説明

分子診断アプリケーションのための微小流体装置

本発明は、特に分子診断アプリケーションのための、流体サンプルの分析のための微小流体装置に関し、当該装置は、その上に少なくとも1つのマイクロチャネル構造を備えた面を有する基板、少なくとも1つの検出、制御及び/又は処理素子、前記流体サンプルを受け入れるための少なくとも1つの収容チャンバ、少なくとも1つの薄膜、並びに圧力及び/又は減圧生成手段を含む、薄膜の運動を駆動するための少なくとも1つの装置を有し、前記収容チャンバは、薄膜と基板との間に形成されることができ、前記収容チャンバは、少なくとも1つのマイクロチャネルとなめらかに接続され、前記薄膜は、前記基板上に配置される少なくとも1つのマイクロチャネル構造の上面を耐漏出でおおい、それによって、前記薄膜の動きが、前記マイクロチャネル中の前記収容チャンバ中に位置する流体にポンプ作用を引き起こし、及び/又は前記マイクロチャネル中に導かれる流体に弁作用を引き起こす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、labs-on-a-chip又は微小全分析システムのような分子診断アプリケーションのための微小流体装置、前記微小流体装置を有する使い捨てカートリッジ、及びその使用に関する。本発明の微小流体装置は、分子診断に好ましくは用いられる。
【背景技術】
【0002】
バイオテクノロジー分野は、試料操作及び分析のために、しばしば"labs-on-a-chip"(LOC)又は微小全分析システム(microTAS)と呼ばれる小型化された微小流体装置の開発に向けて相当な努力を行った。これらのシステムは、特定の生体分子(例えばDNA及びタンパク質)の検出及び分析のために用いられる。
【0003】
一般に、微小システム装置は、ポンプ、バルブ、混合機、加熱器、並びに、光センサ、磁気センサ及び/又は電気センサのようなセンサを含む、流体機能、電気的機能及び機械的機能を収容する。典型的な分子診断分析は、溶菌、洗浄、PCRによる増幅及び/又は検出のようなプロセスステップを含む。
【0004】
集積化微小流体装置は、1つのテンプレート上で、ろ過、混合、流体の駆動、弁による調節、加熱、冷却及び光学的検出、電気的検出又は磁気的検出のような、複数の機能を組み合わせることを必要とする。モデュール構想に従って、異なる機能が、シリコン又はガラスのような別々の機能基板上で実現されることができる。機能は、一般的にプラスチックでできている微小流体チャネルシステムと共に組み立てられることを必要とする。小さなチャネルジオメトリのために、この集積化の方法は非常に難しいプロセスになる。基板とチャネル板との間の接合点は非常に滑らかで精密なことを必要とし、チャネルジオメトリは再現可能なことを必要とする一方で、費用効果のために機能基板の占有面積が最低限でなければならない。特に、電気的インターフェイスと同様に流体インターフェイスを必要とする機能に関しては、濡れたインターフェイスの分離が重要である。接続技術は、機能基板上に存在する生化学試剤及び表面処理と両立しなければならない。
【0005】
US-A1 2003/0057391は、微細加工流体システムにおけるポンピング(pumping)及びバルブ(valving)動作を実行するための革命的なアプローチを、医療診断マイクロチップのようなアプリケーションに提供する低電力集積化ポンプ及びバルブアレイを開示する。このアプローチは、低電力の高圧力源を、微小な注射器に類似したマイクロチャネル内のポリマー製、セラミック製又は金属製プラグに集積化する。圧力源が作動すると、ポリマープラグはマイクロチャネル内で摺動し、流体がプラグの周囲で漏れることを許さずに、流体をプラグの反対側にポンピングする。プラグは、マイクロバルブとしても用いられることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、US A1 2003/0057391のポンプシステムは、十分に小さな死容積を提供せず、最適化された速い流体輸送を提供しない。さらに、プラグはサンプル流体の漏出を回避するためにポジの嵌合を持たなければならず、したがって、低電力の集積化ポンピング及びバルブアレイは、垂直方向の範囲が低い製品で提供されることができない。
【0007】
最近の十年間において、より多くの機能を集積化し、同時に、液体の分析サンプルの体積を減らすために、相当な研究努力が微小流体システム装置の開発に対してなされた。
【0008】
この努力にもかかわらず、前述の従来技術の少なくとも1つの欠点を克服するために、しばしばBio Flip、LOC及びmicroTASと呼ばれる微小流体バイオチップのような微小流体システム装置の必要性がなお存在する。さらに、試剤及びサンプルのより経済的な利用を提供することと同様に液体の小さな体積のサンプルを分析することを可能にするオンチップ流体マニホールドのための革新的な低電力/圧力源を含む周辺機能の、単一のマイクロチップ上への全集積化につながる技術を開発する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の微小流体装置は、分子診断アプリケーションのための多くの機能の集積化を可能にする。本発明による微小流体装置は、液体の小さな体積のサンプルを分析することができ、試剤及びサンプルのより経済的な利用を提供し、そして場合によっては分析を劇的に高速化する。
【0010】
本発明による分子診断アプリケーションのための微小流体装置は、横方向に流れるマイクロ流体チャネルシステムを可能にする。これは、アッセイの流体サンプルの処理、加工及び/又は分析のためのセンサ及び他の装置の垂直方向の集積化を可能にする。
【0011】
本発明による分子診断アプリケーションのための微小流体装置に多数の機能を集積化するために、以下で説明されるように、流体輸送のための薄膜によっておおわれているマイクロチャネル構造を備える少なくとも1つの基板上に、全ての又は少なくともほとんどのこれらの機能を集積化することが提案される。
【0012】
本発明によれば、分子診断アプリケーションのための流体サンプルの分析のための微小流体装置が提供され、当該装置は、
- その上に少なくとも1つのマイクロチャネル構造を備えた表面を持つ基板、
- 少なくとも1つの検出、制御及び/又は処理素子、
- 流体サンプルを受け入れるための少なくとも1つの収容チャンバ、
- 少なくとも1つの薄膜、並びに
- 圧力及び/又は減圧生成手段を含む、前記薄膜の動きを駆動するための少なくとも1つの装置を有し、
前記収容チャンバは、薄膜と基板との間に形成されることができ、
前記収容チャンバは、なめらかに少なくとも1つのマイクロチャネルと接続され、
前記薄膜は、前記基板上に配置される少なくとも1つのマイクロチャネル構造の上面を耐漏出でおおい、それによって、前記薄膜の動きが、前記マイクロチャネル中の前記収容チャンバ中に位置する流体へのポンプ作用を引き起こし、及び/又は前記マイクロチャネル中に導かれる流体への弁作用を引き起こす。
【0013】
微小流体装置及び/又はマイクロチャネル構造は、その上で、複数の同じ又は異なる流体サンプルの処理、検出及び/又は制御ステップが、別々に、同時に及び/又は連続して実行されることができるように、設計されることができる。
【0014】
