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分岐トンネル施工用セグメント
説明

分岐トンネル施工用セグメント

【課題】親トンネルから分岐トンネルを施工する際に、分岐トンネルの施工効率を高める上で有利な分岐トンネル施工用セグメントを提供すること。
【解決手段】セグメントSは、セグメント本体12と、複数の貫通孔14と、第1のキャップ16とを含んで構成されている。貫通孔14は、セグメント本体12の互いに離れた箇所に厚さ方向に貫通して複数設けられている。貫通孔14は、セグメント本体12に埋め込まれたパイプ26の内周面で形成されている。第1のキャップ16はセグメント本体12の外周面24で貫通孔14を閉塞している。第1のキャップ16は、削孔兼薬液注入用ロッド52により破砕し易い材料で形成されている。あるいは、第1のキャップ16は、貫通孔14から地山Gに削孔兼薬液注入用ロッド52を押し込む際に、セグメント本体12の半径方向外方に取り外し可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親トンネルから分岐させる形で新たなトンネルを構築する場合に、効率的な
施工を行なう上で有利な分岐トンネル施工用セグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、既に構築された親トンネル内で、新たなトンネルを分岐施工するための掘削機械を組み立てて地山中に押し出し、新たなトンネルを分岐施工することが近年行なわれている。
この方法では、既に設置されたトンネルの覆工のうち、新たなトンネルを発進させる部分の覆工を切削可能な材料としておくことで施工の効率化をはかることが多い(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−253992
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、親トンネルから新たなトンネルを分岐施工する場合、地下水のトンネル内への流入を阻止する観点や地山の崩壊防止の観点などから、図1に示すように、新たなトンネルT1が施工される周囲の地盤Gに薬液を注入し、斜線で示すように地盤改良を施す必要がある。
この場合、分岐施工する箇所に位置するセグメントSの複数箇所に、削孔兼薬液注入用ロッド52をトンネル54外に突出させるためのロッド挿通用孔56を貫通形成しなければならない。
しかしながら、分岐施工する箇所に位置するセグメントSが、シールド機により切削可能な材料で形成されているものの、セグメントSは硬いため、ロッド挿通用孔56の孔あけ作業に時間がかかり、また、クラックが生じないように慎重に行う必要があり、さらに狭い場所での作業となることから、セグメントSに対しての孔あけ作業は困難な作業となっている。
実際には、地盤改良を所定の範囲にわたって行なうにはこの困難なロッド挿通用孔56を、複数のセグメントSに対して合計で30〜40程度設ける必要がある。
そして、一つの孔あけに1時間程度かかることから、地盤改良のためのセグメントSの孔あけのみに30〜40時間を費やしているのが現状であり、分岐トンネルの施工効率を高め、コストダウンを図る上で何らかの改善が望まれていた。
【0004】
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、親トンネルから分岐トンネルを施工する際に、分岐トンネルの施工効率を高める上で有利な分岐トンネル施工用セグメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため本発明は、トンネル内で新たなトンネルを分岐施工する箇所に設置される分岐トンネル施工用セグメントであって、厚さ方向の一方の面がトンネルに臨む内周面とされ、厚さ方向の他方の面が地山に臨む外周面とされるセグメント本体と、前記セグメント本体の互いに離れた箇所で厚さ方向に貫通形成され削孔兼薬液注入用ロッドの挿通を可能とした複数の貫通孔と、前記各貫通孔を閉塞する複数の第1のキャップとを備え、前記第1のキャップは、破砕し易い材料で形成され、あるいは、前記貫通孔から取り外し可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、地盤改良を施す際の、セグメント本体の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を瞬時に得ることができ、セグメントに対しての困難な削孔兼薬液注入ロッドによる孔あけ作業を省ける。したがって、新たなトンネルを分岐施工する際の薬液による地盤改良作業を効率よく行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
