説明

分散型地理情報システムのエンティティ表示の優先順位付け

地理空間的エンティティを格付けするためのシステムである。一実施の形態では、本システムは、地理空間内の複数のエンティティについての格付けデータを受信するためのインターフェース、およびエンティティ格付けモジュールを備える。そのモジュールは格付けメカニズムを用いて、地理空間的エンティティに対する配置格付けを格付けデータに基づいて生成する。エンティティ格付けモジュールが生成したエンティティ格付けデータは、データベースに格納される。エンティティ格付けモジュールは、複数の様々な属性を評価して、地理空間的エンティティに対する合計得点を決定するよう構成される。エンティティ格付けデータを位置マークレイヤに体系化するようエンティティ格付けモジュールを構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図作成システムに関し、より詳細には、地理表示図上に、優先順位を付けた地理的エンティティ(存在物、実体物)を配置するための技法に関する。
【0002】
関連出願データ
本出願は、2006年10月11日出願の米国特許出願第11/548,689号、および2005年10月12日出願の米国特許仮出願第60/726,505号の特典を請求し、その全開示を引用して本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0003】
地理情報システム(GIS)は、その要素の地理座標に基づいて格納され、インデックス化されているデータを蓄積し、検索し、そして操作するためのシステムである。このシステムは、画像、地図、および表のような様々なデータ形式を利用できるのが一般的である。歴史的に見ると、GIS技術は、科学調査および政府関係の調査(例えば、公害または建物過多により悪影響を受ける地理的領域を特定する)、資源管理(例えば、地域の森林観察)、および開発計画(例えば、十分に利用されていない地理的領域の郊外開発)のために用いられている。
【0004】
さらに最近になって、GIS技術は、インターネット方式の地図作成アプリケーションに組み込まれつつある。ユーザは、デジタル地図の場所に、位置マークで注釈を付けることができる(例えば、地図上にアイコンまたは他のグラフィックスで指定する)。幾つかの位置マークは、その位置マークで印した場所に関する簡単な説明をユーザが記入できるようにし、一方、他の位置マークは、その位置マークと関係付けられるアイコンおよび/またはラベルのスタイルをユーザが変更できるようにする。しかし、多くの事例では、利用できる位置マークの数が非常に多い。
【0005】
従って、必要とされているのは、どの位置マーク(および他の地図エンティティ)を優先させてGIS方式の地図上に表示するかという技法である。
【発明の開示】
【0006】
上記必要性は、本明細書で説明する優先順位付きエンティティ(存在物、実体物)のデータを生成するための技法により満たされる。
【0007】
実施の形態では、地理情報システム(GIS)は、複数の地理空間的エンティティについての情報を含み、格付けメカニズムにより地理空間的エンティティに優先順位を付けるよう構成される。格付けメカニズムは、地理空間的エンティティのメタ属性に関するデータを用いて、地理空間的エンティティの優先順位を決定する。メタ属性は、実施によって変更してもよいが、一実施の形態では、地理空間的エンティティについて利用可能な情報の質を含む。
【0008】
別の実施の形態では、コンピュータに実装される方法を用いて地理空間的エンティティに格付けをすることができる。本方法は、地理空間的エンティティのデータを受信するステップ、受信した地理空間的エンティティのデータに含まれる地理空間的エンティティの属性を評価するステップ、その評価に基づいて地理空間的エンティティに格付けをするステップ、および格付けした地理空間的エンティティのデータを格納するステップを含む幾つかのステップを含む。
【0009】
本発明の別の実施の形態は、命令文により符号化された一つ以上のマシン可読媒体(例えば、一つ以上のコンパクトディスク、ディスケット、サーバ、メモリースティック、またはハードディスクドライブ)を提供し、一つ以上のプロセッサがその命令を実行すると、地理空間的エンティティに格付けするためのプロセスが、その一つ以上のプロセッサにより実行される。例えば、このプロセスは、本明細書で説明する方法論と類似とするか、またはその変形とすることができる。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
図は、説明だけを目的として本発明の多様な実施の形態を示す。当該分野の技術者は、以下の説明から、本明細書で説明する構造および方法の代替の実施の形態を、本明細書で説明する本発明の原理から逸脱することなく利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
自由度の高いフレキシビリティ、ユーティリティ、および情報をユーザに提供する地理情報システム(GIS)を開示する。本システムは、分散型地理情報システム(DGIS)として構成することもできる。本システムは、どの位置マーク(および他の地図エンティティ)を優先させてGIS方式の地図上に表示するかという技法を利用する。
【0017】
概観
幾つかある基準のどれかに基づいて、表示に利用可能な地理的特徴のサブセットを選択するメカニズムを設けるのは、地理情報システムでは共通した実践法である。例えば、人によっては、世界中の都市のデータベースを地理情報システム内にロードし、次いで、データベースにある米国内の都市、人口が100万人を超える都市、またはこれら両基準をともに満たす都市だけを見たいとリクエストするかもしれない。この最後の場合、もし1990年の人口データを用いたとしたら、ニューヨーク市、ロサンゼルス、シカゴ、ヒューストン、フィラデルフィア、サンディエゴ、デトロイト、およびダラスのマーカーだけが、表示される筈である。
【0018】
さらに対話式の地理情報システムによっては、ビュー距離毎に特徴が異なる視覚基準をサポートする。例えば、視点が北米大陸であったとすると(視点距離1)人口が100万人を超える都市だけを示し、表示領域内に単一の州を含むように視点を下げると(視点距離2)人口が10万人を超える追加都市を含み、視点を州または郡の内部に下げて(視点距離3)さらに小さな都市を含むよう最終的に修正するという選択基準を構築することもある。これらの技法および関連する技法は、GISの分野では「セレクション」として知られ、コンピュータの画像生成分野では「視覚的選択」および「詳細管理レベル」として知られている。
【0019】
本発明の実施の形態は、地理空間内の項目つまりエンティティの“沢山ある内の幾つか”をどれか決定して、その格付けによりそれぞれのエンティティの相対的な重要性に基づいて、地図上に表示するように構成する。このような格付けは、本質的でない項目、例えば、そのエンティティのユーザ人気(例えば、地理空間的項目のアクセス量および/または速さ)、情報量(例えば、地理空間的項目の情報ソース、および地理空間的項目の著者のコミュニティ的名声に関する情報量)、および地理空間的項目の特徴についての類似のメタデータ等、に基づいて生成することができる。例えば、対話式GISシステムの多くのユーザが特定の小都市(例えば、ネバダ州のHenderson)を見ている場合、本発明の実施の形態は、人口100万人を超える大都市と併せて表示するために、十分に高い表示用配置格付けをその都市に与えることになる。このようにして、ユーザには、対話式地理空間情報システム内の視覚的検索領域内で最も興味がありそうな地理空間的エンティティが提示される。地理空間的項目の格付けはさらに、場所、距離、または位置や視点高度(ズームレベル)のような地理空間的特徴という他の本質的属性、に基づいてもよい。
【0020】
地理空間的エンティティの格付けは、本明細書では主として、地図上でユーザに表示するためにエンティティを選択する文脈で説明するが、本開示で明らかになるように、本格付けは、他の目的に対して使用することができる。実施例には、関連する広告を決定し、表示するために用いるキーワードに、どのエンティティを関係付けるべきかを選定するステップ;ナビゲーション計算に際して、可能性のある起点、目的地、または経由地として、どのエンティティを示唆すべきかを選定するステップ;および、最も人気のあるまたは最も興味のある地理空間的エンティティのサブセットが所望される他の使用法を含む。このような用途では、本発明の実施の形態により生成される格付けエンティティデータは、コンテクストの要求に応じて、デジタル地図作成システムに追加して、またはそれに代えて、各種システムに提供することができる。
【0021】
このようなエンティティ格付け情報を用いると、地理空間的エンティティと対応する位置マークを含む二次元または三次元のデジタル地図を生成することができる。このような一実施の形態では、GISが生成する地図に、地理空間的エンティティに関する何種類かのデータを含めることができる。例えば、地図には、地形のほか、道路、鉄道ルート、および空港を含むインフラストラクチャ、建物、および/または地形の境界線のような地理的特徴を含めることができる。地図には、政府機関のほか、公園等のサービスやリクリエーションサービス、連邦、州、またはローカルの政府の目印、および地域サービスに関する情報により注釈を付けることもできる。これらの注釈およびその他の注釈は、ビジネス、旅行の位置マークを表す商業的位置マークを含む一つ以上のカテゴリに属する位置マークの形式で提示することができ、例えば、歴史的名所および観光目的地、ユーザが個人的にまたはコミュニティで使用するために特定し、名前を付けているユーザ定義の位置マーク、および/またはフォーラムの公衆メンバーがボランティアで定義しているコミュニティの位置マークが含まれる。ある特定の実施の形態では、地図上に表される情報は、地形レイヤ、道路レイヤ、境界レイヤ、コミュニティ位置マークレイヤ等のようなレイヤを備える収集体に体系化される。他のレイヤは、「現在行われているイベント」、「歴史」、および「教育」を含み、レイヤを作成したソースの体系的分類法を指示する。ユーザは、地図と対話して各種の情報レイヤをON、OFFできる。一実施の形態では、基本のデータサブセット(例えば、地形、主要道路、および政治的境界線)を含む基本レイヤ、つまりコアレイヤが設けられ、ユーザは追加レイヤを選択して地図の見え掛かりをカスタム化できる。様々なサードパーティのコンテンツプロバイダおよび広告主が、その基本地図上に重ねることができる個々のデータレイヤを提供できる。
