説明

分散液およびフィルムを包含する水性ポリウレタン尿素組成物

ポリウレタン尿素の水性分散液を含むポリウレタン尿素組成物が含まれる。該分散液は溶媒とともに、またはあらゆる添加溶媒の不在下で調製することができる。フィルムおよび他の造形品は流延および乾燥法により分散液から調製され、そして場合により、紙、布地または衣料品を含む基材とともに含まれることができる。フィルムは大気、熱およびUVに曝露時に減少した変色または黄変を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する関係
本出願は2008年10月17日出願の米国仮特許出願第61/106285号明細書の優先権を主張し、2007年7月20日出願の米国特許出願第11/780,819号の部分継続出願であり、それは2007年5月8日出願の米国特許出願第11/745,668号の部分継続出願であり、それは2006年2月10日出願の米国特許出願第11/351,967号の部分継続出願であり、それは2005年12月13日出願の米国特許出願第11/300,229号の部分継続出願であり、それは2005年、10月19日出願の米国特許出願第11/253,927号の部分継続出願であり、それは2005年2月11日出願の米国特許出願第11/056,067号の部分継続出願であり、現在の米国特許第7,240,371号であり、それらすべてがそれらの全体を引用することにより、本明細書に取り入れられたこととされる。
【0002】
発明の背景
本発明は、水性分散液、フィルムおよび他の造形品のようなポリウレタン尿素組成物に関する。本発明は特に、場合によりブロックされたイソシアネートの末端基をもつ、完全に形成されたポリウレタン尿素を含んでなる、場合により溶媒を含まない、水性の、安定な分散液に関する。分散液は、プレポリマー混合法により形成することができ、添加溶媒の不在下で調製することができる。これらの組成物から調製されるフィルムは環境または処理条件に曝露される時、減少された変色および/または黄変を示す。
【背景技術】
【0003】
関連技術の要約
ポリウレタン(ポリウレタン尿素を含む)は織布を含む種々の基材のための接着剤として使用することができる。このようなポリウレタンは典型的には、完全に形成された非反応性ポリマーまたは反応性イソシアネート末端プレポリマーのいずれかである。このような反応性ポリウレタン接着剤はしばしば、適切な接着力を形成するために長い硬化時間を必要とし、それは製造工程に不都合である可能性がある。更に、ポリウレタンのイソシアネート基は湿気に感受性であることが知られており、それは貯蔵安定性を制約し、このようなポリウレタンを取り入れている製品の棚寿命を短縮する。
【0004】
このようなポリマーは完全に成形される時に、典型的には、溶媒に溶解されるか(溶媒由来の)、水中に分散される(水由来の)か、または熱可塑性固形物(ホットメルト)として加工されるかのいずれかである。明らかに、溶媒基剤の接着剤は、揮発性有機化合物(VOC)および危険な空気汚染物(HAP)の放出減少を目的とした、非常に厳格な健康および環境の法律に直面する。従って、将来、従来の溶媒基剤の製品に代わるものを必要とされる可能性がある。
【0005】
ホットメルト接着剤はフィルムとして環境的に安全で、容易に適用されるが、一般に、反復伸長周期にさらされると、高度な硬化および低い回復を有する。他の心配は、環境または加工条件に曝露されると、時間の経過後の接着剤の変色および/または黄変である。従って、ホットメルト接着剤の性能の問題を克服する接着剤が必要とされる。望ましくは、このような接着剤はまた、従来の熱可塑性ポリウレタンおよびホットメルト接着剤に比較して、柔軟性、形状保持および通気性のような、布地に対する他の利点も提供するであろう。
【発明の概要】
【0006】
発明の要約
幾つかの態様は、
(a)(1)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートおよびそれらの組み合わせ物から選択され、600〜4000の数平均分子量を有する、少なくとも一種のポリオール、
(2)少なくとも一種の芳香族ジイソシアネートを含んでなるポリイソシアネート、
(3)場合により、中和剤並びに(i)ポリイソシアネートと反応可能なヒドロキシ基、および(ii)中和時に塩を形成することができる少なくとも一個のカルボン酸基、ここで前記の少なくとも一個のカルボン酸基はポリイソシアネートと反応することはできない、を含んでなるジオール化合物、
(4)ジアミンの連鎖延長剤、水およびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される連鎖延長剤:
の反応生成物であるポリマーを含んでなり、そして
(5)場合により、イソシアネートに対するブロック剤、
(6)少なくとも一種の界面活性物質、を含む:
ポリウレタン尿素の水性分散液、並びに
(b)モノイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートおよびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される抗黄変化合物:
を含む組成物を提供する。
【0007】
他の態様は、
(a)(1)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートおよびそれらの組み合わせ物から選択され、600〜4000の数平均分子量を有する、少なくとも一種のポリオール、
(2)少なくとも一種の芳香族ジイソシアネートを含んでなるポリイソシアネート、
(3)場合により、中和剤並びに(i)ポリイソシアネートと反応可能なヒドロキシ基、および(ii)中和時に塩を形成することができる少なくとも一個のカルボン酸基、ここで前記の少なくとも一個のカルボン酸基はポリイソシアネートと反応することはできない、を含んでなるジオール化合物、
(4)ジアミンの連鎖延長剤、水およびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される連鎖延長剤:
の反応生成物であるポリマーを含んでなり、そして
(5)場合により、イソシアネートに対するブロック剤、
(6)少なくとも一種の界面活性物質、を含む、
ポリウレタン尿素の水性分散液、並びに
(b)モノイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートおよびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される抗黄変化合物:
を含んでなる組成物から流延され、乾燥されるフィルムである。
【0008】
更なる態様は、
(a)(1)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートおよびそれらの組み合わせ物から選択され、600〜4000の数平均分子量を有する、少なくとも一種のポリオール、
(2)少なくとも一種の芳香族ジイソシアネートを含んでなるポリイソシアネート、
(3)場合により、中和剤並びに(i)ポリイソシアネートと反応可能なヒドロキシ基、および(ii)中和時に塩を形成することができる少なくとも一個のカルボン酸基、ここで前記の少なくとも一個のカルボン酸基はポリイソシアネートと反応することはできない、を含んでなるジオール化合物、
(4)ジアミン連鎖延長剤、水およびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される連鎖延長剤:
の反応生成物であるポリマーを含んでなり、そして
(5)場合により、イソシアネートに対するブロック剤、
(6)少なくとも一種の界面活性物質、を含む、
ポリウレタン尿素の水性分散液を調製し、
(b)モノイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートおよびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される抗黄変化合物を前記分散液に添加し、そして
(c)前記分散液から造形品を調製する工程:
を含んでなる、フィルムにおける黄変を減少させる方法である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の範囲内に入る水性ポリウレタン分散液は、幾つかの態様のアスペクトをも形成する特定のウレタンのプレポリマーから提供される。
【0010】
幾つかの態様において、ポリウレタン尿素の分散体を製造するためのセグメントのポリウレタン尿素は、a)限定はされないが、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリブタジエングリコールまたはそれらの水素化誘導体およびヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンを含む、500〜5000(例えば、約600〜4000および600〜3500)間の数平均分子量のポリオールまたはポリオールコポリマーまたはポリオール混合物;b)脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートのようなジイソシアネートを含むポリイソシアネート;並びにc)(i)ポリイソシアネートと反応可能なヒドロキシ基、および(ii)中和時に塩を形成可能な、少なくとも一個のカルボン酸基、ここで少なくとも一個のカルボン酸基はポリイソシアネートと反応不能である、を含むジオール化合物、d)水、または、脂肪族ジアミン連鎖延長剤または2〜13個の炭素原子をもつ脂肪族ジアミンおよび脂環式ジアミンから選択される一種または複数のジアミンとの脂肪族ジアミン連鎖延長剤の組み合わせ物、を含むジアミン連鎖延長剤、あるいはアミノ−末端ポリマーのような連鎖延長剤、;並びにe)場合により、ブロック剤または連鎖停止剤としての第一級または第二級モノアルコールまたはモノアミン、および場合により、少なくとも3個の第一級または第二級アミン基をもつ有機化合物またはポリマー:を含む。
