説明

分散体、フィルム、コーティング及び複合体

微粒子(例えば、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、金属、金属酸化物及び導電性ポリマー)と、有機的に修飾した層状無機種(例えば、有機粘土及び層状複水酸化物)と、液体有機媒体(例えば、溶媒及びポリマーの液体反応性前駆体)との安定な分散体を記載する。そのような分散体から作られるフィルムのような構造体もまた開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散体、フィルム、コーティング及び複合体に関する。詳細には、本発明は微粒子分散体に関し、また微粒子を含有する、フィルム、コーティング及び複合体に関する。より特別には、本発明は伝導性微粒子分散体に関し、また伝導性微粒子を含有する、フィルム、コーティング及び複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で、「微粒子」とはミクロン及びサブミクロン径の粒子を意味し、より特別にはナノスケール粒径の粒子を意味する。詳細には、「微粒子」とは、大きさが100μm以下、好ましくは10μm以下、特別には約1μm以下の粒子を意味する。そのような粒子の形状は規則的でも不規則でもよく、顕著なアスペクト比を有する粒子、例えばフレーク、小板状、繊維状、及びチューブ状の種類の粒子が挙げられる。
【0003】
微粒子の分散体を作ることを必要とする用途、及び分散体を用いてそのように作られた粒子を含有するフィルム又はコーティングの用途は数多い。そのような用途として、塗料及びインク組成物用顔料;伝導性塗料組成物;伝熱性又は導電性のコーティング又はフィルムを形成するため、あるいは複合体に組み合わせるための、伝導性粒子;バッテリコーティング;フィルム又は複合体に強度、又は他の特性を強化する効果、例えば難燃性を付与するための粒子、などが挙げられる。
【0004】
伝熱性及び/又は導電性微粒子を用いることに特別の関心が持たれており、そのような粒子は多くの用途、例えば静電気散逸(ESD)コーティング、電磁気及び/又は高周波干渉シールド(EMI/RFI)、フラットパネルディスプレイ、電子放出ディスプレイ、タッチスクリーン用途、伝導性インク、並びに分子エレクトロニクス及びナノテクノロジー用途で使用される。そのような用途に有用な伝導性微粒子は幅広く多様であり、金属及び金属酸化物粒子、例えば金、銀、インジウムスズ酸化物;炭素粒子、例えばカーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノウィスカ、及びフラーレン;伝導性ポリマー、例えばポリアニリン、などが挙げられる。(単独で又は伝導性粒子と組み合わせて)複合材料の熱機械特性を制御するために、他の用途には、非伝導性粒子、例えばシリカを使用することが含まれる。
【0005】
多くのそのような微粒子は、コーティング及びフィルムを作るため、並びに複合材料に包含させるために、水系分散体又は有機溶媒系分散体にされる。しかしながら、多くのそのような分散体では分散体を使用する前に粒子が沈降してしまうため、適用時の再分散性又は使用時の分散体の性能不足といった問題が生じていた。
【0006】
そのような問題を解決する試みには、沈降防止剤の添加、粒子充填量の増大などが含まれる。これらの解決法は部分的に成功したのみであって、例えば、インクジェットプリンター用インクやスプレーコーティングなどのいくつかの用途で分散体が利用不可となる可能性のある、顕著な粘度増加を招く場合があった。
【0007】
1990年代に発見されて以来、質量比に対して高強度であり、熱伝導率が高く、固有の導電性が良好なために、カーボンナノチューブはそのような多くの用途において非常に関心を持たれている。カーボンナノチューブを利用した伝導性コーティング及び伝導性ポリマーは潜在的に幅広い用途を有するため、最も関心を引いているのは恐らくカーボンナノチューブの後者の特性である。典型的な熱的用途は、エレクトロニクス部品の冷却機構に使用される熱界面材料であり、例えば国際公開第03/054958号又は米国特許出願第2003/0111333号に記載されている。
【0008】
カーボンナノチューブは、文献に色々と報告されているように、アーク放電、化学気相堆積、又はレーザーアブレーションのような様々な手法によって作ることができる。ナノチューブは、単層ナノチューブ(SWNT)、又は多層ナノチューブ(MWNT)すなわち2つ以上のほぼ同心円状の壁を有するチューブであってよい。SWNTは通常直径が約1〜2nmであり、MWNTは通常直径が約5〜50nmである。カーボンナノチューブのアスペクト比は通常最大で約100〜100000、すなわちその長さは約1〜100μmである。またカーボンナノチューブは直径が100〜200nmのオーダーで長さが20〜100μmのものも作られており、その大きさ及び特性に応じてカーボンナノファイバーとも呼ばれている。カーボンナノチューブの形状は様々であってよく、すなわち直線状、曲線状又は屈曲状であってよく、一般にそのような形状の混合物として得られる。一部の形状のカーボンナノチューブは、絡まった又は束になった形状、すなわち依然としてナノスケールサイズであるが、一緒に絡まってより大きい構造体になっており、形状が研磨パッド又はスチールウールによく似ている。この場合、より大きい構造体は大量の不定形炭素を含有することが多い。他の製造手法によると整列したカーボンナノチューブが得られる。
【0009】
カーボンナノチューブの他の用途として難燃性用途が挙げられ、ナノチューブが燃焼する物質表面に生成する炭化物のコヒーレンス(coherency)を改善することによって、その物質のさらなる燃焼を低減又は防止する。そのような用途の例は国際公開第03/078315号に記載されている。
【0010】
上述したように、多くの微粒子について適当に安定な分散体を形成することには問題があり、カーボンナノチューブの安定な分散体を得るのは難しい。このような問題は、カーボンナノチューブ間に存在する強い引力という周知の現象のために、生じるものと考えられる。強い引力が存在する結果、ナノチューブは分離及び分散が困難なナノチューブの凝集体として存在する傾向がある。
【0011】
カーボンナノチューブの分散に少なくとも部分的に関連する問題とは、数多くの用途で高度の光透過性を有する分散体含有フィルム、コーティング又は複合体が必要とされること、すなわちそのフィルム、コーティング又は複合体が可視波長域(およそ700〜400nm)で比較的透明でなければならないことも必要とされることである。存在するナノチューブの量と、チューブのより大きい塊及び凝集体と比べて、個々のチューブ又はチューブのロープとしてこれらのナノチューブが分散していることとが、得られる材料の透明性及び透過率に影響する。これらの問題を解決するために数多くの方法が試みられている。
【0012】
例えば国際公開第02/076888号は、水中で水溶性ポリマーを用いてコートすることにより、カーボンナノチューブ、特にSWNTが膨張する(exfoliating)ことを開示している。国際公開第02/076724号及び第03/024798号は、ポリマーフィルムに分散したカーボンナノチューブを使用することを開示している。これら2つの文献における開示内容はSWNTへの使用に限定されていないが、チューブのロープを容易に形成するSWNTに特に有用であることが開示されている。特に、国際公開第02/076724号では、外径が3.5nm未満のカーボンナノチューブを使用することが必要である。
【0013】
表題が“Dispersion and film properties of carbon nanofibre pigmented conductive coatings”, J A Johnson et al, Progress in Organic Coatings 47 (2003), 198−206の記事では、ナノチューブの束の存在下、混合キシレン溶媒中で超音波処理して、積み重なったテトラアルキルアンモニウムヘクトライト粘土小板を膨張することによる、カーボンナノファイバーの分散体の調製が開示されている。報告されているナノファイバーと粘土との最適な質量比は1:1である。得られるのは高粘度のゲル網目構造体であり、適当な分散剤/界面活性剤を添加して低粘度流体に変換される。
【0014】
国際公開第03/078315号では、粘土の補助により均一に分散していると考えられているナノチューブ含有ポリマー複合体が記載されている。しかしながら、押出技術を用いて作られた例示的な複合体に関する結果では、粘土非含有複合体においてナノチューブが明らかに良好に分散しており、特に難燃性に関する特性が改善している。
【0015】
表題が“Ultra−low electrical percolation threshold in carbon−nanotube−epoxy composites”, J K W Sandler et al, Polymer 44 (2003) 5893−5899の記事では、強いせん断混合によるエポキシ樹脂中のカーボンナノチューブ分散体の調製が開示されている。表題が“Organic derivation of single−walled carbon nanotubes by clays and intercalated derivatives”, V Georgakilas et al, Carbon 42 (2004) 865−870の記事では、スメクタイト粘土、特に天然のワイオミングモンモリロナイトを用いて単層カーボンナノチューブを官能基化して反応を触媒することが開示されている。
【0016】
国際公開第97/31873号、米国特許第4558075号及び世界特許インデクス(WPI)要約取得番号第2003−382627号(CN1384163)には、塗料及びコーティング組成物に粘土を使用することが開示されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
出願人は驚くべきことに、粘土を使用することにより、カーボンブラック及びカーボンナノチューブの微粒子を含む、安定なフィルム形成性の微粒子分散体、及びそのような粒子を含有するコヒーレントフィルム、コーティング及び複合体が開発可能であることを見い出した。
【0018】
従って、本発明の目的は、安定な微粒子分散体、及びそれらから作られるフィルム、コーティング及び複合体を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、分散した伝導性微粒子を含有する導電性フィルム、コーティング及び複合体を提供することである。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、分散した熱伝導性微粒子を含有する熱伝導性フィルム及び複合体を提供することである。
【0021】
本発明の第1の実施態様によれば、非水系分散体は、その分散体の少なくとも50質量%を構成する有機溶媒と、その分散体の20質量%以下を構成する固形成分とを含み、その固形成分は、微粒子と、その溶媒によって分散可能な有機的に修飾した層状無機種と、必要に応じて、その溶媒に溶解性の有機ポリマー種及び/又は有機ポリマー種の反応性前駆体とを含み、そのポリマー種及び/又はポリマー種の反応性前駆体が存在する場合、固形分含量の50質量%未満を構成する。
【0022】
好ましくは、本発明の第1の実施態様による分散体において、溶媒はその分散体の少なくとも70質量%を構成する。
【0023】
好ましくは、本発明の第1の実施態様による分散体において、固形成分はその分散体の15質量%以下、より特別にはその分散体の10質量%以下を構成する。特に、固形成分はその分散体の5質量%以下を構成する。好ましくは、固形成分はその分散体の少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも0.5質量%を構成する。
【0024】
好ましくは、本発明の第1の実施態様による分散体において、そのポリマー種及び/又はポリマー種の反応性前駆体が存在する場合、それらはその固形分含量の35質量%未満、より特別にはその固形分含量の25質量%未満を構成する。好ましくは、ポリマー種及び/又はポリマー種の反応性前駆体が存在する場合、それらはその固形分含量の少なくとも1質量%、より好ましくはその固形分含量の少なくとも5質量%、特にその固形分含量の少なくとも10質量%を構成する。
【0025】
本発明の第2の実施態様によれば、非水系分散体は、その分散体の少なくとも50質量%を構成する有機ポリマー種の液体反応性前駆体と、その分散体の20質量%以下を構成する固形成分とを含み、その固形成分は、微粒子と、その反応性前駆体によって分散可能な有機的に修飾した層状無機種とを含む。
【0026】
好ましくは、本発明の第2の実施態様の分散体において、固形成分はその分散体の15質量%以下、より特別にはその分散体の10質量%以下を構成する。特に、固形成分はその分散体の5質量%以下を構成する。好ましくは、固形成分はその分散体の少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも0.5質量%を構成する。
【0027】
本発明に使用する微粒子は、合金及び層状金属を含む金属、並びに金属酸化物粒子、例えば金、銀、銅、銀でコートした銅、インジウムスズ酸化物、二酸化チタン;炭素粒子、例えばカーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノウィスカ、フラーレン;伝導性ポリマー;並びに他の機能性フィラー及び非機能性のフィラー及び添加剤、例えば窒化ホウ素、シリカ及びガラス;着色剤、顔料、硬化剤、触媒及びカプセル化システムであってよい。
【0028】
使用する粒子の種類に応じて、分散体及び/又は最終製品の特性は影響されて、そのような微粒子がない場合に得られる特性から変化する場合がある。例えば材料の電気的、磁気的及び熱的特性は変化しうる。さらに、又はその代わりに、機械的特性、例えば弾性率、靭性、熱膨張係数なども変化する場合がある。また、粒子は、硬化剤もしくは触媒、又は(放出システムの起動又は遅延のため)そのような粒子がカプセル化された種類のもの、抗酸化剤、難燃剤などであってよく、分散体の分散性又は安定性が増すために、そのような粒子の化学的及び/又は物理的効果が改善される。同様に、着色剤、顔料、不透明化剤及び乳白剤のような微粒子の効果も、そのような粒子の分散体の分散性又は安定性が増すために向上する。
【0029】
本発明の第1及び第2の実施態様の好ましい形態では、微粒子は導電性粒子から選択され、より特別には微粒子は金属及び金属酸化物粒子並びに/又は炭素粒子から選択される。本発明の第1及び第2の実施態様の特に好ましい形態では、微粒子は炭素粒子であり、より特別にはカーボンナノチューブ又はカーボンブラックであり、特にカーボンナノチューブである。
【0030】
本発明に使用するカーボンナノチューブは、SWNT、MWNT又はカーボンナノファイバーであってよい。しかしながら好ましくは、MWNTが本発明で使用される。SWNTは通常直径が約1〜2nmであり、長さが0.5μm〜100μmである。MWNTは通常直径が約5〜50nmであり、長さが0.5μm〜200μmであってよい。カーボンナノチューブのアスペクト比は通常最大で約100〜100000である。カーボンナノファイバーの直径は通常100〜200nmのオーダーであり、長さが20〜100μmである。本発明に使用するカーボンナノチューブの形状は様々であってよく、すなわち直線状、曲線状又は屈曲状であってよく、一般にそのような形状の混合物として得られる。一部の形状のカーボンナノチューブは、絡まった又は束になった形状、すなわち依然としてナノスケールサイズであるが、一緒に絡まってより大きい構造体になっており、形状が研磨パッド又はスチールウールによく似ている。この場合、より大きい構造体は大量の不定形炭素を含有することが多い。整列したカーボンナノチューブも本発明に使用できる。
【0031】
有機的に修飾した層状無機種は天然又は合成の種であってよく、詳しくは、有機粘土、特に2:1のフィロケイ酸塩粘土、層状複水酸化物、2:1層状遷移金属酸化物、例えばチタン酸塩、ニオブ酸塩及び硫化物、層状ケイ酸、例えばカネマイト、マガディアイト、層状金属リン酸塩、ホスホン酸塩及びヒ酸塩、並びにペロブスカイト型金属塩化物が挙げられる。
【0032】
本発明の好ましい実施態様では、有機的に修飾した層状無機種は有機粘土である。好ましくは、有機粘土は有機的に修飾された2:1層状フィロケイ酸、特に四面体シリカシートの間に挟まれた八面体シートが複八面体の性質を有する2:1層状フィロケイ酸を含み、特に有機粘土は有機的に修飾されたモンモリロナイトである。
【0033】
又は、有機的に修飾した層状無機種は修飾した層状複水酸化物である。層状複水酸化物は、修飾剤が層間領域に組み込まれていてもよい、合成及び天然のラメラ状水酸化物であってよい。LDHの一般式の例は:
【化1】