【0022】
本開示で明らかなように、本明細書で説明する位置マーク格付け法を、任意の従来型、独自型、および/または新しい技法と組み合わせて使用し、デジタル地図を生成することができる。例えば、従来のラスター地図の場合には、位置マークおよび他の種類の地図データを用いて、地図サーバで、.jpeg、.gif、または.pngのようなデジタルフォーマットの地図を作り出し、クライアントに配布する。その地図を操作し、地図と対話したいというリクエストがクライアントからサーバに提供されると、要求された地図のビューを生成する。タイル型のラスター地図の場合は、位置マークデータを含む予め生成しておいた、ラスター画像つまり“タイル”が地図サーバに格納される。ユーザが地図クエリーを提出すると、リクエストした地図をそれを用いて作り出し、ラスター化画像がクライアントに提供される。例えば、リクエストした地図をパン、ズーム、またはチルトさせる追加のビューを、タイルを用いてクライアントで生成することができる。ベクトル型の方法を用いて、本発明の他の実施の形態によるデジタル地図を生成することもできる。そのような、ある特定の場合には、位置マークデータを含む地図データは、ベクトル型グラフィック命令の形式で、地図サーバがクライアントへ提供する。その命令は、リアルタイムでクライアントのアプリケーションが解釈し、ユーザのために地図を生成する。ユーザは、地図と対話して、例えば、地理空間的エンティティを含む様々なレイヤを含めるかまたは排除するかにより、クライアントで地図を動的に更新して、これらのレイヤを含めることができる。同様に、ユーザは、地図と対話して、例えば、ズームまたはパンにより、クライアントで動的に再生成して新規地図ビューを含めることができる。
【0023】
地理情報システム(GIS)は、本開示全体を通じて参照される。周知のように、GISは、分散型地理情報体系的(DGIS)として実装することができ、その場合、例えば、GIS構成体は、インターネットまたは企業等のネットワークを通じて別々の物理場所にある2つ以上の異なるコンピュータに配布される。本明細書において参照は、Google Earth(商標)と、サーバ、クライアント、ならびに他の構成体等の各種の要素、および本開示で明らかとなるような特徴を含むGIS型デジタル地球儀とにもなされる。参照は、位置マークおよびエンティティが、公衆参加メンバーにより創成され、定義され、書き込まれ、そして議論されるフォーラムであるGoogle Earth Community(商標)にもなされる。「Google Earth」、「Google Earth Community」および本明細書で提供されるその記述は、他の形式の知的所有権の下で保護され、参照目的のためだけに用いられることに注意のこと。
システムアーキテクチャ
【0024】
図1は、本発明の実施の形態によるエンティティ格付け能力を有するデジタル地図システム100の高位ダイヤグラムである。システム100は、ネットワーク160を経由して、一台以上のクライアント110と通信可能に結合される地図サーバーシステム150を含む。地図サーバーシステム150は、地理情報システム(GIS)170が常駐する(例えば、オフライン、またはリアルタイムで)格付けエンティティデータのデータベース140に結合される。GIS 170は、格付けメカニズムまたはアルゴリズムを適用して、地理空間的エンティティの相対的格付けを決定する、エンティティ格付けモジュール120Aを備える。これらのエンティティは、例えば、各種の外部ソース180からGIS 170に提供されるデータに基づいてGIS 170内で定義される。格付けされたエンティティは、データベース140内に格納され、格付けエンティティデータを用いてクライアント110のために地図を生成する地図サーバーシステム150に提供される。図示のシステム100には、追加のエンティティ格付け機能を提供するためにクライアント側のエンティティ格付けモジュール120B〜120Cも存在する。例えば、代替の実施の形態によれば、地図サーバーシステム150は、地図および格付けエンティティデータレイヤをクライアント側で生成するために、格付けエンティティデータをクライアント110に提供することができる。本開示で明らかになるように、ヘビークライアント(PC等)、ライトクライアント(携帯電話等)の機能性の原則はここで等しく適用される。
【0025】
他のモジュールを本システムに含めて、図示のモジュールを再編成し、機能を分散させることができる。例えば、GIS 170は地図サーバーシステム150に統合することができる。同様に、GISのエンティティ格付けモジュール120Aは、スタンドアロンのモジュールとしてもよい。クライアント側110のエンティティ格付けモジュール120B〜120Cがなくて、GISシステム100内に、またはGISシステム100とともに、全体として実装される単一のエンティティ格付けモジュール120Aがあってもよい。別の実施の形態では、エンティティ格付けは、クライアント110でエンティティ格付けモジュール120B〜120Cにより完全に実施される。他の構成は、本開示から明らかであり、本発明はどれか特定の一つのものに限定されない。本実施例では、用語「モジュール」は、特定機能を提供するためのコンピュータープログラムロジックまたはソフトウエアを指す。クライアント装置120または地図サーバーシステム150が利用するときに、モジュールをメモリにロードし、プロセッサ上で実行してもよい。他の実施の形態では、モジュールは、ハードウエア(例えば、ゲートレベルロジック)、ファームウエア(例えば、本明細書で説明するようなエンティティ格付けを実行するために組み込まれたルーチンを有するマイクロコントローラ)、またはハードウエア、ファームウエア、および/またはソフトウエアの何らかの組み合わせに実装されることができる。
【0026】
クライアント110は、ユーザが、ネットワーク160を経由して地図サーバーシステム150にアクセス可能な任意の装置とすることができる。クライアント110は、計算するよう構成された装置またはシステム、例えば、パソコンもしくはラップトップ、携帯電話、携帯情報端末、スマートフォン、車両内に配置されたナビゲーションシステム、または携帯GPSシステムとすることができる。他のクライアント110(不図示)が、ネットワーク160を経由して地図サーバーシステム150と通信していてもよい。
【0027】
それぞれのクライアント110は、典型的に行われるように、ユーザに、ネットワーク160上で地図サーバーシステム150等のシステムとインターフェースさせ、通信させるブラウザのようなアプリケーションを含む。ブラウザの例には、マイクロソフト(商標)のインターネットエクスプローラーブラウザ、ネットスケープ(商標)のナビゲーターブラウザ、モジラ(商標)のファイヤーフォックスブラウザ、パームソース(商標)のウェブブラウザ、または何らかの他のブラウザ、またはネットワーク160と通信できるアプリケーションソフトウエアが含まれる。代替として、または追加として、クライアント110には、ブラウザの外部に実装される、地図サーバーシステム150上のデータにアクセスできる専用の地図作成または地理的アプリケーション等の、アプリケーションを含めることができる。地図サーバーシステム150との対話は、ローカルに実装されるプラグインまたは他の実行可能なアーキテクチャを通じて行うことができる。
【0028】
GIS 170は、従来技術により構成することができるが、本発明の原理により構成されるエンティティ格付けモジュール120Aをさらに含める。GIS 170は、様々なソース180からデータを受け取り、エンティティ格付けモジュール120Aは、格付けされるエンティティのデータをそれにより決定することができる。地理空間的エンティティと、地理空間的エンティティを格付けできる格付けデータはともにデータ内に表されている。これらの種類のデータは、構造化形式および非構造化形式でGIS 170に提供することができる。例えば、都市の名前および地勢の形式のエンティティデータを構造化形式で提供することができ、一方、コミュニティのコメントまたは格付けの形式の格付けデータを、例えば、非構造化形式で提供することができる。あるいは、エンティティデータおよび格付けデータを、例えば、都市およびその人口を特定する同一の構造化ソースから提供するか、またはエンティティが定義され、格付けに使用できるデータが提供される、コミュニティの掲示板のような非構造化ソースから提供することができる。
【0029】
