説明

分散体安定化方法

【課題】長期保存後でもゲル化及び沈殿作用に対して優れた安定性を有するとともに、非常に高い固体分を有する分散体を得ることができる分散体安定化方法を提供する。
【解決手段】分散体がホウ素を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分散体安定化方法、分散体、及び該分散体調製方法、並びにシリカ及び該シリカの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷媒体(紙)の被覆に使用する水性シリカ分散体とアルミニウム塩の安定化について開示されている。これは、アルミニウムの存在及び影響により、印刷インクが好ましくない色に変化することが欠点である。
【0003】
シリカ分散体を安定化する他の公知の方法には、アルカリを添加し、KOH、又はNaOHと共に高いpHを確立する方法がある。これは、紙に損傷を与えるという欠点がある。
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1124693A1号(Cabot)明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、先行技術の欠点を克服することである。
驚くことに、長期保存後でもゲル化及び沈殿作用に対して優れた安定性を有するとともに、非常に高い固体分を有するシリカ分散体は、ホウ素化合物を使用して調製可能であり、特に、シリカ分散体に、ホウ素含有シリカを使用して調製可能であることが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、分散体がホウ素を含むことを特徴とする分散体安定化方法に関する。
分散体は、好ましくは、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム(IV)、酸化セリウム(IV)、及び酸化亜鉛等の金属酸化物の分散体である。
分散体の安定化方法において、ホウ素の含有量は、好ましくは0.00001重量%〜8重量%、好ましくは0.0001重量%〜8重量%、より好ましくは0.001重量%〜5重量%、特に好ましくは0.1重量%〜5重量%である。なお、ホウ素は、常に、ホウ素含有分散体全体に対して、ホウ素含有分散体における純ホウ素として計算される。
【0007】
分散体の安定化方法において、ホウ素の含有量は、好ましくは0.0001重量%〜12重量%、より好ましくは0.001重量%〜10重量%、特に好ましくは0.1重量%〜5重量%である。なお、ホウ素は、常に、ホウ素含有シリカ全体に対して、ホウ素含有シリカにおける純ホウ素として計算される。
【0008】
金属酸化物、及びホウ素を含有する分散体に関して、更に記載する。
本発明の分散体は、好ましくは、上記金属酸化物を含む。
ホウ素を含む本発明による分散体の調製において、ホウ素はホウ素化合物の形体で液体に混合される。
ホウ素含有シリカを含む本発明による分散体の調製において、ホウ素含有シリカは液体に混合される。
液体は、好ましくは、粘性が低く、好ましくは、25℃で100mPa・s未満であり、好ましくは、水;アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はジイソプロパノール)、又はポリオール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はグリセロール)等の他の極性プロトン溶媒;エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン)、ケトン類(例えば、アセトン、又はイソブチルケトン)、エステル類(例えば、エチルアセテート)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等の極性非プロトン溶媒;アルカン類(例えば、シクロヘキサン類)又は芳香族類(例えば、トルエン)等の非極性溶媒等である。これらの中でも特に水が好ましい。
【0009】
本発明の分散体の調製は、ホウ素化合物を液体に加えることが可能であり、湿潤する、タンブラーミキサー、又は高速ミキサーと同様に振る、又は攪拌することで分散される。シリカ含量が10重量%未満である場合は、シリカを液体に全体的に十分に取り込むために、単に攪拌すればよい。シリカを液体に取り込ませ、分散させるために、非常に高い剪断勾配が好ましい。高速攪拌機、高速溶解機、例えば、回転速度が1〜50m/sである高速ロータステータ方式、ソノレータ、剪断隙間、ノズル、ボールミルがこの目的に好適である。
これは、回分式又は連続的方法で達成可能である。
【0010】
特に、適切な方式は、まず始めに湿らせ、効果的な攪拌要素、例えば、密閉容器でシリカを液体に取り込み、第2工程において、シリカを高速剪断勾配で分散する。これは、第1の容器内で分散方式により、又は分散方式を含む外部のパイプラインにおいて揚水循環により達成可能であり、好ましくはクローズドリサイクルにより分散体は容器から分散方式を介して容器に再度運ばれることで達成される。部分的なリサイクル、及び部分的な連続的除去により、この方法は好ましくは連続的に設計可能である。
【0011】
本発明の分散体にシリカを分散するために、超音波の使用が最適であり、超音波は、5Hz〜500kHz、好ましくは10kHz〜100kHz、特に好ましくは15kHz〜50kHzである。超音波分散は連続的、又は回分式に達成可能である。これは、超音波探針等の個別の超音波発生機、又は、パイプライン又はパイプ壁により任意に分岐し、1つ以上の超音波発生機を含む流入方式により達成可能である。超音波分散は、連続的、又は回分式に達成可能である。
