説明

分散剤組成物

本発明は、粒子状固体、有機または水性媒体、および亜リン酸から誘導されるヘッド基を有する化合物を含む組成物に関する。本発明は、さらに、新規化合物、および当該化合物の分散剤としての使用に関する。一実施形態において、本発明は、粒子状固体、有機または水性媒体、ならびに以下:(a)亜リン酸;(b)アルキレンオキシド、アミノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、およびモノ−、ジ−、トリ−またはポリヒドロキシジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸からなる群の少なくとも1つのメンバー;および(c)アルコール、チオール、カルボン酸、およびアミンからなる群の少なくとも1つのメンバーを反応させることによって得られる/得ることができる化合物を含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、粒子状固体、有機または水性媒体、および亜リン酸から誘導されるヘッド基を有する化合物を含む組成物に関する。本発明は、さらに、新規化合物、および当該化合物の分散剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ホスフェートおよびサルフェートなどの末端酸性基を含む分散剤が知られており、これらは、ヒドロキシ末端ポリマー鎖を、五酸化リン、オキシ塩化リン、三塩化リンおよび五塩化リン、ポリリン酸または硫酸と反応させることにより一般に調製される。ポリマー鎖は、通常、末端ヒドロキシル基を含むポリエステルまたはポリアルコキシレート鎖である。
【0003】
特許文献1には、五酸化リンまたは硫酸と反応する8個以下の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸から誘導されるポリエステルを含む分散剤が開示されている。これらの分散剤は、芳香族溶媒およびプラスチックなどの非極性媒体に有用である。
【0004】
特許文献2には、ポリリン酸と反応するε−カプロラクトンから誘導されるポリエーテル/ポリエステルを含む分散剤が開示されている。これらの分散剤は、ケトンおよびエステルなどの極性媒体に有用である。
【0005】
特許文献3には、ポリリン酸と反応するエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから誘導されるポリエーテルを含む分散剤が開示されている。これらの分散剤は、ケトン、エステルおよび水などの極性媒体に有用である。
【0006】
特許文献4および特許文献5の両方には、ポリアリール有機リン酸エステル分散剤が開示されている。
【0007】
特許文献6;特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;および特許文献12のすべてには、種々のリン酸化剤と反応した末端ヒドロキシル基を含むポリアルコキシレートが開示されている。
【0008】
特許文献13(1995年7月25日公開;旭電化工業社(Asahi Denka Kogyo KK)に譲渡)には、カーボンブラック、およびケロシンに適した水へのホスフェート分散剤が開示されている。ホスフェート分散剤は、亜リン酸モノエステルから誘導される。
【0009】
特許文献14には、VAT染料による織物染色のための分散剤としてのサルフェートまたはエチルホスホネートが開示されている。
【0010】
特許文献15には、充填された不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度低下のための有機ホスファイトの使用が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,300,255号明細書
【特許文献2】米国特許第5,130,463号明細書
【特許文献3】米国特許第6,051,627号明細書
【特許文献4】米国特許第5,464,895号明細書
【特許文献5】米国特許第5,412,139号明細書
【特許文献6】米国特許第2,213,477号明細書
【特許文献7】米国特許第2,454,542号明細書
【特許文献8】米国特許第3,004,056号明細書
【特許文献9】米国特許第3,235,627号明細書
【特許文献10】米国特許第4,720,514号明細書
【特許文献11】米国特許第4,872,916号明細書
【特許文献12】米国特許第5,914,072号明細書
【特許文献13】特開平7−185291公報
【特許文献14】国際公開第06/100244パンフレット
【特許文献15】米国特許第4,281,071号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、末端酸性基を含む化合物の極性および非極性有機媒体両方への分散剤特性を利用することは有利であろう。したがって、粒子状固体を極性および非極性有機媒体の両方に分散させることができる分散剤が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の要旨
一実施形態において、本発明は、式(1)の化合物(典型的にはモノエステル)およびその塩:
【0014】
【化1】

(式中、
Eは、−OHであるか、または式(1)の化合物が塩であるときは酸素イオンであり;
Qは、アルコキシレート(例えば、エトキシレート、プロポキシレート、ブトキシレート、または混合物)、またはアミノカルボン酸、またはヒドロキシカルボン酸、またはラクトンから誘導される繰り返し単位、ジカルボン酸およびジオールの残基、あるいはそれらの混合物であり;
mは0または1であり、ただし、mが0であるとき、vは1であり、Qは、ヒドロキシ基由来の酸素を介してPに連結し、かつ、カルボン酸基を介してDに連結しており;mが1であるとき、vは1〜4であり;
Jは、モノ−、ジ−、トリ−またはポリ−ヒドロキシジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸残基であり、ただし、mが1であるとき、Jは、カルボン酸基を介してQに連結し、かつ、ヒドロキシ基を介してPに連結しており;
Dは、アルコールの残基、チオールの残基、カルボン酸の残基、任意選択でヒドロカルビル置換されたヒドロキシ含有芳香族化合物の残基、またはアミンの残基(例えば、一般式R−O−(Y)−T−N(G)−で表されるモノアミノの残基、または一般式R’−N(G’)−T−O−(Y)−T−N(G)−で表されるジアミノ基)、あるいはそれらの混合物であり;
nは、0もしくは100、または1〜100であり、ただし、nが0であり、かつ、Dがアルコールの残基であるとき、当該アルコールは少なくとも200の分子量を有し;
RおよびR’は、独立してHまたはC1〜50で任意選択で置換されたヒドロカルビル、またはC1〜50で任意選択で置換されたヒドロカルボニル、またはエポキシドの残基であり;
Yは、C2〜4−アルキレンオキシなどのアルキレンオキシ基であり;
Tは、C2〜4アルキレンなどのアルキレン基であり;
GおよびG’は、独立してHまたはC1〜50で任意選択で置換されたヒドロカルビル、またはC1〜50で任意選択で置換されたヒドロカルボニルであり;
xは2〜90である)
を提供する。
【0015】
当業者は、式(1)の化合物、および以下に記載される変形体が、示される構造の他の互変異性型によって表されてもよいことを理解するだろう。
【0016】
一実施形態において、本発明は、上記のように、粒子状固体、有機または水性媒体および式(1)の化合物を含む組成物ならびにその塩を提供する。
【0017】
一実施形態において、本発明は、粒子状固体、有機または水性媒体、ならびに以下:
(a)亜リン酸;
(b)アルキレンオキシド、アミノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、およびモノ−、ジ−、トリ−またはポリヒドロキシジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸からなる群の少なくとも1つのメンバー;および
(c)アルコール、チオール、カルボン酸、およびアミンからなる群の少なくとも1つのメンバー
を反応させることによって得られる/得ることができる化合物を含む組成物を提供する。
【0018】
一実施形態において、本発明は、粒子状固体、有機媒体および式(1a)の化合物を含む組成物ならびにその塩:
【0019】
【化2】

(式中、E、R’、T、Y、x、G’、G、B、Q、n、v、Jおよびmは上記の通りであり;GおよびG’は同じであっても異なっていてもよい)
を提供する。
【0020】
一実施形態において、本発明は、粒子状固体、有機媒体および式(1b)の化合物を含む組成物ならびにその塩:
【0021】
【化3】

(式中、E、R、T、Y、x、G、B、Q、n、v、Jおよびmは上記の通りである)
を提供する。
【0022】
一実施形態において、式(1)の化合物は、ポリエーテル鎖、ポリエステル鎖または混合ポリエーテル−ポリエステル鎖を含み、それぞれの基はブロック状に配置されていてもランダムに配置されていてもよい。
【0023】
