説明

分散組成物、着色感光性組成物、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び液晶表示装置

【課題】微細化顔料の分散性、および分散安定性が良好で、色ムラがなく、色特性に優れた分散組成物を提供し、現像性が良好で、耐熱性が高い着色被膜を形成し得る着色感光性組成物を提供し、色特性に優れたカラーフィルタ、および遮光性の良好なブラックマトリックス、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、および液晶表示装置を提供する
【解決手段】(A)顔料、(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体、及び(C)溶媒を含有する分散組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散組成物、該分散組成物を含む着色感光性組成物、該着色感光性組成物を用いて形成された着色領域を有するカラーフィルタ、ブラックマトリックス、該ブラックマトリックスを用いたウエハレベルレンズ、固体撮像素子、および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、有機顔料や無機顔料を分散させた分散組成物と、多官能モノマー、重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂及びその他の成分とを含有して着色感光性組成物とし、これを用いてフォトリソ法、インクジェット法などにより着色パターンを形成することで製造されている。
【0003】
近年、カラーフィルタは、液晶表示装置(LCD)用途においてモニターのみならずテレビ(TV)へと用途が拡大する傾向にある。この用途拡大の傾向に伴い、カラーフィルタには、色度、コントラストなどにおいて高度の色特性が要求されるに至っている。また、イメージセンサ(固体撮像素子)用途のカラーフィルタにおいても、同様に色ムラの低減、色分解能の向上など色特性の高いものが求められるようになっている。
【0004】
上記のような要求に対して、着色感光性組成物に含有される顔料を、より微細な状態で分散させること(良好な分散性)、安定な状態で分散させること(良好な分散安定性)が求められている。顔料の分散性が不充分である場合には、フォトリソ法で形成された着色画素にフリンジ(エッジ部のギザギザ)や表面凹凸が生じ、また基板上の現像残り(残渣)が多く、製造されたカラーフィルタの色度や寸法精度が低下したり、コントラストが著しく劣化したりするという問題が起きる。また、顔料の分散安定性が不充分である場合には、カラーフィルタの製造工程において、特に、着色感光性組成物の塗布工程での膜厚の均一性が低下したりするという問題が生じ易い。更に、顔料の分散安定性が悪い場合には、時間の経過に伴い、着色感光性組成物の構成成分が凝集を起こして粘度が上昇し、ポットライフが極めて短くなるという問題もある。カラーフィルタのコントラスト等の色特性の向上には、顔料の粒子径を微細化することが有効であるが、顔料の粒子径を微細化すると顔料粒子の表面積が相対的に大きくなるため、顔料粒子間の凝集力が強くなり、良好な分散性と分散安定性とを得ることが困難である。
【0005】
このような顔料の微粒子の分散性と分散安定性を高めるために、従来から様々な顔料分散剤が開発されている。
例えば、アルカリ現像性が良好で、高精細で高品質の画素を得ることを目的として、アルカリ可溶性樹脂としてω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート共重合体を含有するカラーフィルタ用感放射線性組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、顔料の分散性と、アルカリ現像性とを同時に向上させることを目的として、スチレン、アルキル(メタ)アクリレートといったビニル系化合物の重合体構造をグラフト鎖とし、且つ複素環構造を側鎖に有する高分子化合物を含有することを特徴とする顔料分散剤も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
一方、カラーフィルタにおいては、高精細化などのために着色画素、およびブラックマトリックスのパターンの微細化、細線化の必要性が高まり、特に固体撮像素子では高画素化の要求により、着色感光性組成物によるパターン成形性の向上が望まれている。
顔料を微細化すると、露光工程での感度が低下したり、現像工程でのアルカリ溶解性が低下したりして、パターン成形性を悪化させるが、このような点からも前記した分散性と分散安定性に加えて、現像性をも向上させうる顔料分散剤の出現が待ち望まれている。
【0007】
また、遮光性の着色感光性組成物を携帯電話等のカメラモジュール部材に使用する試みがなされている(例えば、特許文献3、4参照。)。特に、携帯端末の小型化・薄型化、そして携帯端末の普及により、それに搭載される撮像ユニットにも更なる小型化・薄型化が要請され、生産性が要請される。かかる要請に対して、複数のレンズが形成されたレンズ基板と、複数の固体撮像素子が形成されたセンサ基板とを一体に組み合わせ、その後に、それぞれにレンズ及び固体撮像素子を含むようにレンズ基板及びセンサ基板を切断して撮像ユニットを量産する方法が知られている。また、レンズのみをガラスウエハ上等で作成し、個々のセンサと組み合わせるサイズに切断し、予め個片化された撮像素子と組み合わせて撮像ユニットを作成することができる。また、樹脂のみで金型で複数のレンズを形成し、これらをセンサ基板上に組み合わせ切断する方法、レンズを個々のセンサと組み合わせるサイズに切断し、予め個片化された撮像素子と組み合わせ、撮像ユニットを作成することができる。
【0008】
上記のようなウエハレベルレンズ用の遮光膜、および、固体撮像素子用遮光性カラーフィルタとしては、可視域における遮光性に加え、赤外域における遮光性をも備える必要がある。即ち、ウエハレベルレンズ用の遮光膜、および、固体撮像素子用遮光性カラーフィルタとして、可視領域の遮光性と共に800〜1300nmの赤外領域の波長の光もノイズ発生防止の為に遮光する必要がある。
このようなウエハレベルレンズ用の遮光膜、および、固体撮像素子用遮光性カラーフィルタを得ようとすると、紫外線等の露光によって着色感光性組成物を硬化させようとすると、紫外線領域の波長の透過性が著しく低く、硬化が困難であり、要求される現像性はますます困難なものであった。
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1及び2に記載の方法によっても、特に、微細な顔料を用いた場合に、より高度な分散性と分散安定性を達成する分散組成物を得ることは困難であった。さらに分散組成物を用いて分散性、分散安定性、および現像性を良好な着色感光性組成物を得ることに関しては、ますます高まる市場からの要求に応じることはできていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−287409号公報
【特許文献2】特開2003−238837号公報
【特許文献3】特許第3926380号公報
【特許文献4】国際公開2008/102648号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
本発明の目的は、微細化顔料の分散性、および分散安定性が良好で、色ムラがなく、色特性に優れた分散組成物を提供することであり、さらにそれを用いて現像性が良好で、耐熱性が高い着色被膜を形成し得る着色感光性組成物を提供することである。
さらに、本発明の目的は、該着色感光性組成物を用いて、色特性に優れたカラーフィルタを提供し、遮光性の良好なブラックマトリックスを提供し、前記カラーフィルタ、およびブラックマトリックスを備えたウエハレベルレンズ、固体撮像素子、および液晶表示装置を提供することである
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)顔料、(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体、及び(C)溶媒を含有するグラフト重合体である分散組成物。
【0013】
<2> 前記(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体が、炭素炭素不飽和二重結合を0.1〜2.0mmol/gの範囲で含むグラフト重合体である<1>に記載の分散組成物。
<3> 前記(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体が、グラフト鎖に炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体である<1>または<2>に記載の分散組成物。
【0014】
<4> 前記(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体が、下記一般式(I)、または一般式(II)で表される繰り返し単位を有するグラフト重合体である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の分散組成物。
【0015】
【化1】

