説明

分散体の調製方法

粒子の分散体、特に水性分散体を調製するための方法が記載される。この方法は、初期分散混合物の水素結合溶解度パラメータ要素δhが少なくとも1.5単位増加するように、分散処理の間に極性溶媒が添加される分散方法に関する。その添加される極性溶媒が水である場合、この分散方法は、ソルベント・トゥ・ウォーター法と呼ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の分散体、特に水性分散体を調製するための方法に関する。この分散体は、水性インクジェットインク、着色ペイント、製剤、農業用製品などの調製において使用され得る。より詳細には、本発明は、初期分散混合物の水素結合溶解度パラメータ要素δhが少なくとも1.5単位増加するように、分散処理の間に極性溶媒が添加される分散方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条に基づき2009年7月30日に出願された米国仮特許出願第61/229895号による優先権を主張している。
【0003】
分散方法は、一般に、粒子を分散させるために使用される。粒子を分散させるための様々な分散方法が記載されてきた。インクジェットインクについては、顔料が、ポリマー分散剤を用いて分散される。1つのそうした方法は、米国特許第5310778号明細書に記載されているような、インクジェットインクのためのポリマー分散顔料の二本ロール機での調製である。
【0004】
プラスチックの実質的に立方体の媒体を使用する媒体ミル分散が、米国特許出願公開第2003/0089277号明細書に記載されている。
【0005】
米国特許出願公開第2005/0009977号明細書には、水性溶媒中に水不溶性ビニルポリマー粒子で処理された顔料を得て、次いでその溶媒を除去することが記載されている。
【0006】
米国特許第6723705号明細書には、重要な工程が溶媒を除去して溶媒除去物を得ることである、ポリマー粒子を含有する顔料の水性分散体を得るための方法が記載されている。
【0007】
米国特許第6866707号明細書には、ポリマー/顔料系を得る次の2つの方法が記載されている。1)ポリマーと顔料との混合物に水を添加して転相をもたらす転相乳化。2)樹脂(ポリマー)を用いて分散させた顔料を、塩基性化合物で中和してpHを変化させて、顔料上に樹脂を固定させるpH変更法。
【0008】
米国特許第6924035号明細書には、溶媒の組み合わせを使用し、微細分散顔料粒子上にポリマーを溶媒の混合物から沈殿させる方法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
改善された分散方法、特に高性能最終使用用途(例えば、インクジェットインク)のための着色剤分散体および車両(例えば、自動車およびトラック)のための外部用ペイントの製造のための改善された分散方法に対する必要性が依然としてある。
【0010】
上記の文献はいずれも、初期分散混合物の水素結合溶解度パラメータ要素が少なくとも1.5単位増加するように分散処理の間に極性溶媒が添加される分散方法または分散処理を記述する他のポリマー/顔料処理工程を開示していない。こうしたポリマー分散顔料が、インクジェットインクにおける配合寛容度を可能にするより良い特性バランスを有しており、改善された光学特性をもたらし得ることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
分散処理の間に極性溶媒を添加することが、意外なほど改善された粒子分散体に繋がる。こうした分散体は、インクジェットインクのための分散顔料の調製に特に有効である。
【0012】
したがって、本発明は、
a)初期溶媒、分散性粒子、少なくとも1種のポリマー分散剤、および任意選択で中和剤を含む、初期混合物を調製する工程と、
b)上記粒子の最終分散体が安定な分散体となるように、極性希釈液を添加しながら上記初期混合物を分散処理に供する工程と
を含む、分散性粒子の分散体を調製するための方法であって、
最終溶媒混合物の水素結合溶解度パラメータが、上記初期溶媒よりも少なくとも1.5単位高く、
上記水素結合溶解度パラメータは、ハンセンパラメータおよび重量/重量加法的計算に基づいて計算される、方法を提供する。
【0013】
別の実施形態において、
a)初期溶媒、顔料粒子、ポリマー分散剤、および任意選択で中和剤を含む、初期混合物を調製する工程と、
b)上記顔料粒子の分散体が安定な分散体となるように、極性希釈液を添加しながら上記初期混合物を分散処理に供する工程と
を含む、水性顔料分散体を調製するための方法であって、
上記最終溶媒混合物の水素結合溶解度パラメータ要素は、上記初期溶媒よりも少なくとも1.5単位高く、
両方の上記水素結合溶解度パラメータは、ハンセンパラメータおよび重量/重量加法的計算に基づいて計算される、方法が提供される。
【0014】
極性希釈液として水を使用する場合、当該方法は、ソルベント・トゥ・ウォーター法と呼ばれ得る。
【0015】
別の実施形態は、インクジェットインクに組み込まれる、上記の方法に従って作製された水性顔料分散体を提供する。別の実施形態は、上記の方法に従って作製された水性顔料分散体を含有するインクジェットインクを用いて印刷するための方法を提供する。
【0016】
この方法によって粒子を分散させるために使用され得るポリマー分散剤としては、粒子のために、特にインクジェットインク顔料のために一般的に使用される、ランダムポリマーおよび構造化ポリマーが挙げられる。近年記載された、主としてイオン安定化に依拠するポリマー分散剤(米国特許出願公開第2005/0090599号明細書)および低イオン含量のポリウレタン分散剤(米国特許出願公開第2009/0259012号明細書)もまた、この方法とともに効果的に使用される。ポリマー分散剤は、分散処理の開始前、開始中または開始後に、中和され得る。
【0017】
別の実施形態によれば、上記のような水性顔料分散体を含む水性着色インクジェットインクが提供される。この顔料インクジェットインクは、そのインクの総重量に基づき約0.1〜約75重量%の顔料を有し、25℃にて約20dyn/cm〜約70dyn/cmの範囲内の表面張力、および25℃にて約30cPより低い粘度を有する。
【0018】
なお別の実施形態において、少なくとも1種のシアンインク、少なくとも1種のマゼンタインクおよび少なくとも1種のイエローインクを含むインクセットであって、上記インクのうちの少なくとも1つは、上記で示された、後でさらに詳細に説明される水性着色インクジェットインクである、インクセットが提供される。
【0019】
さらに別の実施形態において、
(a)デジタルデータ信号に応答性のインクジェットプリンターを提供する工程と、
(b)印刷されるべき基材を上記プリンターに装填する工程と、
(c)上記で示された、後でさらに詳細に説明されるインク、または上記で示された、後でさらに詳細に説明されるインクジェットインクセットを、上記プリンターに装填する工程と、
(d)上記デジタルデータ信号に応答して上記インクまたはインクジェットインクセットを用いて上記基材上に印刷する工程と
を含む、基材上へのインクジェット印刷のための方法が提供される。
【0020】
本発明のこれらのそして他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことにより、より容易に当業者に理解されるであろう。上記および下記に明瞭にするために別個の実施形態の文脈において記載されている本発明の特定の特徴は、組み合わせて単一の実施形態においても提供され得るということを、当業者は理解し得る。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴は、別個にまたは任意の部分的組み合わせ(subcombination)でも提供され得る。また、単数形での言及は、文脈が明確に別のことを述べていない限り、複数も含み得る(例えば、「1つの(a)」および「1つの(an)」は、1つまたは1つ以上に言及し得る)。さらに、範囲で記載された値への言及は、その範囲内のあらゆる値を含む。
【0021】
(図面の簡単な説明)
図1は、92/8:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸のランダムポリマー分散剤を用いたポリマー分散マゼンタ顔料についての溶解度マップを描いたものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
別段の記載または定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関係する当業者によって通常理解されている意味を有する。
【0023】
別段の記載がない限り、百分率、部、比などは全て、重量による。量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、ある範囲、好ましい範囲、または上方の好ましい値および下方の好ましい値の列記として与えられる場合、これは、範囲が別個に開示されているか否かに関わらず、任意の上方の範囲限界または好ましい値と、任意の下方の範囲限界または好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示するものと理解されるべきである。本明細書にある数値範囲が記載される場合、別段の記載がない限り、その範囲は、その端点、ならびにその範囲内の全ての整数および有理数を含むことが意図される。
【0024】
ある値またはある範囲の端点を記載する際に用語「約」が使用される場合、その開示は、言及される具体的な値または端点を含むと理解されるべきである。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「分散体」とは、一方の相がバルク物質の全体にわたって分布した(多くの場合、コロイドの大きさの範囲内の)微粒子からなる二相系を意味し、ここで、粒子は分散相または不連続相であり、バルク物質は連続相または分散媒である。このバルク系は、多くの場合、水系である。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「顔料粒子の分散体」は、インクおよびペイントにおいて通常使用されるポリマー分散顔料の、安定な分散体である。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「水性顔料分散体」は、ポリマー分散剤を用いた顔料の水性分散体である。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「分散剤」とは、懸濁媒体に添加されて、多くはコロイドの大きさである極微細な固体粒子の均一かつ最大の分離を促す界面活性剤を意味する。顔料については、分散剤は、最も多くはポリマー分散剤であり、通常、分散剤および顔料は、分散装置を使用して合わされる。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「分散性粒子」は、ポリマー分散剤を用いて分散され得る粒子である。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「安定な分散体」とは、分散体が室温にて少なくとも1週間貯蔵された場合に粒径成長が10%未満の粒径成長であり、凝集がない、粒子分散体を意味する。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「顔料」は、別の物質または混合物に色を付与する、通常は粉末形態の、任意の物質を意味する。分散染料、白色および黒色顔料は、この定義に含まれる。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「イオン的に安定化されたポリマー分散剤」は、分散粒子の立体安定化をほとんど伴わずに主としてイオン安定化をもたらすポリマー分散剤について記載する。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語HSDとは、高速分散を意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「OD」とは、光学濃度を意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「光沢」とは、印刷面からの反射光の観察を意味し、通常、印刷される基材は光沢紙である。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「SDP」とは、「自己分散性」または「自己分散」顔料を意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「溶媒パラメータ」とは、溶媒を記述する系であって、ある物質が別の物質に溶解するかを予想する手段として開発されたものを意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「ハンセン溶媒パラメータ」は、Charles Hansenによって開発された溶媒パラメータ系である。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「水素溶媒パラメータ」とは、ハンセン溶媒パラメータ系において使用される場合の分子間の水素結合に由来するエネルギーを意味する。水素溶媒パラメータは、δhで示される。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「極性溶媒」とは、9より大きい水素結合溶解度パラメータを有する溶媒を意味する。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「重量/重量加法的計算」とは、溶媒パラメータについて行われる計算が、液体成分の重量/重量比率によって行われることを意味する。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「遊離ポリマー」とは、粒子に結合されていないポリマー分散剤を意味し、顔料が遠心分離によって除去された後に、試料の上澄みについて、重量%固形分によって測定される。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「ソルベント・トゥ・ウォーター(Solvent−to Water)」とは、添加される極性溶媒が水である、本明細書に記載される本発明の方法を意味する。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「水性ビヒクル」は、水または水と少なくとも1種の水溶性有機溶媒(共溶媒)との混合物をいう。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「イオン性基」とは、潜在的イオン基を意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に」とは、かなりの程度の、ほぼ全てであることを意味する。