説明

分散液

本発明は、液体中のメラミン粉末の分散液または液体中のアミノプラスト樹脂の分散液であって、この分散液は、分散剤を含有し、この分散剤は、スチレン−無水マレイン酸コポリマーを含む分散液に関する。本発明はさらに、この分散剤の調製方法、ならびに接着剤組成物、コーティング、または積層体におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、分散液、とくに、液体中のメラミンの分散液または液体中のアミノプラスト樹脂の分散液に関する。
【0002】
欧州特許出願公開第1099762A2号明細書には、カチオン性保護コロイドとアニオン性保護コロイドとの組合せにより安定化されたメラミン樹脂を不連続相として含む水性メラミン樹脂分散液が開示されている。欧州特許出願公開第1099762A2号明細書では、カチオン性保護コロイドは、好ましくは、カチオン性デンプンを含み、アニオン性保護コロイドは、好ましくは、アクリル酸、メチルアクリレート、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のコポリマーを含む。
【0003】
公知の分散液の欠点は、保護コロイド系がかなり複雑であることから、その作製に多くの労力を必要とする点、また、その結果として、費用のかかる系でもある点である。
【0004】
本発明の目的は、上述の欠点を低減することである。この目的は、分散液が分散剤を含有しかつこの分散剤がスチレン−無水マレイン酸コポリマーを含む液体中のメラミンまたはアミノプラスト樹脂の分散液により達成される。
【0005】
本発明の枠内では、分散液という用語は、一方の相が連続でありかつ他方の相が不連続でありしかもこの不連続相が連続相全体にわたって分布する二相を含む系を意味する。そのため、分散液という用語は、液体中気体系(フォーム)、液体中液体系(エマルジョン)、および液体中固体系(ゾル)よりも上位の概念を表し、それらを包含する。本発明に係る分散液中の不連続相は、粒子の形態で存在する。本明細書の意図するところによれば、粒子という用語は、固体構成要素だけでなく液体構成要素をも包含する。分散粒子のサイズは、広い許容範囲内でさまざまな値をとりうるが、重量平均サイズは、0.1μm〜100μm、より好ましくは0.5〜75μm、1〜50μm、1.5〜25μm、さらには1.75μm〜15μm、または2μm〜10もしくは5μmの間にあることが好ましい。
【0006】
公知のごとく、分散液は、多くの場合、分散液の作製を支援したりもしくは分散液を安定化させたりかつ/または粒径に影響を及ぼしたりする具体的な役割を果たす化合物または化合物の混合物を含有する。そのような化合物は、分散剤と呼ばれて本発明の枠内にある。本明細書中で使用される分散剤という用語は、保護コロイドや界面活性剤よりも上位の概念を表し、それらを包含する。分散剤の使用および存在は、安定な分散液の形成を支援する。本発明の枠内では、「安定な」という用語は、分散液に関連して2つの意味を有しうる。すなわち、分散液の調製後少なくとも30分間(さらには少なくとも1時間、好ましくは少なくとも24時間)にわたり、分散粒子が、分離も凝結も沈降も起こさないか、または分離、凝結、もしくは沈降を起こしたとしても、分散粒子が、攪拌により容易に再分散可能であることを意味する。
【0007】
本発明に係る分散液は、液体中のメラミンの分散液でありうる。本発明のこの実施形態では、メラミンは、本質的に未反応の形態で存在し、その場合、固体形態もしくは液体形態のいずれかの形態の不連続相の一部分(たとえば、10wt.%もしくは25wt.%)、大部分(たとえば、55wt.%もしくは75wt.%)、または本質的にすべて、を構成する。このことは、連続相の液体中にメラミンが含まれることを除外するものではなく、こうした例としては、メラミンが液相に対していくらかの溶解度を有する場合が挙げられよう。公知のごとく、メラミンは、水やアンモニアのような特定の液体にいくらか可溶である。本発明の枠内では、「本質的にすべてを構成する」、「本質的に〜からなる」といった用語、およびそれらの等価表現は、本発明の実施、作用、または目的に影響を及ぼす他の化合物や手段が存在することもなければ利用されることもないことを意味する。
【0008】