【0016】
一般式(I)及び一般式(II)中、R11〜R16は各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、X及びXは各々独立に−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−又はフェニレン基を表す。L及びLは各々独立に単結合又は2価の有機連結基を表し、B及びBは各々独立に炭素炭素不飽和二重結合を少なくとも1つ有する有機基を表す。a及びbは2〜8の整数を表し、c及びdは1〜100の整数を表す。
【0017】
<5> 前記(A)顔料が、チタンブラックである<1>〜<4>のいずれか1項に記載の分散組成物。
<6> <1>〜<5>のいずれか1項に記載の分散組成物、(E)重合性化合物、及び(F)光重合開始剤を含有する着色感光性組成物。
<7> 前記(F)光重合開始剤が、オキシムエステル化合物である<6>に記載の着色感光性組成物。
【0018】
<8> 支持体上に、<6>又は<7>に記載の着色感光性組成物を用いて形成された着色領域を有するカラーフィルタ。
<9> 支持体上に、<6>又は<7>に記載の着色感光性組成物を用いて形成された着色領域を有するブラックマトリックス。
<10> <9>に記載のブラックマトリックスを備えたウエハレベルレンズ。
【0019】
<11> <8>に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
<12> <10>に記載のウエハレベルレンズを備えた固体撮像素子。
<13> <8>に記載のカラーフィルタを備えた液晶表示装置。
<14> <9>に記載のブラックマトリックスを備えた液晶表示装置。
【0020】
本発明の分散組成物において、微細化顔料の1次粒子の分散性と分散安定性とが優れるメカニズムは明確ではないが、以下のように推測される。
(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体の炭素炭素不飽和二重結合(以下、適宜「不飽和二重結合」と称する。)は、顔料分散時に、グラフト重合体同士の反発効果を高めることができ、顔料分散効果を高めることができるものと思われる。この不飽和二重結合は、グラフト鎖にあることによって、さらに顔料の分散効果を高めることが可能となるものと考えられる。
また、分散組成物に重合開始剤等を加え、着色感光性組成物とし、着色パターンを形成する際にも、該グラフト重合体に不飽和二重結合が含有されているために、露光工程における感度が向上し、少ない重合性化合物の存在下でもパターン形成が可能となる。感度が向上したことにより、遮光性のブラックマトリックスのパターン形成においても、また着色層の薄膜化の要求にも対応することができる。また、該グラフト重合体は、顔料近辺に存在しているために、着色感光性組成物の顔料近傍の硬化性が高まり、より効率的に着色膜(ブラックマトリックス)の形成が可能となるとともに、耐熱性が高い着色被膜を得ることができるものと思われる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、微細化顔料の分散性、および分散安定性が良好で、色ムラがなく、色特性に優れた分散組成物を提供することができ、さらにそれを用いて現像性が良好で、耐熱性が高い着色被膜を形成し得る分散組成物を提供することができる。
さらに、該着色感光性組成物を用いて、色特性に優れたカラーフィルタを提供することができ、遮光性の良好なブラックマトリックスを提供することができ、前記カラーフィルタ、およびブラックマトリックスを備えたウエハレベルレンズ、固体撮像素子、および液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ウエハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図
【図2】図1に示すA−A線での断面図
【図3】ウエハレベルレンズの他の構成を示す断面図
【図4】撮像ユニットの構成の一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の分散組成物、着色感光性組成物、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、液晶表示装置、固体撮像素子、及びウエハレベルレンズについて詳細に説明する。
【0024】
<分散組成物>
本発明の分散組成物は、(A)顔料、(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体(以下、適宜「特定樹脂」と称する。)、及び(C)溶媒を含有することを特徴とする。
以下、本発明の分散組成物を構成する各成分について説明する。
【0025】
<(A)顔料>
本発明の分散組成物は、少なくとも1種の顔料を含有する。
顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を適宜選択して用いることができる。
【0026】
顔料としては、本発明の分散組成物を含有する着色感光性組成物がカラーフィルタの着色領域の形成に用いられ、その際に該領域が高透過率であることが好ましいこと等を考慮すると、有機顔料が好ましく、また、なるべく粒子サイズの小さいものを使用することが好ましい。
【0027】
本発明の分散組成物及びこれを含有する着色感光性組成物のハンドリング性を考慮すると、顔料の平均1次粒子径としては、100nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましく、10nm〜40nmが最も好ましい。該粒子径が前記範囲内であると、透過率が高く、色特性が良好であると共に、高いコントラストのカラーフィルタを形成するのに有効である。
平均1次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)或いは透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、粒子が凝集していない部分で粒子サイズを100個計測し、平均値を算出することによって求める。
【0028】
前記無機顔料としては、例えば、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0029】
前記有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメント・レッド1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、224、226、242、246、254、255、264、270、272、279、
C.I.ピグメント・イエロー1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214、
C.I.ピグメント・オレンジ2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73、
C.I.ピグメント・グリーン7、10、36、37、58
C.I.ピグメント・ブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66、79、79のCl置換基をOHに変更したもの、80、
C.I.ピグメント・バイオレット1、19、23、27、32、37、42、
C.I.ピグメント・ブラウン25、28、
C.I.ピグメント・ブラック1、7、チタンブラック等を挙げることができる。
但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0030】
これら有機顔料は、単独若しくは色純度を上げるため種々の組み合わせで用いることができる。有機顔料の組み合わせの具体例を以下に示す。
例えば、赤の顔料としては、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料を単独で、又は、それらの少なくとも1種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料又はペリレン系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料、ジケトピロロピロール系赤色顔料と、を混合して用いることができる。
例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド155、C.I.ピグメント・レッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメント・レッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー139又はC.I.ピグメント・レッド177との混合が好ましい。また、赤色顔料と他顔料との質量比は、400nmから500nmの光透過率と色純度の点から、100:5〜100:80が好ましい。特に、上記質量比としては、100:10〜100:65の範囲が最適である。なお、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に合わせて調整することができる。
【0031】
また、緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を1種単独で、又は、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料、若しくはイソインドリン系黄色顔料とを混合して用いることができる。
例えば、このような例としては、C.I.ピグメント・グリーン7、36、37とC.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー139、C.I.ピグメント・イエロー150、C.I.ピグメント・イエロー180又はC.I.ピグメント・イエロー185との混合が好ましい。緑顔料と黄色顔料との質量比は、400nm〜450nmの光透過率と色純度の点から、100:5〜100:200が好ましい。上記質量比としては100:20〜100:150の範囲が特に好ましい。
【0032】
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料を1種単独で、又は、これとジオキサジン系紫色顔料とを混合して用いることができる。特に好適な例として、C.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との混合を挙げることができる。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:100が好ましく、より好ましくは100:70以下である。
【0033】
−顔料の微細化−
本発明においては必要に応じて、上記のような顔料を微細化かつ整粒化してなる顔料を用いてもよい。
この顔料の微細化には、顔料を水溶性有機溶剤及び水溶性無機塩類と混合して高粘度な液状組成物を調製し、これを摩砕する工程を含む方法を用いることが好ましい。
【0034】
本発明においては、顔料の微細化には、以下の方法を用いることがより好ましい。
即ち、まず、有機顔料、水溶性有機溶剤、及び水溶性無機塩類の混合物(液状組成物)に対し、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸若しくは2軸の押出機等の混練機を用いて、強い剪断力を与えることで、混合物中の顔料を摩砕した後、この混合物を水中に投入し、攪拌機等でスラリー状とする。次いで、このスラリーをろ過、水洗し、水溶性有機溶剤及び水溶性無機塩を除去した後、乾燥することで、微細化された顔料を得る方法である。
【0035】
前記の微細化に用いられる水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテール、ジエチレングリコールモノエチルエーテール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
また、少量用いることで顔料に吸着して廃水中に流失しないならば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、アニリン、ピリジン、キノリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘササン、ハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を用いてもよい。また、必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
これら水溶性有機溶剤の使用量は、顔料に対して、50質量%〜300質量%の範囲が好ましく、より好ましくは100質量%〜200質量%の範囲である。
【0036】
また、本発明において水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硫酸ナトリウム等が用いられる。
水溶性無機塩の使用量は、有機顔料の1倍質量〜50倍質量が好ましく、多い方が摩砕効果はあるが、生産性の点から、より好ましい量は1倍質量〜10倍質量である。
また、水溶性無機塩の溶解を防ぐため、摩砕される液状組成物中の水分が1質量%以下であることが好ましい。
【0037】
本発明において、顔料、水溶性有機溶剤、及び水溶性無機塩を含む液状組成物を摩砕する際には、前述の混練機などの湿式粉砕装置を用いればよい。この湿式粉砕装置の運転条件については特に制限はないが、粉砕メディア(水溶性無機塩)による磨砕を効果的に進行させるため、装置がニーダーの場合の運転条件は、装置内のブレードの回転数は、10rpm〜200rpmが好ましく、また2軸の回転比が相対的に大きいほうが、摩砕効果が大きく好ましい。また、運転時間は、乾式粉砕時間と併せて1時間〜8時間が好ましく、装置の内温は50℃〜150℃が好ましい。また、粉砕メディアである水溶性無機塩は粉砕粒度が5μm〜50μmで粒子径の分布がシャープで、且つ、球形が好ましい。
上記のような摩砕後の混合物を、80℃の温水と混合することで、水溶性有機溶剤と水溶性無機塩類とを溶解させ、その後、ろ過、水洗し、オーブンで乾燥して、微細な顔料を得ることができる。
【0038】
また、上記の有機顔料の微細化の際、液状組成物中に、水溶性有機溶剤に少なくとも一部可溶な樹脂を併用することにより、微細で、且つ、表面が樹脂により被覆された、乾燥時の顔料の凝集が少ない加工顔料を得ることができる。
ここで、加工顔料を得る際に用いられる、水溶性有機溶剤に少なくとも一部可溶な樹脂としては、顔料分散剤として用いられている公知の樹脂を用いることができるが、本発明においては、以下に詳細に記載する特定樹脂を用いることが好ましい。
【0039】
本発明の分散組成物中の(A)顔料の含有量は、分散組成物に対して5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましく、10質量%〜20質量%が更に好ましい。
【0040】
<(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体(特定樹脂)>
本発明の分散組成物は、(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体を含有することを特徴とする。
炭素炭素不飽和二重結合とは、炭素炭素不飽和二重結合を有する官能基であれば、特に限定はされない。
【0041】
本発明で使用される特定樹脂は、その構造において、少なくとも1つの炭素炭素不飽和二重結合を有する。その炭素炭素不飽和二重結合を含む構造としては、好ましい具体的な態様として、側鎖に下記に示す部分構造(a)〜部分構造(c)で表される群から選択される少なくとも1種の基を有するものが挙げられる。このような部分構造(a)〜(c)で表される構造を複数種有していてもよく、これらの全てを同時に有していてもよい。
【0042】
【化2】

【0043】
以下、部分構造(a)〜部分構造(c)で表される側鎖について詳細に説明する。
部分構造(a)〜部分構造(c)中、R24〜R34は、それぞれ独立に1価の置換基を表す。XおよびXは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表し、R22は、水素原子、又は1価の有機基を表す。Xは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R23)−を表し、R23は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
【0044】
部分構造(a)において、R24〜R26はそれぞれ独立に1価の置換基を表す。R24としては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜24のアルキル基などが挙げられ、なかでも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子およびメチル基が好ましい。
また、R25およびR26は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
【0045】
は、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表し、R22は、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、R22は、置換基を有してもよい炭素数1〜24のアルキル基などが挙げられ、なかでも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
【0046】
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
【0047】
上記部分構造(b)において、R27としては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜24のアルキル基などが挙げられ、なかでも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基が好ましい。R28およびR29は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
【0048】
ここで、導入し得る置換基としては、部分構造(a)の説明において挙げた基と同様の基が例示される。また、Xは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R23)−を表す。R23は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、ラジカル反応性が高い点で、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
【0049】
上記部分構造(c)において、R30〜R34は、それぞれ独立に1価の置換基を表す。R30〜R34は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、および置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
【0050】
導入し得る置換基としては、部分構造(a)の説明において挙げた基と同様の基が例示される。また、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。R22は、部分構造(a)におけるR22と同義であり、好ましい例も同様である。
【0051】
また、特定樹脂に含まれる不飽和二重結合の含有量としては、含有量が多すぎると、分散工程においてゲル化が懸念され、含有量が少なすぎると、分散性への効果が低く、熱や紫外線などにより硬化させた場合に硬化性が低下してしまうため、0.1〜2.0mmol/g含有することが好ましく、0.2〜1.5mmol/g含有することがより好ましく、0.3〜1.0mmol/g含有することがさらに好ましい。
【0052】
特定樹脂のグラフト鎖のポリマー構造としては、ポリ(メタ)アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエーテルなどを用いることができるが、グラフト部位と溶媒との相互作用性を向上させ、それにより分散性を高めるために、ポリ(メタ)アクリル、ポリエステル、ポリエーテルを有するグラフト鎖であることが好ましく、ポリエステルを有することがより好ましい。
【0053】
このようなポリマー構造をグラフト鎖として有するマクロモノマーの構造としては、ポリマー主鎖部と反応可能な置換基を有し、且つ本発明の要件を満たしていれば、特に限定されないが、好ましくは、反応性二重結合を有するマクロモノマーを好適に使用することができる。
【0054】
特定樹脂の合成に好適に用いられる市販マクロモノマーとしては、ポリメタクリル酸エステル系:AA−6(東亜合成社製)、AA−10(東亜合成社製)、AB−6(東亜合成社製)、AS−6(東亜合成社製)、AW−6(東亜合成社製)、AA−714(東亜合成社製)、AY−707(東亜合成社製)、AY−714(東亜合成社製)、ポリスチレン系:AN−6(東亜合成社製)、ポリシロキサン系:AK−5(東亜合成社製)、AK−30(東亜合成社製)、AK−32(東亜合成社製)、ポリプロピレンオキシ系:ブレンマーPP−100(日油社製)、ブレンマーPP−500(日油社製)、ブレンマーPP−800(日油社製)、ブレンマーPP−1000(日油社製)、ブレンマー55−PET−800(日油社製)、ポリエチレンオキシ系:ブレンマーPME−4000(日油社製)、ブレンマーPSE−400(日油社製)、ブレンマーPSE−1300(日油社製)、ブレンマー43PAPE−600B(日油社製)、などが挙げられる。この中でも、好ましくは、AA−6(東亜合成社製)、AA−10(東亜合成社製)、AB−6(東亜合成社製)、AS−6(東亜合成社製)、AN−6(東亜合成社製)、ブレンマーPME−4000(日油社製)などが挙げられる。
【0055】
本発明に使用される特定樹脂は、グラフト部位としては、少なくとも下記一般式(11)〜一般式(15)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましい。
【0056】
【化3】

【0057】
前記一般式(11)〜一般式(15)において、X11〜X16は、水素原子又は1価の有機基を表す。合成上の制約の観点から、好ましくは水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(11)〜一般式(15)において、Y11〜Y15は2価の連結基であり、特に構造上制約されない。具体的には、下記の(Y−1)〜(Y−20)の連結基などが挙げられる。下記(Y−1)〜(Y−20)において、A、Bはそれぞれ、一般式(11)〜一般式(15)における左末端基、右末端基との結合を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)、または(Y−13)であることがより好ましい。
【0058】
【化4】