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「Mn」とは、数平均分子量を意味する。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「Mw」とは、重量平均分子量を意味する。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「Pd」とは、重量平均分子量を数平均分子量で除した値である多分散度を意味する。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「d50」とは、粒子の50%がそれより小さいところの粒径を意味し、「d95」とは、粒子の95%がそれより小さいところの粒径を意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「cP」とは、粘度の単位であるセンチポアズを意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語導電率とは、物質または混合物の、電気を伝える能力を記述する特性を意味する。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「プレポリマー」とは、重合プロセスにおける中間体である上に、ポリマーと見なし得るポリマーを意味する。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「AN」とは、酸価(mgKOH/固体ポリマーのg数)を意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「中和剤」は、イオン性基をより親水性の高いイオン(塩)基に転化するのに有用な、あらゆる種類の薬剤を含むことが意図される。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「PUD」とは、本明細書に記載されるポリウレタン分散体を意味する。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「BMEA」とは、ビス(メトキシエチル)アミンを意味する。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「DBTL」とは、ジブチルスズジラウレートを意味する。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「DMPA」とは、ジメチロールプロピオン酸を意味する。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「GPC」とは、ゲル透過クロマトグラフィーを意味する。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「IPDI」とは、イソホロンジイソシアネートを意味する。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「TMDI」とは、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを意味する。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「ETEGMA//BZMA//MAA」は、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、ベンジルメタクリレートおよびメタクリル酸のブロックコポリマーを意味する。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語T650とは、TERATHANE(登録商標)650を意味する(下記参照)。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「NMP」とは、n−メチルピロリドンを意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「TEA」とは、トリエチルアミンを意味する。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「THF」とは、テトラヒドロフランを意味する。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「テトラグリム(Tetraglyme)」とは、テトラエチレングリコールジメチルエーテルを意味する。
【0069】
別段の指定がない限り、上記の化学薬品は、Aldrich(Milwaukee,WI)または他の同様な実験用化学薬品供給業者から入手した。
【0070】
TERATHANE 650は、Invista(Wichita,KS)から購入した分子量650のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)である。
【0071】
インクジェットインクのための安定な顔料分散体を得ようと種々のポリマー分散剤を試している時に、本発明者らは、分散処理の間に連続的または半連続的により極性の高い溶媒を添加することによって初期分散混合物を変化させればより良好な分散顔料が得られ得るということに気付いた。分散処理の間の溶媒系における変化を記述する最善の方法は、初期分散溶媒混合物についての初期水素結合溶解度パラメータ要素δhを計算し、より極性の高い溶媒を添加した後に最終分散溶媒混合物を計算することによって、初期溶媒を最終溶媒混合物と比較することである。この水素溶解度パラメータδhの変化は、少なくとも1.5cal1/2/cm3/2の増加である。
【0072】
したがって、本発明は、
a)初期溶媒、分散性粒子、少なくとも1種のポリマー分散剤、および任意選択で中和剤を含む、初期混合物を調製する工程と、
b)上記粒子の最終分散体が安定な分散体となるように、極性希釈液を添加しながら上記初期混合物を分散処理に供する工程と
を含む、分散性粒子の分散体を調製するための方法であって、
最終溶媒混合物の水素結合溶解度パラメータは、上記初期溶媒よりも少なくとも1.5単位高く、
上記水素結合溶解度パラメータは、ハンセンパラメータおよび重量/重量加法的計算に基づいて計算される、方法を提供する。
【0073】
分散性粒子としては、インクジェットインクに使用される顔料、ペイントに使用される顔料、薬学的製品および農業用製品が挙げられる。これらの粒子は、本明細書に記載されるポリマー分散剤によって分散されることが可能でなければならない。好ましい粒子は顔料である。
【0074】
使用される溶媒パラメータは、A.F.M.Bartonにより、Chemical Reviews,1975,vol.75,no.6,pp.731〜753に記載されているハンセンパラメータである。ハンセンパラメータの使用についての同様な記載が、Bartonにより、CRC Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters,2nd Edition,(著作権)1991に示されている。ハンセンパラメータは、水素結合要素、極性要素および分散要素の3つの要素を有する。本発明の目的上、極性および分散要素は使用されない。使用されている単位は、cal1/2/cm3/2である。初期分散混合物および最終分散混合物についての計算は同じ計算基準を使用していることから、多くの場合、溶解度パラメータは無次元数として報告される。
【0075】
初期溶媒は、ポリマー分散剤が初期溶媒に少なくとも非常に可溶性であり、かつ分散処理の間に極性溶媒が添加された最終分散混合物中でポリマー分散顔料が安定であるように選択される。分散処理は、極性希釈液の添加と同時に行われている。分散機を極性希釈液の連続添加用に構成することもできるし、極性希釈液を複数バッチで添加して、それを極性溶媒の半連続添加とすることもできる。
【0076】
極性希釈液が分散系に添加されている間、ポリマー/顔料混合物が分散条件に曝露されることが重要である。極性希釈液の添加は、連続方式または非連続方式で行われる。後者の条件に関しては、装置は連続添加を許し得ないが、極性希釈液が添加される間、分散条件の非活性化を必要とし得る。したがって、極性希釈液は、本発明の分散体が生じるためには、少なくとも3つのアリコートで添加されなければならない。これらのアリコートは、相対量が異なり得るが、典型的には、等量のアリコートが添加されるであろう。すなわち、3つのアリコートとして、等量の極性希釈液が3つ添加されるであろう。
【0077】
分散処理の間に使用される溶媒における変化は、初期混合物の溶解度パラメータ要素δh(水素結合溶解度パラメータ)および最終溶媒混合物のδhによって示される。初期溶媒と最終溶媒混合物との間のδhの増加は1.5であり、より好ましくは2の増加であり、さらにより好ましくは3の増加である。これらの溶媒混合物についての水素結合溶解度パラメータは、重量/重量計算を用いて計算される。すなわち、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEB)初期溶媒についての初期溶解度パラメータは約4であり、52:48のTEB:水を得るように水が添加された後の、重量/重量計算に基づき計算されたδh溶解度パラメータは、約7.9の増加の約11.9になる。
【0078】
初期溶媒は、単独の有機溶媒または溶媒と他の溶媒との混合物もしくは水との混合物であり得る。初期溶媒として典型的な溶媒としては、エーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、窒素化合物、硫黄化合物、酸ハロゲン化物および無水物、アルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられる。アルカン、芳香族炭化水素、ハロ炭化水素などのような溶媒は、それらは分散剤のための特に良好な溶媒であるというわけではなく、かつ一般に、分散期間の間に添加されるより極性の高い溶媒に混和性でないので、機能しないであろう。
【0079】
初期溶媒の例としては、有機溶媒(例えば、アルコール、エステル、ケトン、およびエーテル)が挙げられる。具体例としては、グリコールおよびポリグリコールのモノ−およびジ−アルキルエーテル(例えば、モノ−、ジ−およびトリ−プロピレングリコールのモノメチルエーテル、ならびにエチレン、ジエチレンおよびトリエチレングリコールのモノ−n−ブチルエーテル)ならびにグリセロールおよび置換グリセロールが挙げられる。
【0080】
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノ−メチルエーテル、エチレングリコールモノ−エチルエーテル、エチレングリコールモノ−プロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−メチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−エチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノ−メチルエーテル、プロピレングリコールモノ−エチルエーテル、プロピレングリコールモノ−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−メチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−エチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、およびジプロピレングリコールモノ−イソプロピルエーテルが挙げられる。
【0081】
エーテル溶媒としては、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエチル、ジ−イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、グリム、ジグリム、トリグリム、およびテトラグリムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
ヘテロ原子溶媒としては、アミド溶媒(ジメチルアセトアミドおよび環式アミン(例えば、2−ピロリジノン、N−メチル2−ピロリドン)を含む)および硫黄含有溶媒(ジメチルスルホキシドおよびスルホロン(sulfolone)が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
ケトンとしては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンアセトンおよびジアセトンアルコールなどが挙げられる。
【0084】
ポリヒドロキシル溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールが挙げられる。
【0085】
1種もしくは複数種の溶媒を初期溶媒として選択する基準は、ポリマー分散剤が、その初期溶媒に少なくとも非常に可溶性であり、かつ極性溶媒を添加しながらの分散処理の間、混和性であることである。
【0086】
極性希釈剤混合物は、単独の極性溶媒、または極性溶媒の混合物であり得る。極性溶媒は、9より大きい、またはより好ましくは10を超える、水素結合溶解度パラメータを有する極性溶媒である。そうした極性溶媒としては、水、エタノール、メタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリコール、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0087】
典型的に、添加される極性希釈剤混合物は水であるが、低分子量のアルコール(例えば、エタノールおよびメタノール)もまた使用され得る。初期分散混合物、最終分散混合物および中間組成物が互いに混和性であり、これらの混合物が1つの相であることが好ましい。すなわち、分散処理/極性溶媒添加の間に分散混合物が2つの液相に分離する時間が全くないことが好ましい。
【0088】
混和性溶媒の混合物が、初期溶媒として使用され得る。例えば、80%のトリエチレングリコールブチルエーテルと20%の水との溶液、またはさらには60:40の混合物が、初期溶媒として使用され得る。水は、初期混合物の約50%までを構成し得る。
【0089】
ポリマー分散剤の溶解度は、様々な溶媒および水を含む溶媒混合物を試験して、そのポリマー分散剤が可溶であるか否かを決定することによって決定される。x軸として極性溶解度パラメータ要素δdを、そしてy軸として水素結合溶解度パラメータ要素δhを利用した溶解度マップが、0、20、40、60および80重量%水へと希釈された数種の溶媒を試験することによって作成される。例えば、以下の溶媒が、ポリマー分散剤の溶解度を試験するために使用される。溶解度パラメータは、一般に無次元数として扱われる。
【0090】
【表1】

