアミノ酸は、AP 205ウイルス様粒子への配向しかつ規則正しい付着に特に役立つ。アンジオテンシンペプチドの配列はヒト配列に相当するが、ヒト配列はマウス配列と同一である。したがって、本発明による抗原または抗原決定基としてそれぞれそのようなアンジオテンシンペプチドを含むワクチンまたは組成物によるヒトまたはマウスの免疫は、自己抗原に対するワクチン接種である。いくつかの態様において、第2付着部位を有するアンジオテンシンペプチドは、a)

のアミノ酸配列;b)

のアミノ酸配列;c)

のアミノ酸配列;およびd)

のアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する。
【0119】
本発明の別の態様では、抗原決定基はRANKL(NFkB活性化受容体リガンド)である。RANKLは、TRANCE(TNF関連活性化誘導サイトカイン)、ODF(破骨細胞分化因子)、またはOPGL(オステオプロテジェリンリガンド)としても知られている。ヒトRANKLの細胞外部分のアミノ酸配列は、EMBLデータベース寄託RANKL_ヒト:TrEMBL:O14788に示されている。マウスRANKLおよびアイソフォームの細胞外部分のアミノ酸配列は、EMBLデータベース寄託RANKL_マウス:TrEMBL:O35235ならびにRANKL_マウススプライス型:TrEMBL:Q9JJK8およびTrEMBL:Q9JJK9にそれぞれ示されている。
【0120】
RANKLは破骨細胞形成において必須な因子であることが示されている。RANKLとその受容体RANKとの相互作用を阻害することにより、破骨細胞形成が抑制され、よって骨粗鬆症および他の病態で見られるような過剰な骨再吸収を停止する手段が提供され得る。RANKL/RANK相互作用は、RANK-Fcタンパク質またはオステオプロテジェリン(OPG)と呼ばれるRANKLの可溶性デコイ受容体によって阻害された。
【0121】
骨では、RANKが破骨細胞前駆細胞で発現するのに対し、RANKLは間質細胞または骨芽細胞で発現する。RANKとRANKLの相互作用は、破骨細胞前駆細胞が成熟破骨細胞に発達するのに極めて重要である。その相互作用はOPGによって遮断することができる。OPG欠損マウスは組換えOPGの注射により救済され得る骨粗鬆症を発症し、これによりOPGが骨粗鬆症を食い止めることができることが示唆される。したがって、本発明の適切な複合体、組成物、および方法(例えば、RANKL-AP205 VLP複合体)を提供することによるRANK-RANKLの阻害は、骨粗鬆症を覆すまたは予防する上で有効である。
【0122】
さらに、OPGノックアウトマウスでは、OPGの注射によって食い止められ得る動脈の石灰化が観察された(Minら、J. Exp. Med. 4: 463 (2000))。アジュバント誘導関節炎モデルでは、OPGの注射により骨減少および軟骨破壊を妨げることができたが、炎症(足の腫れ)を妨げることはできなかった。活性化T細胞がRANKLの介する破骨細胞形成および骨減少の増加を引き起こすと想定される。OPGは前立腺癌によって誘導される破骨細胞形成を阻害し、マウスの骨内の前立腺腫瘍増殖を妨げる。OPGは、マウスにおいて進行型骨転移痛を軽減する。
【0123】
RANKLは、TNFスーパーファミリーに属する245 aaの膜貫通タンパク質である。細胞外領域の一部(178aa)は、TACE様プロテアーゼによって切断され得る(Lumら、J Biol Chem. 274.13613 (1999))。さらに、膜貫通ドメインを欠くスプライス変種が記載されている(Ikedaら、Endocrinology 142: 1419 (2001))。切断された細胞外部分は、可溶性TNFαに高度に相同的なドメインを含み、TNFαに見られるようなホモ三量体を形成する。C末端がトリマー接合部位に関与しているようである。配列のこの領域には、システインが1つ存在する。
【0124】
本発明者らはRANKLの相当する領域の3次元構造のモデルを構築し、天然に存在するシステインが折りたたみ構造において本発明に基づく担体上の第1付着部位との相互作用に利用できないかもしれないことを見出した。N末端が、さらなるシステイン残基を有するアミノ酸リンカーからなる第2付着部位を付着するのに適した1つの部位である。RANKLの細胞外部分に融合した、システイン残基を含むN末端アミノ酸リンカーを有するヒトRANKL構築物は、本発明の1つの態様である。しかし、第2付着部位としてシステイン残基を含み、RANKL配列のC末端またはRANKLの細胞外部分に融合したアミノ酸リンカーも、本発明のさらなる態様となる。
【0125】
ヒトRNAKL構築物は本明細書に開示する開示に基づいて作製され、当業者はアミノ酸配列アラインメントにおいてマウスとヒトのRANKL配列を比較し、ベクターにクローニングするべきヒトRANKLの配列の部分を同定することができる。アミノ酸138〜317を含み、ヒトRANKLの細胞外ドメインのC末端領域に相当する断片は本発明の1つの態様を含み、本発明の開示に従って必要に応じてAP205 VLPに結合するように修飾される。本発明はまた、以下に記載する適切な宿主内での発現に用いられる他の適切なベクターを具体化する。本発明の範囲内に包含されることを意図するさらなるヒトRANKL構築物には、TACE用プロテアーゼによって切断され得る(Lumら、J Bil Chem. 274:13613 (1999))細胞外領域の一部(178 aa)またはその断片を含む構築物、または膜貫通ドメインを欠く選択的スプライス変種に相当する配列およびその保存的断片を含む構築物が含まれる。アミノ酸165〜317を含むRANKLのヒトC末端断片もまた、本発明の態様である。全細胞外領域(71〜317)を包含し、本発明の開示に従って必要に応じてAP205 VLPに結合するように修飾され得るRNAKLの断片もまた、本発明の範囲内である。
【0126】
RANKLは様々な系で発現されており(例えば、大腸菌、昆虫細胞、哺乳動物細胞)、活性があることが示されている。したがって、組成物の適切なRANKL抗原を産生するためにいくつかの発現系を用いることができる。タンパク質の発現が大腸菌のペリプラズムを対象とする場合、おそらくは本発明による第2付着部位を含むように修飾されているRANKLまたはタンパク質の細胞外部分からなるRANKL構築物のシグナルペプチドを、細菌のシグナルペプチドと置換する。大腸菌の細胞質内でタンパク質を発現させるには、RANKL構築物からシグナルペプチドを除去する。
【0127】
本発明の1つの態様では、抗原決定基はMIFまたはその断片である。MIFは、マクロファージ遊走の阻止因子として機能するサイトカインである。これは、遅延型初期応答タンパク質6(DER6)、糖鎖形成阻害因子、またはフェニルピルビン酸トートメラーゼとしても知られている。
【0128】
MIFは、広範囲の病態に関与していることが示されている。MIF(mRNAおよびタンパク質)は、ツベルクリンによって誘導される遅延型過敏症(DTH)反応において上方制御され、抗MIF抗体によってこのDTH反応は阻害される。MIFはまた、同種腎臓移植においても上方制御される。眼球の自己免疫疾患、実験的自己免疫性ブドウ膜網膜炎(EAU)のモデルでは、抗MIF治療によりEAUの発症が遅延した。患者では血清中のMIFが増加し、これはベーチェット病患者および虹彩毛様体炎を患う患者の場合も同様である。MIFに対する免疫により、関節リウマチに対する治療法が提供され得る。したがってMIFに対して免疫するのに、または血清MIFを減少させるのに適切な本発明の複合体、組成物、および方法は、MIFの過剰産生に関連する疾患、障害、および病態の治療または予防に有用である。
【0129】
アトピー性皮膚炎患者において、高い血清MIF濃度が認めらた。対照においてMIFが基底細胞層で見出される代わりに、皮膚病変ではMIFは散在的に発現する。炎症におけるMIFの役割と一致し、ステロイド治療後にMIF濃度は減少する。MIFが糸球体腎炎の形成の一因となることも認められている。抗MIF抗体で治療した動物は、糸球体腎炎の有意な減少を示す。MIFは下垂体由来であり、例えばLPS刺激に際して分泌され、内毒血症を増強する。よって、組換えMIFが腹膜炎の死亡率を顕著に増加するのに対し、抗MIF mAbは内毒血症および敗血症性ショックを阻害する。MIFはまたグルココルチコイド誘発性のサイトカイン産生修飾因子であり、炎症を促進する。
【0130】
MIFはT細胞(TH2)によっても産生され、T細胞の増殖を支持し、抗MIF抗体治療によりT細胞増殖およびIgGレベルが減少する。多発性硬化症およびニューロベーチェット病患者の脳脊髄液では、MIF濃度が上昇する。長期の乾癬を有する患者の血清中にも、高いMIFレベルが認められた。潰瘍性大腸炎患者の患者の血清中には高いMIFレベルが認められるが、クローン病患者では認められない。
【0131】
気管支喘息を有する患者の血清中にも、高いMIFレベルが認められている。MIFはまた、関節リウマチ患者の滑液中でも上方制御されている。抗MIF治療により、マウスおよびラットモデルにおいて関節リウマチが効果的に減少した(Mikulowskaら、J. Immunol. 158:5514-7 (1997);Leechら、Arthritis Rheum. 41:910-7 (1998)、Leechら、Arthritis Rheum. 43:827-33 (2000)、Santosら、Clin. Exp. Immunol. 123:309-14 (2001))。したがって、抗原決定基としてMIFを含む組成物を用いたMIF活性の阻害を対象とした治療は、上記の病態に有効である。
【0132】
マウス、ラット、およびヒトのMIFは、MIF_ラット:配列番号:120、MIF_マウス:配列番号:121、およびMIF_ヒト:配列番号:119 SwissProtに示されるように、114アミノ酸からなり、3つの保存的システインを含む。3つのサブユニットは、ジスルフィド結合により安定化されないホモ三量体を形成する。X線構造が解析され、3つの遊離システインが示されているが(Sunら、PNAS 93:5191-96 (1996))、いくつかの文献データはジスルフィド結合の存在を主張している。いずれにせよ、どのシステインも、担体上に存在し得る第1付着部位と最適な相互作用をするのには十分に露出されていない。したがって、本発明のこの態様において第2付着部位を作製するためには、三量体構造内でタンパク質のC末端が露出されているため、1つの局面ではシステイン残基を含むアミノ酸リンカーをタンパク質のC末端に付加する。マウスMIFとラットMIFとの間には1つのアミノ酸変化しか存在せず、同様にヒトMIFとラットMIFまたはヒトMIFとマウスMIFとの間には非常に高い配列相同性が存在する(約90%配列同一性)。本発明は、AP205 VLPに結合したヒトMIFおよびマウスMIF構築物を含む複合体、組成物、および方法を具体化する。
【0133】
MIF配列のN末端に付加される、システインを含むアミノ酸リンカーにより、本発明のさらなる態様がもたらされる。MIFを大腸菌で発現させ、精製したところ、完全に機能的であることが示された(Bernhagenら、Biochemistry 33: 14144-14155 (1994)。したがって、本発明の有用な態様を作製するために、MIFを大腸菌で発現させることができる。
【0134】
MIFのトートメラーゼ活性は、構築物から開始メチオニンが切断されない場合に阻害される。大腸菌で発現したMIF構築物は、トートメラーゼ活性を示す。開始メチオニンが切断され、かつ配列内の開始メチオニンのすぐ後のプロリン残基がアラニンに変異したMIFの変異体もまた、トートメラーゼ活性を示さず、本発明のさらなる態様を示し、本発明の範囲内に包含されることを意図する。1つの特定の態様において、AP205は、トートメラーゼ活性を欠くMIF変異体に結合させる。
【0135】
本発明の1つの態様において、抗原または抗原決定基はインターロイキン17(L-17)である。ヒトIL-17は、可変性の糖修飾を有する、32-kDaのジスルフィド結合したホモ二量体タンパク質である(Yao, Z.ら、J. Immunol. 155: 5483-5486 (1995);Fossiez, F.ら、J. Exp. Med. 183: 2593-2603 (1996))。このタンパク質は155アミノ酸からなり、19〜23残基のN末端分泌シグナル配列を含む。IL-17のアミノ酸配列はヘルペスウイルス(Herpesvirus)タンパク質(HSV13)にのみに類似しており、他のサイトカインまたは既知タンパク質とは類似していない。ヒトIL-17のアミノ酸配列は、GenBankアクセッション番号:AAC50341に示されている。マウスのタンパク質配列は、Genbankアクセッション番号:AAA37490に示されている。評価した多数の組織および細胞株のうち、IL-17をコードするmRNA転写産物は活性化T細胞およびフォルボール12-ミリスチン酸13-酢酸/イオノマイシン刺激末梢血単核細胞でのみ検出された(Yao, Z.ら、J. Immunol. 155: 5483-5486 (1995);Fossiez, F.ら、J. Exp. Med. 183: 2593-2603 (1996))。ヒトおよびマウス配列のどちらも、6つのシステイン残基を含む。
【0136】
IL-17の受容体は、多くの組織および細胞種において広く発現されている(Yao, Z.ら、Cytokine 9: 794-800 (1997))。ヒトIL-17受容体のアミノ酸配列(866 aa)から、単一の膜貫通ドメインおよび長い525 aaの細胞内ドメインを有するタンパク質であることが予想されるが、受容体配列は独特であり、サイトカイン/増殖因子受容体ファミリーの受容体のいずれの配列にも類似していない。IL-17自体が他の既知タンパク質との類似性を欠くことと相まってこのことからも、IL-17およびその受容体がシグナルタンパク質および受容体の新規ファミリーの一部であることが示唆される。臨床研究から、IL-17が多くの炎症性疾患に関与していることが示唆される。IL-17は関節リウマチ患者の滑膜T細胞によって分泌され、炎症性介在物質の産生を促進する(Chabaud, M.ら、J. Immunol. 161: 409-414 (1998);Chabaud, M.ら、Arthritis Rheum. 42: 963-970 (1999))。関節リウマチを有する患者において、高レベルのIL-17が報告されている(Ziolkowska M.ら、J Immunol. 164:2832-8 (2000))。
【0137】
インターロイキン17は、マウス膝関節においてプロテオグリカン分解への影響を有すること(Dudler J.ら、Ann Rheum Dis. 59: 529-32 (2000))および滑膜基質の破壊の一因となること(Chabaud M.ら、Cytokine. 12:1092-9 (2000))が示された。IL-17に対する免疫の効果を試験するための、関連する動物関節炎モデルが存在する(Chabaud M.ら、Cytokine. 12:1092-9 (2000))。多発性硬化症を有する患者の単核細胞において、IL-17 mRNAのレベルの上昇が認められた(Matusevicius, D.ら、Mult. Scler. 5: 101-104 (1999))。全身性エリテマトーデスを患う患者では、IL-17の血清レベルの増加が観察される(Wong C.K.ら、Lupus 9: 589-93 (2000))。さらに、IL-17 mRNAレベルは、損傷性乾癬皮膚から単離されたT細胞において増加している(Teunissen, M. B.ら、J. Invest. Dermatol. 111: 645-649 (1998))。
【0138】
腎臓移植の拒絶におけるIL-17の関与もまた実証されている(Fossiez F.ら、Int. Rev. Immunol. 16:541-51 (1998))。IL-17が樹状細胞前駆細胞の機能的分化を促進することを示したAntonysamyらによって(J. Immunol. 162:577-84 (1999))、器官同種移植拒絶におけるIL-17の役割の証拠も示されている。彼らの知見から、DCに対する成熟誘導効果によって部分的に媒介され得る同種T細胞増殖におけるIL-17の役割が示唆される。さらに、同じグループが急性血管性拒絶の免疫病原性におけるIL-17の役割について報告しており(Tan J.L.ら、Transplantation 72:348-50 (2001))、インターロイキン17の拮抗作用は急性血管性拒絶を阻害するが慢性血管性拒絶は阻害しない。IL-17は、同種移植拒絶における治療的介入の新規標的としての可能性を有するようである。
【0139】
抗IL-17モノクローナル抗体mAb5(Schering-Plough Research Institute)は、50 ng/ml IL-17による誘導後の関節リウマチ(RA)滑膜上清からのIL-6の産生を完全に阻害し得る。無関係であるmAb MX1は、このアッセイ法において効果がなかった。mAb5はヒトrIL-17(r=組換え体)で免疫した後に得られたマウスIgG1である。1μg/ml濃度のmAb5は、このアッセイ系においてIL-6産生を完全に阻害することができた(Chabaud, M.ら、J. Immunol. 161: 409-414 (1998))。したがって、IL-17に対する免疫により、上記の様々な病態を治療する方法が提供される。
【0140】
したがって、本発明の1つの態様において、組成物は組換えIL-17のC末端に融合した第2付着部位を含むリンカーを含む。さらなる態様では、システインを含むアミノ酸リンカーを、プロセシングされたタンパク質の配列に相当する配列のN末端に融合するか、または成熟型タンパク質の配列のN末端において、シグナルペプチドのC末端に挿入する。真核生物発現系では、本明細書に示す他の自己抗原の場合と同様に、IL-17遺伝子のシグナルペプチドを、例えば特定の真核生物発現ベクターに由来する別のシグナルペプチドで置換することができる。細菌での発現では、ペリプラズムでの可溶性発現の場合、シグナルペプチドを細菌シグナルペプチドで置換する。細胞質での発現には、構築物からシグナルペプチドを除去する。シグナルペプチドを欠くヒトIL-17の構築物は、いくつかの態様において、残基24〜155、22〜155、21〜155、または20〜155を含む。シグナルペプチドを欠くマウスIL-17の構築物は、いくつかの態様において、残基26〜158、25〜158、24〜158、または27〜155を含む。ヒトIL-17はCV1/EBNA細胞において発現させることができる。組換えhIL-17は、グリコシル化型および非グリコシル型の両方で発現されることが示されている(Yao, Z.ら、J. Immunol. 155: 5483-5486 (1995))。IL-17は、hIL-17/Fc融合タンパク質として発現させて、次に融合タンパク質からIL-17タンパク質を切断することもできる。IL-17はまた、酵母ピキア・パストリス(Pichia pastoris)で発現させてもよい(Murphy K.P.ら、Protein Expr Purif. 12: 208-14 (1998))。ヒトIL-17はまた、大腸菌で発現させてもよい。大腸菌でのIL-17の発現がペリプラズムを対象とする場合、IL-17のシグナルペプチドは細菌シグナルペプチドで置換する。1つの態様において、IL-17構築物は、大腸菌の細胞質でのタンパク質の発現のためにシグナルペプチドを欠く。
【0141】
本発明の別の態様において、抗原決定基はインターロイキン13(IL-13)である。IL-13は活性化Tリンパ球により分泌されるサイトカインであり、主に単球、マクロファージ、B細胞に影響する。前駆タンパク質の最初の20アミノ酸はシグナルペプチドに相当し、プロセシングされたタンパク質には存在しない。マウスの配列もまた記載されている(Brown K.D.ら、J. Immunol. 142:679-687 (1989))。発現宿主に依存して、例えば真核生物宿主での発現および分泌ではIL-13構築物は前駆タンパク質の配列を含み、または例えば大腸菌での細胞質発現ではIL-13構築物は成熟タンパク質からなる。大腸菌のペリプラズムでの発現では、IL-13のシグナルペプチドは細菌シグナルペプチドで置換する。
【0142】
IL-13は、最近になってアレルギー性気道反応(喘息)に関連づけられた、(IL-4、IL-5のような)Tヘルパー2由来サイトカインである。IL-13の上方制御およびIL-13の受容体が、多くの腫瘍種(例えばホジキンリンパ腫)において認められた。インターロイキン13は、ホジキンおよびリード・スターンバーグ細胞によって分泌され、これらの細胞の増殖を促進する(Kapp U.ら、J Exp Med. 189:1939-46 (1999))。したがって、IL-13に対する免疫により、喘息またはホジキンリンパ腫等の特に上記の病態を治療する方法が提供される。
【0143】
1つの態様において、組成物は、タンパク質内に第2付着部位を導入するために、システイン残基を含み成熟IL-13の配列のN末端またはC末端に融合したアミノ酸リンカーを含む。IL-13のNMR構造に基づくと成熟型のIL-13のN末端が自由に利用できることから、他の態様では、システインを含むアミノ酸リンカーを成熟型のIL-13のN末端に付加する(Eisenmesser, E. Z.ら、J.Mol.Biol. 310: 231 (2001))。他の態様では、システインを含むアミノ酸リンカーを、プロセシングされたタンパク質の配列に相当する配列のN末端に融合するか、または成熟型タンパク質の配列のN末端において、シグナルペプチドのC末端に挿入する。他の態様では、システイン残基を含むアミノ酸リンカーを、タンパク質のC末端に付加する。
【0144】
IL-13は、大腸菌(Eisenmesser E.Z.ら、Protein Expr. Purif. 20:186-95 (2000))またはNS-0細胞(真核生物細胞株)(Cannon-Carlson S.ら、Protein Expr. Purif. 12:239-48 (1998))で発現させることができる。
【0145】
本発明の1つの態様では、抗原決定基はインターロイキン5(IL-5)である。IL-5は好酸球形成のための系譜特異的サイトカインであり、喘息等の好酸球数の増加に関連する疾患において重要な役割を果たす。
【0146】
IL-5の生物学的機能はいくつかの研究で示されており(Coffman R.L.ら、Science 245: 308-10 (1989);Kopfら、Immunity 4:15-24 (1996))、これらの研究では、好酸球によって媒介される疾患においてIL-5機能を阻害することの有益な効果を提示している。したがって、IL-5の活性を阻害することにより、喘息および好酸球に関連する他の疾患に対する治療法が提供される。
【0147】
IL-5は、ジスルフィド結合により共有結合した二量体を形成する。IL-5の2つの単量体がペプチドリンカーによって結合した単鎖(sc)構築物も報告されている。
【0148】
本発明の1つの態様では、システインを含むペプチドリンカーをプロセシング型のIL-5の配列のN末端に付加する。システインを含むリンカーの付加はまた、プロセシング型のscIL-5の配列のN末端おいても想定される。他の態様では、システインを含むアミノ酸リンカーを、プロセシングされたタンパク質の配列に相当する配列のN末端に融合するか、または成熟型タンパク質の配列のN末端において、シグナルペプチドのC末端に挿入する。
【0149】
他の態様では、システインを含むリンカーをIL-5配列のC末端、またはscIL-5配列のC末端に融合する。
【0150】
IL-5に関して多くの発現系が記載されており、本発明の組成物の調製に用いることができる。大腸菌を用いた発現系は、Proudfootらによって記載されている(Biochem J. 270:357-61 (1990))。IL-5を大腸菌の細胞質内で発現させる場合、IL-5の構築物はシグナルペプチドを欠く。本発明の組成物を作製するためのIL-5構築物の産生に、昆虫細胞を用いてもよい(Pierrot C.ら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 253:756-60 (1998))。同様に、バキュロウイルス発現系(sf9細胞;Ingley E.ら、Eur. J. Biocehm. 196:623-9 (1991)、およびBrowm P.M.ら、Protein Expr. Purif. 6:63-71 (1995))を用いることもできる。最終的に、哺乳動物発現系も報告され(CHO細胞)、本発明の組成物の調製において使用することができる(Kodama Sら、J. Biochem. (Tokyo) 110:693-701 (1991))。
【0151】
マウスIL-5についても、バキュロウイルス発現系(Mitchellら、Biochem. Soc. Trans. 21:332S (1993);Kunimoto DYら、Cytokine 3:224-30 (1991))およびCHO細胞を用いた哺乳動物細胞発現系(Kodama Sら、Glycobiology 2:419-27 (1992))が記載されている。
【0152】
IL-5配列がそのN末端で、システイン残基を含むアミノ酸リンカーに融合しているマウスIL-5構築物の発現は、IL-5をAP205 VLPに結合させるのに適している。本明細書の開示に従いヒト構築物を作製することができ、AP205 VLPへの結合に適したタンパク質ヒトC-IL-5-E、ヒトC-IL-5-F、およびヒトC-IL-5-Sが得られ、本発明の他の態様がもたらされる。
【0153】
本発明の1つの態様において、抗原決定基はCCL-21である。CCL-21は、小さな誘導性サイトカインA21、エクソダス2、SLD(二次リンパ球サイトカイン)、TCA4(胸腺由来走化因子4)、または6Ckineとしても知られる、CCサブファミリーのケモカインである。
【0154】
CCL21は造血を阻害し、胸腺細胞、活性化T細胞、および樹上細胞の走化性を促進するが、B細胞、マクロファージ、または好中球の走化性は促進しない。CCL21はナイーブT細胞への優先的な活性を示す。また、メサンギウム細胞の強力な化学誘引物質でもある。CCL21はケモカイン受容体CCR7およびCXCR3に結合する(種に依存する)。CCL21は、生理的剪断下で進むリンパ球の迅速なインテグリン依存的抑止を誘発することができ、高内皮細静脈より高度に発現される。
【0155】
ヒト肺癌SCIDマウスモデル(Arenbergら、Cancer Immunol. Immunother. 49: 587-92 (2001))およびマウスの結腸癌腫瘍モデル(Vicariら、J. Immunol. 165: 1992-2000 (2001))において、マウスCCL21は腫瘍増殖および血管新生を阻害した。マウスCCL21のアンジオスタチン活性は、ラット角膜マイクロポケットアッセイ法においても検出された(Satoら、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 95: 8205-10 (1998))。
【0156】