【0059】
前記一般式(11)〜一般式(15)において、Z11〜Z15は、1価の有機基であり、特に構造は限定されない。具体的には、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、またはアミノ基などが挙げられる。この中でも、特に分散性向上のために立体反発効果を有することが好ましい観点から、Z11、Z13、及びZ14は、炭素数5〜24のアルコキシ基が好ましく、その中でも、特にアルキル部位が炭素数5〜24の分岐構造であるアルコキシ基あるいはアルキル部位が炭素数5〜24の環状構造であるアルコキシ基が好ましく、またZ12は、炭素数5〜24のアルキル部位を有するアルキルアルボニルオキシ基が好ましく、その中でも、特に炭素数5〜24の分岐アルキルを有するアルキルアルボニルオキシ基あるいは炭素数5〜24の環状アルキルを有するアルキルアルボニルオキシ基が好ましい。また、Z15は、合成上の点から水素原子が好ましい。
前記一般式(11)〜一般式(15)において、n、m、p、q、及びrは、それぞれ1〜500の整数である。
【0060】
一般式(15)中、R10は、水素原子又は1価の有機基を表し、特に構造上限定はされないが、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基である。また、特定樹脂中に構造の異なるRが2種以上存在していてもよい。例えば、一般式(15)により表される構造単位中に複数のRが存在する場合、複数のRは同じでも異なっていてもよく、或いは、特定樹脂中の一般式(15)により表される構造単位は同じでも、異なっていてもよい。
【0061】
本発明に使用される特定樹脂において、一般式(11)〜一般式(15)で表される構造単位は、質量換算で、特定樹脂の総質量に対し10%〜90%の範囲で含むことが好ましく、30%〜70%の範囲で含むことがより好ましい。この範囲内であると顔料の分散性が高く、着色硬化性組成物にした際の現像性が良好である。
【0062】
特定樹脂に含まれる不飽和二重結合の導入位置としては、グラフト重合体の側鎖に有していてもよく、主鎖の末端でもよく、グラフト鎖上に有していてもよいが、グラフト鎖上に含有されることが好ましく、より好ましくは、グラフト鎖の末端に含有されることが好ましい。それにより、分散工程でグラフト鎖の立体反発効果を向上させることができるとともに、硬化時にも、より効率的に後述する重合性化合物などと接触することができ、硬化性を向上させることができる。
【0063】
特定樹脂が有する好ましい構造単位としては、下記一般式(I)、または一般式(II)で表される繰り返し単位である。
【0064】
【化5】

【0065】
一般式(I)及び一般式(II)中、R11〜R16は各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、X及びXは各々独立に−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−又はフェニレン基を表す。L及びLは単結合又は2価の有機連結基を表し、B及びBは不飽和二重結合を少なくとも1つ有する有機基を表し、a及びbは2〜8の整数を表し、c及びdは1〜100の整数を表す。
【0066】
(一般式(I)および一般式(II)で表される繰り返し単位)
上記一般式(I)および一般式(II)において、R11〜R16は各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、置換若しくは無置換のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
アルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3がより好ましい。)メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシロキシ基等が挙げられる。
好ましいアルキル基として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基が挙げられる。
11、R12、R14、及びR15としては、水素原子が好ましく、R13及びR16としては、水素原子又はメチル基が、顔料表面への吸着効率の点から最も好ましい。
【0067】
及びXは、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表す。中でも、−C(=O)O−、−CONH−、フェニレン基が好ましく、−C(=O)O−が最も好ましい。
【0068】
及びLは、単結合又は2価の有機連結基を表す。2価の有機連結基としては、置換もしくは無置換のアルキレン基や、該アルキレン基とヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造とからなる2価の有機連結基が好ましい。
ここで、アルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基が特に好ましい。また、ヘテロ原子を含む部分構造におけるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子があげられ、中でも、酸素原子、窒素原子が好ましい。
好ましいアルキレン基として、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
アルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基等が挙げられる。
2価の有機連結基としては、上記のアルキレン基の末端に、−C(=O)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−から選ばれるヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を有し、該ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を介して、隣接した酸素原子と連結したものが、顔料への吸着性の点から好ましい。
【0069】
及びBは、不飽和二重結合を有する基を表す。B及びBは不飽和二重結合を有していれば、特に限定されないが、上記部分構造(a)、(b)、(c)で表される部分構造などを含む基が挙げられる。
一般式(I)および一般式(II)におけるB及びBの具体例を下記に挙げる。
【0070】
【化6】

【0071】
【化7】

【0072】
【化8】

【0073】
【化9】

【0074】
一般式(I)および一般式(II)におけるa及びbは、2〜8の整数を表す。分散安定性および現像性の点から、a及びbは4〜6が好ましく、5が最も好ましい。
【0075】
一般式(I)および一般式(II)におけるc及びdは、1〜100の整数を表す。cの異なるもの、dの異なるものが2種以上、混合されてもよい。c及びdは、分散安定性および現像性の点から、5〜60が好ましく、5〜40がより好ましく、5〜20が更に好ましい。
【0076】
前記一般式(I)および一般式(II)においては、以下の組み合わせが特に好ましい態様である。即ち、R11、R12、R14、及びR15は水素原子が好ましく、R13及びR16は水素原子又はメチル基が好ましい。X及びXは−C(=O)O−が好ましい。L及びLは、炭素数1〜4のアルキレン基の末端に、−C(=O)−、−OC(=O)−、および−NHC(=O)−からなる群から選ばれるヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を有し、該ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を介して、隣接した酸素原子と連結した2価の有機連結基が好ましい。a及びbは5が好ましく、c及びdは5〜20が好ましい。
一般式(I)及び一般式(II)の具体例を下記に挙げる。
【0077】
【化10】

【0078】
【化11】

【0079】
【化12】

【0080】
【化13】

【0081】
【化14】

【0082】
本発明における特定樹脂は、前記一般式(I)または一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種含むことが好ましい。
本発明における特定樹脂において、前記一般式(I)および一般式(II)で表される繰り返し単位の含有量は、顔料の分散性及び着色感光性組成物における現像性を両立する点で、特定樹脂総質量に対し、5質量%以上含有することが好ましく、30質量%以上含有することがより好ましく、40質量%〜60質量%含有することが更に好ましい。
また、本発明に使用される特定樹脂としては、2種以上の構造が異なるグラフト共重合体の組み合わせであってもよい。
【0083】
(顔料と相互作用を形成しうる構造単位)
本発明の特定樹脂として、グラフト部位以外に顔料と相互作用を形成しうる官能基を導入することができる。例えば、酸基を有する構造単位、塩基性基を有する構造単位、配位性基を有する構造単位、および反応性を有する構造単位などが挙げられる。
【0084】
前記酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基などがあり、特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で、且つ分散性が高いカルボン酸基である。これらを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような酸基を導入することで、特定樹脂のアルカリ現像性を向上させるという利点をも有する。
【0085】
本発明における酸基を有する構造単位において、酸基としては、pKa10以下の酸基が好ましい。pKa10以下の酸基の具体例としては、例えば、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、フェノール基などが挙げられる。この中でも、顔料分散性と現像性を両立する観点から、カルボン酸基が最も好適に用いられる。
【0086】
本発明における酸基を有する構造単位では、酸基は直接、特定樹脂の主鎖に結合していてもよく、連結鎖を介して特定樹脂の主鎖に結合していてもよい。
特定樹脂の主鎖と酸基とを連結する連結鎖としては、芳香環、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレア基、及びウレタン基から選択される官能基を含む連結基であることが好ましい。上記官能基はそれ自体が顔料へ吸着性を示すため、酸基を有する構造単位において、上記官能基が酸基と近い位置にあると、顔料或いは顔料誘導体に対する吸着性を増す効果があると考えられる。
ここで、特定樹脂の主鎖とは、ポリマーを合成する際に重合により連結した部位のことであり、例えば、メタクリル酸エステルを重合したポリマーであれば、メタクリル部位が重合により連結したアルキレン部位をいう。
【0087】
また、上記の連結基は、複数種の連結基を組み合わせて用いることができる。例えば、芳香環とエーテル基、芳香環とエステル基、芳香環とウレア基、エーテル基とウレア基、芳香環とエーテル基とウレア基等を組み合わせて用いることができる。
【0088】
本発明の分散組成物が顔料としてチタンブラックを含む場合、チタンブラックは窒素原子を有するため、特定樹脂の連結基として水素結合性官能基が好ましく用いられ、具体的には、アミド基、ウレア基、ウレタン基が好ましく用いられる。
【0089】
また、本発明における酸基を有する構造単位に用いられる連結基としては、芳香環を導入することが好ましい。連結鎖が芳香環を有することで、通常のアルキル鎖などに比べて、立体障害によりポリマーの絡まりを低減でき、芳香環が主鎖部からポリマーの外へ向きやすくなるので、顔料の分散性を向上させることができる。
ここで、芳香環とは、π電子をもつ原子が環状に並んだ構造を表し、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などのヘテロ原子を含まない環や、ピリジン環、ピロール環、フラン環、カルバゾール環、チオフェン環などのヘテロ原子を含む環など各種用いることができる。そのなかでも、汎用性の高いベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環を好適に用いることができ、ベンゼン環をより好適に用いることができ、下記の一般式(5)で表される構造であることがより好ましい。
【0090】
【化15】

【0091】
上記一般式(5)中、Yは特定樹脂の主鎖との連結基を表し、Sは酸性官能基を表す。Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルアミド基、置換基を有していてもよいアリールアミド基、ハロゲン基、ニトロ基を表す。また、n1は0から4の整数を表し、m1は1から5の整数を表す。
【0092】
上記一般式(5)中、Yは特定樹脂の主鎖との連結基を表す。連結基の構造として特に限定はないが、酸基のpKaを下げる観点から、電子求引性基でベンゼン環と主鎖とが連結されていることが好ましく、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、などで連結されていることがさらに好ましく、エステル基で連結されていることがより好ましい。
の好ましい具体例を下記に示すが、Yはこれらの構造に限定されるわけではない。下記のYの好ましい具体例において、Xは特定樹脂の主鎖と結合する部位を表し、Zはベンゼン環と結合する部位を表す。
【0093】
【化16】

【0094】
【化17】

【0095】
前記一般式(5)中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルアミド基、置換基を有していてもよいアリールアミド基、ハロゲン基、ニトロ基を表す。酸基のpKaを下げる観点から、水素原子か電子求引性基で置換されていることが好ましく、水素原子、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルアミド基、置換基を有していてもよいアリールアミド基、ハロゲン基、ニトロ基、カルボキシル基が好ましく、水素原子、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基がよりさらに好ましい。
【0096】
本発明における酸基を有する構造単位は、酸基としてカルボン酸基を有する構造単位(以下、「カルボン酸基含有構造単位」ということがある。)が好ましい。より好ましくは、水素原子を除く原子の数が4個以上である原子団から構成される連結鎖を介して、特定樹脂の主鎖に結合するカルボン酸基を有する構造単位である。
【0097】
上記カルボン酸基含有構造単位においては、カルボン酸基が連結鎖を介して主鎖に結合していることにより、カルボン酸基部分のフレキシビリティが高まり、より効率的に、顔料或いは顔料誘導体と相互作用することが可能となる。また、カルボン酸基は現像性基としても働くため、フレキシビリティが高くなることにより、現像性も向上する。この点において、連結鎖は長い方が好ましい。
一方、連結鎖が長すぎると、ポリマー中に導入できるカルボン酸基含有構造単位の数が少なくなるので、引いては、ポリマー中に導入できるカルボン酸基の数が少なくなる。
上記のことから、カルボン酸基含有構造単位においては、主鎖とカルボン酸基とを連結する連結鎖が、水素原子を除く原子の数が4個から100個である原子団から構成されていることが好ましく、より好ましくは、水素原子を除く原子の数が6個から60個である原子団から構成されていることであり、さらに好ましくは、水素原子を除く原子の数が8個から20個である原子団から構成されていることである。
【0098】
上記カルボン酸基含有構造単位では、特定樹脂の主鎖とカルボン酸基とを連結する連結鎖の好ましい態様は、既述の酸基を有する構造単位における連結鎖と同様であり、また、連結鎖として複数種の連結基を組み合わせて用いることができることも同様である。
【0099】
上記カルボン酸基含有構造単位に用いられる連結基としては、既述の酸基を有する構造単位と同様、芳香環を導入することが好ましく、芳香環の好ましい態様も同様である。
上記カルボン酸基含有構造単位の部分構造としては、下記の一般式(1)で表される構造であることがより好ましい。
【0100】
【化18】

