説明

分子診断システム及び方法

【課題】抽出、増幅及び検出を行うことができる一体化された核酸検査カートリッジを提供する。
【解決手段】核酸分析を実施するための一体化された使い捨て装置であり、全て便利で携帯可能な様式での、細胞から得られる核酸の抽出、核酸の増幅及び核酸の検出のための自動化された装置及び方法、特に、看護の地点での医学的診断検査に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、抽出、増幅及び検出を一緒に行うことができる一体化された核酸検査カートリッジに関する。本発明は、核酸抽出のみ、又は抽出と増幅を組み合わせて行うための装置及び方法にも関する。さらに、本発明は、増幅と検出を組み合わせて行うための装置及び方法に関する。カートリッジには、光学的及び電気化学的検出法を可能にするなどの検知手段を装備することができ、標的核酸を試料から分離するために蝋又は吸収性フィルター抽出機構も装備し得る。カートリッジは、ポリメラーゼ連鎖反応、ローリングサークル増幅及び鎖置換増幅などの増幅の様々な方法を実施することが可能である。本発明は、選択される増幅方法に応じて、単一の修飾されたプライマー又は修飾されたプライマーの対を含む新規増幅方法及び試薬にも取り組む。さらに、本発明は、核酸検査中のアンプリコンからプライマーのための一体化された電気泳動分離を提供する。
【背景技術】
【0002】
核酸検査の重要性に対する一般的な背景
核酸検査の応用は広範である。現在の商業的検査の多くは、クラミジア、淋病、肝炎及びヒト免疫不全性ウイルス(HIV)ウイルス負荷などの感染性疾患、嚢胞性繊維症などの遺伝病、血色素症などの凝固及び血液学因子、並びに乳癌遺伝子などの癌に関する。興味が持たれるその他の領域には、心血管疾患及び薬理ゲノム学と名付けられた薬物耐性スクリーニングが含まれる。現在、検査の大半は、操作が複雑な非携帯性装置を用いて、集中管理方式の研究室で行われている。現在、検査は、一般的には、アッセイを実施するために高度な技術を身に付けた個人を必要とする。その結果、特異的な核酸断片を含有すると疑われる試料の取得と、その有無の測定との間に要する時間は、しばしば、数時間、時には数日にさえ及ぶ。しかしながら、血液検査の他の種類と同様、医師及びその他の者は、より迅速に、ユーザーが使いやすい便利な形式で取得できる結果を必要とすることが多い。従って、核酸検査を迅速且つ便利に実施することができる携帯分析システムに対する必要性が存在する。核酸検査の様々な態様に関する従来技術の論述は、以下の部に記載されている。
【0003】
遺伝情報を特徴付けるための方法
特定の遺伝的な特徴の臨床徴候は、遺伝を基礎とする疾患の異なる種類又はクラスに応じて異なり得る。これは、SNP変異検出、遺伝子コピー変異及び遺伝子過剰発現変異などの遺伝的な特徴を測定するための様々なアプローチに結び付いた。例えば、血色素症、嚢胞性繊維症又は発癌遺伝子p53などの幾つかの疾病は、特異的なヌクレオチドにのみ影響を与える1つ又は数個の極めて特異的な突然変異を有する。血色素症を考えると、2つの特異的突然変異が存在する。本疾病の臨床徴候は、様々な組織内への鉄の蓄積であり、これは治療しなければ致死的となり得る。最も多い変異は、遺伝子中のヌクレオチド845におけるGからAへの転位(C282Yとも称される。)である。U.S. National Center for Biologic Informationのインターネットサイトで見ることができるOMIM:Online Mendelian Inheritance in Manデータベースを参照されたい。同じ血色素症遺伝子中に、次に多く見られる突然変異は、エキソン2中のCからGへの塩基転換(H63Dとしても知られる。)である。これらは、一塩基多型(SNP)として知られる。全ての個体は各遺伝子の2コピーを有するので、これらの遺伝子の可能な組み合わせは2つの野生型(ホモ接合野生型)、2つの変異された遺伝子(ホモ接合変異体)又は1つの野生型及び1つの変異遺伝子(ヘテロ接合)である。血色素症の場合には、ホモ接合変異体である個体は病気の状態を呈し、ヘテロ接合の個体は、ホモ接合野生型の個体に比べて、鉄のより高いレベルを蓄積するので、本疾病の幾つかの側面に対して感受性が高い場合があり得る。また、個体がその子孫へ疾病を伝達するかどうかを決定する目的で、個体がヘテロ接合であることを決定できることは有用であり得る。
【0004】
その結果、血色素症のような遺伝病を検査する上で、分析手段又は検出用チャンネルを少なくとも4つ有し得ることは有用である。ここで、1つのチャンネルは野生型C282の存在を検出し、第二のチャンネルは変異体Y282遺伝子の存在を検出し、第三のチャンネルは、野生型H63遺伝子の存在を検出し、第四のチャンネルは変異体D63遺伝子の存在を検出する。図12は、この種の血色素症検査から得られ得る結果の表を表し、ホモ接合又はヘテロ接合を識別できること、及びホモ接合チャンネルはほぼ2倍の発現レベルを生じるため、検査におけるシグナルもほぼ2倍となっていることを示している。陽性及び陰性対照として使用するために1つ又はそれ以上のさらなるチャンネルを有することも有用であることに留意されたい。
【0005】
幾つかの遺伝的変異には、ゲノム中に存在し、患者に病気の状態をもたらす遺伝子の複数コピーが含まれる。一例として、20ql3.2の中にマッピングされた発癌遺伝子ZNF217が、大腸癌の個体中に複数コピーで発見されている(Rooney et al., 2004, J. Pathol. Vol 204(3):282)。α−シヌクレイン遺伝子(SNCA)の遺伝的三重重複が、認知症を伴う遺伝的早発性パーキンソン病を引き起こすことが報告されている(Chartier−Harlin et al., 2004, Lancet, vol 364(9440):1167)。「Yamashita et al., 2004, European Neurology, vol 52(2):101.,」は、運動神経細胞生存因子(SMN2)遺伝子の増加した遺伝子コピーに関連する成人期発症のIII型脊髄性筋萎縮症の増加が存在することを見出した。これらの遺伝子コピー突然変異は、ハウスキーピング遺伝子(例えば、アクチン又はグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)などの1つ又はそれ以上の必要とされる遺伝子を使用することによって検出することができる。過剰発現突然変異は、典型的には、mRNAの増加したレベルを生じ、これらは検出することが可能である。
【0006】
核酸の抽出のための方法及び装置
細胞中に見出される核酸は、デオキシリボ核酸又はリボ核酸であり得、並びにゲノムDNA、染色体外DNA(例えば、プラスミド及びエピソーム)、ミトコンドリアDNA、メッセンジャーRNA及び転移RNAであり得る。核酸は、宿主にとって外来性であってもよく、感染性因子(例えば、細菌、ウイルス、真菌又は単細胞生物及び感染性多細胞生物(寄生生物)として細胞に混入し得る。最近、一塩基多型(SNP)、染色体の再編成及び外来遺伝子の挿入の同定のために、核酸の存在の検出及び分析が重要となっている。これらには、感染性ウイルス(例えば、HIV及びその他のレトロウイルス)、ジャンピング遺伝子(例えば、トランスポゾン)及び組換え的に操作された外来遺伝子含有生物(例えば、Roundup ReadyTM植物)から得られる核酸の同定が含まれる。
【0007】
核酸の分析は、幅広い用途を有する。例えば、外来因子の存在は、医学的診断ツールとして使用することが可能である。癌組織の遺伝的構成の同定は、医学的診断ツールとして使用することが可能であり、組織が癌であることを確認し、及び癌組織の浸潤性を決定する。染色体の再編成、SNP及び遺伝子発現の異常な変化は、特定の疾病状態に対する医学的診断として使用することが可能である。さらに、遺伝情報は、特定の医薬の有効性を確かめるために使用することが可能であり、薬理ゲノム学の分野として知られている。ヒト間及び家畜間での遺伝的変動は、DNA分析によって確かめることもできる。これは、法医学、父子鑑定及び畜産業などの分野で使用されている。
【0008】
細胞から核酸を抽出する方法は、当業者に周知である。細胞壁は、様々な方法によって弱化させることができ、核酸を細胞から押し出すことを可能とし、核酸のさらなる精製及び分析を可能とする。核酸抽出の具体的な方法は、単離されるべき核酸の種類、細胞の種類及び核酸を分析するために使用される具体的な用途に依存する。DNAを単離する多くの方法が当業者に公知であり、例えば、一般的な参考文献である「Sambrook and Russell, 2001, “Molecular Cloning:A Laboratory Manual”」を参照されたい。例えば、従来技術には、体液からDNAを抽出及び単離するための化学的に含浸され及び脱水された固体基材の例が含まれ、本固体基材は、溶解性の塩及び界面活性剤を使用し、並びにDNA試料の長期保存のためのさらなる試薬を含有する。例えば、FTAペーパーについて詳述する米国特許第5,807,527号及びIsocard Paperについて詳述する米国特許第6,168,922号。従来技術には、粒子分離方法の例(例えば、US RE37,891)も含まれる。
【0009】
RNA、特にメッセンジャーRNA(mRNA)を単離する方法は、当業者に周知である。典型的には、細胞破壊は、RNA単離操作中にRNAseを不活化する強いタンパク質変性溶液の存在下で行われる。次いで、RNAは、遠心を用いた差異的エタノール沈殿を用いて単離される。周知のごとく、RNAは極めて脆弱であり、アルカリ条件及びRNAを分解するRNAseに対して感受性である。RNAseは環境内に遍在しており、RNAを単離するために使用される溶液及び容器からRNAを除去するのは困難であることが明らかとなっている。
【0010】
核酸の増幅のための方法及び装置
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、組織試料の数多くの種類からのゲノムDNAの精製の標準的方法中に持ち込まれる多数のタンパク質及び他の夾雑物によって阻害される。血液からゲノムDNA試料中のPCR阻害剤を除去するために、フェノール、クロロホルム及びエーテルを用いた有機抽出又はカラムクロマトグラフィー又は勾配CsCl超遠心のさらなる工程を行い得ることが知られている。しかしながら、これらの工程は、時間、複雑さ及び費用を増加させる。この複雑さにより、核酸分析に有用な単純な使い捨てカートリッジへの導入が制約される。従って、核酸増幅過程のために使用される核酸試料中に見出される阻害剤を克服するための新しい単純な方法の開発が望まれる。
【0011】
核酸ハイブリダイゼーションは、標的核酸分子についての識別可能な特徴を検出するために使用される。「サザン分析」のような技術が、当業者に周知である。標的核酸は、電気泳動で分離された後、膜に結合される。 次いで、標識されたプローブ分子は、本分野で周知の技術を用いて、膜に結合された核酸にハイブリダイズされる。検出の感度は標的材料の量及びプローブの特異的活性に依存するので、本方法には限界がある。プローブの特異的活性は不変であり得るので、これらのアッセイの感度を向上させるために、核酸を増幅する方法が使用される。核酸増幅技術については、標的コピーの数を増幅した後に検出の感度を増加させるか、又は検出のために生じたシグナルを増加するために核酸の存在を使用するという2つの基本的な戦略が使用される。第一のアプローチの例は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル(米国特許第5,854,033号参照)及び核酸系に基づく増幅(NASBA;nucleic acid system based amplification)である。第二の例には、CPRと呼ばれるサイクリングプローブ反応(米国特許第4,876,187号及び米国特許第5,660,988号参照)及びSNPアーゼアッセイ、例えば、Mismatch Identification DNA Analysis System(米国特許第5,656,430号及び米国特許第5,763,178号を参照)が含まれる。
【0012】
PCR反応は当業者に周知であり、米国特許第4,683,195号に最初に記載された。本方法は、核酸を変性すること、ハイブリダイゼーション工程及び伸長工程の反復サイクルを含み、核酸試料及び試薬の温度の変化させることによって実施される。異なる温度へ試料を供する本方法は、異なる温度の水槽中にチューブを配置することにより、又は米国特許第5,333,675号及び米国特許第5,656,493号に記載されているように、電流の方向に応じて加熱若しくは冷却を生成することができるペルチェを基礎とした装置を使用することにより実施することができる。多くの市販の温度サイクル装置が入手可能であり、例えば、Perkin Elmer、Applied Biosystems及びEppendorfによって販売されている。これらの装置は一般的に大きく且つ重いので、非研究室環境、例えば看護の場所で使用するには一般に適していない。
【0013】
ポリメラーゼ連鎖反応を実施するための微細加工された装置が米国特許第5,639,423号に記載されているが、核酸を抽出するための一体化された手段を提供することに関しては触れていない。ポリメラーゼ連鎖反応を実施するための装置が米国特許第5,645,801号に記載されており、該装置は検出用チャンバーに対して密閉可能な様式で結合することが可能な増幅チャンバーを有する。米国特許第5,939,312号は、小型化されたマルチチャンバーポリメラーゼ連鎖反応装置を記載している。米国特許第6,054,277号は、増幅及び検出用の、シリコンを基礎とした小型遺伝検査プラットフォームを記載している。ポリマーをベースとした増幅反応用加熱コンポーネントが米国特許第6,436,355号に記載されている。米国特許第6,303,288号は、増幅用試薬を含有する破裂可能な小袋を有する増幅及び検出システムを記載している。米国特許第6,372,484号は、一体化された装置中でポリメラーゼ連鎖反応並びにこれに続くキャピラリー電気泳動分離及び検出を実施するための装置を記載している。
【0014】
反応が単一温度で実施されるという点でPCR反応とは異なる幾つかの核酸増幅技術が存在する。これらの等温法には、プローブ反応、鎖置換、InvaderTM、SNPアーゼ、ローリングサークル反応及びNASBAを繰り返すことが含まれる。米国特許第6,379,929号は、等温核酸増幅反応を実施するための装置を記載している。
【0015】
より最近では、等温的にポリメラーゼ連鎖反応を実施するための戦略が「Vincent et al., 2004, EMBO Reports, vol 5(8)」によって記載されており、米国特許出願20040058378号も参照されたい。PCR DNA増幅を実施するために試料を加熱することの制約を克服するためにDNAヘリカーゼ酵素が使用される。
【0016】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に使用される酵素
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、幾つかの中核的特徴を示すDNAポリメラーゼ酵素の能力に基づいており、この能力には、3’−ヒドロキシル基を有するプライマー及びDNAテンプレート配列を使用する能力及びテンプレート鎖を用いてDNAの新たに合成された鎖を伸長する能力が含まれ、全て当業者に周知である。さらに、PCR反応において使用されるDNAポリメラーゼは、二本鎖DNAテンプレートを変性するために使用される高温(例えば90ないし99℃)に耐えることができなければならず、及びDNAプライマーがDNAテンプレートにハイブリダイズするより低い温度(例えば、40ないし60℃)で不活性でなければならない。さらに、ハイブリダイゼーション温度(例えば、60ないし80℃)に近い温度で最適なDNA合成を有すること。
【0017】
さらに、これらの中核的な特徴に加え、DNAポリメラーゼは、多くのDNAポリメラーゼに固有の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に起因する校正能力も示す。末端の3’ヌクレオチドが標準的な核酸プライマーから切り出され、両対立遺伝子の合成が可能となるので、PCRを用いた識別的プライマー伸長(3’対立遺伝子特異的プライマー伸長とも称される。)に基づく一塩基多型(SNP)検出においては、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を示す酵素を使用することは不利である。
【0018】
「Zhang et al., (2003, Laboratory Investigation, vol 83(8):1147)」は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に対して使用されるDNAポリメラーゼの制約を克服するための、末端ホスホロチオアート結合の使用について記載している。ホスホロチオアート結合は、3’−5’エキソヌクレアーゼによって切断されない。これにより、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼは末端のミスマッチの除去及びDNA伸長を伴う進行、正常なDNAで観察される区別の欠如の軽減ができなくなる。
【0019】
DNAポリメラーゼの別の特徴は、それらの伸長速度である。「Takagi et al., (1997, Applied and Environmental Microbiology, vol 63(11):4504)」は、ピロコッカス種の株KOD1(現在、サーモコッカス・コダカラエンシス(Thermococcus kodakaraensis)KOD1)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、Deep Vent(New England Biolabs, Beverly, MA)及びサーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)が、それぞれ、106ないし138、25、23及び61塩基/秒の伸長速度を有することを教示する。これらの酵素の加工速度も記載されており、伸長速度と同様に挙動する。明らかに、サーモコッカス・コダカエレンシス(Thermococcus kodakaerensis)KOD1は、他の周知の酵素に比べて、ずっと高い伸長及び加工速度を有しており、このため、感度と速度が重要事項である用途において、本酵素は有益なものとなる。さらに、サーモコッカス・コダカエレンシス(Thermococcus kodakaerensis)KOD1は、SNP分析に対して使用される3’−対立遺伝子特異的プライマー伸長アッセイにおいて使用する場合に有害であるエキソヌクレアーゼ活性を有している。
【0020】
合成オリゴヌクレオチドの設計
増幅反応において使用するための合成オリゴヌクレオチドの設計に関しては、「Rychlik et al., (1989, Nucleic Acids Research, vol 17(21):8543−8551)」及び「Rychlik (1995, Molecular Biotechnology, vol 3:129−134)」は、DNAのインビトロ増幅用プライマーなどの、プローブ及びプライマーを設計するための選択基準及びコンピュータプログラムについて記載さしている。何れも、プライマーは、二次構造を生成すべきでなく、又は自己ハイブリダイゼーションを示すべきでないことを教示している。
【0021】
分子ビーコンとして設計されたPCRプライマー(Bonnet et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol 96:6171−6176)は、ドナー及び消光分子を互いに物理的に近接して配置することによって蛍光シグナルを消光するために、ヘアピンループ構造として知られる相補的な生成である短い領域を5’及び3’両末端に有する。重合及び新たに合成された2本鎖分子中への取り込み後、ドナー分子及び消光分子は、互いに物理的に離れて、蛍光シグナルの生成が可能となる。相補性の領域は短く、典型的には、相補的である約5ヌクレオチドを有するに過ぎず、好ましくはヘアピンステムを生成する。「Tsourkas et al., 2003, Nucleic Acids Research, vol 31(4):1319−1330」は、より長いステム長を有する分子ビーコンが、より広い温度範囲にわたって、標的間を識別する向上した能力を有することを教示している。しかしながら、これには、分子ビーコン−標的ハイブリダイゼーションの速度の減少が伴う。より長いプローブ長を有する分子ビーコンは、より低い解離定数、増加した速度論的速度定数及び減少した特異性を有する傾向がある。従って、より長いステムループを有することは、ハイブリダイゼーション速度論の効率性を低下させる影響を有しており、次いで、これは、PCR増幅のレベルを低下させる。従って、ステムループ構造を使用するPCRは、一般的には、本分野において望ましくない。「Kaboev et al., (2000, Nucleic Acids Research, vol 28(21):e94)」は、3’末端に対して相補的であるプライマーの5’末端に追加配列を付加することによって、ステムループ構造を有するPCRプライマーを設計することを教示している。本参考文献は、この二次構造を追加することがPCR反応の特異性を増加させるが、一本鎖尾部の生成を可能とするPCRプライマーを使用することも教示している。さらに、Kaboevは、二次構造の生成が一本鎖領域の捕捉部分へのハイブリダイゼーションを妨害することを教示していない。
【0022】
検出方法
核酸分析中の最後の工程のための慣用の検出方法が本分野において周知であり、放射能、比色分析、蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)及び電気化学に基づくサンドイッチ型の捕捉方法が含まれる。例えば、共有米国特許第5,063,081号は、核酸検出用センサーを取り上げている。本センサーは、電極上に選択透過性の層及び固定化された捕捉オリゴヌクレオチドを有するタンパク質性のパターン化された層を有する。オリゴヌクレオチドは、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、これらの活性な断片又はサブユニット又は一本鎖であり得る。核酸を固定化するためのカップリング手段は、固定化された核酸プローブが試料中の相補的標的配列に結合する方法とともに記載されている。
【0023】
検出は、好ましくは、電気化学的であり、標的の異なる領域にも結合する標識されたプローブに基づく。あるいは、DNA結合タンパク質とともに、プローブ及びポリヌクレオチド配列によって形成されるハイブリッドに対する固定化された抗体を使用することが可能である。’081特許は、センサーを用いて試料中でアッセイを実施するための使い捨てカートリッジを取り上げる共有米国特許第5,096,669号を参照により組み込む。これらのセンサーは、’081に記載されている種類のセンサーであり得る。
【0024】
’081に関連する他の分割特許には、核酸成分であり得るリガンド受容体で被覆された選択透過性膜を用いて複数のセンサーを製造する方法を取り上げている米国特許第5,200,051号が含まれる。米国特許第5,554,339号は、分配のための、フィルム形成ラテックス又はタンパク質性の光形成可能なマトリックス中に核酸成分が取り込まれる、微量分配を取り上げる。米国特許第5,466,575号は、フィルム形成ラテックス又はタンパク質性の光形成可能なマトリックス中に取り込まれた核酸成分を有するセンサーを作製するための方法を取り上げる。米国特許第5,837,466号は、核酸成分などのセンサー成分を用いてリガンドをアッセイするための方法を取り上げる。例えば、標的がセンサー上の受容体に結合し、及び標識されたプローブによっても標的が結合される定量的オリゴヌクレオチドアッセイが記載されている。本標識は、センサー、例えば電気化学的センサーによって検出されるシグナルを生成することが可能である。米国特許第5,837,454号は、核酸成分であり得るリガンド受容体で被覆された選択透過性膜を用いて複数のセンサーを製造する方法を取り上げる。最後に、共有米国特許第5,447,440号は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドに対して適用可能な凝固アフィニティーに基づくアッセイを取り上げる。これらの共有特許は、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0025】
共有米国特許第5,609,824号は、試料(例えば、血液)を37℃になるように温度制御するために適用することができる使い捨てカートリッジ内で使用するための温度制御されたチップを開示していることは注目に値する。共有米国特許第6,750,053号及び係属中の米国特許公開20030170881は、DNA分析を含む様々な検査に適した使い捨てカートリッジの機能的流動性要素について取り組む。これらの更なる共有特許及び出願は、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0026】
幾つかの他の特許は、核酸の電気化学的検出に取り組んでおり、例えば、米国特許第4,840,893号は、媒介物質、例えばフェロセンを使用する酵素標識を用いた検出を開示している。米国特許第6,391,558号は、電圧パルスの終了時に電極によってレポーター基が検出され、レポーター基が電極上の金粒子及びビオチン固定化を使用する、標的へ結合する電極上の一本鎖DNAを開示している。米国特許第6,346,387号は、別の媒介物質アプローチを開示しているが、遷移金属媒介物質が通過することができる電極上に膜層を有する。米国特許第5,945,286号は、インターカレート分子を用いた電気化学に基づいている。米国特許第6,197,508号は、負の電圧に続いて正の電圧を用いて2本鎖を形成するために、核酸の一本鎖をアニールすることについて開示している。類似の特許には、二本鎖DNAの電気化学的変性を開示する米国特許第5,814,450号、米国特許第5,824,477号、米国特許第5,607,832号及び米国特許第5,527,670号が含まれる。米国特許第5,952,172号及び米国特許第6,277,576号は、酸化還元基で直接標識されたDNAを開示している。
【0027】
幾つかの特許は、核酸分析を実施するための、カートリッジを基礎とした装備又は装置の考案について取り組んでおり、これらには、例えば、変性装置(米国特許第6,485,915号)、一体化された流体操作カートリッジ(米国特許第6,440,725号)、微少流体システム(米国特許第5,976,336号)並びに分離及び増幅用マイクロチップ(米国特許第6,589,742号)が含まれる。
【0028】
先述の記載に基づき、核酸検査を実施することができる便利で、携帯可能な分析システムに対する要求が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】米国特許第5,807,527号明細書
【特許文献2】米国特許第6,168,922号明細書
【特許文献3】米国再発行特許発明第37,891号明細書
【特許文献4】米国特許第5,854,033号明細書