地図システム100のエンティティ格付け能力は、一つ以上のエンティティ格付けモジュール120により提供される。エンティティ格付けモジュール120は、地理空間的エンティティを格付けすることができるエンティティデータおよび格付けデータを収集する。このデータは、GIS 170、外部ソース180、およびクライアント110を含む各種ソースから提供される。これらのソースについては、図2を参照してさらに詳細に説明する。モジュール120は、エンティティ毎に得点または格付けを決定するために、格付けデータを用いて地理空間的エンティティを評価する。一実施の形態では、モジュール120は、また、エンティティを地図の位置マークと関係付け、例えば、特定の位置マークの密度または地図を見る視点高度に基づいて位置マークのグループ化つまりレイヤを生成する。得られたエンティティおよびエンティティレイヤを、クライアント110、またはその他の場所の、格付けエンティティデータベース140に格納することができる。これら能力のそれぞれについては、図2を参照してさらに詳細に説明する。
【0030】
サーバ120Aおよびクライアント側エンティティ格付けモジュール120B〜120Cを含むシステムでは、クライアント側モジュール120B〜120Cは、クライアント110のために地図を生成する際に用いるための相補的格付けを提供することができる。そのような実施の形態では、サーバ側エンティティ格付けモジュール120Aは、一セットの一般的な格付けデータにより格付けが決定される一般的な位置マークを提供し、一方、クライアント側エンティティ格付けモジュール120B〜120Cは、ユーザ、その行動様式、またはその嗜好についての個人的なデータを用いて格付けされている個人的な位置マークを提供する。
【0031】
ネットワーク160は、任意の種類の通信ネットワーク、例えば、ローカルエリアネットワーク(例えば、イントラネット)、広域エリアネットワーク(例えば、インターネット)、またはその組み合わせ等とすることができる。代替として、ネットワーク160は、クライアント110と地図サーバーシステム150との間の直接接続とすることができる。一般に、クライアント110、ネットワーク160、および/または地図サーバーシステム150は、多様な通信プロトコルを用いて、任意の形式の有線または無線接続を介して通信状態とすることができる。
【0032】
地図サーバーシステム150は、従来技術またはカスタム技術により実装することができる。多数の周知のサーバーアーキテクチャおよび機能を用いて、GISサーバーシステムを実装することができる。さらに、地図サーバーシステム150は、負荷バランス方式の下で動作する一台以上のサーバを含むことができ、それぞれのサーバ(またはサーバの組み合わせ)は、ネットワーク160を経由してクライアント110に応答し、それと相互作用するよう構成される。特定の一実施の形態では、サーバーシステム150は、本明細書に組み込まれる、2002年10月10日出願の米国特許出願第10/270,272号、発明の名称「地理空間的体系化フラットファイルデータ用サーバー」に記載されているように実装する。
【0033】
一般に、クライアントコンピュータ110のユーザが検索クエリーを入力すると(例えば、ブラウザおよびクライアント側エージェントを経由して)、クライアント110がリクエストにして、ネットワーク160を経由して地図サーバーシステム150に送信する。次いで、サーバーシステム160は、検索クエリーが何を求めているかを決定し、リクエストしているクライアントがユーザにデータを提示するために使用できるフォーマットで、ジオコーダ、ルーティングエンジン、およびローカル検索インデックス等の各種のサブシステムからの適切なデータにより応答する(例えば、ブラウザまたは他のアプリケーションを経由して)。
【0034】
サーバーシステム150と合わせて用いられるGIS 170および格付けエンティティデータベース140は、インターネットまたは他のネットワーク160を通じて地図およびGISデータを提供する地図システム100を提供する。地図システム100により、ユーザは地理情報(例えば、世界中の、または特定領域の情報)を視覚化し、選択し、および探索することができる。エンティティ格付けモジュール120Aは、それぞれの地理空間特徴(または地理空間の特徴のsubdsdscset)と関係付けられる各種属性に基づく地図データ項目が利用可能な格付けを決めるよう構成することができる。これら属性は、地理空間の特徴の非本質的属性でも本質的属性でもよく、特徴のメタ属性を表すか、および/またはユーザの個人的行動様式を反映してもよい。これら属性により格付けされたエンティティに基づいて、対話式GIS内の視覚的検索領域内に、ユーザに最も興味がありそうな地理空間的エンティティが示される。
エンティティ格付けモジュール
【0035】
図2は、本発明の一実施の形態による、クライアントコンピュータまたはサーバ側GISに実装することができるエンティティ格付けモジュール120の高位ブロック図である。エンティティ格付けモジュール120は、インターフェース250を通じて地理空間的エンティティについてのデータを各種のソースから受信または収集する。そのデータは、地理空間的エンティティを特定し、定義するエンティティデータ210と、地理空間的エンティティを評価することができる格付けデータ220の両方を含む。エンティティデータ210は、位置マークレベルのデータを含むことができる。格付けエンジン230は、一つ以上の格付けアルゴリズムまたは格付けメカニズムを格付けデータ220に適用して、エンティティデータ210内で定義される地理空間的エンティティに対する得点を決定する。得られた格付けエンティティデータを、インターフェース250を通じてマッピングアプリケーションのようなリクエストしているアプリケーションに提供することができる。または、格付けされたエンティティデータを、位置マークレイヤ生成器240が位置マークレイヤ内に形成することができる。どの形式にしろ、格付けされたエンティティデータは格納され、地図サーバーシステムまたは他のアプリケーションに提供される。エンティティ格付けモジュール120は、メモリ260を含み、クライアントからのデータを含む収集データを格納できる。
【0036】
エンティティ格付けモジュール120は、幾つものソースからエンティティに関するエンティティデータ210および格付けデータ220を受信できる。データには、衛星データ、航空写真、街路レベル写真、デジタル地図データ、表データ(例えば、デジタル版イエローおよびホワイトページ)、および目標のデータベースデータ(例えば、夕食、レストラン、博物館、および/または学校のデータベース;地震活動のデータベース;国立モニュメントのデータベース等)を含めることができる。データには、政府の国勢調査および人口データ、建築計画データ、地理空間的エンティティと関係付けられる社会経済属性、例えば、郵便番号または町、および代替名称のデータ等、を含む人口統計データを含めることもできる。特定の一実施の形態では、データは、サードパーティのプロバイダが収集した独自のコンテンツを含み、そのコンテンツから導かれる位置マークには、特別に支払をしているか、契約しているユーザだけがアクセスできる
【0037】
これらソースは、地理空間的エンティティに関する構造化データを含むが、地理空間的エンティティ210の定義と、地理空間的エンティティの属性に関する情報の形式の格付けデータ220とは、非構造化形式で提供することもできる。このようなデータは、インターネット上のウェブサイトから取り込むか、および/またはGoogle Earth Community;オンライン掲示板;または地理空間的エンティティを公衆、個人、または半公衆の設定であるユーザが定義し、記述する他の仮想空間;等のコミュニティのフォーラムを含む各種のソースから選び出すか、または提供する。Google Earth Communityの場合には、例えば、エンティティが、ユーザにより投稿され、次いで、エンティティの記述が後続の投稿に提供されるか、または最初の投稿に応える。エンティティ格付けモジュール120は、一台以上のクライアント110から、それぞれのユーザまたはクライアント装置110に特定のデータを受信することもできる。より詳細に後述するように、このデータを用いて格付けおよび/またはユーザの体験をカスタム化することができる。
【0038】
例示の地理空間的エンティティは、都市名および場所、ユーザ定義エンティティ、商業エンティティ、ウェブ検索で見つかる地理空間項目、または地理的関係を有する何らかの項目(例えば、物理的なもの、イベント、または特色)を含む。従って、地理空間的エンティティは、物理的場所(地球または月面上の一セットの地理座標等)および記述と関係付けられる幾何学から構成される。1812年の戦争のような、性質が非地理的である地理空間的エンティティの場合は、この幾何学は、イベントと関係付けられる場所と対応させることができる。従って、エンティティは、単一または多数の物理的場所および記述と対応させることができる。例えば、Google Earthの地理空間的エンティティは、一つずつのオブジェクト(物体)、またはそれぞれのオブジェクトを別のフォルダまたはエンティティとすることができる階層的なオブジェクトフォルダ、とすることができる。従って、幾つかのエンティティは、一つの地理空間的オブジェクトを表すが、他のエンティティは、多くの地理空間的オブジェクトを集合的に表すフォルダをもつことができる。次に、単一エンティティは一つ以上の位置マークと対応させることができる。例えば、「オークランドガスステーション」のようなエンティティは、幾つかの異なる物理的場所を含むことができ、それぞれは、別々の位置マークにより表される。
【0039】
格付けデータ220は、格付けエンジン230が評価してエンティティの格付けを決定するエンティティの属性を記述する。実施の形態では、属性は、特定ユーザに対するエンティティの興味度を定義する。その興味度を用いて、対話式地理空間情報システム(Google Earth等)内のユーザの視覚的検索領域内で様々な地理空間的エンティティを格付けすることができ、クライアント側エンティティ表示の優先順位付けが可能になる。順に説明するように、地理空間的エンティティの「興味度」は、それ以外に、そのエンティティと関係付けられる様々な形式の非本質的データの判定を計測することにより判定することができる。このような一実施の形態では、対応する重み付けにより計量されるこの計測は、エンティティの得点または格付けを増減させる(例えば、加算または乗算による)ボーナスを形成する。こうして、高い格付けエンティティの方が、低い格付け(興味が少ない)のエンティティの表示より優先権を与えられる。通常行われるように、GISシステムの本質的データを考慮することもできる(例えば、ズームレベル)。