【0091】
各溶媒混合物において、約1重量%混合物となるようにポリマー分散剤が加えられ、この混合物が振盪され、液体が観察される。無色の液体があれば、そのポリマー分散剤はその溶媒に可溶性であると見なされ、底に沈めば、そのポリマー分散剤は不溶性であると見なされる。濁りを帯びた溶液が観察されたなら、その時は、そのポリマー分散剤は、その溶媒混合物中の安定な分散体を形成したと見なされる。これらの溶解度試験に好ましいポリマー分散剤の形態は、分散剤がそれの中和形態にあることである。
【0092】
こうして、ポリマー分散剤が可溶性であるところを示す、ポリマー分散剤の溶解度マップが作成される。図1は、中和された92:8::ベンジルメタクリレート:メタクリル酸の組成を有するランダムポリマーである、イオン的に安定化された分散剤についてのこの溶解度マップを示している。下方の円(実線)の内側の領域は、そのポリマーが可溶性であるところの溶解度マップ領域を示している。
【0093】
溶媒と水との同じ組み合わせに関して、分散粒子もマッピングされ得る。上方の円(破線)は、中和された92:8のベンジルメタクリレート:メタクリル酸の分散剤を用いたマゼンタ顔料のポリマー分散体が安定であるところを示している。安定な分散顔料の具体的な測定値は、暗色の丸で示されている。灰色の丸で描かれたデータ点で、このマゼンタ分散体は、準安定であると見なされる。準安定とは、顕微鏡下では凝集の兆候があるということを意味する。時間が経てば、凝集した粒子が沈降すると予想される。白抜きの丸は、分散体の凝集によって示される、マゼンタ分散体が不安定であるところを示している。
【0094】
本方法の生成物は、安定な分散粒子である。この安定な粒子分散体は、分散体が室温にて少なくとも1週間貯蔵された場合に10%未満の粒径成長を示し、凝集がない、粒子分散体である。試料を1週間以上にわたり加熱することによる促進試験を含むより厳しい試験もまた、粒子分散体の安定性を測定するために使用され得る。最適な粒子分散体安定性は、粒子特性および/または最終用途によって決まるであろう。安定な分散粒子の別の基準は、その分散粒子が、処理条件下で処理されることができ、ゲル化せず、他の不利な特性を有していないことである。
【0095】
分散工程は、超音波処理機(ultrasonicator)、媒体ミル、横型ミニミル、磨砕機において、または少なくとも5,000psiの液体圧で液体噴射相互作用チャンバ内の複数のノズルに混合物を通して水性分散媒中の顔料粒子の均一な分散体を生成することによって(マイクロフルイダイザー)達成され得る。媒体ミルのための媒体は、一般に利用可能な媒体(ジルコニア、YTZ、およびナイロンを含む)から選択される。この媒体は、0.3ミクロンより大きい粒子が一般的に使用されているが、約0.1ミクロンという小さいものであり得る。これらの種々の分散方法は、米国特許第5022592号明細書、米国特許第5026427号明細書、米国特許第5891231号明細書、米国特許第5679138号明細書、米国特許第5976232号明細書および米国特許出願公開第2003/0089277号明細書により例示されるように、一般的な意味で、当該技術分野において周知である。好ましいのは、媒体ミル、および少なくとも5,000psiの液体圧で液体噴射相互作用チャンバ内の複数のノズルに混合物を通すことによるものである。本方法に必要とされる混合強度は、分散方法に通常関連する混合であり、より穏やかな混合方法の乱流混合ではない。
【0096】
分散装置の組み合わせが使用され得る。溶媒混合物、粒子およびポリマー分散剤を、高速分散機(HSD)において混合し、続いて媒体ミルまたはマイクロフルイダイザーにおいて微粉砕することがより好都合であり得る。極性溶媒の添加は、処理のHSD部分の間に行われてよく、次いで、媒体ミルにおける微粉砕が続く。
【0097】
粒子分散体の最終用途は、溶媒が粒子分散混合物から除去されることを要求し得る。溶媒は、蒸留処理、限外濾過または他の好都合な手段によって除去され得る。これらの溶媒除去方法は、いずれも本方法に組み込まれ得る。分散装置および溶媒除去は結合されてよく、溶媒は、分散処理の間および極性溶媒の添加の間に除去され得る。
【0098】
分散処理の進行をモニタリングする1つの方法は、粒径を測定し、混合物の最終D50についての目標値を設定することである。インクジェットインクに使用される典型的な顔料については、D50の目標値は、125nm以下であり、好ましくは100nm未満である。
【0099】
粒子を安定化させるために使用されるポリマー分散剤は、好ましくは、構造化ポリマーまたはランダムポリマーである。インクジェットインク用顔料を分散させるためのランダムポリマーの使用は、米国特許第4597794号明細書に記載された。用語「構造化ポリマー」は、ブロック、分岐状またはグラフト構造を有するポリマーを意味し得る。構造化ポリマーの例としては、米国特許第5085698号明細書に開示されているようなABまたはBABブロックコポリマー;欧州特許出願公開第A−0556649号明細書に開示されているようなABCブロックコポリマー;および米国特許第5231131号明細書に開示されているようなグラフトポリマーが挙げられる。使用され得る他のポリマー分散剤は、例えば米国特許第6117921号明細書、米国特許第6262152号明細書、米国特許第6306994号明細書および米国特許第6433117号明細書に記載されている。近年記載された、主としてイオン安定化に依拠するポリマー分散剤(米国特許出願公開第2005/0090599号明細書)および低イオン含量のものを含むポリウレタン分散剤(米国特許出願公開第2009/0259012号明細書)もまた、本方法とともに効果的に使用される。
【0100】
米国特許出願公開第2005/0090599号明細書に記載されているようなイオン的に安定化されたポリマー分散剤(ISD)が、このソルベント・トゥ・ウォーター分散法とともに効果的に使用され得る。ISDポリマー分散剤は、イオン含有量に対して限定される。ランダム、線状コポリマー、ジブロック、グラフトおよび分岐状ポリマーについては、親水性モノマーの限度は、全モノマーに基づき、約1モルパーセント〜約20モルパーセント未満である。あるいは、親水性モノマーの限度は、全モノマーに基づき、約2モルパーセント〜約15モルパーセント未満である。ABAトリブロックについては、この限度は、約2モルパーセント〜約38モルパーセント未満、あるいは約25モルパーセント未満である。BABトリブロックについては、この限度は、約2モルパーセント〜約25モルパーセント未満である。任意選択で、ランダムポリマーは、約70未満の酸価を有し得る。これらのイオン限度のそれぞれについて、顔料分散体またはインクジェットインクの塩安定性試験が、イオン含量に関する決定要因となる。この試験は、米国特許出願公開第2005/0090599号明細書に記載されている。
【0101】
本発明における使用に好適なポリマー分散剤は、概して、疎水性モノマーおよび親水性モノマーの両方を含む。ランダムポリマーにおいて使用される疎水性モノマーの一部の例は、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレートおよび対応するアクリレートである。親水性モノマーの例には、メタクリル酸、アクリル酸、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびそれらの塩がある。ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの四級塩もまた、使用され得る。
【0102】
一般的に言えば、疎水性領域は、顔料表面と相互作用して分散を生じさせる分散剤のセグメントまたは官能基である、吸収セグメントを含有する部分である。親水性セグメントは、安定化をもたらすような溶質混合物における相互作用によって分散体の安定性を提供するセグメントである。この安定化は、立体安定化またはイオン安定化として特徴付けられている。これらの現象は、H Spinelliにより、Adv.Mater,1998,10,no.15,pp.1215〜1218に記載された。
【0103】
ポリマー分散剤は、分散処理の開始前に中和され得る。すなわち、溶媒ブレンドとポリマー分散剤との初期混合物は、適切な量の中和剤を有する。あるいは、中和剤は、分散処理の間に極性溶媒とともに添加され得る。さらなる選択肢は、初期混合物中に部分的に中和されたポリマー分散剤を有し、極性溶媒中の追加の中和剤を添加することである。最終混合物中のポリマー分散剤の中和の量は、約100%までの中和、好ましくは約90%までの中和である。
【0104】
中和剤は、アルカリ金属の水酸化物、アミンなどであり得る。中和剤の例としては、有機塩基(例えば、モノ−、ジ、トリ−メチルアミン、モルホリン、n−メチルモルホリン);アルコールアミン(例えば、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、メチルジエタノールアミン、モノ−、ジ、およびトリ−エタノールアミン);ピリジン;水酸化アンモニウム;テトラ−アルキルアンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチル−アンモニウムヒドロキシド);アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウムおよびカリウム)などが挙げられる。好ましい中和剤としては、ジメチルエタノールアミンならび水酸化ナトリウムおよびカリウムが挙げられ、水酸化カリウムは、サーマルインクジェットプリンターにおいて使用されるインクに対して特に好ましい。
【0105】
理論に拘束されるものではないが、有効な分散剤は、最終分散混合物の溶液混合物に対して完全には可溶性でない分散剤である。分散剤が溶液混合物に完全に可溶である場合は、分散剤が顔料表面と相互作用し分散剤として挙動するための推進力はほとんどない。
【0106】
本方法により分散され得る粒子としては、顔料、農業用粒子、製剤などが挙げられる。
【0107】
多種多様な有機顔料および無機顔料が、単独でまたは組み合わせて、本方法による分散のために選択され得る。分散顔料は、ペイント、インク、特にインクジェットインクにおいて使用され得る。用語「顔料」とは、本明細書で使用される場合、不溶性着色剤を意味し、分散染料を含む。顔料粒子は、インクジェット印刷デバイス中の、特に通常約10ミクロン〜約50ミクロンの範囲の直径を有する吐出ノズルでの、インクの自由な流れが可能となるのに十分なほど小さい。粒径はまた、インクの寿命を通じて重要である顔料分散体安定性にも影響を及ぼす。微小粒子のブラウン運動が、粒子の凝集を妨げるのに役立つ。また、小さい粒子を使用することは、最大の色の濃さおよび光沢を得るためにも望ましい。
