説明

分岐地点案内装置

【課題】 分岐地点において何れの経路に進行するかを従来より適切に利用者に判断させることができる分岐地点案内装置を提供する。
【解決手段】 車載用ナビゲーション装置10は、経路を案内する表示部27と、表示部27によって案内される経路である案内経路及び案内経路から分岐する分岐経路を探索する装置本体30とを備え、表示部27は、分岐経路の進行の難易度を表す数値情報である分岐経路数値情報を、案内経路と、分岐経路との分岐地点を案内するときに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路上の交差点等の分岐地点を案内する分岐地点案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の分岐地点案内装置として、推奨する経路と、それ以外の2つの経路とを、「推奨」、「峠」、「繁華街」の文字情報と共に交差点周辺の拡大図に重ね合わせて案内表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−255162号公報(第5頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の分岐地点案内装置においては、進行方向に何があるかの文字情報を表示するものの、実際の進行の難易度を利用者に具体的に認識させることができないため、分岐地点において何れの経路に進行するかを利用者が適切に判断することができないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、分岐地点において何れの経路に進行するかを従来より適切に利用者に判断させることができる分岐地点案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の分岐地点案内装置は、経路を案内する経路案内手段と、前記経路案内手段によって案内される前記経路である案内経路及び前記案内経路から分岐する分岐経路を探索する経路探索手段と、前記分岐経路の進行の難易度を表す数値情報である分岐経路数値情報を出力する分岐経路数値情報出力手段とを備え、前記分岐経路数値情報出力手段は、前記案内経路及び前記分岐経路の分岐地点を前記経路案内手段が案内するときに前記分岐経路数値情報を出力する構成を有している。
【0006】
この構成により、本発明の分岐地点案内装置は、分岐経路の進行の難易度を表す数値情報である分岐経路数値情報を出力するので、分岐地点において何れの経路に進行するかを従来より適切に利用者に判断させることができる。
【0007】
また、本発明の分岐地点案内装置の前記案内経路は、車両が進行する経路であり、前記分岐経路は、前記案内経路を進行する前記車両が前記分岐地点の手前で車線変更を行わなかった場合に前記車両が進行する経路である構成を有している。
【0008】
この構成により、本発明の分岐地点案内装置は、分岐地点の手前で車両が車線変更を行わなかった場合に車両が進行する分岐経路について分岐経路数値情報を出力するので、面倒な車線変更を分岐地点の手前で行わずにそのまま分岐地点を進行しても良いか否かを利用者に判断させることができる。
【0009】
また、本発明の分岐地点案内装置の前記分岐経路数値情報出力手段は、前記分岐経路を介した進行と、前記案内経路を介した進行との難易度の差異を前記分岐経路数値情報として出力する構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明の分岐地点案内装置は、分岐地点以降において案内経路を進行する難易度と、分岐地点以降において分岐経路を進行する難易度との差異を利用者に認識させることができ、分岐地点において何れの経路に進行するかを、より迅速に利用者に判断させることができる。
【0011】
また、本発明の分岐地点案内装置の前記分岐経路数値情報出力手段は、前記分岐経路数値情報が所定の条件を満たすときのみ、前記分岐経路数値情報を出力する構成を有している。
【0012】
この構成により、本発明の分岐地点案内装置は、分岐経路数値情報を必要以上に出力することを防止するので、分岐地点における利用者の必要以上の判断機会を減少させることができる。
【0013】
また、本発明の分岐地点案内装置は、前記所定の条件を設定する条件設定手段を備えた構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明の分岐地点案内装置は、分岐経路数値情報を出力する条件を利用者自身に設定させることができるので、分岐地点における利用者の必要以上の判断機会を、より減少させることができる。
【0015】
また、本発明の分岐地点案内装置は、前記分岐地点と、前記案内経路及び前記分岐経路の合流地点との間の前記案内経路及び前記分岐経路の地図を、前記経路案内手段が前記分岐地点を案内するときに表示する分岐地点案内時地図表示手段を備えた構成を有している。
【0016】