一実施形態において、本発明は、式(1)の化合物の分散剤としての使用を提供する。
【0024】
一実施形態において、本発明は、式(1)の化合物の、本明細書に開示される組成物における分散剤としての使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、本明細書において上に開示される組成物を提供する。
【0026】
RまたはR’の一部またはすべてがヒドロカルビル基であるとき、各ヒドロカルビル基上の炭素原子の数は1〜36、または1〜20の範囲であってよい。
【0027】
一実施形態において、RまたはR’は、アリール、アラルキル、アルカリール、シクロアルキルまたはアルキルを含むヒドロカルビル基であり、直鎖状または分枝状であってよい。一実施形態において、ヒドロカルビル基は置換されている。別の実施形態において、ヒドロカルビル基は置換されていない。
【0028】
一実施形態において、RまたはR’はアリールである。適切なアリール基の例として、ナフチル、フェニル、またはスチレン化フェニルが挙げられる。
【0029】
一実施形態において、RまたはR’はアラルキルである。適切なアラルキル基の例として、2−フェニルエチルまたはベンジルが挙げられる。
【0030】
一実施形態において、RまたはR’はアルカリールである。適切なアルカリール基の例として、オクチルフェニルまたはノニルフェニルが挙げられる。
【0031】
一実施形態において、RまたはR’はシクロアルキルである。適切なシクロアルキル基の例として、C3〜8−シクロアルキル、例えばシクロプロピルまたはシクロヘキシルが挙げられる。
【0032】
R’は、ヒドロカルビル、アルキル基などに存在する炭素原子の数に関してRと同じであると定義されても異なると定義されてもよい。しかし、R’は、アルコールの残基ではないことが多い。
【0033】
一実施形態において、R、R’、G、またはG’のうち少なくとも1つは、任意選択で置換された(メタ)アクリル酸エステルもしくはアミド基の残基、またはそれらの混合物を含む。一実施形態において、R’またはRは、アルキル(メタ)アクリレートの残基、またはその混合物を含む。一実施形態において、GまたはG’は、アルキル(メタ)アクリレートの残基、またはその混合物を含む。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語(メタ)アクリルは、アクリル酸またはメタクリル酸単位を意味する。
【0035】
一実施形態において、Rは、任意選択で分枝されたアルキル、例えばC1〜36の任意選択で分枝されたアルキルである。したがって、基R−O−は、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、イソプロパノール、イソブタノール、tert−ブタノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、3−ヘプタノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、3,7−ジメチルオクタノール、およびいわゆるGuerbetアルコール(例えばIsofol(Condea GmbHから)の商品名で市販されているもの)、他の分枝状アルコール(Softanol(日本触媒(Nippon Shokubai)から)の商品名で市販されているもの)の残基、またはそれらの混合物であってよい。Guerbetアルコールの具体例は、Isofol 12、14E、14T、16、18T、18E、20、24、28、32、32Tおよび36である。
【0036】
Rは、他の実施形態において、C1〜6−アルキル、C1〜4−アルキル、またはメチルであってよい。
【0037】
Rが置換ヒドロカルビルであるとき、置換基は、C1〜10−アルコキシ、アシル、スルホニル、カルバモイル、スルファモイル、ハロゲン、ニトリル、ウレイド含有基、ウレタン含有基、エステル(すなわち、R−COO−またはR−OCO−)、またはアリール基であってよい。
【0038】
Yの部分がC3〜4−アルキレンオキシであり、(Y)で表される鎖がエチレンオキシ(−CHCHO−)を含むとき、(Y)の構造は、ランダムであってもブロックであってもよい。一実施形態において、(Y)の構造はブロックである。
【0039】
(Y)で表される鎖は、1形式のC3〜4−アルキレンオキシ繰り返し単位のみを含んでもよく、または2種以上の異なるC3〜4−アルキレンオキシ繰り返し単位を含んでもよい。(Y)で表される鎖が2種以上の異なるC3〜4−アルキレンオキシ繰り返し単位を含むとき、(Y)の構造はランダムであってもブロックであってもよい。
【0040】
一実施形態において、Yは、C3〜4−アルキレンオキシ基、−CHCHCHCHO−、または−CHCH(CH)CHO−、または−CHCH(CH)O−である。別の実施形態において、Yは、−CHCHCH(CH)O−または−CH−CH(CH−CH)−O−である。一実施形態において、Yは、C3〜4−アルキレンオキシであり、(Y)で表される鎖は、−CHCHCHCHO−、−CHCH(CH)O−または−CH−CH(CH−CH)−O−である。
【0041】
一実施形態において、式(1)の分散剤は、C3〜4−アルキレンオキシ(例えば、−CHCH(CH)O−)を含み、エチレンオキシ繰り返し単位の部分を含んでよい。エチレンオキシ繰り返し単位は、異なる実施形態において、(Y)で表される鎖上に、鎖の最大45重量%まで、または鎖の35重量%まで、あるいは鎖の30重量%まで存在してよい。一実施形態において、エチレンオキシ繰り返し単位は(Y)上に存在しない。
【0042】
他の実施形態において、鎖(Y)は、化合物が任意選択でさらに極性有機液体を含めた水性媒体に必要であるとき、少なくとも50重量%、または少なくとも75重量%のエチレンオキシ繰り返し単位を含んでよい。一実施形態において、プロピレンオキシ繰り返し単位は(Y)上に存在しない。
【0043】
一実施形態において、式(1)の化合物は、−CHCH(CH)O−を含むY基を含み、(Y)で表される鎖は、45%までのエチレンオキシ繰り返し単位を含んでよい。
【0044】
一実施形態において、式(1)の分散剤は、−CHCH(CH)O−のY基を含み、(Y)で表される鎖は、90%までのエチレンオキシ繰り返し単位を含んでよい。
【0045】
一実施形態において、Yは、C3〜4−アルキレンオキシの混合物であり、ここで、(Y)で表される鎖は、90%までのエチレンオキシ基が存在しつつ、部分的に、−CHCHCHCHO−、−CHCH(CH)O−または−CH−CH(CH−CH)−O−である。
【0046】
一実施形態において、式(1)の化合物は、エチレンオキシ繰り返し単位のみのY基を含み、これらは、水性媒体中で使用することができる。
【0047】
異なる実施形態において、Tは、C3〜4−アルキレン基、または−CHCH(CH)−基、または−CHCHCH−基を含む。一実施形態において、Tは、−CHCH(CH)−を含む。一実施形態において、Tは、−CHCH(CH)−を含み;Yは、−CHCH(CH)O−を含む。
【0048】
一実施形態において、式(1a)は、基R’−N(G’)−T−O−(Y)−T−NGの残基から誘導することができる。基R’−N(G’)−T−O−(Y)−T−NG−は、典型的にはポリアルキレンオキシドジアミンの残基である。このタイプの化合物は、Jeffamine(商標)DまたはED−シリーズのジアミンとしてHuntsman Corporationから商業的に入手可能である。Jeffamine(商標)ジアミンの具体例は、D−230(3、0、230)、D−400(6、0、400)、D−2000(33、0、2000)、D−4000(68、0、4000)、ED−600(3.6、9、600)、ED−900(2.5、15.5、900)およびED2003(6、39、2000)である。括弧内の数字は、それぞれ、プロピレンオキシド、エチレンオキシドのおよその繰り返し単位、および数平均分子量である。
【0049】
一実施形態において、式(1b)は、基RO−(Y)−T−NG−の残基から誘導することができる。基RO−(Y)−T−NG−は、典型的にはポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルモノアミンの残基である。このタイプの化合物は、Jeffamine(商標)のM−シリーズのモノアミンとして、またはSurfonamine(商標)のアミンとして、Huntsman Corporationから商業的に入手可能である。Jeffamine(商標)アミンの具体例として、M−600(9、0、600)、M−1000(3、18、1000)、M−2005(32、2、2000)、M−2070(10、31、2000)およびXTJ−234(8、49、3000)が挙げられる。Surfonamine(商標)アミンの具体例として、B−60(9、1、600)、B−100、B−200(29、6、2000)、L−100(3、19、1000)、L−200(4、41、2000)、L−207(10、33、2000)、およびL−300(8、58、3000)が挙げられる。括弧内の数字は、それぞれ、プロピレンオキシド、エチレンオキシドのおよその繰り返し単位、および数平均分子量である。