【0101】
上記一般式(1)中、Y、R、及びn1は、前記一般式(5)と同義である。
カルボン酸基は、ベンゼン環から連結基を介して導入されていてもよい。
【0102】
上記一般式(1)で表される部分構造の具体例を以下に示すが、該部分構造はこれらの具体例に限定されるわけではない。下記具体例におけるXは主鎖との結合部位を表す。
【0103】
【化19】

【0104】
【化20】

【0105】
前記カルボン酸基含有構造単位においては、前記連結鎖が、芳香環を有し、水素原子を除く原子の数が6個以上60個以下である原子団から構成されることが好ましい。より好ましくは、前記芳香環がベンゼン環であり、該ベンゼン環を介して又はエステル結合で主鎖に結合している連結鎖である。
【0106】
本発明における特定樹脂において、前記カルボン酸基含有構造単位の含有量は、着色領域を形成する場合の現像液中での析出物の生成抑制という点で、50mgKOH/g以上が好ましい。顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、あるいは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めるためには、カルボン酸基含有構造単位の含有量は、50mgKOH/g〜200mgKOH/gであることが好ましい。
【0107】
前記塩基性基を有する構造単位における塩基性基としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、N原子を含むヘテロ環、アミド基などがあり、特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で且つ分散性が高い第3級アミノ基である。これらを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ。本発明の特定樹脂に好適に使用されるこれら共重合成分の含有量は、主鎖の構造単位に対して0.01wt%以上80wt%以下であり、特に好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、0.01wt%以上50wt%以下である。
【0108】
前記配位性基を有する構造単位、および反応性を有する構造単位における配位性基、および反応性を有する基としては、例えば、アセチルアセトキシ基、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、酸無水物残基、酸塩化物残基などがあり、特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で分散性が高いアセチルアセトキシ基である。これらを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の特定樹脂に好適に使用されるこれら共重合成分の含有量は、主鎖の構造単位に対して0.5wt%以上80wt%以下であり、特に好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、1wt%以上wtモル%以下である。
【0109】
グラフト部位以外に顔料と相互作用を形成しうる官能基の構造としては、上記のグラフト部位以外に顔料と相互作用を形成しうる官能基を含有していればよく、特に限定はされないが、下記一般式(i)〜(iii)のいずれかで表される単量体から得られる繰り返し単位の少なくとも1種を有することが好ましい。
【0110】
【化21】

【0111】
上記一般式(i)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、又は炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
、R、及びRは、より好ましくは水素原子、又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、水素原子又はメチル基である。R及びRは、水素原子であることが特に好ましい。
一般式(i)におけるXは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
【0112】
一般式(i)および(ii)におけるLは、単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、2価の複素環基及びそれらと酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR41−、ここでR41は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)又はカルボニル基(−CO−)との組合せ等が挙げられる。
【0113】
前記2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。前記脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
【0114】
前記2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜10が最も好ましい。また、前記芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
【0115】
前記2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R42、ここでR42は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
【0116】
一般式(i)および(ii)におけるLは、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lはオキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としてはポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
【0117】
上記式(i)〜(iii)中、Zは、グラフト部位以外にチタンブラックと相互作用を形成しうる官能基を表し、カルボン酸、第三級アミノ基であることが好ましく、カルボン酸であることがより好ましい。また、Yは、メチン基又は窒素原子を表す。
【0118】
上記式(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、又は炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、Z、又は−L−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるものと同義である。R、R、及びRとしては、水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0119】
本発明においては、上記一般式(i)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zがカルボン酸である化合物が好ましい。
また、上記一般式(ii)で表される単量体として、Rが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。
また、上記一般式(iii)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Lが単結合又はアルキレン基であって、Zがカルボン酸である化合物が好ましい。
【0120】
一般式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例としては、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とコハク酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とフタル酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とテトラヒドロキシフタル酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物と無水トリメリット酸の反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物とピロメリット酸無水物との反応物、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸オリゴマー、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、4−ビニル安息香酸、ビニルフェノール、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0121】
特定樹脂中における顔料と相互作用を形成しうる官能基の含有量は、顔料との相互作用、分散安定性、及び現像液への浸透性の観点から、特定樹脂の総質量に対して0.05質量%から90質量%が好ましく、1.0質量%から80質量%がより好ましく、10質量%から70質量%が更に好ましい。
【0122】
(他の構造単位)
本発明における特定樹脂は、顔料への吸着性を高める目的で、顔料に吸着し得る官能基を有する単量体をさらに共重合した高分子化合物であることが好ましい。
上述した酸基、塩基性基、配位性基、および反応性基以外に、顔料に吸着し得る官能基を有する単量体としては、具体的には、有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマー、塩基性窒素原子を有するモノマー、イオン性基を有するモノマーなどを挙げることができる。中でも、顔料への吸着力の点で、有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマーが好ましい。
【0123】
有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマーとしては、下記一般式(6)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択される1種であることが好ましい。中でも、下記一般式(6)で表される単量体であることが特に好ましい。
【0124】
【化22】

【0125】
上記一般式(6)中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rは単結合又は2価の連結基を表す。Yは−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−又はフェニレン基を表し、Zは含窒素複素環基を有する基を表す。
【0126】
上記一般式(6)におけるRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
で表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基や、メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシロキシ基等のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基としては、炭素数1〜5であるものが好ましく、炭素数1〜3のものが好ましい。
【0127】
上記一般式(6)におけるRで表される好ましいアルキル基として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基が挙げられる。中でも、R1としては、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
【0128】
上記一般式(6)におけるRで表される2価の連結基としては、アルキレン基、又はアルキレン基を含む2価の基が好ましい。該アルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜12のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基が特に好ましい。
また、このアルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基等が挙げられる。
で表される好ましいアルキレン基として、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
【0129】
上記一般式(6)におけるRで表されるアルキレン基を含む2価の基としては、上記アルキレン基がヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子)を介して2以上連結したものであってもよい。
また、Rで表されるアルキレン基を含む2価の基としては、上記アルキレン基におけるZに結合する方の末端に、−O−、−S−、−C(=O)O−、−CONH−、−C(=O)S−、−NHCONH−、−NHC(=O)O−、−NHC(=O)S−、−OC(=O)−、−OCONH−、及び−NHCO−から選ばれるヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造が結合したものであってもよい。
【0130】
上記一般式(6)におけるZで表される含窒素複素環基を構成する含窒素複素環構造として、具体的には、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環、ベンズイミダゾール構造、ベンズトリアゾール構造、ベンズチアゾール構造、環状アミド構造、環状ウレア構造、及び環状イミド構造を有するものが挙げられる。
これらの含窒素複素環構造は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、脂肪族エステル基、芳香族エステル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
【0131】
で表される含窒素複素環基は、中でも、炭素数が6以上である含窒素複素環構造を有する基であることがより好ましく、炭素数が6以上12以下である含窒素複素環構造を有する基であることが特に好ましい。
炭素数が6以上である含窒素複素環構造として、具体的には、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環、ベンズイミダゾール構造、ベンズトリアゾール構造、ベンズチアゾール構造、環状アミド構造、環状ウレア構造、及び環状イミド構造が好ましく、下記一般式(2)、(3)又は(4)で表される構造であることが特に好ましい。
【0132】
【化23】

【0133】
上記一般式(2)中、Xは単結合、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基など)、−O−、−S−、−NR−、及び−C(=O)−からなる群より選ばれるいずれかである。ここでRは、水素原子又はアルキル基を表す。Rがアルキル基を表す場合のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクタデシル基などが挙げられる。
上記した中でも、一般式(2)におけるXとしては、単結合、メチレン基、−O−、又は−C(=O)−が好ましく、−C(=O)−が特に好ましい。
【0134】
上記一般式(4)中、Y及びZは、各々独立に、−N=、−NH−、−N(R)−、−S−又は−O−を表す。Rはアルキル基を表し、該アルキル基は、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクタデシル基などが挙げられる。
上記した中でも、Y及びZとしては、−N=、−NH−、及び−N(R)−が特に好ましい。Y及びZの組み合わせとしては、Y及びZのいずれか一方が−N=であり他方が−NH−である組み合わせ(イミダゾリル基)が好ましいものとして挙げられる。
【0135】
上記一般式(2)、(3)又は(4)中、環A、環B、環C及び環Dは、各々独立に、芳香環を表す。該芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、アズレン環、フルオレン環、アントラセン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピロール環、イミダゾール環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環等が挙げられ、中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、フェノキサジン環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、アクリドン環、アントラキノン環が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環が特に好ましい。
【0136】
具体的には、上記一般式(2)における環A及び環Bとしては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、等が挙げられる。
上記一般式(3)における環Cとしては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、等が挙げられる。
上記一般式(4)における環Cとしては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、等が挙げられる。
上記の環は、分散性、分散液の経時安定性の点からは、ベンゼン環、ナフタレン環がより好ましく、上記一般式(2)又は(4)においては、ベンゼン環が更に好ましく、上記一般式(3)においては、ナフタレン環が更に好ましい。
【0137】
なお、本発明におけるマレイミド誘導体とは、N位がアルキル基やアリール基などの置換基により置換されているマレイミドを意味する。
【0138】
以下、前記一般式(6)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体の好ましい具体例(単量体M−1〜M−33)を以下に挙げるが、これらに制限されるものではない。
【0139】
これらの具体的化合物は、例えば特開2008−83089号の〔0029〕〜〔0030〕、特開2008−266627号の〔0044〕〜〔0047〕、特開2009−62457号の〔0045〕〜〔0047〕、および〔0075〕〜〔0076〕に開示されているものが使用できる。
【0140】
本発明における特定樹脂は、前記一般式(6)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択された1種の単量体に由来する構造単位を、1種のみ含むものであってもよいし、2種以上を含んでもよい。
【0141】
本発明における特定樹脂中、前記一般式(6)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択された1種の単量体に由来する構造単位の含有量は、特定樹脂に含有される全構造単位を100質量%とした場合に、5質量%以上含有することが好ましく、10質量%〜50質量%含有することがより好ましい。
即ち、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、或いは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めるためには、前記一般式(6)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択された1種の単量体に由来する重合単位の含有量は5質量%以上であることが好ましい。また、分散組成物を含有する着色感光性組成物によりカラーフィルタを製造する際の現像性の観点からは、前記一般式(6)で表される単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択された1種の単量体に由来する重合単位の含有量は50質量%以下であることが好ましい。
【0142】
本発明における特定樹脂における顔料に吸着し得る官能基を有する単量体のその他の例としての塩基性窒素原子を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−n−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−i−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、(メタ)アクリル酸ピペリジノエチル、(メタ)アクリル酸1−ピロリジノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−メチル−2−ピロリジルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸N,N−メチルフェニルアミノエチルなどが挙げられ、(メタ)アクリルアミド類として、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリルアミド及び6−(N,N−ジエチルアミノ)ヘキシル(メタ)アクリルアミド、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、スチレン類として、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン等、が挙げられる。
【0143】
また、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基を有するモノマーを用いることも可能である。具体的には、例えば、以下の構造のモノマーを挙げることができる。
【0144】
【化24】