【0108】
選択された1種もしくは複数種の顔料は、乾燥形態または湿潤形態で使用され得る。例えば、顔料は、通常は水性媒体中で製造され、結果として生じる顔料は、水湿潤プレスケーキとして得られる。プレスケーキ形態においては、顔料は、乾燥形態におけるほどまで凝集しない。したがって、水湿潤プレスケーキ形態にある顔料は、乾燥形態にある顔料ほど、インクを調製する方法において解凝集を必要としない。代表的な市販の乾燥顔料は、米国特許第5085698号明細書に列挙されている。
【0109】
粒子のポリマー分散剤に対する量は、約0.33〜約400の範囲である。この比は、分散体に加えられた粒子およびポリマー分散剤の質量に基づいている。有機顔料については、この比は、約0.33〜12であり、好ましくは0.5〜10である。無機顔料については、この比は、約3〜約400であり、好ましくは約5〜約200である。
【0110】
有機顔料の場合には、インクは、総インク重量に基づき、およそ30重量%まで、好ましくは約0.1〜約25重量%、より好ましくは約0.25〜約10重量%の顔料を含有し得る。無機顔料が選択される場合は、無機顔料は一般に有機顔料よりも高い比重を有することから、インクは、有機顔料を使用する類似のインクよりも高い重量パーセントの顔料を含有する傾向があり、場合によっては約75%もの高さになり得る。無機顔料の例としては、二酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。
【0111】
着色インクジェットインクにとってのソルベント・トゥ・ウォーター法の利点は、同様な分散剤、分散顔料およびインク配合物を有するインクに比べて光学濃度が向上することである。
【0112】
本発明のソルベント・トゥ・ウォーター分散法の予想外の利点は、溶液中のポリマー分散剤の量が、従来の分散方法を用いるよりも少ないことである。特にインクジェットインクにおける使用のための現行の顔料分散方法の欠点は、溶液中の残存ポリマー分散剤が多いことである。これは、分散剤混合物中に余分なポリマーを入れるので、その後の配合の柔軟性を低下させる。一般的に使用される分散方法により溶液中に50%以上ものポリマー分散剤が残るような場合には、重大な悪影響が生じ得る。
【0113】
本発明の方法は、わずか20%のポリマーしかバルク溶液中に残らない分散体を生成する。一部の方法条件下では、これは、10%以下まで低減し得る。溶液中のポリマーの量は、遠心分離を行い、続いて上澄み溶液中に残ったポリマーの量を測定することによって決定される。
【0114】
分散混合物のバルク相中のこのポリマー分散剤量の減少が、この分散方法についての重要な利点である。
【0115】
粒子分散体の他の特性(例えば、粘度および導電率)は、本発明の方法の生成物についての方が低い。この低下には、単に遊離ポリマーの減少の結果という以上のものがあるようである。ポリマーの減少は、インクジェット法において使用されるノズルに対する有害な影響を低減するようである。
【0116】
本発明の分散方法の別の予想外の利点は、非常に少ない酸を含有する分散剤が使用され得ることである。低酸含有量のポリウレタン分散剤の場合において、酸価が10のポリウレタンポリマー分散剤が、本発明の処理条件下で成功裏に処理された。顔料を分散粒子として利用する例において、1:1の顔料対分散剤比が、最良の分散体に必要であると考えられた。こうした低酸含有量のポリウレタン分散剤は、(米国特許出願公開第2009/0259012号明細書)に記載されている。
【0117】
上記のソルベント・トゥ・ウォーター法によって調製される分散体の好ましい使用は、着色剤として顔料を含む着色インクジェットインクにおける使用である。この顔料分散体は、任意の好都合な順序で、他の一般的なインクジェットインク成分と組み合わされ得る。
【0118】
インクジェットインク成分
水性分散媒
インクジェットインクのための水性分散媒(水性ビヒクル)は、水または水と少なくとも1種の水混和性有機溶媒との混合物である。好適な混合物の選択は、特定用途の要件(例えば、所望の表面張力および粘度、選択された顔料、着色インクジェットインクの乾燥時間、ならびにインクが印刷されることになる紙の種類)に依存する。選択され得る水溶性有機溶媒の代表例としては、(1)アルコール(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソ−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソ−ブチルアルコール、フルフリルアルコール、およびテトラヒドロフルフリルアルコール);(2)ケトンまたはケトアルコール(例えば、アセトン、メチルエチルケトンおよびジアセトンアルコール);(3)エーテル(例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサン);(4)エステル(例えば、酢酸エチル、乳酸エチル、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレン);(5)多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール1,2,6−ヘキサントリオールおよびチオジグリコール);(6)アルキレングリコール由来の低級アルキルモノ−またはジ−エーテル(例えば、エチレングリコールモノ−メチル(または−エチル)エーテル、ジエチレングリコールモノ−メチル(または−エチル)エーテル、プロピレングリコールモノ−メチル(または−エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノ−メチル(または−エチル)エーテルおよびジエチレングリコールジ−メチル(または−エチル)エーテル);(7)窒素含有環状化合物(例えば、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、および1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン);および(8)硫黄含有化合物(例えば、ジメチルスルホキシドおよびテトラメチレンスルホン)が挙げられる。
【0119】
水と多価アルコール(例えば、ジエチレングリコール)との混合物が、水性分散媒として好ましい。水とジエチレングリコールとの混合物の場合において、水性分散媒は、通常、約30%の水/70%のジエチレングリコール〜約95%の水/5%のジエチレングリコールを含有する。好ましい比率は、およそ60%の水/40%のジエチレングリコール〜約95%の水/5%のジエチレングリコールである。百分率は、水性分散媒の総重量に基づいている。水とブチルカルビトールとの混合物もまた、有効な水性分散媒である。
【0120】
インク中の水性分散媒の量は、典型的に、そのインクの総重量に基づき、約70%〜約99.8%、および好ましくは約80%〜約99.8%の範囲内にある。
【0121】
水性分散媒は、界面活性剤または浸透剤(例えば、グリコールエーテルおよび1,2−アルカンジオール)を含めることによって、速浸透性(速乾性)となるように作製され得る。グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−イソ−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−イソ−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−イソ−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、およびジプロピレングリコールモノ−イソプロピルエーテルが挙げられる。1,2−アルカンジオールは、好ましくは1,2−C4〜6アルカンジオールであり、最も好ましくは1,2−ヘキサンジオールである。好適な界面活性剤としては、エトキシル化アセチレンジオール(例えば、Air ProductsからのSurfynol(登録商標)シリーズ)、エトキシル化第一アルコール(例えば、ShellからのNeodol(登録商標)シリーズ)および第二アルコール(例えば、Union CarbideからのTergitol(登録商標)シリーズ)、スルホサクシネート(例えば、CytecからのAerosol(登録商標)シリーズ)、オルガノシリコーン(例えば、WitcoからのSilwet(登録商標)シリーズ)ならびにフルオロ界面活性剤(例えば、本件特許出願人からのZonyl(登録商標)シリーズ)が挙げられる。
【0122】
1種もしくは複数種のグリコールエーテルおよび1種もしくは複数種の1,2−アルカンジオールの添加量は、厳密に決定されるべきではあるが、インクの総重量に基づき、典型的には約1〜約15重量%、より典型的には約2〜約10重量%の範囲内にある。界面活性剤は、インクの総重量に基づき、典型的には約0.01〜約5%、好ましくは約0.2〜約2%の量で使用され得る。
【0123】
他の添加剤
他の添加剤(例えば、殺生物剤、湿潤剤、キレート化剤および粘度調整剤)が、従来の目的でインクに添加され得る。殺生物剤は、微生物の成長を阻害するために使用され得る。金属イオン封鎖(またはキレート化)剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、イミノ二酢酸(IDA)、エチレンジアミン−ジ(o−ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン−N,N,N’,N’’,N’’−五酢酸(DTPA)、およびグリコールエーテルジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(GEDTA)、ならびにそれらの塩は、例えば、重金属不純物の有害な影響を排除するのに有利であり得る。
【0124】
他のポリマー添加剤は、使用される場合、1種もしくは複数種の可溶性または分散ポリマーであり得る。これらは、任意の好適なポリマーであり得、例えば、可溶性ポリマーとしては、線状ホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマーまたは天然高分子が挙げられ得る。これらはまた、構造化ポリマー(グラフトまたは分岐状ポリマー、スターポリマー(star)、デンドリマーなどを含む)であり得る。分散ポリマーとしては、ラテックス、ポリウレタン分散体などが挙げられ得る。こうしたポリマーは、任意の公知の方法(フリーラジカル重合、グループトランスファー重合、イオン重合、RAFT重合、縮合重合および他の種類の重合が挙げられるが、これらに限定されない)で作製され得る。有用なポリマーのクラスとしては、例えば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ウレタンおよびアルギネートが挙げられる。