【0040】
別の実施の形態では、格付けデータ220は、特定位置マークのユーザ興味対象の各種指示を含む。例えば、ブラウザまたはアプリケーションレベルでユーザがこれまでにセーブするか、または注釈を付けた位置マークは、ユーザが大きな興味をもったと考えられる。ユーザの検索用語、またはウェブページのアクセスまたは使用のパターンを、特定の地理空間的エンティティと関連付け、クライアントまたはサーバ上で格付けモジュール120がそれを用いて、ユーザのために位置マークを選択することもできる。さらに、ユーザが自分で使用するために定義している位置マークは、個人的に高い興味があると仮定することができる。そのような一実施の形態では、例えば、ユーザの自宅、職場、託児所、またはお気に入りの遊び場のような、興味対象点またはユーザに個人的に関連する場所を含む地理空間的エンティティは、GISが計算した相対的格付けとは無関係に、これら要素の近傍のどれかの地図上で識別されマーキングされる。ユーザ興味対象のこれらの指示または他の指示は、ユーザの行動様式から計測してもよく、またはユーザが同意した上で提供するエンティティに関する嗜好または指示の形式、例えば、地図サーバーシステムが提供する地図内に特定エンティティまたはエンティティグループを含めるか、含めないかを指示する形式、でもよい。格付け割り増しを、ユーザの興味または嗜好に基づいて地理空間的エンティティに割り当ててもよい。クライアントで収集されたユーザデータは、エンティティ格付けモジュールのメモリ260に格納し、格付けエンジン230がそれを使用して、ユーザに対して個人的エンティティ格付けを生成してもよい。
【0041】
格付けエンジン230は、格付けデータ220に含まれるエンティティ属性の記述に基づいてエンティティを格付けするモジュールを備える。提供されるデータの種類に応じて、格付けエンジン230は、詳細に後述するように、各種のメカニズムを用いて、地理空間的エンティティを評価することができる。
【0042】
格付けエンジン230が格付けするエンティティは、位置マークレイヤ生成器240がレイヤに体系化する。これは例えば、所与の視点高度または密度と関係付けられる詳細レベルおよび閾値を決定することにより、達成することができる。例えば、ユーザークエリーが所与の閾値より多い幾つかのエンティティを関与させる場合、特定閾値を越える配置格付けを有するこれらエンティティだけが提供される。例えば、現在の地図ビューで表示できるエンティティ合計数の所与の閾値が50で、配置格付け閾値が80であると仮定する。ユーザークエリーが100を越える地理空間的エンティティを関与させ、35エンティティが80を越える配置格付けを有する場合、サーバーシステムは、リクエストしているクライアントに表示するために、35エンティティを、次に高位に格付けされた15のエンティティとともに提供する。代替として、生成され関与する地理空間的エンティティ全てを、クライアント側エンティティ格付けモジュール120に提供し、次いで、そのモジュールがこれらエンティティの内のどれを表示するかを決定する(サーバ側機能と類似の方法で)。あるいは、サーバ側とクライアント側の両方を実行することができ、その場合は、サーバーシステムが一セットの格付けされたエンティティを提供し、クライアントが、提供されたセットのサブセットを表示する。位置マークは、視点高度または密度以外の基準に基づいて、概念的、空間的、時間的、または他のグループ化を含むレイヤに再分割することができる。特定の一実施の形態では、位置マークレイヤ生成器は、様々な位置マークにスタイルを施し、位置マークレイヤとともにそれを格納する。
格付けメカニズム
【0043】
本発明の一実施の形態は、他のエンティティと比較すると、都市名および場所、ユーザ定義エンティティ、商業エンティティ、またはウェブ検索で見つかる地理空間項目のような、地理空間的エンティティの相対的格付けを計算するための方法である。これらの相対的格付けは、格付けエンジン230が決定し、GIS内でそれを使用して(例えば、図1のクライアント側エンティティ格付けを参照して説明したように)、表示のために全てを選択できない時にエンティティに表示順位を付け、例えば、最高位または最低位に格付けしたエンティティの内の幾つか、または選択されたエンティティの範囲を示す。
【0044】
実施の形態では、配置格付けと称することができるこの格付けは、地理空間的エンティティに関する各種の非地図製作的なメタ属性の重み付け寄与に基づいて計算される。人口のような物理的平面の特性を直接計測するのではなく、これら属性は、地理空間的エンティティと関係付けられる抽象概念つまり表象の特徴を反映している。実施例には、エンティティの記述の属性(例えば、エンティティ記述詳細の量または記述閲覧回数)、エンティティ定義の属性(例えば、エンティティ定義のコンテクストまたはダウンロード、または公衆フォーラムにおけるエンティティ創出に関する属性)、地理空間的エンティティの人気指数(閲覧回数、ダウンロード回数またはエンティティ上もしくはエンティティと関係付けられる位置マーク上のクリック回数、またはエンティティに割り当てられる格付けもしくは得点に基づく属性等)、またはエンティティと、エンティティが所属するカテゴリのようなコンテクストとの関連性が含まれる。これらカテゴリそれぞれに適合する属性について以下に詳細に説明する。
・ エンティティ記述詳細の量: 文字が多いほど情報が多いという仮定に基づいて、長い記述には短い記述より得点が多く与えられる。本明細書で説明する格付けシステムの一実施の形態では、このボーナス(得点が増す)は、選ばれているアルファベット符号化においてその文字を表すのに必要なバイト数とは無関係に、記述テキスト内の文字数に基づく(例えば、それにより、符号化に多くのデータを要する言語を正規化する)。記述長さが、選択可能な閾値に満たない場合、「空」または「署名のみ」のテキストの重み付けを減じる手段として、詳細ペナルティを課すことができる。
・ 特定の著者またはソースが創出するエンティティの数: 多くのエンティティを提供するソースは、少ないエンティティを創出しているソースよりずっと信頼できると推測される。格付けボーナスは、努力および経験に報いて、規模の大きなデータベースおよび商業的ベンダーからのエンティティはもとより、ユーザが創出したエンティティ(ユーザ定義の場所またはオブジェクト)にも加えられる。
・ 公衆が投函した地理空間的エンティティのコンテクスト: 幾つかの地理空間的エンティティは公衆のフォーラム(Google Earth Community等)で発信され、その発信元を通じてそのフォーラム(例えば、ローマの社会生活)のコンテクストと関係付けられる。ユーザ検索のコンテクストも既知なので、本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態は、ユーザと共通または類似のコンテクストを有するフォーラムで投稿されたエンティティに格付けボーナスを与える。
・ 公衆投稿の地理空間的エンティティへの回答数: 幾つかの地理空間的エンティティは公衆のフォーラム(Google Earth Community等)で発信されるが、このコンテクストでは、そのようなエンティティについて対話している可能姓があり、その場合、フォーラムへの何らかの投稿がエンティティの明細となり、後続の投稿が、議論または追加情報によりそのエンティティ明細の投稿への回答となる。これらの場合、エンティティは、回答数に基づく格付けボーナスにより信用が与えられる。回答は、自動的に、または関連しない回答の計数を避けるために(例えば、話題から外れる、批判等)進行係が手動で選択的に計数することができる。
・ 公衆投稿の地理空間的エンティティの閲覧数: 幾つかの地理空間的エンティティは公衆のフォーラム(Google Earth Community等)で発信されるが、このコンテクストでは、これらフォーラムのリーダーは、他の人より頻繁に幾つかのそのような投稿を閲覧する可能性がある。閲覧(または繰り返し閲覧、もしくはブックマーキング等の類似する動作)の頻度は、その項目への興味を反映するので、本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態は、エンティティが記載されているウェブページへの閲覧回数に基づいてエンティティに格付けボーナスを与える。時間的に見ると、エンティティビューは、自然災害と関係付けられるエンティティに伴ってその時だけ広く知られる場合のように、時間全体でみて一様には発生していない。そのような場合、例えば、短い間隔における900回の閲覧に、より長い間隔全体にわたる100回の閲覧が続く場合を考えるのではなく、より大きな興味を指示するように、サンプル間隔全体にわたって1000回に広く拡がっている閲覧を考える方が好ましい。興味のレベルのこの変動を反映させるために、本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態により、オプション的に閲覧回数を時系列として考えて、統計的計測を適用して興味の分布を解析するることができる。そのような一実施の形態では、エンティティ格付けボーナスは、平坦でない場合より平坦な分布に対する方が大きくなるが、このボーナスに対する重み付けとして負の値を選択すると、最も興味があると考えられる分布クラスが事実上逆になる。