【特許文献5】米国特許第4,876,187号明細書
【特許文献6】米国特許第5,660,988号明細書
【特許文献7】米国特許第5,656,430号明細書
【特許文献8】米国特許第5,763,178号明細書
【特許文献9】米国特許第4,683,195号明細書
【特許文献10】米国特許第5,333,675号明細書
【特許文献11】米国特許第5,656,493号明細書
【特許文献12】米国特許第5,639,423号明細書
【特許文献13】米国特許第5,645,801号明細書
【特許文献14】米国特許第5,939,312号明細書
【特許文献15】米国特許第6,054,277号明細書
【特許文献16】米国特許第6,436,355号明細書
【特許文献17】米国特許第6,303,288号明細書
【特許文献18】米国特許第6,372,484号明細書
【特許文献19】米国特許第6,379,929号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2004/0058378号明細書
【特許文献21】米国特許第5,063,081号明細書
【特許文献22】米国特許第5,096,669号明細書
【特許文献23】米国特許第5,200,051号明細書
【特許文献24】米国特許第5,554,339号明細書
【特許文献25】米国特許第5,466,575号明細書
【特許文献26】米国特許第5,837,466号明細書
【特許文献27】米国特許第5,837,454号明細書
【特許文献28】米国特許第5,447,440号明細書
【特許文献29】米国特許第5,609,824号明細書
【特許文献30】米国特許第6,750,053号明細書
【特許文献31】米国特許出願公開第2003/0170881号明細書
【特許文献32】米国特許第4,840,893号明細書
【特許文献33】米国特許第6,391,558号明細書
【特許文献34】米国特許第6,346,387号明細書
【特許文献35】米国特許第5,945,286号明細書
【特許文献36】米国特許第6,197,508号明細書
【特許文献37】米国特許第5,814,450号明細書
【特許文献38】米国特許第5,824,477号明細書
【特許文献39】米国特許第5,607,832号明細書
【特許文献40】米国特許第5,527,670号明細書
【特許文献41】米国特許第5,952,172号明細書
【特許文献42】米国特許第6,277,576号明細書
【特許文献43】米国特許第6,485,915号明細書
【特許文献44】米国特許第6,440,725号明細書
【特許文献45】米国特許第5,976,336号明細書
【特許文献46】米国特許第6,589,742号明細書
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】Rooney et al.,2004,J.Pathol.Vol 204(3):282
【非特許文献2】Chartier−Harlin et al.,2004,Lancet,vol 364(9440):1167
【非特許文献3】Yamashita et al.,2004,European Neurology,vol 52(2):101
【非特許文献4】Sambrook and Russell,2001,“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”
【非特許文献5】Vincent et al.,2004,EMBO Reports,vol 5(8)
【非特許文献6】Zhang et al.,(2003,Laboratory Investigation,vol 83(8):1147)
【非特許文献7】Takagi et al.,(1997,Applied and Environmental Microbiology,vol 63(11):4504)
【非特許文献8】Rychlik et al.,(1989,Nucleic Acids Research vol 17(21):8543−8551)
【非特許文献9】Rychlik (1995,Molecular Biotechnology,vol 3:129−134)
【非特許文献10】Bonnet et al.,1999,Proc. Natl.Acad.Sci. USA,vol 96:6171−6176
【非特許文献11】Tsourkas et al.,2003,Nucleic Acids Research,vol 31(4):1319−1330
【非特許文献12】Kaboev et al.,(2000,Nucleic Acids Research,vol 28(21):e94)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
発明の目的
本発明の目的は、抽出、増幅及び検出を行うことができる一体化された核酸検査カートリッジを提供することである。
【0032】
本発明のさらなる目的は、光学的及び電気化学的検出を有する一体化された核酸検査カートリッジを提供することである。
【0033】
本発明のさらなる目的は、フィルター抽出に基づく、又は水性流体と非混和性の層を通じた粒子輸送に基づく抽出工程を有する一体化された核酸検査カートリッジを提供することである。
【0034】
本発明のさらなる目的は、抽出及び増幅を行うことができる一体化された核酸検査カートリッジを提供することである。
【0035】
本発明のさらなる目的は、増幅及び検出を行うことができる一体化された核酸検査カートリッジを提供することである。
【0036】
本発明の目的は、リーダー装置と共同で作動する一体化された核酸検査用カートリッジを提供することである。
【0037】
本発明の目的は、ベッドサイド、医師の職場及び伝統的に検査が実施される研究室環境から離れたその他の場所で実施される分析に適した、一体化された核酸検査システム及び方法を提供することである。
【0038】
本発明の目的は、水性流体と非混和性である層を通じた粒子輸送を含む精製工程を有する試料から核酸を抽出する装置及び方法を提供することである。
【0039】
本発明の目的は、増幅前に溶出工程を有する、フィルターを基礎とする試料からの核酸抽出の装置及び方法を提供することである。
【0040】
本発明の目的は、遺伝的分析を行うための装置中に組み込むのに適した試料から核酸を分離するための単純な方法及び構成要素を提供することである。
【0041】
本発明の目的は、核酸検査カートリッジと統合可能な、増幅後におけるアンプリコンからのプライマーの電気泳動分離を提供することである。
【0042】
本発明の目的は、最短時間で多くの合成を与えるDNAポリメラーゼ酵素、従って、100塩基/秒を超える伸長速度又は300塩基を超える加工速度を有するDNAポリメラーゼを提供することである。
【0043】
本発明の別の目的は、短い期間に、小型サーモサイクラー装置中において機能するDNAポリメラーゼ酵素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0044】
本発明は、核酸分析を実施するための一体化された使い捨て装置であり、(a)収容部と;(b)標的核酸を含有すると疑われる試料を受容するための入口と;(c)標的核酸を抽出するための試薬を含有する、前記入口に作動可能に接続された第一のチャンバーと;(d)増幅条件を制御するための加熱手段及び温度検知手段を含む増幅チャンバー中を抽出された核酸が通過できるようにする第一の伝導路と;(e)前記増幅チャンバーへ作動可能に連結されており、及び固定化された捕捉オリゴヌクレオチドを有する検知領域を含有する第二の伝導路と、を含み、前記収容部が、(i)検出可能な標識を増幅された核酸標的中に取り込むことができる増幅試薬と、及び(ii)前記増幅された核酸標的を前記検知領域へ移動させて、前記増幅された標的の前記捕捉オリゴヌクレオチドへの結合を可能とするための手段を含有し、並びに前記第二の伝導路が、前記検知領域から捕捉されていない増幅された標的を実質的に排除することができる流体を含有し、及び前記検知領域中に保持された前記検出可能な標識を検知することができる保持チャンバーへ作動可能に取り付けられている、前記装置を含む。
【0045】
好ましい実施形態において、本発明は、核酸分析を実施するための一体化された使い捨て装置であり、(a)収容部と;(b)標的核酸を含有すると疑われる試料を受容するための入口と;(c)第一のチャンバー中に位置する磁気ビーズ上に標的核酸を抽出するための試薬を含有する、前記入口へ作動可能に接続された第一のチャンバーと(前記第一のチャンバーは、第一のチャンバー及び第一の伝導路の領域中に実質的に連続した蝋又は油ろ過層を形成するための蝋又は油ろ過材料も含有し、抽出された標的核酸を伴う磁気ビーズは、付与された磁場を用いることにより、蝋層を通して第一の伝導路中に通過することができ、前記第一の伝導路は、標的核酸及びビーズの増幅チャンバー中への通過を可能とし、前記収容部は、検出可能な標識を増幅された核酸標的中に取り込むことが可能な増幅試薬を含有し;前記増幅チャンバーは増幅条件を調節するための加熱手段及び温度検知手段を有する。)、(d)前記増幅チャンバーへ作動可能に連結されており、及び固定化された捕捉オリゴヌクレオチドを有する検知領域を含有する第二の伝導路と、を含み、(i)前記収容部が、前記増幅された標的を前記検知領域へと移動させて、前記捕捉オリゴヌクレオチドへの前記増幅された標的の結合を可能とする手段を含み、及び(ii)前記第二の伝導路が、捕捉されていない増幅された標的を検知領域から実質的に排除することができる流体を含有し、及び前記検知領域中に保持された検出可能な標識の光学的検知を可能とする保持チャンバーへ作動可能に取り付けられている、前記装置を含む。
【0046】
本発明は、好ましい組織源として血液を使用したときに、ゲノムDNAからPCR反応の公知の阻害剤を除去するための新規抽出操作を示す。本操作は、十分に単純であるので、典型的な研究室環境の外部で遺伝的分析を行うための装置中に組み込むことが可能である。この新規操作は市販のキット由来の構成要素を使用することが可能であるが、抽出過程の時間を著しく簡略化し、低減する新規プロトコールが開示されている。新規プロトコールは、看護の場所での迅速な核酸診断検査のための全血の初期プロセッシングに対して容易に適合させることが可能である。
【0047】
本発明の装置及び方法は、化学的に含浸された固体基材技術を、時間を都合よく最小限に抑えるためのろ過装置及び低容量の体液から得られたゲノムDNAの増幅可能な量を抽出するための資源に結合することによって、既存の技術水準を著しく向上させる。 上述のように、本技術は、DNA単離、増幅及び検出のための使い捨て可能なカートリッジ装置で使用するのに特に適している。
【0048】
本発明は、とりわけ、看護の地点での診断検査のための機会を増大させる、すなわち、血液又は口腔細胞などの利用しやすい少量の体液を用いて、迅速、安価且つ便利な検査に取り組む。
【0049】
体液、好ましくは血液又は口腔綿棒から、10−40μLの容積で、増幅可能なゲノムDNA試料を抽出及び単離するための信頼性が高く、再現性のある装置及び方法が、磁気粒子分離及びフィルター結合に基づいて開示されている。これらの装置及び方法は、抽出のみのために個別に、または検査装置中に組み込まれて使用され得る。
【0050】
特定の実施形態において、本発明は、好ましい組織源として血液を使用したときに、ゲノムDNAからPCR反応の公知の阻害剤を除去するための新規抽出手順を示す。本操作は、典型的な研究室環境の外部で遺伝的分析を行うための装置中に統合できるほど十分に単純である。この新規操作は市販のキット由来の構成要素を使用することが可能であるが、抽出過程の時間を著しく簡略化し、低減する新規プロトコールが開示されている。新規プロトコールは、看護の場所での迅速な核酸診断検査のための全血の初期プロセッシングに対して容易に適合させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、溶解緩衝液層、蝋層及び磁気ビーズを用いた、チューブ中での核酸精製を示している。
【図2】図2は、ビーズなし及びビーズあり、並びに血液あり及び血液なしのPCR産物、並びに精製されたDNA対照のポリアクリルアミドゲルを示している。
【図3】図3は、ビーズ及び血液ありのPCR産物のポリアクリルアミドゲルを示している。
【図4A】図4(a)−(d)は、フィルター支持装置の異なる投影図を示している。
【図4B】図4(a)−(d)は、フィルター支持装置の異なる投影図を示している。
【図4C】図4(a)−(d)は、フィルター支持装置の異なる投影図を示している。
【図4D】図4(a)−(d)は、フィルター支持装置の異なる投影図を示している。
【図5】図5は、フィルターから単離された口腔綿棒標本試料のPCR増幅を示している。
【図6】図6は、一体化された使い捨て装置及び機器とのその相互作用の幾何学的表示を示している。
【図7A】図7(a)は、PCR増幅法の模式図を示しており、図7(b)は自己アニーリングプライマーなしでのPCR増幅の模式図を示しており、及び図7(c)は自己アニーリングプライマーを用いたPCR増幅の模式図を示している。
【図7B】図7(a)は、PCR増幅法の模式図を示しており、図7(b)は自己アニーリングプライマーなしでのPCR増幅の模式図を示しており、及び図7(c)は自己アニーリングプライマーを用いたPCR増幅の模式図を示している。
【図7C】図7(a)は、PCR増幅法の模式図を示しており、図7(b)は自己アニーリングプライマーなしでのPCR増幅の模式図を示しており、及び図7(c)は自己アニーリングプライマーを用いたPCR増幅の模式図を示している。
【図8A】図8(a)は、PCR+抱合体及び抱合体単独に対する典型的な経時電流測定の出力を示しており、図8(b)は、対照+抱合体及び抱合体のみに対する典型的な経時電流測定の出力を示している。
【図8B】図8(a)は、PCR+抱合体及び抱合体単独に対する典型的な経時電流測定の出力を示しており、図8(b)は、対照+抱合体及び抱合体のみに対する典型的な経時電流測定の出力を示している。
【図9A】図9(a)は、異なるアンプリコン濃度の経時電流測定を示し、図9(b)は、定常状態電流シグナル対アンプリコン数のプロットを示している。
【図9B】図9(a)は、異なるアンプリコン濃度の経時電流測定を示し、図9(b)は、定常状態電流シグナル対アンプリコン数のプロットを示している。
【図10】図10は、ローリングサークル増幅(RCA)に対する模式図を示している。
【図11】図11は、鎖置換増幅(SDA)に対する模式図を示している。
【図12A】図12(a)−(b)は、核酸検査用使い捨て装置中に組み込むための電気泳動構成要素の2つの投影図を示している。
【図12B】図12(a)−(b)は、核酸検査用使い捨て装置中に組み込むための電気泳動構成要素の2つの投影図を示している。
【図13A】図13(a)−(g)は、核酸検査用使い捨て装置中に組み込むための構成要素を用いた電気泳動分離を示している。
【図13B】図13(a)−(g)は、核酸検査用使い捨て装置中に組み込むための構成要素を用いた電気泳動分離を示している。
【図13C】図13(a)−(g)は、核酸検査用使い捨て装置中に組み込むための構成要素を用いた電気泳動分離を示している。
【図13D】図13(a)−(g)は、核酸検査用使い捨て装置中に組み込むための構成要素を用いた電気泳動分離を示している。
【図13E】図13(a)−(g)は、核酸検査用使い捨て装置中に組み込むための構成要素を用いた電気泳動分離を示している。
【図13F】図13(a)−(g)は、核酸検査用使い捨て装置中に組み込むための構成要素を用いた電気泳動分離を示している。
【図13G】図13(a)−(g)は、核酸検査用使い捨て装置中に組み込むための構成要素を用いた電気泳動分離を示している。
【図14】図14は、第二の電気泳動ゲルによって確認された、核酸検査用使い捨て装置中に組み込むための構成要素(図13に示されている)を用いたプライマー及びアンプリコンの電気泳動分離を示している。
【図15】図15は、CLAM様の特徴を欠くオリゴヌクレオチドプライマーを示している。
【図16A】図16(a)は、CLAM1プライアマーを示しており、図16(b)はCLAM2プライマーを示している。
【図16B】図16(a)は、CLAM1プライアマーを示しており、図16(b)はCLAM2プライマーを示している。
【図17A】図17(a)は、光学的センサーが装置中に一体化された光学的検出に基づく使い捨てカートリッジを示しており、図17(b)は、検知領域が光源による検出を可能とするキュベット機構であり、及び装置中に一体化された検出装置である、光学的使い捨てカートリッジを示している。
【図17B】図17(a)は、光学的センサーが装置中に一体化された光学的検出に基づく使い捨てカートリッジを示しており、図17(b)は、検知領域が光源による検出を可能とするキュベット機構であり、及び装置中に一体化された検出装置である、光学的使い捨てカートリッジを示している。
【図18】図18は、核酸検査用使い捨てカートリッジ中に組み込まれたフィルター領域を含有する抽出装置を示している。
【図19】図19は、増幅及び検出要素と合体させることができる分離した抽出要素を有する2つの部分からなるカートリッジを示している。
【図20】図20は、抽出及び増幅要素と合体させることができる分離した検出要素を有する2つの部分からなるカートリッジを示している。
【図21A】図21(a)は、分離された状態にあるカートリッジと装置を示しており、図21(b)は装置中に挿入されたカートリッジを示している。
【図21B】図21(a)は、分離された状態にあるカートリッジと装置を示しており、図21(b)は装置中に挿入されたカートリッジを示している。
【図22】図22は、光学的検出化学の例を示している。
【図23】図23は、シリコンチップが抽出及び増幅チャンバーを形成する壁の一つを与える抽出及び増幅要素を示している。
【図24】図24は、増幅後に未使用プライマーの電気泳動分離を有する使い捨て装置を示している。
【図25A】図25(a)−(b)は、さらなる増幅及び検出のための「誘発現象」を生成する切断反応を示している。
【図25B】図25(a)−(b)は、さらなる増幅及び検出のための「誘発現象」を生成する切断反応を示している。
【図26】図26は、変異及び野生型SNP配列を識別するPCR増幅法の模式図を示している。
【図27】図27は、血色素症検査から得られる可能性があるシグナルの結果の表を示している。
【図28A】図28(a)−(b)は、PCRチャンバーに口腔試料を直接付与するための口腔試料装置の2つの図を示している。この抽出及び増幅装置は、検出カートリッジに取り付ける。
【図28B】図28(a)−(b)は、PCRチャンバーに口腔試料を直接付与するための口腔試料装置の2つの図を示している。この抽出及び増幅装置は、検出カートリッジに取り付ける。
【図29A】図29(a)−(b)は、対照オリゴヌクレオチドの量に比べて増加するシグナルの比較を示している。
【図29B】図29(a)−(b)は、対照オリゴヌクレオチドの量に比べて増加するシグナルの比較を示している。
【図30A】図30(a)−(b)は、野生型と血色素症の変異SNP配列を識別するカートリッジの能力を示している。
【図30B】図30(a)−(b)は、野生型と血色素症の変異SNP配列を識別するカートリッジの能力を示している。
【図31】図31は、ExoI酵素が、約6−7ヌクレオチド長まで分子量を低下させることができる活性な3’−>5’エキソヌクレアーゼであることを示す32P放射線標識された合成オリゴヌクレオチドのオートラジオグラフを示している。
【図32A】図32(a)は、10%非変性ポリアクリルアミドゲルを用いて、wt/mutDNAテンプレートを識別するホスホロチオアートプライマーを用いるPCRを示している。各ウェル中に負荷された6μL試料+1.6μLのLD−>6μL(45分のSYBR Gold染色、光陰性、実験HFE84−2、Thyb68℃。7つのカラムには、以下のように負荷した。1野生型DNAテンプレートとともに存在する野生型選択的なPCRプライマー、予想される約150bpのバンドを生成する;2変異体DNAテンプレートとともに存在する野生型選択的PCRプライマー、予想される約150bpのバンドを生成しない;3 10塩基対のラダー、100、330及び1660塩基に顕著なバンド;4野生型DNAテンプレートとともに存在する変異体選択的PCRプライマー、予想される約150bpのバンドを生成しない;5変異体DNAテンプレートとともに存在する変異体選択的PCRプライマー、予想される約150bpのバンドを生成する;6 10塩基対のラダー、100、330及び1660塩基に顕著なバンド並びに7 野生型DNAテンプレートとともに存在する両選択的PCRプライマー、一切バンドを生成しない。図32(b)は、関連する経時電流測定プロットを示している。
【図32B】図32(a)は、10%非変性ポリアクリルアミドゲルを用いて、wt/mutDNAテンプレートを識別するホスホロチオアートプライマーを用いるPCRを示している。各ウェル中に負荷された6μL試料+1.6μLのLD−>6μL(45分のSYBR Gold染色、光陰性、実験HFE84−2、Thyb68℃。7つのカラムには、以下のように負荷した。1野生型DNAテンプレートとともに存在する野生型選択的なPCRプライマー、予想される約150bpのバンドを生成する;2変異体DNAテンプレートとともに存在する野生型選択的PCRプライマー、予想される約150bpのバンドを生成しない;3 10塩基対のラダー、100、330及び1660塩基に顕著なバンド;4野生型DNAテンプレートとともに存在する変異体選択的PCRプライマー、予想される約150bpのバンドを生成しない;5変異体DNAテンプレートとともに存在する変異体選択的PCRプライマー、予想される約150bpのバンドを生成する;6 10塩基対のラダー、100、330及び1660塩基に顕著なバンド並びに7 野生型DNAテンプレートとともに存在する両選択的PCRプライマー、一切バンドを生成しない。図32(b)は、関連する経時電流測定プロットを示している。
【発明を実施するための形態】
【0052】
磁気粒子に基づく核酸分離法及び装置
本開示は、増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))を実施するという主要な目的のために、全血からゲノムDNAを単離するための迅速で、簡易なプロトコールを示す。本方法は、従来技術の迅速DNA抽出プロトコールに認められたPCRの一般的な阻害剤(例えば、ヘモグロビン)の著しい減少を示すという利点を有している。血液試料において、キレート剤、ヘパリン、EDTA及びシトラートなどの添加された抗凝固試薬も、阻害剤として作用し得る。本方法は、これらの阻害剤及び天然に存在する他のキレート剤並びに核酸テンプレートを損傷し得る酵素及びタンパク質を除去する。本技術は、他の核酸材料源(例えば、口腔綿棒標本、尿及び他の組織試料)に対しても適用可能であり、他の増幅方法と一緒に使用することもできることに留意することが重要である。
【0053】
例えば、Dynabeads Genomic DNA Bloodキット(Prod.No. 634.02, Dynal Biotech Corp.)及び米国特許公開2003/0180754A1に見出される核酸抽出に30−40分を要する従来技術と比べて、本発明の方法は、再現可能なDNA抽出に必要とされる時間を約5分未満まで、好ましく及び典型的には、約2分まで短縮する。結果が得られる速さが重要である遺伝的分析(例えば、高度に感染性の因子の同定)を考える場合、これは重要な改善である。患者から試料を取得し、医師が一度訪れる間に結果をもたらすことが望ましい、医師の職場環境中での検査、又はベッドサイドでの検査にさえ適用することも可能である。
【0054】
本発明の方法は、好ましくは、内側の核が常磁性材料である被覆されたビーズ並びに溶解及び結合緩衝液を使用する。ゲノムDNAを含有する溶解された細胞溶液が好ましい実施形態のビーズと混合されると、ビーズ上の表面化学は、強い負の表面電荷のために、低い特異性でDNAを弱く結合するため、ビーズーDNA複合体を生成する。好ましい表面コーティングは、カルボン酸で被覆された表面であり、常磁性ビーズは、典型的には、2.8μmの直径を有するが、約0.1ないし100μmの直径範囲のビーズを使用することが可能である。ビーズ用の別の陰イオン性コーティングには、極めて小さな直径のガラスビーズ(例えば、Glass Milk)、Whatmanホスホセルロース及びDEAE樹脂(例えば、DE52)を含む以下の材料が含まれる。
【0055】
非磁気ビーズを使用し得るが、磁気ビーズは反応容器の側面に引き付けることができ、磁石を用いて側面に対して固定することができるので、磁気ビーズを使用することが確かに有利である。これは、短時間のうちに起こることが可能であり、ビーズを1つの位置に濃縮するための手段を提供し、並びにビーズを移動及び操作するための手段を提供する。磁場は、本分野において周知であるように、永久磁石によって、又は電磁石手段によって付与し得る。
【0056】
標準的なポリプロピレンPCRチューブを使用する例では、水60−100重量%、塩化ナトリウム(NaCl)10−30%、塩化リチウム(LiCl)5−10%、tris−HCl1−5%、ドデシル硫酸リチウム(LiDS)0.1−1%、EDTA0−1%及びジチオスレイトール(DTT)0−0.1%を含有する標準的な溶解緩衝液(Dynal Biotech Corp.)は、0.65Mの最終アルカリ濃度のNaOH試薬を含むように改変された。本分野で公知の他の溶解緩衝液も、塩基、例えばNaOHの適切な添加とともに使用し得る。次いで、Dynabeads(23μL)を加えたアルカリ修飾された溶解緩衝液へ、全血(10μL)を直接添加した。これにより、手動ピペット混合の約15秒、続いて、ゲノムDNAをビーズ上に吸着させるための留置時間約15秒内に血液細胞の溶解が誘導された。次いで、永久磁石で、チューブの側面に対してビーズ−DNA複合体を捕捉したが、これは、約15秒未満を要する。次いで、ピペットにより、溶解された細胞の全上清を除去した。ピペットによって、洗浄緩衝液(50μL)、例えばDyanl洗浄緩衝液(Dynalキットから得られる。)を導入し、チューブ壁に対して捕捉されたビーズ−DNAペレットを濯ぐために使用した。次いで、残ったペレットをチューブ壁に対して細くしながら、ピペットにより、洗浄溶液を完全に除去した。次いで、残存するビーズ−DNAペレット(1−2μL等容量)を除去し、鉱物油の重層(約10μL)とともに、ポリメラーゼ酵素、プライマー、dNTP及び緩衝液を含むPCRカクテル(約25μL)を加えた新しいチューブに添加し、慣用のサーモサイクラー中に配置した。この抽出プロセスの合計時間は、約2分であることが明らかとなった。この新しい精製プロトコールは、抽出物中に残存するPCR反応の阻害剤に伴う問題を克服することが以下で示されていることに留意されたい。
【0057】
好ましい実施形態において、抽出方法は、アルカリ溶解緩衝液、磁気ビーズを使用し、蝋又は油ろ過媒体も使用する。同じく、本方法は、本明細書に記載されているように、手動操作として実施することも可能であり、又は使い捨て装置中での自動化された分析の基礎として実施することも可能である。溶解された細胞ビーズ−DNA複合体を重層するろ過媒体として、蝋又は油を使用することによって、さらなる流体移動が不要となり、ビーズ−DNA複合体の精製を補助した。例えば、血液を溶解緩衝液及びビーズと合わせ、得られたDNA−ビーズ複合体をペレットで採取し、永久磁石を用いて上方のろ過層を通じて引き付け、このようにして、溶液のバルクから複合体を選択的に分離する。これは、図1に詳細に記されている。