であって、M2+はMg2+のような二価カチオン、M3+はAl3+のような三価カチオン、Am-はNO3-のような層間アニオンである。有機的に修飾されたLDHにおいて、NO3-のようなアニオンは適当な有機アニオンで置換される。xの値は通常0.2〜0.33である。LDHは液体有機媒体と相溶するように選択しなければならない。
【0034】
式中、
2+は、好ましくはMg2+、Cu2+、Zn2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+から選択される。
3+は、好ましくはAl3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、In3+から選択される。
m-は、好ましくは一般式:R−Bm-(Bm-は硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩又はトルイル酸塩のようなアニオンを表し、Rは通常4個より多い炭素原子を有する有機脂肪族又は芳香族構造を表す。)である。
【0035】
有機的に修飾した層状無機種は、層間金属カチオン又は層間無機アニオンが、有機カチオン及び有機アニオンでそれぞれ交換されて、無機種を有機親和性に、特に有機媒体と相溶するように修飾される。
【0036】
適した有機カチオン種は、水素化した有機アンモニウムカチオン又は有機ホスホニウムカチオンであり、特に有機アンモニウムカチオンである。
【0037】
適した有機アニオン種は上述のような式:Am-のものである。
【0038】
層状無機種が有機粘土の場合、その粘土を、粘土の小板の表面に化学的にグラフトする有機修飾剤によって、有機的に修飾してもよい。
【0039】
好ましくは、無機種が有機粘土の場合、本発明で使用する有機粘土はケイ酸粘土であり、より特別には天然又は合成の平面状含水層状フィロケイ酸であるケイ酸粘土である。詳しくは、ケイ酸粘土は水和した交換可能なカチオンを有する2:1層状フィロケイ酸であり、これらの例はバーミキュライト及びスメクタイトであって、後者の例はモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヴォルコンスコイト(volkonskoite)、サポナイト、ヘクトライト、フルオロヘクトライト、ソーコナイト、ステベンサイト及びスワインフォルダイト(swinefordite)である。より特別には、本発明で有用な2:1層状フィロケイ酸は複八面体特性を有し、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト及びヴォルコンスコイト、並びに複八面体バーミキュライトが挙げられる。もっとも好ましいのはモンモリロナイトである。いくつかの粘土について通常報告されているアスペクト比は、ヘクトライト(50)、サポナイト(150)、モンモリロナイト(200)及び合成フルオロヘクトライト(1500〜2000)である。
【0040】
この実施態様では、好ましくは有機粘土が有機アンモニウム又は有機ホスホニウムカチオンで修飾される。好ましくは、有機アンモニウム又は有機ホスホニウムカチオンの有機基は、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基及びアリール基の混合から選択される。アルキル基はC1〜C20アルキル鎖から選択してもよく、これらの混合物であってもよい。詳しくは、アルキル基は短鎖及び長鎖アルキル基の混合であってよい。好ましくは、短鎖アルキル基はC1〜C6であって、長鎖アルキル基はC7〜C20である。好ましくは、ヒドロキシアルキル基はC1〜C6ヒドロキシアルキル基から選択され、より特別にはC1〜C3ヒドロキシアルキル基から選択される。好ましくは、アルケニル基はC10〜C20アルケニル基から選択され、より特別にはC14〜C18アルケニル基から選択される。好ましくは、アリール基はフェニルである。有機基の少なくともある割合が、獣脂及び/又は水素化した獣脂に由来することが好ましい。獣脂は、C18(65%)、C16(30%)及びC14(5%)のアルケニル鎖から主に構成される天然物である。水素化された獣脂では、アルケニル鎖の二重結合の過半数が水素化されている。有機基は、反応性末端基、例えばUV照射のような入射光に対応して反応する基を含む、ヒドロキシ、アミン、エポキシなどで、有機基自体が末端化されていてもよい。
【0041】
好ましくは、(d001の特性ブラッグ反射ピークに由来する)粘土の層間距離は1.2nmより大きく、より特別には少なくとも1.5nmである。
【0042】
無機種が有機的に修飾されたLDHである場合、アニオンが、脂肪酸、及びアルキル、アリールもしくはアルカリール(alkaryl)の硫酸塩もしくはスルホン酸塩、又はこれらの混合物から選択されることが好ましい。特に適当なアニオンの例は、ドデシル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、又はスチレンスルホン酸塩である。
【0043】
本発明で使用する液体有機媒体は、有機的に修飾した層状無機種を少なくとも分散する能力がある。より好ましくは、有機的に修飾した層状無機種は、その液体有機媒体によって、少なくともある程度、インターカレートされている及び/又は膨張している。
【0044】
上述のように、本発明の第1及び第2の実施態様の分散体は、有機溶媒又はポリマーの液体反応性前駆体を利用する(便宜上、文脈で使用される場合に本明細書でこれ以降「液体有機媒体」とする)。
【0045】
有機的に修飾した層状無機種が、液体有機媒体によってインターカレートされている及び/又は膨張している場合に得られた、有機的に修飾した層状無機種の分散体は、光学顕微鏡下で本質的に光学的に透明である。
【0046】
当然のことながら比較的高粘度システムの場合、液体有機媒体の粘度は、有機的に修飾した層状無機種及び当然ながら微粒子の目立った沈降を防止するために十分である。
【0047】
しかしながら比較的低粘度システムの場合、有機的に修飾した層状無機種のインターカレーション及び/又は膨張の程度によって、沈降がいくらか生じる場合がある。この現象により、液体有機媒体が有機的に修飾した層状無機種にインターカレートする及び/又はその層状無機種を膨張させる効果の簡単な尺度が提供される。
【0048】
本発明の好ましい分散体では、以下説明する簡易試験による沈降体積が、以下に詳述するように少なくとも50%又はそれより多くなるように、有機的に修飾した層状無機種、好ましくは有機粘土又は修飾LDHと液体有機媒体との組み合わせを選択する。
【0049】
液体有機媒体による、有機的に修飾した層状無機種のインターカレーション及び/又は膨張の程度によっては、いくらか沈降が生じる場合がある。この現象により、有機的に修飾した層状無機種にインターカレートする及び/又はその層状無機種を膨張させる、有機媒体の効果の簡易スクリーニングが提供される。このスクリーニングが有機的に修飾した層状無機種/有機媒体の組み合わせについての有効な指標であるという事実は、X線回折を用いていくつかの有機的に修飾した層状無機種/有機媒体の分散体を調べることにより確認された。
【0050】
従って、以下詳細を記載するように、一定質量、適切には2%の有機的に修飾した層状無機種を液体有機媒体と混合し、得られた混合物を沈降時間、適切には4日間(96時間)静置した後に、沈降体積を測定できる。測定を簡単にするために、混合物を標準バイアル中に入れ、沈降体積の高さを測定し、混合物の全高さのパーセントとして表す。
【0051】
この簡易試験によれば、適当な低粘度液体有機媒体は、得られる沈降体積が、混合物の全高さの少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より特別には少なくとも70%である程度に、有機的に修飾した層状無機種にインターカレートする及び/又はその無機種を膨張させる媒体である。本発明の特に好ましい実施態様では、適当な低粘度液体有機媒体は、得られる沈降体積が、混合物の全高さの少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より特別に少なくとも90%、及び特別には100%である程度に、有機的に修飾した層状無機種にインターカレートする及び/又はその無機種を膨張させる媒体である。
【0052】
第1の実施態様に関して、有機溶媒は、置換された炭化水素を含む、芳香族炭化水素及び環状脂肪族を含む脂肪族炭化水素のような幅広い種類の有機溶媒から選択でき、例えば、ハロゲン置換炭化水素、アルコール、環状エーテルを含むエーテル、芳香族及び芳香族−脂肪族エーテル、脂肪族、環状脂肪族、芳香族又は複素環のカルボニル化合物(特にケトン)、脂肪族及び芳香族のエステル及びアルコキシエステル(特にC1〜C6アルコキシエステル)(例えばプロピルアセテート)、並びにこれらの混合物から選択できる。より好ましくは、有機溶媒は、ハロゲン置換炭化水素を含む脂肪族及び芳香族炭化水素、環状エーテルを含むエーテル、芳香族及び芳香族−脂肪族エーテル、脂肪族又は複素環ケトン、脂肪族及び芳香族のエステル及びアルコキシエステル(特にC1〜C6アルコキシエステル)、並びにこれらの混合物から選択される。本発明に使用する特に好ましい有機溶媒は、イソヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、アニソール、安息香酸メチル、2−ブトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0053】
本発明の第1の実施態様のある形態では、有機的に修飾された層状無機種がアリール基を含有する有機粘土の場合、溶媒もアリール基を含有することが好ましい。
【0054】
本発明の第2の実施態様に関して、ポリマーの液体反応性前駆体は、モノマー及び/又はオリゴマー前駆体から選択してもよい。反応性前駆体には、適当な開始剤、触媒などが含まれてもよく、あるいはその代わりにそのような成分を後段階で添加してもよい。適当な反応開始成分と合わせて熱又は光照射を用いることによって、反応性前駆体が重合可能であってよく、適当な反応開始成分を添加することによって、反応性前駆体が重合可能であってもよい。
【0055】
反応性前駆体は好ましくは熱硬化性樹脂であり、エポキシ樹脂、付加重合樹脂、特にビスマレイミド樹脂、ホルムアルデヒド縮合樹脂、フェノール樹脂、及びこれら2種以上の混合物からなる群から選択してもよく、より特別には、芳香族ジアミン、芳香族モノ1級アミン、アミノフェノール、多価フェノール、多価アルコール、ポリカルボン酸など、又はこれらの混合物からなる1つもしくは複数の化合物群の、モノ−もしくはポリ−グリシジル誘導体に由来するエポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、又はフェノール樹脂であることが好ましい。付加重合樹脂の例として、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ビスマレイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。ホルムアルデヒド縮合樹脂の例として、尿素樹脂、メラミン樹脂及びフェノール樹脂が挙げられる。
【0056】
本発明の第2の実施態様のある形態において、反応性前駆体は、好ましくはエポキシ、シアン酸エステル又はフェノール樹脂の前駆体を少なくとも1つ含み、その前駆体は周囲温度で液体であって、例えばEP−A−0311349、EP−A−0365168、EP−A−91310167.1又はPCT/GB95/01303に開示されている。反応性前駆体はエポキシ樹脂前駆体であることが好ましい。
【0057】
適当なエポキシ樹脂前駆体は、50℃で粘度が10〜20Pa・sのN,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(例えばCiba Geigyが販売する「MY9663」、「MY720」又は「MY721」)(MY721はMY720の低粘度型であり、より高い使用温度向けに設計されている);110℃で粘度が18〜22ポイズのN,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(例えばShell Chemical Co.が販売するEpon1071);110℃で粘度が30〜40ポイズのN,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(例えばShell Chemical Co.が販売するEpon1072);25℃で粘度が0.55〜0.85Pa・s、好ましくは25℃で粘度が8〜20Pa・sである、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル(例えばCiba Geigyが販売する「MY0510」)、これが使用するエポキシ成分の少なくとも25%を構成することが好ましい;好ましくは25℃で粘度が8〜20Pa・sの、ビスフェノールA系材料、例えば2,2−ビス(4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン(例えばDowが販売する「DER661」、又はShellが販売する「Epikote828」)のジグリシジルエーテル及びノボラック樹脂のジグリシジルエーテル;フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル(例えばDowが販売する「DEN431」又は「DEN438」)であって本発明の組成物を製造するために好ましい低粘度型の品種;ジグリシジル1,2−フタレート、例えばGLY CEL A−100;低粘度型のジヒドロキシジフェニルメタン(ビスフェノールF)のジグリシジル誘導体(例えばCiba Geigyが販売する「PY306」)から選択してもよい。他のエポキシ樹脂前駆体には、環状脂肪族化合物、例えば3’,3’−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えばCiba Geigyが販売する「CY179」)及びUnion Carbide Corporationの「Bakelite」に属するものが含まれる。
【0058】
比較的高粘度のエポキシ樹脂前駆体を、系の粘度を低下させるが硬化時に樹脂マトリクス内に組み込まれる適当な希釈剤、例えばオキセタンと組み合わせて使用してもよい。
【0059】
適当なシアン酸エステル樹脂前駆体は、一般式:NCOAr(ZyArxnOCNの1種以上の化合物及びオリゴマー、並びに/又はポリシアン酸エステル、並びにこれらの組み合わせから選択してもよい。式中、Arは単環のもしくは縮合した芳香族化合物又は置換芳香族化合物及びこれらの組み合わせであり、それらはオルト、メタ及び/又はパラ位で連結する核間にあり、yは0〜2、x及びnはそれぞれ0〜5である。Zは、酸素、カルボニル、硫黄、硫黄酸化物、化学結合、オルト、メタ及び/もしくはパラ位で連結する芳香族基、並びに/又はCR2(式中、R1及びR2は、水素、フッ素化アルカンのようなハロゲン化アルカン、及び/又は置換芳香族、及び/又は炭化水素単位(その炭化水素単位には単結合又は多重結合があり、R1及び/又はR2のそれぞれについて最大20個の炭素原子からなる))、並びにP(R34R’45)(式中、R3は、アルキル、アリール、アルコキシ又はヒドロキシ、R’4はR4と同じであってよく単結合酸素又は化学結合であって、R5は2重結合酸素又は化学結合である)、又はSi(R34R’45)(式中、R3、及びR4とR’4は上記P(R34R’45)に定義したものであり、R5は上記R3と同様に定義される)からなる群から選択される連結単位である。それらの例として、Ciba Geigyの販売するArocyに属するシアン酸エステル類が挙げられるだろう。必要に応じて、熱硬化性樹脂は、フェノール/ホルムアルデヒド誘導体ノボラック又はそれらのジシクロペンタジエン誘導体のシアン酸エステルから本質的になっていてもよい。それらの例は、Dow Chemical Companyの販売するXU71787である。
【0060】
本発明の第2の実施態様の他の形態において、反応性誘導体は、付加重合樹脂前駆体を好ましくは含む。
【0061】
より詳細には、反応性前駆体は、アクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステル、又はそれらの混合物から好ましくは選択される、少なくとも1種の(メタ)アクリレート前駆体を含む。好ましくは、エステルのアルキル基は、環状アルキル基を含むC1〜C18アルキル、より特別にはC1〜C14アルキル、とりわけC1〜C10アルキルから選択される。反応性前駆体は、単一の(メタ)アクリル酸エステル、又は(メタ)アクリル酸エステルの混合物であってよい。さらに、本発明の分散体を用いて調製した最終反応混合物は、必要とする最終ポリマー特性に応じて他の反応性種を少量含有してもよい。そのような他の反応性種の例として、アクリル酸及びメタクリル酸、他の(メタ)アクリル酸エステル、スチレンを含むビニル化合物、並びにこれらの誘導体が挙げられる。(メタ)アクリレート前駆体の重合の引き金となるフリーラジカル開始剤には、アゾ化合物及び過酸化化合物が含まれる。(メタ)アクリレートからなり、他の反応性種は任意で含まれうるが、開始剤が含まれている本発明の分散体を、キャストするか又は他の方法でフィルムに形成して、例えば加熱又は照射によって次に重合してもよい。その代わりに、(メタ)アクリレートからなり、他の反応性種は任意で含まれうるが、開始剤が含まれている本発明の分散体を、乳化重合又は懸濁重合して、得られたポリマーのビーズ及び/又は粒子を射出成形又はフィルムに形成してもよい。
【0062】
適当なビスマレイミド樹脂前駆体は、マレイミド基を反応性官能基として含有する熱硬化性前駆体である。本明細書で使用する「マレイミド」には、他に記載のない限り、モノ−、ビス−、トリス−、テトラキス−及びそれ以上の官能性マレイミドが含まれ、これらの混合物も含まれる。平均官能基数が約2のビスマレイミド樹脂が好ましい。このように定義したビスマレイミド樹脂は、マレイン酸無水物又は芳香族もしくは脂肪族のジアミン又はポリアミンの反応によって調製される。合成例は、例えば米国特許第3018290号、第3018292号、第3627780号、第3770691号及び第3839358号に見出すことができる。
【0063】
好ましいジアミン又はポリアミン前駆体には、脂肪族及び芳香族のジアミンが含まれる。脂肪族ジアミンは、直鎖、分岐又は環状であってよく、ヘテロ原子を含有してもよい。そのような脂肪族ジアミンの例として、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、デカンジアミン、ドデカンジアミン、及びトリメチルヘキサンジアミンが挙げられる。
【0064】
芳香族ジアミンは単核又は多核であってよく、縮合環系を含有してもよい。好ましい芳香族ジアミンは、フェニレンジアミン類;トルエンジアミン類;様々なメチレンジアミン類、特に4,4’−メチレンジアニリン;ナフタレンジアミン類;式:H2N−Ar[X−Ar]nNH2に対応する又は類似する様々なアミノ末端化ポリアリーレンオリゴマー(式中、Arはそれぞれ単核又は多核アリーレン基であってよく、Xはそれぞれ−O−、−S−、CO2−、−SO2−、−O−CO−、C1〜C10低級アルキル、C1〜C10ハロゲン化アルキル、C2〜C10低級アルキレンオキシ、アリーレンオキシ、ポリアルキレン又はポリオキシアリーレンであり、nは1〜10の整数);並びに1級アミノアルキル末端化ジ−及びポリ−シロキサン類である。それらの例として、Ciba Geigyの販売するMatrimidに属するビスマレイミド類、及びHos−technikの販売するHomideに属するものが挙げられるだろう。
【0065】
特に有用なのは、数種のビスマレイミドを含有するビスマレイミド「共融」樹脂前駆体混合物である。そのような混合物は、個々のビスマレイミドよりもかなり低い融点を一般に有している。そのような混合物の例は、米国特許第4413107号及び第4377657号に見出すことができる。いくつかのそのような共融混合物は市販されており、Mitsubishiの販売するBT樹脂が挙げられる。
【0066】
ポリウレタン前駆体は、多官能(すなわち少なくとも2官能)イソシアネート、及びポリオール又はイソシアネート基と反応する基を2つ以上含有する他の反応性種である。イソシアネート反応性前駆体は、脂肪族、環状脂肪族、芳香族又は多環化合物であってよい。ポリエステルポリオール及びポリエーテルを含む、ポリオール及び/又は他の反応性種は、適当な触媒の存在下、イソシアネート前駆体と反応可能であって、ポリウレタンを形成する。
【0067】
上述したように、本発明の分散体は、好ましくは固形成分を20質量%以下、より好ましくは固形成分を15質量%以下、より特別には固形成分を10質量%以下含有する。本発明の好ましい形態では、分散体は固形成分を5質量%以下含有する。分散体は、好ましくは固形成分を少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも0.5質量%含有する。通常分散体は固形成分を1〜3質量%含有する。
【0068】
本発明の分散体における、微粒子と有機的に修飾した層状無機種との質量比は、分散体の目的とする用途に応じて変化する。そのような分散体における微粒子の、有機的に修飾した層状無機種に対する質量比は、99:1〜1:99の範囲であってよい。微粒子の、有機的に修飾した層状無機種に対する比率は、より好ましくは90:10以下であり、より特別には80:20以下であり、50:50又はそれ以下であってよい。反対に、その比率は好ましくは10:90以上であり、より特別には20:80以上である。
【0069】
本発明の分散体は、用途に応じて他の成分を含有してもよい。例えば、分散体は、微粒子、酸化防止剤、フィラー、可塑剤、強化材料、強化剤、及び本技術分野で周知の同様の添加剤を含有してもよい。組成物がそのような他の成分を含有するように調節する場合、上述の固形成分の範囲は、添加した固体の全量に適用される。
【0070】
本発明の分散体、特に本発明の第1の実施態様の分散体は、ポリマー種及び/又はポリマー種の反応性前駆体をさらに含有してもよい。ポリマー種及び/又はポリマー種の反応性前駆体は、液体有機媒体に溶解性であってよく、ポリマー種の反応性前駆体の場合は液体であってもよい。
【0071】
ポリマー種は、液体有機媒体に溶解性の、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、エラストマー及びこれらの混合物に由来するものであってよい。ポリマーは、ポリアルキレン、ポリビニルポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ビスマレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂及びポリオキサゾリンから選択してもよい。一部の用途では、本発明のこの実施態様に有用なポリマーを、熱可塑性の、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、炭化水素樹脂、フルオロエラストマー樹脂及びセルロース樹脂;並びに熱硬化性の、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、及びアルキド樹脂からなる群の、少なくとも1種から選択してもよい。ポリマー種は、微粒子と、有機的に修飾した層状無機種とを溶媒に分散した分散体を、分散体中にポリマーを溶解するかあるいはポリマーの別の溶液をその分散体と混合することのいずれかによって、ポリマーと混合して作ってもよい。分散した微粒子を含有する得られたポリマー溶液を、溶剤キャスト、スピンコーティング、ドクターブレードなどのような任意の適当な処理によって、その後フィルムに形成してもよい。溶媒除去は、任意の従来の手段、例えば熱、減圧などの適用によって促進することができる。
【0072】
ポリマー種の反応性前駆体は、液体有機媒体と相溶性の反応性前駆体に由来してもよい。液体有機媒体自体が反応性前駆体である場合、ポリマー種の反応性前駆体が、その反応性前駆体と共重合可能であってもよく、あるいは別のポリマー種を形成してもよい。ポリマー種の反応性前駆体は上述したようなものであってよく、これらの反応性前駆体は、付加重合樹脂(例えば(メタ)アクリレート、ビスマレイミド及び不飽和ポリエステル)、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、イソシアネート樹脂(ポリウレタン)、もしくはホルムアルデヒド縮合樹脂(例えば尿素、メラミン又はフェノール樹脂)、又はこれらの混合物の前駆体から選択してもよい。
【0073】
分散体が溶媒を含む本発明の第1の実施態様では、ポリマー種及び/又はポリマー種の反応性前駆体は、分散体から溶媒を除去した後に、フィルム及び他の構造体において微粒子のバインダーとして機能する。
【0074】
本発明の分散体は、特にインク、塗料、形成フィルム及びコーティングのような用途に特に有用である。
【0075】
本発明の分散体には特別な実用性がある。そのような分散体は低粘度であって、特定の用途に「調整(tuned)」した粘度を有することが可能である。例えば、単に微粒子/有機粘土の含量を増加すると分散体の粘度が増加する。従って、低粘度分散体は、インクジェット及びスプレーコーティング用途に利用することができ、中粘度分散体はディップコーティング用途に利用することができ、高粘度分散体はカレンダー、スクリーン印刷及びドクターブレードフィルム形成用途に利用することができる。
【0076】
従って、本発明の第3の実施態様において、構造体は、微粒子と、有機的に修飾した層状無機種と、必要に応じて有機ポリマー成分とを含み、有機ポリマー成分が存在する場合、その粒子及びその種を合わせた合計質量の50質量%未満で含まれる。
【0077】
また、本発明の第4の実施態様において、構造体は、高アスペクト比の粒子である微粒子と、有機的に修飾した層状無機種と、必要に応じて有機ポリマー成分とを含み、有機ポリマー成分が存在する場合、その粒子及びその種を合わせた合計質量の50質量%未満で含まれ、微粒子は少なくとも部分的に配向している。
【0078】
本発明の第3及び第4の実施態様によるそのような構造体では、微粒子は、金属及び金属酸化物粒子、炭素粒子、伝導性ポリマー粒子;機能性及び非機能性のフィラー及び添加剤、着色剤、顔料、硬化剤、触媒、並びにカプセル化システムから選択される。
【0079】
より詳細には、そのような構造体において、微粒子は導電性粒子から選択され、好ましくは金属及び金属酸化物粒子、並びに/又は炭素粒子から選択される。本発明の特に好ましい構造体では、微粒子は炭素粒子であり、特に炭素粒子はカーボンナノチューブ又はカーボンブラックから選択される。
【0080】
本発明の第3及び第4の実施態様の好ましい形態では、微粒子はカーボンナノチューブである。
【0081】
本発明の第3及び第4の実施態様における好ましい構造体は、上述の微粒子及び上述の種から本質的になる。
【0082】
本発明の第3及び第4の実施態様の代替形態では、ポリマー種が存在する場合、そのポリマー種は構造体の35質量%未満を構成し、より特別には構造体の25質量%未満を構成する。好ましくは、ポリマー種は構造体の少なくとも1質量%を構成し、より好ましくは構造体の少なくとも5質量%、特別には構造体の少なくとも10質量%を構成する。
【0083】
本発明の第5の実施態様において、構造体は、導電性微粒子と、有機的に修飾した層状無機種と、構造体の合計質量の少なくとも50質量%を構成する有機ポリマー成分とを含み、その構造体の電気的浸透限界(electrical percolation threshold)は有機的に修飾した層状無機種が存在しない等価構造体よりも低く、その構造体の透過率は有機的に修飾した層状無機種が存在しない等価構造体よりも高い。
【0084】
本発明の第5の実施態様による構造体の好ましい形態では、ポリマー成分は、構造体の80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、より特別には90質量%以上を構成する。より特別には、ポリマー成分は構造体の95質量%以上を構成する。通常ポリマーマトリクスは構造体の97〜99質量%である。
【0085】
本発明の第5の実施態様による構造体の好ましい形態では、微粒子は、金属及び金属酸化物微粒子、並びに/又は炭素粒子から好ましくは選択される。本発明の第5の実施態様による特に好ましい構造体では、微粒子は炭素粒子であり、特に炭素粒子はカーボンナノチューブ又はカーボンブラックから選択され、より特別には微粒子はカーボンナノチューブである。
【0086】
当然のことながら、本発明の構造体中の有機的に修飾した層状無機種は、本発明の分散体に関して本明細書で上述したものである。
【0087】
本発明の構造体はフィルムであってよい。フィルムは連続、すなわち深さに対して非常に大きい幅及び長さを有していてよく、あるいは不連続、すなわち長さ及び/又は深さに対してさほどではない幅を有していてもよい。後者の形態では、フィルムを電気又は電子回路と同じように並べてもよく、そのような回路の部品間の接続を形成してもよい。フィルムの厚さは1〜40μm程度であってよいが、より厚いフィルムを作ってもよい。そのようなフィルムの導電率は、10-7〜100Scm-1の範囲であってよく、より特別にはフィルムの導電率は少なくとも1Scm-1、より好ましくは少なくとも10Scm-1、特に少なくとも50Scm-1であってよい。
【0088】
本発明の構造体は、好ましくは耐摩耗性である。
【0089】
本発明の構造体が伝導性微粒子を含む場合、微粒子の、有機的に修飾した層状無機種に対する質量比は、好ましくは99:1〜10:90の範囲である。好ましくは、その質量比は90:10以下であり、より好ましくは80:20以下であり、より特別には70:10以下である。好ましくは範囲の反対側において、その質量比は少なくとも10:90であり、より好ましくは少なくとも20:80、より特別には30:70である。従って、微粒子の、有機的に修飾した層状無機種に対する質量比について好ましい範囲は、90:10〜10:90、より好ましくは70:30〜20:80、より特別には70:30〜30:70である。特に好ましい範囲は70:30〜60:40である。
【0090】
本発明の構造体は、自立しているか、あるいは適当な基材に支持されていてもよい。基材自体は伝導性又は非伝導性であってよく、ポリマー、有機物及び無機物の両方、無機材料、並びに金属で作られた基材が挙げられる。本発明の構造体は他の構造体の表面上に形成してもよく、他の構造体と一体化してもよく、ここで本発明の分散体は、そのような他の構造体、例えば布帛を含浸してプリプレグを形成するために使用されている。本発明の構造体は多層構造体、例えば2層以上からなる積層体の一部を形成してもよい。他の層は絶縁性又は伝導性であってよく、後者の場合、他の伝導性物質を含有してもよく、あるいは他の伝導性物質からなっていてもよい。
【0091】
詳述することのみを目的として、以下の例及び添付図を参照し本発明をこれから説明する。
【実施例】
【0092】
以下の例では、次の粒子状物質を使用した。
【0093】
カーボンナノチューブ:例で使用したカーボンナノチューブは表1に詳細を示すものであった。MWNTは全て化学気相堆積(CVD)プロセス経路によって得た。SWNTは触媒経路によって得た。
【0094】
カーボンブラック:例で使用したカーボンブラックをDegussaから入手した。その平均粒径は約20nmである。
【0095】
フラーレン:例13で使用したフレライト(fullerite)(バックミンスターフラーレン(C60)及び(6,6)−フラーレン(C70)のC60:C70(9:1)混合前駆体)をAldrichから入手し、その粒径は1nm未満であった。
【0096】
【表1】

