説明

分散組成物の加熱方法、及びガラスパターンの形成方法

【課題】耐熱性の低い材料が設けられた基板にも適用可能な、組成物の加熱方法を提供する。また、クラックの発生が抑制された、ガラスパターンの形成方法を提供する。
【解決手段】基板上に形成された組成物に対してレーザ光を照射して、局所的に加熱して焼成する。組成物の中央部と外側部とで照射される期間に差が生じないように、レーザ光を走査すればよい。より具体的には、組成物と重畳するビームスポットの、走査方向の幅が略一定であるようなレーザ光を用いて走査すればよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に設けられた組成物の加熱方法に関する。また本発明はガラスパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚の基板を低融点ガラスからなるガラス層で貼り合わせ、高い密閉性を有する封止体を形成する技術が知られている。特許文献1に記載された技術は、低融点ガラスからなるガラスフリット(文献では「フリット材」と表記)とバインダとを含むペーストをガラス基板の縁に沿って塗布し、当該ペーストを焼成してバインダを除去し、またガラスフリットを溶融してガラス層(文献では「フリットガラス」と表記)とし、当該基板と対向基板を重ね合わせてガラス層にレーザ光を照射して、基板とガラス層と対向基板を溶着させ、高い気密性を有する封止体を形成するものである。
【0003】
このようなガラス層は、高いガスバリア性を有しているため、封止された内部を外部の雰囲気と隔離することができる。このようなガラス層を用いた封止方法は、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子のように、素子が大気(水分や酸素を含む)に曝されると急速にその性能が低下するような素子が適用されたデバイスに応用される。
【0004】
有機EL素子が適用されたデバイスとしては、例えば有機EL素子を光源として用いた照明装置や、薄膜トランジスタと有機EL素子を組み合わせた画像表示装置などが挙げられる。有機EL素子は膜状に形成可能で、大面積の素子を容易に形成できるため、面光源を有する照明装置を実現できる。また有機EL素子が適用された画像表示装置は、液晶表示装置等で必要であったバックライトが不要なため、薄型、軽量、高コントラストで且つ低消費電力な表示装置を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−65895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、ガラス層を用いた封止体の作製方法において、ガラスフリットとバインダを含むペースト(以下、フリットペーストともいう)を基板に塗布した後に、バインダを除去するための焼成を行う必要がある。バインダを除去することにより、レーザ光照射後のガラス層に高いガスバリア性を持たせることができる。バインダに用いる材料によって異なるが、バインダを除去するためには、一般的には350℃から450℃程度の高温で焼成する必要がある。
【0007】
また、フリットペーストが塗布された基板を高温で焼成することができない場合がある。例えば、当該基板上に耐熱性の低い材料が設けられている場合などがある。一例として、有機EL素子が適用されたデバイスにおける耐熱性の低い材料としては、有機EL素子、カラーフィルタ、光取り出し効率の向上を目的として設けられるマイクロレンズアレイなどを含む光学調整膜などが挙げられる。
【0008】
また、フリットペーストの焼成が不十分であると、レーザ光の照射を行った後のガラス層中にバインダなどが残存し、気密性が不十分となる、またはガラス層にクラックが生じ、封止が破られてしまうなどの恐れがある。
【0009】
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである。したがって本発明の一態様は、耐熱性の低い材料が設けられた基板にも適用可能な、組成物の加熱方法を提供することを課題の一とする。また、クラックの発生が抑制された、ガラスパターンの形成方法を提供することを課題の一とする。
【0010】
本発明の一態様は、上記課題の少なくとも一を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、フリットペーストを基板に塗布した後に、当該ペーストに対してレーザ光を照射して、局所的に加熱して焼成することに想到した。
【0012】
ここで、従来では、局所加熱を行うために用いるレーザ光としては、そのビームスポット形状が略円形であり、且つ略円対称の強度分布を示すビームスポット形状のレーザ光(以下、円状レーザともいう)が用いられてきた。
【0013】
しかし、フリットペーストを焼成する場合に円状レーザを適用すると、以下のような問題がある。
【0014】
図17(A)は、円状レーザのビームスポット形状と、その強度分布を示す概略図である。円状レーザ10は、略円対称の強度分布を示し、例えば紙面横方向の直径に沿った区間X1−X2における強度分布と紙面縦方向の直径に沿った区間Y1−Y2における強度分布が略一致する。図17(A)にはその外周に近いほどその強度が小さい強度分布を示しているが、理想的なトップフラット形状とすることもできる。
【0015】
また、図17(B)は、フリットペースト11に沿って円状レーザ10を走査する様子を示す概略図である。フリットペースト11内でレーザ光が照射されない領域が形成されないよう、円状レーザ10としてはその直径がフリットペースト11の幅よりも大きいビームスポット形状とし、円の中心の軌跡がフリットペースト11の中央部に沿うように走査する。
【0016】
ここで、円状レーザ10のビームスポットの形状は略円形であるため、図に示すように、フリットペースト11の中央部と外側部とでは照射される期間に差が生じ、理想的なトップフラット形状の強度分布を有する場合であっても、フリットペースト11に与えられるエネルギーの積算値に差が生じてしまう。そのためフリットペースト11の中央部と外側部とで加熱温度に差が生じる。
【0017】
ここで例えば、フリットペースト11の中央部に合わせて円状レーザ10の照射条件(ビーム強度、走査速度等)を最適化した場合は、外側部での焼成が不十分でバインダが残存してしまう。一方、フリットペースト11の外側部に合わせて最適化した場合では、中央部は過剰に加熱されてしまうため、ガラスフリットの溶着状態が中央部と外側部とで異なってしまい、次工程で封止不良を招く恐れがある。
【0018】
また、フリットペースト11を加熱した後、冷却する際に熱収縮が起こるが、加熱中のフリットペーストに大きな温度分布があると、熱収縮の度合いに差が生じるため熱応力に差が生じ、場合によっては冷却後のガラス層にクラックが生じる、またはガラス層の内部応力に起因してガラス層と重畳する基板にまでクラックが生じてしまう。また、レーザ光の照射によって基板も直接的、または間接的に加熱されるが、当該温度分布によって基板自体にも内部応力が発生し、クラックが生じてしまう危険性がある。
【0019】
したがって本発明は、フリットペーストの加熱に用いるレーザ光のビームスポット形状とその走査方法に着眼し、課題の解決に至った。フリットペーストの中央部と外側部とで照射される期間に差が生じないように、レーザ光を走査すればよい。より具体的には、フリットペーストと重畳するビームスポットの、走査方向の幅が略一定であるようなレーザ光を用いて走査すればよい。
【0020】
代表的には、用いるレーザ光として、矩形(正方形を含む長方形)、または楕円型のビームスポット形状を有するレーザ光を用いることができる。矩形形状のビームスポットの、対向する2辺が、フリットペーストのパターンの両端と、常に交差するように走査すればよい。
【0021】
すなわち、本発明の一態様の分散組成物の加熱方法は、分散質と、当該分散質よりも沸点又は分解温度が低い分散媒とを含む組成物にレーザ光を走査しながら照射して組成物を加熱する際に、レーザ光のビームスポットの形状を矩形に整形し、且つ当該矩形の対向する2辺が組成物の両端と常に交差するように走査すること、を特徴とする。
【0022】
ガラスフリットがバインダ等に分散されたフリットペーストに沿って、このようにレーザ光を走査させることにより、フリットペーストの中央部と外側部でレーザ光が照射される期間に差が生じることが無く、均一に加熱することができる。
【0023】
また、この加熱方法はフリットペーストに限られず、広く応用することができる。具体的には、分散質と、分散質よりも沸点又は分解温度の低い分散媒とを含む分散組成物を加熱する際にも同様に均一に加熱することができる。
【0024】
このような分散組成物の他の一例としては、例えば樹脂及び有機溶媒からなるバインダに金属などの導電性粒子が分散された導電性ペーストが挙げられる。導電性ペーストは一般的に焼成温度を下げるために導電性粒子の粒径を1μm未満とする必要があるが、本発明の一態様の加熱方法を用いれば局所的に均一に加熱することができるため、その粒径を大きくすることができ、焼成後の導電性を高めることができる。
【0025】
また、本発明の他の一態様の分散組成物の加熱方法は、上記レーザ光のビームスポット形状は、長軸と、当該長軸と直交する短軸を有することを特徴とする。
【0026】
特に、上記レーザ光として、長軸と、長軸と直交する短軸を有する線状のビームスポット形状を有するレーザ光(以下線状レーザともいう)を用いることが好ましい。
【0027】
例えば、上記レーザ光として円状レーザを用いた場合、フリットペーストの中央部と外側部の間で照射期間に差が生じないようにする場合は、フリットペーストの形成幅よりもそのスポット径を十分に大きくする必要がある。その際、フリットペーストと重畳せず、フリットペーストの加熱に関与しない領域の面積が極めて大きいため、その分無駄なエネルギーを消費してしまう。ここで、上述のような線状レーザを用いると、フリットペーストの加熱に関与しない領域の面積を低減できるため、効率的にフリットペーストを加熱することができる。
【0028】
またビームスポットの面積が大きくなると、同じエネルギー密度を得るためにはその分高い出力が必要となる。ここで、上記線状レーザを用いることで、そのビームスポットの総面積を小さくできるため、円状レーザを用いる場合よりも低い出力で効率的にフリットペーストを加熱することが可能となる。
【0029】
また、本発明の一態様のガラスパターンの形成方法は、低融点ガラスとバインダを含む閉曲線形状のフリットペーストにレーザ光を走査しながら照射してフリットペーストを加熱する際に、レーザ光のビームスポットの形状を矩形に整形し、且つ当該矩形の対向する2辺がフリットペーストの両端と常に交差するように走査すること、を特徴とする。
【0030】
このように、閉曲線を成して設けられたフリットペーストに対して、本発明の一態様の加熱方法を適用することにより、耐熱性の低い材料が設けられた基板であっても均一にフリットペーストを加熱することができるため、クラックの発生が抑制された信頼性の高い封止体を作製することができる。
【0031】
また、本発明の他の一態様のガラスパターンの形成方法は、上記レーザのビームスポット形状は、長軸と、当該長軸と直交する短軸を有することを特徴とする。
【0032】
このように線状レーザを、閉曲線を成して設けられたフリットペーストに沿って走査して封止体を作製することにより、照射開始領域においてレーザ光が2度照射される領域(オーバーラップ領域)の面積を極めて小さいものとすることができるため、クラックの発生が抑制され、信頼性の高い封止体を作製することができる。
【0033】
さらに、線状レーザの走査方向に対し、その短軸を傾けて走査する場合、これらの成す角を0度以上60度以下とすることが好ましい。ここで、ある一定幅の領域を照射する際に、短軸と走査方向との成す角をθとすると、ビームスポットの長軸方向の必要な長さは1/cos(θ)に比例する。したがって、この角度が60度を超えると、線状レーザの長軸方向の必要な長さが急激に長くなり、その結果必要なビームスポットの面積が急激に増大してしまう。この角度を60度以下とすることにより、ビームスポットの面積を小さく抑えることができる。
【0034】