この構成により、本発明の分岐地点案内装置は、分岐地点から合流地点までの案内経路及び分岐経路の地図を、分岐経路数値情報を出力するときに表示するので、分岐地点から合流地点までの案内経路及び分岐経路を利用者に視覚的に認識させることができ、分岐地点において何れの経路に進行するかを、より適切に利用者に判断させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、分岐地点において何れの経路に進行するかを従来より適切に利用者に判断させることができる分岐地点案内装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態に係る分岐地点案内装置の構成について説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係る分岐地点案内装置としての車載用ナビゲーション装置10は、車載用ナビゲーション装置10自身を搭載した図示していない車両(以下「自車」という。)の相対走行方位を検出する振動ジャイロ等の方位センサ20と、自車の車輪の回転数に応じたパルスを発生する速度センサ21と、方位センサ20、速度センサ21等のセンサ信号を処理するセンサ処理部22と、地球を周回する複数の衛星から送信される電波を受信してその電波の到達時間差から受信地点の緯度及び経度を求めるGPS(Global Positioning System)受信機23と、渋滞情報等の交通情報の受信を行うVICS(Vehicle Information & Communication System)受信機24と、道路の接続情報を表す道路ネットワークデータや、目印となる施設の位置及び名称や、公園、河川並びに海岸線といった背景データ等のデータが収められたCD(Compact Disc)−ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、ハードディスク等のディスク25と、ディスク25を再生することによってディスク25に記録されたデータを読み取る読み取り装置26と、自車の室内に設置されて地図や、自車の位置及び方位や、経路の案内等を表示するカラー液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等の表示部27と、自車の室内に設置された赤外線リモートコントローラ28aと、赤外線リモートコントローラ28aから出力される赤外線を受光する受光部28bと、表示部27のディスプレイ上に設置されたタッチパネル29と、自車のトランクルームや室内等に設置された装置本体30とを備えている。
【0021】
また、装置本体30は、各種の演算を行うCPU(Central Processing Unit)31と、装置本体30の動作プログラムを格納したプログラムROM32と、方位センサ20、速度センサ21、GPS受信機23、VICS受信機24、読み取り装置26等からのデータやCPU31による演算処理結果を記憶するためのSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)33と、装置本体30への電源供給が停止した際にも必要なデータを保持しておくためのSRAM(Static Random Access Memory)34と、GPS受信機23、VICS受信機24、読み取り装置26等の入出力制御を行うインタフェースLSI(Large Scale Integration)35と、表示部27に対する表示画面データを生成する描画プロセッサ36a及び描画プロセッサ36aによって生成された表示画面データを格納する表示メモリ36bからなる表示制御部36とを備えている。
【0022】
ここで、表示部27は、経路を案内するようになっており、経路案内手段を構成している。また、表示部27は、自身が案内する経路(以下「案内経路」という。)から分岐する経路(以下「分岐経路」という。)の進行の難易度を表す数値情報である分岐経路数値情報を、案内経路と、分岐経路との分岐地点を案内するときに出力するようになっており、分岐経路数値情報出力手段を構成している。
【0023】
また、装置本体30は、自車の運転者等の利用者の指示に応じて案内経路及び分岐経路を探索するようになっており、経路探索手段を構成している。
【0024】
次に、車載用ナビゲーション装置10の動作について説明する。
【0025】
まず、自車の現在位置を含む地図を車載用ナビゲーション装置10が表示部27に表示する動作について説明する。
【0026】
方位センサ20の出力及び速度センサ21の出力がセンサ処理部22を介してCPU31に送られる。CPU31は、方位センサ20の出力及び速度センサ21の出力に基づいて、自車の緯度、経度からなる現在位置を求める。また、CPU31は、GPS受信機23からのデータに基づいて、現在位置の補正を行う。そして、CPU31によって求められた現在位置に対応するユニットの地図データが、読み取り装置26によってディスク25から読み出され、インタフェースLSI35を介してSDRAM33に格納される。SDRAM33に格納された地図データは、CPU31又は描画プロセッサ36aによって座標変換された後、描画プロセッサ36aによって表示画面データに変換されて、表示メモリ36bに格納される。表示メモリ36bに格納された表示画面データは、描画プロセッサ36aによって色信号に変換され、描画プロセッサ36aから表示部27に送られる。そして、表示部27は、描画プロセッサ36aから送られた色信号に基づいて、現在位置を中心とした所定範囲の地図と、地名等の文字と、学校等の記号とを表示する。
【0027】