【0097】
インジウムスズ酸化物:例7で使用したインジウムスズ酸化物は、ITO粒子を製造するための極低温プロセスを用いて出願人が製造した。ITO粒子の粒径は約30nmであったが、これら粒子は凝集する傾向があって、大きさが数μmの凝集体を生成した。
【0098】
ポリアニリン:例14で使用した伝導性ポリアニリンPANIをAldrichから入手した(エメラルド色の塩、平均分子量>15000、粒径が3〜100μmの不溶融性粉末)。
【0099】
金及び銀:例15で使用した金及び銀の粒子及びフレークをAldrichから入手した。金粒子の粒径は1.5〜3.0μm、銀粉末の粒径は2〜3.5nm、銀フレークの粒径は10μm未満、ナノサイズの銀の粒径は約100nmであったが、約1〜2μmに凝集する傾向があった。
【0100】
例では、以下の粘土を有機的に修飾した層状無機種として使用した。
【0101】
粘土:Southern Clay Products, Inc. (Gonzales, Texas, USA)から入手した、商品名Cloisite(登録商標)の有機親和性に修飾したモンモリロナイト及びそれらの改質物、改質剤濃度、並びに供給元から提供されたd001基底間隔を表2に示す。比較する目的で、Southern Clay Products, Inc.から、商品名Cloisite(登録商標)で同じく販売されている、親水性で非修飾のモンモリロナイトナトリウムも用いた。粘土は微粉末として入手し、平均粒径は8μmであった。入手した状態の粉末状粘土を、使用する直前に、真空下、100℃で2日間乾燥した。
【0102】
疎水性を増大する目的で、粘土を15A、20A、25A、10A、30B、NaMMTとする。
【0103】
【表2】