分散液中に存在しうる本質的に未反応の形態の固体メラミン粒子の量(本明細書中では粉末含量と呼ばれる)は、広い許容範囲内でさまざまな値をとりうる。分散液の輸送が予定されている場合などの特定の場合には、粉末含量は、できるかぎり高いことが望ましいこともある。分散液の粉末含量が非常に高いと同時に、分散液が望ましい特性(たとえば、安定性、分散相の不連続性、および分散液を希釈してより低い粉末含量を有する安定かつ均一な分散液を与える能力)を保持していることが、本発明の利点である。本発明に係る分散液の粉末含量は、60、65、70、さらには75〜80wt.%程度まで高くしうることが判明した。したがって、分散液中のメラミン粉末の量は、好ましくは1〜80wt.%、より好ましくは5〜75wt.%の間にある。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、本発明に係る分散液の不連続相は、アミノプラスト樹脂を含有する。公知のごとく、アミノプラスト樹脂という用語は、アミノ化合物とアルデヒドとの反応生成物を意味する。アミノ化合物の例は、ウレアおよびメラミンであり、アルデヒドの例は、ホルムアルデヒドおよび国際公開第03/101973号パンフレットの2頁21行目〜3頁15行目に開示されている式(II)で示される化合物のようなアルカノールヘミアセタールである。本明細書中で使用する場合、アミノプラスト樹脂という用語は、未硬化状態、部分硬化状態、または完全硬化状態の樹脂を意味しうる。アミノプラスト樹脂は、液滴の形態または固体粒子の形態で分散液中に存在しうる。
【0010】
アミノプラスト樹脂(たとえば、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ウレア−ホルムアルデヒド樹脂、またはメラミン−ウレア−ホルムアルデヒド樹脂)の調製自体は、公知である。たとえば、W.ベッカー(W.Becker)、D.ブラウン(D.Braun)著、「プラスチック便覧(Kunststoff Handbuch)、第10巻−熱硬化性樹脂(Duroplaste)」、1988年、カール・ハンザー・フェアラーク(Carl Hanser Verlag)刊;とくに、「メラミン樹脂(Melaminharze)」の章、41頁以降が参考になりうる。公知のごとく、アミノプラスト樹脂の分散液は、形成された樹脂が形成の場である液相にもはや溶解しえなくなるまで単に樹脂形成縮合反応を継続させることにより、すでに得られている可能性がある。しかしながら、一般的推奨事項として、粒子を他の粒子と融合させた形でこれらの粒子の硬化を引き起こすことができなくなるほど分散粒子中のアミノプラスト樹脂が高い縮合度を有することは好ましくは回避される点に留意されたい。同様に、粒子を他の粒子と融合させた形でこれらの粒子のさらなる硬化を引き起こすことができなくなるほど分散粒子が高い硬化度を有すことは好ましくは回避される点に留意されたい。
【0011】
本発明に係る分散液は、連続相として液体を含む。液相になる化合物が実際に液体形態をとることを保証するために、室温および大気圧と異なる温度および圧力の条件を設定することが必要になることもあり、こうした例としては、アンモニアを用いる場合などが挙げられる。本発明に係る分散液中の連続相として機能しうる液体の例は、次のとおりである:水;アンモニア;アルコール、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノール;非プロトン性極性溶媒、たとえば、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルホルムアミド(DMF)。本発明に係る分散液中の連続相として機能しうる液体のさらなる例は、ポリオールであり、とくに、ポリウレタンフォームなどのポリウレタン系のように化学的ビルディングブロックとしてポリオールを用いて作製される典型的な最終生成物中のメラミン粉末により難燃性が付与されることから、ポリオール中のメラミン粉末の分散液は、有利に使用される。ポリオールは、本明細書中では、多数のヒドロキシル基を含有する低分子量の水溶性のポリマーおよびオリゴマーであるとみなされる。具体例としては、ポリエーテルポリオール(たとえば、ボラノール(Voranol)3136、供給業者ダウ・プラスチックス(Dow Plastics)、またはカラドール(Caradol)SP50−01、供給業者シェル・ケミカルス(Shell Chemicals)、またはアルクポール(Alcupol)F−5611、供給業者レプソル(Repsol))が挙げられる。
【0012】
本発明に係る分散液では、液体として水系が好ましい。本発明のとくに好ましい一実施形態では、液体は、アミノプラストを含む水系であり、これを達成する一方法では、連続相中に含まれるアミノプラスト樹脂は、もはや溶解しえない状態に到達するほど反応されることはなく、これとは対照的に、不連続相中に含まれるアミノプラスト樹脂は、もはや溶解しえない状態および/または部分硬化された状態になるまで反応されることが保証される。
【0013】
本発明に係る分散液は分散剤を含有し、この分散剤はスチレン−無水マレイン酸コポリマーを含む。スチレン−無水マレイン酸コポリマー自体は、公知である。同様に公知のごとく、コポリマー中にイオン性基を形成すべくNaOHやKOHのような塩基などでコポリマーを処理することが可能である。このことは、コポリマーが水系などのような種々の液体に溶解しうるようになるかまたはより多く溶解しうるようになるという利点を有する。本発明の枠内では、スチレン無水マレイン酸コポリマーという用語は、コポリマーそれ自体および/またはイオン性基を形成するように処理された後のコポリマーを意味する。
