分岐部の処置用組立体
【課題】本発明は、従来技術の欠点を解消することを可能にする、血管の狭窄症に冒された分岐部を処置するためのステント,二つのカテーテル及びそれらを含んだ組立体並びに同組立体の調製方法及び使用方法を提供することを課題とする。
【手段】ステントは、断面の所定の長さ領域に沿って互いに接続された二つの断面(311,312)を有している。第一のカテーテル(100)は、アイレットを有し、第二のカテーテル(200)は肩部を有している。アイレットが肩部に当接することにより両カテーテルの軸線方向の相互位置が一義的に決定される。
【手段】ステントは、断面の所定の長さ領域に沿って互いに接続された二つの断面(311,312)を有している。第一のカテーテル(100)は、アイレットを有し、第二のカテーテル(200)は肩部を有している。アイレットが肩部に当接することにより両カテーテルの軸線方向の相互位置が一義的に決定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭窄症に冒された血管の分岐部の内腔処置用組立体に関するものである。
【0002】
詳述すると、本発明は、一つの枝部、概して、サイド枝部が狭窄症に冒された血管分岐部の内腔処置用の組立体に関するものである。
【0003】
狭窄症に冒された血管の内腔処置のためにステントを用いることが知られている。狭窄症の存在によって病的に狭められている血管の内径は、カテーテルによる血管形成手術を施すことにより広げられる。ステントを用いることにより、血管壁を支持することができると共に、血管形成手術後に内径が戻って狭まることを阻止するように広げられた状態に維持することができる。
【0004】
分岐部処置の特定の分野においては、筒状の従来のステントには、全ての分岐部領域を適切に支持することができないという欠点があった。
【0005】
サイド枝部のみが狭窄症に冒されている場合には、主枝部とサイド枝部とを区画することにより、主枝部内にはステントを留置する必要がない。この場合には、サイド枝部内に留置された従来のステントは、サイド枝部の最基部領域(例えば、図1aに参照符号Aで示した領域)をカバーすることがないので、その領域は全く支持されない。
【0006】
同様に、ステントの留置の正確さは、操作者の技能に左右されるので、所謂、カリーナ(carina)、即ち、分岐部の領域(例えば、図1bに参照符号Bで示した領域)が、適切に支持されない可能性がある。従来のステントもそれを留置させるために用いられるカテーテルも、カリーナとの相対的位置をチェックすることを可能にするものではない。従って、(図1cに示した例のように)ステントを留置させた後に、操作者は、ステントが主枝部における血液の流れを阻害するのを防止することを欲して、ステントをサイド枝部内に若干より深く留置させがちであるという場合が起こる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術に関連して上述した欠点を解消することを可能にするカテーテル及びステントを提供することにある。
【0008】
詳しくは、本発明の課題は、血管の分岐部のサイド枝部の最基部領域と血管の分岐部のカリーナの双方を適切に支持することの可能なステントを提供することにある。また、本発明の課題は、挿入時にステントの位置を正確にチェックすることを可能にするカテーテル組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的及び課題は、本願の特許請求の範囲の請求項1,10,22及び30に夫々記載されたステント,カテーテル及びカテーテル組立体によって達成される。
【0010】
本発明の更なる特徴及び利点については、単に例示的なものであって限定的でない好ましい実施形態について添付図面を参照して説明した以下の記載を参照することにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
添付図面を参照すると、第一のカテーテルが全体として参照符号100で示されている。第一のカテーテル100は、公知の筒状本体110を有し、この筒状本体110は、公知の基部端115と末端部120とを含んでいる。末端部120は、当業界において公知なように、血管形成術用のバルーン130とガイドワイヤ用の末端ポート140とを有している。
【0012】
第一のカテーテル100は、筒状本体110の側方に配置されて筒状本体110と一体になったアイレット150を更に有している。
【0013】
本発明による第一のカテーテル100の好ましい実施形態によれば、アイレット150は、カテーテルの筒状本体110に平行なx−x軸線を有している。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、アイレットは、ほぼ非伸縮性のスレッドスロット(thread slot)を有している。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、アイレット150は、筒状本体110と一体になるように筒状本体110に構造的に固定されたチューブを含んでいる。
【0016】
筒状本体110とアイレット150との間の構造的な固定手段としては、図2aに示した例におけるように、例えば、接着剤又は溶接160を挙げることができる。また、構造的な固定手段としては、図2cに示した例におけるように、筒状本体110とアイレット150を同時に取り囲むシース170であってもよい。これに代えて、筒状本体とそれの傍に配置されたアイレット150とを押出し加工によって一体に成形することもできる。究極的には、筒状本体110とアイレット150との間の構造的な固定手段としては、如何なる使用状態においてもカテーテルの確りとした固定を確実にするのに好適であると認められる何らかの他の手段を用いることができる。
【0017】
アイレット150の内部に含められる長尺なチューブは、例えば、図2に示した例におけるように、x−x軸線に対して直交する面に沿って切断することができる。また、長尺なチューブは、図2cに示した例におけるように、x−x軸線に対して湾曲し傾斜した面に沿って切断することもできる。
【0018】
アイレット150は、末端部120、詳しくは、バルーン130から予め定められた間隔を隔てて配置されている。
【0019】
第一のカテーテル100は、ガイドワイヤ用の基部ポート180を有し、この基部ポート自体は既に知られている。本発明に係る好ましい実施形態においては、この基部ポート180はアイレット150の基部近くに位置している。
【0020】
本発明による第二のカテーテルは、全体として参照符号200で示されている。第二のカテーテル200は、公知の筒状本体210を有し、その筒状本体210は、公知の基部端と末端部220とを有している。当業界において知られているように、末端部220は、血管形成術用のバルーン230とガイドワイヤ用の先端ポート240とを有している。
【0021】
第二のカテーテル200は、筒状本体210上に配置された肩部250を更に有している。その肩部250は、筒状本体210の外径が切り立って変化した部分を含んでいる。その外径が変化した部分は、肩部250と隣接した筒状本体の外径領域が肩部の外径よりも小さくなるように形成されている。
【0022】
肩部250は、図3に示した例におけるように、筒状本体210の外面に対して垂直な段部を有していてもよいし、むしろ、図4に示した例におけるように、肩部の最大外径を筒状本体の外径に接続するテーパー部を含んでいてもよい。
【0023】
図5〜図10を参照すると、本発明によるステントの第一の実施形態が全体として参照符号310で示されている。
【0024】
ステント310は、第一の筒状部311と第二の筒状部312とを有している。用語の広義な意味における円筒の幾何学的定義によれば、筒状部311,312の断面は、楕円或いはステント310の特定の用途に相応しい何らかの閉じたループ形状になっている。
【0025】
第一の筒状部311と第二の筒状部312は、少なくとも二つのブリッジ313によって構造的に互いに接続されている。そのブリッジ313は、ステントの断面において閉塞ループに沿った第一の長さ領域に接続されている。例えば、第一の筒状部311における閉塞ループの第一の長さ領域は、図5a中に参照符号Pで示されている。その閉塞ループには、第一の長さ領域と相補的な関係にある第二の長さ領域が存在し、その第二の長さ領域は、ブリッジ313の存在によって影響を受けない。この第二の長さ領域は、図5a中に参照符号Sで示されている。
【0026】
本発明に係るステント310においては、第一の長さ領域Pは、第二の長さ領域Sよりも短くなっている。換言すると、ステント310の筒状部311,312間の構造的な接続部は、それらの部分の断面において区画された閉塞ループの全体に亘って均一に分布した複数のブリッジ313を含んでいる。
【0027】
本発明の一実施形態によれは、第一の長さ領域Pは、第二の長さ領域Sの半分、好ましくは三分の一、更に好ましくは、四分の一程度に第二の長さ領域Sよりも短くなっている。
【0028】
第一の筒状部311のy−y軸線と第二の筒状部312のx−x軸線は異なるものである。更に、第一の筒状部311の横断面によって決定される閉塞ループは、第二の筒状部312の断面によって決定される閉塞ループ内に、少なくとも部分的に包含されている。換言すれば、第一の筒状部311の基部端は、複数のブリッジ313によって第二の筒状部312の先端に接続されている。
【0029】
本発明に係る一実施形態によれば、複数のブリッジ313は、互いに異なった長さ及び(又は)伸縮性を有している。閉塞ループの第一の長さ領域Pに近いブリッジは、第一の長さ領域Pの端の基部に配置されたブリッジよりも短い長さ及び(又は)小さな伸縮性を持っていることが必要である。
【0030】
ステントの一実施形態によれば、第一の長さ領域Pの中央に最も近いブリッジは直線になっていて、他方、第一の長さ部分Pの端の基部に配置されたブリッジは湾曲部を有している。この構造によって、ステントの分野において周知のように、より屈伸性のあるブリッジを確保することが可能になる。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、複数のブリッジは、異なった材料から作れられている。詳しくは、第一の長さ領域Pの中央の最も近くに配置されたブリッジは硬質な材料から作られ、他方、第一の長さ領域Pの端の基部に配置されたブリッジは、より伸縮性のある材料から作られている。