【0104】
溶媒:例1の表3に列記した溶媒は、全て工業グレード又は高純度グレードのいずれかであって、入手した状態で使用した。
【0105】
エポキシシステム:例8で使用したエポキシ樹脂は、EPON(商品名)828(Resolution Performance Products)として入手可能なビスフェノールAのジグリシジルエーテルであり、エポキシ当量は184〜190、比重は25℃で1.16gmL-1、分子量は約377gmol-1であった。使用した硬化剤は、Sigma−Aldrich Co. (Gillingham, Dorset, United Kingdom)から購入した4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)であった。
【0106】
メタクリレートシステム:例10の表9に列記したメタクリレートモノマーは、全てSigma−Aldrich Co. (Gillingham, Dorset, United Kingdom)から購入した。熱硬化開始剤は、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(Trigonox 29−B90(登録商標)、90%ジブチルフタレート溶液)であって、Akzo Nobel Polymer Chemicals BVから入手した。
【0107】
粘土又は微粒子と液体有機媒体との分散体の調製:溶媒系、エポキシ系、及びメタクリレート系の粘土又は微粒子の分散体サンプルは、所定量の粘土又は微粒子を一定量の液体有機媒体に添加し、それを手で1分混合して、粘土又は微粒子を液体全体に粗く分布させて作る。次にサンプルを、3000回転/分で運転する二重非対称遠心混合機(FlackTek SpeedMixer(商品名) DAC 150 FVZ、Hauschild Engineering, Germany)で、セラミックビーズ(イットリウムで安定化したジルコニアビーズ(直径2mm)、商品名Zirmilで販売されており、Saint−Gobain ZirPro (Zirconium Products)、Saint−Gobain Grains and Powder Divisionの一部門から入手可能)を20質量%用いて、2×5分間混合する。各サンプルの全質量は20gであった(セラミックビーズを除く)。
【0108】
粘土/液体有機媒体のサンプルを上述のように調製した。次に、所定量の微粒子を各サンプルに添加して、サンプルの中に手で混合した。次に、遠心混合機を用いてサンプルをさらに2×5分間混合して、微粒子を分散した。各サンプルの全質量は20gであった(セラミックビーズを除く)。
【0109】
硬化したエポキシ系カーボンナノチューブ/有機粘土バルクサンプルの調製:上述の方法によるエポキシ前駆体分散体サンプルからセラミックビーズを取り除いた後に、熱硬化剤を、エポキシドモノマー1に対して硬化剤を0.77とするモル比で添加した。遠心混合機を用いて3000回転/分でさらに2×5分間混合することによって、硬化剤を混合物中に分散した。エポキシ系サンプルは、メタクリレート開始剤(〜1質量%)(下記参照)と比べて、エポキシ硬化剤(〜24質量%)は固体の性質を持つため、追加の混合が必要であった。しかしながら、エポキシ前駆体は非常に高い初期粘度を有するものの、全ての混合物の流動性は高いままであり、硬化するためにステンレススチールパンに注いだ。混合物の熱硬化を180℃のオーブンで2時間、一定温度で行った。
【0110】
メタクリレート系カーボンナノチューブ/有機粘土フィルムの調製:上述の方法によるメタクリレート分散体サンプルからセラミックビーズを取り除いた後に、熱硬化開始剤を1質量%添加し、その後遠心混合機を用いて3000回転/分で2分間さらに混合した。全ての混合物は引き続き低い粘度を示し、流動性が高いままであった。サンプルを硬化するためにステンレススチールパンに注いだ。混合物の熱硬化は、3つの連続する段階:120℃で0.5時間、140℃で0.5時間、150℃で1時間行った。
【0111】
サンプルの導電率測定
1.導電率が10-3Scm-1までのサンプルから作られたフィルムの4探針導電率測定:サンプルをヤスリがけして研磨し、銀の導電性ペーストを含む4つの電極を適用した。サンプルの導電率を、Jandelユニバーサルプローブと接続したKeithley Instruments 610C ソリッドステート電位計を用いて、4探針導電率測定法により測定した。
2.導電率が10-3〜10-6Scm-1の範囲のサンプルから作られたフィルムの2探針導電率測定:サンプルをヤスリがけして研磨し、銀の導電性ペーストを含む2つの電極を適用した。サンプルの導電率を、Philips Pm 2518 RMS マルチメーターを用いて2探針導電率測定法により測定した。
3.導電率が10-7〜10-15Scm-1の範囲の硬化したサンプルの2探針導電率測定:サンプルをヤスリがけして研磨し、銀の導電性ペーストを含む2つの電極を適用した。サンプルの導電率を、Keithley Instruments 610C ソリッドステート電位計を用いて2探針導電率測定法により測定した。
【0112】
サンプルの表面抵抗率は、導電率から計算した。
【0113】
サンプルの透過率測定:(必要に応じて所望の厚さになるようテープを重ねた)厚さ25ミクロン以上の接着テープを、標準的な顕微鏡用ガラススライドの各長辺に適用して、各スライド上のそのテープ間に流路を画定した。試験する未硬化のサンプルを、別の顕微鏡用ガラススライドを用いてテープ間の流路に引き込んで、流路を画定するテープの厚さに応じて25ミクロン以上の厚さのフィルムを作製した。Varian Cary 1C 紫外・可視分光光度計及び、Labsphereの積分球(DRA−CA−301)を用いて、550nmで透過率を速やかに記録した。
【0114】
例1:上述の方法により粘土/溶媒のサンプルを作製した。使用した溶媒を以下表3に列記する。サンプルは粘土を0.4g、すなわち2質量%、及び溶媒を19.6g含有していた。サンプルからセラミックビーズを除去した後、ある量の各サンプルをガラスバイアルに入れた(その量はバイアルの体積の約80%〜90%を占めるのに十分であった)。サンプルを収容したバイアルを動かさずに4日間(96時間)放置し、その後バイアル中のサンプルの高さを、バイアル中の目に見える沈殿物の高さと一緒に測定した。目に見える粘土の沈殿物がない場合、沈殿物の高さはサンプルの高さと等しいものとした。そして、沈殿した体積すなわち堆積物の高さを、サンプルの全高のパーセントとして表した。結果を表3に示す。
【0115】
少なくともいくつかのバイアルを60日後に再測定し、その結果を表3の括弧内に示す。
【0116】
各サンプルを少量取って、Nikon Optiphot−Pol 光学顕微鏡で観察した。交差偏光を用いた場合であってもサンプルが光学的に透明であるならば、有機粘土が高度にインターカレートされている及び/又は膨張していることを示唆しうる。約100%及び若干低い程度のサンプルがそのような挙動を示す傾向があった。
【0117】
粘土が高度にインターカレートされている及び/又は膨張している場合、粘土がバイアル中の分散体の有効体積を視覚的に満たす、すなわち100%という数値を与えたために、粘土サンプルを使用するのに都合のいい量は2質量%であった。反対に、粘土をより少ない質量パーセントとすると、サンプル体積を満たすのに十分な粘土が存在せず、粘土が高度にインターカレートされている及び/又は膨張しているにも拘わらず、バイアル中の沈殿物の上に溶媒の視覚的に透明な部分が生じた、すなわちサンプル体積を満たすのに十分な粘土が存在していなかった。さらに、トルエンのサンプルを収容した1組のバイアル(4日間の沈降後)を図1に示す。
【0118】
パーセントの数字は、分散体の量、並びに溶媒中の粘土のインターカレーション及び/又は膨張の量を示している。注目すべきは、溶媒単体と比較して、多くの例で粘土は分散体の粘度をわずかに増加させたものの、全ての分散体が低粘度であって流動性が高かったことである。10A有機粘土と、トルエン、クロロホルム及びo−キシレン溶媒との分散体のみが、顕著な程度のゲル化を示したものの、それでもこれらの有機粘土/溶媒分散体を注ぐことは可能であった。カーボンナノチューブをそのような分散体に添加しても、分散体の粘度に明らかな違いは生じなかった。
【0119】
この結果は、上記参照した文献に記載されている、J A Johnsonによって得られた高粘度ゲルネットワークとは対照的である。文献に記載されているように、分散したカーボンナノチューブ、粘土及び溶媒は、粘ちょうなゲルネットワークを形成するため、適当な分散剤/界面活性剤を添加して破壊し、低粘度流体に変換する必要がある。
【0120】
【表3】