【0050】
一実施形態において、Dは、上記RおよびR’と同様に定義されてよいヒドロカルビル基である。例えば、Dは、1〜36、または1〜20個の炭素原子を含んでいてよい。
【0051】
一実施形態において、式(1)のDはアルコールの残基であり、nは、典型的には1〜100の範囲である。適切なアルコールの例として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、イソプロパノール、イソブタノール、tert−ブタノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、3−ヘプタノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、3,7−ジメチルオクタノール、および上述のいわゆるGuerbetアルコールが挙げられる。
【0052】
一実施形態において、Dは、置換アルコールの残基である。置換アルコールは、C1〜10−アルコキシ、カルボニル、スルホニル、カルバモイル、スルファモイル、ハロゲン、ニトリル、ウレイド、ウレタン、エステル(すなわち、−COO−または−OCO−)、またはアリール基を含んでいてよい。
【0053】
式(1)のDがアルコールの残基であり、nが0であるとき、適切なアルコールは、少なくとも200、または少なくとも250、または少なくとも300の分子量を有する。当該アルコールの最大分子量は、10,000、または5000、または3000であってよい。一実施形態において、当該アルコールは、225〜8000、または500〜2500の分子量を有していてよい。
【0054】
一実施形態において、Dは、ヒドロカルビル置換ヒドロキシ含有芳香族化合物、例えばアルキルフェノール、スチレン化フェノールまたはスチレン化アルキルフェノールの残基を含んでいてよい。
【0055】
一実施形態において、Dは、スチレン化フェノールの残基を含み、Qは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから誘導されるポリエーテルの残基、例えば米国特許第5,464,895号および同第5,412,139号に開示されているものを含む。
【0056】
一実施形態において、Qは、アミノカルボン酸の残基、またはその混合物を含む。アミノカルボン酸は、アミノ−C2〜20−アルケニレンカルボン酸またはアミノ−C1〜20−アルキレンカルボン酸を含む。アルク(エン)イレン基は、直鎖状または分枝状であってよい。一実施形態において、アミノカルボン酸のアルク(エン)イレン基は、12個以下の炭素原子を含む。具体例として、グリシン、11−アミノウンデカン酸、6−アミノカプロン酸、4−アミノ酪酸、β−アラニンおよびサルコシンが挙げられる。アミノカルボン酸の混合物を用いてもよい。
【0057】
一実施形態において、Qは、ヒドロキシカルボン酸、またはラクトンから誘導される繰り返し単位、またはそれらの混合物である。
【0058】
適切なヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンの例として、乳酸、グリコール酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸、4−ヒドロキシデカン酸、またはラクトンが挙げられる。ラクトンとして、γ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、任意選択で置換されたδ−バレロラクトン、任意選択で置換されたε−カプロラクトン、(ε−カプロラクトンおよびδ−バレロラクトン)のブロックコポリマー、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0059】
一実施形態において、Qは、アルコキシレート、またはヒドロキシカルボン酸、またはラクトンから誘導される繰り返し単位、あるいはそれらの混合物であり、ヒドロキシ基の酸素を介してP、また、カルボン酸基を介してDに連結しており、あるいはそれらの混合物である。
【0060】
一実施形態において、Qは、ジカルボン酸をジオールに連結させる単位から誘導される。ジカルボン酸の適切な例として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、ジグリコール酸;またはそれらの無水物、あるいはそれらの混合物が挙げられる。適切なジオールの例として、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、チオジグリコール、オリゴ−アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0061】
本明細書で使用するとき、用語「ポリ−ヒドロキシ」または「ポリカルボン酸」は、4個以上のヒドロキシまたはカルボン酸基を含む化合物を意味する。
【0062】
一実施形態において、Jは、ヒドロキシ基の酸素を介してPに連結しており、またカルボン酸基を介してD−Qに連結している、モノ−、ジ−、トリ−またはポリ−ヒドロキシジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸残基、またはそれらの混合物である。
【0063】
適切なモノ−、ジ−、トリ−またはポリ−ヒドロキシジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸の例として、酒石酸、リンゴ酸、シトロリンゴ酸(2−メチルリンゴ酸)、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、アスコルビン酸またはクエン酸、あるいはそれらの混合物が挙げられる。一実施形態において、ポリカルボン酸として、リンゴ酸(ヒドロキシブタンジカルボン酸)、クエン酸、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0064】
適切なポリ−カルボン酸の例として、ヒドロキシ−ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸が挙げられる。
【0065】
一実施形態において、Qは、ポリエーテル鎖(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドの混合物)を含み、各々の基は、ブロック状に配置されていてもランダムに配置されていてよい。
【0066】
一実施形態において、D−Qは、ポリC2〜4アルキレングリコールモノエーテルおよび/またはカルボン酸のポリC2〜4アルキレングリコールモノエステルを含む。
【0067】
適切なポリC2〜4アルキレングリコールモノエーテルの例として、C1〜20アルキルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとして、メチルエーテル(MePEG)、(MePPG)、ブチルエーテル(BuPPG)、アルキルフェノールエーテル(APE)、アルキルフェノールアルコキシレート(例えば、ノニルフェノールエトキシレート)、C12〜20脂肪アルコールエーテル、C10〜15オキソアルコールエーテル、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0068】
カルボン酸のポリC2〜4アルキレングリコールエステルの例として、ポリC2〜4アルキレングリコールモノラウレート、ポリC2〜4アルキレングリコールモノステアレート、ポリC2〜4アルキレングリコールモノオレエート、ポリC2〜4アルキレングリコールベンゾエート、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0069】
一実施形態において、ポリC2〜4アルキレングリコールモノエーテルおよび/またはカルボン酸のポリC2〜4アルキレングリコールモノエステルは、ジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸でエステル化されていてもよく、あるいは、ジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸に、ヒドロキシカルボン酸もしくはそのラクトンから誘導されるポリエステル単位を介して、および/またはC2〜4アルキレンオキシド構造を有するジオールに連結しているジカルボン酸から誘導される単位を介して連結されていてよい。得られるポリC2〜4アルキレングリコールモノエーテルおよび/またはカルボン酸のポリC2〜4アルキレングリコールモノエステルのより詳細な説明は、国際出願WO05/085261、3頁30行〜4頁22行に記載されている。
【0070】
一実施形態において、式(1)の基[D−(Q)−(J)−は、200〜10,000、または200〜5000、または300〜3000の数平均分子量を有する。
【0071】
式(1)の塩は、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)、遷移金属(例えば、亜鉛、銅、またはニッケル)、アンモニア、アミン(例えば、ブチルアミン)、アルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミン)、または第四級アンモニウム塩から誘導されてよい。