次に、車載用ナビゲーション装置10が案内経路を探索する動作について説明する。
【0028】
図2に示すように、車載用ナビゲーション装置10は、赤外線リモートコントローラ28aやタッチパネル29から利用者によって目的地の設定が行われると(S41)、案内経路の探索を開始するか否かを判定する(S42)。ここで、車載用ナビゲーション装置10は、赤外線リモートコントローラ28aやタッチパネル29から利用者によって案内経路の探索が指示された場合に、案内経路の探索を開始するとS42において判定し、案内経路の探索を行う(S43)。
【0029】
また、車載用ナビゲーション装置10は、案内経路の探索を開始しないとS42において判定すると、今回の案内経路探索処理を終了する。
【0030】
ここで、案内経路の探索の方法としては、例えば、次に示すような方法がある。図3において、分岐地点であるノード、各分岐地点を結ぶ道路であるリンク、各道路の通過想定時間であるリンクコストは、それぞれ、中央にアルファベットが描かれた丸、2つの丸を結ぶ実線、2つの丸を結ぶ実線上の数字によって表されている。車載用ナビゲーション装置10は、自車の現在位置がノードxである場合に目的地をノードyとする案内経路の探索を行うとき、ノードxからノードyに到る全ての経路に対して経路上のリンクコストを合計し、ノードxからノードyに到る全ての経路のうち経路上のリンクコストの合計が最も小さい経路、即ち、図中に破線で表された経路を案内経路として決定する。
【0031】
そして、車載用ナビゲーション装置10は、図2に示すように、S43において案内経路の探索を行うと、S43において探索した案内経路を地図上に例えば赤色等で表示部27に表示して(S44)、今回の案内経路探索処理を終了する。
【0032】
次に、車載用ナビゲーション装置10が案内経路を案内する動作について説明する。
【0033】
なお、車載用ナビゲーション装置10がVICS受信機24からのデータ等を使用して案内経路上の分岐地点以外の地点を案内する動作については、一般的な動作であるので説明を省略する。
【0034】
車載用ナビゲーション装置10は、図4に示すように、現在位置51を走行中の自車が分岐地点52で右左折する必要があるとき、分岐経路の探索を開始する地点である分岐経路探索開始地点53に自車が達すると、分岐経路の探索を開始し、分岐地点52の案内を開始する地点である分岐地点案内開始地点54に自車が達すると、分岐地点52の案内を開始する。ここで、分岐経路探索開始地点53は、分岐地点案内開始地点54の手前の地点である。また、分岐地点案内開始地点54は、分岐地点52の例えば100m〜400m程度手前の地点である。
【0035】
また、図5に示すように、車載用ナビゲーション装置10は、現在位置51が分岐経路探索開始地点53に到達したと判断するまで、現在位置51が分岐経路探索開始地点53に到達したか否かを判断する(S61)。
【0036】
車載用ナビゲーション装置10は、現在位置51が分岐経路探索開始地点53に到達したとS61において判断すると、分岐地点52において案内経路を外れて走行した場合を想定した分岐経路の探索を行う(S62)。なお、分岐経路探索開始地点53の位置は、現在位置51が分岐地点案内開始地点54に到達するまでにS62の処理が終了できるように分岐地点案内開始地点54から十分な距離をもって、自車の現在の走行速度に基づいて設定されている。
【0037】
車載用ナビゲーション装置10は、分岐経路の探索をS62において行うと、現在位置51が分岐地点案内開始地点54に到達したと判断するまで、現在位置51が分岐地点案内開始地点54に到達したか否かを判断する(S63)。
【0038】
車載用ナビゲーション装置10は、現在位置51が分岐地点案内開始地点54に到達したとS63において判断すると、案内経路に関する情報と、S62で探索された分岐経路の分岐経路数値情報とに基づいて表示部27で分岐地点52の案内を行って(S64)、今回の分岐地点案内処理を終了する。
【0039】
例えば、車載用ナビゲーション装置10は、図6に示すように、分岐地点52において案内経路を進行する場合の走行方向を示す案内経路方向指示矢印71と、現在位置から分岐地点52に到達するまでの距離を示す分岐地点到達距離情報72と、分岐地点52における走行車線を示す走行車線情報73と、分岐地点52において案内経路を進行する場合の現在位置から目的地までの所要距離及び予想所要時間を示す目的地情報74と、S62において探索された分岐経路を分岐地点52において進行する場合の走行方向を示す分岐経路方向指示矢印75と、S62において探索された分岐経路の進行の難易度を表す数値情報である分岐経路数値情報76とを、分岐地点52近辺の地図と共に表示部27に表示する。ここで、分岐経路数値情報76には、S62において探索された分岐経路を分岐地点52において進行する場合の、分岐地点52から分岐経路と案内経路との合流地点までの所要距離、予想所要時間及び所要右左折回数等が含まれている。車載用ナビゲーション装置10は、図6において、200m先の分岐地点52以降も案内経路を進行するためには、分岐地点52の手前において一番右側の車線を走行して分岐地点52において右折する必要があり、案内経路を進行した場合、距離としては3.5km、時間としては22分が現在位置から目的地までに必要となる予定であるが、分岐地点52において案内経路を外れて直進して分岐経路を進行すると、距離としては0.5km、時間としては5分、右左折回数としては2回が分岐地点52から合流地点までに必要となる予定であることを表示部27で案内している。