【0125】
こうしたポリマー添加剤は、光学濃度を犠牲にすることなく光沢および他の特性を向上させるのに有効であり得る。ポリマー添加剤が影響を及ぼし得る他の特性としては、例えば、サーマルインクジェット印刷の信頼性および画像耐久性が挙げられる。
【0126】
インク特性
滴速度、液滴の分離長さ、滴サイズおよび流れ安定性は、インクの表面張力および粘度の影響を大きく受ける。インクジェットインクは、典型的に、25℃にて約20dyn/cm〜約70dyn/cmの範囲内の表面張力を有する。粘度は、25℃にて約30cPもの高さであり得るが、典型的にはそれよりやや低い。インクは、吐出条件およびプリントヘッドの設計に適合し得る物性を有する。インクは、インクジェット装置において著しい程度に詰らないように長期にわたって優れた貯蔵安定性を有するべきである。さらに、インクは、インクジェット印刷デバイスのインク接触部分を腐食させるべきではなく、本質的に無臭かつ無毒性であるべきである。
【0127】
いかなる特定の粘度範囲またはプリントヘッドにも限定されはしないが、より低い粘度のインクが使用され得、特定の用途には好ましくあり得る。したがって、インクの粘度(25℃にて)は、約7cps未満、約5cps未満、またはさらには約3.5cps未満であり得る。
【0128】
インクセット
本発明とともに使用するのに好ましいインクセットは、少なくとも3つの原色インク、すなわちシアンインク、マゼンタインクおよびイエローインク(CMY)を含み、その少なくとも1つは、上記のソルベント・トゥ・ウォーター法によって調製される。このインクセットは、任意選択で、追加のインク、特にブラックインク(CMYKインクセットを構成)を含み得る。
【0129】
インクセットがブラックインクを含む場合、高光学濃度の観点から、一般的に顔料は、ブラックに好ましい。好ましいブラック顔料は、カーボンブラック顔料であり、任意選択で、自己分散顔料ブラックが使用され得る。しかしながら、ブラックが本発明のソルベント・トゥ・ウォーター法によって調製される場合は、ブラックインクは、ポリマー分散剤を伴う従来のブラック顔料である。
【0130】
インクセットは、定着液をさらに含み得る。例えば、米国特許第5746818号明細書、米国特許第6450632号明細書、米国特許出願公開第2002/0044185号明細書、欧州特許出願公開第1258510号明細書および米国特許出願公開第2004/0201658号明細書を参照されたい。
【実施例】
【0131】
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここに記載される試験は、顔料分散体およびインクジェットインクを試験するために一般的に使用されている試験である。試験手順の例は、米国特許出願公開第2005/0090599号明細書に記載されている。
【0132】
実施例
ポリマー分散剤1 BZBA/MAA(92/8)ランダム線状コポリマー
5リットルのフラスコに、メカニカルスターラー、温度計、N2入口、乾燥管出口、および滴下漏斗を備え付けた。このフラスコに、テトラヒドロフラン(THF)1715.1gを投入した。次いで、触媒(m−クロロ安息香酸テトラブチルアンモニウム、アセトニトリル中の1.0M溶液1.2mL)を添加した。開始剤(1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−2−メチルプロペン、51.33g(0.295モル))を注入した。供給I(m−クロロ安息香酸テトラブチルアンモニウム、アセトニトリル中の1.0M溶液1.2mL、およびTHF、10.0g)を開始し、180分にわたって添加した。供給II(トリメチルシリルメタクリレート、213.2g(1.35モル)、およびベンジルメタクリレート(BZMA)、1334.5g(7.58モル))を0.0分の時点で開始し、70分にわたって添加した。
【0133】
173分の時点で、60.5gのメタノールを上記の溶液に添加し、蒸留が始まった。蒸留の第一段階の間に2−Pも添加し、503.0gの物質を除去した。最終ポリマー溶液は、51.7%固形分であった。溶媒の大部分は2Pである。
【0134】
このポリマーは、BZMA/MAA(92/8)の組成、5047の分子量(Mn)および全固形分に基づき0.99(meq/グラムポリマー固形分)の酸価を有していた。
【0135】
ポリマー分散剤2 BZMA/MAA(92/8)ランダム線状コポリマー
このポリマーは、これが米国特許出願公開第2005/0090599号明細書の段落[0140〜148]における実施例と同様に開始剤1,1−ビス(トリメチルシリルオキシ)−2−メチルプロペンを用いて酸開始される以外は、ポリマー分散剤1aと同様に作製される。
【0136】
ポリマー分散剤3 BZMA/MAA(90/10)ランダム線状コポリマー
このポリマー分散剤は、モノマーの質量比が変更される以外は、ポリマー分散剤1と同様の方法によって作製される。
【0137】
ポリマー分散剤4−ETEGMA//BZMA//MAA(3.6//13.6//10.8)
以下は、イオン安定化および立体安定化の両方をもたらすブロックポリマーを作製する方法の実施例である。
【0138】
3リットルのフラスコに、メカニカルスターラー、温度計、N2入口、乾燥管出口、および滴下漏斗を備え付けた。このフラスコに、THF291.3gを投入した。次いで、触媒(m−クロロ安息香酸テトラブチルアンモニウム、アセトニトリル中の1.0M溶液0.44mL)を添加した。開始剤(1,1−ビス(トリメチルシロキシ)−2−メチルプロペン、20.46g(0.0882モル))を注入した。供給I(m−クロロ安息香酸テトラブチルアンモニウム、アセトニトリル中の1.0M溶液0.33mL、およびTHF、16.92g)を開始し、185分にわたって添加した。供給II(トリメチルシリルメタクリレート、152.00g(0.962モル))を0.0分の時点で開始し、45分にわたって添加した。供給IIが完了(99%を超えるモノマーが反応)してから180分後に、供給III(ベンジルメタクリレート、211.63g(1.20モル))を開始し、30分にわたって添加した。供給IIIが完了(99%を超えるモノマーが反応)してから40分後に、供給IV(エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、78.9g(0.321モル))を開始し、30分にわたって添加した。
【0139】
400分の時点で、73.0gのメタノールおよび111.0gの2−ピロリドンを上記の溶液に添加し、蒸留を開始した。352.0gの物質を除去し、次いで、さらに2−ピロリドン340.3gを添加し、さらに81.0gの物質を留去した。最後に、全部の2−ピロリドン86.9gを添加した。最終ポリマー溶液は、固形分が40.0%であった。
【0140】
このポリマーは、ETEGMA//BZMA//MAA(3.6//13.6//10.8)の組成、4200の分子量(Mn)、および全固形分に基づき2.90(meq/グラムポリマー固形分)の酸価を有していた。
【0141】
ポリマー分散剤5 尿素末端ポリエーテルジオールIPDI/T650/DMPA AN10
2Lの反応器に、529.8gのTerathane(登録商標)650、327.3gのメチルエチルケトン、および19.6gのジメチロールプロピオン酸を加えた。この混合物を、10分間N2パージしながら110℃に加熱した。次いで、この反応物を80℃まで冷却し、0.5gのジブチルスズジラウレートを添加した。30分にわたって、238.5gのイソホロンジイソシアネートを添加し、続いて58.9gのメチルエチルケトンを添加した。この反応物を、3.5時間80℃で保持したところ、%NCOは1.2%であった。次いで、26.1gのビス(2−メトキシエチル)アミンを、5分にわたって添加した。
【0142】
967.2グラムの2−ピロリドンを約5時間にわたって添加しながら、真空下でポリウレタン溶液からMEKを留去する。最終ポリウレタン溶液は、3980cPsの粘度、43.7%の固形分%、10330のGPC Mn、1.9の多分散度、および10の酸価を有していた。
【0143】
ポリマー分散剤6 尿素末端ポリエーテルジオール IPDI/T650/DMPA AN20
2Lの反応器に、496.6gのTerathane(登録商標)650、306.5gのメチルエチルケトン、および40.2gのジメチロールプロピオン酸を加えた。この混合物を、10分間N2パージしながら110℃に加熱した。次いで、この反応物を80℃まで冷却し、0.6gのジブチルスズジラウレートを添加した。30分にわたって、263.1.0gのイソホロンジイソシアネートを添加し、続いて65.1.0gのメチルエチルケトンを添加した。この反応物を、2時間80℃で保持したところ、%NCOは1%未満であった。次いで、28.8gのビス(2−メトキシエチル)アミンを、5分にわたって添加した。
【0144】
985グラムの2−ピロリドンを約5時間にわたって添加しながら、真空下でポリウレタン溶液からMEKを留去する。最終ポリウレタン溶液は、7950cPsの粘度、45.3%の固形分%、9350のGPC Mn、1.9の多分散度、および20の酸価を有していた。
【0145】
ポリマー分散剤7 尿素末端ポリエーテルジオール IPDI/T650/DMPA AN30
2Lの反応器に、463.6gのTerathane(登録商標)650、286.2gのメチルエチルケトン、および61.2gのジメチロールプロピオン酸を加えた。この混合物を、10分間N2パージしながら110℃に加熱した。次いで、この反応物を80℃まで冷却し、0.7gのジブチルスズジラウレートを添加した。30分にわたって、288.のイソホロンジイソシアネートを添加し、続いて73.1gのメチルエチルケトンを添加した。この反応物を、3.5時間80℃で保持したところ、%NCOは1.6%であった。次いで、31.6gのビス(2−メトキシエチル)アミンを、5分にわたって添加した。
【0146】
1234グラムの2−ピロリドンを約5時間にわたって添加しながら、真空下でポリウレタン溶液からMEKを留去する。最終ポリウレタン溶液は、5240cPsの粘度、40%の固形分%、8650のGPC Mn、1.9の多分散度、および30の酸価を有していた。
【0147】
分散体調製物1 2−ピロリジノン(2−Pyrrlidinone)中のブラック分散体
ブラック顔料分散体を、十分な攪拌下で以下の成分を混合することによって調製した。
【0148】
【表2】