【0012】
本発明による分散体の調製のため、ホウ素含有シリカは液体に加えることが可能であり、湿潤する、タンブラーミキサー、又は高速ミキサーにより振る、又は攪拌することで分散される。シリカ含量が10重量%未満である場合は、単に攪拌すれば通常十分である。ホウ素含有シリカを液体に取り込ませ、分散させるために、非常に高い剪断勾配が好ましい。高速攪拌機、高速溶解機、例えば、回転速度が1〜50m/sである高速ロータステータ方式、ソノレータ、剪断隙間、ノズル、ボールミルがこの目的に好適である。これは回分式、又は連続的方法で達成可能である。
【0013】
特に、適切な方式は、まず始めに湿らせ、効果的な攪拌要素、例えば、密閉容器でシリカを液体に取り込み、第2工程において、シリカを高速剪断勾配で分散する。これは、第1の容器内で分散方式により、又は分散方式を含む外部のパイプラインにおいて揚水循環により達成可能であり、好ましくはクローズドリサイクルにより分散体が容器から分散方式を介して容器に再度運ばれることで達成される。この方法は部分的なリサイクル、及び部分的な連続的に除去することで、好ましくは連続的に設計可能である。
【0014】
本発明の分散体にシリカを分散するために、超音波の使用が最適であり、超音波は、5Hz〜500kHz、好ましくは10〜100kHz、特に好ましくは15〜50kHzである。超音波分散は連続的、又は、回分式に達成可能である。これは、超音波探針等の個別の超音波発生機、又はパイプライン又はパイプ壁により任意に分岐し、1つ以上の超音波発生機を含む流入方式により達成可能である。超音波分散は、連続的、又は回分式に達成可能である。
【0015】
本発明の金属酸化物を含む分散体の場合、ホウ素は、常に、ホウ素含有分散体全体に対して、ホウ素含有分散体における純ホウ素として計算され、ホウ素の含有量は、好ましくは0.00001重量%〜8重量%、好ましくは0.0001重量%〜8重量%、好ましくは0.001重量%〜5重量%、特に好ましくは0.1重量%〜5重量%、更に特に好ましくは0.5重量%〜5重量%である。
【0016】
本発明の分散体において、ホウ素は、常に、ホウ素含有シリカ全体に対して、ホウ素含有シリカにおける純ホウ素として計算され、ホウ素の含有量は、好ましくは0.0001重量%〜12重量%、好ましくは0.001重量%〜10重量%、特に好ましくは0.1重量%〜5重量%、更に特に好ましくは0.5重量%〜5重量%である。
【0017】
本発明の好ましい水性分散体は、例えば、ホウ素化合物として0.01〜5重量%のホウ素、及び70重量%、BET=25〜100m/gの焼成シリカ、50重量%、BET=100〜200m/gの焼成シリカ、又は、1〜40重量%、BET=200〜450m/gの焼成シリカを含み、任意で他のシリカ類、他のシリカ微粒子、コロイド状シリカ、及び含水シリカ、他の添加剤、例えば、リン酸等の鉱酸、リンゴ酸、プロピオン酸等の有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等の無機塩基、トリエタノールアミン等の有機塩基、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリマー、ドデカンスルホン酸等のアニオン性界面活性剤、塩化セチルピリジニウム等のカチオン性界面活性剤、トリトンX100等の非イオン性界面活性剤等の界面活性剤を含む。
【0018】
本発明のホウ素化合物は、本発明の溶媒に溶解可能な全てのホウ素化合物であり、例えば、非分解、又は分解形体で溶解するホウ素化合物、又は水溶性ホウ素化合物、加水分解ホウ素化合物等の非分解、又は分解形体で溶解するホウ素化合物である。ホウ素含有シリカの調製のために、本発明によるこれらを使用することができる。水溶性ホウ素化合物を使用することができ、例えば、B等の水溶性ホウ素酸化物、B(OH)、HB(OH)、HBO等の水溶性ホウ酸、メタホウ酸ナトリウムNaBO等のナトリウム塩、ホウ砂Na・10HO等のホウ酸塩が挙げられる。
【0019】
更に、本発明の水性分散体は、例えば、ホウ素含有シリカを0.1〜70重量%、BET=25〜100m/g含み、任意で他のシリカ類、他のシリカ微粒子、コロイド状シリカ、及び含水シリカ、他の添加剤、例えば、リン酸等の鉱酸、リンゴ酸、プロピオン酸等の有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等の無機塩基、トリエタノールアミン等の有機塩基、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリマー、ドデカンスルホン酸等のアニオン性界面活性剤、塩化セチルピリジニウム等のカチオン性界面活性剤、トリトンX100等の非イオン性界面活性剤等の界面活性剤を含むことが好ましい。
【0020】
更に、本発明の水性分散体は、例えば、ホウ素含有シリカを0.1〜50重量%、BET=100〜200m/g含み、任意で他のシリカ類、他のシリカ微粒子、コロイド状シリカ、及び含水シリカ、他の添加剤、例えば、リン酸等の鉱酸、リンゴ酸、プロピオン酸等の有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等の無機塩基、トリエタノールアミン等の有機塩基、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリマー、ドデカンスルホン酸等のアニオン性界面活性剤、塩化セチルピリジニウム等のカチオン性界面活性剤、トリトンX100等の非イオン性界面活性剤等の界面活性剤を含むことが好ましい。