【0121】
例2:サンプルSol−1(CNT−A 1質量%)、Sol−2(CNT−A 1質量%+有機粘土10A 0.1質量%)及びSol−3(CNT−A 1.0質量%+有機粘土10A 1.0質量%)を、トルエン中で上述のように作製した。1g及び2gの一定分量をそれぞれステンレススチール皿に加えて、真空下、40℃でトルエンを蒸発除去した。
【0122】
サンプルを収容する皿の写真を図2に示す。上段は溶媒を蒸発させる前に分散体を1g入れた皿であり、下段は溶媒を蒸発させる前に分散体を2g入れた皿である。見て分かるように、皿に加えたサンプル量はカーボンナノチューブの乾燥フィルムの外観に影響を与えることが明らかである。しかしながら、Sol−1(有機粘土が存在しない)は顕著な「泥割れ」、すなわち乾燥したときに泥に見られる割れと同様の割れを、皿に入れた両方のサンプル量で示すことは極めて明らかである。Sol−2及びSol−3ではSol−1と比べて顕著に改善され、特にのSol−2 2g、及びSol−3 1g及び2gの両方は、カーボンナノチューブのコヒーレントフィルムを示す。
【0123】
例3:分散体のサンプルを表4に示すようにトルエン中で作製した。各サンプルのカーボンナノチューブ及び/又は有機粘土の全質量は1質量%であり、残りはトルエンであった。例えば、50:50のサンプルはカーボンナノチューブ0.5質量%及び有機粘土0.5質量%、ならびにトルエン99質量%を有していた。サンプルの一定分量をPETフィルム(前のDu Pont Teijin,Melinex 506,210×297mm,175μm厚)に置き、1ミル(25μm)の引っ張り棒を用いてフィルムを形成するように広げて、分散体の薄層を形成した。周囲条件下で排気付の棚の中でトルエンを蒸発除去した。得られたカーボンナノチューブ/有機粘土フィルムの導電率を測定した結果を表4に示す。
【0124】
フィルム1、2及び4の写真を図3及び4に示す。図4に示すように、フィルムをピンセットで引っかいた。フィルム2及び4から見て分かるように、有機粘土は、良好で薄いフィルムを形成可能にすることに加えて、フィルムにかなりの量の引っかき抵抗性を付与する。有機粘土を含有するフィルムは実質的に均質で粉状に非常になりにくいことも観察された。
【0125】
フィルム4を破壊してその端部を走査型電子顕微鏡で調べた。SEM顕微鏡写真(図5参照)は、カーボンナノチューブがフィルム内部である程度の配向を有している様子を示しており、ナノチューブは粘土小板層の間に配向していた。
【0126】
【表4】