【0145】
イオン性基を有するモノマーとしては、イオン性基を有するビニルモノマー(アニオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー)が挙げられる。この例としては、アニオン性ビニルモノマーとして、前記酸性基を有するビニルモノマーのアルカリ金属塩や、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の3級アミン)との塩などが挙げられ、カチオン性ビニルモノマーとしては、前記含窒素ビニルモノマーを、ハロゲン化アルキル(アルキル基:C1〜18、ハロゲン原子:塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子);塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化ベンジル;メタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸エステル(アルキル基:C1〜18);ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸アルキルエステル(アルキル基:C1〜18);硫酸ジアルキル(アルキル基:C1〜4)等で4級化させたもの、ジアルキルジアリルアンモニウム塩などが挙げられる。
【0146】
顔料に吸着し得る官能基を有するモノマーは、分散する顔料の種類に応じて、適宜選択することができ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0147】
本発明における特定樹脂は、その効果を損なわない範囲において、更に、共重合可能なビニルモノマーに由来する構造単位を含んでいてもよい。
【0148】
ここで使用可能な共重合可能なビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。このようなビニルモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」と記載することがある。
【0149】
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチルなどが挙げられる。
【0150】
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0151】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0152】
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0153】
本発明における(B)特定樹脂の具体例としては、以下の例示化合物を挙げることができる。本発明における特定樹脂は、これらに制限されるものではない。
【0154】
【化25】

【0155】
【化26】

【0156】
【化27】

【0157】
【化28】

【0158】
【化29】

【0159】
【化30】

【0160】
【化31】

【0161】
【化32】

【0162】
本発明における特定樹脂の好ましい分子量は、重量平均分子量(Mw)で1000〜100000の範囲、数平均分子量(Mn)で500〜50000の範囲である。重量平均分子量(Mw)で10000〜50000の範囲、数平均分子量(Mn)で5000〜30000の範囲であることがより好ましい。
特に、重量平均分子量(Mw)で20000〜40000の範囲、数平均分子量(Mn)で5000〜20000の範囲であることが最も好ましい。
即ち、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体を効果的にほぐし、あるいは、再凝集を効果的に弱める観点からは、特定樹脂の重量平均分子量(Mw)は1000以上であることが好ましい。また、分散組成物を含有する着色感光性組成物によりカラーフィルタを製造する際の現像性の観点からは、特定樹脂の重量平均分子量(Mw)は50000以下であることが好ましい。
【0163】
本発明における特定樹脂は、通常のラジカル重合法によって製造することができる。
一般的には、懸濁重合法あるいは溶液重合法などを用いる。このような特定樹脂を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合してもよい。
なお、ラジカル重合の際、ラジカル重合開始剤を使用することができ、また、更に連鎖移動剤(例、2−メルカプトエタノールおよびドデシルメルカプタン)を使用することができる。
【0164】
本発明の分散組成物中、特定樹脂の含有量としては質量比で、顔料:特定樹脂=1:0.1〜1:2が好ましく、より好ましくは、1:0.2〜1:1であり、更に好ましくは、1:0.3〜1:0.7である。
【0165】
本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、本発明における特定樹脂の他に、他の高分子化合物を同時に分散組成物に使用してもよい。
他の高分子化合物としては、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が用いられる。
天然樹脂としてはロジンが代表的であり、変性天然樹脂としては、ロジン誘導体、繊維素誘導体、ゴム誘導体、タンパク誘導体およびそれらのオリゴマーが挙げられる。合成樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。天然樹脂で変性された合成樹脂としては、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
合成樹脂としては、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が挙げられる。
【0166】
<(C)溶剤>
本発明の分散組成物は、少なくとも1種の有機溶剤を含有する。
本発明の分散組成物に用いられる有機溶剤としては、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トルエン、キシレン、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどを挙げることができる。
また、有機溶剤の添加量は、分散組成物の用途などに応じて適宜選択されるが、後述する着色感光性組成物の調製に用いる場合には、取り扱い性の観点から、顔料等を含む固形分濃度が5質量%〜50質量%となるように添加することができる。
【0167】
(D)顔料誘導体
本発明の分散組成物は、顔料誘導体を含有することができる。
本発明における顔料誘導体とは、後で詳述するが、有機顔料の側鎖に酸性基、塩基性基、芳香族基を置換基として導入した化合物である。
本発明においては、(B)特定樹脂(高分子分散剤)と親和性のある部位を有する顔料誘導体を顔料の表面に吸着させ、これを特定樹脂の吸着点として用いることで、顔料を微細な粒子として分散組成物中に分散させることができ、また、その再凝集をも防止することができる。つまり、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、本発明における特定樹脂の如き高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
【0168】
本発明における特定樹脂が酸基を有している場合には、顔料誘導体として塩基性基を有する塩基性顔料誘導体を用いることにより、さらに顔料の分散性が向上し、微細な顔料を効果的に分散することができる。そして、塩基性顔料誘導体を含有する分散組成物を用いることで、さらに色濃度ムラが小さく色特性に優れたカラーフィルタを形成することができる。
【0169】
本発明における顔料誘導体は、具体的には有機顔料を母体骨格とし、側鎖に酸性基や塩基性基、芳香族基を置換基として導入した化合物である。母体骨格となる有機顔料は、具体的には、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノリン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンゾイミダゾロン顔料等が挙げられる。また、母体骨格としては、一般に、色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系、トリアジン系、キノリン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。
【0170】
本発明における顔料誘導体としては、特開平11−49974号公報、同平11−189732号公報、同平10−245501号公報、同2006−265528号公報、同平8−295810号公報、同平11−199796号公報、同2005−234478号公報、同2003−240938号公報、同2001−356210号公報等に記載されているものを使用できる。
【0171】
本発明の分散組成物中に顔料誘導体を使用する場合、その使用量としては、顔料に対し1質量%〜80質量%の範囲にあることが好ましく、3質量%〜65質量%の範囲にあることがより好ましく、5質量%〜50質量%の範囲にあることが特に好ましい。含有量がこの範囲内であると、粘度を低く抑えながら、顔料の分散を良好に行えると共に、分散後の分散安定性を向上させることができる。そして、この分散組成物をカラーフィルタの製造に適用することで、透過率が高く、優れた色特性を有し、色むらのないカラーフィルタを得ることができる。
【0172】
(その他の成分)
本発明の分散組成物には、必要に応じて公知の各種添加物、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、pH調整剤、凝集防止剤等を配合することができる。
【0173】
〜分散組成物の調製方法〜
本発明の分散組成物は、各種の混合機、分散機を使用して混合分散する混合分散工程を経ることによって、調製することができる。混合分散工程は、混練分散とそれに続けて行う微分散処理からなるのが好ましいが、混練分散を省略することも可能である。
【0174】
本発明の分散組成物は、具体的には、例えば、(A)顔料、(B)特定樹脂、(C)有機溶剤を、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用いて、0.01mm〜1mmの粒子径のガラス、ジルコニア等でできたビーズにて微分散処理を行なうことにより得ることができる。
ビーズによる微分散を行なう前に、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸もしくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことも可能である。
なお、混練、分散についての詳細は、T.C.Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されており、本発明においてもここに記載の方法を適用することができる。
【0175】
<着色感光性組成物>
次に、本発明の着色感光性組成物について説明する。
本発明の着色感光性組成物は、本発明の分散組成物、(E)光重合性化合物、及び(F)光重合開始剤を含有することを特徴とする。
【0176】
本発明の着色感光性組成物は、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(例えば、CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として好適に用いることができる。特に、CCD、及びCMOS等の固体撮像素子用のカラーフィルタ形成用として好適に用いることができる。
本発明の着色感光性組成物は、着色パターンが微少サイズで薄膜に形成され、しかも良好な矩形の断面プロファイルが要求される固体撮像素子用のカラーフィルタの形成に特に好適である。
【0177】
カラーフィルタを構成する画素パターンサイズ(基板法線方向からみた画素パターンの辺長)が2μm以下である場合(例えば0.5〜2.0μm)は、着色剤量が増大したりして、線幅感度が悪くなり、DOFマージンが狭くなる結果、パターン形成性が損なわれやすい。これは、特に画素パターンサイズが1.0〜1.7μm(更に1.2〜1.5μm)の場合に顕著になる。また、厚み1μm以下の薄膜である場合、着色剤を除くフォトリソ性に寄与する成分の着色感光性の膜中の量が相対的に減少し、着色のための顔料の増大で他の成分の量は更に減少して、低感度化し、低露光量領域ではパターンが剥離しやすくパターン形成性が悪くなる。また、この場合はポストベーク等の熱処理を施した際に熱ダレを起こし易い。これらは、特に膜厚が0.05μm〜0.9μm(更に0.1μm〜0.7μm)の場合に顕著である。
一方、本発明の着色感光性組成物を用いれば、上記のような2μm以下の画素パターンサイズでも、パターン形成性に優れ、良好な断面プロファイルを有するカラーフィルタを作製することができる。
【0178】
本発明の着色感光性組成物には、硬化反応の速度を大きくするため、ラジカルや酸を発生する(F)光重合開始剤を含むことが好ましく、フォトリソ法で画素を形成する場合には必須となる。さらに、着色感光性組成物には、(E)重合性化合物、バインダー、界面活性剤、その他の添加物を含有させることができる。
【0179】
(E)重合性化合物
重合性化合物は、400nm以下のUV光による露光または熱により、重合、または架橋し、着色感光性組成物をアルカリ現像液に不溶化させることにより、フォトリソ法においては露光部と未露光部を区別しパターン成形することができる。
重合性化合物としては、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物が好ましく、3つ以上有する化合物がさらに好ましい。その例としては、特開2008−292970号公報の段落0254〜0257、特開2009−13206号公報の段落0054〜0068記載の化合物などが挙げられ、(メタ)アクリル系モノマー、エポキシ系モノマー、およびオキセタニル系モノマーから選択される1種以上を含有することが好ましい。
【0180】
特に、分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する(メタ)アクリル化合物が好ましく、例えばトリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトンを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート化したものなどが挙げられる。
【0181】
重合性化合物の着色感光性組成物中における含有量は、着色感光性組成物中の固形分に対して0.1質量%〜90質量%が好ましく、1.0質量%〜80質量%がさらに好ましく、2.0質量%〜70質量%が特に好ましい。
【0182】
(F)光重合開始剤
本発明の着色感光性組成物は、(F)光重合開始剤を含有することが好ましい。本発明の着色感光性組成物における光重合開始剤は、光や熱により分解し、前述の(E)重合性化合物の重合を開始、促進する化合物であり、波長300〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。
具体的には、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられるが、特にオキシムエステル化合物が感度の観点から好ましい。
より具体的には、例えば、特開2006−78749号公報の段落番号[0081]〜[0100]、[0101]〜[0139]等に記載される重合開始剤が挙げられる。
【0183】
好適なオキシムエステル化合物としては、電子部品用途等の感光性組成物の光重合開始剤として知られている公知の化合物を使用することができる。例えば、特開昭57−116047、特開昭61−24558、特開昭62−201859、特開昭62−286961、特開平7−278214、特開2000−80068、特開2001−233842、特表2004−534797、特表2002−538241、特開2004−359639、特開2005−97141、特開2005−220097、WO2005−080337A1、特表2002−519732、特開2001−235858、特開2005−227525などの各公報に記載の化合物から選択して使用することができる。
【0184】
一般にオキシムエステル化合物は、365nmや405nm等の近紫外領域での吸収が小さいため低感度であるが、増感剤により、近紫外線領域の感光性を高め、高感度化されることが知られている。またアミン類やチオール等の共増感剤との併用により、有効ラジカル発生量を増加することが知られているが実用的には更なる高感度が求められていた。
本発明においては365nmや405nm等の近紫外領域の吸収が小さいオキシムエステル化合物でも、増感剤と併用することによって著しく高感度化され実用的な感度まで到達することができる。
【0185】
オキシムエステル化合物としては、380nm〜480nmの範囲の吸収が小さく、かつ分解効率の高い化合物か、もしくは380nm〜480nmの範囲の吸収が大きくても、光分解により領域に吸収が小さくなる化合物(副生成物の吸収が短波長)である化合物が好ましい。
以下、オキシムエステル化合物の具体例を示す。
【0186】
【化33】