【0040】
以上、説明したように、車載用ナビゲーション装置10は、分岐経路の進行の難易度を表す数値情報である分岐経路数値情報を出力するので、分岐地点において何れの経路に進行するかを従来より適切に利用者に判断させることができる。例えば、車載用ナビゲーション装置10は、「案内経路から少し外れてもすぐに戻れる」、「ここでは案内経路に沿って走行しよう」といった判断のための有用な情報を分岐地点の手前で利用者に提供することができる。
【0041】
なお、車載用ナビゲーション装置10は、図7に示すように、現在位置51と合流地点55との間の案内経路56及び分岐経路57の地図77を、分岐地点52の案内と共に表示部27に表示するようになっていれば、分岐地点52から合流地点55までの案内経路56及び分岐経路57を利用者に視覚的に認識させることができ、分岐地点52において何れの経路に進行するかをより適切に利用者に判断させることができる。地図77の縮尺は、現在位置51と合流地点55との位置関係に基づいて算出可能である。表示部27は、分岐地点52の案内と共に地図77を表示する場合、分岐地点案内時地図表示手段を構成している。
【0042】
(第2の実施の形態)
まず、第2の実施の形態に係る分岐地点案内装置の構成について説明する。
【0043】
なお、本実施の形態に係る分岐地点案内装置としての車載用ナビゲーション装置の構成は、表示部27が出力する分岐経路数値情報を除いて、第1の実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置10(図1参照。)の構成と同様であるので、車載用ナビゲーション装置10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
即ち、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置の表示部27が出力する分岐経路数値情報は、案内経路を進行する自車が分岐地点の手前で車線変更を行わなかった場合に自車が進行する分岐経路の分岐経路数値情報である。
【0045】
次に、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置の動作について説明する。
【0046】
図8に示すように、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、S61の処理(図5参照。)と同様にS81の処理を行い、現在位置51(図4参照。)が分岐経路探索開始地点53(図4参照。)に到達したとS81において判断すると、案内経路を進行するためには分岐地点52(図4参照。)の手前で車線変更が必要であるか否かを判断する(S82)。
【0047】
本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、案内経路を進行するためには分岐地点52の手前で車線変更が必要であるとS82において判断すると、車線変更せずに分岐地点52を通過した場合を想定した分岐経路の探索を行う(S83)。なお、分岐経路探索開始地点53の位置は、現在位置51が分岐地点案内開始地点54(図4参照。)に到達するまでにS83の処理が終了できるように分岐地点案内開始地点54から十分な距離をもって、自車の現在の走行速度に基づいて設定されている。
【0048】
また、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、案内経路を進行するためには分岐地点52の手前で車線変更が必要ではないとS82において判断したときや、分岐経路の探索をS83において行ったとき、S63の処理(図5参照。)と同様にS84の処理を行い、現在位置51が分岐地点案内開始地点54に到達したとS84において判断すると、分岐経路の探索をS83において行ったか否かを判断する(S85)。
【0049】
本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、分岐経路の探索をS83において行ったとS85において判断すると、例えば図6に示すように、S64の処理(図5参照。)と同様にS86の処理を行って、今回の分岐地点案内処理を終了する。一方、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、分岐経路の探索をS83において行っていないとS85において判断すると、例えば図9に示すように、案内経路に関する情報に基づいて表示部27で分岐地点52の案内を行って(S87)、今回の分岐地点案内処理を終了する。
【0050】
なお、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、S86の処理を行うとき、分岐地点52の案内と共に地図77(図7参照。)を表示部27に表示するようになっていても良い。
【0051】