【0072】
一実施形態では、式(1)の化合物において:
(i)Dがアルコールの残基、チオールの残基、カルボン酸の残基、任意選択でヒドロカルビル置換されたヒドロキシ含有芳香族化合物の残基、およびアミンの残基として定義され;
(ii)Qが一般式(2)−[AO][BU]−を有する
(式中、
jとkの合計は、1〜100である)。
【0073】
AOは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基を含めたアルキレンオキシドの残基、またはそれらの混合物を表し;また
BUは、アミノカルボン酸、モノ−ヒドロキシカルボン酸(12−ヒドロキシステアリン酸、またはリシノール酸を含む)またはラクトン(γ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、任意選択で置換されたε−カプロラクトン、(ε−カプロラクトンおよびδ−バレロラクトン)のブロックコポリマーを含む)の残基、ジカルボン酸およびジオールの残基、あるいはそれらの混合物を表す。
【0074】
アルキレンオキシドの混合物として、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドが挙げられる。
【0075】
一実施形態において、本発明は、式(1)の化合物、または以下:
(a)亜リン酸、またはその混合物;
(b)アルキレンオキシド、アミノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、およびモノ−、ジ−、トリ−またはポリヒドロキシジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸からなる群の少なくとも1つのメンバー;および
(c)アルコール、チオール、カルボン酸、およびアミンからなる群の少なくとも1つのメンバー
を反応させることによって得られる/得ることができる化合物を調製するプロセスを提供する。
【0076】
典型的には、前記プロセスは、(b)および(c)を反応させることを含む。次いで、(b)および(c)の生成物を亜リン酸と反応させる。
【0077】
(b)のいずれの反応剤もプレポリマーの形態であってよい。プレポリマーは、代替物として(b)におけるいずれの反応物に対して用いてもよい。任意選択で、(b)の反応物は、(c)から誘導される基を含んでもよい。
【0078】
ラクトンとアルコールの反応は、不活性雰囲気(例えば、窒素またはアルゴン)において、150℃〜180℃の範囲の温度で、任意選択でエステル化触媒の存在下で行ってよい。適切なエステル化触媒の例として、テトラ−アルキルチタネート、例えば、テトラブチルチタネート、有機酸の亜鉛塩、例えば、酢酸亜鉛、脂肪族アルコールのジルコニウム塩、例えば、ジルコニウムイソプロポキサイド、トルエンスルホン酸または有機強酸、例えば、ハロ酢酸、例えば、トリフルオロ酢酸が挙げられる。一実施形態において、エステル化触媒は、ジルコニウムイソプロポキサイドである。
【0079】
(b)および(c)の反応は、(b)がヒドロキシカルボン酸を含むとき、100℃〜250℃の反応温度において任意選択でエステル化触媒の存在下で行ってよい。適切なエステル化触媒として、ジブチルスズジラウレート、テトラアルキルチタネート、p−トルエンスルホン酸または第一鉄アセチルアセトネートが挙げられる。
【0080】
亜リン酸との反応は、50℃〜150℃で1時間〜24時間にわたって行ってよい。当該反応は、キシレンまたはトルエンなどの不活性溶媒の存在下で、また任意選択では触媒の存在下で任意選択で行う。一実施形態において、触媒は必要ない。
【0081】
産業的用途
一実施形態において、式(1)の化合物は分散剤である。
【0082】
式(1)の化合物は、異なる実施形態において、本発明の組成物中に0.1〜50重量%、または0.25〜35重量%、および0.5〜30重量%から選択される範囲で存在する。
【0083】
組成物中に存在する粒子状固体は、有機媒体に実質的に不溶性であるいずれの無機または有機固体材料であってもよい。一実施形態において、粒子状固体は顔料である。
【0084】
一実施形態において、本発明の組成物は、粒子状固体、有機液体、バインダおよび式(1)の化合物、またはその塩を含む塗料またはインキを提供する。
【0085】
一実施形態において、前記固体は、例えばColour Index(1971年)の第3版および「Pigments」の見出しの章の欄のその後の改訂およびそこへの補足に記載されている認定されている種類の顔料のいずれかに由来する有機顔料である。カーボンブラックは、厳密には無機物であるが、その分散特性においてむしろ有機顔料に近い挙動を示す。
【0086】
適切な固体の例は、溶媒インキ用の顔料;塗料およびプラスチック材料用の顔料、増量剤および充填剤;分散染料;溶媒染浴、インキおよび他の溶媒適用系のための光学増白剤および織物用助剤;油系の逆エマルジョン掘削泥水用の固体;有機固体中に分散物として適用されるドライクリーニング流体、バイオサイド、農薬および医薬品における汚れおよび固体粒子;粒子状セラミック材料;磁性材料および磁気記録媒体;複合材料用の繊維、例えば、ガラス、スチール、炭素およびボロンが挙げられる。
【0087】
無機固体として、増量剤および充填剤、例えば、タルク、カオリン、シリカ、バライトおよびチョーク、難燃性充填剤、例えば、アルミナ三水和物、または水酸化マグネシウム;粒子状セラミック材料、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、混合ケイ素アルミニウム窒化物および金属チタン酸塩;粒子状磁性材料、例えば、遷移金属、特に鉄およびクロムの磁性酸化物、例えば、ガンマ−Fe、Fe、およびコバルトをドープした酸化鉄、酸化カルシウム、フェライト、特にバリウムフェライト;ならびに金属粒子、特に金属鉄、ニッケル、コバルト、銅およびこれらの合金が挙げられる。
【0088】
本発明の組成物中に存在する有機媒体は、一実施形態においてはプラスチック材料であり、他の実施形態においては有機液体である。有機液体は非極性有機液体であっても極性有機液体であってもよいが、極性有機液体を典型的には用いる。有機液体に関する用語「極性」は、Journal of Paint Technology、第38巻、1966年、269頁において、Crowleyらによって「A Three Dimensional Approach to Solubility」と題された論文に記載されているように、有機液体が中程度から強力な結合を形成できることを意味する。そのような有機液体は、前記論文に定義されている5以上の水素結合数を一般に有する。
【0089】
適切な極性有機液体の例は、アミン、エーテル、特に低級アルキルエーテル、有機酸、エステル、ケトン、グリコール、アルコールおよびアミドである。そのような中程度に強力な水素結合液体の多数の具体例は、Ibert Mellanによる「Compatibility and Solubility」(Noyes Development Corporationにより1968年に出版)と題された書籍中の39〜40頁の表2.14に示されており、これらの液体はすべて本明細書で使用する用語「極性有機液体」の範囲内にある。
【0090】
一実施形態において、極性有機液体として、ジアルキルケトン、アルカンカルボン酸およびアルカノールのアルキルエステルが挙げられ、そのような液体は、特に、6または8を含めた全部で6または8個までの炭素原子を含んでいる。極性有機液体の例として、ジアルキルケトンおよびシクロアルキルケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルn−アミルケトンおよびシクロヘキサノン;アルキルエステル、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ギ酸エチル、プロピオン酸メチル、メトキシプロピルアセテートおよび酪酸エチル;グリコールならびにグリコールエステルおよびグリコールエーテル、例えば、エチレングリコール、2−エトキシエタノール、3−メトキシプロピルプロパノール、3−エトキシプロピルプロパノール、2−ブトキシエチルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、3−エトキシプロピルアセテートおよび2−エトキシエチルアセテート;アルカノール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびイソブタノール、ならびにジアルキルエーテルおよび環状エーテル、例えば、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランが挙げられる。一実施形態において、溶媒は、アルカノール、アルカンカルボン酸およびアルカンカルボン酸のエステルである。
【0091】
