説明

分散性不織布ウェブ及び製造法

非熱可塑性繊維から成り、使用中の良好な強度を有するとともに、水中で攪拌に付されるときに分散する又はバラバラになる、不織布ウェブを開示する。かかるウェブを含む予め湿らせた拭取り用品も開示する。不織布ウェブを作製する方法は、ウェブに脆弱線を形成する別個の圧縮箇所を設けることとして説明され、それによって、ウェブは、ウェブの非圧縮領域の最大力よりも小さい力に付されるとき、脆弱線に沿って張力を失うことがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散性不織布ウェブ及びそれから作製された物品に関する。不織布ウェブは、ウエットタオルなどの使い捨て物品を形成してもよい。
【背景技術】
【0002】
不織布ウェブは現在、女性用衛生製品、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁製品、及び拭取り用品が挙げられるが、これらに限定されない、様々な使い捨て物品で使用されている。不織布ウェブを含む使い捨て拭取り用品は、ガラス及びセラミックタイルなどの表面を洗浄するため、並びに子供及び成人の皮膚を洗浄するため、消費者によって広く用いられている。予め湿らせた拭取り用品又はぬれた拭取り用品も既知である。
【0003】
拭取り用品などの使い捨て物品は、従来のトイレから下水又は汚水処理システムに流すことによって廃棄することができ、その後、分解することがある。この処理方法は、分離性で便利である。しかし、使い捨て物品は、一旦流されたら、詰まりを起こさずに従来のトイレ及び配管システムを通過できるように、容易に分散するか又はバラバラになることが望ましい。また、使い捨て物品は、その使用目的に合った適切な構造的完全性を有することが望ましい。特に、ウェットタオルなどの長期の湿潤保存安定性を必要とする予め湿らせた用途で使い捨て物品を使用するとき、分散性と使用中の強度のバランスを達成するのは難しいことがある。
【0004】
不織布ウェブ、不織布ウェブの製造法、並びに不織布ウェブを含む物品の例は、当該技術分野において見出されてもよい。例えば、米国特許第6,190,502号及び第6,544,912号、米国特許出願公開2002/0177827 A1、並びにブランド名「ジャスト・フォー・キッズ(Just for Kids)(商標)」及び「キャンドゥー(Kandoo)(商標)」で現在市販されているウエットタオルを参照。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、不織布ウェブ及び不織布ウェブを含む拭取り用品を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本発明は、使用中の良好な強度を有する不織布ウェブを対象とし、これは水中で攪拌に付されるとき、分散するか又はバラバラになる。別の実施形態では、本発明は、不織布ウェブの分散性を増すためのプロセスを対象とする。更に別の実施形態では、本発明は、本発明の不織布ウェブを含む拭取り用品を対象とする。
【0007】
幾つかの実施形態では、本発明の不織布ウェブは、非熱可塑性繊維を含んでもよく、少なくとも約20%の非熱可塑性繊維は、少なくとも約18mmの繊維長を有する。当該ウェブは、(a)面積が約2.5mm2未満であり、隣接した最も近い別個の圧縮箇所から約10mm以下の縁部間距離によって隔てられている、複数個の別個の圧縮箇所と、(b)脆弱線と、(c)機械方向における最大力での伸長及び横断方向における最大力での伸長によって特徴付けられる、別個の非圧縮領域とを更に含んでもよい。当該(a)複数個の別個の圧縮箇所は、(b)脆弱線を形成してもよく、当該脆弱線は、(c)別個の非圧縮領域を実質的に境界付け及び画定するように配列されてもよい。前記ウェブが前記(c)別個の非圧縮領域の最大力よりも小さい力に付されるとき、前記ウェブは、前記(b)脆弱線に沿って少なくとも部分的に張力を失う。
【0008】
幾つかの実施形態では、少なくとも約20%の非熱可塑性繊維が少なくとも約18mmの繊維長を有する、非熱可塑性繊維を含む不織布ウェブの分散性を増すためのプロセスは、次の工程を含んでもよい。前記ウェブに少なくとも約200N/mm2の圧縮応力を加える。当該圧縮応力により、(a)面積が約2.5mm2未満であり、隣接した最も近い別個の圧縮箇所から約10mm以下の縁部間距離によって隔てられている、複数個の別個の圧縮箇所と、(b)脆弱線と、(c)機械方向における最大力での伸長及び横断方向における最大力での伸長によって特徴付けられる、別個の非圧縮領域とをウェブに付与する工程。当該(a)複数個の別個の圧縮箇所は、(b)脆弱線を形成し、当該脆弱線は、前記(c)別個の非圧縮領域を実質的に境界付け画定するように配列される工程。前記ウェブが(c)別個の非圧縮領域の最大力よりも小さい力に付されるとき、前記ウェブは、前記(b)脆弱線に沿って少なくとも部分的に張力を失う工程。
【0009】
幾つかの実施形態では、本発明の予め湿らせたカード加工されたスパンレース不織布ウェブは、レーヨン繊維、パルプ繊維、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される非熱可塑性繊維を含み、少なくとも約20重量%の非熱可塑性繊維は、少なくとも約38mmの長さを有する。前記ウェブは、(a)面積が約2.5mm2未満であるとともに、隣接した最も近い別個の圧縮箇所から約10mm以下の縁部間距離によって隔てられている、複数個の別個の圧縮箇所と、(b)脆弱線と、(c)機械方向における最大力での伸長及び横断方向における最大力での伸長によって特徴付けられる、別個の該非圧縮領域とを更に含んでもよい。当該(a)複数個の別個の圧縮箇所は、(c)脆弱線を形成してもよく、当該脆弱線は、(c)別個の非圧縮領域を実質的に境界付け画定するように配列されてもよい。前記ウェブが約8N未満の横断方向の力に付されるとき、前記ウェブは、(b)脆弱線に沿って少なくとも部分的に張力を失う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
