説明

分析器にガス混合物を供給する方法

本発明は、分析器と、計測ガスを前記分析器に供給するためのシステムとを含む流体分析装置に関し、前記供給システムは、前記計測ガスを発生させる少なくとも1つのミキサーと、前記少なくとも1つのミキサーの下流かつ前記分析器の上流に位置する少なくとも1つの清浄機とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、流体を分析するためのデバイス、および特に流体分析器に少なくとも1つのガス混合物を送るための方法に関する。
【0002】
分析可能な流体は、気体または液体のいずれかであり得る。それらは、品質管理の目的のために工業プロセスで直接サンプリングすることによって、またはモニタリングもしくは制御の目的で、与えられた雰囲気、例えば周囲空気をサンプリングすることによって得られる。
【0003】
流体試料中の低濃度の化学種を測定するために使用される分析器は、供給される純ガスおよびガス混合物の性質に敏感である。純ガスまたはガス混合物は、試料を検出器に正しく運ぶため、およびキャリブレーション中に「ゼロ」点を設定するために使用され、これは流体分析の分野において必須である。それらは、デバイス自体を稼動するためにも供され得る。これらの純ガスまたはガス混合物は、計測ガス(instrumentation gas)と呼ばれる。例えば、これらの計測ガスは、ヘリウム、窒素、空気または、H2/He、H2/Ar、CH4/Ar、CO2/ArおよびH2/N2のような混合物である。
【0004】
これらの計測ガス中に存在する不純物の含有量、およびそれらを製造するための規格は、分析器の感度および分析の再現性に影響するパラメータである。
【0005】
計測ガス中に含まれる不純物の程度および性質は、99.999 %の純度に相当する品質の達成を可能にする。最も頻繁に保証される不純物は、水分および炭化水素である。炭素酸化物(COおよびCO2)および酸素は、保証の目的を形成し得る。
【0006】
さらにより厳しい規制のために、分析研究機関はより低い濃度の測定をしなければならない。分析器の性能の向上は、したがって、それらの検出限界およびそれらの精度に集束される。計測ガスについて今日求められる保証は、もはやこれらの要求に、純度および製造精度の両方に関して十分ではない。これはすなわち、あまりに高い濃度で存在する不純物は分析器のバックグラウンドノイズを乱すので、このようにしてそれらの感度が低下する。保証された不純物の範囲が不十分であると、測定の支障の原因となる。例えば、保証された不純物は水分および酸素であるが、分析に決定的なものは炭化水素であり、追加の規格は分析の影響を制限する。最後に、計測ガスの種々の成分の割合の、理論的に意図された製造に対する、あまりに高い混合物毎の組成の偏りの差異は、分析結果の不正確さの原因となる。
【0007】
分析器としての炎イオン化検出器(FID)の具体例は、水素/ヘリウム混合物および空気を供給される炎と、収集板とから構成される。分析される試料は炎を通過し、有機分子を分解してイオンを生成する。これらはバイアス電極上で収集され、このようにして電気シグナルを生じる。FIDは極めて敏感であり、広いダイナミックレンジを与える。FIDは、メタン、エタンあるいはアセチレンのような炭化水素を検出するために使用される。分析される試料は、予熱区域中で燃焼性計測混合物(combustible instrumentation mixture)と予め混合される。炎の中で生成したイオンおよび電子が収集され、このようにして電流を外部回路に流す。電流はイオンの量に比例し、それは分析される流体中の炭化水素の濃度に依存する。電流は、適切な電位計によって検出され、アナログ出力で表示される。したがって、FIDは、炭化水素濃度の迅速、精密(ppbに至るまで)かつ連続的な測定を提供する。
【0008】
FIDは2つのガス混合物、すなわち相対比が明確な、例えば40 %および60%の水素/ヘリウム(H2/He)、および相対比が明確な、例えば20 %および80%の酸素/窒素(O2/N2)を供給される。混合物毎の種々の成分の割合の、理論的に意図された製造に対する偏りの変動は、FIDを使用して実行される分析の結果についての不確定要素の原因となる。FIDによって実行される分析の信頼性を向上させるために、フレイムガスと呼ばれるH2/HeおよびO2/N2混合物は、それ故に、混合物毎に安定した製造精度を持ち、したがって測定に際してこのパラメータの影響を制限することが可能でなければならない。さらに、FIDによって少ない量を分析しなければならない場合ほど、計測ガス中に存在する不純物の含有率もいっそう考慮されるべき要素となる。