【0021】
更に、本発明の水性分散体は、例えば、ホウ素含有シリカを0.1〜40重量%、BET=200〜450m/g含み、任意で他のシリカ類、他のシリカ微粒子、コロイド状シリカ、及び含水シリカ、他の添加剤、例えば、リン酸等の鉱酸、リンゴ酸、プロピオン酸等の有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等の無機塩基、トリエタノールアミン等の有機塩基、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリマー、ドデカンスルホン酸等のアニオン性界面活性剤、塩化セチルピリジニウム等のカチオン性界面活性剤、トリトンX100等の非イオン性界面活性剤等の界面活性剤を含むことが好ましい。
【0022】
水性分散体に加えて、好ましい分散液としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はジイソプロパノール)、ポリオール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はグリセロール)等の他の極性プロトン分散液;エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン)、ケトン類(例えば、アセトン、又はイソブチルケトン)、エステル類(例えば、エチルアセテート)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等の極性非プロトン分散液;アルカン類(例えば、シクロヘキサン類)、芳香族類(例えば、トルエン)等の非極性分散液等もまた可能である。取扱い性及び毒性学の観点から、水が分散液として適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
ホウ素含有シリカは、概ね様々な方法で調製可能である。
方法1
公知の焼成シリカの調製方法において、例えば、1,000℃よりも高温の火炎法に基づいて、四塩化ケイ素、三塩化シラン、メチルシリコントリジクロライド、又は、ヒドロゲンメチルシリコンジクロライド等の気化可能なシランの反応を含み、例えば、水素ガスと酸素ガスの燃焼による火炎内において、メタン等の低級アルカンの不足当量もまた混合され、1つ以上の気化可能なホウ素化合物、例えば、三塩化ホウ素、ホウ酸トリメチル等もまた加えられる。
【0024】
混合物において、気化可能なシラン中のシリコンに対する気化可能なホウ素化合物中のホウ素の含有量は、好ましくは、0.0001重量%〜50重量%、更に好ましくは、0.1重量%〜50重量%、特に好ましくは、0.5重量%〜25重量%、非常に好ましくは、0.5重量%〜5重量%である。
ホウ素含有シリカにおけるホウ素の含有量は、ホウ素は、常に、ホウ素含有シリカ全体に対して、ホウ素含有シリカにおける純ホウ素として計算され、好ましくは、0.0001重量%〜12重量%、更に好ましくは、0.001重量%〜10重量%、特に好ましくは、0.1重量%〜5重量%、非常に好ましくは、0.5重量%〜2.5重量%である。
【0025】
ホウ素化合物はバーナーの上流に連結する蒸発器に加えることで効果的に達成され、化合物を蒸気体で均一に混合し、気体がバーナーに供給されるのが好ましい。
【0026】
方法2
本発明の他の形態において、気化可能なホウ素化合物、液体ホウ素化合物、又は、液体、好ましくは水に溶解しているホウ素化合物がエアロゾルとして、好ましくは、噴霧器により生成され、焼成シリカを調製する火炎内に、吹付け、噴霧化、又は導入される。
【0027】
ホウ素含有シリカにおけるホウ素の含有量は、ホウ素は、常に、ホウ素含有シリカ全体に対して、ホウ素含有シリカにおける純ホウ素として計算され、好ましくは、0.0001重量%〜12重量%、更に好ましくは、0.001重量%〜10重量%、特に好ましくは、0.1重量%〜5重量%、非常に好ましくは、0.5重量%〜2.5重量%である。
【0028】
方法3
本発明の他の実施形態において、公知の方法により調製されたシリカ、例えば、シリカゾル、シリカゲル、ケイソウ土、非焼成シリカ、焼成シリカ、湿式化学法により調製されたシリカ、いわゆる、沈降シリカ、又は、火炎法により調製されたシリカ、いわゆる、焼成シリカ等が1つ以上のホウ素化合物で後処理される。また、任意で、撥水剤、シリル化剤等の表面処理用添加剤も加えることができ、例えば、ジメチルジクロロシラン等のアルキルクロロシラン、又は、ジメチルジメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等のアルキルシラザン、又は、平均鎖長が100未満であるポリジメチルシロキサン(例えば、ジメチルシリルオキシモノマー単位、ジメチルシラノール末端基等のSiOH基等の反応性末端基を有する、又は、トリメチルシリルオキシ基等の未反応末端基を有する)等のアルキルポリシロキサン等が挙げられる。ホウ素化合物は、三塩化ホウ素等のハロゲン化ホウ素類、トリメチルボレート、トリエチルボレート等のホウ素アルコキシド類、ホウ素ナトリウムNaBO、NaBO、又はホウ砂等の水溶性ホウ素塩等の共有化合物が挙げられる。更に、有機溶媒に溶解可能なホウ素化合物もまた適している。
【0029】
特段の形態においては、無水条件下で調製された親水性焼成シリカがホウ素化合物による表面処理の基(出発)物質として使用される。ここでは、「無水」とは、熱水調製プロセス、又は冷却、精製及び保存、準備が整い、精製、梱包された出荷可能な生成物までの段階のプロセス工程において、液体、又は気体の形体で加水しないことを意味する。いかなる場合でも、シリカ全体量に対して、水は5重量%よりも多く加えない。好ましくは、出来る限り少量の水を加える。特に好ましくは、水を全く加えない。
