説明

分散性を改良された改質顔料

【課題】本発明は、組成物及び配合物中における顔料の分散性及び分散の安定性を改良することができる改質顔料生成物を提供する。
【解決手段】様々な改質顔料生成物を開示する。これらは、コーティング、インク、トナー、フィルム、プラスチック、ポリマー、エラストマー等のような様々な材料中に好ましく分散することができる。改質顔料は、吸着ではなく顔料に結合した基、例えばポリマー基を有する顔料である。改質顔料生成物は、−X−[NIon]Rの式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料として示される。ここでXは、芳香族基又はアルキル基を含み、NIonは、少なくとも1つのタイプの非イオン性基を含み、Rは、水素を示し、又は芳香族基若しくはアルキル基を含み、且つpは、1〜500の整数を示す。改質顔料生成物は、少なくとも1つのアルキレンオキシド基又は少なくとも1つのポリマー基が結合した顔料としても示される。更に、他のタイプの改質顔料生成物、及びインク、コーティング、トナー、フィルム、プラスチック、ポリマー、エラストマー等にそれらを組み込むことを説明している。改質顔料生成物を製造する方法も説明している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な用途で利用可能な顔料に関する。また本発明はより特に、様々な性質を改良するための顔料の改質に関する。
【背景技術】
【0002】
顔料は、インク、コーティング、トナー、プラスチック、ゴム及びフィルム等のような様々な用途で使用されている。これらそれぞれの用途における共通の目的は、実質的及び均一に分散することができ、且つ組成物中で分散を維持することができる顔料を提供し、それによって顔料が示す色及び他の性質が、顔料を含む組成物又は材料全体で均一になるようにすることである。顔料の分散性及び分散の安定性に関する改良は、既に試みられており、これは様々な界面活性剤を顔料に吸着させ又はコーティングすることを含む。しかしながら、単に顔料にコーティングをすること又は吸着させることには、潜在的なかなりの危険性がある。第1に、吸着する界面活性剤は、周囲の物質、例えばインクの溶媒の物性に依存している。そのような場合、平衡は顔料の表面と界面活性剤に親和性がある溶媒との間に存在することがある。溶解性は、界面活性剤に影響を与え、溶媒も影響を与えることがある。吸着する界面活性剤に影響を与えることがある他のものは、顔料の濃度、使用する界面活性剤のタイプ、顔料を含む物質又は組成物の温度及びpHである。これらの物性の任意の1又は複数は、顔料表面からの界面活性剤の除去をもたらすこと、並びに分散の安定性及びバルク液体の他の性質に好ましくない影響を与えることがあるバルク液体又は媒体中の更なる界面活性剤をもたらすことがある。このバルク液体の他の性質としては、発泡、表面張力、粘度、フィルム強さ、及びフィルム弾性等がある。更に、従来の顔料において見いだされることがある過剰な界面活性剤は、可塑性又はフィルム形成性、例えば色、強さ、伸び、弾性等に有害なこともある。従って、上述の1又は複数の欠点を克服することに関して、顔料の分散性及び分散の安定性を改良することがこの技術分野では望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の特徴は、組成物及び配合物中における顔料の分散性及び分散の安定性を改良することができる改質顔料生成物を提供することである。
【0004】
本発明のもう1つの目的は、本発明の改質顔料生成物を含有するインク、コーティング、トナー、ポリマー、紙、フィルム、及びゴムの配合物を提供することである。
【0005】
本発明の更なる特徴は、様々な組成物及び配合物中における顔料の分散性及び分散の安定性を改良する方法を提供することである。
【0006】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の説明において示し、また一部は説明から明らかになり、又は本発明の実施から理解することができる。本発明の目的及び他の利点は、本発明の明細書及び特許請求の範囲で特に示される要素及び組み合わせの手段によって、理解されまた得られる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの及び他の利点を達成するために及び本発明の目的によれば、ここで実施されまた大まかに説明されるように、本発明は、以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料を含む改質顔料生成物に関する。
−X−[NIon]
ここでXは、芳香族基又はアルキル基を示し;NIonは、少なくとも1つのタイプの非イオン性基を示し;Rは、水素、置換若しくは非置換芳香族基、又は置換若しくは非置換アルキル基を示し;且つpは、1〜500の整数を示す。
【0008】
本発明は更に、以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料を含む改質顔料生成物関する:
−X[A]
ここでXは、芳香族基又はアルキル基を示し;Aは、炭素数が約1〜約12のアルキレンオキシド基を示し;pは、1〜500の整数を示し;且つRは、水素、置換若しくは非置換芳香族基、又は置換若しくは非置換アルキル基を示す。pが1よりも大きい場合、Aは同じであっても異なっていてもよい。Xは、置換されていても置換されていなくてもよく、またエステル基、アミド基、エーテル基、カルボニル基、アリール基、アルキル基等の置換基を含んでいてもよい。この置換基は、Aに架橋又は結合していてもよい。
【0009】
本発明は更に、以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料を含む改質顔料生成物に関する:
−X−[(CH−O−]
ここでXは、芳香族基又はアルキル基を示し;mは、1〜12、好ましくは2又は3の整数を示し;pは、1〜500の整数を示し;且つRは、水素、置換若しくは非置換アルキル基、又は置換若しくは非置換芳香族基を示す。
【0010】
本発明は更に、以下の式を有する少なくとも1つのポリマー基が結合した顔料を含む改質顔料生成物に関する:
−X−[ポリマー]R
ここでXは、少なくとも1つの芳香族基又はアルキル基を示し:「ポリマー」は、反復モノマー若しくは複数モノマー基又はそれらの両方を示し、随意に少なくとも1つのX’基を有する。全モノマー反復単位は、約1〜約500である。Rは、水素、結合、置換若しくは非置換アルキル基、又は置換若しくは非置換芳香族基を示す。Xがアルキル基を示す場合、「ポリマー」は好ましくはイオン性基又はイオン化可能基を持たない。X’は、芳香族基又はアルキル基を示し、それぞれのX’及びXは、同じであっても異なっていてもよい。X及び/又はX’は、置換されていても置換されていなくてもよく、エステル基、アミド基、エーテル基等の置換基を有することができる。置換基は「ポリマー」に架橋していてもよい。また、Rが結合を示す場合、利用可能な結合は顔料に結合してもよい。
【0011】
また本発明は、少なくとも1種の本発明の改質顔料生成物及び少なくとも1種のインクビヒクルを含有するインク組成物に関する。
【0012】
また本発明は、少なくとも1種の本発明の改質顔料生成物及び少なくとも1種のコーティングビヒクルを含有するコーティング組成物に関する。
【0013】
また本発明は、少なくとも1種の本発明の改質顔料生成物及び樹脂粒子を含有するトナー組成物に関する。
【0014】
また本発明は、少なくとも1種の本発明の改質顔料生成物と組み合わせて従来の成分を含有するゴム生成物、ポリマー(例えばプラスチック)生成物、及びフィルムに関する。
【0015】
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、典型例及び例示に過ぎず、特許請求の範囲に示すように、本発明の更なる説明を提供することを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は一般に、好ましくは様々な材料に分散することができる様々なタイプの改質顔料生成物に関する。この様々な材料としては、限定するわけではないが、液体(水性及び非水性)、ポリマー(例えば熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂)、エラストマー(例えば合成及び/又は天然ゴム)、コーティング(例えばペイント)、インク(例えば、印刷インク及びインクジェットインク)、液体及び固体のトナー、フィルム等を挙げることができる。顔料を改質して、ポリマー及び界面活性剤等のような吸着基と比較して、化学基(例えば、ポリマー基及び有機基)が顔料に比較的安定に結合するようにする。
【0017】
以下の式のそれぞれにおいて、−Xは顔料に直接に結合しており、−X’は顔料に直接に結合していてもよい。
【0018】
1つの好ましい顔料生成物は、以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料である:
−X−[NIon]
ここでXは、芳香族基又はアルキル基を示し;NIonは、少なくとも1種の非イオン性基を示し;Rは、水素、芳香族基、又はアルキル基を示し;且つpは、1〜500の整数である。
【0019】
X置換基及び/又はR置換基に関する芳香族基は、置換されていても置換されていなくてもよく、例えばアリール又はヘテロアリール基でよい。芳香族基は1又は複数のアルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。好ましくは、芳香族基は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ビフェニル、ピリジニル、ベンゾチアジアゾルニル、又はベンゾチアゾルニルである。X置換基及び/又はR置換基に関するアルキル基の例としては、限定するわけではないが、枝分かれしていても枝分かれしていなくてもよい置換又は非置換アルキル基を挙げることができる。このアルキル基は、1又は複数の基、例えば芳香族基で置換されていてもよい。X置換基のためのアルキル基の好ましい例としては、限定するわけではないが、C〜C12の基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル基を挙げることができる。言い換えると、X及び/又はRは、枝分かれ又は非枝分かれで置換又は非置換で飽和又は不飽和の、炭化水素を表すことができる。このような置換基の例としては、限定するわけではないが、エステル基、アミド基、エーテル基、カルボキシル基、アリール基、及びアルキル基等を挙げることができる。
【0020】
非イオン性基の例としては、限定するわけではないが、明らかなイオン性電荷を持たない基、例えばポリマーのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、他のアルキレンオキシド、カルボン酸エステル、グリコール、アルコール、エステル、アルカノールアミン−脂肪酸縮合体、シリコーン、イソシアネート、アルキルピロリデン、及びアルキルポリグリコサイドを挙げることができる。非水性媒体中では、上述の基に加えて非イオン性基も、カルボキシレート、スルホネート、ホスフェート、アミン、及び水の中で典型的にイオン性の性質を示す他の基を有することができる。非イオン性基は好ましくは、C〜C12のアルキル基、又はC〜C12のアルキレンオキシド基である。pは、1〜25、26〜50、51〜75、75〜100、及び/又は101〜500でよく、好ましくはpは5〜50である。