【0009】
これらの規格は、それ故に、分析の信頼性を保証するために改善されなければならない。
【0010】
例えばFIDについては、今日のフレイムガスは、H2/He混合物の場合では水素含有量について1〜2 絶対%の精度で、O2/N2混合物の場合では酸素含有量について0.5〜1 絶対%の精度をもって瓶詰めの形態で配送される。瓶毎のこれらの混合物の組成の変動は、末端消費者にとってエラーの原因となる。それ故に、H2/He 混合物中でのH2濃度の2絶対%の変動は、測定する炭化水素について得られるFIDシグナルにおいて30 %に至る変動を生じ得る。同様に、O2/N2 混合物中での酸素濃度の2絶対%の変動は、測定する炭化水素について得られるFIDシグナルにおいて10 %に至る変動を生じ得る。
【0011】
さらに、不純物含有量は分析の信頼性に決定的なパラメータである。40 ppbの不純物濃度は、ゼロ空気試料が全てFIDで分析された場合に、23 %のシグナル増大を生じさせる。一方で、昨今、瓶詰めされた混合物の保証された不純物レベルは、通常、50〜100 ppbvである。例えばFIDの場合では、FIDに供給するためのH2/HeおよびO2/N2混合物の瓶詰めの配送は、それ故に、分析結果に大きな不確定要素を生じさせる欠点を持ち、分析される量がより小さいほど、なおいっそう決定的となる。このような瓶詰めされた混合物の配送は、それ故に、それらの組成または純度のいすれにおいても、長期間の再現性を保証しない。
【0012】
この保証は、多数の製品が経済的に価値のあるコストで製造可能な容器を準備し、それらに混合物を充填する方法に相当する。精度および保証されたレベルについての要求の変化は、これらの瓶詰めされた混合物の製造が現行のプロセスおよびプラントを変更する必要があり、それは製造コストの著しい増大を招くこともあるということを意味する。したがって、このタイプの混合物について、今日、多数のこれらの混合物を製造するためには、充填センターで達成される製造精度はまさに限界に来ている。不純物については、保証されるレベルは、使用される源、ガス瓶を製造するプロセス、およびこれらの瓶を充填する方法に依存して変わる。
【0013】
本発明の一つの目的は、先述した欠点のいくつか、または全てを改善することである。
【0014】
この目的のために、本発明は、流体を分析するためのデバイスであって、
- 分析器と、
- 前記分析器に計測ガスを供給するための供給システムと
を含み、前記供給システムが、前記計測ガスを発生させる少なくとも1つのミキサーと、前記少なくとも1つのミキサーの下流かつ前記分析器の上流に位置する少なくとも1つの清浄機とを含むことを特徴とするデバイスで構成される。
【0015】
本発明の一つの態様によれば、前記分析器に計測ガスを供給するためのシステムが、少なくとも1つのミキサーの上流に位置する少なくとも1つの清浄機をさらに含む。
【0016】
前記ミキサーの下流に単一の清浄機を有する利点は、全体の配送プロセスを簡略化することである。一方で、前記ミキサーの上流に清浄機を追加することは、流入する純ガスの少なくとも1つから、技術的および/または安全性の制約の理由で最終混合物から除去することのできない特定の不純物を除去することを可能にする。
【0017】
さらに、本発明の態様は、以下の特徴の1つ以上を含み得る:
- 前記分析器は炎イオン化検出器であり、前記分析器は、カサロメーター(またはTCD)、電子捕捉検出器(ECD)、光イオン化検出器、化学発光検出器、電気化学検出器、ヘリウムイオン化検出器、グロー放電検出器、プラズマ発光検出器、原子発光検出器、減圧ガス分析器からも選択され得る;
- 例えば、炎イオン化検出器は、一方が水素/ヘリウム混合物であり他方が酸素/窒素混合物である2つの計測ガス混合物を供給され、前記供給システムは前記水素/ヘリウム混合物を発生させる第1のミキサーの下流かつ前記分析器の上流に位置する第1の清浄機と、前記酸素/窒素混合物を発生させる第2のミキサーの下流かつ前記分析器の上流に位置する第2の清浄機とで構成される;
- 特に供給される分析器が炎イオン化検出器である場合は、前記水素/ヘリウム混合物が35〜45 %、好ましくは40 %水素、および55〜65 %、好ましくは60 %ヘリウムの相対比、ならびに酸素/窒素混合物が15〜25 %、好ましくは20 %酸素、および75〜85 %、好ましくは80 %窒素の相対比を有する;
