説明

分岐部材用の管継手

【課題】水圧の変動に影響を受けることなく、流体管の離脱が防止できる分岐部材用の管継手を提供する。
【解決手段】流体管から分岐して接続された分岐部材を構成する受口12を備えた受口管15と、受口12の内方に所定長さ嵌挿される嵌挿部5を有する挿口2を備えた挿口管1と、挿口2の嵌挿部5の外面と受口12の内面との間隙8を周方向に沿って水密的に密封するリング状のシール部材9と、を備えた分岐部材用の管継手であって、受口12の端部の外周面に、径方向に膨出する受口膨出部13が周方向に沿って形成されているとともに、挿口2の嵌挿部5を除いた外周面に、径方向に膨出する挿口膨出部3が周方向に沿って形成されており、受口膨出部13及び挿口膨出部3を収容する環状のカバーリング40が、受口12と挿口2の軸方向への相対移動を拘束するようにして、両膨出部13、3の外周に取付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管から分岐して接続された分岐部材の端部を構成する受口を備えた受口管と、該受口の内方に所定長さで嵌挿される嵌挿部を有する挿口を備えた挿口管と、該挿口の嵌挿部の外面と前記受口の内面との間隙を周方向に沿って水密的に密封するリング状のシール部材と、を備えた分岐部材用の管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
フランジなどの接合部を有する接合体同士を接合された流体本管から分岐して接続された分岐部材の離脱防止機能を備えさせる従来の技術は、外周にパッキングが周設された挿口を受口に嵌挿し、離脱防止がなされているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、受口外面から内面へ貫通する雌ネジ孔を設け、挿口の外周面にはロックリング等の係止部材が設けられ、またこの係止部材よりも挿口の先端側の外周面に径方向に膨出する膨出部が周方向に沿って形成され、受口の内周には径方向に突起部が形成されている。そして雌ネジ孔に挿入された押しボルトを挿口の外周面に装着された係止部材に押圧することで、挿口の外周に形成される膨出部と受口の内周に形成される突起部が当接可能となり、挿口と受口の離脱防止がなされるものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平5−240390号公報(第6図)
【特許文献2】実開昭59−59590号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にあっては、分岐部材は流体本管に形成された孔部に連続して構成されているため、流体本管と分岐部材とにかけて流動する流体により、挿口と受口が離間する方向に大きな水圧がかかり、挿口外周にパッキングが周設された簡便な構造では、挿口と受口が離脱するおそれがある。
【0006】
また特許文献2にあっては、挿口の外周に形成される膨出部と受口の内周に形成される突起部の間に管軸方向に沿った間隙があるため、特許文献1の問題と同様、挿口と受口が離間する方向に大きな水圧がかかった際には、押しボルトが緩み、挿口と受口が管軸方向に移動するといった不安定な状態が生じるおそれもある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、水圧の変動に影響を受けることなく、流体管の離脱が防止できる分岐部材用の管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の分岐部材用の管継手は、
流体管から分岐して接続された分岐部材を構成する受口を備えた受口管と、該受口の内方に所定長さ嵌挿される嵌挿部を有する挿口を備えた挿口管と、該挿口の嵌挿部の外面と前記受口の内面との間隙を周方向に沿って水密的に密封するリング状のシール部材と、を備えた分岐部材用の管継手であって、
前記受口の端部の外周面に、径方向に膨出する受口膨出部が周方向に沿って形成されているとともに、前記挿口の嵌挿部を除いた外周面に、径方向に膨出する挿口膨出部が周方向に沿って形成されており、
前記受口膨出部及び前記挿口膨出部を収容する環状のカバーリングが、前記受口と前記挿口の軸方向への相対移動を拘束するようにして、前記両膨出部の外周に取付けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、管継手を構成する受口と挿口とが、受口膨出部と挿口膨出部と当接させることで過挿入を止める。また、カバーリングが受口と挿口の軸方向への相対移動を拘束するようにして取付けられているため、流体管と分岐部材とにかけて流動する流体により発生する分岐部材における水圧の変動の影響を受けることなく、受口と挿口が離脱防止できる。
【0009】
本発明の請求項2に記載の分岐部材用の管継手は、請求項1に記載の分岐部材用の管継手であって、
