説明

分散性があり長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネート及びそのカビ防止材料

【課題】 本発明のカビ防止材料とその誘導体により分散し溶解する特性と長期的にカビを防止する効果を有する。
【解決手段】 本発明に係る分散性があり長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネート及びそのカビ防止材料はPU重合反応(Polyurethane polymerization)時にNHアミノ基を含むカビ防止剤(ベンズイミダゾール(benzimidazol)またはベンズイミダゾール誘導体)が添加されることによりPU構造の一部となるため、カビ防止材料はPU材料の好ましい互換性を有し、異なる溶剤中で溶解分散し易くなる。また、ポリイソシアネート(polyisocynate)と反応し反応官能基を持つシラン(silane)とポリオールにより、カビ防止材料は基材と反応し錬となり脱落しにくい特性を有することとなり無機材料金属またはガラスに応用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は長期効果タイプのカビ防止材料に関わり、製作工程はカビ防止剤(ベンズイミダゾール(benzimidazol)或いはベンズイミダゾール誘導体)に長期的にカビを防止できるようにし、溶解性を向上させるものである。その製作工程はPU合成反応時にアミノ基を持つPUカビ防止剤をPUプレポリマー構造で反応することにより、PUプレポリマー構造上にカビ防止剤の成分を持たせることができる。また、イソシアネート(isocynate)と反応ができるシラン(silane)及びポリオールによりPUカビ防止材料に長期的にカビを防止できる特性と優れた分散、溶解性特性を持たせることができる。
【背景技術】
【0002】
カビ防止剤は日常生活で幅広く使われており、そのうちベンズイミダゾール(benzimidazol)系列のカビ防止剤は使用範囲が広く毒性が低い特性を持つ結晶粉末のカビ防止剤である。それは系統性に分類され、予防及び治療効果のはたらきを備え、幅広い効果を持つ殺菌カビ防止剤であり、主な作用は微小管の蛋白質合成を抑制し、作用メカニズムは細胞の有糸分裂プロセスを妨げることである。しかしベンズイミダゾール(benzimidazol)系列のカビ防止剤の結晶性が強いので、大部分の溶剤と水における溶解性がたいへん低く、使用上とても不便である。実際の操作においては、カビ防止剤を均一に分散させて使用するため多くの添加剤を添加しなければならず、またカビ防止剤が大多数の溶剤と水に相容れないので、使用濃度に対して大きな制約を受け、さらにカビ防止剤の濃度が足りず防カビ効果に影響を及ぼし、有効期間も短く、効果的な防カビ効果を得るために一度新しいカビ防止剤を添加処理しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の主な目的は上記に示した従来の欠点を解決することと欠点が存在することを避けることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の主な目的は上記に示した従来の欠点を解決することと欠点が存在することを避けることである。本発明はPU重合反応(Polyurethane polymerization)方式によりカビ防止剤(NHアミノ基を含むベンズイミダゾール(benzimidazol)とベンズイミダゾール誘導体)を結合させ、PU重合反応(Polyurethane polymerization)の反応アミノ基に反応できるシラン(silane)とポリオールを加えると新規の分散性があり長期効果タイプの防カビ機能を有するカビ防止材料が形成される。一般的に上記の欠点を解決するのに用いられるベンズイミダゾールとベンズイミダゾール誘導体のカビ防止剤は分散性が悪く、有効期間も短く溶解性も低いなどの欠点がある。そこでPU重合反応を利用して長期の効果があり安全で無公害の新しいカビ防止材料及びその誘導体を得ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の詳細な内容と技術の説明を以下に示す。本発明の構成方法はPU重合反応を用いるものでカビ防止剤とジイソシアネート、トリイソシアネート及び多価イソシアネート等のイソシアネートとポリオール及びシラン(silane)をPU重合反応させカビ防止PU樹脂材料及びその誘導体を形成させる。そのうち前記カビ防止剤構造はNHアミノ基を持つベンズイミダゾール(benzimidazol)とベンズイミダゾール誘導体のことであり、前記カビ防止剤構造は二つのアミノ基(‐NH)を含み、イソシアネートのイソシアネート基(‐NCO)と反応してPUプレポリマーになった後、ポリオール及びシラン(silane)と反応して長期効果タイプのカビ防止材料を形成する。
【0006】
反応式の説明を以下に行う。
AはNCOを含むイソシアネートまたはイソシアネートポリマーで、例えば
1.脂肪族イソシアネート(Aliphatic isocyanate)即ち1,6ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-hexamethylene diisocyanate)、イソホロンジイソシアネート(Isophorone Diisocyanate)等。
2.芳香族イソシアネート(Aromatic isocyanate)即ち2,4トルエンジイソシアネート(2,4-toluene diisocyanate)、メチレンジフェニルジイソシアネート(Methylene diphenyl diisocyanate)等。
3.ポリイソシアネート(polyisocyanate)即ちHDI trimer、HDI dimer、TDI trimer...等である。
Bはカビ防止剤(構造上NHアミノ基を含むベンズイミダゾール(benzimidazol)とベンズイミダゾール誘導体)でその構造式を以下に示す。
【化1】