定義
本明細書で使用するとき、「繊維」は、本明細書に開示されるウェブの基本的要素を形成する単位を指す。
【0011】
本明細書で使用するとき、「不織布ウェブ」は、当該技術分野において既知の不織布製造プロセスを介して載置及び結合される単層又は複層の繊維を指す。本明細書で使用するとき、「拭取り用品」は、1以上の層のウェブから成る物品を指す。
【0012】
本明細書で使用するとき、「液体組成物」は、いかなる液体をも指し、例として水などの純粋な液体、コロイド、エマルション、懸濁液、溶液、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用するとき、用語「水溶液」は、少なくとも約20重量%、少なくとも約40重量%、又は更に少なくとも約50重量%が水であり、また約95重量%以下、又は約90重量%以下が水である溶液を指す。
【0013】
本明細書で使用するとき、「予め湿らせた拭取り用品」は、消費者によって使用される前に、液体組成物でぬれた状態の拭取り用品又はぬれた状態の部分から成る拭取り用品を指してもよい。「予め湿らせた拭取り用品」はまた、一般に水分不透過性容器又は包装材などの中にパッケージ化される前に、液体組成物でぬれた状態の拭取り用品を指してもよい。「ウエットタオル」及び「ウェットティッシュ」と呼ばれる場合もある、かかる予め湿らせた拭取り用品は、赤ちゃんを洗浄する際の使用に適しており、またあらゆる年齢の人々に関する洗浄作業での使用も見出してもよい。かかる拭取り用品はまた、メークアップ、スキンコンディショナー、軟膏、医療品、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、物質を身体に適用する際の使用に適していてもよい。かかる拭取り用品はまた、ペットを洗浄するか又は手入れするために、若しくは家庭台所及び浴室表面、眼鏡、運動及び体操器具、自動車表面などの、表面及び物体を一般洗浄するために有用であることがある。
【0014】
本明細書で使用するとき、「圧縮応力」は、ウェブに加えられるときに「圧縮箇所」を生み出す、鈍力を指す。当該圧縮応力は、ウェブに加えられる時にウェブを構成している繊維を切断する、剪断力を包含してはならない。理論に束縛されるものではないが、鈍力は、圧縮箇所の縁部における繊維を切断する代わりに主に繊維を脆弱化させるため、鈍力は、剪断力に比べ、ウェブの使用中の強度に与える影響が少ないものと考えられる。当該圧縮応力は、1mm2当りのニュートン(N/mm2)の単位で測定される。
【0015】
本明細書で使用するとき、「圧縮箇所」は、ウェブの区域を称し、ここでウェブを構成する繊維は押圧され、それにより、この繊維は、非圧縮領域内に位置する繊維に比べ空間内で互いに更に接近する。当該圧縮箇所は、非圧縮領域に比べ、より高い繊維密度を有してもよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、「非圧縮領域」は、圧縮箇所を有し得ないウェブの区域を指す。ウェブの非圧縮領域を構成する繊維は、ウェブが圧縮応力に付された後、実質的に形態が変わらないままであってもよい。本明細書で使用するとき、「実質的に」は、「完全に」ではなく、「大部分は」を意味する副詞である。
【0017】
本明細書で使用するとき、「脆弱線」は、圧縮箇所又は一連の圧縮箇所を、それぞれ隣接した最も近い圧縮箇所又は最も近い一連の圧縮箇所とつなぐために引かれた想像線を指す。当該想像線は、真っ直ぐであっても曲がっていてもよい。ウェブがその別個の非圧縮領域の最大力よりも小さい力に付されるとき、ウェブは、脆弱線に沿って張力を失うか、又は少なくとも部分的に張力を失う。
【0018】
本明細書で使用するとき、「最大力」は、ウェブの完全性又はウェブの一部分に働き張力を失わせるのに必要な伸張力を指す。ウェブの最大力は、ウェブの「横断方向」及び「機械方向」の両方向における引張り試験によって測定されてもよい。最大力は、ニュートン(N)の単位で測定される。
【0019】
本明細書で使用するとき、「最大力での伸長」は、ウェブがその最大力に付される時の、ウェブ又はウェブの一部分の長手方向の伸長を指す。
【0020】
本明細書で使用するとき、「縁部」は、肉眼で見たときの、圧縮箇所と非圧縮領域の間の移行線を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、「縁部間距離」は、肉眼で見たときの、2つの隣接した別個の圧縮箇所の縁部の間に引かれ得る最短線の長さを指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、「隣接した」は、接近しているけれども接触していないことを指す。
【0023】