前記受口における開口端近傍の外周面に、前記カバーリングよりも径方向に膨出するとともに管軸方向に開口するボルト孔を有する受口フランジが、周方向に沿って形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、カバーリングよりも径方向に膨出する受口フランジを利用して、カバーリングの外面と当接可能にボルトをボルト孔に挿通することで、カバーリングの位置決めができるばかりか、このボルトにより、例えば地震等の不測の外力が生じても、カバーリングの外方側で動きを規制できる。
【0010】
本発明の請求項3に記載の分岐部材用の管継手は、請求項2に記載の分岐部材用の管継手であって、
前記カバーリングの一部は、前記受口膨出部と前記受口フランジとの間に嵌合されていることを特徴としている。
この特徴によれば、カバーリングの一部が、受口膨出部と受口フランジとの間に嵌合されていることにより、例えば地震等の不測の外力が生じても、カバーリングの内方側で動きを規制できる。
【0011】
本発明の請求項4に記載の分岐部材用の管継手は、請求項1ないし3のいずれかに記載の分岐部材用の管継手であって、
前記受口膨出部及び前記挿口膨出部は略同じ外周面を有し、該外周面に前記カバーリングの内周面が当接していることを特徴としている。
この特徴によれば、受口膨出部及び挿口膨出部の外周面とカバーリングの内周面とが、当接しているため、カバーリングの径方向の位置決めを容易にでき、取付けやすいばかりか、受口管と挿口管の径方向の移動を規制できる。
【0012】
本発明の請求項5に記載の分岐部材用の管継手は、請求項4に記載の分岐部材用の管継手であって、
前記カバーリングの内周面に前記挿口膨出部と前記受口膨出部の各々を挟持する二つの挟持部が形成されており、前記挿口膨出部側の挟持部の方が前記受口膨出部側の挟持部より大きい面積を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、挿口膨出部側の挟持部の方が受口膨出部側の挟持部より大きい面積を有していることで、挿口膨出部側の挟持部が、受口管の管厚分多く挿口膨出部を挟持し得るため、例えば地震等の不測の大きな外力が生じても、挿口膨出部側の挟持部を利用して耐圧でき、受口管と挿口管の軸方向の移動を規制できる。
【0013】
本発明の請求項6に記載の分岐部材用の管継手は、請求項1ないし5のいずれかに記載の分岐部材用の管継手であって、
前記挿口膨出部に、前記シール部材に向けて開口した開口部が開設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、挿口の嵌挿部を受口の内面に嵌挿することで、嵌挿部の外面と受口の内面との間隙を密封するシール部材が、挿口膨出部により外方から隠れている状況下でも、挿口膨出部に形成された開口部を利用し、例えば、開口部に挿通可能な薄板状体をシール部材に向けて挿通し当接するなどして、シール部材が間隙を所定位置において密封しているか否か確認できる。
【0014】
本発明の請求項7に記載の分岐部材用の管継手は、請求項1ないし6のいずれかに記載の分岐部材用の管継手であって、
前記カバーリングは、互いの周方向の対向端部同士を接続して環状に形成される複数のカバー片から成り、該複数のカバー片は、夫々のカバー片が一方の対向端部に嵌合凸部と他方の対向端部に嵌合凹部とを有する略同一の形状に形成されており、周方向に隣り合ったカバー片の嵌合凸部と嵌合凹部とを嵌合して接続していることを特徴としている。
この特徴によれば、カバーリングを構成する夫々のカバー片が、周方向に隣り合ったカバー片と、嵌合凸部と嵌合凹部とにより凹凸嵌合しているため、カバー片同士の接続前の位置決めを容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例1における管継手の全体像を示す一部断面図である。図2は、管継手上面を示す平面図である。図3は、図1のA−A線を境に方向視した断面図である。図4は、図1における一部拡大断面図である。
【0017】
図1ないし3に示されるように、内部に水道などの流体が流れる流体管としての本管30は、図1の紙面を貫通するよう設けられ、分岐部材50は、本管30から分岐された流体管路を構成するとともに、本管30に対して略直交、即ち図示左右方向に接続される。
【0018】
分岐部材50は、主として制水弁20と、挿口管1と、挿口管1の側方である図示右側に構成される継管33と、制水弁20の側方である図示左側に構成される割T字管31と、からなる。
【0019】
制水弁20は、図1に示されるように左側に内部に穿設されたT字管11の挿口端部14と、右側に受口12とを有し、制水弁20の内部には回動ネジ24の回動により上下動される弁体26が設けられている。T字管11の上部には弁蓋23及び抑え板21が形成されている。