本明細書において使用されるように、用語「検出手段」若しくは「検出素子」は、公知技術の分析的検出技術を使用してサンプル処理区画内の流体サンプルを調べること可能にする任意の手段、構造又は構成を指す。したがって、検出手段は、サンプル処理区画に連通し、微小流体装置を通過する流体サンプル(分析物とも呼ばれる)を検出するために外部検出装置又は機器がサンプル処理区画と結びつけられることを可能にする1つ以上の開口、長手開口又は溝を含むことができる。
【0015】
用語「流体サンプル」は、マイクロチャネルシステム中でポンピングされることができる任意の化合物又は組成物を指すために用いられる。「流体サンプル」は好ましくは液体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明が詳細に説明される前に、本発明は、説明される装置の特定の構成部分又は説明される方法の処理ステップには、そのような装置及び方法は変化することができるので、制限されないことが理解されるべきである。さらに、本願明細書において用いられる専門用語は、特定の実施の形態を説明することだけを目的とし、制限的であることは意図されないことが理解されるべきである。本明細書及び添付の請求の範囲において用いられるように、文脈が別途明らかに指図しない限り、単数形は、単一の及び/又は複数の指示物を含むことに注意する必要がある。したがって、例えば、「流体」に対する参照は混合物を含むことができ、「加熱装置」に対する参照は2つ以上のそのような装置を含み、「マイクロチャネル」に対する参照は、1つ以上のそのようなチャネルを含むなどである。
【0017】
そして、本発明が、医療診断マイクロチップのようなアプリケーションのための微小に製造された流体システム中の薄膜によるポンビング動作及び弁動作を実行するための新たなアプローチを提供したことが示された。薄膜の使用によって、カートリッジとも呼ばれる微小流体装置は、流体輸送のためのポンプとして、又は制御弁として、効果的に利用されることができる。薄膜は、可変の操作上の能力を備えている。チップスケール集積化試料調製システムが、本発明を利用して製作されることができる。
【0018】
薄膜のサイズは、当該薄膜が完全に又は部分的に基板の上面をおおうように、選択されることができる。薄膜がマイクロチャネルシステムをおおうことが最も好ましい。前記薄膜の上下運動は、前記マイクロチャネルシステム中に位置する流体が、マイクロチャネルシステムの中で輸送され又は止められるように、ポンプ作用又は弁作用を引き起こす。薄膜の上向きの運動は吸引作用を引き起こし、薄膜の下向きの運動は、流体サンプルのフローを強制し、及び/又はバルブ作用を引き起こす。圧力及び/又は減圧を薄膜に適用するために、薄膜は、圧力及び/又は減圧手段に接触している。圧力手段は、ガス圧手段及び/又はプランジャのような機械的圧力手段などを含む。薄膜が流体封止機能を持つので、圧力及び減圧手段は流体サンプルに接触してない。圧力及び/又は減圧手段は、薄膜の定められた領域のみが上下に動かされることができるように、特定の領域において薄膜の上面を動かす。薄膜表面の主な部分は、取付け具とも呼ばれる支持板によって固定されることが好ましい。支持板は、薄膜が上下に動かされることができるように、少なくとも1つの凹部、孔又は管路を有することができる。さらに、孔又は管路を持たない支持板の凹部は、流体サンプルのフローによって引き起こされる薄膜の上向きの動きを受け入れるように機能することができる。減圧及び/又は圧力手段は、薄膜のポンプ及び/又は弁機能を作動させるために、支持板の少なくとも1つの凹部、孔及び/又は管路に有効に接続されることができる。弁及び/又はポンプ機能を備えた薄膜領域は、前記マイクロチャネル中の流体サンプルが押し込まれることができるように、マイクロチャネルに隣接して及び/又はその上に配置される。可動薄膜領域に隣接する及び/又はその下のマイクロチャネルは、拡張された構造を持ち、すなわち、この場所のチャネルデザインは、チャンバ、区画又は湖のような形状を持つことが好ましい。
【0019】
プランジャを使用する場合には、薄膜に接触するプランジャの下向きの運動が、薄膜の流体圧力及び/又は弁作用を引き起こすように、プランジャの下面のサイズがマイクロチャネルの形状に一致することが好ましい。プランジャは薄膜の上面に接続されることができ、プランジャは薄膜の一部であることができ、並びに/又は、プランジャは、プランジャの上下運動が薄膜のポンプ及び/若しくは弁作用を作動させるように、孔、凹部若しくは管路に収まる。プランジャが薄膜の一部である場合、圧縮がポンプ及び/又は弁作用を引き起こすように、プランジャは中空であることができる。したがって、薄膜は、柔軟な面形状又は柔軟な予め成型されたデザインを持つことができる。予め成型されたデザインを有する薄膜は、少なくとも1つの区画又はチャンバ、好ましくは少なくとも2つの区画及びチャンバを形成する薄膜である。
【0020】
(十分なポンプ/弁機能が形成された)柔軟な面薄膜の及び/若しくは流体サンプルを受け入れるための予め成型された薄膜の区画並びに/又はチャンバは、0.1〜100mm3、好ましくは0.5〜25mm3、より好ましくは1〜5mm3の体積を持つことができる。
【0021】
定められた領域の、すなわちその場所では薄膜が固定されていない領域の薄膜のポンプ及び/又は弁作用に起因して、流体サンプルは、マイクロチャネルシステム又は分岐チャネルシステムを通して、所望の領域に輸送されることができる。したがって、流体サンプルは、検出され、制御され、及び/又は処理されるために、複数の異なる場所へ輸送されることができる。したがって、本発明のポンプシステムは、複数の前後の流体輸送を可能にする。
【0022】
さらに、ポンプ及び弁機能を備えた集積化薄膜は、製品の低い垂直方向範囲と同様に、速い流体輸送、並びに小さなポンプ及び弁死容積を提供する。小さな死容積は、本発明による微小流体装置の1つの利点である。本発明において、全てのマイクロチャネルの全容積は、好ましくは全流体体積の1容量%未満、好ましくは0.5容量%未満、より好ましくは0.1容量%未満であることができる。しかしながら、ポンピングサイクルの最後に、マイクロチャネルを通して空気を汲み出すことによって、死容積をさらに低減することが可能である。
【0023】
本発明によって用いられる薄膜は、液状の流体が動作の間に薄膜に浸透しないように、好ましくは液密(liquid tight)である。薄膜が柔軟で、及び/又は弾力性があることが好ましい。適切な薄膜材料はポリマーであり、好ましくは天然ゴム又は合成ゴムである。
【0024】
薄膜の良いポンプ及び/又は弁作用を得るために、薄膜が、1μm〜1000μm、好ましくは25μm〜500μm、より好ましくは50μm〜200μmの厚さを持つことが好ましい。薄膜があまりに薄い場合、薄膜の劣化の危険性があり、それは流体サンプルの漏出につながる可能性がある。しかしながら、薄膜があまりに厚い場合には、流体輸送に関する前記薄膜のポンプ及び/又は弁作用の動作不良の危険性がある。50ミクロン〜200ミクロンの厚さを持つゴム製の薄膜が最も好ましい。
【0025】