【0021】
X置換基及び/又は非イオン性基は、1又は複数の官能基で置換されていてもよい。官能基は好ましくは、親液性基を有する。官能基の例としては、限定するわけではないが、R’、OR’、COR’、COOR’、OCOR’、カルボキシレート、ハロゲン、CN、NR’、SOH、スルホネート、−OSO、NR’(COR’)、CONR’、NO、PO、ホスホネート、ホスフェート、N=NR’、SOR’、NSOR’を挙げることができる。ここでR’は、同じであっても異なっていてもよく、独立に水素、枝分かれした又は枝分かれしていないC〜C20の置換又は非置換の飽和又は不飽和炭化水素、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換アルキオアリール、又は置換若しくは非置換アリールアルキルである。
【0022】
アミン並びに第4アンモニウム基(−NR)及び第4ホスホニウム基(−PR)並びに第4スルホニウム基(−SR)は、官能基の代表的な例である。
【0023】
本発明の更なる態様では、改質顔料生成物は、以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料でよい:
−X[A]
ここでXは、芳香族基又はアルキル基を示し;Aは、炭素数が約1〜約12のアルキレンオキシド基を示し;pは、1〜500の整数を示し;且つRは、水素、置換若しくは非置換アルキル基、又は置換若しくは非置換芳香族基を示す。pが1よりも大きい場合、Aは同じであっても異なっていてもよい。Xは、置換されていても置換されていなくてもよく、エステル基、アミド基、エーテル基、カルボニル基、アリール基、及びアルキル基等のような置換基を含むことができる。置換基はAに結合又は架橋していてもよい。
【0024】
好ましいアルキレン基の例としては、限定するわけではないが、−CH−CH−O−;CH(CH)−CH−O−;−CHCHCH−O−;又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0025】
本発明のもう1つの態様では、改質顔料生成物は、以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料でよい:
−X−[((−CH−O−)-−R]
ここでXは、上述のようなものであり、例えば上述のような芳香族基又はアルキル基を示すことができ、mは1〜12、好ましくは2又は3の整数であり、pは1〜500の整数であり、且つRは上述のものであり、例えば水素、置換若しくは非置換アルキル基、又は置換若しくは非置換芳香族基でよい。R置換基の例としては、限定するわけではないが、水素、メチル、エチル、ブチル、又はプロピル基を挙げることができる。pは、1〜25、26〜50、51〜75、76〜100、及び101〜500でよく、好ましくは5〜50である。この式の特に好ましい基では、Xがベンゼン基であり、mが1〜5、好ましくは2又は3であり、pが5〜50、より好ましくは44〜45であり、且つRが水素又はメチル基である。もう1つの好ましい基では、mが2、pが7、Rがメチル基であり、且つXがベンゼン基である。
【0026】
本発明の更にもう1つの態様では、改質顔料生成物は、以下の式を有する少なくとも1つのポリマー基が結合した顔料でよい:
−X−[ポリマー]R
ここでXは、上述のようなものであり、例えば上述のような少なくとも1種の芳香族基又は少なくとも1種のアルキル基を示すことができ、「ポリマー」は、反復モノマー基若しくは複数モノマー基又はそれらの両方を含むことができ、随意に少なくとも1つのX’基を有する。この「ポリマー」は、追加の基で置換されていても置換されていなくてもよく、Rは上述のものであり、例えば水素、結合、置換若しくは非置換アルキル基、又は置換若しくは非置換芳香族基を示すことができる。Xがアルキル基を示す場合、「ポリマー」は好ましくはイオン性基又はイオン化可能基を持たない。X’は、芳香族基又はアルキル基を示し、それぞれのX’及びXは、同じであっても異なっていてもよい。この「ポリマー」を構成する全モノマー反復単位は、約500モノマー反復単位以下である。X及び/又はX’は、置換されていても置換されていなくてもよく、エステル基、アミド基、及びエーテル基等のような置換基を含むことができる。置換基は、「ポリマー」に架橋してもよい。また、Rが結合を表す場合、利用可能な結合は顔料に結合していてもよい。この式のXがアルキル基を表す場合、ポリマー基はイオン性基又はイオン化可能基を持たないことが好ましい。ポリマー基は、顔料に結合することができる任意のポリマー基でよい。
【0027】
本発明の目的及び直前のこの式に関して、「ポリマー」を構成する1又は複数のポリマー基が存在することができる。このポリマー基は、熱可塑性ポリマー基又は熱硬化性ポリマー基でよい。更にポリマー基は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、及び/又は任意の数の異なる反復単位を含むポリマーでよい。更に、本発明のポリマー基は、任意のタイプのポリマー基、例えばランダムポリマー、交互ポリマー、グラフトポリマー、ブロックポリマー、星状ポリマー、及び/又はくし状ポリマーでよい。本発明で使用するポリマー基は、1又は複数のポリブレンドでもよい。ポリマー基は、相互貫通(interpenetrating)ポリマーネットワーク(IPN);同時相互貫通ポリマーネットワーク(SIN);又は相互貫通弾性ネットワーク(IEN)でよい。
【0028】
ポリマー基の特定の例としては、限定するわけではないが、線状高分子、例えばポリエチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリカプロラクタム(ナイロン)、及びポリイソプレン等を挙げることができる。本発明のポリマー基の他の一般的な分類は、ポリアミド、ポリカーボネート、高分子電解質、ポリエステル、ポリエーテル、(ポリヒドロキシ)ベンゼン、ポリイミド、硫黄含有ポリマー(例えばポリスルフィド、(ポリフェニレン)スルフィド、及びポリスルホン)、ポリオレフィン、ポリメチルベンゼン、ポリスチレン、及びスチレンコポリマー(ABSを含む)、アセタールポリマー、アクリルポリマー、アクリロニトリルポリマー及びコポリマー、ハロゲン含有ポリオレフィン(例えばポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデン)、フルオロポリマー、イオノマー、ケトン基を有するポリマー、液晶ポリマー、ポリアミド−イミド、オレフィン2重結合を有するポリマー(例えば、ポリブタジエン、ポリジシクロペンタジエン)、ポリオレフィンコポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリウレタン、及び熱可塑性エラストマー等である。
【0029】
一般に、Encyclopedia of Chemical Technology,KIRK−OTHMER(1982)p.328〜887、及びModern Plastics Encyclopedia ’98p.B−3〜B−210、及びC.A.Danielsの「Polymers:Structure and Properties」米国ペンシルバニア州ランカスターのTechnomic出版で示されているポリマー基は、本発明のポリマー基として使用することができる。ここでこれら全ての文献は、ここで参照することによってその全てを本明細書の記載に含める。
【0030】
本発明のポリマー基は、様々な様式で調製することができ、そのような様式は当業者に既知である。先に参考したKIRK−OTHER部分、Modern Plastics Encyclopedia、及びC.A.Danielsの文献は、これらのポリマーを調製することができる様式を示している。
【0031】
ポリマー基は好ましくは、ポリオレフィン基、ポリウレタン基、ポリスチレン基、ポリアクリレート基、ポリアミド基、ポリエステル基、又はそれらの混合物である。R基の例は、上述のものと同じでよい。pは、1〜25、26〜50、51〜75、76〜100、101〜500でよく、好ましくは1〜100、より好ましくは5〜50である。
【0032】
改質する顔料は、限定するわけではないが、インク組成物(インクジェットインク組成物を含む)、コーティング組成物(ペイント配合物を含む)、液体及び固体トナー、フィルム、プラスチック、及びゴム等で従来使用されている顔料である。
【0033】
この例としては、限定するわけではないが、黒色顔料(例えばカーボンブラックのようなカーボン生成物)及び他の有色顔料(例えば、ポリマー及び有機顔料)を挙げることができる。
【0034】
所望の有色顔料は、様々な従来の有色顔料から選択することができる。有色顔料は、青色、黒色、白色、茶色、シアン 色、緑色、紫色、マゼンタ色、赤色、黄色、並びにそれらの混合でよい。有色顔料の適当な分類としては、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、ヘテロ環イエロー、キナクリドン、及び(チオ)インディゴイドを挙げることができる。フタロシアンブルーの代表的な例としては、銅フタロシアニンブルー及びその誘導体(ピグメントブルー15)を挙げることができる。キナクリドンの代表的な例としては、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19、及びピグメントバイオレット42を挙げることができる。アントラキノンの代表的な例としては、ピグメントレッド43、ピグメントレッド194(ペリノンレッド)、ピグメントレッド216(臭化ピアントロンレッド)、及びピグメントレッド226(ピアントロンレッド)を挙げることができる。ペリレンの代表的な例としては、ピグメントレッド123(ベルミリオン)、ピグメントレッド149(スカーレット)、ピグメントレッド179(マロン)、ピグメントレッド190(レッド)、ピグメントバイオレット、ピグメントレッド189(イエローシェイドレッド)、及びピグメントレッド224を挙げることができる。チオインディゴイドの代表的な例としては、ピグメントレッド86、ピグメントレッド87、ピグメントレッド88、ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、ピグメントバイオレット36、及びピグメントバイオレット38を挙げることができる。ヘテロ環イエローの代表的な例としては、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー65、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー、ピグメントイエロー117、ピグメントイエロー128、及びピグメントイエロー138を挙げることができる。そのような顔料は、多くの供給者から粉末又は圧縮ケークの形で商業的に入手可能である。この供給者としては、BASF社、Engelhard社、及びSun Chemical社を挙げることができる。他の適当な有色顔料の例は、Colour Index、第3版(The Society of Dyers and Colourists、1982年)で示されている。