ケモカイン受容体CCR7およびCXCR4が乳癌細胞において上方制御されること、およびそれぞれのリガンドCCL21およびCXCL12が、乳癌転移の最初の地点を示す器官で高度に発現されていることが示された(Mullerら、Nature 410: 50-6 (2001))。CXCR4が媒介する走化性がその抗体によって阻止されたのと同様に、インビトロでCCL21が媒介する走化性は、中和抗CCL21抗体により阻止され得た。したがって、CCL21に対する免疫によって、癌、より具体的には乳癌に広がった転移に対する治療法が提供される。
【0157】
分泌されるCCL21は、マウスおよびヒトにおいてそれぞれ110 aaまたは111 aaからなる。それぞれの配列は、Swissprot:SY21_ヒトおよびSwissprot:SY21_マウスに示されている。他のCCサイトカインと対照的に、CCL21はC末端の伸長した領域内に2つのさらなるシステインを含む。すべてのシステインがジスルフィド結合に関与していると想定される。
【0158】
以下では、CCL21抗原決定基を含む本発明の組成物を作製するための構築物および発現系について記載する。相同タンパク質エオタキシンのNMR構造では、N末端およびC末端の両方が溶媒に露出されている。いくつかの態様では、第2付着部位としてシステイン残基を含むアミノ酸リンカーを、タンパク質のC末端に付加する。アルカリホスファターゼとの融合タンパク質(CCL21のC末端における)が発現され機能的であることが示され、このことからCCL21のC末端での融合は受容体結合と適合することが示される。特定の態様では、システインを含むアミノ酸リンカーを、プロセシングされたタンパク質の配列に相当する配列のN末端に融合するか、または成熟型タンパク質の配列のN末端において、シグナルペプチドのC末端に挿入する。
【0159】
CCL21の産生に関して、いくつかの発現系が記載されている(例えば、Hedrickら、J Immunol. 159: 1589-93 (1997))。例えば、CCL21はバキュロウイルス系で発現させてもよい(Nagitaら、J. Biol. Chem. 272: 19518-24 (1997))。
【0160】
関連する態様では、抗原決定基は現在はCXCL12と称される間質由来因子1(SDF-1)である。CXCL12は、骨髄間質細胞によって産生されるケモカインであり、最初は前B細胞の促進因子として同定された。
【0161】
上記したように、ケモカイン受容体CCR7およびCXCR4が乳癌細胞において上方制御されること、およびそれぞれのリガンドCCL21およびSDF-1が、乳癌転移の最初の地点を示す器官で高度に発現されていることが示された(Mullerら、Nature 410: 50-6 (2001))。インビトロでSDF-1 / CXCR4が媒介する走化性は、中和抗SDF-1および抗CXCR4抗体によって阻害され得た。
【0162】
ヒトMDA-MB-231乳癌細胞株を用いたSCIDマウスの乳癌転移モデルでは、マウスを抗CXCR4抗体で治療した場合に肺転移の有意な減少が観察された。流入領域リンパ節では、鼠径リンパ節および腋窩リンパ節への転移の減少(対象では100%であるのに対し38%)が観察された。したがって、CXCL12に対する免疫によって、癌、より具体的には乳癌の転移に対する治療法が提供される。
【0163】
SDF-1 / CXCR4ケモカイン受容体対は、より原始的な造血前駆細胞の骨髄へのホーミングの効率を高めることが示された。さらに、CXCR4およびSDF-1は、慢性リンパ球性白血病細胞の分布に影響することが想定される。これらの細胞は常に患者の骨髄に浸潤し、骨髄内へのその遊走がCXCR4依存的であることが示された。慢性リンパ急性白血病細胞は、間質細胞と共培養しない場合にはアポトーシスを起こす。SDF-1遮断抗体は、間質細胞のこの保護効果を阻害し得た(Burgerら、Blood 96: 2655-63 (2000))。したがって、CXCL12に対する免疫により、慢性リンパ急性白血病に対する治療法が提供される。
【0164】
CXCR4は、HIVがT細胞に侵入するための共同受容体であることが示された。SDF-1は、X4(CXCR4依存性)HIV株によるCD4+細胞の感染を阻害する(Oberlinら、Nature 382:833-5 (1996);Bleulら、Nature 382:829-33 (1996)、Rusconiら、Antivir. Ther. 5:199-204 (2000))。SDF-1の合成ペプチド類似体は、CXCR4受容体を介したHIV侵入および感染を効率的に阻害することが示された(国際公開公報第059928A1号)。したがって、CXCL12に対する免疫によって、T細胞へのHIV侵入を阻止する方法、ひいてはAIDSを治療する方法が提供される。
【0165】
SDF-1-CXCR4相互作用はまた、関節リウマチ滑膜におけるCD4+ T細胞蓄積において中心的役割を果たすことも報告された(Nankiら、2000)。したがって、SDF-1に対する免疫により、関節リウマチに対する治療法が提供される。
【0166】
ヒトおよびマウスSDF-1は、単一遺伝子からの異なるスプライシングによるSDF-1αおよびSDF-1βという2つの形で生じることが知られている。これらは、SDF-1β(74 aa)に存在しSDF-1α(70 aa)には存在しない4つのC末端アミノ酸の点で異なる。ヒトSDF-1の配列はSwissprot:SDF1_ヒトに示され、マウスSDF-1の配列はSwissprot:SDF1_マウスに示されている。SDF-1は、2つの分子内ジスルフィド結合を形成する4つの保存的システインを含む。SDFの結晶構造から、非共有結合的に結合した二量体が示される(Dealwisら、PNAS 95: 6941-46 (1998))。SDF-1構造はまた、長いN末端伸長も示す。
【0167】
アラニンスキャニング突然変異誘発法により、SDF-1の受容体結合部位(の一部)が同定され(Ohnishiら、J. Interferon Cytokine Res. 20: 691-700 (2000))、Elisseevaら(J. Biol. Chem. 275:26799-805 (2000))およびHevekerら(Curr. Biol. 8:369-76 (1998))は、受容体結合(およびHIV侵入)を阻害するSDF-1由来ペプチドについて記載した。
【0168】
以下では、SDF-1に関連する本発明の組成物の作製に適した構築物および発現系について記載する。SDF-1のN末端およびC末端は溶媒に露出されている。特定の態様では、第2付着部位としてシステインを含むアミノ酸リンカーをタンパク質配列のC末端に融合し、一方他の特定の態様では、第2付着部位としてシステインを含むアミノ酸リンカーをタンパク質配列のN末端に融合する。システインを含むアミノ酸リンカーを、プロセシングされたタンパク質の配列に相当する配列のN末端に融合するか、または成熟型タンパク質の配列のN末端において、シグナルペプチドのC末端に挿入する。これらの特定の構築物をコードする遺伝子を、適切な発現ベクターにクローニングすることができる。
【0169】
ニワトリ胚性線維芽細胞におけるセンダイウイルス系でのSDF-1の発現(Moriyaら、FEBS Lett. 425:105-11 (1998))、ならびに大腸菌での発現(Holmesら、Prot. Expr. Purif. 21: 367-77 (2001))、およびSDF-1の化学合成(Dealwisら、PNAS 95: 6941-46 (2001))が記載されている。
【0170】
本発明の別の態様では、抗原決定基はBリンパ球化学誘引物質(BLC、CXCL13)である。BLCは、脾臓、パイエル板、およびリンパ節で発現する(Gunnら、1998)。その発現は、B細胞が体細胞突然変異および親和性成熟を起こす胚中心で最も強い。BLCはCXCケモカインファミリーに属し、その最も近い相同体はGROαである(Gunnら、Nature 391:799-803 (1998))。ヒトBLCはマウスBLCと64%相同である。その受容体はCXCR5である。BLCはまた、IL-8と相同性を共有する。BLCは、脾臓およびパイエル板等の二次リンパ器官内の濾胞にB細胞を動員する。BLCはまた、濾胞樹状細胞(FDC)が豊富なリンパ節の区画にB細胞を動員するのに必要とされる(Anselら、Nature 406:309-314 (2000))。BLCはまた、動員されたB細胞においてリンホトキシンα1β2(LTα1β2)の発現増加を誘導する。LTα1β2はBLC発現を促進するため、これにより正のフィードバックループが提供される(Anselら、Nature 406:309-314 (2000))。BLCはまた、リンパ新生を誘導し得ることも示されている(Lutherら、Immunity 12:471-481 (2000))。FDCもBLCを発現するようである。したがって、BLCに対する免疫により、リウマチ滑膜炎、関節リウマチ、またはI型糖尿病等のリンパ新生が関与する自己免疫疾患に対する治療法が提供され得る。C末端Hisタグを有するBLCの構築物が記載されており、これは機能的である(Ansel, K.M.ら、J. Exp. Med. 190: 1123-1134 (1999))。
【0171】
本発明の1つの態様において、組成物は、第2付着部位としてシステイン残基を含み、BLC配列のC末端に融合したリンカーを含む。
【0172】
IL-8はBLCに相同的であり、N末端およびC末端のどちらも遊離している。第2付着部位としてシステイン残基を含むアミノ酸リンカーのBLCのN末端への融合により、本発明の1つの態様がもたらされる。
【0173】
本発明の他の態様では、組成物は、システインを含み、プロセシングされたタンパク質の配列に相当する配列のN末端に融合した、または成熟型タンパク質の配列のN末端において、シグナルペプチドのC末端に挿入されたリンカーを含む。これらの特定の構築物をコードする遺伝子は、適切な発現ベクターにクローニングし、それに応じて発現させることができる。ヒトBLCの配列は、アクセッション:NP_006410に示されている。この配列のアミノ酸1〜22はシグナルペプチドである。マウスの配列は、アクセッションNP_061354に示されている。アミノ酸1〜21はシグナルペプチドである。抗原決定基としてBLCを含む本発明の組成物は、いくつかの態様において、本発明の組成物を作製するために成熟型のタンパク質を使用する。
【0174】
別の特定の態様において、抗原決定基はエオタキシンである。エオタキシンは、好酸球、好塩基球、およびTh2細胞上に存在するケモカイン受容体3に特異的なケモカインである。しかし、エオタキシンは好酸球に非常に特異的であるようである(Zimmermanら、J. Immunol. 165: 5839-46 (2000))。好酸球の遊走はエオタキシン-1ノックアウトマウスにおいて70%減少するが、しかしこのマウスはなお好酸球増加症を発症し得る(Rothenbergら、J. Exp. Med. 185:785-90 (1997))。IL-5が骨髄から血液への好酸球の遊走を担うようであり、エオタキシンは組織における局所的遊走を担うようである(Humblesら、J. Exp. Med. 186:601-12 (1997))。
【0175】
ヒトゲノムは、エオタキシン1〜3の3つのエオタキシン遺伝子を含む。これらは互いに30%の相同性を共有する。マウスでは、これまでに2つの遺伝子が既知である:エオタキシン1およびエオタキシン2(Zimmermanら、J. Immunol. 165: 5839-46 (2000))。これらは38%の相同性を共有する。マウスエオタキシン-2は、ヒトエオタキシン-2と59%の相同性を共有する。マウスでは、エオタキシン-1が胃腸管において広範に発現するようであるのに対し、エオタキシン-2は主に空腸で発現するようである(Zimmermanら、J. Immunol. 165: 5839-46 (2000))。エオタキシン-1は、気管支肺胞液中に存在する(Teixeiraら、J. Clin. Invest. 100: 1657-66 (1997))。エオタキシンは8.3 kDaのMWを有する。エオタキシンは、37℃で推定1.3 mMのKdを有し、広範な条件下で単量体と二量体との間で平衡状態にある(Crumpら、J. Biol. Chem. 273: 22471-9 (1998))。しかし単量体が主要である。エオタキシンの構造は、NMR分光法により明らかになっている。その受容体CCR3への結合部位はN末端にあり、第1システインに先行する領域が不可欠である(Crumpら、J. Biol. Chem. 273: 22471-9 (1998))。エオタキシンに結合したケモカイン受容体のペプチドから、この知見が確認された。エオタキシンは、2つのジスルフィド架橋を形成する4つのシステインを有する。したがって、1つの態様では、独創的な組成物は、第2付着部位としてシステイン残基を含み、1つの態様においてエオタキシン配列のC末端に融合したリンカーを含む。さらなる態様では、システインを含むアミノ酸リンカーを、プロセシングされたタンパク質の配列に相当する配列のN末端に融合するか、または成熟型タンパク質の配列のN末端において、シグナルペプチドのC末端に挿入する。これらの特定に構築物をコードする遺伝子を、適切な発現ベクターにクローニングする。
【0176】
エオタキシンは化学的に合成することができる(Clark-Lewisら、Biochemistry 30:3128-3135 (1991))。エオタキシン-1に関しては、大腸菌の細胞質での発現もまた記載されている(Crumpら、J. Biol. Chem. 273: 22471-9 (1998))。エオタキシン-2に関しては、後にリフォールディングする封入体としての大腸菌での発現(Mayerら、Biochemistry 39: 8382-95 (2000))および昆虫細胞発現(Forssmannら、J. Exp. Med. 185: 2171-6 (1997))が記載されており、さらにこれらを用いて本発明の特定の態様に到達することができる。
【0177】
本発明のさらに別の特定の態様では、抗原決定基はマクロファージコロニー刺激因子(M-CSFまたはCSF-1)である。M-CSFまたはCSF-1は、マクロファージおよびその骨髄前駆細胞の増殖、分化、および生存の制御因子である。M-CSFの受容体は、癌原遺伝子cFMSによってコードされる細胞表面チロシンキナーゼ受容体である。M-CSFおよびその受容体の発現の増加は、乳癌、子宮癌、および卵巣癌等のいくつかの上皮癌における不良な予後と関連づけられている。乳癌の影響を受けやすいトランスジェニックマウス(PyMT)とcsf-1遺伝子に劣性ヌル変異を含むマウスとを交雑して得られたマウス株において、腫瘍の進行についての研究がなされた。このマウスは、PyMTマウスと比較して、末期浸潤癌および肺転移の軽減を示す(Linら、J. Exp. Med. 193:727-739 (2001))。その原因は、腫瘍組織へのマクロファージの動員がないことのようである。ルイス肺癌の皮下増殖もまた、csf.1ヌルマウスで低減する。腫瘍増殖のマクロファージによる増強の機構は、マクロファージによって産生される血管形成因子、増殖因子、およびプロテアーゼによることが想定される。
【0178】
可溶型M-CSFの構造データが得られ(結晶構造:Panditら、Science 258:1358-62 (1992))、タンパク質のN末端およびC末端の両方が利用できることが示される。しかし、N末端は受容体との相互作用部位に近接している。さらにM-CSFは、可溶型および膜貫通領域がC末端にある細胞表面型の両方で存在する。したがって、本発明の特定の態様は、システインを含み、1つの態様においてM-CSFまたはその断片のC末端、可溶型M-CSFのC末端に付加されたアミノ酸リンカーを含む。他の態様では、システインを含むアミノ酸リンカーを、プロセシングされたタンパク質もしくは可溶型タンパク質の配列に相当する配列のN末端に融合するか、または成熟型タンパク質もしくは可溶型タンパク質の配列のN末端において、シグナルペプチドのC末端に挿入する。M-CSFは、2つの単量体が鎖間ジスルフィド架橋を介して結合した二つの単量体である。
【0179】
M-CSFのN末端149アミノ酸断片(機能的)に関して、大腸菌での発現系が記載されている(Kothsら、Mol. Reprod. Dev. 46:31-37 (1997))。上記のように修飾したM-CSFのこの断片は、本発明の態様による1つの抗原決定基を表す。ヒト配列は、アクセッション:NP_00748に示されている。本発明の他の抗原決定基は、可溶型受容体に相当する、上記配列の残基33〜181または33〜185からなるN末端断片を含む。
【0180】
マウス配列は、アクセッション:NP_031804に示されている。成熟配列はアミノ酸33から始まる。したがって、本発明による1つの抗原決定基は、アミノ33〜181または33〜185を含む。
【0181】
1つの態様において、抗原決定基はレジスチン(Res)である。大腸菌で発現させた、GSTに融合したマウスレジスチン(mRes)融合タンパク質に対して作製されたウサギポリクローナル抗体を用いて、受動免疫研究が行われた。この受動免疫により、動物の肥満症/II型糖尿病モデルにおいてグルコースの取り込みが改善される(Steppanら、Nature 409: 307-12 (2001))。
【0182】
レジスチン(Res)は、約12 KDの114 aaペプチドホルモンである。レジスチンは11個のシステインを含み、最もN末端側にあるシステインはタンパク質の二量体化を担うことが示されており、他の10個は分子内ジスルフィド結合に関与すると考えられている(BanerjeeおよびLazar、J. Biol. Chem. 276: 25970-3 (2001))。第1システインをアラニンに変異することにより、mResの二量体化は損なわれる。
【0183】
C末端にFLAGタグを有するmResは、動物モデルにおいて依然として活性がある(Steppanら、Nature 409: 307-12 (2001))。同様に、C末端にHAをタグ化した(赤血球凝集素タグ)レジスチンも、組織培養アッセイ法において活性があることが示された(Kimら、J. Biol. Chem. 276: 11252-6 (2001))。したがって、1つの態様において、本組成は、第2付着部位としてシステイン残基を含み、レジスチン配列のC末端に融合したアミノ酸リンカーを含む。別の態様では、システインを含むアミノ酸リンカーを、プロセシングされたタンパク質の配列に相当する配列のN末端に融合するか、または成熟型タンパク質の配列のN末端において、シグナルペプチドのC末端に挿入する。
【0184】
本発明の1つの態様において、MResまたはhuResは、真核生物発現系でまたは本明細書の記載に従う等して、例えば融合タンパク質のFc部分のヒンジ領域の1つまたは複数のシステイン残基のC末端等の、構築物のレジスチンとFc部分との間にプロテアーゼ切断部位を挿入したFc融合分子として発現させてもよい。融合タンパク質の切断により、システイン残基を含むアミノ酸リンカー、またはC末端にシステイン残基を含む融合タンパク質のFc部分のヒンジ領域の一部もしくはすべてをさらに含むレジスチンが遊離するが、これはAP205 VLPへの結合に適している。ヒトレジスチン配列は、アクセッションAF323081に示されている。マウス配列は、アクセッションAF323080に示されている。本発明の好ましい態様は、そのC末端でシステイン残基を含むアミノ酸リンカーに融合したヒトレジスチンタンパク質である。本明細書に開示する開示に従い、かつタンパク質配列アラインメントにおいてマウスレジスチン配列とヒトレジスチン配列を比較して本明細書のベクターまたは他の適切な発現ベクターにクローニングすべきヒトレジスチン配列の部分を同定することにより、ヒトレジスチン構築物を作製することができる。本発明の組成物を作製するのに適したヒトレジスチン構築物の例は、ヒトレジスチン-C-Xa、ヒトレジスチン-C-EK、およびヒトレジスチン-Cである。
【0185】
そのように作製したヒトレジスチン構築物は、本発明の1つの態様である。したがって、本発明の上記組成物を用いたレジスチンに対するワクチン接種により、II型糖尿病および肥満症の治療法が提供され得る。
【0186】
別の態様では、抗原決定基はリンホトキシンβである。リンホトキシンβに対する免疫は、プリオン病を治療する上で有用である可能性がある。プリオンは、ほとんどの哺乳動物種に存在する細胞タンパク質である。プリオンタンパク質は、通常健常な個体に存在する正常に折りたたまれた形(PrPc)および疾患を引き起こす誤って折りたたまれた形(PrPSc)の2つの形で存在する。現在のプリオン仮説では、誤って折りたたまれたプリオン型PrPScが、正常なプリオンPrPcの病原性PrPScへの再折りたたみを触媒し得ると想定している(A. Aguzzi, Haemotologica 85, 3-10 (2000))。いくつかの稀な症例では、この転移が自発的にも起こり得り、ヒトでは古典的なCJDを招く。PrPcのいくつかの変異はこの自発的転移の増加と関連しており、様々な形態の家族性CJDを引き起こす。しかし、PrpSc はやはり感染性である可能性があり、輸血または食物連鎖により伝染し得る。後者の形態のプリオン病はクールーとして知られており、食人習慣で起こっていた。しかし、共食いする種が多くないため、この形態の経口感染病は非常に稀であり他の種について実証することはできなかった。
【0187】
ヨーロッパにわたる牛肉製品によるウシの大量給餌により状況は変化し、BSEを起こす感染型PrpScに感染したウシの数は近年劇的に増加し、数十万匹のウシが冒されている。この大量のBSE牛の突然の出現により、同様の疾患がヒトにおいても誘発され得るという大きな懸念がヒト集団に起こった。実際、1996年に、PrpScに感染した牛肉の消費に起因したと考えられる異型のCJDの最初の症例が報告された。その後感染したヒトの数は絶えず増加し、かつ治療法は期待できないため、今日までにこの懸念はさらに増加している。さらに、ヒツジがスクレイピーと称されるプリオン病で死ぬため、および他の哺乳動物種もPrpScに感染し得るため、BSE様の疾患は他の種でも起こる可能性がある。
【0188】
スクレイピー(プリオン病)因子の複製は主にリンパ組織で起こると考えられており、プリオンタンパク質を発現する濾胞樹状細胞(FDC)に依存することが示された(Brownら、Nature Med. 11:1308-1312 (1999))。プリオン感染の機構は非常に詳細に研究されている。プリオンはまず感染したマウスのリンパ器官内で複製し、次に中枢神経系に輸送されることが、現在明らかとなっている。機能的な濾胞樹状細胞を欠くマウスが、脾臓におけるプリオン複製の減少および神経侵入の(わずかな)遅延を示すことが示された(Montrasioら、Science 288: 1257-1259 (2000))。これは、マウスに可溶性リンホトキシンβ受容体-Fc融合タンパク質(LTβR-Fc)を注射することにより達成された。この可溶性受容体構築物は、T細胞、B細胞、またはNK細胞上のリンホトキシンβとFDC前駆細胞上のリンホトキシンβ受容体との不可欠な相互作用を妨げることにより、FDCの発達を阻害する。FDCは十分に研究されていない細胞種であるが、その発達はB細胞によるリンホトキシンおよび/またはTNFの産生に依存することが現在明らかである(F. Mackay, J. L. Brownin, Nature 395, 26-27 (1998))。実際に、リンホトキシンを欠くマウスはFDCを示さない(M. S. Matsumotoら、Science 264, 703-707 (1996))。FDCに加えて、抗体もまた疾患の進行において役割を果たす可能性がある(S. Brandner, M. A. Klein, A. Aguzzi, Transfus Clin Biol 6, 17-23 (1999))。
【0189】
したがって、結果としてリンパ器官からFDCが除去される、リンホトキシンβ(TNFγとも称される)、LTα、またはLTβ受容体に対するワクチン接種により、クロイツフェルトヤコブ病(異型)またはウシ海綿状脳症(BSE)等の他のプリオン病を治療または予防するワクチンが提供され得り、よってプリオンの複製および神経侵入が妨げられる。
【0190】
リンホトキシンβに対する免疫により、糖尿病を治療する方法もまた提供され得る。非肥満糖尿病NODマウスにおいて可溶性LTβR-Fc融合タンパク質を導入遺伝子で発現させると、糖尿病の発症が阻止されたが、膵島炎の発症は阻止されなかった(Ettingerら、J. Exp. Med. 193: 1333-40 K (2001))。Wuら(J. Exp. Med. 193: 1327-32 (2001))もNODマウスを用いてリンホトキシンβの関与について研究したが、彼らはトランスジェニック動物の代わりにLTβR-Fc融合タンパク質を注射した。その結果、糖尿病発症の強力な阻害および膵島炎の阻害が観察された。最も興味深いことには、融合タンパク質で治療することにより、既存の膵島炎さえも覆すこともできた。したがって、膵臓においてリンパ濾胞構造の形成が覆されたと考えられる。よって、リンホトキシンβに対するワクチン接種により、I型糖尿病の治療法も提供され得る。
【0191】
1つの態様において、独創的な組成物は、システインを含み、プロセシング型のリンホトキシンβに相当する配列のN末端に付加された、または成熟型タンパク質に相当する配列のN末端とシグナルペプチドの間の、シグナルペプチドのC末端に挿入されたアミノ酸リンカーを含む。本発明の関連する態様では、リンホトキシンβの細胞外部分を、リンホトキシンβのN末端に融合したグルタチオン-S-トランスフェラーゼ、またやはりリンホトキシンβの細胞外部分のN末端に融合した6ヒスチジンタグおよびその後のmycタグとの融合タンパク質として発現させる。プロテアーゼ切断部位を含むアミノ酸スペーサー、およびプロテアーゼ切断部位のC末端側にある付着部位としてのシステインを含むリンカー配列を、リンホトキシンβの細胞外部分の配列のN末端に融合する。1つの態様において、リンホトキシンβの細胞外部分は、リンホトキシンβのアミノ酸49〜306または126〜306に相当する断片からなる。本発明のこれら特定の組成物は、pCEP-Pu真核生物ベクターにクローニングし、発現させることができる。特定の態様において、独創的な組成物は、第2付着部位として適切なシステイン残基を含み、リンホトキシンβまたはリンホトキシンβ断片のC末端に融合したアミノ酸リンカーを含む。特に好ましい態様では、それ自体AP205 VLPへの結合のためのシステイン残基を含むアミノ酸リンカーACGGを含むアミノ酸配列LACGGを、リンホトキシンβの細胞外部分またはリンホトキシンβの細胞外部分の断片のN末端に融合し、ベクターpCEP-SP-GST-EKまたはベクターpCP-SP-his-myc-EKで発現させたこれらに相当する融合タンパク質をエンテロキナーゼで切断した後に、タンパク質ヒトC-LTβ49-306およびヒトC-LTβ126-306を得る。
【0192】
1つの態様において、抗原または抗原決定基は、プリオンタンパク質、その断片、および特にプリオンタンパク質のペプチドである。本発明の1つの態様では、抗原決定基はプリオンタンパク質またはその断片である。プリオンタンパク質に対する免疫により、クロイツフェルトヤコブ病(異型)または他のプリオン病を治療するまたは予防する方法が提供され得る。マウスプリオンタンパク質の断片に相当する、配列