【0020】
T字管11は、その上面が弁蓋23の底面と当接され、ボルト・ナット等で弁蓋23と締結され、回動ネジ24は、弁蓋23を回動自在且つ水密に貫通して、その上端部を弁蓋23の上方に突出して上下方向に取付けられている。
【0021】
抑え板21は、弁蓋23の上端面にボルトで固定され、回動ネジ24の抜出しを阻止する。24bは、回動ネジ24の上端部を除いて略全長に亘ってその周面が螺設されたネジ部であり、回動が阻止され、上下方向に移動可能であるネジこま25は、ネジ部24bに螺合されており、回動ネジ24の上端部に形成された回動操作部24aを回動させると、それに応じてネジ部24bが回動することにより、ネジこま25に一体的に取付けられた弁体26がT字管11内において上下動可能となる。
【0022】
上記構成により、弁体26が上下動することで制水弁20が機能する。即ち、弁体26を上方に移動することで管路を開放し、また下方に移動させることで管路を遮断する。
【0023】
割T字管31は、本管30の外周を覆設するとともに、T字管11に向かって開口した開口部Tを有しており、この開口部TがT字管11の挿口端部14に嵌挿される。
【0024】
また割T字管31の開口部Tには、突出したフランジ部Wが周方向に沿って形成されており、T字管11の挿口端部14が開口部Tに嵌挿されて、このフランジ部Wが挿口端部14側に周方向に沿って突出したフランジ部Vと当接されるとともに、フランジ部V、Wに設けられたボルト孔にボルト・ナット49が挿入され、締結される。また開口部Tの内周面には、周方向に沿って形成される収容溝38が形成され、この収容溝38にリング状の弾性体であるシールリング32が嵌合され、T字管11と割T字管31の水密性が保たれている。
【0025】
一方、図1に示されるように制水弁20の右側には、挿口管1と継管33とで構成された球継手が配置されている。具体的には、継管33に向かって開口した挿口管1の挿口端部4が、継管33の開口部Uに嵌挿されるとともに、継管33に周方向に沿って形成された鉤部37が挿口端部4の外周面に設けたリング体39の周方向に沿って形成された収容溝36に嵌合される。また、継管33の内周面には、周方向に沿って形成された収容溝35にリング状の弾性体であるシールリング34が嵌合されることにより、球継手を構成し、挿口管1と継管33の水密性が保たれている。
【0026】
そして、図1において本発明における管継手について説明すると、T字管11の右側の管路部は受口管15として構成され、その大部分は挿口管1の受口12として形成されている。この受口12の外周には、径方向に膨出するとともに管軸方向に開口する雌ネジが螺設されたボルト孔18を所定間隔で有する受口フランジ17が周方向に沿って形成されている。また受口12の内周には、周方向に形成された収容溝8にリング状の弾性体であるシール部材9が周方向に沿って配置され、嵌挿部5を有する挿口管1の挿口2が受口12に嵌挿され、シール部材9により挿口2の外周面と受口12の内周面の水密性が確保される。
【0027】
受口12の端部の外周面に、径方向に膨出する受口膨出部13が周方向に沿って形成されており、挿口2の外周面には、径方向に膨出する挿口膨出部3が周方向に沿って形成されており、この挿口膨出部3の挿口2側には、挿口2の内周面に沿って周設したシール部材9を挿口2の外方側から窺えるような開口部6が穿設されている。
【0028】
また受口膨出部13と挿口膨出部3の外側には、直径方向に2分割された半円形状のカバー片41、42からなる挟持部材としてのカバーリング40が取付けられる。このカバー片41、42は2つで1組として受口膨出部13、挿口膨出部3の外方から装着して、受口膨出部13と挿口膨出部3の外周全体を覆う。またこのカバー片41、42の内方には、受口膨出部13と挿口膨出部3を管軸方向への相対移動を拘束する一体に収容する収容凹部47が形成されている。
【0029】
ちなみに受口膨出部13の外周面と挿口膨出部3の外周面は略同じ、すなわち略面一で形成され、この挿口膨出部3の外周面及び受口膨出部13の外周面と、前記した収容凹部47を形成する内周面とが、当接するよう構成されていると好ましい。
【0030】
このようにすることで、受口膨出部13及び挿口膨出部3の外周面と収容凹部47を形成する内周面とが当接しているため、カバー片41、42の径方向の位置決めを容易にでき、取付けやすいばかりか、受口管15と挿口管2の径方向の移動を規制できる。
【0031】