【0007】
前記カビ防止剤の構造式中のR5〜R9は、
水素(hydrogen)、アルキル基(alkyl)、アルケニル基(alkenyl)、アルキニル基(alkynyl)、アシル基(acyl)、アリール基(allyl)、カルボキシル基(carboxylate)、アルコキシカルボニル基(alkoxycarbonyl)、アリーロキシカルボニル基(aryloxycarbonyl)、カルボキシアミド(carboxamido)、アルキルアミノ( alkylamino)、アシルアミノ(acylamino)、アルコキシル基(alkoxyl)、アシロキシ基(acyloxy)、ヒドロキシアルキル基(hydroxyalkyl)、アルコキシアルキル基(alkoxyalkyl)、アルキルアミノ基(aminoalkyl、alkylamino)、チオ基(thio)、アルキルチオ基(alkylthio)、チオアルキル、アルキルチオ基(thioalkyl、alkylthio)、カルバモイル基(carbamoyl)、尿素(urea)、チオ尿素(thiourea)、スルホニル(sulfonyl)、スルホネート基(sulfonate) スルファンアミド(sulfonamide)、スルホニルアミノ基(sulfonylamino)とスルホニルオキシ(sulfonyloxy)のうちの元素または基の一つである。
【0008】
前述のPU重合反応において、分散性を持つポリイソシアネートの反応基は
p=n−m>0である。
【0009】
前記分散性を持つポリイソシアネートにポリオールとシランを添加することによりカビ防止材料が形成され、その反応式を以下に示す。そのうち前記ポリイソシアネートの反応基はp=q+rである。
【化2】

Cはポリオール(Polyol)であり、例えば
1.低分子量の多価アルコール、即ちエチレン・グリコール(Ethylene Glycol)、1,4ブタンジオール(1,4-butanediol)、トリメチロールプロパン(trimethylol propane)等。
2.高分子量の多価アルコール、即ちポリエステル・ポリオール(Polyester Polyol)、ポリエーテル・ポリオール(Polyether Polyol)等である。
Dはシラン(silane)である。構造式を以下に示す。
【化3】