本明細書で使用するとき、「分散性」は、標準的なトイレに流されて典型的な廃水システムを通過した後、目に見える変化を示す能力のある製品を指し、廃水システムとしては、ポンプ、パイプ、タンク、ふるい、分離ユニット、及びこれらの組み合わせを挙げてもよいが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用するとき、「張力を失う」は、肉眼で見える製品の完全性に対する破損、例えば、穴、スリット、破片、より小さい断片への分裂、溶解、又はそれらの組み合わせを指す。ウェブが力の下にあるときのウェブの脆弱化を示すあらゆる可視的変化は、張力が失われているものと見なされてもよい。典型的には、ウェブは、脆弱線に沿って張力を失うものである。本明細書で使用するとき、「部分的に張力を失う」は、製品の完全性が損なわれ始めるときを指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、「結合剤」は、ウェブの強度を改善することがあるが、ウェブが処分中又は処分後に遭遇する状態に曝されるときにウェブから解離することのある、不織布ウェブに付加されるあらゆる化合物を指す。かかる状態としては、多量の水、特定のpH、特定のイオン濃度を有する水、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。結合剤を含むウェブが特定の状態に曝されるとき、当該結合剤は、例えば、溶解することがある。当該結合剤が溶解するとき、ウェブの強度が低下することがあり、代わって、ウェブの分散性が増すことがある。結合剤は、例えば、水溶性、水膨潤性、及びこれらの組み合わせであってもよい。ポリビニルアルコール(PVOH)、及びエアプロダクツ(Air Products)(米国ペンシルベニア州アレンタウン(Allentown))によって販売されるフラッシャブルな分散性結合剤であるEP919は、結合剤の非限定例である。結合剤の更なる例としては、スルホン酸変性PVOH、カルボン酸変性PVOH、並びに水溶性有機塩、水溶性無機塩、及びホウ素化合物から成る群から選択される少なくとも1つの化合物を含む結合剤を挙げてもよいが、これらに限定されない。結合剤の更なる非限定例としては、非水溶性又は水膨潤性カルボキシメチルセルロースを挙げてもよい。カルボキシメチルセルロースの溶解度は、いくつかある要因の中で特に、そのエーテル化及びpHの程度に依存することがある。本発明の幾つかの実施形態では、不織布ウェブは、約0.1%〜約10%、約0.5%〜約5%、又は更に約1%〜約2%の量で結合剤を含んでもよい。
【0026】
材料組成物に関して本明細書で使用するとき、用語「%」、「百分率」、「重量百分率」又は「重量%」は、特に示さない限り、全重量の百分率としての構成成分の量を指す。
【0027】
ウェブに関して本明細書で使用するとき、用語「機械方向」又は「MD」は、例えば商業用不織布製造機器上でウェブを製造するとき、ウェブが移動する方向を指す。同様に、用語「横断方向」又は「CD」は、機械方向に対して垂直で、且つ層状の繊維性製品及び/又は層状の繊維性構造体の包括的な平面に対して平行な方向を指す。個々の拭取り用品について、これらの用語は、拭取り用品を製造するのに用いられるウェブに対する拭取り用品の対応する方向を指す。試験中に不織布ウェブがどのように方向付けられているかに応じて不織布ウェブの機械的特性に差がある場合があるので、これらの方向は本明細書では注意深く区別されている。例えば、ウェブの伸張特性は、構成繊維の配向及び他のプロセスに関連する要因のために、機械方向と横断方向で異なってもよい。
【0028】
本明細書で使用するとき、「含む」は、本発明を実施する際に結合して使用してもよい様々な構成要素、成分、又は工程を指す。それ故に、用語「含む」は、より制限的な用語「から本質的に成る」及び「から成る」を包含してもよい。
【0029】
本明細書で使用するとき、「水溶性」は、摂氏約25度で少なくとも約0.25重量%のレベルで水に可溶性であるか、さもなくば(例えばミセル溶液を提供するように)分散性である構成成分を指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、「界面活性剤」は、界面の方へ好ましく方向付けることのある物質を指す。界面活性剤の種類としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0031】
「乳化剤」及び「可溶化剤」は、本明細書で交換可能に使用されてもよく、またローション組成物中の1以上の他の構成成分がローションから相分離する傾向を軽減することのある構成成分を指す。
【0032】
本明細書で使用するとき、「補助界面活性剤」は、界面活性剤又は乳化剤/可溶化剤のいずれかとして作用することのある構成成分を指す。
【0033】
本明細書で使用するとき、「水溶性有機ポリマー」は、モノマーと称するより小さな分子の結合により形成される有機化合物を指す。その用語は、例えば、ポリペプチド、核酸、多糖類、及びプラスチックなどの、共有結合により結合した多数のモノマーで構成される巨大分子か、又は例えばヘモグロビン若しくはIBM免疫グロブリンなどの、共有又は非共有結合により結合した幾つかのサブユニットで構成されるタンパク質のいずれかを指すのに用いられてもよい。
【0034】
図面の詳細な説明
図1Aは、本発明の不織布ウェブを含む複数個の別個の圧縮箇所の一実施形態を示す。複数個の別個の圧縮箇所(1)は、図1Bに菱形として示されており、それぞれ面積が約2.5mm2未満、面積が約1.5mm2未満、又は更に面積が約0.6mm2未満、また面積が少なくとも約0.1mm2である限りにおいて、あらゆる形状をとってもよい。当該別個の圧縮箇所は、隣接した最も近い圧縮箇所(3)から縁部間距離(2)によって隔てられてもよい。圧縮箇所又は一連の圧縮箇所を、それぞれ隣接した最も近い圧縮箇所(単数又は複数)とつなぐため、脆弱線(4)を引いてもよい。当該脆弱線は、別個の非圧縮領域(5)を実質的に境界付け画定するように配列されてもよい。
【0035】
図2は、複数個の別個の圧縮箇所の更なる実施形態を示す。
【0036】
図3は、本明細書に記載されるようなレーヨン100%のカード加工されたスパンレースウェブのSEMを示す。この図は、圧縮箇所(1)と非圧縮領域(5)とを含むウェブの一部分を示す。別個の圧縮箇所の縁部(6)は、圧縮箇所と非圧縮領域間の境界面において見られてもよい。
【0037】