本発明では、基板表面はポリマー層によって少なくとも部分的におおわれる。マイクロチャネル構造は、一般的な既知の技術によって前記ポリマー層中に形成されることができる。例えば、マイクロチャネルは、レーザアブレーション技術を用いて形成されることができる。エッチングの間にマスクをアンダーカットし、湾曲した側壁と平らな底を持つ非対称構造を生じさせる可能性があるマイクロリソグラフィック等方性エッチング技術が直面する問題を回避するので、レーザアブレーションプロセスが用いられることができる。ポリマーのような基板中に微細構造を形成するためにレーザアブレーションプロセスを使用すると、製造の単純性が増加し、したがって製造コストが低下する。さらに、低コストのポリマー基板による本発明による微小流体装置は、使い捨てであるという利点を持つ。
【0026】
一般に、紫外線を吸収する任意の基板は、特徴をレーザアブレーションすることができる適切な基板を提供する。したがって、選択された構成の微細構造は、ポリマー又はセラミック材料のような適切な基板上へリソグラフィックマスクを撮像し、そしてリソグラフィックマスクによって保護されていない領域においてレーザ光線によって基板をレーザ除去することにより、形成されることができる。EP-A1 0 708 331は、レーザアブレーション技術を目的としており、本願明細書に引用として組み込まれる。しかしながら、マイクロチャネルは、シリコン又は二酸化ケイ素材料中にシステムを形成するのに用いられるエッチング及びミクロ機械加工技術によっても形成されることができる。
【0027】
用語「レーザアブレーション」は、適切な基板中の特徴を除去するためにエキシマレーザのような高エネルギーの光子レーザを用いた機械加工処理を指すのに用いられる。一般に、紫外線を吸収する任意の適切な基板が用いられることができる。エキシマレーザは、例えば、F2、ArF、KrCl、KrF又はXeCl型であることができる。
【0028】
本発明による微小流体装置は、少なくとも1つのマイクロチャネルを有することができる。好ましくは、微小流体装置は、基板材料上に形成された、マイクロチャネルアレイとも呼ばれる複数のマイクロチャネルを有する。
【0029】
基板の上に形成されるマイクロチャネル構造は、流体サンプルが処理(例えば、加熱、冷却、制御、反応、測定及び/又は分析)される領域を有することができる。さらに、マイクロチャネル構造は、ポンプ及び/又は弁機能の領域を有する。
【0030】
マイクロチャネルは、流路の形状を持つことができる。しかしながら、流体サンプルがポンプ若しくはバルブ作用にさらされ、又は、加熱、冷却、制御、反応、測定及び/若しくは分析などの処理をされる場所では、マイクロチャネルは、より幅の広い構造(例えばチャンバ、区画又は湖のような構造)を持つことができる。
【0031】
基板材料は、ガラス、セラミック、シリコン及び/又はポリマーから成るグループから選択されることができる。
【0032】
マイクロチャネルの深さは、5ミクロンから200ミクロンまでの範囲であることができ、好ましくは10ミクロンから100ミクロン、さらに好ましくは20ミクロンから50ミクロンの範囲、より好ましくは30ミクロンである。
【0033】
上部開口部におけるマイクロチャネルの幅は、0.1ミクロンから1000ミクロンの範囲であることができ、好ましくは1ミクロンから500ミクロン、さらに好ましくは5ミクロンから250ミクロンの範囲であり、より好ましくは100ミクロンである。
【0034】
好ましい方法において、マイクロチャネルは、感光性のポリマー層のパターン紫外線露光によって形成される。フォトポリマーは、スピンコーティングによって塗布される。紫外線露光の後、露光されなかった部分は、現像の間に洗い流される。まっすぐな側壁が得られる。この方法は、マイクロリソグラフィック等方性エッチング技術が直面する問題を回避する。
【0035】
したがって、本発明の下で、選択された構成の微細構造は、ポリマー又はセラミック材料のような適切な基板上にリソグラフィックマスクを撮像し、そしてリソグラフィックマスクによって保護されていない領域でレーザ光線によって基板をレーザ除去することにより、形成されることができる。
【0036】
マイクロチャネル構造を製造する適切なプロセスは、参照として組み込まれるEP-A1 0 708 331中に開示される。
【0037】
マイクロチャネル構造は、流体サンプル流路を、流体サンプルが処理(例えば、加熱、冷却、制御、反応、測定及び/又は分析)される領域に接続する。流体サンプルが処理されることができる領域は、流体チャンバ及び/又はマイクロチャネルの領域を含む。例えば、マイクロチャネルは、流体サンプルが所望の位置で処理されることができるように設計されることができる。
【0038】
さらに、少なくとも1つのマイクロチャネルを備える微小流体装置は、好ましくは、その中に配置された試剤、好ましくは流体サンプルと反応するのに適した固形又はゲル状の試剤を有する。
【0039】
好ましい実施例において、試剤は、マイクロチャネル中に、又はマイクロチャネル若しくは処理領域に隣接して好ましくは配置された容器中に存在する。
【0040】
試剤を受け入れるために、微小流体装置は、圧力による放出容器を有することができ、当該容器は、前記薄膜の下の面に隣接して、及び支持板の貫通孔の下に配置されることができ、貫通孔の下端は、好ましくはプランジャによって、当該孔を通して薄膜の上面を圧力又は減圧にさらすことより、放出容器が開かれることができるように、薄膜の上面に隣接して配置される。そのような放出容器は、好ましくは、少なくとも1つの液体試剤を有する。
【0041】
プランジャは、プラスチック、金属、ガラス及び/又はセラミック材料でできていることができる。
【0042】
検出、制御及び/又は処理素子は、流体サンプルチャンバに隣接して及び/又はマイクロチャネルに隣接して配置されることができる。加熱器、センサ、検出器などは、薄膜技術によって集積化されることができる。
【0043】
一般に、微小流体装置は、薄膜電子装置のような電子デバイスを有することができる。基板は、基板とその基板の上に形成される複数の薄膜層を含むことができる。適切な薄膜電子デバイスは、とりわけ、電場を適用するための電極、センサ、トランスデューサ、光学ベースの装置、超音波エネルギーを適用するためのピエゾベースの振動子のような音響ベースの装置、電場ベースの装置及び磁場ベースの装置を含むことができる。とりわけ、センサは、熱電対、抵抗加熱装置のようなサーミスタ、pn接合、変性バンドギャップセンサ等のような温度センサ、光センサ(例えばフォトダイオード又は他の光電子工学装置)、圧力センサ(例えば圧電素子)、例えば圧力又は発熱体からの熱損失の速度を検知することに基づく流体流速センサ、及び電気センサであることができる。
【0044】
好ましくは、電子デバイスは、本願明細書において素子とも呼ばれる検出、制御及び/又は処理手段を有する。処理手段は、流体の温度制御のための電子デバイス、流体を加熱及び/又は冷却するための電子デバイス、流体の特性を検知又は変更するように構成される電子デバイスを有する。さらに、処理素子とも呼ばれる処理手段は試剤を有する。
【0045】