- 前記少なくとも1つのミキサーが、マスフロー流量調整装置、ソニックオリフィス、異径の較正オリフィスの組、または調節バルブより選択される要素を含み、マスフロー流量調整装置についての予め定められた閾値のパラメータ化、または異径の較正オリフィスの組の使用が、異なる濃度の混合物をもたらすか、および/または総流量を変えることを可能にし、調整装置または圧力計および空気バルブのような要素が、流量調整要素の最適な動作を保証するために前記少なくとも1つのミキサー中に組込まれ得る;
- 前記少なくとも1つの清浄機は、流入ガスおよび除去される不純物のタイプに依存して、粒子フィルタ、貴金属および/または金属酸化物を含む触媒、低温トラップ、例えば活性炭、活性化アルミナ、もしくは種々のタイプのゼオライトのような、可能ならばいくつかの連続する吸着床として分布する1つ以上の吸着体より選択される1つ以上の要素で構成され得る。
【0018】
本発明の1つの態様において、前記少なくとも1つの清浄機は、前記清浄機が保証された寿命の終期に至ったことを示す可聴もしくは可視シグナルもしくは他のメッセージのようなアラームまたは警報も含み得る。このようなデバイスは、使用者が清浄機を交換するか、または同じ規格を提供する緊急供給に切り替えるかのいずれかをすることができるように、使用者に知らせることができる。変形として、このアラームは、清浄機の性能低下による誤った分析を防止するために、自動ミキサー停止と組合わせてもよい。
【0019】
緊急供給は、既知の組成の瓶詰めされたガスか、または他の清浄機に切り替えるかのいずれかで構成され得る。
【0020】
さらなる変形として、精製は、自己再生精製手段によって提供される。このような精製手段は、例えばPSA(圧力スイング吸着)、またはTSA(温度スイング吸着)ユニットである。後の2つの例において、2つのタンクがガスの流れと並列に配置され、かつ吸着剤(例えば活性炭、活性化アルミナまたはゼオライト)で充填される。第1のタンクがガスをミキサーに流すことができるとき、第2のタンクは再生モードにある。この再生は、圧力の変化によって(PSAユニット)、またはガス流の温度上昇(TSAユニット)によって実行され得る。
【0021】
本発明の1つの態様によれば、圧力調整装置は前記少なくとも1つの清浄機の下流に位置する。
【0022】
本発明の他の目的は、流体分析器に計測ガスを供給するための供給システムであって、前記計測ガスを発生させる少なくとも1つのミキサーと、これと組合された前記少なくとも1つのミキサーの下流に位置する少なくとも1つの清浄機とにより構成され、前記供給システムは流体分析デバイス中に一体化されているシステムである。
【0023】
本発明の他の目的は、各々が計測ガス混合物を発生させる2つのミキサーによって生成する計測ガスを炎イオン化検出器に供給するための供給システムであって、各ミキサーが清浄機の上流に位置する供給システムである。
【0024】
本発明の他の目的は、少なくとも1つの計測ガス混合物を流体分析器に送るための、上記したような供給システムの使用である。
【0025】
本発明のさらに他の目的は、少なくとも1つのガス混合物を流体分析器に送る方法であって、以下の、
a) 少なくとも2つの純ガスの混合物を、ミキサーを用いて生成する工程と、
b) 工程a)で得られた混合物を、前記分析器のための計測ガス混合物を発生させる清浄機によって精製する工程と
を含み、これらの工程が、単一の装置によって同じ場所で実行されることを特徴とする方法である。
【0026】
このような方法は、工程a)に先立って、混合される少なくとも1つのガスを精製する工程をさらに含み得る。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、2つのガス混合物を炎イオン化検出器に送る方法であって、以下の、
a) 第1のミキサーを用いて40 %水素および60 %ヘリウムからなる第1の混合物を形成し、第2のミキサーを用いて20 %酸素および80 %窒素からなる第2の混合物を形成する工程と、
b) 工程a)で得られた第1の混合物を、前記炎イオン化検出器のための第1の計測ガスを発生させる第1の清浄機によって精製し、工程a)で得られた混合物を、前記炎イオン化検出器のための第2の計測ガス混合物を発生させる第2の清浄機によって精製する工程と
を含み、これらの工程が、単一の装置によって同じ場所で実行されることを特徴とする方法である。
【0028】