【0032】
図11,11a及び12を参照すると、本発明によるステントの第二の実施形態が全体として参照符号320で示されている。
【0033】
ステント320は、第一の筒状部321と第二の筒状部322とを有している。用語の広義な意味における円筒の幾何学的定義によれば、筒状部321,322の横断面は、円形,楕円形或いはステント320の特定の用途に相応しい何らかの閉塞ループ形状になっている。
【0034】
第一の筒状部321と第二の筒状部322は少なくとも二つのブリッジ323によって互いに構造的に接続されている。ブリッジ323は、ステントの横断面によって決定される閉塞ループに沿った第一の長さ領域に接続されている。例えば、第一の筒状部321によって決定される閉塞ループの第一の長さ領域がブリッジ323と接続され、その第一の長さ領域は、図11a中に参照符号Pで示されている。第一の長さ領域と相補的な関係にある第二の長さ領域が存在し、その第二の長さ領域は、ブリッジ323の存在に影響を受けることはない。この第二の長さ領域は、図11a中に参照符号Sで示されている。
【0035】
本発明によるステント320においては、第一の長さ領域Pは、第二の長さ領域Sよりも短くなっている。換言すると、ステント320の筒状部321,322間の構造的な連結部は、筒状部321,322の断面によって決定される閉塞ループの全体に亘って均一に分布した複数のブリッジ323を含んでいる。
【0036】
本発明の一実施形態に依れば、第一の長さ領域Pは、第二の長さ領域Sの半分、好ましくは三分の一、更に好ましくは、四分の一程度に第二の長さ領域Sよりも短くなっている。
【0037】
第一の筒状部321のy−y軸線と第二の筒状部322のx−x軸線は異なるものである。更に、第一の筒状部321の横断面によって決定される閉塞ループと第二の筒状部322の横断面によって決定される閉塞ループは、離れていて、周辺の一部を共有しているに過ぎない。換言すれば、第一の筒状部321の基部端は、ブリッジ323によって第二の筒状部322の基部端に接続されている。
【0038】
本発明の一実施形態に依れば、複数のブリッジ323は、互いに異なった長さ及び(又は)伸縮性を有している。閉塞ループの第一の長さ領域Pの中央に最も近いブリッジは、第一の長さ領域Pの端の基部に配置されたブリッジよりも短い長さ及び(又は)小さな伸縮性を有している必要がある。
【0039】
図13,13a及び14を参照すると、本発明による第三の実施形態に係るステントが全体として参照符号330で示されている。
【0040】
このステント330は、本発明による第一の実施形態に係るステント310の特性と、本発明による第二の実施形態に係るステント320の特性の双方の特性を有している。
【0041】
ステント330は、第一の筒状部331と、第二の筒状部332と、第三の筒状部334を有している。用語の広義な意味における円筒の幾何学的定義によれば、筒状部331,332,334の断面は、円,楕円又はステント330の特定の用途に相応しい何らかの閉じたループ形状にすることができる。
【0042】
第一の筒状部331は、少なくとも二つのブリッジ333によって第二の筒状部332と第三の筒状部334に構造的に接続されている。上述した内容と同様に、ブリッジ333は、ステントの断面によって決定される閉塞ループに沿った第一の長さ領域Pに連結され、その第一の長さ領域Pは第一の長さ領域Pと相補的な関係にある第二の長さ領域Sよりも短くなっていて、その第二の長さ領域Pは、ブリッジの存在によって影響を受けない(第一の長さ領域Pと第二の長さ領域Pは、図面を複雑化させないために、図13a中に示されていない)。換言すると、ステント330の筒状部331,332と筒状部331,334の間の構造的な接続部は、それらの部分の断面において決定される閉塞ループの全体に亘って均一に分布した複数のブリッジ333を含んでいる。
【0043】
本発明の一実施形態に依れば、第一の長さ領域Pは、第二の長さ領域Sの半分、好ましくは三分の一、更に好ましくは、四分の一程度に第二の長さ領域Sよりも短くなっている。
【0044】
更に、本発明の好ましい実施形態に依れば、第一の筒状部331のy−y軸線と、第二の筒状部332のz−z軸線と、第三の筒状部334のw−w軸線は、相違している。更に、第一の筒状部331と第三の筒状部334の断面によって区画される閉塞ループは、少なくとも部分的に、第二の筒状部332の断面によって区画される閉塞ループ内に含められている。同様に、第一の筒状部331と第三の筒状部334の断面によって区画される閉塞ループは、それらの周囲の一部分を共通にしているに過ぎない。換言すると、第一の筒状部331の基部端は、複数のブリッジ333によって第二の筒状部332の末端と第三の筒状部334の基部端に接続されている。
【0045】
本発明の一実施形態に依れば、複数のブリッジ333は、異なった長さ及び(又は)異なった伸縮性を有している。詳述すると、閉塞ループの第一の長さ領域Pの中心に最も近いブリッジは、第一の長さ領域Pの基部端に近いブリッジよりも長さが短く及び(又は)小さい伸縮性を有することが必要とされる。
【0046】
図6を参照すると、狭窄症の処置のための本発明に係る組立体が参照符号400で示されている。組立体400は、上述の内容に従った第一のカテーテル100とステント310,320又は330を有している。組立体は、好ましくは中空のマンドレル180を有し、そのマンドレル180はカテーテル100の側方に配置されている。カテーテル100のバルーン130は、カテーテル100の筒状本体110の回りに折り畳まれて萎んだ状態になっている。ステント311,321又は331の第一の筒状部はバルーン130に嵌め合わされている。他方、第二の筒状部312又は322は、同時にバルーン130とマンドレル180に嵌め合わされている。第二の筒状部322又は第三の筒状部334は、マンドレル180にのみ嵌め合わされている。
【0047】
本発明の好ましい実施形態によれば、組立体400のマンドレル180はアイレット150を貫通している。
【0048】
図7を参照すると、狭窄症の処置のための本発明に係る組立体の別の実施形態が参照符号500で示されている。この組立体500は、上述した内容による第一のカテーテル100とステント310,320又は330を有している。組立体は、第一のカテーテル100の側方に配置された第二のカテーテル200を更に有している。両カテーテル100,200のバルーン130,230は、カテーテルの筒状本体110,210の回りに折り畳まれて萎んだ状態になっている。ステント311,321又は331の第一の筒状部は、第一のカテーテルのバルーン130に嵌め合わされている。他方、第二の筒状部312又は322は、同時に第一のカテーテル100のバルーン130、第二のカテーテル200のバルーン230に嵌め合わされている。その代わりに、第二の筒状部322又は第三の筒状部334は、第二のカテーテル200のバルーン230にのみ嵌め合わせてもよい。
【0049】
組立体500の第二のカテーテル200は、同様に第一のカテーテルのアイレット150を貫通している。
【0050】
組立体500を調製する方法は、組立体400からスタートして、必要に応じてマンドレル180をステント310,320又は330から取り除くことを条件としている。第一のカテーテル100のバルーンによって部分的に係合され部分的に自由となるスロットを第二のステント部312,322又は332と第三のステント部334が構成していてもよい。
【0051】
マンドレル180を取り除いた後に、使用の特定の条件に基づいて第二のカテーテル200を選択しなければならない。次いで、第二のカテーテル200の末端部220をアイレット150内に挿入し、ステント310,320又は330によって構成された部分的に自由なスロットに達するまで前進させる。
【0052】
次いで、末端部220をステント310,320又は330によって構成されたスロット内に挿入する。次に、肩部250がアイレット150に当接するまで第二のカテーテル200を第一のカテーテル100を越えて前進させる。肩部がアイレットを貫通しないでアイレットと当接するように、肩部の外径とアイレットの内径が設計されているので、ストロークの終端が制限され、それにより、両カテーテル100,200、特に、両バルーン130,230の相互位置が一義的に決定される。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、上述した方法では、マンドレル180が中空であることを条件とする。この実施形態の方法によれば、マンドレル180をステント310,320又は330及びアイレット150から取り外す前に、必要に応じて、スタイレット又はガイドワイヤ185をマンドレル180とアイレット150内に挿入する。それにより、マンドレルが取り外されて、第二のカテーテル200がスタイレット又はガイドワイヤ185に嵌め合わされた後に、第二のカテーテル200をアイレット内及びステントによって構成されたスロット内に挿入する作業がより簡単になる。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、この挿入作業が完了した時に、スタイレット又はガイドワイヤ185を引き抜き、こうして、上述した組立体500が得られる。
【0055】
本発明による組立体500の使用方法は、操作者が望むところに従って、分岐部に達するように、公知の方法で、患者の血管に沿って一対のガイドワイヤを挿入することを条件とする。第一のガイドワイヤは分岐部のサイド枝部内に留置され、第二のガイドワイヤは主枝部内に留置される。
【0056】
特定の要件に従ってカテーテルとステントを選択した後で、組立体500を上述した内容に従って調製した後に、操作者は、第一のカテーテル100を第一のガイドワイヤ上に被せ、第二のカテーテル200を第二のガイドワイヤ上に被せる。
【0057】
ステントの第一の実施形態310の特別の場合について後述するが、この方法に関する記述は、本発明によるステントの実施形態320,330にも同様に適用することができる。
