説明

分断装置を利用して加工用素材を担持し且つ移動させる装置及び方法

本発明は、板状の加工用素材7を分断装置から分離・移動する、自動搬出に用いる装置及ぶ方法に関する。第二の支持台は、第一の支持台4を構成する2つの支持面2、3の一方に置き換わり完全に加工用素材7を受け取り、第一の支持台4の領域から離脱する。本発明による装置及び方法により、加工された加工用素材7及びその加工屑は、損傷されることなく迅速且つ正確に支持・移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一の支持面及び第二の支持面を有する第一の支持台を用いて、分断方向であるX−方向およびそれに垂直なY−方向に可動な分断装置内に板状の加工用素材を担持する装置であって、前記2つの支持面は互いに隔たって空隙を形成し、前記分断装置の分断機構の下に位置する該空隙は、一方の支持面を拡大し他方の支持面を縮小することによりY−方向に可変であり、個々の担持部材から成る前記支持面を形成するリンクベルトは枠へと案内され、該リンクベルトの両端はそれぞれの前記支持面の固定端として前記枠に固定され、前記支持面の可動端を伴う前記リンクベルトを案内する方向転換ロール群は前記空隙を形成する第一のロール群並びに前記支持面の下方の第二のロール群により形成された加工用素材を担持且つ移動させる装置に関する。更に、本発明は、分断装置により分断される支持装置上の板状の加工用素材を担持し且つ搬出する方法に関し、該支持装置は、第一の支持台を形成する互いに隔たった空隙を形成する第一の支持面及び第二の支持面を備え、該空隙は分断機構の下方にあり、一方の支持面を拡大し他方の支持面を縮小させることによる分断機構の移動に伴って移動する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、米国特許第3262348号明細書に開示されている。その装置では、空隙が切断装置の下方において上記と同じように移動し、例えば、複数の素材層によって台の上部を形成したベルトにより支持面が形成されている。ベルトは例えば皮革、布地、金網、薄いステンレス鋼などの可撓性素材により形成され、上部及び下部の方向転換ロールの周りを案内される。ベルトの下方には、可撓性ケーブルによって互いに連結された複数の支持ロッドが備えられ、搬送装置のロッドのそれぞれが対応するロールの凹部と嵌合している。支持ロッドは係止ピンにより案内され枠に保持され、支持ロッドの下方には、係止ピンが軸方向に移動できるように共動する案内部材が配置されている。
【0003】
国際公開第03/016004A1号パンフレットにも類似の装置が開示され、例えば容器の下方部分にある切断部品の取り出しが自動的に可能となるように分断工程の間に空隙の移動と同時に空隙が拡大することが記載されている。
【0004】
切断工程及び切断された素材の搬出を速めるために、国際公開第03/016004A1号パンフレットに記載のように切断部品を下方に取り出すか否かとは関係なく、次の切断用素材が載置できるように、切断された素材は迅速且つ簡単に搬送する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、素材を担持し且つ搬送が可能な装置及び方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は請求項1に記載の特徴を備えた装置並びに別の独立請求項に記載の方法により解決される。更に、従属請求項には本発明の発展形態が記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明による装置は第二の支持台を備え、該支持台は一方の支持面と共にY−方向に可動であり且つ回転ロールを有してキャタピラー状に移動する継ぎ目無し搬送ベルト備えている。第一の支持台を構成する2つの支持面の間の空隙が周辺まで移動して1つの支持面しか見えなくなると、第二の支持台が第一の支持台の領域へ進入してくる。この時点で第二の支持台は第一の支持台と共にY−方向に移動できるようになる。第二の支持台が、回転ロールを有するキャタピラー状に移動する継ぎ目無し搬送ベルトを備えていることにより、第二の支持台の表面は、第一の支持台の支持面が下方に移動するに従い、徐々に素材の下に移動する。これにより、第二の支持台が素材を完全に受けることになる。