【0011】
キャップグリコールとしても知られる幾つかの態様のウレタンプレポリマーは一般に、ポリオール、ポリイソシアネート、および、プレポリマーが水中に分散され連鎖延長される前に中和時に塩形成可能な化合物、の反応生成物として概念的に説明することができる。このようなプレポリマーは典型的には、プレポリマー組成物の粘度を減少させるのに有用であることができる溶媒を使用して、または使用せずに、1つまたは複数の工程で製造することができる。
【0012】
プレポリマーが分散体中に残留するであろう揮発性の少ない溶媒(NMPのような)に溶解されるか、後に除去され得るアセトンまたはメチルエチルケトン(MEK)のような揮発性溶媒に溶解されるか、あるいは何の溶媒も使用せずに水中に分散されるかに応じて、分散法は実際的に、それぞれ、溶媒法、アセトン法またはプレポリマー混合法と分類することができる。プレポリマー混合法は環境的および経済的利点をもち、実質的に何の添加溶媒をも伴わずに水性分散液の調製に使用することができる。
【0013】
プレポリマー混合法において、プレポリマーの粘度は、水中で運搬され、分散されるために、溶媒による希釈を伴いまたは伴わずに適当に十分に低いことが重要である。一つの態様は、この粘度の条件を満たし、そしてプレポリマーまたは分散体中に何の有機溶媒をももたない、このようなプレポリマーから得られるポリウレタン尿素の分散体に関する。本発明に従うプレポリマーはポリオール、ジイソシアネートおよびジオール化合物の反応
生成物である。
【0014】
幾つかの態様は、従来の方法により、基材へのコーティング、接着および張り合わせのための接着材として(すなわち、何の更なる接着材の必要を伴わずに)加工され、直接適用され得る、溶媒を含まない、安定な、水性ポリウレタン分散液である。水性ポリウレタン分散液には:本質的に揮発性有機物質を発生せず、生成時の許容され得る硬化時間および、完成品および実際的適用物における優れた接着力、熱抵抗および伸縮性:を与えられることができる。
【0015】
更なる態様は、分散液を流延そして乾燥することによるような、水性ポリウレタン尿素の分散液から調製することができるフィルムのような造形品である。接着性であるかまたは接着性でなくてもよいフィルムは剥離紙上にコーティングするかまたは、接着および張り合わせのための織布を含む基材に直接適用することができる。接着は1分間未満の、例えば約15秒〜約60秒の滞留時間で、基材および接着フィルム上に熱および/または圧力を適用することにより活性化することができる。このように接着された製品は優れた伸縮性をもち、通常の着用(wear)および洗浄周期で耐用性であることが期待される。
【0016】
本明細書で使用される用語「多孔質」は、基材の表面またはその厚み内のいずれかの地点または厚みを通る、あるいは本発明の製品が接触する可能性があるあらゆる材料に対する空隙または穴を含む基材を表す。
【0017】
本明細書で使用される用語「プレス」または「プレスされた」は、実質的に平坦な構造を提供するために熱および/または圧力を受けた製品を表す。
【0018】
本明細書で使用される用語「フォーム」は、ポリウレタンフォームのような布帛構成物に使用することができるあらゆる適当なフォームを表す。
【0019】
本明細書で使用される用語「分散体」は、分散相が微細に粉砕された粒子よりなり、そして連続相が液体、固体または気体であることができる系を表す。
【0020】
本明細書で使用される用語「水性ポリウレタン分散液」は、脱イオン水を含む、水のような水性媒質中に分散された、場合により溶媒を含む、少なくともポリウレタンもしくはポリウレタン尿素ポリマーもしくはプレポリマー(例えば本明細書で説明されるポリウレタンプレポリマー)を含む組成物を表す。
【0021】
本明細書で使用される用語「溶媒」は、別記されない限り、揮発性有機溶媒(例えばアセトン)および幾らか揮発性の少ない有機溶媒(例えばN−メチルピロリドン(NMP))を含む有機溶媒を含む非水性媒質を表す。
【0022】
本明細書で使用される用語「溶媒を含まない」または「溶媒を含まない系」は、組成物または分散成分のバルクが溶媒中に溶解または分散されていない組成物または分散体を表す。
【0023】
本明細書で使用される用語、造形品(shaped article)は、フィルム、テープ、点状物、ウェブ、縞状物、ビードおよびフォームを含むポリウレタン尿素組成物の様々な態様のいずれかを表すことができる。フィルムはあらゆる形状のシート材料を表すことができる。テープは約0.5cm〜約3cmの狭いストリップを含む狭いストリップ形態のフィルムを表すことができる。フィルムはテープの形状にあることができる。本明細書で使用される用語「造形品」は、接着のために、そして/または硬いもしくは弾性の製品を形成するために使用することができる、基材または剥離紙に直接適用することが
できる水性ポリウレタン分散液(例えば本明細書に記載のポリウレタンプレポリマーを含む水性ポリウレタン分散液)を含んでなる層を表す。
【0024】
本明細書で使用される用語「製品」は、分散体または造形品および基材、例えば織布および剥離紙、を含んでなり、一部は本明細書に記載の分散体または造形品の適用により、少なくとも一つの弾性の特性をもつかまたはもたないかも知れない製品を表す。製品はあらゆる適当な構造、例えば一次元、二次元および/または三次元であることができる。
【0025】
本明細書で使用される用語「布帛」は、あらゆるニット、織物または不織材を含むことを意味する。ニット布帛は平らなニット、円形のニット、ワープニット、細いゴム紐またはレースであることができる。織布帛はあらゆる構造物、例えばサテン、ツイル、平織り、オックスフォード織り、バスケット織りまたは細いゴム紐であることができる。不織材はメルトブロー、スパンボンド、湿式堆積、毛羽だて繊維基材のステープル・ウェブ、等の一つであることができる。
【0026】
本明細書で使用される用語「基材」は、本発明のフィルムまたは分散体が接触する可能性があるあらゆる材料を表す。基材は実質的に一次元(例えば繊維)、二次元(例えば平坦なシート)あるいは三次元の製品または凹凸のあるシートであることができる。平坦なシートは例えば、織布、紙、フロック加工品およびウェブを含んでなることができる。三次元の製品は例えば、革およびフォームを含んでなることができる。他の基材は木材、紙、プラスチック、金属および複合品(例えばコンクリート、アスファルト、体育館の床材およびプラスチック・チップ)を含むことができる。
【0027】
本明細書で使用される用語「ハードヤーン」は、実質的に伸びない糸を表す。
【0028】
本明細書で使用される用語「成形」品は、それにより製品または造形品の形状が熱および/または圧力の適用に応答して変化する成果を表す。
【0029】
本明細書で使用される用語「に由来する」は、他の物体からある物質を形成する工程を表す。例えば、フィルムは乾燥された分散体に由来することができる。
【0030】
本明細書で使用される用語「弾性率」は、単位線密度または面積当りの力で表される、品物に対する応力比率を表す。
【0031】
幾つかの態様は、フィルムまたは分散体の形状の、少なくとも1層のポリウレタン尿素組成物を含む多層製品である。これらの製品は、少なくとも1種のポリウレタン尿素組成物を含む少なくとも2層を有する。ポリウレタン尿素組成物は、例えば基材上のポリウレタン尿素組成物として層の一つを形成することができる。ポリウレタン尿素組成物はフィルムまたは分散体のようなあらゆる適切な形状にあることができる。ポリウレタン尿素組成物は層に隣接して、または層間に配置することができ、また、製品に伸縮性、増加した弾性率、接着性、成形性、形状保持および柔軟性を与えることができる。これらの製品は布帛および/または衣料品に成形することができる。
【0032】
製品が、その1層がフィルムである3枚以上の層を含む多層製品を含む態様において、該フィルムは2枚の布帛層間、2枚のフォーム層間、1枚の布帛層と1枚のフォーム層間の中間層であるか、または布帛層に隣接したフォーム層に隣接することができる。これらの布帛/フォーム/フィルムの配列の組み合わせも想定される。例えば、製品は順次、布帛層、フォーム層、フィルム層、フォーム層および布帛層を含むことができる。この製品は2枚の別の布帛層、2枚の別のフォーム層および1枚のフィルム層を含む。これらの態様のいずれかにおけるポリウレタン尿素のフィルムはポリウレタン尿素分散体と置き換え
ることができる。従って、製品は1枚または複数のポリウレタン尿素フィルムおよび1枚または複数のポリウレタン尿素分散体層を含むことができる。
【0033】