【0010】
上記のアミノ基(NH2)は塩素(Cl)、硫酸塩(mercaptide;SH)、エチレン(-CH2=CH2-)、(アクリル酸メチル)
【化4】

および(酸化プロピレン)
【化5】

により置換されてもよい。

【0011】
R10は、アルキル基(alkyl)、アルケニル基(alkenyl)、アルキニル基(alkynyl)、アシル基(acyl)、アリール基(allyl)、カルボキシル基(carboxylate)、アルコキシカルボニル基(alkoxycarbonyl)、アリーロキシカルボニル基(aryloxycarbonyl)、カルボキシアミド(carboxamido)、アルキルアミノ( alkylamino)、アシルアミノ(acylamino)、アルコキシル基(alkoxyl)、アシロキシ基(acyloxy)、ヒドロキシアルキル基(hydroxyalkyl)、アルコキシアルキル基(alkoxyalkyl)、アルキルアミノ基(aminoalkyl、alkylamino)、チオ基(thio)、アルキルチオ基(alkylthio)、チオアルキル、アルキルチオ基(thiolkyl、alkylamino)、カルバモイル基(carbamoyl)、尿素(urea)、チオ尿素(thiourea)、スルホニル(sulfonyl)、スルホネート基(sulfonate) スルファンアミド(sulfonamide)、スルホニルアミノ基(sulfonylamino)とスルホニルオキシ(sulfonyloxy)のうちの元素または基の一つである。
【0012】
R11は水素(hydrogen)(-H)或いは-OCH3、-OC2H5などの酸化アルキル基である。
【0013】
本発明をさらに理解できるように、関連する実施内容について、数値を用いて以下に説明を行う。長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネートの合成方法は以下のとおりである。
(1)プレポリマー(prepolymer)の生成:メチレンビスフェニルイソシアネートMDI(Methylene bisphenyl isocyanate)2.5molとカビ防止剤N-(メチルベンズイミダゾール.カルバメート(Methy benzimidazol-2-ylcarbamate))0.5molを温度70~85℃において1~2hr反応させ、さらに錫触媒DBTDL(Dibutytin dilaurate)及び溶剤ジメチルホルムアミドDMF(Dimethyl formamide ) 1280.gを加え、全体の反応後プレポリマー(Prepolymer)が形成する。
(2)長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネートの合成:(1)で生成したプレポリマー(prepolymer)をポリオールPEG-2000(polyethylene glycol 分子量2000 ) 1mol、ブタンジオール(1,4-butanediol1,4-BG)0.5molと温度75~80℃で1〜2hr反応させ、その後温度を40〜45℃にし‐NH2構造を持つ3‐アミノプロピルメチルジエトキシシラン(3-aminopropylmethyldiethoxysilane)1molを加え、(-NCO)アミノ基と完全に反応が終わるまで反応させ、それから溶剤ジメチルホルムアミドDMF(Dimethyl formamide ) 1707gを用いて粘度が約34000〜37000cps、固形分50%になるまで調整することにより長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネートが形成される。
(3)防カビ効果分析:(2)の長期効果タイプのカビ防止材料を溶剤により合成皮革表面に希釈塗布の加工処理を行い、日本工業規格のカビ防止加工製品の検査方法JIS Z 2911:2000カビ抵抗試験準拠により(検査菌株はアスペルギルス ニゲル(ATCC-6275))、表面がカビ防止機能をもつPU材料処理された皮革材料表面を実験組、一般的なカビ防止機能をもたないPU材料処理された皮革材料表面を比較組とし、それぞれ処理がされた実験組と比較組のサンプル直径3cmの円形に裁断した後、それぞれ栄養剤が含まれている培養皿に放置し、培養菌液を均一に実験組と比較組サンプルの表面に塗りつけ、恒温恒湿の培養ケースで温度25℃、湿度85%の環境下で7日間培養した後のアスペルギルス ニゲルの成長状態を観察し、判断後の下記の表の実験結果がわかるように、本発明の溶解性を備えるカビ防止材料は第0級の優れた防カビ効果を有する。
【表1】

溶解性分析:
【表2】

【0014】
このように、本発明はNHアミノ基を持つカビ防止剤が重合反応においてイソシアネート、シラン、ポリオールと結合した後、樹脂材料に長期的にカビを防止できる効果を与え、且つ重合反応中にカビ防止剤を添加し反応させるので、カビ防止剤はポリイソシアネートの構造の一部分となり、ポリイソシアネートに防カビ効果を持たせることができ、またカビ防止剤がポリイソシアネートの構造の一部分であることから、従来のカビ防止剤の分散性が悪い、有効期間が短い、溶解性が低い等の欠点を解決することができ、長期の効果があり安全で無公害の新しいカビ防止材料を得ることができる。
【0015】
しかし、以上述べたことは、本発明における最良の実施例の詳細な説明にすぎず、本発明の特徴はこれだけに限られず、本発明を制限するものではない。その他、よく用いられるようなモノイソシアネート或いは多価イソシアネートと本発明の説明で用いている一つのNH基或いは少なくとも一つのNH基を持つカビ防止剤の反応により生成するPUプレポリマー(prepolymer)及びPU硬化剤はすべて本発明の範疇に属する。またこの領域を熟知している技術者が、本特許の範囲内で、手を加え、変更したものはすべて、上記の特許請求の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NHアミノ基を含むカビ防止剤とイソシアネートまたはイソシアネートポリマーを重合反応させポリイソシアネートを形成させることを特徴とする分散性の長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネート。
前記ポリイソシアネートの反応式を以下に示す
【化1】


AはNCOを含むイソシアネートまたはイソシアネートポリマーで、BはNHアミノ基を含むカビ防止剤で前記ポリイソシアネートの反応基はp=n−m>0。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートはポリオールとシランを添加しカビ防止材料を形成することを特徴とする請求項1に記載する分散性があり長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネート。
反応式を以下に示す
【化2】