黒色顔料の代表的な例としては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、及びランプブラックのような様々なカーボンブラック(ピグメントブラック7)を挙げることができ、これは例えば、Regal(登録商標)、Black Pearls(登録商標)、Elftex(登録商標)、Monarch(登録商標)、Mogul(登録商標)、及びVulcan(登録商標)(Cabot社から入手可能)(例えばBlack Pearls(登録商標)2000、Black Pearls(登録商標)1400、Black Pearls(登録商標)1300、Black Pearls(登録商標)1100、Black Pearls(登録商標)1000、Black Pearls(登録商標)900、Black Pearls(登録商標)880、Black Pearls(登録商標)800、Black Pearls(登録商標)700、Black Pearls(登録商標)L、Elftex(登録商標)8、Monarch(登録商標)1400、Monarch(登録商標)1300、Monarch(登録商標)1100、Monarch(登録商標)1000、Monarch(登録商標)900、Monarch(登録商標)880、Monarch(登録商標)800、Monarch(登録商標)700、Mogul(登録商標)L、Regal(登録商標)330、Regal(登録商標)400、Vulcan(登録商標)P)である。他の適当なカーボンブラックとしては限定するわけではないが、Printex 40、Printex 80、Printex 300、Printex L、Printex U、Printex V、Special Black 4、Special Black 5、FW 200、(Degussa社から入手可能)、Raven 780、Raven 890、Raven 1020、Raven 1040、Raven 1255、Raven 1500、Raven 5000、Raven 5250(Columbian Chemical社から入手可能)、並びにMA100及びMA440(三菱化学から入手可能)を挙げることができる。典型的な有色顔料のBET表面積は大きく、これは窒素吸着によって測定する。有色顔料の表面積は、好ましくは85m/g又はそれ以上、より好ましくは100m/g又はそれ以上であり、これは比較的小さい一次/凝集体粒度に対応している。そのような表面積は、比較的均一な分散及び顔料表面における処理剤の有効レベルをもたらすこと、並びに後処理技術の後での表面を改質された有色顔料の収率を比較的大きくすることが見いだされている。有色顔料の好ましい比較的大きい表面積(従って対応する比較的小さい粒度)が容易には得られない場合、有色顔料に従来の微細化又は粒度減少技術、例えばボールミル処理又はジェットミル処理を行って、顔料の粒度を小さくして所望の粒度にすることが当業者に知られている。
【0035】
ここで使用する場合、カーボン生成物とは、好ましくはジアゾニウム塩と反応して、上述の改質カーボン生成物を形成することができるものである。カーボンは、結晶タイプ又はアモルファスタイプのものでよい。この例としては、限定するわけではないが、グラファイト、カーボンブラック、ガラス質カーボン、カーボンファイバー、活性炭、及び活性カーボンを挙げることができる。上述のものは微細化されていることが好ましく、また様々なカーボンの混合物を使用することが可能である。
【0036】
また、所望の用途で使用する任意の従来の量の顔料が、本発明の組成物中に存在していてよい。好ましくは、例えばインク組成物に関して、顔料はインク組成物の重量に基づいて、1wt%〜約25wt%、より好ましくは約3wt%〜約10wt%の量で存在していてよい。
【0037】
本発明の目的のために、1又は複数のタイプの化学基を、同じ及び/又は異なる顔料に結合させることができる。
【0038】
改質顔料生成物は、液体反応媒体中において上述の顔料をジアゾニウム塩と反応させて、少なくとも1つの基を顔料の表面に結合させることによって調製することができる。好ましい反応媒体としては、水、水を含有する任意の媒体、及びアルコールを含有する任意の媒体を挙げることができる。水はもっとも好ましい媒体である。
【0039】
上述の改質顔料生成物を調製するために、ジアゾニウム塩は十分に安定で顔料との反応を可能にすることのみが必要である。従って、ジアゾニウム塩が不安定であり分解されると考えられる場合をのぞいて、いくらかのジアゾニウム塩で反応を行うことができる。いくらかの分解プロセスは、顔料とジアゾニウム塩との反応に競合し、顔料に結合する基の合計数を減少させることがある。更に、反応は、多くのジアゾニウム塩が分解される傾向がある高温で行うこともできる。高温は、反応媒体中でのジアゾニウム塩の溶解性を有利に増加させ、処理の間の取り扱い性を改良することもできる。顔料は、希釈されて容易に攪拌される水性スラリーとして又は比較的濃縮されていて良く混合された水性スラリーとして存在する場合に、ジアゾニウム塩と反応することができる。
【0040】
改質顔料生成物を調製する好ましい方法は、改質する顔料のサイズを小さくして、特定の最終的な用途に望ましいサイズにすることを含む。当然に、顔料が既に適当なサイズである場合、顔料のサイズを小さくする必要はない。一般に、顔料のサイズは、特定の最終用途のために従来使用されている顔料のサイズと同じでよい。例えば、顔料の平均サイズは約10μm又はそれ未満、好ましくは約5μm又はそれ未満でよい。例えば、インクジェットインクの用途では、平均顔料粒度は好ましくは約1μm未満、より好ましくは約0.5μm未満(例えば好ましい範囲は約0.01μm〜約1μm未満)であり、コーティング、トナー、ポリマー、及びゴムの用途では好ましくは約10μm未満である。改質する顔料のサイズを小さくすることが好ましい場合、サイズを小さくする任意の方法を使用することができる。この方法は例えば、T.C.Pattonの「Paint Flow and Pigment Dispersion」第2版,Wiley、米国ニューヨーク州(1979年)で説明されるようなものであり、この文献はここで参照することにより本明細書の記載に含める。
【0041】
上述の式を有する1又は複数の基を結合するために、界面活性剤又はポリマーを導入すること又は顔料に接触させることができる。界面活性剤又はポリマーは、少なくとも1つの第1アミンを有する有機基又はポリマー基を含む。十分な時間を提供して、界面活性剤又はポリマーを顔料に吸着させることが好ましい。好ましくは、吸着の後で、米国特許第5,571,311号、同第5,630,868号、及び同第5,554,739号、並びにPCT国際公開第96/18688号明細書で説明されるようにして、ジアゾニウム塩反応を行うことができる。これらの特許明細書はここで参照することによりその全てを本明細書の記載に含める。より詳細には、界面活性剤又はポリマーを顔料に結合させる好ましい手段は、溶媒(例えば水性又は非水性)、好ましくは水の存在下で、顔料を磨砕すること又は他の適当な機械的若しくは化学的手段によってサイズを小さくすることである。界面活性剤又はポリマーは、サイズを小さくするこの工程の間に存在してもよい。あるいは、界面活性剤又はポリマーは、サイズを小さくする工程の後で加えることができる。亜硝酸水溶液及び酸を、別々に又は同時に加えて、ジアゾニウム反応をもたらし、顔料と反応するジアゾニウム塩を作る。このジアゾニウム塩の生成は、顔料の存在下で行うことが好ましい。
【0042】
界面活性剤又はポリマーは、ジアゾニウム反応によって顔料に結合させることができる任意の基でよい。より詳細には、界面活性剤又はポリマーは典型的に、上述の式で挙げた芳香族基又はアルキル基(例えば、X置換基)のようなポリマー基又は有機基に結合した第1アミン基を典型的に持つ。ジアゾニウム反応では、第1アミン基が反応して窒素ガスまたは他の副生成物を作り、この反応で芳香族基又はアルキル基のような基を顔料に結合させる。
【0043】
典型的に、当業者に既知の技術を使用して、既知の界面活性剤又はポリマーを改質し、第1アミンを有するようにすることができる。この技術は例えば、芳香族基又はアルキル基と界面活性剤又はポリマーを用いるエステル化、及び芳香族基又はアルキル基上のニトロ基の、対応する第1アミン基への還元である。界面活性剤又はポリマーのニトロ化そしてその後の還元、又は界面活性剤又はポリマーのアミノ化は、使用することができるいくらかの他の技術である。界面活性剤は、様々な以下の商標名のものを商業的に入手することができる。これは例えば、PLURONIC(登録商標)系列(BASF社、米国ニュージャージー州、Parsippany)、TETRONIC(登録商標)系列(BASF社、米国ニュージャージー州、Parsippany)、AROUAD(登録商標)系列(Akzo Chemical社、米国イリノイ州シカゴ)、TRITON(登録商標)系列(Union Carbide社、米国コネティカット州Danbury)SURFONIC(登録商標)系列(Texaco Chemical社、米国テキサス州ヒューストン)、ETHOQUAD(登録商標)系列(Akzo Chemical社、米国イリノイ州シカゴ)、ARMEEN(登録商標)系列(Akzo Chemical社、米国イリノイ州シカゴ)、ICONOL(登録商標)系列(BASF社、米国ニュージャージー州、Parsippany)、SURFYNOL(登録商標)系列(Air Products and Chemicals、米国ペンシルバニア州アレンタウン)及びETHOMEEN(登録商標)系列(Akzo Chemical社、米国イリノイ州シカゴ)である。
【0044】
本発明で使用することが適当な他の界面活性剤は、例えば、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Thechnology、第3版、Vol.22,p.332〜386、及び入手可能な製造文献で示されており、これはMcCutcheonのEmulsifiers & Detergents,NorthAmerican and International Edition(McCutcheon Division社、Mc出版、1991);Ash,The Condensed Encyclopedia of Surfactants(Chemical Publishing社、1989);及びAsh,What Every Chemical Technologist Want to Know About…Emulsifiers and Wetting Agents,Vol.I(Chemical Publishing社、1988)を含む。これら全ての文献はここで参照することによって、本明細書の記載に含める。
【0045】
本発明のために、上述のような1又は複数の界面活性剤が存在していてもよい。更に、1又は複数の界面活性剤を1又は複数の上述のポリマー基と組み合わせることができる。
【0046】
顔料に結合する様々な基の処理レベルは、任意の量でよく、好ましくは約0.10〜約50μmol/m、より好ましくは約0.30〜約10μmol/mである。
【0047】
改質顔料粒子にその後、清浄化処理(例えば、洗浄又は沈降)を行うことができる。これは実質的に全ての過剰な反応体及び結合していない分散剤を除去する。改質顔料生成物を含有する残留スラリーを、水性又は非水性媒体に加え、好ましくはわずかに又は穏やかに攪拌して、上述のような様々な最終用途のための安定な(静電気的、立体的、及び/又は電気立体的に)分散体を作ることができる。