また、本発明の他の一態様のガラスパターンの形成方法は、上記ガラスパターンの形成方法において、上記フリットペーストは、それぞれ対向する2辺が平行な4辺を有する閉曲線を成して設けられ、レーザ光が、短軸と、フリットペーストの各々の辺との成す角度が0度以上60度以下であり、且つ、閉曲線の対向しない2辺に接続する角部において、短軸が90度回転するように走査することを特徴とする。
【0035】
このような方法を適用することにより、閉曲線を成して形成されたフリットペーストに沿って、一度の走査でレーザ照射工程を終えることができるため、工程が簡略化できる。
【0036】
また、同一形状の角部を有するガラス層で封止された封止体を作製することができる。角部を同一形状とすることにより、それぞれの角部で内部歪みに起因する残留応力に差が生じないため、信頼性の高い封止体とすることができる。また、角部の外輪郭及び内輪郭をいずれも円弧状とすることができる。このように曲率を有する角部とすることにより、ガラス層中の内部応力を緩和し、クラックの発生をより低減することができる。またこの場合は曲率半径を大きくすることが好ましい。
【0037】
また、本発明の他の一態様のガラスパターンの形成方法は、上記ガラスパターンの形成方法において、フリットペーストは、それぞれ対向する2辺が平行な4辺を有する閉曲線を成して設けられ、レーザ光が、短軸と、フリットペーストの各々の辺との成す角度が0度以上60度以下であり、且つ、閉曲線の1辺と接続する2つの角部の間の区間において、短軸が90度回転するように走査することを特徴とする。
【0038】
このような方法を適用すると、同一形状の角部を有しつつ、且つ角部では直線的に走査することにより内側と外側とでレーザ光の照射期間に差が生じず、均一に照射することができるため、クラックが低減された封止体を作製することができる。
【0039】
また、本発明の他の一態様のガラスパターンの形成方法は、上記ガラスパターンの形成方法において、フリットペーストは、それぞれ対向する2辺が平行な4辺を有する閉曲線を成して設けられ、レーザ光が短軸と、フリットペーストの各々の辺との成す角が45度となるように走査することを特徴とする。
【0040】
このように、線状レーザ走査方向に対しその短軸を45度傾けて走査することにより、基板のコーナー部などで走査方向が90度曲がる場合においても、線状レーザを回転させることなく、フリットペーストに沿って線状レーザを走査することができる。
【0041】
また、特にフリットペーストの対向しない2辺を成す角が直角となるように設けられている場合には、短軸方向と走査方向との成す角を45度とすることにより、フリットペーストの4辺で短軸方向と走査方向との成す角を常に45度に維持したまま走査することができる。したがって、対向しない2辺の間でレーザ光の照射条件を共通のものとしても、フリットペーストの加熱状態を揃えることができると共に、ガラスフリットの溶着状態を均一にできるため信頼性の高い封止体を形成することができる。
【0042】
なお、本明細書等において、幅が略一定とは、完全に一定であるのみでなく、最も太い幅に対する最も細い幅の比が、90%以上である範囲も含むものとする。
【0043】
なお、本明細書等において、閉曲線とは、両端が一致している連続曲線のことを言う。また、ここでいう曲線には、広義に直線や線分の概念を含むものとする。したがって、例えば四辺形の外周のように、複数の線分で構成され、且つ各々の線分の両端がそれぞれ他の線分の一端と一致している場合も、閉曲線の一態様である。また、円や楕円、曲率の異なる複数の曲線部が連続して構成された形状や、直線部分と曲線部分とが混在して構成された形状なども閉曲線の一態様である。
【0044】
なお、本明細書等において、方向と記載する場合、ある一定の方向のみでなく、当該一定の方向から180度回転した方向、つまり、当該一定の方向の反対の方向も含むものとする。また、ある一定の方向を指す場合には、向きと表記する場合がある。また本明細書等において、平行と記載する場合、厳密に平行な方向のみでなく、平行方向から±10度以内の状態を含むものとし、直交と記載する場合、厳密に直交する方向のみでなく、直交方向から±10度以内の状態を含むものとし、垂直と記載する場合、厳密に垂直な方向のみでなく、垂直方向から±10度以内の状態を含むものとする。
【0045】
また本明細書等において、角度とは厳密な角度のみでなく、±10度以内でずれた角度を含むものとする。例えば、直角と記載する場合、厳密に直角のみでなく、厳密に直角な角度から±10度以内の状態を含むものとする。
【0046】
なお、本明細書において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられ、少なくとも発光性の有機化合物を含む層(発光層とも呼ぶ)、または発光層を含む積層体を示すものとする。
【0047】
なお、本明細書中において、発光装置とは画像表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子が形成された基板にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、耐熱性の低い材料が設けられた基板にも適用可能な、組成物の加熱方法を提供できる。また、クラックの発生が抑制された、ガラスパターンの形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施の形態に係る、レーザを説明する図。
【図2】実施の形態に係る、線状レーザを説明する図。
【図3】実施の形態に係る、線状レーザを説明する図。
【図4】実施の形態に係る、線状レーザの走査方法を説明する図。
【図5】実施の形態に係る、封止体の作製方法を説明する図。
【図6】実施の形態に係る、封止体の作製方法を説明する図。
【図7】実施の形態に係る、封止体の作製方法を説明する図。
【図8】実施の形態に係る、封止体の作製方法を説明する図。
【図9】実施の形態に係る、線状レーザを説明する図。
【図10】実施の形態に係る、線状レーザを説明する図。
【図11】実施の形態に係る、表示装置を説明する図。
【図12】実施の形態に係る、表示装置を説明する図。
【図13】実施の形態に係る、照明装置を説明する図。
【図14】実施の形態に係る、発光素子を説明する図。
【図15】実施の形態に係る、電子機器を説明する図。
【図16】実施の形態に係る、電子機器を説明する図。
【図17】従来例に係る、円状レーザを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0051】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0052】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の組成物の加熱方法、及び封止体の作製方法について、図1乃至図10を用いて説明する。ここでは、組成物の加熱方法の一例として、組成物の一態様であるフリットペーストの加熱方法について説明する。フリットペーストは、低融点ガラスからなるガラスフリットを分散質とし、有機樹脂及び有機溶媒からなるバインダを分散媒とした、これらを含む組成物である。
【0053】
本発明の一態様の加熱方法において、フリットペーストの中央部と外側部とで照射される期間に差が生じないようにレーザ光を走査する。より具体的には、フリットペーストと重畳するビームスポット形状が、走査方向と平行な方向の幅が略一定となるようにレーザ光を照射する。
【0054】
したがって、用いるビームスポット形状としては、フリットペーストと重なるビームスポットの領域において、走査方向と交差する対向する2辺が略平行である形状であればよく、例えば矩形(正方形を含む長方形)、平行四辺形などの四角形や、楕円形を用いることができる。また、円状レーザを用いることもできるが、その場合はフリットペーストの幅に対してそのスポット径を十分に大きくする必要がある。
【0055】
〈矩形形状のビームスポットを有するレーザ光を用いた加熱方法〉
図1(A)は、本発明の一態様の加熱方法に用いることのできる、矩形形状のビームスポットを有するレーザ150のビームスポット形状と、その強度分布を示す概略図である。
【0056】
レーザ150は、各々の辺に水平な方向(X1―X2及びY1−Y2)のうち、走査方向に垂直な方向の強度分布ができるだけ均一であることが好ましい。例えば走査方向に垂直な方向の強度分布がトップフラット形状とすることが好ましい。一方、走査方向に平行な方向の強度分布も均一であることが好ましいが、例えばガウス分布のように、該方向に沿って強度が変化するような強度分布を有していてもよい。
【0057】
図1(B)は、フリットペースト110に沿った走査方向103に沿ってレーザ150を走査する様子を示す概略図である。レーザ150は、そのビームスポット形状の一対の対向する辺に平行な方向に走査することが好ましい。このように走査することにより、図中の矢印で示すように、フリットペーストの中央部と外側部とで照射される期間が一定となるため、均一に加熱することができる。
【0058】
また、曲線状に設けられたフリットペースト110に対して走査する場合は、図1(C)に示すように、レーザ150をフリットペースト110の成す曲率に沿って回転させながら走査することにより、曲線部であっても均一に加熱することができる。
【0059】
また、レーザ150の照射により、フリットペースト110内のガラスフリットの一部が溶融し、これが冷却、固化する場合、一方向に均一に固化が進むため、中央部に応力が集中することがなく、クラックの発生起因となるガラス層中の残留応力を低減することができる。
【0060】
ここで、特に、レーザ光として、そのビームスポット形状が長軸と、長軸と直交する短軸を有する形状であるレーザ光(線状レーザ)を用いると、円状レーザに比べ、そのスポットの面積を極めて小さくできる。そのためフリットペーストの加熱に関与しない無駄な領域の面積を低減することができるため、効率的にフリットペーストを加熱することができる。また、スポット面積を低減することにより、円状レーザを用いる場合よりも低い出力で効率的にフリットペーストを加熱することが可能となるため好ましい。
【0061】
以下では、線状レーザを用いたフリットペーストの加熱方法について詳細に説明する。
【0062】
〈線状レーザのスポット形状について〉
まず、本発明の一態様の加熱方法に用いることのできる線状レーザについて説明する。
【0063】
図2(A)は、線状レーザ100のビームスポット形状と、その強度分布を示す概略図である。
【0064】
線状レーザ100は、被照射面に照射したときのビームスポット形状が、直交する長軸101と短軸102とを有する形状を有するレーザである。図2(A)には、長方形のビームスポット形状を有する線状レーザ100を示している。
【0065】
長軸101と短軸102の長さの比としては、少なくとも短軸102よりも長軸101の長さが長ければよい。ここで長軸101の長さを短軸102の長さに対して1.3倍以上とすると、長軸101の長さと同じ直径を有する円状レーザよりもビームスポットの面積を小さくできる。このようなビームスポット形状を有する線状レーザ100を用いることにより、円状レーザを用いた場合に比べてエネルギー効率を高めることができ、低い出力で効率的にフリットペーストを加熱することができる。
【0066】
線状レーザ100は、その長軸101に沿った方向(X1−X2)の強度分布ができるだけ均一であることが好ましい。例えば、長軸に沿った方向の強度分布がトップフラット形状とすることが好ましい。また、その短軸102に沿った方向(Y1−Y2)の強度分布は均一であると好ましいが、後に説明するように、線状レーザ100を走査する際にその走査方向と短軸102は直交しないため、例えばガウス分布のように、該方向に沿って強度が変化するような強度分布を有していてもよい。
【0067】
また、線状レーザ100のビームスポット形状は長方形以外にも様々な形状をとり得る。例えば、図2(B)に示すように楕円形状であってもよいし、図2(C)に示すように、角部の丸い長方形形状としてもよい。
【0068】
また、線状レーザ100は、複数の円状レーザを重ね合わせて形成されていてもよい。図2(D)では複数の円状レーザを長軸101方向に一部が重畳するようにして重ね合わせた場合を示す。また、図2(E)のように長軸101と短軸102方向のそれぞれに、一部が重畳するように複数の円状レーザを重ね合わせてもよい。また、図2(F)に示すように、楕円形のビームスポット形状を有するレーザを長軸101方向に複数重ね合わせて形成してもよい。
