説明

分散復旧方法、および、ネットワークシステム

【課題】呼制御サーバに故障が発生した場合に、復旧時間を短縮するとともに、移行先の呼制御サーバの処理負荷を低減する。
【解決手段】呼制御サーバ1d〜3dは、当該呼制御サーバに収容されている端末1a〜6aの加入者データ1c〜6cを記憶する記憶手段14と、端末からの通信要求を受け付けて当該端末に対応する加入者データが記憶手段14に存在しない場合には、加入者データサーバ1hから加入者データを取得し、記憶手段14に記憶する取得手段13とを有し、加入者データサーバ1hは、加入者データベース1fと、呼制御サーバからの要求に応じて加入者データ1e〜6eを送信する送信手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障した呼制御サーバに収容されている端末を他の複数の呼制御サーバに分散して収容する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)においては、加入者(端末)を収容する呼制御サーバに故障が発生した際の救済措置として、該当呼制御サーバで制御していた加入者を別の呼制御サーバに移行させることが必要になってくる。この場合、加入者へのサービスが中断しないようにして移行させることが重要である。
【0003】
ある呼制御サーバから新しい呼制御サーバへの加入者の移行をサービスが中断しないように行う技術については、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1では、加入者を、いままで使用していた呼処理装置から新しい呼処理装置に移行させる場合に、いままでの呼処理装置が蓄積していた呼処理に必要となるサービス契約情報等を含む加入者データを新しい呼処理装置に移し変えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-193367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、ある呼処理装置で制御している特定の加入者の移行を前提とした技術であり、故障を起こした呼処理装置で制御されている全加入者を移行させたいケースでは、大量の加入者データを移行先の呼処理装置へ転送する必要があるため、ネットワーク負荷の増加、移行先呼処理装置の負荷の増加などにより、サービスの復旧時間がかかる。また、通常の呼処理への影響(遅延増加)が生じてしまう。
【0006】
また、引用文献1は、特定の呼処理装置で制御する加入者数の増加による処理不足分を、処理に余裕のある他の呼処理装置に移行させることを目的としたものであって、呼処理装置の故障については考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、呼制御サーバに故障が発生した場合に、復旧時間を短縮するとともに、移行先の呼制御サーバの処理負荷を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、ネットワークシステムが行う、故障した呼制御サーバに収容されている端末を他の複数の呼制御サーバに分散して収容する分散復旧方法であって、前記ネットワークシステムは、複数の呼制御サーバと、当該ネットワークシステムの全端末の加入者データを記憶する加入者データサーバとを備え、前記他の複数の呼制御サーバは、当該呼制御サーバに収容されている端末の加入者データを記憶する記憶部を有し、端末からの通信要求を受け付けると、当該端末に対応する加入者データが前記記憶部に存在するか否かを判別する判別ステップと、前記記憶部に存在しない場合に、前記加入者データサーバから当該端末に対応する加入者データを取得し、前記記憶部に記憶する取得ステップと、を行い、前記加入者データサーバは、全端末の加入者データを記憶する加入者データベースを有し、前記他の複数の呼制御サーバからの要求に応じて、前記加入者データベースの加入者データを送信する送信ステップを行う。
【0009】