図4〜9は、本発明の別個の圧縮箇所を含む不織布ウェブの一実施形態が、本発明の別個の圧縮箇所を有さない同一のウェブとどのように異なっているかを例示している。本実施形態は、(テノテックス社(Tenotex Company)(イタリア、テルノ・ディーゾラ(Ternod'Isola))によってテノレース(Tenolace)(商標)FV60の商標名で供給される)レーヨン100%繊維から成るカード加工されたスパンレース不織材ウェブから成り、乾燥したウェブの約1グラム当り約3グラムのシリコーン系エマルションを用いて、ウェブを予め湿らせる。長さ約40mm及び約1.7dtexである本実施形態のレーヨン繊維は、レンチング社(Lenzing Company)(オーストリア、レンチング)によって供給される。本発明の別個の圧縮箇所を有するウェブ及び有さないウェブの両方の試料は、MTSシステムズ社(MTS Systems Corporation)(米国、ミネソタ州、イーデン・プレーリー(Eden Prairie)からのシナジー(Synergie)400引張り試験機を使用して、毎分25mmの速度で機械方向に30%伸長される。
【0038】
図4は、伸長前の、別個の圧縮箇所を有さない不織布ウェブを示す。図5は、同ウェブの伸長後を示す。当該ウェブが張力を失っていないことに留意されたい。
【0039】
図6は、図1Aに示された模様の別個の圧縮箇所を有する不織布ウェブの伸長前の様子を示す。図7は、同ウェブの伸長後を示す。当該ウェブは、脆弱線(4)に沿って張力を失うことに留意されたい。
【0040】
図8は、図2に示された模様の別個の圧縮箇所を有する不織布ウェブの伸長前の様子を示す。図9は、同ウェブの伸長後を示す。このウェブは、張力を失うことに留意されたい。
【0041】
理論に束縛されるものではないが、図4〜9は、脆弱線を生み出す際の圧縮箇所の効果を例示している。
【0042】
不織布ウェブ
本発明の不織布ウェブは、人造繊維、天然繊維、及びそれらの組み合わせを含み、また生分解性であっても、生分解性でなくてもよい。人造繊維の非限定例としては、ビスコース、リオセル、及びこれらの混合物を包含するがこれらに限定されないレーヨン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ乳酸、ポリエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。天然繊維の非限定例としては、パルプ、綿、ウール、絹、黄麻、亜麻布、ラミー、大麻、亜麻、ラクダの毛、ケナフ、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明で有用な非熱可塑性繊維は、ビスコース、リオセル、及びこれらの組み合わせを包含するがこれらに限定されないレーヨン、パルプ、綿、ウール、絹、黄麻、亜麻布、ラミー、大麻、亜麻、ラクダの毛、ケナフ、並びにこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0043】
繊維を載置して結合するプロセスの前に、繊維長を測定する。本発明で有用な繊維は、少なくとも約18mm、少なくとも約20mm、少なくとも約25mm、少なくとも約30mm、少なくとも約35mm、又は更に少なくとも約38mmの繊維長を有してもよい。本発明で有用な繊維は、本質的に連続的であるとともに、理論上は無限の繊維長を有してもよい。
【0044】
本発明で有用な繊維は、少なくとも約0.8dtex、少なくとも約1dtex、少なくとも約1.2dtex、又は更に少なくとも約1.5dtexの平均繊維デシテックス(dtex)を有してもよい。繊維は、約8dtex未満、約5dtex未満、又は更に約2dtex未満の平均デシテックスを有してもよい。
【0045】
本発明の一実施形態では、不織布ウェブは、約20%〜約80%のレーヨン繊維と約80%〜約20%のパルプ繊維を含んでもよい。別の実施形態では、不織布ウェブは、約30%〜約70%のレーヨン繊維と約70%〜約30%のパルプ繊維を含んでもよい。別の実施形態では、不織布ウェブは、約40%〜約60%のレーヨン繊維と約60%〜約40%のパルプ繊維を含んでもよい。更に別の実施形態では、不織布ウェブは、約60%のレーヨン繊維と約40%のパルプ繊維を含んでもよい。
【0046】
不織布ウェブは、任意の数のプロセスを介して製造されてもよい。一般に、不織布ウェブを作製するための現在既知のプロセスは、2つの工程:繊維載置工程と繊維結合工程とを含んでもよい。当該技術分野において既知の繊維載置工程としては、ウェブを構成する繊維のスパンレイ加工、メルトブロー加工、カード加工、エアレイ加工、ウェットレイ加工、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。当該技術分野において既知の繊維結合工程としては、スパンレース加工(又は水流交絡)、低温カレンダー加工、高温カレンダー加工、エアースルー結合、化学結合、ニードルパンチ加工、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本発明の不織布ウェブは、長さが少なくとも約18mmを超え得る多量の比較的長い繊維を利用する、カード加工されたスパンレース法を介して製造されてもよい。比較的長い繊維を使用することによって、不織布ウェブは、丈夫且つ柔軟、布様、可撓性、及びこれらの組み合わせになることがある。本発明の別個の圧縮箇所を有する不織布ウェブを提供することにより、使用中の良好な強度を維持する上に、分散性の増した不織布ウェブが得られることがある。
【0048】
本発明の不織布ウェブは、1m2当たり約5〜約200グラム(gsm)、約10〜約175gsm、約30〜約150gsm、約20〜約100gsm、約30〜約70gsm、又は更に約40〜約60gsmの範囲の坪量を有してもよい。
【0049】
別個の圧縮箇所