のマウスペプチドは、AP205 VLPへの化学的結合のために付加されたN末端システイン残基を含み、これにより本発明の1つの態様がもたらされる。1つの態様において、プリオンタンパク質はヒトプリオンタンパク質である。AP205 VLPと結合させるためにいかにしてヒトプリオンタンパク質を修飾するかの指針は、本出願を通して規定される。マウスプリオンタンパク質構築物を開示するので、ヒトプリオンタンパク質構築物も同様に作製することができる。さらなる構築物は、全ヒトプリオンタンパク質配列およびヒトプリオンタンパク質の他の断片を含み、これらは本発明のさらなる組成物である。プリオンタンパク質に対する免疫により、クロイツフェルトヤコブ病(異型)または他のプリオン病を治療するまたは予防する方法が提供され得る。プリオンタンパク質を含む本発明の組成物を用いた免疫により、他の動物のプリオン病に対する治療法が提供され得る。上記のマウスペプチドに相当する、配列

のヒトプリオンタンパク質のペプチドにより、本発明の態様がもたらされる。これらのペプチドは、AP205 VLPに結合するために付加されたN末端システイン残基を含む。対応するウシおよびヒツジペプチドは、

であり、これらはすべて本発明の態様をもたらす。
【0193】
本発明の1つの態様において、抗原決定基は腫瘍壊死因子α(TNF-α)、その断片、またはTNF-αのペプチドである。特に、TNF-αのペプチドまたは断片を用いて、本発明によるそのようなペプチドまたは断片を含むワクチンおよび組成物それぞれでヒトまたは動物を免疫することにより、全タンパク質を対象とする自己特異的免疫反応を誘導することができる。以下のマウスペプチドは、TNF-αの活性を中和する抗体が結合することが示されたヒトペプチドのマウス相同体であり(Yoneら、J. Biol. Chem. 270: 19509-19515)、本発明の別の態様において、AP205 VLPに結合するためにシステイン残基で修飾した。
【0194】
MuTNFαペプチド;
配列CGGを成熟マウスTNF-αのアミノ酸残基22〜32からなるエピトープのN末端に付加し、配列:

を得た。
【0195】
3'TNF IIペプチド;
配列GGCを成熟マウスTNF-αのアミノ酸残基4〜22からなるエピトープのC末端に付加し、グルタミン21をグリシンに変異した。得られたペプチドの配列は:

である。
【0196】
5'TNF IIペプチド;
システイン残基を成熟マウスTNF-αのアミノ酸残基4〜22からなるエピトープのN末端に付加し、グルタミン21をグリシンに変異した。得られたペプチドの配列は:

である。
【0197】
4〜22エピトープに相当するヒト配列は、

である。マウス配列に関しては、本発明に従ってAP205 VLPに共有結合させるため、1つの態様においては、システインをエピトープのN末端に融合するか、または配列GGCをエピトープのC末端に融合する。しかし、システインを含む他の配列をエピトープのN末端またはC末端に融合することも本発明の範囲内である。1つの態様においては、一般に、1つまたは2つのグリシン残基を、付加したシステイン残基とエピトープ配列との間に挿入する。しかし、グリシン残基の代わりに他のアミノ酸を挿入してもよく、これらのアミノ酸残基にはセリン等の小さいアミノ酸が含まれる。
【0198】
独創的な組成物のさらに好ましい態様では、抗原または抗原決定基は腫瘍壊死因子α(TNF-α)、その断片もしくは突然変異タンパク質、あるいはTNF-αまたはその断片もしくは突然変異タンパク質のペプチドであり、第2付着部位を有する抗原または抗原決定基は、a)

のアミノ酸配列;b)

のアミノ酸配列;およびc)

のアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する。
【0199】
アミノ酸残基22〜32に相当するヒト配列は、

である。1つの関連する態様では、本発明に従ってAP205 VLPに共有結合させるため、配列CGGをエピトープのN末端に融合する。本発明での使用に適した他のTNF-αエピトープは、例えばYoneら(J. Biol. Chem. 270: 19509-19515)に記載され、開示されている。本発明はさらに、本明細書に記載する抗原または抗原決定基のミモトープを含む組成物を含む。
【0200】
本発明の1つの特定の組成物は、抗体に対する免疫反応を誘導するための、ウイルス様粒子上に提示した抗体または抗体断片を含む。1つの態様では、リンパ腫に対する防御免疫反応を誘導するため、リンパ腫細胞により産生される抗体または抗体断片を、免疫のためのウイルス様粒子への結合に選択する。
【0201】
他のさらなる態様では、抗原を模倣する抗体または抗体断片をAP205 VLPに結合する。模倣抗体または抗体断片は、免疫し次に模倣抗体または抗体断片を単離することにより、または例えばハイブリドーマ技術(Gherardi, E.ら、J. Immunol. Methods 126: 61-68 (1990))、ファージディスプレイ法(Harrisonら、Methods Enzymol. 267: 83-109 (1996))、リボソームディスプレイ法(Hanes, J.ら、Nat. Biotechnol. 18: 1287-1292 (2000))、酵母ツーハイブリッド法(Visintin, M.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96: 11723-11728 (1999))、酵母表面ディプレイ法(Boder, ET.およびWittrup, KD. Methods. Enzym. 328: 430-444 (2000))、細菌表面ディプレイ法(Daugherty, PS.ら、Protein Eng. 12: 613-621 (1999))等の当技術分野で周知の任意の既知方法により作製する。模倣抗体は、当技術分野で周知の方法を用いて抗体ライブラリーまたはナイーブ抗体ライブラリーから単離してもよい。
【0202】
さらなる態様では、別の抗体の結合部位を認識する抗体、すなわち抗イディオタイプ抗体であり、さらに免疫抗体とも称されるが、これを使用する。抗イディオタイプ抗体によって認識される抗体は、さらに中和抗体として見なされることになる。したがって、抗イディオタイプ抗体に対して免疫することにより、中和抗体の特異性を有する分子がインサイチューで作製される;本発明者らは、生じたこれらの抗体をさらに誘導抗体と称する。別の態様では、免疫が求められる標的分子のリガンド分子と相互作用するよう免疫抗体を選択する。リガンド分子は標的分子と相互作用する任意の分子であってよいが、1つの態様では、その機能を阻害するために抗体が作製されるべき標的分子の部位と優先的に相互作用する。リガンド分子は標的分子の天然リガンドであっても、または適切な結合特性を有する操作した、設計した、もしくは単離したリガンドであってもよい。
【0203】
免疫抗体は、ナイーブまたは免疫ヒト抗体ライブラリーから単離した等のヒト起源であってもよいし、または例えばマウス起源といった別の動物源から作製したライブラリーから単離したものでもよい。
【0204】
抗体または抗体断片のAP205 VLPへの結合は、露出したジスルフィド架橋(例えば、Fab断片内のCH1とCκまたはCλとの間の鎖内ジスルフィド架橋)を限定還元することにより、または別の態様では抗体または抗体断片のC末端にシステインを含むリンカーを融合することにより達成される。さらなる態様では、VLPまたは線毛タンパク質に結合させるために、システイン残基を含むリンカーを抗体または抗体断片のN末端に融合する。
【0205】
特定のエピトープのミモトープを作製および同定する方法と同様に、ミモトープを使用した多くのワクチン組成物も当技術分野で周知である。例えば、Arnonら、Immunology 101:555-562 (2000)は、その開示全体が参照として本明細書に組み入れられるが、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)に対するミモトープペプチドに基づくワクチンについて記載している。このワクチンで使用するミモトープは、固相8-merランダムペプチドライブラリーをスクリーニングし、マンソン住血吸虫に対する防御モノクローナル抗体によって認識されるエピトープのミモトープを同定することによって得られた。同様に、Olszewskaら、Virology 272:98-105 (2000) は、その開示全体が参照として本明細書に組み入れられるが、fマウスについて記載している。さらに、Zuercherら、Eur. J. Immunol. 30:128-135 (2000)は、その開示全体が参照として本明細書に組み入れられるが、エピトープ提示ファージを用いた経口抗IgE免疫のための組成物および方法について記載している。具体的には、エピトープ提示M13バクテリオファージを経口抗IgEワクチンの担体として用いる。試験したワクチン組成物は、モノクローナル抗IgE抗体BSW17のミモトープおよびエピトープを含む。
【0206】
本発明の態様は、特定の抗原に対する免疫反応を誘発するミモトープを含むワクチン組成物、ならびにこれらのワクチン組成物を構成する個々のミモトープ/AP205 VLP複合体、および特定の抗原または抗原決定基に対する免疫反応を誘発するためのこれらのワクチン組成物の使用を含む。ミモトープは、抗イディオタイプ抗体等のポリペプチドであってもよい。したがって、本発明のさらなる態様では、抗原または抗原決定基は抗イディオタイプ抗体または抗イディオタイプ抗体断片である。
【0207】
本発明はさらに、本明細書に記載する抗原または抗原決定基のミモトープを含む組成物を含む。
【0208】
特定抗原のミモトープは、ランダムペプチド・ファージディスプレイライブラリーのスクリーニングを含む多くの手段により、作製および同定することができる(例えば、その開示全体が参照として本明細書に組み入れられる、国際公開公報第97/31948号を参照のこと)。そのようなライブラリーのスクリーニングは、特定抗原に対する特異性を有する1つまたは複数の抗体に結合するペプチドを同定するように行う場合が多い。
【0209】
本発明のワクチン組成物での使用に適したミモトープは、直鎖状または環状ペプチドであってよい。直鎖状または環状ペプチドであるミモトープは、ペプチド結合ではない結合により、非天然分子骨格またはコア粒子およびVLPそれぞれに結合することができる。
【0210】
上記したように、ヒトIgE分子に対する免疫反応を誘発する多くのヒトIgEミモトープおよびエピトープが同定されている(例えば、国際公開公報第97/31948号を参照のこと)。したがって、特定の態様では、本発明のワクチン組成物は、免疫グロブリン分子(例えばIgE分子)に対する免疫反応を誘発する組成物を含む。
【0211】
そのような免疫反応を誘発するために用いられ得るペプチドには、タンパク質、タンパク質サブユニット、IgE分子のドメイン、およびIgE分子に対する特異性を有する抗体の産生を誘発し得るミモトープが含まれる。一般に、ワクチン組成物を調製するために用いるIgE分子の一部は、組成物を投与すべき種のIgE分子に由来することになる。例えば、ヒトに投与することを目的としたワクチン組成物は、ヒトIgE分子の一部もしくは複数部分、および/またはヒトIgE分子に対する免疫反応を誘発し得る1つまたは複数のミモトープを含む場合が多い。
【0212】
具体的な態様では、ヒトへの投与を目的とした本発明のワクチン組成物は、アクセッション番号AAB59424に記載のIgE重鎖の定常領域の少なくとも一部を含むことになる。さらに具体的な態様では、本発明のワクチン組成物を調製するために用いるIgEペプチドは、以下のアミノ酸配列:

を有するペプチドを含む、または代替的にそのようなペプチドからなる。
【0213】
さらなる具体的態様では、本発明のワクチン組成物は、特定抗原に対する特異性を有する抗体の産生をもたらす免疫反応を誘発し得る少なくとも1つのミモトープを含むことになる。本発明のワクチン組成物の調製での使用に適したIgEのミモトープの例には、以下のアミノ酸配列を有するペプチドが含まれる:

【0214】
ワクチンおよび免疫原の調製
バクテリオファージAP205のVLPはワクチン構築物の作製において有用であり、これに結合している抗原に高い免疫原性を付与する。本発明は、AP205 VLPに抗原を結合する方法を提供する。1つの態様では、ヘテロ二官能性架橋剤を用いた化学的架橋により、抗原をVLPに結合する。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤が、当技術分野において周知である。いくつかの態様では、ヘテロ二官能性架橋剤は、VLPのリジン残基の側鎖アミノ基と反応し得る官能基、および還元により反応に利用できるようにした天然に存在する、または抗原において操作し任意でやはり還元により反応に利用できるようにしたシステインと反応し得る官能基を含む。誘導体化と称される手順の第一段階は、VLPと架橋剤との反応である。この反応の生成物は活性化VLPであり、これは活性化担体とも呼ばれる。第二段階では、ゲル濾過または透析等の通常の方法により、未反応の架橋剤を除去する。第三段階では抗原を活性化VLPと反応させるが、この段階はカップリング段階と呼ばれる。未反応の抗原は、任意で第四段階で除去してもよい。いくつかのヘテロ二官能性架橋剤が、当技術分野において周知である。これらには、架橋剤SMPH(Pierce)、スルホ-MBS、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMPB、スルホ-SMCC、SVSB、SIA、および例えばPierce Chemical Company(米国、イリノイ州、ロックフォード)から入手可能であり、かつアミノ基と反応する1つの官能基およびシステイン残基と反応する1つの官能基を有する他の架橋剤が含まれる。上記の架橋剤では、すべてチオエーテル結合の形成が起こる。本発明の実施に適した別の種類の架橋剤は、カップリングに際して抗原とVLPとの間にジスルフィド結合を導入することを特徴とする。この種類に属する架橋剤には、例えばSPDPおよびスルホ-LC-SPDP(Pierce)が含まれる。架橋剤によるVLPの誘導体化の程度は、有機化学の分野の反応理論から周知のように、反応パートナーそれぞれの濃度、一方の試薬の他方に対する超過、pH、温度、およびイオン強度等の種々の実験条件によって影響を受け得る。カップリングの程度、すなわちAP205 VLPのサブユニット当たりの抗原の量は、上記の実験条件を変えることにより調整して、ワクチンの必要条件に適合させることができる。抗原の溶解性によって各サブユニットにカップリングし得る抗原の量が制限される場合もあり、得られるワクチンが不溶性である場合には、サブユニット当たりの抗原の量を減らすことが有益である。
【0215】
抗原をAP205 VLPに結合する1つの方法は、AP205 VLPの表面上のリジン残基と抗原上のシステイン残基との結合である。いくつかの態様では、AP205 VLPにカップリングするために、抗原に対してシステイン残基を含むアミノ酸リンカーを操作することが必要である。または、挿入または変異により抗原内にシステインを導入してもよい。
【0216】
本発明の好ましい態様において、組成物はアミノ酸リンカーを含む。好ましくは、そのようなアミノ酸リンカーは、少なくとも1つの共有結合により、少なくとも1つの抗原、抗原決定基、および有機分子それぞれに結合している。アミノ酸リンカーの選択は、抗原の性質、pI、電荷の分布、またはグリコシル化等のその生化学的特性に依存することになる。一般に、可動性のアミノ酸リンカーが好ましい態様である。アミノ酸リンカーの例は、どれも第2付着部位としてのシステイン残基および任意にさらなるグリシン残基をさらに含む免疫グロブリンのヒンジ領域、グリシンセリンリンカー(GGGGS)n(配列番号:49)、およびグリシンリンカー(G)nである。以下はそのようなアミノ酸リンカーの例である:

【0217】
ペプチドに関しては、ペプチドのC末端でのGGCG(配列番号:58)、GGC、もしくはGGC-NH2(「NH2」はアミド化を表す)リンカー、またはそのN末端でのCGGが有用であることが示されている。いくつかの態様では、大きなアミノ酸と第2付着部位として使用するシステインとの間にグリシン残基を挿入する。
【0218】
アミノ酸リンカーの好ましい態様は、(a) CGG;(b) N末端γ1-リンカー;(c) N末端γ3-リンカー;(d) Igヒンジ領域;(e) N末端グリシンリンカー;(f) n=0〜12およびk=0〜5である(G)kC(G)n(配列番号:93);(g) N末端グリシン-セリンリンカー;(h) n=0〜3、k=0〜5、m=0〜10、l=0〜2である(G)kC(G)m(S)l(GGGGS)n(配列番号:94);(i) GGC; (k) GGC-NH2;(l) C末端γ1-リンカー;(m) C末端γ3-リンカー;(n) C末端グリシンリンカー;(o) n=0〜12およびk=0〜5である(G)nC(G)k(配列番号:95);(p) C末端グリシン-セリンリンカー;(q) n=0〜3、k=0〜5、m=0〜10、l=0〜2およびo=0〜8である(G)m(S)l(GGGGS)n(G)oC(G)k(配列番号:96)からなる群より選択される。
【0219】
特定の態様では、抗原または抗原決定基は、AP205 VLPまたはVLPサブユニットそれぞれの第1付着部位と結合し得る単一の第2付着部位または単一の反応性付着部位を含む。これにより、少なくとも1個であるが典型的に2個またはそれ以上の、好ましくは10個、20個、40個、80個、120個を超える抗原のAP205 VLPへの明確かつ均一な結合および会合がそれぞれ確実になる。抗原上に単一の第2付着部位または単一の反応性付着部位が提供されることにより、単一でありかつ均一な形の結合および会合がそれぞれ確実となり、結果として非常に規則正しくかつ反復性のアレイが生じる。例えば、結合および会合がそれぞれリジン(第1付着部位として)とシステイン(第2付着部位として)との相互作用により達成される場合、抗原当たり1個のシステイン残基のみが、このシステイン残基が抗原に天然で存在するか非天然的に存在するかに依存せず、AP205 VLPおよびAP205 VLPの第1付着部位それぞれとそれぞれ結合および会合し得ることが本発明により保証される。
【0220】
抗原上に存在するシステイン残基は、活性化VLP上のヘテロ二官能性架橋剤と反応するためにその還元状態になくてはならない、すなわち遊離システインまたは遊離のスルフヒドリル基を有するシステイン残基が利用できなくてはならない。第2付着部位として機能するシステイン残基が酸化型である場合、例えばジスルフィド架橋を形成している場合、例えばDTT、TCAP、またはβメルカプトエタノールによるこのジスルフィド架橋の還元が必要である。
【0221】
上記の方法に従いヘテロ二官能性架橋剤を用いて抗原をAP205 VLPに結合することにより、配向した様式での抗原のAP205 VLPへのカップリングが可能になる。抗原をAP205 VLPに結合する他の方法には、カルボジイミドEDCおよびNHSを用いて抗原をAP205 VLPに架橋する方法が含まれる。抗原または抗原決定基は、例えばSATA、SATP、またはイミノチオランを用いて反応することにより、最初にチオール化してもよい。抗原または抗原決定基は、必要に応じて脱保護した後、以下のようにAP205 VLPにカップリングすることができる。過剰なチオール化学試薬を分離した後、上記したように、システイン反応性成分を含むヘテロ二官能性架橋剤で予め活性化し、それによりシステイン残基と反応する少なくとも1個ないし数個の官能基を提示し、チオール化した抗原または抗原決定基が反応し得るAP205 VLPと、抗原または抗原決定基を反応させる。任意で、少量の還元剤を反応混合液に含める。他の方法では、グルタルアルデヒド、DSG、BM[PEO]4、BS3(Pierce Chemical Company、米国、イリノイ州、ロックフォード)、またはAP205 VLPのアミン基またはカルボキシル基と反応する官能基を有する他の既知ホモ二官能性架橋剤等のホモ二官能性架橋剤等を用いて、抗原をAP205 VLPに結合する。
【0222】
さらなる態様では、グリコシル化抗原または抗原決定基上に存在する糖質成分を修飾し、次にAP205 VLPと反応させることにより、抗原または抗原決定基をAP205 VLPに結合する。1つの態様では、グリコシル化抗原または抗原決定基を糖質成分の穏和な酸化反応において過ヨウ素酸ナトリウムと反応させ、1つまたは複数のアルデヒド官能基を有する活性化抗原または抗原決定基を生成する。例えばHermanson, G.T.がBioconjugate Techniques、Academic Press Inc.、米国、カリフォルニア州、サンディエゴに記載しているように、そのように活性化した抗原または抗原決定基を過剰な過ヨウ素酸ナトリウムから分離し、次にAO205 VLPとさらに反応させると、AP205 VLPまたは少なくとも1つのAP205 VLPサブユニットのリジン残基が、抗原または抗原決定基上に予め形成されたアルデヒド官能基と反応する。活性化抗原または抗原決定基の自己重合は、上記の出版物に記載されているようにpHを調整することによって調節することができる。形成されたシッフ塩基は好ましくはシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いてさらに還元し、次にゲル濾過または透析によって除去する。または、AP205 VLPまたは少なくとも1つのAP205 VLPサブユニットのカルボキシル基をEDCおよびアジピン酸ジヒドラジド等のジヒドラジドと反応させ、活性化抗原または抗原決定基上に存在する1つまたは複数のアルデヒド官能基との反応に利用できるヒドラジド成分を生成してもよい。そのように形成されたヒドラゾンは、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いてさらに還元してもよい。または、1つまたは複数のアルデヒド官能基を有する活性化抗原または抗原決定基をシステアミンと反応させると、抗原または抗原決定基内にシステイン基が導入される。抗原または抗原決定基のAP205 VLPへの結合に適したさらなる架橋法および架橋剤、ならびにカップリング反応の実施および化学架橋剤および化学架橋手順の使用の指針は、Hermanson, G.T.、Bioconjugate Techniques、Academic Press Inc.、米国、カリフォルニア州、サンディエゴに見出すことができる。
【0223】
VLPを抗原に結合する他の方法には、VLPをビオチン化し、抗原をストレプトアビジン融合タンパク質として発現させる方法、または抗原とVLPの両方をビオチン化する方法が含まれる。この場合、次に添加するVLPの結合のために遊離の結合部位がなお利用できるように、抗原とストレプトアビジンの比率を調整することにより、まず抗原をストレプトアビジンまたはアビジンに結合させる。または、すべての成分を「ワンポット」反応で混合してもよい。可溶型の受容体およびリガンドが得られ、VLPまたは抗原に架橋し得る他のリガンド-受容体対を、抗原をVLPに結合するための結合剤として用いてもよい。本発明の好ましい態様において、第1および/または第2付着部位は、(a) 抗原およびそれに対する抗体または抗体断片;(b) ビオチンおよびアビジン;ストレプトアビジンおよびビオチン;(c) 受容体およびそのリガンド;(d) リガンド結合タンパク質およびそのリガンド;(e) 相互作用ロイシンジッパーポリペプチド;(f) アミノ基およびそれに反応する化学基;(g) カルボキシル基およびそれに反応する化学基;(h) スルフヒドリル基およびそれに反応する化学基;ならびに(i)それらの組み合わせからなる群より選択される。
【0224】
免疫反応
免疫反応の性質または種類は、本開示の限定要因ではない。治療的または予防的免疫反応の所望の結果は、当技術分野で周知の原理により、疾患によって異なる可能性がある。例えば、感染因子に対する免疫反応は、「無菌免疫」および病徴のない形をとり、感染因子の定着および複製を完全に防ぐ可能性がある。しかし、感染因子に対するワクチンは、症状の数、重症度、または持続期間が減少する場合;症状を有する集団内の個体数が減少する場合;または感染因子の感染が減少する場合に、有効であると見なされ得る。同様に、癌、アレルゲン、または自己抗原に対する免疫反応も、疾患を完全に治療する場合、症状を軽減する場合、または疾患に対する全面的な治療的介入における一面である場合がある。例えば、癌に対する免疫反応の促進は、外科的、化学療法的、放射線学的アプローチ、ホルモンによるアプローチ、および治療に影響を及ぼすための他の免疫学的アプローチと合わせてもよい。
【0225】
さらに、疾患により、かつ当技術分野で周知の原理に従い、異なる種類の免疫反応を促進することが望ましい場合もある。例えば、特定の抗原に対して、ある種の免疫反応が他の免疫反応よりも適していることは周知である。実際に、ある種の免疫反応は不適切であり、本明細書でさらに記載する、感染に応答した病的炎症、アレルギー、および自己免疫疾患等の病状を起こし得る。ある種の特定の免疫反応を望まないものの、本発明は治療的または予防的目的に対する免疫反応を促進する。本発明のさらなる特定の態様は、病的免疫反応の影響に対抗し得る免疫反応の生成を含む。
【0226】
免疫反応の性質は、抗原の性質、体内への導入経路、投与量、投与計画、抗原の反復性性質、宿主の背景、および免疫系のシグナル因子の影響を受け得る。そのような知見は当技術分野で周知である。そのようなものとして、当技術分野で周知の理論および日常的な実験の両方を適用することにより、免疫反応を目的に合わせることができる。
【0227】
理論に縛られることは望まないが、本発明は、免疫反応を生成するための薬学的組成物の成分として、特にワクチンとしての際立って新規なかつ驚くべき利点を提示する。
【0228】
まず第一に、BSA、キーホールリンペットヘモシアニン、破傷風毒素、細菌外膜タンパク質、コレラ毒素、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A、および細菌線毛を含む、当技術分野において周知の他の担体は、個体、特にヒトでの使用に不適切である場合がある。上記の担体は、アレルギー反応を誘導し得る、または病的免疫反応を促進し得る(例えば、コレラ毒素、KLH、BSA)。上記の担体は、現在はヒトでの使用に不適切と見なされている完全フロイントアジュバント等のアジュバントの存在を必要とする場合がある。多くの担体は、現行ワクチンの成分である可能性(例えば、破傷風毒素、コレラ毒素、外毒素A)、または一般に遭遇する抗原を示す(例えば、細菌線毛、外毒素A、外膜タンパク質)可能性がある。そのように個体はこれらの担体に対して既存の免疫を高レベルで有する可能性があり、その結果抗原-担体複合体での免疫により、担体に対して新規抗原よりも比較的高い免疫反応が誘導されることになる。これらの理由から、個々にまたは全体として、担体タンパク質としてのAP205の使用は、現行の担体タンパク質を超える有用な改良点を示す可能性がある。AP205-DerP1複合体組成物は、フロイントアジュバントを使用せず、かつ病的免疫反応の徴候もなく、DerP1に対する免疫反応を促進し得る。
【0229】
担体タンパク質としてのAP205の使用において、AP205に結合した抗原AP205-抗原が抗原提示細胞によって取り込まれ得り、それによりT細胞の支持が促進され免疫反応が誘導される可能性がある。さらに、通常は非免疫原性であるハプテンをAP205に結合し、それによりそのようなハプテンに対する免疫反応を生成することが可能である。
【0230】
本発明のさらなる有利な特徴は、抗原がVLPの表面上に、T細胞の支持があってもなくても効率的な免疫反応を誘導し得る規則的な反復性アレイで提示され得る点である。本発明のこの特徴は、特に有利である。
【0231】
したがって本発明は、抗原のAP205 VLPへの結合を介して免疫に用いる抗原の反復度を増加させることにより、特に自己抗原に対するワクチン接種の効率を改善する方法を提供する。
【0232】
組成物、ワクチン、およびそれらの投与、および治療法
本発明は、疾患または病態を予防および/または減弱するために使用し得るワクチン組成物を提供する。本発明はさらに、個体の疾患または病態を予防および/または減弱するためのワクチン接種法を提供する。
【0233】
1つの態様において、本発明は、広範な種、特にヒト、サル、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ等の哺乳動物種の感染症を予防するためのワクチンを提供する。HIV、インフルエンザ、ヘルペス、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘等のウイルス性病因の感染;または肺炎、結核、梅毒等の細菌性病因の感染;または、マラリア、トリパノソーマ症、レーシュマニア症、トリコモナス症、アメーバ症等の寄生虫病因の感染を治療するために、ワクチンを設計することができる。
【0234】
別の態様において、本発明は、広範な種、特にヒト、サル、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ等の哺乳動物種の癌を予防および治療するためのワクチンを提供する。すべての種類の癌:リンパ腫、癌腫、肉腫、黒色腫等を治療するために、ワクチンを設計することができる。
【0235】
本発明の別の態様では、本発明の複合体、組成物、および方法を、アレルギーを治療するためのワクチンの設計において用いることができる。IgEイソ型の抗体は、アレルギー反応における重要な成分である。肥満細胞はその表面上でIgE抗体を結合し、肥満細胞表面上に結合しているIgE分子に特異的抗原が結合した際に、ヒスタミンおよびアレルギー反応の他の介在物質を放出する。したがって、IgE抗体の産生を阻害することが、アレルギーに対して防御するための有望な標的である。これは、所望のTヘルパー細胞反応を達成することにより可能となるはずである。Tヘルパー細胞反応は、1型(TH1)と2型(TH2)のTヘルパー細胞反応に分類することができる(Romagnani, Immunol. Today 18:263-266 (1997))。TH1細胞は、インターフェロンγおよび他のサイトカインを分泌する。対照的に、TH2細胞によって産生される重要なサイトカインはIL-4であり、これはB細胞のIgE産生を促進する。TH1細胞はTH2細胞の誘導を抑制しその逆も同様であるため、多くの実験系において、TH1反応とTH2反応の発生は相互に排他的である。したがって、強力なTH1反応を誘発する抗原は、同時にTH2反応の発生、ひいてはIgE抗体の産生を抑制する。AP205 VLPがTH1型の免疫反応を誘導することは、本発明の発見である。したがって、本発明の方法によって、AP205 VLPを様々なアレルゲンで装飾し、免疫に用いることができる。アレルゲンをAP205 VLPに結合することにより、TH1反応が誘発され、「防御的」IgG抗体が産生され、アレルギー反応を起こすIgE抗体の産生が妨げられることになる。アレルゲン自体を認識するセットとは異なるセットのヘルパーT細胞によって認識されるVLPによってアレルゲンを提示することにより、アレルゲンに特異的な既存のTH2細胞を有するアレルギー個体においてさえも、アレルゲン特異的IgG抗体が誘導されると考えられる。高濃度のIgG抗体の存在により、肥満細胞に結合したIgEへのアレルゲンの結合が妨げられ、それによりヒスタミンの放出が阻害され得る。したがって、IgG抗体の存在は、IgEを媒介するアレルギー反応から保護し得る。アレルギーを起こす典型的な物質には、花粉(例えば、イネ科植物、ブタクサ、カバノキ、またはヒマラヤスギ花粉);ハウスダスト、ダニ、哺乳動物表皮アレルゲンおよび動物の鱗屑、カビおよび菌類、昆虫体および昆虫毒液、毛、唾液、血清、羽毛、食物、または薬剤(例えばペニシリン)が含まれるが、これらに限定されない。その内容全体が本明細書により参照として組み入れられる、Shough, H.ら、REMINGSTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第19版、(第82章)、Mack Publishin Company、Mack Publishing Group、ペンシルバニア州、イーストン(1995)を参照されたい。
【0236】
特定の態様において、本発明は、「自己」遺伝子産物(例えば腫瘍壊死因子)、すなわち本明細書で用いる「自己抗原」によって起こるまたは悪化する疾患または病態を予防および/または減弱する方法を提供する。関連する態様では、本発明は、「自己」遺伝子産物によって起こるまたは悪化する疾患または病態を予防および/または減弱する抗体の産生をもたらす免疫反応を、個体において誘導する方法を提供する。そのような疾患または病態の例には、移植片対宿主病、IgEを介したアレルギー反応、アナフィラキシー、成人呼吸窮迫症候群、クローン病、アレルギー性喘息、急性リンパ性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、グレーブス病、炎症性自己免疫疾患、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス(SLE)、免疫増殖性疾患リンパ節症(IPL)、血管免疫増殖性リンパ節症(AIL)、免疫芽球性リンパ節症(IBL)、関節リウマチ、糖尿病、多発性硬化症、骨粗鬆症、およびアルツハイマー病が含まれる。
【0237】
当業者が理解するように、本発明の組成物を個体に投与する場合、組成物は、塩、緩衝液、アジュバント、または組成物の効率を改善するのに望ましい他の物質を含む組成物中にあってよい。薬学的組成物の調製での使用に適した物質の例は、REMINGSTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Osol, A.ら、Mack Publishin Co. (1990))を含む多くの情報源に提供されている。
【0238】
本発明の組成物は、その投与がレシピエント個体によって許容される場合に、「薬理学的に許容される」と称される。さらに、本発明の組成物は、「治療的に有効な量」(すなわち、所望の生理的効果を生じる量)で投与することになる。
【0239】
本発明の組成物は当技術分野で周知の様々な方法によって投与し得るが、通常は注射、注入、吸入、経口投与、または他の適切な物理的方法によって投与することになる。または、組成物は、筋肉内、静脈内、経粘膜的、経皮的、または皮下に投与する。投与する組成物の成分には、無菌水溶液(例えば生理食塩水)または非水溶液、および懸濁液が含まれる。非水溶媒の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイル等の植物油、およびオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルが含まれる。担体または閉鎖包帯を用いて、皮膚透過性を増大させる、および抗原の吸収を高めることができる。
【0240】
本発明の他の態様は、本発明の組成物を産生するための方法およびこれらの組成物を用いた治療法を提供する。前述の一般的な記載および以下の詳細な記載は例示かつ説明のためのみのものであり、特許請求の範囲に請求するような本発明のさらなる説明の提供を目的とすることを理解すべきである。
【0241】
本発明の他の態様は、ワクチン技術に加えて、癌およびアレルギーの治療法、ならびに「自己」遺伝子産物によって起こるまたは悪化する疾患または病態の治療法を対象とする。
【0242】
本明細書に引用する特許および出版物はすべて、その全体が明確に参照として組み入れられる。
【0243】
キット
他の態様では、本発明の組成物を、アッセイ法もしくは産業的設定での検出、疾患、病態、または障害の診断または検出で使用するためのキットに組み立ててもよい。本発明によるそのようなキットは、1つまたは複数の上記複合体、またはAP205複合体、および免疫分子、およびそのような複合体に対して作製された抗体それぞれを含む組成物を含む少なくとも1つの容器を含んでよい。本発明のキットは、任意で、例えば1つまたは複数の抗原、1つまたは複数のハプテン、1つまたは複数のコア粒子、1つまたは複数の本発明の複合体/組成物、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤、1つまたは複数の緩衝液、1つまたは複数のタンパク質、1つまたは複数の核酸分子等を含み得る少なくとも1つのさらなる容器をさらに含んでもよい。
【0244】
本明細書に記載した方法および用途に対する他の適切な修飾および適合化は容易に明らかであり、それが本発明の範囲またはそのいずれの態様からも逸脱することなく行われ得ることは、当業者に理解されよう。ここに本発明を詳細に説明したが、説明のみの目的で本明細書に含め、本発明を限定する意図のない以下の実施例を参照することによって、同様のことがより明らかになると考えられる。
【実施例】
【0245】
実施例1:
AP205コートタンパク質遺伝子のクローニング
逆転写PCR法を使用し、配列決定用の市販のプラスミドpCR 4-TOPOにクローニングすることによりファージAP205 RNAから作製した2つのcDNA断片から、AP205コートタンパク質(CP)のcDNAを構築した。逆転写法は当業者には周知である。プラスミドp205-246に含まれる第1断片は、CP配列の上流269ヌクレオチドおよびCPの最初のN末端アミノ酸24個をコードする74ヌクレオチドを含んでいた。プラスミドp205-262に含まれる第2断片は、CPのアミノ酸12〜131をコードする364ヌクレオチドおよびCP配列の下流のさらなる162ヌクレオチドを含んでいた。
【0246】
プラスミドp205-246およびp205-262による両CP断片を1つの全長CP配列に融合するため、2段階PCRによってプラスミド283.-58を設計した。プラスミドpQb185にクローニングするためのNcoI部位を含む上流プライマーp1.44、またはプラスミドpQb10にクローニングするためのXbaI部位を含む上流プライマーp1.45、およびHindIII制限酵素部位を含む下流プライマーp1.46を用いた(下線は制限酵素の認識配列):