【0058】
操作者がカテーテルをガイドワイヤを越えて前進させることにより、カテーテルは殆ど自動的に図8に示した位置に達する。第二のカテーテル200の肩部250と第一のカテーテル100のアイレット150との間の相互作用のため、両バルーンの相対位置が、一義的に決められて、操作者によって付加されるスラストの影響下で維持される。図8には、両バルーンの基部端が実質的に整列している状態が示されているが、各カテーテルに沿ってアイレット150と肩部250の位置が相違している状態で、多くの特別な状況において特に有益なその他の状態を決定することができる。
【0059】
組立体の一実施形態によれば、例えば、第二のカテーテル200のバルーン230の基部端は、図4に示した例におけるように第一のバルーン130の基部端が第二のバルーン230の基部端に対して遠位的に位置するように、第一のバルーン130の基部端に対して基部方向に或る間隔をもって配置されている。
【0060】
両バルーンが軸線方向で若干ずらされたこの特別な構成によって、ステントに対して、従って、血管形成術によって処置された分岐部に対して改善された内側プロファイルを提供することができるようになる。
【0061】
組立体500を図8に示した位置に移動させた後に、操作者は、両バルーンを萎んだ状態から膨らんだ状態にさせる。
【0062】
本発明による方法の一実施形態によれば、両バルーン130,230の膨張は同時に実施される。
【0063】
本発明による方法の別の実施形態によれば、第一のバルーン130を、第二のバルーン230に先立って膨張させる。
【0064】
それ自体公知の方法で、第一のバルーン130が狭窄症に冒された血管部分を拡張させて血管の内径を復元させ、それにより血管の内径が異常でない値に戻される。
【0065】
第一のバルーン130を膨張させることにより、ステント310の第一の筒状部311も拡張されて、萎んだ状態から膨張した状態になる。第一の筒状部311が膨張した状態で、血管形成手術後にサイド枝部の内側壁が縮んで内径を異常なレベルまで縮小させることを阻止するために、サイド枝部の内側壁を支持する。
【0066】
バルーン130,230を膨張させることにより、ステント310の第二の筒状部312も拡張され、萎んだ状態から膨張した状態になる。膨張した状態で、ステント310の第二の筒状部312が、図1a中に参照符号Aで示した、サイド枝部の基部のすぐ近くの領域を支持する。図10から明確に理解できるように、両カテーテル100,200が取り除かれた後に、一旦確定的に留置されたステント310が全体的に分岐部の壁に固着されて、血液の流れを全く阻害することがない。このため、分岐部が主枝部に沿って狭窄症に冒されている場合には、本発明によるステント310は、分岐部の主枝部に適用される公知のステント600(図15)と組み合わせて用いることができる。この状態は、図15に示されている。
【0067】
ステントの第二の実施形態320の特別な特徴に起因するように、ステント320は、図1bに参照符号Bで示したカリーナ領域の処置のために特に好適である。両ガイドワイヤと本発明による組立体500の特定の構造により、操作者は、殆ど自動的な態様でステント320を適切な位置に留置させることができる。詳述すると、第一のカテーテル100がそれのガイドワイヤに追従してサイド枝部に到達し、こうして、ステント320の第一の筒状部321に到達する。第二のカテーテル200がそれのガイドワイヤに追従して主枝部とステント320の第二の筒状部322に達する。操作者によるスラスト動作状況下において、ステント320の両部分を接続しているブリッジ323がカリーナの先端に当接し(例えば、図12を参照)、分岐部内におけるステントの位置が一義的に確定される。
【0068】
ステントの第三の実施形態330の特別な特徴に起因するように、ステント330は、図1aに参照符号Aで示した分岐部の基部領域と図1bに参照符号Bで示したカリーナ領域の双方を処置するのに特に好適である。詳述すると、第三の実施形態は、上述した第一及び第二の実施形態の双方の特徴を有している。
【0069】
組立体500の調製方法の一実施形態によれば、操作者は、第一のガイドワイヤが問題の分岐部のサイド枝部に留置されるまで、第一のガイドワイヤを患者の血管に沿って挿入する。中空マンドレル180内に挿入された上述のガイドワイヤ85は、第二のガイドワイヤとして機能して、分岐部の主枝部内に留置される。マンドレル180を取り除いた後に、第一のカテーテル100を分岐部に達するまで第一のガイドワイヤを越えて前進させる。この時だけ、第二のカテーテル200を第一のガイドワイヤ185に嵌め合わせて、分岐部に達するまで前進させる。第二のカテーテルは、アイレット150と、ステントによって構成されるスロットとに自動的に挿入され、その結果、組立体500が作られる。
【0070】
組立体500の上述した調製方法の実施形態は、後者の方法と実質的に相違していない。唯一の相違点は、この方法の後者の実施形態では、第二のカテーテル200が患者の体内に挿入された時に、作動位置、即ち、肩部250がアイレット150に当接する位置に達することである。こうして、この実施形態の方法は、複数のカテーテルが患者の血管を個別に移動して、手術に関係する分岐部に簡単に到達するという点において有益である。他方、上述した実施形態の方法は、それらの方法を血管形成手術の時とは別の時に実施することができるという点において有益である。例えば、組立体400と第二のカテーテル200から組立体500を調製する場合に、手術室から離れた研究室において分岐部の主枝部とサイド枝部のサイズを一旦確認して、組立体500の調製を実施することができる。
【0071】
ステント,カテーテル,組立体及びその調整方法についての上述した実施形態に対して、本願の特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、当業者は、不測の条件を満足させるために、種々の修正又は適合を加え及び構成要素を機能的に均等な他の要素と置換することができる。実施可能な実施形態に伴うものとして上述した特徴の各々は、他の実施形態とは無関係に実現される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1a】サイド枝部(点線で図示)が狭窄症に冒された分岐部内に従来のステントを留置させた状態を示した図である。
【図1b】サイド枝部(点線で図示)が狭窄症に冒された分岐部内に従来のステントを留置させた状態を示した図である。
【図1c】サイド枝部(点線で図示)が狭窄症に冒された分岐部内に従来のステントを留置させた状態を示した図である。
【図2】本発明による第一カテーテルの第一の実施形態を示した概略図である。
【図2a】図2のIIa線に沿った概略断面図である。
【図2b】本発明による第一カテーテルの第二の実施形態を示した概略図である。
【図2c】図2bに示したカテーテルの細部を示した図である。
【図3】本発明による第二カテーテルの実施形態を示した概略図である。
【図4】図2のカテーテルと図3のカテーテルとを有する本発明による組立体を示した概略図である。
【図5】本発明によるステントの第一の実施形態を示した概略図である。
【図5a】図5のVa線に沿った断面図である。
【図6】図2のカテーテルと図5のステントを有する本発明による組立体を示した図である。
【図7】図2及び図3のカテーテルと図5のステントを有する本発明による組立体を示した図である。
【図8】分岐部内の使用の第一の工程における図7の組立体を示した図である。
【図9】分岐部内の使用の第二の工程における図7の組立体を示した図である。
【図10】分岐部内に留置された図5のステントを示した図である。
【図11】本発明によるステントの第二の実施形態を示した図である。
【図11a】図11のXIa線に沿った断面図である。
【図12】分岐部内に留置された図11のステントを示した図である。
【図13】本発明によるステントの第三の実施形態を示した図である。
【図13a】図13のXIIIa線に沿った断面図である。
【図14】分岐部内に留置された図13のステントを示した図である。
【図15】従来のタイプのステントと共に分岐部内に留置された図5のステントを示した図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭窄症に冒された血管の分岐部の内腔処置用組立体に関するものである。
【0002】
詳述すると、本発明は、一つの枝部、概して、サイド枝部が狭窄症に冒された血管分岐部の内腔処置用の組立体に関するものである。
【0003】
狭窄症に冒された血管の内腔処置のためにステントを用いることが知られている。狭窄症の存在によって病的に狭められている血管の内径は、カテーテルによる血管形成手術を施すことにより広げられる。ステントを用いることにより、血管壁を支持することができると共に、血管形成手術後に内径が戻って狭まることを阻止するように広げられた状態に維持することができる。
【0004】
分岐部処置の特定の分野においては、筒状の従来のステントには、全ての分岐部領域を適切に支持することができないという欠点があった。
【0005】
サイド枝部のみが狭窄症に冒されている場合には、主枝部とサイド枝部とを区画することにより、主枝部内にはステントを留置する必要がない。この場合には、サイド枝部内に留置された従来のステントは、サイド枝部の最基部領域(例えば、図1aに参照符号Aで示した領域)をカバーすることがないので、その領域は全く支持されない。
【0006】
同様に、ステントの留置の正確さは、操作者の技能に左右されるので、所謂、カリーナ(carina)、即ち、分岐部の領域(例えば、図1bに参照符号Bで示した領域)が、適切に支持されない可能性がある。従来のステントもそれを留置させるために用いられるカテーテルも、カリーナとの相対的位置をチェックすることを可能にするものではない。従って、(図1cに示した例のように)ステントを留置させた後に、操作者は、ステントが主枝部における血液の流れを阻害するのを防止することを欲して、ステントをサイド枝部内に若干より深く留置させがちであるという場合が起こる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術に関連して上述した欠点を解消することを可能にするカテーテル及びステントを提供することにある。