電子装置は、流体マイクロチャネルシステム又は区画の中でサンプル処理及び/又はモニタリングに関与することができるように配置されていることができる。したがって、電子デバイスは、微小流体処理チャンバに関してより効率的に配置されることができ、サンプルがどのように操作されるかについて、さらなるフレキシビリティを可能にする。さらに、加熱器/冷却装置及び温度センサのような、微小流体処理の関連した態様に関与する装置は、実質的に同じ流体容積の温度を変更及び検知するために、より協力的な空間的関係で配置されていることができる。
【0046】
薄膜電子装置のような電子デバイス及びそのような装置を集積化する方法は、US A1 20040151629に開示され、本願明細書に引用したものとする。
【0047】
好ましくは、検出、制御及び/又は処理素子は、電極、センサ、トランスデューサ、発熱素子、導波路やレーザのような光学ベースの装置、音響ベースの装置、電場ベースの装置及び/又は磁場ベースの装置を有する。処理素子は、例えば、溶菌、洗浄、混合、PCRによる増幅及び/又は検出を含む。
【0048】
本発明によって流体サンプル輸送を引き起こすために、流体サンプルがマイクロチャネル中に導かれ、又は押し進められることができるように、マイクロチャネル構造は、薄膜によっておおわれる。少なくとも1つの薄膜は、部分的に又は完全にマイクロチャネル構造をおおうことができる。流体サンプルが誤って失われることがないように、薄膜は漏れが無いようにマイクロチャネル構造に接続されることが好ましい。
【0049】
更に詳細には、微小流体装置は、前記基板上に配置されるマイクロチャネルのアレイを持ち、前記マイクロチャネルの各々は、薄膜によって液密におおわれており、当該薄膜は支持板によって取り付けられ、当該支持板は、少なくとも1つの貫通孔、好ましくは各々のマイクロチャネルに対して少なくとも2つの貫通孔を持つ。好ましくは、少なくとも2つのマイクロチャネルが有効に接続され、それによって、圧力又は減圧による、好ましくは前記プランジャによる貫通孔の下端開口部に面する前記薄膜領域の運動は、前記マイクロチャネル中の前記収容チャンバ中に位置する流体へのポンピング作用を引き起こし、又は前記マイクロチャネル中に導かれる流体への弁作用を引き起こす。
【0050】
本発明による微小流体装置は、好ましくは使い捨てのカートリッジである。しかしながら、微小流体装置は、支持板でおおわれる使い捨てのカートリッジでできていることができる。支持板は、再使用可能であることができ、あるいは使い捨てであることができる。
【0051】
微小流体装置又はカートリッジは、少なくとも1つの表面側にコネクタを持つことができ、それは例えば制御システムとの電気接点を提供する。
【0052】
薄膜が少なくとも1つの支持板によって基板に取り付けられ、支持板が少なくとも1つの孔、好ましくは複数の貫通孔を持っていることが好ましい。貫通孔は、薄膜を作動させるために、プランジャを受け入れるための及び/又は圧力若しくは減圧を適用するための形状を持つことができる。さらに、支持板の貫通孔は、冷却作用、検出及び/又は制御目的のために用いられることができる。
【0053】
本発明の微小流体装置は、例えば分子診断アプリケーションにおいて、Lab-on-chip(LOC)として、又はマイクロ全分析システム(Micro Total Analyses Systems:micro TAS)として用いられることができる。
【0054】
本発明の微小流体装置は、一実施例によれば、少なくとも2つの要素、(a) 薄膜マイクロチャネル構造、センサやアクチュエータのような集積化された電気的及び光学的機能、及び電気的インフラストラクチャを有する基板、並びに、(b) マイクロチャネル構造を耐漏出でおおう薄膜を有する。
【0055】
本発明の更なる実施の形態によれば、基板及び薄膜は、支持板によって互いに耐漏出で押圧される。取付け具とも呼ばれるこの支持板は、微小流体装置の一部であって、複数の孔及びこれらの孔に収まるプランジャを備える。プランジャは、液体が基板上のマイクロチャネルに押し込まれて、分析の次の処理ステップに強制されるように、ポンプ及び/又は弁作用を引き起こすゴム製の薄膜を駆動することによって流体輸送を開始する。本発明の薄膜による流体駆動システムは高速であり、小さな死容積を提供する。
【0056】
図1に図示したように、本発明の微小流体装置(1)は、ポリマー層(3)を備える基板(2)を有し、マイクロチャネル構造(4)は、前記ポリマー層(3)中に形成される。マイクロチャネル構造(4)は、柔軟な薄膜(5)によっておおわれている。薄膜(5)は、支持板(6)によって基板(2)に液密に接続される。支持板(6)は、プランジャ(7a/7b)が係合される貫通孔を有する。プランジャ(7a)は、ポンピング動作のための上の位置にあり、プランジャ(7b)は弁機能のための下の位置にある。プランジャ(7a)の下であって、柔軟な薄膜(5)とポリマー層(3)を備える基板(2)との間に、流体サンプルチャンバ(8)は形成される。例えば押圧することによるプランジャ(7a)の下向きの動きは、最初の位置の流体チャンバ(8)からマイクロチャネル構造(4)の中に、流体サンプルを移動させる。
【0057】
流体サンプルは、薄膜を作動させることによって、所望の処理ステップに進められることができる。前記薄膜のポンプ及び弁機能によって、流体サンプルをマイクロチャネル構造の任意の所望の位置に移動することが可能である。
【0058】
図2は、図1の微小流体装置(1)を示し、流体サンプルは、プランジャ(7a)の下向きの動き及び結果として生じる薄膜(5)のポンプ作用によって、マイクロチャネル構造(4)に押し込まれ、それによって、流体サンプルが処理されることができるように、流体サンプルチャンバ(9)が形成される。薄膜(5)は、支持板(6)によって、マイクロチャネル構造(4)を持つポリマー層(3)を備えた基板に液密に接続される。図に示すように、薄膜は、プランジャ(7a)の下方向の位置において弁作用を持ち、一方、プランジャ(7b)の下の位置(10)における薄膜は、必要ならば、例えば流体サンプルがさらに処理されなければならない場合には、ポンプ作用を引き起こすことができる。
【0059】
図3は、図1の微小流体装置の部分断面平面図である。基板(2)の前記ポリマー層(3)中に形成されるマイクロチャネル構造(4)が確認される。マイクロチャネル構造(4)は、流体チャンバ(8)及び(9)を接続する。少なくとも1つの流体チャンバ(8)及び/又は流体チャンバ(9)の底に、処理素子、検出素子又は処置素子が配置されることができる。
【0060】
例えば、加熱器、温度センサ及び/又は検出器は、薄膜技術を用いて流体チャンバに隣接して基板上へ容易に集積化されることができる。しかしながら、処理及び/又は検出素子は、従来技術において知られている任意の適切な技術によって適用されることができる。
【0061】
本発明の微小流体装置は、前記マイクロチャネル構造と接続される少なくとも1つの集積化PCR処理領域及び少なくとも1つの検出領域を有することができる。流体サンプル輸送は、薄膜のポンプ及び弁機能によって引き起こされる。検出領域、処理領域及び/又はマイクロチャネル構造は、少なくとも1つの集積化加熱器及び/又は温度センサを持つことができる。微小流体装置又はカートリッジ側のコネクタは、制御システムとの電気的接点を提供する。
【0062】
