説明

分散マネージメント伝送路

【課題】所期の伝送特性を満足させることができる前置分散補償と分散マネージメントとを組み合わせた分散マネージメント伝送路を実現できる。
【解決手段】前置分散補償量と分散マネージメントとの組み合わせの中から、伝送特性の劣化の少ない組み合わせを導出する。例えば、分散シフトファイバによる30km以上の無中継伝送においては、DQPSK送信部の前置分散補償量を−300ps/nmないし−120ps/nmあるいは30ps/nmないし350ps/nmとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大容量光通信用伝送路の分散マネージメントに関する。
【背景技術】
【0002】
10Gb(Gbit)/s(sec)/ch(channel)以上の大容量光伝送においては、伝送路の波長分散によって信号波形が歪むため、光を電気信号に直して中継する3R中継点、および受信部において分散補償を行っている。
【0003】
伝送路の累積分散が大きい場合には歪みによる劣化を補償できなくなるため、光増幅器を使用した1R中継点においても分散補償を施す分散マネージメント伝送路が使用される。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されている技術では、複数の異なる長さと複数の異なる分散値とを有する光ファイバをシリアルに接続するときに、ソリトン通信を可能にするため、その群速度分散の値の距離による平均値が異常分散となるように、前記光ファイバの組み合わせを選択している。
【0005】
また、例えば、特許文献2に開示されている技術では、光ファイバを用いて構成される光ソリトン伝送路において、全伝送距離に対して求めた光ファイバの群速度分散の平均値が異常分散となるように、複数の光ファイバのピースによって光ファイバを構成している。
【0006】
また、例えば、特許文献3に開示されている技術では、伝送路(伝送用光ファイバおよび分散補償器)では非線形光学効果を利用しない線形伝送方式(平均分散値が零)を用い、この伝送用光ファイバとは別にN=1ソリトンを発生する分散値を持ったソリトン用光ファイバを配置し、このソリトン用光ファイバで非線形光学効果を利用した非線形伝送方式を集中的に行う構成としている。
【0007】
また、送信側において反対符号の前置分散補償を与え、伝送後の累積分散を低減する方法も行われている。例えば、特許文献4に開示されている技術では、送信部におけるプリチャープ周波数偏移量を、自己位相変調を無視したときの周波数偏移量に対し、減少または増大させる。あるいは、周波数偏移方向を逆にし、増大または減少させる。
【0008】
【特許文献1】特開平8−146472号公報
【特許文献2】特開平8−286219号公報
【特許文献3】特開2001−160779号公報
【特許文献4】特開平5−183512号公報
【非特許文献1】ELECTRONICS LETTERS,1st April 2004,Vol40,No.7,p444−445
【非特許文献2】ELECTRONICS LETTERS,28th October 2004,Vol40,No.22,p1443−1444
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
光ファイバを用いた伝送路における累積分散が±400ps/nmを越えると、その後の1伝送区間だけでも大きな劣化が生じる。また、従来は、累積分散が大きくならなければよいと考えられていたが、前置分散補償量を変えて数値解析を行ったところ、例えば、図2に示すように累積分散がゼロ付近でも劣化が大きくなり、最適な累積分散範囲が存在することがわかった。すなわち、前置分散補償のみによって最適な累積分散範囲が存在しない伝送路を構成することは困難であり、例えば、前置分散補償と分散マネージメントとを組み合わせるといったことを行わないと、伝送特性の劣化の少ない伝送路を構成できないことがわかった。
【0010】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、所期の伝送特性を満足させることができる前置分散補償と分散マネージメントとを組み合わせた分散マネージメント伝送路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前置分散補償量と分散マネージメントとの組み合わせの中から、伝送特性の劣化の少ない組み合わせを導出する発明である。
【0012】