【0149】
上記の溶液を、1000RPMで5分間混合した。
【0150】
【表3】

【0151】
2−ピロリジノン(2−Pyrrlidinone)についての水素結合溶解度パラメータδhは、5.5である。顔料を添加し、高速分散機(HSD)によって3000RPMで2時間処理した。
【0152】
次いで、上記の混合物のうち450gをEigerの250mLのミニミルに投入し、4時間にわたって300g(1.25g毎分)のH2Oを添加しながら、6時間分散させた。次いで、分散体を8パス限外濾過して<1%まで2−Pを除去し、顔料レベルを12.22%まで高めた。平均粒径は93nmであった。
【0153】
初期水素結合溶解度パラメータδhは約5.5であり、限外濾過前の最終分散液は約12.1であった。
【0154】
分散体調製物2a TEB中のブラック分散体
ブラック顔料分散体を、十分な攪拌下で以下の成分を混合することによって調製した。
【0155】
【表4】

【0156】
上記の溶液を、1000RPMで5分間混合した。
【0157】
【表5】

【0158】
トリエチレングリコールモノブチルエーテルについての水素結合溶解度パラメータδhは、3.9である。顔料を添加し、HSDによって3000RPMで2時間処理した。
【0159】
次いで、上記の混合物のうち500gをマイクロフルイダイザーに投入し、60分にわたって500g(8.33g毎分)のH2Oを添加しながら、60分間再循環させて分散させた。次いで、分散体を限外濾過して<1%まで溶媒を除去し、顔料レベルを11.13%まで高めた。平均粒径は107nmであった。
【0160】
初期水素結合溶解度パラメータδhは約4.5であり、限外濾過前の分散液は約12.6であった。
【0161】
分散体調製物2b ブラック分散体
分散体調製物を、初期溶媒をTEBから80:20::TEB:水の混合物(重量/重量)に変更した以外は、分散剤2と同様に作製した。
【0162】
初期水素結合溶解度パラメータδhは約7.3であり、最終分散液は約12であった。
【0163】
分散体調製物3 TEB中のブラック分散体
溶媒ブラック顔料分散体を、十分な攪拌下で以下の成分を混合することによって調製した。
【0164】
【表6】

【0165】
上記の溶液を、1000RPMで10分間混合した。
【0166】
【表7】

【0167】
顔料を添加し、HSDによって3000RPMで2時間処理した。
【0168】
次いで、上記の混合物のうち500gをマイクロフルイダイザーに投入し、60分にわたって500g(8.33g毎分)のH2Oを添加しながら、60分間再循環させて分散させた。次いで、分散体を限外濾過して<1%まで溶媒を除去し、顔料レベルを11.05%まで高めた。平均粒径は102nmであった。
【0169】
初期水素結合溶解度パラメータδhは約3.8であり、限外濾過前の分散液は約12.3であった。
【0170】
分散体調製物4 2−P中のマゼンタ分散体
水性マゼンタ顔料分散体を、十分な攪拌下で以下の成分を混合することによって調製した。
【0171】
【表8】