【0247】
第1段階のPCRで断片を増幅するために、2本のさらなるプライマー、p205-262に含まれる断片の5'末端にアニールするp1.47およびp205-246に含まれる断片の3'末端にアニールするp1.48を用いた。プライマーp1.47およびp1.48は相互に相補的である。

【0248】
第1段階の2つのPCR反応において、2つの断片を作製した。第1の断片は、プライマーp1.45およびp1.48ならびに鋳型p205-246を用いて作製した。第2の断片は、プライマーp1.47およびp1.46ならびに鋳型p205-262を用いて作製した。第2段階のPCR反応、スプライス-重複伸長のため、両断片を鋳型として、プライマーp1.45およびp1.46またはp1.44およびp1.46のプライマーの組み合わせと共に使用した。第2段階の2つのPCR反応の産物をXbaIまたはNcoIそれぞれおよびHindIIIで消化し、大腸菌トリプトファンオペロンプロモーターの制御下にある2つのpGEM由来発現ベクター、pQb10またはpQb185それぞれに同じ制限酵素部位でクローニングした。
【0249】
wt AP205 CP(配列番号:1)をコードする遺伝子をpQb10内に含むpAP283-58(配列番号:2)、および配列番号:3のアミノ酸配列を有する、突然変異Pro5→Thrを含む突然変異タンパク質をコードする配列番号:125のヌクレオチド配列をpQb185内に含むpAP281-32(配列番号:4)の2つのプラスミドを得た。DNA配列決定により、コートタンパク質配列を確認した。PAP283-58は、CPのATGコドンの上流、XbaI部位の下流に49ヌクレオチドを含み、コートタンパク質mRNAの推定上の独自のリボソーム結合部位を含む。
【0250】
実施例2:
組換えAP205 VLPの発現および精製
A. 組換えAP205 VLPの発現
大腸菌JM109をプラスミドpAP283-58で形質転換した。20μg/mlアンピシリンを含むLB液体培地5 mlに単一コロニーを播種し、振盪せずに37℃で16〜24時間インキュベートした。
【0251】
調製した播種菌液を20μg/mlアンピシリンを含むLB培地100〜300 mlで1:100に希釈し、振盪せずに37℃で一晩インキュベートした。得られた第2播種菌液を、0.2%グルコースおよび緩衝用リン酸を含む2TY培地で1:50に希釈し、振盪機上で37℃で一晩インキュベートした。遠心分離により細胞を回収し、-80℃で凍結した。
【0252】
B. 組換えAP205 VLPの精製
溶液および緩衝液:
1. 溶解緩衝液
5mM EDTA、0.1%トライトンX100、および1ml当たり5マイクログラムのPMSFを含む50 mMトリス-HCl pH 8.0
2. SAS
水に溶解した飽和硫酸アンモニウム
3. 緩衝液NET
5mM EDTAおよび150 mM NaClを含む20 mMトリス-HCl、pH 7.8
4. PEG
NETに溶解した40%(w/v)ポリエチレングリコール6000
【0253】
溶解:
凍結した細胞を、2 ml/g細胞で溶解緩衝液中に再懸濁した。混合液を、22 kHで15秒間5回、溶液を氷上で冷却する1分間の間隔を入れて超音波処理した。次に溶解液を、F34-6-38ローター(Epndorf)を用いて12 000 rpmで20分間遠心分離した。特記しない限り、以下に記載する遠心分離段階はすべて同じローターで行った。上清を4℃で保存する一方、細胞残屑を溶解緩衝液で2回洗浄した。遠心分離した後、溶解液の上清および洗浄画分をプールした。
【0254】
さらに硫安沈殿法を用いて、AP205 VLPを精製することができる。第1段階では、AP205 VLPが沈殿しない硫酸アンモニウム濃度を選択する。得られたペレットを処分する。次の段階では、AP205 VLPが量的に沈殿する硫酸アンモニウム濃度を選択し、遠心分離(14 000 rpm、20分間)によるこの沈殿段階のペレットからAP205 VLPを単離する。得られたペレットをNET緩衝液中で可溶化する。
【0255】
クロマトグラフィー:
プールした上清によるキャプシドタンパク質をセファロース4Bカラム(2.8 X 70 cm)に供し、NET緩衝液により4 ml/時間/画分で溶出した。画分28〜40を回収し、60%飽和の硫酸アンモニウムで沈殿させた。沈殿前に、SDS-PAGEおよびAP205 VLPコートタンパク質に特異的な抗血清を用いたウェスタンブロットにより画分を解析した。遠心分離により単離したペレットをNET緩衝液中で再度可溶化し、セファロース2Bカラム(2.3 X 65 cm)に供し、3 ml/時間/画分で溶出した。SDS-PAGEにより画分を解析し、画分44〜50を回収してプールし、60%飽和の硫酸アンモニウムで沈殿させた。遠心分離により単離したペレットをNET緩衝液中で再度可溶化し、セファロース6Bカラム(2.5 X 47 cm)に供し、3 ml/時間/画分で溶出した。SDS-PAGEにより画分を解析した。画分23〜27を回収し、塩濃度を0.5 Mに調製し、水に溶解した40%保存溶液から最終濃度13.3%になるように添加したPEG 6000により沈殿させた。遠心分離により単離したペレットをNET緩衝液中で再度可溶化し、上記と同じセファロース2Bカラムに供し、同様に溶出した。SDS-PAGEにより画分を解析した。画分43〜53を回収し、60%飽和の硫酸アンモニウムで沈殿させた。遠心分離により単離したペレットを水中で再度可溶化し、得られたタンパク質溶液を水に対して十分に透析した。細胞グラム当たり約10mgの精製タンパク質を単離することができた。SAS-PAGEおよびウェスタンブロッティングにより解析したAP205 VLPの精製を示す。最初のセファロース4Bクロマトグラフィー段階および最後のセファロース2Bクロマトグラフィー段階の組換えAP205 VLPの画分を、還元条件下で泳動したSDS-PAGEの銀染色、およびAP205 VLPコートタンパク質に特異的な抗血清を用いたウェスタンブロッティングにより示す。
【0256】
電子顕微鏡によるウイルス様粒子の観察から、AP205 VLPがファージ粒子と同一であることが示された(図1Aおよび1B)。
【0257】
図1AはAP205ファージ粒子のEM写真を示し、組換えAP205 VLPが自己会合した粒子のEM写真を図1Bに示す。
【0258】
簡潔にするため、実施例の項で用いる「AP205 ウイルス用粒子」および「AP205 VLP」という用語は、実施例2に記載したように発現させ精製したウイルス様粒子を指し、配列番号1:に記載のアミノ酸配列を有するコートタンパク質からなる。
【0259】
実施例3:
AP205 VLPへのDerp1.2およびFlagペプチド抗原のカップリング、ならびにAP205 VLPにカップリングしたDerp1.2ペプチドによるマウスの免疫
A. 組換えAP205 VLPへのDerp1.2ペプチドおよびFlagペプチドのカップリング
当技術分野で周知の方法に従い、ペプチドDerp1.2

および
Flag

を化学的に合成した。実施例2に記載したように発現させ精製したAP205 VLPを、20 mM Hepes、150 mM NaCl、pH 7.4緩衝液(HBS緩衝液)中で再度可溶化した。続いて、再度可溶化したAP205 VLPを2 mg/mlの濃度で(ブラッドフォードアッセイ法で測定)、2.85 mM SMPH(Pierce)と室温(RT)で30分間反応させた。次に反応混合液をHBS緩衝液に対して透析し、DMSOに溶解した50 mM保存液から反応混合液に希釈した0.714 mM Derp1.2またはFLAGと反応させた。カップリング反応を15℃で2時間進行し、1000倍量のHBSに対して反応混合液を2 X 2時間透析し、一定分割量を液体窒素により瞬時に凍結し、後に使用するまで-80℃で保存した。
【0260】
一定分割量を融解し、抗原のAP205サブユニットへのカップリングをSDS-PAGEにより評価し、ブラッドフォードアッセイ法でタンパク質濃度を測定した。Derp1.2のAP205 VLPへのカップリング反応の結果を図2に示す。AP205 VLPの単量体サブユニットは、分子量14 kDaを有する。架橋剤によりAP205 VLPを誘導体化した場合に、単量体型のサブユニットに加えて、架橋によって生成された二量体、三量体、四量体、五量体、および六量体がSDS-PAGEにおいて検出される。
【0261】
図2は、AP205 VLPおよびQB VLPのDerp1.2ペプチドへのカップリング反応のSDS-PAGE解析を示す。試料は、16%トリス-グリシンゲルで還元条件下で泳動した。レーン1はタンパク質マーカーであり、ゲルの左側に対応する分子量を示す;レーン2、誘導体化したQBキャプシドタンパク質;レーン3、QBキャプシドタンパク質のDerp1.2ペプチドへのカップリング反応の上清;レーン4、QBキャプシドタンパク質のDerp1.2ペプチドへのカップリング反応のペレット;レーン5、誘導体化したAP205 VLP;レーン6、AP205 VLPのDerp1.2ペプチドへのカップリング反応の上清;レーン7、AP205 VLPのDerp1.2ペプチドへのカップリング反応のペレット。単量体当たり1個、2個、3個、4個、および5個のペプチドそれぞれがカップリングしたカップリング生成物を、図中に矢印で示す。QBキャプシドタンパク質と比較して、AP205 VLPに対してより多くのエピトープがカップリングし得た。
【0262】
B. 組換えAP205 VLPにカップリングしたDerp1.2ペプチドによるマウスの免疫、免疫反応の解析、およびIgGサブタイプの判定
Derp1.2ペプチドにカップリングしたAP205 VLPまたはDerp1.2ペプチドにカップリングしたQB VLPを、0日目および14日目にマウス(それぞれマウス3匹)に皮下注射した。AでP205 VLPへのカップリングについて記載したのと同じ条件で、Derp1.2をQBキャプシドタンパク質にカップリングした。各マウスに、PBSで200μlに希釈したワクチン10μgを免疫した。20日目にマウスの眼窩後から採血し、Derp1.2ペプチドに特異的な抗体の力価をDerp1.2ペプチドに対するELISAで測定した。化学架橋剤スルホ-SPDPを用いて、Der p Iペプチド「Der p I p52」をウシRNAse Aにカップリングした。カップリングしたRNAse調製品を10μg/mlの濃度でELISAプレートにコーティングした。プレートをブロッキングした後、段階希釈したマウス血清と共にインキュベートした。それぞれのサブタイプに特異的な酵素標識した抗マウスIgG抗体を用いて、結合した抗体を検出した。対照として、同じマウスの免疫前の血清を同様に試験した(データは示さず)。結果を図3に示す。
【0263】
図3は、AP205 VLPまたはQBキャプシドタンパク質それぞれにカップリングしたDerp1.2に対して免疫したマウスの血清中の、「Derp 1.2」に特異的なIgG抗体のELISA解析を示す。全IgG力価およびIgGサブタイプ力価を測定した。各IgGサブタイプについて解析した免疫前血清のいずれにおいても、Derp1.2に特異的な抗体は検出されなかった。図から、IgG1力価よりもIgG2a力価が非常に高いように、AP205およびQBのどちらに対してもTh1免疫反応に典型的なサブタイプが誘導されることが示される。どちらのVLPにカップリングしたペプチドによっても、強力な特異的抗ペプチド免疫反応が得られた。担体に特異的な抗体もELISAにより測定したが、どちらの担体についても同程度であった。
【0264】
実施例4:
抗原をVLPにカップリングするためのモジュラー真核生物発現系
この系は、VLPへの化学的カップリングのために、システイン残基を含むアミノ酸リンカー配列を抗原に付加するために作製した。
【0265】
A. システイン含有アミノ酸リンカーおよび切断可能なFcタグをコードするEBNA由来発現系の構築
pCep-Pu(Wuttkeら、J. Biol. Chem. 276: 36839-48 (2001))をKpn IおよびBam HIで消化し、アニールしたオリゴヌクレオチドPH37およびPH38を用いて新たな多重クローニング部位を導入し、pCep-MCSを得た。
【0266】
数個のグリシンが隣接した遊離システイン、プロテアーゼ切断部位、およびヒトIgG1の定常領域を含むモジュラー系を以下のように作製した。pSec2/Hygro B(Invitrogen カタログ番号V910-20)をBsp 120IおよびHind IIIで消化し、アニールしたオリゴヌクレオチドSU7およびSU8と連結して、pSec-B-MCSを得た。次にpSec-B-MCSをNhe IおよびHind IIIで消化し、アニーリングしたオリゴヌクレオチドPH29およびPH30と連結して、pSec29/30を得た。以下の断片を3断片連結することにより、構築物pSec-FL-EK-Fc*を作製した; Eco RIおよびHind IIIで消化した最初のpSec 29/30、アニールしたオリゴヌクレオチドPH31およびPH32、ならびにヒトIgG1定常領域の修飾型を含むプラスミド(pSP-Fc*-C1)のBgl I/EcoRI断片(hu IgG1配列の詳細については、最終構築物pCep-Xa-Fc*(図4A〜4C)を参照のこと)。得られた構築物をpSec-FL-EK-Fc*と命名した。Nhe I、Pme I消化によりこのプラスミドからリンカー領域およびヒトIgG1 Fc部分を切り出し、Nhe IおよびPme Iで消化したpCep-MCSにクローニングして、構築物pCep-FL-EK-Fc*を得た。このようにして、Nhe I部位とHind III部位との間に位置するリンカー配列およびプロテアーゼ切断部位が、アニールしたオリゴヌクレオチドと容易に交換できるモジュラーベクターを作製した。切断可能な融合タンパク質ベクターを作製するため、pCep-FL-EK-Fc*をNhe IおよびHind IIIで消化し、アニールしたオリゴヌクレオチドPH35およびPH36を用いてN末端にアミノ酸GGGGCG(配列番号:55)が隣接したファクターXa切断部位を導入し、アニールしたオリゴヌクレオチドPH39およびPH40を用いてN末端にGGGGCG(配列番号:55)が隣接したエンテロキナーゼ部位を導入し、それぞれ構築物pCep-Xa-Fc*(図4A、配列番号:103に記載のヌクレオチド配列、配列番号:104に記載のアミノ酸配列)およびpCep-EK-Fc*(図4B、配列番号:105に記載のヌクレオチド配列、配列番号:106に記載のアミノ酸配列)を得た。Kpn I/Bam HIで消化したpCEP-EK-Fc*、アニールしたオリゴPH41およびPH42、ならびにアニールしたオリゴPH43およびPH44を3断片連結することにより、真核生物シグナルペプチドをさらに含む構築物pCep-SP-EK-Fc*(図4C、配列番号:107に記載のヌクレオチド配列、配列番号:108に記載のアミノ酸配列)を作製した。
【0267】
B. 融合タンパク質の大量産生:
様々な融合タンパク質を大量産生するため、製造業者の推奨に従ってリポフェクタミン(Lipofectamine)2000試薬(Invitrogen Corporation;カリフォルニア州、カールズバッド)を使用し、293-EBNA細胞(Invitrogen)に様々なpCep発現プラスミドをトランスフェクションした。トランスフェクションしてから24〜36時間後に、10% FCSを添加したDMEM中のピューロマイシン選択(1μg/ml)下で、細胞を1対3比に分割した。次に、耐性細胞を選択培地中で拡大した。融合タンパク質を回収するため、耐性細胞集団をポリ-L-リジンでコーティングしたディッシュ上に継代した。細胞がコンフルエントに達すると、細胞をPBSで2回洗浄し、プレートに無血清培地(DMEM)を添加した。最長で1ヶ月の期間、2〜4日ごとに組織培養上清を回収し、新鮮なDMEM培地と置換した。回収した上清は4℃で保存した。
【0268】
C. 融合タンパク質の精製:
プロテインAセファロースCL-4B(Amercham Pharmacia Biotech AG)を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより、組換えFc融合タンパク質を精製した。簡潔に説明すると、クロマトグラフィーカラムに1〜3 mlのプロテインA樹脂を充填し、蠕動ポンプを用いて流速0.5〜1.5 ml/分で組換えタンパク質を含む培養上清をカラムに供試した。次に、カラムをPBS 20〜50 mlで洗浄した。融合タンパク質に応じて、カラム上でプロテアーゼ切断を行うか、または以下のようにタンパク質を溶出した。150 mM NaClを添加したクエン酸/リン酸緩衝液(pH 3.8)で組換え融合タンパク質を溶出し、タンパク質を含む画分をプールし、ウルトラフリー遠心フィルター(Millipore Corporation;マサチューセッツ州、ベッドフォード)を用いて濃縮した。
【0269】
D. 組換え融合タンパク質のプロテアーゼ切断(ファクターXa、エンテロキナーゼ):
エンテロキナーゼ(EK)切断部位を含む溶出した組換え融合タンパク質を、製造業者の推奨に従ってEKmaxシステム(Invitrogen)を使用し切断した。プロテインAとインキュベートすることにより、融合タンパク質の切断されたFc部分を除去した。次に、EK-Awayシステム(Invitrogen Corporation;カリフォルニア州、カールズバッド)を用いて製造業者の推奨に従って、エンテロキナーゼを除去した。同様に、制限プロテアーゼファクターXa切断および除去キット(Roche)を製造業者の推奨に従って使用し、ファクターXa(Xa)切断部位を含む融合タンパク質を切断した。プロテインAとインキュベートすることにより切断されたFc部分を除去し、キットにより供給されるストレプトアビジン樹脂を用いてプロテアーゼを除去した。
【0270】
ウルトラフリー遠心フィルター(Millipore Corporation;マサチューセッツ州、ベッドフォード)を用いて様々な融合タンパク質を濃縮し、UV分光光度測定により定量し、次のカップリング反応に使用した。
【0271】
図4A〜4Cは、用いた様々な真核生物発現ベクターの部分的配列を示す。改変した配列のみを示す。
【0272】
図4A:pCep-Xa-Fc*
Bam HI部位から前方の配列を示し、翻訳した配列の上に様々な特徴を示す(配列番号:103および配列番号:104)。矢印は、ファクターXaプロテアーゼの切断部位を示す。
【0273】
図4B:pCep-EK-Fc*
Bam HI部位から前方の配列を示し、翻訳した配列の上に様々な特徴を示す(配列番号:105および配列番号:106)。矢印は、エンテロキナーゼの切断部位を示す。Hind III部位の下流の配列は、図4Aに示した配列と同一である。
【0274】
図4C:pCep-SP-EK-Fc*
シグナルペプチドの先頭からの配列を示し、翻訳した配列の上に様々な特徴を示す(配列番号:107および配列番号:108)。シグナルペプチダーゼによって切断されるシグナルペプチド配列を、太字で示す。矢印は、エンテロキナーゼの切断部位を示す。Hind III部位の下流の配列は、図4Aに示した配列と同一である。
【0275】
実施例5:
マウスレジスチンの真核生物発現およびAP205 VLPへのカップリング
A. マウスレジスチンのクローニング:
製造業者の推奨に従ってQiagen RNeasyキットを使用し、マウス脂肪組織60 mgから全RNAを単離した。40μl H2O中にRNAを溶出した。次に、ThermoScript(商標)RT-PCRシステム(Invitrogen Corporation;カリフォルニア州、カールズバッド)を製造業者の推奨に従って使用し、この全RNAをオリゴdTプライマーを用いる逆転写に使用した。試料を50℃で1時間インキュベートし、85℃で5分間加熱し、RNAseHで37℃にて20分間処理した。
【0276】
RT反応物2μlをマウスレジスチンのPCR増幅に用いた。製造業者の推奨に従ってプラチナTAQ(Invitrogen Corporation;カリフォルニア州、カールズバッド)使用し、プライマーPH19およびPH20を用いてPCRを行った。プライマーPH19はマウスレジスチン配列の位置58〜77に、プライマーPH20は位置454〜435に相当する。まずPCR混合物を94℃で2分間変性し、その後以下のように35サイクルを行い:94℃で30秒、56℃で30秒、および72℃で1分、最後に試料を72℃で10分間置いた。PCR断片を精製し、TAクローニング法によりpGEMTeasyベクター(Invitrogen Corporation;カリフォルニア州、カールズバッド)にクローニングして、pGEMT-mResを得た。適切な制限酵素部位を付加するため、プライマーPH21およびPH22を用いて、上記と同じサイクルプログラムによりpGEMT-mResにおいて2回目のPCRを行った。フォワードプライマーPH21は、Bam HI部位およびマウスレジスチン配列のヌクレオチド81〜102を含む。リバースプライマーPH22は、Xba I部位およびマウスレジスチン配列のヌクレオチド426〜406を含む。示した位置は、マウスレジスチン配列遺伝子アクセッション番号AF323080を参照する。PCR産物を精製し、Bam HIおよびXba Iで消化し、Bam HIおよびXba Iで消化したpcmv-Fc*-C1にサブクローニングし、構築物pcmv-mRes-Fc*を得た。
【0277】
Bam HI/XbaI消化によりpcmv-mRes-Fc*からレジスチンのオープンリーディングフレームを切り出し、Bam HIおよびNhe Iで消化したpCep-Xa-Fc*およびpCep-EK-Fc*(実施例4、B項を参照のこと)にクローニングし、それぞれ構築物pCep-mRes-Xa-Fc*およびpCep-mRes-EK-Fc*を得た。
【0278】
B. レジスチンの産生、精製、および切断
組換えタンパク質を産生するため、実施例4、B項に記載するように、次にpCep-mRes-Xa-Fc*およびpCep-mRes-EK-Fc*構築物を用いて293-EBNA細胞をトランスフェクションした。実施例4、C項に記載するように、組織培養上清を精製した。続いて、実施例4、D項に記載するように、精製したタンパク質を切断した。得られた組換えタンパク質を、用いたベクターに従って「レジスチン-C-Xa」または「Res-C-Xa」および「レジスチン-C-EK」または「Res-C-EK」と命名した。SDS-PAGEにより精製したタンパク質を解析した。精製レジスチン-C-EKおよび精製レジスチン-C-Xaに相当するバンドが、ゲル上で明確に視認できた。
【0279】
配列番号:109、配列番号:110、配列番号:111、および配列番号:112は、発現に用いた前駆型組換えマウスレジスチンタンパク質の配列を示す。カップリングに使用したプロセシングされた組換えマウスレジスチン、すなわちRes-C-XaおよびRes-C-EKは、国際公開公報第02/056905号の図2Aおよび2Bに示されている。タンパク質分泌の際にシグナルペプチダーゼによって切断されるレジスチンシグナル配列は、イタリック体で示されている。シグナルペプチダーゼおよび特定のプロテアーゼ(ファクターXaまたはエンテロキナーゼ)切断によって生じるアミノ酸配列は、太字で示されている。
【0280】
C. レジスチン-C-Xaおよびレジスチン-C-EKのAP205 VLPへのカップリング
20 mM Hepes、150 mM NaCl pH 7.4に溶解した2 mg/ml AP205 VLPの溶液0.2 mlを、DMSOに溶解した100 mM SMPH(Pierce)溶液5.6μlと、ロッキングシェーカーにおいて25℃で30分間反応させる。次に、反応溶液を1 Lの20 mM Hepes、150 mM NaCl、pH 7.4に対して4℃で2時間、2回透析する。続いて、透析したAP205キャプシドタンパク質反応混合液8μlをレジスチン-C-Xa溶液32μlと(0.39 mg/mlのレジスチン最終濃度となる)、およびAP205キャプシドタンパク質反応混合液13μlをレジスチン-C-EK溶液27μlと(0.67 mg/mlのレジスチン最終濃度となる)、ロッキングシェーカーにおいて25℃で4時間反応させる。SDS-PAGE法およびウェスタンブロット法により、還元条件下でカップリング生成物を解析する。
【0281】
実施例6:
マウスリンホトキシンβ構築物の発現、精製、およびAP205 VLPへのカップリング
A. マウスリンホトキシンβのcys含有リンカーの導入、発現、および精製
マウスリンホトキシンβ(LT-β)の細胞外部分を、組換えによりそのN末端にCGGアミノ酸リンカーを付加して発現させた。リンカーは、VLPにカップリングするためのシステイン1個を含んだ。精製のため、長い(aa 49〜306)および短い(aa 126〜306)型のタンパク質を、そのN末端でグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)またはヒスチジン-mycタグに融合した。タグの切断のため、エンテロキナーゼ(EK)切断部位を挿入した。
【0282】
C-LT-β49-306およびC-LT-β126-306の構築
オリゴ5'LT-βおよび3'LT-βを用いてPCRすることにより、pFB-LIBに挿入されたマウス脾臓cDNAライブラリーからマウスLT-β49-306を増幅した。PCR反応では、50μl反応混合液(PFXプラチナポリメラーゼ1単位、0.3 mM dNTP、および2 mM MgSO4)中に、各プライマー0.5μgおよび鋳型DNA 200 ngを用いた。温度サイクルは以下のとおりである:94℃で2分間、次に94℃(15秒)、68℃(30秒)、68℃(1分)の25サイクル、その後68℃で10分間。T4キナーゼによりPCR産物をリン酸化し、EcoRVで切断し脱リン酸したpEntry1A(Life technologies)に連結した。得られたプラスミドを、pEntry1A-LT-β49-306と命名した。
【0283】
pEntry1A-LT-β49-306を鋳型として使用し、オリゴ5'LT-β長-NheIおよび3'LT-β終止-NotI、オリゴ5'LT-β短-NheIおよび3'LT-β終止-NotIをそれぞれ用いて、2回目のPCRを行った。オリゴ5'LT-β長-NheIおよび5'LT-β短-NheIは、内部にNheI部位を有しCys-Gly-Glyリンカーのコドンを含み、3'LT-β終止-NotIは内部にNotI部位を有し終止コドンを含んだ。2回目のPCR反応では、50μl反応混合液(PFXプラチナポリメラーゼ1単位、0.3 mM dNTP、および2 mM MgSO4)中に、各プライマー0.5μgおよび鋳型DNA 150 ngを用いた。温度サイクルは以下のとおりである:94℃で2分間、次に94℃(15秒)、50℃(30秒)、68℃(1分)の5サイクル、続いて94℃(15秒)、64℃(30秒)、68℃(1分)の20サイクル、その後68℃で10分間。
【0284】
PCR産物をNheIおよびNotIで消化し、pCEP-SP-GST-EKまたはpCEP-SP-his-myc-EK(Wuttkeら、J. Biol. Chem. 276:36839-48 (2001))に挿入した。得られたプラスミドを、それぞれpCEP-SP-GST-EK-C-LT-β49-306、pCEP-SP-GST-EK-C-LT-β126-306、pCEP-SP-his-myc-EK-C-LT-β49-306、pCEP-SP-his-myc-EK-C-LT-β126-306と命名した。GSTはグルタチオン-S-トランスフェラーゼを、EKはエンテロキナーゼを、hisはヘキサヒスチジンタグを、mycは抗c-mycエピトープを表す。Cは、付加的なシステインを含むCGGリンカーを示す。
【0285】
他の段階はすべて、標準的な分子生物学的手順によって行った。
【0286】
オリゴヌクレオチドの配列:

【0287】
B. GST-EK-C-LT-β49-306、GST-EK-C-LT-β126-306、his-myc-EK-C-LT-β49-306、およびhis-myc-EK-C-LT-β126-306の発現および産生
タンパク質を産生させるため、実施例4に記載したように、プラスミドpCEP-SP-GST-EK-C-LT-β49-306、pCEP-SP-GST-EK-C-LT-β126-306、pCEP-SP-his-myc-EK-C-LT-β49-306、およびpCEP-SP-his-myc-EK-C-LT-β126-306を293-EBNA細胞(Invitrogen)にトランスフェクションした。得られたタンパク質を、GST-EK-C-LT-β49-306、GST-EK-C-LT-β126-306、his-myc-EK-C-LT-β49-306、およびhis-myc-EK-C-LT-β126-306と命名した。LT-β融合タンパク質のタンパク質配列は、cDNA配列から翻訳された:
GST-EK-C-LT-β49-306GST-EK-C-LT-β126-306
his-myc-EK-C-LT-β49-306
his-myc-EK-C-LT-β126-306
【0288】
12% SDS-PAGEゲルで、還元条件下で融合タンパク質を解析した。ゲルをニトロセルロース膜にブロッティングした。膜をブロッキングし、モノクローナルマウス抗myc抗体または抗GST抗体と共にインキュベートした。次に、ブロットを西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgGまたは西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヤギIgGと共にインキュベートした。LT-β融合タンパク質の発現が示された。12% SDS-PAGEゲルで、還元条件下でLT-β融合タンパク質を解析した。ゲルをニトロセルロース膜にブロッティングした。膜をブロッキングし、モノクローナルマウス抗myc抗体(1:2000希釈)または抗GST抗体(1:2000希釈)と共にインキュベートした。次に、ブロットを西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(1:4000希釈)または西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヤギIgG(1:4000希釈)と共にインキュベートした。抗GST抗体により、GST-EK-C-LT-β49-306およびGST-EK-C-LT-β126-306が、それぞれ分子量62 kDaおよび48 kDaに検出された。抗myc抗体により、his-myc-EK-C-LT-β49-306およびhis-myc-EK-C-LT-β126-306が、それぞれ分子量40〜56 kDaおよび33〜39 kDaに検出された。
【0289】
C. GST-EK-C-LT-β49-306、GST-EK-C-LT-β126-306、his-myc-EK-C-LT-β49-306、およびhis-myc-EK-C-LT-β126-306の精製
標準的な精製手順により、GST-EK-C-LT-β49-306およびGST-EK-C-LT-β126-306はグルタチオン-セファロースカラムで精製し、his-myc-EK-C-LT-β49-306およびhis-myc-EK-C-LT-β126-306はNi-NTAセファロースカラムで精製する。精製したタンパク質をエンテロキナーゼで切断し、還元条件下で16% SDS-PAGEゲルにおいて解析する。
【0290】
D. C-LT-β49-306およびC-LT-β126-306のAP205 VLPへのカップリング
20 mM Hepes、150 mM NaCl pH 7.2に溶解した120μM AP205 VLP溶液を、DMSOに溶解した保存液から希釈した25倍モル濃度過剰のSMPH(Pierce)と、ロッキングシェーカーにおいて25℃で30分間反応させる。次に、反応溶液を1 Lの20 mM Hepes、150 mM NaCl、pH 7.2に対して4℃で2時間、2回透析する。続いて、透析したAP205 VLP反応混合液をC-LT-β49-306およびC-LT-β126-306溶液と、ロッキングシェーカーにおいて25℃で4時間反応させる(最終濃度:60μM AP205 VLP、60μM C-LT-β49-306および-LT-β126-306)。SDS-PAGE法およびウェスタンブロット法により、還元条件下でカップリング生成物を解析する。
【0291】
実施例7:
MIFのクローニング、発現、精製、およびAP205 VLPのMIFへのカップリング
A. ラットマクロファージ遊走阻止因子MIFのCys含有リンカーの導入、発現、精製
ラットマクロファージ遊走阻止因子(rMIF)を、組換えによりそのC末端に3つの異なるアミノ酸リンカーC1、C2、およびC3を融合して発現させた。リンカーはそれぞれ、VLPにカップリングするためのシステイン1個を含んだ。
【0292】
rMIF-C1、rMIF-C2、およびrMIF-C3の構築
NdeI部位からXhoI部位までの元の配列をアニールしたオリゴプライマーMCS-1FおよびMCS-1R(15 mMトリスHCl pH 8緩衝液中でアニーリング)に置換することにより、pET22b(+)(Novagen, Inc.)のMCSを

に変換した。得られたプラスミドをpMod00と命名したが、これはそのMCS内にNdeI、BamHI、NheI、XhoI、PmeI、およびNotI制限酵素部位を有した。オリゴBamhis6-EK-Nhe-FおよびBamhis6-EKNhe-Rのアニールした対ならびオリゴ1F-C-グリシン-リンカーおよび1R-C-グリシン-リンカーのアニールした対を、BamHI-NotIで消化したpMod00プラスミドに共に連結し、N末端にヘキサヒスチジンタグ、エンテロキナーゼ切断部位、およびC末端にシステイン残基1個を含むアミノ酸グリシンリンカーを有するpModEC1を得た。オリゴBamhis6-EK-Nhe-FおよびBamhi6-EKNhe Rのアニールした対をオリゴ1F-C-γ1-リンカーおよび1R-C-γ1-リンカーのアニールした対と共に、BamHI-NotIで消化したpMod00プラスミドに連結し、N末端にヘキサヒスチジンタグ、エンテロキナーゼ切断部位、およびC末端にヒト免疫グロブリンγ1のヒンジ領域に由来するシステイン残基1個を含むγ1リンカーを有するpModEC2を得た。オリゴBamhis6-EK-Nhe-FおよびBamhis6-EK-Nhe-Rのアニールした対、オリゴ1FA-C-γ3-リンカーおよびオリゴ1RA-C-γ3-リンカーのアニールした対、ならびにオリゴ1FB-C-γ3-リンカーおよびオリゴ1RB-C-γ3-リンカーのアニールした対を、BamHI-NotIで消化したpMod00に共に連結し、N末端にヘキサヒスチジンタグ、エンテロキナーゼ切断部位、およびC末端にマウス免疫グロブリンγ3のヒンジ領域に由来するシステイン残基1個を含むγ3リンカーを有するpModEC3を得た。
【0293】
ラットMIF cDNAを含むpBS-rMIFを、オリゴrMIF-FおよびrMIF-Xho-Rを用いてPCRにより増幅した。rMIF-Fは内部にNdeI部位を、rMIF-Xho-Rは内部にXhoI部位を有した。PCR産物をNdeIおよびXhoIで消化し、同じ酵素で消化したpModEC1、pModEC2、およびpModEC3に連結した。得られたプラスミドを、それぞれpMOD-rMIF-C1、pMOD-rMIF-C2、およびpMOD-rMIF-C3と命名した。
【0294】
PCR反応では、50μl反応混合液(PFXポリメラーゼ2単位、0.3 mM dNTP、および2 mM MgSO4)中に、各オリゴ15 pmolおよび鋳型DNA 1 ngを用いた。温度サイクルは以下のとおりである:94℃で2分間、次に94℃(30秒)、60℃(30秒)、68℃(30秒)の30サイクル、その後68℃で2分間。
【0295】
他の段階はすべて、標準的な分子生物学的手順によって行った。
【0296】
オリゴヌクレオチドの配列:


【0297】
rMIF-Cの発現および精製
コンピテント大腸菌BL21(DE3)細胞を、プラスミドpMOD-rMIF-C1、pMOD-rMIF-C2、およびpMOD-rMIF-C3で形質転換した。アンピシリン(Amp)含有アガープレートからの単一コロニーを液体培養(150mM MOPS、pH 7.0、200ug/ml Amp、0.5%グルコースを添加したSB)中に拡大し、220 rpmで振盪しながら30℃で一晩インキュベートした。次に1 lのSB(150mM MOPS、pH 7.0、200ug/ml Amp)に一晩培養物を1:50 v/vで播種し、OD600=2.5になるまで30℃で培養した。2 mM IPTGで発現を誘導した。一晩培養してから細胞を回収し、6000 rpmで遠心分離した。細胞ペレットを0.8 mg/mlリゾチームを添加した溶解緩衝液(10 mM Na2HPO4、30mM NaCl、10 mM EDTA、および0.25%ツィーン-20)中に懸濁し、超音波処理し、ベンゾナーゼで処理した。次に、溶解液2 mlを20 ml Q XL-カラムおよび20 ml SP XL-カラムに供した。タンパク質rMIF-C1、rMIF-C2、およびrMIF-C3は、素通り画分に存在した。
【0298】
rMIF-Cのタンパク質配列は、cDNA配列から翻訳された:

【0299】
図5Aは、システイン残基を含むアミノ酸リンカーが付加されたMIF構築物の略図を示す。MIFは、ヒトMIF(配列番号:119)、ラットMIF(配列番号:120)、またはマウスMIF(配列番号:121)を含むがこれらに限定されない任意の哺乳動物のタンパク質であってよい。C末端アミノ酸リンカーC1、C2、またはC3を含むヒトMIFの配列を配列番号:122〜124に示す。図5Bは、還元条件下で泳動しクマシーブリリアントブルーで染色した、精製MIF構築物のSDS-PAGE解析を示す。ゲルに供したのは、図5Aに示した精製ラット構築物rMIF-C1(配列番号:114)、rMIF-C2(配列番号:115)、およびrMIF-C3(配列番号:117)である。
【0300】
実施例8:
RANKLのクローニング、発現、精製、およびカップリング
A. マウスRANKLのシステイン残基を含むアミノ酸リンカーの導入、発現、および精製
破骨細胞分化因子、オステオプロテジェリンリガンド、および腫瘍壊死因子関連活性化誘導サイトカインとも称される核因子κb活性化受容体リガンド(RANKL)の断片を、VLPにカップリングするためのシステイン1個を含むN末端リンカーを付加して組換えにより発現させた。
【0301】
発現プラスミドの構築
RANKL遺伝子のC末端コード領域を、オリゴRANKL-UPおよびRANKL-DOWNを用いてPCRすることにより増幅した。RANKL-UPは内部にApaI部位を有し、RANKL-DOWNは内部にXhoI部位を有した。PCR産物をApaIおよびXhoIで消化し、pGEX-6p1(Amersham Pharmacia)に連結した。得られたプラスミドを、pGEX-RANKLと命名した。どの段階も標準的な分子生物学的手順によって行い、配列を確認した。プラスミドpGEX-RANKLは、グルタチオンS-トランスフェラーゼ-プレシジョン(Prescission)切断部位-システイン含有アミノ酸リンカー-RANKL(GST-PS-C-RANKL)をコードする。システイン含有アミノ酸リンカーは、配列GCGGGを有した。構築物はまた、システイン含有アミノ酸リンカーとRANKL配列の間にヘキサヒスチジンタグを含む。
【0302】
オリゴ:

【0303】
GST-PS-C-RANKLのタンパク質配列およびGST-PS-C-RANKLのcDNA配列
【0304】
C-RANKLの発現および精製
コンピテント大腸菌BL21(DE3)細胞を、プラスミドpGEX-RANKLで形質転換した。カナマイシンおよびクロラムフェニコール含有アガープレートからの単一コロニーを液体培養(LB培地、30μg/mlカナマイシン、50μg/mlクロラムフェニコール)中に拡大し、220 rpmで振盪しながら30℃で一晩インキュベートした。次に1 lのLB(30 ug/mlカナマイシンを添加)に一晩培養物を1:100 v/vで播種し、OD600=1になるまで24℃で培養した。0.4 mM IPTGで発現を誘導した。16時間培養してから細胞を回収し、5000 rpmで遠心分離した。細胞ペレットを溶解緩衝液(50 mMトリス-HCl、pH=8.0;25%ショ糖;1 mM EDTA、1% NaN3;10 mM DTT;5 mM MgCl2;1 mg/mlリゾチーム;0.4 u/ml DNAse)中に懸濁し、30分置いた。続いて、2.5倍量の緩衝液A(50 mMトリス-HCl、pH=8.0;1%トライトンX100;100mM NaCl;0.1% NaN3;10 mM DTT;1 mM PMSF)を添加し、37℃で15分間インキュベートした。細胞を超音波処理し、9000 rpmで15分間沈殿させた。上清を直ちにGSTアフィニティークロマトグラフィーに使用した。
【0305】
5 mlのカラムGST-Trap FF(Amercham Pharmacia)をPBS、pH 7.3(140 mM NaCl、2.7 mM KCl、10mM Na2HPO4、1.8 mM KH2PO4)で平衡化した。上清を5 ml GST-Trap FFカラムに供し、続いてカラムを5カラム容量のPBSですすいだ。GSH 10 mMを含む50 mMトリス-HCl、pH=8.0でタンパク質GST-PS-C-RANKLを溶出した。
【0306】
プロテアーゼプレシジョン(Amercham Pharmacia)を用いて、精製したGST-PS-C-RANKLを消化した。消化は、GST-PS-C-RANKLとプレシジョンのモル比500/1を用いて37℃で1時間行った。
【0307】
さらに、HiPrep 26/10脱塩カラム(Amercham Pharmacia)を用いてプロテアーゼ消化反応の緩衝液を交換し、タンパク質を含む画分をプールし、直ちに先に報告したのと同じ条件により別の段階のGSTアフィニティークロマトグラフィーに使用した。C-RANKLの精製をSDS-PAGEゲルで解析した。ゲルをクマシーブリリアントブルーで染色した。切断されていないGST-PS-C-RANKL、切断されたGST-PS、およびプレシジョンはカラムに結合したままであるのに対して、切断されたC-RANKLは素通り画分(非結合画分)に存在する。予想される大きさ22 kDaのC-RANKLタンパク質が高精度で得られた。
【0308】
ゲルに泳動した試料は以下のとおりであった:
レーン1:低分子量マーカー。レーン2および3:空ベクターpGEX6p1およびpGEX-RANKLそれぞれで形質転換し、IPTG 0.4 mMで16時間誘導した後のBL21/DE3細胞の細胞溶解液。レーン4:GST-Trap FFカラム後の精製されたGST-PS-C-RANKL。レーン5:GST-Trap FFカラムの非結合画分。レーン6:プレシジョンプロテアーゼによる切断後の精製されたGST-PS-C-RANKL。レーン7:精製C-RANKLを含む、GST-RANKL消化物を供したGST-Trap FFカラムの非結合画分。レーン8:GST-PS-C-RANKL消化物を供しGSHで溶出したGST-Trap FFカラムの結合画分。
【0309】
B. C-RANKLのAP205 VLPへのカップリング
20 mM Hepes、150 mM NaCl pH 7.2に溶解した120μM AP205 VLP溶液を、DMSOに溶解した保存液から希釈した25倍モル濃度過剰のSMPH(Pierce)と、ロッキングシェーカーにおいて25℃で30分間反応させる。次に、反応溶液を1 Lの20 mM Hepes、150 mM NaCl、pH 7.2に対して4℃で2時間、2回透析する。続いて、透析したAP205 VLP反応混合液をC-RANKL溶液と、ロッキングシェーカーにおいて25℃で4時間反応させる(最終濃度:60μM AP205 VLP、60μM C-RANKL)。SDS-PAGE法およびウェスタンブロット法により、還元条件下でカップリング生成物を解析する。
【0310】
実施例9:
システイン残基を含むN末端アミノ酸リンカーを有するIL-5のクローニング、発現、および精製。VLPへのカップリングおよびマウスにおける免疫反応の誘発。
A. マウスHis-C-IL-5のクローニングおよび大腸菌での封入体としての発現
以下の2つのプライマー:SPeリンカー3-F1(配列番号:90)およびIl5終止Xho-R(配列番号:91)を用いてPCRすることにより、ATCCクローン(pmIL-5-4G;ATCC番号:37562)からIL-5を増幅した。このPCRの産物を鋳型として、プライマーSpeNリンカー3-F2(配列番号:92)およびIl-5終止Xho-Rと共に2回目のPCRに用いた。挿入断片をSpeIおよびNotIで消化した。この挿入断片を予めNheIおよびNotIで消化しておいたpETベクター派生物(pMODEC3-8ベクター)に連結し、大腸菌TG1細胞に形質転換した。pMODEC3-8にIL-5をクローニングすることにより作製した構築物は、N末端側から、ヘキサヒスチジンタグ(精製を容易にするため)、エンテロキナーゼ切断部位、システイン残基を含むγ3由来アミノ酸リンカー(N末端にアミノ酸ALVが、C末端にASが隣接している)、および成熟型IL-5タンパク質をコードするDNAを含む。DNA配列決定により、クローニング手順の忠実度を確認した。エンテロキナーゼによる切断によって放出されるタンパク質を、「マウスC-IL-5-E」と称する。
【0311】
上記のIL-5を含む構築物をpMODC6-IL5.2と命名したが(pMODC6-IL-5とも称する)、これを大腸菌株BL21-DE3に形質転換した。大腸菌で発現される組換えタンパク質をHis-C-IL-5と称する。
【0312】
pMODC6-IL5を有するクローンBL21-DE3細胞を、1 mg/Lアンピシリンを含むLB 5 ml中で一晩培養した。この培養物の2.0 ml分割量を、1 mg/ Lアンピシリンを含むテリフィックブロス(TB) 100 mlに希釈した。吸光度、OD600nmが0.7〜1.0になるまで培養物を培養し、イソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)の1.0 M保存液を0.1 ml添加することにより発現を4時間誘導した。2時間ごとに試料を採取した。組換えHis-C-IL5は不溶型として発現し、誘導した細胞の封入体画分に位置した。His-C-IL5の発現は以下の方法により確認した。誘導から4時間後に培養物の試料10 mlを採取し、4000 x gで10分間遠心分離した。50 mMトリス-HCl、2 mM EDTA、0.1%トライトンX-100(pH 8.0)からなる溶解緩衝液0.5 mlに、ペレットを懸濁した。懸濁液にリゾチーム(40 mg/ml)を20μl添加し、30分後、4℃で2分間超音波処理した。1.0 ml分割量のベンゾナーゼおよび100μl分割量の50 mM MgCl2を添加し、室温で30分間インキュベートした。13000 x gで15分間遠心分離した後、上清を除去し、ペレットをSDS添加緩衝液100μl中で98℃で5分間加熱した。次に、10μl分割量をSDS-PAGEにより還元条件下で解析した。SDS-PAGE解析により、IL-5の質量に相当する17 kDのタンパク質バンドが示された。対照として、pMODC6-IL-5を含むBL-21-DE2細胞をIPTGの非存在下で培養し、上記のように不溶性細胞画分から抽出物を調製した。
【0313】
B. マウス-His-C-IL5の精製および再折りたたみ
ワクチン生成用に十分量の純粋なIL-5を得るため、pMODC6-IL5を含むクローンBL21-DE3細胞からのIL-5の大量発現を行った。一晩培養物を培養し、1.0 mg/Lアンピシリンを含む100 mlまたは1 L量のTB培地に希釈した。このようにして全部で3リットルの培養物を調製し、OD600nmが0.7に到達するまで37℃で培養し、到達した時点でIPTGを最終濃度1.0 mMになるように添加した。4時間インキュベートした後、10 000 x gで30分間遠心分離して細胞を回収した。回収した後、ペレットをPBS中に再懸濁し(5.0 ml/g湿重量)、10 000 x gで15分間遠心分離した。洗浄したペレットを、次に使用するまで-20℃で保存した。
【0314】
Dounceホモジナイザーを用いて、細菌ペレットをPBS中に懸濁した(2.0 ml/g細胞湿重量)。懸濁液にリゾチーム(0.8 mg/ml)を添加し、室温で30分間インキュベートした。懸濁液を氷上で1分間3回超音波処理し、その後ベンゾナーゼおよびMgCl2(最終濃度10 mM)を添加し、室温で30分間インキュベートした。トライトンX-100を最終濃度1%(w/v)になるよう添加し、混合液を室温で30分間穏やかに撹拌した。溶液を20 000 x gで20分間遠心分離し(SS34チューブ)、上清を除去した。Dounceホモジナイザーを用いて、封入体を含むペレットを洗浄緩衝液(2M尿素および1%(w/v)トライトンX-100を含むPBS)中に懸濁し(5.0 ml/g湿重量)、5分間撹拌した。溶液を20 000 x gで20分間遠心分離し、上清を除去した。上記のようにさらに2回、ペレットを洗浄し遠心分離した。封入体の最終洗浄は、トライトンX-100を含まない洗浄緩衝液で行った。
【0315】
ペレットの封入体中に存在するHis-C-IL-5を変性緩衝液(100 mM NaH2PO4、10 mMトリス-HCl、6.0 Mグアニジン塩酸、pH 8.0)中で可溶化し(5.0 ml/g細胞湿重量)、25℃で1時間穏やかに撹拌した。懸濁液を20 000 x gで20分間遠心分離し、上清をNi-NTA樹脂(QIAgen、可溶化緩衝液で平衡化)と混合した。4℃で3時間穏やかに撹拌した後、スラリーをガラスカラム(C10/10)に注ぎ、100 mlの100 mM NaH2PO4、10 mMトリス、6.0 Mグアニジン塩酸(pH 6.3)で樹脂を洗浄した。さらなる洗浄段階は、15 mlの100 mM NaH2PO4、10 mMトリス、6.0 Mグアニジン塩酸(pH 5.9)で行った。20 mlの100 mM NaH2PO4、10 mMトリス、6.0 Mグアニジン塩酸(pH 4.5)を添加することにより、樹脂からマウス-His-C-IL5を溶出した。SDS-PAGEにより精製を解析した。
【0316】
His-C-IL-5を含む溶出段階の画分をプールし、10 k Daカットオフ膜を使用して、8.0 M尿素、100 mM NaH2PO4、10 mMトリス-HCl(pH 8.0)からなる緩衝液に対して4℃で透析した。透析後、以下の式を用いて分光測定によりタンパク質濃度を決定した;タンパク質(mg/ml)= (1.55 x A280nm)-(0.76 x A260nm)。タンパク質濃度が0.2 mg/mlになるように、透析緩衝液で希釈した。次に、3.5 kDa膜を使用して、溶液を2.0 M尿素、50 mM NaH2PO4、5 mM還元グルタチオン、0.5 mM酸化型グルタチオン、0.5 Mアルギニン、10%(v/v)グリセロール(pH 8.5)からなる折りたたみ緩衝液1に対して4℃で24時間透析し、50 mM NaH2PO4、5 mM還元グルタチオン、0.5 mM酸化型グルタチオン、0.5 Mアルギニン、10%(v/v)グリセロール(pH 8.5)からなる別の折りたたみ緩衝液2に対してさらに24時間透析した。最後にタンパク質をPBS pH 8.0に対して4℃で24時間透析し、その後10 000 x gで30分間遠心分離した。上清のタンパク質含量を、ブラッドフォードアッセイ法により測定した。
【0317】
さらにHis-C-IL-5を精製するため、Hitrap Q樹脂(Amersham Pharmacia、スウェーデン、ウプサラ)を用いた陰イオン交換を行った。遠心フィルター(ウルトラフリー-15 Millipore、10 kDaカットオフ)を用いてHis-C-IL5を1mg/mlまで濃縮し、50 mMリン酸緩衝液pH8.4に対して14時間透析した。溶液をHitrap Qカラムに供し、50 mMリン酸pH8.4緩衝液で洗浄した。0〜1 MのNaCl勾配を添加することにより、カラムからHis-C-IL-5を溶出した。His-C-IL5は、100 mM NaClでカラムから溶出された。SDS-PAGE法により精製の解析を行い、ブラッドフォードアッセイ法により濃度を測定した。非還元条件下で行ったSDS-PAGEによりタンパク質の四次元構造を評価し、これによりHis-C-IL5が標品中に二量体として存在することが明らかになった。
【0318】
C. ワクチンの生成:His-C-IL5のAP205 VLPへのカップリング
カップリング反応の効率を最適化するために、様々な条件を試験することができる。これには、His-C-IL5への還元剤(TCEP)の添加、およびカップリング反応におけるAP205 VLPサブユニット単量体とHis-C-IL5のモル比の変更が含まれる。AP205-His-C-IL-5ワクチンは以下のように生成する。精製したHis-C-IL-5(40μM)を、PBS pH 8.0に溶解した等モル量のTCEPを用いて1時間還元する。還元したIL-5(20μM)を、全量700μl中、SMPHで誘導体化した10μM QBと共に22℃で4時間インキュベートする。300 kDaカットオフ透析膜を用いて、反応液をPBS pH 8.0に対して12時間透析する。SDS-PAGE法および抗Hisおよび抗AP205抗体(ポリクローナルウサギ抗血清)を用いたウェスタンブロット法により、カップリング反応を解析する。ブラッドフォード法により、タンパク質濃度を測定する。クマシーブリリアントブルーで染色したSDS-PAGEの対応するバンドの濃度測定解析により、カップリング効率[すなわち、モルQB-IL5/モルQB単量体(全体)]を測定する。
【0319】
D. IL-5活性のアッセイ法
B細胞リンパ腫株BCL1がマウスIL-5に応答して増殖する能力を用いて、再折りたたみした組換えHis-C-IL-5の生物活性を確認した(Harriman G.R. (1991) Current Protocols in Immunology 6.5.1-6.5.5 John Wiley and Sons Inc)。AP205 VLPに共有結合したHis-C-IL5の増殖活性も評価することができる。組換えマウスIL-5(R&D systems、米国、ミネアポリス)を対照として用いた。平底96ウェルプレートで、様々な型の組換えIL-5をウェル当たり2 x 104個BCL1細胞と混合し、37℃、5% CO2で24時間インキュベートした。1μCi 3H-チミジン(Hartmann Analytic、スイス)を各ウェルに添加し、プレートを37℃、5% CO2でさらに6時間インキュベートした。細胞を回収して洗浄し、液体シンチレーションカウンターでβ放射を計測することによりチミジンの取り込みを測定した。アッセイ法から、His-C-IL5に活性があることが実証される。
【0320】
E. 免疫手順
マウスIL-5に対する自己反応性抗体を産生させるため、4匹のBalbCマウスに、PBS 200μlに溶解したAP205-His-C-IL5ワクチン25μgを0日目および14日目に皮下注射した。陰性対照として、5匹のマウスに、PBSに溶解した6.4μg AP205 VLPおよび16μg IL5の単純混合物、すなわち共有結合していない混合物(AP205 + His-C-IL-5)を0日目および14日目に免疫した。免疫前および免疫手順の21日目に、マウスから採血した。ELISA法により血清を解析した。
【0321】
F. 血清の解析
ELISA法
Maxisorp ELISAプレート(Nunc)に精製His-C-IL-5(3μg/ml)50μlを4℃で14時間コーティングする。プレートをPBSで3回洗浄し、PBSに溶解した2% BSAを用いて37℃で2時間ブロッキングし、次にPBSで2回洗浄する。PBSに溶解した2% BSA、0.1% FCSで5倍希釈した血清を添加し、室温で1時間インキュベートする。次にプレートをPBSで3回洗浄し、HRP標識抗マウスIgG(1:1000希釈)と共に室温で1時間インキュベートする。再度プレートをPBSで3回洗浄し、100μ/ウェルの発色溶液(0.0066 M NA2PO4、0.035 Mクエン酸、0.032% H2O2、0.4% 1,2-フェニレンジアミンジヒドロクロライド)を添加する。室温で5分間反応させた後、ウェル当たり50μlの5% H2SO4を用いてELISAを停止する。Spectramax分光光度計(Molecular Devices)で450 nmの吸光度を測定する。
【0322】
実施例10:
マウスプリオンタンパク質のクローニング、発現、およびカップリング
A. 切断型マウスプリオンタンパク質のシステイン残基を含むアミノ酸リンカーの導入、発現、および精製
切断型(aa 121〜230)のマウスプリオンタンパク質(mPrPtと称する)を、AP205 VLPにカップリングするためのGGGGCGアミノ酸リンカー(配列番号:55)をそのC末端に付加して組換えにより発現させた。精製のため、タンパク質をヒトFc断片のN末端に融合した。精製後に融合タンパク質のFc部分を切断するため、エンテロキナーゼ(EK)切断部位をEK切断部位の後ろに導入した。
【0323】
mPrPt-EK-Fc*の構築
プラスミドpBPCMVPrP-Fcを鋳型として使用し、プライマー5'PrP-BamHIおよび3'PrP-NheIを用いてPCRすることにより、マウスPrPtを増幅した。pBPCMVPrP-Fcは、マウスプリオンタンパク質の野生型配列を含んだ。5'Prp-BamHIは内部にBamHI部位を有しATGを含み、3'Prp-NheIは内部にNheI部位を有した。
【0324】
PCR反応では、50μl反応混合液(PFXプラチナポリメラーゼ1単位、0.3 mM dNTP、および2 mM MgSO4)中に、各プライマー0.5μgおよび鋳型DNA 200 ngを用いた。温度サイクルは以下のとおりである:94℃で2分間、次に94℃(15秒)、50℃(30秒)、68℃(45秒)の5サイクル、続いて94℃(15秒)、64℃(30秒)、68℃(45秒)の20サイクル、その後68℃で10分間。
【0325】
PCR産物をBamHIおよびNheIで消化し、GGGGCGリンカー配列(配列番号:55)をEK切断配列の5'末端に含むpCEP-SP-EK--Fc*に挿入した。得られたプラスミドを、pCEP-SP-mPrPt-EK-Fc*と命名した。
【0326】
他の段階はすべて、標準的な分子生物学的手順によって行った。
【0327】
オリゴ:

【0328】
mPrPt-EK-Fc*の発現および精製
プラスミドpCEP-SP-mPrPt-EK-Fc*を293-EBNA細胞(Invitrogen)にトランスフェクションし、実施例4に記載したようにプロテインA-セファロースカラムで精製した。切断後のmPrPtは、そのC末端にGGGGCGリンカーが付加された、配列番号:324に同定される配列を有する。精製した融合タンパク質mPrPt-EK-Fc*をエンテロキナーゼで切断し、エンテロキナーゼで切断する前および後のこのタンパク質を16% SDS-PAGEゲルで還元条件下で解析した。ゲルをクマシーブリリアントブルーで染色した。PrPt-EK-Fc*融合タンパク質は、50 kDaバンドとして検出された。そのC末端に融合されたGGGGCGアミノ酸リンカー(配列番号:55)を含む切断されたmPrPtタンパク質は、18〜25 kDaの間の幅広いバンドとして検出された。mPrPtの同一性は、ウェスタンブロッティングにより確認した(データは示さず)。したがって、AP205 VLPへのカップリングに用いるため、システイン残基を含むC末端アミノ酸リンカーを有するmPrPtを発現させ、精製することができた。
【0329】
ゲルに泳動した試料は以下のとおりであった:
レーン1:低分子量マーカー。レーン2:切断前のmPrPt-EK-Fc*。レーン3:切断後のmPrPt
【0330】
B. mPrPtのAP205 VLPへのカップリング
20 mM Hepes、150 mM NaCl pH 7.2に溶解した120μM AP205 VLP溶液を、DMSOに溶解した保存液から希釈した25倍モル濃度過剰のSMPH(Pierce)と、ロッキングシェーカーにおいて25℃で30分間反応させる。次に、反応溶液を1 Lの20 mM Hepes、150 mM NaCl、pH 7.2に対して4℃で2時間、2回透析する。続いて、透析したAP205 VLP反応混合液をmPrPt溶液と、ロッキングシェーカーにおいて25℃で4時間反応させる(最終濃度:60μM AP205 VLP、60μM mPrPt)。SDS-PAGE法およびウェスタンブロット法により、還元条件下でカップリング生成物を解析する。
【0331】
実施例11:
rMIFのAP205 VLPへのカップリング
20 mM Hepes、150 mM NaCl pH 7.2に溶解した、実施例7に記載したように発現させ精製したRMIF-C1(配列番号:114)、0.18 mMを、カップリング反応に使用する前に、1モル濃度相当のTCEPと室温で1時間インキュベートした。1 mlのAP205 VLP溶液、2.5 mg/mlを、2.3倍モル濃度過剰のSMPHと室温で1時間反応させた。誘導体化したAP205 VLPを、2 lの20 mM Hepes、150 mM NaCl、pH 7.2に対して2時間、2回透析した。次に、透析した誘導体化AP205 VLP(0.18 mM)820μlを、上記のようにTCEPで予め処理した0.18 mM rMIF-C1溶液820μlと、室温で3時間反応させた。カップリング反応の終了時に沈殿物は認められず、試料をSDS-PAGEにより還元条件下で解析し、ゲルをクマシーブリリアントブルーで染色した。カップリング反応の結果を図6に示す。AP205 VLPサブユニットは14 kDaの分子量を有するのに対し、rMIF-C1は分子量13を有する。図6に示すように、カップリング生成物は予想されるように見かけの分子量27で移動する。
【0332】
図6にrMIF-C1のAP205 VLPへのカップリング反応の結果を示す。レーン1:分子マーカー。レーン2:AP205 VLP。レーン3:誘導体化AP205 VLP。レーン4:透析した誘導体化AP205 VLP。レーン5:透析した誘導体化AP205 VLP。レーン6:rMIF-C1のAP205 VLPへのカップリング反応。カップリング生成物を、図中矢印で示す。マーカータンパク質の分子量はゲルの左側に示す。
【0333】
実施例12:
AP205 VLPにカップリングしたrMIFによるマウスおよびラットの免疫
A. rMIF-C1にカップリングしたAP205 VLPによるマウスの免疫
rMIF-C1にカップリングしたAP205 VLP(実施例11による)を、0日目および14日目に雌Balb/cマウス(3匹)に皮下注射した。各マウスに、PBSで200μlに希釈したワクチン10μgを免疫した。21日目にマウスの眼窩後から採血し、rMIF-C1に特異的な抗体の力価を、以下のようにrMIF-Cに特異的なELISAで測定した。
【0334】
ELISAプレートにrMIF-C1を5μg/mlの濃度でコーティングした。プレートをブロッキンした後、段階希釈したマウス血清と共にインキュベートした。酵素標識した抗マウスIgG抗体を用いて、結合した抗体を検出した。対照として、同じマウスの免疫前の血清を同様に試験した。
【0335】
AP205 VLPにカップリングしたrMIF-C1による免疫により、rMIF-C1に対する強力な特異的免疫反応が起こり(図7)、それによると、半最大OD値を生じる血清の希釈として定義されるrMIF-C1に対するマウス3匹の平均力価は1:31 000であった。したがって、rMIF-C1はAP205 VLP上に適切に提示され、強力な免疫反応を生じるための免疫系に利用できた。
【0336】
AP205 VLPにカップリングしたrMIF-C1で免疫したマウスの血清中の、rMIF-C1に特異的なIgG反応のELISAによる解析を図7に示す。マウス3匹(M1、M2、およびM3)の21日目血清の解析を二つ組で行った。血清の3倍希釈物をウェルに添加した。「免疫前」は、AP205 VLPにカップリングしたrMIF-C1を後に免疫した1匹のマウスの免疫前の血清を表す。
【0337】
B. rMIF-C1にカップリングしたAP205 VLPによるラットの免疫
rMIF-C1にカップリングしたAP205 VLP(実施例12による)を、0日目および28日目にアジュバントなしでラット(それぞれ3匹)に皮下注射した。各ラットに、PBSで200μlに希釈したワクチン50μgを免疫した。42日目にラットから採血し、上記のようにしかし酵素標識した抗ラットIgG二次抗体を用いて、rMIF-C1に特異的な抗体の力価をrMIF-Cに特異的なELISAで測定した。
【0338】
実施例13:
アンジオ(Angio) IペプチドのAP205 VLPへのカップリングおよびマウスの免疫
A. アンジオ IペプチドのAP205 VLPへのカップリング
アンジオテンシンIIの配列(DRVYIHPF)(配列番号:13)を有し、そのN末端に活性化VLPにカップリングするためのシステイン残基を含むリンカー配列CGGが融合したアンジオ Iペプチドを化学的に合成した。実施例2に記載したように発現させ精製したAP205 VLPを、20 mM Hepes、150 mM NaCl、pH 7.4緩衝液(HBS緩衝液)中で再度可溶化した。続いて、再度可溶化したAP205 VLPを2 mg/mlの濃度で(ブラッドフォードアッセイ法で測定)、1.43 mM SMPH(Pierce)と室温(RT)で30分間反応させた。次に反応混合液をHBS緩衝液に対して4℃で2時間、2回透析し、DMSOに溶解した50 mM保存液から反応混合液に希釈した1.144 mM アンジオ Iペプチド