・ 公衆が投稿する地理空間的エンティティのダウンロード回数: 幾つかの地理空間的エンティティは公衆のフォーラム(Google Earth Community等)で発信されるが、このコンテクストでは、これらフォーラムのリーダーは、他の人より頻繁に幾つかのそのような投稿からエンティティデータをダウンロードする可能性がある。ダウンロード(例えば、ユーザがエンティティにクリックスルーする)の頻度は、その項目への深い興味を反映するので、本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態は、エンティティがダウンロードされる回数に基づいてエンティティに格付けボーナスを与える。時間的に見ると、エンティティのダウンロードは、自然災害と関係付けられるエンティティに伴ってその時だけ広く知られる場合のように、時間全体でみて一様には発生していない。そのような場合、例えば、短い間隔における900回のダウンロードに、より長い間隔全体にわたる100回のダウンロードが続く場合を考えるのではなく、より大きな興味を指示するように、サンプル間隔全体にわたって1000回に広く拡がっているダウンロードを考える方が好ましい。興味のレベルのこの変動を反映させるために、本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態により、オプション的にダウンロード回数を時系列として考えて、統計的計測を適用して興味の分布を解析することができる。そのような一実施の形態では、エンティティ格付けボーナスは、平坦でない場合より平坦な分布に対する方が大きくなるが、但し、このボーナスに対する重み付けとして負の値を選択すると、最も興味があると考えられる分布クラスが事実上逆になる。
・ 公衆により投稿された地理空間的エンティティの著者のコミュニティ的名声: 幾つかの地理空間的エンティティは公衆のフォーラム(Google Earth Community等)で発信されるが、このコンテクストでは、エンティティ毎に特定される著者が存在する。これらのフォーラムでは、著者は、投稿数、これらフォーラムの読者が認めるような投稿の質、著者の名声の共通知識、メンバーシップレベル(例えば、進行係、メンバー、契約メンバー、訪問者等)、および類似する要素に基づくコミュニティの名声または地位を有する。本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態は、そのようなオンラインコミュニティ内の著者の名声に基づいてエンティティに格付けボーナスを与える。
・ 多数エンティティの集合内に含まれるエンティティの数: 例えば、Google Earth内の地理空間的エンティティは、一つずつのオブジェクト、またはそれぞれのオブジェクトを別のフォルダまたはエンティティとすることができる階層的なオブジェクトフォルダ、とすることができる。このために、幾つかのエンティティは、一つの地理空間的オブジェクトを表すが、他のエンティティは、多くの地理空間的オブジェクトを集合的に表すフォルダをもつことができる。本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態は、集合した収集体の方が多くの情報を含むので、集合収集体に格付けボーナスを与える。ボーナスは、例えば、エンティティ内の配置の合計数に基づくことができる(例えば、5配置の場合ボーナス=5;10配置の場合ボーナス=7;15配置の場合ボーナス=10;20配置以上の場合ボーナス=15)。本明細書で説明する格付けシステムの更なる実施の形態は、多数エンティティの集合体が、少ない内部フォルダではなく多くの内部フォルダを有する場合、その多数エンティティの集合体に、より大きな格付けボーナスを割り当てる。これは、フォルダによる詳細区分を有するエンティティは、他の局面でも、より詳細である可能性が高い、という認識を反映している。実践では、このボーナスは、フォルダ数に比例するか、区分化方法のいずれかで(例えば、5フォルダの場合ボーナス=5;10フォルダの場合ボーナス=7;15フォルダの場合ボーナス=10;20フォルダ以上の場合ボーナス=15)、多数エンティティの集合体内に含まれるフォルダ数に基づいて計算される。
・ エンティティ定義の相対的年令: 幾つかの地理空間的エンティティは公衆のフォーラム(Google Earth Community等)で発信されるが、このコンテクストでは、エンティティ毎に特定の作成日がある。二つ以上のエンティティの場所が類似している場合、関連情報が記述されている可能性がある。その場合のさらに詳細な格付け採点法を確立するために、本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態は、以前に記述された場所を改訂するのではなく、新情報を定義するエンティティをユーザに創出させる奨励策として、古い方の投稿に格付けボーナスを与える。別の実施の形態では、新しいデータの方が、新鮮で、現在の状況に近い情報を反映するので、より高い格付けを受け取る。
・ エンティティの階層的重要性: 幾つかの地理空間的エンティティは公衆のフォーラム(Google Earth Community等)で発信されるが、このコンテクストでは、エンティティを定義する投稿には親子関係の可能性がある。「カンサスの大学」のような親の投稿は、カンサス州内にある各大学を定義する地理空間的エンティティを提供する幾つかの子の投稿(回答として知られる)を伴うことがある。カンサス大学システムの主管理事務所の場所を記述していると思われる親の投稿は、何千人もの個人が参加する学校を識別する子の得点より、個々の得点が低くなる。その場合、親の投稿に注目させるには、本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態は、それぞれの投稿に、全ての回答の合計得点に等しい格付けボーナスを割り当てる。このように、格付けは、地理空間的エンティティと、地理空間的エンティティの階層にある場所との関連性に基づく。これにより、最初の親の投稿の得点が、部分の合計を越えるかまたは等しなることが保証される。他の集合機能を用いることもできる。
・ エンティティカテゴリまたはエンティティカテゴリのソースの相対的重要性: 幾つかの地理空間的エンティティは公衆のフォーラム(Google Earth Community等)で発信されるが、このコンテクストでは、「フォーラム」として知られる区分があり、その一区分に、エンティティを定義する投稿が置かれる。フォーラムは話題性があるのが普通であり、例えば、「現在のイベント」、「歴史」、および「教育」が含まれる。これらフォーラムの重要性は必ずしも一様であるとは限らない。例えば、「現在のイベント」エンティティは、時間とは無関係な「歴史」エンティティより時間全体にわたって重要性が低い。この状況は、エンティティのそれぞれのソース、またはエンティティのカテゴリ、例えば、Google Earth Community(または他の対話式GIS)のフォーラム毎に、商業的エンティティデータのベンダーが重要性を割り当て、ウェブ検索による発見(例えば、重要性が低い)または公式な政府関係のソース(例えば、重要性が高い)のようなエンティティデータの他のソースにも同様に重要性を割り当てることにより、本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態で取得される。この相対的なソースの重要性係数は、エンティティについて計算した得点全体を拡大縮小する(例えば、乗算する)。
・ 外部格付けされたエンティティの重要性: 幾つかの地理空間的エンティティは公衆のフォーラム(Google Earth Community等)で発信されるが、このコンテクストでは、そのエンティティと関係付けられる得点または格付けが存在する。例えば、Google Earth Community Forumsでは、それぞれの格付けされた投稿は、1つ「星」から5つ「星」を有し、5つ星は、十分尊重すべきエンティティまたは関連性が高いエンティティを示し、一つ星は、貧弱なまたはさほど尊重するほどでないエンティティと対応する。これら外部格付けを決定するために用いる尺度が、多数のエンティティソース全体で必ずしも一様とは限らないので、例えば、Google Earthフォーラムからのエンティティは、1〜5つ星の範囲の元の得点を有するかもしれず、一方、レストラン評価ウェブサイトで見付かった地理空間的エンティティは、0〜4本の「フォーク」で格付けされているかもしれない。さらに「星」や「フォーク」のような原点および範囲に直接互換性がない尺度だけでなく、これら尺度のソースは、信頼性の程度が変化することがある。例えば、あるソースは、匿名の寄稿および格付けの公衆ウェブサイトであるかもしれず、他のソースは、引用した評価を報告するプロが作成したレストランガイドまたはツーリストガイドであるかもしれない。これらの理由から、本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態が、そのようなデータを組み込む本方法は、初期の縮尺(A)およびオフセット(B)の変換(例えば、新規=A*旧+B)を前置してから、後続の重み付けプロセス(例えば、属性得点=重み付け*[新規])が行われる。例えば、星基準の格付け方式が1〜5(すなわち、満足度0%〜100%)で、フォーク基準の方式が0〜4(すなわち、満足度0%〜100%)の場合、異なる値(1対0)で格付けが開始されるので、乗算によるだけでは比較または処理できない。多様性のある格付けシステムのこのような場合を扱うための一技法は、エンティティソースの元の範囲(低〜高)を取得することであり、次のように計算する:再縮尺=(元の値−低)/(高−低)。これは全ての範囲を、低い方の0から高い方の1までにマッピングする。次いで、結果(再縮尺)に重み付け係数(例えば、100)を乗算し、元の格付けが1〜5星または0〜4フォークを移動したとき、エンティティが0〜100点の格付けボーナスを得る。低および高の値は、エンティティソース(フォーク、星等)毎に一定である。代数を用いて、再縮尺の式を次のように並べ直すことができる::再縮尺=[1/(高−低)]*元の値+[低/(低−高)]、またはA=1/(高−低)およびB=低/(低−高)。次いで、再縮尺=A*元の値+Bと続く。次いで、エンティティ得点は、(この属性の重み付け)*再縮尺だけ増加させることができる(そのソースから得られるエンティティ毎に)。このような実施の形態の一拡張は、本明細書で説明する配置格付けプロセスによりエンティティについて計算した配置格付けを用いて、エンティティを元々配置したソース、例えば、Google Earth Community Forumsまたは他のGISフォーラムのことがあるソース、で提供される外部格付けを更新する。