また、本発明は、故障した呼制御サーバに収容されている端末を他の複数の呼制御サーバに分散して収容するネットワークシステムであって、前記ネットワークシステムは、複数の呼制御サーバと、当該ネットワークシステムの全端末の加入者データを記憶する加入者データサーバとを備え、前記他の複数の呼制御サーバは、当該呼制御サーバに収容されている端末の加入者データを記憶する記憶手段と、端末からの通信要求を受け付けると、当該端末に対応する加入者データが前記記憶手段に存在するか否かを判別し、前記記憶手段に存在しない場合には前記加入者データサーバから当該端末に対応する加入者データを取得し、前記記憶手段に記憶する取得手段と、を有し、前記加入者データサーバは、全端末の加入者データを記憶する加入者データベースと、前記他の複数の呼制御サーバからの要求に応じて、前記加入者データベースの加入者データを送信する送信手段と、を有し、前記加入者データベースは、各呼制御サーバに接続されたエッジルータの単位で、当該エッジルータに収容された端末の加入者データを保持し、前記送信手段は、要求された加入者データの端末を収容するエッジルータに収容された全ての端末の加入者データを、要求元の呼制御サーバに送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、呼制御サーバに故障が発生した場合に、復旧時間を短縮するとともに、移行先の呼制御サーバの処理負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るネットワークシステムの全体構成図である。
【図2】分散切り替え後のネットワークシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る次世代ネットワークなどのネットワークシステムの全体構成図である。本実施形態のネットワークシステムは、複数の端末1a〜6aと、複数のエッジルータ(SSE: Subscriber Service Edge)1b〜6bと、複数の呼制御サーバ(SIP Signaling Control Server )1d〜3dと、加入者データサーバ1hと、ルーチングDB1gとを備える。
【0014】
各端末1a〜6a は、いずれかのエッジルータ1b〜6bにそれぞれ収容され、各エッジルータ1b〜6bは、いずれかの呼制御サーバ1d〜3dにそれぞれ収容されている。
【0015】
各呼制御サーバ1d〜3dは、加入者データ取得部13と、当該呼制御サーバに収容されているエッジルータ1b〜6bが収容している端末1a〜6aの加入者データ1c〜6cを記憶・保持する記憶部14を備える。加入者データ取得部13は、記憶部14に存在しない端末の加入者データを、加入者データサーバ1hから取得し、記憶部14に記憶する。
【0016】
加入者データ1c〜6cは、呼処理に必要となるサービス契約情報等を含む加入者情報である。本実施形態では、エッジルータ単位で当該エッジルータに収容されている全ての端末の加入者データがまとまって保持されている。
【0017】
図示する例では、呼制御サーバ#1:1dの記憶部14には、エッジルータ#1-1:1bが収容している端末1aおよび端末1a'の加入者データ#1-1:1cと、エッジルータ#1-2:2bが収容している端末2aおよび端末2a'の加入者データ#1-2:2cとが記憶されている。また、呼制御サーバ#2:2dの記憶部14には、エッジルータ#2-1:3bが収容している端末3aの加入者データ#2-1:3cと、エッジルータ#2-2:4bが収容している端末4aの加入者データ#2-2:4cとが記憶されている。また、呼制御サーバ#3:3dの記憶部14には、エッジルータ#3-1:5bが収容している端末5aの加入者データ#3-1:5cと、エッジルータ#3-2:6bが収容している端末6aの加入者データ#3-2:6cとが記憶されている。
【0018】
加入者データサーバ1hは、加入者データ送信部11と、ルーチングDB更新部12と、加入者DB1fとを備える。加入者データ送信部11は、呼制御サーバからの要求に応じて加入者DB1fに記憶された加入者データを送信する。ルーチングDB更新部12は、ルーチングDB1gに記憶されたルーチングテーブルを更新する。
【0019】
加入者DB1fには、呼制御サーバ1d〜3dおよびエッジルータ1b〜6bに収容される全ての端末の加入者データが記憶されている。また、本実施形態の加入者DB1fは、エッジルータ1b〜6bの単位で、当該エッジルータに収容された端末の加入者データを保持する。なお、加入者DB1fに記憶される加入者データ1c〜6cと、呼制御サーバ1d〜3dの記憶部14に記憶される加入者データ1e〜6eとは、それぞれ同じものである(1c=1e、2c=2e、3c=3e、4c=4e、5c=5e、6c=6e)。