【0048】
顔料生成物は、ろ過、遠心分離、又はこれら2つの組み合わせのような洗浄によって純化して、未反応原料、副生成塩、及び他の反応不純物を除去することができる。生成物は、例えば蒸発によって分離することもでき、又は当業者に既知の技術を使用して、ろ過及び乾燥によって回収することができる。本発明の顔料の分散体は、更に純化又は分級して、製造プロセスの結果として分散体中に共に存在することがある不純物及び他の望ましくない遊離種を除去することができる。好ましい態様では、カチオン顔料分散体に、遠心分離のような分級工程を行って、サイズが約1.0μmよりも大きい粒子、好ましくはサイズが約0.5μmよりも大きい粒子を実質的に除去する。更に、好ましくは分散体を純化して、未反応処理剤のような全ての好ましくない遊離種を除去する。限外ろ過/浸透ろ過を使用する膜又はイオン交換の既知の技術を使用して分散体を純化し、実質的な量の遊離イオンの未反応種を除去することができる。また好ましくは、随意の対イオン交換を行い、それによって表面改質顔料の一部を構成する対イオンを、他の対イオンで交換又は置換することができる。これは、限外ろ過、逆浸透、及びイオン交換カラム等のような既知のイオン交換技術を利用する。交換することができる特定の対イオンの例としては、限定するわけではないが、Na、K、Li、NH、Ca2+、Mg2+、Cl、NO、NO、アセテート、カルボキシレート、及びBrを挙げることができる。そのような追加の分級及び純化方法は、1999年1月29日付出願の米国特許出願第09/240,291号明細書でより完全に開示されている。この特許明細書の記載は、ここで参照することによりその全てを本明細書の記載に含める。
【0049】
改質顔料生成物の使用
本発明の改質顔料生成物は、カーボンブラックのような従来の顔料と同じ用途で使用することができる。しかしながら、顔料に結合している基を使用して、特定の用途のために所定の顔料の性質を改質及び改良することができる。
【0050】
本発明の改質顔料生成物は、多くの最終的な用途で使用することができる。これらの用途としては例えば、プラスチック組成物、水性及び非水性インク、水性及び非水性コーティング、ゴム組成物、トナー組成物、紙生成物、並びに布帛及び繊維組成物を挙げることができる。以下の段落は、これらの用途を一般的に示し、それぞれの例を示す。
【0051】
本発明の改質顔料生成物は、プラスチック材料の着色剤として使用することができる。本発明の改質顔料生成物を使用して、プラスチック材料に伝導性を与えることもできる。本発明の改質顔料生成物は、対応する未処理顔料と比較して、分散速度を増加させること又は分散性を改良することができる。これらの改良はそれぞれ、プラスチックの製造及び完成生成物の価格のそれぞれに関して経済的な利点を与える。本発明の改質顔料生成物を使用すると、プラスチックの耐衝撃性を改良することができる。従って本発明は、プラスチック及び改質顔料生成物を有する改良されたプラスチック組成物に関する。
【0052】
従来の顔料と同様に、改質顔料生成物は様々なプラスチックで使用することができる。このプラスチックとしては、限定するわけではないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又はエンジニアリング材料から作られる樹脂、例えば複合材料を挙げることができる。典型的な熱可塑性樹脂としては、(1)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂;(2)アセタール樹脂;(3)アクリル樹脂;(4)セルロース;(5)塩化ポリエーテル;(6)フルオロカーボン、例えばポリテトラフルオロエチレン(TFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、及びフッ素化エチレンプロピレン(FEP);(7)ナイロン(ポリアミド);(8)ポリカーボネート;(9)ポリエチレン(コポリマーを含む);(10)ポリプロピレン(コポリマーを含む);(11)ポリスチレン;(12)ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル);(13)熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレート;(14)ポリフェニレンエーテルアロイ;並びに上述のものとゴム改質剤とのブレンド及びアロイを挙げることができる。典型的な熱硬化性樹脂としては、(1)アルキド樹脂;(2)アリル樹脂;(3)アミノ樹脂(メラミン及び尿素樹脂);(4)エポキシ樹脂;(5)フェノール樹脂;(6)ポリエステル;(7)シリコーン;並びに(8)ウレタンを挙げることができる。
【0053】
一般に、改質顔料生成物は、他の顔料と同様に、使用するプラスチックに加えて、プラスチックプレミックスを作る。これは例えば、乾燥混合又は溶融段階において行うことができる。改質顔料生成物を溶媒中に加えることによって、プラスチック中に又はプラスチックに組み合わせることができる。ここでは、プラスチックは可溶性又は部分的に可溶性であり、溶媒は後で除去する(例えば蒸発による)。本発明の改質顔料生成物は、プラスチック組成物中において他の従来の添加剤と組み合わせて使用することができる。本発明では、プラスチック組成物という用語は、限定するわけではないが、任意のプラスチックの材料、物品、品、表面、布帛、シート、及びフィルム等を含む。例えばプラスチック材料としては、自動車部品、家の側面、スイミングプールのライニング、屋根材料、パッケージ材料、合成繊維、食品、及び貯蔵容器、光を吸収する用途(例えばバーコード)、及び他の様々な家庭用又は工業用の物品を挙げることができる。
【0054】
本発明の改質顔料生成物は、水性及び非水性のインクの用途でも有益である。従って本発明は、インクビヒクル及び改質顔料生成物を含むインク配合物を提供する。他の既知のインク添加剤を、このインク配合物に組み合わせることができる。典型的なインクとしては、限定するわけではないが、リトグラフインク、凸版印刷インク 、フレキソ印刷インク、グラビアインク、映写用インク、相変化インクジェットインク及びインクジェットインクの用途を挙げることができる。
【0055】
一般に、インクは4つの基本的な成分からなる。これらの成分は(1)着色剤、(2)印刷の間にキャリアーとして機能するビヒクル又はワニス、(3)印刷性及び乾燥性などを改良する添加剤、並びに(4)粘度、乾燥性、及び他のインク成分の相溶性を調節する溶媒である。インクの性質、調製、及び使用に関する一般的な議論については、The Printing Manual、第5版、Leach等監修(Chapman and Hall、1993年)を参照。これはここで参照することによって本明細書の記載に含める。例えば、米国特許第2,833,736号、同第3,607,813号、同第4,104,833号、同第4,770,706号、及び同第5,026,755号でも、様々なインク組成物が開示されている。これら特許明細書は、ここで参照することによりその全てを本発明の記載に含める。
【0056】
予備分散体又は固体のいずれかとしての本発明の改質顔料生成物は、標準の技術を使用して、インク配合物に組み入れることができる。水に分散可能又は溶媒に分散可能な本発明の改質顔料生成物の使用は、他の従来の顔料で一般に使用される磨砕工程を少なくすること又はなくすことによって、かなりの利益を提供し及び費用を節約することができる。
【0057】
フレキソ印刷インクは、一連のインク組成物を代表する。フレキソ印刷インクは一般に、着色剤、バインダー、及び溶媒を含有する。本発明の改質顔料生成物は、フレキソ印刷インクの着色剤として有益である。
【0058】
本発明の改質顔料生成物は、新しいインクで使用することができる。例えば、新しいインク組成物は、インクビヒクル(例えば水)、本発明の改質顔料生成物、樹脂、及び随意の従来の添加剤、例えば消泡剤又は界面活性剤を含むことができる。
【0059】
本発明の改質顔料生成物は、相変化(高温溶融)インク中で使用することもできる。相変化インクは一般に、少なくとも1種の着色剤と少なくとも1種の相変化キャリアー又はワックスキャリアー(例えば、アルカノールアミド及びポリエチレングリコールの混合物、又はモノアミド化合物及びテトラアミド化合物の混合物のような脂肪アミド含有材料)を含有する。相変化インクは、周囲温度では固相であり、印刷機の高い操作温度では液相である。インクを加熱すると、インクは溶融して滴状で射出することができる低粘性流体を形成する。ジェットを使用すると、加熱された滴は基材に衝突して、周囲温度まで冷却されて均一な厚さのフィルムを形成する。その後の、滴の基材への固着も、使用する印刷機のタイプに依存して提供することができる。改質顔料生成物の使用は、従来の顔料と比較して、分散体の安定性及びキャリアーの相溶性で有意の利益を提供することができ、染料を超える光堅牢性を提供することができる。
【0060】
本発明の改質顔料は、リソグラフ又はフレキソグラフ印刷において使用することもできる。例えば、印刷プロセスにおいて使用するインク又は液溜め溶液は、本発明の改質顔料を含有することができる。
【0061】
本発明の改質顔料生成物は、リソグラフ印刷プレート、例えば赤外線又は近赤外線レーザーで画像をもたらすことができる印刷プレートの製造で使用することもできる。典型的に、波長が約800〜1,100nmの照射にプレートを露出させると、画像がもたらされる。一般に、赤外線又は近赤外線レーザーで画像を描くことができるリソグラフ印刷プレートは少なくとも、粒状金属又はポリエステルのプレート又はシート状基材と、その上にコーティングされた照射を吸収する層とを有する。基材又はコーティングされるプレートの表面のための保護層を、本発明で使用することもできる。基材上にコーティングする場合、保護層は付着促進プライマーとしても機能する。他の層を使用して、例えば層と耐久性の印刷プレートとの付着を改良することができる。照射吸収層は、本発明の改質顔料生成物と、他の従来の成分、例えば樹脂及びバインダーを含有することができる。画像を描く工程では、リソグラフ印刷プレートを選択的に、レーザー源、又は照射吸収層若しくはそれに隣接する層を除去若しくは化学的に改質することができる他の供給源に露出させる。レーザー源は、印刷プレートにパターンを作り、照射吸収層のパターンを示す部分のみを除去又は改質する。その後で、このパターンを示す画像が描かれた残留層を除去することができる溶媒に印刷プレートをさらすことによって、印刷プレートを更に展開することができる。そのような印刷プレートに関する様々な従来の組成物及び技術の詳細は、米国特許第5,493,971号、ヨーロッパ特許出願公開第0,803,771A1号、同第0,770,494A2号、同第0,770,495A1号、並びにPCT国際公開第98/31550号明細書、並びにここで参照されている特許及び文献等で説明されている。これらの文献は、ここで参照することによりその記載の全てを本明細書の記載に含める。
【0062】