【0030】
更に、本発明の主題は、シリカの被覆方法であり、親水性、疎水性、又はシリル化形体において、シリカが1つ以上の揮発性化合物、液体ホウ素化合物、及び溶解性ホウ素化合物からなる群から選択される少なくとも1種により表面処理されることを特徴とする。
【0031】
例えば、ホウ素化合物は以下の化学式で表される。
【0032】
BX (I)
又は、
B(OR (II)
上記化学式中、a+b=3、及びc+d=3を表し、好ましくは、b=3、好ましくは、d=3、及び、X=ハロゲン、好ましくは、塩素を表す。
は、任意で、単不飽和の、又は、多価不飽和の、一価の、任意で、炭素数1〜18のハロゲン化炭化水素ラジカルであり、同一又は異なっていてもよい。
は、好ましくは、メチル、又はエチル基であり、使用可能性の点で、特に好ましくはメチル基である。
は、任意で、単不飽和の、又は、多価不飽和の、一価の、任意で、炭素数1〜12のハロゲン化炭化水素ラジカルであり、同一又は異なっていてもよい。
【0033】
は、例えば、メチルラジカル、エチルラジカル等のアルキルラジカル類、イソプロピル又はn−プロピルラジカル等のプロピルラジカル類、tert−ブチル、又はn−ブチルラジカル等のブチルラジカル類、ネオペンチル、イソペンチル、又はn−ペンチルラジカル等のペンチルラジカル類、n−へキシルラジカル等のへキシルラジカル類、n−へプチルラジカル等のへプチルラジカル類、2−エチルへキシル、又はn−オクチルラジカル等のオクチルラジカル類、n−デシルラジカル等のデシルラジカル類、n−ドデシルラジカル等のドデシルラジカル類、n−ヘキサデシルラジカル等のヘキサデシルラジカル類、n−オクタデシルラジカル等のオクタデシルラジカル類、ビニル、2−アリル、5−へキセニルラジカル等のアルケニルラジカル類、フェニル、ビフェニル、ナフテニルラジカル等のアリールラジカル類、ベンジル、エチルフェニル、トルイル、キシリルラジカル等のアルキルアリールラジカル類、3−クロロプロピルラジカル等のハロゲン化アルキルラジカル等が挙げられる。
は、好ましくは、メチルラジカル、及びエチルラジカルであり、特に好ましくは、メチルラジカルである。
【0034】
は、例えば、メチルラジカル、エチルラジカル等のアルキルラジカル類、イソプロピル又はn−プロピルラジカル等のプロピルラジカル類、tert−ブチル、又はn−ブチルラジカル等のブチルラジカル類、ネオペンチル、イソペンチル、又はn−ペンチルラジカル等のペンチルラジカル類、n−へキシルラジカル等のへキシルラジカル類、n−へプチルラジカル等のへプチルラジカル類、2−エチルへキシル、又はn−オクチルラジカル等のオクチルラジカル類、n−デシルラジカル等のデシルラジカル類、n−ドデシルラジカル等のドデシルラジカル類等が挙げられる。
は、好ましくは、メチルラジカル、及びエチルラジカルであり、特に好ましくは、メチルラジカルである。
ホウ素化合物は、特に好ましくは、三塩化ホウ素、及びトリアルキルホウ素、トリメチルホウ素である。
【0035】
ホウ素含有シリカにおけるホウ素の含有量は、ホウ素は、常に、ホウ素含有シリカ全体に対して、ホウ素含有シリカにおける純ホウ素として計算され、好ましくは0.0001重量%〜12重量%、好ましくは0.001重量%〜10重量%、特に好ましくは0.1重量%〜5重量%、特に好ましくは0.5重量%〜5重量%である。
【0036】
方法3の出発物質としてのシリカ
出発物質としてのシリカは、好ましくは、平均粒径100nm未満の一次粒子を有し、好ましくは、5〜50nmである。これらの一次粒子はシリカ内で単離せずに、より大きな凝集体、及び塊の成分である。
シリカの比表面積は、好ましくは、25〜500m/g(DIN66131、及び66132に基づきBET法により測定)である。
シリカは、直径100〜1,000nmの凝集体(DIN53206による定義)を含み、シリカは、凝集体から成る集塊(DIN53206による定義)を含み、その集塊の大きさは、外部の剪断荷重(例えば、測定条件等)に依存するが、1〜500μmである。
【0037】
好ましくは、シリカは、表面のフラクタル次元が、好ましくは、2.3以下であり、好ましくは、2.1以下であり、特に好ましくは、1.95〜2.05であり、表面Dのフラクタル次元は以下のように定義される:
粒子表面積Aは、粒子半径RのD乗に比例する。
好ましくは、シリカは質量Dのフラクタル次元が、好ましくは、2.8以下であり、好ましくは、2.7以下であり、特に好ましくは、2.4〜2.6である。質量Dのフラクタル次元は以下のように定義される:
粒子質量Mは、粒子半径RのD乗に比例する。
【0038】
好ましくは、シリカは、シラノール基SiOHの表面濃度が2.5 SiOH/nm未満であり、好ましくは、2.1 SiOH/nm未満であり、好ましくは、1.9 SiOH/nm未満であり、特に好ましくは、1.7〜1.9 SiOH/nmである。
【0039】
シリカは、高温(1,000℃を超える)で調製されて使用される。シリカは、熱分解法で調製されるのが特に好ましい。また、新たに調製し、バーナーから直接得た親水性シリカを一時的に保存したもの、又は既に商用に梱包されたものを使用することも可能である。撥水性、又はシリル化シリカ、例えば、市販されているものも使用可能である。
【0040】
かさ密度が60g/l未満の緻密でないシリカ、及び、かさ密度が60g/lを超える緻密質シリカもまた使用可能である。