【0008】
詳しくは、本発明の課題は、血管の分岐部のサイド枝部の最基部領域と血管の分岐部のカリーナの双方を適切に支持することの可能なステントを提供することにある。また、本発明の課題は、挿入時にステントの位置を正確にチェックすることを可能にするカテーテル組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的及び課題は、本願の特許請求の範囲の請求項1,10,22及び30に夫々記載されたステント,カテーテル及びカテーテル組立体によって達成される。
【0010】
本発明の更なる特徴及び利点については、単に例示的なものであって限定的でない好ましい実施形態について添付図面を参照して説明した以下の記載を参照することにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
添付図面を参照すると、第一のカテーテルが全体として参照符号100で示されている。第一のカテーテル100は、公知の筒状本体110を有し、この筒状本体110は、公知の基部端115と末端部120とを含んでいる。末端部120は、当業界において公知なように、血管形成術用のバルーン130とガイドワイヤ用の末端ポート140とを有している。
【0012】
第一のカテーテル100は、筒状本体110の側方に配置されて筒状本体110と一体になったアイレット150を更に有している。
【0013】
本発明による第一のカテーテル100の好ましい実施形態によれば、アイレット150は、カテーテルの筒状本体110に平行なx−x軸線を有している。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、アイレットは、ほぼ非伸縮性のスレッドスロット(thread slot)を有している。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、アイレット150は、筒状本体110と一体になるように筒状本体110に構造的に固定されたチューブを含んでいる。
【0016】
筒状本体110とアイレット150との間の構造的な固定手段としては、図2aに示した例におけるように、例えば、接着剤又は溶接160を挙げることができる。また、構造的な固定手段としては、図2cに示した例におけるように、筒状本体110とアイレット150を同時に取り囲むシース170であってもよい。これに代えて、筒状本体とそれの傍に配置されたアイレット150とを押出し加工によって一体に成形することもできる。究極的には、筒状本体110とアイレット150との間の構造的な固定手段としては、如何なる使用状態においてもカテーテルの確りとした固定を確実にするのに好適であると認められる何らかの他の手段を用いることができる。
【0017】
アイレット150の内部に含められる長尺なチューブは、例えば、図2に示した例におけるように、x−x軸線に対して直交する面に沿って切断することができる。また、長尺なチューブは、図2cに示した例におけるように、x−x軸線に対して湾曲し傾斜した面に沿って切断することもできる。
【0018】
アイレット150は、末端部120、詳しくは、バルーン130から予め定められた間隔を隔てて配置されている。
【0019】
第一のカテーテル100は、ガイドワイヤ用の基部ポート180を有し、この基部ポート自体は既に知られている。本発明に係る好ましい実施形態においては、この基部ポート180はアイレット150の基部近くに位置している。
【0020】
本発明による第二のカテーテルは、全体として参照符号200で示されている。第二のカテーテル200は、公知の筒状本体210を有し、その筒状本体210は、公知の基部端と末端部220とを有している。当業界において知られているように、末端部220は、血管形成術用のバルーン230とガイドワイヤ用の先端ポート240とを有している。
【0021】
第二のカテーテル200は、筒状本体210上に配置された肩部250を更に有している。その肩部250は、筒状本体210の外径が切り立って変化した部分を含んでいる。その外径が変化した部分は、肩部250と隣接した筒状本体の外径領域が肩部の外径よりも小さくなるように形成されている。
【0022】
肩部250は、図3に示した例におけるように、筒状本体210の外面に対して垂直な段部を有していてもよいし、むしろ、図4に示した例におけるように、肩部の最大外径を筒状本体の外径に接続するテーパー部を含んでいてもよい。
【0023】
図5〜図10を参照すると、本発明によるステントの第一の実施形態が全体として参照符号310で示されている。
【0024】
ステント310は、第一の筒状部311と第二の筒状部312とを有している。用語の広義な意味における円筒の幾何学的定義によれば、筒状部311,312の断面は、楕円或いはステント310の特定の用途に相応しい何らかの閉じたループ形状になっている。
【0025】
第一の筒状部311と第二の筒状部312は、少なくとも二つのブリッジ313によって構造的に互いに接続されている。そのブリッジ313は、ステントの断面において閉塞ループに沿った第一の長さ領域に接続されている。例えば、第一の筒状部311における閉塞ループの第一の長さ領域は、図5a中に参照符号Pで示されている。その閉塞ループには、第一の長さ領域と相補的な関係にある第二の長さ領域が存在し、その第二の長さ領域は、ブリッジ313の存在によって影響を受けない。この第二の長さ領域は、図5a中に参照符号Sで示されている。
【0026】
本発明に係るステント310においては、第一の長さ領域Pは、第二の長さ領域Sよりも短くなっている。換言すると、ステント310の筒状部311,312間の構造的な接続部は、それらの部分の断面において区画された閉塞ループの全体に亘って均一に分布した複数のブリッジ313を含んでいる。
【0027】
本発明の一実施形態によれは、第一の長さ領域Pは、第二の長さ領域Sの半分、好ましくは三分の一、更に好ましくは、四分の一程度に第二の長さ領域Sよりも短くなっている。
【0028】
第一の筒状部311のy−y軸線と第二の筒状部312のx−x軸線は異なるものである。更に、第一の筒状部311の横断面によって決定される閉塞ループは、第二の筒状部312の断面によって決定される閉塞ループ内に、少なくとも部分的に包含されている。換言すれば、第一の筒状部311の基部端は、複数のブリッジ313によって第二の筒状部312の先端に接続されている。
【0029】
本発明に係る一実施形態によれば、複数のブリッジ313は、互いに異なった長さ及び(又は)伸縮性を有している。閉塞ループの第一の長さ領域Pに近いブリッジは、第一の長さ領域Pの端の基部に配置されたブリッジよりも短い長さ及び(又は)小さな伸縮性を持っていることが必要である。
【0030】
ステントの一実施形態によれば、第一の長さ領域Pの中央に最も近いブリッジは直線になっていて、他方、第一の長さ部分Pの端の基部に配置されたブリッジは湾曲部を有している。この構造によって、ステントの分野において周知のように、より屈伸性のあるブリッジを確保することが可能になる。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、複数のブリッジは、異なった材料から作れられている。詳しくは、第一の長さ領域Pの中央の最も近くに配置されたブリッジは硬質な材料から作られ、他方、第一の長さ領域Pの端の基部に配置されたブリッジは、より伸縮性のある材料から作られている。
【0032】
図11,11a及び12を参照すると、本発明によるステントの第二の実施形態が全体として参照符号320で示されている。
【0033】
ステント320は、第一の筒状部321と第二の筒状部322とを有している。用語の広義な意味における円筒の幾何学的定義によれば、筒状部321,322の横断面は、円形,楕円形或いはステント320の特定の用途に相応しい何らかの閉塞ループ形状になっている。
【0034】
第一の筒状部321と第二の筒状部322は少なくとも二つのブリッジ323によって互いに構造的に接続されている。ブリッジ323は、ステントの横断面によって決定される閉塞ループに沿った第一の長さ領域に接続されている。例えば、第一の筒状部321によって決定される閉塞ループの第一の長さ領域がブリッジ323と接続され、その第一の長さ領域は、図11a中に参照符号Pで示されている。第一の長さ領域と相補的な関係にある第二の長さ領域が存在し、その第二の長さ領域は、ブリッジ323の存在に影響を受けることはない。この第二の長さ領域は、図11a中に参照符号Sで示されている。
【0035】
本発明によるステント320においては、第一の長さ領域Pは、第二の長さ領域Sよりも短くなっている。換言すると、ステント320の筒状部321,322間の構造的な連結部は、筒状部321,322の断面によって決定される閉塞ループの全体に亘って均一に分布した複数のブリッジ323を含んでいる。
【0036】
本発明の一実施形態に依れば、第一の長さ領域Pは、第二の長さ領域Sの半分、好ましくは三分の一、更に好ましくは、四分の一程度に第二の長さ領域Sよりも短くなっている。
【0037】
第一の筒状部321のy−y軸線と第二の筒状部322のx−x軸線は異なるものである。更に、第一の筒状部321の横断面によって決定される閉塞ループと第二の筒状部322の横断面によって決定される閉塞ループは、離れていて、周辺の一部を共有しているに過ぎない。換言すれば、第一の筒状部321の基部端は、ブリッジ323によって第二の筒状部322の基部端に接続されている。
【0038】
本発明の一実施形態に依れば、複数のブリッジ323は、互いに異なった長さ及び(又は)伸縮性を有している。閉塞ループの第一の長さ領域Pの中央に最も近いブリッジは、第一の長さ領域Pの端の基部に配置されたブリッジよりも短い長さ及び(又は)小さな伸縮性を有している必要がある。
【0039】
図13,13a及び14を参照すると、本発明による第三の実施形態に係るステントが全体として参照符号330で示されている。
【0040】
このステント330は、本発明による第一の実施形態に係るステント310の特性と、本発明による第二の実施形態に係るステント320の特性の双方の特性を有している。
【0041】