【0020】
ルーチングDB1gには、本ネットワークシステム配下のエッジルータ1b〜6bへのルーチングテーブルが記憶されている。
【0021】
なお、本ネットワークシステムの外部システムである監視サーバ1iは、呼制御サーバ1d〜3dの状態を監視する。
【0022】
上記説明した呼制御サーバ1d〜3dおよび加入者データサーバ1hは、例えば、CPUと、メモリと、HDD等の外部記憶装置と、入力装置と、出力装置とを備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、各装置の各機能が実現される。例えば、呼制御サーバ1d〜3dおよび加入者データサーバ1hの各機能は、各呼制御サーバ1d〜3d用のプログラムの場合は呼制御サーバ1d〜3dのCPUが、そして、加入者データサーバ1h用のプログラムの場合は加入者データサーバ1hのCPUが、それぞれ実行することにより実現される。
【0023】
また、呼制御サーバ1d〜3d用のプログラムおよび加入者データサーバ1h用のプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD−ROMなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
【0024】
次に、本実施形態の処理について説明する。
【0025】
本実施形態は、ある呼制御サーバが故障した場合に、故障した呼制御サーバに収容されている端末(加入者)を他の複数の呼制御サーバに分散して収容するものである。
【0026】
監視サーバ1iは、ある呼制御サーバに故障が発生した場合、故障した呼制御サーバの最繁時のCPU処理量、バッファ使用率、収容加入者数等の負荷の大きさに関するデータと、他の呼制御サーバの最繁時のCPU処理量、バッファ使用率、収容加入者数等の余裕量とに基づいて分散するサーバ数および分散先サーバを決定する。呼制御サーバ等の通信設備は、一般的に数か月先の予測負荷量に基づいて設計しているため、余裕量は存在する。
【0027】
分散先サーバの特定方法は、故障発生時(切り替え時)に特定する方法と、あらかじめトラヒックの時間特性、曜日特性などに基づいて余裕量を見込んでおき、事前に特定しておく方法とがある。後者の方法は、分散先サーバの特定に要する時間を短縮できるため、呼制御サーバの故障によるサービス停止時間を短縮することができる。
【0028】
監視サーバ1iは、分散する呼制御サーバ数(切り替え先呼制御サーバ数)と分散先呼制御サーバ(切り替え先呼制御サーバ)が決定すると、故障した呼制御サーバに収容されている各エッジルータに対し、切り替え先呼制御サーバのIPアドレスを通知し、当該エッジルータに収容された端末から発信する通信に対しては、切り替え先呼制御サーバへルーチングするように指示する。
【0029】
切り替え先呼制御サーバは、エッジルータからの通信要求を受け付けると、通信要求を送信した端末(加入者)が、自呼制御サーバで制御している端末であるか否かを判断する。すなわち、切り替え先呼制御サーバは、記憶部14に当該端末の加入者データが存在する場合は自呼制御サーバで制御している端末であると判断し、記憶部14に当該端末の加入者データが存在しない場合は自呼制御サーバで制御している端末ではない判断する。自呼制御サーバで制御している端末ではないと判断した場合、故障発生に伴う分散収容による通信(故障切り替えによる通信)と判断し、加入者データサーバ1hに加入者データを要求する。なお、加入者データの要求には、通信要求に含まれる加入者ID(例えば、電話番号など)が含まれる。
【0030】
加入者データサーバ1hの加入者データ送信部11は、切り替え先呼制御サーバからの加入者データの要求を受信すると、要求された加入者IDの加入者データとともに、該当加入者IDから該当端末が収容されているエッジルータを特定し、特定したエッジルータに収容されている全ての端末の加入者データを加入者DBから抽出し、切り替え先呼制御サーバに送信する。これにより、切り替え先呼制御サーバの加入者データサーバ1hへの加入者データの問い合わせ回数を削減することができる。