微小流体装置の好ましい実施の形態は、3つのサンプル注入ポート、集積化された加熱器及び温度センサを有する4つのPCRチャンバ、並びに集積化された加熱器及び温度センサを有する横方向流入ハイブリッド形成検出アレイを含む(図4を参照)。流体サンプルの横方向の流入は、検出素子が、側方領域の下又は上に容易に配置されることができることを可能にする。
【0063】
図4は、組み合わせられたPCR及び検出素子を有する微小流体装置(1)の例を示す。前記薄膜の弁及びポンプ作用(7a/7b/7c)によってマイクロチャネル構造(4)を通して所望の処理領域に流体プローブを押し込むためのプランジャを受け入れるための貫通孔を有する支持板(図示せず)の固定よって、基板(2)及び薄膜(好ましくはゴム製の薄膜)(図示せず)は、漏出がないように互いに押圧される。微小流体装置(1)は、サンプル注入ポート(11)、マスター混合注入ポート(12)、予備注入ポート(13)、4つのPCRチャンバ(14)、中央分配チャンバ(15)、ポンプ及び弁機能を有する薄膜(16)、集積化された加熱器(17a)及び温度センサ(17b)を有する横方向流入ハイブリッド形成アレイ(H)、並びに電気的接点(18)を有する。支持板は、PCRチャンバの空気冷却のための追加の孔及びハイブリッド形成アレイの観察/制御のための孔を有する(図示せず)。取付け具の他の部分は、複数の孔及びこれらの孔に収まるプランジャを備えている。この実施の形態によれば、取付け具はカートリッジの一部ではないが、読み出し及び制御機器に属する。しかしながら、取付け具又は支持板は、微小流体装置の一部であることができる。ガラスプレート上のマイクロチャネルは、異なるチャンバを接続する。ゴム薄膜は、流体注入及び試剤貯蔵のための予め成型されたキャビティを持つ。プランジャシステムは、流体ポンプ及び弁機能のために薄膜を駆動することができる。この流体駆動システムの利点は、速い流体輸送及び小さな死容積である。
【0064】
流体サンプルを処理するために、流体サンプルは、薄膜の下に、例えば基板の上面と薄膜の下面との間に配置されなければならない。本発明の好ましい実施の形態によれば、流体サンプルは、注入によって薄膜の下に配置される。本発明の他の実施の形態によれば、微小流体装置は、流体サンプルを受け入れるための少なくとも1つのサンプルポートを持つ。受け入れポートは、薄膜に組み込まれることができる。好ましくは、受け入れポートは、開放され且つ封止されることができる。
【0065】
サンプル注入の1つの実施の形態が図5に示され、微小流体装置(1)は、ポリマー層(3)を備えた基板(2)を有し、マイクロチャネル構造(4)は、前記ポリマー層(3)中に形成される。マイクロチャネル構造(4)は、柔軟な薄膜(5)によっておおわれる。薄膜(5)は、支持板(6)によって基板(2)に液密に接続される。支持板(6)は、プランジャ(7a/7b)が係合される貫通孔を有する。プランジャ(7a)は、ポンピング動作のために上の位置にある。プランジャ(7a)は、針を受け入れるためのチャネルを持つ。プランジャ(7b)は、さらに下の位置にある。プランジャ(7a)の下であって、柔軟な薄膜(5)とポリマー層(3)を有する基板(2)との間に、流体サンプルチャンバ(8)が形成される。図5で分かるように、薄膜は、プランジャ(7a)のチャネル下端開口部に面する頂上で、厚さが増加した領域を持つ。さらに、ゴム薄膜は、この位置で円柱状に成型されている。使い捨ての(金属又はプラスチック製)中空プランジャは、薄膜の上に配置される。薄膜の厚い部分に刺される針は、サンプルを流体チャンバ(8)に導入する。プランジャ(7a)を下向きに動かすと、注入された流体サンプルがマイクロチャネルシステム(4)に押し込まれる。
【0066】
流体サンプルを処理するために、流体サンプルを少なくとも1つの試剤と処理すること、好ましくは反応させることが適切である。微小流体装置を使用する用意をするために、本発明による微小流体装置は、開かれたときに成分(例えば試剤)を放出することができる少なくとも1つの容器を有することが好ましい。容器は、加熱作用及び/又は薄膜の圧迫作用によって開くように、作成されて配置されることができる。容器は、試剤が流体に接触することができるように、処理領域に隣接して及び/又はマイクロチャネル構造に隣接して配置されることが好ましい。試剤は、好ましくは固形又は液状の成分である。液状の成分はゲルから成ることができ、固形成分は、流体サンプルとの反応を容易かつ高速にするために、粉体又は濡れた粉体であることができる。
【0067】
例えば液体試剤を貯蔵するための容器を有する微小流体装置(1)の実施の形態が図6に示される。
【0068】
図6によると、試剤は、薄いプラスチックの容器(19)中に封止され、薄膜(5)の円筒形キャビティ(20)中に配置される。容器(19)は、圧力及び/又は加熱で容易に開く部分を備えることができる。プランジャ(7a)を下向きに動かすことで、制御された状態でプラスチックの容器は破れ、試剤は放出されて、薄膜(5)の強制作用によってマイクロチャネルシステム(4)に押し込まれる。
【0069】
図7は、容器から放出された試剤と反応した流体サンプルがさらに処理及び/又は分析されるところである隣の流体チャンバ(21)への、プランジャ(7a)のポンプ作用による、図6の微小流体装置(1)の流体輸送を示す。プランジャ(7b)、及び下に位置する薄膜(5)によって引き起こされるポンプ作用によって、流体サンプルは、マイクロチャネル構造(4)を通して、隣の処理のための場所に押し込まれることができる。
【0070】
本発明のさらに好ましい実施の形態は、溶菌に用いられることができる互いにかみ合わされた電極構造を備えた微小流体装置を有する。細胞は、薄膜のポンプ及び弁作用によって、マイクロチャネル構造を通して動かされることができる。マイクロチャネル構造の処理領域は、互いにかみ合わされた電極構造を有することができる。その電極構造によって印加される電圧は、局所的に高い電場を発生させ、それによって細胞膜を崩壊させて、DNAを開放する。溶菌のこの方法は、エレクトロポレーションと呼ばれる。
【0071】
図8a(側面図)及び8b(平面図)は、溶菌に用いられることができる本発明の微小流体装置(1)を示し、当該装置はポリマー層(3)を備えた基板(2)を有し、マイクロチャネル構造(4)は前記ポリマー層(3)中に形成される。マイクロチャネル構造(4)は、柔軟な薄膜(5)によっておおわれる。薄膜(5)は、支持板(6)によって基板(2)に液密に接続される。支持板(6)は、プランジャ(7a/7b)が係合する貫通孔を有する。プランジャ(7a)及び(7b)は、流体がマイクロチャネル構造中を往復で動かされるように、上下に交互に動かされる。マイクロチャネル構造は、2つの流体チャンバ(23)及び(24)の間に配置される互いにかみ合わされた電極構造(22)を有する。
【0072】
電極構造上の電圧差が細胞膜を崩壊させてDNAを解放し、それはさらに処理及び/又は調べられることができる。
【0073】
互いにかみ合わされた電極構造に鋭い先端を設け、絶縁材料(例えばSiO2)によって電極を局所的に保護することで、電場強度を増加させることができる。
【0074】
したがって、図8の微小流体装置は、マイクロチャネル中を薄膜によって細胞を移動させることを可能にする。少なくとも1つのチャネルが、互いにかみ合わされた電極構造を備えることができる。(エレクトロポレーションと呼ばれる)そのような溶菌処理は、本発明のカートリッジ(すなわち微小流体装置)に、容易に集積化されることができる。