極性有機液体として用いてよい有機液体の例は、フィルム形成樹脂、例えば、インキ、塗料ならびに塗料およびインキなどの種々の用途に用いるためのチップがある。そのような樹脂の例として、ポリアミド、例えば、Versamid(商標)およびWolfamid(商標)、ならびにセルロースエーテル、例えば、エチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースおよびセルロースアセテートブチレート樹脂が挙げられ、それらの混合物も含む。塗料樹脂の例として、短油アルキド/メラミン−ホルムアルデヒド、ポリエステル/メラミン−ホルムアルデヒド、熱硬化性アクリル/メラミン−ホルムアルデヒド、長油アルキド、ポリエーテルポリオールおよび多媒体樹脂、例えば、アクリルおよびウレア/アルデヒドが挙げられる。
【0092】
有機液体は、ポリオール、すなわち、2個以上のヒドロキシ基を有する有機液体であってよい。一実施形態において、ポリオールとして、アルファ−オメガジオールまたはアルファ−オメガジオールエトキシレートが挙げられる。
【0093】
一実施形態において、非極性有機液体は、脂肪族基、芳香族基を含む化合物、またはそれらの混合物である。非極性有機液体として、非ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン)、ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン)、非ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、完全および部分飽和の両方の6個以上の炭素原子を含む直鎖状および分枝状の脂肪族炭化水素)、ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエタン)および天然非極性有機物(例えば、植物油、ヒマワリ油、アマニ油、テルペンおよびグリセリド)が挙げられる。
【0094】
一実施形態において、有機液体は、全有機液体を基準にして少なくとも0.1重量%、または1重量%以上の極性有機液体を含む。
【0095】
有機液体は、任意選択でさらに水を含む。一実施形態において、有機液体は、水を含まない。
【0096】
有機液体が水を含むとき、存在量は、一実施形態において、有機液体の量を基準にして70重量%以下、または50重量%以下、または40重量%以下である。
【0097】
プラスチック材料は、熱硬化性樹脂であっても熱可塑性樹脂であってもよい。本発明に有用な熱硬化性樹脂として、加熱されたとき、触媒作用を受けたとき、またはUVもしくは電子線照射に付されたときに化学反応を起こして相対的に不溶解性になる樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂における典型的な反応として、不飽和二重結合の酸化、エポキシ/アミン、エポキシ/カルボニル、エポキシ/ヒドロキシル、ポリイソシアネート/ヒドロキシ、アミノ樹脂/ヒドロキシ部分の反応、フリーラジカル反応もしくはポリアクリレート、カチオン重合もしくはエポキシ樹脂およびビニルエーテル、またはシラノールの縮合が挙げられる。
【0098】
ヒドロキシ官能基(多くの場合ポリオール)を有するポリマーは、アミノ樹脂またはポリイソシアネートによる熱硬化系架橋に広く用いられている。ポリオールとして、アクリルポリオール、アルキドポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリウレタンポリオールが挙げられる。典型的なアミノ樹脂として、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、ウレアホルムアルデヒド樹脂およびグリコールウリルホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。ポリイソシアネートは、単量体の脂肪族ジイソシアネート、単量体の芳香族ジイソシアネートの両方およびこれらのポリマーを含めた、2個以上のイソシアネート基を有する樹脂である。典型的な脂肪族ジイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび水素化ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。典型的な芳香族イソシアネートとして、トルエンジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0099】
一実施形態において、熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、セルロースおよびセルロース誘導体が挙げられる。前記組成物は、多くの方法によって調製することができるが、溶融混合および乾燥固体ブレンディングが典型的な方法である。
【0100】
所望により、組成物は、他の成分、例えば、樹脂(これらは有機媒体を既に構成するものではない)、バインダ、流動化剤、抗沈降剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、レオロジー調整剤、レベリング剤、光沢調整剤および防腐剤を含んでいてよい。
【0101】
組成物は、1〜95重量%の粒子状固体を典型的には含み、正確な量はその固体の性質に依存し、また、前記量は、その固体の性質ならびにその固体および極性有機液体の相対密度に依存する。例えば、固体が有機材料である組成物、例えば、有機顔料は、一実施形態において、15〜60重量%の固体を含むが、固体が無機材料である組成物、例えば、無機顔料、充填剤または増量剤は、一実施形態において、組成物の全重量を基準にして40〜90重量%の固体を含む。
【0102】
組成物は、分散物の調製のための公知の任意の従来の方法によって調製することができる。すなわち、固体、有機媒体および分散剤を任意の順序で混合し、次いで混合物を、例えば、ボールミル粉砕、ビーズ粉砕、砂利粉砕またはプラスチック粉砕によって機械的処理にかけて固体の粒子を適当な大きさに減少させて、分散物を形成させる。あるいは、独立にまたは有機媒体もしくは分散剤のいずれかと混合して固体を処理してその粒子の大きさを減少させ、次いで、他の成分(複数可)を添加して混合物を攪拌して組成物を提供してもよい。
【0103】
一実施形態において、本発明の組成物は液体分散物に好適である。一実施形態において、そのような分散組成物は:(a)0.5〜40部の粒子状固体、(b)0.5〜30部の式(1)の化合物、および(c)30〜99部の有機または水性媒体(ここで、部はすべて重量であり、量(a)+(b)+(c)=100である)を含む。
【0104】
一実施形態において、成分a)は、0.5〜40部の顔料を含み、そのような分散物は、液体インキ、塗料およびミルベースとして有用である。
【0105】
組成物が粒子状固体および式(1)の化合物を乾燥形態で含む必要があるとき、有機液体は、典型的には揮発性であり、簡単な分離手段、例えば、蒸発によって粒子状固体から容易に除去することができる。一実施形態において、組成物は有機液体を含む。
【0106】
乾燥組成物が基本的に式(1)の化合物および粒子状固体からなるとき、当該組成物は、粒子状固体の重量を基準にして少なくとも0.2%、少なくとも0.5%または少なくとも1.0%の式(1)の化合物を典型的には含む。一実施形態において、乾燥組成物は、粒子状固体の重量を基準にして100重量%以下、50重量%以下、20重量%以下、または10重量%以下の式(1)の化合物を含む。一実施形態において、式(1)の化合物は、0.6重量%〜8重量%で存在する。
【0107】
本明細書で先に開示したように、本発明の組成物は、粒子状固体が式(1)の化合物またはその塩の存在する有機液体中で粉砕されているミルベースの調製に適している。
【0108】
したがって、本発明のなおさらなる実施形態によれば、粒子状固体、有機液体、および式(1)の化合物またはその塩を含むミルベースが提供される。
【0109】
典型的には、ミルベースは、ミルベースの全重量を基準にして20〜70重量%の粒子状固体を含む。一実施形態において、粒子状固体は、10重量%以上または20重量%以上のミルベースである。そのようなミルベースは、粉砕の前または後のいずれかに添加されるバインダを任意選択で含んでよい。バインダは、有機液体の揮発において組成物を結合させることができるポリマー材料である。
【0110】
バインダは、天然および合成材料を含むポリマー材料である。一実施形態において、バインダとして、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、アルキド、多糖類、例えば、セルロースおよび天然タンパク質、例えば、カゼインが挙げられる。一実施形態において、バインダは、粒子状固体の量を基準にして100%を超え、200%を超えて、300%を超えて、または400%を超えて組成物中に存在する。
【0111】
ミルベース中の任意選択のバインダの量は、広い限度枠にわたって変動することができるが、ミルベースの連続/液体相の典型的には10重量%以上、多くの場合20重量%以上である。一実施形態において、バインダの量はミルベースの連続/液体相の50重量%以下または40重量%以下である。
【0112】
ミルベース中の分散剤の量は粒子状固体の量に依存するが、典型的にはミルベースの0.5〜5重量%である。