・ 定義された近隣におけるエンティティの空間密度: 多数のエンティティが比較的小さな地理的領域に集まっている場合、これは、エンティティの著者が高い興味をもった地理的領域を指示していることを意味している。このことから仮定できることは、近隣エンティティの密度が高いエンティティの方が、そうでない場合より大きな値を有するということである。これは本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態に、エンティティの場所を含む定義領域(例えば、エンティティの場所を中心とする円またはボックス)内の他のエンティティの数に基づいて格付けボーナスを追加するか、または提供することにより実装される。注意すべきは、この尺度は、地理空間的な考え方ではあるが、エンティティ本来の属性ではなく、どちらかというと他のエンティティと関連するそのエンティティの所見であるということである。
・ 表示されるエンティティのクリックスルー率: エンティティがGoogle Earthのような対話式GISで表示されている場合、ユーザが、マウス操作によりその上をクリックする等の様々な手段を通じて、そのエンティティに選択またはハイライトのような操作を実行することにより;ルーティングの起点、宛先、または経由地としてそのエンティティを使用することにより;または情報の検索に応答するようそのエンティティを見付けることにより(例えば、エンティティの記述がワード「ピザ」を含み、対話システムのユーザがキーワード「ピザ」、「イタリアン」、または「食べ物」による検索を実行するときのように)、エンティティをさらに調査するインスタンスの数を追跡することが可能である。そのようなイベントの表作成は、システムのユーザが理解できるような、そのエンティティの重要性を表す直接尺度を生み出す。このデータを収集すると(例えば、オプションのクライアントエンティティ格付けモジュールで、および/またはサーバ側エンティティ格付けモジュールで)、エンティティに対する興味度を定義する属性としてそれを用いることができる。本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態は、他のエンティティに対する平均値と比較したユーザーイベント受信数に基づいて、格付けボーナスをエンティティに割り当てることにより、この測定した活動レベルを有効に利用する。この計測値(例えば、対応する重み付けにより縮尺される)は、エンティティの得点を増加するよう追加されるボーナスを形成する。
・ エンティティカテゴリの使用可能性率: エンティティがGoogle Earthのような対話式GISで表示されると、エンティティは、先に説明したように、レイヤの形式で表されることが多い。これらレイヤは、個々におよび全体で選択可能である。各レイヤの使用可能性は、複数の投票システムの投票として見ることができ、その投票の集合体を用いて、様々なエンティティデータレイヤに対してユーザが持つ相対的な嗜好を決定することができる。このデータを収集すると(例えば、オプションのクライアントエンティティ格付けモジュールで、および/またはサーバ側エンティティ格付けモジュールで)、エンティティの収集に対する相対的な興味度を定義する属性としてそれを用いることができる。例えば、「バーおよびナイトクラブ」のレイヤは、州の「内国歳入局(IRS)」のレイヤよりずっと多く使用される可能性がある。本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態は、平均値と比較した、観察されたレイヤ選択行動の回数に基づいて、エンティティのクラスまたはエンティティのソースに対して相対的重み付けを割り当てることにより、この測定した活動レベルを有効に利用する。この計測を用いて、先に説明したようにエンティティカテゴリの相対的な重要性を設定することができ、またはユーザの嗜好の経験的観察に基づく追加の量によりこれらの静的な優先度を拡大縮小することができる。
・ エンティティと関係付けられるウェブページまたは文書の推定された重要性: エンティティがウェブページまたは他の電子文書からリンクされている場合、そのページまたは文書の推定された重要性を用いて、リンクされた地理空間的エンティティの評価された重要性を推論することが可能である。オンライン文書の相対的重要性の一推定は、米国特許第6,285,999号、発明の名称「リンクされたデータベースにおけるノード格付けの方法」、および/または米国特許第6,799,176号、発明の名称「リンクされたデータベースにおける文書に点数を付ける方法」、および/または米国特許出願第20050071741号、発明の名称「歴史的データに基づく情報検索」に記載されているようなページ格付けであり、それぞれを引用して本明細書に組み込む。本明細書で説明する格付けシステムの実施の形態は、そのようなページ格付け得点を、検索結果で識別されるオンライン文書により参照される、地理空間的エンティティに対する近似得点として用いる。例えば、「カンサス大学」に対するグーグル検索は、1,560,000の結果を返し、‘999特許に記載のページ格付けメカニズムにより順序が付けられて、クエリーへの最初の応答として最も関連が高いと考えられる10個の結果を表示する。これらの最初の10個の結果は、最高のページ格付け得点を有するものばかりである。本発明の実施の形態は、これらの文書が参照する地理空間的エンティティに対する重要性ボーナスとして、対応する重み付け係数により拡大縮小される、一つ以上の検索結果文書ページ格付け得点を用いる。例えば、上位ページ格付け得点、または上位10ページの格付け得点の平均値、または何らかの他の機能または選択を用いることができる。
【0045】
上記にリストアップされた一つ以上の属性を評価して、その結果に縮尺係数により個々に重み付けしてから、合計してエンティティに対する全体得点を生成する。その計算は、図2に示す格付けエンジンが実行できる。実施の形態では、地理空間的エンティティについてメタ属性データと、エンティティ自体の属性を反映させるデータをともに用いて合計得点を決定する。例えば、実施の形態では、ビジネスの規模およびビジネスに関する投稿への回答数は、どちらも格付けエンジン230が重み付けする係数である。エンティティの増加しない得点順(降順)が格付けを定義する。重み付け係数は、得られた格付けに基づいて変更して、各属性の相対的優位性を調整することができる(例えば、自動的に、またはシステム管理者もしくは個人ユーザが所望するように)。一実施の形態では、最終ユーザは、それぞれの種類の属性に適用すべき重み付けを割り当てることができる。重み付けのどれかをゼロに設定して(または相対的重要性の場合は1)、ある属性を考慮しないようにするか、または幾つかの属性を均等に無視することができる。特定の属性に対して重み付け係数を負にして、エンティティに報いるのではなく、等級を下げることができる。個々の属性に縮尺係数を適用することにより、様々な属性を評価でき、合計得点をその属性に基づいて計算することができる。
【0046】
多くのアルゴリズムを用いて、本発明の実施の形態による配置格付けを決定することができる。例えば、実施の形態では、SCORE=NumberOfPostCharacters + a * NumberOfDescriptionCharacters) + b * NumberOfReplies + c * NumberOfViews + d * NumberOfDownloads + StatureWithinCommunity、ここでa、b、c、およびdは、各属性に割り当てられる値に基づいて調整できる変数を表す。StatureWithinCommunity(コミュニティ内名声)は、記述の投稿者を反映し、実施の形態では、評判、投稿の行動様式、および他のユーザによる格付けまたは支持を含む幾つかの基準のどれかに基づく投稿者の名声に依存する200〜500の範囲とすることができる。NumberOfPostCharactersは投稿文字数、NumberOfDescriptionCharactersは記述文字数、NumberOfRepliesは回答数、NumberOfViewsは閲覧回数、NumberOfDownloadsはダウンロード回数である。
【0047】
本明細書で説明する格付けシステムの一実施の形態は、個々の属性計測値を一般的な線形結合により一つにまとめる。線形結合を主対角線に沿うサブセットとする洗練されたまとめ方にするために、M×Mの重み付けマトリックスを使用するが、ここで次元Mは属性数と一致し、マトリックス簡素化法を用いて、属性の全外積を求めるために重み付けを規定できるようにする。例えば、そのような技法により、結合される成分としての「記述の長さ」および「著者名声」の積を求めるための規定した重み付けが可能になる。本明細書で説明する二つの式構造は、本開示に照らして明らかな、各属性の評価における指数化または他の代数形式を含むような多様な属性組合せ法の代表である。