ステント330は、第一の筒状部331と、第二の筒状部332と、第三の筒状部334を有している。用語の広義な意味における円筒の幾何学的定義によれば、筒状部331,332,334の断面は、円,楕円又はステント330の特定の用途に相応しい何らかの閉じたループ形状にすることができる。
【0042】
第一の筒状部331は、少なくとも二つのブリッジ333によって第二の筒状部332と第三の筒状部334に構造的に接続されている。上述した内容と同様に、ブリッジ333は、ステントの断面によって決定される閉塞ループに沿った第一の長さ領域Pに連結され、その第一の長さ領域Pは第一の長さ領域Pと相補的な関係にある第二の長さ領域Sよりも短くなっていて、その第二の長さ領域Pは、ブリッジの存在によって影響を受けない(第一の長さ領域Pと第二の長さ領域Pは、図面を複雑化させないために、図13a中に示されていない)。換言すると、ステント330の筒状部331,332と筒状部331,334の間の構造的な接続部は、それらの部分の断面において決定される閉塞ループの全体に亘って均一に分布した複数のブリッジ333を含んでいる。
【0043】
本発明の一実施形態に依れば、第一の長さ領域Pは、第二の長さ領域Sの半分、好ましくは三分の一、更に好ましくは、四分の一程度に第二の長さ領域Sよりも短くなっている。
【0044】
更に、本発明の好ましい実施形態に依れば、第一の筒状部331のy−y軸線と、第二の筒状部332のz−z軸線と、第三の筒状部334のw−w軸線は、相違している。更に、第一の筒状部331と第三の筒状部334の断面によって区画される閉塞ループは、少なくとも部分的に、第二の筒状部332の断面によって区画される閉塞ループ内に含められている。同様に、第一の筒状部331と第三の筒状部334の断面によって区画される閉塞ループは、それらの周囲の一部分を共通にしているに過ぎない。換言すると、第一の筒状部331の基部端は、複数のブリッジ333によって第二の筒状部332の末端と第三の筒状部334の基部端に接続されている。
【0045】
本発明の一実施形態に依れば、複数のブリッジ333は、異なった長さ及び(又は)異なった伸縮性を有している。詳述すると、閉塞ループの第一の長さ領域Pの中心に最も近いブリッジは、第一の長さ領域Pの基部端に近いブリッジよりも長さが短く及び(又は)小さい伸縮性を有することが必要とされる。
【0046】
図6を参照すると、狭窄症の処置のための本発明に係る組立体が参照符号400で示されている。組立体400は、上述の内容に従った第一のカテーテル100とステント310,320又は330を有している。組立体は、好ましくは中空のマンドレル180を有し、そのマンドレル180はカテーテル100の側方に配置されている。カテーテル100のバルーン130は、カテーテル100の筒状本体110の回りに折り畳まれて萎んだ状態になっている。ステント311,321又は331の第一の筒状部はバルーン130に嵌め合わされている。他方、第二の筒状部312又は322は、同時にバルーン130とマンドレル180に嵌め合わされている。第二の筒状部322又は第三の筒状部334は、マンドレル180にのみ嵌め合わされている。
【0047】
本発明の好ましい実施形態によれば、組立体400のマンドレル180はアイレット150を貫通している。
【0048】
図7を参照すると、狭窄症の処置のための本発明に係る組立体の別の実施形態が参照符号500で示されている。この組立体500は、上述した内容による第一のカテーテル100とステント310,320又は330を有している。組立体は、第一のカテーテル100の側方に配置された第二のカテーテル200を更に有している。両カテーテル100,200のバルーン130,230は、カテーテルの筒状本体110,210の回りに折り畳まれて萎んだ状態になっている。ステント311,321又は331の第一の筒状部は、第一のカテーテルのバルーン130に嵌め合わされている。他方、第二の筒状部312又は322は、同時に第一のカテーテル100のバルーン130、第二のカテーテル200のバルーン230に嵌め合わされている。その代わりに、第二の筒状部322又は第三の筒状部334は、第二のカテーテル200のバルーン230にのみ嵌め合わせてもよい。
【0049】
組立体500の第二のカテーテル200は、同様に第一のカテーテルのアイレット150を貫通している。
【0050】
組立体500を調製する方法は、組立体400からスタートして、必要に応じてマンドレル180をステント310,320又は330から取り除くことを条件としている。第一のカテーテル100のバルーンによって部分的に係合され部分的に自由となるスロットを第二のステント部312,322又は332と第三のステント部334が構成していてもよい。
【0051】
マンドレル180を取り除いた後に、使用の特定の条件に基づいて第二のカテーテル200を選択しなければならない。次いで、第二のカテーテル200の末端部220をアイレット150内に挿入し、ステント310,320又は330によって構成された部分的に自由なスロットに達するまで前進させる。
【0052】
次いで、末端部220をステント310,320又は330によって構成されたスロット内に挿入する。次に、肩部250がアイレット150に当接するまで第二のカテーテル200を第一のカテーテル100を越えて前進させる。肩部がアイレットを貫通しないでアイレットと当接するように、肩部の外径とアイレットの内径が設計されているので、ストロークの終端が制限され、それにより、両カテーテル100,200、特に、両バルーン130,230の相互位置が一義的に決定される。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、上述した方法では、マンドレル180が中空であることを条件とする。この実施形態の方法によれば、マンドレル180をステント310,320又は330及びアイレット150から取り外す前に、必要に応じて、スタイレット又はガイドワイヤ185をマンドレル180とアイレット150内に挿入する。それにより、マンドレルが取り外されて、第二のカテーテル200がスタイレット又はガイドワイヤ185に嵌め合わされた後に、第二のカテーテル200をアイレット内及びステントによって構成されたスロット内に挿入する作業がより簡単になる。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、この挿入作業が完了した時に、スタイレット又はガイドワイヤ185を引き抜き、こうして、上述した組立体500が得られる。
【0055】
本発明による組立体500の使用方法は、操作者が望むところに従って、分岐部に達するように、公知の方法で、患者の血管に沿って一対のガイドワイヤを挿入することを条件とする。第一のガイドワイヤは分岐部のサイド枝部内に留置され、第二のガイドワイヤは主枝部内に留置される。
【0056】
特定の要件に従ってカテーテルとステントを選択した後で、組立体500を上述した内容に従って調製した後に、操作者は、第一のカテーテル100を第一のガイドワイヤ上に被せ、第二のカテーテル200を第二のガイドワイヤ上に被せる。
【0057】
ステントの第一の実施形態310の特別の場合について後述するが、この方法に関する記述は、本発明によるステントの実施形態320,330にも同様に適用することができる。
【0058】
操作者がカテーテルをガイドワイヤを越えて前進させることにより、カテーテルは殆ど自動的に図8に示した位置に達する。第二のカテーテル200の肩部250と第一のカテーテル100のアイレット150との間の相互作用のため、両バルーンの相対位置が、一義的に決められて、操作者によって付加されるスラストの影響下で維持される。図8には、両バルーンの基部端が実質的に整列している状態が示されているが、各カテーテルに沿ってアイレット150と肩部250の位置が相違している状態で、多くの特別な状況において特に有益なその他の状態を決定することができる。
【0059】
組立体の一実施形態によれば、例えば、第二のカテーテル200のバルーン230の基部端は、図4に示した例におけるように第一のバルーン130の基部端が第二のバルーン230の基部端に対して遠位的に位置するように、第一のバルーン130の基部端に対して基部方向に或る間隔をもって配置されている。
【0060】
両バルーンが軸線方向で若干ずらされたこの特別な構成によって、ステントに対して、従って、血管形成術によって処置された分岐部に対して改善された内側プロファイルを提供することができるようになる。
【0061】
組立体500を図8に示した位置に移動させた後に、操作者は、両バルーンを萎んだ状態から膨らんだ状態にさせる。
【0062】
本発明による方法の一実施形態によれば、両バルーン130,230の膨張は同時に実施される。
【0063】
本発明による方法の別の実施形態によれば、第一のバルーン130を、第二のバルーン230に先立って膨張させる。
【0064】
それ自体公知の方法で、第一のバルーン130が狭窄症に冒された血管部分を拡張させて血管の内径を復元させ、それにより血管の内径が異常でない値に戻される。
【0065】
第一のバルーン130を膨張させることにより、ステント310の第一の筒状部311も拡張されて、萎んだ状態から膨張した状態になる。第一の筒状部311が膨張した状態で、血管形成手術後にサイド枝部の内側壁が縮んで内径を異常なレベルまで縮小させることを阻止するために、サイド枝部の内側壁を支持する。
【0066】
バルーン130,230を膨張させることにより、ステント310の第二の筒状部312も拡張され、萎んだ状態から膨張した状態になる。膨張した状態で、ステント310の第二の筒状部312が、図1a中に参照符号Aで示した、サイド枝部の基部のすぐ近くの領域を支持する。図10から明確に理解できるように、両カテーテル100,200が取り除かれた後に、一旦確定的に留置されたステント310が全体的に分岐部の壁に固着されて、血液の流れを全く阻害することがない。このため、分岐部が主枝部に沿って狭窄症に冒されている場合には、本発明によるステント310は、分岐部の主枝部に適用される公知のステント600(図15)と組み合わせて用いることができる。この状態は、図15に示されている。
【0067】