【0014】
スチレン無水マレイン酸コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000、1,500、3,000、10,000、50,000、さらには100,000を超えることが好ましい。本発明に係る分散液中のスチレン無水マレイン酸コポリマーの分散性能、さらには形成された分散液の安定性は、スチレン無水マレイン酸コポリマーのMwの増大と共に増大しうることが判明した。好ましくは、この分子量Mwは、多くとも3,000,000もしくは2,000,000、より好ましくは多くとも1,000,000である。
【0015】
コポリマー中のスチレンと無水マレイン酸とのモル比は、本発明によれば、広い許容範囲内、好ましくは1:0.1〜1:1、より好ましくは1:0.5〜1:1の範囲内でさまざまな値をとりうる。
【0016】
公知のごとく、単量体のスチレンユニットおよび無水マレイン酸ユニットは、本質的にランダムな形でもしくはブロックコポリマーの形でまたは交互にあるいは以上の任意の組合せでコポリマー中に存在しうる。本発明によれば、これらの可能性はいずれも好適であるが、スチレンと無水マレイン酸とのモル比が本質的に1:1である場合には、交互コポリマーが好ましく、スチレンと無水マレイン酸とのモル比が1:1未満、たとえば1:0.5である場合には、ランダムコポリマーおよび部分的交互コポリマーが好ましい。
【0017】
公知のごとく、スチレン無水マレイン酸コポリマーの水溶液は、高温で水中のコポリマーを塩基で処理することにより調製可能である。好適なスチレン無水マレイン酸コポリマーの例は、スクリプセット(Scripset)(登録商標)520(供給業者:ハーキュレス(Hercules);分子量約350,000、スチレンと無水マレイン酸とのモル比1:1)である。
【0018】
本発明に係る分散液中に含まれる分散剤は、スチレン無水マレイン酸コポリマーを含む。分散剤は、他のタイプの分散剤のような他の化合物を含みうるが、本発明に係る分散液中の分散剤は、少なくとも50wt.%、60wt.%、さらには少なくとも75wt.%もしくは80wt.%のスチレン無水マレイン酸コポリマーで構成されることが好ましく、より好ましくは、分散剤は、本質的にスチレン無水マレイン酸コポリマーからなる。
【0019】
分散液がアミノプラスト樹脂を含有する場合、アミノプラスト樹脂形成反応の前、反応中、または反応の後、分散剤を樹脂調製系に添加することが可能である。アミノプラスト樹脂の形成前または形成中に分散剤を添加しうることが本発明に係る分散液の利点であるが、後添加が好ましい。
【0020】
添加される分散剤の量は、とくに、分散剤、連続相を構成する液体、の正確な性質に依存して、さらには達成される所望の粒径に依存して、広い許容範囲内でさまざまな値をとりうる。好ましくは、本発明に係る分散液は、0.01wt.%〜10wt.%、より好ましくは0.05wt.%〜7.5wt.%、0.2wt.%〜5wt.%、または1wt.%〜3wt.%の分散剤を含有する。
【0021】
本発明に係る分散液のpHは、広い許容範囲内で、好ましくは3〜11または4〜10の間で、依然として安定な状態を保持しつつ、さまざまな値をとりうる。メラミンまたはメラミン含有アミノプラスト樹脂が存在する場合、これは、典型的には、緩衝特性を有して、分散液のpHに影響を与え、多くの場合、5〜8もしくは9の範囲内に入るようにする傾向があろう。
【0022】
本発明に係る分散剤を使用するさらなる利点は、分散液が高い固形分含量を有しうることである。分散液の固形分含量は、本明細書中では、分散液中で連続相の液体でない(アミノプラスト樹脂を含む粒子の場合、アミノプラスト樹脂の調製時に連続相の液体でない)すべての化合物の合計の重量パーセントとして定義される。分散液の最終形態が樹脂調製中に形成される場合などでは、上述の2つの液は、同一でありうる。調製されたアミノプラスト樹脂または分散液を分散液の連続相の液相に添加することにより分散液が形成される場合などでは、上述の2つの液は、同一でありうるかもしくは異なりうる。本発明に係る分散液の固形分含量は、とくに、分散液のさらなる使用に依存して、広い許容範囲内でさまざまな値をとりうる。好ましくは、固形分含量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、さらには25%または30%である。好ましくは、固形分含量は、多くとも70%、65%、60%、55%、50%、さらには45%である。
【0023】
本発明はまた、液体の第1の相と第2の相とを一体化させる工程を含む分散液の調製方法に関する。ただし、2つの相の一体化の前、一体化中、または一体化の後、スチレン−無水マレイン酸コポリマーを含む分散剤を添加することにより、液体の第1の相が連続相でありかつ第2の相がメラミン粉末および/またはアミノプラスト樹脂を含有する分散液を形成する。