【0048】
このように、地理空間的エンティティについての本質的でないメタデータを、地理空間情報システム内で表示するために選択するような目的で相対的格付けを生み出す採点システムの入力として、用いることができる。そのようなシステムで用いられる他の属性、例えば、エンティティ得点を決定するために用いる要素として本明細書で説明する対話式GISに組み込むことができる、検索用語とエンティティ記述テキストと個々のユーザまたは集合体としてのユーザの検索嗜好履歴との間の一致度のような、属性が存在する。さらに、先に説明したように、本格付け法は、表示のための選択以外の目的で用いることができる。
【0049】
図3および図4は、本発明の実施の形態による格付けエンティティのデータを生成し、提供するために実行するステップを示すフローチャートである。可能性のある全てのステップを図示しているとは限らない。さらに、幾つかの実施の形態は、本明細書で説明したものに加えて、またはその代わりに異なるステップを実行する。さらに、ステップの順序は、本明細書で説明する順序と異なっていてもよい。
地図の優先順位付き位置マークの生成
【0050】
図3は、本発明の実施の形態による、優先順位を付けたエンティティを生成し、提供するための方法を示す。一つ以上のステップが、図2に示すようなエンティティ格付けモジュールにより実行され、図1に示すようなクライアント側および/またはサーバ側に実装される。さらに、特定ステップは(例えば350)地図用のユーザーリクエストによりトリガーされ、他のステップは、特定検索リクエストのコンテクスト外の「オフライン」で実行することができる。
【0051】
通常の方法に基づくと、エンティティデータは、図1を参照して説明したデータソースのような各種のソースから受信する310。格付けデータはエンティティデータと同一かまたは異なるソースからも受信する320。データ収集は、例えば、データベース構築プロセスの一部として、またはウェブサーフィンおよびインデックスプロセスとして実行できる。そのようなデータは、ベンダーまたはサードパーティのソースから送り込まれることもある。データの幾つかの部分は、例えば、ユーザの個人的な位置マークについてのデータは、ユーザーリクエストに応えてリアルタイムで更新でき、その他は通常のスケジュールにより受信され、または最新の状態にされる。上記のような様々なメカニズムを格付けデータに適用して、エンティティに対する格付けまたは得点を決定できる330。様々なソースから得られる様々な形式の格付けデータに基づく属性比較得点は、上記技法を用いて計算することができる。エンティティデータは、図1または別の実施の形態に示すようなデータベースに格納でき、格付けエンティティのサブセットは、エンティティ格付けモジュールをホストするクライアントのメモリにキャッシュされ、エンティティ格付けモジュールはそのキャッシュデータに基づいてエンティティ格付けを決定する330。
【0052】
図3に示す例示の方法に基づいて、格付けエンティティデータを用いて、地図上の表示のために位置マークのレイヤを生成する340。実施の形態では、エンティティが位置マークにマッピングされ、スタイルが、エンティティまたは位置マークが含まれるカテゴリに基づいて適用される。地図を見る人に、適切な位置マーク密度で地図を提示するために、位置マークのグループが詳細レベルと関連付けられる。詳細のレベルは、地図を見ている高度、地図の解像度、所与の地図上に図示される他のレイヤ、およびまばらな地図にするか密度の高い地図にするかについてのユーザ嗜好を含む、任意の入力数を反映させることができる。例えば、実施の形態では、位置マーク得点が特定の閾値を越える場合、それは、特定高度で見る地図または特定高度未満で見る地図がその位置マークを含むべきであることを意味するレベル5の格付けを受信する。位置マークは、個々の位置マークが異なる位置マークグループと関係付けられるように、例えば、位置マークが特定都市および観光地の位置マークと関係付けられるように、カテゴリ内で体系化してもよい。これらのカテゴリはそれぞれ、別々の位置マークレイヤが反映される。
【0053】
実施の形態では、時間的に後の時点で、位置マークレイヤまたはレイヤに対するリクエストが受信され345、適切なレイヤがリクエスタに提供される350。先に説明したように、デジタル地図は、ラスター、タイル、またはベクトル型の方法により生成することができる。使用する方法に応じて、位置マークレイヤは、クエリーに応じて地図サーバがリアルタイムでリクエストすることができ、ユーザーリクエストを受信すると、予め格納され、提供するだけの地図成分を創出できる。実施の形態では、位置マークレイヤはユーザ嗜好または選択に応じて提供される350。実施の形態では、一旦提供されると、位置マークレイヤは、クライアントまたはサーバーサイトで他のレイヤと組合わされて地図を形成する。
優先順位付き位置マークのある地図のリクエスト
【0054】
図4は、本発明の実施の形態による優先順位付き位置マークを含む地図をリクエストし、受信するためのステップを示すフローチャートである。図5は、図4に図示するプロセスのステップを用いて公式化されるリクエストに基づいて受信される地図を示す。これらのステップの内の一つ以上は、図1に示すような地図サーバからの地図をリクエストするクライアントで実行することができる。プロセスは、クライアントが、例えば、ブラウザ、Google Earthのような専用アプリケーション、または他のソフトウエアアプリケーション内から地図をリクエストすると410開始される。地図リクエストは、地図を探す地理的領域および地図が表示する高度を識別する。ユーザまたはクライアントのデータおよび嗜好も地図サーバーシステムに提供される420。例えば、実施の形態では、例えばリクエストのIPアドレスに基づいて判定できる、リクエストが発信された国、およびユーザの言語嗜好が地図サーバに提供され、適切な言語の位置マークだけ、および国または文化の特有のスタイルまたはデータソースを反映する位置マークが提供されるようにする。国および言語情報は、リクエストするアプリケーションまたはクライアントのオペレーティングシステムのような別のソースから提供されてもよい420。
【0055】
さらに、ユーザの位置マークの嗜好を地図システムに提供することもできる420。嗜好は、例えば、位置マークのどのカテゴリまたはレイヤを表示するか、幾つの位置マークを含めるか(密度)、および幾つの識別情報を地図上に表示すべきかを反映できる。例えば、図5の地図の場合、ユーザは、グラフィカルユーザーインターフェース520上のチェックボックスを用いて、表示される地図550上にどのレイヤを含めるべきかを選択できる。位置マークの各レイヤは、自身のアイコンまたはスタイル、例えば、食事の位置マークのナイフおよびフォークのアイコン510A、および飲酒設備のカップ510Bと関係付けられる。
【0056】
実施の形態では、地図システムに提供される嗜好420を用いて、ユーザへの位置マークの選択および表示を個人化できる。個人化した位置マーク選択は、様々な方法で達成でき、例えば、エンティティの格付けを採点する属性を基準として、ユーザの行動様式または使用パターンを用いることによりエンティティ格付けを個人化して、またはユーザ入力に基づいて特定の属性に与えられる重み付けを変更して、または、例えば、ユーザが定義しているかまたは自身を指名している位置マークを常に含めることにより、生成した格付け方式を上書きすることにより、達成できる。
【0057】
図4のフローチャートで、リクエスタは、地図サーバーシステムに提供される個人嗜好に応じて各種のデータ形式を受信できる432。しかし、当該分野の技術者には周知のように、異なる地図生成およびカスタム化プロセスを反映する他のステップも可能である。既定の実施の形態では、個人化位置マークはなく430A、クライアントは一般的な位置マークを有する地図を受信し432A、表示450Aする。そのような実施の形態では、エンティティ格付け能力はローカルのクライアントに実装されない。しかし、別の実施の形態では、クライアントは、リクエストした地図が個人化位置マーク430Cだけを含むようリクエストする。そのような実施の形態では、エンティティ格付け能力をクライアントに完全に実装し、図2で説明したモジュールのようなエンティティ格付けモジュールは、中央サーバではなくローカルにホストされる。クライアントは、上に位置マークを何も含めない地図レイヤを含む地図を受信する432A。クライアントで生成され、格納される個人化位置マークが地図に追加され440A、得られた地図が生成されてユーザに表示される。
【0058】
さらに別の実施の形態では、ユーザは、個人的および一般的な位置マークをともに含む地図をリクエストできる430。クライアントは、このリクエストに基づく地図および地図の地理と関係付けられる一般的な位置マークまたはエンティティのグループを受信する432B。一般的な位置マークは、様々な方法の何れかで、ユーザが指定している個人的な位置マークと組み合わされ(例えば、エンティティ定義を書くかまたはお気に入りフォルダに位置マークを入れることにより)、格付けメカニズムは、組み合わされた位置マークのグループに適用される436B。その結果を用いて、個人的および一般的な位置マークをともに含むレイヤを生成し440B、次いで、クライアントに提供される地図と組み合わされて、表示450B用の地図を生成する450B。
【0059】