【0113】
本発明の組成物から製造される分散物およびミルベースは、溶媒系および水系両方の被覆剤および塗料、特に高固形物塗料;インキ、特に、オフセットインキ、フレキソインキ、グラビアインキ、放射線硬化性インキ、およびスクリーンインキ;非水性セラミックプロセス、特にテープコーティング、ドクターブレード、押出および射出成形型プロセス、複合材料、化粧品、接着剤およびプラスチック材料での使用に特に適している。
【0114】
一実施形態において、本発明の組成物は、1つまたは複数のさらなる公知の分散剤をさらに含む。
【0115】
以下の実施例により本発明を説明する。これらの実施例は、限定的な例であり、また、本発明の範囲を限定することを意図していない。すべての化学物質は、記載される場合を除いてAldrichから購入した。
【実施例】
【0116】
中間体1:容器にドデカノール(18.7部)、ε−カプロラクトン(110部)、δ−バレロラクトン(34.2部)を投入し、窒素雰囲気下150℃で攪拌する。容器にテトラ−ブチルジルコネート(またはジルコニウム4−ブトキシド)(0.5部)を投入する。次いで全混合物を175℃で6時間攪拌して透明な粘稠液を得、冷却して白ろう(160部)にする。
【0117】
中間体2:圧力容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(MW550、Flukaから、110.9部)および水酸化ナトリウムペレット(1部)を投入する。容器を窒素で10psi(約69kPa)に加圧し、155℃に加熱する。次いでプロピレンオキシド(35部)を容器に投入し、圧力が10psi(約69kPa)に減少するまで反応させる。生成物は淡黄色の油状物(145.57部)である。
【0118】
中間体3A:圧力容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、351.9部)および水酸化カリウム(1部)を投入する。容器を窒素で10psiに加圧し、内容物を攪拌しながら110℃に加熱する。プロピレンオキシド(175.2部)を添加し、圧力が18psiで安定するまで反応させる。生成物は淡黄色の液体(528部)である。
【0119】
中間体3:圧力容器に中間体3A(238部)および水酸化カリウム(0.5部)を投入する。容器を窒素で10psiに加圧し、内容物を攪拌しながら155℃に加熱する。エチレンオキシド(100部)を添加し、圧力が14psiで安定するまで反応させる。生成物は金色がかった液体(339部)である。
【0120】
中間体4A:圧力容器に中間体3A(290.7部)を投入する。容器を窒素で10psiに加圧し、内容物を攪拌しながら110℃に加熱する。プロピレンオキシド(64.42部)を添加し、圧力が18psiで安定するまで反応させる。生成物は淡黄色の液体(354部)である。
【0121】
中間体4:圧力容器に中間体4A(290.8部)および水酸化カリウム(0.5部)を投入する。容器を窒素で10psiに加圧し、内容物を攪拌しながら155℃に加熱する。エチレンオキシド(100部)を添加し、圧力が14psiで安定するまで反応させる。生成物は濁った黄色の液体(391部)である。
【0122】
中間体5:圧力容器にポリプロピレングリコールモノブチルエーテル(Mn340、193.1部)および水酸化カリウム(1部)を投入する。容器を窒素で10psiに加圧し、内容物を攪拌しながら155℃に加熱する。エチレンオキシド(200.1部)を添加し、圧力が16psiで安定するまで反応させる。生成物はベージュ色の固体(396部)である。
【0123】
中間体6:圧力容器にポリプロピレングリコールモノブチルエーテル(Mn340、140.7部)および水酸化カリウム(1部)を投入する。容器を窒素で10psiに加圧し、内容物を攪拌しながら155℃に加熱する。エチレンオキシド(200.56部)を添加し、圧力が14psiで安定するまで反応させる。生成物およびケイ酸マグネシウム(25部)を窒素下120℃で4時間攪拌した後、珪藻土を介して濾過する。生成物は淡黄色の固体(224部)である。
【0124】
中間体7:容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、250.4部)、ε−カプロラクトン(157.35部)、δ−バレロラクトン(92.26部)およびドデシルベンゼンスルホン酸(0.75部)を投入する。混合物を窒素下150℃で6時間攪拌する。生成物は淡黄色の液体(494部)である。
【0125】
中間体8:容器に7−メチルカプロラクトン(22.47部)、(国際出願WO98/19784中のラクトン3について記載された方法を用いて調製した琥珀色の液体)、ε−カプロラクトン(29.95部)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、47.58部)およびドデシルベンゼンスルホン酸(0.15部)を投入する。混合物を窒素下180℃で6時間攪拌する。生成物は琥珀色の液体(89.84部)である。
【0126】
中間体9:容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、289.75部)、ε−カプロラクトン(210.25部)およびp−トルエンスルホン酸(0.73部)を投入する。混合物を窒素下150℃で6時間攪拌する。生成物は濁った淡黄色の液体(495部)である。
【0127】
中間体10:容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、70.67部)、ε−カプロラクトン(29.33部)およびドデシルベンゼンスルホン酸(0.15部)を投入する。混合物を窒素下180℃で6時間攪拌する。生成物は黄色の液体(96.19部)である。
【0128】
中間体11:容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、76.26部)、ε−カプロラクトン(23.74部)およびドデシルベンゼンスルホン酸(0.15部)を投入する。混合物を窒素下180℃で6時間攪拌する。生成物は琥珀色の液体(93.54部)である。
【0129】
中間体12:容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、82.81部)、ε−カプロラクトン(17.19部)およびドデシルベンゼンスルホン酸(0.15部)を投入する。混合物を窒素下180℃で6時間攪拌する。生成物は黄色の液体(96.99部)である。
【0130】
中間体13:容器にJeffamine M600(83.9部)、ε−カプロラクトン(16.1部)、および酸性ジルコニウムのカチオン交換モンモリロナイト(1部)、(Bull. Chem. Soc. Jpn.、66巻、2016〜2032頁(1993年)における亜鉛モンモリロナイトについて示された方法によって調製)を投入する。懸濁液を窒素下180℃で6時間攪拌する。粗生成物を、珪藻土を介して濾過する。生成物は褐色の液体(74.31部、塩基当量は10170と測定された)である。
【0131】
中間体14:容器にJeffamine M600(72.24部)、ε−カプロラクトン(27.76部)および酸性ジルコニウムのカチオン交換モンモリロナイト(1部)を投入する。懸濁液を窒素下180℃で6時間攪拌する。粗生成物を、珪藻土を介して濾過する。生成物は褐色の液体(66.33部、塩基当量51030mg)である。
【0132】
中間体15:容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテルモノアミノプロピルエーテル(Mn600、97.25部)およびε−カプロラクトン(36.27部)を投入する。混合物を窒素下150℃で6時間攪拌する。生成物は暗褐色の液体(133.9部、塩基当量は35800と測定された)である。
【0133】
中間体16:容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、46.5部)およびε−カプロラクトン(30.34部)を投入する。混合物を攪拌しながら窒素ブランケット下で180℃に加熱する。ジブチルスズジラウレート(0.1部)を添加した後、混合物を窒素下180℃で6時間攪拌する。温度を140℃に下げてクエン酸(25.54部)を容器に投入する。混合物を180℃でさらに3時間攪拌する。生成物は褐色の粘稠液(91.90部、測定された酸価116.9mgKOH/g)である。
【0134】
中間体17:容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、189.70部)およびε−カプロラクトン(247.4部)を投入する。混合物を攪拌しながら窒素ブランケット下で180℃に加熱する。ジブチルスズジラウレート(0.5部)を添加した後、混合物を窒素下180℃で6時間攪拌する。温度を140℃に下げてリンゴ酸(72.66部)を容器に投入する。混合物を180℃でさらに20時間攪拌する。生成物は褐色の濁った液体(472.80部、測定された酸価47.7mgKOH/g)である。
【0135】