他の特徴および利点は、図1および2を参照して与えられた以下の記述を読むことでより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、流体を分析するための本発明によるデバイスの略図を示す。
【図2】図2は、流体を分析するための本発明によるデバイスの変形の略図を示す。
【0030】
図1は、リザーバー14に入った流体2を分析するためのデバイス1を示す。流体2は、例えば周囲空気である試料、または排ガスである試料である。デバイス1は、分析器3に計測ガスを供給するための装置4およびシステムで構成される。装置4は、ここで2つの独立した部分からなり、各々がミキサー7または8の下流に位置する清浄機9または10から構成される。流入ガスG1〜G4は、例えばヘリウム、窒素、水素、アルゴン、メタンまたは二酸化炭素のような純ガスである。これらの純ガスは、特に瓶詰めの形態で配送されるか、または発生装置から送られる。不純物についてのそれらの規格は、分析器7または8の上流に配置された清浄機9または10の精製能力に対応する。
【0031】
ミキサー7または8についての存在する技術は、微量成分の濃度において0.5絶対%を超過しない不確定性をもって混合物5または6を発生させることができる。それは、マスフロー流量調整装置またはソニックオリフィスまたは制御バルブを含み得る。
【0032】
清浄機9または10は、分析について決定的である不純物の含有量を減じるために使用される。例えば、清浄機は、炭化水素をCO2およびH2Oに変換するための、金属酸化物で構成される触媒であり得る。それは、測定への影響を制限するために、これらの不純物をトラップするための吸着体と組合せられ得る。
【0033】
全てのこのガス混合物配送装置は、低不純物含有量を有する精密な混合物を発生させることができる。瓶詰めされた混合物に対する代替案を構成する本発明の目的は、分析器に供給される混合物によって生じる分析の不確定性への影響を減らすための手段である。
【0034】
G1およびG2(またはG3およびG4)のような純ガスはミキサー7(あるいは8)に入り、前記ミキサーはライン12を流れる混合物G1/G2(あるいはライン13を流れるG3/G4)を送る。清浄機9(あるいは10)は、混合物G1/G2(あるいはG3/G4)の決定的な不純物の含有量を減じ、そのようにして混合物5(あるいは6)を送ることに役立つ。混合物5および6の各々は、リザーバー14からもたらされる流体2を分析するための計測ガスを指す。前記流体2はライン11を流れて、計測ガスもその中に流れ込む分析器3に入る。本発明の1つの具体的な態様によれば、装置4は単一の部分で構成される。1つの部分はミキサー7、清浄機9および計測ガス5が流れるライン12で構成される。本発明によるデバイスは、2つ以上の部分で構成される装置4も含み得る。
【0035】
分析器3が炎イオン化検出器である場合、計測ガス供給システムまたは装置4は、ライン12を流れる水素(G1)/ヘリウム(G2)混合物5を発生させる、第1のミキサー7の下流に位置する第1の清浄機9を含む。ライン13を流れる酸素(G3)/窒素(G4)混合物6を発生させる第2の清浄機10は、第2のミキサー8の下流に位置する。この清浄機10は、試料14からもたらされる流体2の分析を意図した分析器3の上流に位置し、前記流体はライン11を流れ、入口17を介して分析器3に入る。
【0036】
混合物5および6を入口15および16を介して分析器3に供給し、試料14の流体2を、分析が実行される分析器3の部分に導く。これらのフレイムガス5および6は、分析器3をキャリブレーションするときに「ゼロ」点を設定するためにも用いる。
【0037】
図2は、リザーバー14に入った流体2を分析するためのデバイス1を示す。図1に示すデバイスとは異なり、ここで模式的に示されるデバイスは、少なくとも1つのミキサー7または8の上流に配置される少なくとも1つの清浄機18、19、20、21をさらに含む。結果として、混合される純ガスの少なくとも1つが、ミキサーに入る前に精製され得る。ミキサーの上流に清浄機を追加することは、流入純ガスG1〜G4をの少なくとも1つから、技術的および/または安全性の制約により最終混合物から除去することのできない特定の不純物の除去を可能にする。達成される目的によれば、ただ1つの流入ガスが少なくとも1つのミキサー7および8の上流で精製されるか、あるいはいくつかの流入ガスが混合される前に精製される。最後に、本発明の一つの態様によれば、混合される全てのガスが最初に精製され得る。
【0038】