カバー片41、42は同一の構造をなし、金属製またはダクタイル鋳鉄等の鋳物からなる材質から構成される。図3において半円形状のカバー片41の左右両端部には、それぞれ左右方向に延びる延設部43b、43aが形成されているとともに、カバー片42の左右両端部にも、延設部43b、43aに対応するように、それぞれ左右方向に延びる延設部44a、44bが形成されている。この延設部43a、44b、そして延設部43b、44aにそれぞれ上下方向に略同軸に貫通した挿通孔51、52がそれぞれ形成されており、また延設部43a、44aにおいては、カバー片42、41に対向して突出する嵌合凸部61、62がそれぞれ周方向に沿って形成され、延設部43b、44bには、嵌合凸部62、61を収容する嵌合凹部63、64がそれぞれ周方向に沿って形成される。
【0032】
この延設部43a、44b同士、そして延設部43b、44a同士が接合され、それぞれT頭ボルト・ナット48で締結することで、カバー片41、42が合体でき、嵌合凸部61、62が嵌合凹部64、63にそれぞれ嵌合される。
【0033】
このようにすることで、カバー片41、42の嵌合凸部61、62と嵌合凹部64、63とにより凹凸嵌合しているため、カバー片41、42同士の接続前の位置決めを容易にできる。また略同一の形状をした複数のカバー片41、42でカバーリング40が構成されているため、カバーリング40の製造コストが低減される。ちなみに本実施例においては、カバーリング40は、直径方向に2分割された半円形状のカバー片41、42で構成されているが、これに限らず、3分割若しくはこれ以上の多数の分割構造で構成されていてもよい。
【0034】
カバー片41、42の前記した収容凹部47は、側断面視形状が挿口2と受口12の外周面に向かって開口した略コ字形状であり、カバー片41(42)には、図1の左右方向にカバー片41(42)の内周面に挿口膨出部3と受口膨出部13の各々を挟持する二つの挟持部が形成されている。このカバー片41(42)の一方側の挟持部として受口膨出部13と受口フランジ17との間に嵌合する鉤部46が、周方向に沿って受口12の外周面に向かって延設されており、また他方側の挟持部として半円部45が周方向に沿って挿口2の外周面に向かって延設されている。ここで本実施例においては、挿口膨出部3の図1の右側側面と半円部45の内方側の側面とが、当接しており、且つ管軸方向に対して略直交している。また、受口膨出部13の図1の左側側面と鉤部46の内方側の側面とが、当接しており、且つ管軸方向に対して略直交している。
【0035】
このようにすることで、受口膨出部13と受口フランジ17との間に嵌合される鉤部46により、受口12とカバー片41、42との管軸方向の相対移動が規制されるため、カバー片41、42を取付ける際、軸方向の移動が規制でき、T頭ボルト・ナット48の芯合わせを容易に行える。
【0036】
また本実施例のように半円部45が挿口膨出部3を挿口2の外周面に向かって挟持する面積の方が、鉤部46が受口膨出部13を受口12の外周面に向かって挟持する面積よりも大きいと好ましい。
【0037】
このようにすることで、半円部45が挿口膨出部3を挟持する面積の方が、鉤部46が受口膨出部13を挟持する面積より大きいことで、半円部45が、受口管15の管厚分多く挿口膨出部3を挟持し得るため、例えば地震等の不測の大きな外力が生じても、半円部45を利用して耐圧でき、受口管15と挿口管2の軸方向の移動を規制できる。
【0038】
なお、図1における受口フランジ17、17に形成されたボルト孔18、18にボルト19、19をカバー片41、42の外面と当接可能に取付けることにより、カバー片41、42よりも径方向に膨出する受口フランジ17、17を利用してカバー片41、42の位置決めができるばかりか、地震等の不測の外力が生じても、カバー片41、42の外方側で動きを規制し、上下方向に対するカバー片41、42の脱落も防止できる。
【0039】
このように管継手が、上記に示した構造を有することにより、管継手を構成する受口12と挿口2とが、受口膨出部13と挿口膨出部3と当接させることで過挿入を止める。またカバーリングが受口12と挿口2の軸方向への相対移動を拘束するようにして取付けられているため、本管30と分岐部材50とにかけて流動する流体により発生する分岐部材50における水圧の変動の影響を受けることなく、受口12と挿口2が離脱防止できる。
【0040】
なお図4に示されるように、挿口膨出部3と受口膨出部13の当接面である管軸方向に形成する端面55と上述したシール部材9の図示右側の管軸方向に形成する端面58間には、挿口2の外周面と受口12の内周面により僅かに周方向に沿った隙間60が形成される。この隙間60と連通し、且つ金属などの薄板が挿入できるよう挿口膨出部3の一部に開口部6が設けられている。
【0041】
このようにすることで、嵌挿部5の外面と受口12の内面との収容溝8を密封するシール部材9が、挿口膨出部3により外方から隠れている状況下でも、挿口膨出部3に形成された開口部6を利用し、例えば、開口部6に挿通可能な薄板状体をシール部材9に向けて挿通し、当接するなどして、シール部材9が収容溝8を所定位置において密封しているか否か確認できる。