本発明の改質顔料生成物は、ペイント又は仕上げ剤のようなコーティング組成物中において使用することもできる。従って、本発明の1つの態様は、水性又は非水性ビヒクル、樹脂又はバインダー、及び改質顔料生成物を含有するコーティング組成物である。他の既知のコーティング添加剤を、このコーティング組成物に加えることもできる。例えば、McGraw−Hill Encyclopedia of Science&Technology、第5版(McGraw−Hill、1982)を参照。この文献はここで参照して本明細書の記載に含める。また、米国特許第5,051,464号、同第5,319,044号、同第5,204,404号、同第5,051,464号、同第4,692,481号、同第5,356,973号、同第5,314,945号、同第5,266,406号、及び同第5,266,361号を参照。これらここで参照してその全ての本明細書の記載に含める。
【0063】
予備分散体又は固体としての本発明の改質顔料生成物は、標準の技術を使用してコーティング組成物に組み込むことができる。水又は溶媒に分散可能な改質顔料生成物の使用は、他の従来の顔料で一般に使用される磨砕工程を減少させ又はなくすことによって、かなりの利点を提供し、またコストを節約する。
【0064】
本発明の改質生成物は、紙組成物の調製で使用することもできる。従って本発明は、紙パルプ及び少なくとも1種の改質顔料生成物を含有する紙生成物に関する。
【0065】
固体又は予備分散体の形の本発明の改質顔料生成物は、従来の顔料のように標準の紙製造技術を使用して、紙パルプに組み入れることができる。水又は溶媒に分散可能な上述の改質顔料生成物の使用は、他の従来の顔料を分散させるために一般に使用される工程を少なくすること又はなくすことによって、かなりの利点を提供し、またコストを節約することができる。
【0066】
本発明の紙生成物には、他の既知の紙添加剤、例えばサイズ剤、保持助剤、定着剤、充填剤、消泡剤、及び解凝集剤等を組み合わせることができる。有利には、保持助剤及び酸性又はアルカリ性のサイズ剤を使用する場合、未処理顔料と比較して、水又は溶媒に分散可能な上述の改質顔料生成物は、低い含有レベルでより効果的に維持される。
【0067】
本発明の改質顔料生成物は、ゴム組成物の調製及び配合において、従来の顔料のように、顔料、充填剤、及び強化剤として使用することもできる。従って本発明は、少なくとも1種のゴム又はエラストマーと少なくとも1種の改質顔料とを含有するゴム又はエラストマー組成物に関する。
【0068】
例えば、カーボンブラックはタイヤでのように、ゴムの加硫物の調製において有益である。タイヤの調製においてカーボンブラックを使用することは一般に望ましく、これは満足な耐摩耗性及びヒステリシス性能を示すタイヤをもたらす。タイヤのトレッド摩耗性は、耐摩耗性に関連する。耐摩耗性が比較的大きいと、タイヤが摩耗しきるまでに比較的長い距離で使用することができる。ゴムコンパウンドのヒステリシスとは、ゴムコンパウンドを変形させるエネルギーと、ゴムコンパウンドが変形していない初期状態に戻るときに解放するエネルギーとの差を意味している。ヒステリシスが比較的小さいタイヤは、ころがり抵抗を減少させ、従ってそのタイヤを使用する自動車の燃料消費を減少させることができる。従って、比較的大きい耐摩耗性と比較的小さいヒステリシスとをタイヤに与えることができるカーボンブラック生成物を得ることが、特に望ましい。
【0069】
本発明の改質顔料生成物、好ましくは改質カーボンブラック生成物は、天然ゴム及び合成ゴム組成物の両方、又は天然ゴムと合成ゴムの混合物で有益である。芳香族スルフィド基を有するカーボンブラック生成物は、この用途のために好ましい。本発明のカーボンブラック生成物は、硫黄で硬化させるゴム組成物又は過酸化水素で硬化させるゴム組成物において使用することができる。
【0070】
本発明の改質顔料生成物は、通常の手段、例えば混練によって、天然又は合成ゴムと混合することもできる。一般に、ゴム100重量部に対して、約10〜約250重量部の量の改質顔料生成物を使用して、十分な程度の強化を与えることができる。しかしながら、100重量部のゴムに対して約20〜約100重量部の量のカーボンブラックを使用することが好ましく、特に好ましくは100重量部のゴムに対して約40〜約80重量部のカーボンブラックを使用する。
【0071】
本発明で使用することが適当なゴムは、天然ゴム及びその誘導体、例えば塩化ゴムである。本発明の改質顔料生成物は、合成ゴムと共に使用することもできる。この合成ゴムとしては、約10〜70wt%のスチレンと約90〜約30wt%のブタジエンとのコポリマー、例えば19部のスチレンと81部のブタジエンとのコポリマー、30部のスチレンと70部のブタジエンとのコポリマー、43部のスチレンと57部のブタジエンとのコポリマー、50部のスチレンと50部のブタジエンとのコポリマー;共役ジエンのポリマー及びコポリマー、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、及びポリクロロプレン等、並びにそのような共役ジエンとエチレン基を有するコポリマー化可能なモノマーとのコポリマーを挙げることができる。このコポリマー化可能なモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アクリロニトリル、2−ビニルピリジン、5−メチル2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、アルキル置換アクリレート、ビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、メチルビニルエーテル、α−メチレンカルボン酸、並びにそれらのエステル及びアミド、例えばアクリル酸及びジアルキルアクリル酸アミドを挙げることができる。またエチレンと他の高αオレフィン、例えばプロピレン、ブテン−1、及びペンテン−1とのコポリマーを使用することも適当である。
【0072】
従って本発明のゴム組成物は、少なくとも1種のエラストマー、硬化剤、強化充填剤、カップリング剤、及び随意に様々な処理助剤、エキステンダー油、及び劣化防止剤を含むことができる。上述の例に加えて、限定するわけではないが、エラストマーとしては、1,3−ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、アクリロニトリル、エチレン、及びプロピレン等から作られたポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマー、及びターポリマー)を挙げることができる。これらのエラストマーは、DSCによって測定したガラス転移温度(Tg)が、−120℃〜0℃であることが好ましい。そのようなエラストマーの例としては、ポリ(ブタジエン)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、及びポリ(イソプレン)を挙げることができる。
【0073】
有利には、本発明の改質顔料生成物、特に改質カーボンブラック生成物は、それらを含有するゴム又はエラストマーの耐摩耗性を改良し及び/又はヒステリシスを減少させることができる。
【0074】
本発明の改質顔料生成物を使用して、繊維又は布帛を着色することもできる。この用途のための好ましい顔料生成物は、分散可能な改質顔料生成物である。従って本発明は、繊維又は布帛と改質顔料生成物とを有する繊維及び布帛組成物に関する。使用するのに適当な繊維としては、天然及び合成繊維、例えばコットン、ウール、シルク、リネン、ポリエステル、及びナイロンを挙げることができる。使用することが適当な布帛としては、天然及び合成繊維、例えばコットン、ウール、シルク、リネン、ポリエステル、及びナイロンを含む。好ましくは、コットン、ウール、シルク、及びリネンを含む天然繊維及び布帛を使用する。
【0075】
本発明の改質顔料生成物は、当該技術分野で既知の手段によって着色して、例えば直接染料及び酸染料と共に、繊維及ぶ布帛を着色することができる。また、改質顔料は紡糸技術、例えば湿式紡糸、乾燥紡糸、及び溶融紡糸技術によって繊維に組み込むことができる。染料での着色の一般的な議論については、Krik−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、Vol.8、p.280〜350「Dyes,Application and Evaluation」(John Wiles and Sons,1979年)を参照。この文献はここで参照することによって本明細書の記載に含める。水又は溶媒に分散可能な上述の改質顔料生成物の使用は、光堅牢性の着色剤でこれらの材料を着色する方法を提供する。
【0076】
本発明は、トナー樹脂粒子及び本発明の改質顔料粒子を含有するトナー組成物にも関する。米国特許第5,278,018号、同第5,510,221号、同第5,275,900号、同第5,571,654号、及び同第5,484,575号、並びにヨーロッパ特許出願公開第0270−066A1号明細書で示されるような従来の添加剤を使用することができる。これらの特許明細書はここで参照することによって本明細書の記載に含める。
【0077】
本発明は、水性又は非水性のビヒクル及び改質顔料生成物を含有するインクジェットインク組成物にも関する。従来の顔料と違って、インクジェットインクで使用する本発明の改質顔料生成物は、水性又は非水性のビヒクル中に分散させることが難しくない。改質顔料生成物は、従来の磨砕処理を必要とせず、また使用可能なインクを得るために必要な追加の分散剤も必要としない。好ましくは改質顔料生成物は、水又は他の媒体に顔料を容易に分散させるために、小さい剪断応力の攪拌又は混合のみを必要とする。
【0078】
上述の改質顔料生成物を使用すると、ビヒクル及び顔料としての安定的に分散した改質顔料生成物を含有するインクジェットインクの配合は、最少の成分及び処理工程で好ましく行うことができる。そのようなインクは、当該技術分野で既知のインクジェット印刷機で使用することもできる。好ましくは本発明のインクジェットインクでは、改質顔料生成物が、インクジェットインクの20%〜25%wt%又はそれ未満の量で存在する。改質されていない顔料と本発明の改質顔料生成物との混合物を含有するインクジェットインク組成物を使用することも、本発明の範囲内である。上述のような一般的な添加剤を分散体に加えて、インクジェットインクの性質を更に改良してもよい。
【0079】
特に、湿潤剤を加えて、インクジェットインクの水の蒸発速度を低下させて、閉塞を最少化することもできる。インクが乾燥し始めると、湿潤剤の濃度が高まって蒸発速度が低下する。湿潤剤は、インク及びこのインクでもたらされる印刷物の他の性質、例えば粘度、pH、表面張力、光学密度、及び印刷の質にも影響を与えることができる。好ましい湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、エーテル、カルボン酸、エステル、アルコール、有機硫化物、有機スルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ、エーテル誘導体、アミノアルコール、及びケトンを挙げることができる。
【0080】