2枚以上の層を含む態様において、ポリウレタン尿素組成物は外層を形成することができる。外面上にポリウレタン尿素組成物を含む工程は、多数の有利な機能を形成する。例えば、ポリウレタン尿素組成物は、ポリウレタン尿素組成物を含む製品と外側の基材の間の相対的移動を縮小するために、定着媒体(anchor)または増加した摩擦の領域を与えることができる。これは、製品が皮膚接触面(ここでは着用者の皮膚が基材である)を含む下着である時に特に有用である。あるいはまた、基材は本発明の製品のポリウレタン尿素組成物と接する外衣であることができる。基材が着用者の外衣であり、製品が下着として着られる場合は、製品が外衣の相対的移動を防止または減少させる。更に、外衣(例えば、ドレス)は下着(例えばスリップ)の相対的配置を維持するためにポリウレタン尿素組成物を含むことができる。
【0034】
布帛、フォームおよびポリウレタン尿素組成物の層が選択された後に、それらは次に、プレスまたは成形により接着されて、平坦な製品または造形品を形成することができる。幾つかの態様のプレス品および成形品を調製する工程は、必要に応じて圧力および熱の使用を含む。例えば、成形品を達成するために十分な時間にわたり、約185℃を含む約150℃〜約200℃または約180℃〜約190℃で熱を適用することができる。熱適用に適当な時間は、それらに限定はされないが、約45秒〜約120秒を含む約30秒〜約360秒を含む。接着は、それらに限定はされないが、マイクロウエーブ、赤外線、伝導、超音波、長時間にわたる圧力適用(すなわちクランプ)およびそれらの組み合わせ物を含む、あらゆる知られた方法により実施することができる。
【0035】
ポリウレタン尿素のフィルムまたは分散体を含む製品に対する、熱および圧力の適用により、そして分散体および布帛から調製されるポリウレタン尿素フィルム自体が多孔質材であることを考えれば、フィルムまたは分散体が製品の布帛またはフォームを部分的にまたは完全に含浸することができることが認められる。例えば、ポリウレタン尿素組成物は周囲の層から部分的に分離された層を形成するか、あるいは周囲の1枚または複数の層に完全に移送されて、明白に分離されたポリウレタン尿素組成物の層を伴わない一体の製品を形成することができる。
【0036】
本発明の多層製品の一つの適用はブラジャー(特にカップまたはウィング)および男性用下着のような身体補整衣類である。これらの製品は、快適さ、呼吸性(breathability)、通気性(air permeability)、湿度/蒸気の輸送、毛細管による水除去(wicking)、およびそれらの組み合わせをまだ提供しながら、快適さ、身体補整および支持の望ましい特徴を提供することができる。本発明の幾つかの態様の製品において、層は、前以て決められた形状を採ることができ、ブラジャー構成物のカップのような成形または造形製品のデザインにおいて、相互に対して前以て決められた配置に配列させることができる。これらの布帛の層は単独で、あるいは、布地に縫い付けられた、糊付けされたあるいは適用された他の材料と組み合わせて使用することができる。
【0037】
幾つかの態様において、布帛により提供される一体的成形能をもつ身体補整衣料品の構成用システムがある。この構成システムは様々な異なる衣料品構成物、なかでも、例えば活動着、運動着、男性用および女性用下着(例えば、ブラジャー、下履き、パンティー、補正衣類、ソックス)および靴下類(例えばパンティストッキング)、そのまま着用可能な衣料品(例えばデニムジーンズ)、キャミソール、ワイシャツおよびズボンに使用することができる。この構成物はあらゆる形成可能な身体の部分に適用することができる。布帛構成物の多数の利点が含まれるが、更に、その有用性は衣料品に限定されず、更にまた
、形成可能な部分と接する布地の移動および可能な滑動にもさらされる家具のクッションを含む、あらゆる造形可能なまたは形成可能な媒体を伴う適用を見いだすことが認められる。
【0038】
更なる支持および他の特徴を付加するために、ポリウレタン尿素組成物は製品の異なる領域に付加することができる。例えばフィルムが使用される時は、それは、製品の全領域中に延伸させるかまたは特定の部分に延伸させて異なる利点を提供することができる。例えば、ブラジャーはカップ部分に幾つかの態様の層状布帛を含むことができる。ブラジャーのカップにおいては、カップの下部には支持のための、カップの中央部には控えめな、その側部には造形のため、または特定の部分には装飾もしくは飾りのために、フィルムの一部分を使用することが有用である可能性がある。
【0039】
布帛の需要を満たすために、多層布地中のフィルムの量を減少させることはまた、布帛の通気性を増加することができる。実施例に示されるように、本明細書に記載の水性分散液から得られるポリウレタン尿素組成物は、ポリウレタン尿素溶液から得られたものより大きい通気性を与えた。水性分散液から流延されたフィルムはまた、Bemisから入手可能な市販の熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムに比較すると、通気性に関してより優れた性能を示した。通気性はまた、フィルムを多孔質にさせる、または多孔質になる(すなわち「潜在的」通気性)ように改変させるか、あるいはフィルムに穴をあけることにより増加させることができる。
【0040】
幾つかの態様の水性分散液から流延されるフィルムの他の利点は、フィルムの感触または触覚に関する。それらは、皮膚接触適用物に対する更なる利点である、移動を減少させるために所望される摩擦を維持しながら、シリコーンゴムまたは市販のTPUフィルムに比較してより柔らかい感触を与える。更に、より低い曲げ弾性率が、より良いドレープおよび布帛の手触りを与える。
【0041】
ポリウレタン尿素組成物は、衣料品に使用される時、特に市販の熱可塑性ポリウレタン尿素組成物に比較されると、更なる利点を与える。これらの利点は形状記憶、造形能、接着性、基材の一部の維持、湿度の管理および蒸気透過性を含む。
【0042】
ポリウレタン尿素組成物は視覚的審美性であり得る所望の機能に応じて、他の構成物に添加することができる。ポリウレタン尿素フィルムまたは分散体はデザインに成形される製品、布帛または衣料品に付加されて、装飾(例えば、ラベルまたはロゴの形状の装飾的布帛および光沢並びにそれらの組み合わせ)を付着させることができる。
【0043】
本明細書に記載の水性分散液から、フィルムまたは分散液として適用される時のポリウレタン尿素組成物の所望の効果に応じて、フィルム中のポリマーの重量平均分子量は、約40,000〜約150,000、約100,000〜約150,000および約120,000〜約140,000を含む約40,000〜約250,000にわたることができる。
【0044】
幾つかの態様において、ポリウレタン尿素組成物は、布帛またはフォームの2枚以上の層を付着するため、あるいはフォームに布帛の層を接着するための接着材として働くことができる。これを実施する一つの適切な方法は、あらゆる適当な方法により、層に分散体を適用することである。幾つかの態様の、分散体を適用する方法は、噴霧、軽く触れる(kissing)、印刷、ブラッシュ、浸漬、パッディング、分配、計量、塗布およびそれらの組み合わせを含む。これの次に、熱および/または圧力の適用を実施することができる。
【0045】
本発明の幾つかの態様の多層製品中に、他の接着剤を含むことができる。接着剤の例は、熱硬化または熱可塑性接着剤、粘着剤、ホットメルト接着剤およびそれらの組み合わせ物を含む。接着剤は異なる層を接着するために使用することができ、あらゆる布帛、フォームまたはポリウレタン尿素フィルムまたは分散体に適用することができる。更に、ポリウレタン尿素の水性分散液はまた、幾つかの態様に説明されるように、あらゆる布帛、フォームまたはポリウレタン尿素フィルムの2枚以上の層を接着するための接着剤として使用することができる。
【0046】
前記のように、本発明の製品に有用な様々な布帛構成物が存在する。更に、ポリウレタン組成物は、あらゆるこれらの態様におけるフィルムまたは分散体のいずれかであることができる。更に、ポリウレタン尿素組成物は構造的特性、柔軟性、接着性またはこれらのあらゆる組み合わせを提供することができる。層配列の順序は(1)布帛層、フォーム層、ポリウレタン尿素組成物層、(2)布帛層、フォーム層、ポリウレタン尿素組成物層、フォーム層、布帛層、(3)布帛層、ポリウレタン尿素組成物層、布帛層、(4)フォーム層、ポリウレタン尿素層、フォーム層、(5)フォーム層、ポリウレタン尿素組成物層、(6)布帛層、ポリウレタン尿素層、または布帛構成物中に、より多層を達成するために合わせることができるあらゆるこれらの組み合わせ物、であることができる。接着剤は、ポリウレタン尿素組成物が接着剤である場合を含む、あらゆる層を接着するために含むことができる。
【0047】
幾つかの態様の布帛と一緒に、様々な異なる繊維および糸を使用することができる。これらは、木綿、羊毛、アクリル、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、スパンデックス、再生セルロース、ゴム(天然または合成)、竹、絹、大豆またはそれらの組み合わせ物を含む。
【0048】
ポリウレタン尿素組成物の成分は以下に更に詳細に説明される。
【0049】
ポリオール
本発明に従うウレタンプレポリマーを調製するための出発材料として適当なポリオール成分は、約600〜約3,500または約4,000の数平均分子量の、ポリエーテルグリコール、ポリカーボネートグリコールおよびポリエステルグリコールである。