様々なシリカの混合物、例えば、BET表面積が異なるシリカ混合物、撥水度、又はシリル化度が異なるシリカ混合物等が使用可能である。
【0041】
バッチ方法等による不連続反応、又は連続反応として、ホウ素による表面変性を実施可能である。技術的な理由から、連続反応が好ましい。
反応は、1工程又は、2、3の連続工程において実現される。すなわち、ローディング(ホウ素化合物の物理吸着)及び精製工程が、反応の下流で実施可能である。3連続工程、(1)ローディング―(2)反応―(3)精製が好ましい。
【0042】
ローディング温度は、好ましくは、−30℃〜350℃、更に好ましくは、20℃〜150℃、特に好ましくは、60℃〜120℃である。
反応温度は、好ましくは、50℃〜400℃、更に好ましくは、50℃〜150℃である。
反応時間は、好ましくは、1分〜24時間、更に好ましくは、10分〜8時間、特に好ましくは、30分〜4時間である。
反応圧は、大気圧領域において、10barまでの超大気圧、及び0.2barまでの減圧が可能である。
精製温度は、好ましくは、100℃〜400℃、更に好ましくは、150℃〜300℃である。
【0043】
効果的な動き、及びシリカとホウ素化合物の完全な混合が必要とされる。好ましくは、機械的、及び気体支持による流動化により達成される。気体支持による流動化は、ホウ素化合物、シリカ、ホウ素含有シリカ、及び副反応生成物と反応しない、即ち、2次反応、分解反応、酸化プロセス、火炎現象及び爆発現象を生じないN、Ar、他の希ガス、CO等の全ての不活性ガスにより達成される。流動化のための気体は、空管領域における気体速度が、好ましくは、0.05〜5cm/s、特に好ましくは、0.05〜1cm/sで供給される。機械的流動化は、パドル攪拌機、アンカー攪拌機、及びその他の適した攪拌要素により達成可能である。
【0044】
特に好ましい実施形態において、低酸素雰囲気の維持に十分な量の気体だけ、好ましくは酸素の10体積%未満であり、特に好ましくは、2.5体積%未満の量の気体が供給され、従って、流動化が純粋に機械的に達成される。
反応は、好ましくは、ホウ素を注入したシリカが酸化を生じない雰囲気下、即ち、好ましくは酸素の10体積%未満、特に好ましくは、2.5体積%未満の低酸素雰囲気下で行われ、最良の結果が得られるのは、酸素の1体積%未満の場合である。
【0045】
ホウ素化合物は、シリカに効果的に導入される。これは、ローディング温度、又は反応温度において気体であるホウ素化合物を使用することにより、実施することができる。ホウ素化合物は、室温において乃至反応温度において液体化合物、又は、溶媒に溶解可能な固体化合物である場合に、圧力下(5〜20bar)での無気ノズルにおける噴霧、圧力下(気体及び液体2〜20bar)での2流体ノズルにおける噴霧、又は、噴霧器による非常に細かい分散等の効果的な噴霧技術が使用される。
ホウ素化合物は、好ましくは、非常に微細なエアロゾルとして加えられ、好ましくは、エアロゾルの落下率が0.1〜20cm/sであることを特徴とする。
【0046】
また、液体アルコール類、気化可能なアルコール類、又は水等のプロトン性溶媒を好適に加えることが可能であり、代表的なアルコールは、イソプロパノール、エタノール、及びメタノールである。上記プロトン性溶媒の混合物もまた加えることが出来る。水が好適に加えられる。水は、好ましくは、シリカに対して0.1〜50重量%が加えられ、特に好ましくは、水、又は水蒸気の総量が、常圧下で105℃、2時間加熱前後の重量の違いを量って決定され、BET比表面積100m/gのシリカに対して、0.25重量%〜2.5重量%である。即ち、BET比表面積100m/gのシリカに対しては、0.25重量%〜2.5重量%であり、比表面積50m/gのシリカに対しては、相応して少量の0.125重量%〜1.25重量%であり、BET比表面積300m/gのシリカに対しては、相応して多量の0.75重量%〜7.5重量%である。
【0047】
また、酸性触媒、又は塩基性触媒が、好適に加えられる。これらは、アンモニア等のルイス塩基、又はブレンステッド塩基という意味での塩基性特性、又は、塩化水素等のルイス酸、又はブレンステッド酸という意味での酸性特性を有する。これらは、好ましくは、微量に、即ち1,000ppm未満の量で加えられる。特に好ましくは、触媒は全く加えられない。
【0048】
精製工程は、動作を特徴とし、遅い動作、及び、僅かな混合が好ましい。
精製工程は、更に気体導入を増加することを特徴とし、空管内の気体速度が0.001〜10cm/s、好ましくは、0.01〜1cm/sである。
また、精製工程は、機械的攪拌要素による混合工程を含む。攪拌要素は、完全な渦が発生しない好適な混合、及び流動化の方法で調整され、動かされる。
【0049】
更に、機械的な圧縮方法として、例えば、プレスロール、ボールミル、エッジミル、スクリューコンパクター、又はブリケッティングマシンが、ホウ素化合物の添加中に使用される。
更に、シリカの解凝集方法として、例えば、ピンディスクミル、又は粉砕分級装置等が、ホウ素化合物の添加中に使用される。
【0050】
更に、シリカの機械的圧縮方法として、例えば、プレスロール、又は、適切な真空方法による空気又は気体量の抽出による圧縮、又は、その他の機械的圧縮方法、例えば、プレスロール、ボールミル、エッジミル、スクリューコンパクター、又はブリケッティングマシンが精製後に使用される。
更に、シリカの解凝集方法として、例えば、ピンディスクミル、又は粉砕分級装置等が精製後に使用される。
【0051】