図2はキャップを取り外した状態のセグメントの斜視図、図3は貫通孔部分のセグメントの断面図、図4はパイプと第1、第2のキャップと弁との関係図、図5は削孔兼薬液注入ロッドの地山への進出時の説明図、図6は削孔兼薬液注入ロッドを貫通孔から抜き出した状態の説明図を示す。
本実施の形態に係るセグメントSは、親トンネルから新たなトンネルを分岐施工する際に、分岐施工する箇所に複数設置されるものであり、本実施の形態では、トンネルは下水道用のものである。
【0008】
図2乃至図3に示すように、セグメントSは、セグメント本体12と、複数の貫通孔14と、第1のキャップ16と、第2のキャップ18と、弁20とを含んで構成されている。
セグメント本体12は、板状で円弧状に延在し、新たなトンネルを分岐施工する際にシールド機により切削可能な素材で形成されている。なお、トンネル断面が矩形の場合には、セグメント本体は、平坦な板状やL字状を呈することになる。
セグメント本体12は、その厚さ方向の一方の面がトンネル坑内に臨む内周面22とされ、厚さ方向の他方の面が地山Gに臨む外周面24とされ、それら内周面22と外周面24はそれぞれ円筒面で形成されている。
なお、図面では省略されているが、セグメント本体12の周方向の端面や、幅方向の端面には、隣に設置されるセグメント本体12に連結するための従来公知の継ぎ手が設けられている。
【0009】
貫通孔14は、セグメント本体12の互いに離れた箇所に厚さ方向に貫通して複数設けられている。
貫通孔14は、削孔兼薬液注入用ロッド52が挿通される内径で形成されている。
本実施の形態では、セグメント本体12の製造時に、型内に複数のパイプ26が設置されたのち、型内にコンクリートが打ち込まれてセグメント本体12が製造されており、セグメント本体12には予め複数のパイプ26が埋め込まれている。
そして、貫通孔14は、それらパイプ26の内周面で形成されている。
パイプ26は、新たなトンネルを分岐施工する際にシールド機により切削可能な素材で形成され、このような材料として、例えば、塩化ビニルなどの合成樹脂が採用できる。
【0010】
第1のキャップ16はセグメント本体12の外周面24で貫通孔14を閉塞している。
第1のキャップ16は、セグメントSの組み立て時に、湧き水などが貫通孔14を通ってトンネル坑内に侵入することを阻止するものである。
第1のキャップ16は、例えば、パイプ26の端部の外周面に嵌合される筒部1602と、筒部の端部1602において筒部1602の内側を閉塞する端面部1604とで構成されている。
本実施の形態では、セグメント本体12の製造時に、型内に、パイプ26の端部に嵌合されて設置されたのち、型内にコンクリートが打ち込まれてセグメント本体12が製造されており、セグメント本体12には予め複数のパイプ26と共に第1のキャップ16が埋め込まれている。
第1のキャップ16は、削孔兼薬液注入用ロッド52により破砕し易い材料で形成されている。このような材料として、例えば、塩化ビニルなどの合成樹脂が採用できる。
あるいは、第1のキャップ16は、貫通孔14から地山Gに削孔兼薬液注入用ロッド52を押し込む際に地山側に外れるように、セグメント本体12の半径方向外方に取り外し可能に設けられている。このような第1のキャップ16は、例えば、貫通孔14の内部に嵌合される円柱部と、この円柱部の端部に設けられセグメント本体12の外周面に臨む前記円柱部よりも大きな径のつば部などで構成することができる。
【0011】
第2のキャップ18はセグメント本体12の内周面22で貫通孔14を閉塞している。
第2のキャップ18は、例えば、パイプ26の端部の内周面に嵌合される円柱部1802と、この円柱部1802の端部に設けられセグメント本体12の内周面22に臨む前記円柱部1802よりも大きな径のつば部1804などで構成することができる。
第2のキャップ18は、セグメント本体12の製造時に、型内に、パイプ26、第1のキャップ16と共に設置し、型内にコンクリートを打ち込んでセグメント本体12を製造してもよく、あるいは、セグメント本体12の製造後に、パイプ26に嵌合させてもよい。