本発明の不織布ウェブは、別個の圧縮箇所を含む。当該別個の圧縮箇所はあらゆる形状をとってもよく、また箇所のそれぞれは約2.5mm2未満の面積を有してもよい。当該別個の圧縮箇所は、ウェブ上に不規則に位置してもよく、又はを模様を形成してもよい。模様の例としては、図1A及び2に示された模様、並びにその変形が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
別個の圧縮箇所を不織布ウェブに付与するため、圧縮応力をウェブに加えるあらゆる方法が使用されてもよい。圧縮応力をウェブに加える方法としては、スタンピング、プレス、低温カレンダーローリング、加熱カレンダーローリング、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。繊維を鋭い刃で剪断するか又は切断する応力を加える他の方法とは対照的に、圧縮応力は、鈍力で繊維を強打するか又は圧縮してもよい。
【0051】
理論に束縛されるものではないが、圧縮応力の結果として、別個の圧縮箇所は、ウェブの非圧縮領域の密度に比べ、より高い繊維密度を有することがあるものと推定される。ウェブの非圧縮領域は、ウェブが圧縮応力に付される前に有する密度と実質的に同じ密度を維持してもよい。
【0052】
本発明の不織布ウェブに圧縮応力を加えた後、別個の圧縮箇所は、ウェブ全表面積の約20%未満、約19%未満、約17%未満、又は更に約13%未満を含んでもよい。使用中の良好な強度を維持するため、別個の圧縮箇所を含んでもよいウェブ全表面積の割合は、約19%未満に制限される。例えば、ウェブは、特に「ポップアップ式拭取り用品」(下記)として予め湿らせた拭取り用品の用途に用いられるならば、分配プロセスに耐えるのに十分に丈夫なままであるべきである。
【0053】
本発明の不織布ウェブに圧縮応力を加えた後、別個の圧縮箇所は、ウェブ全表面積の約2%超過、約3%超過、又は更に約5%超過を含んでもよい。ウェブを十分に脆弱化して、ウェブが処分中又は処分後に遭遇する力に付される時に脆弱線に沿って破損し得るように、別個の圧縮箇所を含んでもよいウェブ全表面積の割合は、少なくとも約2%よりも大きい。
【0054】
本発明のウェブに加えられる様々な量の圧縮応力が、ウェブの引張り強度にどのような影響を与え得るかを例示するため、次の実験を行う。室温で平滑なカレンダーローラー及び模様付きカレンダーローラーを配列することより、レーヨン100%のカード加工されたスパンレース基材の試料を異なる5段階の圧縮応力で圧縮する。ローラ上の模様は、図1Aに示されたものと同じであり、約12.6%の総隆起表面積を有する。基材に加えられる圧縮応力は、表1中の試料計算に示されるように、総抵抗力を模様付きローラの圧縮面積で割ることによって計算され、全負荷が模様付きローラの隆起した区域を通じて伝達されるという仮定に基づいている。圧縮後、約1グラムの乾燥した基材に対して約3グラムの液体組成物の割合で、シリコーン系液体組成物を基材に加える。試料を幅50mmのストリップに切断し、EDANA法20.2−89を用いて、横断方向及び機械方向の両方向において引張り強度に関する試験を行う。実験の結果を表2にまとめる。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
表2の結果は、圧縮応力が不織布ウェブの引張り強度に与え得る効果を例示している。引張り強度は、MDの最大力及びCDの最大力として測定される。ウェブを作製するために使用される圧縮応力が増加するにつれて、MD及びCDの最大力はどちらも減少する。理論に束縛されるものではないが、圧縮応力を増加させることにより、ウェブを構成している繊維は次第に脆弱化され、その結果ウェブの張力を失うのに必要な最大力が減少するものと考えられる。
【0058】
表2に見られるように、0N/mm2(これは、未処理のウェブに相当する)及び206N/mm2の圧縮応力をウェブに加えるとき、ウェブは、比較的高いMD及びCDの最大力によって特徴付けられる。一旦ウェブに加えられた圧縮応力が275N/mm2以上(344N/mm2、413N/mm2、又は481N/mm2)に達すると、MD及びCDの最大力は著しく低下する。この例では、一旦圧縮応力が275N/mm2に達すると、ウェブは、10N以下の比較的低いMD又はCDの最大力の下で、圧縮領域の縁部(6)において繊維が選択的に破断及び/又は脆弱化することがある。繊維の破断及び/又は脆弱化は、脆弱線に沿って張力不足を引き起こすことがある。分散性を支援するために、比較的低いMD及び/又はCDの最大力の下で張力を失う不織布ウェブを有することは望ましい場合があるが、特にウェブが予め湿らされているとき、使用中の強度不足を伴うウェブを生み出すほど最大力が低くなるのは望ましくない場合がある。したがって、分散性及び使用中の強度のいずれのためにも、MD及びCDの最大力のバランスをとるのが望ましい場合がある。例えば、本発明の一実施形態では、別個の圧縮箇所を有する不織布ウェブは、約4N〜約16NのMDの最大力、及び約2N〜約8NのCDの最大力を有してもよい。更なる実施形態では、不織布ウェブは、MD及びCDの最大力を望ましい範囲内に低下させるのに必要な最も低い圧縮応力で、別個の圧縮箇所を付与されてもよい。
【0059】
表2から、不織布ウェブに別個の圧縮箇所を付与するために使用される圧縮応力が増加するにつれて、MD及びCDの最大力のそれぞれにおいて、MD及びCDの伸長が減少することに更に注目してもよい。この特定の例では、MD及びCDの伸長はどちらも、275N/mm2以上の圧縮力において、明らかに減少する。理論に束縛されるものではないが、最大力の低下は、圧縮領域の縁部(6)において、繊維が選択的に破断及び/又は脆弱化することに起因し得ると考えられる。
【0060】
図10は、増加するレベルの圧縮応力に付された不織布ウェブに関する、CDの伸長に対するCDの力のプロットを有するグラフであり、データは次のように生成される。
【0061】