好適な実施形態において、未反応ホウ素化合物、副反応生成物、化学的に定着していない、任意で変性された過剰な量の添加ホウ素化合物、精製工程で生じる廃棄物及び排ガスは、最適に温度自動調節された装置においてリサイクルされ、シリカの被覆、及びローディング工程を含む工程へ戻る。これは、一部または完全に達成可能であり、好ましくは、精製工程で発生する気体体積の総体積流量の50〜90%程度リサイクルが達成される。
【0052】
ホウ素含有シリカにおけるホウ素の含有量は、ホウ素は、常に、ホウ素含有シリカ全体に対してホウ素含有シリカにおける純ホウ素として計算され、好ましくは、0.0001重量%〜12重量%、更に好ましくは、0.001重量%〜10重量%、特に好ましくは、0.1重量%〜5重量%、非常に好ましくは、0.5重量%〜2.5重量%である。
【0053】
更なる主題は、ホウ素を含むシリカは、平均粒径100nm未満の一次粒子を有し、比表面積が10〜500m/g(DIN66131及び66132に基づきBET法により測定)であり、体積Dのフラクタル次元が2.8以下であり、ホウ素の量が少なくとも0.0001重量%であり、前記一次粒子は、シリカ内で単離せずに、集塊(DIN53206による定義)を形成する直径100〜1,000nmのより大きな凝集体(DIN53206による定義)の成分であり、外部の剪断荷重に依存する該集塊の大きさは1〜500μmであり、ホウ素の含有量は、好ましくは、0.0001重量%〜12重量%、更に好ましくは、0.001重量%〜10重量%、特に好ましくは、0.1重量%〜5重量%、非常に好ましくは、0.5重量%〜2.5重量%である。なお、ホウ素は、常に、ホウ素含有シリカ全体に対してホウ素含有シリカにおける純ホウ素として計算される。
【0054】
本発明のホウ素含有シリカは、更に、固形成分含有量が高く、粘度の保存安定性が高く、ゲル化及び沈殿作用のない水性分散体の調製に使用可能であることを特徴とする。
本発明は、本発明のホウ素含有シリカの粉体固形物での使用に関し、自由流動性や流動向上剤としての使用といった乾燥粉末の流動性向上のための、さらに、集塊及び粉末の固化の抑制や、膜の粘着及びブロッキングの抑制のための使用に関する。
【0055】
本発明は、更に、記録媒体、例えば、インクジェットプリンターを使用する印刷に適切な紙、又はフィルム、特に、高光沢の紙に関し、該記録媒体は、本発明の分散体を有することを特徴とする。
【0056】
本発明は、本発明のホウ素含有シリカ、及び該シリカで調整された、ホウ素含有シリカを含む水性分散体の使用に関し、鉱物基板、スチール、鉄等の金属等を、例えば、腐食防止のため表面被覆するための使用に関する。
【0057】
本発明は、本発明のホウ素含有シリカ、及び該シリカで調製された、ホウ素含有シリカを含む水性分散体の使用に関し、特に水性で調製される塗料、上塗り、合成樹脂、接着剤、封止剤の調製のための使用に関する。
【0058】
本発明は、本発明のホウ素含有シリカ、及び該シリカで調製された、ホウ素含有シリカを含む水性分散体の使用に関し、記録媒体、特に、非接触印刷方法に使用される紙を被覆するための使用に関する。該記録媒体は、例えば、インクジェットプリンター用紙、特に高い光沢性の有る紙である。
【実施例1】
【0059】
混合室内で、四塩化ケイ素10.0kg/h、及び三塩化ホウ素0.8kg/hを一次空気74.3m(S.T.P.)/h、及び水素ガス20.7m(S.T.P.)/hと均一に混合し、燃焼室内の火炎内の公知の設計のバーナーノズルに送り込んだ。更に、二次空気12.0m(S.T.P.)/hを燃焼室内に送り込み、燃焼室から発生後、得られたシリカ/気体混合物を熱交換器内で120〜150℃に冷却した。次に、加熱したろ過器において塩化水素含有気相から固体シリカを分離し、高温下で、残留塩化水素を取り除いた。DIN66131、及び66132に基づきBET法による測定の比表面積が180m/gのホウ素含有焼成シリカを得た。4%濃度(重量%)分散体は、pH4(DIN/ISO 787/9)であり、シリカのホウ素含有量は1.8重量%であった。
【実施例2】
【0060】
混合室内で、四塩化ケイ素5.0kg/hを一次空気74.3m(S.T.P.)/h、及び水素ガス20.7m(S.T.P.)/hと均一に混合し、燃焼室内の火炎内の公知の設計のバーナーノズルに送り込んだ。更に、二次空気12.0m(S.T.P.)/hを燃焼室内に送り込み、更に、水1kg/hに溶解したホウ酸ナトリウム0.2kg/hを、エアロゾルとして燃焼室に噴霧した。燃焼室から発生後、得られたシリカ/気体混合物を熱交換器内で120〜150℃に冷却した。次に、加熱したろ過器において塩化水素含有気相から固体シリカを分離し、高温下で、残留塩化水素を取り除いた。DIN66131、及び66132に基づきBET法による測定の比表面積が110m/gのホウ素含有焼成シリカを得た。4%濃度(重量%)分散体は、pH6(DIN/ISO787/9)であり、シリカのホウ素含有量は0.8重量%であった。
【実施例3】
【0061】
連続的装置において、N不活性ガス下、温度25℃で、液体のホウ酸トリメチル200g/hを1流体ノズル(圧力10bar)を介した噴霧化により非常に微細にして、2.5重量%の水に湿らせた、比表面積が300m/g(DIN66131、及び66132に基づきBET法により測定)の親水性シリカ(商品名Wacker HDK T30、Wacker−Chemie GmbH、ドイツ、バーグハウゼン)の質量流量1,000g/hに加えた。このようにホウ素を取り込んだシリカを、100℃、滞留時間1時間で自動温度調節され、そして、250℃で滞留時間2時間で反応させた。精製は、温度150℃下、30分間で機械的攪拌及び気体速度0.5cm/s未満のNガス通過により行われた。ホウ素1.8重量%を含む白色シリカ粉末が得られた。