【0069】
上述のような形状を有する線状レーザ100を光学的に形成する方法については、後に説明する。
【0070】
以上が線状レーザ100のビームスポット形状についての説明である。
【0071】
〈線状レーザ100の走査について〉
続いて、線状レーザ100を用いてフリットペーストを加熱する際の、線状レーザ100の走査方法について説明する。
【0072】
線状レーザ100は、第1の基板111上に形成されたフリットペースト110に対して照射する。この際、線状レーザ100をフリットペースト110が設けられた領域に沿って走査する。線状レーザ100の照射によってフリットペースト110は加熱され、バインダを構成する有機樹脂及び有機溶媒を分解または揮発させることにより、バインダを除去する。なお、この工程を仮焼成とも呼ぶ。このときガラスフリットの一部または全部が溶融して溶着または凝集することにより、低融点ガラスからなるガラス層が形成される。
【0073】
このとき、固化した後のガラス層は、ガラスフリットが完全に溶融した後に溶着して一体となっていてもよいし、ガラスフリット同士が部分的に溶着している状態であってもよい。ここで、仮焼成後のガラス層には、照射されるレーザ光を吸収する吸収剤が分散されていてもよい。また、レーザ照射条件によっては、バインダが完全に除去されずガラス層中に残存している場合もあるが、バインダを完全に除去することが好ましい。
【0074】
なお、その後封止体を作製する場合は、第1の基板111と対向する第2の基板112を、ガラス層と接して配置し、第1の基板111または第2の基板112を介して当該ガラス層にレーザ光等を用いて加熱することにより、ガラス層を溶融して第2の基板112と溶着させ、第1の基板111、第2の基板112及びガラス層で囲まれた封止領域を有する封止体を作製することができる。ここでガラス層を加熱する際にも、本発明の一態様の加熱方法を適用することもできる。したがって、均一にガラス層を加熱することができるため、クラックの発生が抑制された信頼性の高い封止体を作製することができる。
【0075】
ここで、線状レーザ100を走査する際の走査方向と、線状レーザのビームスポットにおける長軸または短軸と、が成す角度について、図3を用いて説明する。明瞭化のため図3には、線状レーザ100の長軸101に平行な長軸方向101aと、短軸102に平行な短軸方向102a、及び線状レーザ100の走査方向103の関係を示している。
【0076】
線状レーザ100の走査は、走査方向103と、短軸方向102aとが直交しないように、言い換えると、走査方向103に対する短軸方向102aの余弦成分が0とならないように、保持しながら走査する。
【0077】
ここで、走査方向103と短軸102との角度(図3中のθ)を0度以上60度以下とすることが好ましい。ここで、ある一定幅の領域を照射する際に、短軸102と走査方向103との成す角をθとすると、ビームスポットの長軸101に必要な長さは1/cos(θ)に比例する。したがって、この角度が60度を超えると、線状レーザ100の長軸101に必要な長さが急激に長くなり、その結果必要なビームスポットの面積が急激に増大してしまう。この角度を60度以下とすることにより、ビームスポットの面積を小さく抑えることができる。
【0078】
続いて、図4(A)に、走査方向103と短軸102との角度が0度となるように、線状レーザ100をフリットペースト110に沿って走査する場合の概略図を示す。
【0079】
このように線状レーザ100を走査することにより、フリットペースト110の中央部と外側部とでレーザ光が照射される期間に差が生じず、均一に加熱することができる。
【0080】
また、図4(A)中の破線矢印に示すように、線状レーザ100により加熱されたガラスフリットや基板が冷却する際、走査方向103に沿って一方向に冷却が進むため、固化した後のガラス層の中央部や、基板に応力が集中することを抑制することができる。その結果、固化した後のガラス層や基板中の内部歪みが均一化され、クラックの発生起因となる残留応力を低減することができる。
【0081】
図4(B)には、走査方向103と短軸102との角度が0度よりも大きくなるように、線状レーザ100のビームスポットを傾けてフリットペースト110に沿って走査する場合の概略図を示す。
【0082】
このように、線状レーザ100を走査方向103に対して傾けて走査した場合であっても、フリットペースト110の中央部と外側部とでレーザ光が照射される期間に差が生じないため、均一に加熱することができる。
【0083】
また、図4(B)中の破線矢印に示すように、線状レーザ100により加熱されたガラスフリットや基板が冷却する際、線状レーザ100の短軸102方向に略平行な一方向に固化が進む。したがって、固化した後のガラス層や基板への応力集中を抑制し、クラックの発生起因となる残留応力を低減することができる。
【0084】
ここで、ビームスポット形状が楕円形状の線状レーザ100を用いる場合など、フリットペースト110の中央部と外側部ではレーザ光が照射される期間に多少の差が生じる場合がある。このような場合は、走査速度、出力などを調整し、中央部と外側部で生じる温度の差を抑制することが好ましい。さらに、フリットペースト110の外側部の中央部に対する照射期間の比が、90%以上、好ましくは95%以上になるような、楕円形のビームスポット形状を有する線状レーザ100を用いることが好ましい。
【0085】
〈フリットペーストの加熱方法及び封止体の作製方法〉
以下では、上述した線状レーザを用いた、フリットペーストの加熱方法例、及び対向する2枚の基板とガラス層によって封止された封止領域を有する封止体の作製方法例について説明する。
【0086】
封止体を作製する際、フリットペーストは、第1の基板上に閉曲線を成して設けられる。また線状レーザは、当該閉曲線に沿って走査する。具体的には、線状レーザは、ビームスポットの短軸方向と閉曲線の接線との成す角が0度以上60度以下に保持されるように走査する。以下では、具体的な走査方法も併せて説明する。
【0087】
[方法例1]
本方法例では、線状レーザ100の短軸方向を走査方向103に対して傾けた状態で、フリットペースト110に沿って走査し、フリットペースト110を加熱する方法、及び封止体の作製方法について、図5を用いて説明する。図5は、本方法例に係る上面概略図である。
【0088】
まず、第1の基板111上にフリットペースト110を形成する。ここで、フリットペースト110は、それぞれ対向する2辺が平行な4辺を有する閉曲線を成して設ける。言い換えると、平行に設けられた1対の対向する直線部分を2つ有し、且つ対向しない2つの直線部分が角部において連続するようにして設ける。
【0089】
ここで、対向しない2つの直線部分が接続される角部の形状は、直角、鋭角、または鈍角をなしていてもよい。また角部の形状が曲線状であっていてもよい。また複数の鈍角で構成された角部の形状であってもよい。
【0090】
また、閉曲線を成すフリットペースト110の内輪郭と外輪郭の形状が異なっていてもよい。例えば、内輪郭を四角形とし、外輪郭を多角形としてもよい。
【0091】
上述したフリットペースト110の角部の形状、並びに内輪郭及び外輪郭の形状は、後に説明する線状レーザ100の走査方法に応じて、当該線状レーザ100の照射領域と重畳するようにその形状を適宜変更すればよい。
【0092】
本方法例では、図5(A)に示すように、4つの角部(角部115a乃至115d)を有し、内輪郭が四角形で、且つ外輪郭は対向する一対の角部(角部115b、115d)が2つの鈍角で構成された六角形をなすように、フリットペースト110を形成する(図5(A))。
【0093】
フリットペースト110の形成方法としては、まず粉末ガラスからなるガラスフリットに、例えば有機溶媒で希釈した有機樹脂からなるバインダを混合したフリットペーストを、第1の基板111上にスクリーン印刷法やディスペンス法などの公知の方法を用いて塗布することによりフリットペースト110を形成することができる。
【0094】
ガラスフリットとして用いるガラス材料としては、例えば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化テルル、酸化アルミニウム、二酸化シリコン、酸化鉛、酸化スズ、酸化リン、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化アンチモン、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス、バナジン酸塩ガラス及びホウケイ酸ガラスよりなる群から選択された一以上の化合物を含むことが好ましい。
【0095】
その後、フリットペースト110に対して線状レーザ100を走査しながら照射し、フリットペースト110を加熱し、バインダを除去する。以下ではフリットペースト110に沿って線状レーザ100を走査する方法について説明する。
【0096】
まず、フリットペースト110の1つの直線部分(一辺ともいう)に沿って線状レーザ100を走査して、フリットペースト110にレーザ光を照射する。このとき、線状レーザ100のスポット形状における短軸方向を走査方向に対して傾けた状態で照射を行う(図5(B))。ここでは明瞭化のため、図5中にはレーザ光が照射され、バインダが除去されたガラス層113のハッチングをフリットペースト110とは異ならせて明示している。
【0097】
ここで、線状レーザ100のビームスポットの短軸方向と、走査方向103との成す角を45度とすることが好ましい。特にフリットペースト110の対向しない2辺を成す角が直角となるように設けられている場合には、短軸方向と走査方向103との成す角を45度とすることにより、フリットペースト110の4辺で短軸方向と走査方向103との成す角を常に45度に維持したまま走査することができる。したがって、対向しない2辺の間でレーザ光の照射条件を共通のものとしても、フリットペースト110を均一に加熱できるため信頼性の高い封止体を形成することができる。
【0098】
本方法例では、線状レーザ100のビームスポット形状における短軸方向と走査方向103との成す角を45度とする場合について説明する。
【0099】
続いて、線状レーザ100がフリットペースト110の角部115aに到達すると、続けてフリットペースト110に沿って角部115bに向かって走査する(図5(C))。
【0100】
線状レーザ100がフリットペースト110の角部115bに到達すると、続けてフリットペースト110に沿って角部115cに向かって走査する(図5(D))。
【0101】
ここで、角部115bでは、線状レーザ100のビームスポットの短軸方向を走査方向103に対して傾けて走査することに起因し、一部の領域ではレーザ光が2度照射される。したがって角部115bでは線状レーザ100の照射条件を異ならせることが好ましい。例えば、角部115bでは走査速度を速める、または照射強度を小さくするなどが挙げられる。
【0102】
その後、同様に角部115cから角部115dに向かってフリットペースト110に沿って線状レーザ100を走査する(図5(E))。
【0103】
角部115dに到達した後、角部115dと角部115aとの間の照射開始領域にまで線状レーザ100を走査する(図5(F))。このとき、角部115dでは、角部115bと同様に線状レーザ100の照射条件を異ならせることが好ましい。
【0104】
このようにして、第1の基板111上に設けられたフリットペースト110を加熱し、バインダを除去することができる。
【0105】
ここで、本発明の一態様では、線状レーザ100を用いているため、円状レーザを用いた場合と比較して照射開始領域においてレーザ光が2度照射される領域(オーバーラップ領域ともいう。)の面積を極めて小さいものとすることができる。オーバーラップ領域では熱履歴が異なるため、バインダが除去されて固化したガラス層113の溶着状態や、基板に生じる内部歪みが他の領域とは異なる場合があり、この違いに起因する応力集中によってクラックが発生してしまう恐れがある。線状レーザ100を用いることにより、オーバーラップ領域の面積を極めて小さいものとすることができるため、クラックの発生が抑制され、信頼性の高い封止体を作製することができる。
【0106】
その後、第1の基板111と対向し、且つガラス層113と接するように、第2の基板を配置する。