分散補償量は伝送路の分散値のばらつき、分散補償ファイバの分散値のばらつき、温度変動などによりランダムにばらつくため、多中継伝送においては各中継地点の送信端における累積分散を最適な累積分散に抑えることが好ましい。
【0013】
様々な伝送路において、このように個別の分散を整えることができない場合には、次善の方策として送信端の前置分散補償量のみを設定することでも効果がある。
【0014】
分散スロープ補償率が100%の場合はすべての波長で100%の分散補償を行うことができる。分散シフトファイバの分散スロープは典型的には0.07ps/km/nm2であるため、85kmの伝送路を考えた場合には、分散スロープ補償率が90%の場合は中心波長から±15nmずれた波長においては±9ps/nm/km、70%の場合は±27ps/nmの分散補償のずれとなる。波長多重伝送においては、このずれも考慮し、任意の波長で累積分散を当該値に収めることが必要である。
【0015】
すなわち、本発明は、DQPSK送信部と、DQPSK受信部と、前記DQPSK送信部と前記DQPSK受信部との間に設けられた分散シフト光ファイバによる30km以上の伝送路と、前記DQPSK送信部の送信信号を入力とする前置分散補償器と、前記DQPSK受信部の受信信号を入力とする受信端分散補償器とを備えた分散マネージメント伝送路である。
【0016】
ここで、本発明の特徴とするところは、前記前置分散補償器の前置分散補償量が−300ps/nmないし−120ps/nmあるいは30ps/nmないし350ps/nmであるところにある。
【0017】
あるいは、本発明は、DQPSK送信部と、DQPSK受信部と、前記DQPSK送信部と前記DQPSK受信部との間に設けられた分散シフト光ファイバによる伝送路と、この伝送路の途中に挿入された線形中継器および分散補償器と、前記DQPSK送信部の送信信号を入力とする前置分散補償器と、前記DQPSK受信部の受信信号を入力とする受信端分散補償器とを備え、前記前置分散補償器と前記線形中継器との間または前記線形中継器相互間の各伝送区間の伝送後に当該伝送区間に設けられた前記線形中継器により分散の概略を補償し、前記受信端分散補償器により残留分散を補償する分散マネージメント伝送路である。
【0018】
ここで、本発明の特徴とするところは、各中継地点の送信端における累積分散量が−300ps/nmないし−120ps/nmあるいは30ps/nmないし350ps/nmであるところにある。
【0019】
あるいは、本発明は、DQPSK送信部と、DQPSK受信部と、前記DQPSK送信部と前記DQPSK受信部との間に設けられた分散シフト光ファイバによる伝送路と、この伝送路の途中に挿入された線形中継器および分散補償器と、前記DQPSK送信部の送信信号を入力とする前置分散補償器と、前記DQPSK受信部の受信信号を入力とする受信端分散補償器とを備え、前記前置分散補償器と前記線形中継器との間または前記線形中継器相互間の各伝送区間の伝送後に当該伝送区間に設けられた前記線形中継器により分散の概略を補償し、前記受信端分散補償器により残留分散を補償する分散マネージメント伝送路である。
【0020】
ここで、本発明の特徴とするところは、前記前置分散補償器の前置分散補償量が−270ps/nmないし−120ps/nmあるいは80ps/nmないし300ps/nmであるところにある。
【0021】
また、前記各伝送区間の距離が概略30km未満の区間は前置分散補償量の制約を解除することが望ましい。
【0022】
また、複数の前記DQPSK送信部と、この複数の前記DQPSK送信部の送信信号を波長多重する波長多重化装置と、複数の前記DQPSK受信部と、この複数の前記DQPSK受信部向けの波長多重された受信信号を波長毎に分離する波長多重分離装置とを備え、前記前置分散補償器は、前記波長多重化装置から出力される波長多重された送信信号を入力として一つ設けられ、前記受信端分散補償器は、前記波長多重分離装置から複数の前記DQPSK受信部向けにそれぞれ出力される波長毎の受信信号を入力として複数設けられた構成とすることもできる。この場合には、例えば、前記前置分散補償器による前置分散補償量が−200ps/nmまたは+200ps/nmである。
【0023】
このような前置分散補償を与える手段として、分散スロープを持たない分散媒質または分散スロープが一般の光ファイバと比較して1/10以下である分散媒質を用いることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、所期の伝送特性を満足させることができる前置分散補償と分散マネージメントとを組み合わせた分散マネージメント伝送路を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第一実施例)