【実施例4】
【0062】
回分式装置において、N不活性ガス下、温度25℃で、ホウ酸トリメチル50gを1原料用ノズル(圧力20bar)を介した噴霧化により非常に微細にして、0.6重量%の水に湿らせた、比表面積が50m/g(DIN66131、及び66132に基づきBET法により測定)の親水性シリカ(商品名Wacker HDK D05、Wacker−Chemie GmbH、ドイツ、バーグハウゼン)100gに加えた。このようにホウ素を取り込んだシリカを、100℃で計3時間自動温度調節され、反応器の中で温度250℃で滞留時間2時間で反応させた。滞留時間中は、N導入により15倍のガス交換がなされた。ホウ素4.1重量%を含む白色シリカ粉末が得られた。
【実施例5】
【0063】
回分式装置において、温度25℃で、実施例3のホウ素含有シリカ300gを徐々に水700mlに加え、ロータステータ分散器(Ultraturax(ウルトラタラックス)、Jahnke and Kunkel)を使用して分散させた。0.5重量%のホウ素を含む低粘性の白色水性懸濁液が形成された。懸濁液は、沈殿作用及びゲル化に対して6ヶ月を超えて安定した。懸濁液は、25℃で、円錐平板回転粘度計(RheoStress600、Haake)を使用して計測され、粘性120mPa・s、剪断勾配100 1/sを示した。
【0064】
沈殿作用に対する安定性を、LUMiFuge(登録商標)装置により光学透過率による遠心分離機を使用して計測することで実証した。
図1は、LUMiFuge(登録商標)を使用して記録した、本発明ではない参考例における分散体のレーザー光線透過率プロファイルである。沈殿作用は3,000gに対して回転により遠心分離機で分離させて生じたものであり、シリカの沈殿は、遠心分離中に配列した2,000ダイオードによるレーザー光線を透過させて観察した。
横座標(X軸)は、遠心分離管の長手方向の位置(mm)を示し、X軸左がオリフィス側、右が底部側である。縦座標(Y軸)は光透過率(%)を示す。
本発明ではない分散体の透過率プロファィルは、LUMiFuge(登録商標)により記録され、単分散のシリカ球220nm、測定時間120分、重力場3,000gであり、不安定な分散体の大きな沈殿が観察された。
図2は、LUMiFuge(登録商標)を使用して記録した、本発明の実施例5における分散体のレーザー光線透過率プロファイルである。沈殿作用は3,000gに対して遠心分離機で回転して分離させて生じたものであり、シリカの沈殿は、遠心分離中に配列した2,000ダイオードによるレーザー光線を透過させて観察した。
横座標(X軸)は、遠心分離管の長手方向軸(mm)を示す。X軸左がオリフィス側、右が底部側である。縦座標(Y軸)は光透過率(%)を示す。
本発明の実施例5の分散体の透過率プロファィルは、LUMiFuge(登録商標)により記録され、測定時間120分、重力場3000gであり、沈殿は観察されなかった。
【実施例6】
【0065】
回分式装置において、温度25℃で、実施例3のホウ素含有シリカ250gを徐々に水750mlに加え、回転速度11.6m/sで歯付きディスク溶解機(Ika)を使用して分散させた。0.5重量%のホウ素を含む低粘性の白色水性懸濁液が形成された。懸濁液は、沈殿作用及びゲル化に対して1年を超えて安定した。懸濁液は、25℃で、円錐平板回転粘度計(RheoStress600、Haake)を使用して計測され、剪断勾配100 1/sにおける粘度は130mPa・sを示した。
【実施例7】
【0066】
回分式装置において、温度25℃で、実施例4のホウ素含有シリカ2,000gを徐々に水2,000mlに加え、ロータステータ分散器(6l Unimix、Unimix/Ekator)を使用して分散させた。2重量%のホウ素を含む低粘性の白色水性懸濁液が形成された。懸濁液は、沈殿作用及びゲル化に対して1年を超えて安定した。懸濁液は、25℃で、円錐平板回転粘度計(RheoStress600、Haake)を使用して計測され、剪断勾配100 1/sにおける粘度は190mPa・s、を示した。
【実施例8】
【0067】
水50gに溶解したポリビニルアルコール8gを実施例3のシリカ30gを含む実施例5の分散体100gに加え、混合した。生成されたインクジェットコーティングインクを秤量77.5g/mの未被覆の紙にナイフコーターを使用して手で被覆し、被覆された紙を、触指乾燥状態まで空気中で乾燥した。乾燥した紙を、カレンダー処理し、Epson(登録商標)Stylus Pro Photorealisticを使用して印刷したところ、良好な画質が得られた。印刷の光沢度は、光沢計Gardener 60° Micro‐Gloss Meter(ガードナー マイクロ グロス60°)を使用して47と測定された。
【実施例9】
【0068】
水50gに溶解したポリビニルアルコール8g(Mowiol(モヴィオール)26−88、Clariant)を実施例3のシリカ30gを含む実施例5の分散体100gに加え、混合した。生成されたインクジェットコーティングインクを、厚さ0.2mmのポリエステルフィルムにナイフコーターを使用して手で被覆し、ウエットフィルムの厚さを160μmとし、被覆されたフィルムを、105℃で15分間乾燥した。被覆されたフィルムを、Epson(登録商標)Stylus Colour 800を使用して印刷したところ、良好な画質が得られた。
【実施例10】
【0069】