【0075】
溶菌のために使用される本発明による微小流体装置の他の実施の形態は、鋭いシリカビーズを備えるチャンバを通して、薄膜によって液体を往復でポンピングすることによって動作する。ビーズがマイクロチャネル中のグレーティング構造によって固定されるように、ビーズのサイズは選択されなければならない。一般に、ビーズは10μmから50μm、好ましくは25μmである。
【0076】
本発明のさらに好ましい実施の形態は、全て隣接して配置され及び/又はマイクロチャネル構造の一部である、少なくとも1つのPCR処理領域、好ましくはPCRチャンバ、少なくとも1つの集積化された温度センサ及び少なくとも1つの加熱素子を有する微小流体装置である。そのような微小流体装置の一例の側面図及び平面図が図9a(側面図)に示される。
【0077】
図9a(側面図)の微小流体装置(1)から分かるように、流体は、薄膜によって、マイクロチャネル(4)中に、そしてPCRチャンバ(21)の方へ押し込まれる。マイクロチャネル(4)中に、細かいマイクロパターン(25)が形成されることができる。この構造、好ましくは多孔性構造(25)は、インクジェット式印刷技術又は他の既知の技術によって適用されることができる乾燥した試剤(例えばPCRプライマ)を格納するために用いられる。試剤は、微細構造上にコーティングされること及び/又は吸収されることができる。前記微細構造に沿った流体サンプルの流体フローは、試剤を取り込み、PCRチャンバ(21)にそれを輸送する。加熱器及び温度センサ素子(27)は、PCRチャンバ(21)の底に配置される。さらに、基板(2)は、凹部状の冷却素子(26)を有する。
【0078】
加熱素子及び温度センサ素子は、薄い誘電層によって及び/又は30ミクロン厚のポリマー層によって保護されることができる。しかしながら、SiO2及びSi3N4はPCR阻害物質として知られているので、ポリマー層が好ましい。
【0079】
上で述べたように、本発明による微小流体装置は、少なくとも1つの冷却素子を有することができる。冷却素子は、基板の凹部であることができる。好ましくは、凹部は、薄膜表面の反対側である基板の背面に形成される。冷却作用のために、冷気が基板の凹部上へ導かれることができる。基板は、ガラスプレート、金属板又はポリマー板であることができる。同様に、冷却の間の熱的接触を高めるために、冷却器要素が本発明の微小流体装置に配置されることができる。空冷素子は、冷却作用が要求される任意の場所に配置されることができ、好ましくは、冷却作用素子は、PCRチャンバに隣接して又はPCRチャンバの場所に配置される。
【0080】
加熱及び冷却を提供する他の変形例は、ペルチェ素子を用いて得ることができる。ペルチェ素子は、基板の背面に取り付けられることができる。
【0081】
さらに、温度上昇速度(例えばランピング速度)を増加させるために、PCRチャンバの位置における熱質量を減らすことが必要である。これは、例えばウェットエッチング又は粉体ブラスト処理によって、基板(例えばガラスプレート)を局所的に薄くすることで達成されることができる。
【0082】
図9bは、図9aの微小流体装置(1)の部分断面平面図であり、集積化された温度センサ及び加熱素子(27)を備えたPCRチャンバ(21)を有する。PCRチャンバ(21)は、マイクロチャネル構造(4)に接続される。PCRチャンバ(21)の前に、多孔性マイクロ構造(25)に吸収された乾燥した試剤が配置される。PCRチャンバにおいて、加熱器(27)及び温度センサ素子(27)が配置され、曲りくねった抵抗線(27)によって概略的に示される。流体サンプルが乾燥した試剤が配置された領域に到達したときに、流体サンプルは試剤と混合される。すでに前に説明されたように、マイクロチャネル構造に沿った流体サンプルフローは薄膜のポンプ及び弁作用によって押し進められる。さらに、本発明による微小流体装置は、少なくとも1つの冷却素子を有することができる。冷却素子(26)は、基板の凹部として又は基板の凹部中に形成されることができる。
【0083】
本発明のさらに好ましい実施の形態は、少なくとも1つの検出素子、好ましくは光検出素子を有する。検出素子は、マイクロチャネル構造に隣接して及び/又はマイクロチャネル構造の所に配置されることができる。分析の最後のステップが検出であることが一般的であるので、検出素子が本発明の微小流体装置の分析の最後のステップに配置されることが好ましい。
【0084】
図10は、本発明による微小流体装置(1)の横方向流入ハイブリッド形成アレイを示す。示されるように、分析される流体は、場所(28a/28b)における薄膜(図示せず)のポンプ及び弁作用に起因して、集積化された加熱器(29)を備えた処理領域に沿って、マイクロチャネル構造(4)に押し込まれ、それによって、プローブ領域は、細かいミクロ構造(30)を有する。
【0085】
プローブ領域は、標準のリソグラフィを用いて得られる細かいミクロ構造を備えることができる。ミクロ構造は、例えばインクジェット技術によって適用される試剤(この場合はハイブリッド形成プローブ)を配置及び/又は固定するのに用いられる。レーザ光線干渉技術を用いた追加の露光ステップを適用することによって、例えば100nmの範囲の極端なサブミクロン構造を局所的に得ることも可能である。微小流体装置の他の別の実施例は、小さな多孔性基板を含む個々のチャンバを有することができる。
【0086】
ハイブリッド形成アレイの読出しは、レーザ照射及び薄膜と反対側の基板の背面側に配置されたCCDカメラを用いた蛍光検出によって達成されることができる。カメラ観測及び/又は検出のために、基板が透明であることが好ましい。
【0087】
変形例は、光活性ポリアクリルアミドゲルを使用することである。この材料の多孔質プラグは局所的な紫外線露光によって形成され、重合していない材料は洗浄によって除去されることができる。
【0088】
本発明の微小流体装置によれば、複数の様々な機能を集積化することが可能である。集積化されることができる機能は、混合、磁性ビーズ輸送、細胞操作、細胞計数及び/又は検出方法としてのキャピラリー電気泳動法を含む。
【0089】
本発明の微小流体装置は、カメラを有することもできる。カメラを薄膜と反対側の基板の背面パネルに配置することが好ましい。カメラ観測及び/又は検出のために、基板が透明であることが好ましい。さらに、カメラが配置される場所の基板の厚さは、前記カメラの光記録を改善するために、削減されることができる。カメラを備えた微小流体装置は、例えば細胞マニピュレータ機能及び/又は細胞計数機能と組み合わせて用いられることができる。
【0090】
さらに、チャネル漏出検出器、チャネル内エア検出器、質量流量センサ及び/又は圧力センサが、本発明の微小流体装置に集積化されることができる。
【0091】
チャネル漏出検出器は、基板において、例えば流体フローマイクロチャネルシステムに隣接する溝中に集積化されることができる保護されてない電極を有することができる。抵抗変化が、漏出を知らせるために用いられることができる。
【0092】