【0058】
図1は、チューブ1が溶解緩衝液3及び磁気ビーズ4の上に蝋ろ過媒体2を含有することを示している。典型的には、チューブは、周囲温度で保存されるので、まず、蝋を融解するためにチューブは加熱される。一般的に、これは、約35℃超への温度変化である。ピペット6を用いて血液5を導入し、細胞が緩衝液中で溶解するように、血液をよく混合する。次いで、核酸7は、非特異的な表面結合を介してビーズに結合する。次いで、ビーズ及び若干の余分な溶解された材料及び緩衝液を、チューブの側面に引き付けるために磁石8を使用して、ペレットを形成させる。次いで、蝋層の上方向を通じてペレットを引き付けるために、磁石をチューブの側面に沿って移動させる。蝋のより大きな表面張力によって過剰な水性流体が取り除かれるので、これは効果的にペレットをろ過することが驚くべきことに見出された。場合により、この工程の後に、熱を取り除くことによって、蝋は、再度硬化させ得る。得られたビーズ−核酸ペレットは、チューブの側面で容易に接近可能な蝋の薄層中に捕捉された状態を保つが、一方、溶解緩衝液及び血液は蝋の下に捕捉された状態を保つ。次いで、チューブの側面から、ビーズ−核酸ペレットを除去し、PCRカクテルが存在する新しいチューブに導入することができる。80℃を上回る温度の水が溶出に十分であることが明らかとなっているので、核酸は、PCRの最初の加熱サイクルの間にビーズから溶出される。ビーズも、蝋もPCRを妨害しないことも明らかとなった。
【0059】
本願のための蝋の理想的な特徴には、25℃と45℃の間で固体から液体へと融解する蝋が含まれる。さらに、これらの好ましい蝋は、60℃ないし90℃の範囲の温度で著しく蒸発しない。これらの蝋が固体である場合には、これらの蝋は、これらの蝋の存在によって捕捉されているビーズ及びその他の溶液の移動を妨げるが、これらの蝋が液体状態である場合には、それらの粘度は、磁場の下で磁気ビーズの通過を可能とするほど十分に低い。蝋は、DNA増幅用試薬と適合性であるという特性も有する。本発明において使用することが可能な蝋の4つの例は、ヘネイコサン(98%、融点40−42℃、Sigma)、ドコサン(99%、融点43−45℃、Sigma)、トリコサン(99%、融点48−50℃、Sigma)及びトリコサヘネイコサンである。好ましい蝋は、ヘネイコサンである。ビーズが通過する障壁層を形成するために使用することが可能なその他の有機液体には、シリコーン油及びメシチレンが含まれる。
【0060】
図2は、蝋プロセスを通じて移動するビーズを用いて、精製されたDNA試料が血液から首尾よく除去されることを示しており、予期されるバンド(レーン2に合致するゲルレーン5及び6)が存在する。本図は、ビーズなし及びビーズあり、並びに血液あり及び血液なしのPCR産物、並びに精製されたDNA対照のポリアクリルアミドゲルを示している。「*」で標識されたバンドは、公知の野生型対立遺伝子ACD血液チューブ試料に対して調製された、修飾された野生型血色素症オリゴヌクレオチドプライマー組を用いた対称PCRに対する予想される塩基対の長さを表していることに留意されたい。陽性対照(レーン2)は、試料調製用のQiagen市販キットを用いて精製されたゲノムDNA(野生型対立遺伝子)も表し、及び陰性対照(レーン1)は、PCRカクテルにDNAが添加されていない。本例では、鉱物油のオーバーレイを有する慣用のサーモサイクラー中で、30サイクルを用いてPCRを行った。図2に示されているように、ローディング色素2μLを加えた試料10μLの容量を、10%非変性ポリアクリルアミドゲル、1×TBE緩衝液の各ウェル中に添加した。
【0061】
図3は、蝋プロトコール(ゲルレーン1−4)を通過して移動するビーズを使用して、精製されたDNAが血液から首尾よく除去されることを、フィルター媒体として蝋を使用しないプロトコール(ゲルレーン5)と比較対照したものである。「*」で標識されたバンドは、公知の野生型対立遺伝子ACD血液チューブ試料に対して調製された、修飾された野生型血色素症オリゴヌクレオチドプライマー組を用いた対称PCRに対する予想される塩基対の長さを表している。鉱物油の重層を有する慣用のサーモサイクラー中で、30サイクルを用いてPCRを行った。図3に示されているように、ローディング色素2μLを加えた試料10μLの容量を、10%非変性ポリアクリルアミドゲル、1×TBE緩衝液の各ウェル中に添加した。
【0062】
上記記述によって示された原理は、図1に示されている種類の手動操作に基づいて、各核酸抽出装置中に取り込むことができ、又は使用者が試料を装置に添加する必要があるだけで、その他の全ての工程が自動で行われる下記のような自動装置に取り込むことができる。
【0063】
吸収性フィルターに基づく核酸分離法及び装置
体液中に見出される核酸を迅速に抽出及び単離するための別のアプローチが提供される。本アプローチは、フィルター材料の使用に基づく。開示されている装置及び方法は、化学的に含浸された固体基材技術を小型ろ過装置に結合させることによって、既存の技術を著しく改善する。小容量の体液から得られるゲノムDNAの増幅可能量を抽出するための時間も都合よく最小化される。本装置は個別の分離装置として使用し得るが、DNA単離、増幅及び場合により検出のための使い捨て可能なカートリッジ装置中に組み込むのに特に適している。
【0064】
各装置は、例えば、血液又は口腔細胞などの流体の小容量を採取し、増幅に適したDNAを素早く単離するための迅速な手段として臨床環境及び研究環境において使用することが可能である。あるいは、使い捨て可能なカートリッジ中に組み込まれる場合には、カートリッジ内の試料を自動的に移動させ、抽出プロセスに作用するために微小流体素子が使用される。両用途が記載されている。
【0065】
前記装置及び方法の主な特徴には、(i)典型的には2分未満の迅速な核酸の単離、(ii)使い捨てカートリッジ中に取り込むのに適した要素、(iii)増幅と適合性のある形態の結合された核酸又は未結合の核酸の何れかの生成、(iv)少ない試料容量の使用(例えば、血液、口腔細胞及び組織)、及び(v)操作を実施するための他の液体試薬の少量の使用が組み合わされる。
【0066】
装置に関しては、化学的に含浸された固体基材マトリックスを配置するために、低容量フィルター保持装置の支持構造を使用した。これは、そのマトリックス内にこれらの核酸を保持することによって、適用された試料からDNAを抽出及び単離するろ過層として機能する。ろ過マトリックスは、溶解性の塩が含浸され、及び場合により界面活性剤が含浸され、これは、次いで、結合工程後に、増幅の一般的な阻害剤を除去し、変性したタンパク質を濯いで除去するために、溶媒、好ましくは蒸留された若しくは滅菌された脱イオン水を流されるか、又は溶媒、好ましくは蒸留された若しくは滅菌された脱イオン水で洗浄される。試料からの核酸を保持するフィルターは、次いで、支持装置から取り外し、増幅試薬、例えばPCRへ直接適用することができる。これは、DNAに対する定量的な要求に応じて、完全なフィルターディスク又はその一部を使用して行うことができる。望ましい場合には、好ましくは75ないし95℃の範囲の温度の脱イオン水を用いて、核酸材料をフィルターから溶出し得る。他の溶出試薬には、10mM Tris、pH7などの及び5mMないし20mMのリン酸ナトリウム又はリン酸カリウム緩衝液などの希中性緩衝液が含まれる。あるいは、ろ過マトリックスは、以下に記載されているような使い捨て核酸検査カートリッジ中に取り込むことができる。
【0067】
各抽出装置の好ましい実施形態は、以下に記載されている。すなわち、化学的に含浸されたフィルターは、生化学的に不活性である再生可能な薄いマトリックスから構成される円板、好ましくは市販のろ紙である。溶解性の塩及び場合により使用される界面活性剤は、フィルターの表面上に分配された後、マトリックス内で乾燥される。実際的な問題として、フィルターディスクのサイズは、フィルター保持装置の外径によって制約され、洗浄流体が通過するチャネルより広くなければならない。化学的含浸は、界面活性剤、弱塩基性緩衝液及びキレート剤を加えた又は加えないカオトロピック塩を含有する液体カクテルを用いて行われる。カクテルは、フィルターディスク上に分配され、乾燥され、次いで、フィルターは、使用時まで密閉された環境中で保存される。
【0068】
好ましい実施形態において、フィルター保持装置は、洗浄流体がそれを通じてフィルターディスクの一方側から他方側へと通過し得る中央の小さな直径のチャンネルにより、(場合により、配置補助ガスケットを有する。)フィルターディスクに対して強固な支持を与える。前記装置は、洗浄流体の導入及びその後の除去を可能とするために、フィルターディスクの反対側に入口及び出口の両方を含有する。その構築材料は、生化学的に不活性であるべきであり、好ましくは成型されたプラスチックであるべきである。これは、使い捨てとして設計されるが、適切に清浄化される、例えば高圧滅菌処理されるのであれば、場合により、再使用可能とすることもできる。フィルターベースパッドは、洗浄流体チャンネルに合致してフィルターディスクを適切に配置する補助を与える従属部品である。場合により、装置の内径より小さなフィルターのサイズに対しては、フィルター位置調整ガスケットを使用し得る。例えば、チャンネル上のフィルターベースパッド上にフィルターディスクを保持する中央穴を有する薄い接着性の層を使用し得る。本実施形態において、フィルターディスクの外径より僅かに小さな中央穴を有する両面粘着テープが好ましい。洗浄流体は、好ましくは、蒸留水であり、増幅の化学的阻害剤を除去するために使用される。
【0069】
本分野において周知であるように、滅菌性及び生化学的不活性の条件は、装置の構築のために用いられる材料の選択、流体の取り扱い及び洗浄流体の取得源に対して固有のものである。試料、例えば体液は、フィルター支持装置の入口を通じてフィルターディスクに導入し、又は装置へ組み立てる前にフィルターディスク上に(但し、滅菌性が確保されるように注意を払うものとする。)導入することが可能である。
【0070】
一実施形態において、フィルター保持装置は、Swinnexフィルター保持装置、好ましくは13mm直径のもの(Millipore Corp.)とすることができ、また、これは、TeflonTMガスケットとともに提供され、成型されたポリプロピレンから構築される。好ましい実施形態において、フィルター保持装置に対して修飾が行われ、この場合、フィルター保持装置の上部片及び底部片の両片の内側に存在する空隙に正確に適合するように、さらなるアクリル片が切断される。これらの片は、好ましくは、接着剤、例えばLoctiteエポキシ糊で定位置に保持され、標準的な装置より小さな直径の、穴があけられた中央チャンネルを有する。フィルター保持装置への入口は、接着剤で定位置に固定されたEppendorfの100μLピペット先端から得られる末端片で場合により修飾することもできる。
【0071】
フィルター位置調整ガスケットは、好ましくは両面粘着テープガスケット(i−STAT Canada Ltd.)であり、ゴム−アクリルハイブリッド接着剤の約75μmを有するPETフィルム基材上に約25μmの厚さになるようにレーザーで切断し、保護のために2つのポリエステルライナーの間に挟まれる。両面接着剤は、洗浄操作の間に、フィルター保持装置のよりよい密着を与えるという利点を有する。ポリエステルライナーは、接着剤を露出させるために、装置の組み立ての間に除去されることに留意されたい。
【0072】
フィルターディスクは、好ましくはWhatman 4 Qualitative Gradeの普通のセルロース紙(Whatman Inc.)であり、以下の製造業者の仕様:20−25μmを上回る粒子保持、粗い多孔率、ろ過速度ASTM12秒、Herzberg37秒及び滑らかな表面、を有する。他の類似のフィルター材料及び等級を使用することができ、Whatman3MM、Pall GF A/B、Texwipe (布巾)、Whatman1、Whatman3、Whatman4、Whatman6及びPall1660膜が含まれる。
【0073】
フィルターの化学的含浸は、好ましくは、界面活性剤(好ましくは、Triton−X100TM)、弱塩基性緩衝液(好ましくは、TRIS)及びキレート剤(好ましくはEDTA)を加えた又は加えない、カオトロピック塩(好ましくは、イソチオシアン酸グアニジンなどのグアニジニウム塩)を含有する液体カクテルを用いて行われる。別の試薬には、グアニジニウム塩(例えば、グアニジニウム塩酸塩及びチオシアン酸グアニジニウム)、非イオン性界面活性剤及びキレート材料が含まれる。2Mイソチオシアン酸グアニジン、1%TritonX100、pH8.8まで緩衝化された10mMのTRIS及び2mMのEDTAの約3.75μL/cmの最少負荷を行うために、カクテルは、溶液中のWhatman4ペーパーに付与される。次いで、光表面の下約5cmで、加熱ランプ(Philips, Heat−Ray 25Ow赤外線)下にてカクテルを3分間乾燥させ、次いで、室温で最低10分間冷却し、使用時まで滅菌遠心管の中に保存した。目的とする試料材料が血液である場合には、カクテル溶液中で使用される全ての試薬を、200mMのNaOHの溶液による含浸で置換できることが明らかとなっていることに留意されたい。他の強塩基溶液、例えば、KOHも使用することが可能である。
【0074】
実例として、2つの異なる体液が、ゲノムDNAの抽出用に使用されている。これらは、(i)キレート剤又は抗凝固剤の何れによっても処理されていない全血試料内の白血球細胞及び(ii)口頬綿棒から得られた口腔細胞である。以下に記載されているように使用される場合、本装置は、プロトコールを僅かに変更して、増幅可能なDNAを両流体から抽出することができる。本開示に基づき、当業者は、プロトコールにさらに僅かな変更を加えることによって、核酸を含有する試料のその他の種類も抽出し得ることを認識する。
【0075】
フィルター保持装置の構成要素は、側面図で図4(a)に、拡大された側面図で図4(b)に、図4(c)上面図、空隙容量に挿入された図4(d)に示されている。装置は、フィルター固定装置上部20及び下部21、入口チャンネル22、空隙容量23及び24、フィルターディスク基部上のフィルターディスク25及び出口チャンネル26を含む。好ましい実施形態において、図4(d)に示されているように、より低容量にする改変は、間隙充填構造(27、29)を使用し、及び入口22を介して、より狭い中央チャンネル中へ流体が移動しやすくするための入口適合素子28を使用する。より低容量の装置は、適合素子29に取り付けられたフィルターガスケットを用いて、フィルターディスクの位置を調整することを必要とする。実際的な問題として、装置は、滅菌された作業環境中で調製され、核酸及び酵素の交差汚染を防ぐための道具が使用される。
【0076】
13mmのフィルターディスク25を使用する場合には、体液約3−10μLが化学的に含浸されたフィルター表面に適用できるのに対して、4.8mmのフィルターディスクを用いた低容量の改変された装置は、流体1−3μLでも十分に機能する。試料の適用は、入口ポートを通じて、組み立てられた装置を用いて行うことが可能であり、又は組み立て前に直接フィルター上に行うことが可能である。口腔綿棒標本が綿棒で取得される場合には、フィルターディスク上に拭い取ることが可能であり、又は入口ポートを通じて、フィルターディスク上に洗浄することが可能である。口腔細胞を単離するための別の方法は、市販の洗口剤(例えば、Scopeブランド)を用いることによることが見出されている。使用した洗口剤の数μLを、次いで、装置中に付与することができる。
【0077】
妨害物質の除去に関しては、周囲温度の滅菌水は、ディスクのマトリックス内から核酸を除去せずにフィルターディスクを通して妨害物質を流すことができるので、洗浄流体として満足に機能することが明らかとなった。入口において、フィルター保持装置にきつく密封するために配置された分配チップから水がくみ出される場合、水は、フィルターディスクを通じて流れて、試料を洗浄し、出口まで通り抜ける。口腔細胞試料の場合、試料1μL当り滅菌水20μL/を一度流せば十分である。血液試料の場合、試料1μL当り滅菌水20μL/を、フィルターを通して流し、3回繰り返すことが好ましい。あるいは、単回容量を、三回、前後に通過させることも十分である。滅菌水の代わりとして、以下の滅菌緩衝溶液、すなわち、10mM Tris、pH7及び5mMないし20mMのリン酸ナトリウム又はリン酸カリウムを使用し得る。
【0078】
洗浄操作の後、フィルターディスクは、DNAの増幅可能な量を保持する。次いで、これは、フィルター保持装置から取り外され、増幅反応において使用することができる。100μLのPCR増幅では、4.76mmの直径のディスクを直接使用することができるのに対して、13mmのディスクは、より小さな部分へ最適に切断されることが明らかとなった。別の実施形態において、核酸材料は、熱い脱イオン水又は様々な緩衝溶液を用いることによって、フィルターから溶出することができ、次いで、増幅装置中に導入することが可能である。別の実施形態において、ろ過プロセスは、以下に記載されているように核酸検査のための使い捨て装置中に組み込まれる。
【0079】
図5は、前記方法及びフィルター保持装置の有効性を示しており、口腔綿棒標本試料のPCR増幅を示している。抽出過程後、フィルターを装置から取り外し、血色素症遺伝子(Hfe)に対して特異的な2つのプライマーを用いる100μLのPCR反応チャンバー中に配置した。増幅過程が完了したら、10%アクリルアミドゲル1×TBE電気泳動ゲルのレーン1に材料を適用した。予想通り、これは、矢印によって記されている390bp(塩基対)の断片を生成した。対照レーン2は100bpのラダーを含有し、レーン3は陰性対照として水を含有することに留意されたい。
【0080】
上記手動の操作は、遺伝的分析を実行するための使い捨て装置内に導入され、及び組み込まれる抽出モジュールの設計に対する基礎を形成し得ること、又は使い捨て装置へ抽出物を送達する別個のモジュールであり得ることが理解される。送達は、例えば、ピペット移動によって、又は移動を促進する機構500、520及び521を互いに合体させることによって(図19及び20参照)行うことが可能である。このような装置は、核酸検査用の一体化された使い捨て装置を取り扱うセクションに詳しく記載されている。
【0081】
増幅方法の詳細な説明
本発明において、電気化学的検出が好ましい場合、核酸増幅工程の主な目的は、標的分子から検出可能な核酸の約0.01pM濃度を生成することであるが、これは、酵素的増幅及び電気化学的検出を用いたサンドイッチアッセイのより低い検出限界の範囲にあることが見出されているからである。断片の所望される1pM濃度は、アボガドロ数(1モル=6×10(23)分子)に基づいており、ここに、1pmolは、6×10(23)×10(−12)又は約10(12)分子に等しい。公知のように、血液1μLがDNA約5×10(3)分子を含有する場合、1mL(合理的に採取可能な試料容量である。)は、5×10(6)分子又は概ね約10(7)分子を含有する。血液1mL中のDNAの量からDNAの0.01pmolへ移行するためには、約10(3)倍の増幅が必要である。これは、幾つかの周知の増幅技術を用いて確実に達成することができる。増幅の程度を決定するために、様々な試料の種類及び試料の容積に対して類似の計算を実行することは、当業者に自明である。
【0082】
光学的検出が使用される使い捨てカートリッジの別の実施形態においても、核酸増幅工程の目的は、同じく、所定の光学的方法のより低い検出限界の範囲内とするために、検出可能な核酸の所定のモル濃度を標的分子から生成することである。このような計算は、当業者に周知である。光学的検出を用いて試料の濃度を測定する能力は、ノイズのバックグラウンドレベル、検出すべき光学的化合物の吸光係数、光学系の電気的増幅率、試料の容量及びその他のパラメータに依存することが本分野において周知である。化合物濃度と試料の吸光度の単純な関係は、ベール・ランベルトの法則(A=εcl)(Aは吸光度であり、εは吸光係数であり、cは試料のモル濃度であり、lは試料の経路長である。)を用いて表すことが可能である。典型的には、長さは、原則的に、1cmである(下記装置では、約0.02ないし約0.4cmがより典型的である。)。これにより、吸光度は吸光係数の定数を用いて濃度と関連付けられ、通常、pM域内の検出限界が許容される。
【0083】
ポリメラーゼ連鎖反応増幅
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、PCR反応に対して選択されたプライマー配列に基づいて、標的DNAの領域を特異的に増幅できることが周知である。この材料を処理することに伴う困難は、均一に、ハイブリダイゼーションに基づいて、シグナルの検出を試みることに存する。本質的に、PCR反応は、平滑末端化された2本鎖の産物を生成する。しかしながら、ある種の熱安定性DNAポリメラーゼは、ポリAポリメラーゼ活性を有しており、これは、さらなるAヌクレオチドを追加するために使用することが可能である。これは、クローニングの目的で商業的に使用されてきたが、単一のヌクレオチドの突出は、ハイブリダイゼーションについては非効率である。ハイブリダイゼーションのためにPCR反応を使用することを試みるための別のアプローチとして、制限エンドヌクレアーゼ酵素に対する認識配列がPCRプライマー中に設計されてきた。しかしながら、典型的には短い突出を生成するに過ぎない追加の酵素を必要とするので、これには限界がある。多くの二本鎖種と同様、PCR産物は、均一な反応でのハイブリダイゼーションに適していない。この制約を克服するために、他方のプライマーに対して一方のプライマーの限定量を使用する戦略が考案されている。別の方法は、バクテリオファージRNAポリメラーゼ(例えば、SP6)に対するプロモーター領域を有することである。プライマーの1つを限定することには、増幅の効率が低減するという欠点がある。バクテリオファージRNAポリメラーゼを用いたRNAの生成はさらなる試薬を必要とし、検出用の壊れやすいRNA種を生成する。
【0084】
ここで、本発明者らは、DNAポリメラーゼ、標的核酸及び2つの修飾されたプライマーの量(第一の修飾されたプライマーは、標的の領域に対する塩基の配列を有する。)を組み合わせることによってPCR反応を実施する新規方法を記載する。ポリメラーゼ遮断領域が、一本鎖ハイブリダイゼーション領域に連結された本プライマーに付着されている。第二の修飾されたプライマーは、標的の第二の領域に対する塩基の配列を有し、並びにポリメラーゼ遮断領域及び第二の一本鎖ハイブリダイゼーション領域も有する。検出可能な部分(例えば、ビオチン、フルオロセイン(fluorocein))が、2つの修飾されたプライマーの一方又は両方に付着される。PCR反応を実行するために、混合物をサイクルにかけて、前記修飾されたプライマーを取り込んだアンプリコンの複数コピーを生成させる。第二の工程では、取り込まれていない過剰の修飾されたポリマー(検出可能な部分を有する。)は、混合物から実質的に除去される。幾つかの異なる方法が利用可能であり、これらは以下に記載されている。次いで、アンプリコンとのハイブリダイゼーションを可能とするために、一本鎖ハイブリダイゼーション領域の一方又は両方に対して相補的である捕捉オリゴヌクレオチドに混合物を添加する。最後の工程では、このハイブリダイゼーションに伴う部分が、例えば、フルオロセインの光学的検出によって、直接検出される。あるいは、この部分(例えば、ビオチン)は、露出され、ストレプトアビジン標識された酵素(例えば、アルカリホスファーターゼ)と結合し、光学的に又は電気化学的に酵素活性が測定される。同じく、幾つかの具体的な方法が可能であり、これらの例は、以下に記載されている。
【0085】
反応の流れは図7(a)に示されており、ここで、31は検出部分(例えば、ビオチン、FAM、DNP、コレステロール、フルオロセイン)であり、32は第一の一本鎖ハイブリダイゼーション領域であり、33はポリメラーゼ遮断領域(例えば、ヘキサPEG)であり、34は第一のPCRプライマーであり、35は第二のPCRプライマーであり、36は第二の一本鎖ハイブリダイゼーション領域であり、37は第二の検出可能な部分であり、38は二本鎖核酸標的配列であり、39は固体基材(例えば、ビーズ又は表面)であり、及び40は36に対して相補的なハイブリダイゼーション領域である。
【0086】
PCRプライマー34及び35は、好ましくは、標準的なホスホルアミダイト化学を用いて合成され、ポリメラーゼ遮断領域33中を除き、DNAポリメラーゼに対して適している全てのヌクレオチド又は修飾された塩基を含むことができる。ポリメラーゼ遮断領域配列の例は、スペーサーであるホスホルアミダイト18−O−ジメトキシルトリチルヘキサエチレングリコール、1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホルアミダイト(以下、「HPEG」と称される。)からなることができる。このホスホルアミダイトは、ヘキサエチレングリコールスペーサー領域を生成する。この目的のために、類似の特性を有するその他のスペーサー分子を使用することも可能である。3’−3’又は5’−5’ホスホジエステル骨格並びにNewtonら(Nucleic acids research 21, 1155−62, 1993)及び米国特許第5,525,494号によって記載されているような修飾されたヌクレオチドを作製するなど、ホスホルアミダイト化学に対する代替法を使用することが可能である。
【0087】
付随する構成部品とともに適切な標的及びDNAポリメラーゼの存在下で、これらの合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを進行させることにより、取り込まれた一本鎖領域32及び36を有する新たに合成されたDNA分子を生成する。Taq DNAポリメラーゼを使用し得るが、好ましい実施形態は、著しくより高い回転数を示すT.コダキエンシス(T.kodakiensis)DNAポリメラーゼを使用することが見出された。次いで、本分子は、36を用いて、固体支持体39上の標的配列40にハイブリダイズすることができる。次いで、シグナルを生成するために、結合部分領域を使用することが可能である。例えば、結合部分としてビオチンを使用し、及び検出酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)及びアルカリホスファターゼ(ALP))に抱合されたストレプトアビジンを用いることによる。
【0088】
PCRプライマーは、好ましくは末端ホスホロチオアート結合も含有し、T.コダキエンシスKOD1DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性が、末端塩基が異なることに基づいて、SNP分析で使用されるプライマーの対立遺伝子の差を識別できないようになることを防ぐ。
【0089】
上記フィルター保持装置を用いて単離されたヒトゲノムDNAを用いる好ましい実施形態において、約390bpのサイズのヒト血色素症遺伝子(hfe)の領域を生成するために、2つの合成オリゴヌクレオチド(プライマー1及び2)を使用した。これらは、オリゴ1:
【0090】
【化1】