遊離アミンおよび遊離酸)と反応させた。カップリング反応を15℃で2時間進行し、1000倍量のHBSに対して反応混合液を2 X 2時間透析し、一定分割量を液体窒素により瞬時に凍結し、後に使用するまで-80℃で保存した。
【0339】
一定分割量を融解し、抗原のAP205サブユニットへのカップリングをSDS-PAGEにより評価し、ブラッドフォードアッセイ法でタンパク質濃度を測定した。1つ、2つ、または3つのペプチドがカップリングした単量体サブユニットに相当するバンドの強度の合計をカップリングおよび非カップリングAP205単量体サブユニットの強度の合計で割ったものと定義される、ペプチドのAP205 VLPへのカップリング効率は、88%であった。分子において、カップリングしているバンドの強度に各バンドにおいてサブユニット当たりカップリングしているペプチドの数をかけるという変更点を加えて、エピトープ密度をカップリング効率と同様に測定した。AP205 VLPサブユニット当たりのアンジオ Iペプチドのエピトープ密度は1.6であった。
【0340】
B. アンジオ IペプチドにカップリングしたAP205 VLPによるマウスの免疫
A部に記載したように作製したアンジオ IペプチドにカップリングしたAP205 VLPを、0日目および14日目にアジュバントなしで3匹のマウスに皮下注射した。各マウスに、PBSで200μlに希釈したワクチン25μgを免疫した。21日目にマウスの眼窩後から採血し、アンジオ Iペプチドに特異的な抗体の力価をELISAにより測定した。化学架橋剤スルホ-SPDPを用いて、アンジオ IペプチドをウシRNAse Aにカップリングした。ELISAプレートにアンジオ IをカップリングしたRNAseを10μg/mlの濃度でコーティングした。プレートをブロッキングした後、段階希釈したマウス血清と共にインキュベートした。酵素標識した抗マウスIgG抗体を用いて、結合した抗体を検出した。対照として、同じマウスの免疫前の血清を同様に試験した。結果を図8に示す。
【0341】
図8は、AP205 VLPにカップリングしたアンジオ Iペプチドに対して0日目および14日目に免疫したマウス3匹(1〜3)の血清中の、アンジオ Iペプチドに特異的なIgG抗体のELISA解析を示す。全IgG力価を21日目の血清で測定した。解析した免疫前血清では、アンジオ Iに特異的な抗体は検出されなかった。平均で1:69 000(450 nmで半最大OD値を生じる希釈として規定される)というアンジオ Iに対する非常に特異的な力価が得られ、このことからアンジオ I(マウスの自己ペプチド)に対する自己寛容が破綻したことが実証される。データから、抗原をAP205 VLPにカップリングすることにより、ペプチドが非常に高度に提示されたワクチンが得られることが実証される。またデータから、これらの自己抗原をAP205 VLPにカップリングし、次に得られたワクチンをアジュバントなして免疫することにより、自己抗原に対する非常に高い力価が得られることも実証される。
【0342】
明確に理解できるように例証および実施例により本発明をある程度詳細に十分に説明したが、本発明の範囲またはその任意の特定の態様に影響を及ぼすことなく、条件、製剤形態、および他のパラメータの広範かつ同等の範囲内で本発明を変更または修正することにより同じことが行われ得ること、およびそのような変更または修正が添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されることを意図することは、当業者に明白であると思われる。
【0343】
本明細書で言及した出版物、特許、および特許出願はすべて、本発明が関連する当業者の技術レベルを示し、個々の出版物、特許、または特許出願が詳細にかつ個別に参照として組み入れられるのと同程度に、参照として本明細書に組み入れられる。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質;
(b) 配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質;および
(c) (a)または(b)のタンパク質の突然変異タンパク質
からなる群より選択される少なくとも1つのタンパク質を含むウイルス様粒子。
【請求項2】
タンパク質が組換え体である、請求項1記載のウイルス様粒子。
【請求項3】
突然変異タンパク質が配列番号:1に記載または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有し、少なくとも1つのアミノ酸残基、好ましくは3つのアミノ酸残基、より好ましくは2つのアミノ酸残基、さらにより好ましくは1つのアミノ酸残基が付加、除去、または置換され、好ましくは少なくとも1つの置換が保存的置換である、請求項1または2のいずれか一項記載のウイルス様粒子。
【請求項4】
突然変異タンパク質が配列番号:1に記載または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有し、少なくとも1つのシステイン残基、好ましくは2つのシステイン残基が除去または置換され、好ましくは少なくとも1つの置換が保存的置換である、請求項1〜3のいずれか一項記載のウイルス様粒子。
【請求項5】
突然変異タンパク質が配列番号:1に記載または配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有し、少なくとも1つのリジン残基、好ましくは3つのリジン残基、より好ましくは2つのリジン残基、さらにより好ましくは1つのリジン残基が付加、除去、または置換され、好ましくは少なくとも1つの置換が保存的置換である、請求項1〜4のいずれか一項記載のウイルス様粒子。
【請求項6】
配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有する突然変異タンパク質。
【請求項7】
配列番号:1または配列番号:3の組換えタンパク質の突然変異タンパク質。
【請求項8】
少なくとも1つのアミノ酸残基、好ましくは3つのアミノ酸残基、より好ましくは2つのアミノ酸残基、さらにより好ましくは1つのアミノ酸残基が付加、除去、または置換され、好ましくは少なくとも1つの置換が保存的置換である、請求項7記載の突然変異タンパク質。
【請求項9】
少なくとも1つのシステイン残基、好ましくは2つのシステイン残基が除去または置換され、好ましくは少なくとも1つの置換が保存的置換である、請求項7または8のいずれかに記載の突然変異タンパク質。
【請求項10】
少なくとも1つのリジン残基、好ましくは3つのリジン残基、より好ましくは2つのリジン残基、さらにより好ましくは1つのリジン残基が付加、除去、または置換され、好ましくは少なくとも1つの置換が保存的置換である、請求項7〜9のいずれか一項記載の突然変異タンパク質。
【請求項11】
少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは99%が配列番号:2または配列番号:4のヌクレオチド配列と同一であるヌクレオチド配列を含む、AP205ウイルス様粒子を産生するためのベクター。
【請求項12】
タンパク質に融合したポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、組換えタンパク質を産生するためのベクターであって、該タンパク質が、
(a) 配列番号:1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質;
(b) 配列番号:3に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質;および
(c) (a)または(b)のポリペプチドの突然変異タンパク質
からなる群より選択される組換えタンパク質を産生するための、ベクター。
【請求項13】
(a) (i) AP205ウイルス粒子;および
(ii) AP205ウイルス様粒子
からなる群より選択されるコア粒子;および
(b) 有機分子
を含み、有機分子がコア粒子に結合している組成物。
【請求項14】
有機分子およびコア粒子が、コア粒子の表面上における有機分子の規則正しくかつ反復性のアレイを形成する、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
有機分子が、コア粒子を有機分子に連結させる第3の分子を介してコア粒子に結合している、請求項13または14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
有機分子が少なくとも1つの共有結合によりコア粒子に結合し、好ましくは共有結合がペプチド結合を含む、請求項13〜15のいずれか一項記載の組成物。
【請求項17】
有機分子が少なくとも1つの共有結合によりコア粒子に結合し、好ましくは共有結合が非ペプチド結合を含む、請求項13〜16のいずれか一項記載の組成物。
【請求項18】
有機分子がハプテン、抗原、または抗原決定基を含み、または好ましくはハプテン、抗原、または抗原決定基であり、より好ましくは有機分子が抗原または抗原決定基である、請求項13〜17のいずれか一項記載の組成物。
【請求項19】
ウイルス様粒子が少なくとも1つの第1付着部位を含み、有機分子が少なくとも1つの第2付着部位を含み、その結果、好ましくは少なくとも1つの非ペプチド結合により、第2付着部位が第1付着部位と結合して規則正しくかつ反復性の抗原アレイを形成し得る、請求項13〜18のいずれか一項記載の組成物。
【請求項20】
第1付着部位がアミノ基を含み、好ましくはアミノ基であり、好ましくは第1付着部位がリジン残基を含み、好ましくはリジン残基であり、第2付着部位がスルフヒドリル基を含み、好ましくはスルフヒドリル基であり、好ましくは第2付着部位がシステイン残基を含み、好ましくはシステイン残基である、請求項13〜19のいずれか一項記載の組成物。
【請求項21】
第2付着部位が有機分子内に天然には存在しない、請求項13〜20のいずれか一項記載の組成物。
【請求項22】
組成物がアミノ酸リンカーを含み、好ましくはアミノ酸リンカーが少なくとも1つの共有結合、好ましくは少なくとも1つのペプチド結合により抗原または抗原決定基に結合している、請求項13〜21のいずれか一項記載の組成物。
【請求項23】
アミノ酸リンカーが第2付着部位を含む、請求項13〜22のいずれか一項記載の組成物。
【請求項24】
アミノ酸リンカーが
(a) CGG;
(b) N末端γ1-リンカー;
(c) N末端γ3-リンカー;
(d) Igヒンジ領域;
(e) N末端グリシンリンカー;
(f) n=0〜12およびk=0〜5である(G)kC(G)n(配列番号:93);
(g) N末端グリシン-セリンリンカー;
(h) n=0〜3、k=0〜5、m=0〜10、l=0〜2である(G)kC(G)m(S)l(GGGGS)n(配列番号:94);
(i) GGC;
(k) GGC-NH2;
(l) C末端γ1-リンカー;
(m) C末端γ3-リンカー;
(n) C末端グリシンリンカー;
(o) n=0〜12およびk=0〜5である(G)nC(G)k(配列番号:95);
(p) C末端グリシン-セリンリンカー;および
(q) n=0〜3、k=0〜5、m=0〜10、l=0〜2およびo=0〜8である(G)m(S)l(GGGGS)n(G)oC(G)k(配列番号:96)
からなる群より選択される、請求項13〜23のいずれか一項記載の組成物。
【請求項25】
有機分子が
(a) 癌細胞に対する免疫反応を誘導するのに適した有機分子;
(b) 感染症に対する免疫反応を誘導するのに適した有機分子;
(c) アレルゲンに対する免疫反応を誘導するのに適した有機分子;
(d) 自己抗原に対する改善された反応を誘導するのに適した有機分子;
(e) 家畜またはペットにおいて免疫反応を誘導するのに適した有機分子;
(f) 薬剤、ホルモン、または毒性化合物に対する反応を誘導するのに適した有機分子;および
(g) (a)〜(f)に記載の分子の断片、突然変異タンパク質、またはドメイン
からなる群より選択される、請求項13〜24のいずれか一項記載の組成物。
【請求項26】
有機分子が、
(a) 癌細胞に対する免疫反応を誘導するのに適した抗原または抗原決定基;
(b) 感染症に対する免疫反応を誘導するのに適した抗原または抗原決定基;
(c) アレルゲンに対する免疫反応を誘導するのに適した抗原または抗原決定基;
(d) 自己抗原に対する改善された反応を誘導するのに適した抗原または抗原決定基;
(e) 家畜またはペットにおいて免疫反応を誘導するのに適した抗原または抗原決定基;
(f) 薬剤、ホルモン、または毒性化合物に対する反応を誘導するのに適した抗原または抗原決定基;および
(g) (a)〜(f)に記載の分子の断片またはドメイン
からなる群より選択される抗原もしくは抗原決定基、またはそれらの断片もしくは突然変異タンパク質である、請求項13〜25のいずれか一項記載の組成物。
【請求項27】
有機分子が、
(a) HIVのポリペプチド、
(b) インフルエンザウイルスのポリペプチド、
(c) C型肝炎ウイルスのポリペプチド、
(d) トキソプラズマのポリペプチド、
(e) 熱帯熱マラリア原虫のポリペプチド、
(f) 三日熱マラリア原虫のポリペプチド、
(g) 卵形マラリア原虫のポリペプチド、
(h) 四日熱マラリア原虫のポリペプチド、
(i) 乳癌細胞のポリペプチド、
(j) 腎臓癌細胞のポリペプチド、
(k) 前立腺癌細胞のポリペプチド、
(l) 皮膚癌細胞のポリペプチド、
(m) 脳腫瘍細胞のポリペプチド、
(n) 白血病細胞のポリペプチド、
(o) 組換えプロファイリング(a recombinant profiling)、
(p) ハチ刺されアレルギーのポリペプチド、
(q) ナッツアレルギーのポリペプチド、
(r) 食物アレルギーのポリペプチド、
(s) 喘息のポリペプチド、または
(t) クラミジアのポリペプチド、
(u) Her2、
(v) GD2、
(w) EGF-R、
(x) CEA、
(y) CD52、
(z) ヒトメラノーマgp100、
(aa) ヒトメラノーマメランA/MART-1、
(bb) チロシナーゼ、
(cc) NA17-A nt、
(dd) MAGE3、
(ee) p53、および
(ff) HPV16E7;ならびに
(gg) (a)〜(z)および(aa)〜(ff)の抗原の任意の断片または突然変異タンパク質
からなる群より選択される抗原である、請求項13〜26のいずれか一項記載の組成物。
【請求項28】
抗原または抗原決定基が、
a) ホスホリパーゼA2タンパク質;
b) ヒトIgE;
c) リンホトキシン;
d) インフルエンザM2タンパク質;および
e) Der p Iペプチド
からなる群より選択されるペプチド、タンパク質、またはタンパク質もしくはペプチドの断片もしくは突然変異タンパク質である、請求項13〜27のいずれか一項記載の組成物。
【請求項29】
有機分子が抗原または抗原決定基であり、さらに抗原または抗原決定基が自己抗原もしくは抗イディオタイプ抗体、またはそのいずれかの断片である、請求項13〜28のいずれか一項記載の組成物。
【請求項30】
自己抗原が、
a) リンホトキシン;
b) リンホトキシン受容体;
c) RANKL;
d) VEGF;
e) VEGFR;
f) インターロイキン-5;
g) インターロイキン-8
h) インターロイキン-17;
h) インターロイキン-13;
i) アンジオテンシン;
k) CCL21;
l) CXCL12;
m) SDF-1;
n) MCP-1;
o) エンドグリン;
p) レジスチン;
q) GHRH;
r) LHRH;
s) TRH;
t) MIF;
u) エオタキシン;
v) ブラジキニン;
w) BLC;
x) M-CSF;
x) 腫瘍壊死因子α(TNFα);
y) アミロイドβペプチド(Aβ1-42);および
z) ヒトIgE
からなる群より選択されるタンパク質、ペプチド、またはそれらの任意の断片もしくは突然変異タンパク質である、請求項13〜29のいずれか一項記載の組成物。
【請求項31】
自己抗原が
a) リンホトキシンα(LTα);
b) リンホトキシンβ(LTβ);および
c) LTαとLTβの混合物または組み合わせ
からなる群より選択されるリンホトキシンまたはその断片である、請求項13〜30のいずれか一項記載の組成物。
【請求項32】
有機分子が、薬剤、ホルモン、または毒素に対する免疫反応を誘導するのに適した有機分子である、請求項13〜31のいずれか一項記載の組成物。
【請求項33】
有機分子が薬剤に対する免疫反応を誘導するのに適した有機分子である、請求項13〜32のいずれか一項記載の組成物。
【請求項34】
薬剤が
(a) コデイン;
(b) フェンタニル;
(c) ヘロイン;
(d) モルヒネ;
(e) アンフェタミン;
(f) コカイン;
(g) メチレンジオキシメタンフェタミン;
(h) メタンフェタミン;
(i) メチルフェニデート;
(j) ニコチン;
(k) LSD;
(l) メスカリン;
(m) シロシビン;および
(n) テトラヒドロカンナビノール
からなる群より選択される、請求項13〜33のいずれか一項記載の組成物。
【請求項35】
薬剤がニコチンである、請求項13〜34のいずれか一項記載の組成物。
【請求項36】
有機分子がホルモンに対する免疫反応を誘導するのに適している、請求項13〜35のいずれか一項記載の組成物。
【請求項37】
有機分子が、
(a) プロゲステロン;
(b) エストロゲン;
(c) テストステロン;
(d) 卵胞刺激ホルモン;
(e) メラニン刺激ホルモン;
(f) アドレナリン;および
(g) ノルアドレナリン
を含む群、好ましくはこれらからなる群より選択されるホルモンである、請求項13〜36のいずれか一項記載の組成物。
【請求項38】
有機分子が毒素に対する免疫反応を誘導するのに適している、請求項13〜37のいずれか一項記載の組成物。
【請求項39】
有機分子が、
(a) アフラトキシン;
(b) シガテラ毒;
(c) テトロドトキシン;
(d) 抗生物質;および
(e) 抗癌剤
からなる群より選択される毒素である、請求項13〜38のいずれか一項記載の組成物。
【請求項40】
a) 請求項13〜39のいずれか一項記載の組成物および
b) 許容される薬学的担体
を含む、薬学的組成物。
【請求項41】
請求項13〜39のいずれか一項記載の組成物の免疫学的に有効な量を含むワクチン組成物。
【請求項42】
請求項41記載の組成物のワクチン組成物を投与する段階を含む免疫法。
【請求項43】
アジュバントをさらに含む、請求項41記載のワクチン組成物。
【請求項44】
(a) (i) AP205ウイルス;および
(ii) AP205ウイルス様粒子;
の群より選択されるコア粒子を含む分子骨格を提供する段階;ならびに
(b) 免疫反応を誘発するのに適した有機分子を提供する段階;
(c) 任意で(a)および/または(b)内に含まれる、または別の分子として、(a)と(b)を結合する手段を提供する段階;ならびに
(d) (a)〜(c)の要素を組み合わせ、その結果、有機分子が骨格と結合して規則正しくかつ反復性の抗原アレイを形成する段階
を含む、非天然的に存在する規則正しくかつ反復性の抗原アレイを産生する方法。
【請求項45】
請求項13〜39のいずれか一項記載の組成物を個体に投与する段階を含む、個体の疾患、障害、または生理的状態を治療または予防する方法。
【請求項46】
請求項41記載のワクチン組成物を個体に投与する段階を含む、個体の疾患、障害、または生理的状態を治療または予防する方法。
【請求項47】
配列番号:125に記載のヌクレオチド配列を含む核酸分子。
【請求項48】
請求項47記載の核酸または請求項11記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項49】
大腸菌である、請求項48記載の宿主細胞。
【請求項50】
(a) 請求項47記載の核酸または請求項11記載のベクターを提供する段階
(b) 核酸またはベクターを宿主細胞に導入する段階;
(c) 宿主細胞において核酸またはベクターの配列を発現させて、請求項1記載のウイルス様粒子を形成し得るタンパク質または突然変異タンパク質を得る段階を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載のウイルス様粒子を産生する方法。
【請求項51】
宿主細胞が大腸菌である、請求項50記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−87580(P2011−87580A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−248015(P2010−248015)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【分割の表示】特願2004−520607(P2004−520607)の分割
【原出願日】平成15年7月14日(2003.7.14)
【出願人】(304042375)サイトス バイオテクノロジー アーゲー (26)
【Fターム(参考)】