ベンゾエート又はソルベート塩のような殺生物剤は、バクテリアの成長を妨げるのに重要である。バクテリアはしばしばインクノズルよりも大きく、閉塞及び他の問題をもたらすことがある。バインダーは、基材に付着して着色剤を紙上に保持する。この例としては、ポリエステル、ポリエステル−メラミン、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−アクリル酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−メタクリル酸コポリマー、スチレン−メタクリル酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−マレイン酸半エステルコポリマー、ビニルナフタレン−アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン−マレイン酸コポリマー、及びそれらの塩を挙げることができる。乾燥促進剤は、インクを紙上に配置した後のインクの蒸発を促進する。これらの例としては、ナトリウムラウリルスルフェート、N.N−ジエチル−m−トルアミド、シクロヘキシルピロリジノン、及びブチルカルビトールを挙げることができる。浸透剤、例えばアルコール、ナトリウムラウリルスルフェート、エステル、及びケトンは、インクが紙の表面に浸透することを可能にする。アルコールを使用して、液体インクの乾燥速度を増加させることができ、洗浄剤及びせっけんのような界面活性剤は、表面張力を減少させて、インクを基材上に広げる。
【0081】
更に、改質顔料生成物に基づくインクジェットインクをある種の染料と組み合わせて、色のバランスを変更し、光学密度を調節することができる。そのような染料としては、食品着色料、FD&C着色料、フタロシアニンテトラスルホン酸の誘導体、例えば銅フタロシアニン誘導体、テトラナトリウム塩、テトラアンモニウム塩、テトラカリウム塩、及びテトラリチウム塩等を挙げることができる。
【0082】
ポリマー又はオリゴマーを、改質顔料生成物に基づくインクに加えることもできる。添加したポリマー又はオリゴマーを架橋又は重合させると、そのようなインクで作られた画像を、水に不溶性にすることができる。
【0083】
更に、本発明の改質顔料生成物を使用するインクジェットインクの調製では、その後で、所望のサイズのフィルムを通すインクのろ過若しくは遠心分離又はこれら両方を使用して、より望ましい最終的な生成物を得ることができる。例えば所望に応じて、初めに3.0μmのフィルムでろ過し、そして1.0μmのフィルムでろ過することなどを行う。更に、インクジェットインク中の改質顔料生成物のサイズは、約2μm以下であることが好ましく、より好ましくは改質顔料生成物のサイズは1μm又はそれ未満である。
【0084】
有利には、本発明のインクジェットインクは、時間の経過及び幅広い温度に対して非常に安定であり、望ましい粘度及び表面張力を示し、印刷機では、本発明のインクジェットインクが、ある種のスチレン系アクリル樹脂を含有すると、良好な光学密度、印刷の明確さ、耐摩擦性、及び耐水性を得ることができる。例えば、1つのそのようなスチレン系アクリル樹脂は、分子量が約4,200、多分散性が約2、及び酸価が約215、軟化点が約128℃、及びTgが約67℃である。商業的に入手可能な例は、JONCRYL58アクリル(JONCRYLはJohnson Polymer,Racine Wis.の登録商標)であり、これはJoncryl680の溶液である。
【0085】
以下の説明によって本発明をより明確にする。これらは単に本発明を例示することを意図している。
【実施例】
【0086】
例1:界面活性剤吸着カーボンブラック分散体の調製
窒素表面積が200でDBPAが122g/100mlの様々な量(表1)のカーボンブラック、アミノ安息香酸及びポリエチレングリコールメチルエーテルのエステル生成物として説明されるMWが1000g/mol以下の非イオン性界面活性剤(ICI SurfactantsのIL−2798)、並びに蒸留水を共に混合して、ステンレス鋼小型磨砕装置(高さ5.24cm(2と1/16インチ)、内径5.32cm(2と3/32インチ))に入れた。200gの0.48cm(3/16インチ)ステンレス鋼ショットを加えて、磨砕装置に蓋をし、そしてRed Devil No.30−5100ペイント振盪装置に配置した。試料を一時間にわたって振盪して、その後で取り出し、ペイントフィルターを通してろ過して、スラリーとステンレス鋼ショットとを分けた。分散体の一部を、初期分散の後及び24時間後に、1μm未満の粒子の量について解析した。これは、較正された接眼レンズを具備するZeiss光学顕微鏡を使用して行う。1μm未満の粒子の量は、分散をさせた後の時間に関わらずに一定であることが分かった。結果は表1に示す。
【表1】

この例は、カーボンブラック、界面活性剤、及び水で機械的なエネルギーを使用して、安定な従来の分散体を調製できること、及び界面活性剤が存在しないとカーボンブラックは分散せず又は安定な分散体を作らないことを示している。
【0087】
例2:カーボンブラックに化学的に結合した界面活性剤の調製及び得られる分散体
試料1B〜Eを、パイレックスビーカー中の蒸留水に加え、70℃に加熱した。様々な量の亜硝酸ナトリウム(表2)を、磁気攪拌子を使用して素早く攪拌しながら、高温スラリーに加えた。1分以内に、スラリーは窒素ガスを発生し始めた。反応は1時間にわたって行った。表2は、使用した硝酸と亜硝酸ナトリウムの量、並びに得られた粒度を示している。1μm未満の粒子の量は、初期反応の後と24時間後で一定であった。使用した元々の試料1B〜Eは、ジアゾニウム反応の後では2B〜Eとして示している。
【表2】

【0088】
例3:水性塩媒体中の、化学的に結合した界面活性剤を有するカーボンブラック及び吸着した界面活性剤を有するカーボンブラックの分散安定性
試料1A〜E及び2B〜Eを蒸留水中で0.03%(最終的な分散体のw/w)以下に希釈し、試験管の様々な濃度の水性塩化ナトリウム溶液に加え、その後でよく振盪した。試料の安定性は、混合の24時間後に例1で説明された顕微鏡を使用して分散体の一部を調べることによって測定し、同じ時に試験管中の黒色分散体を視覚的に観察した。光学顕微鏡を使用して測定したときに、粒子の90%超が1μm超であり、カーボンブラック粒子が試験管中で沈殿している場合、試料は不安定であると考えられる。これら両方の現象は同時に起こっていることが分かった。試料の安定性は、塩化ナトリウム塩濃度に関して、表3で報告している。
【表3】

*安定な場合にはY、安定ではない場合にはNとしている。
この例は、界面活性剤を持たない及び吸着した界面活性剤を持つカーボンブラックは媒体に依存すること、及び塩化ナトリウム濃度が0.01Mを超える場合には、分散体が不安定になることを示している。最後に、この例は、界面活性剤が共有結合によってカーボンブラックの表面に結合している場合(化学的に結合している場合)には、得られる分散体は全ての塩濃度で安定であること、及び界面活性剤が吸着している場合と違って、界面活性剤は媒体と炭素表面との間で平衡になっていないことを示している。また、試料2C〜2Eを得る条件である十分な量の界面活性剤が、分散体の安定性を得るために必要である。吸着した又は結合した非イオン性界面活性剤による安定化の機構は、立体的なものでありイオン性のものではない。
【0089】
例4:非水性媒体中の、化学的に結合した界面活性剤を有するカーボンブラック及び吸着した界面活性剤を有するカーボンブラックの分散安定性
試料1A、1E、及び2Eを乾燥し、様々な非水性溶媒中に分散させて、得られる分散体の安定性への界面活性剤の影響を測定した。固定された試験管の液体媒体に固体を加え、手で良く振盪した。濃度及び方法は例3と同様である。結果は表4に示している。
【表4】

1=トリプロピレングリコールモノメチルエーテル
2=イソプロピルアルコール
3=メチルエチルケトン
4=塩化メチレン
この例は、共有結合した又は吸着した界面活性剤を含む黒色分散体が、様々な媒体中において安定であり、立体的に安定化されていることを示している。
【0090】
例5:化学的に結合した界面活性剤を有するカーボンブラック及び吸着した界面活性剤を有するカーボンブラックの分散体を含有するインクジェットインク
この例は、吸着した及び結合した界面活性剤を有するカーボンブラック分散体(試料1E及び2E)でインクジェットインクを製造できることを示している。Leed’s&Northrup(Honeywell)MicrotracUPA装置を使用して、カーボンブラック試料1E及び2Eの粒度を測定し、最終的に10%(w/w)の2−ピロリジノン、最終的に10%(w/w−インク)のエチレングリコール、最終的に4%(w/w−インク)のイソプロピルアルコール、及び蒸留水で構成される水性溶液に加えて(最終的に5%(w/w−インク))、混合した。このインクは、空にされて清浄化されたCanon BC−02カートリッジに入れて、Canon BubbleJet(R)4200インクジェットプリンターを使用して、Xerox4024二用途紙及びPloverボンド紙に印刷した。標準の界面活性剤を含まない試料1Aでは印刷されなかった。印刷物の光学密度は、MacBeth915光学密度計を使用して測定した。0.5mlの蒸留水を0.635cm(1/4インチ)の幅の印刷物に注いで、角度を45°にし、黒色が流れなくなるまでの時間を観察することによって、乾燥時間を求めた。結果は表5に示している。
【表5】

*MicrotracUPA装置を使用して測定した最大粒度
この例は、吸着した界面活性剤及び結合した界面活性剤を有するカーボンブラックの分散体で、インクジェットインクを作れることを示している。得られた印刷物は良好な光学密度及び印刷の耐水性を達成することができる。
【0091】
例6:化学的に結合した界面活性剤を有するカーボンブラック及び吸着した界面活性剤を有するカーボンブラックの分散体を含有するインクジェットインク
例5と同様な様式でインクジェットインクを製造して試験した。但し、2−ピロリドンの代わりに10%(w/w−インク)のジエチレングリコールを使用した。また、蛍光ペン(Avery HI−LITER(R)、シリーズNo.24−0XX)で得られた印刷物をこすって、蛍光ペンの汚れを調べた。この蛍光ペンで2回にわたって印刷物をこすって、黒色物の除去量を記録した。時間の関数として、乾燥時間を測定した。1mlの蒸留水を0.635cm(1/4インチ)の印刷した線に適用して、可視的な黒色の移動が起こらなくなる時間を記録した。結果は表6に示す。
【表6】

O.D=光学密度
この例は、例5と並んで、吸着した界面活性剤及び結合した界面活性剤を有するカーボンブラックの分散体でインクジェットインクを作れることを示している。得られる印刷物は適当な印刷密度と印刷の耐水性、並びに良好な蛍光ペンの防汚性を達成することができる。吸着しただけの界面活性剤を有する等価のカーボンブラック分散体でもたらした印刷物と比較すると、結合した界面活性剤を有するカーボンブラック分散体で得た印刷物は乾燥時間がかなり短い。
【0092】
例7:ポリマーの調製
この例の目的は、後に顔料に化学的に結合することができる第1アミンを有するポリマーの調製を説明することである。250mlの3つ首丸底フラスコに、温度計、均圧滴下漏斗、磁気撹拌子、及びKOH乾燥管付環流コンデンサーを具備させる。このフラスコを、磁気撹拌装置上の氷浴に入れる。4−ニトロベンゾイルクロリド(9.3g)及び50mlのトルエンを、初めにフラスコに加えた。その後、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPM、10.31g)、トルエン中のトリエチルアミン(100ml以下)、トルエン中のトリエチルアミン(100ml以下)の混合物を、滴下漏斗を通してフラスコに加えた。添加の後で、氷浴を取り除いて、加熱マントルを使用して反応体を90〜100°で4〜5時間にわたって環流した。反応混合物を室温まで冷却した後で、ブッフナー漏斗(定性フィルター紙、Whatman No.10を有する)に通して、ろ液を分離漏斗に入れた。これを、5%(w/w)の炭酸カリウムで2回洗浄し、5%塩化ナトリウムで1回洗浄し、そして硫酸ナトリウムで0.5時間にわたって乾燥した。乾燥剤は、コットン片を有するガラス漏斗を通して重力ろ過した。ろ液は、ロータリーエバポレーターに入れて、トルエンを除去し、固体(4−ニトロベンゾエートトリプロピレングリコールモノメチルエーテルエステル;NBT)を残した。ニトロエステルはNMRによって同定した(クロロホルムを用いるVarian400MgHz、モデル400VXR NMR装置を使用)。