【0050】
使用することができるポリエーテルポリオールの例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、トリメチレンオキシド、テトラヒドロフランおよび3−メチルテトラヒドロフランの開環重合および/または共重合から、あるいは各分子中に12個未満の炭素原子をもつ多価アルコール、好ましくはジオールまたはジオール混合物、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ぺンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオール、の縮合重合からの、2個以上のヒドロキシ基をもつグリコールを含む。線状の二官能性ポリエーテルポリオールが好ましく、二官能性の約1,700〜約2,100の分子量のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(例えばTerathane(登録商標)1800(Invista))が本発明において特に好ましい。
【0051】
使用することができるポリエステルポリオールの例は、各分子中に12個以下の炭素原子をもつ低分子量の脂肪族ポリカルボン酸およびポリオールまたはそれらの混合物の縮合重合により生成される、2個以上のヒドロキシ基をもつエステルグリコールを含む。適切なポリカルボン酸の例はマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸およびドデカンジカルボ
ン酸である。ポリエステルポリオールを調製するために適したポリオールの例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールである。約5℃〜約50℃の融点をもつ線状二官能性ポリエステルポリオールが好ましい。
【0052】
使用することができるポリカーボネートポリオールの例は、ホスゲン、クロロギ酸エステル、ジアルキルカーボネートまたはジアリルカーボネートと、各分子中に12個以下の炭素原子をもつ、低分子量の脂肪族ポリオールまたはそれらの混合物の縮合重合により生成される、2個以上のヒドロキシ基をもつカーボネートグリコールを含む。ポリカーボネートポリオールを調製するために適切なポリオールの例は、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールである。約5℃〜約50℃の融点をもつ線状二官能性ポリカーボネートポリオールが好ましい。
【0053】
ポリイソシアネート
適切なポリイソシアネート成分の例は、ジイソシアネート、例えば1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,12−ジイソシアナトドデカン、イソフォロンジイソシアネート、トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、ジイソシアナトシクロヘキサン、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、テトラメチル−キシレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トルエンジイソシアネート、メチレン・ビス(4−フェニルイソシアネート)、フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートおよびこのようなジイソシアネートの混合物を含む。ジイソシアネートは例えば、芳香族ジイソシアネート、例えばフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびそれらの組み合わせ物であることができる。
【0054】
本発明に従うウレタンプレポリマーを製造するための他の出発材料として適するポリイソシアネート成分は、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)および2,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を含み、約65:35〜約35:65間の、好ましくは約55:45〜約45:55の範囲内の、そしてより好ましくは約50:50の、4,4’−MDI対2,4’−MDI異性体比率の範囲内であるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の異性体混合物であることができる。適切なポリイソシアネート成分の例はMondur(登録商標)ML(Bayer)、Lupranate(登録商標)MI(BASF)およびIsonate(登録商標)50 O,P’(Dow Chemical)を含む。
【0055】
抗黄変化合物
幾つかの態様で有用な抗黄変化合物は脂肪族または芳香族イソシアネート(一官能性)、脂肪族ジイソシアネートまたはそれらの組み合わせ物を含む。
【0056】
抗黄変化合物は分散体の形成後の、あらゆる好都合な時間に分散体に添加することができる。一つの適切な添加法は、抗黄変化合物を分散体に添加し、混合することである。抗黄変化合物は改善された特性、例えば生成されるフィルムの黄変の減少を達成するためのあらゆる有効量、例えば、約0.3%〜約1.0%および約0.5%を含む、分散体の約0.1重量%〜約1.5重量%を添加することができる。
【0057】
モノイソシアネート
本発明とともに有用なモノイソシアネートは脂肪族モノイソシアネート、脂環式イソシアネートを含む。特に、式R−N=C=O、ここで、Rは脂肪族または脂環式、例えばエチル−、プロピル−、ブチル−、ペンチル−、ヘキシル、シクロヘキシル−、等である、の化合物並びに芳香族モノイソシアネートが含まれる。脂肪族ポリイソシアネートは芳香族基の不在による黄変を減少するためにポリウレタンの適用物中に使用されてきた。本発明において、モノイソシアネートは芳香族ポリイソシアネートとともに調製されるポリウレタン尿素分散体に添加され、そして驚くべきことに、分散体から流延され、乾燥されるフィルムの黄変の著しい減少を有する組成物をもたらす。黄変はとりわけ、環境または処理条件、例えば熱、NOおよびUVへの曝露からもたらされ得る。
【0058】
適切なモノイソシアネートの限定されない例は、1−メチル−デシルイソシアネート、2−クロロエチルイソシアネート、2−エチルヘキシルイソシアネート、2−メチルシクロヘキシルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、3−クロロプロピルイソシアネート、3−イソプロペニル−a,a−ジメチルベンジルイソシアネート、3−メチルシクロヘキシルイソシアネート、4−メチルシクロヘキシルイソシアネート、6−クロロヘキシルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、シクロヘプチルイソシアネート、シクロヘプチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、シクロヘキサンメチルイソシアネート、シクロオクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、イソシアナト酢酸n−ブチルエステル、イソプロピルイソシアネート、n−ヘプチルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、ノニルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、ペンチルイソシアネート、フェネチルイソシアネート、trans−4−メチルシクロヘキシルイソシアネート、α−メチルベンジルイソシアネート、(3−イソシアナトプロピル)トリエトキシシラン、エチル6−イソシアナトヘキサノエート、エチル3−イソシアナトプロピオネート、1−テトラデシルイソシアネートおよびそれらの組み合わせ物を含む。適切な芳香族モノイソシアネートの例はフェニルイソシアネートを含み、それは単独で、または他の芳香族もしくは脂肪族イソシアネートと組み合わせて使用することができる。
【0059】
脂肪族ジイソシアネート
種々の異なる脂肪族ジイソシアネートもまた本発明とともに有用であり、単独で、または他の脂肪族ジイソシアネートもしくはモノイソシアネートと組み合わせて使用することができる。
【0060】
ジオール
幾つかの態様に含むことができるジオール化合物は、(i)ポリイソシアネートと反応可能な2個のヒドロキシ基、および(ii)中和時に塩形成可能で、ポリイソシアネートと反応不可能な少なくとも1個のカルボン酸基をもつ、少なくとも1種のジオール化合物を含む。1個のカルボン酸基をもつジオール化合物の典型的な例は、2,2−ジメチルプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチルブタン酸、2,2−ジメチルバレリン酸、およびDMPA重合開始のカプロラクトン、例えばCAPA(登録商標)HC 1060(Solvay)を含む。本発明にはDMPAが好ましい。
【0061】
中和剤