【0107】
続いて、第1の基板111または第2の基板112を介してガラス層113に対してレーザ光を走査しながら照射し、ガラス層113を溶融、固化し、ガラス層113と第2の基板112とを溶着する。このとき、ガラス層113と第2の基板112とが確実に接するように、圧力をかけながら処理することが好ましい。レーザ光の照射領域外においてクランプなどを用いて第1の基板111及び第2の基板112を挟んだ状態で処理してもよいし、第1の基板111及び第2の基板112の一方または両方から面状に圧力を印加しながら処理してもよい。
【0108】
このとき、レーザ光が照射された後に封止領域内が不活性ガス雰囲気、または減圧雰囲気となるように、処理を行うことが好ましい。例えば、レーザ光を照射する前にあらかじめフリットペースト110が塗布される領域よりも外側又は内側の領域に紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂などのシール材を形成し、不活性ガス雰囲気下、又は減圧雰囲気下で2つの基板を仮接着した後、大気雰囲気下、又は不活性ガス雰囲気下でレーザ光を照射する。また、当該シール材を、閉曲線を成すように設けることにより、封止領域内部が不活性ガス雰囲気下又は減圧雰囲気に保たれ、大気雰囲気下でレーザ光の照射を行うことができるため、装置構成を簡略化できる。また、あらかじめ封止領域内を減圧状態とすることで、レーザ光の照射時に2枚の基板を押しつけるためのクランプなどの機構を用いずとも、大気圧下でガラス層113と第2の基板112とが確実に接した状態で処理することができる。
【0109】
なお、ガラス層113にレーザ光を照射する工程においても、上述の線状レーザ100を用いた加熱方法を適用することが好ましい。線状レーザ100を用いることによりガラス層113を均一に加熱することができるため、固化した後のガラス層113内の内部応力が緩和され、クラックの発生が抑制された信頼性の高い封止体を作製することができる。
【0110】
[方法例2]
以降では、上記方法例とは異なる方法を用いたフリットペースト110の加熱方法について説明する。本方法例で用いる線状レーザ100は、フリットペースト110に沿って走査可能であることに加え、被照射面に対して垂直な回転軸で回転可能である。
【0111】
ここで、それぞれ対向する2辺が平行である4辺を有する閉曲線を成して設けられたフリットペースト110に沿って、線状レーザ100を走査する際、角部、または2つの対向しない角部の間の領域で、ビームスポットが90度回転するように走査することにより、同一形状の角部を有するガラス層113を作製することができる。
【0112】
図6は、角部において、線状レーザ100のビームスポットが90度回転するように走査する方法の例を示している。
【0113】
図6(A)に示す方法では、フリットペースト110の直線部分(辺)においては、線状レーザ100のビームスポットにおける短軸方向と走査方向103との成す角度が0度以上60度以内となるようにして走査する。本方法例では、当該角度が0度になるように走査する。
【0114】
線状レーザ100が角部に達すると、回転軸117を中心に回転するように線状レーザ100を走査する。ここでは、線状レーザ100の長軸方向の一端が回転軸117と常に一致するようにして回転させる。
【0115】
その後、フリットペースト110に沿って線状レーザ100を走査する。このとき、線状レーザ100は角部においてそのビームスポットが90度回転しているため、角部において連続する2辺では、短軸方向と走査方向103との成す角が常に一定の角度(ここでは0度)となるように走査することができる。
【0116】
ここで、角部におけるフリットペースト110は、線状レーザ100の照射領域と重なるように形状を調整する。図6(A)では、フリットペースト110の角部における内輪郭を直角とし、外輪郭を2つの鈍角から構成するように、フリットペースト110を設ける。
【0117】
フリットペースト110の4つの角部において、上記と同様の走査を行うことにより、同一形状の角部を有するガラス層113で封止された封止体を作製することができる。角部を同一形状とすることにより、それぞれの角部で内部歪みに起因する残留応力に差が出ないため、信頼性の高い封止体とすることができる。
【0118】
図6(B)では、回転軸117が線状レーザ100の長軸方向の一端と一致せず、長軸を延長した直線上の一点を回転軸117として、線状レーザ100のビームスポットを回転するように走査する場合について示す。
【0119】
このように走査することにより、線状レーザ100のビームスポットが回転する際、その内側と外側での照射される期間の差を小さくすることができる。その結果、角部におけるフリットペースト110の加熱温度の差を小さくし、加熱後のガラス層113や基板に生じる内部応力を緩和することができ、角部におけるクラックの発生を抑制できる。
【0120】
また、図6(B)に示すように、角部の外輪郭及び内輪郭をいずれも円弧状とすることができる。このように曲線状の角部とすることにより、ガラス層113中の内部応力を緩和し、クラックの発生をより低減することができる。またこの場合は曲率半径を大きくすることが好ましい。
【0121】
[方法例3]
上記方法例2では、角部において線状レーザ100のビームスポットが回転するように走査する方法について説明したが、本方法例では、フリットペースト110の直線部分(辺)を含む領域でビームスポットが回転するように走査する方法について説明する。
【0122】
図7(A)には、対向しない2つの角部の間で、線状レーザ100のビームスポットが90度回転するように走査する様子を示している。図7(A)では、線状レーザ100の中心118の軌跡が、走査方向103と平行になるように走査する。
【0123】
このように、線状レーザ100のビームスポットの中心118がフリットペースト110の中央部と重畳するようにして走査することにより、線状レーザ100の比較的強度の低い端部を使用することがないため、均一にフリットペースト110を加熱することができる。
【0124】
また、図7(B)及び図7(C)に示すように、線状レーザ100のビームスポットの中心118の軌跡が円弧を描くように走査することもできる。
【0125】
例えば、レーザ光が封止領域内に掛かる面積を低減したい場合、具体的にはフリットペースト110の近傍まで回路素子や発光素子などを形成したい場合には、図7(B)のように中心118の軌跡が封止領域の外側に円弧を描くように走査することにより、封止領域内におけるレーザ光の軌跡を直線状にすることができる。
【0126】
一方、レーザ光が封止領域外に掛かる面積を低減したい場合、具体的には狭額の画像表示装置としたい場合などでは、図7(C)に示すように中心118の軌跡が封止領域の内側に円弧を描くように走査することにより、封止領域外におけるレーザ光の軌跡を直線状にすることができる。
【0127】
また、図8に示す走査方法では、直線部分で線状レーザ100のビームスポットが90度回転するように走査し、且つ、角部では上記方法例で説明したように、短軸方向と走査方向との成す角が45度になるようにして走査する。なお、図8には直線部分において中心118の軌跡が走査方向と平行になるように走査したが、上述のように円弧を描くようにして走査してもよい。
【0128】
このような走査方法を用いることにより、同一形状の角部を有するガラス層113を形成可能で、且つ角部では直線的に走査することにより中央部と外側部とでレーザ光の照射期間に差が生じず、均一に照射することができるため、クラックが低減された封止体を作製することができる。
【0129】
以上が線状レーザ100の走査方法についての説明である。
【0130】
[線状レーザ100の形成方法について]
以下では、光学的に線状レーザ100を形成する方法について説明する。
【0131】
レーザ光を射出する射出口としては、例えば光ファイバーなどを用い、これをレーザ発振器に直接接続してレーザ光を取り出す構成を用いてもよいし、ミラーとレンズの一方又は両方を複数組み合わせてレーザ光を取り出す構成としてもよい。
【0132】
ここで、上記光ファイバーの断面形状として正方形のものを用いることにより、図1で例示したような正方形のビームスポット形状を有するレーザ150を形成することができる。また、当該光ファイバーの断面形状を長方形とすることによって、長軸と、長軸と直交する短軸を有する長方形のビームスポット形状を有する線状レーザ100を形成することができる。また、ミラーやレンズによる集光を利用して、被照射面に正方形又は長方形のビームスポットを形成することにより、レーザ150または線状レーザ100を形成することもできる。
【0133】
また、線状レーザ100は、複数の円状レーザを重ね合わせて形成することもできる。図9には、射出口121から被照射面123に照射される円状レーザを、複数重ね合わせて線状レーザ100を形成する場合の模式図を示す。
【0134】
図9(A)では、複数の射出口121を直線上に等間隔に複数配置し、当該射出口121から射出される円状レーザ120を複数重ね合わせて、被照射面123上に線状のビームスポットを有する線状レーザ100を形成する。
【0135】
ここで、円状レーザ120の各々のビームスポットの一部が重畳するように射出口121を配置することで、線状レーザ100のビームスポットにおける長軸方向の強度分布を均一な分布に近づけることができる。
【0136】
また、図9(B)に示すように、射出口121を縦方向及び横方向にマトリクス状に配置して、線状レーザ100を形成してもよい。このような構成とすることにより、線状レーザ100の短軸方向の強度分布の均一化を図りつつ、短軸方向の幅を大きくとることができる。
【0137】
また、図9(C)に示すように、射出口121を直線上に等間隔に複数配置した射出口群を複数設け、それぞれの射出口群を被照射面123と垂直な方向に対して傾けて配置し、複数の射出口121からの円状レーザ120が被照射面123上で集光するようにして、線状レーザ100を形成してもよい。このような構成とすることにより、線状レーザ100の強度分布を改善するとともに、短軸方向の幅を小さくすることができる。
【0138】
また、図9(D)に示すように、複数の射出口121と被照射面123との間に開口部を有する遮光マスク125を設け、当該遮光マスクの開口部の形状に応じたビームスポット形状を有する線状レーザ100を形成してもよい。このように遮光マスクによって比較的強度の低い外周部を遮光することにより、線状レーザ100の強度分布が改善すると共に、線状レーザ100のビームスポットの形状を任意の形状に調整することができる。
【0139】
ここで、線状レーザ100はレンズを用いて被照射面123に集光させて形成する構成としてもよい。
【0140】
図10(A)には、シリンドリカルレンズ127を用いて円状レーザ120を集光し、楕円形状のビームスポットを有する線状レーザ100を形成する場合の模式図を示す。
【0141】
シリンドリカルレンズ127は、一軸方向のみに光を収束または拡散させることができる。図10(A)に示すように、シリンドリカルレンズ127に円状レーザ120を入射すると、Y軸方向にのみ収束されるため、シリンドリカルレンズ127を透過した後のビームスポット形状は楕円状となる。このようにして、円状レーザ120を用いて線状レーザ100を形成することができる。
【0142】
また、シリンドリカルレンズ127に変えて、直交する2軸で異なる曲率を有するトロイダルレンズを用いてもよい。トロイダルレンズを用いると、長軸方向にも集光または拡散させることができるため、ビームスポットの短軸の長さに加えて長軸の長さを制御することができる。またこのほかに、非球面レンズなどを用いてビームスポットが任意の形状になるように集光する構成としてもよい。
【0143】
また、図10(B)に示すように複数の円状レーザを、シリンドリカルレンズ127を介して、それぞれのビームスポットの一部が重畳するように被照射面123に集光することにより線状レーザ100を形成してもよい。このような構成とすることにより、短軸方向の幅が小さく、エネルギー密度の高い線状レーザ100とすることができる。
【0144】
なお、線状レーザ100のビームスポットを回転するように走査する場合、複数の射出口群を被照射面に垂直な軸を中心に回転可能に設ける構成とする。または、レンズを用いる場合には、当該レンズを回転可能に設ければよい。