であった。
【0091】
ここで、56−FAMは蛍光性の種であり、HPEGは、18−O−ジメトキシルトリチルヘキサエチレングリコール、1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホルアミダイトを用いて取り込まれたヘキサPEG配列である。オリゴ1配列において、HEPGスペーサーに対して5’に位置する配列5’−ACTTCATACACAACTCCCGCGTTGCATAACT−3’は、配列番号1と表記され、HEPGスペーサーに対して3’に位置する配列5’−TGGCAAGGGTAAACAGATCC−3’は、配列番号2と表記される。オリゴ2配列において、HEPGスペーサーに対して5’に位置する配列5’−AACAATACCACCGTAGCGATCA−3’は、配列番号3と表記され、HEPGスペーサーに対して3’に位置する配列5’−AACAATACCACCGTAGCGATCA−3’は、配列番号4と表記される。
【0092】
これらのプライマーの使用を実証するために、洗口剤(Scopeブランド)に由来する口腔細胞DNA試料を使用した。溶解性塩3μL及び2Mイソチオシアン酸グアニジニウム、1%Triton−X−100、10mMTris緩衝液、pH8.8及び2mMのEDTAを含む界面活性剤溶液が含浸されたWhatman4ろ紙から穿孔された5mmの直径のディスク上に、この体液の3μLの容量を分注した。抽出後、100μLまで充填されるように設計された0.5mLのMβP EasystartPCR反応チューブ(Fisher Scientific, PN 21− 402−49)中に、直ちにフィルターディスクを配置した。水溶液100mL中に、以下の試薬:2mM MgCl、20mM Tris pH 8.4、50mM KCl及び0.2mM dNTPの最終濃度を得るために、蝋層下で、流体50μLをチューブに供給した。記載した0.31pMのプライマー1及び2(Integrated DNA Technologies Inc)の最終反応濃度を得るために、上層反応混合物47μLを添加した。本水溶液は、5UのVent(エキソ−)ポリメラーゼ(New England Biolabs)及び0.1%のTriton−X−100も含有した。Techne Techgene Thermocycler中で、増幅反応を行った。97℃3分間、60℃1分間及び72℃1分間の3サイクルの後、97℃1分間及び62℃45秒の36サイクルを用いて、配列を増幅した。次いで、100μLの分注試料を用いて、使い捨てカートリッジ中で、増幅操作から得られた試料を検査した。電気化学的センサーを含有する検出カートリッジの設計素子の完全な記載は、参照により組み込まれる共有米国特許公開20030170881号に見出される。経時電流測定及び使い捨て検査カートリッジ中に組み込まれるセンサーに対して適用可能なその他の電気化学的方法の一般的な記載は、参照により本明細書に組み込まれた共有米国特許5,112,455号に見出される。
【0093】
100μLの水性分注試料は、以下のようにして、すなわち、14μLの1M NaCl、lμLのFITC−ALP 抱合体1/100希釈及び10μLの増幅されたDNAとして調製された。FITC−ALP抱合体は、350μg/mLの最終濃度である。あるいは、増幅されたDNAの代わりに対照オリゴヌクレオチド配列を使用した。対照オリゴヌクレオチド配列は、経時電流測定検出用の陽性対照として製造された。この一本鎖配列は、図7(a)に示されている36と類似しており、領域40に対して相補的であり、36−FAM蛍光種を含有する。図7(b)は、検出工程における、標準的プライマーの望ましくない競合を示しているのに対して、図7(c)のように、貝状プライマーを用いると、これは回避される。これらの両試料から得られた結果が、図8(a)及び8(b)に示されている。図8(a)は、抗FITC ALP抱合体のみと、センサーにハイブリダイズされたアンプリコンとの抱合体を比較した経時電流測定の読み取りを示す。図8(b)は、抗FITC ALP抱合体のみと、陽性対照オリゴヌクレオチド配列との抱合体を比較した経時電流測定の読み取りを示す。
【0094】
検出カートリッジは、以下のように操作された。共有米国特許公開20030170881号に記載されているように、分注試料100μLの20μL部分を、酵素が連結されたDNAハイブリッドセンサーカートリッジ中に負荷し、i−STATモデル300電気化学的分析装置(i−STAT Corporation)中に配置した。センサーカートリッジは、特異的なDNAオリゴマーで被覆された複数の(2又は4個の)電流測定センサーを含有した。本例では、オリゴマーは、5’−ビオチン化されたオリゴヌクレオチドであり、センサー表面上に吸着されたストレプトアビジン被覆されたビーズに結合された。対照として、PCRプライマーの一本鎖部分の1つに対する相補的一本鎖DNAオリゴマーで、センサーの1つを被覆した。このカートリッジ内には、別個の抗FAM−アルカリホスファターゼ抱合体も存在した。
【0095】
好ましい実施形態において、単一の溶液中に溶解された、PCR増幅された産物及び抗FAM−ALP抱合体を、DNA捕捉センターと接触させた。あるいは、まず、PCR産物をセンサーと接触させた後に、抱合体と接触させ得ることに留意されたい。好ましい実施形態において、両一本鎖ハイブリダイゼーション領域を含有する二本鎖PCR産物は、電気測定センサー上の捕捉領域に結合する。アルカリホスファターゼ標識の結合は、PCR産物の捕捉前に又はPCR産物がビーズに結合した後に、溶液中で起こり得る。調節された時間の後、典型的には、5ないし15分後、及び調節された温度で、好ましくは37℃で、溶液は、センサー領域から出て、カートリッジ内の廃棄チャンバーへ送達される。ALPに対する基質を含有する洗浄溶液はセンサー上に運ばれ、センサー領域から過剰のaFAM−ALP抱合体を洗浄除去する。洗浄溶液の後方部分がセンサー上に残存し、ALP標識に対する電気発生基質を提供する。別の実施形態において、まず、洗浄溶液を使用し、続いて、基質を含有する第二の溶液を使用し得る。光学的センサー又はセンサーの他の種類が使用される場合には、他の適切な基質が使用されることにも留意されたい。好ましい実施形態において、捕捉センサーにおける測定された電流は、センサー上に存在するALP標識の数に実質的に正比例する。相補的DNA結合配列で被覆されていない隣接する電流測定センサーは、センサー上のALP試薬の何れかの非特異的結合を打ち消し、これにより、検出限界を改善するために、対照センサーとして使用することが可能である。あるいは、相補的DNA結合配列とは異なる配列を有する捕捉オリゴヌクレオチドは、陰性対照として使用することができる。
【0096】
図8(a)及び図8(b)を参照すると、これらは、DNAカートリッジから得られる、測定された電流特性又は経時電流測定の出力を示している。抱合体を加えたPCR産物は、図8(a)において、抱合体単独に比べて、測定された電流の増加を示す。ここで、未結合のプライマーを競合することが、減少するシグナルであり得る。図8(b)に示されているように、36−FAM種で標識されている陽性対照オリゴヌクレオチド配列を用いると、信号の同様の増加が観察される。正味電流は、試料中のPCRアンプリコンの数に比例することも見出された(ここで、定常状態電流は、アンプリコン濃度の増加につれて増加することが示されている。)、図9(a)参照。これらの活動は、図9(b)にプロットされている。
【0097】
本例において機器200及び650に対して使用されたソフトウェア(図6及び21を参照。)は、検出過程中の一連の工程を実行する改変されたi−STAT300分析機器(i−STAT Corporation)である。第一の工程において、本機器はカートリッジと接触して、カートリッジを特定した後、蓄電池のチェック及び他の内部機器のチェックを行う。次いで、機器は、センサーチップを37℃まで加熱するために熱的サイクルを開始し、終了する。次いで、捕捉工程を可能とするために、増幅された標的を含有する液体を、空気圧によって、伝導路125からセンサーチャンバー126中に押し出す。次いで、一時的な保持チャンバーとして機能する伝導路125中に、分析パックから、分析中に分析流体を分注させる前記機器の第二のモーターの動きの間に、機器中のプッシュピン213は要素135と接触する。次いで、センサーチップに対する温度の設定点は47℃まで増加され、チップ上の伝導センサーが初期化される。次いで、アンプリコンの効率的な捕捉を実施するために、捕捉オリゴヌクレオチドビーズの最上部の上で、標的液体が前後に押される。この工程は、約3ないし9分を要する。本捕捉プロセス中に流体の位置をモニターするために伝導性センサーが使用されることに留意されたい。最後の2つの振幅の前に、機器中のソフトウェアはチップの加熱を停止させ、残りのサイクルは周囲温度で実施される。次いで、非捕捉アンプリコンを含有する液体は、廃棄チャンバー137の試料入口側へゆっくり移動し、(2pA/ビットで)Ag/AgCl電極に対して+30mVの平衡電位でデータを収集するようにセンサーが設定される。この液体が廃棄チャンバー中に押し出されるにつれて、揺動ウィック機構が飽和状態になると、揺動ウィック機構が排出口を閉じる。この機構は、参照により、本明細書に組み込まれる共有米国特許出願第20030170881号に記載されている種類の機構である。次いで、本ソフトウェアは、捕捉オリゴヌクレオチド由来の未結合の残存材料を洗浄するために、分析流体がセンサーを横切って引き込まれるように、機器にカートリッジを作動させ、酵素と反応することができ、電極で酸化され得るp−アミノフェノールホスファートを含有する分析流体の薄層を残存させる。図9(a)に示されているように、時間の関数として生じる電流が記録され、生じた電流は、結果を表示するために、ソフトウェアアルゴリズムによって使用され得る。
【0098】
DNA配列決定反応中に取り込まれなかった一本鎖オリゴヌクレオチドを分解するためにExoIを使用できることが本分野において公知であるが、ヘキサPEG領域のような非天然DNAがExoI酵素によって分解されるかどうかは不明であった。ExoIがこの非天然塩基に対して作用することを示すために、図31に示されている実験を行った。この図は、ExoI処理後における、32P放射線標識された合成オリゴヌクレオチドのオートラジオグラフを示している。図31において、レーン1のis015オリゴヌクレオチドは、上記オリゴ1と同一である。オリゴヌクレオチド標識されたis026及びis027は、is015と同様、HPEGスペーサーを含有していたが、iso20オリゴヌクレオチドはHPEGスペーサーを含有していなかった。図31は、ExoI酵素が、約6−7ヌクレオチド長まで分子量を低下させる能力を有する、活性な3’−>5’エキソヌクレアーゼであることを示している。さらに、ExoI酵素は、ヘキサPEG領域を過ぎて加工することができ、貝状プライマーの二本鎖領域中では、ExoI酵素は阻害される。従って、これは、ExoIが、ヘキサPEG領域によってエキソヌクレアーゼであることを妨害されないことを示している。
【0099】
本発明の別の実施形態において、標的遺伝子と1つ又はそれ以上のハウスキーピング遺伝子(例えば、アクチン又はグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)の両方を使用することによって、遺伝子コピー変異(例えば、ZNF217)が検出される。これは、一方が標的用であり、他方がハウスキーパー用である、検出チャンバー126中の2つのセンサーによって達成される。ここで、PCRプライマーは、ハウスキーピング遺伝子と目的遺伝子の両方を増幅するために使用される。ZNF217がハウスキーピング遺伝子と同じコピー数で存在すれば、シグナルのレベルは類似する。しかしながら、ZNF217遺伝子は複数コピーで存在すれば、ZNF217センサーでのシグナルのレベルは、ハウスキーピング遺伝子センサーでのシグナルレベルより大きい。
【0100】
本発明の別の実施形態は、遺伝子発現変異を含む病状を引き起こす遺伝子の突然変異に取り組む。Wildenhain et al., (1990, Oncogene, vol 5(6):879)は、neuタンパク質−チロシンキナーゼの過剰発現を記載しており、p185は乳癌と関連している。c−Myc発癌遺伝子は、癌の多くの形態で同定されている(Waikel et al., 1999, Oncogene, vol 18(34):4870)。発癌遺伝子過剰発現の他の例は、「Ren (2004, Curr. Opin. Hematol. Vol 11(1):25)」によって記載された。過剰発現変異は、典型的には、mRNAの増加したレベルを生じ、このため、本発明においてmRNAを検出するために、cDNA合成の最初の工程が、PCR増幅の前に使用される。逆転写を用いたcDNAの合成(PCRによる本材料の増幅など)は、本分野において周知である。以前に記載されたPCR増幅を使用すると、シグナルのレベルを測定することにより、細胞中に存在するmRNAの量の存在を決定することができる。特定の発癌遺伝子に対するシグナルを比較することにより(例えば、ハウスキーピング遺伝子に対するHer2/neu)、正常なレベルでの発癌遺伝子発現又は病状、特にHer2/neuの場合には乳癌を有する病状を示唆するレベルでの発癌遺伝子の識別が可能となる。
【0101】
図26は、本方法のための別のアッセイ法を示しており、この方法に対する模式及び実験データは、ゲル電気泳動による図32(a)に、及び経時電流測定による図32(b)に示されている。標的核酸(DNA又はcDNA)329は、PCR及び/又はClamプライマーが330及び333を結合する2つの領域によって隣接されて示されており、介在配列は331によってマークされている。PCR反応の間、3つのプライマー配列31、341及び37が反応混合物に添加され、31及び341は、337及び338によって示されているように、それらの3’末端340の単一ヌクレオチドが異なっている。
【0102】
要素31、341及び37はPCRプライマーとして作用し、プライマー31及び341用の領域336は、標的分子329上の領域330にハイブリダイズする。分子37の領域35は、標的分子329上の領域333にハイブリダイズする。プライマー37は、プライマー31、341又は31と341の両者に対して相補的なPCRプライマーとして機能することができる。プライマー37は、領域35に塩基の特異的配列という特徴も有しており、これが標的分子329の位置333にハイブリダイズする。プライマー37は、33にDNAポリメラーゼ遮断基を有し、検出の間の後のハイブリダイゼーションのための一本鎖領域を形成する別のユニークな領域を36に有し、及び場合により、37に結合部分を有する。
【0103】
貝状プライマー(clam primer)31及び341は、多くの同様の特徴を有するが、特異的な幾つかの相違も有する。両貝状プライマー31及び341は、場合によって、検出可能な部分を334に有する。これは、例えば、31上のビオチン分子及び341上のFAMタグである。しかしながら、これらは、分子を後に識別できるようにするために、31と341について異なる。貝状プライマー31及び341はともに、それぞれ、異なって設計された一本鎖結合領域32及び339を有する。さらに、「Lee et al.,(2004, Nucleic Acids Research, vol 32(2):681)」、「Newton et al.,(1989, Nucleic Acids Research, vol 17(7):2503)」及び欧州特許出願第89302331.7号に記載されているように、貝状プライマー31及び341はともに、DNAポリメラーゼ遮断基33を有し、並びに貝状プライマー31及び341はともに、一塩基多型の識別を補助するために、第四のヌクレオチド塩基中に設計された点変異を有する。既に述べたように、貝状プライマー31及び341の両方の領域336は、標的分子329上の領域330に結合し、337又は338における一塩基変異は、単一のヌクレオチドの差を識別する。両貝状プライマーは、ある種の熱安定性DNAポリマー中に存在する3’→5’エキソヌクレアーゼに対して耐性である修飾された末端ホスホジエステル結合を340に有し、これは、2つの異なる分子の識別をさらに補助する。この修飾された末端ホスホジエステル結合は、ホスホロチオアート又はペプチド核酸(PNA)であり得る。貝状プライマーは、分子内構造を有するという特徴も有しており、これにより、取り込まれなかった一本鎖プライマー分子が、検出段階において、捕捉オリゴヌクレオチド40又は30に結合することが妨げられるが、新たに合成されたPCRアンプリコン中にそれらが取り込まれた場合には、捕捉オリゴヌクレオチド40及び30へ、それらがハイブリダイズできるようにする。
【0104】
PCRの第一ラウンドでは、二本鎖標的の一本鎖への変性後、プライマー37並びに貝状プライマー31若しくは341又は31及び341の両方が標的分子329に結合する。ホモ接合体の場合のように、貝状プライマー31若しくは341のみが標的分子329に結合する場合には、2つの染色体の両コピー上の単一ヌクレオチドは同一である。ヘテロ接合体の場合のように、31及び341がともに標的329の2つの別個の分子に結合する場合には、一方の染色体がある単一ヌクレオチド塩基配列を有するのに対して、他方の染色体は、一塩基多型において認められるように、異なる単一ヌクレオチド塩基配列を有する。これは、貝状プライマー31若しくは341又は31及び341の両方を取り込み、並びに他方末端にPCRプライマー37及び新たに合成された介在領域331を取り込む。
【0105】
15サイクルと50サイクルの間にわたって、PCR増幅を進行させて、新たに合成された被増幅分子を生成する。図26では、貝状プライマー341が取り込まれたアンプリコン344を示す。これは、例示のために行われている。他の突然変異が存在する場合、又は染色体の何れかの上に異なる配列が存在する場合には、31が取り込まれたアンプリコンが見出される。簡略化のために、図には、341を有するアンプリコンのみが示されている。
【0106】
本過程の検出工程の間、取り込まれた貝状プライマー341及びPCRプライマー37を有する新たに合成されたアンプリコン344は、互いに結合している相補的配列の性質に基づいて、捕捉オリゴヌクレオチド40に領域339の箇所で結合する。配列339は、異なる配列を有する物理的に隔てられた異なる捕捉オリゴヌクレオチド30に結合しない。捕捉オリゴヌクレオチド30及び40は何れも、39に示されているような固体基材又はビーズに結合される。
【0107】
このハイブリダイズされた複合体の検出は、分子37中の結合部分334に結合する抱合体分子によって検出することができるか、又は抱合体分子によって検出され得る独自の検出可能部分342を有する分子344上の領域36と、領域343において結合する別の一本鎖オリゴヌクレオチド318によって検出することができる。抱合体分子は、2つの特徴、すなわち(i)結合部分334又は342に結合する領域及び(ii)検出領域を有する。一例は、FMA結合部分に対して特異的な抗体であり、これは、検出要素としてのアルカリホスファターゼ酵素で修飾されている。
【0108】
別の増幅法
非PCR核酸増幅アッセイを実施するために、同じ検出カートリッジを使用する本方法の別の実施形態を使用することができる。ローリングサークル増幅(RCA)の模式図が図10に示されており、鎖置換増幅(SDA)の模式図が図11に示されている。成分要素は、図7(a)に示されているようにPCRに対して記載されているものに対応することに留意されたい。両アッセイは、図25において、2つの異なる方法を用いて示されているように、標的から作製される3’−OH部分を有する短いssDNA断片(308及び310)を必要とする。図25(a)は、現象惹起法(triggering event method)(例えば、SNPアーゼ及びサイクリングプローブ)を示しており、図25(b)はInvaderTM法を示している。
【0109】
上記セクションにおける試薬と同じ試薬が使用されるが、前記標的核酸の第一の領域に対する塩基の配列を含む1つの修飾されたプライマーのみが必要とされる。同じく、修飾されたプライマーを取り込んだアンプリコンの複数コピーを提供するために混合物をサイクルにかけた後、取り込まれなかった全ての過剰な修飾プライマーを混合物から実質的に取り除く。以下に論述されているように幾つかの方法を使用することが可能である。次いで、一本鎖ハイブリダイゼーション領域に対して相補的な捕捉オリゴヌクレオチドに、混合物を曝露した後、前記修飾されたプライマーを取り込んだ前記アンプリコンの一本鎖ハイブリダイゼーション領域の、捕捉オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを行う。同じく、最終工程は、前記ハイブリダイゼーションを伴う前記部分を検出している(例えば、アルカリホスファターゼによって生成される電気活性種の電気化学的検出)。好ましい実施形態において、プライマーは、ポリメラーゼ遮断領域に付着され、次いで、これは、一本鎖ハイブリダイゼーションに付着される。
【0110】
ローリングサークル増幅戦略の場合、プライマーの3’末端は遮断領域を有し、ホスファート又はジデオキシヌクレオチドを含むことができる。サイクリングプローブ反応又はSNPアーゼアッセイに対して見出されるものと同様の切断反応が起こり、図25(a)に示されているように遮断部分を除去し、反応306に参加している、標的DNA300並びに試薬301、302及び309を含む。予め作製された環状分子を反応混合物に添加することが可能である。遮断されたプライマーを用いると伸長は起こり得ないが、切断されたプライマー分子に対しては伸長が起こる。切断されたプライマーは、予め作製された環状分子に対して相補的な特異的領域の重複を有する長い一本鎖分子を生成する。検出可能部分を有する合成オリゴヌクレオチドが混合物中に含まれ、ここで、本ヌクレオチドは一本鎖DNAのある領域に対して相補的であり、これは、一本鎖DNAに沿って、複数回見出すことができる。プライマーの一つの領域(一本鎖であり、及びユニークである。)は、捕捉オリゴヌクレオチド領域に結合する。本領域は予め作製された環状DAに対して相補的でないので、この領域は捕捉オリゴヌクレオチドと全く競合しない。図10に示されているように、ローリングサークルアッセイでは、ssDNA3’−OH部分(308、310)は、反応312を介して、ローリングサークル試薬(311、315)に結合する。サイクリングは、308又は310の3’末端から始まる、付着された部分316の連なりを、産生された314に取り込む。要素314の検出は、ビーズ39上に固定された相補的要素40及び316に対して相補的な標識されたポリヌクレオチド317に要素314の5’−3’−OH領域を結合することによって達成される。次いで、標識は、アルカリホスファターゼ318に結合された抗体によって認識される。
【0111】
非PCR核酸増幅アッセイを実施するために、同じ検出カートリッジを使用する本方法の別の実施形態を使用することができる。鎖置換増幅のための模式図が、図11に示されている。構成要素は、図7(a)で使用されたPCR中のものに対応することに留意されたい。上記のものと類似の試薬が使用されるが、SDAプライマーは、まず、増幅不能フォーマットで提供しなければならず、これは、増幅可能フォーマットへと変換される。これを達成するための1つのアプローチは、例えば、3’末端ジデオキシ配列を用いて、遮断された3’末端ブロックを有するプライマーを提供することである。次いで、誘発現象が起こり、これは、遮断している3’末端を切除する。誘発現象の一例は、Invader反応であり得(Kwiatkowski RW, Lyamichev V, de Arruda M, Neri B. Clinical, genetic, and pharmacogenetic applications of the Invader assay. MolDiagn. 1999;4:353−364.)、ここでは、フラッパーゼ活性が、ゲノム標的核酸の存在により、遮断されたプライマーをハイブリダイズされた連結部において切断して、利用可能な3’水酸基を与える。これは、標的DNA300並びに反応307に関与する304、303、305及び309を含む試薬とともに図25(b)に示されている。あるいは、誘発現象の別の例は、サイクリングプローブ反応(Duck et al.,1990,BioTechniques,vol9(2):142)であり、ゲノム標的核酸の存在は、サイクリングプローブオリゴヌクレオチド上の4ヌクレオチド配列において、サイクリングプローブオリゴヌクレオチドを切断させ、次いで、遊離の3’水酸基を生成する。別の類似の例は、SNPアーゼに対して記載されているように、ゲノム標的核酸及び修復酵素に対するミスマッチであり、遊離の3’水酸基を生成する。
【0112】
プライマー配列中に遊離の3’水酸基を生成した誘発現象の後、相補的鎖置換プライマーが存在する。このSDプライマーは、上記プライマーに対して、その3’末端が相補的であり、これは3’水酸基を生成した。さらに、SDプライマーは、米国特許第5,422,252号に記載されているように、新たに合成されたときに、ニッカーゼ制限エンドヌクレアーゼによって切断される領域である3’水酸基相補的オリゴヌクレオチドに対して3’を有する。これにより、鎖置換反応は、新たに合成された配列の多数コピーを生成することが可能となり、これは、米国特許第6,191,267号に記載されているような非チオ鎖置換増幅の基礎を形成する。上述のように、DNAは架橋して、捕捉オリゴヌクレオチドとのシグナルを生成するので、本過程における次の工程は、鎖置換プライマーに対して相補的な、これらの増幅された新たに合成された断片を使用することである。これは図11に示されており、鎖置換アッセイにおいて、ssDNA3’−OH部分(308、310)が、領域320、321及び322から構成される319の3’末端において、領域320に結合する。次いで、反応324で切れ目が導入されて、ssDNA325の短い一部を生じる伸長反応323が起こり、ssDNA325の短い一部は、プライマー伸長と切れ目の反応326を繰り返すことにより蓄積する。要素325の検出は、ビーズ39上に固定された相補的な40に325の第一の部分を、及び標識されたポリヌクレオチド317に325の第二の部分を結合することによって達成される。次いで、標識は、アルカリホスファターゼ318に結合された抗体によって認識される。
【0113】
増幅後のプライマーの除去
完了したPCR反応から、未使用のPCRプライマーを除去するための幾つかの新規アプローチについて記載する。迅速なPCR反応(すなわち、約15分未満で増幅が完了する。)を取り込むシステムを開発することを求める結果、プライマー濃度を増加させる必要があることが明らかとなった。しかしながら、これは、通例、検出工程において増加したプライマーバックグラウンドを生じさせ、捕捉オリゴヌクレオチド上でのシグナル生成を低減させ得る。精製されたアンプリコン及び増加した非標識標的オリゴヌクレオチド(とりわけ、標識された対照オリゴヌクレオチド)を用いた実験は、これらのバックグラウンドオリゴヌクレオチドがシグナルを除去又は低減できることを示した。1つのアプローチ又は以下に記載されているアプローチの組み合わせを、バックグラウンドシグナルを低減するために使用することができる。
【0114】
反応増幅混合物からプライマーを簡単に除去するための1つの方法は、貝状オリゴヌクレオチドプライマーを使用することである。このオリゴヌクレオチドは、主として、第一の温度範囲において、溶液中である種の所望される二次構造を示すが、より高い第二の温度範囲においては示さない。本例では、オリゴヌクレオチドは、第二の温度範囲において標的核酸の反応を開始させることができるが、第一の温度範囲では反応を開始させることができない。一次構造が、好ましくは主として分子内様式でハイブリダイズするが、分子間様式でもハイブリダイズする1つ又はそれ以上の領域を有する二次構造をもたらすようにオリゴヌクレオチドを設計することによって、これは達成される。これは、第一の温度範囲では起こるが、前記第二の温度範囲では起こらないので、温度を変化させることによって、プライミング型と非プライミング型の間でプライマーを切り替えることが可能となる。その結果、増幅反応の終了時に温度を下げることにより、混合物から過剰のプライマーが効果的に除去される。この種の貝状プライマーは、ポリメラーゼ遮断領域、一本鎖ハイブリダイゼーション領域及び場合により存在する検出可能な部分を取り込んで調製され得ることが見出された。増幅反応終了時にプライマーを除去するための別の方法も考案されている。これらは、電気泳動、PCR後ハイブリダイゼーション及び酵素的変換による。
【0115】
電気泳動分離
記載されている第一のアプローチは電気泳動分離である。それらの分子量に基づいて核酸を分離できることは周知である。PCRアンプリコンとオリゴヌクレオチドプライマーとのサイズの相違を活用することによって、アンプリコンを迅速に精製することが可能である。好ましい実施形態において、電気泳動モジュールは、使い捨て装置中に取り込まれる。例えば、電気泳動精製モジュールは、図12に示されているように、精製を実施するのに便利な位置に、装置中のチャンネルに沿った地点に置くことができる。本装置は、装置のチャンネル中の電極50及び隣接する空洞52中の第二の電極51から構成される。各電極は、電気的接触パッド53に接続される。装置中のチャンネル54は、より初期の段階(PCR増幅工程)からより後期の段階(例えば、検出工程)へ、それを通じて流体が移動する手段を提供する。
【0116】
図12に示されている精製モジュールは、チャンネルの何れかの側面及び上又は下に置くことができる。これは、2つ又はそれ以上の電極を有することができる。例えば、示されている2つの電極の間の位置に、さらなる第三の電極を置くことができる。図12に示されている2電極の実施形態の場合、プライマー配列用の捕捉膜が使用され、これは、プライマーを効果的に、不可逆的に吸収する。適切な材料には、ニトロセルロース、Whatman DE52膜及びその他のDNA結合膜が含まれ、本分野において周知である。
【0117】
一実施形態において、電気泳動緩衝液を有する固体化されたゲルマトリックス(例えば、アガロース)が、空洞中に配置される。PCR増幅された材料の試料セグメントは、次いで、チャンネルを通じて移動し、空洞上に配置される。場合により、参照により本明細書に組み込まれる共有米国特許第5,096,669号に記載されているように、材料がチャンネルを通じて移動する際に材料の位置を感知するために伝導性電極の第二の対を使用することができる。一旦、試料が適切に配置されたら、2つの電極(50が負であり、51が正である。)を横切って電気泳動電荷を印加する。これは、ゲルマトリックス中で分子の電気泳動移動を引き起こし、より小さな合成オリゴヌクレオチドプライマーが最も速く移動し、より大きなPCRアンプリコンはよりゆっくり移動する。断片が適切な距離を(すなわちチャンネルを出て、空洞中に)移動したら、電気泳動の電荷を逆転させ、断片を反対方向に移動させる。一定の時間後、並びに特定の電荷及び電圧を用いると、より大きな分子はチャンネル中に戻り、より小さなプライマー分子はゲル材料中に残る。従って、これは、アンプリコンの精製を実施する方法である。
【0118】
別の実施形態において、図12に示されている2つの電極間に第三の電極が配置される。ここで、電極50及び51は、それぞれ、負及び正として設定される。プライマー分子が第三の中間電極を通過するが、アンプリコンは通過しない時間が経過した後、電極50を正電荷に逆転させ、電極51は正のままとする。この点で、第三の中間電極は負とされる。これは、プライマーをチャンネルから離れるように移動させ続け、アンプリコンの方向をチャンネルに向かうように逆転させる。
【0119】
図13(a)−(g)は、装置中の帯電した色素を用いることを含む工程を示している。図13(a)は、共有米国特許第5,096,669号に記載されている種類の修飾されたi−STATカートリッジベースを示している。これは、入口ポート71、チャンネル72、チャンネルに隣接した空洞73並びに3つの電極74、75及び76(これらの2つは空洞中に存在し、1つはチャンネル中に存在する。)を有する。空洞は、透明なゲルとして、緩衝液とともに1%アガロースを含有する。図13(b)に示されているように、一般的な電気泳動ローディング色素5μL、ブロモフェノールブルー及びキシレンシアノール(何れも、負に帯電している。)を含む試料を、入口ポートを通じて添加し、試料は流体セグメント77としてチャンネルに入る。実際のDNA分離が50bp及び300bp断片であるのと同様に、これらの色素は概ね25ないし50bpのサイズで移動することに注目されたい。
【0120】
図13(c)では、負の電位が74に対して印加され、正の電位が76に対して印加される(本ケースでは、10−50V)。帯電した色素は、76に向けて、アガロースゲル中を迅速に移動する。2つの色素は、それらの電荷対質量比に従って、ゲルを通じて、異なる速度で移動する。図13(d)に示されているように、色素は、75の両側に、2つのバンド78と79へと分割される。これには、約3分を要する。この点で、74及び76は正に、75は負となり、これにより、図13(e)に示されているように2つの移動する色素は、キシレンシアノール色素が再度チャンネルに進入するまで、反対方向に誘導される、図13(f)。最後に、図13(g)に示されているように、さらに下流への適用のために、キシレンシアノールはチャンネルの下に向けて空気圧で移動するが、他の色素は空洞中に残存する。
【0121】
明らかに、2つの色素の挙動は、異なる長さのヌクレオチド配列又は電気泳動を用いて迅速にお互いから分離することが可能な、異なる電荷対質量比を有するその他の何らかの化学種の代表である。さらに、電気泳動特性及び本装置の能力は、所望の分離を達成するために、ゲル密度、緩衝液塩選択、印加される電位及び時間、物理的サイズなどに従って調整することができる。
【0122】
別の実施形態において、当初の液体試料は、空洞に接しているチャンネルの領域を出て、電極の極性を逆転する前に、異なる液体のより少量と置き換える。これは、アンプリコンの濃縮を実施することができ、次いで、この濃縮は、アッセイプロセス中のさらに後の段階でのハイブリダイゼーション速度を増加させることができる。別の実施形態において、プライマーは、空洞内の捕捉膜又は粒子と接触され、これにより、不可逆的な結合が行われるため、プライマーがチャンネルの方向に戻ることは妨げられる。別の実施形態において、アガロースは、アクリルアミド、アガロースの混合物及びイナゴマメのガム、ハイドロコロイド又は他の適切な分離媒体を含む異なるマトリックスと置換され得る。別の実施形態において、図12に示されているように、シリコン上の従属部品として装置が製造され、微小装置中に挿入される。別の実施形態において、この分離した構成部品を遺伝子検査装置中に組み込むことに付随する制約に対処するために、電気泳動チャンネルは、「L」の肘に、又はその近くに位置する電極75を用いてL字型とし得る。例えば、図24は、入口ポート657及びマトリックス656とともに電極652、653及び654を有する、伝導路409に隣接する一体化された検査装置651中に取り込まれたL字型のチャンネル機構655を示している。他の要素は、図19のとおりである。
【0123】
図14は、PCR反応からのアンプリコン及びプライマーを用いた、電気泳動装置の操作を示している。レーン(A)は、ゲル空洞中に電気泳動し、新鮮な第二の回収分取試料中に再度戻して、6%の非変性アクリルアミドゲルにかけた後のPCR反応産物の一部を示している。レーン(B)は、一方向移動後に除去された元の分取試料中に残存する試料の一部を示している。レーン(C)は、試料と等しい濃度の対象であり、レーン(D)は、試料及び対照より3倍高濃度の10塩基対ラダーである。ラダーの主な種の塩基対の長さは、330、100及び10である。
【0124】
貝状オリゴヌクレオチド
通常、PCR用途の場合、二次構造の量を減少することは、標的の非特異的で、不良なプライミングを減少するのに役立つので、合成オリゴヌクレオチド配列を設計するときには望ましいアプローチである。Hfe1遺伝子に対して相補的であり、5塩基対のアデノシドスペーサー配列を有し、及び遊離の一本鎖領域を有するオリゴヌクレオチドの予想される折り畳み構造が図15に示されている。図15の配列は、
【0125】
【化2】