第2のキャップ18は、パイプ26、第1のキャップ16と同様に、例えば、塩化ビニルなどの合成樹脂で形成されている。
【0012】
弁20は、貫通孔14の内周面に設けられている。
弁20は、貫通孔14に挿通される削孔兼薬液注入用ロッド52の外周面に接触して貫通孔14の内周面と削孔兼薬液注入用ロッド52の外周面との間の環状の隙間を通りセグメント本体12の外周面2から内周面22に向かう湧き水などの流れを止めるものである。
本実施の形態では、弁20は、パイプ26の長手方向の中間部にパイプ26の長手方向に間隔をおいて複数設けられている。
本実施の形態では、弁20は、ゴムなどのような弾性変形可能な材料で形成された環板状のパッキン20Aで構成され、複数の環板状のパッキン20Aの外周部がパイプ26の内周面に取着されている。また、パッキン20Aの中央孔2002は、削孔兼薬液注入用ロッド52が挿通可能な内径で形成されている。
したがって、弁20は、セグメント本体12の製造時にパイプ26と共に型内に組み込まれ、セグメント本体12に予め組み込まれている。
【0013】
以上の構成からなるセグメントSは、親トンネルから新たなトンネルを分岐施工する際に、分岐施工する親トンネルの箇所に複数設置される。
そして、新たなトンネルを分岐施工する際に、地下水のトンネル内への流入を阻止する観点や地山の崩壊防止の観点などから、図1に示すように、それらセグメントSを介して新たなトンネルT1が施工される周囲の地盤Gに薬液を注入し、斜線で示すように地盤改良を施す。
すなわち、図5に示すように、第2のキャップ18を取り外し、パッキン20Aの中央孔2002を通して削孔兼薬液注入ロッド52を貫通孔14に挿入する。
削孔兼薬液注入ロッド52が貫通孔14の端部に位置したならば、削孔兼薬液注入ロッド52を回転駆動し、第1のキャップ16を破砕する。そして、削孔兼薬液注入ロッド52を推し進め、地盤に削孔兼薬液注入用ロッド52を進出させていき、薬液を注入する。
【0014】
薬液の注入後、削孔兼薬液注入用ロッド52を貫通孔14から抜き出す。
削孔兼薬液注入用ロッド52を貫通孔14から抜き出した状態で、貫通孔14から湧き水などがトンネル内に流入してこない場合や、湧き水などが流入してもその量が少なくトンネル内の作業に支障を来たさない場合には、貫通孔14をそのままの状態に存置する。
また、湧き水などが流入してトンネル内の作業に支障を来たす場合には、図6に示すように貫通孔14にモルタルなどの間詰め材30を充填し、第2のキャップ18を取り付ける。
このような作業を、複数のセグメントSの各貫通孔14毎に行い、図1に斜線で示すように新たなトンネルT1が施工される周囲の地盤に地盤改良を施す。
そして、地盤改良後、新たなトンネルを分岐施工するための掘削機械によりそれら複数のセグメントSを削孔しつつ地山中に押し出し、新たなトンネルを分岐施工する。
【0015】
したがって、本実施の形態のセグメントSを用いると、セグメント本体12の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔14を瞬時に得ることができ、地盤改良を施す際の、セグメントSに対しての困難な削孔兼薬液注入ロッド52による孔あけ作業を省くことが可能となる。
したがって、削孔兼薬液注入用ロッド52を用いた地盤改良作業を効率よく行なえる。
また、本実施の形態では、弁20を設けたので、削孔兼薬液注入ロッド52による地盤の削孔時や薬液の地盤への浸透時に、湧き水などが貫通孔14を通ってトンネル坑内に流出することが阻止され、削孔兼薬液注入用ロッド52を用いた地盤改良作業を効率よく行なえる。
したがって、本実施の形態のセグメントSによれば、分岐トンネルの施工効率を高め、コストダウンを図る上で極めて有利となる。
【0016】
なお、第1のキャップ16を設ける箇所は、セグメント本体12の外周面24に限らず任意であり、貫通孔14を閉塞し、削孔兼薬液注入用ロッド52の挿入の際に、破砕し易い材料で形成され、あるいは、貫通孔14から取り外し可能に設けられていればよいが、実施の形態のように、第1のキャップ16を、セグメント本体12の外周面24に設けると、貫通孔14内に弁20などを配置するスペースを確保でき有利となる。