中間体18A:容器にJeffamine M600(Huntsmanから)(209.7部)、ε−カプロラクトン(40.29部)および酸性ジルコニウムのカチオン交換モンモリロナイト(2.5部)を投入する。懸濁液を窒素下150℃で12時間攪拌する。粗生成物を、珪藻土を介して濾過する。生成物は褐色の液体(138.35部、塩基当量は5020mgと測定された)である。
【0136】
中間体18:容器に中間体18A(72.25部)、リンゴ酸(13.68部)およびドデシルベンゼンスルホン酸(0.15部)を投入する。混合物を窒素下180℃で3時間攪拌する。生成物は暗褐色の液体(80.16部、測定された酸価52.95mgKOH/g)である。
【0137】
中間体19:容器に中間体18A(66.10部)、クエン酸(19.61部)およびドデシルベンゼンスルホン酸(0.15部)を投入する。混合物を窒素下180℃で2時間攪拌する。生成物は暗褐色の液体(78.09部、酸価73.86mg)である。
【0138】
中間体20:容器にJeffamine M600(75.56部)およびクエン酸(26.73部)を投入する。混合物を窒素下150℃で3時間攪拌する。生成物は暗褐色の液体(93.3部、測定された塩基当量87.19)である。
【0139】
中間体21:容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、35部)、ε−カプロラクトン(20.54部)およびγ−アミノ酪酸(18.56部)を投入する。混合物を窒素下190℃で22分間攪拌する。温度を135℃まで低下させ、ジルコニウム(IV)ブトキシド溶液(tert−ブタノール中80%w/w、0.3部)を容器に投入する。混合物を190℃でさらに6時間攪拌する。生成物は、淡褐色の液体(65部、酸価1.82mgKOH/g)である。
【0140】
中間体22:容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、49.58部)、ε−カプロラクトン(32.34部)およびγ−アミノ酪酸(21.91部)を投入する。混合物を窒素下190℃で20分間攪拌する。温度を150℃まで低下させ、ジルコニウム(IV)ブトキシド溶液(tert−ブタノール中80%w/w、0.25部)を容器に投入する。混合物を190℃でさらに6時間攪拌する。生成物は暗褐色の液体(87.49部、酸価1.80mgKOH/g)である。
【0141】
中間体23:容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、46.10部)、ε−カプロラクトン(27.06部)および6−アミノカプロン酸(31.10部)を投入する。混合物を窒素下190℃で18分間攪拌する。温度を150℃まで低下させ、ジルコニウム(IV)ブトキシド溶液(tert−ブタノール中80%w/w、0.25部)を容器に投入する。混合物を190℃でさらに6時間攪拌する。生成物は褐色の固体(83.32部、酸価2.22mgKOH/g)である。
【0142】
中間体24:容器にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mn350、46.10部)、ε−カプロラクトン(30.07部)および6−アミノカプロン酸(25.92部)を投入する。混合物を窒素下190℃で20分間攪拌する。温度を150℃まで低下させ、ジルコニウム(IV)ブトキシド溶液(tert−ブタノール中80%w/w、0.25部)を容器に投入する。混合物を190℃でさらに6時間攪拌する。生成物は褐色の固体(95.46部、酸価2.18mgKOH/g)である。
【0143】
比較例A(COMPA):中間体2(455部)およびポリリン酸(107.44部)を窒素ブランケット下90〜95℃で6時間攪拌する。得られた生成物は暗褐色の油状物(555部)である。
【0144】
比較例B(COMPB):は、米国特許第3,075,849号の実施例1に開示されている不飽和ポリアミンアミドおよび酸性ポリエステルの塩のキシレンおよびブタノール中50%溶液である。
【0145】
比較例C(COMPC):は、米国特許第3,075,849号の実施例1に開示されている不飽和ポリアミンアミドおよび酸性ポリエステルの塩である。
【0146】
調製例1(PREP1):容器に亜リン酸(1.28部)および中間体1(38部)を150℃で投入し、窒素雰囲気下で24時間攪拌して、混合物を形成させる。得られた混合物は14.2mgKOH/gの酸価を有する。混合物を65℃まで冷却させ、次いでジエタノールアミン(0.97部)を添加する。混合物を65℃で2時間攪拌して乳白色の液体を得、これを冷却して白ろう状の固体(37部)にする。これが分散剤1である。
【0147】
調製例2(PREP2):容器に亜リン酸(1.92部)を投入し、攪拌された中間体1(38部)に150℃で添加し、すべての混合物を当該温度で窒素雰囲気下24時間攪拌する。得られた混合物は30.8mgKOH/gの酸価を有する。混合物を65℃まで冷却させ、次いでジエタノールアミン(2.13部)を添加する。混合物を65℃で2時間攪拌して乳白色の液体を得、これを冷却して白ろう状の固体(38部)にする。これが分散剤2である。
【0148】
調製例3(PREP3):容器に亜リン酸(5.71部)および中間体2(50部)を150℃で投入し、混合物を窒素雰囲気下24時間攪拌する。生成物である薄い褐色の油状物(55部)を貯蔵容器に注いだ。これが分散剤3である。
【0149】
分散剤4〜27は、混合物を110℃で窒素流下10時間攪拌することを除いて調製例3に概説したプロセスと同様に調製する。
【0150】
【表1】

分散評価:Crystic 196(ポリエステル樹脂含有スチレン、Scott−Bader社から、57.14部)をステンレススチール製粉砕鉢に投入し、激しい攪拌を始める。各例の分散剤(活性分散剤1部)を樹脂内に添加して5分間攪拌する。Omyacarb(商標)10ML(炭酸カルシウム、Omyaから、100部)充填剤を実質的にすべての充填剤が投入されるまで徐々に添加する。次いで混合物を3000rpmで15分間攪拌してペーストを形成する。このペーストの粘度を評価する。
【0151】
各ペーストサンプルを、20℃で40mm℃を用いて、流量測定モードでTA InstrumentsのAR2000応力制御レオメータにて測定する。サンプルを0.3s−1〜126.5s−1の速度でせん断する。得られる粘度データ(Pa s)は以下の通りである:
【0152】
【表2】

硬化データ:容器にCrystic 196(ポリエステル樹脂含有スチレン、Scott−Bader社から、20部)およびMannosecコバルト(0.4部、6%活性コバルト)を投入し、一緒に5分間攪拌する。各分散剤(0.2部)を活性化された樹脂内で攪拌する。Andonox SG10(メチルエチルケトンペルオキシド、0.2部)を添加して1分間攪拌する。温度計プローブを樹脂混合物に浸し、1分間隔で温度を読み取る。これらの硬化試験から顕著なデータを以下の表に示す:
【0153】
【表3】

試験から得られたデータは、本発明の組成物が、比較例の分散剤を含む組成物よりも向上された硬化性能を有しかつ改善された分散物を形成することを示す。
【0154】
先に言及した各文献は、参照により本明細書に組み込まれる。実施例を除き、または別途明確に示さない限り、本説明において材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを特定するすべての数量は、「約」の語によって修飾されると理解すべきである。別途示さない限り、本明細書において言及した各々の化学物質または組成物は、異性体、副生成物、誘導体、および市販等級に通常存在すると理解される他の同等の物質を含み得る市販等級の物質であると理解されるべきである。しかし、各化学成分の量は、別途示さない限り、市販の物質に習慣的に存在し得るすべての溶媒または希釈油を除いて提示されている。本明細書に記載されている量、範囲、および比率の上下限は、独立して組み合わせてよいことが理解されるべきである。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、任意の他の要素の範囲または量と一緒に使用してもよい。
【0155】
本発明をその好ましい実施形態に関して説明したが、本明細書を読めば当業者には種々の変更形態が明らかになるであろうことが理解されるべきである。したがって、本明細書に開示の発明は、添付の特許請求の範囲内に入るそのような変更形態も対象とすることを意図していることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状固体、有機または水性媒体、ならびに以下:
(a)亜リン酸;
(b)アルキレンオキシド、アミノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、およびモノ−、ジ−、トリ−またはポリヒドロキシジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸からなる群の少なくとも1つのメンバー;および
(c)アルコール、チオール、カルボン酸、およびアミンからなる群の少なくとも1つのメンバー