である。潜在的な分子の折り畳みの理論的な予測として、RNA折り畳みプログラム(Vienna RNA)は、10℃を上回るあらゆる温度で、一本鎖の性質を有するオリゴヌクレオチドを予測する。低温で二次構造を有するが、PCR及びPCRハイブリダイゼーションの変性工程中にはそれらの二次構造を喪失する合成オリゴヌクレオチドを設計することによって、ハイブリダイゼーション及び検出の後の段階でアンプリコンのハイブリダイゼーションを実施できるが、プライマー分子のハイブリダイゼーションは実施できない。is015配列を出発点として使用し、図16(a)及び(b)に示されているように、ヘアピンループ構造を有するオリゴヌクレオチドを設計し、モデル化した。図16(a)における塩基対配列は、
【0126】
【化3】

である。
【0127】
図16のモデルでは、HPEGスペーサーの効果をモデル化するために、ボックス中に示されている5塩基対の配列が使用される。図16のモデルに基づいて、2つのオリゴヌクレオチドがCLAM1及びCLAM2と表記された。2つの配列は、4つのヌクレオチドが異なる。
【0128】
【化4】

【0129】
CLAM1配列において、HEPGスペーサーに対して5’に位置する配列5’−TTGCCAGACTTCATACACAACTCCCGCGTTGCATAACT−3’は、配列番号8と表記され、HEPGスペーサーに対して3’に位置する配列5’−GTATGAAGTCTGGCAAGGGTAAACAGATCCCC−3’は、配列番号9と表記される。
【0130】
CLAM2配列において、HEPGスペーサーに対して5’に位置する配列5’−ACCCTTGCCAGACTTCATACCCGCGTTGCATAACT−3’は、配列番号10と表記され、HEPGスペーサーに対して3’に位置する配列5’−GTATGAAGTCTGGCAAGGGTAAACAGATCCCC−3’は、配列番号11と表記される。
【0131】
これらのオリゴヌクレオチド配列は、PCR反応におけるHfe1プライミング及び捕捉オリゴヌクレオチドへの結合のための主要な一次配列の特徴を維持しているが、分子内結合を生成して、これらの「貝状」構造を作出するために追加配列が付加されている。HPECスペーサー領域配列は5つの「A」で記されていること、及びこれらの配列は約40℃ないし45℃を上回ると、二次構造を有しないと予測されることに留意されたい。
【0132】
図7(b)及び7(c)は、二次構造をほとんど又は全く持たないPCRプライマー配列を使用した場合とCLAM PCRプライアーを使用した場合の差を比較対照している。PCR中の温度で、特に、ハイブリダイゼーションの温度又はハイブリダイゼーションを上回る温度で、CLAMプライマーは二次構造を形成せず、一旦、PCRアンプリコン中に取り込まれると、貝状構造を形成する能力を喪失する。PCRハイブリダイゼーションを下回る温度及び捕捉オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションにたいして使用される温度では、CLAM PCRプライマーは二次構造を形成する。従って、取り込まれなかったCLAM PCRプライマーは捕捉オリゴヌクレオチドに結合せず、及びシグナル生成を妨害しない。
【0133】
図7(b)は、非CLAMオリゴヌクレオチド配列を使用し、及び標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズするPCR反応を示している。二次構造を持たないis015のような配列が、2個のPCRプライマー81のうちの1つとして使用される。PEGスペーサーは、PCRアンプリコン中に一本鎖領域を生成し、反応82において、過剰なプライマー配列が生成される。段階83において、PCRアンプリコンと未反応プライマー配列の両方が、ビーズのような固体基材に結合された捕捉オリゴヌクレオチドに結合することが可能である。典型的には、未反応プライマーは、PCRアンプリコンと比較して著しいモル過剰にあり、シグナル検出を減少させる。
【0134】
図7(c)は、PCRアンプリコンのみを標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズさせるCLAMオリゴヌクレオチド配列を使用するPCR反応を示している。CLAM1又はCLAM2配列の何れかを生成するためにis015配列に対する修飾を使用して、PCR反応81を行う。PCRで使用される温度では、二次構造は除去される。CLAMオリゴヌクレオチドの一方末端がPCRアンプリコン中に取り込まれたら、これは、もはや、二次構造とともに機能せず、一本鎖領域82を与える。工程83において、温度は、取り込まれていないCLAMプライマー配列の二次構造を生成するために必要とされる温度を下回る。その結果、PCRアンプリコン中に取り込まれたCLAMプライマーは、捕捉オリゴヌクレオチドに結合することができる一本鎖領域を有する。
【0135】
酵素の除去
プライマーを除去するために、2つの酵素的アプローチが考案されており、これらは、取り込まれなかったオリゴヌクレオチド上のTdT尾部及び取り込まれなかったオリゴヌクレオチドの分解に関する。PCR反応混合物内には、iSp18プライマーを有する上記の例では一本鎖領域有するアンプリコン及び取り込まれなかった合成オリゴヌクレオチドという2種類の構造が存在する。アンプリコン上のプライマーは、伸長する5’領域のみを有するのに対して、取り込まれなかったプライマーは遊離の5’及び3’一本鎖末端を有する。3’末端におけるこれらの差に特異的な酵素を用いて、これらの分子を識別して除去するための戦略が開発された。
【0136】
PCR反応産物のウシ胸腺末端デオキシヌクレオチジル転移(TdT)酵素処理は、一本鎖3’伸長に対して特異的であるので、取り込まれなかったプライマーのみが、新たに取り込まれた尾部を生成する。これに対して、アンプリコンは、5’尾部を有する一本鎖領域のみを有するが、これはTdTと反応しない。
【0137】
普遍的捕捉システムに対しては非効率的で且つ特有ではないが、「T」などの単一ヌクレオチド(dNTP)を使用して、PCRプライマーの3’末端に伸長されたT尾部を作製することができる。この用途のために、リボヌクレオチドを含む修飾されたヌクレオチドなどの、TdT又はポリ(A)ポリメラーゼとともに機能する全てのヌクレオチドを使用することができる。取り込まれなかったT尾部付きプライマー配列を有する修飾されたPCR反応混合物は、ポリ(A)配列を有する捕捉オリゴヌクレオチドに対して曝露されることができる。T尾部を有する、取り込まれなかったPCRプライマーのみが、捕捉ポリ(A)配列に結合する。これにより、ポリ(T)配列を伴うPCRアンプリコンに対して反応混合物が濃縮される。ポリ(A)捕捉オリゴヌクレオチドは、固体表面、ビーズ、マトリックス様アガロース中、アクリルアミド、ポリビニルアルコール又は他の適切なハイドロコロイドに結合することができる。
【0138】
別の方法は、エンドヌクレアーゼの使用に基づく。取り込まれなったオリゴヌクレオチドプライマーは遊離の3’水酸基を有し、アンプリコンは有していないので、取り込まれなったオリゴヌクレオチドプライマーを除去するために3’−5’エキソヌクレアーゼが使用される。ExoI及びExoTを含む酵素は、遊離の3’水酸基を有する一本鎖DNAと特異的な3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する。本実施形態において、5’−リン酸基を有するプライマーを使用することが好ましい。
【0139】
PCR後のハイブリダイゼーション
上記PCR反応では、2つの異なる一本鎖領域を生成する2つのプライマーを含有するアンプリコンが生成される。シグナルを生成するために、2つの一本鎖領域間の架橋である新たに増幅された領域の他に、両方の一本鎖領域が必要である。
【0140】
本例では、一本鎖A領域は、バイオセンサーにおける相補的Aプライム捕捉オリゴヌクレオチドに結合する。一本鎖B領域は、酵素的抱合体に対する部分を有する合成オリゴヌクレオチドBプライムに結合する。あるいは、酵素的抱合体は、B領域に直接結合する。
【0141】
まず、Bプライム捕捉オリゴヌクレオチドが結合した固体基材を、本例では、検出領域に通じるチャンネル中に作製し、適切な条件下でPCR反応材料をハイブリダイズさせることにより、アンプリコン中に取り込まれなかった全てのB領域オリゴヌクレオチドがチャンネルから失われ、B領域オリゴヌクレオチドに対するチャンネル及びアンプリコン中に取り込まれたB領域オリゴヌクレオチドが濃縮される。未結合材料は、洗浄除去される。
【0142】
次いで、熱又はアルカリ条件によって、この濃縮された、結合したB領域オリゴヌクレオチド及びアンプリコンを固体支持体から放出させる。装置の検出領域の方向に、この材料を移動させる。A領域を有するオリゴヌクレオチド又はアンプリコン中に取り込まれたオリゴヌクレオチドは、バイオセンサーにおいてAプライム捕捉オリゴヌクレオチドに結合する。バイオセンサーは洗浄することが可能であり、全ての取り込まれなかったBプライマーが除去され、完全に取り込まれたアンプリコンのみが残存する。これは、取り込まれなかったオリゴヌクレオチドからバックグラウンドを効率的に除去する。
【0143】
核酸検査カートリッジの詳細な説明
核酸分析を実施するための一体化された使い捨て装置及び読み取り機器とのその相互作用が、図6に幾何学的に示されている。これは、標的核酸を含有すると疑われる試料を受容するための入口ポート101を有する収容部100を含む。入口ポートは、前記標的核酸を抽出するための試薬を有するチャンバー102に通じる。試薬103は、チャンバーの壁上に被覆することができる。チャンバーは、ビーズ104、例えば、核酸を結合するのに適したコーティングを有する磁気ビーズを含有し得る。好ましくは、チャンバーは、融解して、伝導路106への出口の領域中に連続した蝋層105を形成することができる蝋も含有する。好ましい磁気ビーズが前記標的核酸と会合したら、蝋層を通じて伝導路中にこれらを引き付けるために磁場を付与する。付与されるこの磁場は、試料からの核酸の抽出を促進するために、チャンバー中で振幅させてもよいことに留意されたい。場合により、抽出チャンバーを出る前に、洗浄流体をビーズに付与してもよい。洗浄流体チャンバー122は、入口ポートと抽出チャンバーの間に接続される。さらに、試料及び洗浄流体廃棄チャンバー123は、入口ポートに関して、抽出チャンバーの遠位末端に接続される。作動時には、抽出工程の後、磁気手段によってビーズはチャンバーの壁上に保持され、次いで、洗浄流体は、チャンバー122からチャンバー102を通じて、チャンバー123中に送られる。これにより、望ましくない試料材料が排除され、チャンバー102はビーズ及び主として洗浄流体を含有する状態になる。機器200はチャンバー122に対して整列された作動手段211を含有し、チャンバーから洗浄流体を追放するために、柔軟な隔壁124に対する力を付与する。
【0144】
洗浄後、次いで、ビーズは、蝋層を通過して、伝導路106中に、次いで増幅チャンバー107中に進む。伝導路中のビーズの移動は、好ましくは、同じ磁気手段により、又は空気圧とすることも可能である。増幅チャンバーは増幅試薬保持チャンバー108にも取り付けられ、これは、好ましい実施形態におけるように、又はビーズがこのチャンバーに進入する前又は進入した後の分離された工程において、ビーズを有する増幅チャンバーへとこれらの試薬を送達することができる。あるいは、これらの試薬は、このチャンバー中に存在してもよく、要素108は省略してもよい。増幅試薬が最良に乾燥保存される別の代替法において、チャンバー108は、増幅チャンバーの壁上に被覆された希釈剤及び試薬を含有し得る。
【0145】
様々な増幅法、例えばローリングサークル及びリガーゼ連鎖反応に対して、上述のような増幅試薬を提供することができる。好ましい実施形態において、試薬は、PCRを用いて増幅された標的中に検出可能な部分を取り込む。場合により、付与される磁場は、増幅チャンバー中のビーズを混合するために使用され得る。これは、抽出チャンバーについて記載したものと同様の様式である。
【0146】
前記増幅チャンバーは、加熱手段109及び増幅チャンバーの温度を調節し、このため、標的核酸の増幅に適した条件を実施するための温度検知サーミスタ110も有する。好ましい実施形態において、増幅チャンバーは、30サイクルにわたって、68℃及び90℃の間でサイクルにかけられる。各温度での時間は、それぞれ、5秒超及び30秒未満である。収容部100の主要部分はプラスチック製であるが、増幅チャンバーの少なくとも1つの壁は、優れた熱伝導特性を有する不活性材料(好ましくは、シリコン)から作製される。シリコンの逆側は抵抗性経路111並びに2つの電気接触パッド112及び113を有し、これらは加熱素子109を構成する。抵抗性経路を通過する電流は、シリコンチップの加熱を引き起こし、従って、増幅チャンバーの内容物の加熱を引き起こす。シリコンの逆側は、2つの電気的接触パッド115及び116への導線114によって配線されたサーミスタ110も有する。抵抗性経路を通過する電流を制御し、これにより、増幅チャンバーの温度を調節するために、サーミスタの出力は機器によって使用される。
【0147】
使い捨て装置100は、場合により、入口ポートを密封するための閉鎖要素117も含み得る。これは、共有米国特許5,096,669号に記載されている種類のプラスチック留め金式閉鎖要素又は係属中の共有米国特許出願10/658,528号のスライド閉鎖とすることができる。
【0148】
増幅チャンバーは、それぞれ、118及び119により、入口及び出口にも密封し得る。これは、温度サイクリングの間に試薬がチャンバー中に留まるように確保するのに望ましい。例えば、要素118及び119は、変形可能なゴムシールであり得る。収容部中の開口部120及び121を通じて移動し、118及び119と接触して密封をもたらす、機器中のピン要素209及び210によって、作動させることができる。ピン要素209及び210は、独立に、又は機器によって一緒に作動し得る。
【0149】
増幅チャンバーの出口は、固定化された捕捉オリゴヌクレオチド127及びセンサー128を含む検知領域126を含有する第二の伝導路125に作動可能に取り付けられている。収容部100は、前記検知領域へ増幅された標的を移動させるために増幅チャンバーに取り付けられた第二のポンプ手段129を含有する。ポンプ手段は、隔壁131を有する、空気が充填されたチャンバー130を含む。機器200は、空気圧によってチャンバー130から空気を排除することにより、増幅された標的を検知領域の方向へ排除するために要素131に力を加えるための作動手段212を含有する。
【0150】
増幅された標的が検出装置領域に到達すると、増幅された標的は捕捉オリゴヌクレオチドに結合し、保持され得る。検出領域は、壁151上に被覆された乾燥した試薬層も含有する。好ましい実施形態において、プライマーを伴う部分(アンプリコンの一部となる。)はビオチンであり、乾燥した試薬151は、ストレプトアビジン標識されたアルカリホスファターゼである。アンプリコンとともに試薬を溶解すると、試薬は、周知のビオチン−アビジン相互作用を介して、ビオチンに結合する。作動中、この工程は、一般的には、約5分から約15分を要する。別の実施形態において、前記部分は5’FAM又は5’−ビオチンとすることができ、及び乾燥試薬は、抗FITC−ALP(アルカリホスファターゼ)又はストレプトアビジン−グルコースオキシダーゼ抱合体とすることができる。
【0151】
第三の伝導路132は、増幅チャンバーの出口と検知領域の間において、第二の伝導路125に取り付けられている。第三の伝導路132は、検出試薬134が入ったチャンバー133を有する。場合により、試薬は、柔軟な密閉されたホイル小袋135中に含有され、作動時には、機器は、小袋に力を与えて破裂機構136(好ましくは、収容部中に成型された鋭いプラスチックの点)に対して小袋を押し付けることにより小袋を破裂させることができる作動手段213を含有する。これにより、検出試薬は、第三の伝導路を通じて、第二の伝導路中に移動する。これにより、増幅された標的を捕捉オリゴヌクレオチドに結合させた状態に保ちながら、全ての未破裂の増幅された標的及びその他の材料が検知領域から排除及び洗浄除去される。収容部200は、排除された材料を受容するために第二の伝導路に取り付けられた廃棄チャンバー137も含有している。
【0152】
最終工程において、検出試薬は、前記増幅された標的139中に取り込まれた部分138と反応して、センサー140にシグナルを生成する。部分がビオチンであり、ストレプトアビジン標識されたアルカリホスファターゼに結合されている好ましい実施形態において、検出試薬は、酵素により加水分解されてp−アミノフェノールを形成するp−アミノフェノールホスファートである。次いで、これは、電流測定センサーの電極表面で電気化学的に酸化されて、経時電流測定(電流対時間のプロット)を示す図に記されているように、存在する部分の量に比例する電流を生じる。
【0153】
一体化された使い捨て装置を作動させるために使用される図6中の機器200及び図21中の650は、図21では、検査装置と相互作用している状態で示されている。これは、使い捨て装置100及び651を受容するためのポート654を含む。機器は、ユーザーが入力するためのキーパッド652及びディスプレイ653を有している。電気的接続要素及び作動要素の所望される相互作用を提供するために、機器に関して装置の位置を決めるための1つ又はそれ以上の位置決め機構202が提供される。機器は、チャンバー103中のビーズ104の位置に隣接する電磁石203を含有する。抽出チャンバーから増幅チャンバーへとビーズを移動させ、各チャンバー内でのビーズの混合を促進するために、電磁石を使用し得る。機器には、チャンバーに圧力を与え、試薬を増幅チャンバー中に排除させることができる増幅試薬保持チャンバー108の位置に隣接する作動手段204が含まれる。機器は、要素112と113を接触するための電気的接触205及び206の一対並びに111を通じて電流を通過させるための電力源も有する。機器は、サーミスタ110を接触させるための要素115及び116を接触させるための電気的接触207及び208の一対も含む。さらに、機器は、適切な電気的回路及びこれらの手段を通じて増幅チャンバーの温度を制御するための内蔵されたアルゴリズムを含む。
【0154】
機器は、収容部中の開口部120及び121を通じて移動し、118及び119と接触して118及び119を閉鎖し、増幅チャンバーを密封する、作動ピン要素209及び210を含む。分析サイクル中の適切な段階で密封を開始するための制御アルゴリズムとともにこの作動を実施するために、適切な電気力学的装備が含められる。
【0155】