【0145】
また、線状レーザ100のビームスポット自体を回転させずに、被照射面を回転可能に設ける構成としてもよい。例えば被照射面を有する基板を支持するステージとして、X方向及びY方向に可動な構成に加え、XY平面に垂直な回転軸を設けたステージを用いればよい。
【0146】
本実施の形態は、本明細書に記載する他の実施の形態と、適宜組み合わせて実施することができる。
【0147】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で例示したフリットペーストの加熱方法および封止体の作製方法を適用可能な発光装置について説明する。以下では発光装置の例として、有機EL素子が適用された表示装置について、図11及び図12を用いて説明する。
【0148】
本発明の一態様の加熱方法及び封止体の作製方法は、有機EL素子を備えるパッシブマトリクス方式(単純マトリクス方式)、またはアクティブマトリクス方式が適用された表示装置に適用することができる。下記構成例ではアクティブマトリクス方式の表示装置を例に挙げて説明する。
【0149】
[構成例1]
本構成例では、有機EL素子が適用された表示装置について、図11を用いて説明する。
【0150】
図11(A)は、本発明の一態様の表示装置200の上面概略図である。本構成例で例示する表示装置200は、発光素子が設けられる基板とは反対側に光を射出する、いわゆる上面射出型(トップエミッション型)の発光装置である。
【0151】
表示装置200は、第1の基板111、第2の基板112及びガラス層113で囲まれた封止領域内に、表示部201、走査線駆動回路202及び信号線駆動回路203を有する。また、走査線駆動回路202及び信号線駆動回路203と電気的に接続する配線が封止領域内外に延在して設けられ、外部入力端子205と電気的に接続される。当該外部入力端子205に電気的に接続されたFPC207により、走査線駆動回路202、信号線駆動回路203等を駆動する電源電位や駆動信号などの信号を入力することができる。
【0152】
図11(B)は、外部入力端子205、走査線駆動回路202、及び表示部201を含む領域を切断する切断線A−B及びC−Dにおける断面概略図である。
【0153】
光射出側に設けられる基板の材料としては、ガラス、石英などの透光性を有する材料を用いることができる。また光射出とは反対側に設けられる基板の場合は、透光性を有していなくともよく、上記の材料に加え金属、半導体、セラミックなどの材料を用いることができる。導電性の基板を用いる場合、その表面を酸化させる、若しくは表面に絶縁膜を形成することにより絶縁を持たせることが好ましい。また、工程にかかる熱に耐えうるのであれば、有機樹脂を用いてもよい。また、ガラス以外の材料を用いるときには、少なくともガラス層と接する領域に酸化物膜を形成すると、密着性が向上するため好ましい。
【0154】
また、発光素子やトランジスタが設けられる基板は、事前にシュリンクする程度に加熱し、基板内部または表面に吸着している水や水素、酸素などの不純物が低減されていることが好ましい。当該加熱を行うことによって、発光素子やトランジスタの作製工程中に不純物が拡散することが抑制され、信頼性の高い発光装置とすることができる。
【0155】
外部入力端子205は、表示装置200内のトランジスタまたは発光素子を構成する導電層で構成される。本構成例ではトランジスタのゲートを構成する導電層及び電極を構成する導電層を積層して用いる。このように、複数の導電層を積層して外部入力端子205を構成することにより強度を高められるため好ましい。また、外部入力端子205に接して接続体209が設けられ、当該接続体209を介してFPC207と外部入力端子205とが電気的に接続している。接続体209としては、熱硬化性の樹脂に金属粒子を混ぜ合わせたペースト状又はシート状の材料を用い、熱圧着によって異方性の導電性を示す材料を用いることができる。金属粒子としては、例えばNi粒子をAuで被覆したものなど、2種類以上の金属が層状となった粒子を用いることが好ましい。
【0156】
図11(B)には走査線駆動回路202として、いずれもnチャネル型のトランジスタであるトランジスタ211とトランジスタ212を組み合わせたNMOS回路を有する例を示している。なお、走査線駆動回路202はNMOS回路に限られず、nチャネル型のトランジスタとpチャネル型のトランジスタを組み合わせた種々のCMOS回路や、pチャネル型のトランジスタで構成されるPMOS回路などを有する構成としてもよい。なお、信号線駆動回路203についても同様である。また、本構成例では、表示部201が形成される基板上に走査線駆動回路202及び信号線駆動回路203が形成されたドライバー一体型の構成を示すが、表示部201が形成される基板とは別に走査線駆動回路202、信号線駆動回路203の一方又は両方を設ける構成としてもよい。
【0157】
図11(B)には、表示部201の一例として一画素分の断面構造を示している。画素は、スイッチング用のトランジスタ213と、電流制御用のトランジスタ214と、電流制御用のトランジスタ214の電極(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続された画素電極223を含む。また、画素電極223の端部を覆う絶縁層217が設けられている。
【0158】
なお、表示部201、走査線駆動回路202、信号線駆動回路203を構成するトランジスタの構造は特に限定されない。例えばスタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲート型のトランジスタのいずれのトランジスタ構造としてもよい。また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えばシリコンやゲルマニウムなどの半導体材料を用いてもよいし、インジウム、ガリウム、及び亜鉛のうち少なくともひとつを含む酸化物半導体を用いてもよい。また、トランジスタに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非結晶半導体、または結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化が抑制されるため好ましい。
【0159】
発光素子220は、画素電極223、EL層225及び共通電極227によって構成されている。発光素子の構造及び材料等については、後の実施の形態で詳細に説明する。
【0160】
画素電極223及び共通電極227に用いる導電性材料として、光射出側に設ける電極には、EL層225からの発光に対して透光性を有する材料を用い、光射出側とは反対側に設ける電極には、当該発光に対して反射性を有する材料を用いる。
【0161】
本構成例では、画素電極223に反射性を有する材料を用い、共通電極227に透光性を有する材料を用いる。したがって、EL層225からの発光は、第2の基板112側に射出される。
【0162】
光射出側の電極に用いることのできる透光性を有する材料としては、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物や、グラフェンなどを用いることができる。また、上記導電層として、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、またはチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、これら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料(またはその窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすればよい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるためこのましい。
【0163】
なお、光射出側の電極として用いる上述の導電性酸化物膜をスパッタリング法により形成することができる。導電性酸化物膜は、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で成膜すると、光透過性を向上させることができる。
【0164】
また、上面射出型の場合、EL層225上に成膜される導電性酸化物膜を、酸素濃度が低減されたアルゴンを含む雰囲気下で成膜した第1の導電性酸化物膜と、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で成膜した第2の導電性酸化物膜との積層膜とすると、EL層225への成膜ダメージを低減させることができるため好ましい。ここで第1の導電性酸化物膜を成膜する際のアルゴンガスの純度が高いことが好ましく、例えば露点が−70℃以下、好ましくは−100℃以下のアルゴンガスを用いることが好ましい。
【0165】
光射出側とは反対側の電極に用いることのできる反射性を有する材料としては、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。また、このような金属材料または合金材料にランタンやネオジム、ゲルマニウムなどを添加してもよい。合金材料の例としては、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や、銀と銅の合金、銀とマグネシウムの合金などの銀を含む合金を用いることもできる。銀と銅の合金は耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム合金膜に接する金属膜、または金属酸化物膜を積層することで、アルミニウム合金膜の酸化を抑制することができる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、酸化チタンなどが挙げられる。また、上記透光性を有する材料からなる膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とインジウムスズ酸化物の積層膜、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いることができる。
【0166】
絶縁層217は、画素電極223の端部を覆って設けられている。そして、絶縁層217の上層に形成される共通電極227の被覆性を良好なものとするため、絶縁層217の上端部又は下端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせるのが好ましい。また、絶縁層217の材料としては、ネガ型の感光性樹脂、あるいはポジ型の感光性樹脂などの有機化合物や、酸化シリコン、酸窒化シリコン等の無機化合物を用いることができる。
【0167】
なお、第1の基板111の表面には、絶縁層215が設けられている。絶縁層215は、第1の基板111に含まれる不純物が拡散することを抑制する。また、トランジスタの半導体層に接する絶縁層216及び絶縁層218、トランジスタを覆う絶縁層219は、トランジスタを構成する半導体への不純物の拡散を抑制することが好ましい。これら絶縁層には、例えばシリコンなどの半導体、アルミニウムなどの金属の酸化物または窒化物を用いることができる。また、このような無機絶縁材料の積層膜、または無機絶縁材料と有機絶縁材料の積層膜を用いてもよい。なお、絶縁層215は、不要であれば設けなくてもよい。
【0168】
第2の基板112には、発光素子220と重なる位置にカラーフィルタ229が設けられている。カラーフィルタ229は、発光素子220からの発光色を調色する目的で設けられる。例えば、白色発光の発光素子を用いてフルカラーの表示装置とする場合には、異なる色のカラーフィルタを設けた複数の画素を用いる。その場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色を用いてもよいし、これに黄色(Y)を加えた4色とすることもできる。また、R、G、B(及びY)に加えて白色(W)の画素を用い、4色(又は5色)としてもよい。
【0169】