以上、説明したように、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、分岐地点の手前で自車が車線変更を行わなかった場合に自車が進行する分岐経路について分岐経路数値情報76を出力するので、面倒な車線変更を分岐地点の手前で行わずにそのまま分岐地点を進行しても良いか否かを利用者に判断させることができる。例えば、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、「やはり車線変更を行うべき」、「車線変更を行わなくても大差はない」といった判断のための有用な情報を分岐地点の手前で利用者に提供することができ、分岐地点の手前での車線変更を必要最低限に抑えることができる。
【0052】
(第3の実施の形態)
まず、第3の実施の形態に係る分岐地点案内装置の構成について説明する。
【0053】
なお、本実施の形態に係る分岐地点案内装置としての車載用ナビゲーション装置の構成は、表示部27が出力する分岐経路数値情報を除いて、第1の実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置10(図1参照。)の構成と同様であるので、車載用ナビゲーション装置10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
即ち、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置の表示部27は、分岐経路を介した進行と、案内経路を介した進行との難易度の差異を分岐経路数値情報として出力するようになっている。
【0055】
次に、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置の動作について説明する。
【0056】
図10に示すように、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、S81からS83までの処理(図8参照。)と同様にS91からS93までの処理を行った後、S93で探索された分岐経路を介した進行の難易度を表す時間、距離等の数値情報と、案内経路を介した進行の難易度を表す時間、距離等の数値情報との差分データを分岐経路数値情報として算出する(S94)。なお、分岐経路探索開始地点53(図4参照。)の位置は、現在位置51(図4参照。)が分岐地点案内開始地点54(図4参照。)に到達するまでにS94の処理が終了できるように分岐地点案内開始地点54から十分な距離をもって、自車の現在の走行速度に基づいて設定されている。
【0057】
本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、案内経路を進行するためには分岐地点52(図4参照。)の手前で車線変更が必要ではないとS92において判断したときや、差分データの算出をS94において行ったとき、S84からS87までの処理(図8参照。)と同様にS95からS98までの処理を行う。
【0058】
例えば、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、S97の処理において、図11に示すように、S93において探索された分岐経路の進行の難易度を表す数値情報である分岐経路数値情報78を、分岐地点52近辺の地図と共に表示部27に表示する。ここで、分岐経路数値情報78には、S93において探索された分岐経路を分岐地点52において進行する場合の現在位置から目的地までの所要距離及び予想所要時間や、分岐地点52において分岐経路を進行する場合と、分岐地点52において案内経路を進行する場合との現在位置から目的地までの予想所要時間の差や所要距離の差等が含まれている。本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、図11において、200m先の分岐地点52以降も案内経路を進行するためには、分岐地点52の手前において一番右側の車線を走行して分岐地点52において右折する必要があり、案内経路を進行した場合、距離としては3.5km、時間としては22分が現在位置から目的地までに必要となる予定であるが、分岐地点52の手前で車線変更せずに分岐地点52において案内経路を外れて直進して分岐経路を進行すると、距離としては3.7km、時間としては25分が現在位置から目的地までに必要となる予定であり、案内経路を進行する場合と比較して、予想所要時間としては3分、即ち14%増加し、所要距離としては0.2km、即ち6%増加する予定であることを表示部27で案内している。
【0059】
なお、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、S97の処理を行うとき、分岐地点52の案内と共に地図77(図7参照。)を表示部27に表示するようになっていても良い。
【0060】
以上、説明したように、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、分岐地点以降において案内経路を進行する難易度と、分岐経路を進行する難易度との差異を利用者に認識させることができ、分岐地点において何れの経路に進行するかを、より迅速に利用者に判断させることができる。
【0061】
(第4の実施の形態)
まず、第4の実施の形態に係る分岐地点案内装置の構成について説明する。
【0062】