機器は、共有米国特許第4,954,087号及び米国特許第5,096,669号に記載されている種類の電気的接続装置も有する。これは、収容部100中のセンサー128への電気的接続を与えるために使用される。制御された温度、例えば37℃で、検出工程を実施することが望ましい場合には、コネクターは加熱要素及びサーミスタ要素も取り込み、これらは、センサーに対して基材を提供するシリコンチップの裏側に接触する。これらの要素は、増幅チャンバーについて記載したものと同様の種類である。機器は、センサーの電位を調節し、及び電流を測定するために電流測定回路を有する。機器は、核酸測定を行い及び機器上のディスプレイスクリーン上に結果を表示するために、使い捨て装置上の機器によって行われる全分析系列を制御するための内蔵されたアルゴリズムも有する。電気的活性種が捕捉された標的に比例して生成又は消費される場合には、電位測定又は伝導度測定を用いてより適切に検出されるが、本分野において周知の別の回路も、機器に取り込まれる。
【0156】
別の実施形態において、使い捨て装置は、図19及び20に示されている2つの分離した部分から構成される。図19は、分離した抽出装置470及び組み合わされた増幅及び検出装置471を示している。組み合わせた形態の要素は、抽出された材料を一方から他方へと移動させることに関連する装備を除き、図6中の一体化された装置に対して示されたものと同じ装備を有する。要素470は、入口ポート413、伝導路411、洗浄流体417及び廃棄チャンバー418、分離領域421、伝導路の末端部分601及び入口ポート502と合体する出口ポート502を含む。要素470は、471中の1つ又はそれ以上の開口部500と合致する合体機構520及び521も有する。要素471は、増幅チャンバー410、伝導路409、チャンバー408、409及びセンサー419、420、出口伝導路405及び密封機構406を有する。図20は図19と類似しているが、組み合わされた抽出及び増幅コンポーネント472及び分離された検出コンポーネント473を含むことが異なる。適切には、合体機構が2つの間に配置される。
【0157】
図18は、抽出、増幅及び検出を実行する装置中にフィルター領域421が組み込まれた追加の実施形態を示している。他の要素は、図19のとおりである。図17(a)は、反射率法によって調べられる光学的センサーが装置中に一体化された光学的検出に基づく使い捨てカートリッジを示している。要素401によって光が生成され、センサー403と相互作用し、検出装置400によって捕捉される。図17(b)は、検知領域がキュベット機構404である光学的使い捨てカートリッジを示しており、機器中に一体化された光源402と検出装置400を用いた検出を可能とする。
【0158】
試料が口腔綿棒標本である場合には、抽出構成要素(磁石又はフィルターの何れかをベースとしたもの)は不要であり、試料は、増幅チャンバー中に直接挿入し得ることが見出される。図28(a)及び図28(b)は、PCRチャンバーに口腔試料を直接付与するための口腔試料装置の2つの図(上及び下)を示している。この抽出及び増幅装置は、上記合体機構によって(図示せず)、検出カートリッジに取り付ける。
【0159】
収容部100の一般的な寸法は、長さ約6cm、幅3cm及び高さ0.3cmである。介在する両面接着テープ145によって一緒に固定される装置基部143と装置カバー144中には、好ましくは、伝導路及びその他の機構が設けられる、図6参照。基部及びカバーがプラスチック中に射出成型されている場合には、典型的には、ABS又はポリカーボナート、伝導路及びシリコンチップを収容するための陥凹部、流体含有小袋などが成型された装備である。本実施形態において、粘着テープは、液体を所望の伝導路及びチャンバーに限定するための密封ガスケットとして作用する。粘着性テープガスケットの使用とともに、成型されたカバー及び基部要素の使用についての詳しい論述が、共有米国特許第5,096,669号及び係属中の米国特許公開20030170881号に見出され、これらは参照により本明細書中に組み込まれる。
【0160】
検出の詳細な説明
使い捨てカートリッジにおける検出の好ましい方法は電気化学であるが、蛍光、発光、比色、温度測定、光ファイバー、光導波路、表面音波、エバネセント波、プラスモン共鳴などのその他の検知方法を使用することが可能である。
【0161】
好ましいセンサー128は、カウンター参照電極301によって作動される電流測定電極300を含み、図6に示されている。電流測定電極300は、シリコンチップ302上に微小加工された100μmの直径の金層を含む。本分野で周知であるように、表面上に二酸化ケイ素の絶縁層を作製するために製造の第一工程では、シリコンチップが処理される。電極は、伝導線303によって、機器の電気的コネクターと接触するコネクターパッド304に接続される。伝導線は、典型的には、ポリイミド305の絶縁層で被覆される。増幅された標的に対して相補的であり、増幅された標的を捕捉することができるリガンド308を有する接着されたポリマー粒子307は、電極300の上に直接、又はチップ上の隣接する位置306に位置する。カウンター参照電極は、同じシリコンチップ上に微小加工してもよく、又は第二の伝導路125中に隣接して配置してもよい。カウンター参照電極は、接触線309により、機器コネクターと接触する接触パッド310に付着された200μmの直径の銀−塩化銀層を含む。同じく、線309は、好ましくは、ポリイミド3の絶縁層で被覆される。電流測定センサーの微小加工の詳しい記述は、参照により、本明細書に組み込まれる共有米国特許第5,200,051号に見出される。
【0162】
2つの伝導性バー311及び312を含む伝導性センサーは、チップ302又は隣接するチップ350上に存在し、それぞれ、線315及び316により、パッド313及び314を接触させるために接続されている。図6を参照。液体又は空気がセンサーと接触しているかどうかを識別し、これにより、センサー300に対する、第二の伝導路中での溶液の位置を決定するために、伝導性センサーは前記機器によって使用され得る。この溶液は、増幅された標的又は検出試薬を含有する溶液であり得る。場合により、伝導性センサーは、流体の位置を決定するために、抽出チャンバーと増幅チャンバーの両方に取り込まれ、又は隣接し得る。伝導性センサーの微小加工及び使用の詳しい記述は、参照により、本明細書に組み込まれる共有米国特許第5,447,440号及び米国特許第6,750,053号に見出される。
【0163】
使い捨て装置100の別の実施形態において、シリコンチップ302が透明なガラス窓に置き換えられ、装置の検知領域はキュベットを形成する。図17。増幅された標的捕捉試薬はガラス上に固定され、本事例では、検出試薬は、前記部分(例えば、アルカリホスファターゼ)は、光学的に検出可能な信号(例えば、蛍光)を生成させる分子を含有する。このような分子は、本分野において周知である。他の全ての観点において、使い捨て装置の動作は、電気化学的検出モードと同じである。
【0164】
使い捨て装置を用いた核酸検査サイクルの詳細な説明
機器200とともに、使い捨て装置100を用いたアッセイサイクルの好ましい実施形態は、以下のとおりである。約10μLの血液試料が入口ポート101に添加され、毛管作用により、抽出チャンバー102の中へ引き込まれる。次いで、入口ポート閉鎖要素117を使用して、入口ポートを密封する。カオトロピック剤、ドデシル硫酸リチウム及びジチオスレイトール及びキレート剤(エチレンジアミン四酢酸)を含み、チャンバーの壁上に被覆されている試薬103は、血液試料中に溶解し、細胞の溶解を引き起こし、細胞内から得られた核酸が開放され、磁気ビーズ104上のカルボキシラートコーティング上に吸着される。ビーズを撹拌してチャンバー内での混合を促進し、抽出の速度を加速するために、磁場を使用することができる。抽出プロセスの本工程は、一般的には、約0.3ないし1分未満を要する。磁場が配備される場合には、これは、機器の自動制御下にあり、検査サイクルを制御する内蔵されたアルゴリズムによって決定される。一旦、この工程が完了したら、機器は、抽出チャンバーの側面に磁気粒子を保持する磁場を配備する。洗浄流体チャンバー122からの洗浄流体は、次いで、抽出チャンバー中に空気圧で強制的に送り込まれ、洗浄流体廃棄チャンバー123中に内容物を流す。洗浄流体廃棄チャンバーは排気口146を有すること、及びこの工程の間、機器は入口118を増幅チャンバーに密封させ、従って、廃棄流体は伝導路106に進入せずに、廃棄チャンバー中に誘導されることに留意されたい。本工程は、約30秒を要する。好ましい実施形態における洗浄液は脱イオン水であり、抽出チャンバーを通して通過する洗浄流体の容積は20ないし30μLである。図23に示されているように、増幅チャンバーの1つの壁を形成するシリコンチップは、抽出チャンバーの1つの壁も形成し、従って、抽出過程は制御された温度で行われ得ることにも留意されたい。好ましい実施形態において、血液からの核酸抽出は室温で行われる。
【0165】
次の工程では、機器は入口シール118を開放し、抽出チャンバーの壁から磁気粒子を放出させ、抽出チャンバー及び増幅チャンバーに通じる伝導路の境界において蝋層を通じて磁気粒子を引き付ける。機器は、抽出チャンバーの温度が蝋を液体形態にするのに十分であり、及び磁気粒子が通過できるように確保する。好ましい実施形態において、蝋はパラフィンであり、制御された温度は45℃ないし70℃である。前に論述したように、蝋を通じた粒子の通過は、PCR増幅の妨害物質(ヘモグロビンを含み得る。)を最小限に抑える。次いで、粒子は、増幅チャンバー中に引き込まれる。好ましい実施形態において、増幅チャンバーは10ないし20μLの容量を有する。図23に示されているように、チャンバー606は、計8mmの長さ、8mmの幅及び0.25mmの高さを有する「U字」形状である。図23に示されている要素609の他の装備は、チャンバー600及び602、ポート603、604及び607、伝導路601及び608並びに加熱装置605である。
【0166】
本過程の次の工程は、そのチャンバーから増幅チャンバー中にPCR増幅試薬を空気圧で排除する機器を含む。PCR増幅試薬は、DNAポリメラーゼ、緩衝液及び修飾されたプライマーを含む。プライマーは、標的核酸の第一の領域に対して相補的な塩基の配列、ポリメラーゼ遮断領域、付着された検出可能な部分(ビオチンである。)を有するポリメラーゼ遮断領域に付着された一本鎖ハイブリダイゼーション領域を含む。好ましい実施形態において、緩衝液は、抗KOD抗体と複合体を形成したサーモコッカス種のKOD熱安定的ポリメラーゼ22U/mL、66mMのTris−SO4(pH8.4)、30.8mMの(NH4)2SO4、11mMのKCl、1.1mMのMgSO4、330μMのdNTP並びにタンパク質及び安定化剤(Invitrogen Life Technologies AccuPrime Pfx SuperMix manual, Cat. No.12344−040)からなるが、あるいは、Stratagen Pfu DNA polymerase Instruction Manual Cat# 600135 Revision$ 064003d)に記載されているように、20mMのTris−HCL(pH 8.8), 2mMのMgSO4、10mMのKCl、10mMの(NH4)2SO4、0.1%のTriton−X−100、0.1mg/mlの無ヌクレアーゼBSAでもあり得る。
【0167】
次の工程では、機器は、増幅チャンバー中にビーズ及び試薬を保持するために、装置中の2つの密封要素118及び119を密封し、95℃と99℃の間での温度及び68℃でのハイブリダイゼーション工程(各温度での持続時間は、それぞれ、2秒及び12秒)を30サイクル繰り返す。総増幅時間は、約12分である。一旦、この工程が完了したら、次いで、増幅チャンバーから、装置の検出領域に通じる伝導路中に増幅された標的を移す。一実施形態において、PCR反応の終了時に、PCRチップの入口及び出口ポートを密封するガスケットは、入口及び出口ポートの両方から離昇される。カートリッジ中に空気袋が沈降されており、入口ポートガスケット中に正の空気圧を作出し、液体を出口ポートガスケットから排出し、チップの最終検出領域方向に液体を移動させる。ここでは、検出領域への液体の移動をモニタリングするために、伝導性バーの組が使用される。
【0168】
好ましい実施形態において、貝状プライマーが使用され、従って、検出領域につながる加熱されていない伝導路中では、これらのプライマーはそれ自身に再アニールし、妨害物質としてアッセイから効果的に除去される。別の実施形態において、望まれないプライマーを分離するために電気泳動が使用される場合、図12及び13に記載されている要素は、図24に示されているような使い捨て装置へと組み合わされる。この分離過程は上記されている。電気泳動分離を有する使い捨て装置において、機器は、電気泳動電極74、75及び76(図13参照)並びに652、653及び654(図24参照)への電気的な接続を作る。本装置において、本工程の時間は、プライマー及びアンプリコンのサイズに応じて、典型的には、1ないし2分未満である。未使用のプライマーの酵素的除去が使用される別の実施形態において、増幅チャンバーから検出領域へと至る伝導路の壁150の一部へ酵素的混合物が適用される。この材料は、アンプリコンを含有する液体上に溶解し、上記の非妨害形態へとプライマーを変換する。壁上の乾燥した試薬混合物は、好ましくは、迅速な溶解を促進するトレハロース又はフィコールを含む支持体マトリックス中の酵素である。酵素的工程に要する時間は、典型的には、約6分であり、酵素の量、温度、除去されているプライマーの種類に依存する。別の実施形態において、アンプリコンの検出領域を除去する、第一の捕捉オリゴヌクレオチドを用いたアンプリコンの後ハイブリダイゼーションに続いて、最終捕捉工程中で関与する全ての未結合の取り込まれていないオリゴヌクレオチドを除去する洗浄工程を使用することができる。第一の捕捉工程で結合されたアンプリコン及びプライマーは、次いで、熱又はアルカリ条件を用いて未結合にされ、次いで、最終検出領域へと移動され、ここで、捕捉オリゴヌクレオチドは作製されたアンプリコンを完全に捕捉する。
【0169】
次の工程において、アンプリコンは検出領域に到達し、検出チャンバー151の壁上で試薬の溶解が起こる。好ましい実施形態において、本試薬は、好ましくはビオチンである、アンプリコン上の部分に結合して、アンプリコン及び酵素の複合体を形成するストレプトアビジン標識されたアルカリホスファターゼである。次いで、この複合体は、センサー上の捕捉オリゴヌクレオチドに結合することができる。速度論に応じて、アンプリコンは、まず、捕捉オリゴヌクレオチドに結合し、次いで、標識された酵素に結合し得る。この装置において、本工程の時間は、典型的には、約5ないし15分である。
【0170】
最終工程では、検出試薬は、検出試薬チャンバーから検知領域中へと排除され、これにより、未結合の、アンプリコン及び標識された酵素は全て、廃棄チャンバーへと排除される。ハイブリダイゼーション工程の効率を向上させ、これにより、ハイブリダイゼーション時間及び必要とされる洗浄流体の量を減らすために、センサーの領域中に乱流を引き起こすくびれである要素152及び153を場合により含めてもよい。本装置において、本工程の時間は、典型的には、70秒未満であり、使用される洗浄流体の量は、約10ないし50μLである。前に述べたとおり、洗浄流体は、検出を可能とする試薬も含有する。流体の後ろの部分がセンサー上に保持されるので、捕捉されたアルカリホスファターゼは、試薬p−アミノフェノールホスファートをp−アミノフェノールへと変換させることが可能であり、p−アミノフェノールは、次いで、電極で酸化されて、測定可能な電流を生じる。この装置において、本工程の時間は、典型的には、1分未満である。センサーに対する後方末端の位置決めは、上述のように伝導性センサーを形成する電極155及び156の対を用いて達成し得る。
【0171】
測定された電流は、元の試料中に存在することが疑われる標的核酸の存在又は不存在を決定するために、前記機器によって使用される。これは、定性的結果であってもよく、又は標的が存在する場合には、試料中の標的の量の定量的測定であってもよい。特定の標的因子に対するアルゴリズム、抽出チャンバーに進入する当初試料容量、増幅サイクルの数及び効率並びに捕捉反応の効率性の他、試料中の標的の当初濃度を決定するためのその他のあらゆる必要な因子。このような因子は、基準方法から得られた公知の試料を用いて、独立に決定される。これらの方法は、本分野において周知である。
【0172】
関連する実施形態において、第一のセンサーへの、ストレプトアビジン標識されたアルカリホスファターゼの何らかの非特異的結合を計上するために、検出領域中に第二のセンサー154が提供される。第二のセンサーは第一のセンサーと同じであるが、アンプリコンに結合しない捕捉オリゴヌクレオチドを有する。第二のセンサーにおける一切のシグナルは、アルゴリズムによって、第一のセンサーにおけるシグナルから差し引かれる。
【0173】
使い捨て装置中への試料の進入及び機器中への挿入からの、本アッセイの総時間は約10と20分の間を要し、一般的に、特異的標的及び増幅サイクルの必要とされる数に依存する。遺伝的検査が完了し、結果が機器によって表示されると、機器内の作動機構は、次いで、装置を開放し、装置はユーザーによって取り外され、廃棄できる。次いで、機器は、新しい使い捨て装置を受容できる状態となる。開示されている装置と機器の組み合わせの著しい利点は、一旦、試料が装置に入ると、全ての他の工程が機器によって制御されるため、検査サイクルにおいて起こり得る人為的エラーがなくなることである。これは、分析的研究室の測定に特に習熟していない者によって、信頼性高く、システムを使用できるということを意味する。例えば、医師は、ベッドサイドで、又は患者が職場を訪問している間にシステムを使用し得る。システムは、離れた場所、例えば、環境のモニタリング及び有害性評価においても使用し得る。この設計のさらなる利点は、それが、より安全な廃棄のために装置内に試料残留物及び増幅された材料を保持することである。
【0174】
収容部100の別の実施形態において、抽出チャンバー102は、キレート剤及びカオトロピック剤を含む抽出試薬が含浸された、フィルター材料157及び421を含有する。抽出チャンバーの1つの壁は、温度を調節するためのサーミスタを有する加熱要素からも構成される。フィルター材料は、好ましくは、3MM Whatmanペーパーから構成され、核酸を優先的に結合するカルボキシル化された表面を有する。試料、例えば血液が、抽出チャンバーに進入すると、試料は抽出試薬を溶解し、細胞材料から得られた核酸はフィルターに結合する。抽出プロセスの本工程は、約0.5ないし2分を要する。洗浄流体チャンバー122由来の洗浄流体の塊は、次いで、抽出チャンバーを通じて押し出され、洗浄流体廃棄チャンバー123中に排出され、抽出された核酸をフィルター上に吸着された状態にしつつ、溶解された細胞の細片を試料から運び去る。完全な洗浄を確保するために、洗浄流体の複数の塊を使用し得る。次いで、洗浄流体のさらなる塊がチャンバー中に押し出され、機器は加熱要素を活性化し、サーミスタにより、流体の塊の温度が90℃になるように調節する。これは、フィルター上に吸収された核酸を、フィルターから脱離させ、流体中に溶解させる。次いで、核酸材料を含有する流体は、空気圧で、増幅チャンバーに移される。本実施形態において、洗浄流体は、好ましくは、脱イオン水である。
【0175】
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【0176】
【化5】