【0187】
【化34】

【0188】
【化35】

【0189】
本発明の着色感光性組成物における(F)光重合開始剤の含有量は、着色感光性組成物の全固形分中、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%が特に好ましい。
【0190】
(バインダー)
着色感光性組成物には、バインダーを含有させることが好ましい。前記バインダーとしては、アルカリ可溶性であれば特に限定されないが、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選ばれることが好ましい。
【0191】
アルカリ可溶性のバインダーとしては、線状有機高分子重合体で、有機溶剤に可溶性で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、特開2008−292970号公報の段落0227〜0234に記載の重合体が挙げられる。
バインダーの着色感光性組成物中における含有量は、該着色感光性組成物中の全固形分に対して0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜40質量%がさらに好ましく、0.1質量%〜30質量%が特に好ましい。
【0192】
(架橋剤)
架橋剤を着色感光性組成物に加えることも好ましく、架橋剤としては、架橋反応によって膜硬化を行なえるものであれば特に限定はなく、例えば、特開2008−292970号公報の段落0237〜0253に記載の架橋剤が挙げられる。
架橋剤を含有する場合、着色感光性組成物の全固形分(質量)に対して、1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、7〜30質量%が特に好ましい。該含有量が前記範囲内であると、充分な硬化度と未露光部の溶出性とを保持できる。架橋剤が不足すると露光部の硬化度が不足したり、また架橋剤が過剰になると未露光部の溶出性が著しく低下することがある。
【0193】
(溶剤)
本発明の着色感光性組成物を調製する際には、一般に溶剤を含有することができる。使用される溶剤は、該組成物の各成分の溶解性や着色感光性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特には限定されないが、特にバインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
前記溶剤の例としては、分散組成物の項で述べた溶剤が使用でき、この中でも3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等がより好ましい。
【0194】
(各種添加物)
本発明の着色感光性組成物には、必要に応じて各種添加物、例えば充填剤、上記以外の高分子化合物、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの例としては、特開2008−292970号公報の段落0274〜0276に記載の添加物を挙げることができる。
【0195】
〜着色感光性組成物の調製方法〜
本発明の着色感光性組成物の調製に際しては、上述の各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。全成分を同時に溶剤に溶解して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜2つ以上の溶液としておいて、使用時(塗布時)にこれらの溶液を混合して着色感光性組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された着色感光性組成物は、好ましくは孔径0.01〜3.0μm、より好ましくは孔径0.05〜0.5μm程度のフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することもできる。
【0196】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、基板上に、本発明の着色感光性組成物を用いて形成された着色領域を有することを特徴とする。
ここで、着色領域とは、3色或いは4色の着色パターン(画素部)と、ブラックマトリクスとの両方を含むものである。
【0197】
本発明の分散組成物を用いたカラーフィルタは、高温・高湿度下で着色領域(画素部)が濁る、カラーフィルタ作製時に着色領域(画素部)が濁るといった問題を解決できる。これらの問題は、フィルタ中の微細な顔料粒子が凝集して結晶成長して起こる現象と考えられ、顔料の1次粒子が微細であるほど起きやすい。本発明の分散組成物においては、(A)高分子化合物が微細な顔料に強く吸着しているため、着色領域(画素部)中においても、顔料粒子同士の凝集を効果的に抑制することから、着色領域(画素部)が濁るといった問題を抑制することができ、コントラストに優れた着色領域(画素部)を形成することができると考えられる。
【0198】
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法を通じて詳述する。
本発明の着色感光性組成物を用いて、フォトリソ法でカラーフィルタを形成する方法は、支持体上に着色感光性組成物を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、該塗布膜に対してマスクを介して露光する露光工程と、露光後に塗布膜の未硬化部を現像液で現像除去する現像工程と、を含む。
【0199】
〔塗布工程〕
まず、塗布工程で用いられる基板について説明する。
本発明のカラーフィルタに用いられる基板としては、例えば、液晶表示装置等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば、シリコンウエハや、プラスチック基板が挙げられる。
これらの基板上には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されていたり、密着促進等のために透明樹脂層が設けられたりしていてもよい。
また、プラスチック基板は、その表面に、ガスバリヤー層及び/又は耐溶剤性層を有していることが好ましい。
【0200】
この他に、薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板を用い、この駆動用基板上に、本発明の着色感光性組成物を用いてなる着色パターンを形成し、カラーフィルタを作製することができる。
【0201】
塗布工程において、本発明の着色感光性組成物を基板に塗布する方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。この中でも、スリット・アンド・スピン法、スピンレス塗布法等のスリットノズルを用いる方法が好ましい。
【0202】
基板上に本発明の着色感光性組成物による塗布膜を形成する際、該塗布膜の厚み(プリベーク処理後)としては、一般に0.3μm〜5.0μmであり、望ましくは0.5μm〜4.0μm、最も望ましくは0.5μm〜3.0μmである。固体撮像素子用のカラーフィルタの場合であれば、塗布膜の厚み(プリベーク処理後)は、0.5μm〜5.0μmの範囲が好ましい。
【0203】
塗布工程において、通常は、塗布後にプリベーク処理を施す。必要によっては、プリベーク前に真空処理を施すこともできる。
【0204】
〔露光工程〕
露光工程では、前述のようにして形成された着色感光性組成物からなる塗布膜に対し、所定のマスクパターンを介して露光を行う。露光の際に使用される放射線としては、特に、g線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましい。
【0205】
〔現像工程〕
現像工程では、露光後の塗布膜の未硬化部を現像液に溶出させ、硬化分のみを基板上に残存させる。現像温度としては、通常20℃〜30℃であり、現像時間としては20秒〜90秒である。現像液としては、未硬化部における着色感光性組成物の塗布膜を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶剤の組合せやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
【0206】
現像に用いられる有機溶剤としては、本発明の着色感光性組成物を調製する際に使用できる既述の溶剤が挙げられる。
また、アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。
【0207】
現像方式は、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式などいずれでもよく、これにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせてもよい。現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿しておいて、現像ムラを防ぐこともできる。また、基板を傾斜させて現像することもできる。固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する場合にはパドル現像も用いられる。
【0208】
〔後硬化工程〕
本発明においては、上記した現像によりパターンを形成する工程の後に、さらに、得られたパターンをより硬化させる後硬化工程を実施することが好ましい。後硬化工程は、加熱及び/又は露光(紫外線照射)によって行うが、得られたパターンをさらに硬化させ、次色のパターン形成工程でのパターンの溶解等を防止したり、得られたカラーフィルタの画素の耐溶剤性を向上したりすることができる。後硬化工程は、紫外線照射によることが好ましい。
【0209】
加熱処理(後加熱、ポストベーク)による後硬化工程は、余剰の現像液を洗浄除去するリンス処理を経て、乾燥を施した後に施される。リンス処理は、通常は純水で行うが、省液のために、最終洗浄で純水を用い、洗浄初期は使用済の純水を使用したり、また、基板を傾斜させて洗浄したり、超音波照射を併用したりする方法を用いてもよい。
【0210】
リンス処理後、水切り、乾燥をした後に、通常、約200℃〜250℃の加熱処理を行う。この加熱処理(ポストベーク)は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。加熱処理時間は、30秒〜30000秒が好ましく、更に好ましくは、60秒〜1000秒である。
【0211】
後硬化工程においては、後露光と後加熱は、併用してもよく、この場合はどちらを先に行ってもよいが、後加熱に先立って、後露光を実施することが好ましい。後露光で硬化を促進させることにより、後加熱過程で見られるパターンの熱ダレやすそ引きによる形状の変形を抑止するためである。
【0212】
このようにして得られた着色パターンがカラーフィルタにおける画素を構成することになる。複数の色相の画素を有するカラーフィルタの作製においては、前記パターン形成工程(及び必要に応じて後硬化工程)を所望の色数に合わせて繰り返すことにより、所望数の色相に構成されたカラーフィルタを作製することができる。
本発明のカラーフィルタは、コントラストが高く、色濃度ムラが小さく、色特性が良好であることから、固体撮像素子又は液晶表示装置に好適に用いることができる。
【0213】
本発明の着色感光性組成物の用途としては、主に、カラーフィルタの着色パターン形成の用途を中心に説明したが、カラーフィルタを構成する着色パターン(画素)を隔離するブラックマトリックスの形成にも適用することができる。
基板上のブラックマトリックスは、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色顔料の加工顔料を含有する着色感光性組成物を用い、塗布、露光、及び現像の各工程を経て、その後、必要に応じて、ポストベークすることにより形成することができる。
【0214】
<固体撮像素子、及び液晶表示装置>
本発明の固体撮像素子、及び液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタ或いはブラックマトリックスを備えてなるものである。より具体的には、例えば、受光素子上にカラーフィルタを形成することにより、本発明の固体撮像素子が得られる。また、例えば、カラーフィルタの内面側に配向膜を形成し、電極基板と対向させ、間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明の液晶表示装置であるパネルが得られる。
【0215】
また、本発明の液晶表示装置の別の態様のものは、少なくとも1つが光透過性の1対の基板の間に、カラーフィルタ、液晶層及び液晶駆動手段を少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、かつ各アクティブ素子の間に本発明の重合性組成物により作成された遮光性カラーフィルタ(例えばブラックマトリックス)を有する。
【0216】
<ウエハレベルレンズ>
本発明におけるウエハレベルレンズは、既述の本発明のブラックマトリックスを有する遮光層を設けて構成されている。図1は、ウエハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図であり、図2は図1に示すA−A線断面図である。
ここで、レンズ基板に形成された複数のレンズの個々のレンズをウエハレベルレンズと呼び、レンズ基板に形成されたレンズ群を、このレンズ基板を含めて、ウエハレベルレンズアレイと呼ぶ。
【0217】
ウエハレベルレンズアレイは、図1に示す基板1と、該基板1に配列された複数のレンズ10とを備えている。複数のレンズ10は、基板1に対して1次元又は2次元に配列されている。この構成例では、図1のように、複数のレンズ10が、基板1に対して2次元配列されている構成を例に説明する。レンズ10は、基板1と同じ材料から構成され、該基板1に成形されたものである。
【0218】
図2に示すように、レンズ10は、凹状のレンズ面10aと、該レンズ面10aの周囲にレンズ縁部10bとを有する。ここで、レンズ面10aは、レンズ10に入射した光を所望の方向に集光又は発散させる光学的特性を有し、この光学的特性を考慮して曲率や表面形状が設計されている部位の面をいうものとする。この例では、レンズ縁部10bの基板1に対する高さがレンズ面10aの中央よりも高くなるように構成されている。なお、レンズ10の形状は、特に限定されず、例えば、レンズ面10aが凸状に突出した、所謂、凸状レンズとしてもよく、又は非球面のレンズとしてもよい。
【0219】
ここでは、基板1の一方の面に複数のレンズ10が設けられた構成を例示しているが、基板1の両方の面に複数のレンズ10が設けられた構成としてもよい。基板1の両方の面に複数のレンズ10が設ける場合には、一方の面の各レンズの光軸が、他方の面の各レンズの光軸と一致するように成形される。
【0220】
図2では、ウエハレベルレンズアレイは、複数のレンズ10が成形された基板1を1層有する構成としたが、2層以上の基板を積層させた構成としてもよい。
【0221】
ウエハレベルレンズアレイは、レンズ10のレンズ縁部10bの表面と、レンズ10同士の間の基板1の表面とを覆うように遮光層14が設けられている。遮光層14は、基板1において、前記レンズのレンズ面10aを除く領域にパターニングされたものである。ウエハレベルレンズが基板を1層以上有する構成では、少なくとも1層の基板の表面に遮光層14が備えられる。遮光層14は黒色レジスト層で構成されている。黒色レジスト層は、光反射率が金属層などに比べて低いため、光反射に伴うゴーストやフレア等の不都合を低減できる。黒色レジスト層は、黒色レジスト組成物を含んでいる。
【0222】
図3は、ウエハレベルレンズの他の構成例を示す断面図である。
この例では、基板1の一方の面に図2と同様の形状のレンズ10が成形され、他方の面に凸状のレンズ20が成形されている。また、他方の面には、他のウェハレンズアレイに重ね合わせる際に距離を確保するためのスペーサが形成されている。スペーサ12は、平面視において格子状の部材であって、基板1の他方の面に接合される。この例では、ウエハレベルレンズにスペーサを接合した後、ダイシングによって、基板1にレンズ10及びレンズ20が1個ずつ備えられた構成となるように分離したものである。スペーサ12は、基板1の一部として該基板1に一体に成形されたものとしてもよい。
【0223】
図4は、撮像ユニットの構成の一例を示す断面図である。
撮像ユニットは、ウエハレベルレンズアレイをダイシングしてレンズごとに分離したレンズモジュールと、撮像素子(ここでは、固体撮像素子)Dと、固体撮像素子Dが設けられたセンサ基板Wとを備える。この例では、3つのレンズモジュールLM1,LM2,LM3を光の入射側(図4の上側)からのこの順に積層した構成としている。
【0224】
レンズモジュールLM1は、基板1Aの上側の面に凸状のレンズ10Aが成形され、下側の面に凹状のレンズ面を有するレンズ20Aが成形されている。基板1Aの上側の面には、レンズ10Aのレンズ面を除く領域にパターニングされた遮光層14が設けられている。レンズ20Aには、レンズ面を除く領域にパターニングされた遮光層14が設けられている。
【0225】
レンズモジュールLM2は、基板1Bの上側の面に凹状のレンズ10Bが成形され、下側の面に凸状のレンズ面を有するレンズ20Bが成形されている。このレンズモジュールLM2は図4に示す構成と基本的に同じである。基板1Aの上側の面には、レンズ10Aのレンズ面を除く領域、つまり、レンズ縁部及び基板表面の領域にパターニングされた遮光層14が設けられている。この例では基板1Bの下側の面に遮光層14を設けていないが、レンズ20Bのレンズ面を除く領域にパターニングされた遮光層14を設けてもよい。
【0226】
レンズモジュールLM3は、基板1Cの上側の面に非球面形状のレンズ10Cが成形され、下側の面に非球面形状のレンズ面を有するレンズ20Cが成形されている。レンズ10C及びレンズ20Cには、レンズ面を除く領域にパターニングされた遮光層14が設けられている。
【0227】
前記レンズモジュールにおいて、遮光層14は、本発明の分散組成物又は着色感光性組成物を用いて形成されたものである。
なお、レンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cは、いずれも光軸に対して回転対称となる形状で設けられている。レンズモジュールLM1,LM2,LM3は、全てのレンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cの光軸が一致するように、スペーサ12を介して接合されている。
【0228】
レンズモジュールLM1,LM2,LM3は、スペーサ12を介してセンサ基板Wに接合される。レンズモジュールLM1,LM2,LM3のレンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cは、センサ基板Wに設けられた固体撮像素子Dに被写体像を結像させる。
【0229】
レンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cは、一般的には、基板1と同じ材料から構成され、該基板1上に一体的に成形されるか、或いは、別の構造体として成形され、基板上に固定化されたものである。ここでは、一例を挙げたが、本発明のウエハレベルレンズは、この態様に限定されず、多層構造をとるもの、ダイシングによりレンズモジュールに分離されたものなど種々の態様をとり得る。
【0230】
レンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cを形成する材料としては、例えば、ガラスを挙げることができる。ガラスは種類が豊富であり、高屈折率を有するものを選択できるので、大きなパワーを持たせたいレンズの素材に好適である。また、ガラスは耐熱性に優れ、撮像ユニット等へのリフロー実装に耐えるという利点をも有する。
【0231】
レンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cを形成する他の材料としては、樹脂が挙げられる。樹脂は加工性に優れており、型等でレンズ面を簡易且つ安価に形成するのに適している。
【0232】
ウエハレベルレンズの形成には、エネルギー硬化性の樹脂を用いることが好ましい。該エネルギー硬化性の樹脂は、熱により硬化する樹脂、或いは活性エネルギー線の照射(例えば、熱、紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂のいずれであってもよい。
撮像ユニットのリフロー実装を考慮すると、軟化点が例えば200℃以上といった、軟化点の比較的高い樹脂が好ましく、軟化点が250℃以上の樹脂がより好ましい。
以下、レンズ材料として好適な樹脂について説明する。
【0233】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性シリコン樹脂、紫外線硬化性エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を例示することができる。エポキシ樹脂としては、線膨張係数が40〜80[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。
【0234】
熱硬化性樹脂としては、熱硬化性シリコン樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等を例示できる。例えば、シリコン樹脂としては、線膨張係数が30〜160[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.55のものを用いることができる。エポキシ樹脂としては、線膨張係数が40〜80[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。フェノール樹脂としては、線膨張係数が30〜70[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70のものを用いることができる。アクリル樹脂としては、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.60、好ましくは1.50〜1.60のものを用いることができる。
【0235】
これらの熱硬化性樹脂としては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、富士高分子工業株式会社製SMX−7852・SMX−7877、株式会社東芝製IVSM−4500、東レ・ダウコーニング社製SR−7010、等を例示することができる。
【0236】
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等を例示することができる。ポリカーボネートとしては、線膨張係数が60〜70[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。ポリサルフォン樹脂としては、線膨張係数が15〜60[10−6/K]で、屈折率が1.63のものを用いることができる。ポリエーテルサルフォン樹脂としては、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.65のものを用いることができる。
【0237】
センサ基板Wは、例えばシリコンなどの半導体材料で形成されたウエハを平面視略矩形状に切り出して成形されている。固体撮像素子Dは、センサ基板Wの略中央部に設けられている。固体撮像素子Dは、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサである。固体撮像素子Dは、チップ化された後で、配線等が形成された半導体基板上にボンディングした構成とすることができる。又は、固体撮像素子Dは、センサ基板Wに対して周知の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、不純物添加工程等を行い、該センサ基板Wに電極、絶縁膜、配線等を形成して構成されてもよい。
【0238】
レンズモジュールLM3のスペーサ12とセンサ基板Wとは、例えば接着剤などを用いて接合される。各スペーサ12は、レンズモジュールLM1,LM2,LM3のレンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cが固体撮像素子D上で被写体像を結像させるように設計されている。また、各スペーサ12は、レンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cが、重なり合うレンズモジュールLM1,LM2,LM3同士、又は、レンズモジュールLM3とセンサ基板Wとが互いに接触しないように、それぞれの間に所定の距離を隔てる厚みで形成されている。
【0239】
スペーサ12は、レンズモジュールLM1,LM2,LM3同士を、又は、レンズモジュールLM3とセンサ基板Wとの間隔を所定の距離を隔てた位置関係で保持できる範囲で、その形状は特に限定されず適宜変形することができる。例えば、スペーサ12は、基板1A,1B,1Cの4隅にそれぞれ設けられる柱状の部材であってもよい。また、スペーサ12は、固体撮像素子Dの周囲を取り囲むような枠状の部材であってもよい。固体撮像素子Dを枠状のスペーサ12によって取り囲むことで外部から隔絶すれば、固体撮像素子Dにレンズを透過する光以外の光が入射しないように遮光することができる。また、固体撮像素子Dを外部から密封することで、固体撮像素子Dに塵埃が付着することを防止できる。
【0240】
図4に示すように、基板1A,1B,1Cを複数重ね合わせた構成とする場合には、光入射側に最も近い最上部の基板における表面には、遮光層14のかわりに反射層を設けてもよい。反射層は、光に対して透過率が0.01%以下と小さく、かつ、反射率が(4%)以上と高い反射材料を含む。反射材料としては、クロム(Cr)などの金属又は金属材料を用いることが好ましい。
【0241】
以上のように構成された撮像ユニットは、携帯端末等に内蔵される図示しない回路基板にリフロー実装される。回路基板には、撮像ユニットが実装される位置に予めペースト状の半田が適宜印刷されており、そこに撮像ユニットが載せられ、この撮像ユニットを含む回路基板に赤外線の照射や熱風の吹付けといった加熱処理が施され、撮像ユニットが回路基板に溶着される。
【実施例】
【0242】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0243】
<合成例1>
−顔料誘導体の合成−
下記の構造式で表される顔料誘導体は、特開2003−253078号公報の段落0056に記載の方法を用いて合成した。下記の構造式中、CuPcは、銅フタロシアニン残基を表す。
【0244】
【化36】