【0031】
また、本実施形態の加入者DBは、エッジルータ単位に加入者データを保持しておくことにより、加入者DBから加入者データを抽出する処理時間を短縮することができる。エッジルータ単位で加入者データを保持することについては、例えば、エッジルータ毎に当該エッジルータに収容された端末の加入者データを保持した加入者テーブル(データセット)を設ける、または、エッジルータ毎に当該エッジルータに収容された端末の加入者データをクラスタリング(集合化)することなどが考えられる。
【0032】
また、加入者データサーバ1hのルーチングDB更新部12は、ルーチングDB1gに対し、特定したエッジルータの収容先呼制御サーバを、故障した呼制御サーバから切り替え先呼制御サーバに変更するように通知する。これにより、該当エッジルータに収容されている移行対象の全ての端末への着信呼は、故障した呼制御サーバ経由ではなく切り替え先呼制御サーバ経由で着信することができる。
【0033】
尚、切り替え先呼制御サーバから加入者DBへの加入者データの問い合わせを行う契機は、上述したエッジルータからの通信要求時に行う方法の他に、故障した呼制御サーバに収容されているエッジルータに対し、切り替え先呼制御サーバへルーチングするように指示し、エッジルータが切り替え処置を行った時を契機に行う方法もある。
【0034】
次に、図2を用いて、上記説明した本実施形態の処理(分散復旧処理)を、具体的に説明する。
【0035】
通常時は、図1に示すように、各端末1a〜6aからの発信呼や着信呼は、収容されているエッジルータ1b〜6bおよびエッジルータが収容されている呼制御サーバ1d〜3dにより処理される。ここでは、呼制御サーバ#1:1dが故障した場合を例に、本実施形態の処理を説明する。
【0036】
呼制御サーバ#1:1dが故障すると、監視サーバ1iが、分散収容する呼制御サーバ数、呼制御サーバを決定する。図2に示す例では、エッジルータ#1-1:1bからの発信呼は呼制御サーバ#2:2dへ、エッジルータ#1-2:2bからの発信呼は呼制御サーバ#3:3dへ分散収容(ルーチング)するように決定する。これにより、端末1a、1a’からの発信呼は、エッジルータ#1-1:1bを経由して呼制御サーバ#2:2dへルーチングされ、端末2a、2a’からの発信呼はエッジルータ#1-2:2bを経由して呼制御サーバ#3:3dへルーチングされる。
【0037】
尚、呼制御サーバ数、呼制御サーバの決め方は、例えば、呼制御サーバ#1:1dが収容している端末数、呼制御サーバ#1:1dが通常処理しているトラヒック量、CPU使用率等のデータと、呼制御サーバ#2:2dおよび呼制御サーバ#3:3dの余裕処理量(収容している端末数、呼制御サーバ#1:1dが通常処理しているトラヒック量、CPU使用率等のデータより算出される)から算出する方法が考えられる。
【0038】
続く処理として、切り替え先の呼制御サーバ#2:2dおよび呼制御サーバ#3:3dのそれぞれは、加入者データサーバ1h(加入者DB1f)に対し、エッジルータ#1-1:1b 、エッジルータ#1-2:2bに収容された端末の加入者データの問い合わせを行う。この加入者データの問い合わせは、前述のとおり、各エッジルータからの通信要求時に行う方法と、呼制御サーバの故障発生時にエッジルータが切り替え処置を行った時に行う方法とがある。以下では、切り替え先の呼制御サーバ#2:2dが、加入者データサーバ1hに対して、エッジルータ#1-1:1bに収容された端末の加入者データを問い合わせる場合を例として説明する。
【0039】
<エッジルータからの通信要求時に加入者データを問い合わせる方法>
端末1aからの発信呼は、エッジルータ#1-1:1bを経由して呼制御サーバ#2:2dへルーチングされる。端末1aからの発信呼を受信した呼制御サーバ#2:2dは、記憶部14を参照し、端末1aの加入者データが存在するか否かを判別する。この場合、記憶部14には端末1aの加入者データが存在しないので、呼制御サーバ#2:2dは、故障切り替えによる通信要求(呼)と判断し、加入者データサーバ1hに対し、端末1aの加入者データの問い合わせを行う。
【0040】