また、弁20は省略可能であり、その場合には、削孔兼薬液注入ロッド52の外周面に、弁20と同様なパッキンなどを設ければよいが、実施の形態のように貫通孔14内に弁20を設けると、削孔兼薬液注入ロッド52の挿入を簡単に行え、削孔兼薬液注入用ロッド52を用いた地盤改良作業を効率よく行う上で有利となる。
また、第2のキャップ18は省略可能であるが、実施の形態のよう第2のキャップ18を設けると、貫通孔14が閉塞されセグメントSの取り扱いを簡単に行う上で有利となり、また、削孔兼薬液注入用ロッド52を貫通孔14から抜き出した際に貫通孔14を簡単に閉塞する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】地盤改良の説明図である。
【図2】キャップを取り外した状態のセグメントの斜視図である。
【図3】貫通孔部分のセグメントの断面図である。
【図4】パイプと第1、第2のキャップと弁との関係図である。
【図5】削孔兼薬液注入ロッドの地山への進出時の説明図である。
【図6】削孔兼薬液注入ロッドを貫通孔から抜き出した状態の説明図である。
【符号の説明】
【0018】
12……セグメント本体、14……貫通孔、16……第1のキャップ、18……第2のキャップ、20……弁、26……パイプ、S……セグメント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内で新たなトンネルを分岐施工する箇所に設置される分岐トンネル施工用セグメントであって、
厚さ方向の一方の面がトンネルに臨む内周面とされ、厚さ方向の他方の面が地山に臨む外周面とされるセグメント本体と、
前記セグメント本体の互いに離れた箇所で厚さ方向に貫通形成され削孔兼薬液注入用ロッドの挿通を可能とした複数の貫通孔と、
前記各貫通孔を閉塞する複数の第1のキャップとを備え、
前記第1のキャップは、破砕し易い材料で形成され、あるいは、前記貫通孔から取り外し可能に設けられている、
ことを特徴とする分岐トンネル施工用セグメント。
【請求項2】
前記第1のキャップは、前記セグメント本体の外周面に設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の分岐トンネル施工用セグメント。
【請求項3】
前記貫通孔の内周面に、前記貫通孔への削孔兼薬液注入用ロッドの挿通を可能とし、かつ、挿通される削孔兼薬液注入用ロッドの外周面に接触して前記貫通孔の内周面と前記削孔兼薬液注入用ロッドの外周面との間の環状の隙間を通り前記外周面から前記内周面に向かう水の流れを止める弁が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の分岐トンネル施工用セグメント。
【請求項4】
前記セグメント本体の内周面に、前記貫通孔を閉塞し破砕し易い材料で形成されたあるいは取り外し可能な第2のキャップが設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の分岐トンネル施工用セグメント。
【請求項5】
前記セグメント本体の厚さ方向に貫通させて複数のパイプが埋め込まれており、
前記貫通孔は前記パイプの内周面で形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の分岐トンネル施工用セグメント。
【請求項6】
前記貫通孔の内周面に、前記貫通孔への削孔兼薬液注入用ロッドの挿通を可能とし、かつ、挿通される削孔兼薬液注入用ロッドの外周面に接触して前記貫通孔の内周面と前記削孔兼薬液注入用ロッドの外周面との間の環状の隙間を通り前記外周面から前記内周面に向かう水の流れを止める弁が設けられ、
前記セグメント本体の厚さ方向に貫通させて複数のパイプが埋め込まれており、
前記貫通孔は前記パイプの内周面で形成され、
前記弁は前記パイプに取着されている、
ことを特徴とする請求項1記載の分岐トンネル施工用セグメント。
【請求項7】
前記パイプは合成樹脂製である、
ことを特徴とする請求項5または6記載の分岐トンネル施工用セグメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−144478(P2008−144478A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333345(P2006−333345)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【Fターム(参考)】