【0177】
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【0178】
【化6】

【0179】
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【0180】
【化7】

【0181】
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【0182】
【化8】

【0183】
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【0184】
【化9】

【0185】
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【0186】
【化10】

【0187】
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【0188】
【化11】

【0189】
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【0190】
【化12】

【0191】
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【0192】
【化13】

【0193】
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【0194】
【化14】

【0195】
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【0196】
【化15】

【0197】
上記の典型的な実施形態は、あらゆる観点において例示を意図したものであり、本発明を限定することを意図したものではない。従って、本発明は、当業者により、本明細書の記述から誘導され得る多くの変更及び改変を実施することができる。このような変更及び改変は全て、以下の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲及び精神に属するものであると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸分析を実施するための一体化された使い捨て装置であり、
収容部と、
標的核酸を含有すると疑われる試料を受容するための入口ポートと、入口ポートに作動可能に接続され、前記標的核酸を抽出するための試薬を含有する第一のチャンバーと、
抽出された核酸の、増幅チャンバーへの通過を可能とする第一の伝導路とを含み、前記収容部は、増幅された核酸標的中に検出可能な標識を取り込ませることができる増幅試薬を含有し、
増幅チャンバーは、増幅条件を調節するための、加熱手段及び温度検知手段を有し、
増幅チャンバーは、固定化された捕捉オリゴヌクレオチドを有する検知領域を含有する第二の伝導路に作動可能に連結され、
前記収容部は、前記増幅された標的を検知領域へ移動させて、前記増幅された標的と前記捕捉オリゴヌクレオチドとの結合を可能とするための手段を含有し、前記第二の伝導路は、検知領域から捕捉されていない増幅された標的を実質的に排除することができる流体を含有し、及び前記検知領域中に保持された前記検出可能な標識の検知を可能とする保持チャンバーへ作動可能に取り付けられている、装置。
【請求項2】
標識部分が、フルオロセイン、ジニトロフェノール、ビオチン、コレステロール、ジゴキシゲニン及びエストラジオールからなる群から選択される、請求項1の装置。
【請求項3】
検知領域が光学的検出装置によって調査される、請求項1の装置。
【請求項4】
検知領域が一体化された光学的検出装置によって調査される、請求項1の装置。
【請求項5】
検知領域が一体化された電気化学的検出装置によって調査される、請求項1の装置。
【請求項6】
増幅試薬が前記第一の伝導路中に位置する、請求項1の装置。
【請求項7】
増幅試薬が前記増幅チャンバー中に位置する、請求項1の装置。
【請求項8】
増幅試薬が、前記増幅チャンバーへ作動可能に接続された保持チャンバー中に位置する、請求項1の装置。
【請求項9】
増幅試薬が、前記第一の伝導路へ作動可能に接続された保持チャンバー中に位置する、請求項1の装置。
【請求項10】
前記流体が洗浄流体である、請求項1の装置。
【請求項11】
増幅標的を移動させるための前記手段が空気圧式である、請求項1の装置。
【請求項12】
核酸分析を実施するための一体化された使い捨て装置であり、
収容部と、
標的核酸を含有すると疑われる試料を受容するための入口ポートと、
第一のチャンバー中に位置する磁気ビーズ上に標的核酸を抽出するための試薬を含有する、入口ポートへ作動可能に接続された第一のチャンバーと、を含み、
前記第一のチャンバーはまた、第一のチャンバー及び第一の伝導路の領域中に実質的に連続した蝋層を形成するための蝋を含有し、ここにおいて、抽出された標的核酸を伴う磁気ビーズは、負荷される磁場によって、蝋層を通過して第一の伝導路中に通じることができ、
第一の伝導路は、標的核酸及びビーズの、増幅チャンバー中への通過を可能し、前記収容部は、増幅された核酸標的中に検出可能な標識を取り込ませることができる増幅試薬を含有し、
増幅チャンバーは、増幅条件を調節するための加熱手段及び温度検知手段を有し、
増幅チャンバーは、固定化された捕捉オリゴヌクレオチドを有する検知領域を含有する第二の伝導路へ作動可能に連結されており、
前記収容部は、増幅された標的を検知領域へと移動させて、前記捕捉オリゴヌクレオチドへの前記増幅された標的の結合を可能とするための手段を含有し、
前記第二の伝導路は、捕捉されていない増幅された標的を検知領域から実質的に排除することができる流体を含有し、及び検知領域中に保持された検出可能な標識の光学的検知を可能とする保持チャンバーへ作動可能に取り付けられている、装置。
【請求項13】
検出可能な標識が、フルオロセイン、ジニトロフェノール、ビオチン、コレステロール、ジゴキシゲニン及びエストラジオールからなる群から選択される、請求項12の装置。
【請求項14】
検知領域が光学的検出装置によって調査される、請求項12の装置。
【請求項15】
検知領域が一体化された光学的検出装置によって調査される、請求項12の装置。
【請求項16】
増幅試薬が前記第一の伝導路中に位置する、請求項12の装置。
【請求項17】
増幅試薬が前記増幅チャンバー中に位置する、請求項12の装置。
【請求項18】
増幅試薬が、前記増幅チャンバーへ作動可能に接続された保持チャンバー中に位置する、請求項12の装置。
【請求項19】
増幅試薬が、前記第一の伝導路へ作動可能に接続された保持チャンバー中に位置する、請求項12の装置。
【請求項20】
前記流体が洗浄流体である、請求項12の装置。
【請求項21】
増幅標的を移動させるための前記手段が空気圧式である、請求項12の装置。
【請求項22】
核酸分析を実施するための一体化された使い捨て装置であり、
収容部と、
標的核酸を含有すると疑われる試料を受容するための入口ポートと、
第一のチャンバー中に位置する磁気ビーズ上に標的核酸を抽出するための試薬を含有する入口ポートへ作動可能に接続された第一のチャンバーと、を含み、
前記第一のチャンバーはまた、第一のチャンバー及び第一の伝導路の領域中に実質的に連続した蝋層を形成するための蝋を含有し、ここにおいて、抽出された核酸を伴う磁気ビーズは、負荷される磁場によって、蝋層を通過して第一の伝導路中に通じることができ、
第一の伝導路は、標的核酸及びビーズの、増幅チャンバー中への通過を可能とし、前記収容部は、増幅された核酸標的中に検出可能な標識を取り込ませることができる増幅試薬を含有し、
増幅チャンバーは、増幅条件を調節するための、加熱手段及び温度検知手段を有し、
増幅チャンバーは、固定化された捕捉オリゴヌクレオチドを有する検知領域及び前記検出可能な標識へ結合することができる溶解可能なシグナル発生試薬及び電気化学的センサーを含有する第二の伝導路へ作動可能に連結されており、
前記収容部は、増幅された標的を検知領域へ移動させて、増幅された標的の捕捉オリゴヌクレオチドへの結合を可能とするための手段を含有し、第二の伝導路は、検知領域から全ての捕捉されていない増幅された標的及び検出可能な標識へ結合されていないシグナル発生試薬を実質的に排除する検出試薬を含有する保持チャンバーへ作動可能に付着されており、
前記検出試薬は、検出可能な標識へ結合され及びセンサーにおいてシグナルを発生するシグナル発生試薬と反応することができる、装置。
【請求項23】
増幅試薬が前記第一の伝導路中に位置する、請求項22の装置。
【請求項24】
増幅試薬が前記増幅チャンバー中に位置する、請求項22の装置。
【請求項25】
増幅試薬が、前記増幅チャンバーへ作動可能に接続された保持チャンバー中に位置する、請求項22の装置。
【請求項26】
増幅試薬が、前記第一の伝導路へ作動可能に接続された保持チャンバー中に位置する、請求項22の装置。
【請求項27】
増幅標的を移動させるための前記手段が空気圧式である、請求項23の装置。
【請求項28】
磁気ビーズを作動させるための手段と、1つ以上の機械的作動手段と、増幅チャンバーの温度を測定及び調節するための手段と、センサーを作動させ、及びセンサーシグナルをアルゴリズムに適用し、及び試料中の標的核酸の存在に関連する結果を表示するための手段とを含むリーダー中に挿入させるために適合された、請求項22に記載の一体化された使い捨て装置。
【請求項29】
洗浄流体保持チャンバー及び廃棄チャンバーをさらに含み、両者が第一の伝導路へ作動可能に取り付けられており、及び洗浄流体が第一の伝導路中に保持されたビーズ上を廃棄チャンバーへと通過できるようにしてビーズの洗浄を実施する、請求項22の装置。
【請求項30】
洗浄流体保持チャンバー及び廃棄チャンバーをさらに含み、両者が第一のチャンバーへ作動可能に取り付けられており、洗浄流体が、洗浄流体保持チャンバーから、第一のチャンバー中に保持されたビーズの上を廃棄チャンバーへと通過できるようにしてビーズの洗浄を実施する、請求項22の装置。
【請求項31】
増幅チャンバーが、入口に第一の反転可能な密封手段を含む、請求項22の装置。
【請求項32】
増幅チャンバーが、出口に第二の反転可能な密封手段を含む、請求項22の装置。
【請求項33】
第二の廃棄チャンバーが、センサーを越えて、第二の伝導路に取り付けられている、請求項22の装置。
【請求項34】
増幅試薬が、DNAポリメラーゼと、並びに標的核酸の第一の領域に対して相補的な塩基の配列、これに付着されたポリメラーゼ遮断領域、ポリメラーゼ遮断領域に付着された一本鎖ハイブリダイゼーション領域及び検出可能な標識を含有する修飾されたプライマーとを含む、請求項22の装置。
【請求項35】
第二の伝導路が、プライマーを含有する未使用の増幅試薬を実質的に除去することができるエキソヌクレアーゼを含有する、請求項22の装置。
【請求項36】
第二の伝導路が、自己アニーリングプライマーを含有する増幅試薬を、開環形態から自己アニールされた形態へと実質的に変換するのに十分な温度を有する、請求項22の装置。
【請求項37】
第二の伝導路が、増幅試薬と特異的にハイブリダイズして、検知領域へ入る前に、未使用のプライマーを増幅された標的から実質的に除去することができる、増幅チャンバーの出口に対して近位の固定されたオリゴヌクレオチドを含有する、請求項22の装置。
【請求項38】
第二の伝導路が、増幅された標的を電気泳動することができ及び検知領域へ入る前に、未使用の増幅試薬を増幅された標的から実質的に除去することができる、増幅チャンバーの出口に対して近位の電気泳動要素を含有する、請求項22の装置。
【請求項39】
センサーが電気化学的センサーである、請求項22の装置。
【請求項40】
センサーが電流測定である、請求項22の装置。
【請求項41】
検出可能な標識がビオチンである、請求項22の装置。
【請求項42】
シグナル発生試薬がストレプトアビジン標識されたアルカリホスファターゼである、請求項22の装置。
【請求項43】
検出試薬がp−アミノフェノールホスファートであり、及びセンサーにおけるシグナルがp−アミノフェノールの形成に関連する、請求項22の装置。
【請求項44】
抽出試薬がキレート剤及びカオトロピック剤を含む、請求項22の装置。
【請求項45】
磁気ビーズが2から5μmの範囲の直径を有し、及び表面上にカルボン酸基を有する親水性グリシジルエーテル層を有する架橋されたポリスチレンで被覆されている、請求項22の装置。
【請求項46】
蝋が、ヘネイコサン、トリコサヘネイコサン、ドコサン及びトリコサンからなる群から選択される、請求項22の装置。
【請求項47】
増幅チャンバーが、プラスチックで形成された1つ以上の壁及び少なくとも1つのシリコンで形成された壁を含む、請求項22の装置。
【請求項48】
抽出チャンバーが、プラスチックで形成された1つ以上の壁及び少なくとも1つのシリコンで形成された壁を含む、請求項22の装置。
【請求項49】
増幅試薬が、標的の増幅用の少なくとも1つのプライマー及び捕捉オリゴヌクレオチドに対して相補的な一本鎖オリゴヌクレオチドに付着されたPEG遮断領域を取り込む少なくとも1つのプライマーを含有する、請求項22の装置。
【請求項50】
増幅試薬が、ローリングサークル増幅、ヘリカーゼ増幅、ポリメラーゼ連鎖反応増幅又は鎖置換増幅(strand displacement amplification)のために選択される試薬を含有する、請求項22の装置。
【請求項51】
試料中の標的核酸の存在又は不存在を決定することができる、請求項22の装置。
【請求項52】
試料中の標的核酸の量を定量することができる、請求項22の装置。
【請求項53】
核酸分析を実施するための一体化された使い捨て装置であり、
収容部と、
標的核酸を含有すると疑われる試料を受容するための入口ポートと、
抽出チャンバー中に位置するフィルター材料上に標的核酸を抽出するための試薬を含有する、入口ポートへ作動可能に接続された抽出チャンバーとを含み、前記抽出チャンバーは、核酸の抽出を促進するための抽出試薬も含有し、
収容部は、洗浄流体を含有する洗浄流体保持チャンバー及び廃棄チャンバーも含み、両者は前記抽出チャンバーへ作動可能に接続されており、及び洗浄流体がフィルター材料上を廃棄チャンバーへと通過するようにし、これによりフィルターを洗浄し、
前記抽出チャンバーは、フィルターからの標的核酸の脱離に適した条件を実施するために抽出チャンバーの温度を調節するための、加熱手段及び温度検知手段も有し、
抽出チャンバーは、増幅チャンバーへ作動可能に接続された第一の伝導路へ作動可能に接続されており、
前記収容部は、検出可能な標識を増幅された標的中に取り込むことができる増幅試薬を含有し、
前記増幅チャンバーは、標的核酸の増幅に適した条件を実施するために増幅チャンバーの温度を調節するための、加熱手段及び温度検知手段も有し、
前記増幅チャンバーは、検知領域及び固定化された捕捉オリゴヌクレオチド、前記検出可能な標識へ結合することができる溶解可能なシグナル発生試薬並びに電気化学的センサーを含有する第二の伝導路へ作動可能に付着されており、
前記収容部は、増幅された標的を検知領域へと移動させて、捕捉オリゴヌクレオチドへの増幅された標的の結合及び前記シグナル発生試薬の前記検出可能な標識への結合を可能とする手段を含有し、
第二の伝導路は、捕捉されていない全ての増幅された標的及び検出可能な標識へ結合されていないシグナル発生試薬を検知領域から実質的に排除することができる検出試薬を含有する保持チャンバーへ作動可能に付着され、
前記検出試薬は、検出可能な標識へ結合されて、センサーにおいてシグナルを発生する前記シグナル発生試薬と反応することができる、装置。
【請求項54】
増幅試薬が前記第一の伝導路中に位置する、請求項53の装置。
【請求項55】
増幅試薬が前記増幅チャンバー中に位置する、請求項53の装置。
【請求項56】
増幅試薬が、前記増幅チャンバーへ作動可能に接続された保持チャンバー中に位置する、請求項53の装置。
【請求項57】
増幅試薬が、前記第一の伝導路へ作動可能に接続された保持チャンバー中に位置する、請求項53の装置。
【請求項58】
増幅標的を移動させるための前記手段が空気圧式である、請求項53の装置。
【請求項59】
核酸分析を実施するための一体化された使い捨て装置であり、
収容部と、
標的核酸を含有すると疑われる試料を受容するための入口ポートと、
抽出チャンバー中に位置するフィルター上に標的核酸を抽出するための試薬を含有する、入口ポートへ作動可能に接続された抽出チャンバーと、を含み、
収容部は、洗浄流体を含有する洗浄流体保持チャンバー及び廃棄チャンバーも含み、両者は前記抽出チャンバーへ作動可能に取り付けられており、及び洗浄流体がフィルター上を廃棄チャンバーへと通過できるようにしてフィルターの洗浄を実施し、
抽出チャンバーは、フィルターからの標的核酸の脱離に適した条件を実施するために温度を調節するための加熱手段及び温度検知手段を有し、
抽出チャンバーは、増幅チャンバーへ作動可能に取り付けられており、抽出チャンバーから増幅チャンバーへと標的核酸を移動させることを可能にする第一の伝導路へ作動可能に取り付けられており、
前記収容部は、検出可能な標識を増幅された標的中に取り込むことができる増幅試薬を含有し、
増幅チャンバーは、標的核酸の増幅に適した条件を実施するために温度を調節するための、加熱手段及び温度検知手段を有し、
前記増幅チャンバーは、固定化された捕捉オリゴヌクレオチドを含む検知領域を含有する第二の伝導路へ作動可能に取り付けられており、
収容部は、増幅された標的を検知領域へと移動させて、捕捉オリゴヌクレオチドへの増幅された標的の結合を可能とするための手段を含有し、
第二の伝導路は、流体を第二の伝導路中に送達して捕捉されていない増幅された標的を検知領域から実質的に排除し、検知領域中に保持された検出可能な標識の光学的検知を可能とする第二の洗浄チャンバーへ作動可能に取り付けられている、装置。
【請求項60】
増幅試薬が前記第一の伝導路中に位置する、請求項59の装置。
【請求項61】
増幅試薬が前記増幅チャンバー中に位置する、請求項59の装置。
【請求項62】
増幅試薬が、前記増幅チャンバーへ作動可能に接続された保持チャンバー中に位置する、請求項59の装置。
【請求項63】
増幅試薬が、前記第一の伝導路へ作動可能に接続された保持チャンバー中に位置する、請求項59の装置。
【請求項64】
増幅標的を移動させるための前記手段が空気圧式である、請求項59の装置。
【請求項65】
核酸分析を実施するための方法であり、
標的核酸を含有すると疑われる試料を、前記標的核酸を磁気ビーズ上に抽出するための試薬に添加すること、
実質的に連続した蝋層を通じてビーズを引き付けるために前記ビーズに磁場を付与すること、
検出可能な標識を増幅された標的中に取り込むことができる増幅試薬をビーズへ添加すること、
ビーズと増幅試薬の前記混合物を、前記増幅された標的の形成を促進する温度まで加熱すること、
検出可能な標識及び電気化学センサーの領域中の固定化された捕捉オリゴヌクレオチドへ結合することができるシグナル発生試薬へ増幅された標的を添加して、増幅された標的と捕捉オリゴヌクレオチドの及び前記シグナル発生試薬と検出可能な標識の抱合体を形成させること、
洗浄流体を付与して、未抱合の増幅された標的及びシグナル発生試薬を抱合体から実質的に排除すること、
検出可能な標識へ結合されたシグナル発生試薬と反応することができ、及びセンサーにおいて標的核酸の存在又は不存在に関連するシグナルを発生する検出試薬を抱合体に添加すること、を含む、方法。
【請求項66】
前記加熱が約1ないし2秒間約88℃ないし99℃、及び次いで、約4ないし60秒間約60℃ないし72℃、20ないし40サイクル反復される、請求項65の方法。
【請求項67】
一体化された使捨て装置中で実施され、増幅チャンバーが約1ないし2秒の間、約97℃、及び次いで、約12秒間、約68℃で加熱され、及び約30サイクル反復される、請求項65の方法。
【請求項68】
一体化された使い捨て装置中で実施され、増幅試薬が、ローリングサークル増幅、ヘリカーゼ増幅、ポリメラーゼ連鎖反応増幅又は鎖置換増幅のために選択される試薬を含む、請求項65の方法。
【請求項69】
磁気ビーズを有する一体化された使い捨て装置中で実施され、増幅試薬を接触させる前に前記磁気ビーズが洗浄される、請求項65の方法。
【請求項70】
核酸分析を実施するための方法であり、
標的核酸を含有すると疑われる試料を前記標的核酸を磁気ビーズ上に抽出するための試薬に添加すること、
前記ビーズに磁場を付与して、実質的に連続した蝋層を通じてビーズを引き付けること、
検出可能な標識を増幅された標的中に取り込むことができる増幅試薬をビーズへ添加すること、
ビーズと増幅試薬の前記混合物を、前記増幅された標的の形成を促進する温度まで加熱すること、
増幅された標的を検知領域中の固定化された捕捉オリゴヌクレオチドに添加して、前記増幅された標的及び前記捕捉オリゴヌクレオチドの抱合体を形成させること、
洗浄流体を付与して、未抱合の増幅された標的を実質的に排除させること、
検知領域中の前記標識からシグナルを光学的に検出すること、及びシグナルを試料中の標的核酸の存在又は不存在に関連付けること、を含む方法。
【請求項71】
試料中の標的核酸の量を測定するためにシグナルが使用される、請求項70の方法。
【請求項72】
核酸分析を実施するための方法であり、
標的核酸を含有すると疑われる試料を前記標的核酸を抽出するための試薬へ添加しこれにより前記標的核酸をフィルター上に抽出すること、
フィルターを洗浄して、試料残留物を実質的に除去すること、水性流体の存在下でフィルターを加熱して、標的核酸をフィルターから水性流体中に溶出すること、及び前記水性流体を検出可能な標識を増幅された標的中に取り込ませることができる増幅試薬へ添加すること、
前記混合物を増幅された標的の形成を促進する温度まで加熱すること、
増幅された標的を検知領域中の固定化された捕捉オリゴヌクレオチドに添加して、前記増幅された標的と前記捕捉オリゴヌクレオチドの抱合体を形成させること、