第一実施例を図1および図2を参照して説明する。第一実施例は、DQPSK伝送方式(例えば、非特許文献1または2参照)であり無中継伝送の場合の例である。図1に本実施例の説明で用いる伝送システムの模式図を示す。1はDQPSK送信部、2はDQPSK受信部、3は前置分散補償器(DCT)、4は伝送路(分散シフトファイバ)、5、5’は分散補償器、6は線形中継器、7は受信端分散補償器であり、第一実施例は、無中継伝送の実施例であるから図1中の分散補償器5および線形中継器6は使用しない。
【0026】
また、受信端分散補償器7の直前にある分散補償器5’は累積分散の大きさによっては省略することができる。DQPSK伝送方式は主として40Gb/s/ch以上の大容量伝送に用いられる。
【0027】
図2は、伝送速度43Gb/s/ch、伝送路4の距離を85km、群速度分散を1ps/km/nmおよび4ps/km/nm、伝送路4の入力における信号強度を+1dBmとして前置分散補償量(DCT)を変化させた計算結果であり、横軸に前置分散補償量(DCT)をとり、縦軸に劣化量(dB)をとる。なお、図2における黒丸(●)で示したグラフは1ps/km/nmを表し、三角(△)で示したグラフは4ps/km/nmを表す。DQPSK送信部1、DQPSK受信部2は最適動作点に調整されているものとし、前置分散補償量(DCT)を−500ps/nmから+500ps/nmまで変化させ、受信端分散補償器7を調整した場合の伝送特性をQ値(信号のばらつき具合を表す量)で評価し、伝送によるQ値の劣化量を描いてある。
【0028】
ここでは、前置分散補償(DCT)量が最適である場合に比べて劣化が2倍以内であるDCTの範囲を良好な伝送特性が得られる範囲と定義する。群速度分散が1ps/km/nmないし4ps/km/nmにおいて前置分散補償(DCT)量が−300ps/nmないし−120ps/nmあるいは30ps/nmないし350ps/nmである場合に劣化が少なく、良好な伝送特性が得られることがわかる(図2の⇔で示した範囲)。
【0029】
信号強度はこの値以外でも同様の特性を示す。伝送システムにおいては受信回路の特性あるいは伝送路の損失などに応じて適切な値を設定すればよい。
【0030】
(第二実施例)
第二実施例を図1および図2を参照して説明する。第二実施例では、DQPSK伝送方式による多中継伝送を考える。伝送システムの模式図は図1であり、第一実施例と同様であるが伝送路4が複数区間あり、その間に分散補償器5および線形中継器6を使用する。
【0031】
多中継伝送の場合には分散補償器5を通過後の累積分散が、各線形中継器6の出力点における前置分散量と考えることができる。よって、第一実施例で説明したように、群速度分散が1ps/km/nmないし4ps/km/nmにおいて前置分散補償(DCT)量が−300ps/nmないし−120ps/nmあるいは30ps/nmないし350ps/nmである場合に劣化が少なく、良好な伝送特性が得られることがわかる。
【0032】
図2の計算結果から演繹すると、各中継地点の送信端における累積分散の絶対値が50ps/nmないし350ps/nmであることが好ましいことがわかる。
【0033】
(第三実施例)
第三実施例を図3および図4を参照して説明する。第三実施例は、DQPSK伝送方式であり多中継伝送の場合の例であり、5中継(伝送路4を6区間使用)の例である。伝送システムの模式図は図1であり、第一実施例と同様である。
【0034】
図3は、伝送速度43Gb/s/ch、伝送路4の距離を各々85km、群速度分散を1.5ps/km/nmおよび4.5ps/km/nm、伝送路4の入力における信号強度を各々+1dBmとして前置分散補償量(DCT)を変化させた計算結果であり、横軸に前置分散補償量(DCT)をとり、縦軸に劣化量(dB)をとる。なお、図3における黒丸(●)で示したグラフは1.5ps/km/nmを表し、三角(△)で示したグラフは4.5ps/km/nmを表す。
【0035】
第一実施例と同様に、DQPSK送信部1、DQPSK受信部2は最適動作点に調整されているものとし、前置分散補償量(DCT)を−500ps/nmから+500ps/nmまで変化させ、受信端分散補償器7を調整した場合の伝送特性をQ値(信号のばらつき具合を表す量)で評価し、伝送によるQ値の劣化量を描いてある。
【0036】
また、図4は、伝送路4の距離を各々40kmとした場合に図3を描いたときと同様の解析を行ったものである。図3とほぼ同様の範囲において良好な伝送特性が得られることがわかる。