【0172】
上記の溶液を、1000RPMで5分間混合した。
【0173】
【表9】

【0174】
顔料を添加し、HSDによって3000RPMで2時間処理した。
【0175】
450gをPremierからのミニミルに投入し、1.25mL毎分の速度で450gの脱イオン水添加しながら、6時間にわたって微粉砕した。
【0176】
この試料を8パス限外濾過して<1%の2−Pを除去し、顔料レベルを12.4%まで高めた。平均粒径は79nmであった。
【0177】
初期水素結合溶解度パラメータδhは約5.5であり、限外濾過前の分散液は約13.7であった。
【0178】
分散体調製物5 希釈用極性溶媒中の中和を添加した2−ピロリジノン(2−Pyrrlidinone)中のマゼンタ分散体
溶媒マゼンタ顔料分散体を、十分な攪拌下で以下の成分を混合することによって調製した。
【0179】
【表10】

【0180】
上記の溶液を、1000RPMで5分間混合した。
【0181】
【表11】

【0182】
顔料を添加し、HSDによって3000RPMで2時間処理した。
【0183】
これを混合し、次いで600gを投入し、Premierからのミニミルを使用して3時間にわたって分散させた。次いで、150gを除去してミル中に450gを残し、これに、1.86g(45.6%)のKOHと混合した90gのH2Oを60分(1.5mL毎分)にわたって添加し、次いで、360gのH2Oを、次の2時間(3mL毎分)にわたって添加した。合計ミル時間は6時間であった。次いで、分散体を8パス限外濾過して<1%まで2−Pを除去し、顔料レベルを16.15%まで高めた。平均粒径は131nmであった。
【0184】
初期水素結合溶解度パラメータδhは約5.5であり、限外濾過前の分散液は約13.7であった。
【0185】
分散体調製物6 2−ピロリジノン(2−Pyrrlidinone)中のマゼンタ分散体
溶媒マゼンタ顔料分散体を、十分な攪拌下で以下の成分を混合することによって調製した。
【0186】
【表12】

【0187】
上記の溶液を、1000RPMで5分間混合した。
【0188】
【表13】

【0189】
顔料を添加し、HSDによって3000RPMで2時間処理した。
【0190】
次いで、上記の混合物のうち450gをPremierからのミニミルに投入し、6時間分散させると同時に、その同じ6時間にわたって450g(1.25g毎分)のH2Oを添加した。次いで、分散体を8パス限外濾過して<1%まで2−Pを除去し、顔料レベルを13.71%まで高めた。平均粒径は94.4nmであった。
【0191】
初期水素結合溶解度パラメータδhは約5.5であり、限外濾過前の分散液は約13.7であった。この分散方法の出発点は、大きい三角形で図1に示されている。
【0192】
分散体調製物7 TEB中のブラック分散体
溶媒ブラック顔料分散体を、十分な攪拌下で以下の成分を混合することによって調製した。
【0193】
【表14】

【0194】
上記の溶液を、1000RPMで15分間混合した。
【0195】
【表15】

【0196】
顔料を添加し、高速分散機(HSD)によって2000RPMで3時間処理した。
【0197】
次いで、上記の混合物のうち400gをより小さいHSDに投入し、1時間にわたって300g(5.0mL毎分)のH2Oを添加しながら、1時間分散させた。平均顔料サイズは、281.9nmに減少した。次いで、この分散体を、Eigerの250mLのミニミルに投入し、5時間分散させた。平均顔料サイズは119.3nmまでさらに減少し、遊離ポリマーレベルは13.4%であった。
【0198】
初期水素結合溶解度パラメータδhは約4であり、限外濾過前の分散液は約9であった。
【0199】
分散体調製物8 イソプロピルアルコール中のブラック分散体
マゼンタ顔料分散体を、十分な攪拌下で以下の成分を混合することによって調製した。
【0200】
【表16】

【0201】
上記の溶液を、1000RPMで5分間混合した。
【0202】
【表17】

【0203】
顔料を添加し、HSDによって2000RPMで3時間処理した。
【0204】
次いで、上記の混合物のうち400gをEigerの250mLのミニミルに投入し、1時間にわたって5mL毎分の速度で脱イオン水を添加しながら分散させた。粒径は、176.7nmに減少した。水の添加が終わった後、分散体をさらに5時間ミル中で分散させた。平均顔料サイズは120.2nmまでさらに減少し、遊離ポリマーレベルは18.3%であった。
【0205】
初期水素結合溶解度パラメータδhは約7.8であり、限外濾過前の分散液は約14.25であった。
【0206】
分散体調製物9 2P/TEBの混合溶媒中の2.5の顔料対分散剤比でのマゼンタ分散体
【0207】
【表18】

【0208】
上記の溶液を、1000RPMで15分間混合した。
【0209】
【表19】

【0210】
顔料を添加し、高速分散機(HSD)によって2000RPMで3時間処理した。初期プレミックス顔料濃度は15.4%であり、初期粘度は454cpsであった。
【0211】
この混合物のうち300gをEigerミルに移した。水を連続的に添加しながら、ミルを稼働させた。合計270gの水を添加した。この方法の最終濃度は、約8.1%顔料であった。最終粒径は76nmであった。
【0212】
分散体調製物10〜17
異なる量のポリマー分散剤を添加することによってP/D比を1.5から8まで変化させて、分散剤調製物9と同様の処理を行った。
【0213】
【表20】

【0214】
初期水素結合溶解度パラメータδhは約4.7であり、最終分散液は12.4であった。ソルベント・トゥ・ウォーター法により、P/D比にかなりの幅がある安定な分散体を得ることができる。6、7および8というP/D比は、このポリマー分散剤/顔料の組み合わせとしては稀な高い値である。
【0215】
分散体調製物18〜24
分散体を、分散剤がポリウレタンであり、顔料/分散剤比が多様であった以外は、分散体調製物9と同様に調製した。
【0216】
【表21】

【0217】
最終粒径および他の測定値に基づき、酸価30を有するポリウレタンについては最善のP/Dは3であり、酸価20を有するポリウレタンについては最善のP/Dは2であり、そして酸価10を有するポリウレタンについては最善のP/Dは1であると判断した。この1/1という比は、こうした系としては非常に低い値である。
【0218】
分散体調製物25〜27
分散体調製物を、初期溶媒をTEBから60:40::TEB:水の混合物(重量/重量)に変更し、最終分散液が28:72::TEB:水であった以外は、分散体2と同様に作製した。ポリマー分散剤は、分散剤3であった。分散体調製物25は、2.5の顔料対分散剤比を有していた。分散体調製物26は、3.5の顔料対分散剤比を有していた。分散体調製物27は、4の顔料対分散剤比を有していた。初期水素結合溶解度パラメータδhは約10.6であり、最終分散液は約16であった。
【0219】
分散体調製物28 TEB中のホワイト分散体
溶媒ホワイト顔料分散体を、十分な攪拌下で以下の成分を混合することによって調製した。
【0220】
【表22】

【0221】
上記の溶液を、1000RPMで15分間混合した。
【0222】
【表23】

【0223】
TEBについての水素結合溶解度パラメータδhは約4.0である。顔料を添加し、高速分散機(HSD)によって2000RPMで1時間処理した。
【0224】
次いで、1mmのジルコニア媒体で満たしたビーカーミル(beaker milll)に、上記の混合物を投入し、最初に33分間分散させた。次いで、これを別の11分間分散させると同時に、その11分にわたって160g(14.54g毎分)のH2Oを添加した。次いで、これをさらなる11分間粉砕した。次いで、分散体を6パス限外濾過して<5%までTEBを除去し、顔料レベルを44.46%まで高めた。平均粒径は692nmであった。
【0225】
初期水素結合溶解度パラメータδhは約4.0であり、限外濾過前の分散液は約15.3であった。
【0226】
比較分散体調製物1 MEK中のマゼンタ分散体 極性希釈剤の添加なし
マゼンタ顔料分散体を、十分な攪拌下で以下の成分を混合することによって調製した。
【0227】
【表24】

【0228】
上記の溶液を、1000RPMで5分間混合した。
【0229】
【表25】

【0230】
顔料を添加し、HSDによって3000RPMで2時間処理した。
【0231】
これを混合し、次いで、Premierからのミニミルを使用して4時間にわたって分散させた。微粉砕の間、上記の混合物を200gのMEKで希釈して流れを維持させて、300nmの平均粒径を有する11.5%の顔料を含む混合物を得た。
【0232】
極性溶媒は何ら添加しなかったので、この方法の間の溶解度パラメータは、変化しなかった。高い粒径は、あったとしても僅かしか、分散処理が起こらなかったことを示している。図1において、この点は菱形で示されている。
【0233】
比較分散体調製物2 2−ピロリジノン(2−Pyrrlidinone):水::85:15中のマゼンタ分散体
水性マゼンタ顔料分散体を、十分な攪拌下で以下の成分を混合することによって調製した。
【0234】
【表26】