【0245】
<合成例2>
(特定樹脂1の合成)
500mL三口フラスコに、ε-カプロラクトン 600.0g、2-エチル-1-ヘキサノール 68.5gを導入し、窒素を吹き込みながら、攪拌溶解した。モノブチル錫オキシド 1.5gを加え、100℃に加熱した。6時間後、H-NMRにて、原料が消失したのを確認後、80℃まで冷却した。2,6-ジt-ブチル−4−メチルフェノール 0.1gを添加した後、2-メタクリロイロキシエチルイソシアネート 85.6gを添加した。2時間後、H-NMRにて原料が消失したのを確認後、室温まで冷却し、固体状の前駆体M1〔下記構造〕を得た。M1であることは、H-NMRにより確認した。
【0246】
【化37】

【0247】
前駆体M1 75.0g、メタクリル酸 18.8g、ドデシルメルカプタン 0.96g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと称する。)233.3gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これに、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬工業(株)製「V−601」)を0.31g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を0.31g加え、2時間90℃で加熱攪拌した。その後、グリシジルメタクリレート6.2g、ジメチルドデシルアミン0.26g、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール0.1g添加し、100℃で6時間加熱後、特定樹脂1(下記構造 x、y、zは組成比を表し、表1に記載)の30%溶液を得た。
【0248】
【化38】

【0249】
(特定樹脂2〜4の合成)
特定樹脂1の合成において、モノマー組成比を表1のように変更し、それ以外は特定樹脂1の合成と同様にして特定樹脂2〜4を合成した。
【0250】
(特定樹脂5の合成)
特定樹脂1の合成において、前駆体M1をメタクリル酸エステル系マクロモノマー(東亜合成社製 AA−6)に変更し、それ以外は特定樹脂1の合成と同様にして特定樹脂5を合成した。
【0251】
(特定樹脂6の合成)
特定樹脂1の合成において、前駆体M1をポリプロピレンオキシ系マクロモノマー(日油社製 ブレンマーPP−800)に変更し、それ以外は特定樹脂1の合成と同様にして特定樹脂6を合成した。
【0252】
(特定樹脂7の合成)
500mLの三口フラスコに、ε−カプロラクトン600.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート68.4g、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール0.1gを導入し、窒素を吹き込みながら、攪拌溶解した。モノブチル錫オキシド0.1gを加え、90℃に加熱した。8時間後、H-NMRにて原料が消失したのを確認後、室温まで冷却し、下記の構造式で表される固体状の前駆体M2を得た。下記の構造式中、nは10である。M2であることは、H-NMRにより確認した。
【0253】
【化39】