【0037】
これより、群速度分散が1.5ps/km/nmおよび4.5ps/km/nmの範囲において、前置分散補償(DCT)量が−270ps/nmないし−120ps/nmあるいは80ps/nmないし300ps/nmである場合に劣化が少なく、良好な伝送特性が得られることがわかる(図3および図4の⇔で示した範囲)。
【0038】
本発明は非線形光学効果による伝送特性劣化を軽減するものであるため、伝送距離がおよそ30km以上(ファイバ損失にして約7dB、光の強度が1/5程度に減衰する)である場合には、距離によらずに適用できる。
【0039】
信号強度はこの値以外でも、同様の特性を示す。伝送システムにおいては受信回路の特性、伝送路の損失などに応じて適切な値を設定すればよい。
【0040】
(第四実施例)
多中継伝送においては、各伝送路4の入力における累積分散は設計値を中心としてばらついてしまう。このとき、ある1区間の劣化が激しくても、他の区間の劣化が少ない場合には全体としての伝送特性を良好な状態に保つことができる。
【0041】
すなわち、個別の分散を整えることができない場合にも送信端の前置分散補償量の設計により効果を得ることができる。設計値は第三実施例と同じであるので、許容範囲も第三実施例と同様とすることが合理的である。
【0042】
(第五実施例)
第五実施例は、波長多重伝送についての実施例であり、第五実施例の説明に用いるパラメータは群速度分散(GVD、単位:ps/km/nm)であり、例えば、約0.07ps/km/nm2の分散スロープを持つ通常の分散シフト光ファイバでは、1ps/km/nmの群速度分散は約15nm(1/0.07)の波長差に対応する。
【0043】
波長多重伝送の場合の模式構成を図5に示す。多中継の場合を示しているが、無中継の場合には、図中の分散補償器5、線形中継器6は使用しない。波長の異なる送信部を波長多重装置8でまとめ、1本の光ファイバ中を同時に伝搬させ、波長多重分離装置9により波長毎に分離して受信する。
【0044】
分散補償器5において分散スロープ補償率が100%の場合は任意の波長で100%の分散補償を行うことができるため、第一ないし第三実施例で記載した条件はそれらと同様にして実現できる。
【0045】
分散シフトファイバの分散スロープは典型的には0.07ps/km/nm2であるため、85kmの伝送路を考えた場合には、分散スロープ補償率が90%の場合は中心波長から±15nmずれた波長においては±9ps/nm/km、70%の場合は±27ps/nmの分散補償のずれとなる。
【0046】
波長多重伝送においては、このずれも考慮し、任意の波長で累積分散を当該値に収めることが必要である。図1および図2の記載の85kmの無中継伝送を例にとると、分散スロープ補償率が90%の場合で、30nm(中心から±15nm)の帯域を使用する波長多重伝送においては−291ps/nmないし−129ps/nmあるいは39ps/nmないし341ps/nmであればよいことになる。
【0047】
他の補償率、伝送距離、帯域幅の場合あるいは多中継伝送の場合も同様に考えればよい。ただし、これを満たす領域がない場合にも前置分散補償量をこれらの概略の中心値である−200ps/nmもしくは+200ps/nmに設定することで劣化を最小に抑えることができる。
【0048】
これらの実施例およびその他の実施形態において、多中継伝送において30km未満の伝送距離の区間がある場合に、該当区間の送信出力を低減することにより非線形光学効果による劣化を低減した場合には、その区間はこれまで述べた前置分散補償の制約条件から除外することができる。送信出力を低減しない場合には同様の制約条件を科す。
【0049】
本発明においては、前置分散補償量は各波長で等しいことが好ましく、そのためには前置分散補償に用いる分散媒質は分散スロープが少ない(例えば、一般の光ファイバと比較して1/10)もしくは分散スロープを持たないことが好ましい。VIPAや分散スロープ補償を施した分散補償ファイバなどを用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、所期の伝送特性を満足させることができる前置分散補償と分散マネージメントとを組み合わせた分散マネージメント伝送路を実現できるので、光伝送路設計の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第一〜第四実施例の説明で用いる伝送システムの模式図。