【0235】
上記の溶液を、1000RPMで5分間混合した。
【0236】
【表27】

【0237】
顔料を添加し、HSDで処理した。激しい発泡、および液体上部に硬いクラスト(crust)が、観察された。このクラストは、その液体に再溶解した。発泡が非常に激しかったので、この処理を16時間放置した。バッチ全体を固まらせ、このバッチを続けなかった。この85:15の組成物についての水素結合/極性溶解度点は、図1上に黒色背景中のアステリスクで示されている。
【0238】
比較分散体調製物3 ブラック顔料;92/8ポリマー
分散体を、以下の配合で調製した。
【0239】
【表28】

【0240】
列記された成分を十分に混合し、次いで、Microfluidicsシステムを使用して分散させた。次いで、上記を138gの水で希釈し、再度Microfluidicsシステムで分散させて、平均粒径が119nmの10%着色分散体を得た。
【0241】
比較分散体調製物4 ブラック顔料
比較分散体4を、分散溶媒が100%水であった以外は、分散体調製物25と同様に作製した。
【0242】
比較分散体調製物5 ブラック顔料
比較分散体5を、分散溶媒が100%水であった以外は、分散体調製物26と同様に作製した。顔料対分散剤比は、2.5であった。
【0243】
比較分散体調製物6 ブラック顔料
比較分散体6を、分散溶媒が100%水であった以外は、分散体調製物2aと同様に作製した。
【0244】
インクおよび分散体における遊離ポリマー測定
手順
着色分散体を、脱イオン水で1:1に希釈し、次いでBeckman L−8超遠心機を使用して、20,000rpmで2時間遠心分離した。着色インクについては、遠心分離前に希釈していない。顔料を含まない上澄みを、重量%固形分法(gravimetric % solids method)によって、結合していないポリマーについて分析する。
【0245】
%固形分は、秤量皿中の既知量の上澄みを3時間摂氏150度のオーブンに入れることによって上澄みについて測定する。固形分は、遠心分離前のいずれの希釈度についても補正されなければならない。
【0246】
遊離ポリマーは、この測定に基づいて計算される。遊離ポリマーはまた、分散体を同様に遠心分離し、上澄み溶液に対してHPLCを行うことによっても測定され得る。HPLCの較正は、既知濃度の中和されたポリマー分散剤によって行われる。
【0247】
あるいは、重量法が使用され得る。この方法では、計量された量の上澄みを重量が一定になるまで乾燥させ、その重量を遊離ポリマーのものとする。
【0248】
ポリマー分散体およびインクの試験
実施例1 分散体調製物1および比較分散体調製物3
分散体調製物1および比較分散体調製物3を試験し、インク調製物に使用した。インクビヒクルは、4重量%の1,2ヘキサンジオール、15%のグリセロール、5%のエチレングリコールおよび0.2%のSurfynol(登録商標)465であった。
【0249】
【表29】

【0250】
本発明の分散体は、分散体調製物1としても、インク1としても、より低い粒径、粘度、導電率を有していた。安定性試験は、試料を14日間70℃で保持し、再試験することによって行った。ODは同様であったが、光沢は、本発明の分散体についての方が著しく優れていた。
【0251】
遊離ポリマーは、35重量%に対して10重量%であり、本発明の分散体中の方が劇的に少なかった。
【0252】
実施例2〜4 分散体調製物11、12、および13
本発明の分散体を、上記のとおりに調製した。調製後、それらを様々な長さの時間にわたって70℃に加熱した。
【0253】
【表30】

【0254】
これらの本発明の分散体は、それぞれ、安定な粒径、粘度、pH、および導電率を有していた。これらの分散体を70℃にて様々な長さの時間にわたって加熱した後、粒径、粘度、pH、および導電率はほとんど変化せず、安定な分散体であることを示していた。
【0255】
本発明の実施例5および6
本発明の分散体5、6および比較例2を調製し、試験した。これらの分散体を7日間および14日間70℃に加熱し、再試験した。
【0256】
【表31】

【0257】
本発明の分散体は、従来の方法で処理された分散体よりも、著しく低い粘度および導電率を有していた。7日後および14日後に試験された時、本発明の分散体は比較例2に匹敵する特性を有しており、本発明の分散体が安定であることを示していた。分散液中に残されたポリマーは、比較例5については63%であり、本発明の分散体2aについては35%であり、本発明の分散体2bについては39%であった。
【0258】
本発明のインク実施例2、3、および4、分散体調製物25、26および27
本発明の分散体を調製し、特性を試験した。次いで、溶媒を除去するためにそれらを限外濾過し、70℃にて7日間貯蔵し、再試験した。
【0259】
【表32】

【0260】
分散体25〜27は、70℃での7日間の試験後に、優れた安定性を示した。
【0261】
これらの分散体をインクにし、印刷し、光学濃度を測定した。固定プリントヘッドおよび回転ドラムターゲットを用いてこれらの試料を印刷した。13μgの印刷濃度は、2秒未満のタイムディレイでもう1度紙上に印刷したことを示している。
【0262】
【表33】

【0263】
本発明のインク実施例についての光学濃度は、比較インクに対して著しく向上していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)初期溶媒、分散性粒子、少なくとも1種のポリマー分散剤、および任意選択的な中和剤を含む初期混合物を調製する工程と、
b)前記粒子の最終分散体が安定な分散体となるように、極性希釈液を添加しながら前記初期混合物を分散処理に供する工程と
を含む、粒子の分散体を調製するための方法であって、
最終溶媒混合物の水素結合溶解度パラメータは、前記初期溶媒よりも少なくとも1.5単位高く、
前記水素結合溶解度パラメータは、ハンセンパラメータおよび重量/重量加法的計算に基づいて計算される、方法。
【請求項2】
前記最終溶媒混合物の前記水素結合溶解度パラメータ要素が、溶媒ブレンドの前記初期混合物よりも少なくとも2単位高い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中和剤が、前記初期溶媒に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記中和剤が、前記極性希釈液と共に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記初期溶媒が、エーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、窒素化合物、硫黄化合物、カルボン酸、酸ハロゲン化物、無水物、およびアルコールから選択される少なくとも1種の有機溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記初期溶媒が、50重量パーセントまでの水を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記極性希釈液が添加される間、前記分散液が1つの相であるように、前記初期溶媒および添加される極性希釈液が選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記添加される極性希釈剤混合物が、アルコールおよび水ならびにそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記添加される極性希釈剤が、水である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー分散剤が、ランダムポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー分散剤が、固体ポリマーのg数あたり約65mgKOH未満の酸価を有するランダムポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー分散剤が、構造化ポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー分散剤が、イオン的に安定化されたポリマー分散剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマー分散剤が、ポリウレタンポリマー分散剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
a)初期溶媒、顔料粒子、ポリマー分散剤、および任意選択的な中和剤を調製する工程と、
b)前記顔料粒子の分散体が安定な分散体となるように、十分な極性希釈液を添加しながら前記初期溶媒を分散処理に供する工程と
を含む、水性顔料分散体を調製するための方法であって、
前記最終溶媒混合物の水素結合溶解度パラメータ要素は、前記初期溶媒よりも少なくとも1.5単位高く、
両方の前記水素結合は、ハンセンパラメータおよび重量/重量加法的計算に基づいて計算される、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の水性顔料分散体を含む、水性着色インクジェットインク。
【請求項17】
25℃にて約20dyn/cm〜約70dyn/cmの範囲内の表面張力、および25℃にて約30cPより低い粘度を有する、請求項16に記載の水性着色インクジェットインク。
【請求項18】
少なくとも1種のシアンインク、少なくとも1種のマゼンタインク、および少なくとも1種のイエローインクを含むインクセットであって、前記インクのうちの少なくとも1つは、請求項16に記載の水性着色インクジェットインクである、インクセット。
【請求項19】
(a)デジタルデータ信号に応答性のインクジェットプリンターを提供する工程と、
(b)印刷されるべき基材を前記プリンターに装填する工程と、
(c)請求項17に記載のインクを前記プリンターに装填する工程と、
(d)前記デジタルデータ信号に応答して前記インクまたはインクジェットインクセットを用いて前記基材上に印刷する工程と
を含む、基材上へのインクジェット印刷のための方法。
【請求項20】
(a)デジタルデータ信号に応答性のインクジェットプリンターを提供する工程と、
(b)印刷されるべき基材を前記プリンターに装填する工程と、
(c)請求項18に記載のインクセットを前記プリンターに装填する工程と、
(d)前記デジタルデータ信号に応答して前記インクまたはインクジェットインクセットを用いて前記基材上に印刷する工程と
を含む、基材上へのインクジェット印刷のための方法。

【公表番号】特表2013−500851(P2013−500851A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523024(P2012−523024)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/043646
【国際公開番号】WO2011/014615
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】