レーヨン100%のカード加工されたスパンレースウェブを6つの試料に切断する。各試料につき異なるレベルの圧縮応力、つまり:206N/mm2、275N/mm2、344N/mm2、413N/mm2、及び481N/mm2を用いて、5つの試料に本発明の別個の圧縮箇所を設ける。残りの試料は、圧縮応力に付されない(0N/mm2)。次いで、試料の各々は、そのCD方向において試料に加えられる力である「CDの力」を用いて、上記のような引張り試験に付される。各試料の伸長は、試料が張力を失うまで測定される。得られるデータは、図10中のようにプロットされる。
【0062】
図10から、全ての試料を約40%まで伸長するには、同様の量のCDの力が必要であることは明白であり、張力を失う前の40%の伸長は、予め湿らせた用途に用いられる不織布ウェブに関して望ましい。より高い圧縮応力、275N/mm2、344N/mm2、413N/mm2、及び481N/mm2で処理された不織布ウェブは、それぞれ、より低い圧縮力又は圧縮力ゼロ、206N/mm2及び0N/mm2で処理されたウェブに比べ、40%を超えて伸長させるのに必要な力が小さいことも明白である。後者の2つのウェブは、40%を超えて伸長するために、著しくより高いCDの力を必要とする。
【0063】
伸長するために著しくより高い力を必要とする不織布ウェブは、拭取り用途で使用するには望ましくないことがある、なぜなら、これらは、典型的な使用中の力(約2〜10N)に付されるとき、張力及び/又は平面剪断力を失わない可能性があるが、水に流されるとき、張力及び/又は平面的剪断力を失わない可能性があるためである。理論に束縛されるものではないが、一旦水に流されたら、これらのウェブは、伸び続け、捻れるか又はロープ状に絡まることがあり、強化され、配管システム内に引っ掛かったり詰まったりする可能性が高くなるものと考えられる。対照的に、本発明の不織布ウェブが水に流されるとき、これらは、脆弱線(例えば図7を参照)に沿って張力及び/又は平面的剪断力を失い、また別個の非圧縮領域は別個の片に実質的に分かれ、配管システムを容易に通過することがある。
【0064】
配管システム内の開口部の典型的な大きさは、直径約5cm又は50mmなので、本発明の別個の片は、片が同システムを容易に通過し得るように、十分に小さい2つの寸法区域を含むのが有利である。本発明の別個の片は、約625mm2、約500mm2、約125mm2、又は更に約100mm2の2つの最大寸法区域を有してもよい。本発明の別個の片は、約25mm2、約20mm2、約10mm2、又は更に約5mm2の2つの最小寸法区域を有してもよい。
【0065】
本発明の不織布ウェブの更なる実施形態を以下に説明する。各実施形態は、カード加工されたスパンレース不織布ウェブであり、様々な割合のパルプ及びリオセルを含むか、又は同じ割合のパルプ及びリオセルを含むが、異なる坪量を有する。
【0066】
本発明の別個の圧縮箇所を付与するため、各実施形態は、いずれも約177℃(350°F)の内部温度で、平滑なカレンダーローラー及び模様付きカレンダーローラーを配列することにより、異なるレベルの圧縮応力で圧縮される。カレンダーローラー上の模様は、図1Aに示されたものと同じであり、また約12.6%の総隆起表面積を有する。不織布ウェブは、約1グラムの乾燥したウェブ当り約3グラムのシリコーン系液体組成物で、予め湿らせてある。次いで、本発明の別個の圧縮箇所を有する不織布ウェブ及び有さない不織布ウェブは、上記のような引張り試験に付される。圧縮応力が各実施形態の引張り強度に与える影響は、表3〜6中のデータから明白である。
【0067】
表3は、圧縮応力が、パルプ約50%及びリオセル約50%を含む、1m2当たり約40グラム(gsm)の公称坪量を有するカード加工されたスパンレース不織布ウェブの引張り強度に与える影響を例示している。
【0068】
使い捨て拭取り用品として又は使い捨て拭取り用品において使用するため、206N/mm2の圧縮応力に付されたウェブを選択するのが望ましい場合があるが、その理由は、このレベルの圧縮応力が結果としてCD及びMDの最大力を著しく低下させるためである。
【0069】
【表3】

【0070】
表4は、圧縮応力が、パルプ約70%及びリオセル約30%を含む、約60gsmの公称坪量を有するカード加工されたスパンレース不織布ウェブの引張り強度に与える影響を例示している。
【0071】
使い捨て拭取り用品として又は使い捨て拭取り用品において使用するために、206N/mm2の圧縮応力に付されたウェブを選択するのが望ましい場合があるが、その理由は、このレベルの圧縮応力が結果としてCD及びMDの最大力を著しく低下させるためである。
【0072】
【表4】

【0073】
表5は、圧縮応力が、パルプ約40%及びリオセル約60%を含む、約50gsmの公称坪量を有するカード加工されたスパンレース不織布ウェブの引張り強度に与える影響を例示している。
【0074】
使い捨て拭取り用品として使用するために、275N/mm2の圧縮応力に付されたウェブを選択するのが望ましい場合があるが、その理由は、このレベルの圧縮応力が結果としてCD及びMDの最大力を著しく低下させるためである。
【0075】
【表5】

【0076】
表6は、圧縮応力が、パルプ約40%及びリオセル約60%を含む、約60gsmの公称坪量を有するカード加工されたスパンレース不織布ウェブの引張り強度に与える影響を例示している。
【0077】
使い捨て拭取り用品として使用するために、275N/mm2の圧縮応力に付されたウェブを選択するのが望ましい場合があるが、その理由は、このレベルの圧縮応力が結果としてCD及びMDの最大力を著しく低下させるためである。
【0078】
【表6】

【0079】
拭取り用品