【0093】
NBT(17.8g)を、酸化プラチナ(0.1g)を保持している水素化フラスコ中においてメタノール(100ml)に溶解した。フラスコは水素化装置(Parr社)に配置し、試料を還元して4−アミノベンゾエートトリプロピレングリコールモノメチルエーテルエステル(ABT)をもたらした(黄色−赤色−白黄色の色の変化によって示される)。アミンエステルの同定は、上述のNMR法及び条件を使用して行った。
【0094】
例8:化学的にカーボンブラックに結合したポリマーの調製及び得られる分散体
この例の目的は、化学的に結合したポリマーを有するカーボン生成物を調製することである。例1で説明されるカーボンブラック(12.3g)を、塩酸(5Mの濃度で0.5ml)及び蒸留水(61g)の溶液と混合した。アセトン(44g)溶液中の例7で説明されるABT(2.0g)を、カーボンブラックスラリーに混合した。次に、蒸留水(1.25g)溶液中の亜硝酸ナトリウム(0.42g)をこのスラリーに加えて、2時間にわたって撹拌して、窒素ガスを放出させた。スラリーは3時間にわたって35〜40℃に加熱し、その後で室温まで冷却して、例7で説明されるブッフナー漏斗及びろ紙を使用してろ過した。スラリーは脱イオン水で洗浄して乾燥し、メタノールを使用して16時間までソックスレー抽出し、再び乾燥した。ポリマー−カーボンブラック固体(6g)を34gのTPMに加えて、小型磨砕装置を使用して分散させた。この方法は例1で説明している。この生成物は、試料8とする。
【0095】
例9:カーボンブラック分散体の調製
この例の目的は、カーボンブラックの分散体、及び化学的に結合していないABTエステルを有するカーボンブラックの分散体を調製することである。例1で説明されるカーボンブラック6gを、TPM(34g)に加え、小型磨砕装置を使用して磨砕する。この方法は、例1で説明している。この生成物は、試料9Aとする。更に、同じカーボンブラック(5.2g)及びABT(0.8g)及びTPM(34g)も同様に磨砕した。この生成物は試料9Bとする。
【0096】
例10:化学的にカーボンブラック顔料に結合したポリマーを含有するインクの性質
この例の目的は、異なるカーボンブラック生成物を含有するインクの性質を比較することである。1つのインクは、化学的に結合したポリマーを有するカーボンブラック(試料8)を含有しており、もう1つのインクは、カーボンブラック(試料9A)を含有しており、最後のインクは、カーボンブラックとポリマーの混合物(試料9B)を含有している。インクは、固体(w/w)をTPMと混合することによって製造した。得られるインクの滴を2枚のスライドガラスの間に挟んで、光学顕微鏡を使用して観察した。この顕微鏡は、較正された接眼レンズを具備し、倍率は40倍である。試料8のカーボンブラックを含有するインクは分散していたが(直径1μm未満の粒子のブラウン運動)、他のインクは凝集していた(カーボンブラックは相互に影響して5μmを越える大きさの構造を作る)。結果は表7に示している。
【表7】

70℃で1週間貯蔵した後では、顕微鏡による観察で試料8はまだ分散していたが、試料9A及び9Bは沈殿していた。
【0097】
Byk−Gardner自動描画装置で0.0762mm(3ミル)Birdアプリケーターを使用して、白色紙(3NT−4インク試験標準ボンド紙にしている)及び茶色紙(3NT−5インク試験クラフト紙にしている)に、TPM中の7%の生成物で描いた。ここでこれらの紙は共にLeneta社から入手した。光学密度計を使用して、得られたインクフィルムの光学密度を測定した。この光学密度計は例5で説明されるようなものである。結果は表8に示している。
【表8】

この例は、化学的に結合したポリマーを有するカーボンブラックを含有する非水性分散体は、元々の黒色分散体又はポリマーとカーボンブラックとの混合物を含有する分散体と比較すると、異なる分散性及び光学密度を持つことを示している。試料8の改質カーボンブラックを含有するインクは、他のインクと比較したときに、両方の紙に比較的浸透し、従って光学密度が比較的小さい。
【0098】
例11:ポリマーの調製
この例の目的は、後に顔料に化学的に結合させることができる第1アミンを有するポリマーの調製を説明することである。この方法は例8で使用されている方法と同様である。但し、TPMの代わりに17.5gのポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(MW350g/mol)を使用し、4−ニトロベンゾイルクロリドを9.3gではなく8.6g使用した。ニトロ−及びアミノ−ポリ(エチレングリコール)エステルの同定は、NMRによって行った。これも例8で説明されるようなものである。最終的な生成物は、アミノフェニルポリ(エチレン)グリコール(APEG)分子であり、これはMWが522g/molである。
【0099】
例12:カーボンブラックに化学的に結合したポリマーの調製及び得られる分散体
この例の目的は、化学的に結合したイオン性基と化学的に結合したポリマーとを有するカーボン生成物を調製することである。4−アミノ安息香酸(12.3g)及びAPEG(14.1g)を蒸留水(1500g)に溶解し、その後で例1で説明されるカーボンブラック(150g)を溶液に入れて撹拌した。次に、塩酸(5M溶液5.2ml)をスラリーに加え、その後で亜硝酸ナトリウム(8.28g)を加えた。スラリーは約22℃で1時間にわたって撹拌して、その後で更に1時間にわたって40℃で混合した。亜硝酸ナトリウムをスラリーに加えると窒素ガスが放出された。その後試料は、70℃で16時間まで乾燥した。
【0100】
例13:カーボンブラックの生成物の調製及び得られる分散体
この例の目的は、化学的に結合したイオン性基のみを有するカーボン生成物を調製することである。この試料は、例12のように調製した。但し、APEGを使用しなかった。
【0101】
例14:カーボンブラック顔料に化学的に結合したポリマー及びイオン性基、並びにカーボンブラック顔料に化学的に結合したイオン性基を含有しているインクの性質
この例の目的は、化学的に結合したポリマー及びイオン性基を持つカーボンブラック顔料を含有するインクの性質と、化学的に結合したイオン性基のみ持つカーボンブラック顔料を含有するインクの性質とを比較することである。例12及び例13のカーボンブラックを蒸留水に混合して、得られる分散体の固体分が5%(w/w)になるようにした。得られるインクでXerox4024紙に描いて、フィルムの乾燥時間(耐水性)及び光学密度を測定した。全ての方法及び装置は、例5で既に説明されている。結果は表8に示す。
【表9】

この結果は、化学的に結合したポリマー及びイオン性基を持つカーボンブラック顔料を含有するインクから作ったフィルムが比較的迅速に乾燥することを示している。これはおそらく、このインクが、化学的に結合したイオン性基のみ持つカーボンブラック顔料を含有するインクよりも紙に浸透することによる。この例は、ポリマー及びイオン性基の両方が顔料上に存在していてよいことも示している。
【0102】
例15:赤外線吸収コーティング組成物
この例は、例2の方法によって調製した改質カーボンブラックが赤外線吸収コーティングの製造で使用できることを示している。改質カーボンブラック分散体2Eは、コーティングの調製の前に乾燥させるべきである。少ないエネルギー露出で有益な感赤外線コーティングは、以下に示す重量分率で成分を混合することによって調製することができる。ニトロセルロースE950は、Wolff Walsrodeから入手可能であり、Cymel301はDyno Cyanamideから入手可能である。
【表10】

【0103】
コーティング組成物は、ナイフコーター又は巻きワイヤーロッドによって基材に適用して、厚さが20μmの湿ったコーティングを提供することができる。利用することができる基材の例は、ポリエステル又は粒状化陽極処理アルミニウムである。
【0104】
基材への赤外線吸収層の付着を改良するために、赤外線吸収層を適用する前に、追加の層を基材に適用することが有利なことがある。この付着促進層は、例えば改質セルロース及びポリビニルアルコールのようなヒドロキシル又はカルボキシルを含むポリマー材料に基づくものでよい。
【0105】
乾燥させ、揮発性溶媒を除去して硬化させた後で、赤外線照射(例えば、830又は1064nmの光を放出するダイオードレーザー)を使用して、カーボンブラック含有層を選択的に除去することによって、得られる組成物に画像を提供することができる。
【0106】
本発明の明細書を考慮し、またここで開示されている本発明を実施することによって、本発明の他の態様は当業者に明らかになる。本発明の例及び説明は単なる例示であり、本発明の実際の範囲及び本質は特許請求の範囲で示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料を含んでいる改質顔料生成物:
−X−[NIon]
(Xは、顔料に結合して、少なくとも1つの芳香族基又は少なくとも1つのアルキル基を含み;NIonは、少なくとも1つのタイプの非イオン性基を含み;Rは、水素であり、又は芳香族基若しくはアルキル基を含み;且つpは、1〜500の整数を示す)。
【請求項2】
NIonが、C〜C12のアルキル基又はC〜C12のアルキレンオキシド基である、請求項1に記載の改質顔料生成物。
【請求項3】
前記非イオン性基が官能基を更に含む、請求項1に記載の改質顔料生成物。
【請求項4】
前記非イオン性基がグリコール基である、請求項1に記載の改質顔料生成物。
【請求項5】
Xが芳香族基である、請求項1に記載の改質顔料生成物。
【請求項6】
pが1〜50である、請求項1に記載の改質顔料生成物。
【請求項7】
以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料を含んでいる改質顔料生成物:
−X−[(CH−O−]
(Xは、芳香族基又はアルキル基を含み;mは1〜12の整数であり;pは1〜500の整数であり;且つRは、水素であり、又はアルキル基若しくは芳香族基を含む)。
【請求項8】
以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料を含んでいる改質顔料生成物:
−X[A]
(Xは、前記顔料に結合して、少なくとも1つの芳香族基又は少なくとも1つのアルキル基を含んでおり;Aは、炭素数が約1〜約12のアルキレンオキシド基を示し;pは、1〜500の整数を示し;且つRは、水素、置換若しくは非置換アルキル基、又は置換若しくは非置換芳香族基を示し、pが1よりも大きい場合には、Aは同じであっても異なっていてもよい)。
【請求項9】
Xが芳香族基である、請求項8に記載の改質顔料生成物。
【請求項10】
Xが少なくとも1つの官能基で置換されている、請求項8に記載の改質顔料生成物。
【請求項11】