また、隣接するカラーフィルタ229の間にはブラックマトリクス231が設けられている。ブラックマトリクス231は隣接する画素の発光素子220から回り込む光を遮光し、隣接画素間における混色を抑制する。ここで、カラーフィルタ229の端部を、ブラックマトリクス231と重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。ブラックマトリクス231は、発光素子220からの発光を遮光する材料を用いることができ、金属や、顔料を含む有機樹脂などの材料を用いて形成することができる。なお、ブラックマトリクス231は、走査線駆動回路202などの表示部201以外の領域に設けてもよい。
【0170】
また、カラーフィルタ229及びブラックマトリクス231を覆うオーバーコート233が形成されている。オーバーコート233は、発光素子220からの発光を透過する材料から構成され、例えば無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。なお、オーバーコート233は不要であれば設けなくてもよい。
【0171】
また、図11(B)に示す断面概略図では、発光素子220を1つのみ図示しているが、表示部201に3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示が可能な表示装置を形成することができる。後の実施の形態で例示する白色発光のEL層を有する発光素子とカラーフィルタを組み合わせることによってフルカラー表示が可能な表示装置とすることができる。また、当該発光素子は、上面射出方式に限られず、下面射出(ボトムエミッション)方式、両面射出(デュアルエミッション)方式のいずれも採ることができる。ボトムエミッション方式を採用した発光装置の構成例については、構成例2で説明する。
【0172】
第1の基板111と第2の基板112とは第2の基板112の外周部において、ガラス層113によって接着されている。ガラス層113の構成としては、上記実施の形態で例示した構成を用いることができる。
【0173】
また、発光素子220は、第1の基板111、第2の基板112及びガラス層113に囲まれた封止領域内に設けられている。当該封止領域は、希ガス又は窒素ガスなどの不活性ガス、または有機樹脂などの固体、またはゲルなどの粘性体で充填されていてもよく、減圧雰囲気となっていてもよい。また封止領域内を水や酸素などの不純物が低減されている状態とすると、発光素子220の信頼性が向上するため好ましい。
【0174】
また、発光素子220を覆う絶縁膜を設けると、発光素子220が露出しないため信頼性を向上させることができる。当該絶縁膜としては、水や酸素などの不純物を透過しない材料を用いる。例えばシリコンやアルミニウムの酸化膜または窒化膜といった無機絶縁膜を用いることができる。
【0175】
また、封止領域内の発光素子220と重ならない領域に、乾燥剤を設けてもよい。乾燥剤は、例えばアルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸収する物質を用いることができる。またその他の乾燥剤として、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。封止領域内に乾燥剤を設けることにより、水分などの不純物を低減し、発光素子220の信頼性が向上するため好ましい。
【0176】
以上が表示装置200の説明である。
【0177】
[構成例2]
本構成例では、ボトムエミッション方式が採用された表示装置について説明する。なお、構成例1と重複する部分については、説明を省略するか簡略化して説明する。
【0178】
図12は、本構成例で例示する表示装置250の断面概略図である。
【0179】
表示装置250は、ボトムエミッション方式が採用されている点、及び発光素子220よりも第1の基板111側にカラーフィルタ229を有する点で、構成例1で例示した表示装置200と異なる。
【0180】
発光素子220において、共通電極227には上記反射性を有する材料を用い、画素電極223には上記透光性を有する材料を用いる。したがって、EL層225からの発光は第1の基板111側に射出される。
【0181】
また、トランジスタを覆う絶縁層219上の、発光素子220と重なる位置にカラーフィルタ229が設けられる。さらに、カラーフィルタ229を覆うオーバーコート233が形成されている。画素電極223は、当該オーバーコート233上に形成される。ここで、オーバーコート233は有機樹脂などの有機絶縁膜を用いて形成すると、平坦化層としても機能するため好ましい。
【0182】
以上が表示装置250の説明である。
【0183】
本実施の形態で例示した表示装置に、本発明の一態様のガラスパターンの形成方法および封止体の作製方法を適用することにより、クラックの発生が抑制され、極めて信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0184】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0185】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で例示した加熱方法および封止体の作製方法を適用可能な発光装置の例として、有機EL素子が適用された照明装置について、図13を用いて説明する。なお、上記実施の形態と重複する部分については、説明を省略するか簡略化して説明する。
【0186】
図13(A)は、本実施の形態で例示する照明装置300の上面概略図である。
【0187】
照明装置300は、第1の基板111、第2の基板112及びガラス層113に囲まれた封止領域内に、発光部301を有する。また、発光部301と電気的に接続し、発光部301を発光させる電力を供給する取り出し電極311及び312が、封止領域内外に延在して設けられている。
【0188】
図13(B)は、発光部301、並びに取り出し電極311及び312を含む領域を切断する切断線E−Fにおける断面概略図である。
【0189】
封止領域内において、第1の基板111上に、電極303、EL層305及び電極307から構成される発光素子310が設けられている。
【0190】
第1の基板111と第2の基板112とは第2の基板112の外周部において、ガラス層113によって接着されている。ガラス層113の構成としては、上記実施の形態で例示した構成を用いることができる。
【0191】
電極303は、取り出し電極311と電気的に接続する。また、電極307は取り出し電極312と電気的に接続する。ここで、図13(B)には、電極303並びに取り出し電極311及び312が同一平面上に同一の層から形成され、且つ電極303の一部が取り出し電極311を構成している例を示している。
【0192】
また、電極303及び取り出し電極312のそれぞれの端部を覆う絶縁層309が設けられている。また絶縁層309は電極303と電極307とが接触して導通しないように、電極303上の一部の領域に設けられる。絶縁層309としては、実施の形態2で例示した絶縁層217と同様の構成を用いることができる。
【0193】
電極307は、電極303と取り出し電極312の各々の端部を覆う絶縁層309を越えて形成され、取り出し電極312と電気的に接続されている。
【0194】
ここで、照明装置300は、下面射出方式または上面射出方式、または両面射出方式のいずれの方式を採ることができる。電極303及び電極307に用いる導電性材料は、射出方式に応じて、上述の材料から適宜選択して用いることができる。
【0195】
また、電極303または電極307の導電性を補助するため、低抵抗な導電性材料からなる補助電極を設ける構成としてもよい。特に大面積の発光部301を備える照明装置300とする場合には、電極の抵抗による電位降下に起因して、発光輝度の面内分布が生じる恐れがあるため、補助電極を設けることは有効である。
【0196】
例えば、電極303の上面又は下面に接して補助電極を設ける。または電極303上に絶縁層を介して電極307と電気的に接続する補助電極を設ける。電極303に接する補助電極を設ける場合には、当該補助電極による段差を絶縁層309で被覆することが好ましい。
【0197】
また、図13(B)に示すように、封止領域内に乾燥剤314を設けることが好ましい。上面射出方式又は両面射出方式の場合には、発光素子310と重ならない領域に設ける。
【0198】
また、第1の基板111、第2の基板112の一方または両方の、発光素子310側の表面には、基板からの不純物の拡散を抑制する絶縁層を形成してもよい。
【0199】
なお、発光素子310を覆い、水や酸素などの不純物を透過しない無機絶縁膜を設けてもよい。また、封止領域内が不活性ガス、固体、または粘性体で充填されていてもよいし、減圧雰囲気となっていてもよい。
【0200】
本実施の形態で例示した照明装置に、本発明の一態様のガラスパターンの形成方法および封止体の作製方法を適用することにより、クラックの発生が抑制され、極めて信頼性の高い照明装置とすることができる。
【0201】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0202】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に適用できるEL層の一例について、図14を用いて説明する。
【0203】
図14(A)に示すEL層405は、第1の電極403と第2の電極407の間に設けられている。第1の電極403及び第2の電極407は、実施の形態2で例示した画素電極または共通電極、または実施の形態3で例示した電極と同様の構成を適用することができる。
【0204】
本実施の形態で例示するEL層405を有する発光素子は、上記実施の形態で例示した発光装置に適用可能である。
【0205】
EL層405は、少なくとも発光性の有機化合物を含む発光層が含まれていればよい。そのほか、電子輸送性の高い物質を含む層、正孔輸送性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)を含む層等を適宜組み合わせた積層構造を構成することができる。本実施の形態において、EL層405は、第1の電極403側から、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光性の有機化合物を含む層703、電子輸送層704、及び電子注入層705の順で積層されている。なお、これらを反転させた積層構造としてもよい。
【0206】
図14(A)に示す発光素子の作製方法について説明する。
【0207】
正孔注入層701は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:HPc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
【0208】
また、低分子の有機化合物である芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0209】
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。また、酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0210】
特に、正孔注入層701として、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることが好ましい。正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることにより、第1の電極403からの正孔注入性を良好にし、発光素子の駆動電圧を低減することができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質(電子受容体)とを共蒸着することにより形成することができる。該複合材料を用いて正孔注入層701を形成することにより、第1の電極403からEL層405への正孔注入が容易となる。
【0211】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
【0212】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、芳香族アミン化合物や、カルバゾール誘導体、そのほか正孔移動度の高い芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0213】
また、アクセプター性物質としては、有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0214】