ステントの第二の実施形態320の特別な特徴に起因するように、ステント320は、図1bに参照符号Bで示したカリーナ領域の処置のために特に好適である。両ガイドワイヤと本発明による組立体500の特定の構造により、操作者は、殆ど自動的な態様でステント320を適切な位置に留置させることができる。詳述すると、第一のカテーテル100がそれのガイドワイヤに追従してサイド枝部に到達し、こうして、ステント320の第一の筒状部321に到達する。第二のカテーテル200がそれのガイドワイヤに追従して主枝部とステント320の第二の筒状部322に達する。操作者によるスラスト動作状況下において、ステント320の両部分を接続しているブリッジ323がカリーナの先端に当接し(例えば、図12を参照)、分岐部内におけるステントの位置が一義的に確定される。
【0068】
ステントの第三の実施形態330の特別な特徴に起因するように、ステント330は、図1aに参照符号Aで示した分岐部の基部領域と図1bに参照符号Bで示したカリーナ領域の双方を処置するのに特に好適である。詳述すると、第三の実施形態は、上述した第一及び第二の実施形態の双方の特徴を有している。
【0069】
組立体500の調製方法の一実施形態によれば、操作者は、第一のガイドワイヤが問題の分岐部のサイド枝部に留置されるまで、第一のガイドワイヤを患者の血管に沿って挿入する。中空マンドレル180内に挿入された上述のガイドワイヤ85は、第二のガイドワイヤとして機能して、分岐部の主枝部内に留置される。マンドレル180を取り除いた後に、第一のカテーテル100を分岐部に達するまで第一のガイドワイヤを越えて前進させる。この時だけ、第二のカテーテル200を第一のガイドワイヤ185に嵌め合わせて、分岐部に達するまで前進させる。第二のカテーテルは、アイレット150と、ステントによって構成されるスロットとに自動的に挿入され、その結果、組立体500が作られる。
【0070】
組立体500の上述した調製方法の実施形態は、後者の方法と実質的に相違していない。唯一の相違点は、この方法の後者の実施形態では、第二のカテーテル200が患者の体内に挿入された時に、作動位置、即ち、肩部250がアイレット150に当接する位置に達することである。こうして、この実施形態の方法は、複数のカテーテルが患者の血管を個別に移動して、手術に関係する分岐部に簡単に到達するという点において有益である。他方、上述した実施形態の方法は、それらの方法を血管形成手術の時とは別の時に実施することができるという点において有益である。例えば、組立体400と第二のカテーテル200から組立体500を調製する場合に、手術室から離れた研究室において分岐部の主枝部とサイド枝部のサイズを一旦確認して、組立体500の調製を実施することができる。
【0071】
ステント,カテーテル,組立体及びその調整方法についての上述した実施形態に対して、本願の特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、当業者は、不測の条件を満足させるために、種々の修正又は適合を加え及び構成要素を機能的に均等な他の要素と置換することができる。実施可能な実施形態に伴うものとして上述した特徴の各々は、他の実施形態とは無関係に実現される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1a】サイド枝部(点線で図示)が狭窄症に冒された分岐部内に従来のステントを留置させた状態を示した図である。
【図1b】サイド枝部(点線で図示)が狭窄症に冒された分岐部内に従来のステントを留置させた状態を示した図である。
【図1c】サイド枝部(点線で図示)が狭窄症に冒された分岐部内に従来のステントを留置させた状態を示した図である。
【図2】本発明による第一カテーテルの第一の実施形態を示した概略図である。
【図2a】図2のIIa線に沿った概略断面図である。
【図2b】本発明による第一カテーテルの第二の実施形態を示した概略図である。
【図2c】図2bに示したカテーテルの細部を示した図である。
【図3】本発明による第二カテーテルの実施形態を示した概略図である。
【図4】図2のカテーテルと図3のカテーテルとを有する本発明による組立体を示した概略図である。
【図5】本発明によるステントの第一の実施形態を示した概略図である。
【図5a】図5のVa線に沿った断面図である。
【図6】図2のカテーテルと図5のステントを有する本発明による組立体を示した図である。
【図7】図2及び図3のカテーテルと図5のステントを有する本発明による組立体を示した図である。
【図8】分岐部内の使用の第一の工程における図7の組立体を示した図である。
【図9】分岐部内の使用の第二の工程における図7の組立体を示した図である。
【図10】分岐部内に留置された図5のステントを示した図である。
【図11】本発明によるステントの第二の実施形態を示した図である。
【図11a】図11のXIa線に沿った断面図である。
【図12】分岐部内に留置された図11のステントを示した図である。
【図13】本発明によるステントの第三の実施形態を示した図である。
【図13a】図13のXIIIa線に沿った断面図である。
【図14】分岐部内に留置された図13のステントを示した図である。
【図15】従来のタイプのステントと共に分岐部内に留置された図5のステントを示した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸と、第一の長さ領域と第二の長さ領域とを含む環状断面とを有する少なくとも一つの第一の筒状部と、
軸を有し、前記第一の筒状部と接続された少なくとも一つの第二の筒状部とを有し、
前記第一の筒状部と前記第二の筒状部との間の接続部が、少なくとも二つのブリッジを含み、前記第一の筒状部の前記環状断面の前記第一の長さ領域に接続され、前記第一の長さ領域が前記第二の長さ領域よりも短く形成され、前記第一の筒状部の前記軸と前記第二の筒状部の前記軸とが相違していることを特徴とする内腔ステント。
【請求項2】
軸を有し且つ前記第一の筒状部と接続された第三の筒状部を更に有し、前記第一の筒状部と前記第三の筒状部との間の接続部が、少なくとも二つのブリッジを含み、前記第一の筒状部の前記環状断面の前記第一の長さ領域に接続され、前記第一の長さ領域が前記第二の長さ領域よりも短く形成され、前記第一の筒状部の前記軸と前記第三の筒状部の前記軸とが相違している、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第二の筒状部の前記軸と前記第二の筒状部の前記軸とが相違している、請求項2に記載のステント。
【請求項4】
前記接続部が、前記第一の筒状部の前記環状断面に沿って均一に位置している、請求項1〜3の何れかに記載のステント。
【請求項5】
前記第一の長さ領域が、前記第二の長さ領域の半分よりも短く形成されている、請求項1〜4の何れかに記載のステント。
【請求項6】
前記第一の長さ領域が、前記第二の長さ領域の三分の一よりも短く形成されている、請求項1〜5の何れかに記載のステント。
【請求項7】
前記第一の長さ領域が、前記第二の長さ領域の四分の一よりも短く形成されている、請求項1〜6の何れかに記載のステント。
【請求項8】
前記複数のブリッジが異なった長さを有している、請求項1〜7の何れかに記載のステント。
【請求項9】
前記複数のブリッジが異なった材料から作られている、請求項1〜8の何れかに記載のステント。
【請求項10】
前記複数のブリッジが異なった伸縮性を有している、請求項1〜9の何れかに記載のステント。
【請求項11】
末端部と、基部端と、ガイドワイヤ用の基部ポートとを有する筒状本体を含み、前記末端部が、バルーンと、ガイドワイヤ用の末端ポートと含み、前記バルーンとの関係で基部方向へ所定の間隔を隔ててアイレットが配置されていることを特徴とする、内腔手術用のカテーテル。
【請求項12】
前記アイレットが、前記筒状本体に対して側方に配置されている、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記アイレットが前記筒状本体と一体に形成されている、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記アイレットが前記筒状本体と局所的に平行なx−x軸を有している請求項11に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記アイレットがほぼ非伸縮性のスレッドスロットを含んでいる、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記アイレットが前記筒状本体に実質的に固定された長尺なチューブを含んでいる、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記チューブが溶接で前記筒状本体に固定されている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記チューブが接着剤で前記筒状本体に固定されている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記チューブと前記筒状本体とが押出し成形により一体のものとして形成されている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記筒状本体と前記アイレットとを同時に取り囲むシースを含んでいる、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記チューブがx−x軸線に対して垂直な平面に沿って切断されている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記チューブがx−x軸線に対して湾曲して斜めになった面に沿って切断されている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記ガイドワイヤ用の基部ポートが前記アイレットの近傍に位置している、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項24】
末端部と、基部端部と、ガイドワイヤ用の基部ポートとを備えた筒状本体を有し、前記末端部がガイドワイヤ用の末端ポートと膨張するようになっているバルーンとを有し、前記末端部との関係で基部方向に所定の間隔を隔てて肩部が前記筒状本体に配置されていることを特徴とする、内腔に留置されるカテーテル。