図5は、ステップ412〜420および430B〜450Bで説明した方法により生成した個人的および一般的な位置マークを含む例示の地図を示す。図5に示すように、Maxの運動場105およびDirk’sコーヒースポット419を含む個人的な位置マークは、地図550上の夕食(例えば、510A)および飲み物の位置マーク(例えば、510B)と併せて描かれる。特別なコミュニティ位置マークアイコン540により区別されるコミュニティ位置マークも提供される。地図550は、位置マークに関するコミュニティメンバー提供のコメントにリンクするテキストボックス形式530の対話式コンテンツも含む。これにより、ユーザは、他のコミュニティメンバーが提供する入力から恩恵を得ることができる。
【0060】
本明細書で説明した特徴および利点は、全てを包括していないし、特に、多くの追加特徴および利点は、図面および説明に照らして当該分野の技術者には明らかであろう。さらに、注意すべきは、本明細書で使用する言語は、基本的に可読性および説明目的で選択されていて、本発明の主題の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態による、エンティティ格付け能力を有するGISシステムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態による、図1に示すエンティティ格付けモジュールのブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態による、優先順位を付けたエンティティを生成し、提供するための方法を示す。
【図4】本発明の実施の形態による、優先順位を付けた位置マークを含む地図をリクエストし、受信するための方法を示す。
【図5】本発明の実施の形態による、優先順位を付けた位置マークを含むGIS地図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の地理空間的エンティティについての情報を具備し、格付けメカニズムにより前記地理空間的エンティティに優先順位付けをするよう構成された地理情報システム(GIS)。
【請求項2】
前記格付けメカニズムは、地理空間的エンティティのメタ属性についてのデータを用いて前記地理空間的エンティティの優先順位を決定する、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記メタ属性は、前記地理空間的エンティティについて利用可能な情報の質、前記地理空間的エンティティの記述の属性、および前記地理空間的エンティティの定義の属性、のうちの一つを含む、請求項2のシステム。
【請求項4】
前記メタ属性は、前記地理空間的エンティティの人気度のインジケータを含む、請求項2のシステム。
【請求項5】
前記メタ属性は、年令属性、名声属性、および重要性属性、のうちの一つを含む、請求項2のシステム。
【請求項6】
前記メタ属性は、地理空間的エンティティの、地理空間的エンティティ階層内のその位置への関連性を含む、請求項2のシステム。
【請求項7】
複数のエンティティ内のあるエンティティは、地理空間的オブジェクトの集合を含み、前記エンティティの優先順位は、地理空間的オブジェクトの前記集合の特徴に応じて決定される、請求項1のシステム。
【請求項8】
複数のエンティティ内のあるエンティティは、オンラインフォーラム内で定義された地理空間的エンティティを含み、前記格付けメカニズムは、前記オンラインフォーラム内で生成されたデータを用いて前記地理空間的エンティティの格付けを決定する、請求項1のシステム。
【請求項9】
前記格付けメカニズムは、インターネット上のウェブサイトから取り込んだ地理空間的エンティティについてのデータを用いて、前記地理空間的エンティティの優先順位を決定する、請求項1のシステム。
【請求項10】
前記格付けメカニズムは、前記地理空間的エンティティの複数のメタ属性からの重み付けデータの組合せから地理空間的エンティティの優先順位を決定する、請求項1のシステム。
【請求項11】
地理空間的エンティティを格付けするためにコンピュータによって実行される方法であって、
地理空間的エンティティデータを受信することと、
前記受信した地理空間的エンティティデータ内に含まれる地理空間的エンティティの属性を評価することと、
前記評価に基づいて前記地理空間的エンティティを格付けすることと、
前記格付けした地理空間的エンティティデータを格納すること、
を具備する方法。
【請求項12】
前記地理空間的エンティティデータは、コミュニティフォーラム内で生成されたデータを含む、請求項11の方法。
【請求項13】
前記地理空間的エンティティデータは、特定ユーザと関係付けられるデータを含み、
前記格付けされた地理空間的エンティティデータを用いて、前記特定ユーザのために地図を生成すること、をさらに具備する請求項11の方法。
【請求項14】
前記地理空間的エンティティの前記格付けに基づく地理的表示のために、前記地理空間的エンティティを選択すること、をさらに具備する請求項11の方法。
【請求項15】
格付けされた地理空間的エンティティ、および格付けされていない地理空間的エンティティを含む地図を生成するよう構成される地図システムに、前記格付けされた地理空間的エンティティデータを提供すること、をさらに具備する請求項11の方法。
【請求項16】
地理空間的エンティティの格付けに基づいてナビゲーション命令に含めるために、前記地理空間的エンティティを選択すること、をさらに具備する請求項11の方法。
【請求項17】
地理空間的エンティティの格付けに基づいて広告用語と関係付けるために、前記地理空間的エンティティを選択することを、をさらに具備する請求項11の方法。
【請求項18】
前記格付けされた地理空間的エンティティデータに基づいて検索結果を生成するためのアプリケーションに、前記格付けされた地理空間的エンティティデータを提供することを、をさらに具備する請求項11の方法。
【請求項19】
評価は、個人化された地理空間的エンティティ格付けを提供するために、ユーザ命令に応じて実行される、請求項11の方法。
【請求項20】
前記ユーザ命令は、前記地理空間的エンティティデータ内で識別される地理空間的エンティティの属性に適用するための重み付けを含む、請求項19の方法。
【請求項21】
地理空間的エンティティを格付けするためのシステムであって、
複数の地理空間的エンティティについての格付けデータを受信するためのインターフェースと、
前記格付けデータに基づく格付けメカニズムにより、地理空間的エンティティに対する配置格付けを生成するためのエンティティ格付けモジュールと、
前記エンティティ格付けモジュールが生成する格付けエンティティデータを格納するためのデータベースと、
を備えるシステム。
【請求項22】
前記インターフェースは、前記格付けエンティティデータをリクエストしているアプリケーションに提供するよう構成される、請求項21のシステム。
【請求項23】
前記エンティティ格付けモジュールは、複数の様々な属性を評価して、地理空間的エンティティに対する合計得点を決定するよう構成される、請求項21のシステム。
【請求項24】
前記エンティティ格付けモジュールは、位置マークレイヤ内に格付けエンティティデータを体系化するよう構成される、請求項21のシステム。
【請求項25】
各位置マークレイヤは、詳細レベル、密度、高度、およびエンティティカテゴリ、の内の少なくとも一つと対応する請求項24のシステム。
【請求項26】
前記リクエストするアプリケーションは、配置格付け基準で選択したエンティティを含む地図を生成するために、前記格付けエンティティデータを用いるよう構成される地図サーバーシステムである、請求項21のシステム。
【請求項27】
前記エンティティ格付けモジュールは、前記地図サーバーシステム上でホストされる、請求項26のシステム。
【請求項28】
クライアント装置上でホストされるエンティティ格付けモジュールであって、前記モジュールは複数の地理空間的エンティティに対する格付けを生成するためのものであり、前記モジュールは、
複数の地理空間的エンティティを定義するエンティティデータ、および前記複数の地理空間的エンティティを記述する格付けデータを受信するためのインターフェースと、
前記地理空間的エンティティに対する格付けを生成するための格付けエンジンであって、前記格付けを用いて、前記クライアント装置上に表示する地図に、前記地理空間的項目の内のどれを含めるかを選択するものと、
を備えるモジュール。
【請求項29】
前記クライアント装置のユーザについてのデータを格納するためのメモリを更に備え、前記格付けエンジンは、前記ユーザについてのデータに応じて格付けメカニズムを適用するよう構成される、請求項28のモジュール。
【請求項30】
前記ユーザーデータは、前記格付けエンジンが評価する属性の相対的重み付けについてのユーザ嗜好を含む、請求項29のモジュール。
【請求項31】
前記ユーザーデータは、ユーザ定義の地理空間的エンティティを含む、請求項29のモジュール。
【請求項32】
前記ユーザーデータは、地理空間的エンティティに対するユーザの興味の指示を含み、前記格付けメカニズムは、前記ユーザの興味に基づいて前記地理空間的エンティティに格付け割増しを割り当てる、請求項29のモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−511991(P2009−511991A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535780(P2008−535780)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/040480
【国際公開番号】WO2007/044975
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(505281067)グーグル インク. (58)
【氏名又は名称原語表記】GOOGLE INC.
【Fターム(参考)】