酸性ジオールが含まれる時は中和剤を含まなければならない。酸基を塩の基に変えるために適切な中和剤の例は、第三級アミン(例えばトリエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよびトリエタノールアミン)およびアルカリ金属水酸化物(例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウムの水酸化物)を含む。第一級および/または第二級アミンもまた、酸基の中和剤とし
て使用することができる。中和の度合いは一般に、酸基の約60%〜約140%の間、例えば約80%〜約120%の範囲内にある。
【0062】
連鎖延長剤
本発明とともに有用な連鎖延長剤はジアミンの連鎖延長剤および水を含む。有用な連鎖延長剤の多数の例が当業者により知られている。適切なジアミンの連鎖延長剤の例は:1,2−エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,2−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、イソフォロン・ジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、メタ−テトラメチルキシレンジアミンおよび500未満の分子量のJeffamine(登録商標)(Texaco)を含む。
【0063】
界面活性物質
適切な界面活性物質(界面活性剤)の例は:アニオン性、カチオン性または非イオン性の分散体または界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エトキシル化アルキルフェノール、例えばエトキシル化ノニルフェノール、およびエトキシル化脂肪アルコール、ラウリルピリジニウムブロミド、ポリエーテルホスフェートおよびホスフェートエステル、修飾アルコール−エトキシレート、並びにそれらの組み合わせ物を含む。
【0064】
ブロック剤
イソシアネート基に対するブロック剤は一官能性アルコールまたは一官能性アミンのいずれかであることができる。ブロック剤は水性媒質、例えば脱イオン水中へのプレポリマーの分散前および後を含むプレポリマーの形成前、プレポリマーの形成中、またはプレポリマーの形成後のいつでも添加することができる。幾つかの態様において、ブロック剤は場合により使用されるかまたは排除することができる。他の態様において、ブロック剤はプレポリマーの重量に基づき、約0.1%〜約6.0%、および約1.0%〜約4.0%を含む約0.05%〜約10.0%の量で含まれることができる。ブロック剤は最終分散体の重量の、約0.05%〜約3%および約0.1%〜約1.0%を含む約0.01%〜約6.0%の量で存在することができる。
【0065】
ブロック剤を含むことは、分散体中のポリマーの重量平均分子量に対する制御を可能にし、かつポリマーの分子量分布に対する制御を提供する。この制御を与えるブロック剤の効果は、ブロック剤の種類および、ブロック剤が分散体の調製中いつ添加されるかに左右される。例えば、一官能性アルコールはプレポリマーの形成前、プレポリマー形成の期間中またはその後に添加することができる。一官能性アルコールのブロック剤はまた、プレポリマーがその中に分散される水性媒質に、またはプレポリマーの水性媒質中への分散直後に添加することができる。しかし、最終分散体中のポリマーの分子量および分子量分布に対する制御が所望される時は、それが分散される前にプレポリマーの一部として添加され、反応される場合に、一官能性アルコールはもっとも有効であることができる。一官能性アルコールがプレポリマーの分散中またはその後に水性媒質に添加される場合は、ポリマーの分子量を制御するその効果は、競合する連鎖延長反応のために縮小されるであろう。
【0066】
本発明とともに有用な一官能性アルコールの例は、1〜18個の炭素をもつ脂肪族および脂環式の第一級および第二級アルコール、500未満の分子量を含む約750未満の分子量をもつフェノール、置換フェノール、エトキシル化アルキルフェノールおよびエトキシル化脂肪アルコール、ヒドロキシアミン、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチル置換第三級アミン、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチル置換複素環式化合物並びにそ
れらの組み合わせ物よりなる群から選択される少なくとも1員を含み、それらはフルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、N−(2−ヒドロキシエチル)スクシンイミド、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、メタノール、エタノール、ブタノール、ネオペンチルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、ベンジルアルコール、オクタノール、オクタデカノール、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−ジメチルアミノエタノールおよび4−ピペリジンエタノール、並びにそれらの組み合わせ物を含む。
【0067】
一官能性アミン化合物、例えば一官能性ジアルキルアミンが、イソシアネート基のブロック剤として使用される時は、それもまた分散体の調製期間のいかなる時に添加されてもよく、望ましくは、一官能性アミンのブロック剤はプレポリマーの分散期間中またはその後に水性媒質に添加される。例えば、一官能性アミンのブロック剤はプレポリマーが分散された直後に水混合物に添加することができる。
【0068】
適切な一官能性ジアルキルアミンのブロック剤の例は:N,N−ジエチルアミン、N−エチル−N−プロピルアミン、N,N−ジイソプロピルアミン、N−tert−ブチル−N−メチルアミン、N−tert−ブチル−N−ベンジルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−エチル−N−イソプロピルアミン、N−tert−ブチル−N−イソプロピルアミン、N−イソプロピル−N−シクロヘキシルアミン、N−エチル−N−シクロヘキシルアミン、N,N−ジエタノールアミンおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを含む。水中への分散の前のプレポリマーのイソシアネート基に対するアミンのブロック剤のモル比率は一般に、約0.05〜約0.50、例えば約0.20〜約0.40にわたるべきである。脱ブロック反応のために触媒を使用することができる。
【0069】
プレポリマーが分散され、ブロック剤が添加された後に、場合により、ポリマー1モル当りに少なくとも3個以上の第一級および/または第二級アミノ基をもつ、少なくとも1種のポリマー成分(MW.>約500)を水媒質に添加することができる。適切なポリマー成分の例は、ポリエチレンイミン、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(アリルアミン)およびポリ(アミドアミン)デンドリマーおよびそれらの組み合わせ物を含む。
【0070】
他の添加物
適切な消泡剤または脱泡剤または発泡調節剤の例は:Additive 65およびAdditive 62(Dow Corningからのシリコーン−ベースの添加物)、FoamStar(登録商標)I 300(Cognisからの鉱油−ベースの、シリコーンを含まない脱泡剤)およびSurfynol(商標)DF 110L(Air Products & Chemicalsからの高分子のアセチレングリコールの非イオン界面活性剤)を含む。
【0071】
適切なレオロジー修飾剤の例は:疎水性に修飾されたエトキシレートウレタン(HEUR)、疎水性に修飾されたアルカリ膨張性エマルション(HASE)および疎水性に修飾されたヒドロキシ−エチルセルロース(HMHEC)を含む。
【0072】
水性分散液またはプレポリマー中に、場合により含むことができる他の添加物は:抗酸化剤、UV安定剤、着色剤、顔料、架橋剤、相変化物質(すなわち、Outlast Technologies,Boulder,Coloradoから市販されているOutlast(登録商標))、抗微生物剤、鉱物(すなわち、銅)、微小カプセル封入健康添加物(すなわち、アロエベラ、ビタミンEゲル、アロエベラ、海草、ニコチン、カフェイン、香り(scents)または芳香(aroma))、ナノ粒子(すなわち、シリカまたは炭素)、炭酸カルシウム、難燃剤、抗接着添加物、塩素分解抵抗性添加物、ビタミン剤、医薬、香料、電気伝導性添加物および/または染料補助剤を含む。プレポリマーまた
は水性分散液に添加することができる他の添加物は、接着促進剤、帯電防止剤、窪み抑制剤(anti−cratering agents)、クロール抑制剤(anti−crawling agents)、光学的光沢剤、凝集剤、電気伝導性添加物、蛍光添加物、流動、水平化剤、凍結−融解安定剤、滑沢剤、有機および無機充填剤、保存剤、表面模様加工剤、熱変色添加物、除虫剤並びに湿潤剤、を含んでなる。
【0073】
場合により使用される添加物はプレポリマーが分散される前、その間またはその後に水性分散液に添加することができる。
【0074】