【請求項25】
前記バルーンが膨張していない時に前記末端部が請求項11に記載のカテーテルの前記アイレットに挿入されるようになっており、前記肩部は請求項11に記載のカテーテルの前記アイレットに挿入されないようになっている、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記肩部が、前記筒状本体の外面に対して垂直になった段部を含んでいる、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記肩部が、前記肩部の最大径領域を前記筒状本体の外径に接続するテーパー部を含んでいる、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項28】
請求項11〜23の何れかに記載の第一のカテーテルと、マンドレルと、請求項1〜10の何れかに記載のステントとを有する組立体。
【請求項29】
前記ステントの第一及び第二のステント部が前記第一のカテーテルに嵌め合わされ、前記ステントの第二の部分が前記マンドレルに嵌め合わされている、請求項28に記載の組立体。
【請求項30】
前記ステントの第一の部分が前記カテーテルに嵌め合わされ、前記ステントの第二の部分が前記マンドレルに嵌め合わされている、請求項28に記載の組立体。
【請求項31】
前記ステントの第一及び第二の部分が前記第一のカテーテルに嵌め合わされ、前記ステントの第二及び第三の部分が前記マンドレルに嵌め合わされている、請求項28に記載の組立体。
【請求項32】
請求項11〜23の何れかに記載の第一のカテーテルと、請求項24〜27の何れかに記載の第二のカテーテルと、請求項1〜10の何れかに記載のステントとを有する組立体。
【請求項33】
前記ステントの前記第一及び第二のステント部が前記第一のカテーテルに嵌め合わされ、前記ステントの第二の部分が前記マンドレルに嵌め合わされている、請求項32に記載の組立体。
【請求項34】
前記ステントの前記第一の部分が前記第一のカテーテルに嵌め合わされ、前記ステントの前記第二の部分が前記第二のカテーテルに嵌め合わされている、請求項32に記載の組立体。
【請求項35】
前記ステントの前記第一及び第二の部分が前記第一のカテーテルに嵌め合わされ、前記ステントの前記第二及び第三の部分が前記第二のカテーテルに嵌め合わされている、請求項32に記載の組立体。
【請求項36】
請求項32に記載の組立体を調製する方法であって、
請求項28に記載の組立体を用意する工程と、
前記第二のカテーテルを用意する工程と、
前記ステントの少なくとも一部を自由なままにしておくように前記マンドレルを取り外す工程と、
前記第二のカテーテルの前記末端部を前記第二のカテーテルの前記アイレットに挿入する工程と、
前記第二のカテーテルの前記末端部を前記ステントの前記自由な部分に挿入する工程と、
前記肩部が前記アイレットと接触するまで、前記第二のカテーテルを前記第一のカテーテルに沿って基部方向へ前進させる工程とを含んでいることと特徴とする、請求項32に記載の組立体の調製方法。
【請求項37】
前記マンドレルを取り外す前に、前記マンドレルと前記アイレットにスタイレット又はガイドワイヤを挿入し、前記第二のカテーテルの末端部を前記スタイレット又はガイドワイヤに嵌め合わせる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
血管の狭窄症に冒された分岐部において、請求項32に記載の組立体を使用する方法であって、
分岐部のサイド枝部内に第一のガイドワイヤを留置する工程と、
分岐部の主枝部内に第二のガイドワイヤを留置する工程と、
前記第一のガイドワイヤに前記第一のカテーテルを嵌め合わせる工程と、
前記第二のガイドワイヤに前記第二のカテーテルを嵌め合わせる工程と、
前記バルーンが前記分岐部に到達するまで前記両カテーテルを前記両ガイドワイヤに沿って前進させる工程と、
前記バルーンを膨張させる工程と、
前記バルーンを収縮させる工程と、
前記第二のカテーテルを取り除く工程と、
前記第一のカテーテルを取り除く工程を有することを特徴とする、請求項32に記載の組立体の使用方法。
【請求項39】
前記バルーンを同時に膨らませる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第一のバルーンを前記第二のバルーンよりも先に膨らませる、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
血管の狭窄症に冒された分岐部において、請求項37に記載の組立体を使用する方法であって、
分岐部のサイド枝部内に第一のガイドワイヤを留置する工程と、
分岐部の主枝部内に第二のガイドワイヤを留置する工程と、
前記第一のガイドワイヤに前記第一のカテーテルを嵌め合わせる工程と、
前記第二のガイドワイヤに前記第二のカテーテルを嵌め合わせる工程と、
前記バルーンが前記分岐部の前記サイド枝部に到達するまで前記第一のカテーテルを前記第一のガイドワイヤに沿って前進させる工程と、
前記肩部が前記アイレットに当接するまで前記第二のカテーテルを前記第二のガイドワイヤに沿って前進させる工程と、
前記第一のバルーンを膨らませる工程と、
前記第二のバルーンを膨らませる工程と、
前記両バルーンを収縮させる工程と、
前記第二のカテーテルを取り除く工程と、
前記第一のカテーテルを取り除く工程を含んでいることを特徴とする、請求項37に記載の組立体の使用方法。
【請求項42】
前記両バルーンを同時に膨らませる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第一のバルーンを前記第二のバルーンよりも先に膨らませる、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
血管の狭窄症に冒された分岐部において、請求項37に記載の組立体を使用する方法であって、
分岐部のサイド枝部内に第一のガイドワイヤを留置する工程と、
分岐部の主枝部内に第二のガイドワイヤを留置する工程と、
前記第一のガイドワイヤに前記第一のカテーテルを嵌め合わせる工程と、
前記ガイドワイヤに前記第二のカテーテルを嵌め合わせる工程と、
前記バルーンが前記分岐部の前記サイド枝部に到達するまで前記第一のカテーテルを前記第一のガイドワイヤに沿って前進させる工程と、
前記第一のバルーンを膨らませる工程と、
前記第一のバルーンを収縮させる工程と、
前記肩部が前記アイレットに当接するまで前記第二のカテーテルを前記ガイドワイヤに沿って前進させる工程と、
前記第二のバルーンを膨らませる工程と、
前記第二のバルーンを収縮させる工程と、
前記第二のカテーテルを取り除く工程と、
前記第一のカテーテルを取り除く工程を含んでいることを特徴とする、請求項37に記載の組立体の使用方法。
【請求項1】
軸と、第一の長さ領域と第二の長さ領域とを含む環状断面とを有する少なくとも一つの第一の筒状部と、
軸を有し、前記第一の筒状部と接続された少なくとも一つの第二の筒状部とを有し、
前記第一の筒状部と前記第二の筒状部との間の接続部が、少なくとも二つのブリッジを含み、前記第一の筒状部の前記環状断面の前記第一の長さ領域に接続され、前記第一の長さ領域が前記第二の長さ領域よりも短く形成され、前記第一の筒状部の前記軸と前記第二の筒状部の前記軸とが相違していることを特徴とする内腔ステント。
【請求項2】
軸を有し且つ前記第一の筒状部と接続された第三の筒状部を更に有し、前記第一の筒状部と前記第三の筒状部との間の接続部が、少なくとも二つのブリッジを含み、前記第一の筒状部の前記環状断面の前記第一の長さ領域に接続され、前記第一の長さ領域が前記第二の長さ領域よりも短く形成され、前記第一の筒状部の前記軸と前記第三の筒状部の前記軸とが相違している、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第二の筒状部の前記軸と前記第二の筒状部の前記軸とが相違している、請求項2に記載のステント。
【請求項4】
前記接続部が、前記第一の筒状部の前記環状断面に沿って均一に位置している、請求項1〜3の何れかに記載のステント。
【請求項5】
前記第一の長さ領域が、前記第二の長さ領域の半分よりも短く形成されている、請求項1〜4の何れかに記載のステント。
【請求項6】
前記第一の長さ領域が、前記第二の長さ領域の三分の一よりも短く形成されている、請求項1〜5の何れかに記載のステント。
【請求項7】
前記第一の長さ領域が、前記第二の長さ領域の四分の一よりも短く形成されている、請求項1〜6の何れかに記載のステント。
【請求項8】
前記複数のブリッジが異なった長さを有している、請求項1〜7の何れかに記載のステント。
【請求項9】
前記複数のブリッジが異なった材料から作られている、請求項1〜8の何れかに記載のステント。
【請求項10】
前記複数のブリッジが異なった伸縮性を有している、請求項1〜9の何れかに記載のステント。
【請求項11】
末端部と、基部端と、ガイドワイヤ用の基部ポートとを有する筒状本体を含み、前記末端部が、バルーンと、ガイドワイヤ用の末端ポートと含み、前記バルーンとの関係で基部方向へ所定の間隔を隔ててアイレットが配置されていることを特徴とする、内腔手術用のカテーテル。
【請求項12】