本発明の微小流体装置のマイクロチャネルシステム中のエアは、例えば、SiO2でおおわれた互いにかみ合わされた電極構造の静電容量の変化によって、検出されることができる。SiO2でおおわれた互いにかみ合わされた電極構造を、流体フローマイクロチャネルシステムに接触するように、微小流体装置の基板上に集積化することが好ましい。感度は、マイクロチャネルに隣接して配置される等しい容量構造による示差測定法によって改善されることができる。
【0093】
質量流量センサは、被加熱線の抵抗の示差測定法に基づくことができる。流体サンプルフローが熱を奪い、温度が変化することで抵抗が変化し、それが測定されることができる。流体フローマイクロチャネルシステムに隣接して、又はそれに接触するように、微小流体装置の基板上に質量流量センサを集積化することが好ましい。
【0094】
図11は、薄膜(5)の下の領域の基板上のマイクロチャネル中に配置される容量圧力センサ(31)を有する微小流体装置(1)を示す。実際の圧力に対応して、プランジャ(7a/7b)を駆動することよって、薄膜が上下に動くことができるように、固定素子とも呼ばれる支持板(6)は凹部(32)を有する。容量センサは、実際の圧力の測度であるセンサ表面上の液体の量を検知する。
【0095】
電気的センサ及び検出器の他に、光検出素子も容易に集積化されることができる。例えば、光は、発明による微小流体装置の一部である導波路の先端又は終端における傾斜面での全反射(TIR)によって、結合され又は取り出されることができる。従来技術で既知である傾斜した露光ビームによる追加のリソグラフィ露光ステップによって、又は同様に従来技術において既知である組み込まれたフェーズグレーティングを持つフォトマスクを用いることによって、傾斜した面を得ることができる。追加のフォトマスクステップを使用して"低温ポリシリコン"(LTPS)を加工することによって、微小流体装置の基板上に光検出素子を集積化することも可能であるが、これは基板の製造をより複雑で費用のかかるものにする場合がある。集積化された導波路は、ハイブリッド形成アレイの処理された流体サンプルを制御及び/又は分析するために用いるのに適切であることができる。
【0096】
本発明による微小流体装置は、さらにSiバイオセンサのような外付け部品の集積化を可能にする。薄膜は、基板(好ましくはガラスプレート)上の相互接続回路とのSi装置の電気的接触を提供するために孔をあけられることができる。Si装置はAuバンプを備え、ゴム薄膜は、穿孔された位置において電気的接触に対するシールリングとして作用する。Si装置は、超音波ボンディング、熱圧着及び/又はレーザ溶接によって、ガラス製基板に取り付けられることができる。
【0097】
図12a(側面図)及び12b(平面図)は、薄膜(5)のポア即ち孔(34)の上面をおおうように配置されるSi装置(33)のような外部装置を有する微小流体装置(1)を示す。固定素子とも呼ばれる支持板(6)は、Si装置(33)を収容するための凹部(35)を有する。流体サンプルは、Si装置(33)によって検出されるために、マイクロ流体チャネル(4)に沿って、薄膜(5)のポンプ及び弁作用によって押し進められることができる。
【0098】
さらに、図12bは、ポリマー層(3)によっておおわれている基板(2)上に配置される相互接続配線(36)を示す。
【0099】
すでに前に説明されたように、薄膜のポンプ及び弁作用は、プランジャ駆動によって作動することができる。しかしながら、プランジャ駆動による流体輸送の変形例として、本発明による微小流体装置の薄膜を動かすために、流体圧力(例えば圧縮空気及び/又は減圧)を利用することが可能である。プランジャ駆動の代わりに気体圧力によって動かされる薄膜を有する本発明による微小流体装置の例が、図13に概略的に示される。
【0100】
図13は、ポリマー層(3)を備えた基板(2)を有し、マイクロチャネル構造(4)が前記ポリマー層(3)中に形成される、本発明による微小流体装置(1)を示す。マイクロチャネル構造(4)は、柔軟な薄膜(5)によっておおわれる。薄膜(5)は、支持板(6)によって基板(2)に液密に接続される。支持板(6)は、圧力手段及び/又は減圧手段が接続されることができる貫通孔(37)を有する。支持板(6)は、上の位置の薄膜を受け入れるための凹部(38a)及び(38b)をさらに有し、そこで薄膜(5)は流体サンプルチャンバを形成する。凹部(38a)及び(38b)は、貫通孔(37)に有効に接続される。薄膜(5)の弁及びポンプ作用は、微小流体チャネルシステム(4)を通して流体サンプルを押し進めるように、貫通孔(37)に接続された圧力手段及び/又は減圧手段(図示せず)の駆動によって、互いに離れた凹部領域(38a)及び(38b)において駆動されることができる。
【0101】
本発明の微小流体装置は、microTAS及びLOCのような生医学的アプリケーション、バイオセンサ、分子診断、食品及び環境センサにおいて、流体/電子/機械的装置のために用いられることができる。さらに、それは化学的化合物又は生物学的化合物の合成のために用いられることができる。
【0102】
好ましくは、本発明の微小流体装置は、
- 卵黄、血液、血清及び/若しくは血漿のような生化学的流体の分析を含む、化学分析、診断分析、医学分析及び/若しくは生物学的分析、
- 水、溶解土壌抽出物及び溶解植物抽出物の分析を含む、環境分析、
- 化学生産物、特に色素溶液又は反応溶液の分析を含む、反応溶液、分散及び/若しくは製剤分析、
- 品質保護分析、並びに/又は
- 化学的又は生物学的化合物の合成、
のために用いられることができる。
【0103】
マイクロチャネル及び集積化された機能を備えたガラス製基板の製造は、従来技術において知られているような4つのマスクによる薄膜プロセスによって提供されることができる。
【0104】
マイクロチャネル及び集積化された機能を備えるガラス基板の製造の実施例は、以下に示される。
基板:0.4 mm Schott AF45
薄膜処理4マスクレベル
- 抵抗層:100nm Pt又はTi, Cr, Ni, Pt, Au, W
- 導体層:1ミクロンAl又はCu, Au, Ag
- 誘電層:0.5ミクロンSiO2又はSiN
- ポリマー層:30ミクロンSU8若しくはBCB, 又は他のフォトポリマー
【0105】
加熱器及び温度センサのための抵抗体素子は、好ましくはPtのような同じ薄膜層でできている。温度検出素子にとっては、選択される金属の抵抗の温度係数(TCR)が十分に高いことが重要である。
【0106】
好ましくは、1ミクロンのアルミニウムの導体層が用いられる。
【0107】
金属の組み合わせは、SiN又はSiO2の薄膜誘電層と共存できるように選択されなければならない。
【0108】
マイクロチャネル及び構造は、MicroResist Technology社によって供給されるSU8のようなフォトポリマー、及び/又はDow Chemical社によって供給されるBCBフォトポリマーを用いた標準のフォトリソグラフィプロセスによって、好ましくはガラス又はプラスチックの基板上に作成される。
【0109】
アクチュエータ及びセンサを制御するために用いられる、ダイオードやトランジスタのような能動的な電気的機能は、従来技術において知られているように、低温ポリシリコン(LTPS)アクティブマトリクスLCD技術を用いて集積化されることができる。
【0110】