【0127】
例4:ポリスチレン(前Aldrich)0.20質量%でトルエン0.20質量%を置き換えて(フィルム2A及び4A)、最終フィルムのポリマー含量を20質量%とした以外は、例3をフィルム2及び4について繰り返した。得られたカーボンナノチューブ/有機粘土/ポリスチレンフィルムの導電率を測定した結果を表5に示す。ここには、フィルムについてポリマーバインダーの有無を比較するために、フィルム2及び4の結果も含まれている。
【0128】
【表5】

【0129】
例5:カーボンナノチューブCNT−C、CNT−D及びカーボンブラック(「CB」)(前Degussa)を用いた以外は、表6に示す比率について例3を繰り返した。得られたカーボンナノチューブ/有機粘土フィルムの導電率を測定した結果を表6に示す。
【0130】
【表6】

【0131】
例6:サンプル中のカーボンナノチューブ及び/又は有機粘土の全質量を3質量%、残りをトルエンとした以外は、例3を繰り返した。CNT−A/10Aは50:50であった。プラスチックプローブを得られた分散体中に浸し、取り除いてから排気付の棚の中で周囲条件下一晩トルエンを蒸発すると、プローブの端部に薄いコーティングが残った(図6を参照)。
【0132】
例7:表7に示すように、有機粘土10Aあり及びなしのITOを両方用いて例3を繰り返した。有機粘土なしの場合、ITOはトルエン中に分散しにくく、速やかに沈降した。有機粘土ありの場合、ITOはトルエン中に良好に分散し、分散体は安定であった。
【0133】
【表7】

【0134】
例8:上述の方法によって、表8に詳細を示すようにエポキシ前駆体分散体サンプルを作製した。全ての例において、エポキシ前駆体の粘度は、分散体中の粘土及び/又はCNTの目に見える沈降を防ぐのに十分高かった。
【0135】
各サンプルを数滴、顕微鏡用のガラススライドの間に閉じ込めて、通常光及び交差偏光の両方の下、Nikon Optiphot−Pol 光学顕微鏡で観察した。サンプルは、混合した時点と時間が経過した後に観察した。いくつかのサンプルは、上述のように硬化も行った。顕微鏡観察結果のいくつかの写真を図7〜14に示す。
【0136】
サンプルEpoxy−1〜Epoxy−4(図7参照)は、粘土の様々なインターカレーション/膨張量を示す。目で見える粘土の積層物/凝集物、及び偏光を用いて撮影した顕微鏡写真に示される結晶度から見て分かるように、サンプルEpoxy−1、すなわち未修飾粘土は、実質的に結晶の状態であって有意なインターカレーションは起こっていなかった。対照的に、サンプルEpoxy−2〜4は様々な量のインターカレーション/膨張を示し、インターカレーション/膨張量の順序は、Epoxy−3<Epoxy−4<Epoxy−2であった。これらのサンプルのインターカレーション/膨張はX線回折を用いることによっても確認した。
【0137】
カーボンナノチューブを含有するサンプルEpoxy−5〜8でも同様の傾向が観察され、カーボンナノチューブがサンプル全体に分散されている(図8を参照)。
【0138】
【表8】

【0139】
サンプルEpoxy−6及びEpoxy−7を、60分間放置してから再度観察した。サンプルEpoxy−6及びEpoxy−7の両方とも良好に分散したままであり(図9参照)、サンプルEpoxy−7の場合、粘土のインターカレーション量が非常に低いためカーボンナノチューブの再凝集がいくらか起こるであろうと予想されるにも拘わらず、カーボンナノチューブの再凝集の兆候は見られなかった。
【0140】
対照的に、サンプルEpoxy−9及びEpoxy−10(それぞれ図10及び11を参照)では、有機粘土成分のないエポキシ前駆体中のカーボンナノチューブは、経時で明らかに再凝集することが示されている。
【0141】
当然のことながら、これらのサンプルの粘土量は5質量%と比較的高く、伝導性の存在及び良好な光学的可視性を必要とする多くの用途の場合、そのような量の粘土は除外される。
【0142】
しかしながら、インターカレートしている/膨張している有機粘土の場合、非常に少量の有機粘土でも、カーボンナノチューブの再凝集に大きな影響を与えうることが分かっている。従って、有機粘土とカーボンナノチューブとの質量比が1:10であるサンプルEpoxy−12(図13を参照)では、目に見えるカーボンナノチューブの再凝集は経時で見られなかった。対照的に、少量の未修飾粘土を使用した場合、すなわちサンプルEpoxy−11(図12を参照)の場合、カーボンナノチューブの再凝集が起こった。
【0143】
エポキシ前駆体分散体の硬化を、成分を混合して分散体を形成した直後に開始した場合であっても、粘土がないとカーボンナノチューブの再凝集は起こる。これは、上述のサンプルEpoxy−10及びEpoxy−12の一部を硬化することによって示された。図14を参照すると、硬化中にサンプルEpoxy−10においてカーボンナノチューブの再凝集が起こった一方で、サンプルEpoxy−12の硬化したサンプルにおいてカーボンナノチューブは分散したままであったことがはっきりと示されている。硬化したフィルムの厚さは100〜200μm程度であった。
【0144】
サンプルEpoxy−13はサンプルEpoxy−12と同様に試験した。
【0145】
サンプルEpoxy−14及びEpoxy−17は、分散体及び硬化形態の両方において、経時でカーボンナノチューブの再凝集を示した。
【0146】
サンプルEpoxy−15及びEpoxy−16は、分散体及び硬化形態の両方において、カーボンナノチューブは分散したままであった。
【0147】
例9:エポキシ系分散体サンプルを作製し、その一部を、上述の方法によって表9に詳述するように硬化した。
【0148】
【表9】

【0149】
表9を参照すると、カーボンナノチューブCNT−Aのみを含有する、硬化したエポキシ樹脂の浸透限界はカーボンナノチューブの約0.5質量%であるのに対し(サンプルEpoxy−18〜Epoxy−22)、有機粘土10A 5質量%の場合、硬化した樹脂は本質的に非導電性である(サンプルEpoxy−23〜Epoxy−27)。有機粘土量を減らすと(サンプルEpoxy−28〜Epoxy−32)、有機粘土10Aを最大で約1質量%含有するサンプルについて浸透限界が回復することが示される。有機粘土10A 0.5質量%では、浸透限界を回復するために必要なカーボンナノチューブCNT−Aは0.5質量%より多い(サンプルEpoxy−33〜Epoxy−37)。ごく少量の粘土を含有する硬化したエポキシ樹脂は、カーボンナノチューブのみを含有する硬化したエポキシ樹脂と比較して、浸透限界が低いことが示される。さらに、ごく少量の有機粘土10Aを含有する前駆体分散体は、カーボンナノチューブのみ(それぞれ、サンプルEpoxy−38〜Epoxy−42、及びサンプルEpoxy−18〜Epoxy−22)又はより大量の粘土を含有するエポキシ前駆体分散体と比較して、透過率が改善していることが示される。
【0150】
カーボンナノチューブCNT−Bを含有するエポキシ前駆体分散体の硬化したサンプルは、カーボンナノチューブのみを含有する硬化したエポキシ樹脂と比較して、若干低い浸透限界を同様に示す。さらに、ごく少量の有機粘土10Aを含有する前駆体分散体は、カーボンナノチューブのみを含有するエポキシ前駆体分散体と比較して、透過率が改善していることが示される(それぞれ、サンプルEpoxy−48〜Epoxy−52、及びサンプルEpoxy−43〜Epoxy−47)。
【0151】
サンプルEpoxy−45/Epoxy−45A及びEpoxy−50/Epoxy−50Aが示すように、硬化剤で分散体を希釈すると、上述の透過率はより一層改善する。
【0152】
サンプルEpoxy−53及びEpoxy−54は比較のために示す。
【0153】
このように本発明の分散体は、特に硬化剤を添加した希釈の影響が効果を発揮する場合に、透過率の改善と組み合わせて浸透限界の減少をもたらすことが分かる。
【0154】
例10:上述の方法によりメタクリレート分散体サンプルを作製した。使用したメタクリレートを以下表10に列記する。サンプルは粘土を0.4g、すなわち2質量%、及びメタクリレートモノマーを19.6g含有していた。サンプルからセラミックビーズを除去した後に、ある量の各サンプルをガラスバイアルに入れた(その量はバイアルの体積の約80%〜90%を占めるのに十分であった)。サンプルを収容したバイアルを動かさずに4日間(96時間)放置し、その後バイアル中のサンプルの高さを、バイアル中の目に見える沈殿物の高さと一緒に測定した。目に見える粘土の沈殿物がない場合、沈殿物の高さはサンプルの高さと等しいものとした。そして、沈殿した体積すなわち堆積物の高さを、サンプルの全高のパーセントとして表した。結果を表10に示す。加えて、イソボルニルメタクリレートのサンプルを収容した一組のバイアルを図15に示す。いくつかのサンプルは沈殿物及び浮遊部分の両方を含んでおり、沈殿物及び浮遊部分を足した高さのパーセントを表10の括弧内に示す。
【0155】
各サンプルを少量取って、Nikon Optiphot−Pol 光学顕微鏡で観察した。交差偏光を用いた場合であってもサンプルが光学的に透明であることは、その場合粘土が高度にインターカレートされている及び/又は膨張していることを示唆した。約100%及び若干低い程度のサンプルがそのような挙動を示す傾向があった。
【0156】
【表10】

【0157】
例11:表11に示すように、イソボルニルメタクリレート(iBMA)及びエチルメタクリレート(EMA)を用いてサンプルを作製した。
【0158】
【表11】