本発明の幾つかの実施形態では、拭取り用品は、本発明のウェブの1以上の層を含んでもよい。更なる実施形態では、拭取り用品は、本発明のウェブの1以上の層の積層体を含んでもよい。拭取り用品は、様々な用途に適合されてもよく、また液体組成物で予め湿らせるか又は湿らせてもよい。液体組成物は、水溶液を含んでもよく、また界面活性剤、補助界面活性剤、起泡剤、乳化剤、非セルロース性の水溶性有機ポリマー、及びこれらの組み合わせを更に含んでもよい。
【0080】
本発明の拭取り用品は、赤ちゃんを洗浄する際の使用に適していてもよく、またあらゆる年齢の人々に関する洗浄作業での用途も見出してもよい。かかる拭取り用品としては、メークアップ、スキンコンディショナー、軟膏、医療品、及びこれらの組み合わせの適用が挙げられるが、これらに限定されない、物質を身体に適用するために使用される物品も挙げてもよい。かかる拭取り用品としては、ペットを清浄するか又は手入れをするために使用する物品、並びに家庭台所及び浴室表面、眼鏡、運動及び体操器具、自動車表面などの、表面及び物体の一般清浄に使用する物品も挙げてもよい。かかる拭取り用品はまた、体液及び同種のものを洗浄除去するために、病院又は臨床環境で使用されてもよい。
【0081】
本発明の拭取り用品は、少なくともMD方向及び/又はCD方向において、拭取り用品の容器から分配するのに適した使用中の強度を有してもよい。一実施形態では、拭取り用品は、「ポップアップ式」拭取り用品であってもよく、それによって、1枚の拭取り用品がタブなどの容器から引き出されるとき、容易な分配のために、積み重ね体の中の次の拭取り用品の縁部が現れてもよい。
【0082】
拭取り用品は、折り畳まれ、タブなどの容器内に積み重ねられてもよい。本発明の拭取り用品は、C折り畳み及びZ折り畳みなどの、種々の既知の折り畳みパターンのいずれかで折り畳まれてもよい。Z折り畳みパターンの使用により、折った拭取り用品の積み重ね体は、重なる部分で交互配置が可能になる。折り畳みパターンは、共に譲渡された同時係属中の米国特許出願シリアル番号09/344695において更に完全に開示されている。
【0083】
本発明の拭取り用品は、審美的魅力を提供し得る印刷を更に含んでもよい。印刷の非限定例としては、図、模様、文字、写真、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0084】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれの意味又は定義も、参考として組み込まれる文献における用語のいずれの意味又は定義と対立する程度まで、本文書における用語に与えられた意味又は定義が適用される。
【0085】
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるかかるすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0086】
本発明の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の請求の範囲、及び添付図を参照することにより、更に良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1A】複数個の別個の圧縮箇所によって作製され得る模様の一実施形態の図。
【図1B】図1Aに示された模様の一部分の拡大図。
【図2】模様の別の実施形態の図であり、当該模様は、複数個の別個の圧縮箇所によって作製されてもよい。
【図3】本明細書に記載されるようなレーヨン100%のカード加工されたスパンレース(即ち、水流絡合)ウェブの走査型電子顕微鏡写真(SEM)。
【図4】伸長に付される前の、本明細書に記載されるような別個の圧縮箇所の無い、予め湿らせたレーヨン100%のカード加工されたスパンレースウェブの図。
【図5】約30%の伸長に付された後の、本明細書に記載されるような別個の圧縮箇所の無い、予め湿らせたレーヨン100%のカード加工されたスパンレースウェブの図。
【図6】伸長に付される前の、図1Aに示された模様に配列された複数個の別個の圧縮箇所から成る、本明細書に記載されるような予め湿らせたレーヨン100%のカード加工されたスパンレースウェブの図。
【図7】約30%の伸長に付された後の、図1Aに示された模様に配列された複数個の別個の圧縮箇所から成る、本明細書に記載されるような予め湿らせたレーヨン100%のカード加工されたスパンレースウェブの図。
【図8】伸長に付される前の、図2に示された模様に配列された複数個の別個の圧縮箇所から成る、本明細書に記載されるような予め湿らせたレーヨン100%のカード加工されたスパンレースウェブの図。
【図9】約30%の伸長に付された後の、図2に示された模様に配列された複数個の別個の圧縮箇所から成る、本明細書に記載されるような予め湿らせたレーヨン100%のカード加工されたスパンレースウェブの図。
【図10】引張り試験に付されたときの、レーヨン100%のカード加工されたスパンレース不織布ウェブに加えられた横断方向の力対ウェブの伸長の割合のプロット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布ウェブであって、前記ウェブは、好ましくはカード加工及びスパンレース加工されており:
(a)非熱可塑性繊維であって、少なくとも20重量%の当該非熱可塑性繊維が、少なくとも18mmの繊維長を有する非熱可塑性繊維と;
(b)複数個の別個の圧縮箇所(1)であって:
i.面積が2.5mm2未満であり;且つ
ii.隣接した最も近い別個の圧縮箇所(3)から10mm以下の縁部間距離(2)で隔てられている、複数個の別個の圧縮箇所(1)と;
(c)脆弱線(4)と;
(d)別個の非圧縮領域(5)であって、当該別個の非圧縮領域(5)が、機械方向における最大力での伸長及び横断方向における最大力での伸長を有する、別個の非圧縮領域(5)と;
(e)好ましくは結合剤とを含み;