幾つかの態様の水性ポリウレタン尿素分散液は営業的規模で、例えば約500ガロン(19,000リットル)を超えるまたは約1000ガロン(38,000リットル)を超えるバッチで調製することができる。分散液は有機溶媒の添加を伴いまたは伴わずに調製することができる。水性ポリウレタン尿素の営業的規模の調製において、プレポリマーは一官能性アルコールのブロック剤を含むことができる。安定な分散体は、添加溶媒の不在下でこれらのプレポリマーを使用して調製することができる。プレポリマー組成物の例(総プレポリマー組成物の重量に基づき、重量パーセントにより示される)は表1に与えられる。
【0075】
【表1】

【0076】
幾つかの態様のポリウレタン尿素の水性分散液は前記のように様々な異なる組成物を含むことができる。適切な調製法は以下の実施例に示される。幾つかの態様の分散体に有用な組成物が表2に示される。表1および2中のあらゆる組成物は前記のような営業的規模で調製することができる。
【0077】
【表2】

【0078】
プレポリマーの混合法において、プレポリマーは出発材料、すなわちポリオール、ポリイソシアネートおよびジオール化合物を一段階で一緒に混合し、そして約50℃〜約100℃の温度で、すべてのヒドロキシ基が本質的に消費され、イソシアネート基の所望の%NCOが達成されるまで適当な時間、反応させることにより調製することができる。あるいはまた、このプレポリマーは最初に、ポリオールを過剰なポリイソシアネートと反応させ、次に、プレポリマーの最終的所望%NCOが達成されるまで、ジオール化合物と反応させることにより、二段階で調製することができる。%NCOは例えば、約1.3〜約6.5、例えば約1.8〜約2.6にわたることができる。注目すべきことには、どんな有機溶媒も必要ではないが、反応の前、その間またはその後に出発材料に添加またはそれと混合してもよい。プレポリマー形成を容易にするために、場合により触媒を使用してもよい。
【0079】
幾つかの態様において、プレポリマーはポリオール、ポリイソシアネートおよびジオールを含み、それらは一緒に合わされ、そしてポリマーの総重量に基づき、以下の重量百分率の範囲で、約61%〜約80%を含む約34%〜約89%のポリオール、約18%〜約35%を含む約10%〜約59%のポリイソシアネートおよび約2.0%〜約4.0%を含む約1.0%〜約7.0%のジオール化合物で提供される。一官能性アルコールは、完全な分散体中のポリウレタン尿素ポリマーの重量平均分子量を制御するためにプレポリマーとともに含まれることができる。
【0080】
ポリオール、ポリイソシアネート、ジオール化合物および場合によりブロック剤(例えば一官能性アルコール)から調製されるプレポリマーは、40℃における落下ボール法により測定される、約4,500ポアズ未満を含む約6,000ポアズ未満のバルク粘度(存在する溶媒を伴ってまたは伴わずに)をもつことができる。(ジオール化合物からの)ポリマー連鎖に沿ってカルボン酸基を含むこのプレポリマーを、酸とイオン塩を形成するための少なくとも1種の中和剤、少なくとも1種の界面活性剤(イオン性および/または非イオン性分散剤または界面活性剤)並びに、場合により、少なくとも1種の連鎖延長成分:を含む脱イオン水媒質中に、高速度分散装置を使用して分散させることができる。あるいはまた、水媒質中に分散される前に、中和剤をプレポリマーと混合することができる。プレポリマーが分散される前に、その間に、またはその後に、少なくとも一種の消泡剤および/または脱泡剤および/または少なくとも1種のレオロジー修飾剤を水媒質に添加することができる。
【0081】
本発明の範囲内に入るポリウレタンの水性分散液は、分散液の所望される最終的用途に応じて広範な固形分を含むことができる。幾つかの態様の分散液に適した固形分含量の例は、約10%〜約50重量%、例えば約30%〜約45重量%を含む。
【0082】
ポリウレタンの水性分散液の粘度もまた、加工および適用の条件に応じて約10センチポアズ〜約100,000センチポアズの広範な範囲にわたることができる。例えば、一つの態様において、粘度は約500センチポアズ〜約30,000センチポアズの範囲内にある。粘度は適量の増粘剤、例えば水性分散液の総重量の約0〜約2.0重量%を使用することにより様々であることができる。
【0083】
溶媒法またはアセトン法において、幾つかの態様のフィルムおよび分散体の調製に有機溶媒も使用することができる。有機溶媒は、溶解および希釈によりプレポリマーの粘度を低下させ、そして/またはカルボン酸基をもつジオール化合物、例えば2,2−ジメチルプロピオン酸(DMPA)の固形粒子の分散を補助して分散性を高めるために使用することができる。それはまた、フィルムの均一性を改善する、例えばコーティング/フィルム形成工程における縞および割れ目の減少の目的に役立つことができる。
【0084】
これらの目的のために選択される溶媒は、イソシアネート基に実質的にまたは完全に非反応性で、水中で安定であり、DMPA、DMPAとトリエチルアミンの形成塩およびプレポリマーに対し優れた溶解能を有する。適した溶媒の例は、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−プロパノン(アセトン)および2−ブタノン(メチルエチルケトンまたはMEK)を含む。
【0085】
溶媒法において、幾つかの態様のフィルム/分散体に添加される溶媒の量は様々であることができる。溶媒が含まれる時は、溶媒の適当な範囲は、分散体の50重量%未満の量を含む。分散体の20重量%未満、分散体の10重量%未満、分散体の5重量%未満、そして分散体の3重量%未満のような比較的少量を使用することもできる。
【0086】
アセトン法においては、分散体の調製前に、より大量の溶媒をプレポリマー組成物に添加することができる。あるいはまた、プレポリマーを溶媒中で調製することができる。溶媒はまた、プレポリマーの分散後に真空下で分散体から除去することができる。
【0087】
製造工程の異なる段階で分散体中に有機溶媒を取り入れる多数の方法がある:例えば
1)プレポリマーを移動し分散する前に、重合が完了した後に、溶媒をプレポリマーに添加し、それと混合することができ、ここで主鎖にカルボン酸基(ジオール化合物からの)および鎖端にイソシアネート基を含む希釈プレポリマーが水中に分配される間に中和され、連鎖が延長される。
2)溶媒を他の成分(例えばポリオール、ポリイソシアネートおよびジオール化合物)に添加し、それらと混合して、溶液中でプレポリマーを製造し、次に溶液中の、主鎖にカルボン酸基および鎖端にイソシアネート基を含むこのプレポリマーを水中に分散し、そして同時にそれを中和し、連鎖を延長することができる。
3)分散の前に、溶媒をジオール化合物および中和剤の中和塩とともに添加し、ポリオールおよびポリイソシアネートと混合して、プレポリマーを製造することができる。
4)溶媒をTEAと混合し、次に、分散の前に、形成されたプレポリマーに添加することができる。
5)溶媒をポリオールに添加し、それと混合し、次にジオール化合物および中和剤を添加し、そして次に分散の前に溶液中の中和されたプレポリマーにポリイソシアネートを順次添加することができる。
6)特にアセトン法の場合には、溶媒を更に分散体から取り除くことができる。
【0088】
幾つかの態様の水性ポリウレタン分散液は、布帛の接着、張り合わせ並びに比較的短時間に熱および圧力とともに適用される時の接着目的のために使用することができる接着造形品に特に適する。圧力は例えば、約大気圧〜約60psiにわたることができ、そして時間は使用される接着法に従って約1秒未満〜約30分にわたることができる。
【0089】
このような造形品は剥離紙上に分散体をコーティングし、そして商業的に利用可能な方法により約100℃未満の温度で乾燥して水を除去して、剥離紙上にフィルムを形成することにより製造することができる。このフィルムは単層または多層であることができる。多層フィルムは同一分散体または異なる分散体から形成され、張り合わせ法または連続コーティング法または直接コーティング法により一緒に接着されることができる。形成されるフィルムシートは所望の幅のストリップに裂いて、適用物におけるその後の使用のためにスプールに巻き取ってストレッチ製品、例えば織布を形成することができる。このような適用物の例は:縫い目のないまたはシームレス衣料品構成物、縫い目のシールおよび強化材、衣料品に接着するラベルおよびパッチ並びに局所的伸縮性増強材を含む。接着は、
0.1秒〜数分、例えば約1分間未満の期間に約100℃〜約200℃、例えば約130℃〜約200℃、例えば約140℃〜約180℃の温度範囲で形成することができる。典型的な接着機はSew Free(Leicester,EnglandのSewSystemsから市販)、Macpi縁縫い機(Brescia,ItalyのMacri Groupから市販)、Framis熱気溶接機(Milano,ItalyのFramis Italy,s.p.a.から市販)である。この接着は織布衣料品において反復着用、洗浄および伸長に曝露される時に、強力で耐用性であることが期待される。
【0090】
コーティング、分散体、フィルムまたは造形品は、顔料着色または着色することができ、更にデザイン要素として使用することができる。
【0091】
更に、張り合わせフィルムまたは分散体を伴う製品を成形することができる。例えば、布帛は布帛中のハードヤーン(hard yarn)に適した条件下で成形することができる。更に、成形は造形品または分散体を成形する温度で、しかしハードヤーンを成形するのに適する温度より下で可能であることができる。
【0092】