なお、高分子化合物と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層701に用いてもよい。
【0215】
正孔輸送層702は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、例えば、芳香族アミン化合物を用いることができる。これは主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0216】
また、正孔輸送層702には、カルバゾール誘導体や、アントラセン誘導体や、そのほか正孔輸送性の高い高分子化合物を用いてもよい。
【0217】
発光性の有機化合物を含む層703は、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0218】
なお、発光性の有機化合物を含む層703としては、発光性の有機化合物(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、発光性の物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0219】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するために結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うために、さらに異なる物質を添加してもよい。
【0220】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光性の有機化合物を含む層703の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0221】
また、発光性の有機化合物を含む層703として高分子化合物を用いることができる。
【0222】
また、発光性の有機化合物を含む層を複数設け、それぞれの層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、発光性の有機化合物を含む層を2つ有する発光素子において、第1の発光性の有機化合物を含む層の発光色と第2の発光性の有機化合物を含む層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、発光性の有機化合物を含む層を3つ以上有する発光素子の場合でも同様である。
【0223】
電子輸送層704は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0224】
電子注入層705は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層705には、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層704を構成する物質を用いることもできる。
【0225】
なお、上述した正孔注入層701、正孔輸送層702、発光性の有機化合物を含む層703、電子輸送層704、電子注入層705は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0226】
EL層は、図14(B)に示すように、第1の電極403と第2の電極407との間に複数積層されていてもよい。この場合、積層された第1のEL層800と第2のEL層801との間には、電荷発生層803を設けることが好ましい。電荷発生層803は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層803は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質(ドナー性物質)と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を呈する発光素子を得ることも容易である。この構造は上述のEL層の構造と組み合わせて用いることができる。
【0227】
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。また、3つ以上のEL層を有する発光素子の場合でも同様である。
【0228】
また、演色性の良い白色発光を得る場合、発光スペクトルが可視光全域に広がるものとする必要があり、3つ以上のEL層が積層された発光素子とすることが好ましい。例えばそれぞれ赤色、青色、緑色の発光色のEL層を積層して発光素子を形成することができる。このように異なる3色以上のEL層が積層された発光素子とすることにより演色性を高めることができる。
【0229】
第1の電極403と第2の電極407との間に光学調整層を形成してもよい。光学調整層は、反射性を有する電極と透過性を有する電極との間の光学距離を調整する層である。光学調整層を設けることにより、特定の範囲の波長の光を強調することができるため、色調を調整することができる。
【0230】
EL層405は、図14(C)に示すように、第1の電極403と第2の電極407との間に、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光性の有機化合物を含む層703、電子輸送層704、電子注入バッファー層706、電子リレー層707、及び第2の電極407と接する複合材料層708を有していてもよい。
【0231】
第2の電極407と接する複合材料層708を設けることで、特にスパッタリング法を用いて第2の電極407を形成する際に、EL層405が受けるダメージを低減することができるため、好ましい。複合材料層708は、前述の、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることができる。
【0232】
さらに、電子注入バッファー層706を設けることで、複合材料層708と電子輸送層704との間の注入障壁を緩和することができるため、複合材料層708で生じた電子を電子輸送層704に容易に注入することができる。
【0233】
電子注入バッファー層706には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
【0234】
また、電子注入バッファー層706が、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、または希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した電子輸送層704の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
【0235】
さらに、電子注入バッファー層706と複合材料層708との間に、電子リレー層707を形成することが好ましい。電子リレー層707は、必ずしも設ける必要は無いが、電子輸送性の高い電子リレー層707を設けることで、電子注入バッファー層706へ電子を速やかに送ることが可能となる。
【0236】
複合材料層708と電子注入バッファー層706との間に電子リレー層707が挟まれた構造は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質と、電子注入バッファー層706に含まれるドナー性物質とが相互作用を受けにくく、互いの機能を阻害しにくい構造である。したがって、駆動電圧の上昇を防ぐことができる。
【0237】
電子リレー層707は、電子輸送性の高い物質を含み、該電子輸送性の高い物質のLUMO準位は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるように形成する。また、電子リレー層707がドナー性物質を含む場合には、当該ドナー性物質のドナー準位も複合材料層708におけるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるようにする。具体的なエネルギー準位の数値としては、電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。
【0238】
電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0239】
電子リレー層707に含まれる金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性(電子を受容しやすい性質)を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。また、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体は安定であると考えられる。したがって、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることにより発光素子を低電圧でより安定に駆動することが可能になる。
【0240】
金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としてはフタロシアニン系材料が好ましい。特に、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすい材料は、アクセプター性が高いため好ましい。
【0241】
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶である。そのため、発光素子を形成する上で扱いやすいという利点を有する。また、溶媒に可溶であるため、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易になるという利点を有する。
【0242】
電子リレー層707はさらにドナー性物質を含んでいてもよい。ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの化合物(アルカリ金属化合物(酸化リチウムなどの酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウムなどの炭酸塩を含む)、アルカリ土類金属化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む)、又は希土類金属の化合物(酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩を含む))の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセンなどの有機化合物を用いることができる。電子リレー層707にこれらドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
【0243】
電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質としては上記した材料の他、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。具体的なエネルギー準位としては、−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下の範囲にLUMO準位を有する物質を用いることが好ましい。このような物質としては例えば、ペリレン誘導体や、含窒素縮合芳香族化合物などが挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定であるため、電子リレー層707を形成する為に用いる材料として、好ましい材料である。
【0244】
なお、電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質とドナー性物質との共蒸着などの方法によって電子リレー層707を形成すればよい。
【0245】
正孔注入層701、正孔輸送層702、発光性の有機化合物を含む層703、及び電子輸送層704は前述の材料を用いてそれぞれ形成すればよい。
【0246】
以上により、本実施の形態のEL層405を作製することができる。
【0247】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0248】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置が適用された電子機器や照明装置の例について、図15及び図16を用いて説明する。