【0024】
2つの相の一体化は、単にそれらを組み合わせることにより達成可能である。この例は、メラミン粉末を水に添加することであり、他の例は、スプレー乾燥メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子を水に添加することである。
【0025】
2つの相を一体化させうる他の方式は、それらをin−situで形成することである。この例は、樹脂が水性系またはアルコール系にもはや溶解しえない状態になるまで水性系またはアルコール系でアミノプラスト樹脂形成反応を継続して樹脂を分離させることにより、第2の不連続相を形成することである。
【0026】
本発明に係る方法では、分散剤は系に添加される。これは、2つの相の一体化の前、一体化中、または一体化の後に実施可能である。好ましくは、分散剤は、2つの相の一体化の前または一体化中に、連続相になる液体に添加される。意外なことに、スチレン−無水マレイン酸コポリマーを添加してアミノプラスト樹脂形成を行った場合、これは、アミノプラスト樹脂の形成や追加形成を妨害しない。
【0027】
分散液の調製中、pHは、広い許容範囲内でさまざまな値をとりうる。得られる分散液に関連して以上に記載した範囲は、その調製にもあてはまる。
【0028】
本発明はさらに、接着剤組成物、コーティング、または積層体の調製における本発明に係る分散液の使用に関する。これは、そのままの状態で、または本発明に係る分散液を非分散剤アミノプラスト樹脂などのような他の成分と組み合わせることにより、実施可能である。当業者には公知のごとく、示された使用は、典型的には、分散液と触媒および場合により他の添加剤とを最終的に組み合わせることを含む。
【0029】
以下の実施例を利用して本発明についてさらに説明するが、これらに限定されるものではない。
【0030】
実施例1
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂分散液の調製
分散剤の調製: スチレン無水マレイン酸コポリマー(スクリプセット(Scripset)(登録商標)520、供給業者:ハーキュレス(Hercules))の水溶液を調製した。61グラムのスクリプセット(Scripset)520を455グラムの攪拌水に徐々に導入した。塊のない適切なスラリーを得た後、50グラムの25(wt.%)NaOH水溶液を添加した。約40℃までの発熱反応が起こった。次に、バッチを攪拌下で82℃に加熱し、45分間保持した。pHを6.5に調整した(上方向のみ)。
【0031】
メラミン−ホルムアルデヒド(MF)分散液の合成: 406グラムの38.5wt.%ホルムアルデヒド水溶液(199グラムの水を添加した)のpHを2M NaOHで9.0に調整した。394グラムのメラミンを添加し、次に、混合物を加熱して還流させた。メラミンが溶解し透明溶液が得られた後、混合物を82℃に冷却した。次に、先に調製した145グラムの分散剤溶液を添加し、溶液を同時に激しく攪拌しながら混合物のpHをHNOで7に調整した。約15分後、溶液の明瞭な変化点(すなわち白色化)が観察された。溶液は、乳白色の分散液から清澄な白濁した分散液に変化する。変化点の後さらに9分間にわたり分散液の縮合反応を継続し、次に、20℃に冷却した。冷却開始の1分後、分散液のpHを5M NaOHでpH=8.6に調整した。約8グラムを必要とした。攪拌しながら溶液を20℃に冷却し、プラスチックボトル中に貯蔵した。得られた分散液は、55%の固形分含量および1.65のホルムアルデヒド対メラミンモル比を有していた。分散液は、数日間にわたり安定であった。
【0032】
被覆基材の作製
合成された樹脂分散液を小型ドクターロールによりブナ単板に適用した。湿潤分散液を適用した後、コーティングは、白色に見えた。室温で乾燥させた後、コーティングは、白色表面に変化した。この乾燥被覆基材をプレスにより30barで3分間にわたり150℃でプレスした。プレス後、清澄透明コーティングを有する基材が得られた。
【0033】
実施例2
1.7のホルムアルデヒド対メラミンモル比を有する清澄な一相液状メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を実施例1で調製したメラミン−ホルムアルデヒド分散液と組み合わせることにより、分散液を調製した。こうして調製された分散液の固形分含量は、58%であり、55%は、一相液状メラミン−ホルムアルデヒド樹脂に由来し、3%は、実施例1で調製したメラミン−ホルムアルデヒド分散液に由来した。さらに、0.2wt.%の湿潤剤ネッツミッテル(Netzmittel)PAT959/9および0.2wt.%の剥離剤PAT−2523を分散液に添加した。
【0034】