前記ポリイソシアネートの反応基はp=q+r。
【請求項3】
NCOを含むイソシアネートまたはイソシアネートポリマーは脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネートまたはポリイソシアネートから選ばれることを特徴とする請求項1或いは2に記載する分散性があり長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネート。
【請求項4】
NHアミノ基を含むカビ防止剤の構造式を以下に示す。
【化3】

前記構造式グループのうちR5〜R9は:
水素(hydrogen)、アルキル基(alkyl)、アルケニル基(alkenyl)、アルキニル基(alkynyl)、アシル基(acyl)、アリール基(allyl)、カルボキシル基(carboxylate)、アルコキシカルボニル基(alkoxycarbonyl)、アリ-ロキシカルボニル基(aryloxycarbonyl)、カルボキシアミド(carboxamide)、アルキルアミノ(alkylamine)、アシルアミノ(acylamino)、アルコキシル基(alkoxyl)、アシロキシ基(acyloxy)、ヒドロキシアルキル基(hydroxyalkyl)、アルコキシアルキル基(alkoxyalkyl)、アルキルアミノ基(aminoalkyl、alkylamino)、チオ基(thio)、アルキルチオ基(alkylthio)、アミノアルキル、アルキルチオ基(aminoalkyl、alkylthio)、カルバモイル基(carbamoyl)、尿素(urea)、チオ尿素(thiourea)、スルホニル(sulfonyl)、スルホネート基(sulfonate) スルファンアミド(sulfonamide)、スルホニルアミノ基(sulfonylamino)とスルホニルオキシ(sulfonyloxy)以上の元素または基の一つであることを特徴とする請求項1または2に記載する分散性があり長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネート。
【請求項5】
前記ポリオールはエチレン・グリコール(Ethylene Glycol)あるいは1、4ブタンジオール(1、4-butanediol)あるいはトリメチロールプロパン(trimethylol propane)の低分子量の多価アルコールであることを特徴とする請求項2に記載する分散性があり長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネート。
【請求項6】
前記ポリオールはポリエステル・ポリオール(Polyester Polyol)またはポリエーテル・ポリオール(Polyether Polyol)の高分子量の多価アルコールであることを特徴とする請求項2に記載する分散性があり長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネート。
【請求項7】
前記シラン(Silane)の構造式は
【化4】

塩素(Cl)、硫酸塩、エチレン、アクリル酸メチルおよび酸化プロピレンにより、
のアミノ基NH2が取って代わられることを特徴とする請求項2に記載する分散性があり長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネート。
【請求項8】
前記構造式グループのうちのR10はアルキル基(alkyl)、アルケニル基(alkenyl)、アルキニル基(alkynyl)、アシル基(acyl)、アリール基(aryl)、カルボキシル基(carboxylate)、アルコキシカルボニル基(alkoxycarbonyl)、アルロキシカルボニル基(aryloxycarbonyl)、カルボキシアミド(carboxamido)、アルキルアミノ( acylamino)、アシルアミノ(alkylamino)、アルコキシル基(alkoxyl)、アシロキシ基(acyloxy)、ヒドロキシアルキル基(hydroxyalkyl)、アルコキシアルキル基(alkoxyalkyl)、アルキルアミノ基(aminoalkyl、alkylamino)、チオ基(thio)、アルキルチオ基(alkylthio)、アミノアルキル、アルキルチオ基(aminoalkyl、alkylthio)、カルバモイル基(carbamoyl)、尿素(urea)、チオ尿素(thiourea)、スルホニル(sulfonyl)、スルホネート基(sulfonate) スルファンアミド(sulfonamide)、スルホニルアミノ基(sulfonylamino)とスルホニルオキシ(sulfonyloxy)以上の元素または基の一つであることを特徴とする請求項7に記載する分散性があり長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネート。
【請求項9】
前記構造式グループうちのR11が-H、-OCH3、-OC2H5などの酸化アルキル基のグループであることを特徴とする請求項7に記載する分散性があり長期効果タイプの防カビ機能を有するポリイソシアネート。

【公開番号】特開2008−133359(P2008−133359A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320119(P2006−320119)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(506396113)展宇科技材料股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】