加入者データサーバ1hは、以下の処理を行う。
【0041】
(1)加入者データサーバ1hの加入者データ送信部11は、呼制御サーバ#2:2dからの端末1aの加入者データの問い合わせを受信すると、端末1aの加入者データだけでなく、端末1aが収容されているエッジルータ#1-1:1bに収容されている全ての端末1a、1a’の加入者データを、加入者DB1fから読み出し、呼制御サーバ#2:2dに送信する。
【0042】
(2)また、加入者データサーバ1hのルーチングDB更新部12は、ルーチングDB1gに対し、エッジルータ1bの収容先呼制御サーバを、呼制御サーバ#1:1dから呼制御サーバ#2:2dに変更したことを通知し、ルーチングDB1gのルーチングテーブルを更新する。
【0043】
上記(1)の処理により、呼制御サーバ#2:2dは、エッジルータ#1-1:1bに収容されている全ての端末1a、1a’の加入者データを受信し、記憶部14に記憶する。そして、呼制御サーバ#2:2dは、受信した端末1aの加入者データに基づいて呼の接続処理を行う。また、呼制御サーバ#2:2dの記憶部14にはエッジルータ#1-1:1bが収容している全端末の加入者データ1eが保持されるので、端末1a'からの通信要求があった時には、加入者データサーバ1hへの加入者データの問い合わせ行う必要がなくなる。
【0044】
また、(2)の処理により、ルーチングDB1gは、エッジルータ#1-1:1bへのルーチングを呼制御サーバ#2:2dへのルーチングに変更するため、エッジルータ#1-1:1bへの着信呼は、呼制御サーバ#1:1d経由ではなく呼制御サーバ#2:2d経由で着信することができる。
【0045】
<エッジルータの切り替え処置時に加入者データを問い合わせる方法>
エッジルータ#1-1:1bが、接続先の呼制御サーバを、呼制御サーバ#1:1dから呼制御サーバ#2:2dに切り替える処置を行うと、呼制御サーバ#2:2dの加入者データ取得部13は、エッジルータ#1-1:1bが配下となったことを検知し、加入者データサーバ1hに対し、エッジルータ#1-1:1bに収容された全端末1a、1a’の加入者データ1eを要求する。
【0046】
加入者データサーバ1hは、以下の処理を行う。
【0047】
(1)加入者データサーバ1hの加入者データ送信部11は、加入者DB1fからエッジルータ1bの全端末の加入者データ1eを読み出し、呼制御サーバ#2:2dに送信する。
【0048】
(2) また、加入者データサーバ1hのルーチングDB更新部12は、ルーチングDB1gに対し、エッジルータ1bの収容先呼制御サーバを、呼制御サーバ#1:1dから呼制御サーバ#2:2dに変更したことを通知し、ルーチングDB1gのルーチングテーブルを更新する。
【0049】
上記(1)の処理により、呼制御サーバ#2:2dは、エッジルータ#1-1:1bに収容されている全ての端末1a、1a’の加入者データを受信し、記憶部14に記憶する。これにより、呼制御サーバ#2:2dの記憶部14にはエッジルータ#1-1:1bが収容している全端末の加入者データ1eが保持されるので、エッジルータ#1-1:1bに収容されている端末1a、1a’からの発信呼に対し、呼制御サーバ#2:2dは、加入者データサーバ1hに加入者データを問い合わせることなく、加入者データ1eに基づいて呼の接続処理を行う。
【0050】
また、(2)の処理により、ルーチングDB1gは、エッジルータ#1-1:1bへのルーチングを呼制御サーバ#2:2dへのルーチングに変更するため、エッジルータ#1-1:1bへの着信呼は、呼制御サーバ#1:1d経由ではなく呼制御サーバ#2:2d経由で着信することができる。
【0051】
以上説明した本実施形態では、ある呼制御サーバが故障した場合、切り替え先呼制御サーバを複数に分散させる。これにより、切り替え先の呼制御サーバが加入者DBから受信する、故障した呼制御サーバが保持していた加入者データは、複数の切り替え先呼制御サーバで分割されるので、加入者データの転送時間は短縮され、また切り替え先呼制御サーバで処理が必要なデータ数は少なくなる。すなわち、呼制御サーバに故障が発生した場合に、復旧時間を短縮するとともに、移行先の呼制御サーバの処理負荷を低減することができる。
【0052】