ムンクスヨー・デコーア・ペーパー(Munksjoe Decor Paper)(80g/m)の形態のキャリヤーの20cm×20cm片に調製された分散液を1回含浸させ、次に、100℃で420秒間乾燥させた。次に、含浸紙キャリヤーをMDFボード上に100kNおよび190℃で50秒間ラミネートした。当業者には公知のごとく、これらの条件は、いわゆるLPL(すなわち「低圧」積層体)を作製するための典型的な条件である。意外なことに、20°で測定して得られる積層体の光沢は、120であり、HPL(高圧積層体)のものとほぼ同一であった。当業者には公知のごとく、1回含浸キャリヤーで作製される公知のLPLは、HPLよりも低い光沢を有し、20°で測定したときに典型的には95〜100である。
【0035】
実施例3
高い粉末含量を有する分散液の調製
水系に可溶になるように水性KOHを有するスチレン無水マレイン酸コポリマー(SMA1000TM、供給業者エルフ・アト・フィナ(Elf Ato Fina))。したがって、1部のSMA1000を75部のメラミン粉末(供給業者:ディーエスエム(DSM);このメラミンはスタミカーボン(Stamicarbon)気相法により調製された)および24部の水と組み合わせた。攪拌後、安定な分散液が得られた。分散液は、ペースト様の挙動を呈したが、分散液をより高い剪断速度に付した場合、その粘度は低下した。調製の1週間後、分散液は、相分離や沈降の兆候を示さなかったことから、その安定性が確認された。分散液は、塊形成の兆候を示すことなく40%未満の粉末含量まで水で希釈可能であった。
【0036】
実施例4
高い粉末含量を有する分散液の調製
水系に可溶になるように水性KOHを有するスチレン無水マレイン酸コポリマー(SMA1000TM、供給業者エルフ・アト・フィナ(Elf Ato Fina))。したがって、1部のSMA1000を65部の多結晶性メラミン粉末(供給業者:ディーエスエム(DSM);このメラミン粉末は高圧液相法により調製され、国際公開第99/46251号パンフレットの範囲内の生成物であった)および34部の水と組み合わせた。攪拌後、安定な分散液が得られた。分散液は、ペースト様の挙動を呈したが、分散液をより高い剪断速度に付した場合、その粘度は低下した。調製の1週間後、分散液は、相分離や沈降の兆候を示さなかったことから、その安定性が確認された。分散液は、塊形成の兆候を示すことなく40%未満の粉末含量まで熱水で希釈可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散液が分散剤を含有しかつ前記分散剤がスチレン−無水マレイン酸コポリマーを含む、液体中のメラミン粉末またはアミノプラスト樹脂の分散液。
【請求項2】
前記スチレン−無水マレイン酸コポリマーが、水系に可溶になるように処理されている、請求項1に記載の分散液。
【請求項3】
前記スチレン−無水マレイン酸コポリマーの重量平均分子量が1,000〜1,000,000の間にあり、かつ前記スチレン−無水マレイン酸コポリマー中のスチレンと無水マレイン酸とのモル比が1:0.5〜1:1の間にある、請求項1または2に記載の分散液。
【請求項4】
前記分散液中のメラミン粉末の量が1〜80wt.%の間にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載のメラミン粉末の分散液。
【請求項5】
前記液体が水またはポリオールを含有する、請求項4に記載の分散液。
【請求項6】
前記アミノプラスト樹脂がメラミン−ホルムアルデヒド樹脂またはメラミン−ウレア−ホルムアルデヒド樹脂であり、かつ前記液体が水またはアミノプラスト樹脂を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアミノプラスト樹脂の分散液。
【請求項7】
液体の第1の相と第2の相とを一体化させる工程を含み、2つの相の一体化の前、一体化中、または一体化の後、スチレン−無水マレイン酸コポリマーを含む分散剤が添加され、それにより、該液体の第1の相が連続相でありかつ該第2の相がメラミン粉末および/またはアミノプラスト樹脂を含有する分散液が形成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分散液の調製方法。
【請求項8】
接着剤組成物、コーティング、または積層体における、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分散液の使用。

【公表番号】特表2009−501804(P2009−501804A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504707(P2008−504707)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003478
【国際公開番号】WO2006/108688
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】