洗浄流体を付与して、未抱合の増幅された標的を実質的に排除すること、
検知領域中の前記標識からシグナルを光学的に検出すること、及びシグナルを試料中の標的核酸の存在又は不存在に関連付けること、を含む方法。
【請求項73】
試料中の標的核酸の量を測定するためにシグナルが使用される、請求項72の方法。
【請求項74】
核酸分析を実施するための方法であり、
標的核酸を含有すると疑われる試料を前記標的核酸を抽出するための試薬へ添加しこれにより前記標的核酸をフィルター上に抽出すること、
フィルターを洗浄して、試料残留物を実質的に除去すること、水性流体の存在下でフィルターを加熱して、標的核酸をフィルターから水性流体中に溶出すること、及び前記水性流体を検出可能な標識を増幅された標的中に取り込ませることができる増幅試薬へ添加すること、
前記混合物を増幅された標的の形成を促進する温度まで加熱すること、
増幅された標的を電気化学的センサーの領域中の固定化された捕捉オリゴヌクレオチド及びシグナル発生試薬に添加して、前記増幅された標的及び前記捕捉オリゴヌクレオチドならびに前記シグナル発生試薬及び前記標識の抱合体を形成させること、
洗浄流体を付与して、未抱合の増幅された標的及びシグナル発生試薬を前記抱合体から実質的に排除すること、
標識へ結合されたシグナル発生試薬と反応することができる検出試薬を前記抱合体へ添加し、及び前記電気化学的センサーにおいて検出可能な標的核酸の存在又は不存在に関連するシグナルを発生させること、を含む前記方法。
【請求項75】
核酸増幅及び検出を実施するための使い捨て装置であり、
収容部を含み、
前記収容部は、標的核酸を含有することが疑われる抽出された試料を、増幅チャンバーに取り付けられた第一の伝導路中に受容するための入口ポートを含み
前記増幅チャンバーはまた増幅試薬保持チャンバーに取り付けられており、前記試薬は増幅された標的中に検出可能な標識を取り込ませることが可能であり、
前記収容部は、試料及び増幅試薬を増幅チャンバー中に移動させることができる手段を有し、前記増幅チャンバーはまた、温度を調節して標的核酸の増幅に適した条件を実施するための、加熱手段及び温度検知手段を有し、
前記増幅チャンバーは、固定化された捕捉オリゴヌクレオチドを含む検知領域、前記検出可能な標識を結合することができる溶解可能なシグナル発生試薬及び電気化学的センサーを含有する第二の伝導路へ取り付けられており、
前記収容部は、増幅された標的を検知領域へと移動させて、増幅された標的の捕捉オリゴヌクレオチドへの及び前記シグナル発生試薬の前記検出可能な標識への結合を可能とするための手段を含有し、
前記第二の伝導路は、検出試薬を第二の伝導路中に送達して、検知領域から未捕捉の増幅された標的及び未結合のシグナル発生試薬を実質的に排除することが可能な検出試薬保持チャンバーに取り付けられており、
ここで検出試薬は、標識へ結合されたシグナル発生試薬と反応することができ及びセンサーにおいてシグナルを発生する、装置。
【請求項76】
前記入口ポートが、核酸抽出装置と合体(matting with)して抽出された標的核酸を前記使い捨て装置中に移動させることができる、請求項75の使い捨て装置。
【請求項77】
前記入口ポートが、核酸抽出装置と合体して抽出された標的核酸を前記使い捨て装置中に移動させることができ、
前記抽出装置が、標的核酸を含有すると疑われる試料を受容するためのチャンバーを含み、前記チャンバーは、前記標的核酸を前記チャンバー中に位置した磁気ビーズ上に抽出するためのキレート剤及びカオトロピック剤を含む試薬を含有し、
前記チャンバーが、前記チャンバー及び伝導路の領域中に連続した蝋層を含有し、
前記標的核酸を伴う磁気ビーズが、付与される磁場を用いて、前記蝋層を通じて前記伝導路中に通過することが可能であり、前記第一の伝導路が前記ビーズを前記入口ポートへ移動させることが可能である、請求項75の使い捨て装置。
【請求項78】
前記磁気ビーズが前記伝導路中に保持されて、洗浄流体が洗浄流体保持チャンバーから前記ビーズ上を経て廃棄チャンバーへと通過して、前記ビーズの洗浄を実行することができる、請求項77の使い捨て装置。
【請求項79】
前記入口ポートが核酸抽出装置と合体して、抽出された標的核酸を使い捨て装置中に移動させることが可能であり、前記抽出装置が、試料から開放された核酸を吸収することができ、及び約75℃を上回る温度で水溶液に曝露されたときに前記核酸を脱離させて前記移動を許容することができるフィルターを含有する収容部を含む、請求項77に記載の使い捨て装置。
【請求項80】
核酸増幅及び検出を実施するための使い捨て装置であり、
標的核酸を含有することが疑われる抽出された試料を、増幅チャンバーに取り付けられた第一の伝導路中に受容するための入口ポートを含む収容部を含み、前記増幅チャンバーは増幅試薬保持チャンバーに取り付けられており、前記増幅試薬は増幅された標的中に検出可能な標識を取り込ませることが可能であり、
前記収容部は、前記試料及び前記増幅試薬を前記増幅チャンバー中に移動させることができる手段を有し、
前記増幅チャンバーは、前記増幅チャンバーの温度を調節して、前記標的核酸の増幅に適した条件を実施するための加熱手段及び温度検知手段を有し、
前記増幅チャンバーは、固定化された捕捉オリゴヌクレオチドを含む検知領域を含有する第二の伝導路に取り付けられており、
前記収容部は、前記増幅された標的を前記検知領域へと移動させて、前記捕捉オリゴヌクレオチドへの前記増幅された標的の結合を可能とする手段を含有し、
前記第二の伝導路が、洗浄流体保持チャンバー(前記洗浄流体を前記第二の伝導路中に送達して捕捉されていない増幅された標的を前記検知領域から実質的に排除し、前記検知領域中に保持された前記部分の光学的検知を可能とする)に取り付けられている、装置。
【請求項81】
核酸抽出及び増幅を実施するための一体化された使い捨て装置であり、
標的核酸を含有すると疑われる試料を受容するための入口ポートを含む収容部と、
前記入口ポートに接続された第一のチャンバー(前記第一のチャンバー中に位置する磁気ビーズ上に前記標的核酸を抽出するための試薬を含有する。)と、を含み、
前記第一のチャンバーは、前記チャンバー及び第一の伝導路の領域中に実質的に連続した蝋層を形成するための蝋を含有し、
標的核酸を伴う磁気ビーズは、負荷される磁場を用いて、前記蝋層を通じて前記第一の伝導路中に通過することができ、
前記第一の伝導路は増幅チャンバーへ取り付けられており、前記収容部は増幅された標的中に検出可能な標識を取り込むことができる増幅試薬を含有し、前記ビーズ及び前記増幅試薬は前記増幅チャンバー中に移動することができ、前記増幅チャンバーはまた、前記増幅チャンバーの温度を調節して、前記標的核酸の増幅に適した条件を実施するための、加熱手段及び温度検知手段を有し、
前記増幅チャンバーが、前記一体化された装置から増幅された標的の脱出を可能とする第二の伝導路に取り付けられている、装置。
【請求項82】
請求項81に記載の一体化された装置であり、前記増幅された標的が、固定化された捕捉オリゴヌクレオチド、前記標識へ結合することができる溶解可能なシグナル発生試薬及びセンサーを含む検知領域を含む第二の収容部中に導入され、
前記収容部が、前記増幅された標的を前記検知領域へと移動させて、前記捕捉オリゴヌクレオチドへの前記増幅された標的の結合及び前記標識への前記シグナル発生試薬の結合を可能とするための手段を含有し、
前記第二の収容部が、検出試薬を前記検知領域中に送達して、前記検知領域から未捕捉の増幅された標的及び前記標識に結合されていないシグナル発生試薬を実質的に排除することが可能な検出試薬保持チャンバーを有し、
前記検出試薬は、前記標識へ結合された前記シグナル発生試薬と反応して、前記センサーにおいて検出可能なシグナルを発生することができる、装置。
【請求項83】
核酸分析を実施するための一体化された使い捨て装置であり、
標的核酸を含有すると疑われる試料を受容するための入口ポートを含む収容部と、
前記入口ポートへ接続された抽出チャンバー(前記抽出チャンバー中に位置するフィルター上に前記標的核酸を抽出するための試薬を含有する。)とを含み、前記チャンバーはまた、核酸の抽出を促進するための抽出試薬を含有し、
前記収容部は、洗浄流体を含有する洗浄流体保持チャンバー及び廃棄チャンバーを含み、両チャンバーは前記抽出チャンバーへ取り付けられて、前記洗浄流体が洗浄流体保持チャンバーからフィルター上を前記廃棄チャンバーへと通過して前記フィルターを洗浄できるようにし、
前記抽出チャンバーは、前記フィルターからの前記標的核酸の脱離に適した条件を実施するために前記抽出チャンバーの温度を調節するための、加熱手段及び温度検知手段を有し、
前記抽出チャンバーは、第一の伝導路へ取り付けられており、前記第一の伝導路は増幅チャンバーへ取り付けられており、前記伝導路は前記抽出チャンバーから前記増幅チャンバーへの前記標的核酸の移動を可能とし、
前記収容部は増幅試薬を含有し、前記増幅試薬は増幅された標的中に標識を取り込むことができ、
前記増幅チャンバーは、前記増幅チャンバーの温度を調節し、及び前記標的核酸の増幅に適した条件を実施するための、加熱手段及び温度検知手段を有し、
前記増幅チャンバーが、前記一体化された装置から増幅された標的の脱出を可能とする第二の伝導路に取り付けられている、装置。
【請求項84】
核酸分離方法であり、
核酸を含有する細胞を有する試料を、溶解(lytic)試薬及び前記細胞から放出される核酸を結合することができる1つ以上のビーズを含む水性混合物に曝露すること、
前記水性混合物が実質的に非混和性の液体の層と接触すること、
前記非混和性の液体層を通じて前記ビーズを通過させて、前記水性混合物から前記核酸を分離することを含む、方法。
【請求項85】
前記ビーズが磁気であり、及び負荷される磁場によって前記非混和性液体層を通過する、請求項84の方法。
【請求項86】
前記非混和性液体層が有機液体である、請求項84の方法。
【請求項87】
前記非混和性液体層が蝋である、請求項84の方法。
【請求項88】
前記非混和性液体が、前記1つ以上のビーズの通過を可能とするために、周囲温度から高温度へと加熱される、請求項84の方法。
【請求項89】
中間層を通じて第一の位置から第二の位置へと核酸を移動させる方法であり、
第一の位置において核酸に1つ以上のビーズとの会合を生じさせて、液体中に核酸−ビーズ複合体を形成させること、
前記液体と実質的に非混和性である中間層によって第一の位置と離隔された第二の位置へ、前記核酸−ビーズ複合体を通過させること、
を含む、方法。
【請求項90】
核酸及び核酸増幅過程の阻害剤が前記中間層中に実質的に可溶性である、請求項89の方法。
【請求項91】
核酸分離用の装置であり、
水性溶解試薬と、及び核酸を結合して複合体を形成することができる1つ以上の磁気ビーズとを含む第一の層を有するチャンバーと、
前記第一の層と実質的に非混和性であり、及び第二の層が液体形態である場合に、前記ビーズがこれを通じて通過し得る第二の層と、を含み、核酸及び核酸増幅過程の阻害剤が前記第二の層中で実質的に不溶性である、装置。
【請求項92】
核酸分離用の装置を使用する方法であり、
(a)無傷の生物細胞を含有する試料が、前記第二の層を通じて前記第一の層中にピペットで移動されること、
(b)前記細胞の溶解及び核酸−ビーズ複合体の形成を可能とするのに十分な時間、前記装置をインキュベートすること、
(c)前記装置に近接して前記第一の層から及び前記第二の層を通じて前記1つ以上のビーズを移動するのに十分な磁場を生成すること、を含む方法。
【請求項93】
前記第二の層が蝋であり、および蝋を融解させ及び前記第一の層を覆う層を形成させるのに十分な温度まで前記装置が加熱される、請求項92の方法。
【請求項94】
前記ビーズが核酸増幅用の手段に移される、請求項92の方法。
【請求項95】
生物学的試料から核酸を抽出するための装置であり、
第一及び第二の位置を含む収容部と、
前記第一及び第二の位置の間に位置する生化学的に不活性なフィルターと、を含み、前記フィルターの少なくとも一部に、カオトロピック塩、弱塩基性緩衝液及びキレート剤を含む混合物が含浸されている、装置。
【請求項96】
血液試料から核酸を抽出するための装置であり、
第一及び第二の位置を含む収容部と、
前記第一及び第二の位置の間に位置する生化学的に不活性なフィルターと、を含み、前記フィルターの少なくとも一部に強塩基が含浸されている、装置。
【請求項97】
請求項95の装置を用いて生物学的試料から核酸を抽出するための方法であり、
伝導路中の第一及び第二の位置の間に位置する生化学的に不活性なフィルターに生物学的試料を付与すること、
(前記フィルターの少なくとも一部には、カオトロピック塩、弱塩基性緩衝液及びキレート剤を含む混合物が含浸されている。)
核酸を前記フィルター上に抽出するのに十分な時間、前記フィルター上に前記試料を保持すること、
前記伝導路を通じて洗浄流体を付与すること(前記洗浄流体は、前記フィルター上に前記抽出された核酸を実質的に保持しながら、核酸増幅反応を妨害することができる物質を前記フィルターから実質的に除去する。)、
約75℃を上回る温度で、前記フィルターに水溶液を付与して、前記フィルターから核酸を溶出すること、を含む方法。
【請求項98】
請求項の装置を用いて血液試料から核酸を抽出するための方法であり、
伝導路中の前記第一及び第二の位置の間に位置する生化学的に不活性なフィルターに血液試料を付与すること(前記フィルターの少なくとも一部には、強塩基が含浸されている。)、
前記フィルター上に核酸を抽出するのに十分な時間、前記フィルター上に前記試料を保持すること、
前記伝導路を通じて洗浄流体を付与すること(前記洗浄流体は、前記フィルター上に前記抽出された核酸を実質的に保持しながら、核酸増幅反応を妨害することができる物質を前記フィルターから実質的に除去する。)、
約75℃を上回る温度で、前記フィルターに水溶液を付与して、前記フィルターから核酸を溶出すること、を含む方法。
【請求項99】
より高質量の増幅された標的核酸から核酸プライマーを分離する装置であり、
プライマーと増幅された標的の混合物を電気泳動要素に送達するための第一の伝導路と(前記要素は、前記第一の伝導路中に第一の電極を含む。)、
電気泳動分離材料と第二の電極を含有する、前記第一の伝導路に取り付けられた第二の伝導路と、を含む装置。
【請求項100】
より高質量の増幅された標的核酸から核酸プライマーを分離する装置であり、
プライマーと増幅された標的の混合物を電気泳動要素に送達するための第一の伝導路と(前記要素は、前記第一の伝導路中に第一の電極を含む。)、
電気泳動分離材料と、及び前記第一の電極に対して近位に位置する第二の電極と、及び前記第一の電極から遠位に位置する第三の電極とを含有する、前記第一の伝導路に取り付けられた第二の伝導路と、を含む装置。
【請求項101】
より高質量の増幅された標的核酸から核酸プライマーを分離するための方法であり、
プライマーおよび増幅された標的の混合物を第一の伝導路中に導入して、前記第一の伝導路中の第一の電極を含む電気泳動要素と接触させること、
前記第一の伝導路に取り付けられた第二の伝導路は、電気泳動分離材料と第二の電極を含有しており、
前記第一の電極に負の極性を付与し、及び前記第二の電極に正の極性を付与して、プライマー及び増幅された標的を分離させること、
前記プライマーを分離材料中に実質的に保持しながら、前記増幅された標的が前記第一の伝導路に再度進入するのに十分に極性を逆転させること、
前記電極から極性を除去し、及び前記第一の伝導路から前記増幅された標的を除去することを、含む方法。
【請求項102】
より高質量の増幅された標的核酸から核酸プライマーを分離するための方法であり、
プライマーと増幅された標的の混合物を第一の伝導路中に導入して、前記第一の伝導路中の第一の電極を含む電気泳動要素と接触させること、
前記第一の伝導路に取り付けられた第二の伝導路は、電気泳動分離材料と、及び前記第一の電極に対して近位に位置する第二の電極と、及び前記第一の電極から遠位に位置する第三の電極とを含有し、
前記第一の電極に負の極性を付与し、及び前記第二の電極に正の極性を付与して、プライマー及び増幅された標的を分離させること、
第一の電極の極性を正に、及び前記第二の電極を負に変化させ、並びに前記プライマーが前記第二の電極を過ぎて移動するのに十分な時間後に前記第三の電極に正の極性を付与すること、
前記プライマーを分離材料中に実質的に保持しながら、前記増幅された標的が前記第一の伝導路に再度進入するのに十分な時間にわたり、新たに極性を付与すること、
前記電極から極性を除去し、及び前記第一の伝導路から前記増幅された標的を除去することを、含む方法。
【請求項103】
核酸増幅アッセイを実施するための方法であり、
(a)試薬、DNAポリメラーゼ、標的核酸及び前記標的核酸の第一の領域に対して相補的な塩基の配列を含む修飾された大量のプライマー、前記プライマーに付着されたポリメラーゼ遮断領域、前記ポリメラーゼ遮断領域に付着された一本鎖ハイブリダイゼーション領域並びに検出可能な標識を合わせること、
(b)(a)の混合物をサイクルに供して、前記修飾されたプライマーを取り込んだアンプリコンの複数コピーを与えること、
(c)前記混合物から過剰の取り込まれていない修飾されたポリマーを実質的に除去すること、
(d)前記一本鎖ハイブリダイゼーション領域に対して相補的な捕捉オリゴヌクレオチドに前記混合物を曝露すること、
(e)前記修飾されたプライマーを取り込んだ前記アンプリコンの前記一本鎖ハイブリダイゼーション領域を、前記捕捉オリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせること、及び
(f)前記ハイブリダイゼーションに伴う前記標識を検出すること、を含む方法。
【請求項104】
核酸増幅アッセイを実施するための方法であり、
(a)試薬、DNAポリメラーゼ、標的核酸及び2つの修飾されたプライマー(第一の修飾されたプライマーは、前記標的核酸の第一の領域に対して相補的な塩基の配列、ポリメラーゼ遮断領域及び前記ポリメラーゼ遮断領域に付着された第一の一本鎖ハイブリダイゼーション領域を含み、前記第二の修飾されたプライマーは、前記標的核酸の第二の領域に対して相補的な塩基の配列、ポリメラーゼ遮断領域及び前記ポリメラーゼ遮断領域に付着された第二の一本鎖ハイブリダイゼーション領域を含む。)を合わせること、
ここにおいて、検出可能な標識が、前記第一及び第二の修飾されたプライマーの少なくとも1つに付着されており、
(b)(a)の混合物をサイクルに供して、前記修飾されたプライマーを取り込んだアンプリコンの複数コピーを与えること、
(c)前記混合物から前記検出可能な標識を有する、取り込まれていない修飾されたプライマーを実質的に除去すること、
(d)前記第一及び第二の一本鎖ハイブリダイゼーション領域の少なくとも1つに対して相補的な捕捉オリゴヌクレオチドに前記混合物を曝露すること、
(e)前記修飾されたプライマーを取り込んだ前記アンプリコンの前記一本鎖ハイブリダイゼーション領域を、前記捕捉オリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせること、並びに
(f)前記ハイブリダイゼーションに伴う前記標識を検出すること、を含む方法。
【請求項105】
核酸増幅アッセイを実施するための方法であり、
(a)試薬、DNAポリメラーゼ、標的核酸及び2つの修飾されたプライマーを合わせること(第一の修飾されたプライマーは、前記標的核酸の第一の領域に対して相補的な塩基の配列、ポリメラーゼ遮断領域、前記ポリメラーゼ遮断領域に付着された第一の一本鎖ハイブリダイゼーション領域及び付着された検出可能な標識を含み、前記第二の修飾されたプライマーは、前記標的核酸の第二の領域に対して相補的な塩基の配列、ポリメラーゼ遮断、前記ポリメラーゼ遮断領域に付着された第二の一本鎖ハイブリダイゼーション領域及び付着された検出可能な標識を含む。)、
(b)(a)の混合物をサイクルに供して、前記修飾されたプライマーを取り込んだアンプリコンの複数コピーを与えること、
(c)前記混合物から取り込まれていない修飾されたポリマーを実質的に除去すること、
(d)前記第一及び第二の一本鎖ハイブリダイゼーション領域の少なくとも1つに対して相補的な捕捉オリゴヌクレオチドに前記混合物を曝露すること、
(e)前記修飾されたプライマーを取り込んだ前記アンプリコンの前記一本鎖ハイブリダイゼーション領域を、前記捕捉オリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせること、並びに
(f)前記ハイブリダイゼーションに伴う標識を検出すること、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29A】
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【図29B】
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【図30A】
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【図30B】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【公開番号】特開2012−100657(P2012−100657A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−249426(P2011−249426)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【分割の表示】特願2007−548516(P2007−548516)の分割
【原出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(507209388)アイ−スタツト・コーポレイシヨン (2)
【Fターム(参考)】