例えば、切り替え先呼制御サーバがn個であれば、個々の切り替え先呼制御サーバに転送される加入者データ量が1/nとなることによる転送時間の短縮、転送先での処理量が1/nとなることによる切り替え先での処理時間の短縮などにより、障害復旧時間を短縮することができる。
【0053】
また、本実施形態では、複数の呼制御サーバに分散収容することで、既存の呼制御サーバの余力を利用するため、故障復旧用の予備の呼制御サーバを別途用意する必要はなくなる。
【0054】
また、本実施形態の加入者DBでは、エッジルータ単位でデータを保持しておくことにより、データ送信までの時間を短縮でき、切り替え先の復旧時間を短縮できる。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1a〜6a:端末
1b〜6b:エッジルータ
1c〜6c:加入者データ(加入者情報)
1d〜3d:呼制御サーバ
1d〜3d:呼制御サーバ
1e〜6e:加入者データ(加入者情報)
1f :加入者DB
1g :ルーチングテーブル
1i :加入者データサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークシステムが行う、故障した呼制御サーバに収容されている端末を他の複数の呼制御サーバに分散して収容する分散復旧方法であって、
前記ネットワークシステムは、複数の呼制御サーバと、当該ネットワークシステムの全端末の加入者データを記憶する加入者データサーバとを備え、
前記他の複数の呼制御サーバは、
当該呼制御サーバに収容されている端末の加入者データを記憶する記憶部を有し、
端末からの通信要求を受け付けると、当該端末に対応する加入者データが前記記憶部に存在するか否かを判別する判別ステップと、
前記記憶部に存在しない場合に、前記加入者データサーバから当該端末に対応する加入者データを取得し、前記記憶部に記憶する取得ステップと、を行い、
前記加入者データサーバは、
全端末の加入者データを記憶する加入者データベースを有し、
前記他の複数の呼制御サーバからの要求に応じて、前記加入者データベースの加入者データを送信する送信ステップを行うこと
を特徴とする分散復旧方法。
【請求項2】
請求項1記載の分散復旧方法であって、
前記加入者データベースは、各呼制御サーバに接続されたエッジルータの単位で、当該エッジルータに収容された端末の加入者データを保持し、
前記送信ステップは、要求された加入者データの端末を収容するエッジルータに収容された全ての端末の加入者データを、要求元の呼制御サーバに送信すること
を特徴とする分散復旧方法。
【請求項3】
故障した呼制御サーバに収容されている端末を他の複数の呼制御サーバに分散して収容するネットワークシステムであって、
前記ネットワークシステムは、複数の呼制御サーバと、当該ネットワークシステムの全端末の加入者データを記憶する加入者データサーバとを備え、
前記他の複数の呼制御サーバは、
当該呼制御サーバに収容されている端末の加入者データを記憶する記憶手段と、
端末からの通信要求を受け付けると、当該端末に対応する加入者データが前記記憶手段に存在するか否かを判別し、前記記憶手段に存在しない場合には前記加入者データサーバから当該端末に対応する加入者データを取得し、前記記憶手段に記憶する取得手段と、を有し、
前記加入者データサーバは、
全端末の加入者データを記憶する加入者データベースと、
前記他の複数の呼制御サーバからの要求に応じて、前記加入者データベースの加入者データを送信する送信手段と、を有し、
前記加入者データベースは、各呼制御サーバに接続されたエッジルータの単位で、当該エッジルータに収容された端末の加入者データを保持し、
前記送信手段は、要求された加入者データの端末を収容するエッジルータに収容された全ての端末の加入者データを、要求元の呼制御サーバに送信すること
を特徴とするネットワークシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−257038(P2012−257038A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128314(P2011−128314)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】