前記(b)複数個の別個の圧縮箇所(1)が前記(c)脆弱線(4)を形成し、前記(c)脆弱線(4)が前記(d)別個の非圧縮領域(5)を実質的に境界付け及び画定するように配列され、それによって、前記ウェブが前記機械方向又は前記横断方向の少なくとも一方向において前記(d)別個の非圧縮領域(5)の最大力よりも小さい力に付されるとき、前記ウェブは前記(c)脆弱線(4)に沿って少なくとも部分的に張力を失い、好ましくは前記別個の非圧縮領域(5)が、625mm2の2つの最大寸法区域を好ましくは有する別個の片に実質的に分かれる、不織布ウェブ。
【請求項2】
前記非熱可塑性繊維が、前記別個の圧縮箇所において溶解していない、請求項1に記載の不織布ウェブ。
【請求項3】
前記非熱可塑性繊維が、パルプ;綿;ウール;絹;黄麻;亜麻布;ラミー;大麻;亜麻;ラクダの毛;ケナフ;ビスコース、リオセル、及びこれらの混合物から成る群から好ましくは選択されるレーヨン;並びにこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1又は2に記載の不織布ウェブ。
【請求項4】
前記ウェブが、80重量%〜20重量%の前記レーヨン繊維、及び20重量%〜80重量%の前記パルプ繊維から構成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布ウェブ。
【請求項5】
1m2当たり30グラム〜1m2当たり150グラムの坪量を有する拭取り用品であって、当該拭取り用品が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の該不織布ウェブを含み、好ましくは当該拭取り用品が予め湿っている、拭取り用品。
【請求項6】
非熱可塑性繊維を含む不織布ウェブの分散性を増加させるためのプロセスであって、少なくとも20重量%の前記非熱可塑性繊維が少なくとも18mmの繊維長を有し、前記プロセスが:
少なくとも200N/mm2の圧縮応力を前記ウェブに加える工程と;
前記ウェブに:
(a)複数個の別個の圧縮箇所(1)であって:
i.面積が2.5mm2未満であり;且つ
ii.隣接した最も近い別個の圧縮箇所(3)から10mm以下の縁部間距離(2)で隔てられている、複数個の別個の圧縮箇所(1)と;
(b)脆弱線(4)と;
(c)別個の非圧縮領域(5)であって、当該別個の非圧縮領域(5)が、機械方向における最大力での伸長及び横断方向における最大力での伸長を有する、別個の非圧縮領域(5)と
を付与する工程とを含み;
前記(a)複数個の別個の圧縮箇所(1)が前記(b)脆弱線(4)を形成し、前記(b)脆弱線(4)が前記(c)別個の非圧縮領域(5)を実質的に境界付け及び画定するように配列され、それによって、前記ウェブが前記機械方向又は前記横断方向の少なくとも一方向において前記(c)別個の非圧縮領域(5)の最大力よりも小さい力に付されるとき、前記ウェブは前記(b)脆弱線(4)に沿って少なくとも部分的に張力を失い、好ましくは、前記別個の非圧縮領域(5)が、625mm2の2つの最大寸法区域を好ましくは有する別個の片に実質的に分かれる、プロセス。
【請求項7】
前記別個の圧縮箇所(1)がスタンピング、プレス、低温カレンダーローリング、加熱カレンダーローリング、及びこれらの組み合わせを介して作製される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記非熱可塑性繊維が、前記別個の圧縮箇所において溶解していない、請求項6及び7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
レーヨン繊維、パルプ繊維、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される非熱可塑性繊維を含む予め湿らせたカード加工されたスパンレース不織布ウェブであって、少なくとも20重量%の前記繊維が、少なくとも38mmの繊維長を有し、更に、前記ウェブは:
(a)複数個の別個の圧縮箇所(1)であって:
i.面積が2.5mm2未満であり;且つ
ii.隣接した最も近い別個の圧縮箇所(3)から10mm以下の縁部間距離(2)で隔てられている、複数個の別個の圧縮箇所(1)と;
(b)脆弱線(4)と;
(c)別個の非圧縮領域(5)であって、前記別個の非圧縮領域(5)が、機械方向における最大力での伸長及び横断方向における最大力での伸長を有する、別個の非圧縮領域(5)とを含み;
前記(a)複数個の別個の圧縮箇所(1)が前記(c)脆弱線(4)を形成し、前記(b)脆弱線(4)が前記(c)別個の非圧縮領域(5)を実質的に境界付け及び画定するように配列され、それによって、前記ウェブが8N未満の横断方向の力に付されるとき、前記ウェブは前記(b)脆弱線(4)に沿って少なくとも部分的に張力を失い、好ましくは、前記別個の非圧縮領域(5)が、625mm2の2つの最大寸法区域を好ましくは有する別個の片に実質的に分かれる、予め湿らせたカード加工されたスパンレース不織布ウェブ。
【請求項10】
前記ウェブが、80重量%〜20重量%の前記レーヨン繊維及び20重量%〜80重量%の前記パルプ繊維を含む、請求項9に記載のカード加工されたスパンレース不織布ウェブ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−523268(P2008−523268A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547036(P2007−547036)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/046283
【国際公開番号】WO2006/069119
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】