Xがカルボキシル基又はスルホネート基によって置換されている、請求項8に記載の改質顔料生成物。
【請求項12】
pが1〜25である、請求項8に記載の改質顔料生成物。
【請求項13】
pが26〜50である、請求項8に記載の改質顔料生成物。
【請求項14】
Rが芳香族基である、請求項8に記載の改質顔料生成物。
【請求項15】
mが2、pが44〜45、Rがメチル基、且つXがベンゾイル基である、請求項8に記載の改質顔料生成物。
【請求項16】
mが2、pが22、Rがメチル基、且つXがベンゾイル基である、請求項8に記載の改質顔料生成物。
【請求項17】
mが2、pが44〜45、Rが水素、且つXがベンゾイル基である、請求項8に記載の改質顔料生成物。
【請求項18】
mが2、pが7、Rがメチル基、且つXがベンゾイル基である、請求項8に記載の改質顔料生成物。
【請求項19】
以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料を含んでいる改質顔料生成物:
−X−[ポリマー]R
(Xは、顔料に結合して、少なくとも1つの芳香族基又は少なくとも1つのアルキル基を含み:「ポリマー」は、反復モノマー基若しくは複数モノマー基又はそれらの両方を含み、随意に少なくとも1つのX’基を有し;Rは、水素、結合を示し、又は少なくとも1つのアルキル基若しくは少なくとも1つの芳香族基を含み;X’は、少なくとも1つの芳香族基又は少なくとも1つのアルキル基を含み、且つそれぞれのX’及びXは、同じであっても異なっていてもよく;「ポリマー」を構成するモノマー基の全数は約500モノマー反復単位以下であり、Rが結合を示す場合には、Rは随意に前記顔料に結合している)。
【請求項20】
(a)少なくとも1種の液体ビヒクルと;(b)以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料を含んでいる改質顔料生成物と、を含有しているインク組成物:
−X−[(CH−O−]
(Xは、顔料に結合して、少なくとも1つの芳香族基又は少なくとも1つのアルキル基を含み;mは1〜12の整数を示し;pは1〜500の整数を示し;且つRは水素を示し、又はアルキル基若しくは芳香族基を含む)。
【請求項21】
以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料を含んでいるインク組成物:
−X[A]
(Xは、前記顔料に結合して、少なくとも1つの芳香族基又は少なくとも1つのアルキル基を含み;Aは、炭素数が約1〜約12のアルキレンオキシド基を示し;pは、1〜500の整数を示し;且つRは、水素、置換若しくは非置換アルキル基、又は置換若しくは非置換芳香族基を示し、pが1よりも大きい場合には、Aは同じであっても異なっていてもよい)。
【請求項22】
前記液体ビヒクルが水性である、請求項21に記載のインク組成物。
【請求項23】
前記液体ビヒクルが非水性である、請求項21に記載のインク組成物。
【請求項24】
前記インク組成物がインクジェットインク組成物である、請求項21に記載のインク組成物。
【請求項25】
少なくとも1種の湿潤剤、少なくとも1種のバインダー、少なくとも1種の染料、少なくとも1種の殺生物剤、少なくとも1種の浸透剤、少なくとも1種の界面活性剤、又はそれらの組み合わせを更に含有している、請求項21に記載のインク組成物。
【請求項26】
前記顔料が、カーボンブラック、グラファイト、ガラス質カーボン、微細化カーボン、活性化カーボン、活性炭、又はそれらの混合物である、請求項21に記載のインク組成物。
【請求項27】
前記顔料がカーボンブラックである、請求項21に記載のインク組成物。
【請求項28】
前記顔料が、白色顔料、黒色顔料、青色顔料、茶色顔料、シアン顔料、緑色顔料、紫色顔料、マゼンタ顔料、赤色顔料、黄色顔料、それらの明暗色の顔料、又はそれらの組み合わせを含む、請求項21に記載のインク組成物。
【請求項29】
Xが芳香族基を示す、請求項21に記載のインク組成物。
【請求項30】
(a)少なくとも1種の液体ビヒクルと;(b)以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料を含んでいる少なくとも1種の改質顔料生成物と、を含有しているインク組成物:
−X−[ポリマー]R
(Xは、顔料に結合して、少なくとも1つの芳香族基又は少なくとも1つのアルキル基を含み:「ポリマー」は、反復モノマー基若しくは複数モノマー基又はそれらの両方を含み、随意に少なくとも1つのX’基を有し;Rは、水素、結合を示し、又はアルキル基若しくは芳香族基を含み;X’は、少なくとも1つの芳香族基又は少なくとも1つのアルキル基を含み;且つそれぞれのX’及びXは、同じであっても異なっていてもよく、「ポリマー」を構成する全モノマーの数は約500モノマー反復単位以下である)。
【請求項31】
前記Xが芳香族基を示す、請求項30に記載のインク組成物。
【請求項32】
前記Xが少なくとも1つの官能基によって置換されている、請求項30に記載のインク組成物。
【請求項33】
前記Rが芳香族基を示す、請求項30に記載のインク組成物。
【請求項34】
pが1〜25の整数を示す、請求項30に記載のインク組成物。
【請求項35】
前記「ポリマー」が、ポリアミド、ポリカーボネート、高分子電解質、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリウレタン基、ポリビニル(アルコール)、又はそれらの混合物である、請求項30に記載のインク組成物。
【請求項36】
前記「ポリマー」が、ポリオレフィン基、ポリカーボネート基、高分子電解質基、ポリエーテル基、ポリイミド基、ポリウレタン基、ポリスチレン基、ポリアクリレート基、ポリアミド基、ポリエステル基、ポリビニル(アルコール)、又はそれらの組み合わせである、請求項30に記載のインク組成物。
【請求項37】
少なくとも1種の液体ビヒクルと、以下の式を有する少なくとも1つの基が結合した顔料を含んでいる改質顔料生成物と、を含有しているインク組成物:
−X−[NIon]
(Xは、顔料に結合して、少なくとも1つの芳香族基又は少なくとも1つのアルキル基を含み;NIonは、少なくとも1つのタイプの非イオン性基を含み;Rは、水素を示し、又は芳香族基若しくはアルキル基を含み;且つpは、1〜500の整数を示す)。
【請求項38】
溶媒中の顔料の平均粒度を小さくすること、(a)有機基又はポリマー基から選択される少なくとも1つの基を有し且つ少なくとも1つの第1アミンを有する少なくとも1種の界面活性剤又はポリマー、(b)亜硝酸塩、並びに(c)十分な量の酸を、共に又は任意の組み合わせで導入して、少なくとも1つの前記基を有するジアゾニウム塩をもたらし、ここでこのジアゾニウム塩を前記顔料と反応させて、前記少なくとも1つの基を前記顔料に結合させることを含む、有機基又はポリマー基から選択される少なくとも1つの基を、複数の顔料に結合させる方法。
【請求項39】
前記第1アミン分散体の少なくとも一部を、前記顔料の少なくとも一部に吸着させる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1アミン分散体が少なくとも1種の非イオン性基を更に有する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
2種類又はそれ以上の異なる第1アミン分散体を導入する、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
第2の有機基を持つ第2のジアゾニウム塩を導入することを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記第1アミン分散体が芳香族基又はアルキル基を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記酸が硝酸又は硫酸である、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
基材、この基材上の保護層、及びこの保護層上の赤外線又は近赤外線照射吸収層を有する印刷プレートであって、前記照射吸収層が少なくとも1種の請求項1に記載の改質顔料を含む、印刷プレート。
【請求項46】
基材、この基材上の保護層、及びこの保護層上の赤外線又は近赤外線照射吸収層を有する印刷プレートであって、前記照射吸収層が少なくとも1種の請求項7に記載の改質顔料を含む、印刷プレート。
【請求項47】
基材、この基材上の保護層、及びこの保護層上の赤外線又は近赤外線照射吸収層を有する印刷プレートであって、前記照射吸収層が少なくとも1種の請求項8に記載の改質顔料を含む、印刷プレート。
【請求項48】
基材、この基材上の保護層、及びこの保護層上の赤外線又は近赤外線照射吸収層を有する印刷プレートであって、前記照射吸収層が少なくとも1種の請求項19に記載の改質顔料を含む、印刷プレート。
【請求項49】
画像を示しているパターンで前記プレートを選択的にレーザーに露出させ、このパターンを示す前記照射吸収層を少なくとも選択的に除去又は化学的に改質すること、を含む請求項45に記載のリソグラフ印刷プレートに画像をもたらす方法。
【請求項50】
パターンを示している画像層の一部を除去することができる溶媒に、前記プレートをさらすことを更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
画像を示しているパターンで前記プレートを選択的にレーザーに露出させ、このパターンを示す前記照射吸収層を少なくとも選択的に除去又は化学的に改質すること、を含む請求項46に記載のリソグラフ印刷プレートに画像をもたらす方法。
【請求項52】
パターンを示している画像層の一部を除去することができる溶媒に、前記プレートをさらすことを更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
画像を示しているパターンで前記プレートを選択的にレーザーに露出させ、このパターンを示す前記照射吸収層を少なくとも選択的に除去又は化学的に改質すること、を含む請求項47に記載のリソグラフ印刷プレートに画像をもたらす方法。
【請求項54】
パターンを示している画像層の一部を除去することができる溶媒に、前記プレートをさらすことを更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
画像を示しているパターンで前記プレートを選択的にレーザーに露出させ、このパターンを示す前記照射吸収層を少なくとも選択的に除去又は化学的に改質すること、を含む請求項48に記載のリソグラフ印刷プレートに画像をもたらす方法。
【請求項56】
パターンを示している画像層の一部を除去することができる溶媒に、前記プレートをさらすことを更に含む、請求項48に記載の方法。

【公開番号】特開2011−236434(P2011−236434A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−172101(P2011−172101)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【分割の表示】特願2000−542406(P2000−542406)の分割
【原出願日】平成11年4月2日(1999.4.2)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】