【0159】
有機粘土を含まないサンプルMeth−1〜Meth−4及びMeth−11〜Meth−14は、カーボンナノチューブの分散性が非常に低かったが、カーボンナノチューブのさらなる再凝集の発生は観察されなかった。カーボンナノチューブの分散性は、有機粘土の添加により改善され、その改善は有機粘土の添加量に比例した(サンプルMeth−5〜Meth−10及びMeth−15〜Meth−18)。
【0160】
サンプルMeth−1にpoly−iBMA 5質量%を追加しても、カーボンナノチューブの分散性は改善されず、poly−iBMA 10質量%ではさらにカーボンナノチューブの再凝集を生じさせた。
【0161】
例12:表12に示すように、溶媒及びカーボンブラックを用いてサンプルを作製した。
【0162】
【表12】

(顕微鏡写真を混合直後に撮影した)図16及び17から見て分かるように、有機粘土がない場合(サンプルCB−1及びCB−3)、カーボンブラックは溶媒中にあまり分散せず速やかに沈降したのに対し、有機粘土がある場合(サンプルCB−2及びCB−4)、カーボンブラックは良好に分散し、分散体は少なくとも1週間安定であった。
【0163】
特に、ポリマーバインダーの反応性前駆体、例えばエポキシ樹脂前駆体及び硬化剤を組み合わせた場合、本発明のそのような分散体は、サーマルインクジェットプリンター用途に有用性が見出される場合がある。そのような用途では、通常、インク粘度は20cP以下でなければならず、粒径は5μm以下でなければならない。溶媒/反応性前駆体の溶液を用いると、カーボンブラックは良好に分散せず、ほとんど即座に沈降する。沈降防止剤を添加した場合であっても沈降速度は減少するものの、そのような分散体の可使寿命、例えば最低8時間シフト、好ましくは24時間を通してカーボンブラックの沈降はなくならない。
【0164】
本発明の分散体は、明らかにそのような問題を克服する。
【0165】
例13:フレライト 0.2質量%を用い、メチルエチルケトン及びトルエンを溶媒として用いて、粘土なし及び粘土10A 2質量%の両方についてサンプルを作製した。いずれの場合も、フレライトサンプルの分散体は、有機粘土の添加により改善された。
【0166】
メチルエチルケトンを溶媒として用いた場合、1週間後のバイアル観察によると、有機粘土がない場合、分散体はバイアルの底に沈殿物を伴って曇っていたが、有機粘土がある場合、分散体は若干沈降していた、すなわち液体の全体積の87%を占めていたものの、明らかな沈殿物は生じておらず色は均一であった。
【0167】
トルエンはフラーレン用の既知の溶媒である。従って両方のサンプルは、一週間後であっても透明で、暗赤色の溶液であった。しかしながら混合後に溶液を観察すると、有機粘土のないサンプルは、有機粘土のあるサンプルと比較して、大量の分散していないフレライトの凝集体が明らかにあった(図18を参照)。
【0168】
例14:伝導性ポリアニリン粒子 0.2質量%を用い、トルエンを溶媒として用いて、粘土なし及び粘土10A 2質量%の両方についてサンプルを作製した。有機粘土がない場合、ポリアニリンは溶媒中にあまり分散せず速やかに沈降したのに対し、有機粘土がある場合、ポリアニリンは良好に分散し、分散体は少なくとも1週間安定であった(図19を参照、一週間後に撮影)。
【0169】
例15:表13に示すように、金及び銀粒子(表13中それぞれAu及びAg)を用い、トルエンを溶媒として用いて、粘土なし及び有機粘土10A 2質量%の両方についてサンプルを作製した。
【0170】
【表13】

【0171】
粘土がない場合、全ての例においてサンプルAu−1、Ag−1、Ag−3及びAg−5は、混合後に顕微鏡で観察したところ粒子が大量に凝集してあまり分散していなかった。これはサンプルAu−1に特に顕著であった。これらのサンプルでは、粒子は速やかに沈降した。
【0172】
対照的に有機粘土がある場合、サンプルAu−2、Ag−2、Ag−4及びAg−6は、混合後に顕微鏡で観察したところ全て良好に分散していた。これらのサンプルは、混合後少なくとも4日間は安定な分散体のままであった。
【0173】
これらの例から、本発明での使用に適当な液体有機媒体は、合計のハンセン溶解度パラメータが14〜24、より好ましくは16〜23、より特別には16〜23にあることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】例1に説明した分散体サンプルを収容する1組のバイアルの写真である。
【図2】例2に説明したカーボンナノチューブフィルムの1組の写真である。
【図3】例3に説明したカーボンナノチューブフィルムの写真である。
【図4】例3に説明したカーボンナノチューブフィルムの写真である。
【図5】例3に説明したフィルムのうち1つの、走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】例6に説明した、一端をディップコートしたフィルムを有するプローブの写真である。
【図7】例8に内容を説明した、サンプルEpoxy−1〜Epoxy−4の顕微鏡写真であり、各写真は非偏光下(左側)及び偏光下(右側)でのサンプルを示す。
【図8】例8に内容を説明した、サンプルEpoxy−5〜Epoxy−7の顕微鏡写真であり、各写真は非偏光下(左側)及び偏光下(右側)でのサンプルを示す。
【図9】例8に内容を説明した、サンプルEpoxy−7の顕微鏡写真であり、各写真は非偏光下(左側)及び偏光下(右側)でのサンプルを示す。
【図10】例8に内容を説明した、サンプルEpoxy−9の顕微鏡写真であり、各写真は非偏光下でのサンプルを示す。
【図11】例8に内容を説明した、サンプルEpoxy−10の顕微鏡写真であり、各写真は非偏光下でのサンプルを示す。
【図12】例8に内容を説明した、サンプルEpoxy−11の顕微鏡写真であり、各写真は非偏光下でのサンプルを示す。
【図13】例8に内容を説明した、サンプルEpoxy−12の顕微鏡写真であり、各写真は非偏光下でのサンプルを示す。
【図14】例8に内容を説明した、サンプルEpoxy−10及び12の硬化したフィルムの顕微鏡写真であり、各写真は非偏光下でのサンプルを示す。
【図15】例10に説明した分散体サンプルを収容する1組のバイアルの写真である。
【図16】例12に内容を説明したサンプルの顕微鏡写真である。
【図17】例12に内容を説明したサンプルの顕微鏡写真である。
【図18】例13に内容を説明したサンプルの顕微鏡写真である。
【図19】例14に説明した分散体サンプルを収容する1組のバイアルの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散体の少なくとも50質量%を構成する有機溶媒と、該分散体の20質量%以下を構成する固形成分とを含む非水系分散体であって、該固形成分は、微粒子と、該溶媒によって分散可能な有機的に修飾した層状無機種と、必要に応じて、該溶媒に溶解性の有機ポリマー種及び/又は有機ポリマー種の反応性前駆体とを含み、該ポリマー種及び/又はポリマー種の反応性前駆体が存在する場合、該固形分含量の50質量%未満を構成することを特徴とする、分散体。
【請求項2】
前記溶媒が前記分散体の少なくとも70質量%を構成する、請求項1に記載の分散体。
【請求項3】
前記固形成分が、前記分散体の15質量%以下、より特別には前記分散体の10質量%以下を構成する、請求項1又は2のいずれかに記載の分散体。
【請求項4】
前記固形成分が、前記分散体の5質量%以下を構成する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項5】
前記固形成分が、前記分散体の少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも0.5質量%を構成する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項6】
前記ポリマー種及び/又はポリマー種の反応性前駆体が存在する場合、前記固形分含量の35質量%未満、より特別には前記固形分含量の25質量%未満を構成する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項7】
前記ポリマー種及び/又はポリマー種の反応性前駆体が存在する場合、前記固形分含量の少なくとも1質量%、より好ましくは前記固形分含量の少なくとも5質量%、特に前記固形分含量の少なくとも10質量%を構成する、請求項1〜6のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項8】
微粒子の、前記種に対する質量比が、99:1〜1:99である、請求項1〜7のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項9】
微粒子の、前記種に対する質量比が、90:10以下であり、より特別には70:30以下である、請求項8に記載の分散体。
【請求項10】
微粒子の、前記種に対する質量比が、10:90以上であり、より特別には20:80以上である、請求項8又は9のいずれかに記載の分散体。
【請求項11】
前記微粒子が、金属及び金属酸化物粒子、炭素粒子、伝導性ポリマー粒子;機能性及び非機能性のフィラー及び添加剤、着色剤、顔料、硬化剤、触媒、並びにカプセル化システムから選択される、請求項1〜10のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項12】
前記微粒子が導電性粒子から選択される、請求項1〜11のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項13】
前記微粒子が、金属及び金属酸化物粒子、並びに/又は炭素粒子から選択される、請求項1〜12のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項14】
前記微粒子が炭素粒子である、請求項1〜13のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項15】
前記微粒子がカーボンナノチューブ又はカーボンブラックである、請求項1〜14のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項16】
前記有機的に修飾した層状無機種が、有機粘土又は有機的に修飾した層状複水酸化物を含む、請求項1〜15のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項17】
前記有機的に修飾した層状無機種が、天然又は合成の有機粘土である、請求項1〜16のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項18】
前記有機的に修飾した層状無機種が、有機アニオンで層間領域内部の無機アニオンが置換されている、合成及び天然の層状複水酸化物を含む、請求項1〜16のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項19】
前記有機的に修飾した層状無機種及び前記溶媒の組み合わせを、沈降体積が少なくとも50%又はそれ以上であるように選択し、該沈降体積は本出願明細書に記載するように測定される、請求項1〜18のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項20】
前記溶媒が、置換された炭化水素を含む、芳香族炭化水素及び環状脂肪族を含む脂肪族炭化水素、アルコール、環状エーテルを含むエーテル、芳香族及び芳香族−脂肪族エーテル、脂肪族、環状脂肪族、芳香族又は複素環のカルボニル化合物(特にケトン)、脂肪族及び芳香族のエステル及びアルコキシエステル(特にC1〜C6アルコキシエステル)、並びにこれらの混合物を含む群の有機溶媒から選択される、請求項1〜19のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項21】
前記溶媒が、ハロゲン置換炭化水素を含む脂肪族及び芳香族炭化水素、環状エーテルを含むエーテル、芳香族及び芳香族−脂肪族エーテル、脂肪族又は複素環ケトン、脂肪族及び芳香族のエステル及びアルコキシエステル(特にC1〜C6アルコキシエステル)、並びにこれらの混合物から選択される、請求項20に記載の分散体。
【請求項22】
前記溶媒が、イソヘキサン、トルエン、キシレン、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、アニソール、安息香酸メチル、2−ブトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項20又は21のいずれかに記載の分散体。
【請求項23】
前記ポリマー種及び/又はポリマー種の反応性前駆体が、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、エラストマー及びこれらの混合物に由来するポリマー種を含み、前記反応性前駆体が、付加重合樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、イソシアネート樹脂(ポリウレタン)、もしくはホルムアルデヒド縮合樹脂、又はこれらの混合物の前駆体から選択される、請求項1〜22のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項24】
分散体の少なくとも50質量%を構成する有機ポリマー種の液体反応性前駆体と、該分散体の20質量%以下を構成する固形成分とを含む非水系分散体であって、該固形成分は、微粒子と、該反応性前駆体によって分散可能な有機的に修飾した層状無機種とを含むことを特徴とする、分散体。
【請求項25】
前記固形成分が、前記分散体の15質量%以下、より特別には前記分散体の10質量%以下を構成する、請求項24に記載の分散体。
【請求項26】
前記固形成分が、前記分散体の5質量%以下を構成する、請求項24又は25のいずれかに記載の分散体。
【請求項27】
前記固形成分が、前記分散体の少なくとも0.1質量%、より好ましくは少なくとも0.5質量%を構成する、請求項24〜26のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項28】
微粒子の、前記種に対する質量比が、99:1〜1:99である、請求項24〜27のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項29】
微粒子の、前記種に対する質量比が、90:10以下であり、より特別には70:30以下である、請求項28に記載の分散体。
【請求項30】
微粒子の、前記種に対する質量比が、10:90以上であり、より特別には20:80以上である、請求項28又は29のいずれかに記載の分散体。
【請求項31】
前記微粒子が、金属及び金属酸化物粒子、炭素粒子、伝導性ポリマー粒子;機能性及び非機能性のフィラー及び添加剤、着色剤、顔料、硬化剤、触媒、並びにカプセル化システムから選択される、請求項24〜30のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項32】
前記微粒子が導電性粒子から選択される、請求項24〜31のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項33】
前記微粒子が、金属及び金属酸化物粒子、並びに/又は炭素粒子から選択される、請求項24〜32のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項34】
前記微粒子が炭素粒子である、請求項24〜33のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項35】
前記微粒子がカーボンナノチューブ又はカーボンブラックである、請求項24〜34のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項36】
前記有機的に修飾した層状無機種が、有機粘土又は有機的に修飾した層状複水酸化物を含む、請求項24〜35のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項37】
前記有機的に修飾した層状無機種が、天然又は合成の有機粘土である、請求項24〜36のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項38】
前記有機的に修飾した層状無機種が、有機アニオンで層間領域内部の無機アニオンが置換されている、合成及び天然の層状複水酸化物を含む、請求項24〜37のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項39】
光学顕微鏡及び/又は本出願明細書に記載する沈降体積を用いて評価した場合に、前記無機種が前記前駆体によってインターカレートされている及び/又は膨張しているように、前記有機的に修飾した層状無機種及び前記前駆体の組み合わせが選択される、請求項24〜38のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項40】
前記反応性前駆体が、付加重合樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、イソシアネート樹脂(ポリウレタン)、もしくはホルムアルデヒド縮合樹脂、又はこれらの混合物の前駆体から選択される、請求項24〜39のいずれか1つに記載の分散体。
【請求項41】
微粒子と、有機的に修飾した層状無機種と、必要に応じて有機ポリマー成分とを含み、有機ポリマー成分が存在する場合、該粒子及び該種を合わせた合計質量の50質量%未満で含まれることを特徴とする、構造体。
【請求項42】
前記微粒子が、金属及び金属酸化物粒子、炭素粒子、伝導性ポリマー粒子;機能性及び非機能性のフィラー及び添加剤、着色剤、顔料、硬化剤、触媒、並びにカプセル化システムから選択される、請求項41に記載の構造体。
【請求項43】
前記微粒子が導電性粒子から選択される、請求項41又は42のいずれかに記載の構造体。
【請求項44】
前記微粒子が、金属及び金属酸化物粒子、並びに/又は炭素粒子から選択される、請求項41〜43のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項45】
前記微粒子が炭素粒子である、請求項41〜44のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項46】
前記微粒子がカーボンナノチューブ又はカーボンブラックである、請求項41〜45のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項47】
高アスペクト比粒子である微粒子と、有機的に修飾した層状無機種と、必要に応じて有機ポリマー成分とを含み、該有機ポリマー成分が存在する場合、該粒子及び該種を合わせた合計質量の50質量%未満で含まれ、該微粒子が少なくとも部分的に配向していることを特徴とする、構造体。
【請求項48】
前記微粒子が、金属及び金属酸化物粒子、炭素粒子、並びに伝導性ポリマー粒子から選択される、請求項47に記載の構造体。
【請求項49】
前記微粒子が導電性微粒子から選択される、請求項47又は48のいずれかに記載の構造体。
【請求項50】
前記微粒子が、金属及び金属酸化物粒子、並びに/又は炭素粒子から選択される、請求項47〜49のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項51】
前記微粒子が炭素粒子である、請求項47〜50のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項52】
前記微粒子がカーボンナノチューブである、請求項47〜51のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項53】
前記微粒子及び前記種から本質的になる、請求項41〜52のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項54】
前記ポリマー種が、前記構造体の35質量%未満を構成し、より特別には前記構造体の25質量%未満を構成する、請求項41〜52のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項55】
前記ポリマー種が、前記構造体の少なくとも1質量%を構成し、より好ましくは前記構造体の少なくとも5質量%、特別には前記構造体の少なくとも10質量%を構成する、請求項41〜52又は請求項54のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項56】
前記有機的に修飾した層状無機種が、有機粘土又は有機的に修飾した層状複水酸化物を含む、請求項41〜55のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項57】
前記有機的に修飾した層状無機種が、天然又は合成の有機粘土である、請求項41〜56のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項58】
前記有機粘土が、バーミキュライト及びスメクタイトから選択され、特にモンモリロナイトである、請求項57に記載の構造体。
【請求項59】
前記有機粘土が、層間金属カチオンを、水素化した有機アンモニウムカチオン又は有機ホスホニウムカチオン、特に有機アンモニウムカチオンで交換した、有機的に修飾した粘土である、請求項57又は58のいずれかに記載の構造体。
【請求項60】
前記有機アンモニウムが、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基及びアリール基の混合から選択される、請求項59に記載の構造体。
【請求項61】
前記有機的に修飾した層状無機種が、合成及び天然の層状複水酸化物を含み、その層状複水酸化物において、有機アニオンで層間領域内部の無機アニオンが置換されている、請求項41〜56のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項62】
前記有機的に修飾した層状無機種が、式:
【化1】