【0008】
高さの差が生じず第二の支持面により生成した空間を第二の支持台がふさぐことなく、第二の支持台が第一の支持台の支持ベルトの位置へ入り込めるように、リンクベルトは、両端が装置の枠に固定された搬送鎖に固定される。搬送鎖は、担持部材により形成さている支持面よりも長く、空隙が支持面の一端に達し、第二の支持台の高さ方向に空間が形成されると、担持部材が装置の枠における支持面の縁の下方に位置するように、支持面の少なくとも一端が突出している。
【0009】
第一の支持台の支持面は、加工すべき素材を支えるのに十分に安定になるように、担持部材はその正面が、担持部材の縦方向に可動の支持部材を介して枠上に載置されている。支持部材は、従来のように担持部材から引き出し可能とするか、又は枠に配置してもよい。枠に配置する場合には、一端が固定された、担持部材の下方において回転可能なL字状の回転部材を用いることが可能である。
【0010】
使用していない支持面の担持部材が枠上の支持平面よりも下に位置すると、第二の支持台は第一の支持台の領域へ移動可能となる。
【0011】
加工用素材の下の第二の支持台を搬送するために、残っている支持面の第一の方向変換装置は第二の支持台のロールと適宜連結可能となっている。これにより、継ぎ目無しベルトは、正確に等速で回転し、更に駆動を必要としない。例えば中間ロールを介して回転方向を一致させることが可能であることは言うまでもない。
【0012】
第二の支持台及びその支持面の全幅に渉って、枠に空間が生じるように、第二の支持台はその側面を枠に沿って案内されることが好ましい。
【0013】
第二の支持台を第一の方向転換ロールから分離した後に、継ぎ目無し搬送ベルトを回転させずに第二の支持台を装置の枠から移動させ、ベルト上の加工用素材を搬出することができる。
【0014】
基本的には、加工用素材を逆に搬送する装置を準備することも可能である。これは、第一の支持台の反対側に配置した第三の支持台により実現される。しかし、新たな加工用素材の載置は荷役設備(ロボット)により迅速且つ正確に実行できるので、通常は、加工された素材及びその加工屑を搬送するのには第二の支持台を準備すれば十分である。
【0015】
本発明の方法によれば、加工が完了した素材が取り出せるように、支持装置の一端の空隙が移動し、加工用素材は1つの支持面にのみ担持される。他の支持面の代わりに、第二の支持台が第一の支持台の支持面と共に、支持装置の他端へと移動すると、支持面が縮小することによって加工用素材は第二の支持台へ完全に渡される。
【実施例】
【0016】
以下、図面を用いて、本発明の長所、特徴及び詳細を説明する。
【0017】
図1は、支持面2、3を備え、枠を伴った支持装置1の基本的な模式平面図である。支持面2、3はそれぞれ固定された端部9及び可動端10を備えている。支持面2、3は第一の支持台4を形成し、それぞれの端部9が固定された支持面2、3が矢印の方向へ移動することにより、支持台4の寸法が増減するように構成されている。更に、支持装置は第二の支持台6も含んで構成される。図1の(a)は加工用素材(不図示)を分断している際の支持面2、3及び支持台6の作動位置を示している。支持装置1は分断装置へ一体化されるべきである。この分断装置の詳細は示されていないが、分断機構5として示されている。例えばレーザまたは水ジェット切断機などの分断機構5は、支持面2、3と同様に矢印の方向、更には支持面2、3の間の空隙に沿っても可動である。
【0018】
図1の(b)は支持面2の面積が最大で、加工済みの加工用素材7を搬送している状態を示している。図1の(b)に示された支持面3は、支持装置1の枠11の下部域へと降下し、第二の支持台6が支持面3の上方を支持面2へと案内されて支持平面19に位置する状態となる。
【0019】
支持台6は支持面2の可動端10と共に、固定された端部9へと移動し、図1の(c)に示されるように加工用素材7を受ける。
【0020】