【0042】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0043】
上記実施例のカバーリング40は、直径方向に2分割された半円形状のカバー片41、42で構成されているが、これに限らず、図1の紙面に垂直に2分割、3分割若しくはこれ以上の多分割構造のカバー片でカバーリングが構成されてもよい。
【0044】
また上記実施例においては、挿口膨出部3の図1の右側側面及び半円部45の内方側の側面と、受口膨出部13の図1の左側側面及び鉤部46の内方側の側面とが、管軸方向に対して略直交し、それぞれ当接しているが、これに限らず、カバー片41(42)により挿口2と受口12の軸方向への相対移動を拘束するなら、例えば挿口膨出部3の図1の右側側面及び受口膨出部13の図1の左側側面がテーパー面で形成され、カバー片41(42)が挿口膨出部3と受口膨出部13を挟持できるよう、それらテーパー面に対応して半円部45の内方側側面及び鉤部46の内方側側面が、テーパー面を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例1における管継手の全体像を示す一部断面図である。
【図2】管継手上面を示す平面図である。
【図3】図1のA−A線を境に方向視した断面図である。
【図4】図1における一部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 挿口管
2 挿口
3 挿口膨出部
5 嵌挿部
6 開口部
9 シール部材
10 間隙
12 受口
13 受口膨出部
15 受口管
17 受口フランジ
18 ボルト孔
30 本管(流体管)
40 カバーリング
41 カバー片
42 カバー片
45 半円部(挟持部)
46 鉤部(挟持部)
47 収容凹部
50 分岐部材
61 嵌合凸部
62 嵌合凸部
63 嵌合凹部
64 嵌合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管から分岐して接続された分岐部材を構成する受口を備えた受口管と、該受口の内方に所定長さ嵌挿される嵌挿部を有する挿口を備えた挿口管と、該挿口の嵌挿部の外面と前記受口の内面との間隙を周方向に沿って水密的に密封するリング状のシール部材と、を備えた分岐部材用の管継手であって、
前記受口の端部の外周面に、径方向に膨出する受口膨出部が周方向に沿って形成されているとともに、前記挿口の嵌挿部を除いた外周面に、径方向に膨出する挿口膨出部が周方向に沿って形成されており、
前記受口膨出部及び前記挿口膨出部を収容する環状のカバーリングが、前記受口と前記挿口の軸方向への相対移動を拘束するようにして、前記両膨出部の外周に取付けられていることを特徴とする分岐部材用の管継手。
【請求項2】
前記受口における開口端近傍の外周面に、前記カバーリングよりも径方向に膨出するとともに管軸方向に開口するボルト孔を有する受口フランジが、周方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の分岐部材用の管継手。
【請求項3】
前記カバーリングの一部は、前記受口膨出部と前記受口フランジとの間に嵌合されていることを特徴とする請求項2に記載の分岐部材用の管継手。
【請求項4】
前記受口膨出部及び前記挿口膨出部は略同じ外周面を有し、該外周面に前記カバーリングの内周面が当接していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の分岐部材用の管継手。
【請求項5】
前記カバーリングの内周面に前記挿口膨出部と前記受口膨出部の各々を挟持する二つの挟持部が形成されており、前記挿口膨出部側の挟持部の方が前記受口膨出部側の挟持部より大きい面積を有していることを特徴とする請求項4に記載の分岐部材用の管継手。
【請求項6】
前記挿口膨出部に、前記シール部材に向けて開口した開口部が開設されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の分岐部材用の管継手。
【請求項7】
前記カバーリングは、互いの周方向の対向端部同士を接続して環状に形成される複数のカバー片から成り、該複数のカバー片は、夫々のカバー片が一方の対向端部に嵌合凸部と他方の対向端部に嵌合凹部とを有する略同一の形状に形成されており、周方向に隣り合ったカバー片の嵌合凸部と嵌合凹部とを嵌合して接続していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の分岐部材用の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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