張り合わせは、熱がラミネートの面に適用されるあらゆる方法を使用して、布帛に、ポリウレタン尿素分散体から調製されたポリウレタン尿素分散体の造形品を固定するために実施することができる。熱の適用方法は例えば、超音波、直接的加熱、間接的加熱およびマイクロウエーブを含む。このような直接的張り合わせは、造形品が機械的相互作用によってのみならずまた、化学的結合により、基材に接着することができる点で、当該技術分野に使用される他の方法を考慮すると利点を提供することができる。例えば、基材が何か反応性水素官能基をもつ場合は、このような基が分散体または成形品上のイソシアネートおよびヒドロキシル基と反応し、それにより基材と分散体または造形品間に化学結合を提供することができる。基材に対する分散体または造形品のこのような化学結合はずっと強力な結合を与えることができる。このような結合は基材上に硬化される乾燥した造形品において、または一工程で乾燥、硬化される湿った分散体中で起ることができる。活性水素をもたない材料はポリプロピレン布帛および、フルオロポリマーまたはシリコーン基材の表面をもつあらゆるものを含む。活性水素をもつ材料は例えば、ナイロン、木綿、ポリエステル、羊毛、絹、セルロース誘導体、アセテート、金属およびアクリルを含む。更に、酸、プラズマまたは他のエッチング形態で処理された製品は、接着のための活性水素をもつ可能性がある。染料分子も接着のための活性水素をもつことができる。
【0093】
幾つかの態様の、ポリウレタン尿素組成物を適用する方法および手段は、それらに限定はされないが、製品をロールコーティングする工程(逆ロールコーティングを含む)、金属工具またはナイフの刃の使用(例えば、基材上に分散体を注入し、次に金属工具(例えばナイフの刃)を使用して基材上にそれを広げることにより分散体を均一な厚さに流延する工程)、噴霧(例えば、ポンプの噴霧ビンを使用して)、浸漬、塗布、印刷、スタンプ、および含浸する工程を含む。これらの方法は、更なる接着材の必要なしに、分散体を基材上に直接適用するために使用することができ、そして更なる/より重い層が必要な場合は反復することができる。分散体は、コーティング、結合、張り合わせおよび接着の目的のための合成、天然または合成/天然混合材料から製造されるニット、織物または不織材のあらゆる布帛に適用することができる。分散液中の水は加工期間中の乾燥(例えば、空気乾燥またはオーブンの使用により)により除去され、布帛上に、沈殿され、凝集されたポリウレタン層を残して、接着を形成することができる。
【0094】
粒度の更なる調整が望ましい、または分散体が、分散体の特定の適用物には有用でない、より大型粒子を含む場合は、分散体を濾過することができる。有用なタイプのフィルターは自己洗浄ふき取りフィルター、例えばRussell Finex,Pineville,NCおよびEaton Filtration,Elizabeth,NJにより
利用可能なものを含む。これらのフィルターは濾過材(media)の表面をふき取って、濾過工程中に堆積した固体を取り除く。
【0095】
幾つかの態様のフィルムは基材に固定されるかまたは自己支持性(フィルムが基材の不在下でその構造を維持することを意味する)であることができる。これらのフィルムは分散体の流延および乾燥の結果として形成される。分散体は、それらに限定はされないが、織物、布帛(織物およびニットを含む)、不織材、革(天然または合成)、紙、金属、プラスチックおよびスクリムクロスを含むあらゆる適切な材料の基材上に流延され、乾燥されることができる。
【0096】
場合により、本発明に従う分散体の布帛または他の製品中への浸透を抑制または最小化するために、少なくとも一種の凝固剤を使用することができる。使用することができる凝固剤の例は、硝酸カルシウム(硝酸カルシウム四水和物を含む)、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム(水和物)、酢酸マグネシウム、塩化亜鉛(水和物)および硝酸亜鉛を含む。
【0097】
分散体を適用するために使用することができる工具の例はナイフの刃である。ナイフの刃は、金属または何か他の適切な材料から製造することができる。ナイフの刃は前以て決められた幅および厚さのギャップをもつことができる。ギャップは例えば0.2mil〜50milの厚さ(例えば5mil、10mil、25mil、30milまたは45milの厚さ)にわたることができる。
【0098】
フィルム、溶液および分散体の厚さは適用に応じて様々であることができる。乾燥造形品の場合は、最終厚さは例えば、約0.1mil〜約250mil(例えば約1〜約6mil(1mil=1/1000インチ)を含む約0.5mil〜約25mil)にわたることができる。適切な厚さの更なる例は、約0.5mil〜約12mil、約0.5mil〜約10mil、および約1.5mil〜約9mil、を含む。
【0099】
水性分散液に対する適量は単位面積当りの分散液の重量により表される。使用される量は例えば約2.5g/m〜約6.40kg/m(例えば、約25.4〜約152.4g/mを含む約12.7〜約635g/m)にわたることができる。
【0100】
本発明の範囲内に入る、分散体および造形品でコーティングすることができる平坦なシートおよびテープのタイプは、それらに限定はされないが、織布(織物およびニットを含む)、不織材、革(天然または合成)、紙(特別にコートされた「剥離紙」、ワックスペーパーおよびシリコーンコート紙を含む)、金属、プラスチックおよびスクリムクロスを含む。
【0101】
本発明の範囲内に入る、分散体および造形品を使用して製造することができる最終製品は、それらに限定はされないが、あらゆるタイプの衣料品(garment)または衣料品(article of clothing)を含む服飾品(apparel)、編み物の手袋、家具用布地、毛髪アクセサリー、ベッド用シーツ、絨毯および絨毯の裏地、コンベヤーベルト、医療用適用物(例えばストレッチ包帯)、パーソナルケア用品(失禁および女性生理用品を含む)並びに履物を含む。分散体でコーティングされるあるいはフィルムまたはテープで被覆される製品は騒音防止製品として使用することができる。
【0102】
造形品に張り合わせた非弾性布帛は、改善された伸縮性および改善された成形性をもつことができる。
【0103】
造形品、フィルム、テープまたは水性ポリウレタン分散液を含んでなる製品を成形する
ことができる。製品は多層の基材および造形品、フィルム、テープまたは分散体を使用して製造することができる。多層の製品は成形することもできる。成形品および非成形品は異なるレベルの伸縮性を有することができる。成形品は身体補整または身体支持衣料品(例えばブラジャー)を含んでなることができる。
【0104】
本発明の範囲内に入る、分散体および造形品を使用して製造することができる服飾品または衣料品の例は、それらに限定はされないが、下着、ブラジャー、パンティー、ランジェリー、水着、補正下着、キャミソール、靴下類、寝間着、エプロン、ウェットスーツ、ネクタイ、スクラブ(scrubs)、宇宙服、制服、帽子、ガーター、汗止めバンド、ベルト、活動着、外衣類、雨コート、寒気用ジャケット、ズボン、シャツ類、ワンピース、ブラウス、男性用および女性用トップス、セーター、コルセット、ベスト、半ズボン、ソックス、膝丈ソックス、ワンピース、ブラウス、エプロン、タキシード、ビシュト(bisht)、アバヤ、ヒジャーブ、ジルバブ(jilbab)、ソウブ(thoub)、ブルカ、ケープ、衣装、潜水服、キルト、着物、ジャージー、ガウン、防護服、サリー、サロング、スカート、スパッツ、ストーラ、スーツ、拘束衣、トガ、タイツ、タオル、制服、ベール、ウェットスーツ、医療用圧縮衣、包帯、スーツの芯地、ウエストバンドおよびそれらの中のすべての成分を含む。
【0105】
逆ロールコーティイングにおける一般的課題を実施し、克服する方法は、その全開示が引用することにより本明細書に取り入れられている、Walter,et al,“Solving common coating flaws in Reverse Roll Coating(逆ロールコーティングにおける一般的コーティングの欠陥の解決法),”AIMCAL Fall Technical Conference(October 26−29,2003)に記載されている。
【0106】
本発明の他のアスペクトは、その造形品および基材が固定されてラミネートを形成し、それにより弾性のラミネートの摩擦係数が基材のみの係数より大きい、造形品および基材を含んでなる製品である。この例は、他の衣料品(例えばブラウスまたはシャツ)からの衣料品の滑りを防止する、あるいはまた、衣料品の着用者の皮膚上のウエストバンドの滑りを防止する、水性ポリウレタン分散液を含んでなるコーティングまたはフィルムをもつウエストバンドである。
【0107】
本発明の他のアスペクトは、その造形品の弾性率が製品の長さあるいはまた、幅に沿って変動する、ポリウレタン尿素組成物および基材を含んでなる製品である。例えば、布帛のような基材を2フィート(61cm)のポリウレタン尿素組成物(例えば1インチ(2.5cm)幅の接着テープ)で処理することができる。1インチの幅の接着テープの長さに沿って3つの、2インチ(5cm)×1インチの切片を塗布することにより更なる層の接着剤を適用して、複合構造物を形成することができる。
【0108】
造形品、例えば水性ポリウレタン尿素分散液のフィルムは以下の特性をもつことができる:
− 約0〜10%、例えば約0〜5%、典型的には約0〜約3%の伸長後に固定される。− 約400〜約800%の伸長、および
− 約0.5〜約3Mpaの靭性。
【0109】
製品および基材から調製されるラミネートは以下の特性をもつことができる:
− 洗浄前の同一物から少なくとも50%の強度が維持される50回の洗浄後の剥離力、− 少なくとも約0〜約0.5cfmの通気性、および
− 24時間に少なくとも約0〜約300g/mの水蒸気透過性。
【実施例】
【0110】
D65/10度の光源を使用して、Datacolor Spectraflash ModelSF−300比色計(Datacolor International,Lawrenceville,NJ)により、フィルムのサンプル上で色彩測定を実施する。測定はCIELAB L色彩スペースの標準色彩座標[ここで、「L」は明るさの座標を表し、「a」は赤/緑の座標を表し(+aは赤を示し、−aは緑を示す)、そして「b」は黄色/青座標を表す(+bは黄色を表し、−bは青を示す)]を使用して、”Commission Internationale de L’Eclairage”(Paris,France),(照度/照明国際協会)(CIE)により公布された国際的標準の色彩測定法を使用して報告される。
【0111】
サンプルは以下の表3に挙げた平均分子量のポリウレタン尿素溶液を得ることにより調製した。次に抗黄変剤をリストの量だけ添加した。次にフィルムをMYLAR(登録商標)シート上に流延し、乾燥した。示されるようにヒューム(50℃で24時間)、NO(室温で24時間)およびUV(室温で8時間)に曝露の前後に、色彩変化を表のように測定した。抗黄変剤を含む組成物から調製されたフィルムは、示されるように、白色度における明白な改善/黄変の減少を示した。更に、白色度の存在は該ポリマーの組成に関わらず、改善された。
【0112】
【表3】

【0113】
本発明の好ましい態様であると現在考えられるものが説明されたが、当業者は、本発明の精神から逸脱せずにそれらに変更および修正を実施することができ、そして本発明の真の範囲内に入るすべてのこのような変更および修正を含むことが意図されることを認めるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(1)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートおよびそれらの組み合わせ物から選択され、600〜4000の数平均分子量を有する、少なくとも一種のポリオール、
(2)少なくとも一種の芳香族ジイソシアネートを含んでなるポリイソシアネート、
(3)場合により、中和剤並びに、(i)ポリイソシアネートと反応可能なヒドロキシ基、および(ii)中和時に塩形成可能な少なくとも一個のカルボン酸基、ここで前記の少なくとも一個のカルボン酸基はポリイソシアネートと反応することはできない、を含んでなるジオール化合物、
(4)ジアミン連鎖延長剤、水およびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される連鎖延長剤:
の反応生成物であるポリマーを含んでなり、そして
(5)場合により、イソシアネートに対するブロック剤、
(6)少なくとも一種の界面活性物質、を含む:
ポリウレタン尿素の水性分散液、並びに
(b)モノイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートおよびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される抗黄変化合物;
を含んでなる組成物。
【請求項2】
イソシアネート基に対するブロック剤が含まれ、そして少なくとも一種の一官能性アルコールを含んでなる、請求項1の組成物。
【請求項3】
抗黄変化合物がシクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、エチルイソシアネート、エチルイソシアナトアセテートおよびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される、請求項1の組成物。
【請求項4】
抗黄変化合物が分散液の約1重量%〜約15重量%の量で存在する、請求項1の組成物。
【請求項5】
抗黄変化合物が分散液の約3重量%〜約10重量%の量で存在する、請求項1の組成物。
【請求項6】
(a)(1)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートおよびそれらの組み合わせ物から選択され、600〜4000の数平均分子量を有する、少なくとも一種のポリオール、
(2)少なくとも一種の芳香族ジイソシアネートを含んでなるポリイソシアネート、
(3)場合により、中和剤並びに(i)ポリイソシアネートと反応可能なヒドロキシ基、および(ii)中和時に塩を形成することができる少なくとも一個のカルボン酸基、ここで前記の少なくとも一個のカルボン酸基はポリイソシアネートと反応することはできない、を含んでなるジオール化合物、
(4)ジアミン連鎖延長剤、水およびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される連鎖延長剤:
の反応生成物であるポリマーを含んでなり、そして
(5)場合により、イソシアネートに対するブロック剤、
(6)少なくとも一種の界面活性物質、を含む
ポリウレタン尿素の水性分散液、並びに
(b)モノイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートおよびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される抗黄変化合物、
を含んでなる組成物から流延され、乾燥されるフィルム。
【請求項7】
イソシアネート基に対するブロック剤が含まれ、そして少なくとも一種の一官能性アルコールを含んでなる、請求項6の組成物。
【請求項8】
化合物がシクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、エチルイソシアネート、エチルイソシアナトアセテートおよびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される、請求項6の組成物。
【請求項9】
モノイソシアネートが分散液の約1重量%〜約15重量%の量で存在する、請求項6の組成物。
【請求項10】
モノイソシアネートが分散液の約3重量%〜約10重量%の量で存在する、請求項6の組成物。
【請求項11】
(a)(1)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートおよびそれらの組み合わせ物から選択され、600〜4000の数平均分子量を有する、少なくとも一種のポリオール、
(2)少なくとも一種の芳香族ジイソシアネートを含んでなるポリイソシアネート、
(3)場合により、中和剤並びに、(i)ポリイソシアネートと反応可能なヒドロキシ基、および(ii)中和時に塩を形成することができる少なくとも一個のカルボン酸基、ここで前記の少なくとも一個のカルボン酸基はポリイソシアネートと反応することはできない、を含んでなるジオール化合物、
(4)ジアミン連鎖延長剤、水およびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される連鎖延長剤:
の反応生成物であるポリマーを含んでなり、そして
(5)場合により、イソシアネートに対するブロック剤、
(6)少なくとも一種の界面活性物質、を含む、
ポリウレタン尿素の水性分散液を調製し、
(b)モノイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートおよびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される抗黄変化合物を前記分散液に添加し、そして
(c)前記分散液から造形品を調製する工程:
を含んでなる、フィルムにおける黄変を減少させる方法。
【請求項12】
イソシアネート基に対するブロック剤が含まれ、そして少なくとも一種の一官能性アルコールを含んでなる、請求項11の方法。
【請求項13】
抗黄変化合物がシクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、エチルイソシアネート、エチルイソシアナトアセテートおよびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される、請求項11の方法。
【請求項14】
抗黄変化合物が分散液の約1重量%〜約15重量%の量で存在する、請求項11の方法。
【請求項15】
抗黄変化合物が分散液の約3重量%〜約10重量%の量で存在する、請求項11の方法。

【公表番号】特表2012−505958(P2012−505958A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532215(P2011−532215)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/060677
【国際公開番号】WO2010/045359
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】