一般に、本発明で提案される解決策は、それ故に、一方で計測ガスの現場での(on-site)発生を可能にするミキサーで構成され、他方でミキサーの下流かつ分析器の上流に配置される清浄機で構成される。これらの2つの要素は一体化され、単一の装置を構成する。
【0039】
ミキサーは、混合物の組成が長期間安定であることを保証することを可能にする。顧客が望むフローダイナミクスに依存して、マスフロー流量調整装置またはソニックオリフィスのいずれかで構成される。清浄機は、決定的な不純物例えば炭化水素を、例えば触媒的プロセスを用いてCO2とH2Oに変換することによって除去する。この清浄機は、これらの不純物をトラップするための一連の吸着床中の吸着体、例えばH2Oをトラップするための第1のシーブ吸着床およびCO2をトラップするための第2のゼオライト吸着床も含み得る。
【0040】
ミキサーの成分は、混合物の精度を0.5絶対%より良好な微量成分の濃度で達成することを可能にする。顧客の側での製造は、計測ガスを形成する混合物の濃度のポテンシャル揺動を防ぐ。例えばFIDの場合は、顧客の側での製造は、H2/He混合物中の水素濃度、またはO2/N2混合物中の酸素濃度のポテンシャル揺動を防ぐ。この精度を保証することによって、顧客の分析の再現性が向上する。
【0041】
清浄機は、分析を妨げるレベル未満の炭化水素不純物レベルを、分析器の上流で達成することができる。その連続的な操作は、分析器の「バックグラウンドノイズ」を、低い含有量の炭化水素を分析するために満足のいくレベルに維持することができる。FIDの場合において、決定的な不純物は炭化水素である(100 ppbvの炭化水素の分析のためには、清浄機は10 ppbv未満の炭化水素含有量を達成せねばならない)。
【0042】
完全な装置は、ミキサーの精密さのおかげで混合物の組成が長期間安定であり、かつ、清浄機の性能のおかげで使用の時点でもたらされる純度が一定であるという保証を顧客に提供する。この解決策は、それ故に、長期間安定な本質的特質を持つ混合物を顧客に提供するという利点を持つ。したがって、提案された解決策は、分析器に供給されるガスによって生じる分析の不確定要素への影響を減じることに役立つ。さらに、ミキサーと清浄機を組合せることは、顧客の使用を遥かに楽にし、かつ、瓶詰めでの配送と比べてより速い操作を提供する。
【0043】
本発明は、記載された発明の適用の分野から離れることのない他の多くの特定の形態における態様を考慮していることが明らかであろう。したがって、本態様は例示として考えられねばならないが、それらは添付された請求項の範囲で定義される範囲内で変形され得、かつ本発明は上記の与えられた詳説に限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体(2)を分析するためのデバイス(1)であって、
- 分析器(3)と、
- 前記分析器に計測ガス(5、6)を供給するための供給システム(4)と
を含み、前記供給システム(4)が、前記計測ガス(5、6)を発生させる少なくとも1つのミキサー(7、8)と、前記少なくとも1つのミキサー(7、8)の下流かつ前記分析器(3)の上流に位置する少なくとも1つの清浄機(9、10)とを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記分析器(3)に計測ガス(5、6)を供給するためのシステム(4)が、少なくとも1つのミキサー(7、8)の上流に位置する少なくとも1つの清浄機(18、19、20、21)をさらに含む請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記分析器(3)が、炎イオン化検出器である請求項1および2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項4】
前記供給システム(4)が、一方が水素/ヘリウム混合物(5)であり他方が酸素/窒素混合物(6)である2つの計測ガス混合物を前記分析器(3)に供給し、前記供給システム(4)は、前記水素/ヘリウム混合物(5)を発生させる第1のミキサー(7)の下流かつ前記分析器(3)の上流に位置する第1の清浄機(9)と、前記酸素/窒素混合物(6)を発生させる第2のミキサー(8)の下流かつ前記分析器(3)の上流に位置する第2の清浄機(10)とで構成される請求項1〜3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記供給システム(4)が、一方が40 %および60 %の相対比にある水素/ヘリウム混合物(5)であり、他方が20 %および80 %の相対比にある酸素/窒素混合物(6)である2つの計測ガス混合物を前記分析器(3)に供給する請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つのミキサー(7、8)が、マスフロー流量調整装置、ソニックオリフィス、異径の較正オリフィスの組、または調製バルブより選択される少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの清浄機(9、10)が、粒子フィルタ、貴金属および/または金属酸化物を含む触媒、および低温トラップより選択される1つ以上の要素を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの清浄機(9、10)が、少なくとも1つの吸着体も含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの清浄機(9、10)が、保証された寿命の終期に至ったことを警告する手段も含む請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
圧力調整装置が、前記少なくとも1つの清浄機(9、10)の下流に位置することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
流体(2)分析器(3)に計測ガス(5、6)を供給するための供給システム(4)であって、前記計測ガス(5、6)を発生させる少なくとも1つのミキサー(7、8)と、これと組合された前記少なくとも1つのミキサー(7、8)の下流に位置する少なくとも1つの清浄機(9、10)により構成され、請求項1〜10のうちの1項で定義されたデバイス(1)中に一体化されていることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載した計測ガス(5、6)を流体(2)分析器(3)に供給する供給システム(4)であって、少なくとも1つのミキサー(7、8)の上流に位置する少なくとも1つの清浄機(18、19、20、21)をさらに含むシステム。
【請求項13】
各々が計測ガス混合物(5、6)を発生させる2つのミキサー(7、8)で構成される、請求項11および12のいずれかに記載の、計測ガスを炎イオン化検出器に供給するための供給システム(4)であって、各ミキサーは清浄機(9、10)の上流に位置するシステム。
【請求項14】
請求項13に記載の、計測ガス(5、6)を供給するための供給システム(4)であって、流入ガス(G1〜G4)につき1つの清浄機(18、19、20、21)が各ミキサー(7、8)の上流に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項15】
少なくとも1つのガス混合物(5、6)を流体(2)分析器(3)に送る方法であって、
a) 少なくとも2つの純ガスの混合物を、ミキサー(7、8)を用いて形成する工程と、
b) 工程a)において得られた混合物を、前記分析器(3)のための計測ガス混合物を発生させる清浄機(9、10)によって精製する工程と
を含み、これらの工程が、請求項11〜14のうちの1項に定義された、計測ガス(5、6)を供給するための単一の供給システム(4)によって、同じ場所で実行されることを特徴とする方法。
【請求項16】
工程a)に先立って、混合される少なくとも1つのガスを精製する工程をさらに含む、請求項15に記載した、少なくとも1つのガス混合物(5、6)を流体(2)分析器(3)に送る方法。
【請求項17】
少なくとも1つの計測ガス混合物(5、6)を流体(2)分析器(3)に送るための、請求項11〜14のうちの1項に定義された、計測ガス(5、6)を供給するための供給システム(4)の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2011−505006(P2011−505006A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535428(P2010−535428)
【出願日】平成20年11月3日(2008.11.3)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051977
【国際公開番号】WO2009/068767
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】