【図2】前置分散補償量(DCT)を変化させた計算結果を示す図。
【図3】85km×5中継(6区間)の数値解析結果を示す図。
【図4】40km×5中継(6区間)の数値解析結果を示す図。
【図5】第五実施例の説明で用いる波長多重伝送を用いた伝送システムの模式図。
【符号の説明】
【0052】
1、1’ DQPSK送信部
2、2’ DQPSK受信部
3 前置分散補償器(DCT)
4 伝送路(分散シフト光ファイバ)
5、5’ 分散補償器
6 線形中継器
7、7’ 受信端分散補償器
8 波長多重化装置
9 波長多重分離装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DQPSK送信部と、DQPSK受信部と、前記DQPSK送信部と前記DQPSK受信部との間に設けられた分散シフト光ファイバによる30km以上の伝送路と、前記DQPSK送信部の送信信号を入力とする前置分散補償器と、前記DQPSK受信部の受信信号を入力とする受信端分散補償器とを備えた分散マネージメント伝送路において、
前記前置分散補償器の前置分散補償量が−300ps/nmないし−120ps/nmあるいは30ps/nmないし350ps/nmであることを特徴とする分散マネージメント伝送路。
【請求項2】
DQPSK送信部と、DQPSK受信部と、前記DQPSK送信部と前記DQPSK受信部との間に設けられた分散シフト光ファイバによる伝送路と、この伝送路の途中に挿入された線形中継器および分散補償器と、前記DQPSK送信部の送信信号を入力とする前置分散補償器と、前記DQPSK受信部の受信信号を入力とする受信端分散補償器とを備え、
前記前置分散補償器と前記線形中継器との間または前記線形中継器相互間の各伝送区間の伝送後に当該伝送区間に設けられた前記線形中継器により分散の概略を補償し、前記受信端分散補償器により残留分散を補償する分散マネージメント伝送路において、
各中継地点の送信端における累積分散量が−300ps/nmないし−120ps/nmあるいは30ps/nmないし350ps/nmであることを特徴とする分散マネージメント伝送路。
【請求項3】
DQPSK送信部と、DQPSK受信部と、前記DQPSK送信部と前記DQPSK受信部との間に設けられた分散シフト光ファイバによる伝送路と、この伝送路の途中に挿入された線形中継器および分散補償器と、前記DQPSK送信部の送信信号を入力とする前置分散補償器と、前記DQPSK受信部の受信信号を入力とする受信端分散補償器とを備え、
前記前置分散補償器と前記線形中継器との間または前記線形中継器相互間の各伝送区間の伝送後に当該伝送区間に設けられた前記線形中継器により分散の概略を補償し、前記受信端分散補償器により残留分散を補償する分散マネージメント伝送路において、
前記前置分散補償器の前置分散補償量が−270ps/nmないし−120ps/nmあるいは80ps/nmないし300ps/nmであることを特徴とする分散マネージメント伝送路。
【請求項4】
前記各伝送区間の距離が概略30km未満の区間は前置分散補償量の制約を解除する請求項2または3記載の分散マネージメント伝送路。
【請求項5】
複数の前記DQPSK送信部と、この複数の前記DQPSK送信部の送信信号を波長多重する波長多重化装置と、複数の前記DQPSK受信部と、この複数の前記DQPSK受信部向けの波長多重された受信信号を波長毎に分離する波長多重分離装置とを備え、
前記前置分散補償器は、前記波長多重化装置から出力される波長多重された送信信号を入力として一つ設けられ、前記受信端分散補償器は、前記波長多重分離装置から複数の前記DQPSK受信部向けにそれぞれ出力される波長毎の受信信号を入力として複数設けられた
請求項1ないし4のいずれかに記載の分散マネージメント伝送路。
【請求項6】
前記前置分散補償器による前置分散補償量が−200ps/nmまたは+200ps/nmである請求項5記載の分散マネージメント伝送路。
【請求項7】
前置分散補償を与える手段として、分散スロープを持たない分散媒質または分散スロープが一般の光ファイバと比較して1/10以下である分散媒質を用いる請求項1ないし6のいずれかに記載の分散マネージメント伝送路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−189403(P2007−189403A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4714(P2006−4714)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】