図1の(d)では、支持台6は加工用素材7を完全に受け、支持面2は終端に達する。ここで、第二の支持台6は、第一の支持台4を離れて矢印の方向へと最初の位置へ戻る一方、支持面2、3によって形成される第一の支持台4は次の加工用素材が受けられる状態になる。当然のことながら、一連の工程は適切な工程制御装置により制御、調整される。
【0021】
図2は図1(b)に対応する断面図であり、リンクベルト12が枠11の両端に固定されている。リンクベルト12は、複数の堅牢な担持部材14が固定された2つの搬送鎖13を備えている。リンクベルト12上には、個々の加工用素材が示されている。リンクベルト12は上部の方向転換ロール15、16及び下部の方向転換ロール17,18により案内される。方向転換ロール15、17又は16、18は互いに機械的に連結され、図では枠11中を共に左右に移動する。図から明らかなように、リンクベルト12の搬送鎖13は複数の担持部材14により形成されている支持面2、3よりも長い。そのため、図に示されるように、通常は空隙8の右にある支持面3は枠11に接している支持平面19よりも下方に降下しこの支持平面19にある第二の支持台6が移動可能となる。第二の支持台6は複数の案内ロール20及びそのロールの上下を走行している継ぎ目無しベルト21を備えているので、第一の支持台4域において第二の支持台6が移動するとキャタピラー様の前進運動が生ずる。
【0022】
上部の方向転換ロール15の回転が先端の案内ロール20へと同じ回転方向で直接伝わるように、例えば、先端の案内ロール20′及び(不図示の)中間のロールを有する第二の支持台6を方向転換ロール15と連結してもよい。図3に示されるように、支持面2の減少に伴って、第二の支持台6は加工用素材7の下へと移動し、特に問題なくそれを受けることができる。方向転換ロール16、18は、枠11の縁に止まっている。
【0023】
図4は第二の指示台6が完全に加工用素材7を受けた状態を示している。方向転換ロール15、17は最終位置に到達し、支持面2は加工用素材を受ける機能を果たさない状態にある。加工用素材7を伴った第二の支持台6は、案内ロール20が回転することなく第一の支持台4域から離脱する。
【0024】
図5は支持装置1の断面図であり、枠11が両側に搬送鎖13を有するリンクベルト12並びに担持部材14を支持した状態を示している。更に枠11は、ロッド22により連結された支持面2用の上部の方向転換ロール15及び下部の転換ロール17を支持し且つ案内している。支持面3の断面も同様に構成されている。
【0025】
図6は、枠11の案内部の断面拡大図であり、案内レール23により、保持アーム24を介して、継ぎ目無しベルト21を有する第二の支持台6が枠11に沿って移動できるように構成されている。
【0026】
図7には、第二の支持面6が第一の支持面4に機械的に連結された後(図には示されていない)に、継ぎ目無しベルト21が相当する方向に回転させる駆動輪25が模式的に示され、これにより第一の支持台4の支持面2用の上部ロール15を介して継ぎ目なしベルトが駆動される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】支持装置の各工程(a)〜(d)の状態を示す模式平面図
【図2】図1の工程(b)に対応する断面図
【図3】図1の工程(c)に対応する断面図
【図4】図1の工程(d)に対応する断面図
【図5】第一の支持台域の装置の枠を示す断面図
【図6】第二の支持台用の案内レール近辺の拡大断面図
【図7】第二の支持台が第一の支持台に連結された状態を示す図2の部分拡大断面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の支持面(2)及び第二の支持面(3)を有する第一の支持台(4)を用いて、分断方向であるX−方向及びそれに垂直なY−方向に可動な分断装置内に板状の加工用素材(7)を担持する装置であって、
前記2つの支持面(2、3)は互いに隔たって空隙(8)を形成し、分断装置の分断機構(5)の下に位置する該空隙は、支持面(2、3)の一方を拡大し他方を縮小することによりY−方向に可変であり、
個々の担持部材(14)から成る支持面(2、3)が形成されているリンクベルト(12)は枠(11)へと案内され、リンクベルト(12)の両端はそれぞれの支持面(2、3)の固定端(9)として枠(11)に固定され、