なお、本実施の形態に係る分岐地点案内装置としての車載用ナビゲーション装置の構成は、表示部27が出力する分岐経路数値情報を除いて、第1の実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置10(図1参照。)の構成と同様であるので、車載用ナビゲーション装置10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
即ち、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置の表示部27は、実際値が基準値を下回るという所定の条件を分岐経路数値情報が満たすときのみ、分岐経路数値情報を出力するようになっている。
【0064】
次に、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置の動作について説明する。
【0065】
図12に示すように、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、S91からS96までの処理(図10参照。)と同様にS101からS106までの処理を行う。
【0066】
本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、分岐経路の探索をS103において行ったとS106において判断すると、分岐地点52(図4参照。)において車線変更せずに案内経路を外れて分岐経路を進行した場合の分岐経路数値情報の実際値が、基準値を下回ったか否かを判断する(S107)。
【0067】
本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、実際値が基準値を下回ったとS107において判断すると、S97の処理(図10参照。)と同様にS108の処理を行って、今回の分岐地点案内処理を終了する。例えば、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、案内経路を進行した場合に対する分岐経路を進行した場合の現在位置51(図4参照。)から目的地までの所要距離の増加量の基準値が1kmであるとき、案内経路を進行した場合に対する分岐経路を進行した場合の現在位置51から目的地までの所要距離の増加量の実際値が0.2kmであれば、S108の処理を実行する。
【0068】
また、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、図12に示すように、分岐経路の探索をS103において行っていないとS106において判断したときや、実際値が基準値を下回っていないとS107において判断したとき、S98の処理(図10参照。)と同様にS109の処理を行って、今回の分岐地点案内処理を終了する。
【0069】
なお、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、分岐地点52において車線変更せずに案内経路を外れて分岐経路を進行した場合を想定して探索した分岐経路の分岐経路数値情報の実際値を基準値と比較することによって、分岐経路数値情報を分岐地点52の案内において表示するか否かを判断するようになっているが、分岐地点52において車線変更して進行する分岐経路の分岐経路数値情報の実際値を基準値と比較することによって、分岐経路数値情報を分岐地点52の案内において表示するか否かを判断するようになっていても良い。
【0070】
以上、説明したように、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、分岐経路数値情報を必要以上に表示部27に出力することを防止するので、分岐地点における利用者の必要以上の判断機会を減少させることができる。
【0071】
なお、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、表示部27が分岐経路数値情報を出力するときの分岐経路数値情報の所定の条件である基準値を、赤外線リモートコントローラ28aやタッチパネル29から利用者が設定できるようになっていれば、分岐経路数値情報を出力する条件を利用者自身に設定させることができるので、分岐地点における利用者の必要以上の判断機会を、より減少させることができる。例えば、本実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置は、利用者の好みで予め基準値が設定されていると、利用者が分岐経路ではなく明らかに案内経路を進行するような状況において、案内経路に関する情報のみを分岐地点の案内時に表示することができ、運転中の利用者に必要以上の判断を行わせずに運転に集中させることができる。赤外線リモートコントローラ28aやタッチパネル29は、表示部27が分岐経路数値情報の基準値が利用者から入力される場合、条件設定手段を構成している。
【0072】
上述した各実施の形態において、車載用ナビゲーション装置は、案内経路の案内や分岐経路数値情報の出力を表示によって行うようになっているが、表示以外の方法によって出力するようになっていても良い。例えば、車載用ナビゲーション装置は、案内経路の案内や分岐経路数値情報の出力を音声のみによって又は表示及び音声の双方によって行うようになっていても良い。