(式中、M2+はMg2+のような二価カチオン、M3+はAl3+のような三価カチオン、Am-は層間アニオン、xの値は0.2〜0.33)
の合成及び天然の層状複水酸化物を含む、請求項61に記載の構造体。
【請求項63】
前記ポリマー成分が、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、エラストマー及びこれらの混合物から選択される、請求項41〜62のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項64】
前記ポリマーが、付加重合樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、イソシアネート樹脂(ポリウレタン)、もしくはホルムアルデヒド縮合樹脂、又はこれらの混合物の前駆体に由来する、請求項41〜63のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項65】
微粒子の、有機的に修飾した層状無機種に対する質量比が、99:1〜1:99である、請求項41〜64のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項66】
微粒子の、有機的に修飾した層状無機種に対する質量比が、90:10以下であり、より特別には80:20以下である、請求項65に記載の構造体。
【請求項67】
微粒子の、有機的に修飾した層状無機種に対する質量比が、10:90以上であり、より特別には20:80以上である、請求項65又は66のいずれかに記載の構造体。
【請求項68】
フィルムを含む、請求項41〜67のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項69】
導電率が少なくとも1Scm-1である、請求項41〜68のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項70】
導電率が少なくとも10Scm-1である、請求項41〜69のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項71】
導電率が少なくとも50Scm-1である、請求項41〜70のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項72】
導電性微粒子と、有機的に修飾した層状無機種と、構造体の合計質量の少なくとも50質量%を構成する有機ポリマー成分とを含む構造体であって、該構造体の電気的浸透限界(electrical percolation threshold)が該有機的に修飾した層状無機種が存在しない等価構造体よりも低く、及び/又は、該構造体の透過率が有機的に修飾した層状無機種が存在しない等価構造体よりも高いことを特徴とする、構造体。
【請求項73】
ポリマー成分を80質量%以上、より好ましくはポリマー成分を85質量%以上、より特別にはポリマー成分を90質量%以上含む、請求項72に記載の構造体。
【請求項74】
ポリマー成分を95質量%以上含む、請求項72又は73のいずれかに記載の構造体。
【請求項75】
前記微粒子が、金属及び金属酸化物粒子、炭素粒子、並びに伝導性ポリマー粒子から選択される、請求項72〜74のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項76】
前記微粒子が、金属及び金属酸化物粒子、並びに/又は炭素粒子から選択される、請求項72〜74のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項77】
前記微粒子が炭素粒子である、請求項72〜76のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項78】
前記微粒子がカーボンナノチューブ又はカーボンブラックである、請求項72〜77のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項79】
前記微粒子がカーボンナノチューブである、請求項78に記載の構造体。
【請求項80】
前記有機的に修飾した層状無機種が、有機粘土又は有機的に修飾した層状複水酸化物を含む、請求項72〜79のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項81】
前記有機的に修飾した層状無機種が、天然又は合成の有機粘土である、請求項72〜80のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項82】
前記有機粘土が、バーミキュライト及びスメクタイトから選択され、特にモンモリロナイトである、請求項81に記載の構造体。
【請求項83】
前記有機粘土が、層間金属カチオンを、水素化した有機アンモニウムカチオン又は有機ホスホニウムカチオン、特に有機アンモニウムカチオンで交換した、有機的に修飾した粘土である、請求項81又は82のいずれかに記載の構造体。
【請求項84】
前記有機アンモニウムが、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基及びアリール基の混合から選択される、請求項84に記載の構造体。
【請求項85】
前記有機的に修飾した層状無機種が、合成及び天然の層状複水酸化物を含み、その層状複水酸化物において、有機アニオンで層間領域内部の無機アニオンが置換されている、請求項72〜80のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項86】
前記有機的に修飾した層状無機種が、式:
【化2】

(式中、M2+はMg2+のような二価カチオン、M3+はAl3+のような三価カチオン、Am-は層間アニオン、xの値は0.2〜0.33)
の合成及び天然の層状複水酸化物を含む、請求項85に記載の構造体。
【請求項87】
前記ポリマー成分が、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、エラストマー及びこれらの混合物から選択される、請求項72〜86のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項88】
前記ポリマーが、付加重合樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、イソシアネート樹脂(ポリウレタン)、もしくはホルムアルデヒド縮合樹脂、又はこれらの混合物の前駆体に由来する、請求項72〜87のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項89】
前記ポリマーがエポキシ樹脂の前駆体に由来する、請求項72〜88のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項90】
微粒子の、有機的に修飾した層状無機種に対する質量比が、99:1〜1:1である、請求項72〜89のいずれか1つに記載の構造体。
【請求項91】
微粒子の、有機的に修飾した層状無機種に対する質量比が、90:10以下であり、より特別には80:20以下である、請求項90に記載の構造体。
【請求項92】
微粒子の、有機的に修飾した層状無機種に対する質量比が、3:1以上であり、より特別には5:1以上である、請求項90又は91のいずれかに記載の構造体。
【請求項93】
フィルムを含む、請求項72〜92のいずれか1つに記載の構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2008−520404(P2008−520404A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534070(P2007−534070)
【出願日】平成17年9月23日(2005.9.23)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003670
【国際公開番号】WO2006/037949
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(590000341)インペリアル・ケミカル・インダストリーズ・ピーエルシー (17)
【氏名又は名称原語表記】IMPERIAL CHEMICAL INDUSTRIES PLC
【Fターム(参考)】