前記アイレットが、前記筒状本体に対して側方に配置されている、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記アイレットが前記筒状本体と一体に形成されている、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記アイレットが前記筒状本体と局所的に平行なx−x軸を有している請求項11に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記アイレットがほぼ非伸縮性のスレッドスロットを含んでいる、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記アイレットが前記筒状本体に実質的に固定された長尺なチューブを含んでいる、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記チューブが溶接で前記筒状本体に固定されている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記チューブが接着剤で前記筒状本体に固定されている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記チューブと前記筒状本体とが押出し成形により一体のものとして形成されている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記筒状本体と前記アイレットとを同時に取り囲むシースを含んでいる、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記チューブがx−x軸線に対して垂直な平面に沿って切断されている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記チューブがx−x軸線に対して湾曲して斜めになった面に沿って切断されている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記ガイドワイヤ用の基部ポートが前記アイレットの近傍に位置している、請求項11に記載のカテーテル。
【請求項24】
末端部と、基部端部と、ガイドワイヤ用の基部ポートとを備えた筒状本体を有し、前記末端部がガイドワイヤ用の末端ポートと膨張するようになっているバルーンとを有し、前記末端部との関係で基部方向に所定の間隔を隔てて肩部が前記筒状本体に配置されていることを特徴とする、内腔に留置されるカテーテル。
【請求項25】
前記バルーンが膨張していない時に前記末端部が請求項11に記載のカテーテルの前記アイレットに挿入されるようになっており、前記肩部は請求項11に記載のカテーテルの前記アイレットに挿入されないようになっている、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記肩部が、前記筒状本体の外面に対して垂直になった段部を含んでいる、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記肩部が、前記肩部の最大径領域を前記筒状本体の外径に接続するテーパー部を含んでいる、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項28】
請求項11〜23の何れかに記載の第一のカテーテルと、マンドレルと、請求項1〜10の何れかに記載のステントとを有する組立体。
【請求項29】
前記ステントの第一及び第二のステント部が前記第一のカテーテルに嵌め合わされ、前記ステントの第二の部分が前記マンドレルに嵌め合わされている、請求項28に記載の組立体。
【請求項30】
前記ステントの第一の部分が前記カテーテルに嵌め合わされ、前記ステントの第二の部分が前記マンドレルに嵌め合わされている、請求項28に記載の組立体。
【請求項31】
前記ステントの第一及び第二の部分が前記第一のカテーテルに嵌め合わされ、前記ステントの第二及び第三の部分が前記マンドレルに嵌め合わされている、請求項28に記載の組立体。
【請求項32】
請求項11〜23の何れかに記載の第一のカテーテルと、請求項24〜27の何れかに記載の第二のカテーテルと、請求項1〜10の何れかに記載のステントとを有する組立体。
【請求項33】
前記ステントの前記第一及び第二のステント部が前記第一のカテーテルに嵌め合わされ、前記ステントの第二の部分が前記マンドレルに嵌め合わされている、請求項32に記載の組立体。
【請求項34】
前記ステントの前記第一の部分が前記第一のカテーテルに嵌め合わされ、前記ステントの前記第二の部分が前記第二のカテーテルに嵌め合わされている、請求項32に記載の組立体。
【請求項35】
前記ステントの前記第一及び第二の部分が前記第一のカテーテルに嵌め合わされ、前記ステントの前記第二及び第三の部分が前記第二のカテーテルに嵌め合わされている、請求項32に記載の組立体。
【請求項36】
請求項32に記載の組立体を調製する方法であって、
請求項28に記載の組立体を用意する工程と、
前記第二のカテーテルを用意する工程と、
前記ステントの少なくとも一部を自由なままにしておくように前記マンドレルを取り外す工程と、
前記第二のカテーテルの前記末端部を前記第二のカテーテルの前記アイレットに挿入する工程と、
前記第二のカテーテルの前記末端部を前記ステントの前記自由な部分に挿入する工程と、
前記肩部が前記アイレットと接触するまで、前記第二のカテーテルを前記第一のカテーテルに沿って基部方向へ前進させる工程とを含んでいることと特徴とする、請求項32に記載の組立体の調製方法。
【請求項37】
前記マンドレルを取り外す前に、前記マンドレルと前記アイレットにスタイレット又はガイドワイヤを挿入し、前記第二のカテーテルの末端部を前記スタイレット又はガイドワイヤに嵌め合わせる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
血管の狭窄症に冒された分岐部において、請求項32に記載の組立体を使用する方法であって、
分岐部のサイド枝部内に第一のガイドワイヤを留置する工程と、
分岐部の主枝部内に第二のガイドワイヤを留置する工程と、
前記第一のガイドワイヤに前記第一のカテーテルを嵌め合わせる工程と、
前記第二のガイドワイヤに前記第二のカテーテルを嵌め合わせる工程と、
前記バルーンが前記分岐部に到達するまで前記両カテーテルを前記両ガイドワイヤに沿って前進させる工程と、
前記バルーンを膨張させる工程と、
前記バルーンを収縮させる工程と、
前記第二のカテーテルを取り除く工程と、
前記第一のカテーテルを取り除く工程を有することを特徴とする、請求項32に記載の組立体の使用方法。
【請求項39】
前記バルーンを同時に膨らませる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第一のバルーンを前記第二のバルーンよりも先に膨らませる、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
血管の狭窄症に冒された分岐部において、請求項37に記載の組立体を使用する方法であって、
分岐部のサイド枝部内に第一のガイドワイヤを留置する工程と、
分岐部の主枝部内に第二のガイドワイヤを留置する工程と、
前記第一のガイドワイヤに前記第一のカテーテルを嵌め合わせる工程と、
前記第二のガイドワイヤに前記第二のカテーテルを嵌め合わせる工程と、
前記バルーンが前記分岐部の前記サイド枝部に到達するまで前記第一のカテーテルを前記第一のガイドワイヤに沿って前進させる工程と、
前記肩部が前記アイレットに当接するまで前記第二のカテーテルを前記第二のガイドワイヤに沿って前進させる工程と、
前記第一のバルーンを膨らませる工程と、
前記第二のバルーンを膨らませる工程と、
前記両バルーンを収縮させる工程と、
前記第二のカテーテルを取り除く工程と、
前記第一のカテーテルを取り除く工程を含んでいることを特徴とする、請求項37に記載の組立体の使用方法。
【請求項42】
前記両バルーンを同時に膨らませる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第一のバルーンを前記第二のバルーンよりも先に膨らませる、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
血管の狭窄症に冒された分岐部において、請求項37に記載の組立体を使用する方法であって、
分岐部のサイド枝部内に第一のガイドワイヤを留置する工程と、
分岐部の主枝部内に第二のガイドワイヤを留置する工程と、
前記第一のガイドワイヤに前記第一のカテーテルを嵌め合わせる工程と、
前記ガイドワイヤに前記第二のカテーテルを嵌め合わせる工程と、
前記バルーンが前記分岐部の前記サイド枝部に到達するまで前記第一のカテーテルを前記第一のガイドワイヤに沿って前進させる工程と、
前記第一のバルーンを膨らませる工程と、
前記第一のバルーンを収縮させる工程と、
前記肩部が前記アイレットに当接するまで前記第二のカテーテルを前記ガイドワイヤに沿って前進させる工程と、
前記第二のバルーンを膨らませる工程と、
前記第二のバルーンを収縮させる工程と、
前記第二のカテーテルを取り除く工程と、
前記第一のカテーテルを取り除く工程を含んでいることを特徴とする、請求項37に記載の組立体の使用方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5a】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11a】
【図12】
【図13】
【図13a】
【図14】
【図15】
【図1b】
【図1c】
【図2】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5a】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11a】
【図12】
【図13】
【図13a】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2008−514266(P2008−514266A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533058(P2007−533058)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/IT2004/000520
【国際公開番号】WO2006/033126
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(505193276)インヴァテック エス.アール.エル. (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/IT2004/000520
【国際公開番号】WO2006/033126
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(505193276)インヴァテック エス.アール.エル. (13)
【Fターム(参考)】
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