支持面(2、3)の可動端(10)を伴うリンクベルト(12)を案内する方向転換ロール群は、空隙(8)を形成する第一のロール群(15、16)並びに支持面(2、3)の下方の第二のロール群(17、18)より構成され、
第二の支持台(6)は、一方の支持面(2または3)と共にY−方向に可動であり且つ回転ロール群(20)を有してキャタピラー状に移動する継ぎ目無し搬送ベルト(21)備えていることを特徴とする加工用素材を担持する装置。
【請求項2】
少なくとも1つの搬送鎖(13)を有するリンクベルト(12)は枠(11)に固定され、担持部材(14)から成る支持面(2、3)よりも長く、空隙(8)が終点に到達し第二の支持台(6)の高さ方向に空間が生じた際に、担持部材(14)が枠(11)の水平面(19)よりも下方にあるように一方の支持面(2、3)がリンクベルトの端部において突出していることを特徴とする請求項1に記載の加工用素材を担持する装置。
【請求項3】
使用していない支持面(2、3)の担持部材(14)が枠(11)の水平面(19)の下方にある場合には、第二の支持台(6)は第一の支持台(4)の領域において可動であることを特徴とする請求項2に記載の加工用素材を担持する装置。
【請求項4】
一方の支持面(2、3)の第一の方向転換ロール群(15、16)は第二の支持台(6)のロール群(20)と連結可能であることを特徴とする請求項3に記載の加工用素材を担持する装置。
【請求項5】
第二の支持台(6)は、枠(11)の側方において案内されることを特徴とする請求項3に記載の加工用素材を担持する装置。
【請求項6】
加工用素材(7)を完全に受けた後には、継ぎ目無しベルト(21)を回転させることなく、第二の支持台(6)が、第一の支持台(4)の領域から移動可能であることを特徴とする請求項4又は5に記載の加工用素材を担持する装置。
【請求項7】
分断装置を用いて、支持装置上にある板状の加工用素材(7)を分断・搬出する方法であって、
支持装置(1)は、互いに隔たって空隙(8)を形成する第一の支持面(2)及び第二の支持面(3)により構成された第一の支持台(4)を備え、該空隙は分断装置の分断機構(5)の下方にあり、
分断機構(5)は一方の支持面(2又は3)が拡大し他方の支持面(3又は2)が縮小することによって移動し
加工済みの加工用素材(7)を取り出すために第一の支持台(4)の一端にある空隙(8)が移動することによって、一方の支持面(2又は3)が加工用素材を担持し、
第二の支持台(6)が一方の支持面(2又は3)と共に第一の支持台(4)の他端へと移動し、他方の支持面(3又は2)が縮小することにより加工用素材(7)が第二の支持台(6)へと完全に渡され、
第二の支持台(6)が加工用素材(7)と共に第一の支持台(4)の領域から移動することを特徴とする加工用素材を分断・搬出する方法。
【請求項8】
加工用素材(7)は、第一の支持台(4)に連結されて駆動されるキャタピラー状に移動する第二の支持台(6)の継ぎ目無しベルト(21)に引き取られることを特徴とする請求項7に記載の加工用素材を分断・搬出する方法。
【請求項9】
第二の支持台(6)から加工用素材を引き取った後に、第二の支持台は第一の支持台(4)から分離され、継ぎ目無しベルト(21)が回転せずに第二の支持台(6)が第一の支持台(4)から移動することを特徴とする請求項8に記載の加工用素材を分断・搬出する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−531437(P2008−531437A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557349(P2007−557349)
【出願日】平成18年1月28日(2006.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000757
【国際公開番号】WO2006/092194
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(505473019)
【Fターム(参考)】