【0254】
前駆体M2を26.7g、メタクリル酸15.0g、ベンジルメタクリレート55.0g、ドデシルメルカプタン0.77g及びPGMEA 233.3gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株)製スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これに、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬工業(株)製「V−601」)を0.25g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を0.25g加え、90℃、2時間攪拌を行なった。その後、80℃にて、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート3.3g、2,6-ジt-ブチル−4−メチルフェノール0.2gを添加し、2時間攪拌後、下記の構造式で表される特定樹脂7の30%溶液を得た。下記の構造式で表される化合物であることは、H-NMRにより確認した。なお、下記構造式中、x、y、およびzは、特定樹脂における各構造単位の含有率(質量%)を表し、具体的な数値(樹脂の組成比)を表1に示す。また、表1に樹脂の質量平均分子量を示す。
【0255】
【化40】

【0256】
(特定樹脂8及び9の合成)
特定樹脂7の合成において、モノマー組成比を表1のように変更し、それ以外は特定樹脂7の合成と同様にして特定樹脂8及び9を合成した。
【0257】
(比較樹脂1の合成)
前駆体M1 75.0g、メタクリル酸 15.0g、ベンジルメタクリレート 10.0g、ドデシルメルカプタン 0.96g及びPGMEA 233.3gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これに、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬工業(株)製「V−601」)を0.31g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−601を0.31g加え、2時間90℃で加熱攪拌し、比較樹脂1の30%溶液を得た。
【0258】
【化41】

【0259】
(比較樹脂2の合成)
比較樹脂1の合成において、前駆体M1をメタクリル酸エステル系マクロモノマー(東亜合成社製 AA−6)に変更し、それ以外は比較樹脂1の合成と同様にして比較樹脂2を合成した。
【0260】
(比較樹脂3の合成)
比較樹脂1の合成において、前駆体M1をポリプロピレンオキシ系マクロモノマー(日油社製 ブレンマーPP−800)に変更し、それ以外は比較樹脂1の合成と同様にして比較樹脂3を合成した。
【0261】
【表1】

【0262】
−分散組成物の調製−
(分散組成物1−1)
下記組成の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3000r.p.m.で3時間撹拌し、顔料と特定樹脂とを含む混合溶液を調製した。
・顔料:Pigment Blue 15:6 95部
・顔料誘導体(I) 10部
・特定樹脂1(30%溶液) 125部
・溶剤:PGMEA 750部
【0263】
続いて、上記で得られた混合溶液を、さらに0.3mmφジルコニアビーズを用いたビーズ分散機ディスパーマット(GETZMANN社製)にて6時間処理を行ない、分散組成物1−1を得た。粘度を表2に示す。なお、粘度はE型回転粘度計(東機産業社製)を用いて測定した。粘度が小さいほど分散性が高いことを示す。
【0264】
<実施例1>
−固体撮像素子用のカラーフィルタの作製−
(着色感光性組成物の調製)
下記組成の成分を混合し撹拌して、着色感光性組成物を調製した。
・分散組成物1−1 1000部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 70部
・光重合開始剤:1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム 25部
・溶剤:PGMEA 300部
【0265】
(下塗り層用レジスト液の調製)
下記組成の成分を混合して溶解し、下塗り層用レジスト液を調製した。
・溶剤:PGMEA 19.20部
・溶剤:乳酸エチル 36.67部
・樹脂:メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸共重合体(モル比=70/30)の40%PGMEA溶液 30.51部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 12.20部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール 0.0061部
・フッ素系界面活性剤:(DIC(株)製 F−475) 0.83部
・光重合開始剤(トリハロメチルトリアジン系 みどり化学社製TAZ−107) 0.586部
【0266】
(下塗り層付シリコン基板の作製)
6inchのシリコンウエハをオーブン中で200℃下、30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハ上に前記下塗り層用レジスト液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ基板を得た。
【0267】
(固体撮像素子着色パターンの形成)
前記で得られた下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に、着色層の乾燥膜厚が0.7μmになるように、スピン塗布機能を持つコータ/デベロッパ(東京エレクトロン(株)製Act−8を用いて着色感光性組成物を塗布した。
次いで、この着色感光性組成物を100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった後、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが1.5μm四方のIslandパターンマスクを通して500mJ/cmの露光量で露光した。その後、露光後の着色層が形成されているシリコンウエハをスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間、パドル現像を行なった後、該シリコンウエハを真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハを回転数50r.p.m.で回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後、スプレー乾燥して、着色画素の付いたウエハ基板を得た。
【0268】
以上のようにして得られた、分散組成物、および着色画素の付いたウエハ基板を用いて下記の評価を行った。結果はまとめて表2に示す。
(1)分散組成物の粘度
また、分散組成物の粘度をE型回転粘度計(東機産業社製)を用いて測定した。分散組成物の粘度が小さいほど分散性が高いことを示している。
【0269】
(2)色むら
輝度分布を下記方法で解析し、平均からのズレが±5%以内である画素が全画素数に占める割合をもとに色むらを評価した。
まず、着色感光性組成物を、下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に塗布し、塗布膜を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が0.7μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
【0270】
このようにして得られた単色の着色感光性組成物の膜について、光学顕微鏡側から着色感光性組成物の膜面に光を照射して、その反射状態を倍率1000倍のデジタルカメラが設置された光学顕微鏡によって観察した。光学顕微鏡に設置されたデジタルカメラには128万画素のCCDが搭載されており、反射状態にある着色感光性組成物の膜表面を撮影した。撮影画像は8ビットのビットマップ形式でデジタル変換したデータ(デジタル画像)として保存した。なお、着色感光性組成物の膜表面の撮影は任意に選択した20の領域に対して行った。
また、デジタル変換したデータは、撮影画像をRGBの3原色それぞれの輝度を0〜255までの256階調の濃度分布として数値化して保存した。
【0271】
次いで、保存されたデジタル画像について、1つの格子サイズが実基板上の2μm四方に相当するように、格子状に区分し、一つの区画内での輝度を平均化した。
各領域の全区画について、任意の1区画とそれに隣接する全ての隣接区画の平均輝度とを計測した。隣接区画の平均輝度との差が5以上の区画を有意差区画と認定し、全領域の有意差区画の平均総数と、全領域の有意差区画の平均総数が各領域の全区画数に対して占める割合とを算出した。
【0272】
評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:平均からのズレが2%未満
△:平均からのズレが2%以上5%未満
×:平均からのズレが5%以上
【0273】
(3)密着感度
着色感光性組成物を下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に塗布し、着色感光性組成物層(塗布膜)を形成した。そして、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが2μm四方のIslandパターンマスクを通して100〜1000mJ/cmの間の種々の露光量で露光した。その後、露光後の塗布膜が形成されているシリコンウエハをスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行ない、シリコンウエハに着色パターンを形成した。
【0274】
着色パターンが形成されたシリコンウエハを真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハを回転数50r.p.m.で回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥した。その後、測長SEM「S−9260A」(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて、着色パターンのサイズを測定した。パターン線幅が2μmとなる露光量を露光感度として評価した。密着感度は、露光量の値が小さいほど感度が高いことを示す。
【0275】
(4)耐熱性
着色感光性組成物を下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上に塗布した基板を、ホットプレートにより200℃で1時間加熱した後、色度計(商品名:MCPD−1000、大塚電子(株)製)にて、耐熱テスト前後の色差のΔEab値を測定して、下記基準に従って評価した。ΔE*ab値の小さい方が、耐熱性が良好であることを示す。
耐熱テストの条件は260℃で3分間行った。
<判定基準>
○: ΔEab値<5以下
△: 5≦ΔEab値≦10
×: 10<ΔEab値
【0276】
【表2】

【0277】
なお、表2において、PB15:6はC.I.Pigment Blue 15:6、PG36はC.I.Pigment Green 36、PR254はC.I.Pigment Red 254、PR202はC.I.Pigment Red 202である。また、光重合開始剤の構造は、以下の通りである。
【0278】
【化42】

【0279】
【化43】

【0280】
【化44】

【0281】
【化45】

【0282】
以上の検討から、本発明の分散組成物は、高い顔料分散性を示し、本発明の分散組成物を用いて、色むらが小さく色特性が良好で、高い密着感度及び耐熱性を有する着色感光性組成物を得ることができることがわかった。
【0283】
また、本発明の分散組成物により作成されたカラーフィルタを固体撮像素子に組み込んだところ、該固体撮像素子は、高解像度で色分離性に優れることが確認された。
【0284】
次に、液晶表示装置用途のカラーフィルタ形成用として本発明の着色感光性組成物を調製した例を挙げて説明する。
実施例1で調製した着色感光性組成物をガラス基板上に塗布し、密着感度と耐熱性について、実施例1と同様に評価を行った。結果、着色領域は良好な密着感度及び耐熱性を有することがわかった。
また、それにより形成されたカラーフィルタをITO透明電極、配向膜等の加工を施し、液晶表示装置とした。本発明の分散組成物を用いた着色感光性組成物は、密着感度及び耐熱性が高く、液晶表示装置は表示ムラもなく、画質は良好であった。
【0285】
<ウエハレベルレンズの作製>
実施例16で作製した着色感光性組成物を用い、これをレンズを設けたシリコンウエハ上に塗布することにより、遮光層が設けられたウエハレベルレンズを作製した。
【0286】
作製されたウエハレベルレンズを切断し、これにレンズモジュールを作製した後に撮像素子及びセンサ基板を取り付け、撮像ユニットを作製した。
本発明のウエハレベルレンズは、遮光性が高く、この撮像ユニットを用いたとき画質は良好であった。
【0287】
以上の検討結果から、本発明の分散組成物は、高い顔料分散性を示し、本発明の分散組成物を用いて、色むらが小さく色特性が良好で、高い密着感度及び耐熱性を有する着色感光性組成物を得ることができることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)顔料、(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体、及び(C)溶媒を含有する分散組成物。
【請求項2】
前記(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体が、炭素炭素不飽和二重結合を0.1〜2.0mmol/gの範囲で含むグラフト重合体である請求項1に記載の分散組成物。
【請求項3】
前記(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体が、グラフト鎖に炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体である請求項1または請求項2に記載の分散組成物。
【請求項4】
前記(B)炭素炭素不飽和二重結合を含むグラフト重合体が、下記一般式(I)、または一般式(II)で表される繰り返し単位を有するグラフト重合体である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の分散組成物。
【化1】


一般式(I)及び一般式(II)中、R11〜R16は各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、X及びXは各々独立に−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−又はフェニレン基を表す。L及びLは各々独立に単結合又は2価の有機連結基を表し、B及びBは各々独立に炭素炭素不飽和二重結合を少なくとも1つ有する有機基を表す。a及びbは2〜8の整数を表し、c及びdは1〜100の整数を表す。
【請求項5】
前記(A)顔料が、チタンブラックである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の分散組成物。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の分散組成物、(E)重合性化合物、及び(F)光重合開始剤を含有する着色感光性組成物。
【請求項7】
前記(F)光重合開始剤が、オキシムエステル化合物である請求項6に記載の着色感光性組成物。
【請求項8】
支持体上に、請求項6又は請求項7に記載の着色感光性組成物を用いて形成された着色領域を有するカラーフィルタ。
【請求項9】
支持体上に、請求項6又は請求項7に記載の着色感光性組成物を用いて形成された着色領域を有するブラックマトリックス。
【請求項10】
請求項9に記載のブラックマトリックスを備えたウエハレベルレンズ。
【請求項11】
請求項8に記載のカラーフィルタ又は請求項10に記載のウエハレベルレンズを備えた固体撮像素子。
【請求項12】
請求項8に記載のカラーフィルタ又は請求項9に記載のブラックマトリックスを備えた液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−122115(P2011−122115A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282876(P2009−282876)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】