【0249】
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図15に示す。
【0250】
図15(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
【0251】
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0252】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0253】
図15(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
【0254】
図15(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図15(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、又は一方に発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図15(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図15(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0255】
図15(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
【0256】
図15(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0257】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0258】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0259】
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0260】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0261】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0262】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0263】
図15(E)は、照明装置の一例を示している。照明装置7500は、筐体7501に光源として本発明の一態様の発光装置7503a〜7503dが組み込まれている。照明装置7500は、天井や壁等に取り付けることが可能である。
【0264】
また、長時間使用しても目が疲労し難い明度が高く淡い色を呈する光と、鮮やかな赤色と、異なる鮮やかな色を呈する光を発する発光パネルを備える。発光素子を駆動する条件を発光色ごとに調整することで、使用者が色相を調節できる照明装置を実現できる。
【0265】
図16(A)及び図16(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図16(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。なお、当該タブレット端末は、発光装置を表示部9631a、表示部9631bの一方又は両方に用いることにより作製される。
【0266】
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9637にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としてもよい。例えば、表示部9631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
【0267】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
【0268】
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
【0269】
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
【0270】
また、図16(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
【0271】
図16(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する。なお、図16(B)では充放電制御回路9634の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成について示している。
【0272】
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
【0273】
また、この他にも図16(A)及び図16(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
【0274】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の一面または二面に効率的なバッテリー9635の充電を行う構成とすることができるため好適である。なおバッテリー9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0275】
また、図16(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図16(C)にブロック図を示し説明する。図16(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9638、スイッチSW1乃至SW3が、図16(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
【0276】
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9638で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
【0277】
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力電送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
【0278】
また、上記実施の形態で説明した発光装置を具備していれば、図15及び図16に示した電子機器に特に限定されないことは言うまでもない。
【0279】
上述した電子機器や照明装置などの発光装置には、本発明の一態様のガラスパターンの形成方法及び封止体の作製方法を適用することができる。したがって、クラックの発生が抑制された、極めて信頼性の高い電子機器や照明装置などの発光装置とすることができる。
【0280】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0281】
10 円状レーザ
11 フリットペースト
100 線状レーザ
101 長軸
101a 長軸方向
102 短軸
102a 短軸方向
103 走査方向
110 フリットペースト
111 第1の基板
112 第2の基板
113 ガラス層
115 角部
117 回転軸
118 中心
120 円状レーザ
121 射出口
123 被照射面
125 遮光マスク
127 シリンドリカルレンズ
150 レーザ
200 表示装置
201 表示部
202 走査線駆動回路
203 信号線駆動回路
205 外部入力端子
207 FPC
209 接続体
211 トランジスタ
212 トランジスタ
213 トランジスタ
214 トランジスタ
215 絶縁層
216 絶縁層
217 絶縁層
218 絶縁層
219 絶縁層
220 発光素子
223 画素電極
225 EL層
227 共通電極
229 カラーフィルタ
231 ブラックマトリクス
233 オーバーコート
250 表示装置
300 照明装置
301 発光部
303 電極
305 EL層
307 電極
309 絶縁層
310 発光素子
311 取り出し電極
312 取り出し電極
314 乾燥剤
403 第1の電極
405 EL層
407 第2の電極
701 正孔注入層
702 正孔輸送層
703 発光性の有機化合物を含む層
704 電子輸送層
705 電子注入層
706 電子注入バッファー層
707 電子リレー層
708 複合材料層
800 第1のEL層
801 第2のEL層
803 電荷発生層
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7312 マイクロフォン
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7500 照明装置
7501 筐体
7503 発光装置
9630 筐体
9631 表示部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a 領域
9632b 領域
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 バッテリー
9636 DCDCコンバータ
9637 操作キー
9638 コンバータ
9639 キーボード表示切り替えボタン
9033 留め具
9034 表示モード切り替えスイッチ
9035 電源スイッチ
9036 省電力モード切り替えスイッチ
9038 操作スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散質と、当該分散質よりも沸点又は分解温度が低い分散媒とを含む組成物にレーザ光を走査しながら照射して前記組成物を加熱する際に、
前記レーザ光のビームスポットの形状を矩形に整形し、且つ当該矩形の対向する2辺が前記組成物の両端と常に交差するように走査すること、
を特徴とする、分散組成物の加熱方法。
【請求項2】
前記レーザ光のビームスポット形状は、長軸と、当該長軸と直交する短軸を有する、請求項1に記載の分散組成物の加熱方法。
【請求項3】
低融点ガラスとバインダを含む閉曲線形状のフリットペーストにレーザ光を走査しながら照射して前記フリットペーストを加熱する際に、
前記レーザ光のビームスポットの形状を矩形に整形し、且つ当該矩形の対向する2辺が前記フリットペーストの両端と常に交差するように走査すること、
を特徴とする、ガラスパターンの形成方法。
【請求項4】
前記レーザのビームスポット形状は、長軸と、当該長軸と直交する短軸を有する、請求項3に記載のガラスパターンの形成方法。
【請求項5】
請求項4に記載のガラスパターンの形成方法において、
前記フリットペーストは、それぞれ対向する2辺が平行な4辺を有する閉曲線形状であり、
前記レーザ光が、前記短軸と、前記フリットペーストの各々の辺との成す角度が0度以上60度以下であり、且つ、前記閉曲線の対向しない2辺に接続する角部において、前記短軸が90度回転するように走査する、ガラスパターンの形成方法。
【請求項6】
請求項4に記載のガラスパターンの形成方法において、
前記フリットペーストは、それぞれ対向する2辺が平行な4辺を有する閉曲線形状であり、
前記レーザ光が、前記短軸と、前記フリットペーストの各々の辺との成す角度が0度以上60度以下であり、且つ、前記閉曲線の1辺と接続する2つの角部の間の区間において、前記短軸が90度回転するように走査する、ガラスパターンの形成方法。
【請求項7】
請求項4に記載のガラスパターンの形成方法において、
前記フリットペーストは、それぞれ対向する2辺が平行な4辺を有する閉曲線形状であり、
前記レーザ光が前記短軸と、前記フリットペーストの各々の辺との成す角度が45度となるように走査する、ガラスパターンの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−101923(P2013−101923A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224946(P2012−224946)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】