明細書を過度に長くすることなく包括的な開示を提供するために、出願人は、これによって、上記で参照した特許及び特許出願の各々を参照によって組み込む。
【0111】
上記の詳細な実施の形態における要素及び特徴の特定の組み合わせは、単なる例示であり、本願及び引用したものとする特許/出願の中の他の教示とのこれらの教示の交換及び置換が、同様に明白に意図される。当業者が認識するように、本願明細書において説明されたもののバリエーション、修正及び他の実施態様は、請求された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者が思いつくことができる。したがって、上記説明は単なる例であって、制限することは意図されない。本発明の範囲は、請求項及びその均等物において定められる。さらに、説明及び請求項中に用いられる引用符号は、請求される本発明の範囲を制限しない。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】第1の位置における流体輸送のための薄膜及びプランジャを有する微小流体装置の断面側面図。
【図2】流体がマイクロチャネルシステムに押し込まれて第2の位置に移動する、図1の微小流体装置の断面側面図。
【図3】図1の微小流体装置の部分断面平面図。
【図4】集積化PCRを有する微小流体装置及びその上での検出の模式図。
【図5】サンプル注入を伴う微小流体装置の断面側面図。
【図6】試剤貯蔵容器を有する微小流体装置の断面側面図。
【図7】試剤が吐出されてマイクロチャネルシステムに押し込まれる、図6の微小流体装置の断面側面図。
【図8a】エレクトロポレーションのための互いにかみ合わされた電極構造を有する微小流体装置の断面側面図。
【図8b】エレクトロポレーションのための互いにかみ合わされた電極構造を有する微小流体装置の断面平面図。
【図9a】PCRチャンバ並びに集積化された温度センサ及び加熱素子を有する微小流体装置の断面側面図。
【図9b】図9aの微小流体装置の部分断面平面図。
【図10】横方向流入ハイブリッド形成アレイを有する微小流体装置の断面側面図。
【図11】集積化された圧力センサを有する微小流体装置の断面側面図。
【図12a】集積化されたバイオセンサを有する微小流体装置の断面側面図。
【図12b】集積化されたバイオセンサを有する微小流体装置の断面平面図。
【図13】圧縮ガス及び減圧が、流体輸送を引き起こすように薄膜を駆動するために用いられる微小流体装置の断面側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に分子診断アプリケーションのための流体サンプルの分析のための微小流体装置であって、
その上に少なくとも1つのマイクロチャネル構造を備えた面を持つ基板、
少なくとも1つの検出、制御及び/又は処理素子、
前記流体サンプルを受け入れるための少なくとも1つの収容チャンバ、
少なくとも1つの薄膜、並びに
圧力及び/又は減圧生成手段を含む、前記薄膜の動きを駆動する少なくとも1つの装置を有し、
前記収容チャンバは、薄膜と前記基板との間に形成されることができ、
前記収容チャンバは、少なくとも1つのマイクロチャネルになめらかに接続され、
前記薄膜は、前記基板上に配置される少なくとも1つのマイクロチャネル構造の上面を耐漏出でおおい、それによって、前記薄膜の動きが、前記マイクロチャネル中の前記収容チャンバ中に位置する流体へのポンプ作用を引き起こし、及び/又は前記マイクロチャネル中に導かれる流体への弁作用を引き起こす、微小流体装置。
【請求項2】
前記マイクロチャネル構造がポリマー層、ガラス又はセラミック層中に形成され、前記マイクロチャネルを構成するポリマー層、ガラス又はセラミック層が、前記基板表面上に配置される、請求項1に記載の微小流体装置。
【請求項3】
前記薄膜が、少なくとも1つの支持板によって前記基板に取り付けられ、前記支持板が、プランジャを受け入れるのに適した、及び/又は、前記薄膜を駆動するための圧力若しくは減圧を適用するのに適した、少なくとも1つの孔、好ましくは複数の貫通孔を持つ、請求項1又は請求項2に記載の微小流体装置。
【請求項4】
内部に配置された試剤を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の微小流体装置。
【請求項5】
前記試剤が、前記流体サンプルと反応するのに適した固形試剤又はゲル状試剤である、請求項4に記載の微小流体装置。
【請求項6】
少なくとも1つのマイクロチャネルが試剤を収容する、請求項4又は請求項5に記載の微小流体装置。
【請求項7】
少なくとも1つの薄膜と少なくとも1つのマイクロチャネル構造との間に、少なくとも1つの熱及び/又は圧力による放出容器が配置され、前記容器は、処理領域に隣接して、及び/又はマイクロチャネルに隣接して配置され、前記容器は少なくとも1つの試剤を有する、請求項4に記載の微小流体装置。
【請求項8】
前記容器が、少なくとも1つの液状試剤を有する、請求項7に記載の微小流体装置。
【請求項9】
圧力による前記放出容器が、前記支持板の貫通孔の下で前記薄膜の下面に隣接して配置され、好ましくはプランジャにより、前記孔を通して前記薄膜の上面を圧力又は減圧にさらすことによって、前記放出容器が開かれるように、前記貫通孔の下端が前記薄膜の上面に隣接して配置される、請求項7に記載の微小流体装置。
【請求項10】
前記基板上に配置されるマイクロチャネルのアレイを持ち、前記マイクロチャネルの各々が薄膜によって液密に覆われ、前記薄膜が支持板によって取り付けられ、前記支持板が、各々のマイクロチャネルに対して少なくとも1つの貫通孔、好ましくは少なくとも2つの貫通孔を有し、好ましくは少なくとも2つのマイクロチャネルが有効に接続され、それにより、圧力又は減圧による、好ましくは前記プランジャによる、前記貫通孔の下端開口部に面する前記薄膜の領域の動きが、前記マイクロチャネル中の前記収容チャンバ中に位置する流体へのポンプ作用を引き起こし、又は前記マイクロチャネル中に導かれる流体への弁作用を引き起こす、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の微小流体装置。
【請求項11】
卵黄、血液、血清及び/若しくは血漿のような生化学的流体の分析を含む、化学分析、診断分析、医学分析及び/若しくは生物学的分析、
水、溶解土壌抽出物及び溶解植物抽出物の分析を含む、環境分析、
化学生産物、特に色素溶液又は反応溶液の分析を含む、反応溶液、分散及び/若しくは製剤分析、並びに/又は
品質保護分析、における請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の微小流体装置の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−526969(P2009−526969A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553878(P2008−553878)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050416
【国際公開番号】WO2007/093939
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】