【0073】
また、上述した各実施の形態において、分岐地点案内装置は、車両を案内するようになっているが、車両以外のものを案内するようになっていても良い。例えば、分岐地点案内装置は、分岐地点案内装置自身を携帯する人間を案内するようになっていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明に係る分岐地点案内装置は、分岐地点において何れの経路に進行するかを従来より適切に利用者に判断させることができるという効果を有し、車両の経路上の交差点等の分岐地点を案内する車載用ナビゲーション装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置のブロック図
【図2】図1に示す車載用ナビゲーション装置の案内経路探索処理のフローチャート
【図3】図1に示す車載用ナビゲーション装置の経路探索方法の一例を説明する図
【図4】図1に示す車載用ナビゲーション装置における現在位置、分岐地点、分岐経路探索開始地点及び分岐地点案内開始地点の位置関係を示す図
【図5】図1に示す車載用ナビゲーション装置の分岐地点案内処理のフローチャート
【図6】図1に示す車載用ナビゲーション装置による案内経路に関する情報と、分岐経路数値情報とに基づいた分岐地点案内表示の一例を示す図
【図7】図1に示す車載用ナビゲーション装置による案内経路に関する情報と、分岐経路数値情報とに基づいた分岐地点案内表示の図6に示す例とは異なる例を示す図
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置の分岐地点案内処理のフローチャート
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置による案内経路に関する情報に基づいた分岐地点案内表示の一例を示す図
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置の分岐地点案内処理のフローチャート
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置による案内経路に関する情報と、分岐経路数値情報とに基づいた分岐地点案内表示の一例を示す図
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置の分岐地点案内処理のフローチャート
【符号の説明】
【0076】
10 車載用ナビゲーション装置(分岐地点案内装置)
27 表示部(経路案内手段、分岐経路数値情報出力手段、分岐地点案内時地図表示手段)
28a 赤外線リモートコントローラ(条件設定手段)
29 タッチパネル(条件設定手段)
30 装置本体(経路探索手段)
52 分岐地点
55 合流地点
56 案内経路
57 分岐経路
76、78 分岐経路数値情報
77 地図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路を案内する経路案内手段と、前記経路案内手段によって案内される前記経路である案内経路及び前記案内経路から分岐する分岐経路を探索する経路探索手段と、前記分岐経路の進行の難易度を表す数値情報である分岐経路数値情報を出力する分岐経路数値情報出力手段とを備え、
前記分岐経路数値情報出力手段は、前記案内経路及び前記分岐経路の分岐地点を前記経路案内手段が案内するときに前記分岐経路数値情報を出力することを特徴とする分岐地点案内装置。
【請求項2】
前記案内経路は、車両が進行する経路であり、
前記分岐経路は、前記案内経路を進行する前記車両が前記分岐地点の手前で車線変更を行わなかった場合に前記車両が進行する経路であることを特徴とする請求項1に記載の分岐地点案内装置。
【請求項3】
前記分岐経路数値情報出力手段は、前記分岐経路を介した進行と、前記案内経路を介した進行との難易度の差異を前記分岐経路数値情報として出力することを特徴とする請求項1に記載の分岐地点案内装置。
【請求項4】
前記分岐経路数値情報出力手段は、前記分岐経路数値情報が所定の条件を満たすときのみ、前記分岐経路数値情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の分岐地点案内装置。
【請求項5】
前記所定の条件を設定する条件設定手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の分岐地点案内装置。
【請求項6】
前記分岐地点と、前記案内経路及び前記分岐経路の合流地点との間の前記案内経路及び前記分岐経路の地図を、前記経路案内手段が前記分岐地点を案内するときに表示する分岐地点案内時地図表示手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の分岐地点案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−145282(P2006−145282A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333109(P2004−333109)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】