回分式装置において、温度25℃で、BET比表面積が300m/gのシリカ(商品名Wacker HDK T30 Wacker−Chemie GmbH)250gを徐々に水750ml及びホウ酸25gに加え、ロータステータ分散器(Ultraturax(ウルトラタラックス)、Jahnke and Kunkel)を使用して11,000rpmで分散した。0.8重量%のホウ素を含む低粘性の白色水性懸濁液が形成された。懸濁液は、沈殿作用及びゲル化に対して6ヶ月を超えて安定した。懸濁液は、25℃で、円錐平板回転粘度計(RheoStress600、Haake)を使用して計測され、剪断勾配100 1/sにおける粘度は120mPa・sを示した。
【実施例11】
【0070】
水50gに溶解したポリビニルアルコール8gを実施例10の分散体100gに加え、混合した。生成されたインクジェットコーティングインクを秤量77.5g/mの未被覆の紙にナイフコーターを使用して手で被覆し、被覆された紙を、触指乾燥状態まで空気中で乾燥した。乾燥した紙を、カレンダー処理し、Epson(登録商標)Stylus Pro Photorealisticを使用して印刷したところ、良好な画質が得られた。印刷の光沢度は、光沢計Gardener 60° Micro‐Gloss Meter(ガードナー マイクロ グロス60°)を使用して47と測定された。
【実施例12】
【0071】
水50gに溶解したポリビニルアルコール8g(Mowiol(モヴィオール)26−88、Clariant)を実施例10の分散体100gに加え、混合した。生成されたインクジェットコーティングインクを、厚さ0.2mmのポリエステルフィルムにナイフコーターを使用して手で被覆し、ウエットフィルムの厚さを160μmとし、被覆されたフィルムを、105℃で15分間乾燥した。被覆されたフィルムを、Epson(登録商標)Stylus Colour 800を使用して印刷したところ、良好な画質が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、参考例における分散体のレーザー光線透過率プロファイルである。
【図2】図2は、本発明の実施例5における分散体のレーザー光線透過率プロファイルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散体がホウ素を含むことを特徴とする金属酸化物を含む分散体安定化方法。
【請求項2】
金属酸化物がシリカであることを特徴とする請求項1に記載の分散体安定化方法。
【請求項3】
シリカに含まれるホウ素が0.00001重量%〜8重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の分散体安定化方法。
【請求項4】
ホウ素を含有するシリカを含むことを特徴とする請求項2に記載の分散体安定化方法。
【請求項5】
シリカに含まれるホウ素が0.0001重量%〜12重量%であることを特徴とする請求項4に記載の分散体安定化方法。
【請求項6】
ホウ素を含むことを特徴とする分散体。
【請求項7】
ホウ素含有シリカを含むことを特徴とする請求項6に記載の分散体。
【請求項8】
分散体全体に対してホウ素を0.00001重量%〜8重量%含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の分散体。
【請求項9】
ホウ素含有シリカ全体に対して、シリカに含まれるホウ素が0.0001重量%〜12重量%であることを特徴とする請求項7に記載の分散体。
【請求項10】
少なくとも1つのホウ素化合物で被覆されることを特徴とするシリカ。
【請求項11】
ホウ素を含むシリカは、平均粒径100nm未満の一次粒子を有し、比表面積が10〜500m/g(DIN66131及び66132に基づきBET法により測定)であり、体積Dのフラクタル次元が2.8以下であり、ホウ素の量が少なくとも0.0001重量%であり、
前記一次粒子は、シリカ内で単離せずに、集塊(DIN53206による定義)を形成する直径100〜1,000nmのより大きな凝集体(DIN53206による定義)の成分であり、外部の剪断荷重に依存する該集塊の大きさは1〜500μmであることを特徴とする請求項10に記載のシリカ。
【請求項12】
シリカが、揮発性ホウ素化合物、液体ホウ素化合物、及び溶解性ホウ素化合物からなる群から選択される少なくとも1種により表面処理されることを特徴とするシリカの変性方法。
【請求項13】
火炎内で焼成シリカを調製する際に、1つ以上の液体ホウ素化合物、又は、溶媒に溶解しているホウ素化合物が火炎中に吹付けられることを特徴とするシリカの変性方法。
【請求項14】
請求項6から9のいずれかに記載の分散体を含むことを特徴とする記録媒体。
【請求項15】
インクジェットプリンターを使用する印刷に適切なつや、又は、高光沢のある紙であることを特徴とする請求項14に記載の記録媒体。
【請求項16】
インクジェットプリンターを使用する印刷に適切なフィルムであることを特徴とする請求項14に記載の記録媒体。
【請求項17】
請求項6から9のいずれかに記載の分散体を含むことを特徴とする表面被覆。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−520736(P2006−520736A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501823(P2006−501823)
【出願日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001327
【国際公開番号】WO2004/074176
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】