を反応させることによって得られる/得ることができる化合物
を含む組成物。
【請求項2】
前記化合物が、前記組成物の0.25〜35重量%および0.5〜30重量%から選択される範囲で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有機媒体が、有機液体またはプラスチック材料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記有機液体が、全有機液体を基準にして少なくとも0.1重量%の極性有機液体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記粒子状固体が顔料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
化合物の分散剤としての使用であって、前記化合物は、以下:
(a)亜リン酸;
(b)アルキレンオキシド、アミノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、およびモノ−、ジ−、トリ−またはポリヒドロキシジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸からなる群の少なくとも1つのメンバー;および
(c)アルコール、チオール、カルボン酸、およびアミンからなる群の少なくとも1つのメンバー
を反応させることによって得られる/得ることができる、使用。
【請求項7】
粒子状固体、有機または水性媒体、ならびに式(1)の化合物およびその塩:
【化4】

(式中、
Eは、−OHであるか、または式(1)の前記化合物が塩であるときは酸素イオンであり;
Qは、アルコキシレート、アミノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンから誘導される繰り返し単位、ジカルボン酸およびジオールの残基、またはそれらの混合物であり;
mは0または1であり、ただし、mが0であるとき、vは1であり、Qは、ヒドロキシ基の酸素を介してPに連結し、かつ、カルボン酸基を介してD−Qに連結しており;mが1であるとき、vは1〜4であり;
Jは、モノ−、ジ−、トリ−またはポリ−ヒドロキシジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸残基であり;
Dは、アルコールの残基、チオールの残基、カルボン酸の残基、任意選択でヒドロカルビル置換されたヒドロキシ含有芳香族化合物の残基、またはアミンの残基、あるいはそれらの混合物であり;
nは、0もしくは100、または1〜100であり、ただし、nが0であり、かつ、Dがアルコールの残基であるとき、前記アルコールは少なくとも200の分子量を有する)
を含む組成物。
【請求項8】
前記式(1)化合物が、
Eは、−OHであるか、または前記式(1)の化合物が塩であるときは酸素イオンであり;
Qは、アルコキシレート、またはヒドロキシカルボン酸、またはラクトンから誘導される繰り返し単位、あるいはそれらの混合物であり、ヒドロキシ基の酸素を介してPに連結し、かつ、カルボン酸基を介してDに連結しており、あるいはそれらの混合物であり;
Jは、モノ−、ジ−、トリ−またはポリ−ヒドロキシジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸残基であり;
Dは、アルコールの残基、チオールの残基、カルボン酸の残基、任意選択でヒドロカルビル置換されたヒドロキシ含有芳香族化合物の残基、および一般式R−O−(Y)−T−N(G)−で表されるモノアミノの残基、または一般式R’−N(G’)−T−O−(Y)−T−N(G)−)で表されるジアミンの残基、あるいはそれらの混合物であり;
nは、0または100であり;
RおよびR’は、独立してHまたはC1〜50で任意選択で置換されたヒドロカルビル、またはC1〜50で任意選択で置換されたヒドロカルボニル、またはエポキシドの残基であり;
Yは、C2〜4−アルキレンオキシであり;
Tは、C2〜4アルキレンであり;
GおよびG’は、独立してHまたはC1〜50で任意選択で置換されたヒドロカルビル、またはC1〜50で任意選択で置換されたヒドロカルボニルであり;
xは2〜90である
ことによって表される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
式(1)のDが、一般式R’−N(G’)−T−O−(Y)−T−N(G)−)で表されるジアミンの残基、またはそれらの混合物であり、R’が、独立してHまたはC1〜50で任意選択で置換されたヒドロカルビル、またはC1〜50で任意選択で置換されたヒドロカルボニル、またはエポキシドの残基である、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
式(1)のDが、一般式R−O−(Y)−T−N(G)−で表されるモノアミンの残基、またはそれらの混合物であり、Rが、独立してHまたはC1〜50で任意選択で置換されたヒドロカルビル、またはC1〜50で任意選択で置換されたヒドロカルボニル、またはエポキシドの残基である、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記式(1)化合物が、前記組成物の0.1〜50重量%で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
前記式(1)の化合物において:
(i)Dがアルコールの残基、チオールの残基、カルボン酸の残基、任意選択でヒドロカルビル置換されたヒドロキシ含有芳香族化合物の残基、およびアミンの残基として定義され;
(ii)Qが一般式(2) −[AO][BU]−を有する
(式中、
jとkの合計は、1〜100であり;
AOは、アルキレンオキシドの残基を表し;
BUは、アミノカルボン酸の残基、モノ−ヒドロキシカルボン酸の残基、ラクトンの残基、またはそれらの混合物を表す)
請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
Yが、C3〜4−アルキレンオキシの混合物であり、(Y)で表される鎖は、部分的に、−CHCHCHCHO−、−CHCH(CH)O−または−CH−CH(CH−CH)−O−であり、100%までのエチレンオキシ基が存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項14】
式(1)の前記[D−(Q)−(J)−基が、200〜10,000、または200〜5000、または300〜3000の数平均分子量を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項15】
式(1)の化合物およびその塩:
【化5】

(式中、
Eは、−OHであるか、または式(1)の化合物が塩であるときは酸素イオンであり;
Qは、アルキレンオキシド、アミノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンから誘導される繰り返し単位、またはそれらの混合物であり;
mが0または1であり、ただし、mが0であるとき、vは1であり、Qは、ヒドロキシ基の酸素を介してPに連結し、かつ、カルボン酸基を介してDに連結しており;mが1であるとき、vは1〜4であり;
Jは、モノ−、ジ−、トリ−またはポリ−ヒドロキシジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸残基であり、ただし、mが1であるとき、Jは、カルボン酸基を介してQに連結し、かつ、ヒドロキシ基の酸素を介してPに連結しており;
Dは、アルコールの残基、チオールの残基、カルボン酸の残基、任意選択でヒドロカルビル置換されたヒドロキシ含有芳香族化合物の残基、またはアミンの残基、あるいはそれらの混合物であり;
nは、0もしくは100、または1〜100であり、ただし、nが0であり、かつ、Dがアルコールの残基であるとき、前記アルコールは少なくとも200の分子量を有する)。
【請求項16】
nが0であるとき、Dの前記アルコールが、225〜8000、または500〜2500の分子量を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
nが0〜1であり、ただし、nが0であるとき、Dは、チオールの残基、カルボン酸の残基、任意選択でヒドロカルビル置換されたヒドロキシ含有芳香族化合物の残基、およびアミンの残基、またはこれらの混合物である、請求項15に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−522792(P2010−522792A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500291(P2010−500291)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053717
【国際公開番号】WO2008/116932
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(507370530)ルブリゾル リミテッド (8)
【Fターム(参考)】